(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】燃焼空気カセット、燃焼空気カセットを備えた暖炉、燃焼空気を供給するための方法、および燃焼空気カセットを後付けするためのキット
(51)【国際特許分類】
F23B 60/00 20060101AFI20230405BHJP
F23L 15/00 20060101ALI20230405BHJP
F23N 3/00 20060101ALI20230405BHJP
F24B 15/00 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
F23B60/00
F23L15/00 Z
F23N3/00
F24B15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550679
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 FI2021050117
(87)【国際公開番号】W WO2021165578
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522331275
【氏名又は名称】エヌピーアイ‐エンジニアリング オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ジャンネ ニエリカイネン
(72)【発明者】
【氏名】ツォーマス イムモネン
【テーマコード(参考)】
3K003
3K023
3K046
【Fターム(参考)】
3K003JA10
3K003KA04
3K003KB01
3K003MA05
3K003NA01
3K023QA10
3K023QB13
3K023QB17
3K023QC05
3K046AA06
3K046AB06
3K046AC06
3K046AD02
3K046BA05
3K046FA01
(57)【要約】
本発明は、燃焼空気を暖炉内の炉の異なる高さレベルに搬送するための燃焼空気カセット(10)に関する。燃焼空気カセット(10)は、中空一次空気カセット(11)と、一次空気カセット(11)への空気流接続部を有する少なくとも1つの中空二次空気カセット(12)と、吸気口(35)と、を備える。燃焼空気は、吸気口(35)を介して、一次空気カセット(11)に流入し、さらに一次空気入口(15)を介して一次空気カセット(11)の上部に配置される木材装入物の下方の炉の下部に流入し、ならびに予熱されるべき少なくとも1つの二次空気カセット(12)に流入するように構成され、少なくとも一次空気カセット(11)上で燃焼する木材装入物の上部燃焼空間の高さに設けられた二次空気入口(16)を介して、二次空気カセット(12)から予熱された二次空気が炉内に流入するように構成される。本発明はまた、燃焼空気カセット(10)を備える暖炉(50)、燃焼空気カセット(10)によって、暖炉の炉内で燃焼する木材装入物に燃焼空気を炉の異なる高さレベルまで導入するための方法、ならびに燃焼空気カセット用の後付けキットに関する。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼空気を暖炉内の炉の異なる高さレベルに搬送するための燃焼空気カセットであって、前記燃焼空気カセット(10)が、中空一次空気カセット(11)と、前記一次空気カセット(11)への空気流接続部を有する少なくとも1つの中空二次空気カセット(12)と、
燃焼空気が吸気口(35)を介して前記一次空気カセット(11)に流入し、前記一次空気カセット(11)から前記一次空気カセット(11)の上面の一次空気入口(15)を介して前記炉の下部に、ならびに予熱される少なくとも1つの二次空気カセット(12)に流入するように構成され、二次空気カセット(12)からの予熱された二次空気が、前記一次空気カセット(11)の上部で燃焼する木材装入物の上部燃焼空間の高さレベルの少なくとも二次空気入口(16)を介して前記炉に流入するように構成された前記吸気口(35)と、を備え、前記燃焼空気カセット(10)がまた、前記燃焼空気カセット(10)から前記炉内に導入される前記燃焼空気が予熱された二次空気のみであるように、前記一次空気入口(15)のサイズを調整して前記炉内に導入される一次空気の量を減少させ、前記一次空気入口(15)を完全に閉じるように配置された空気調整器(18)を備えることを特徴とする、燃焼空気カセット。
【請求項2】
二次空気入口(16)が、前記二次空気カセット(12)内の少なくとも2つの異なる高さレベルに設けられる、請求項1に記載の燃焼空気カセット。
【請求項3】
二次空気入口(16)が、前記二次空気カセット(12)内のいくつかの異なる高さレベルに設けられる、請求項1に記載の燃焼空気カセット。
【請求項4】
二次空気入口(16)が、前記二次空気カセット(12)の底部から前記二次空気カセット(12)の上部まで、前記二次空気カセット(12)内のいくつかの異なる高さレベルに設けられる、請求項1に記載の燃焼空気カセット。
【請求項5】
前記吸気口(35)が、前記一次空気カセット(11)の下方に設けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の燃焼空気カセット。
【請求項6】
前記吸気口(35)が、前記一次空気カセット(11)に流入する空気の量を制限するための少なくとも1つのリミッタ(36)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の燃焼空気カセット。
【請求項7】
燃焼空気が前記一次空気カセット(11)から前記2つまたは3つの二次空気カセット(12)に流れるように、前記一次空気カセット(11)への空気流接続部を有する2つまたは3つの二次空気カセット(12)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の燃焼空気カセット。
【請求項8】
前記燃焼空気カセット(10)が、前記二次空気カセット(12)の下方にスペーサ(93)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の燃焼空気カセット。
【請求項9】
前記燃焼空気カセット(10)が、前記燃焼空気カセット(10)の底部にスペーサ(93)を備え、前記燃焼空気カセット(10)が、暖炉の底部に配置されるように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の燃焼空気カセット。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の燃焼空気カセット(10)を備えることを特徴とする、暖炉。
【請求項11】
前記燃焼空気カセット(10)が、前記二次空気カセット(12)が前記暖炉の側壁または後壁のいずれかにあるように配置される、請求項10に記載の暖炉。
【請求項12】
暖炉の炉内で燃焼する木材装入物のための燃焼空気を前記炉の異なる高さレベルにおいて導入するための方法であって、
燃焼空気カセット(10)の底部に設けられた吸気口(35)を介して前記燃焼空気カセット(10)内に燃焼空気を受け取ることであって、前記燃焼空気が一次空気カセット(11)用の一次空気と二次空気カセット(12)用の二次空気とに分割される、前記受け取ることと、
前記一次空気カセット(11)の上面の一次空気入口(15)を介して前記炉に一次空気を供給することと、
前記二次空気カセット(12)内の二次空気を予熱することと、
前記燃焼する木材装入物の前記上部燃焼空間の高さに配置された少なくとも二次空気入口(16)を介して、予熱された二次空気を前記暖炉に供給することと、を含み、
前記方法が、さらに、
前記炉に供給される一次空気の量が減少するように、または前記燃焼空気カセット(10)から前記炉に供給される前記燃焼空気が、予熱された二次空気のみであるように、前記燃焼空気カセット(10)の空気調整器(18)によって前記一次空気入口(15)のサイズを制御することを含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項13】
予熱された二次空気を前記炉の前記上部燃焼空間に供給する前に、二次空気の予熱中に前記二次空気カセット(12)内の空気分配器(86)の周りに二次空気を循環させることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
予熱された二次空気を供給するために使用される空気入口(16)を、前記炉内で燃焼する前記木材装入物のそれぞれの上部燃焼空間に対応する高さレベルに設けられた空気入口(16)と置き換えることをさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記燃焼空気カセット(10)の前記一次空気入口(15)が閉じられた後に、前記燃焼する木材装入物の前記上部燃焼空間に二次空気のみを供給し続けることを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
燃焼空気カセット用の後付けキットであって、請求項1から9のいずれか一項に記載の燃焼空気カセット(10)を備えることを特徴とする、前記燃焼空気カセット用の後付けキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、暖炉用の燃焼空気カセット、本発明による燃焼空気カセットを備える暖炉、炉内の異なる高さレベルまで暖炉の炉内で燃焼する木材装入物に燃焼空気を供給するための方法、ならびに本発明による燃焼空気カセットによって暖炉を後付けするためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
大気質を改善するために、暖炉内での木材の燃焼によって引き起こされる排出物を厳しく制限する試みがなされてきた。従来の火格子が暖炉において使用され、木材装入物、例えば細断されたまきが燃焼のために火格子上に配置される場合、唯一の燃焼空気は、多くの場合、木材装入物の下方に配置された火格子を通って入る一次空気である。この木材装入物から発生したガスは、木材装入物とともに燃焼し、木材装入物の熱をさらに増加させ、ひいてはガス化を増加させる。その結果、一次空気は、発生した全てのガスを燃焼させるのに十分ではないため、大量の炭化水素および煤が暖炉内で未燃焼のままとなる。酸素供給が不十分なそのような燃焼は、木材の燃焼によって引き起こされる望ましくない高排出を引き起こす可能性がある。木材の燃焼によって引き起こされる排出物の問題は、木材燃焼プロセス中に補助的な木材装入物が赤熱する燃えさしに添加される場合、さらに大きくなる。
【0003】
燃焼空気に一次空気だけでなく、別個の配管またはカセット配置によって木材装入物の上方に導入される二次空気も含ませるという解決策もある。確かにそのような解決策により、小粒子および一酸化炭素の排出物、ならびに暖炉からの未燃焼有機物質の排出物を削減することができた。気候のために、暖炉からの小粒子排出物、一酸化炭素排出物、ならびに未燃焼有機物質の量のさらなる削減が有利であろう。
【発明の概要】
【0004】
概要
現在、燃焼空気を暖炉内に導入するための暖炉用の燃焼空気カセットが発明されている。一次空気は、木材装入物の下方から燃焼空気カセットの一次空気カセットを介して暖炉の下部に搬送され、燃焼空気カセットの二次空気カセット内で予熱された二次空気は、暖炉の炉の上部に搬送され、それぞれの上部燃焼空間の高さレベルまで、暖炉の1つ、2つ、または3つの側面から搬送される。炉内で燃焼する木材装入物の上部燃焼空間の高さに応じたいくつかの異なる高さレベルへの二次空気の導入は、火が点火されて木材装入物に高さがある木材燃焼の初期段階から、木材装入物が燃焼して低い燃えさしになっている木材燃焼の最終段階まで、燃焼プロセス全体の間に燃焼する木材装入物への十分な酸素供給を可能にする。本発明はまた、燃焼空気を暖炉に供給するための方法、燃焼空気カセットを備える暖炉、ならびに燃焼空気カセットを後付けするためのキットに関する。
【0005】
本発明は、暖炉内の炉の異なる高さレベルまで燃焼空気を供給する燃焼空気カセットに関する。本燃焼空気カセットは、中空一次空気カセットと、空気流に関して一次空気カセットに接続された少なくとも1つの中空二次空気カセットとを備える。本燃焼空気カセットの下部の吸気口を介して、燃焼空気は、一次空気カセットに流入し、さらに一次空気入口を介して炉の下部、一次空気カセットの上部に配置される木材装入物の下方、ならびに予熱のための少なくとも1つの二次空気カセットに流れるように構成される。二次空気カセットから、予熱された二次空気は、少なくとも一次空気カセットの上部で燃焼する木材装入物の上部燃焼空間の高さレベルに設けられた二次空気入口を介して炉に流入する。
【0006】
ある実施形態では、二次空気入口は、二次空気カセット内の少なくとも2つの異なる高さレベルに設けられる。ある実施形態では、二次空気入口は、二次空気カセット内のいくつかの異なる高さレベルに設けられる。ある実施形態では、二次空気入口は、二次空気カセットの下部から二次空気カセットの上部まで、二次空気カセット内のいくつかの異なる高さレベルに設けられる。ある実施形態では、本燃焼空気カセットの吸気口は、一次空気カセットの下方または下部に設けられる。ある実施形態では、本燃焼空気カセットの吸気口は、一次空気カセットへの吸気を制限するための少なくとも1つのリミッタを備える。ある実施形態では、本燃焼空気カセットは、燃焼空気が一次空気カセットから2つまたは3つの二次空気カセットに流れるように、一次空気カセットへの空気流接続部を有する該2つまたは3つの二次空気カセットを備える。ある実施形態では、本燃焼空気カセットは、暖炉の火格子の上に配置されるように構成される。ある実施形態では、本燃焼空気カセットは、スペーサを備え、暖炉の底部に配置されるように構成される。
【0007】
本発明は、さらに、燃焼空気を炉の異なる高さレベルに搬送するための燃焼空気カセットを備える暖炉に関する。燃焼空気カセットは、中空一次空気カセットと、空気流に関して一次空気カセットに接続された少なくとも1つの中空二次空気カセットとを備える。燃焼空気カセットの下部の吸気口を介して、燃焼空気は、一次空気カセットに流入し、さらに一次空気入口を介して炉の下部、一次空気カセットの上部に配置される木材装入物の下方、ならびに予熱のための少なくとも1つの二次空気カセットに流れるように構成される。二次空気カセットから、予熱された二次空気は、少なくとも一次空気カセットの上部で燃焼する木材装入物の上部燃焼空間の高さレベルに設けられた二次空気入口を介して炉内に流入し、燃焼空気カセットは、二次空気カセットが炉の側壁または後壁のいずれかに当接して配置されるように本暖炉内に配置される。
【0008】
ある実施形態では、二次空気入口は、二次空気カセット内に少なくとも2つの異なる高さレベルに設けられる。ある実施形態では、二次空気入口は、二次空気カセット内のいくつかの異なる高さレベルに設けられる。ある実施形態では、二次空気入口は、二次空気カセットの下部から二次空気カセットの上部まで、二次空気カセット内のいくつかの異なる高さレベルに設けられる。ある実施形態では、燃焼空気カセットの吸気口は、一次空気カセットの下方または下部に設けられる。ある実施形態では、燃焼空気カセットの吸気口は、一次空気カセットへの吸気を制限するための少なくとも1つのリミッタを備える。ある実施形態では、燃焼空気カセットは、燃焼空気が一次空気カセットから2つまたは3つの二次空気カセットに流れるように、一次空気カセットへの空気流接続部を有する該2つまたは3つの二次空気カセットを備える。ある実施形態では、燃焼空気カセットは、暖炉の火格子の上に配置されるように構成される。ある実施形態では、燃焼空気カセットは、スペーサを備え、暖炉の底部に配置されるように構成される。
【0009】
本発明は、さらに、炉の異なる高さレベルにおいて、暖炉の炉内で燃焼する木材装入物に燃焼空気を供給するための方法に関する。本方法は、燃焼空気カセットの下部に設けられた吸気口を介して燃焼空気を燃焼空気カセットに受け入れるステップを含む。燃焼空気カセットでは、燃焼空気は、一次空気と二次空気とに分けられる。一次空気は、一次空気カセット内の一次空気入口を介して木材装入物の下方に供給される。二次空気は、二次空気カセット内で予熱される。予熱された二次空気は、少なくとも燃焼する木材装入物の上部燃焼空間の高さに設けられた空気入口を介して暖炉に供給される。
【0010】
ある実施形態では、本方法は、二次空気が炉内で燃焼する木材装入物の上部燃焼空間に供給される前に二次空気が二次空気カセット内で予熱されるときに、二次空気カセットの空気分配器の周りに二次空気を再循環させることをさらに含む。ある実施形態では、本方法は、予熱された二次空気を、炉内で燃焼する木材装入物のそれぞれの上部燃焼空間に対応する高さレベルに設けられた空気入口に供給するために使用される空気入口を変更することをさらに含む。ある実施形態では、本方法は、燃焼空気カセットの一次空気入口を閉じることと、二次空気のみの供給を継続することと、をさらに含む。
【0011】
本発明は、暖炉用の燃焼空気カセットを後付けするためのキットをさらに含み、燃焼空気カセットを後付けするための本キットは、中空一次空気カセットと、一次空気カセットへの空気流接続部を有する少なくとも1つの中空二次空気カセットとを備える燃焼空気カセットを備える。燃焼空気カセットの下部の吸気口を介して、燃焼空気は、一次空気カセットに流入し、さらに一次空気入口を介して炉の下部、一次空気カセットの上部に配置される木材装入物の下方、ならびに予熱のための少なくとも1つの二次空気カセットに流れるように構成される。二次空気カセットから、予熱された二次空気は、少なくとも一次空気カセットの上部で燃焼する木材装入物の上部燃焼空間の高さレベルに設けられた二次空気入口を介して炉に流入する。燃焼空気カセットは、二次空気カセットが炉の側壁または後壁のいずれかに設けられるように暖炉内に配置される。
【0012】
ある実施形態では、二次空気入口は、二次空気カセット内に少なくとも2つの異なる高さレベルに設けられる。ある実施形態では、二次空気入口は、二次空気カセット内のいくつかの異なる高さレベルに設けられる。ある実施形態では、二次空気入口は、二次空気カセットの下部から二次空気カセットの上部まで、二次空気カセット内のいくつかの異なる高さレベルに設けられる。ある実施形態では、燃焼空気カセットの吸気口は、一次空気カセットの下方または下部に設けられる。ある実施形態では、燃焼空気カセットの吸気口は、一次空気カセットへの吸気を制限するための少なくとも1つのリミッタを備える。ある実施形態では、燃焼空気カセットは、燃焼空気が一次空気カセットから2つまたは3つの二次空気カセットに流れるように、一次空気カセットへの空気流接続部を有する該2つまたは3つの二次空気カセットを備える。ある実施形態では、燃焼空気カセットは、暖炉の火格子の上に配置されるように構成される。ある実施形態では、燃焼空気カセットは、スペーサを備え、暖炉の底部に配置されるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面の簡単な説明
以下、添付の図面を参照して、本発明の様々な実施形態をより詳細に説明する。
【0014】
【
図1a】上方から斜視図で見た、本発明のある実施形態による燃焼空気カセットを示している。
【
図1b】上方から斜視図で見た、本発明のある実施形態による燃焼空気カセットを示している。
【
図2a】一次空気入口が開いた状態の、ある実施形態による燃焼空気カセットの斜視上面図を示している。
【
図2b】一次空気入口が閉じられた状態の、
図2aによる燃焼空気カセットを示している。
【
図3a】本発明のある実施形態による燃焼空気カセットの上面図を示している。
【
図3b】
図3aによる燃焼空気カセットの線A-Aにおける断面図を示している。
【
図3c】
図3aによる燃焼空気カセットの線B-Bにおける断面図を示している。
【
図3d】
図3aの燃焼空気カセットのある実施形態を下方から示している。
【
図3e】
図3dの燃焼空気カセットの線C-Cにおける断面図を示している。
【
図3f】
図3aによる燃焼空気カセットの別の代替実施形態を下方から示している。
【
図4】
図4a-f。それぞれ上方から斜視図で本発明のある実施形態による燃焼空気カセットを示している。
【
図5a】本発明のある実施形態による燃焼空気カセットを備える暖炉の正面図を示している。
【
図5b】
図5aの線D-Dに沿った本発明の暖炉の断面図を示している。
【
図6】
図6a-d。それぞれ本発明のある実施形態による燃焼空気カセットに関連する木材装入物の燃焼プロセスの断面側面図を示している。
【
図7a】本発明の一実施形態による燃焼空気カセットの正面図、およびその中の空気流を示している。
【
図7b】
図7aの燃焼空気カセットの上面図、およびその中の空気流を示している。
【
図8】
図3aの線B-Bに対応する位置における本発明の一実施形態による燃焼空気カセットの断面図を示している。
【
図9a】火格子のない暖炉を対象とした、本発明のある実施形態による燃焼空気カセットの斜視正面図を示している。
【
図9b】火格子のない暖炉を対象とした、本発明のある実施形態による燃焼空気カセットの斜視正面図を示している。
【
図9c】
図9aに示す実施形態による燃焼空気カセットの斜視正面図を示している。
【
図9d】
図9cに示す実施形態による燃焼空気カセットの斜視正面図を示している。
【
図10】暖炉内の異なる高さレベルに燃焼空気を供給するための方法を示している。
【
図11a】上方から斜視図で見た、本発明の一実施形態によるサウナストーブ用の燃焼空気カセットを示している。
【
図11b】上方から斜視図で見た、本発明の一実施形態によるサウナストーブ用の燃焼空気カセットを示している。
【
図11c】上方から斜視図で見た、本発明の一実施形態によるサウナストーブ用の燃焼空気カセットを示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
暖炉は、従来の暖炉、保温暖炉、鉄製ストーブ、炉床、開放暖炉、および個人宅または他の建物または空間を加熱するために使用されるサウナストーブを指すことができる。しかしながら、木材が暖炉内で燃焼するとき、十分な量の空気、すなわち酸素が木材装入物に供給されない場合、排出物および粒子が木材の燃焼によって、時にはかなりの程度まで発生する。
【0016】
気候を考慮すると、木材の燃焼、特に不完全燃焼によって発生する排出物および粒子、ならびに気候変化を促進するブラックカーボンは、暖炉内で木材を燃焼させるプロセスの望ましくない副産物である。例えば、従来の鉄棒火格子が暖炉において使用され、木材装入物、例えば、細断されたまきがその火格子上に配置される場合、木材装入物の下方に配置された火格子を通って流れる一次空気は、木材燃焼プロセスのための唯一の燃焼空気とすることができる。したがって、木材装入物から発生したガスは、木材装入物とともに燃焼し、木材装入物の熱をさらに増加させ、ひいてはガス化を増加させる。通常、一次空気は、これらの全ての発生ガスを燃焼させるのに十分ではない。排出物の問題は、燃焼プロセス中に木材装入物の熱い燃えさしに補助的なまきが添加されるとさらに悪化する。
【0017】
木材装入物を燃焼させるのに十分な量の空気を供給することによって、木材装入物の下方(一次空気)だけでなく、特に木材装入物の上方、すなわち、火炎が存在し、木材のガス化物質の燃焼が起こるいわゆる火の上部燃焼空間(二次空気)においても、木材の燃焼によって発生する粒子の量を最大90%削減させることが可能である。毎回大部分が必要とされる空間への燃焼空気のそのような導入は、本発明の実施形態による燃焼空気カセットであって、一次および二次空気の双方からなる燃焼空気を炉内の異なる高さレベルに供給する該燃焼空気カセットによって実装することができる。燃焼空気カセットは、例えば鉄棒火格子上に配置され、燃焼空気が燃焼空気カセットの下方から、例えば鉄棒火格子のスリットを通って、一次空気カセットの下方および/または下部に設けられた燃焼空気カセットの吸気口/複数の吸気口を介して供給される水平中空一次空気カセットを備える。燃焼空気カセット内に入った全ての燃焼空気のうち、一次空気の配分は、木材装入物がその上で燃焼する一次空気カセットの上面に設けられた一次空気入口を介して一次空気カセットから出てくる。一次空気は、一次空気カセットから上面の空気入口以外の入口、例えば一次空気カセットの側面または前部を介しては、炉内に流れない。水平一次空気カセットに加えて、燃焼空気カセットは、通常は垂直であり、燃焼空気の二次空気の配分が、例えば一次空気カセットを通って、流れ込み予熱される少なくとも1つの中空二次空気カセットを備える。1つ以上の二次空気カセットはまた、それらが一次空気カセットから、すなわち燃焼空気カセットの中央部分から離れて傾斜するように、一次空気カセットに対してある角度で配置されてもよい。二次空気カセットは、燃焼空気カセットが炉内に配置されたときに炉に面する二次空気カセットのいわゆる前面に、異なる高さレベルの二次空気入口を備え、このようにして、二次空気カセットは、木材装入物の火の上部燃焼空間のレベルまで空気/酸素の乱流を常に搬送することができ、高さレベルは、木材燃焼プロセスの段階および/または一次空気カセット上の木材装入物のサイズに依存する。予熱された二次空気は、上部燃焼空間内のガスの燃焼のための正確/十分な量の酸素を供給することによって、燃焼する木材装入物によって発生したガスの燃焼が可能な限り完全であることを確実にするために供給される。二次空気流の乱流が多いほど、ガスおよび燃焼空気が炉内で良好に混合され、燃焼がより完全になる。その結果、本発明の実施形態による燃焼空気カセットは、木材燃焼プロセスに従来よりも効率的に酸素を供給し、それによって、木材装入物は、木材装入物の下方からだけでなく、火の上部燃焼空間内の火炎にも空気が供給されるときに、より効率的且つより完全に燃焼するため、従来よりも排出物や粒子が発生しにくくなる。一次空気カセットおよび二次空気カセットの双方において、空気入口の直径は、例えば、2から30mmの間、例えば、10mm、15mmまたは20mmとすることができる。いくつかの実施形態では、空気入口にはまた、カセットの表面から離れて延在するカラーが設けられてもよい。さらにまた、いくつかの実施形態では、カセットの空気入口は、他の空気入口または二次空気カセットの他の高さレベルの空気入口とは異なる直径を有してもよい。二次空気カセットの空気入口の表面積は、炉内の燃焼空気とガスとの混合、二次空気カセット内の二次空気の効率的な予熱、ならびに二次空気カセットに入る十分に高い体積流量を達成するために、空気が二次空気カセットに入る二次空気カセットの下部における吸気口の表面積以下であるべきである。このようにして、二次空気カセットを通る空気流は速度を増し、十分な量の二次空気が燃焼プロセスの各瞬間に炉内の正しい位置に供給される。
【0018】
したがって、本発明の実施形態による燃焼空気カセットの動作は、燃焼の段階に応じた燃焼プロセスへの酸素の供給、すなわち燃焼のステージング、燃焼空気とガスとの乱流混合、上部燃焼空間への効率的な空気の供給、および二次空気の予熱に基づく。適切に最適化されたこれらの特徴の組み合わせは、総排出量、ガス、粒子、およびブラックカーボンの量を削減する。燃焼のステージングは、燃焼空間に供給される一次空気流と二次空気流との間の比を指し、燃焼空気カセットの一次空気カセットおよび少なくとも1つの二次空気カセットによって実装することができ、二次空気は、炉に二次空気を供給する前に燃焼プロセスによって加熱される。予熱された二次空気は、木材の燃焼によって発生する排出物の削減に寄与する。一次空気カセットの上部での燃焼プロセスから放出された熱エネルギーは、放射熱および対流によって二次空気カセット内の空気の大部分を加熱する。二次空気カセット内への空気のより大きくより速い流れは、二次空気カセット内の空気容積の熱膨張、炉全体の煙突効果によって引き起こされる負圧、ならびにこれらの複合効果に起因し、これが、二次空気カセット内の入口の面積と二次空気カセットの下部内の吸気口の面積との比が二次空気カセット内の空気流速に有意な影響を及ぼす理由である。これは、炉と二次空気カセットとの間、ならびに二次空気カセットとその吸気口、すなわち二次空気カセットの下部との間に圧力差を生じさせる。二次空気カセットの吸気口、すなわち二次空気カセットの下部の開口部の面積と、一次空気カセットの吸気口、すなわち燃焼空気カセットの吸気口との間の比を調整することによって、およびこれらの面積と、二次空気カセットおよび炉の温度の変化との間の比を調整することによって、燃焼プロセスを最適化して排出物をさらに削減することが可能である。燃焼プロセスのための空気流速の調整は、本発明による一次空気カセットが棒火格子の代わりに使用される場合に、より容易である。
【0019】
空気流の乱流は、燃焼空気カセットの減少点においてより増加し、これはまた空気流を加速する。燃焼空気カセットによって、および燃焼空気カセット内で、空気流は、一次空気カセットの吸気口の面積を一次空気カセットの断面積よりも小さくすることによって、吸気チャネル内、すなわち一次空気カセットの吸気口においてチョークさせることができる。空気は、一次および二次空気入口の双方によってさらにチョークさせることができる。したがって、チョーキングによって、空気流の乱流を増加させ、空気流速を増加させることが可能であり、これは、炉内のガスと燃焼空気との互いの混合を容易にし、それによって排出物の発生を削減する。
【0020】
空気は、一次および二次空気入口を介して炉に供給され、それによって十分な量の酸素が炉内のいくつかの単一の燃焼部位に供給されることができる。燃焼空気カセット内の空気入口は、X軸およびY軸に沿って配置され、それによって木材装入物の領域全体に空気が供給されることができる。換言すれば、燃焼空気カセットは、一次空気カセット内の空気入口を介して、木材装入物の下方で、暖炉の炉の下部に空気を搬送し、かつ少なくとも1つの二次空気カセット内の異なる高さレベルに設けられた空気入口を介して炉内の異なる高さレベルに空気を搬送する。暖炉、すなわち炉内の木材装入物の下方に一次空気を導入する能力は、木材装入物が点火されたときに十分な空気および酸素の供給を可能にする。また、二次空気を暖炉内、すなわち炉内の異なる高さレベルに導入する能力は、上部燃焼空間、すなわちまきのスタックの上部で、木材燃焼段階、すなわち燃焼プロセスの間ずっと十分な空気および酸素の供給を可能にする。したがって、二次空気カセットによって、火が点火されてスタックに高さがある木材燃焼段階のまさに最初から、木材装入物がほぼ焼け落ちて燃えさしになった最終的な木材燃焼段階まで、木材装入物の上方の上部燃焼空間内に空気を導入することが可能である。二次空気カセットはまた、装入物が二次空気入口に当接して配置されていない場合には木材装入物の高さにわたって空気を供給することができるが、最も効率的な空気流は、常に上部燃焼空間へと向かうものである。本発明の実施形態による燃焼空気カセットはまた、暖炉用の後付けまたは改修キットとすることができ、その場合、一次空気カセットが火格子の上に置かれ、1つ又は複数の二次空気カセットが炉の1つ、2つ、または3つの側面の壁に当接して置かれるようにして、燃焼空気カセットが既存の火格子の上に置かれる。木材装入物のための燃焼空間は、火格子と整合したままであるが火格子の代わりに一次空気カセットの上部にくる。本発明の実施形態による燃焼空気カセットは、同様に火格子のない暖炉用の後付けまたは改修キットであってもよい。そのような場合、燃焼空気カセットは、スペーサを備え、カセットは、炉の底部に配置される。しかしながら、本発明の実施形態による燃焼空気カセットはまた、暖炉の一体化された部分であってもよいことに留意されたい。
【0021】
既に上述したように、十分な量の空気が木材装入物の真上に供給される場合、まきを燃焼させる際に発生する粒子の量を最大90%削減することができる。二次空気カセットは、木材装入物によって覆われていないいくつかの空気入口を備えてはいるが、上部燃焼空間が二次空気が主に導入される主要ゾーンであり、それは上部燃焼空間内の火の渦が炉のまさにその高さレベルに位置する二次空気入口を通して二次空気を吸い込むからである。したがって、異なる高さレベルに配置されたいくつかの空気入口を有する二次空気カセットの構造は、最初から最後まで木材燃焼の全ての段階において上部燃焼空間に空気を供給するのに適しており、燃焼プロセスをより効率的且つ清浄にする。二次空気入口の直径は、例えば、2から30mmの間、例えば10mmであってもよく、したがって、それらはまったく点状である。より大きいかまたは細長い入口が使用される場合には燃焼プロセスが発生する排出物は少なくなるかもしれないが、空気入口が非常に大きいかまたは垂直方向に細長い場合、二次空気は必ずしも、炉内の正確に正しい高さレベルに流れ、かつ/または十分な乱流および/または迅速になり、かつ/または所望の温度を有することになって、燃焼プロセスを可能な限り清浄にするとは限らない。
【0022】
以下、
図1から
図8を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明は、提示された実施形態のみに限定されないことに留意されたい。実際に、異なる実施形態は、燃焼空気カセットを使用できる任意の環境、例えば、サウナストーブまたはバーベキューにおいて組み合わせて適用することができる。図中の燃焼空気カセットの一部は、燃焼空気カセット内の吸気口および空気入口の位置をより明確に示すために断面図として示されている。
【0023】
図1aは、上方から斜視図で見た、本発明のある実施形態による燃焼空気カセット10を示している。燃焼空気カセット10は、中空体を有し、少なくとも水平一次空気カセット11と、それに空気流接続部を有する3つの垂直二次空気カセット12とからなる。燃焼空気カセット10は、空気が一次空気カセット11を介して一次空気カセット11およびそれに接続された二次空気カセット12に流入するように、燃焼空気カセット10の中空体に空気を取り込むために、カセット10の下部であるカセット10の第1の部分に吸気口(図示せず)を有する。吸気口の例は、例えば
図3dおよび
図3fに示されている。燃焼空気カセット10は、一次空気カセット11の上部に配置された木材装入物用の一次空気カセット11の本体から一次空気を搬送するための複数の一次空気入口15と、一次空気カセット11の上部に配置された木材装入物用の二次空気カセット12の本体から二次空気を搬送するための二次空気入口16とを有する。一次空気入口15は、一次空気カセット11の上面に設けられ、二次空気入口16は、カセット12の入口16が炉に面するように二次空気カセット12の前面に設けられる。カセット11および12は、空気入口15、16が設けられ、かつ一次空気カセット11と二次空気カセット12の炉に面する表面が互いに約90度の角度で配置されるように互いに接続されている。しかしながら、例えば二次空気カセットの炉および燃焼する木材装入物に面していない側に二次空気入口を設けることも可能である。空気入口15、16の数および位置/高さレベルは、例えば暖炉に応じて自由に選択されることができるが、実質的に、空気入口15、16はカセット11または12のうちの一方の表面上のいくつかの異なる位置に設けられる。
【0024】
燃焼空気カセット10は、その二次空気カセット12が暖炉の壁に当接/近接/対向して配置されるように暖炉内に設置されるように構成され、この実施形態では、3つの二次空気カセット12が暖炉の炉の後壁および側壁に当接して配置され、一次空気カセット11は、暖炉の火格子の上部に配置され、空気が吸気口から燃焼空気カセット10に、さらに空気入口15、16を介してカセット11、12を通って炉内に流れることができるように下方に該吸気口を有する。一次空気カセット11の一次空気入口15は、全体が閉じられるようにサイズが調整可能であるように構成されるか、または燃焼空気カセット10の空気調整器18を使用することによってそれらの開口部を制限することができ、その位置は、一次空気カセット11の入口15の前に部分的または全体的に金属板を移動させるように調整することができる。例えば、木材装入物が既に点火された後、下部を介した一次空気の取り込みによって燃焼空気または燃焼プロセスが制限される場合などに、一次空気の流れを遮断することが必要な場合がある。
【0025】
二次空気カセット12の中空本体内では、木材装入物が一次空気カセット11の上部で燃焼しているときに空気が予熱される。二次空気カセット12内の二次空気入口16を介して、予熱された二次空気は、二次空気カセット12から炉内へ、一次空気カセット11の上部に配置された燃焼する木材装入物の上方に、および上部燃焼空間に流れるように構成される。暖炉の底部から異なる高さレベルに設けられた空気入口16の目的は、燃焼の段階および/または木材装入物の高さに関係なく、予熱された二次空気を常に木材装入物の上の火炎の高さレベルに供給することができるということである。予熱された二次空気を他の高さレベルにも搬送するが、主には少なくとも木材装入物の上部の高さに搬送することが可能である。燃焼空気カセット10ならびにその二次および一次空気カセット12、11は、例えば、ステンレス鋼または黒鉄で作られてもよい。材料の厚さは、例えば、1から10mmの間であってもよい。
【0026】
燃焼空気カセット10が複数の吸気口を備え、該吸気口が部分に分割されること、または少なくとも1つの吸気口がカセット10の下部とは別の部分に設けられることも可能である。カセット10は、例えば、カセット10の後部、または、例えばカセット10の下部の、カセット10の一方もしくは双方の縁部に少なくとも1つの吸気口を備えてもよい。さらにまた、暖炉が位置する空間の外部からカセット10内に空気を導入することもできる。
【0027】
図1bは、上方から斜視図で見た、本発明のある実施形態による燃焼空気カセット19を示している。この実施形態の燃焼空気カセット19は、その二次空気入口16が細長い、すなわち長手方向および垂直方向であるという点で
図1aの燃焼空気カセット10とは異なり、この場合、燃焼空気カセット19は、入口がいくつかの異なる高さレベルで設けられていなくても、二次空気を異なる高さレベルに供給することができる。それらの形状のために、
図1bの二次空気入口16は、
図1aの二次空気入口16すべてを合わせたよりも大きいサイズを有し得、このことは、
図1aの実施形態に対して、炉内への二次空気の流れを減速し、乱流を低減し得る。なぜならより大きい入口によって空気のチョーキングが低減されるためである。
【0028】
図1bのこの実施形態では、一次空気カセット11の一次空気入口15も同様に細長いが、
図1aの燃焼空気カセット10のものと同様であってもよい。燃焼空気カセット19の一次空気入口15はまた、木材装入物の点火後に完全に閉じることができ、または燃焼空気カセット19の空気調整器18を使用することによってそれらの開口部を制限することができ、その位置は、金属板を一次空気カセット19の入口15の前に部分的または全体的に移動させるように調整することができる。
【0029】
図2aは、一次空気入口21が開いているときの、上方からの斜視図で、ある実施形態による燃焼空気カセット20を示し、
図2bは、一次空気の流れを防止するために一次空気入口21が閉じられているときの
図2aの燃焼空気カセット20を示し、それによって燃焼空気カセット20から流れる燃焼空気は、二次空気のみからなる。閉鎖は、空気調整器22によって燃焼空気カセット20の一次空気カセット内に孔/開口部を有するダンパを移動させることによって行われる。空気入口21は、サイズを小さくすることができ、または完全に閉じることができる。ダンパの孔が空気入口21と完全に位置合わせされると、入口21は完全に開放される。ダンパの孔が空気入口21と部分的に位置合わせされると、孔21は、部分的に開閉され、炉に流入する一次空気の量が減少する。ダンパの孔が空気入口21と全く位置合わせされていない場合、入口21は、完全に閉じられ、一次空気は炉に流入しない。空気調整器22およびダンパを適用して、入口、例えば上部に木材装入物が主に配置される一次空気カセット23の中央に位置する入口21などの一部のみを閉じ/調整するか、または中央の該入口を閉じ/調整しないことも可能である。
【0030】
図3aは、ある実施形態による燃焼空気カセット30の上面図を示している。燃焼空気カセット30は、互いに分離し、一次空気カセット31から垂直上方に延在する、1つの一次空気カセット31と3つの二次空気カセット32とを備える。空気は、一方の二次空気カセット32から他方へ流れることはなく、燃焼空気カセット30の吸気口(
図3bから
図3fにおける35)からのみ一次空気カセット31へと流れ、そして一次空気カセット31から一次空気入口33を介して炉へと流れ、ならびに一次空気カセット31から二次空気カセット32へと流れ、そして二次空気カセット32からさらに二次空気入口34を介して炉へと流れ、木材装入物のそれぞれの上部燃焼空間へと流れる。
【0031】
図3bは、
図3aの燃焼空気カセット30の線A-Aにおける断面図を示している。この図では、吸気口35は底部にある。炉の側壁に当接して配置されるように意図された二次空気カセット32は、一次空気カセット31の縁部領域から垂直上方に立ち上がる。この
図3bには、一次空気入口33および二次空気入口34のいくつかも示されている。
【0032】
図3cは、
図3aの燃焼空気カセット30の線B-Bにおける断面図を示している。この図でも、吸気口35は底部にある。炉の後壁用の二次空気カセット32は、一次空気カセット31から垂直上方に延在する。この
図3cには、一次空気入口33および二次空気入口34のいくつかも示されている。
【0033】
図3dは、
図3aの燃焼空気カセット30の下部の代替実施形態を下方から、すなわち底部から示している。一次空気カセット31の底部にある吸気口35を通して、一次空気入口33も下方から見ることができる。燃焼空気カセット30の吸気口35の表面積は、一次空気カセット31の断面積よりも小さい。
【0034】
図3eは、
図3dの燃焼空気カセット30の線C-Cにおける断面図を示している。この図では、吸気口35が上部に示されており、二次空気カセット32は、一次空気カセット31から垂直下方に延在している。この
図3eには、一次空気入口33および二次空気入口34のいくつかも示されている。
【0035】
図3fは、
図3aの燃焼空気カセット30の下部の代替実施形態を下方から、すなわち底部から示している。この実施形態では、一次空気カセット31の吸気口34の領域のサイズは、吸気口35の角領域を閉じることによって、すなわち、吸気口35の角部において燃焼空気カセット30内への空気の流れを防止することによって制限されている。吸気口35の一部または複数の部分を覆うこれらの金属片は、吸気リミッタ36と呼ばれる。吸気口35を通して、一次空気入口33も見える。この実施形態では、燃焼空気カセット30の吸気口35の面積は、
図3dと比較して、一次空気カセット31の断面積よりもさらに小さい。リミッタ36の数は異なっていてもよく、吸気口35内のそれらの位置は、この実施形態に示されているものと異なっていてもよい。
【0036】
図4aから
図4fはそれぞれ、上方から斜視図で、本発明のある実施形態による燃焼空気カセットを示している。
図4aに示す燃焼空気カセット40は、1つの水平一次空気カセットと、一次空気カセットへの空気流接続部を有する2つの垂直二次空気カセットとを備え、垂直二次空気カセットの一方は、炉の側壁用であり、他方は、炉の後壁用である。二次空気カセットの角部の間には、角度ガイド47が設けられて、二次空気がカセット間またはそれらの間の領域から、例えば燃焼空気カセット40の後側に流れるのを防止する。ガイド47の構造は、中空ではないため、空気は、カセットからガイド47を介して互いに、またはガイド47に流れることはない。ガイド47の形状も異なっていてもよい。換言すれば、カセットを互いに角度なしで接続してもよい。
【0037】
図4bに示す燃焼空気カセット41は、1つの水平一次空気カセットと、一次空気カセットに接続され、炉の対向する側壁用に意図された2つの垂直二次空気カセットとを備える。この実施形態では、二次空気カセット間にガイドは設けられていないが、二次空気カセットは互いに分離されており、一次空気カセットから二次空気カセットへの空気流を可能にするために一次空気カセットにのみ接続され固定される。
【0038】
図4cに示す燃焼空気カセット42は、1つの水平一次空気カセットと、一次空気カセットに接続された1つの垂直二次空気カセットとを備える。この実施形態では、二次空気カセットは、炉の(右手)側壁用である。
【0039】
図4dに示す燃焼空気カセット43は、1つの水平一次空気カセットと、一次空気カセットに接続された1つの垂直二次空気カセットとを備える。この実施形態では、二次空気カセットは、炉の後壁に当接して配置されるように意図されている。
【0040】
図4eに示す燃焼空気カセット44は、1つの水平一次空気カセットと、一次空気カセットに接続され、炉の対向する側壁に当接して配置されるように意図された2つの二次空気カセットとを備える。二次空気カセットの間には、後壁のサイズにほぼ等しいサイズを有するガイド48が設けられ、また、カセットの間から、またはカセットの間の領域から、例えば燃焼空気カセット44の後側への二次空気の流れを防止し、空気を実際の燃焼プロセスに導くことも意図されている。このガイド48の構造も中空ではないため、空気は、二次空気カセットからガイドを介して互いに流れたりガイド48に流入したりしない。ガイド48はまた、図に示す形状とは異なる形状を有してもよい。換言すれば、例えば緩やかな円弧によってカセット同士を接続してもよい。
【0041】
図4fに示す燃焼空気カセット45は、1つの水平一次空気カセットと、一次空気カセットに接続され、炉の対向する側壁および後壁に当接して配置されるように意図された3つの垂直二次空気カセットとを備える。この実施形態では、二次空気カセット間にガイドは設けられていないが、二次空気カセットは互いに分離されており、一次空気カセットから二次空気カセットへの空気流を可能にするために一次空気カセットにのみ接続され固定される。
【0042】
図5aは、ある実施形態による燃焼空気カセット51を備える暖炉50の正面図を示している。燃焼空気カセット51は、その二次空気カセット57が炉53の壁に当接またはその近傍にあるように、暖炉50の炉53内に配置される。一次空気カセット55は、炉53の火格子(図示せず)の上部に配置される。炉53のドア59(
図5bに示す)の側には、二次空気カセットは設けられていないが、木材装入物が供給され、一次空気カセット55(
図5bに示す)の一次空気入口の上部で点火される。燃焼空気は、周囲の部屋から、または例えば灰箱52を介して建物の外側から直接、燃焼空気カセット51に流入することができる。燃焼空気カセット51内では、火格子の開口部/スロットを介して燃焼空気カセット51に流入した燃焼空気の一部、すなわち二次空気は、燃焼空気カセット51の二次空気入口54を介して火炎およびそれぞれの上部燃焼空間に流れる前に、二次空気カセット57内で予熱される。次いで、燃焼空気の残りの部分、すなわち一次空気は、著しく加熱されることなく、一次空気カセット55の一次空気入口58(
図5bに示す)を介して、木材装入物が点火されるときに、木材装入物の下方の炉53の下部のいくつかの位置に流れる。
【0043】
図5bは、線D-Dに沿った
図5aの暖炉50および燃焼空気カセット51の水平断面図を示している。
図5bは、一次空気カセット55およびその中の一次空気入口58を示している。この実施形態では、入口58は、二次空気カセット57の空気入口54と同様に円形であるが、例えば、楕円形、細長形状、または長方形であってもよい。入口54、58はまた、互いに対して異なるサイズを有してもよく、または同じカセットが異なるサイズの入口を備えてもよく、または細長い入口が二次空気カセットのただ1つの高さレベル(またはいくつかの高さレベル)に設けられてもよい。
【0044】
燃焼空気カセット51の高さおよび幅、ならびに二次空気カセット57の数は、例えば、暖炉50の炉53のサイズおよび/または形状に基づいて自由に選択されることができることにも留意されたい。さらにまた、二次空気カセット57は、互いに異なるサイズを有してもよい。
【0045】
図6aから
図6dは、本発明のある実施形態による燃焼空気カセット60に関連する木材装入物の燃焼プロセスを示している。燃焼空気カセット60は、炉内の火格子(図示せず)の上部に配置され、燃焼空気カセット60の一次空気カセット62の上部に木材装入物としてまき61のスタックが設けられる。まき61の上部に火炎63がある。明確にするために、
図6aから
図6dは、1個の二次空気カセット64のみの断面図を示しているが、2個または3個の二次空気カセットも設けられてもよい。燃焼空気カセット60への燃焼空気の導入は、
図6aから
図6d中の矢印67によって示されている。
【0046】
図6aでは、燃焼プロセスがまさに開始しようとしており、初期段階では、木材装入物が点火されており、木材装入物として使用されるまき61のスタックに高さがある。火炎63は、依然として非常に小さく、低い。燃焼する木材装入物が二次空気カセット64の空気をまだ十分加熱していないため、二次空気は、この段階で二次空気カセット64からほとんど流れない。二次空気カセット64の空気入口66からの細い矢印は、木材装入物全体の領域への低い二次空気流を示している。燃焼プロセスが開始されたばかりであるため、一次空気は、一次空気カセット62の空気入口62aを介して、一次空気カセット62から木材装入物の下方のいくつかの異なる場所に供給される。いくつかの異なる一次空気供給部位では、点火段階および燃焼プロセスの最初の段階での木材装入物全体の点火において十分な酸素供給を確保することが可能である。一次空気が炉のドア付近から、すなわち炉の前部からのみ供給されるように搬送される場合、木材装入物の全領域に十分な量の一次空気が供給されるとは限らない。
【0047】
一次空気の量は、一次空気カセット62の空気調整器69によって、燃焼プロセスが進行するにつれて木材装入物へのその供給を制限するように調整することができ、したがって木材装入物によって排出されるガスの燃焼を防止するが、これは木材装入物の熱をさらに増加させ、ひいてはガス化を増加させ、それによって、火に利用可能な燃焼空気は、燃焼している木材装入物から排出される全てのガスを燃焼させるのに十分ではなく、それによって大量の炭化水素および煤が未燃焼のままとなり、望ましくない大量の排出物が木材の燃焼によって発生し得る。一次空気の供給、すなわち一次空気カセット62の空気入口62aは、空気調整器69によって閉じることができ、それによって予熱された二次空気が二次空気カセット64から炉内に流れ始めた後に、有孔金属板69aが一次空気カセット62内で空気入口62aの前に移動されることができる。一次空気の供給は、空気調整器69を用いて一次空気カセット62の空気入口62aのサイズを調整する、すなわち小さくすることによって削減することができる。この場合、燃焼空気カセット60内に入った全ての燃焼空気が次に予熱された二次空気として燃焼プロセスに供給されるので、燃焼が、二次空気カセット64を介して予熱された二次空気によって少なくとも主に実行される場合、燃焼プロセスの間中より完全でよりきれいになる。
【0048】
図6bでは、燃焼プロセスが進行しており、完全燃焼の段階にある。二次空気は予熱されており、炉内に流入している。二次空気供給のこの主要部位は、矢印65によって示されている。二次空気カセット64の空気入口66からのより小さい矢印は、木材装入物の全領域に供給することができる二次空気のより小さい流れを示している。一次空気の供給は、空気調整器69を用いて一次空気カセット62の空気入口62aのサイズを調整する、すなわち小さくすることによって既に削減されており、それによって有孔金属板69aが一次空気カセット62内で空気入口62aの前に部分的に移動することができる。
【0049】
図6cでは、燃焼プロセスが中間段階に進行しており、木材装入物がより低くなっている。燃焼プロセスは、中間段階にある。ここで、燃焼空気は、二次空気として上部燃焼空間に、
図6bに示すものよりも下側の二次空気入口66を介して導入される。この最大の二次空気流は、再び矢印65によって示されている。一次空気の供給は、空気調整器69によって一次空気カセット62の空気入口62aを閉じることによって既に完全に遮断されており、それによって有孔金属板69aが一次空気カセット62内の空気入口62aの前に完全に移動することができる。
【0050】
図6dでは、燃焼プロセスがさらに進行しており、木材装入物はほとんど焼け落ちている。燃焼プロセスは、最終段階にある。燃焼空気は、依然として予熱された二次空気からなり、その大部分はこの場合も上部燃焼空間に供給されるが、以前よりも下側の二次空気入口66を介して供給される。この二次空気流は、再び矢印65によって示されている。
【0051】
図7aは、本発明のある実施形態による燃焼空気カセット70およびその中の空気流の正面図を示している。燃焼空気カセット70は、1つの一次空気カセット72と、3つの二次空気カセット71とを備える。燃焼空気75aは、吸気口75、すなわち吸気チャネルを介して燃焼空気カセット70に流入する。燃焼空気は、周囲の部屋から、または例えば灰箱を介して建物の外側から直接、燃焼空気カセット70に流入することができる。燃焼空気カセット70の一次空気カセット72では、燃焼空気75aは、一次空気カセット72の上部に配置される木材装入物(図示せず)の下方の一次空気入口74を介して炉内に流入する一次空気74aと、二次空気カセット71内で予熱され、そこから二次空気入口73を介して炉内の木材装入物の上部燃焼空間に至る二次空気73aとに分割される。この実施形態では、一次空気74aを示す矢印および二次空気73aを示す矢印は、たとえ一次および二次空気流の比および量が燃焼プロセスの異なる段階およびカセットの異なる位置で、例えば木材装入物の位置、燃焼プロセスの段階、木材装入物の高さ、温度などに応じて変化しても、互いに対して等しく厚く長くなっている。例えば、燃焼プロセスの初期段階では、点火段階の後、一次空気74aの量は、燃焼空気のうちの80%以上であってもよく(一次空気入口74は完全に開いている)、一方、最も激しい燃焼段階では、一次空気入口74が、サイズが縮小されているか、または調整器76(
図7bに示す)によって閉じられている場合、二次空気73aの量は増加し、例えば50から90%以上であってもよい。燃焼段階の終わりに、一次空気入口74が閉じられている場合、二次空気73aの量は100%である。燃焼プロセスの異なる段階における割合は、上述した要因に応じて大きく異なり得る。
図7bは、
図7aの燃焼空気カセット70およびその中の空気流の上面図を示している。
【0052】
図8は、
図3aに示す線B-Bに対応する位置における、本発明のある実施形態による燃焼空気カセット80の断面図を示している。この燃焼空気カセット80には、二次空気カセット82内の空気分配器86が示されている。そのような空気分配器86は、二次空気カセット82を2つの部分に分割するが、ここでカセット82に入る空気は、二次空気カセット82内でより長い距離を移動し、それによってより多く加熱されることとなり、二次空気は、二次空気カセット82内でいわゆる二重循環を有する。この場合も、吸気口85を介して一次空気カセット81に入った後、空気は、二次空気カセット82にさらに流入する。カセット82において、二次空気は、カセット82の外縁に沿って、外縁と空気分配器86との間、すなわち二次空気入口84のない縁部に沿って上に流れる。二次空気カセット82の上部の空気分配器86の端部に到達すると、二次空気の流れは、カセット82を折り返し下降し、燃焼プロセスを考慮して適切な位置にある空気入口84を介して二次空気カセット82から炉内へと出る。燃焼空気カセット80の二次空気カセット82の全部または一部のみに空気分配器を設けることが可能である。
【0053】
図9aは、火格子のない、開放暖炉などの暖炉用の本発明のある実施形態による燃焼空気カセット90の斜視正面図を示している。この燃焼空気カセット90は、一次空気カセット91および二次空気カセット92に加えてスペーサ93を備える。本実施形態による燃焼空気カセット90は、特に火格子のない暖炉の底部に配置されるように設計されている。スペーサ93は、燃焼空気カセット90の下端を介して一次空気カセット91の下方から燃焼空気の供給を可能にする。この実施形態では、各二次空気カセットの下方に別個のスペーサが設けられているが、スペーサ93はまた、全ての二次空気カセット92に対し同形且つ共通であってもよい。この種のスペーサを
図9bに示す。
図9aでは、スペーサの前の壁、すなわちカセット90の中心に面する壁は、上方に完全には延在しておらず、このようにして、燃焼空気は、一次空気カセット91の下方の吸気口(
図9aには図示せず)を介してだけでなく、スペーサ93の吸気口94を介して、例えば45°の角度で燃焼空気カセット90に流入する。角度はまた、より小さくてもよい。空気が90°の角度で燃焼空気カセット90に入らなければ、空気は、カセット90内により容易に流れ、流れはより効率的になる。燃焼空気カセット90に流入する燃焼空気が90°の角度でカセット90の壁に当たると、逆圧が引き起こされ、カセット90の不適切な機能または動作不能性をもたらす可能性がある。スペーサ93の他の部分にはまた、上記の吸気口94に加えて、またはその代わりに、吸気口が設けられてもよい。
【0054】
図9bは、火格子のない暖炉、例えば開放暖炉用の本発明のある実施形態による燃焼空気カセット90bの斜視正面図を示している。この燃焼空気カセット90bは、一次空気カセット91と、二次空気カセット92と、スペーサ93とを備える。この実施形態では、全ての燃焼空気は、スペーサ93に開口が設けられた方向から、この実施形態では燃焼空気カセット90bの前面を介して燃焼空気カセット90bに入る。このように、燃焼空気がカセット90b内に緩やかな角度で流れることができるようにスペーサ93を高くすることによって、燃焼空気カセット90b内への燃焼空気の流れを促進することができる。スペーサ93が非常に低い、例えば3cm未満である場合、またはより高いスペーサである場合、燃焼空気は、前述の
図9aの実施形態のように滑らかに、カセット90bに流入せず、燃焼空気カセット90bは、必ずしも効率的に動作するわけではない。
【0055】
図9cは、
図9aの実施形態による燃焼空気カセット90の斜視正面図を示している。この燃焼空気カセット90は、一次空気カセット91、二次空気カセット92およびスペーサ93だけでなく、燃焼空気カセット90の二次空気カセットのない側、すなわち開放側にガラス板96も備える。ガラス板96の目的は、カセット90の周囲と比較して燃焼空気カセット90内の負圧形成を増加させ、それによって燃焼空気カセット90を可能な限り効率的に動作させることを可能にすることである。強化ガラスの代わりに、任意の他の適切な材料を使用することが可能であるが、材料としてガラスを使用すると、燃焼プロセスを観察することができる。
【0056】
図9dは、
図9cの実施形態による燃焼空気カセット90の斜視正面図を示している。この燃焼空気カセット90は、一次空気カセット91、二次空気カセット92、スペーサ93、および二次空気カセットのない側のガラス板96だけでなく、燃焼空気カセット90の上部のフード97も備える。フード97の目的は、燃焼空気カセット90に形成される負圧をその周囲と比較してさらに増加させ、それによって燃焼空気カセット90を可能な限り効率的に動作させることを可能にすることである。フード97は、ガラス板96をフード97なしで使用することができるのと同様に、ガラス板96なしで使用してもよい。
【0057】
図9aから
図9d中の燃焼空気カセット90、90bの一次空気カセット91の空気入口はまた、二次空気を主燃焼空気または燃焼空気のみとして使用することが望まれる場合に、一次空気または供給を制限または遮断するように調整可能である。
図9cから
図9dに示すスペーサは、燃焼空気カセット内への燃焼空気の供給を可能にするものであれば、図示したものとは異なる形状であってもよい。さらに、
図9dのフード97は、可能なフード設計の例にすぎない。ガラス板96および/またはフード97は、
図9bの燃焼空気カセット90とともに使用することもできる。
【0058】
図10は、燃焼空気カセットの一次空気カセットの空気入口、ならびに少なくとも1つの二次空気カセット内の異なる高さレベルに設けられた空気入口を介して燃焼空気を暖炉の異なる高さレベルに供給するための方法100を示している。二次空気が供給される高さレベルは、暖炉内で燃焼する木材装入物の高さレベルに依存し、二次空気は、燃焼する木材装入物の上部燃焼空間に供給される。一次空気は、木材装入物の下方に供給される。ステップ101において、燃焼空気は、燃焼空気カセットの下部に設けられた吸気口を介して燃焼空気カセットに入り、燃焼空気は、一次空気と、一次空気カセットから二次空気カセットに流れる二次空気とに分割される。換言すれば、ステップ101において、燃焼空気は、燃焼空気カセット内に受け入れられる。ステップ102において、一次空気は、一次空気カセットの上面の空気入口を介して木材装入物の下方に供給される。ステップ103において、二次空気は、二次空気カセット内で予熱される。本方法はまた、空気分配器が二次空気カセット内に設けられている場合、二次空気が二次空気カセット内の空気分配器の周りを循環する/循環される、すなわち、二次空気カセット内の二次空気の予熱は、二次空気のいわゆる二重循環を伴う、ステップ103aを含むことができる。ステップ104において、予熱された二次空気は、燃焼する木材装入物の上部燃焼空間の高さに位置する少なくともそれらの二次空気入口を介して暖炉内に供給される。方法100のさらなるステップでは、木材装入物が燃焼し、それによって低くなるにつれて、予熱された二次空気を供給するために使用される空気入口は、炉内で燃焼する木材装入物のそれぞれの上部燃焼空間に対応する高さレベルに位置する空気入口に徐々に置き換えられる。換言すれば、二次空気入口は、燃焼プロセス中に木材装入物の高さがより低くなるにつれて、二次空気カセットのより低いレベルに設けられた入口に置き換えられる。方法100のステップの少なくともいくつかはまた、燃焼プロセス中に同時に行われてもよい。補助的なまきが燃焼中の木材装入物に追加され、木材装入物の高さが増加すると、二次空気カセットの上部レベルの空気入口が、より高くなった上部燃焼空間に二次空気を供給するために再び使用される。
【0059】
図11aは、本発明のある実施形態による、サウナストーブにおいて使用するための燃焼空気カセット110の斜視上面図を示し、
図11bは、本発明の別の実施形態による、サウナストーブ用の燃焼空気カセット111の斜視上面図を示している。
図11bでは、サウナストーブの炉の側壁に当接するように意図された屈曲のある二次空気カセットが設けられている。
図11cでは、燃焼空気カセット112の二次空気カセットは、屈曲のない構造を有しているが、一次空気カセットから斜め外側に延在し、すなわち垂直上方には延在しておらず、それによって、燃焼空気カセットの断面は実質的にV字形になる。これらのサウナストーブ用の燃焼空気カセット110、111、112においても、一次空気カセットの上部の空気入口を介して炉に供給される一次空気の流れは、空気調整器113によって調整または完全に遮断することができる。サウナストーブ用の燃焼空気カセット、ならびに他の暖炉用の燃焼空気カセットは、必要に応じて、モジュール式であってもよく、すなわち2つ以上の要素から燃焼空気カセットの形状に組み立てることができる。これは、サウナストーブまたは他の暖炉内の炉のドアが比較的小さく、炉内に使用準備済の燃焼空気カセットを設置することが困難であり得るという理由で、サウナストーブにおいて必要であり得る。
【0060】
本発明が上記で提示された実施形態のみに限定されず、添付の特許請求の範囲内で変更されることができることは明らかであろう。また、異なる図に示す燃焼空気カセットの実施形態を組み合わせることができる。例えば、1つの燃焼空気カセットは、たとえそれが火格子を備えた暖炉、例えば開放暖炉またはサウナストーブなどにおいて使用されたとしても、異なる形状および/またはサイズの1から3つの二次空気カセット、二次空気カセットおよび/または一次空気カセット内の異なる形状および/またはサイズの空気入口、リミッタあり又はリミッタなしの吸気口すなわち吸気チャネル、1つ以上のガイド、ガイドなし、スペーサあり又はスペーサなし、および吸気口を備えてもよい。
【国際調査報告】