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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】タイヤおよびタイヤセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 17/00 20060101AFI20230405BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20230405BHJP
   B60C 23/00 20060101ALI20230405BHJP
   B60C 23/04 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
G01L17/00 301B
B60C19/00 H
B60C23/00 G
B60C23/00 A
B60C23/04 110E
B60C23/04 120B
G01L17/00 301P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550873
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 US2021018825
(87)【国際公開番号】W WO2021168286
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】62/979,882
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/015,368
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/058,098
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/065,817
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/118,561
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
3.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】522334151
【氏名又は名称】ニットウ,インク.
【氏名又は名称原語表記】NITTO,INC.
【住所又は居所原語表記】400 Frank W. Burr Blvd., 2nd Flr., Ste.66 Teaneck, New Jersey 07666 United States of America
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522332124
【氏名又は名称】ベンド ラボ,インク.
【氏名又は名称原語表記】BEND LABS,INC.
【住所又は居所原語表記】1649 West 1700 South, Ste 100 Salt Lake City, Utah 84104 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】表 利彦
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト デロス サントス
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ジョン マッキャスリン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ボーテル
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ソーサ
(72)【発明者】
【氏名】コルトン アレン オットリー
(72)【発明者】
【氏名】ジャレッド ケー. ジョナス
(72)【発明者】
【氏名】コリン ディー. アイヒンガー
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン シー. ブリッグス
【テーマコード(参考)】
2F055
3D131
【Fターム(参考)】
2F055AA12
2F055BB03
2F055CC14
2F055DD20
2F055EE25
2F055FF11
2F055FF17
2F055GG49
3D131BB01
3D131LA02
3D131LA05
(57)【要約】
1つの例では、車両タイヤは、トレッド部分と、サイドウォール部分と、タイヤの1つ以上のパラメータを推定するためのセンサモジュールとを有している。センサモジュールは、1つ以上のコンデンサを含む検出器パッチを有しており、各コンデンサは、少なくとも各コンデンサの変形に起因して可変である静電容量を有している。センサモジュールは、各コンデンサに接続され、センサモジュールを制御するように構成された電子機器ユニットも含んでいる。検出器パッチは、トレッド部分またはサイドウォール部分のうちの少なくとも1つの内側に接着されている。コンデンサのうちの少なくとも1つは、トレッド部分またはサイドウォール部分の少なくとも1つの内側に配置されている。電子機器ユニットは、各コンデンサの静電容量に基づいてパラメータのうちの少なくとも1つを推定するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両タイヤであって、
トレッド部分と
サイドウォール部分と、
前記タイヤの1つ以上のパラメータを推定するためのセンサモジュールと
を有しており、該センサモジュールが、
1つ以上のコンデンサを有する検出器パッチであって、各コンデンサが、少なくとも各コンデンサの変形に起因して可変である静電容量を有している、検出器パッチと、
各コンデンサに接続された、前記センサモジュールを制御するように構成されている電子機器ユニットと
を有しており、
前記検出器パッチが、前記トレッド部分または前記サイドウォール部分のうちの少なくとも1つの内側に接着されており、
前記コンデンサのうちの少なくとも1つが、前記トレッド部分または前記サイドウォール部分のうちの前記少なくとも1つの内側に配置されており、
前記電子機器ユニットが、各コンデンサの静電容量に基づいて前記パラメータのうちの少なくとも1つを推定するように構成されている、車両タイヤ。
【請求項2】
前記電子機器ユニットが、前記トレッド部分または前記サイドウォール部分の前記内側に配置されている、請求項1記載の車両タイヤ。
【請求項3】
前記コンデンサが、前記検出器パッチの厚さ方向で2つ以上の層として、または1つの層として積み重ねられている、請求項1記載の車両タイヤ。
【請求項4】
各コンデンサが、3つの電極層それぞれの少なくとも1つの部分を有しており、前記電極層のうちの2つの電極層が、接地されている、請求項1記載の車両タイヤ。
【請求項5】
前記接地された電極層が、導電性メッシュ構造体を有している、請求項4記載の車両タイヤ。
【請求項6】
前記検出器パッチが、前記接地された電極層間に接続された周辺電極をさらに有しており、
前記3つの電極層の信号電極層が、前記接地された電極層間に位置決めされており、
前記接地された電極層および前記周辺電極が、前記信号電極層を実質的に取り囲んでいて、前記信号電極層の周囲を実質的に取り囲むファラデーケージを形成する、請求項4記載の車両タイヤ。
【請求項7】
前記3つの電極層が、導電性接着材により前記電子機器ユニットに取り付けられている、請求項4記載の車両タイヤ。
【請求項8】
各コンデンサが、直流電流によって充電され、各コンデンサの静電容量の変化が、放電された電荷の量に基づいて計算される、請求項1記載の車両タイヤ。
【請求項9】
前記1つ以上のコンデンサの第1のコンデンサが、長さおよび幅を有しており、前記長さが前記幅を上回っている、請求項1記載の車両タイヤ。
【請求項10】
前記センサモジュールが、前記タイヤに取り付けられている場合に、前記第1のコンデンサの前記長さが、前記タイヤの進行方向の±30°以内に整列されているか、または前記タイヤの進行方向に対して垂直な方向の±30°以内に整列されている、請求項9記載の車両タイヤ。
【請求項11】
前記1つ以上のコンデンサが、少なくとも第1のコンデンサおよび第2のコンデンサを有している、請求項9または10記載の車両タイヤ。
【請求項12】
前記第1のコンデンサの主軸方向が、前記第2のコンデンサの主軸方向とは異なる方向に配向されている、請求項11記載の車両タイヤ。
【請求項13】
前記第1のコンデンサの主軸方向が、前記第2のコンデンサの主軸方向に対して直交するように配向されている、請求項11記載の車両タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:Toshihiko Omote, Benedicto Delos Santos, Martin John McCaslin, John Bortell, Sean Sousa, Colton Allen Ottley, Jared K. Jonas, Colin D. Eichinger, Nathan C. Briggs
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2020年2月21日に出願された米国仮出願第62/979,882号、2020年4月24日に出願された米国仮出願第63/015,368号、2020年8月14日に出願された米国仮出願第63/054,817号、2020年7月29日に出願された米国仮出願第63/058,098号、および2020年11月25日に出願された米国仮出願第63/118,561号の利益および優先権を主張し、これらの出願のそれぞれは、これらの出願が開示する全ての事項についてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
技術分野
本開示は、容量式タイヤセンサ、ならびに容量式タイヤセンサを製造および使用する方法に関する。
【0004】
背景技術
本明細書において別段の指示がない限り、本明細書に記載される材料は、本出願の特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、この部分に含められることによって先行技術であると認められることはない。
【0005】
現在のタイヤセンサは、複数の次元における加速度を測定するために、タイヤの1点に取り付けられた単一パッケージ内の加速度計を使用する。測定される加速度は、数式への入力値として使用される。この数式から、接触長さ、スリップ角、縦力、横力、垂直力(すなわち車両荷重)、接触パッチのハイドロプレーニング部分、道路分類のような量が推定される。この方法は間接的であり、加速度計の出力は相当量のノイズに曝されている。これにより、精度が低下し、計算には時間がかかる。この制限は、道路条件(たとえば、ドライ、ウェット、雪、粗い)およびタイヤ条件(たとえば、トレッド摩耗)に関連する特性を推定するためにこの方法が使用される場合、より顕著になる。
【0006】
これらの問題に応じて、容量式のタイヤセンサが記載されている(米国特許第7,1211454号明細書、米国特許第第7,543,491号明細書;米国特許第7,880,600号明細書を参照)。さらに、柔軟な多領域の角変位および歪みセンサが記載されている(たとえば、米国特許第9,874,431号明細書、米国特許第9,612,102号明細書、米国特許第9,476,692号明細書、米国特許第9,222,764号明細書および米国特許第8,941,281号明細書)。
【0007】
それ故、複数のタイヤパラメータに関する情報を提供することができるタイヤセンサが必要とされている。したがって、運転負荷が加えられているタイヤの全領域の歪みおよび曲げの両方に関する情報を提供することができるタイヤセンサが必要とされている。このようなセンサシステムは、膨張させられたタイヤを備えた車両と組み合わせて使用するためのより包括的なセンサシステムを達成するために使用することができる。
【0008】
発明の概要
例示的な1つの実施形態では、車両タイヤは、トレッド部分と、サイドウォール部分と、タイヤの1つ以上のパラメータを推定するためのセンサモジュールとを含んでいる。センサモジュールは、1つ以上のコンデンサを備えた検出器パッチを含んでいてよく、各コンデンサは、各コンデンサの少なくとも変形に起因して可変である静電容量を有している。センサモジュールは、各コンデンサに接続された、センサモジュールを制御するように構成されている電子機器ユニットを含んでいてもよい。検出器パッチは、トレッド部分またはサイドウォール部分のうちの少なくとも1つの内側に接着されている。複数のコンデンサのうちの少なくとも1つのコンデンサは、トレッド部分またはサイドウォール部分の内側に配置されている。電子機器ユニットは、各コンデンサの静電容量に基づいて、複数のパラメータのうちの少なくとも1つのパラメータを推定するように構成されている。
【0009】
これらの実施形態および別の実施形態を、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】タイヤの1つ以上のパラメータを推定するための例示的なセンサモジュールを備えたタイヤの一部を示す断面図である。
図2A】別の例示的なセンサモジュールを示す概略図である。
図2B】別の例示的なセンサモジュールを示す概略図である。
図3図2A図2Bに示したセンサモジュールに含まれ得る例示的なエネルギ生成回路を示す概略図である。
図4A】別の例示的なセンサモジュールを示す図である。
図4B】別の例示的なセンサモジュールを示す図である。
図5A】別の例示的なセンサモジュールの一部の回路図である。
図5B】別の例示的なセンサモジュールの一部の回路図である。
図6A】センサモジュールに含まれ得る例示的な検出器パッチを示す概略図である。
図6B図6Aに示した検出器パッチに含まれる信号電極層を示す上面図である。
図7A】検出器パッチに含まれ得る別の例示的な信号電極層を示す上面図である。
図7B】検出器パッチに含まれ得る別の例示的な信号電極層を示す上面図である。
図7C】検出器パッチに含まれ得る別の例示的な信号電極層を示す上面図である。
図7D】検出器パッチに含まれ得る別の例示的な信号電極層を示す上面図である。
図8A】センサモジュールに含まれ得る別の例示的な検出器パッチを示す概略図である。
図8B図8Aに示した検出器パッチの第1の電極層を示す上面図である。
図8C図8Aに示した検出器パッチの信号電極層を示す上面図である。
図8D図8Aに示した検出器パッチの誘電体層を示す上面図である。
図9A】センサモジュールに含まれ得る別の例示的な検出器パッチを示す概略図である。
図9B図9Aに示した検出器パッチの第2の誘電体カバー層を示す上面図である。
図9C図9Aに示した検出器パッチの第2の電極層を示す上面図である。
図9D図9Aに示した検出器パッチの誘電体層を示す上面図である。
図9E図9Aに示した検出器パッチの信号電極層を示す上面図である。
図9F図9Aに示した検出器パッチの別の誘電体層を示す上面図である。
図9G図9Aに示した検出器パッチの第1の電極層を示す上面図である。
図9H図9Aに示した検出器パッチの第1の誘電体カバー層を示す上面図である。
図10A】検出器パッチに含まれ得る例示的な電極層の一部の概略図である。
図10B】検出器パッチに含まれ得る例示的な電極層の一部の概略図である。
図11A】折畳み可能なセンサ領域を備えた別の例示的な信号電極層を示す概略図である。
図11B】折畳み可能なセンサ領域を備えた別の例示的な信号電極層を示す概略図である。
図12】多領域の角変位センサとして実装された別の例示的なセンサモジュールを示す概略図である。
図13】電極層に含まれ得る例示的なPCBインタフェースを示す概略図である。
図14A】例示的な曲げセンサを示す図である。
図14B】例示的な曲げセンサを示す図である。
図14C】例示的な曲げセンサを示す図である。
図15】別の例示的な曲げセンサを示す図である。
図16A】取り付けられた1つ以上のセンサモジュールを備えた車両タイヤを示す断面図である。
図16B】取り付けられた1つ以上のセンサモジュールを備えた車両タイヤを示す断面図である。
図17A】車両の運転時に、車両タイヤが受ける可能性のある幾つかの力を示す図である。
図17B】車両の運転時に、車両タイヤが受ける可能性のある幾つかの力を示す図である。
図17C】車両の運転時に、車両タイヤが受ける可能性のある幾つかの力を示す図である。
図17D】車両の運転時に、車両タイヤが受ける可能性のある幾つかの力を示す図である。
図18】タイヤの1つ以上のパラメータを推定する例示的な方法のフローチャートである。
図19】検出器パッチを形成するための例示的な方法のフローチャートである。
図20A】例1において作成した、タイヤ負荷およびその位置のコンピュータモデルを示す図である。
図20B】例1において作成した、タイヤ負荷およびその位置のコンピュータモデルを示す図である。
図20C】例1において作成した、タイヤ負荷およびその位置のコンピュータモデルを示す図である。
図21】本明細書に記載される1つ以上の動作を実行するか、または実行の指示のために使用され得る例示的な計算システムのブロック図である。
【0011】
全ての図面は、少なくとも1つの実施形態に関連して本明細書に記載される。
【0012】
詳細な説明
本開示は、センサモジュール、センサモジュールを備えた車両タイヤならびにこのようなセンサモジュールを製造および使用する方法を記載する。センサモジュールは、このセンサモジュールが取り付けられている車両タイヤの1つ以上のタイヤパラメータを測定または推定するために使用することができる。センサモジュールは、1つ以上のコンデンサを備えた検出器パッチを含んでいてよく、各コンデンサは、各コンデンサの少なくとも変形に起因して可変である静電容量を有している。センサモジュールは、各コンデンサに接続され、センサモジュールを制御するように構成された電子機器ユニットを含んでいてよい。検出器パッチは、車両タイヤのトレッド部分または車両タイヤのサイドウォール部分のうちの少なくとも一方の内側に接着されていてよい。複数のコンデンサのうちの少なくとも1つコンデンサは、トレッド部分またはサイドウォール部分の内側に配置されていてよい。電子機器ユニットは、各コンデンサの静電容量に基づいて、複数のパラメータのうちの少なくとも1つのパラメータを推定するように構成されていてよい。
【0013】
本明細書で使用される「連続した」とは、近接しているか、または実際に接触していることを意味している。
【0014】
本明細書で使用される「サンドイッチ」とは、別の品質または特性を有する少なくとも2つのものの間への挿入または包含を意味している。
【0015】
本明細書で使用される「フレキシブル」とは、曲げることができることを意味する。
【0016】
本明細書で使用される「拡張可能」とは、延長または延伸することができることを意味する。
【0017】
本明細書で使用される「伸張可能」とは、1つ以上の方向へ延伸または拡張することができることを意味する。
【0018】
本明細書で使用される「変形可能」とは、形状を変化させることができることを意味する。
【0019】
本明細書で使用される「層状(lamellar)」とは、種々異なる材料組成の薄い層から構成されるか、または薄い層内に配置されていることを意味する。
【0020】
本明細書で使用される「積層された(layered)」とは、層から構成されているか、または層内に配置されていることを意味する。
【0021】
本明細書で使用される「極めて近接した」とは、近傍にある、または隣接して配置されていることを意味する。
【0022】
「サイドウォール」という用語は、当技術分野において公知の用語であり、タイヤが取り付け/組み付けられているホイール/リムから、タイヤのショルダ部分へと延びるタイヤの部分に関する。
【0023】
「ショルダ」という用語は、当該技術分野において公知の用語であり、タイヤのサイドウォール部分をタイヤのトレッド部分に接続するタイヤの移行部分に関する。
【0024】
「トレッド」という用語は、当技術分野において公知の用語であり、路面と接触するタイヤの部分に関する。トレッドは、厚いゴム、または過度に早く摩耗しない適切なレベルの牽引力を提供するように配合されたゴム/複合材料であってよい。
【0025】
「接触パッチ」という用語は、所定の瞬間に道路と接触しているタイヤの部分に関する。
【0026】
幾つかの実施形態では、タイヤの全領域および複数の領域の歪みおよび/または曲げのリアルタイムな情報を提供することができるタイヤセンサが記載されている。
【0027】
図1は、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、タイヤ100の1つ以上のパラメータを推定するための例示的なセンサモジュール102を備えたタイヤ100の一部を示す断面図である。幾つかの実施形態では、タイヤ100は、内面106を有するタイヤカーカス104を備えたチューブレスタイヤであり、このタイヤ100は、ホイール108と一緒に気密シールを形成して、その内部に気体、一般に空気を収容するための貯蔵部110を画定する。タイヤカーカス104は、気密シールを形成するためにホイール108と相互作用するタイヤビード112を有していてよい。幾つかの実施形態では、タイヤ100は、空気などの気体を保持するために貯蔵部110内に配置されたインナチューブと一緒に使用され、その場合、タイヤ100は、ホイール108と一緒に気密シールを形成する必要はない。タイヤカーカス104は、トレッド部分114と、ショルダ部分116と、サイドウォール部分118とを含んでいてよい。
【0028】
センサモジュール102は、タイヤ100の内面106上に配置されていてよく、タイヤ100がインナチューブを備えている場合には、貯蔵部110内に配置されたインナチューブの外面上に配置されていてよく、または別の適切な位置に配置されていてよい。センサモジュール102は、概して、検出器パッチ120と、この検出器パッチ120に接続された電子機器ユニット122とを含んでいてよい。さらにセンサモジュール102は、電源124を含むことができるか、または電源124に接続され得る。たとえば、電子機器ユニット122は、動作のための電力を得るために電源124に接続されていてよい。
【0029】
検出器パッチ120は、1つまたは複数のセンサ領域126A,126Bおよび/または126C(以下、まとめて「センサ領域126」または総称的に「センサ領域126」)を含んでいてよい。各センサ領域126は、1つ以上のコンデンサを含んでいてよい。検出器パッチ120は、1つ以上のセンサ領域126が、トレッド部分114、ショルダ部分116および/またはサイドウォール部分118上に、極めて近接して、かつ/または隣接して配置されているように、内面106に付着または結合されていてよい。たとえば、図1に図示したように、センサ領域126Aは、トレッド部分114上に、極めて近接して、または隣接して配置されており、センサ領域126Bは、ショルダ部分116上に、極めて近接して、または隣接して配置されており、センサ領域126Cは、サイドウォール部分118上に、極めて近接して、または隣接して配置されている。幾つかの実施形態において、隣接とは、タイヤ100のトレッド部分114、ショルダ部分116またはサイドウォール部分118の1ミリメートル(mm)、5mm、10mm、25mmまたは100mm以内であってよい。代替的または付加的に、検出器パッチ120は、トレッド部分114の内側(たとえば、内面106)、ショルダ部分116の内側(たとえば、内面106)および/またはサイドウォール部分118の内側(たとえば、内面106)に接着されていてよい。
【0030】
図1には、センサ領域126のそれぞれが、トレッド部分114、ショルダ部分116またはサイドウォール部分118の単独のものの内側に配置されているように図示されている。代替的または付加的には、複数のセンサ領域126のうちの1つ以上のセンサ領域が、トレッド部分114、ショルダ部分116またはサイドウォール部分118の2つ以上の内側に配置されていてよい。たとえば、センサ領域126のうちの少なくとも1つのセンサ領域が、細長くてもよく、トレッド部分114、ショルダ部分116またはサイドウォール部分118のうちの少なくとも2つの内側にわたって延びていてよい。
【0031】
電子機器ユニット122は、図1ではトレッド部分114の内側にあるものとして示されているが、より一般的には、タイヤ100、ホイール108、検出器パッチ120および/または電源124上のあらゆる場所に位置決めされていてよく、またはタイヤ100、ホイール108、検出器パッチ120および/または電源124に接続されていてよい。幾つかの実施形態では、電子機器ユニット122は、プリント基板(PCB)、1つ以上の電圧測定回路および/または電流測定回路、送信機、受信機、トランシーバまたは別の構成要素のうちの1つ以上を含んでいる。電子機器ユニット122は、センサ領域126またはセンサ領域126内のコンデンサの1つ以上のパラメータを測定し、その測定値に基づいて1つ以上のタイヤパラメータを推定し、推定されたタイヤパラメータを別のシステムまたはデバイスへ送信し、かつ/または1つ以上のタイヤパラメータの推定を実行するために測定値を別のシステムまたはデバイスへ送信するように構成されていてよい。
【0032】
電源124は、1つ以上のバッテリ、エネルギ生成回路、電磁誘導充電ユニットの受電コイルおよび回路素子または別の電源を含んでいてよい。
【0033】
図1は、長手方向に向けられたX軸(たとえば横滑りなしに前方または後方に転がっている場合にタイヤ100が運動する方向)、横方向に向けられたY軸(たとえば長手方向および水平方向に直交する方向)、長手方向および横方向に直交する鉛直方向に向けられたZ軸が配置された、任意に定義されたX,Y,Z座標軸を含んでいる。X、YおよびZ座標軸は、それぞれロール軸、ピッチ軸およびヨー軸と呼ばれてもよい。
【0034】
タイヤ100のような1つ以上のタイヤを含む車両が旋回する場合、これは、ローリングする、たとえばX軸またはロール軸を中心に回転する傾向を有する。たとえば、車が旋回により運動する場合、旋回内側の車のタイヤ100(以下、「内側タイヤ100」)、より詳細には、内側のタイヤ100の重心は、旋回により上昇する傾向にある一方で、旋回外側の車のタイヤ100(以下、「外側タイヤ100」)、より詳細には、外側タイヤ100の重心は、降下する傾向にある。その結果、図1のXZ平面における、内側タイヤ100および外側タイヤの重心の運動が生じる。
【0035】
車両が加速または減速した場合、Y軸またはピッチ軸を中心として回転する傾向を有している。たとえば、後輪駆動車が前方に向かって加速している場合、車のフロント、ひいてはフロントタイヤ100、またはより詳細にはフロントタイヤの重心が上昇する傾向がある。車が前方に運動し、減速または制動した場合、自動車のフロント、ひいてはフロントタイヤ100、またはより詳細にはフロントタイヤの重心が降下する傾向がある。その結果、図1のYZ平面においてフロントタイヤ100の重心が移動し得る。その結果、図1に示したYZ平面におけるフロントタイヤ100の重心の運動が生じ得る。さらに、タイヤ100に加えられる鉛直方向の力は、たとえば、車両の加速または減速時に変化し得る。たとえば、一定の速度で前進することと比べて、フロントタイヤ100に加えられる下向きの鉛直方向の力は、加速中には低くなり、減速中には高くなる。
【0036】
車両の重心の前方または後方で車両が別の車両によって側方から衝突された場合、Z軸またはヨー軸を中心として回転する傾向を有している。たとえば、車両の重心の後方で車両が別の車両によって側方から衝突され、図1に示した正のX方向が、車両が向いている方向であると仮定した場合、リヤタイヤ100が負のY方向で横方向に運動する傾向があり、フロントタイヤ100が正のY方向で横方向に運動する傾向がある。その結果、図1に示したXY平面におけるフロントタイヤ100の運動が生じ得る。
【0037】
車両のタイヤ100に加えられる鉛直方向、長手方向および/または横方向の力および/または歪み、屈折、曲げ等のようなタイヤ100の別のパラメータは、これらの状況および別の状況において変化し得る。本明細書に記載された実施形態は、このようなタイヤパラメータを推定するために、車両の1つ以上のタイヤ100において1つ以上のセンサモジュール102を使用することができる。測定されたこれらのタイヤパラメータは組み合わされて、車両サスペンションシステムによって感じられるピッチ、ロールおよびヨーの先行指標のセットを含んでいてよい。先行指標を用いることにより、アクティブまたはセミアクティブのサスペンションシステムの応答ラグを減少させることが望ましい。
【0038】
幾つかの実施形態では、センサモジュール102のセンサ領域126に含まれる1つ以上のコンデンサが、積層されている、かつ/または層状であってよい。代替的または付加的には、1つ以上のコンデンサが、フレキシブル、拡張可能、伸張可能および/または変形可能であってよい。1つ以上のコンデンサのフレキシブル性、拡張性、伸張性および/または変形性は、少なくとも部分的に弾性であってよい。たとえば、応力または力が加わった場合に形状が変化し得るコンデンサの場合、このコンデンサは弾性変形可能であってよく、この場合、応力または力が除去された後に、形状の変化は可逆的である。
【0039】
幾つかの実施形態では、1つ以上のコンデンサは、単一方向または多方向に拡張可能または伸張可能であるコンデンサを含んでいてよい。本明細書において使用される場合、多方向に伸張可能または拡張可能とは、コンデンサがタイヤ100の内面106におけるその第1の位置に対して複数の方向に伸張または拡張され得ることを意味する。幾つかの実施形態では、コンデンサは、長手方向、横方向、または鉛直方向の力あるいはこれらの力の組み合わせに応じて伸張可能または拡張可能であってよい。コンデンサは、内面106上の第1の位置に配置されていてよく、この第1の位置に対して加えられた力によるタイヤ100の伸張によって、この第1の位置から第2の相対位置へと運動または伸張され得る。
【0040】
幾つかの実施形態では、1つ以上のコンデンサおよび/または検出器パッチ120を、センサモジュール102における素子の適切な付加および/または配向によって、特定の次元でのみ伸長するように制限することができる。たとえば、X軸に沿った変形を制限することなしにY軸に沿った変形を制限する異方性部材を、検出器パッチ120に付加することができる。これによって、検出器パッチ120からのX軸変形信号を増幅し、Y軸変形信号を減衰させることができる。異方性部材は、検出器パッチ120の接着剤を含むスタック内の任意の層であってよい。別の例として、付加された部材が、曲げを許容し続けるが、延伸を制限することができる。これは、付加された部材自体がフレキシブルであるが、制限された延伸性を有している場合である。
【0041】
センサモジュール102のセンサ領域126に含まれる1つ以上のコンデンサは、細長くてよく、すなわち、1つ以上のコンデンサの長さが、その幅を上回っていてよい。検出器パッチ120が、第1のコンデンサおよび第2のコンデンサを含む多数のコンデンサおよび/または多数のセンサ領域126を含んでいる幾つかの実施形態では、第1のコンデンサおよび第2のコンデンサまたは第1のセンサ領域および第2のセンサ領域126は、第2のコンデンサまたは第2のセンサ領域126の長さが、第1のコンデンサまたは第1のセンサ領域126の長さの±5°、10°、15°、20°または30°以内または第1のコンデンサまたは第1のセンサ領域126の長さに対して直交する方向の±5°、10°、15°、20°または30°以内に整列しているように配置されていてよい。幾つかの実施形態では、第1のコンデンサおよび第2のコンデンサならびに/または第1のセンサ領域および第2のセンサ領域126が、線形に整列されていてよい。幾つかの実施形態では、検出器パッチ120の多数のコンデンサおよび/またはセンサ領域126は、半径方向に平行な平面(たとえば、図1に示したXY平面)に配置されていてよい。
【0042】
図2A図2Bは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、別の例示的なセンサモジュール200を示す概略図である。センサモジュール200は、図1に示したセンサモジュール102を含んでいてよく、または図1に示したセンサモジュール102に含まれていてよく、または図1に示したセンサモジュール102に対応していてよい。たとえば図1に示したセンサモジュール102は、図2A図2Bに示したセンサモジュール200と同一、類似または異なる構成および/または構造を有していてよい。
【0043】
図2A図2Bに示されているように、センサモジュール200は、概して検出器パッチ202と、電子機器ユニット204と、任意に電源206とを含んでいてよく、電子機器ユニット204は、検出器パッチ202および電源206に接続されている。検出器パッチ202、電子機器ユニット204および電源206はそれぞれ、図1に示した検出器パッチ120、電子機器ユニット122および電源124を含んでいるか、または図1に示した検出器パッチ120、電子機器ユニット122および電源124に含まれているか、または図1に示した検出器パッチ120、電子機器ユニット122および電源124に対応していてよい。
【0044】
検出器パッチ202は、組付け面208(図2B)と、1つ以上のセンサ領域210(図2B)とを含んでいてよい。組付け面208は、タイヤまたは別の物体の表面に取り付けられるように構成されていてよく、かつ/または検出器パッチ202の下面または底面(図2B)を含んでいてよい。代替的または付加的に、組付け面208は、タイヤのタイヤキャビティ内またはインナチューブの外部の所望の位置に検出器パッチ202を接着するために、この組付け面208上に配置された接着剤212(図2B)を含んでいてよい。接着剤212は、熱可塑性接着剤または別の適切な接着剤を含んでいてよい。
【0045】
センサ領域210は、概してコンデンサを含んでいてよい。幾つかの実施形態では、コンデンサおよび/またはセンサ領域210は、フレキシブル、拡張可能、伸張可能、変形可能であり、積層されている、かつ/または層状であってよい。代替的または付加的に、センサ領域210は、少なくとも部分的に、検出器パッチ202の一部としての1つ以上の保護層214によって覆われているか、接続されているか、かつ/または取り囲まれていてよい。保護層214は、シリコーンなどのようなエラストマ材料を含んでいてよい。
【0046】
電源206は、バッテリ、エネルギ生成回路、エネルギハーベスティングシステム(EHS)モジュール、誘電性エラストマ発電材料、圧電性発電材料、および/または電磁誘導充電ユニットの受電コイルおよび回路を含んでいてよい。
【0047】
電子機器ユニット204は、1つ以上の対応する電気コネクタ216を介して、各検出器パッチ202および電源206に電気的に通信してよい(図2B)。代替的または付加的に、電子機器ユニット204および電源206は、エポキシ樹脂によって機械的に一緒に結合されていてもよく、かつ/または検出器パッチ202に機械的に結合されているハウジングまたは封止材218(図2B)内に配置されていてよい。ハウジングまたは封止材218は、電気的、熱的かつ/または機械的な絶縁体であってよい。たとえば、ハウジングまたは封止材218は、プラチナシリコーン軟質フォームのような振動減衰材料を含んでいてよく、その特定の例は、SOMA FOAMA25を含んでいる。別の実施形態では、ハウジング218は、組付け面208上に組み付けられた振動絶縁体によって支持されていてよい。振動絶縁体は、ばね機構、振動ダンパのパターン化されたグリッド、マイクロラティス等であってもよく、またはそれらを含んでいてよい。振動絶縁体は、成形されたゴム、金属、またはこれらの複合材から作製されていてよい。別の実施形態では、発電素子(たとえば、誘電性エラストマ発電材料および/または圧電性発電材料)は、振動絶縁体の周期的な変形によって作動することができる。
【0048】
幾つかの実施形態において、かつ図2Aに示されるように、電子機器ユニット204は、制御装置220、メモリ222および/または通信モジュール224を含んでいてよい。制御装置220は、メモリ222および通信モジュール224のそれぞれに動作可能に接続されていてよく、概してセンサモジュール200の動作を制御するように構成されていてよい。たとえば、概して電子機器ユニット204および制御装置220は、センサモジュール200の各コンデンサの充電、各コンデンサの放電中の放電電荷量に基づく各コンデンサの静電容量の変動の計算、および/または静電容量および/または静電容量の変動に基づく少なくとも1つのタイヤパラメータの推定を含む、動作を実行するか、または実行を制御するために構成されていてよい。幾つかの実施形態では、制御装置220は、1つ以上のタイヤパラメータを推定し、比較し、かつ/またはそうでなければ分析することができる。タイヤパラメータは、タイヤ内圧、歪み、角変位、温度、膨張圧(過不足)、摩擦、接触パッチのハイドロプレーニング、路面分類、タイヤの不均一な荷重、キャンバーの不均衡、車両荷重、個別のタイヤバランス、サスペンション異常、タイヤ異常(ひび割れ、層間剥離、パンクホール)、トレッド摩耗およびタイヤ厚さ、タイヤ歪み、急激な加速、急旋回、急制動、スリップ角、スリップ比、キャンバー角効果、長手方向の力、長手方向の加速度、長手方向の速度、横方向の力、横方向の加速度、横方向の速度、長手方向軸回りのトルク、横方向軸回りのトルク、鉛直方向の軸回りのトルクおよび/またはタイヤ回転速度のうちの1つ以上を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、制御装置220は、タイヤ回転速度および道路分類を推定し、サンプリング周波数を変調するためにそのタイヤ回転速度および道路分類を使用することができる。このことは、幾つかの状況においてエネルギを節約することができる一方で、同時に高速でのハイドロプレーニングを含む道路分類のような安全パラメータを計算するための十分なデータを提供することができる。たとえば、制御装置220は、人間の運転者または自律車両がより速く応答できることを可能にするために、ウェットな道路を検出した場合に、サンプリング率を増大させることができる。
【0049】
センサモジュール200が多数のセンサ領域210を含んでいる幾つかの実施形態では、制御装置220は、センサ領域210のいずれかまたは全て、またはその一部からデータを選択的に受信することができる。これにより、タイヤが運動しているかつ/または旋回の負荷を加えられている間のタイヤパラメータ分析を容易にすることができる。代替的または付加的には、これによって、1つまたは複数のセンサ領域210またはセンサモジュール200全体またはセンサモジュール220の一部をいつ交換すべきかを識別するためのセンサモジュール200のセルフテストが可能となる。メモリ222は、センサ領域210によって生成されたデータ(たとえば、生の測定データまたは信号)、制御装置220によって生成されたデータ(たとえば、計算された静電容量または静電容量の変動あるいは推定されたタイヤパラメータ)および/または別のデータを記憶することができる。
【0050】
センサ内計算素子の組込みにより、たとえば制御装置220は、外部またはリモートデバイスに送信することができる、歪みおよび角変位データのような生データの量を低減することができる。これにより、外部またはリモートデバイスへの無線伝送のためのメモリおよびエネルギ消費を低減することができ、かつフィードバック待ち時間を低減することができる。幾つかの実施形態では、車両の各タイヤが、1つ以上のセンサモジュール200を含んでおり、各センサモジュール200は、同じ車両上にあるがセンサモジュール200のそれぞれに関してリモートデバイスである車両のオンボードコンピュータに、そのデータを伝送することができる。車載コンピュータは、センサモジュール200から受信したデータに基づいて、車両の運転者への警報または別の通知を生成し、データを記憶し、データの別の処理を実行し、フリートまたは車両管理システムにデータを報告し、あるいはデータに関する、データによる、またはデータに基づく、別の動作を実行することができる。幾つかの実施形態によれば、各センサモジュール200を、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネットまたはインターネットにおいて外部またはリモートのシステムまたはデバイスに接続(たとえばネットワーク化)することができる。外部またはリモートのシステムまたはデバイスは、クライアントサーバネットワーク環境におけるサーバまたはクライアントマシンの容量で、またはピアツーピア(または分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして、動作することができる。各センサモジュール200は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、車両回路、車載コンピュータ、またはそのセンサモジュール200によって行われるアクションを指定する命令のセット(順次または別の方法)を実行することができる任意の機械を含んでいてよく、またはこれらと通信することができる。制御装置220および通信モジュール224は、資産追跡のために使用される資産側アクティブ追跡回路を有していてよい。
【0051】
幾つかの実施形態では、センサモジュール200が、このセンサモジュール200が取り付けられているタイヤの接触パッチに接触せずに、または接触パッチ外で回転する場合、制御装置220は、少なくとも1つのセンサ領域210のサンプリング周波数を選択的に低減することができる。幾つかの実施形態では、サンプリング周波数は、タイヤ回転速度に比例して増大してよい。幾つかの実施形態では、制御装置220は、選択されたタイヤ部分の空間変位、角変位または別のタイヤパラメータの測定または推定を容易にするために、特別に配置されたセンサ領域210からの容量出力を選択的に利用することができる。
【0052】
制御装置220は、種々異なるコンピュータハードウェアまたはソフトウェアモジュールを含む任意の適切な専用または汎用のコンピュータ、コンピューティングエンティティまたは処理デバイスを含んでいてよく、かつ任意の適用可能なコンピュータ可読記憶媒体上に格納された命令を実行するように構成されていてよい。たとえば、制御装置220は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはコンピュータ実行可能命令を解釈かつ/または実行し、かつ/またはデータを処理するように構成された任意の別のデジタル回路またはアナログ回路を含んでいてよい。単一の制御装置220として示されているが、制御装置220は、本開示に記載された任意の数の動作の実行を個別に、または集合的に実行または指示するように構成された任意の数の制御装置を含んでいてよい。幾つかの実施形態によれば、制御装置220は、センサフュージョンの中心として機能することができる別個のまたは集積されたAIチップを含んでいてよい。
【0053】
幾つかの実施形態によれば、制御装置220を、メモリ222および/または別のデータストレージに格納されたコンピュータ実行可能な命令および/またはプロセスデータを解釈し、かつ/または実行するように構成されていてよい。幾つかの実装形態では、制御装置220は、永続データストレージからコンピュータ実行可能命令をフェッチし、このコンピュータ実行可能命令を、メモリ222のような非永続ストレージにロードすることができる。コンピュータ実行可能命令がメモリ222にロードされた後、制御装置220は、コンピュータ実行可能命令を実行することができる。
【0054】
メモリ222は、メモリ222に記憶されているコンピュータ実行可能命令またはデータ構造を担持または保持するためのコンピュータ可読記憶媒体を含んでいてよい。このようなコンピュータ可読記憶媒体は、制御装置220のような、汎用または専用のコンピュータによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を含んでいてよい。たとえば、このようなコンピュータ可読記憶媒体は、有形または非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含んでいてよく、このコンピュータ可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリデバイス(たとえば、ソリッドステートメモリデバイス)またはコンピュータ実行可能命令またはデータ構造の形態の特定のプログラムコードを担持または記憶するために使用することができ、汎用または専用のコンピュータによりアクセスすることができる別の任意の記憶媒体を含んでいてよい。上記の組み合わせも、コンピュータ可読記憶媒体の範囲内に含まれてよい。コンピュータ実行可能命令は、たとえば、制御装置220に特定の動作または動作グループを実行させるか、または実行を制御させるように構成された命令およびデータを含んでいてよい。
【0055】
通信モジュール224は、センサモジュール200と1つ以上の外部またはリモートデバイスとの間の通信を容易にするように構成されている1つ以上の回路またはデバイスを含んでいてよい。幾つかの実施形態では、このような回路またはデバイスは、送信機、受信機、トランシーバおよび/またはアンテナを含んでいてよい。たとえば、通信モジュール224は、任意の専有または規格ベースの無線プロトコルを使用して無線で通信するための1つ以上の無線チップを含んでいてよく、その例は、IEEE802.11規格(たとえばWiFi)、Bluetooth、Zigbee等を含む。
【0056】
幾つかの実施形態では、センサモジュール200はマイクロフォンをさらに含んでいる。マイクロフォンは、たとえば、制御装置220を含んでいてもよい半導体チップに含まれていてよい。幾つかの実施形態では、マイクロフォンは、圧力を特定することができる。幾つかの実施形態では、センサ領域210により特定されたタイヤ歪み測定値を、マイクロフォンによる圧力特定と比較し、これによりプロセッサ圧力特定を動的に精密にすることができる。幾つかの実施形態では、車両の少なくとも1つのホイールかつ/または全てのホイールまたは各ホイールのいずれかからの出力をそれぞれ比較して、潜在的なサスペンションの問題を検出することができる。幾つかの実施形態では、道路分類アルゴリズムの精度を改善するために、マイクロフォンからの入力を検出器パッチ202からの入力と融合することができる。
【0057】
幾つかの実施形態では、センサモジュール200の計算された最終結果を、エンドユーザ受信側に送信することができる。幾つかの実施形態では、エンドユーザ受信側は、スマートフォンであってよい。幾つかの実施形態では、エンドユーザ受信側は、クラウドサーバであってよい。幾つかの実施形態では、エンドユーザ受容部は、車両自体であってよい。幾つかの実施形態では、出力を車両の処理ユニットに送信することができ、この処理ユニットは、車両動作を変更することができ、たとえば、全体的なタイヤ歪みのレベルが所定の閾値に達すると、車両を減速させることができる。幾つかの実施形態では、出力を車両内のデータロガーに送信することができる。幾つかの実施形態では、データロガーは、タイヤによる出力を比較し、タイヤ全体に関連するパラメータを抽出する、たとえば、タイヤの摩耗パターンを比較して、特定のタイヤ回転パターンを推奨する、車載コンピュータの一部であってよい。幾つかの実施形態では、車載コンピュータは、対応するセンサモジュール200の特定の制御装置ユニット220に、電源206が閾値を下回るバッテリレベルまたは充電レベルを有するセンサモジュール200からのサンプリングを低減し、かつ/またはデータ伝送速度を低減するように命令することができる。補償するために、車載コンピュータは、全体情報を外挿するために、隣接しているタイヤからのデータを使用することができる。幾つかの実施形態では、出力を、所与の閾値パラメータへの達成を示すために、インジケータライトに送信することができる。
【0058】
図3は、本明細書に記載されている少なくとも1つの実施形態に従って調整された、例示的なエネルギ生成回路300の概略図である。エネルギ生成回路300は、図2A図2Bに示した電源206を含んでいるか、図2A図2Bに示した電源206に含まれているか、または図2A図2Bに示した電源206に対応していてよい。たとえば、図2A図2Bに示した電源206は、図3に示したエネルギ生成回路300の幾つかまたは全てを含んでいてよい。
【0059】
エネルギ生成回路300は、発電素子302、EHSモジュール304、エネルギ貯蔵回路306および/またはバッテリ308を含んでいてよい。EHSモジュール304は、発電素子302、エネルギ貯蔵回路306および/またはバッテリ308に電気的に接続されていてよい。
【0060】
発電素子302は、誘電性発電材料、圧電性発電材料、または運動、機械的な負荷もしくは別の入力またはそれらの組み合わせを受けたときに発電する別の材料、システムもしくはデバイスを含んでいてよい。幾つかの実施形態では、たとえば圧電性屈曲フィルムとして実現される発電素子302の屈曲および/またはこのような材料を有する検出器パッチの一部分の屈曲は、発電素子302の表面上で電荷を生成することができる。発電素子302のために適した材料は、たとえば、シリコーンポリマおよび電荷生成材料、たとえば、チタン酸ジルコン酸鉛を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、シリコーンポリマは、50~90重量%の電荷生成材料を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、発電素子302は、タイヤのトレッド部分、ショルダ部分および/またはサイドウォール部分に極めて近接して配置されていてよい。
【0061】
幾つかの実施形態では、EHSモジュール304は、発電素子302によって生成された容量放電および/または電流を収集する。EHSモジュール304は、ブリッジ整流器、電圧レギュレータおよび/またはエネルギバッファコンデンサを含んでいてよく、これによって発電素子302の出力が収集され、対応するセンサモジュールおよび/または車両の電子機器と互換性のある電気出力が生成される。閾値レベルを上回る出力が蓄積された後に、EHSモジュール304は、放電し、蓄積された出力をエネルギ貯蔵回路306へと送信することができる。幾つかの実施形態では、エネルギバッファコンデンサによって蓄積されたエネルギの全てがエネルギ蓄積回路306に送信されるのではなく、その代わりに、エネルギの一部を、電子機器ユニット204において使用するためにリダイレクトして戻すことができる。
【0062】
幾つかの実施形態では、エネルギ貯蔵回路306は、バッテリ充電集積回路(IC)および/または貯蔵ソース、たとえば再充電可能なバッテリ308への直接的な電気接続部を含む。電子機器ユニット、たとえば図2A図2Bに示した電子機器ユニット204は、バッテリ308から動作電力を引き出すことができる。
【0063】
図4Aおよび図4Bは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、別の例示的なセンサモジュール400を示している。特に、図4Aは、センサモジュール400の上面図であり、図4Bは、図4Aに示した切断面4B-4Bでセンサモジュール400を示す断面図である。センサモジュール400は、本明細書に記載された別のセンサモジュールを含んでいてよく、または別のセンサモジュールに含まれていてよく、または別のセンサモジュールに対応していてよい。たとえば、図1に示したセンサモジュール102および/または図2A図2Bに示したセンサモジュール200は、図4A図4Bに示したセンサモジュール400と同一、類似または異なる構成を有していてよい。
【0064】
図4A図4Bに示されているように、センサモジュール400は、概して、検出器パッチ402と、電子機器ユニット404と、任意に電源406とを含んでいてよく、電子機器ユニット404は、検出器パッチ402および電源406に接続されている。検出器パッチ402、電子機器ユニット404および電源406はそれぞれ、本明細書に記載された別の検出器パッチ、電子機器ユニットおよび電源を含んでいるか、または別の検出器パッチ、電子機器ユニットおよび電源に含まれているか、または別の検出器パッチ、電子機器ユニットおよび電源に対応していてよい。
【0065】
図4Aに示されているように、検出器パッチ402は、2つのセンサ領域408,410を含んでいてよく、各センサ領域408,410は、対応する電気トレース412,414によって電子機器ユニット404に電気的に接続されている。各センサ領域408,410は、静電容量を有するコンデンサを含んでいてよく、この静電容量は、コンデンサの変形に起因して可変である。
【0066】
図4Bに示されているように、電子機器ユニット204および電源206は、エポキシ樹脂によって機械的に一緒に結合されていてもよく、かつ/または検出器パッチ402に機械的に結合されているハウジングまたは封止材416内に配置されていてよい。ハウジングまたは封止材416は、電気的、熱的かつ/または機械的な絶縁体であってよい。たとえば、ハウジングまたは封止材416は、プラチナシリコーン軟質フォームのような振動減衰材料を含んでいてよく、その特定の例はSOMA FOAMA 25を含んでいる。
【0067】
さらに図4Bに示されているように、電子機器ユニット404は、1つ以上の回路が上に形成されているか、または1つ以上の回路に接続されているPCB418を含んでいてよい。代替的または付加的には、PCB418は、このPCB上に、またはこのPEBに接続された1つ以上の電圧測定回路および/または電流測定回路、送信器、受信器、送受信器または別の構成要素を含んでいてよい。本明細書に記載された別の電子機器ユニットと同様に、電子機器ユニット404は、センサ領域408,410またはこのセンサ領域408,410内のコンデンサの1つ以上のパラメータを測定し、この測定値に基づいて1つ以上のタイヤパラメータを推定し、推定された(1つ以上の)タイヤパラメータを別のシステムまたは装置に送信し、かつ/または測定値を1つ以上のタイヤパラメータの推定を実行するために別のシステムまたは装置に送信するように構成されていてよい。
【0068】
図5Aは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、別の例示的なセンサモジュール500の一部の回路図である。センサモジュール500は、本明細書に記載された別のセンサモジュールを含んでよく、または別のセンサモジュールに含まれていてよく、または別のセンサモジュールに対応していてよい。たとえば、本明細書に記載されたセンサモジュールのいずれかが、図5Aに示したセンサモジュール500と同一、類似、または異なる構成を有していてよい。
【0069】
図5Aに図示されたセンサモジュール500の部分は、検出器パッチ502と、電子機器ユニット504の一部とを含んでいる。検出器パッチ502は、コンデンサ508を備えたセンサ領域506を含んでいる。コンデンサ508は、少なくともコンデンサ508の変形に起因して可変である可変の容量または可変の静電容量Csensorを有している。幾つかの実施形態では、コンデンサ508の静電容量Csensorは、50~500ピコファラッド(pF)で変化する。コンデンサ508は、電気トレース510を介して電子機器ユニット504に電気的に接続されている。センサ領域506は単独で、または電気トレース510との組み合わせにおいて、可変の内部抵抗Rinternalを有していてよい。
【0070】
図5Aに示された電子機器ユニット504は、たとえば、たとえば図4Bに示したPCB418のようなPCB上に形成することができるか、またはPCBに接続することができる種々異なる回路素子を含んでいる。より詳細には、電子機器ユニット504は、測定ノード512、抵抗Rdischargeを有する放電抵抗器514、静電容量Cbufferを有するバッファコンデンサ516およびノード518を含んでいてよい。ノード518は、制御装置、たとえば図2Aに示した制御装置220のデジタル出力ピンに接続されていてよい。デジタル出力ピンは、図2Aに示した電子機器ユニット504の一部として含まれていてよい。
【0071】
概して、コンデンサ508の容量の測定は、コンデンサ508の充電および放電によって行うことができる。コンデンサ508は、直流電流(DC)または交流電流(AC)によって充電することができる。
【0072】
AC励起源により行われる測定は、複素インピーダンスを計算することができる。複素インピーダンスは、演算増幅器および計測増幅器、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、アナログ・デジタル変換器(ADC)および離散フーリエ変換(DFT)の組み合わせを使用して計算することができる。AC励起源からの複素インピーダンスに基づく測定のためのハードウェアの電力要求とDFTの計算電力要求との組み合わせは、かなりの電力量を消費してしまう。AC励起源から複素インピーダンスを測定するための例示的なシングルチップソリューションは、典型的には10ミリアンペア(mA)の電流消費を示す。
【0073】
本明細書に記載された幾つかの実施形態において、デジタル電荷積分が、コンデンサ508のような容量センサに蓄積された電荷を直接的に測定するために使用される。以下にこの手法を説明する。
【0074】
容量(c)または静電容量は、以下の数式1に従って、充電電圧(V)により蓄積電荷量(Q)を除算したものとして定義される。
数式1:c=Q/V
【0075】
充電電圧が既知であり、総電荷が計算されている場合、容量を測定することができる。図5Aは、本手法によるコンデンサ508の総電荷を測定する1つの回路を示している。
【0076】
図5Aに記載の回路では、コンデンサ508は、可変の容量Csensorおよび可変の内部抵抗Rinternalを有しており、これらは両方とも歪みに依存する。図5Aに示した回路は、図2Aに示した制御装置220のような制御装置から、たとえばノード518を介して、DC矩形波520で駆動されていてよい。図5Aでは、DC矩形波520は、最大の充電電圧(Vcc)および接地(Gnd)への放電を有している。充電電流は、数式2に従って、放電抵抗器514上での電圧降下を介して間接的に測定することができる充電電流(icharge)でコンデンサ508を充電する。
数式2:icharge=(Vcc-Vmeasure)/Rdischarge
【0077】
数式2では、Vmeasureは、測定ノード512における電圧であり、この電圧は、測定ノード512に接続することができる電子機器ユニット504の電圧測定回路によって測定することができる。幾つかの実施形態では、Vmeasureは、電子機器ユニット504の制御装置のアナログ入力ピンに提供されている。
【0078】
コンデンサ508の総電荷は、たとえば、数式3に従って、台形則を数値的に使用して放電抵抗器514にわたって測定される電流を積分することによって求めることができる。
【数1】
【0079】
次いで、コンデンサ508の容量または静電容量を、総電荷および充電電圧を使用して、たとえば数式1を使用して、(たとえば、電子機器ユニット504の制御装置によって)計算することができる。
【0080】
従来の複素インピーダンス測定とは対照的に、コンデンサ508の容量または静電容量を特定するためのデジタル電荷積分の使用は、DFTの計算上の複雑な操作および複雑なアナログ測定器を排除する。これにより、従来の複素インピーダンス測定と比較して、容量または静電容量を特定するためにデジタル電荷積分を使用する場合には消費電力の大幅な減少が生じる。
【0081】
図5Bは、本明細書に記載されている少なくとも1つの実施形態に従って調整された、別の例示的なセンサモジュール522の一部の回路図である。センサモジュール522は、本明細書に記載された別のセンサモジュールを含んでいてよく、または別のセンサモジュールに含まれていてよく、または別のセンサモジュールに対応することができる。たとえば、本明細書に記載されたセンサモジュールのいずれかが、図5Bに記載のセンサモジュール522と同一、類似または異なる構成を有していてよい。さらに、図5Aのセンサモジュール500と同様に、図5Bに記載のセンサモジュール522は、DC電流またはAC電流によって充電および放電されてよく、幾つかの実施形態では、デジタル電荷積分を使用して容量または静電容量を特定するために適していてよい。
【0082】
図5Bに図示されたセンサモジュール522の一部は、検出器パッチ524と、電子機器ユニット526の一部とを含んでいる。検出器パッチ502は、2つのセンサ領域を備えた曲げセンサとして実現されていてよく、センサ領域はそれぞれ、互いに上下に積み重ねられたコンデンサ528,530を備えている。各コンデンサ528,530は、少なくともコンデンサ528,530の変形に起因して可変である可変の静電容量C1またはC2を有している。幾つかの実施形態では、各コンデンサ528,530の静電容量Csensorは、約100~700pFで変化する。各コンデンサ528,530は、対応するフロントエンド抵抗器532,534を介して電子機器ユニット526の入力/出力ピン536に電気的に接続されている。各フロントエンド抵抗器532,534は、330キロオーム(kΩ)の抵抗または別の適切な抵抗を有していてよい。
【0083】
図5Bに図示された電子機器ユニット526は、たとえば、たとえば図4Bに示したPCB418のようなPCB上に形成することができるか、またはPCBに接続されていてよい種々異なる回路素子を含んでいる。図示されているように、電子機器ユニット526は、マイクロチップ技術によって供給されるSAML21またはATSAML21マイクロコントローラのような制御装置538、または別の適切な制御装置を含んでいてよい。
【0084】
制御装置536は、3つの演算増幅器(opamps)を含んでいてよい。演算増幅器は、外部構成要素またはルーティングを使用することなしに、プログラム可能な利得を有する計測増幅器を形成するためのソフトウェアを介して構成されてよい。図5Bに示したセンサモジュール522のアナログフロントエンドは、R1、R2のそれぞれの抵抗を有する2つの抵抗器532,534、曲げセンサ(たとえば、400)として実現された検出器パッチ524、演算増幅器(たとえば、SAML21演算増幅器)およびデジタル/アナログ変換器(DAC)(たとえば、SAML21DAC)を含んでいてよい。
【0085】
フロントエンド抵抗器532,534は、曲げセンサ内のコンデンサ528,530を充電するための入力/出力ピン536を介して供給される電流を電圧に変換することができ、制御装置538の計測増幅器は、曲げセンサからの作動信号をシングルエンド電圧に変換することができる。計測増幅器の出力は、たとえばノード540を介して、制御装置538のADCに内部でルーティングされる。ADCは、計装増幅器の出力からサンプルを累積することによってデジタル積分を実行する。
【0086】
図6Aは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、例示的な検出器パッチ600を示す概略図である。この検出器パッチ600は、本明細書に記載された別の検出器パッチを含んでいてよく、または別の検出器パッチに含まれていてよく、または別の検出器パッチに対応していてよい。たとえば本明細書に記載された検出器パッチのいずれも、図6Aに示した検出器パッチ600と同一、類似、または異なる構成を有していてよい。
【0087】
概して、検出器パッチ600は、1つ以上の電極層と、介挿された誘電体層とを含んでいてよく、これらの層はそれぞれ、0.1ギガパスカル(GPa)以下のヤング率を有していてよい。別の実施形態では、1つ以上の層のヤング率が、0.1GPaよりも大きくてよい。図示されているように、検出器パッチ600は、第1の電極層602と、信号電極層604と、第2の電極層606と、これらの層の間に配置された介挿された誘電体層608,610とを含んでいる。幾つかの実施形態では、検出器パッチ600は、第1の誘電体カバー層612および第2の誘電体カバー層614のような1つ以上の誘電体カバー層を付加的に含んでいてよい。
【0088】
第1の電極層602および第2の電極層606はそれぞれ、導電性の粒子(たとえば、カーボンブラック、ニッケルナノストランド、銀ナノ粒子、グラフェンナノプレート、酸化グラフェン等のようなナノ粒子)が内部に組み込まれた、シリコーン等のようなエラストマ基材または層を含んでいてよい。第1の電極層602および第2の電極層606内の導電性の粒子は、それぞれのエラストマ基材または層全体にわたって連続的に分布していてよく、かつ/またはエラストマ基材または層上にまたはエラストマ基材または層中に、ハッチングまたはメッシュパターンまたは構造で配置されていてよい。
【0089】
各誘電体層608,610は、シリコーン等のようなエラストマ材料を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、誘電体層608,610の一方または両方は、とりわけ、意図されたまたは所望の量の誘電率等に依存して、幾つかの導電性材料内に組み込まれてもよい。
【0090】
信号電極層604は、シリコーン等のようなエラストマ材料を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、信号電極層604は、信号電極層604内または上に配置された、導電性材料の1つ以上のセンサ領域616を含んでいる。たとえば、センサ領域616は、信号電極層604内に、導電性の粒子(たとえば、カーボンブラック、ニッケルナノストランド、銀ナノ粒子、グラフェンナノプレート、酸化グラフェン等のようなナノ粒子)を含んでいてよい。図6Aには示されていないが、信号電極層604は、1つ以上の電気トレースを付加的に含んでいてよく、各電気トレースは、センサ領域616のうちの対応する1つを、検出器パッチ600が実装されているセンサモジュールの電子機器ユニットに電気的に接続するように構成されている。
【0091】
第1の誘電体カバー層612および第2の誘電体カバー層612はそれぞれ、シリコーン等のようなエラストマ材料を含んでいてよい。第1の誘電体カバー層612は、別の物体、表面等との第1の電極層602の望ましくない接触を阻止し、かつ/または第1の電極層602を電気的に絶縁するために、第1の電極層602を覆っていてよい。第2の誘電体カバー層614は、別の物体、表面等との第2の電極層606の望ましくない接触を阻止し、かつ/または第2の電極層606を電気的に絶縁するために、第2の電極層606を覆っていてよい。
【0092】
幾つかの実施形態では、第1の電極層602および第2の電極層606の一方または両方が、対応するセンサモジュールのアースに接続されていてもよく、したがって、接地電極または接地電極層と呼ぶことができる。第1の電極層602および第2の電極層606の両方が接地電極層である場合、各センサ領域616は、第1の電極層602および第2の電極層606とは異なるコンデンサを形成するか、または異なるコンデンサの一部であってよい。本実施形態および別の実施形態では、各コンデンサは、2つのノードまたは端子を含んでいてよい。一方のノードまたは端子が、対応するセンサ領域616を含んでいてよい一方で、他方のノードまたは端子は、第1の電極層602および第2の電極層606を含んでいてよい。第1の電極層602および第2の電極層606の両方が接地されている場合、第1の電極層602および第2の電極層606を含むノードまたは端子は、所定のセンサ領域616を含むノードの周囲に少なくとも部分的にファラデーケージを形成することができる。
【0093】
図6Bは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、図6Aに示した信号電極層604の上面図である。信号電極層604は、本明細書に記載された別の信号電極層を含んでいてよく、または別の信号電極層に含まれていてよく、または別の信号電極層に対応していてよい。図示されているように、信号電極層604は、種々のセンサ領域616を含んでおり、簡略化のために、図6Bではこれらのセンサ領域のうちの幾つかのみに符号が付されている。
【0094】
信号電極層604は、センサ領域616を信号電極層604の端子領域620に電気的に接続する電気トレース618を付加的に含んでいる。簡略化のために図6Bでは、幾つかの電気トレース618のみに符号が付されている。各電気トレース618は、信号電極層604内または信号電極層604上に配置された導電性材料を含んでいてよい。たとえば、電気トレース618は、信号電極層604内に導電性の粒子(たとえば、カーボンブラック、ニッケルナノストランド、銀ナノ粒子、グラフェンナノプレート、酸化グラフェンなどのようなナノ粒子)を含んでいてよい。各電気トレース618は、対応する電子機器ユニットへの電気的な接続のために、端子領域620内で終端していてよい。
【0095】
幾つかの実施形態では、センサ領域616は、各対のセンサ領域616が互いに直交するか、または実質的に直交するように(たとえば、直交に対して±5、10、15、20、25または30度)配置または整列されている対で、信号電極層604内に配置されていてよい。すなわち、対の一方のセンサ領域616の長さまたは主軸は、対の他方のセンサ領域616の長さまたは主軸に対して直交するか、または実質的に直交するように整列されていてよい。直交配置の結果、対にされたセンサ領域616は、概してL字形、T字形、または別の適切な形状となっていてよい。幾つかの実施形態では、各センサ領域616の対のセンサ領域616の直交した配向によって、直交歪みおよび角変位の同時的な測定を容易にすることができる。
【0096】
図6Aおよび図6Bを組み合わせて参照すると、第1の電極層602、第2の電極層606、誘電体層608,610および誘電体カバー層612、614はそれぞれ、図6Bに示した信号電極層604と同一または類似の設置面積を有していてよい。別の実施形態によれば、検出器パッチの種々の層は、図7A図7Dを参照しながら説明したように、別の設置面積または別の輪郭を有していてよい。
【0097】
図7A図7Dは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、検出器パッチ内に含まれてもよい別の例示的な信号電極層700A,700B,700C,700Dの上面図を含んでいる。各信号電極層700A,700B,700C,700Dおよび/または検出器パッチは、本明細書に記載された別の信号電極層および/または検出器パッチを含んでいてよく、または別の信号電極層および/または検出器パッチに含まれていてよく、または別の信号電極層および/または検出器パッチに対応していてよい。
【0098】
図7A図7Dに示されているように、各信号電極層700A,700B,700C,700Dは、1つ以上のセンサ領域702と、シリコーン等のようなエラストマ材料層706内またはエラストマ材料層706上の電気トレース704とを含んでいる。図7A図7Dでは、簡略化のために、幾つかのセンサ領域702および電気トレース704にのみ符号が付されている。各センサ領域702および電気トレース704は、信号電極層700A,700B,700C,700D内に、または信号電極層700A,700B,700C,700D上に配置された導電性材料を含んでいてよい。たとえば、各センサ領域702および電気トレース704は、信号電極層700A,700B,700C,700D内に導電性の粒子(たとえば、カーボンブラック、ニッケルナノストランド、銀ナノ粒子、グラフェンナノプレート、酸化グラフェンなどのようなナノ粒子)を含んでいてよい。
【0099】
電気トレース704は、センサ領域702を信号電極層700A,700B,700C,700Dの端子領域708に電気的に接続することができる。各電気トレース704は、対応する電子機器ユニットへの電気的な接続のために、端子領域708内で終端していてよい。
【0100】
信号電極層700A,700B,700C,700Dまたは本明細書に記載された別の信号電極層におけるセンサ領域702、電気トレース704および/または端子領域708の形状、数および/または配置は、任意の適切なまたは所望の構成を有していてよい。図7Aおよび図7Bを参照すると、たとえば、信号電極層700Aおよび700Bはそれぞれ、長手方向に互いに整列された等しくない長さの2つのセンサ領域702を含んでいる。信号電極層700Aの端子領域708は、信号電極層700Aの一端部に配置されているのに対し、信号電極層700Bの端子領域708は、信号電極層700Bの一方の側部に配置されている。
【0101】
図7Cおよび図7Dを参照すると、信号電極層700C,700Dはそれぞれ、5つのセンサ領域702を含んでおり、この5つのセンサ領域702は、信号電極層700C,700Dの長さに整列した各端部の1つのセンサ領域702と、信号電極層700C,700Dの長さに対して直交して整列された2つの端部間における3つのセンサ領域702とを含んでいる。
【0102】
信号電極層700C,700Dは、図7Cおよび図7Dの例では2つの端部のそれぞれに示される1つ以上の発電材料710を付加的に含んでいてよい。1つ以上の電気トレースは、発電材料710を互い電気的に接続するか、かつ/または対応する電子機器ユニットに電気的に接続されるように、信号電極層700C,700Dの端子領域708に電気的に接続することができる。
【0103】
信号電極層700Cの端子領域708は、信号電極層700Cの端部の一方に配置されている対し、信号電極層700Dの端子領域708は、信号電極層700Dの一方の側部に配置されている。
【0104】
図8Aは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、別の例示的な検出器パッチ800の概略図である。検出器パッチ800は、本明細書に記載された別の検出器パッチを含んでいてよく、または別の検出パッチに含まれていてよく、または別の検出器パッチに対応していてよい。たとえば、本明細書に記載された検出器パッチのいずれかが、図8Aに記載の検出器パッチ800と同一、類似、または異なる構成を有していてよい。
【0105】
概して、検出器パッチ800は、1つ以上の電極層と、介挿された誘電体層とを含んでいてよく、これらの層はそれぞれ、0.1GPa以下のヤング率を有していてよい。別の実施形態では、1つ以上の層のヤング率が、0.1GPaよりも大きくてよい。図示されているように、検出器パッチ800は、第1の電極層802と、信号電極層804と、これらの層の間に配置された介挿された誘電体層806とを含んでいる。任意に、検出器パッチ800は、周辺電極807をさらに含んでいてよい。図8B図8Dは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、図8Aに記載の検出器パッチ800の第1の電極層802、信号電極層804および誘電体層806をそれぞれ示す上面図である。
【0106】
図8Aおよび図8Bを組み合わせて参照すると、第1の電極層802は、導電性の粒子(たとえば、カーボンブラック、ニッケルナノストランド、銀ナノ粒子、グラフェンナノプレート、酸化グラフェン等のようなナノ粒子)が内部に組み込まれた、シリコーンなどのようなエラストマ基材または層を含んでいてよい。第1の電極層802内の導電性の粒子は、エラストマ基材またはエラストマ層全体にわたって連続的に分布していてよく、かつ/またはエラストマ基材または層上にまたはエラストマ基材または層中に、ハッチングまたはメッシュパターンまたは構造で配置されていてよい。第1の電極層802は、検出器パッチ800の動作および制御のために、検出器パッチ800が実装されているセンサモジュールの対応する電子機器ユニットの、または対応する電子機器ユニット内の電気トレース、PCBまたは別の電子機器の取り付けのためPCBインタフェース808および1つ以上の導電性トレースパッド810を含んでいてもよい。
【0107】
図8Aおよび図8Cを組み合わせて参照すると、信号電極層804は、周辺電極807、1つ以上のセンサ領域812および1つ以上の電気トレース814に制限された導電性材料を備えた、シリコーンなどのようなエラストマ材料を含んでいてよい。周辺電極807、センサ領域812および/または電気トレース814は、信号電極層804上または信号電極層804内に導電性の粒子(たとえば、カーボンブラック、ニッケルナノストランド、銀ナノ粒子、グラフェンナノプレート、酸化グラフェンなどのようなナノ粒子)を含んでいてよい。たとえば、センサ領域812は、信号電極層804のエラストマ材料上に印刷されていてよい。電気トレース814は、電気トレース814のための電気接続点を提供するために、第1の電極層802のトレースパッド810に整列するタブ領域816で終端していてよい。図示されているように、信号電極層804の実施形態は、周辺電極807を含んでいてよく、この周辺電極807は、とりわけ、検出器パッチ800全体のための電気的な絶縁を提供するために、第1の電極層802に電気的に接続している。本実施形態および別の実施形態において、第1の電極層802および周辺電極807は、信号電極層804を少なくとも部分的に取り囲むファラデーケージを形成していてよい。
【0108】
図8Aおよび図8Dを組み合わせて参照すると、誘電体層806は、シリコーンなどのようなエラストマ材料を含んでいてよい。幾つかの実施形態において、とりわけ、意図されたまたは所望の量の誘電率などに依存して、誘電体層806は、その内部に組み込まれた幾つかの導電性材料を有していてよい。幾つかの実施形態では、誘電体層806は、第1の電極層802のPCBインタフェース808の少なくとも一部を覆うために、タブ領域818を含んでいてよい。たとえば、タブ領域818は、PCBインタフェース808のトレースパッド810に至るまでPCBインタフェース808を覆っていてよい。
【0109】
幾つかの実施形態では、第1の電極層802は、対応するセンサモジュールのアースに接続可能であり、したがって、接地電極または接地電極層と呼ぶことができる。各センサ領域812は、第1の電極層802とは異なるコンデンサを形成するか、または異なるコンデンサの一部であってもよい。本実施形態および別の実施形態では、各コンデンサは、2つのノードまたは端子を含んでいてよい。一方のノードまたは端子は、対応するセンサ領域812を含んでいてよいのに対し、他方のノードまたは端子は、第1の電極層802および周辺電極807を含んでいてよい。第1の電極層802および周辺電極807を含むノードまたは端子は、所定のセンサ領域812を含むノードの周囲に少なくとも部分的にファラデーケージを形成することができる。
【0110】
図9Aは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、別の例示的な検出器パッチ900の概略図である。この検出器パッチ900は、本明細書に記載された別の検出器パッチを含んでいてよく、または別の検出器パッチに含まれていてよく、または別の検出器パッチに対応していてよい。たとえば本明細書に記載された検出器パッチのいずれかが、図9Aに示した検出器パッチ900と同一、類似または異なる構成を有していてよい。
【0111】
概して、検出器パッチ900は、1つ以上の電極層と、介挿された誘電体層とを含んでいてよく、これらの層はそれぞれ、0.1GPa以下のヤング率を有していてよい。別の実施形態では、1つ以上の層のヤング率が、0.1GPaよりも大きくてよい。図示されているように、検出器パッチ900は、第1の電極層902と、信号電極層904と、第2の電極層906と、これら層の間に配置された介挿された誘電体層908,910とを含んでいる。任意に、検出器パッチ900は、周辺電極912および/または1つ以上の誘電体カバー層、たとえば第1の誘電体カバー層914および第2の誘電体カバー層916をさらに含んでいてよい。図9Aでは、周辺電極912が、信号電極層904に接触して示されている一方で、センサ領域および/または信号電極層904の電気トレースは、周辺電極912から電気的に絶縁されていてもよい。図9B図9Hは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、第2の誘電体カバー層916、第2の電極層906、誘電体層910、信号電極層904、誘電体層908、第1の電極層902および第1の誘電体カバー層914をそれぞれ示す上面図である。
【0112】
図9A図9Cおよび図9Gを組み合わせて参照すると、第1の電極層902および第2の電極層906のそれぞれは、導電性の粒子(たとえば、カーボンブラック、ニッケルナノストランド、銀ナノ粒子、グラフェンナノプレート、酸化グラフェン等のようなナノ粒子)が内部に組み込まれた、シリコーンなどのようなエラストマ基材または層を含んでいてよい。第1の電極層902および第2の電極層906のそれぞれにおける導電性の粒子は、エラストマ基材またはエラストマ層全体にわたって連続的に分布していてよく、かつ/またはエラストマ基材または層上にまたはエラストマ基材または層中に、ハッチングまたはメッシュパターンまたは構造で配置されていてよい。
【0113】
図9Cを参照すると、第2の電極層906は、検出器パッチ900の動作および制御のために、検出器パッチ900が実装されたセンサモジュールの対応する電子機器ユニットの、もしくは電子機器ユニット内の電気トレース、PCBまたは別の電子機器を取り付けるためのPCBインタフェース918および1つ以上の導電性トレースパッド920を含んでいてよい。
【0114】
図9Gを参照すると、第1の電極層902は、とりわけ、トレースパッド920のための検出器パッチ900の接続領域(たとえばPCBインタフェース918)を支持するか、またはこの接続領域に機械的強度を提供するために、タブ領域922を含んでいてよい。
【0115】
図9Aおよび図9Eを組み合わせて参照すると、信号電極層904は、周辺電極912、1つ以上のセンサ領域924および1つ以上の電気トレース926に制限された導電性材料を備えた、シリコーンなどのようなエラストマ材料を含んでいてよい。周辺電極912、センサ領域924および/または電気トレース926は、信号電極層904上または信号電極層904内に導電性の粒子(たとえば、カーボンブラック、ニッケルナノストランド、銀ナノ粒子、グラフェンナノプレート、酸化グラフェンなどのようなナノ粒子)を含んでいてよい。たとえば、センサ領域924は、信号電極層904のエラストマ材料上に印刷されていてよい。電気トレース926は、電気トレース926のための電気接続点を提供するために、第2の電極層906のトレースパッド920に整列するタブ領域928で終端していてよい。図示されているように、信号電極層904の実施形態は、周辺電極912を含んでいてよく、この周辺電極912は、とりわけ、検出器パッチ900全体のための電気的な絶縁を提供するために、第1の電極層902および第2の電極層906に電気的に接続している。本実施形態および別の実施形態において、第1の電極層902、第2の電極層906および周辺電極907は、信号電極層904を少なくとも部分的に取り囲むファラデーケージを形成していてよい。
【0116】
図9A図9Dおよび図9Fを組み合わせて参照すると、誘電体層908,910はそれぞれ、信号電極層904を第1の電極層902および第2の電極層906から電気的に絶縁するように構成された、たとえばシリコーンなどのようなエラストマ材料を含んでいてよい。幾つかの実施形態において、かつとりわけ、意図されたまたは所望の量の誘電率などに依存して、誘電体層908,910の一方または両方は、その内部に組み込まれた幾つかの導電性材料を有していてよい。縮尺通りに厳密には描かれていないが、誘電体層908,910および信号電極層904のそれぞれは、第1の電極層902および第2の電極層906の周縁部が露出したままであり、本明細書に開示されているように周辺電極912との電気的な接触を可能にするために、第1の電極層902および第2の電極層906よりも僅かに小さいサイズにされていてよい。
【0117】
幾つかの実施形態では、各誘電体層908,910は、それぞれタブ領域930,932を含んでいてよい。タブ領域930,932は、第2の電極層906のPCBインタフェース918の少なくとも一部を覆っていてよい。たとえば、タブ領域930,932は、PCBインタフェース918のトレースパッド920に至るまでPCBインタフェース918を覆っていてよい。
【0118】
図9A図9Bおよび図9Hを組み合わせて参照すると、第1の誘電体カバー層914および第2の誘電体カバー層916はそれぞれ、シリコーンなどのようなエラストマ材料を含んでいてよい。第1の誘電体カバー層914は、別の物体、表面等との第1の電極層902の望ましくない接触を阻止し、かつ/または第1の電極層902を電気的に絶縁するために、第1の電極層902を覆っていてよい。第2の誘電体カバー層916は、別の物体、表面等との第2の電極層906の望ましくない接触を阻止し、かつ/または第2の電極層906を電気的に絶縁するために、第2の電極層906を覆っていてよい。
【0119】
図9Bを参照すると、第2の誘電体カバー層916は、幾つかの実施形態において、第2の電極層906を覆うために寸法設定されていてよく、第2の電極層906よりも大きくてよい。代替的または付加的に、第2の誘電体カバー層916は、第2の電極層906のPCBインタフェース918を、トレースパッド920に至るまで覆うタブ領域934を含んでいてよい。
【0120】
図9Hを参照すると、第1の誘電体カバー層914は、幾つかの実施形態において、第1の電極層902を覆うために寸法設定されていてよく、第1の電極層902よりも大きくてよい。代替的または付加的に、第1の誘電体カバー層914は、トレースパッド920のための検出器パッチ900の接続領域(たとえばPCBインタフェース918)を支持するか、またはこの接続領域に機械的強度を提供するために、タブ領域936を含んでいてよい。
【0121】
幾つかの実施形態では、第1の電極層902および第2の電極層906の一方または両方が、対応するセンサモジュールのアースに接続されていてもよく、したがって、接地電極または接地電極層と呼ぶことができる。第1の電極層902および第2の電極層906の両方が接地電極である場合、各センサ領域924は、第1の電極層902および第2の電極層906と異なるコンデンサを形成するか、または異なるコンデンサの一部であってもよい。本実施形態および別の実施形態では、各コンデンサは、2つのノードまたは端子を含んでいてよい。一方のノードまたは端子は、対応するセンサ領域924を含んでいてよい一方で、他方のノードまたは端子は、第1の電極層902および第2の電極層906ならびに周辺電極912を含んでいてよい。第1の電極層902および第2の電極層906の両方ならびに周辺電極912が接地されている場合、第1の電極層902および第2の電極層906ならびに周辺電極912を含むノードまたは端子は、所定のセンサ領域616を含むノードを実質的に取り囲むファラデーケージを形成することができる。
【0122】
図9A図9Hに示した検出器パッチ900は、3電極スタックとして示されている。図9A図9Hに示した3電極スタックは、より多いか、またはより少ない電極層に拡張することができる。同様に、より多いか、またはより少ないセンサ領域924および電気トレース926が、別の構成および形状において使用されてもよい。
【0123】
検出器パッチ600,800,900および本明細書で説明する別のパッチは、分散されたセンサ領域および可変の長さの対応する電気的な接続部(たとえば電気的なトレース)を含んでいてよいフレキシブルなセンサシステムの例またはその一部分である。長さの変動は、本明細書に記載された電子機器ユニットのような電子回路において補償するために問題であり、さもなければ、センサ領域のベース容量レベルにおける関連する不都合な変動を引き起こしてしまう。このようなセンサシステムまたはセンサシステムの一部は、電気的トレースがフレキシブルであり、かつ/または歪みが誤った容量信号を誘起する領域において、機械的なクロストークを受ける。電気トレースからのクロストークは、接地電極に接続された比較的大きな表面積を有する領域において顕著となり得る。本明細書に記載の幾つかの実施形態によれば、たとえばクロストークを低減するために、接地電極をハッチングまたはメッシュ構造体で形成することができる。このような接地電極の例を図10に関連して説明する。
【0124】
図10Aおよび図10Bは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、例示的な電極層1000A,1000B(以下、まとめて「電極層1000」または総称的に「電極層1000」)の一部をそれぞれ示す概略図である。各電極層1000は、本明細書に記載された別の電極層を含んでいてよく、または別の電極層に含まれていてよく、または別の電極層に対応してよい。たとえば、本明細書に記載された第1の電極層または第2の電極層のいずれかが、図10A図10Bに示した電極層1000と同一、類似または異なる構成を有していてよい。
【0125】
図10Aおよび図10Bに示されているように、各電極層1000は、シリコーンなどのようなエラストマ基材内またはエラストマ基材上の、カーボンナノチューブ、銀ナノ粒子、別の導電性の粒子などのような導電性の材料の、部分的に開放され、チェック模様の、またはハッチングされた、またはメッシュパターンの構造体1002A,1002B(以下、まとめて「メッシュ構造体1002」)を含んでいる。幾つかの実施形態では、メッシュ構造体1002は、たとえば付加印刷または3D印刷を介して、エラストマ基材上に印刷されていてよい。幾つかの実施形態では、メッシュ構造体1002は、エラストマ基板上に導電性材料の連続層として形成されていてよく、次いで、選択された箇所で導電性の材料を除去するために選択的にエッチングされ、ホールまたはギャップを有するメッシュ構造体1002を形成する。幾つかの実施形態において、かつ中実または連続的なメタライゼーションを有する電極層と比較して、メッシュ構造体1002は、電極層1000に接続している電気トレースの低減された表面積に起因して、電気トレース(たとえば電気トレース926)からの低減された浮遊容量を有する容量センサのために、同様の電気遮蔽を提供することができる。このような構成により、電気的トレースにおける歪みおよび/または屈曲によって生成される誤差信号を低減することができる。誤差信号の低減は、電極1000の非金属化表面積の量または割合に比例していてよく、たとえば、メッシュ構造体1002内のギャップまたは開放空間の量または割合に比例していてよい。したがって、本明細書に記載された実施形態は、とりわけ、シールドすべき信号周波数、電気トレースの幅および/または別の基準に従って、メッシュ構造体1002内の開放空間の量または割合を変化させることができる。概して、幅広の電気トレースは、より多くの誤差信号(機械的クロストーク)を生成してしまい、これらの実施形態のためには、より開放したメッシュ構造体1002(すなわち、より大きな開放空間)が、クロストークをさらに低減することができる。
【0126】
図10Aおよび図10Bは、誘電体層によって電極層1000の上方または下方に離隔させられていてもよい信号電極層のセンサ領域1004をさらに示す。各センサ領域1004は、電極層1000とは異なるコンデンサを形成するか、または電極層1000と異なるコンデンサの一部である。
【0127】
幾つかの実施形態では、メッシュ構造体1002は、グリッドとして配置されている。図10Aを参照すると、メッシュ構造体1002Aのグリッドは、電極層1000Aの縁部に対して平行にまたは実質的に平行に整列した導電性材料の交差線を含んでいてよく、これにより、交差線によって画定された開放空間も、電極層1000Aの縁部に対して線形かつ平行に配置されている。たとえば、導電性材料の線の第1のサブセットは、電極層1000Aの(図10Aにおける向きで)縦方向の縁部に対して平行に整列され、互いに離間されていてよい一方で、導電性材料の線の第2のサブセットは、電極層1000Aの(図10Aにおける向きで)横方向の縁部に対して平行に整列され、互いに離間されていてよい。この配置では、線の第1のサブセットが、線の第2のサブセットと直交するか、または実質的に直交するように交差する。この線の配置によって形成される開放空間は、縦方向線および横方向線に整列した概して矩形の開放空間を含んでいる。
【0128】
別の配列も可能である。たとえば、図10Bを参照すると、メッシュ構造体1002Bのグリッドは、(図10Bにおける向きで)縦方向線に対して±45°で整列した導電性材料の交差線を含んでいてよく、これにより、交差線によって画定された開放空間も、縦方向線に対して線形に、かつ±45°で配置されている。たとえば、導電性材料の線の第1のサブセットは、図10Bにおいて縦方向線に対して+45°で整列され、互いに離間されていてよく、導電性材料の線の第2のサブセットは、図10Bにおいて縦方向線に対して-45°度で整列され、互いに離間されていてよい。この配置では、線の第1のサブセットが、線の第2のサブセットと直交するか、または実質的に直交して交差する。この線の配置によって形成される開放区間は、縦方向線に対して±45°の斜線で整列した概して矩形の開放区間を含んでいる。
【0129】
メッシュ構造体1000のグリッドについて、さらに別の配列が可能である。たとえば、導電性材料の交差線は、90°とは異なる角度で交差してよい。代替的または付加的に、線は、電極層1000の縦方向縁部または横方向縁部に対して平行ではない配列または(図10Aおよび図10Bにおける向きで)縦方向に対して±45°ではない配列を有してもよい。幾つかの実施形態では、交差線の配置によって形成される開放空間は、矩形ではない形状を有していてよい。幾つかの実施形態では、所定の方向に整列された線は、1つの線から次の線へと概して間隔が等しくてよく、または1つの線から次の線へと等しくないまたは可変の間隔を有していてよい。
【0130】
幾つかの実施形態では、メッシュ構造体1000のグリッドは、相互連結した環状リング、六角形またはその別の形状の開放空間を有するハニカムパターンなどのような導電性材料の非線形の交差形状により、円形の開放空間で、または導電性材料および開放空間の任意の適切な配置で形成されていてよい。
【0131】
幾つかの実施形態では、導電性材料および/または開放空間の密度は、メッシュ構造体1000全体にわたって均一である。幾つかの実施形態では、導電性材料および/または開放空間の密度は、メッシュ構造体1000にわたって不均一である。たとえば、開放空間は、電気トレースおよび/またはセンサ領域1004のすぐ上もしくはすぐ下ではない領域では比較的高密度(たとえば、導電性材料に対する開放空間のより大きな割合)であり、電気トレースおよび/またはセンサ領域1004のすぐ上もしくはすぐ下の領域では比較的低密度(たとえば、導電性材料に対する開放空間のより少ない割合)である。
【0132】
任意の所定の実施形態におけるメッシュ構造体1000の特定の構成は、クロストークを低減するか、または別のパラメータを変更もしくは最適化するように選択されていてよい。選択または変更することができるメッシュ構造体1000の構成の態様は、線幅、線間隔、線配列、開放空間形状、開放空間密度(または逆に導電性材料密度)、開放空間密度(または逆に導電性材料密度)の均一性(またはその欠如)または別の適切な態様のうちの1つ以上を含んでいてよい。
【0133】
図11Aおよび図11Bは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、折畳み可能なセンサ領域1102を備えた別の例示的な信号電極層1100の概略図を示している。信号電極層1100は、本明細書に記載された別の信号電極1100を含んでいてよく、または別の信号電極に含まれていてよく、または別の信号電極1100に対応してよい。たとえば、本明細書に記載された信号電極層のいずれかが、図11Aおよび図11Bに示した信号電極層1100と同一、類似または異なる構成を有していてよい。図11Aは、折畳み可能なセンサ領域1102を折り畳む前の信号電極層1100を示す上面図である。図11Bは、折畳み可能なセンサ領域1102を折り畳んだ後の上面斜視図である。
【0134】
信号電極層1100は、1つ以上の折畳み可能なセンサ領域1102、1つ以上のセンサ領域1104および1つ以上の電気トレース1106に制限された導電性材料を備えた、シリコーンなどのようなエラストマ材料を含んでいてよい。折畳み可能なセンサ領域1102、センサ領域1104および/または電気トレース1106は、信号電極層1100上または信号電極層1100内に導電性の粒子(たとえば、カーボンブラック、ニッケルナノストランド、銀ナノ粒子、グラフェンナノプレート、酸化グラフェンなどのようなナノ粒子)を含んでいてよい。電気トレース1106は、信号電極層110が実装されている対応する検出器パッチまたはセンサモジュールの動作および制御を行うための対応する電子機器ユニット、PCBまたは別の電子機器に接続するためのタブ領域1108で終端していてよい。
【0135】
折畳み可能なセンサ領域1102は、図11Aに示したように、折り点または折り線1110であることを意図した狭窄領域を含んでいてよい。折畳み可能なセンサ領域1102は、図11Bに示したように、センサ領域1104上に位置決めされるように、センサ領域1104の上に折り重なるように構成されていてもよい。信号電極1100は、より多くまたはより少ないセンサ領域1104または折畳み可能なセンサ領域1102、別の形状のセンサ領域1104または折畳み可能なセンサ領域1102、センサ領域1104または折畳み可能なセンサ領域1102の別の配置あるいは別の構成を含んでいてよい。
【0136】
信号電極層1100の製造または形成において、折畳み可能なセンサ領域1102上への折畳み前に、挿入部材1112(図11B)を各センサ領域1104上または各センサ領域1104にわたって配置することができる。簡素化のために、図11Bでは、唯1つの挿入部材1112に符号が付されている。各挿入部材1112は、折畳み可能なセンサ領域1102とセンサ領域1104とを互いに電気的に絶縁するように構成された、シリコーンなどのようなエラストマ材料から成る誘電体層などを含んでいてよい。幾つかの実施形態では、とりわけ、意図されたまたは所望の量の誘電率などに依存して、挿入部材1112は、その内部に組み込まれた幾つかの導電性材料を有していてよい。幾つかの実施形態では、挿入部材1112は、折畳み可能なセンサ領域1102の折畳み前に位置決めされた別の構成要素を含んでいてよく、または挿入部材1112は、信号電極層1100上に形成された、付加製造された(たとえば3Dプリントされた)層であってよい。別の構成および製造プロセスも可能である。
【0137】
図11Bに示したように、挿入部材1112を配置した後に、折畳み可能なセンサ領域1102を各折畳み線1110で折り畳んでよく、これにより折畳み可能なセンサ領域1102をそれぞれ、複数のセンサ領域1104のうちの対応する1つセンサ領域1104の上に、かつこのセンサ領域1104から離隔させて配置することができる。センサ領域1104、挿入部材1112および折畳み可能なセンサ領域1102の各スタックは、対応するマルチモードセンサ領域1114を形成することができる。本明細書に記載されるような検出器パッチを形成するために1つ以上の別の電極層および/または誘電体層と組み合わせた場合に、所定のマルチモードセンサ領域1114内の各センサ領域1104および折畳み可能なセンサ領域1102は、1つ以上の電極層を備えた異なるコンデンサを形成するか、またはその一部であってよい。たとえば、所定のマルチモードセンサ領域1114のセンサ領域1104は、1つ以上の電極層と一緒に、第1のコンデンサを形成するか、または第1のコンデンサの一部であってよい一方で、所定のマルチモードセンサ領域114内の折畳み可能なセンサ領域1102は、1つ以上の電極層と一緒に、第2のコンデンサを形成するか、または第1のコンデンサの一部であってよい。各マルチモードセンサ領域1114のセンサ領域1104および折畳み可能なセンサ領域1102によって形成される第1のコンデンサおよび第2のコンデンサは、1対のコンデンサまたはコンデンサ対と呼ぶことができる。
【0138】
図11Bにも概略的に示されているように、複数の折畳み線1110のうちの1つ折畳み線内にある各電気トレース1106の一部は、同様に、それぞれの電気トレース1106の大部分を信号電極層1100の主平面または主要平面(たとえば、折り畳まれていない信号電極層1100の一部)に残しながら折り畳まれてよい。マルチモードセンサ領域1114への各電気トレース1106の全てまたは実質的に全てが実質的に同一の平面(たとえば、信号電極層1100の電気トレースの平面)に存在した状態で、関連する信号測定電子機器(図示せず)を、各マルチモードセンサ領域1114のコンデンサ各対間のコモンモード信号を差し引くことができる。とりわけこの配置によって、それぞれの電気トレース1106の全てまたは実質的に全てが実質的に同一平面上にあり、コモンモード信号が差し引かれた状態で、コンデンサ対から発生する残りの差動信号は、対のコンデンサの屈曲における差に完全にまたは実質的に起因していてよいので、対を成すコンデンサからのより高いコモンモード除去比を有する実施形態をもたらすことができる。
【0139】
幾つかの実施形態では、折り畳まれる電気トレース1106は、自由に折り畳まれてよく、つまり、電気トレース1106は、ループを形成するように折り曲げられてよい。幾つかの実施形態では、折り畳まれた電気トレース1106は、機械的にまたは別の形式で信号電極層1100に取り付けられていてよく、または挿入構成を使用して形成されていてよい。さらに図11Bには、各対にされたセンサ領域1104と折畳み可能なセンサ領域1102との間に位置決めされた単一の挿入部材1112が示されているが、別の実施形態では、各対にされたセンサ領域1104および折畳み可能なセンサ領域1102は、それらの間に位置決めされた2つ以上の挿入部材を有していてよい。
【0140】
図12は、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、多領域の角変位センサとして実装された別の例示的なセンサモジュール1200の概略図である。図示されているように、センサモジュール1200は、図9A図9Hに示した検出器パッチ900の複数の例を含んでいてよく、これらの検出器パッチ900は、センサモジュール1200を形成するために1つ以上のエラストマコネクタ1202を介して一緒に接続されている。センサモジュール1200は、1つ以上の電子機器ユニット、1つ以上の電源または別の構成要素、デバイスまたはシステムを含んでいてよい。このような角変位センサの構造、動作および実現についての付加的な開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第10,5551,917号明細書において見出すことができる。
【0141】
図13は、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、例示的なPCBインタフェース1300の概略図である。PCBインタフェース1300は、本明細書に記載された別のPCBインタフェースを含んでいてよく、または別のPCBインタフェースに含まれていてよく、またはPCBインタフェース1300に対応していてよい。たとえば、本明細書に記載された任意のPCBインタフェースは、図13に示したPCBインタフェース1300と同一、類似、または異なる構成を有していてよい。
【0142】
幾つかの実施形態では、PCBインタフェース1300は、第1の電極層902または第2の電極層906のような、検出器パッチの層上に配置または形成されており、これにより対応するセンサモジュールの電子機器ユニット、たとえば、このような電子機器ユニットのPCBのための接続点および組付け点を提供することができる。PCBインタフェース1300は、カーボンブラック、ニッケルナノストランド、銀ナノ粒子、グラフェンナノプレート、酸化グラフェンなどのような導電性ナノ粒子を備えた導電性部分を含んでいてよい。たとえば、図13に示したPCBインタフェース1300は、銀ナノ粒子インクまたは別の導電性材料で印刷されたトレースパッド1302を含んでいてよい。
【0143】
本明細書に記載された幾つかのセンサモジュールおよび/または検出器パッチは、曲げセンサとして実施されていてもよく、曲げセンサを含んでいてよい。図14A図14Cは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された例示的な曲げセンサ1400を示す。曲げセンサ1400は、本明細書に記載された別の曲げセンサ、検出器パッチおよび/またはセンサモジュールを含んでいてよく、別の曲げセンサ、検出器パッチおよび/またはセンサモジュールに含まれていてよく、または別の曲げセンサ、検出器パッチおよび/またはセンサモジュールに対応していてよい。たとえば、本明細書に記載された検出器パッチのいずれかが、図14A図14Cに記載された曲げセンサ1400と同一、類似、または異なる構成を有していてよい。
【0144】
曲げセンサ1400は、概して、その幅および高さを超える長さを有する細長い構成を有していてよい。図14Aは、曲げセンサ1400の長さおよび高さに対して平行な平面での曲げセンサ1400の断面図である。図14Bは、曲げセンサ1400の幅および高さに対して平行な平面での曲げセンサ1400の断面図である。図14Cは、曲げセンサ1400の動作理論を示している。
【0145】
曲げセンサ1400は、概して、図14Aの平面において曲がるように構成されていてよく、これにより、図14Aの平面における単軸の角変位を測定することができる。概して、曲げセンサ1400は、互いに上下に積み重ねられて第1のコンデンサ1402および第2のコンデンサ1404または容量センサを形成するように配置された種々異なる層、電極、センサ領域および/または電気トレース(たとえば検出器パッチ900)を含んでいてよい。第1のコンデンサ1402は、曲げセンサ1400の中心1406の片側(たとえば、上側)に位置決めされていてよい一方で、第2のコンデンサ1404は、中心1406の反対側(たとえば、下側)に位置決めされていてよい。
【0146】
幾つかの実施形態では、曲げセンサ1400は、別のシリコーンエラストマ製品と同様の機械的特性および動作温度を与える、導電性および非導電性のフィラーでドープされた層状の医療用グレードのシリコーンエラストマを使用して作製されていてよい。
【0147】
幾つかの実施形態では、曲げセンサ1400は、差動容量測定を介して角変位を測定することができる。したがって、温度変動、歪みおよびノイズのようなコモンモード信号は拒絶され、角変位の忠実度の高い測定が提供され得る。
【0148】
幾つかの実施形態では、差動容量は、1.8ボルト(V)での100マイクロアンペア(μA)未満の電力消費で、極めて低いサンプリング電力を使用して測定され得る。幾つかの別の曲げセンサ技術とは異なり、信号は、経時的に極めて安定的であってよく、ドリフトせず、高い信頼性および精度を促進する。
【0149】
曲げセンサ1400は、複数のチャネルおよび空間的に明確な「曲げピクセル」を含むようにカスタマイズされていてよく、任意の寸法および様々な剛性を有していてよく、拡張不能に、またはフレックス回路内に直接に組み込まれていてよく、かつ/または曲げ直交平面を測定するように構成されてよい。本明細書で使用される「曲げピクセル」は、曲げピクセルに限局される角変位を示す差動容量を出力する対にされた、積み重ねられたコンデンサのセットを意味している。たとえば、第1のコンデンサ1402および第2のコンデンサ1404のそれぞれを、その長さに沿ってセグメント化し、線形に整列された複数の第2のコンデンサ1404から中心1406を横切って離間する線形に整列された複数の第1のコンデンサを形成することによって、積み重ねられた第1のコンデンサおよび第2のコンデンサの各対は、曲げピクセルに限局される角変位を示す差動容量を出力するように構成された曲げピクセルを形成する。
【0150】
幾つかの実施形態では、コンデンサ1402,1404は、中心1406からオフセットされていてよく(たとえば、中心1406の各側に1つ)、かつ曲げセンサ1402の全長または実質的に全長に延びていてよく、差動容量は2つのオフセットされたコンデンサの間で測定される(図1)。出力が差動出力であるので、引張歪みのようなコモンモード信号は拒絶されてよい。したがって、曲げセンサ1400のような柔軟な角変位センサは、コモンモード引張歪み、コモンモード圧縮歪み、またはこれら両方の混合が曲げ歪みに重ね合わせられる場合でさえも、正確な曲げ角度を測定することができる。
【0151】
図14Cを参照すると、曲げセンサ1400の出力は、曲げセンサ1400の端部によって定義されたベクトルV,Vから計算される角変位Δθであってよい。図14Cは、曲げセンサ1400の曲げ部分1410の詳細な断面図1408を付加的に含んでいる。図1408に示すように、曲げの内側の第1のコンデンサ1402が、圧縮歪みεを受けて得るのに対して、曲げの外側の第2のコンデンサ1404は、引張歪みεを受け得る。曲げられていない状態または歪みのない状態と比較すると、図14Cに示されている曲がった状態では、歪みが、コンデンサ1402,1404の容量を逆方向に(たとえば、一方は増加してよいが、他方は減少してよい)変化させていてよく、このことは、2つのコンデンサ1402,1404の差動容量を増加させてよい。差動容量測定は、曲げセンサ1400の総角変位に線形に比例してよい。本明細書で使用される総角変位は、ベクトルVとVとの間の角度を指していてよい。
【0152】
曲げセンサ1400などの柔軟な角変位センサは、経路独立の特性を有しており、これにより、無関係な曲げは、センサ出力に制限された影響しか有していない。この特性は、コンデンサ、たとえば第1のコンデンサ1402および第2のコンデンサ1404が曲げセンサ1400の長さまたは曲げセンサ1400の実質的な長さにわたって延びているという事実から生じ得る。このように、曲げの総量は、無関係の曲げ経路がキャンセルされるように、長さに沿って統合されている。このことは、曲げの位置が、曲げセンサ1400の長さに沿ったいかなる場所でも生じ得ることを意味している。
【0153】
図14A図14Cは、単軸の曲げセンサ1400を示している。曲げセンサ1400の動作原理は、図15に示したような二軸の曲げセンサに拡張されてよい。図15は、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、別の例示的な曲げセンサ1500を示している。曲げセンサ1500は、本明細書に記載された別の曲げセンサ、検出器パッチおよび/またはセンサモジュールを含んでいてよく、または別の曲げセンサ、検出器パッチおよび/またはセンサモジュール含まれていてよく、または別の曲げセンサ、検出器パッチおよび/またはセンサモジュール対応していてよい。たとえば、本明細書に記載された検出器パッチのいずれかが、図15の曲げセンサ1500と同一、類似、または異なる構成を有していてよい。
【0154】
曲げセンサ1500は、概して図14A図14Cに示した曲げセンサ1400と同様に、概してその幅および/または高さを超える長さを有する細長い構成を有していてよい。図15は、曲げセンサ1500の幅および高さに対して平行な平面における曲げセンサ1500の断面図である。示されているように、曲げセンサ1500は、対にされた第1コンデンサ1502,1504と、対にされた第2のコンデンサ1506,1508とを含んでいる。各コンデンサ1502,1504,1506,1508は、(たとえば、図15に示した平面内および平面外で)曲げセンサ1500の長さ全体または実質的に全体に延在していてよい。対にされた第1のコンデンサ1502,1504からの第1の差動信号は、縦方向に整列した、図15の平面から出入りする平面における曲げセンサ1500の角変位を測定することができる。対にされた第2のコンデンサ1506,1508からの第2の差動信号は、横方向に整列され、図15の平面から出入りする平面における曲げセンサ1500の角変位を測定することができる。
【0155】
図16Aおよび図16Bは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、取り付けられた1つ以上のセンサモジュールを備えた車両タイヤ1600A,1600Bの断面図を含んでいる。図16Aおよび図16Bは、車両タイヤ1600A,1600Bにおけるセンサモジュールの異なる例示的な配置を示している。別の配置も可能である。
【0156】
より詳細には、図16Aは、図6A図6Bに示した検出器パッチ600の複数の例を含む1つ以上のセンサモジュールを備えた車両タイヤ1600Aの斜視断面図である。(個別または共有の電子機器ユニットおよび/または電源を備えた)検出器パッチ600は、タイヤビード1604、トレッド部分1608、ショルダ部分1610およびサイドウォール部分1612を有する車両タイヤ1600Aの内面1602上に分散されていてよい。センサモジュールおよびそのセンサ領域616(図6Aおよび図6B)は、サイドウォール部分1612、ショルダ部分1610および/またはトレッド部分1608のうちの1つ以上の内面1602に極めて近接して、かつ/または内面1602上に配置されていてよい。幾つかの実施形態では、検出器パッチ600を、15°、30°、60°、90°、120°および/または180°毎に車両タイヤ1600Aの全周にわたって分配することができるか、または別の分配を有していてよい。
【0157】
図16Bは、図7A図7Dに示した信号電極層または別の信号電極層のうちの1つをそれぞれ有する検出器パッチ1614の複数の例を含む1つ以上のセンサモジュールを備えた車両タイヤ1600Bの斜視断面図である。(個別または共有の電子機器ユニットおよび/または電源を備えた)検出器パッチ1614は、タイヤビード1618、トレッド部分1620、ショルダ部分1622およびサイドウォール部分1624を有する車両タイヤ1600Bの内面1616上に分散されていてよい。検出器パッチ1614およびそれらのセンサ領域は、サイドウォール部分1624、ショルダ部分1622および/またはトレッド部分1620のうちの1つ以上の内面1616に極めて近接して、かつ/または内面1616上に配置されていてよい。幾つかの実施形態によれば、検出器パッチ1614を、15°、30°、60°、90°、120°および/または180°毎に車両タイヤ1600Bの全周にわたって分配することができか、または別の分配を有していてよい。
【0158】
図17Aから図17Dは、本明細書に記載された少なくとも幾つかの実施形態に従って配置された、車両の運転時の車両タイヤ1700が受け得る幾つかの力を示している。図17Bおよび図17Cには付加的に、車両タイヤ1700の内面におけるセンサモジュール1702,1704および/またはその検出器パッチの例示的な配置を付加的に示している。図17Dは、停止状態1706および使用状態1708にある車両タイヤ1700を示している。
【0159】
車両タイヤ1700がホイール/リムに取り付けられており、前方に運動して旋回している場合、車両タイヤ1700に加えられる力は、図示のようになり得る。路面上の車両タイヤ1700の接触パッチは、車輪と車両タイヤ1700の一部とが外側に変位した結果として力を受けてよい一方で、接触パッチは、路面との接触を維持する。Y軸に沿った力Fyは、車両タイヤ1700/ホイールのY軸に沿った空間変位Yをもたらしてよい。車両タイヤ1700の構造に加えられる少なくとも1つの力ベクトルは、車両タイヤ1700のトレッド部分、ショルダ部分および/またはサイドウォール部分に変形を引き起こし得る。
【0160】
図17Dを参照すると、タイヤ変位角Aiuは、たとえば、停止しているサイドウォール部分の(図17に示した停止状態1706において縦方向で示されている)角度Aarに対して特定することができる。図17Dに示したように、停止している車両タイヤ1700または車両タイヤ1700の一部の物理的な位置は、使用または運転中の同一のタイヤ部分の物理的な位置と比較することができる。幾つかの実施形態では、このように特定されたタイヤパラメータは、第1の停止中位置、たとえばY1arおよび/またはY2ar(Y軸における位置、タイヤ回転軸線に沿って横方向内側)から第2のリアルタイム位置(たとえばY1iuおよび/またはY2iu)へのタイヤ部分の物理的な変位を含んでいてよく、このような変位は、歪みセンサ出力を生じさせる。幾つかの実施形態では、「停止中」または停止状態1706は、車両タイヤ1700が回転していない場合であってよい。幾つかの実施形態では、「停止中」は、車両タイヤ1700が取り付けられている車両が静止しているが、荷重を加えられており、たとえば車両の全てのタイヤによって支持されている場合であってよい。幾つかの実施形態では、「使用中」は、車両タイヤ1700が回転している場合であってよい。幾つかの実施形態では、使用中とは、タイヤが取り付けられている車両が運動中、たとえば車両が旋回、加速、減速および/または一定の速度で運転中である場合であってよい。幾つかの実施形態では、センサモジュール1702,1704は、車両タイヤ1700のサイドウォール部分に配置されていてよく、本明細書に記載された実施形態に従って特定されたタイヤパラメータは、第1の静止中のタイヤサイドウォール部分の角度Aarから第2のリアルタイムのタイヤサイドウォール部分の角度Aiuへの角変位を含んでいてよく、このサイドウォール部分の角度の変化は、歪みセンサ出力を生じる。
【0161】
幾つかの実施形態では、タイヤの歪みを特定するための方法が記載されている。本方法は、既知のタイヤ物理パラメータを用いて基準容量センサ振幅出力を特定することによる、上述のセンサモジュールの較正を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、本方法は、実際の、たとえばリアルタイムタイヤパラメータ、たとえばタイヤウォール変位角における変化、タイヤの部分の物理的な変位または別の変形によって生成される容量センサ振幅出力の受信を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、本方法は、受信した歪みセンサ振幅を、既知のタイヤ物理パラメータを用いて特定された特定の歪みセンサ振幅出力と相関させることによって、タイヤの歪みを特定することを含んでいてよい。
【0162】
幾つかの実施形態では、車両タイヤの全体的な変形を測定するための方法が記載されている。本方法は、車両タイヤのショルダ部分および/またはトレッド部分の内側表面に極めて近接してかつ/またはこの内側表面上に配置された1つ以上のセンサモジュールにより、タイヤのトレッド部分およびショルダ部分に加えられる歪みを測定することを含んでいてよい。幾つかの実施形態では、本方法は、1つ以上のセンサモジュールによって車両タイヤの1つ以上のサイドウォール部分に加えられる歪みおよび角変位を測定することを含んでいてよい。幾つかの実施形態では、本方法は、1つ以上のセンサモジュールの停止中の容量出力を、1つ以上のセンサモジュールの歪まされた状態での容量出力と比較することによる、タイヤの全体的な変形を特定することを含んでいてよい。
【0163】
幾つかの実施形態では、サイドウォールタイヤ摩耗および/またはタイヤ異常を検出するための方法が記載されている。本方法は、1つ以上のセンサモジュールを使用して、たとえば、停止中または第1の時間位置における第1の位置から、たとえば運動位置および/または第2の時間位置における第2の位置への物理的な変形または運動を使用して、サイドウォール部分の第1の部分およびサイドウォール部分の第2の部分に加えられる歪みを測定することを含んでいてよい。幾つかの実施形態では、本方法は、サイドウォール部分の第1の部分および第2の部分の、たとえば停止中または第1の時間位置における第1の位置から、たとえば運動位置および/または第2の時間位置における第2の位置への歪みまたは角変位、たとえば物理的な変形または運動を比較することを含んでいてよい。幾つかの実施形態において、本方法は、測定された歪み間の容量出力の差が所定の閾値を超えているか否かの特定を含んでいてよい。
【0164】
図18は、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、タイヤの1つ以上のパラメータを推定するための例示的な方法1800のフローチャートである。本方法1800は、本明細書に記載されているようなセンサモジュール、電子機器ユニットなどによって、全体的または部分的に、実行されるか、または制御されてよい。方法1800は、ブロック1802,1804および/または1806のうちの1つ以上を含んでいてよい。
【0165】
ブロック1802において、本方法1800は、検出器パッチの1つ以上のコンデンサをそれぞれ充電することを含んでいてよい。コンデンサは、DCまたはACによって充電されてよい。ブロック1802には、ブロック1804が続いてよい。
【0166】
ブロック1804において、本方法1800は、各コンデンサの静電容量、1対のコンデンサの差動静電容量または各コンデンサの静電容量の変化を特定することを含んでいてよい。幾つかの実施形態では、ブロック1804は、各コンデンサの電圧のインピーダンスバッファリング、ADC出力値が歪みに比例する箇所でのADCによる電圧サンプリングおよび較正係数の適用を含んでいてよい。ブロック1804には、ブロック1806が続いてよい。
【0167】
ブロック1806において、本方法1800は、特定された静電容量、差動静電容量または静電容量の変化に基づく、または特定された静電容量、差動静電容量または静電容量の変化を用いた、1つ以上のパラメータの推定を含んでいてよい。ブロック1806は、タイヤのトレッド摩耗、荷重またはトラクションのうちの少なくとも1つを推定するために、タイヤ変形波形の特徴を追跡するための機械学習アルゴリズムの適用を含んでいてよい。
【0168】
幾つかの実施形態では、特定および推定の前に、本方法1800はさらに、既知のタイヤ物理パラメータを用いた各コンデンサの基準出力の特定を含む、各コンデンサの較正を含んでいてよい。
【0169】
幾つかの実施形態では、方法1800は、タイヤ物理パラメータが未知の状態で各コンデンサの出力を受信することをさらに含んでいてよい。この例では、ブロック1806における推定は、既知のタイヤ物理パラメータでの基準出力と、未知のタイヤ物理パラメータのための出力との比較を含んでいてよい。
【0170】
幾つかの実施形態では、本方法1800はさらに、タイヤの進行方向の±30度以内、またはタイヤの進行方向に対して垂直な方向の±30度以内に、1つ以上のコンデンサの第1のコンデンサの長さが整列された状態で、検出器パッチをタイヤに取り付けることをさらに含んでいてよい。第1のコンデンサは、長さおよび幅を有しており、前記長さは前記幅を上回っていてよい。
【0171】
幾つかの実施形態では、方法1800は、各コンデンサがタイヤトレッド、タイヤショルダおよびタイヤサイドウォールからなる群から選択される少なくとも1つの近傍に配置された状態で、検出器パッチをタイヤに取り付けることをさらに含んでいてよい。
【0172】
幾つかの実施形態によれば、方法1800は、各コンデンサを充電するために、検出器パッチに接続されたエネルギ生成回路内でエネルギを生成することをさらに含んでいてよい。
【0173】
図19は、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、検出器パッチを形成するための例示的な方法1900のフローチャートである。方法1900は、ブロック1902および/または1904のうちの1つ以上を含んでいてよい。幾つかの実施形態によれば、本明細書に記載された1つ以上の検出器パッチ600,800,900または別の検出器パッチを形成するために、方法1900または方法1900の変化形を使用することができる。
【0174】
ブロック1902において、本方法1900は、信号電極層604,700A~700D,804,904,1100のいずれかのような信号電極層を形成することを含んでいてよい。ブロック1902は、シリコーンなどのようなエラストマ材料層の形成を含んでいてよい。エラストマ材料層は、付加印刷または別の方法により形成されていてよい。ブロック1902は、エラストマ材料層の第1の部分において、エラストマ材料層上に第1のセンサ領域を形成することを含んでいてよい。ブロック1902は、第1のセンサ領域に挿入部材を配置することを含んでいてよい。ブロック1902は、エラストマ材料層の第2の部分において、エラストマ材料層上に第2のセンサ領域を形成することを含んでいてよい。第1のセンサ領域および第2のセンサ領域のそれぞれは、1つ以上の導電性材料を含んでいてよく、かつ/または導電性インク付加印刷または別の適切なプロセスまたは材料によって形成されてもよい。ブロック1902は、第2の部分を第1の部分上に位置決めするためにエラストマ材料層の折り畳みを含んでいてよく、第2のセンサ領域は、第1のセンサ領域に整列され、かつ挿入部材によって第1のセンサ領域から分離されている。信号電極層は、折り畳まれたエラストマ材料層を含んでいてよく、この場合、整列された第1のセンサ領域および第2のセンサ領域は、挿入部材によって分離されている。ブロック1902には、ブロック1904が続いていてよい。
【0175】
ブロック1904において、本方法1900は、誘電体層によって信号電極層から離間された接地電極層を形成することを含んでいてよい。接地電極層は、たとえば、第1の電極層602,802,902、第2の電極層606,906、または本明細書に記載された別の電極層のいずれかを含んでいてよい。ブロック1904は、別のエラストマ材料層を形成することと、エラストマ材料層上に導電性メッシュ構造体を形成することとを含んでいてよい。
【0176】
幾つかの実施形態では、エラストマ材料層は、PCBインタフェース808,918,1300または別のPCBインタフェースのいずれかのような電子機器接続領域もしくは本明細書に記載された電子機器接続領域を含んでいてよい。本方法1900は、折畳みの前に、電子機器接続領域において第1のセンサ領域を第1の電気パッドに電気的に接続する第1のトレースをエラストマ材料層上に形成することと、電子機器接続領域内で第2のセンサ領域を第2の電気パッドに電気的に接続する第2のトレースをエラストマ材料層上に形成することとをさらに含んでいてよい。第1のトレースおよび第2のトレースはそれぞれ、1つ以上の導電性材料を含んでいてよい。
【0177】
幾つかの実施形態では、本方法1900は、実質的に信号電極層の周囲にファラデーケージを形成することをさらに含んでいてよい。本実施形態および別の実施形態では、接地電極層は、(第1の電極層602,802,902のいずれかのような)第1の接地電極層を含んでいてよく、誘電体層は、第1の接地電極層上に形成された、(誘電体層608,806,908のような)第1の誘電体層を含んでいてよく、信号電極層は、第1の誘電体層上に形成されていてよく、ファラデーケージを形成することは、(誘電体層610,910のような)第2の誘電体層によって信号電極層上に、かつ信号電極から離間して(第2の電極層606,906のような)第2の接地電極層を形成することと、第1の誘電体層、信号電極層および第2の誘電体層を実質的に取り囲む(周辺電極807,912のような)周辺電極を形成することとを含んでいてよい。周辺電極は、第1の接地電極層を第2の接地電極層に電気的に接続してよい。
【0178】
幾つかの実施形態では、接地電極層は、(第1の電極層602,802,902のいずれかのような)第1の接地電極層を有していてよく、誘電体層は、第1の接地電極層に形成された、(誘電体層608,806,908のような)第1の誘電体層を有していてよく、信号電極層は、第1の誘電体層上に形成されていてよい。本実施形態および別の実施形態では、方法1900は、第1の接地電極層を形成する前に、(第1の誘電体カバー層914のような)第1の誘電体カバー層を形成し、ここで第1の接地電極層は、第1の誘電体カバー層上に形成されていることと、信号電極層上に(誘電体層910のような)第2の誘電体層を形成することと、第1の誘電体層、信号電極層および第2の誘電体層を実質的に取り囲む(周辺電極912のような)周辺電極を形成し、ここで周辺電極が第1の接地電極層に電気的に接続されていることと、第2の誘電体層上に(第2の電極層906のような)第2の接地電極層を形成し、かつ周辺電極および第1の接地電極層に電気的に接続することと、第2の接地電極層上に(第2の誘電体カバー層916のような)第2の誘電体カバー層を形成することとをさらに含んでいてよい。
【0179】

例1:高い負荷が加えられるタイヤ領域の特定
図20A図20Bは、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に従って調整された、本例において生成されるタイヤ負荷およびその位置のコンピュータモデルを含んでいる。本例では、205/R15ラジアルタイヤをタイヤ負荷システムに取り付け、タイヤを約31ポンド平方インチ(psi)まで膨張させた。タイヤのさまざまな場所に加えられるタイヤ負荷は、本明細書に記載されたような様々なセンサモジュールによって、タイヤの内側のさまざまな場所にセンサ領域が分配された状態で測定された。測定値は、ANSYS19.2ソフトウェアモジュールを備えたラップトップコンピュータにより受信された。結果として生じた測定値は処理され、図20A図20Cに示すような画像が生成された。変化する負荷の領域が異なる陰影で示されており、トレッドおよびサイドウォールにおける高負荷領域2002,2004は、10.0mmよりも大きなタイヤ変形を示す。図20Aにおいて、「CP」は、路面とタイヤとの接触パッチを示し、「RC」は、路面上に設置されたタイヤの半径方向の圧縮を示す。本例では、RCは約16mmであると測定された。センサ領域、誘電性発電材料および/または圧電性発電材料を2002および2004のような高負荷領域に配置することは、それぞれのセンサ領域、誘電性発電材料および/または圧電性発電材料に加えられる変位の振幅を増大および/または最大化し得る。
【0180】
例2A:層状の検出器パッチの形成
実質的に図6Aおよび図6Bに図示したような層の実施形態は、米国特許第8,941,281号明細書、米国特許第9,476,692号明細書および米国特許第9,874,431号明細書に開示されているものと同一または同様の技術および/または材料を用いて製造された。本実施形態では、18個のセンサ領域616が形成/製造された(36チャネル)が、より一般的には、センサ領域616の数は必要に応じて規定して製造することができる。さらに、検出器パッチ600は、実質的にH字形の検出器パッチ600(図6Bの設置面積を参照)の4つの外側のコーナにそれぞれに配置された2つのセンサ領域616がタイヤのサイドウォールの内側に配置され、実質的にH字形の検出器パッチ600の4つの内側のコーナにそれぞれ配置された2つのセンサ領域616がタイヤのショルダ内側に配置され、T字形の配列を有する、実質的にH形の検出器パッチ600の中心の2つのセンサ領域616が、タイヤのトレッドの内側に配置されるように、寸法設定されかつ構成されている。
【0181】
例2B:層状の検出器パッチの形成
図7Aに示した信号電極層700Aの設置面積を備えた、図6Aに実質的に示されているような層の実施形態は、米国特許第8,941,281号明細書、米国特許第9,476,692号明細書および米国特許第9,874,431号明細書に開示されているものと同一または類似の技術および/または材料を用いて製造された。本実施形態では、2つのセンサ領域702が、検出器パッチ内に形成/製造されている(4チャネル)。センサ領域702の個数は、例2Aと比較して減じられており、ここでは多重化回路は不要である。さらに、本実施形態では、非センサ領域において、接地電極としての第1の電極層および第2の電極層は、検出器パッチの長手方向軸線に対して約45°でクロスハッチングされた導電性メッシュ構造体を含んでいる。メッシュ構造体は、対応するエラストマ層上に導電性インクを堆積させることにより、対応するエラストマ層上に配置されている。2つのセンサ領域702のうちの短い方のセンサ領域は、タイヤサイドウォール位置に配置されるように対応し、2つのセンサ領域702のうちの長い方のセンサ領域は、タイヤトレッド位置に配置されるように対応している。
【0182】
例3:センサシステムの形成
例1に記載されたような検出器パッチは、9ボルトバッテリと、RFアンテナを含むブルートゥース通信回路とに配線された。このタイヤは転がり抵抗機に取り付けられ、約31PSIに膨張させられた。生データ出力は、ラップトップコンピュータ上に表示された。付加的な人工知能チップが、上述のローデータ出力を分析するために接続されてよい。
【0183】
例4:エネルギ生成システムの形成
例1において構成されたような検出器パッチは、たとえば自動車のタイヤの一部の内側表面上のエネルギ生成回路に電気的に接続されている。エネルギ生成回路は、3インチ×5インチの圧電性発電フィルムと、歪み貯蔵機能を提供し、所定の閾値に達した場合に、電気的に接続されたImprint Energy社(米国カリフォルニア州アラメダ)の亜鉛ポリマバッテリに蓄積した電荷を放電するエネルギハーベスティング貯蔵モジュールとを含んでいる。
【0184】
例5:歪みおよび変位テスト
上記の例1および例2Aにおいて記載されたような検出器パッチを備えたセンサモジュールは、グッドイヤー(Goodyear)R205/15ラジアルの内面に挿入されており、幾つかのセンサ領域がタイヤのサイドウォール内に対応して配置されており、幾つかのセンサ領域が、タイヤのショルダ内に配置されており、幾つかのセンサ領域をタイヤトレッド内に位置決めされている。センサモジュールは、接着化合物を使用してその位置に接着されており、室温で24時間硬化させられた。結果として生じたタイヤおよび取り付けられたセンサモジュールは、転がり抵抗機に取り付けられた。各センサ領域は、ブルートゥース受信機を備えたラップトップコンピュータ上に表示された容量放電の形態の生データを送信する。転がり抵抗機によって加えられた抵抗は変化し、データにおける対応する変化が記録された。
【0185】
実施例6:エネルギ生成
エネルギ生成回路300のようなエネルギ生成回路は、タイヤの一部に位置決めされて取り付けられている。発電素子(本例では圧電フィルム)が取り付けられたタイヤを手動で変形させて電圧が測定された。
【0186】
図21は、本明細書に記載された1つ以上の動作を実行するか、または実行を指示するために使用され得る例示的な計算システム2102のブロック図を示している。本明細書に記載された電子機器ユニットは、計算システム2102または計算システム2102の一部を含んでいてよく、または計算システム2102として実施されていてよい。計算システム2102は、プロセッサ2104、メモリ2106およびデータストレージ2108を含んでいてよい。プロセッサ2104、メモリ2106およびデータストレージ2108は、通信可能に接続されていてよい。
【0187】
概して、プロセッサ2104は、種々異なるコンピュータハードウェアまたはソフトウェアモジュールを含む任意の適切な専用または汎用のコンピュータ、コンピューティングエンティティまたは処理デバイスを含んでいてよく、かつ任意の適用可能なコンピュータ可読記憶媒体上に格納された命令を実行するように構成されていてよい。たとえば、プロセッサ2104は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、ASIC、FPGAまたはコンピュータ実行可能命令を解釈かつ/または実行し、かつ/またはデータを処理するように構成された任意の別のデジタル回路またはアナログ回路を含んでいてよい。単一のプロセッサとして示されているが、プロセッサ2104は、本開示に記載された任意の数の動作の実行を個別に、または集合的に実行または指示するように構成された任意の数のプロセッサを含んでいてよい。
【0188】
幾つかの実施形態では、プロセッサ2104を、メモリ2106、データストレージ2108あるいはメモリ2106およびデータストレージ2108に格納されたコンピュータ実行可能命令および/またはプロセスデータを解釈し、かつ/または実行するように構成されていてよい。幾つかの実施形態では、プロセッサ2104は、データストレージ2108からコンピュータ実行可能命令をフェッチし、このコンピュータ実行可能命令をメモリ2106にロードすることができる。コンピュータ実行可能命令がメモリ2106にロードされた後、プロセッサ2104は、コンピュータ実行可能命令を実行することができる。
【0189】
メモリ2106およびデータストレージ2108は、格納されたコンピュータ実行可能命令またはデータ構造を担持または保持するためのコンピュータ可読記憶媒体を含んでいてよい。このようなコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサ2104のような、汎用または専用のコンピュータによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を含んでいてよい。たとえば、このようなコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、電気的に消去可能なROM、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)または別の光学ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは別の磁気記憶装置、フラッシュメモリデバイス(たとえば、ソリッドステートメモリデバイス)またはコンピュータ実行可能命令またはデータ構造の形態で特定のプログラムコードを担持または記憶するために使用することができ、汎用または専用のコンピュータによりアクセスすることができる別の記憶媒体を含んでいてよい。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読記憶媒体の範囲内に含まれてよい。コンピュータ実行可能命令は、たとえば、プロセッサ2104に特定の動作または動作グループを実行させるように構成された命令およびデータを含んでいてよい。
【0190】
本明細書で開示されるプロセスおよび/または方法に関して、プロセスおよび方法において実施される機能は、コンテキストによって示され得るように、異なる順序で実施されてよい。さらに、概説されたステップおよび動作は、単に例として提供されており、幾つかのステップおよび動作は任意であってよく、組み合わせられてより少ないステップおよび動作を形成してもよく、または付加的なステップおよび動作に拡張されてもよい。
【0191】
本開示は、異なる別の構成要素に含まれるか、または異なる別の構成要素に接続された異なる構成要素を図示している場合がある。そのような図示された構成は単に例示的であり、同一または類似の機能を達成する多くの別の構成を実施することができる。
【0192】
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される分子量のような成分、特性、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての場合に「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、明細書および添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に均等論の適用を制限しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁数に照らして、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0193】
本開示および添付の実施形態(たとえば、添付の実施形態の本体)において使用される用語は、概して、「オープンな」用語として意図されている(たとえば、用語「含んでいる(including)」は、「含んでいるが、限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includ)」は、「含む(includs but not limited to)」と解釈されるべきである。さらに、特定の数の要素が導入される場合、これは、文脈によって示され得るように、少なくとも列挙された数を意味すると解釈され得る(たとえば、別の修飾語なしの「2つの列挙」の素読は、2つ以上の列挙のうちの少なくとも2つの列挙を意味する)。本開示で使用される場合、2つ以上の代替的な用語を提示する任意の選択的な単語および/または語句は、それらの用語のうちの一方、それらの用語のいずれか、またはそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきである。たとえば、語句「AまたはB」は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解されるだろう。
【0194】
本開示を説明する文脈において(特に以下の実施形態の文脈において)使用される「a,an」、「前記(the)」という用語および類似の指示対象は、本明細書で特に指定のない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書で提供される任意の全ての例または例示的な用語(たとえば、「~のような(such as)」)の使用は、本開示をより良く説明することを意図しているに過ぎず、いかなる実施形態の範囲にも制限を与えない。本明細書中のいずれの表現も、本開示の実施に必須の任意の非具現化要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0195】
本明細書に開示された代替的な要素または実施形態の群化は、制限するものとして解釈されるべきではない。各群の構成部分は、個別にも、または本明細書で見出される群の別の構成部分もしくは別の構成要素との任意に組み合わせでも参照され、実施され得る。1つの群の1つ以上の構成部分が、利便性および/または特許性の理由から群に含まれ、または群から削除され得ることが予想される。こうした包含または欠失が生じた場合、明細書は、添付の実施形態において使用される全てのマーカッシュ群の記載を満たすように修正された群を含むとみなされる。
【0196】
本開示を実施するための発明者たちに知られている最良の形態を含む、特定の実施形態が本明細書に記載される。当然ながら、記載されたこれらの実施形態の変化形は、上述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。発明者は、当業者がこのような変化形を適切に採用することを期待しており、発明者らは、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本開示が実施されることを意図している。したがって、実施形態は、適用法で許可される場合、実施形態に記載されている主題の全ての修正および等価物を含む。さらに、その全ての可能な変化形における上記の構成要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段の指示がないかぎりまたは文脈によって明らかに矛盾しない限り、意図される。
【0197】
結論として、本明細書に開示する実施形態は、実施形態の原理を説明していることを理解されたい。使用され得る別の修正も、実施形態の範囲内である。したがって、制限するものではなく例として、代替的な実施形態が、本明細書における教示に従って利用されてもよい。したがって、各実施形態は、図示および説明した実施形態に正確に限定されない。
【0198】
実施形態A
車両タイヤであって、
トレッド部分と、
サイドウォール部分と、
前記タイヤの1つ以上のパラメータを推定するためのセンサモジュールと
を有しており、該センサモジュールが、
1つ以上のコンデンサを有する検出器パッチであって、各コンデンサが、少なくとも各コンデンサの変形に起因して可変である静電容量を有している、検出器パッチと、
各コンデンサに接続され、かつセンサモジュールを制御するように構成されている電子機器ユニットと
を有しており、
前記検出器パッチが、前記トレッド部分または前記サイドウォール部分のうちの少なくとも1つの内側に接着されており、
前記コンデンサのうちの少なくとも1つのコンデンサが、前記トレッド部分および前記サイドウォール部分の内側のうちの前記少なくとも1つの内側に配置されており、かつ
前記電子機器ユニットが、各コンデンサの静電容量に基づいて前記パラメータのうちの少なくとも1つを推定するように構成されている、車両タイヤ。
【0199】
実施形態B
前記電子機器ユニットが、前記トレッド部分または前記サイドウォール部分の前記内側に配置されている、実施形態A記載の車両タイヤ。
【0200】
実施形態C
前記コンデンサは、前記検出器パッチの厚さ方向で2つ以上の層または1つの層として積み重ねられている、実施形態AまたはB記載の車両タイヤ。
【0201】
実施形態D
各コンデンサが、3つの電極層それぞれの少なくとも一部を有しており、前記電極層のうちの2つの電極層は接地されている、実施形態AからCまでのいずれか1つに記載の車両タイヤ。
【0202】
実施形態E
前記接地された電極層が、導電性メッシュ構造体を有している、実施形態D記載の車両タイヤ。
【0203】
実施形態F
前記検出器パッチは、前記接地された電極層間に接続された周辺電極をさらに有しており、
前記3つの電極層の信号電極層が、前記接地された電極層間に位置決めされており、かつ
前記接地された電極層および前記周辺電極は、前記信号電極層を実質的に取り囲み、かつ前記信号電極層の周囲を実質的に取り囲むファラデーケージを形成する、実施形態D記載の車両タイヤ。
【0204】
実施形態G
前記3つの電極層は、導電性接着剤によって前記電子機器ユニットに取り付けられている、実施形態D記載の車両タイヤ。
【0205】
実施形態H
各コンデンサが、直流電流によって充電され、各コンデンサの静電容量の変化が、放電された電荷の量に基づいて計算される、実施形態AからGまでのいずれか1つに記載の車両タイヤ。
【0206】
実施形態I
前記1つ以上のコンデンサの第1のコンデンサが、長さおよび幅を有しており、前記長さが前記幅を上回っている、実施形態AからHまでのいずれか1つに記載の車両タイヤ。
【0207】
実施形態J
前記センサモジュールを前記タイヤに取り付けられている場合に、前記第1コンデンサの前記長さが、前記タイヤの進行方向の±30度以内に整列されているか、または前記タイヤの前記進行方向に対して垂直な方向の±30度以内に整列されている、実施形態I記載の車両タイヤ。
【0208】
実施形態K
前記1つ以上のコンデンサは、少なくとも第1のコンデンサおよび第2のコンデンサを有している、実施形態IからJまでのいずれか1つに記載の車両タイヤ。
【0209】
実施形態L
前記第1のコンデンサの主軸方向が、前記第2のコンデンサの主軸方向とは異なる方向に配向されている、実施形態K記載の車両タイヤ。
【0210】
実施形態M
前記第1のコンデンサの主軸方向が、前記第2のコンデンサの主軸方向に対して直交するように配向されている、実施形態K記載の車両タイヤ。
【0211】
実施形態N
前記検出器パッチが、複数の積み重ねられた層を有しており、前記積み重ねられた層はそれぞれ、0.1GPa以下のヤング率を有している、実施形態AからMまでのいずれか1つに記載の車両タイヤ。
【0212】
実施形態O
前記センサモジュールが、曲げセンサモジュールを有している、実施形態AからMまでのいずれか1つに記載の車両タイヤ。
【0213】
実施形態P
前記検出器パッチの1つ以上の前記コンデンサが、第1のコンデンサと、該第1のコンデンサ上に前記検出器パッチの厚さ方向で積み重ねられた第2のコンデンサとを有している、実施形態AからOまでのいずれか1つに記載の車両タイヤ。
【0214】
実施形態Q
前記コンデンサのそれぞれは、第2のノード内に実質的に取り囲まれ、該第2のノードから電気的に絶縁された第1のノードを有しており、前記第2のノードは、前記第1のノーを実質的に取り囲むファラデーケージを形成する、実施形態AからPまでのいずれか1つに記載の車両タイヤ。
【0215】
実施形態R
前記検出器パッチは、
第1の接地電極層と、
前記第1の接地電極層に接続された第1の誘電体層と、
前記第1の接地電極層とは反対側で前記第1の誘電体層に接続された信号電極層と、
前記第1の誘電体層とは反対側で前記信号電極に接続された第2の誘電体層と、
前記信号電極層とは反対側で前記第2の誘電体層に接続された第2の接地電極層と、
前記第一の接地電極層の周辺と前記第二の接地電極層の周辺との間に電気的に接続された周辺電極であって、前記信号電極層が、前記周辺電極から電気的に絶縁されている、周辺電極と
をさらに有する、実施形態AからQまでのいずれか1つに記載の車両タイヤ。
【0216】
実施形態S
前記検出器パッチの前記1つ以上のコンデンサが、第1のコンデンサを含んでおり、
前記検出器パッチの前記信号電極層が、導電性材料の第1のセンサ領域を有しており、かつ
前記第1のセンサ領域と、該第1のセンサ領域から前記第1の誘電体層により分離されている前記第1の接地電極層の第1の部分と、前記第1のセンサ領域から前記第2の誘電体層により分離されている第2の接地電極層の第1の部分とが、前記第1のコンデンサを形成する、実施形態R記載の車両タイヤ。
【0217】
実施形態T
前記検出器パッチの前記1つ以上のコンデンサが、第2のコンデンサをさらに含んでおり、
前記検出器パッチの前記信号電極層が、導電性材料の第2のセンサ領域をさらに含んでおり、
前記第1のセンサ領域と前記第2のセンサ領域とが、前記信号電極層内で互いに電気的に絶縁されており、かつ
前記第2のセンサ領域と、該第2のセンサ領域から前記第1の誘電体層により分離されている第1の接地電極層の第2の部分と、前記第2のセンサ領域から前記第2の誘電体層により分離されている前記第2の接地電極層の第2の部分とが、第2のコンデンサを形成する、実施形態R記載の車両タイヤ。
【0218】
実施形態U
電源をさらに有しており、前記電源が、エネルギ生成回路を有している、実施形態AからTまでのいずれか1つに記載の車両タイヤ。
【0219】
実施形態V
タイヤの1つ以上のパラメータを推定するための方法であって、該方法が、
検出器パッチの1つ以上のコンデンサをそれぞれ充電するステップと、
各コンデンサの静電容量、1対のコンデンサの差動静電容量または各コンデンサの静電容量の変化を特定するステップと、
特定された前記静電容量、差動静電容量または静電容量の変化に基づいて、前記パラメータのうちの少なくとも1つのパラメータを推定するステップと、
を有している、方法。
【0220】
実施形態W
前記特定するステップは、各コンデンサの電圧のインピーダンスバッファリング、前記ADC出力の値が歪みに比例するアナログ/デジタル変換器(ADC)による前記電圧のサンプリングおよび較正係数の適用を有していてよく、かつ
前記推定するステップは、トレッド摩耗、荷重またはトラクションのうちの少なくとも1つを推定するために、タイヤ変形波形の特徴を追跡するための機械学習アルゴリズムの適用を有している、実施形態V記載の方法。
【0221】
実施形態X
前記特定するステップおよび前記推定するステップの前に、各コンデンサを較正するステップをさらに有しており、前記較正するステップが、既知のタイヤ物理パラメータを用いて各コンデンサの基準出力を特定するステップを含んでいる、実施形態VまたはW記載の方法。
【0222】
実施形態Y
未知のタイヤ物理パラメータを有する各コンデンサの出力を受信するステップをさらに含み、前記推定するステップは、既知のタイヤ物理パラメータでの基準出力と、前記未知のタイヤ物理パラメータのための出力との比較を含む、実施形態X記載の方法。
【0223】
実施形態Z
前記タイヤの進行方向の±30度以内、または前記タイヤの前記進行方向に対して垂直な方向の±30度以内に、前記1つ以上のコンデンサの第1のコンデンサの長さが整列された状態で、前記検出器パッチを前記タイヤに取り付けるステップをさらに含み、前記第1のコンデンサは、前記長さおよび幅を有し、前記長さは、前記幅を上回っている、実施形態VからYまでのいずれか1つに記載の方法。
【0224】
実施形態AA
各コンデンサが、タイヤトレッド、タイヤショルダおよびタイヤサイドウォールからなる群から選択される少なくとも1つの近傍に配置された状態で、前記タイヤに前記検出器パッチを取り付けるステップをさらに含む、実施形態VからZまでのいずれか1つに記載の方法。
【0225】
実施形態BB
前記各コンデンサを充電するために、前記検出器パッチに接続されたエネルギ生成回路内でエネルギを生成するステップをさらに含む、実施形態VからAAまでのいずれか1つに記載の方法。
【0226】
実施形態CC
検出器パッチであって、
第1の接地電極層と、
該第1の接地電極層に接続された第1の誘電体層と、
前記第1の接地電極層とは反対側で前記第1の誘電体層に接続された信号電極層と、
前記第1の誘電体層とは反対側で前記信号電極に接続された第2の誘電体層と、
前記信号電極層とは反対側の前記第2の誘電体層に接続された第2の接地電極層と、
前記第1の接地電極層の周辺と前記第2の接地電極層の周辺との間に電気的に接続された周辺電極であって、前記信号電極層が、前記周辺電極から電気的に絶縁されている、周辺電極と
を有している、検出器パッチ。
【0227】
実施形態DD
前記第1の接地電極層、前記信号電極層および前記第2の接地電極層のうちの少なくとも1つが、内部またはその上に組み込まれた導電性材料を有するエラストマ材料を有している、実施形態CC記載の検出器パッチ。
【0228】
実施形態EE
前記第1の接地電極層、前記信号電極層および前記第2の接地電極層のうちの少なくとも1つが、導電性メッシュ構造体を有している、実施形態CCまたはDD記載の検出器パッチ。
【0229】
実施形態FF
前記第1の接地電極層、前記第1の誘電体層、前記信号電極層、前記第2の誘電体層、および前記第2の接地電極層がそれぞれ、0.1GPa以下のヤング率を有している、実施形態CCからEEまでのいずれか1つに記載の検出器パッチ。
【0230】
実施形態GG
前記信号電極層が、導電性材料の第1のセンサ領域と、導電性材料の第2のセンサ領域とを有しており、かつ
第1のセンサ領域と第2のセンサ領域とは、前記信号電極層内で互いに電気的に絶縁されている、実施形態CCからEEのまでのいずれか1つに記載の検出器パッチ。
【0231】
実施形態HH
前記第1のセンサ領域と、該第1のセンサ領域から前記第1の誘電体層により分離されている前記第1の接地電極層の第1の部分と、前記第1のセンサ領域から前記第2の誘電体層により分離されている第2の接地電極層の第1の部分とが、前記第1のコンデンサを形成し、かつ
前記第2のセンサ領域と、該第2のセンサ領域から前記第1の誘電体層により分離されている第1の接地電極層の第2の部分と、前記第2のセンサ領域から前記第2の誘電体層により分離されている前記第2の接地電極層の第2の部分とが、第2のコンデンサを形成する、実施形態GG記載の検出器パッチ。
【0232】
実施形態II
前記第1の接地電極層と、前記第2の接地電極層と、前記周辺電極とが、前記信号電極層を実質的に取り囲むファラデーケージを形成する、実施形態CCからHHのいずれか1つに記載の検出器パッチ。
【0233】
実施形態JJ
検出器パッチを形成する方法であって、
信号電極層を形成するステップを有しており、該ステップが、
エラストマ材料層を形成するステップと、
該エラストマ材料層の第1の部分において、前記エラストマ材料層上に第1のセンサ領域を形成するステップと、
前記第1のセンサ領域上に挿入部材を配置するステップと、
前記エラストマ材料層の第2の部分において、前記エラストマ材料層上に第2のセンサ領域を形成するステップであって、前記第1のセンサ領域および前記第2のセンサ領域がそれぞれ1つ以上の導電性材料を含んでいる、ステップと、
前記第2のセンサ領域が前記第1のセンサ領域に整列し、かつ前記挿入部材によって前記第1のセンサ領域から分離された状態で、前記第2の部分を前記第1の部分の上に位置決めするために前記エラストマ材料層を折り畳むステップであって、前記信号電極層が、前記挿入部材により分離された、整列した前記第1のセンサ領域および前記第2のセンサ領域を備えた、折り畳まれたエラストマ材料層を含む、ステップと、
誘電体層により前記信号電極層から離間された接地電極層を形成するステップと、を含んでいる、方法。
【0234】
実施形態KK
前記エラストマ材料層が、電子機器接続領域を含み、当該方法はさらに、前記折り畳むステップの前に、
前記第1のセンサ領域を前記電子接続領域の第1の電気パッドに電気的に接続する第1のトレースを前記エラストマ材料層上に形成するステップと、
前記第2のセンサ領域を前記電子接続領域の第2の電気パッドに電気的に接続する第2のトレースを前記エラストマ材料層上に形成するステップと
を有しており
前記第1のトレースおよび前記第2のトレースはそれぞれ、1種以上の導電性材料を含む、実施形態JJ記載の方法。
【0235】
実施形態LL
前記信号電極層を実質的に取り囲むファラデーケージを形成するステップを有している、実施形態JJまたはKK記載の方法。
【0236】
実施形態MM
前記接地電極層が、第1の接地電極層を有しており、前記誘電体層が、前記第1の接地電極層上に形成された第1の誘電体層を有しており、前記信号電極層が、前記第1の誘電体層上に形成されており、前記ファラデーケージを形成するステップは、
前記信号電極層上に、かつ第2の誘電体層によって前記信号電極層から離間された第2の接地電極層を形成するステップと、
前記第1の誘電体層、前記信号電極層および前記第2の誘電体層を実質的に取り囲み、かつ前記第1の接地電極層を前記第2の接地電極層に電気的に接続する周辺電極を形成するステップと
を有している、実施形態LL記載の方法。
【0237】
実施形態NN
前記接地電極層が、第1の接地電極層を含み、前記誘電体層が、前記第1の接地電極層上に形成された第1の誘電体層を含み、前記信号電極層が、前記第1の誘電体層上に形成されており、当該方法は、
前記第1の接地電極層を形成する前に、第1の誘電体カバー層を形成するステップであって、前記第1の接地電極層が前記第1の誘電体カバー層上に形成されている、ステップと、
前記信号電極層上に第2の誘電体層を形成するステップと、
前記第1の誘電体層、前記信号電極層および前記第2の誘電体層を実質的に取り囲む周辺電極を形成するステップであって、該周辺電極が、前記第1の接地電極層に電気的に接続されている、ステップと、
前記第2の誘電体層上に第2の接地電極層を形成し、前記周辺電極および前記第1の接地電極層に電気的に接続するステップと、
前記第2の接地電極層上に第2の誘電体カバー層を形成するステップと
を有している、実施形態JJからMMまでのいずれか1つに記載の方法。
実施形態OO
前記接地電極層を形成するステップが、別のエラストマ材料層を形成するステップと、前記別のエラストマ材料層上に導電性メッシュ構造体を形成するステップとを有している、実施形態JJからNNまでのいずれか1つに記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21
【国際調査報告】