(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】金属を溶融する機器
(51)【国際特許分類】
F27D 11/08 20060101AFI20230405BHJP
H05H 1/30 20060101ALI20230405BHJP
H05H 1/32 20060101ALI20230405BHJP
F27B 3/20 20060101ALI20230405BHJP
H05B 6/80 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
F27D11/08 E
H05H1/30
H05H1/32
F27B3/20
F27D11/08 Z
H05B6/80 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551420
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2021054553
(87)【国際公開番号】W WO2021170652
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】102020202484.7
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522337314
【氏名又は名称】テヒニシュ ウニヴェルズィテート ベルクアカデミー フライベルク
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ ゴットハルト
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー アンドレアス
【テーマコード(参考)】
2G084
3K090
4K045
4K063
【Fターム(参考)】
2G084AA15
2G084BB11
2G084CC04
2G084CC06
2G084CC14
2G084CC23
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2G084FF02
2G084FF19
2G084GG07
2G084GG08
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2G084GG26
3K090AA04
3K090AA06
3K090AB18
3K090CA01
3K090EA02
4K045AA04
4K045BA02
4K045BA03
4K045RB08
4K063AA04
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4K063BA02
4K063BA03
4K063CA03
4K063CA08
4K063FA56
4K063FA82
(57)【要約】
本発明は、溶融温度が1000°C未満の金属を溶融するための機器に関する。プラズマ(8)を形成する装置(2)が溶融炉(1)に配置される。装置(2)は、プラズマ(8)を形成することができる、プラズマガスのための少なくとも1つの第1供給源と電圧供給源に接続され、それにより、形成されたプラズマ(8)が溶融される材料(9)としての金属から離れた場所に配置されるように設計、寸法設定、配置及び/又は整列されており、この場合、高温ガスストリームがプラズマ(8)により形成することができ、高温ガスストリームが溶融材料(9)の方向に整列され、溶融炉(1)内に溶融金属を受容する溶融タンク又はるつぼ(5)が配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属、特に非鉄金属を溶融するための機器であって、
プラズマ(8)を形成するための装置(2)が溶融炉(1)に配置され、前記装置(2)が電圧供給源に接続されており、前記プラズマ(8)を形成することができるプラズマガス用の少なくとも1つの第1のフィードが前記装置(2)に接続されており、
前記装置(2)は、形成されたプラズマ(8)が溶融される材料(9)としての金属から離れた場所に配置されるように設計、寸法設定、配置及び/又は整列されており、この場合、高温ガスストリームがプラズマ(8)により形成されることができ、高温ガスストリームは溶融される材料(9)の方向に整列され、前記溶融炉(1)内に前記溶融された金属を受け入れる溶融タンク又はるつぼ(5)が配置される、機器。
【請求項2】
前記装置(2)は、前記プラズマ(8)のプラズマガス及び、更なるガスが、それぞれの金属の熱伝達及び溶融のためにその高温ガス及び放射エネルギーを使用できる溶融炉(1)の炉室内で、自由ガストーチ又はプラズマトーチを形成するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記装置(2)には、マイクロ波発生器及びそれに接続され、導波路として設計され、発生したマイクロ波(11)の少なくとも一つ反射板(10.1)を有する共振器(10)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記装置(2)は、電気点火装置を備えて形成され、点火電極(12)は筐体(13)から電気的に絶縁されており、前記プラズマ(8)は、プラズマガスが流れる前記少なくとも1つの反射板(10.1)の前の前記共振器(10)内の定在するマイクロ波の領域に形成され、前記プラズマ(8)は、筐体(13)内に形成されることを特徴とする、請求項3に記載の機器。
【請求項5】
高温ガス流が少なくとも1つの流れ案内要素(14、15、16)を介して前記溶融された材料(9)の方向に向けられることを特徴とする、請求項3又は4のうちの1つに記載の機器。
【請求項6】
プラズマ用の前記電気点火装置の前記点火電極(12)が放射トラップ内に配置されていることを特徴とする、請求項3~5のいずれかに記載の機器。
【請求項7】
前記自由ガスフレア又はプラズマフレアの出力、長さ、温度及び/又は長さを制御可能なマイクロ波発生器により変化させることができることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の機器。
【請求項8】
前記装置(2)は、互いに離れた位置に配置された2つの電極で構成され、その間にプラズマガスが溶融される材料(9)の方向に流れ、アーク放電が起こることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の機器。
【請求項9】
プラズマガス又は更なるガスのための少なくとも1つの更なる供給源が前記装置(2)の筐体(13)に接続されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の機器。
【請求項10】
前記マイクロ波発生器の電力又は前記装置(2)のアーク放電、前記プラズマガスの体積流量及び/又は更なるガスの体積流量を制御できることを特徴とする、請求項3~6のいずれか1項に記載の機器。
【請求項11】
少なくとも前記プラズマガス及び/又は更なるガスが渦巻状に前記筐体(13)内に接線方向に流れることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の機器。
【請求項12】
アルゴンがプラズマガス及び/又は更なるガスとして使用されることを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の機器。
【請求項13】
5kWから3000kWの範囲の電力で、周波数が500MHzから5000MHzの範囲のマイクロ波を使用することを特徴とする、請求項3~10のいずれかに記載の機器。
【請求項14】
混合ガスをプラズマガス及び/又は更なるガスとして使用することを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の機器。
【請求項15】
前記溶融炉(1)から抜き出された高温ガスの再循環システムが設けられており、これにより、循環中のプラズマガス及び/又は更なるガスとしてこのガスを再利用、又は残留熱を他に利用することができることを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の機器。
【請求項16】
前記装置(2)を旋回装置内の前記炉本体に固定することにより、前記炉室内の前記ガスフレア、プラズマフレア又は高温ガス流を目標とした可変誘導を可能とすることを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載された機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、特に非鉄金属を溶融するための機器に関する。本文脈では、金属という用語は、可能であれば溶融温度が1000°C未満である対応する合金も含むと理解されるべきである。本発明は、アルミニウム及びその合金の溶融に特に適している。
【背景技術】
【0002】
これまでは、これらの金属を、それぞれの金属を液相に移行できる高温の炎により、石油バーナ又はガスバーナを使用した異なる構成の溶融炉で溶融することが一般的であった。それぞれの炭化水素化合物の燃焼時には、化学酸化によって形成されたCO2が比較的大量に地球の大気中に放出されるので、気候変動の観点からは極めて有害である。
【0003】
さらに、溶融材料として金属の誘導加熱を行うことも知られている。しかし、発生する交流電場の結果として、形成される融液の強い撹拌効果が発生する。このため、金属中に酸化物が多く含まれることになるので、このようにして得られた融液で製造される構成部品の品質に強い悪影響を及ぼす。誘導加熱溶融炉は一般的に、結合条件が好ましくないため、粗い循環材料又は鋳鉄スクラップを溶融するのにも適していない。
【0004】
また、電気抵抗加熱炉も知られている。これらは通常、低い出力しか有しないので、一般に既に液体の金属の保温にしか適していない。
【0005】
プラズマを使って金属を溶融する試みも行われている。これらの場合、プラズマを形成するために電気アークを使用していた。このために、電極は溶融していない溶融材料と接触していた。しかし、これにより溶融された個々の金属は汚染されることとなるので、回避することもできず、具体的に影響を受ける。接触がなくなれば、堆積中のアークが即時停止するため、非常に精巧なプロセス制御によって回避しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、システムの複雑さを限度内に維持することができ、現場でのCO2の放出並びに得られた融液の汚染を可能な限り回避することができる金属を溶融する可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有する機器により解決される。本発明の有利な実施形態及び更なる発展は、従属請求項で指定された特徴によって実現することができる。
【0008】
本発明に係る、金属、特に融点が好ましくは1000°C未満である非鉄金属の溶融機器においては、フリーガストーチおよび、溶融材料への放射線による熱伝達の形でプラズマを形成する装置が溶融炉上に配置されている。これは、それ以外では同じ構成を持つ馴染みのある溶融炉であるかもしれない。好ましくは、シャフト炉、ハース型炉(hearth-type furnaces)のほか、るつぼ炉が適している。
【0009】
この装置は、電圧供給源に接続され、さらに、プラズマが形成可能なプラズマガスの少なくとも第1供給源が接続される。
【0010】
装置は、形成されたプラズマが金属溶融材料から離れた場所に配置されるように設計、寸法設定、配置及び/又は整列されており、この場合、プラズマにより高温ガスストリームを形成することができ、これは、溶融材料の方向に整列される。こうして形成されたプラズマは、溶融していない溶融材料や融液に直接接触することはない。これにより、そのような電極がなくてもよいため、溶融材料又は融液に接触する電極の使用を避けることもできる。
【0011】
形成されたプラズマは熱源としてのみ機能する必要がある。結果として、金属溶融材料の加熱は、高温ガスストリームの熱エネルギーとプラズマによって放出される熱放射によってのみ達成することができる。
【0012】
このために、生成されたプラズマは、少なくともほとんどの自由帯電粒子(特にイオン、電子)が溶融される金属に直接接触することができないように設計され、装置内に配置されなければならない。このために、高温ガス流が本質的に形成される、少なくとも1つの更なる供給ガスの体積流量と流速は、それに応じて設定又は制御することができる。
【0013】
また、安定したプラズマトーチ又はガストーチを形成できるようにプラズマを別のガス(二次ガス)と混合してもよく、これも溶融材料の方向に放射エネルギーを放出する。溶融材料は、プラズマトーチ又はガストーチの高温ガスと、さらに熱を伝達して溶融炉の炉室で溶融材料を溶融するための放射エネルギーと共に使用することができる。
【0014】
溶融炉には、溶融金属を受容するための溶融タンク又はるつぼが配置されている。
【0015】
本発明に係る代替案では、装置は、マイクロ波発生器と、それに接続され、導波路として形成された、発生されたマイクロ波用の少なくとも1つの反射板を有する共振器とともに設計され得る。加えて、筐体から電気的に絶縁された点火電極を有する電気点火装置を、装置の一部とすべきである。点火装置はプラズマを点火するために専用に使用され、使用するプラズマガスの自由電荷キャリアが発生したマイクロ波により形成された後、十分な量のプラズマが形成された時点でスイッチをオンにすることができる。
【0016】
プラズマは、プラズマガスが流れる少なくとも1つの反射板の前にある共振器内の定在するマイクロ波の領域に形成されるべきである。形成されたプラズマの並進運動を大幅に回避することができ、高温ガスストリームを形成するための静止熱源を形成することが可能である。
【0017】
この代替案では、プラズマは、装置の筐体内に形成されるべきであり、高温ガスストリームは、少なくとも1つの流れ案内要素を介して溶融炉内の溶融材料に向けられる。管状又はチャネル形状の要素が、高温ガスを溶融材料の方向に流すことができる流れ案内要素として使用され得る。流れ案内要素は、ガラス、ガラスセラミック、又は純粋なセラミック材料から形成され得る。少なくとも2つの流れ案内要素が存在し得る。この場合、流れ案内要素は、少なくとも内径が大きい、又は自由断面積が大きい流れ案内要素内部の領域に配置され、そこに熱に対するシールドを形成することができる。流れ案内要素は直接接触しない。
【0018】
別の代替案では、装置は互いに離間した2つの電極により形成され、その間にプラズマガスが溶融材料に向かって流れ、アーク放電が発生する。この装置は、材料の切断や溶接に使用されるような、それ自体で既知のプラズマトーチに類似して設計することができる。この場合、電極は通常、タングステン、ハフニウム又はそれらの合金で形成される。対向電極は、プラズマガスが流れる筐体を形成することができる。寸法と動作パラメータのみを、金属を溶融する用途に適合させるべきである。しかし、この場合でも、形成されたプラズマは溶融材料と直接接触するべきではなく、溶融のための高温ガスストリームとして又はフリーガストーチとして使用できるガスを加熱するための熱源としてのみ機能すべきである。
【0019】
プラズマガス又は別のガス(二次ガス)用の少なくとも1つの追加供給源を筐体に接続することができる。この更なるフィードは、第1フィードから離れた位置に配置され得る。好ましくは、更なるフィードは形成されたプラズマの領域内に又は流れの方向の後方に配置することができる。
【0020】
有利には、マイクロ波発生器の電力又は装置のアーク放電、プラズマガスの体積流量及び/又は更なるガスの体積流量を制御することができる。例えば、測定された温度は制御変数を表し得る。これは、高温ガスストリーム、プラズマ、溶融材料、又は融液の温度であり得る。温度は、例えば、サーモグラフィやパイロメータにより、非接触で測定することが好ましい。ただし、温度を調節することも可能である。プロセス制御に応じて、これは、例えば、溶融したり、融液を保温したりするために行うことができる。
【0021】
プラズマで形成されるガストーチの長さ、又は形成されるプラズマトーチの長さを溶融材料の方向に調整し、その結果、特に、使用可能な放射エネルギーの割合が影響を受け得るようにマイクロ波発生器を調整することも可能である。
【0022】
有利には、プラズマガスは、マイクロ波の影響を受ける前に、渦流(swirl)により筐体内に接線方向に流すことができる。結果的に、接触時間を延長でき、自由電荷キャリア(イオン、電子)をより効果的に高エネルギー準位にすることができ、効率性を高めることができる。
【0023】
ただし、別のガスが単独又は追加で筐体内に接線方向に流れることもある。装置の筐体の縦軸又は高温ガスストリームの流れの方向に平行に、プラズマガスを筐体内に導入することが可能である。これにより、ガスが、点火装置のすぐ横に配置され得る流入口を通じて装置の筐体に流れ込むことができる。
【0024】
プラズマガスの注入口を筐体の周囲に配置することができ、そこを通ってプラズマガスがフィードから筐体内に流れることができる。
【0025】
有利には、アルゴンは、溶融材料及び融液に対して完全に不活性であるため、プラズマガス及び/又は他のガスとして使用することができる。プラズマ又は他の気体としての窒素は、特にアルミニウム又はその合金を溶融する際には避けるべきである。酸素又は空気は酸化を促進するため、この点で有害である。
【0026】
ただし、プラズマガス又はその他のガスとして混合ガスを使用することも可能である。このプロセスでは、混合ガスのそれぞれのガス比率を、溶融する特定の金属に適合させることができる。例えば、アルゴンは空気と混合することができるが、空気の含有量はアルゴンの含有量よりも少なくする必要がある。
【0027】
また、溶融炉から回収された高温ガスの再循環システムも存在してもよく、これにより、このガスをサイクル中にプラズマガス及び/又は更なるガスとして再利用したり、残留熱を他の方法で利用したりすることを実現することができる。閉ループ動作により、必要なプラズマガスや他のガスの添加量を減らすことができ、特にアルゴンのコストを削減することができる。
【0028】
しかし、抽出された高温ガスの余熱は、例えば、特に、得られた融液の保温又は更なるガスの予熱に利用することもできる。
【0029】
本発明では、周波数が500MHzから5000MHzの範囲、電力が5kWから3000kWの範囲のマイクロ波を使用することができる。
【0030】
プラズマガス及び/又は他のガスの総体積流量は、溶融炉に入る高温ガスストリームが溶融していない溶融材料に到達するか、少なくともそれに近づくように、少なくとも十分な大きさを選択する必要があり、熱放射の結果として溶融材料が溶融するようにする。
【0031】
また、放射トラップ内においてマイクロ波によって発生するプラズマに対しては、点火装置の点火電極を配置すると有利である。この目的のために、この点火電極は、プラズマが形成される装置の筐体よりも内径又は内部自由断面積が小さい管状又はチャネル状要素に配置することができる。特に、この電極の先端が管状又はチャネル状要素内に凹んでいる場合、すなわち、この先端が放射トラップ内に配置されている場合に有利である。このような設計により、この点火電極の耐用年数を長くすることができ、この電極の材料による融液の汚染を完全に回避することができる。
【0032】
プラズマを形成する機器は有利にも、旋回可能な装置内の炉体に取り付けることができるので、炉室内のガストーチ、プラズマトーチ、又は高温ガスストリームの目標とする可変誘導が可能である。これにより、ガストーチ又はプラズマトーチの方向を変更し、炉室内の各溶融材料の局所的な目標加熱を達成することができる。例えば、炉室に配置された溶融材料の外縁又は中心は、任意の瞬間に必要に応じて、大なり小なり加熱することができる。
【0033】
本発明では、少なくとも一部の領域で筐体を冷却することができる。また、この領域での強い温度変化の影響を有利に減らすために、特に流れ案内要素(複数可)を調温することが有利になる場合があり、特に短時間に発生する大きな温度差を避けることが有利になる。
【0034】
既に説明したように、本発明は放出されるCO2の量を大幅に減らすことができる。既存の溶解炉をほとんど手間をかけずに転換又は改造することができる。溶融金属の品質は、少なくとも従来のガスバーナ又は石油バーナにより実現されたものと同等である。完全にではないにしても、少なくともかなりの範囲で溶融金属の汚染や酸化を回避することができる。
【0035】
以下、例として本発明を詳細に説明する。特定の例又は図面の対応する図に関係なく、特徴を互いに組み合わせることができる。個別の特徴は、特定の例や図に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図2】マイクロ波を使用してプラズマを形成するための装置の例の一部を通した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明による溶融炉1を有する機器の一例を概略的に示す。溶融炉1の片側には、溶融していない溶融材料9を溶融炉1に送ることができる扉(図示せず)がある。溶融していない溶融材料9は、10°の角度で図示する例では、傾斜した溶融プラットフォーム4上に堆積させることができ、その結果、溶融金属を溶融プラットフォーム4からるつぼ5又は図示しない溶融タンクに滴下することができる。
【0038】
プラズマを形成するための装置2が溶融炉1の筐体6にフランジ状に取り付けられており、本図には示されていない高温ガス流、高温ガスストリームの少なくとも1つの流れ案内要素が、溶融炉1の筐体壁を通って溶融炉1の内部に案内されているため、少なくとも1つの高温ガス流を未溶融の溶融材料9に導くことができる。筐体は旋回可能に搭載されており、これによりガス、プラズマトーチ又はプラズマ8により形成された高温ガスストリームを溶融中に追跡することができる。
【0039】
溶融炉1の筐体壁6に埋め込まれた覗き窓により、外部から溶融プロセスを観察することができ、あるいは、そこから溶融炉1内部の温度を測定することもできる。
【0040】
図1には、溶融炉1には高温排気ガス用の排気口7もあり、それを通して溶融炉1から高温排気ガスを抜き出すことができる。高温排気ガスは、例えばプラズマガス又は他のガスとして再循環及び再生させることができる。
【0041】
抜き出された高温の排気ガスは、溶融金属の保温のために、又は熱エネルギーを利用できるその他の用途にも使用され得る。
【0042】
高温排気ガスを熱交換器に通過させることもできる。
【0043】
図2にプラズマを形成する装置2の必須要素を示す。マイクロ波発生器は、市販の製品でありうるが、図示されていない。それは、共振器10にフランジ状に取り付けられている。
【0044】
マイクロ波発生器で発生したマイクロ波11は、共振器10内で定在波として得ることができる。このため、第2フランジ21の反対側の装置2の筐体13のフランジに反射板10.1が配置されている。マイクロ波発生器は第2フランジ21に接続されている。
【0045】
反射板10.1はガラスから形成されてもよい。マイクロ波用反射板10.1の近傍には、装置2の筐体13内には冷却ガス用のフィード17が設けられている。冷却効果に加えて、冷却ガスは、筐体13内の反射板10.1の表面に沿って流れ、清掃したり、粒子を含まないようにしたりすることもできる。
【0046】
図2では、棒状の点火電極12を持つ点火装置が装置2の筐体13の左側に見える。点火電極は、図示されていない電圧源の一方の極に接続されている。電圧をこの点火電極12に短時間印加すると、供給されるプラズマガスのエネルギーをさらに増加させることができ、これにより、共振器10の領域でプラズマ8を点火させ、そこに定在マイクロ波11が形成される。プラズマ8に点火した後、点火装置のスイッチをオフにすることができる。
【0047】
筐体13は、一般的な部分で説明されているように、放射トラップとして点火電極12を有する点火装置の領域に設計することができる。
【0048】
プラズマガスは、放射トラップのみから入ることも、筐体13の周囲に分布する入口18のみから入ることもできる。ただし、これらの組み合わせも可能である。
【0049】
好ましくは、いくつかの入口18を通る接線方向の流入によって渦流効果を達成及び利用することができる。
【0050】
図示する例では、別のガスの更なるフィードは省略されている。しかし、少なくとも1つの追加のガスを装置2の筐体13に、好ましくは、形成されたプラズマガス8の領域に導入することができる。その後、更なるガスを、少なくとも大部分は高温ガスストリーム用に使用することができる。
【0051】
高温ガスストリームは、装置2から図示する矢印の方向に放出する。このために、本例では3つの管状流れ案内要素14、15、及び16が存在する。最も直径の小さい石英ガラス管14は形成されたプラズマ8を封入する。これは、点火装置の反対側に配置された溶融炉1の方向に面した領域に、熱放射に対するシールドを同時に形成し得る、更なる管状の流れ案内要素15によって封入される。
【0052】
溶融炉1の方向に面して配置された筐体13のフランジ部分には、直径が最も大きい管状の第3流れ案内要素16が配置されている。第3流れ案内要素16は、少なくとも溶融炉1の筐体6の壁まで案内されることができ、これにより、高温ガスストリームを、筐体6の壁の開口部を通して、溶融炉1に配置された溶融材料9に導くことができる。ただし、長さは溶融炉1の内部まで延在するように選択することもできる。
【0053】
管状の第3流れ案内要素16は、装置2の筐体13のフランジ19に案内され、保持されてもよい。流れ案内要素14、15、16は互いに挿入されている。ただし、それらは互いに接触するべきではない。
【0054】
冷却ガス用の供給源17に加えて、装置2の筐体13の他の領域は、冷却のために設計及び使用されてもよい。このために、冷却媒体(ガス又は液体)がこれらの領域を通って流れることができる。これらの領域は形成されたプラズマ8の少なくとも近傍に配置されるべきである。
【0055】
図示する例では、装置2の筐体13の一部には、フランジ冷却20が設けられている。
【符号の説明】
【0056】
1 溶融炉
2 装置
4 溶融プラットフォーム
5 るつぼ
6 筐体
7 排気口
8 プラズマ
9 溶融材料
10 反射板
11 マイクロ波
12 点火電極
13 筐体
14 案内要素
15 案内要素
16 案内要素
17 供給源
18 入口
19 フランジ
20 フランジ冷却
21 フランジ
【国際調査報告】