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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】抗ヒトCD19抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230405BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230405BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230405BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230405BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230405BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230405BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230405BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230405BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230405BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230405BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
C12N15/13
C12P21/08 ZNA
C07K16/28
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P43/00
A61P37/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551767
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(85)【翻訳文提出日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 US2021018989
(87)【国際公開番号】W WO2021173471
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/983,093
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】アラン,バレット
(72)【発明者】
【氏名】ボイルズ,ジェフリー ストリートマン
(72)【発明者】
【氏名】ブーデルスキー,アリソン リー シム
(72)【発明者】
【氏名】ナ,ソンチン
(72)【発明者】
【氏名】ルツォバ,キーラ ウラジーミロヴナ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,グイフェン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA08
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085BB11
4C085CC03
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA20
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、ヒトCD19に結合する抗体(「抗ヒトCD19抗体」または「抗ヒトCD19抗体」)、そのような抗ヒトCD19抗体を含む組成物、およびそのような抗ヒトCD19抗体を使用する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトCD19に結合する抗体であって、前記抗体が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号29を含み、
前記HCDR2が、配列番号30を含み、
前記HCDR3が、配列番号31を含み、
前記LCDR1が、配列番号32を含み、
前記LCDR2が、配列番号33を含み、ならびに
前記LCDR3が、配列番号34を含む、抗体。
【請求項2】
前記VHが、配列番号37を含み、前記VLが、配列番号41を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体が、配列番号35を含む重鎖(HC)、および配列番号39を含む軽鎖(LC)を含む、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体が、配列番号52を含むHC、および配列番号39を含むLCを含む、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項5】
ヒトCD19に結合する抗体であって、前記抗体が、VHおよびVLを含み、前記VHが、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号29を含み、
前記HCDR2が、配列番号30を含み、
前記HCDR3が、配列番号31を含み、
前記LCDR1が、配列番号43を含み、
前記LCDR2が、配列番号44を含み、ならびに
前記LCDR3が、配列番号45を含む、抗体。
【請求項6】
前記VHが、配列番号37を含み、前記VLが、配列番号48を含む、請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体が、配列番号35を含むHC、および配列番号46を含むLCを含む、請求項5または6に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体が、配列番号52を含むHC、および配列番号46を含むLCを含む、請求項5または6に記載の抗体。
【請求項9】
ヒトCD19に結合する抗体であって、前記抗体が、VHおよびVLを含み、前記VHが、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号15を含み、
前記HCDR2が、配列番号16を含み、
前記HCDR3が、配列番号17を含み、
前記LCDR1が、配列番号18を含み、
前記LCDR2が、配列番号19を含み、ならびに
前記LCDR3が、配列番号20を含む、抗体。
【請求項10】
前記VHが、配列番号23を含み、前記VLが、配列番号27を含む、請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
配列番号21を含むHC、および配列番号25を含むLCを含む、請求項9または10に記載の抗体。
【請求項12】
配列番号54を含むHC、および配列番号25を含むLCを含む、請求項9または10に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体が非枯渇抗体である、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項14】
配列番号35、52、39、46、21、54、または25をコードする配列を含む、核酸。
【請求項15】
請求項14に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項16】
配列番号35または52をコードする第1の核酸配列、および配列番号39または46をコードする第2の核酸配列を含む、請求項15に記載のベクター。
【請求項17】
配列番号21または54をコードする第1の核酸配列、および配列番号25をコードする第2の核酸配列を含む、請求項15に記載のベクター。
【請求項18】
配列番号35または52をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号39または46をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む、組成物。
【請求項19】
配列番号21または54をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号25をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む、組成物。
【請求項20】
請求項16または17に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項21】
配列番号35または52をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号39または46をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む、細胞。
【請求項22】
配列番号21または54をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号25をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む、細胞。
【請求項23】
前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項20~22のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項24】
抗体を調製するための方法であって、前記抗体が発現するような条件下で、請求項20~23のいずれか一項に記載の細胞を培養し、次いで発現した抗体を培養培地から回収することを含む、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法によって調製された、抗体。
【請求項26】
請求項1~13および25のいずれか一項に記載の抗体、および薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含む、医薬組成物。
【請求項27】
B細胞関連疾患の治療を必要とする患者において、それを治療する方法であって、前記対象に、治療有効量の請求項1~13および25のいずれか一項に記載の抗体または請求項26に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項28】
前記B細胞関連疾患が、自己免疫疾患である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記B細胞関連疾患が、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、シェーグレン症候群、特発性血小板減少性紫斑病、1型糖尿病、尋常性天疱瘡、視神経脊髄炎、ANCA血管炎、または重症筋無力症から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
療法に使用するための、請求項1~13または25のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項31】
B細胞関連疾患の治療における使用のための、請求項1~13もしくは25のいずれか一項に記載の抗体、または請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記B細胞関連疾患が、自己免疫疾患である、請求項31に記載の抗体または医薬組成物。
【請求項33】
前記B細胞関連疾患が、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、シェーグレン症候群、特発性血小板減少性紫斑病、1型糖尿病、尋常性天疱瘡、視神経脊髄炎、ANCA血管炎、または重症筋無力症から選択される、請求項31に記載の抗体または医薬組成物。
【請求項34】
B細胞関連疾患の治療のための薬物の製造における、請求項1~13または25のいずれか一項に記載の抗体の使用。
【請求項35】
前記B細胞関連疾患が、自己免疫疾患である、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
B細胞関連疾患が、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、シェーグレン症候群、特発性血小板減少性紫斑病、1型糖尿病、尋常性天疱瘡、視神経脊髄炎、ANCA血管炎、または重症筋無力症から選択される、請求項34に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒトCD19に結合する抗体(「抗ヒトCD19抗体」または「抗CD19抗体」)、そのような抗ヒトCD19抗体を含む組成物、およびそのような抗ヒトCD19抗体を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
B細胞は様々な抗原に対する抗体を産生することができるため、体液性免疫応答において重要な役割を果たす。さらに、B細胞は抗原提示細胞(APC)としても機能し、サイトカインを分泌する。B細胞は、その細胞膜上にB細胞受容体(BCR)を発現し、BCRは、B細胞が特定の抗原に結合することを可能にし、それに対して抗体応答を開始する。B細胞の調節不全は、様々な疾患に関連している。
【0003】
ヒトBリンパ球抗原CD19(分化クラスター19、Bリンパ球表面抗原B4、T細胞表面抗原Leu-12、またはCVID3としても知られる)は、最終的に形質細胞に分化するまで、B細胞発達のすべての段階の間に広く発現する膜貫通タンパク質である。したがって、ヒトCD19は汎B細胞マーカーである。CD19は、補体受容体であるCD21、およびテトラスパンファミリーのメンバーであるCD81と関連して見出される(Carter,et al.,Immunol.Res.26:45-54,2002)。CD19はBCRの共受容体であり、細胞質シグナル伝達タンパク質をBCR複合体にリクルートするアダプタータンパク質として機能する。CD19は、正常なB細胞機能に必要であり、B細胞の生存、増殖、活性化、および分化を含む多様なB細胞応答に関与している。
【0004】
抗ヒトCD19抗体は以前に記載されており、臨床試験において試験されている。多くの既知の抗ヒトCD19抗体はB細胞枯渇抗体である。例えば、第III相臨床試験におけるイネビリズマブ(MEDI-551としても知られる)およびタファシタマブ(MOR208またはXmAb5574としても知られる)、第II相臨床試験におけるロンカツキシマブ、第I相臨床試験における4G7SDIEおよびDI-B4はすべて、B細胞枯渇抗体であると報告された(Cree,et al.,Lancet.394(10206):1352-1363,2019;Kellner,et al.,Leukemia.27(7):1595-1598,2013;Kaplon,et al.,MAbs.12(1):1703531,2020;Seidel,et al.,Mol.Ther.24(9):1634-43,2016;WO2007076950)。
【0005】
オベキセリマブ(XmAb5871としても知られる)は、CD19とFcγRIIbの両方に結合するFc改変抗体であり、抑制性FcγRIIb受容体シグナル伝達に関与することによってB細胞機能を阻害する(Szili,et al.,MAbs.6(4):991-999,2014)。しかしながら、FcγRIIbに対するオベキセリマブの高親和性結合は、他の細胞型への非特異的結合をもたらす可能性がある。ヒト患者において、オベキセリマブの半減期は短く、T1/2は3.5±1.0日であり、ベースラインレベルの約30~40%の平均減少で、末梢ヒトB細胞数を減少させると報告された(Jaraczewska-Baumann,et al.,European League Against Rheumatism(EULAR)2015 Annual Meeting Poster:A Phase 1b/2a Study of the Safety,Tolerability,Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of XmAb(登録商標)5871 in Patients with Rheumatoid Arthritis,June 12,2015、https://investors.xencor.com/static-files/0017dcf1-deb2-46eb-93ff-90ba164ec50cで入手可能)。
【発明の概要】
【0006】
したがって、B細胞関連疾患を治療するために、ヒトB細胞を枯渇させることなく、ヒトB細胞に特異的に結合して阻害する代替的な抗ヒトCD19抗体が依然として必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】抗ヒトCD19親抗体C323(図1A)および最適化された抗ヒトCD19抗体CB3f(図1B)の表面疎水性プロファイルを示す。
図1B】抗ヒトCD19親抗体C323(図1A)および最適化された抗ヒトCD19抗体CB3f(図1B)の表面疎水性プロファイルを示す。
図2】ELISAアッセイにおける抗ヒトCD19抗体のヒトCD19への結合を示す。
図3】抗ヒトCD19 mAb CB3f による初代B細胞増殖の阻害を示す。
図4】抗ヒトCD19 mAb CB3fによる全血中のB細胞活性化の阻害を示す。
図5】抗ヒトCD19 mAb CB3fによるB細胞の形質芽細胞への分化の阻害を示す。
図6A】抗ヒトCD19 mAb CB3fがCDC(図6A)およびADCC(図6B)活性を欠いていることを示す。
図6B】抗ヒトCD19 mAb CB3fがCDC(図6A)およびADCC(図6B)活性を欠いていることを示す。
図7】ヒト全血中の細胞に対する抗ヒトCD19 mAb CB3fおよびオベキセリマブの結合特異性を示す。
図8】オベキシリマブと抗ヒトCD19 mAb CB3fによるB細胞アポトーシスの誘導における違いを示す。
図9A】抗ヒトCD19 mAb CB3fで処理したNSGマウスにおける処理後6日目(図9A)および10日目(図9B)のヒトIgMの減少を示す。
図9B】抗ヒトCD19 mAb CB3fで処理したNSGマウスにおける処理後6日目(図9A)および10日目(図9B)のヒトIgMの減少を示す。
図10】抗ヒトCD19 mAb CB3fで処理したNSGマウスのヒトB細胞におけるCD86発現の減少を示す。
図11】抗ヒトCD19 mAb CB3fで処理したNSGマウスにおけるB細胞の頻度を示す。
図12】初代ヒトB細胞における抗ヒトCD19 mAb1(CB3f)および抗ヒトCD19 mAb2(C323.C1)の内在化を示す。
図13A】マウスコラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルにおける非枯渇CD19代替Abと枯渇CD20代替Abの有効性の比較を示す。図13Aは、マウスCIAモデルにおいて、半確立モードでの非枯渇CD19代替Abによる処理が、枯渇CD20代替Abよりも臨床スコアを大きく低下させたことを示す。試験の21日目~42日目のマウスの臨床スコア(n=12/群、アイソタイプ対照で処理した非疾患対照群のn=5を除く)。記号は群の平均を表し、エラーバーは平均の標準誤差(SEM)を表す。動物は19日目から投与を開始した。
図13B】マウスコラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルにおける非枯渇CD19代替Abと枯渇CD20代替Abの有効性の比較を示す。図13Bは、マウスCIAモデルにおいて、非枯渇CD19代用Abによる処理が、枯渇CD20代用Abよりも臨床スコアAUC(24日目~42日目)を大きく低下させたことを示す。試験の24日目~42日目のマウスの臨床スコアAUC(n=12/群、アイソタイプ対照で処理した非疾患対照群のn=5を除く)。バーは群の平均を表し、エラーバーは平均の標準誤差(SEM)を表す。動物は19日目から投与を開始した。共通の文字を共有しないバーは、互いに有意に異なる(p<0.05、一元配置分散分析(ANOVA)、Tukeyの事後検定)。
図14】1型糖尿病のNODモデルにおいて、半治療モードでの非枯渇CD19代替Abによる処理が、糖尿病の発生を枯渇CD20代替Abよりも大きく遅らせ、かつ低減させたことを示す。糖尿病の発生率(血糖値が240mg/dlを超えるマウスを糖尿病であるとみなした。>n=10/群、未処理群のn=9を除く)。動物は12週齢から投与を開始した。
図15】マウスEAEモデルにおいて、半治療モードでの非枯渇CD19代替Abによる半処理が、枯渇CD20代替Abよりも臨床スコアを大きく低下させたことを示す。試験の6日目~42日目のマウスの臨床スコア(n=12/群)。記号は群の平均を表し、エラーバーは平均の標準誤差(SEM)を表す。動物は6日目から投与を開始した。*同日のアイソタイプ対照に対するp<0.05
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に提供されるのは、B細胞を枯渇させることなく、ヒトCD19に結合してB細胞応答(例えば、増殖、活性化、および分化)を阻害する抗体(すなわち、「非枯渇抗ヒトCD19抗体」)である。そのような非枯渇抗ヒトCD19抗体は、これらの重要な免疫細胞を破壊することなく、B細胞関連疾患、例えば自己免疫疾患を治療するために使用することができ、したがって、問題のある同時免疫不全、長期の免疫抑制、およびB細胞の枯渇に起因する他の合併症が回避される。本明細書に提供される抗ヒトCD19抗体は、以下の特性のうちの1つ以上を有する:1)ヒトCD19(および場合によってはカニクイザルCD19)に望ましい結合親和性および/もしくは会合および解離速度で結合する、2)ヒトB細胞に特異的に結合し、初代ヒトB細胞の増殖、活性化および/もしくは分化を阻害する、3)ヒトB細胞を枯渇させない、4)ヒトB細胞に内在化される、5)免疫原性のリスクが低い、6)低疎水性である、ならびに/または7)自己免疫疾患の治療における開発および使用のための良好な安定性、溶解性、粘度、および薬物動態特性。以下に記載するように、並べて比較すると、そのような抗ヒトCD19抗体CB3fの1つは、全血アッセイでヒトB細胞に高い特異性で結合することが示されるのに対し、オベキセリマブは、B細胞結合に加えてヒト好中球への非特異的結合を示す。好中球はヒトにおいて最も豊富な種類の白血球であるため、好中球への非特異的結合は、ヒト患者に観察されるオベキセリマブの短い半減期を説明する可能性がある。さらに、インビトロB細胞アポトーシスアッセイでは、オベキシリマブが初代ヒトB細胞アポトーシスを用量依存的に誘導することが示されているが、抗ヒトCD19抗体CB3fは同じアッセイにおいて初代ヒトB細胞のアポトーシスを誘導しない。
【0009】
一態様では、新規の非枯渇抗ヒトCD19抗体が本明細書に提供される。一部の実施形態では、抗ヒトCD19抗体は完全ヒト抗体である。
【0010】
一部の実施形態では、ヒトCD19に結合する抗体が本明細書に提供され、抗体は、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、VHは、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、HCDR1は、配列番号29を含み、HCDR2は、配列番号30を含み、HCDR3は、配列番号31を含み、LCDR1は、配列番号32を含み、LCDR2は、配列番号33を含み、LCDR3は、配列番号34を含む。一部の実施形態では、抗ヒトCD19抗体は、配列番号37を含むVH、および配列番号41を含むVLを含む。
【0011】
一部の実施形態では、抗ヒトCD19抗体は、ヒトIgG1またはIgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗ヒトCD19抗体は、ヒトIgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗ヒトCD19抗体は、インビボでIgG4 Fabアーム交換を減少させるS228P突然変異(EUインデックスナンバリングによる)を含む修飾ヒトIgG4ヒンジ領域を有する(Labrijn,et al.,Nat.Biotechnol.2009,27(8):767を参照のこと)。一部の実施形態では、抗ヒトCD19抗体は、ヒトIgG1アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗ヒトCD19抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)等のFcエフェクター機能を低減または排除した修飾ヒトIgG1Fc領域を有する。そのような抗体は、「IgG1エフェクターヌル」抗体と称される。
【0012】
一部の実施形態では、抗ヒトCD19抗体は、ヒトIgG4アイソタイプを有する。例えば、一部の実施形態では、抗体は、配列番号35を含む重鎖(HC)、および配列番号39を含む軽鎖(LC)を含む。一部の実施形態では、抗体は、ヒトIgG1アイソタイプを有する。例えば、一部の実施形態では、抗体は、配列番号50を含むHC、および配列番号39を含むLCを含む。一部の実施形態では、抗体は、IgG1エフェクターヌル抗体である。例えば、一部の実施形態では、抗体は、配列番号52を含むHC、および配列番号39を含むLCを含む。
【0013】
一部の実施形態では、ヒトCD19に結合する抗体断片(例えば、FabまたはscFv)が本明細書に提供され、抗体断片は、VHおよびVLを含み、VHは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、HCDR1は、配列番号29を含み、HCDR2は、配列番号30を含み、HCDR3は、配列番号31を含み、LCDR1は、配列番号32を含み、LCDR2は、配列番号33を含み、LCDR3は、配列番号34を含む。一部の実施形態では、抗体断片は、配列番号37を含むVH、および配列番号41を含むVLを含む。
【0014】
ヒトCD19に結合する抗体も本明細書に提供され、抗体は、VHおよびVLを含み、VHは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、HCDR1は、配列番号29を含み、HCDR2は、配列番号30を含み、HCDR3は、配列番号31を含み、LCDR1は、配列番号43を含み、LCDR2は、配列番号44を含み、LCDR3は、配列番号45を含む。一部の実施形態では、抗ヒトCD19抗体は、配列番号37を含むVH、および配列番号48を含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体はヒトIgG4アイソタイプを有する。例えば、一部の実施形態では、抗体は、配列番号35を含むHC、および配列番号46を含むLCを含む。一部の実施形態では、抗体は、ヒトIgG1アイソタイプを有する。例えば、一部の実施形態では、抗体は、配列番号50を含むHC、および配列番号46を含むLCを含む。一部の実施形態では、抗体は、IgG1エフェクターヌル抗体である。例えば、一部の実施形態では、抗体は、配列番号52を含むHC、および配列番号46を含むLCを含む。
【0015】
一部の実施形態では、ヒトCD19に結合する抗体断片(例えば、FabまたはscFv)が本明細書に提供され、抗体断片は、VHおよびVLを含み、VHは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、HCDR1は、配列番号29を含み、HCDR2は、配列番号30を含み、HCDR3は、配列番号31を含み、LCDR1は、配列番号43を含み、LCDR2は、配列番号44を含み、LCDR3は、配列番号45を含む。一部の実施形態では、抗体断片は、配列番号37を含むVH、および配列番号48を含むVLを含む。
【0016】
ヒトCD19に結合する抗体も本明細書に提供され、抗体は、VHおよびVLを含み、VHは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、HCDR1は、配列番号15を含み、HCDR2は、配列番号16を含み、HCDR3は、配列番号17を含み、LCDR1は、配列番号18を含み、LCDR2は、配列番号19を含み、LCDR3は、配列番号20を含む。一部の実施形態では、抗ヒトCD19抗体は、配列番号23を含むVH、および配列番号27を含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体はヒトIgG4アイソタイプを有する。例えば、一部の実施形態では、抗体は、配列番号21を含むHC、および配列番号25を含むLCを含む。一部の実施形態では、抗体は、ヒトIgG1アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗体は、IgG1エフェクターヌル抗体である。例えば、一部の実施形態では、抗体は、配列番号54を含むHC、および配列番号25を含むLCを含む。
【0017】
一部の実施形態では、ヒトCD19に結合する抗体断片(例えば、FabまたはscFv)が本明細書に提供され、抗体断片は、VHおよびVLを含み、VHは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、HCDR1は、配列番号15を含み、HCDR2は、配列番号16を含み、HCDR3は、配列番号17を含み、LCDR1は、配列番号18を含み、LCDR2は、配列番号19を含み、LCDR3は、配列番号20を含む。一部の実施形態では、抗体断片は、配列番号23を含むVH、および配列番号27を含むVLを含む。
【0018】
ヒトCD19に結合する抗体も本明細書に提供され、抗体は、VHおよびVLを含み、VHは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、HCDR1は、配列番号1を含み、HCDR2は、配列番号2を含み、HCDR3は、配列番号3を含み、LCDR1は、配列番号4を含み、LCDR2は、配列番号5を含み、LCDR3は、配列番号6を含む。一部の実施形態では、抗ヒトCD19抗体は、配列番号9を含むVH、および配列番号13を含むVLを含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号7を含むHC、および配列番号11を含むLCを含む。
【0019】
一部の実施形態では、ヒトCD19に結合する抗体断片(例えば、FabまたはscFv)が本明細書に提供され、抗体断片は、VHおよびVLを含み、VHは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、VLは、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、HCDR1は、配列番号1を含み、HCDR2は、配列番号2を含み、HCDR3は、配列番号3を含み、LCDR1は、配列番号4を含み、LCDR2は、配列番号5を含み、LCDR3は、配列番号6を含む。一部の実施形態では、抗体断片は、配列番号9を含むVH、および配列番号13を含むVLを含む。
【0020】
別の態様では、本明細書に記載の新規抗ヒトCD19抗体の重鎖または軽鎖、すなわちVHまたはVLをコードする核酸、およびそのような核酸を含むベクターが本明細書に提供される。
【0021】
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体の重鎖または軽鎖をコードする核酸が本明細書に提供される。一部の実施形態では、配列番号35、52、50、39、46、21、54、25、7または11をコードする配列を含む核酸が本明細書に提供される。一部の実施形態では、配列番号35、52、50、21、54、または7を含む抗体重鎖をコードする配列を含む核酸が本明細書に提供される。例えば、核酸は、配列番号36、53、51、22、55、または8から選択される配列を含むことができる。一部の実施形態では、配列番号39、46、25、または11を含む抗体軽鎖をコードする配列を含む核酸が本明細書に提供される。例えば、核酸は、配列番号40、47、26、または12から選択される配列を含むことができる。
【0022】
本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体のVHまたはVLをコードする核酸も本明細書に提供される。一部の実施形態では、配列番号37、23、27、9、41、48、13をコードする配列を含む核酸が本明細書に提供される。一部の実施形態では、配列番号37、23、27、9を含む抗体VHをコードする配列を含む核酸が本明細書に提供される。例えば、核酸は、配列番号38、24、28、10から選択される配列を含むことができる。一部の実施形態では、配列番号41、48、13を含む抗体VLをコードする配列を含む核酸が本明細書に提供される。例えば、核酸は、配列番号42、49、14から選択される配列を含むことができる。
【0023】
本明細書では、抗体重鎖または軽鎖をコードする核酸配列を含むベクターも提供される。例えば、そのようなベクターは、配列番号35、52、50、39、46、21、54、25、7、または11をコードする核酸配列を含むことができる。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号36、53、51、40、47、22、55、26、8、または12を含む。
【0024】
本明細書では、抗体VHまたはVLをコードする核酸配列を含むベクターも提供される。例えば、そのようなベクターは、配列番号37、23、27、9、41、48、または13をコードする核酸配列を含むことができる。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号38、24、28、10、42、49、または14を含む。
【0025】
抗体重鎖をコードする第1の核酸配列、および抗体軽鎖をコードする第2の核酸配列を含むベクターも本明細書に提供される。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号35、50、または52をコードする第1の核酸配列、および配列番号39または46をコードする第2の核酸配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号21または54をコードする第1の核酸配列、および配列番号25をコードする第2の核酸配列を含む。
【0026】
一部の実施形態では、ベクターは、配列番号35をコードする第1の核酸配列、および配列番号39をコードする第2の核酸配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号52をコードする第1の核酸配列、および配列番号39をコードする第2の核酸配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号50をコードする第1の核酸配列、および配列番号39をコードする第2の核酸配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号35をコードする第1の核酸配列、および配列番号46をコードする第2の核酸配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号52をコードする第1の核酸配列、および配列番号46をコードする第2の核酸配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号50をコードする第1の核酸配列、および配列番号46をコードする第2の核酸配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号21をコードする第1の核酸配列、および配列番号25をコードする第2の核酸配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号54をコードする第1の核酸配列、および配列番号25をコードする第2の核酸配列を含む。一部の実施形態では、ベクターは、配列番号7をコードする第1の核酸配列、および配列番号11をコードする第2の核酸配列を含む。
【0027】
また、抗体重鎖をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および抗体軽鎖をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む組成物も提供される。一部の実施形態では、組成物は、配列番号35、52、または50をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号39または46をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号21または54をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号25をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む。
【0028】
一部の実施形態では、組成物は、配列番号35をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号39をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号52をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号39をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号50をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号39をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む。一部の実施形態では、組成物、配列番号35をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号46をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号52をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号46をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号50をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号46をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号21をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号25をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号54をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号25をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号7をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号11をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む。
【0029】
本開示の核酸は、例えば、核酸が発現制御配列に作動可能に連結された後に、宿主細胞において発現され得る。作動可能に連結された核酸の発現が可能な発現制御配列は、当該技術分野において周知である。発現ベクターは、宿主細胞からのポリペプチド(複数可)の分泌を促進する1つ以上のシグナルペプチドをコードする配列を含み得る。目的の核酸(例えば、抗体の重鎖または軽鎖をコードする核酸)を含む発現ベクターは、周知の方法、例えば、安定的または一過性のトランスフェクション、形質転換、形質導入または感染によって宿主細胞に導入され得る。さらに、発現ベクターは、所望の核酸配列で形質転換された宿主細胞の検出を助けるために、例えばテトラサイクリン、ネオマイシン、およびジヒドロ葉酸レダクターゼ等の1つ以上の選択マーカーを含み得る。
【0030】
別の態様では、本明細書に記載の核酸、ベクター、または核酸組成物を含む細胞、例えば宿主細胞が本明細書に提供される。宿主細胞は、本明細書に記載の抗体の全部または一部分を発現する1つ以上の発現ベクターで安定的にまたは一過性にトランスフェクト、形質転換、形質導入または感染された細胞であり得る。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、本開示の抗体のHCおよびLCポリペプチドを発現する発現ベクターで、安定的にまたは一過性にトランスフェクト、形質転換、形質導入または感染され得る。一部の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載の抗体のHCポリペプチドを発現する第1のベクターおよびLCポリペプチドを発現する第2のベクターで安定的または一過性にトランスフェクト、形質転換、形質導入または感染され得る。そのような宿主細胞、例えば哺乳動物宿主細胞は、本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体を発現することができる。抗体を発現することができることが知られている哺乳動物宿主細胞には、CHO細胞、HEK293細胞、COS細胞、およびNS0細胞が含まれる。
【0031】
一部の実施形態では、細胞、例えば宿主細胞は、配列番号35、50、または52をコードする第1の核酸配列、および配列番号39または46をコードする第2の核酸配列を含むベクターを含む。一部の実施形態では、細胞、例えば宿主細胞は、配列番号21または54をコードする第1の核酸配列、および配列番号25をコードする第2の核酸配列を含むベクターを含む。
【0032】
一部の実施形態では、細胞、例えば宿主細胞は、配列番号35、52、または50をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号39または46をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む。一部の実施形態では、細胞、例えば宿主細胞は、配列番号21または54をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号25をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む。
【0033】
本開示はさらに、上記の宿主細胞、例えば哺乳動物宿主細胞を、抗体が発現するような条件下で培養し、発現した抗体を培養培地から回収することによって、本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体を調製するための方法を提供する。抗体が分泌された培地は、従来の技術によって精製され得る。タンパク質精製の種々の方法が用いられてもよく、そのような方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、Deutscher,Methods in Enzymology 182:83-89(1990)およびScopes,Protein Purification:Principles and Practice,3rd Edition,Springer,NY(1994)に記載される。
【0034】
また、本明細書に記載の方法のいずれかによって調製された抗体も提供される。
【0035】
別の態様では、本明細書に記載の抗体、核酸、またはベクターを含む医薬組成物が本明細書に提供される。そのような医薬組成物はまた、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含み得る。本発明の医薬組成物は、当該技術分野で周知の方法によって調製することができ(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 22nd ed.(2012),A.Loyd et al.,Pharmaceutical Press)。
【0036】
本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体、核酸、ベクター、または医薬組成物は、B細胞関連疾患を治療するために使用することができる。B細胞は免疫系の調節において重要な役割を果たすため、B細胞の調節不全は様々な疾患に関連している。B細胞関連疾患には、自己反応性B細胞およびT細胞の活性化によって引き起こされる自己免疫疾患、ならびに過剰および/または制御不能なB細胞増殖によって引き起こされるリンパ腫および白血病が含まれる。B細胞関連自己免疫疾患の例には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、シェーグレン症候群、特発性血小板減少性紫斑病、1型糖尿病、尋常性天疱瘡、視神経脊髄炎、ANCA血管炎(抗好中球細胞質抗体関連血管炎)、重症筋無力症が含まれる。
【0037】
本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体がB細胞を枯渇させないことを考慮すると、それらは自己免疫疾患を治療するためのB細胞枯渇抗体に勝る利点を提供し、問題のある同時免疫不全、長期の免疫抑制、およびB細胞の枯渇に起因する他の合併症を回避することができる。以下に示すように、本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体は初代ヒトB細胞に内在化される。したがって、本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体は、他の治療薬をヒトB細胞に送達するためにも使用することができる。
【0038】
一部の実施形態では、治療有効量の本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体、そのような抗ヒトCD19抗体をコードする核酸、そのような核酸を含むベクター、またはそのような抗ヒトCD19抗体、核酸もしくはベクターを含む医薬組成物を対象に投与することによって、それを必要とする対象(例えば、ヒト患者)におけるB細胞関連疾患、例えば自己免疫疾患を治療する方法が本明細書に提供される。本明細書に記載の抗体、核酸、ベクター、または医薬組成物は、非経口経路(例えば、皮下および静脈内)によって投与することができる。一部の実施形態では、B細胞関連疾患は、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、シェーグレン症候群、特発性血小板減少性紫斑病、1型糖尿病、尋常性天疱瘡、視神経脊髄炎、ANCA血管炎、重症筋無力症から選択される。
【0039】
また、療法に使用するための本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体、核酸、ベクター、または医薬組成物も提供される。さらに、本開示はまた、B細胞関連疾患、例えば例えば、自己免疫疾患、例えば、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、シェーグレン症候群、特発性血小板減少性紫斑病、1型糖尿病、尋常性天疱瘡、視神経脊髄炎、ANCA血管炎、重症筋無力症の治療における使用のための、本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体、核酸、ベクター、または医薬組成物を提供する。
【0040】
B細胞関連疾患、例えば自己免疫疾患、例えば、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、シェーグレン症候群、特発性血小板減少性紫斑病、または1型糖尿病、尋常性天疱瘡、視神経脊髄炎、ANCA血管炎、重症筋無力症の治療のための薬物の製造における、本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体、核酸、ベクター、または医薬組成物の使用も本明細書に提供される。
【0041】
本明細書で使用される場合、本開示の文脈で(特に特許請求の範囲の文脈で)使用される「a」、「an」、「the」という用語および同様の用語は、別段の定めがない限り、または文脈によって明らかに矛盾していない限り、単数形および複数形の両方をカバーすると解釈されるべきである。
【0042】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗原に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体の実施形態には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、またはコンジュゲート抗体が含まれる。抗体は、任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA)、および任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)のものであってもよい。
【0043】
例示的な抗体は、4つのポリペプチド鎖:鎖間ジスルフィド結合を介して架橋される2つの重鎖(HC)および2つの軽鎖(LC)から構成された免疫グロブリンG(IgG)型抗体である。4つのポリペプチド鎖の各々のアミノ末端部分は、抗原認識に主に関与する約100~125個以上のアミノ酸の可変領域を含む。4つのポリペプチド鎖の各々のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主に関与する定常領域を含有する。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域から構成される。IgGアイソタイプは、さらにサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)に分割され得る。
【0044】
VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存されている領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変領域にさらに細分され得る。CDRはタンパク質の表面上に露出しており、抗原結合特異性のための抗体の重要な領域である。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRから構成されており、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置される。本明細書では、重鎖の3つのCDRを「HCDR1、HCDR2、およびHCDR3」と称し、軽鎖の3つのCDRを「LCDR1、LCDR2、およびLCDR3」と称する。CDRは、抗原との特異的相互作用を形成する残基の大部分を含有する。アミノ酸残基のCDRへの割り当ては、Kabat(Kabat et al.,“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、Chothia(Chothia et al.,“Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins”,Journal of Molecular Biology,196,901-917(1987)、Al-Lazikani et al.,“Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins”,Journal of Molecular Biology,273,927-948(1997))、North(North et al.,“A New Clustering of Antibody CDR Loop Conformations”,Journal of Molecular Biology,406,228-256(2011))、またはIMGT(www.imgt.orgで利用可能な国際的なImMunoGeneTicsデータベース;Lefranc et al.,Nucleic Acids Res.1999;27:209-212を参照のこと)に記載されているものを含む、周知のスキームに従って行われ得る。North CDRの定義は、本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体に使用される。
【0045】
本開示の抗体の例示的な実施形態はまた、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、scFv、scFab、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fd断片および線状抗体などの、抗原と特異的に相互作用する能力を保持する抗体の少なくとも一部分を含む、抗体断片または抗原結合断片を含む。
【0046】
本明細書で使用される「結合する」という用語は、別段の定めがない限り、ある種の化学結合または別のタンパク質もしくは分子との引力相互作用を形成するタンパク質または分子の能力を意味し、当該分野において既知である一般的な方法によって決定されるように、2つのタンパク質または分子の密接な近接をもたらす。
【0047】
本明細書で使用される「CD19」という用語は、別段の記載がない限り、ヒトBリンパ球抗原CD19(分化クラスター19、Bリンパ球表面抗原B4、T細胞表面抗原Leu-12、またはCVID3としても知られる)を指す。ヒトCD19のアミノ酸配列は当該技術分野で既知であり、例えば、NCBI参照配列NP_001171569.1(アイソフォーム1、配列番号56)またはNP_001761.3(アイソフォーム2、配列番号57)である。アイソフォーム2は、アイソフォーム1のスプライス変異体であり、細胞内ドメインのアイソフォーム1よりも1アミノ酸短い。「CD19」という用語は、すべての既知のヒトCD19アイソフォームおよび多形形態を集合的に指すために本明細書で使用される。
【0048】
本明細書で使用される「Fc領域」という用語は、抗体重鎖のCH2およびCH3ドメインを含む抗体の領域を指す。任意選択により、Fc領域は、抗体重鎖のヒンジ領域の一部分またはヒンジ領域全体を含み得る。
【0049】
本明細書で使用される「非枯渇抗体」という用語は、治療前のB細胞数と比較して、治療後の対象におけるB細胞数を有意に減少させない抗体を指す。B細胞数は、実施例に記載されているもの等の周知のアッセイを使用して測定することができる。非枯渇抗体は、典型的には、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、補体依存性細胞傷害(CDC)、またはB細胞のアポトーシスを誘導しない。
【0050】
「核酸」または「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、天然ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、および/またはヌクレオチドの類似体を組み込んだDNA、cDNA、およびRNA分子等の一本鎖および/または二本鎖ヌクレオチド含有分子を含むヌクレオチドのポリマーを指す。本開示のポリヌクレオチドはまた、例えばDNAまたはRNAポリメラーゼ反応または合成反応によってその中に組み込まれた基質も含み得る。
【0051】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト、チンパンジー、類人猿、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモット等を含む哺乳動物を指す。好ましくは、対象はヒトである。
【0052】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、対象の生物学的または医学的応答、例えば、酵素もしくはタンパク質の活性の低下または阻害を誘発するか、あるいは症状を改善するか、状態を緩和するか、疾患の進行を減速もしくは遅延するか、または疾患などを予防する、タンパク質あるいは核酸あるいはベクターあるいは組成物の量を指す。1つの非限定的な実施形態において、「治療有効量」という用語は、対象に投与されたときに、状態、または障害または疾患を少なくとも部分的に緩和、阻害、予防および/または改善するために有効である、タンパク質または核酸またはベクターまたは組成物の量を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療すること」は、本明細書に開示の障害または疾患症状の進行を減速、制御、遅延、または停止し得るすべてのプロセスを指すが、必ずしもすべての障害または疾患症状の完全な消失を示すわけではない。治療は、患者、特にヒトの疾患または状態の治療のためのタンパク質または核酸またはベクターまたは組成物の投与を含む。
【0054】
図面の簡単な説明
図1A図1Bは、抗ヒトCD19親抗体C323(図1A)および最適化された抗ヒトCD19抗体CB3f(図1B)の表面疎水性プロファイルを示す。
図2は、ELISAアッセイにおける抗ヒトCD19抗体のヒトCD19への結合を示す。
図3は、抗ヒトCD19 mAb CB3f による初代B細胞増殖の阻害を示す。
図4は、抗ヒトCD19 mAb CB3fによる全血中のB細胞活性化の阻害を示す。
図5は、抗ヒトCD19 mAb CB3fによるB細胞の形質芽細胞への分化の阻害を示す。
図6A図6Bは、抗ヒトCD19 mAb CB3fがCDC(図6A)およびADCC(図6B)活性を欠いていることを示す。
図7は、ヒト全血中の細胞に対する抗ヒトCD19 mAb CB3fおよびオベキセリマブの結合特異性を示す。
図8は、オベキシリマブと抗ヒトCD19 mAb CB3fによるB細胞アポトーシスの誘導における違いを示す。
図9A図9Bは、抗ヒトCD19 mAb CB3fで処理したNSGマウスにおける処理後6日目(図9A)および10日目(図9B)のヒトIgMの減少を示す。
図10は、抗ヒトCD19 mAb CB3fで処理したNSGマウスのヒトB細胞におけるCD86発現の減少を示す。
図11は、抗ヒトCD19 mAb CB3fで処理したNSGマウスにおけるB細胞の頻度を示す。
図12は、初代ヒトB細胞における抗ヒトCD19 mAb1(CB3f)および抗ヒトCD19 mAb2(C323.C1)の内在化を示す。
図13A~13Bは、マウスコラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルにおける非枯渇CD19代替Abと枯渇CD20代替Abの有効性の比較を示す。図13Aは、マウスCIAモデルにおいて、半確立モードでの非枯渇CD19代替Abによる処理が、枯渇CD20代替Abよりも臨床スコアを大きく低下させたことを示す。試験の21日目~42日目のマウスの臨床スコア(n=12/群、アイソタイプ対照で処理した非疾患対照群のn=5を除く)。記号は群の平均を表し、エラーバーは平均の標準誤差(SEM)を表す。動物は19日目から投与を開始した。図13Bは、マウスCIAモデルにおいて、非枯渇CD19代用Abによる処理が、枯渇CD20代用Abよりも臨床スコアAUC(24日目~42日目)を大きく低下させたことを示す。試験の24日目~42日目のマウスの臨床スコアAUC(n=12/群、アイソタイプ対照で処理した非疾患対照群のn=5を除く)。バーは群の平均を表し、エラーバーは平均の標準誤差(SEM)を表す。動物は19日目から投与を開始した。共通の文字を共有しないバーは、互いに有意に異なる(p<0.05、一元配置分散分析(ANOVA)、Tukeyの事後検定)。
図14は、1型糖尿病のNODモデルにおいて、半治療モードでの非枯渇CD19代替Abによる処理が、糖尿病の発生を枯渇CD20代替Abよりも大きく遅らせ、かつ低減させたことを示す。糖尿病の発生率(血糖値が240mg/dlを超えるマウスを糖尿病であるとみなした。>n=10/群、未処理群のn=9を除く)。動物は12週齢から投与を開始した。
図15は、マウスEAEモデルにおいて、半治療モードでの非枯渇CD19代替Abによる半処理が、枯渇CD20代替Abよりも臨床スコアを大きく低下させたことを示す。試験の6日目~42日目のマウスの臨床スコア(n=12/群)。記号は群の平均を表し、エラーバーは平均の標準誤差(SEM)を表す。動物は6日目から投与を開始した。*同日のアイソタイプ対照に対するp<0.05
【実施例
【0055】
以下の実施例は、特許請求された本発明を説明するために提供され、これを限定するものではない。
【0056】
実施例1.ヒトCD19に結合する抗体(抗ヒトCD19抗体)の生成
抗ヒトCD19抗体C323は、ヒトCD19(配列番号56)およびその共受容体CD21でコトランスフェクトされたヒト胎児腎臓(HEK)細胞に対する細胞ベースのパニングを用いてファージディスプレイライブラリーから発見される。親HEK-293細胞に対するネガティブパニングを用いて非特異的な細胞結合剤を除去する。CD19特異的結合は、CD19細胞外ドメイン(ECD)タンパク質を使用してELISAにより確認する。IgGフォーマットへの変換および精製の後、ヒトバーキットリンパ腫細胞株Daudiおよび単離された初代ヒトB細胞を用いて、FACSにより細胞結合を確認する。
【0057】
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、抗体変異体の特徴付けに一般的に使用されるタンパク質の分離のための技術であり、目的のタンパク質のHICカラムへの保持時間は、その全体的な疎水性を反映する(J Pharm Biomed Anal.2016 130:3-18)。C323は、HICカラムの保持時間が長いため、疎水性であると見なされる。抗体の疎水性は、発現不良およびタンパク質凝集等の製造上の問題を引き起こす可能性がある。C323の生物物理学的特性を強化し、その親和性および効力を高めるために、標的化されたランダムな突然変異誘発が用いられる。C323抗ヒトCD19親mAbの可変領域の相同性モデルを作製する。次いで、空間的凝集傾向アルゴリズムをモデルに適用して、表面に露出した疎水性パッチを同定する。このプロセスにより、LCDR1、HCDR2、およびHCDR3内の表面に露出した8つの疎水性残基が同定される。LCDR1:Y31、Y32;HCDR2:I52、I53およびF54;HCDR3:F97、Y99、およびY100a(Kabatナンバリング)(図1A)。これらの残基は、突然変異誘発の標的である。ライブラリーは、VVKコドンベースの変異原性オリゴヌクレオチドを用いてより親水性の(極性または荷電)アミノ酸を含むように作製され、Kunkelの突然変異誘発を用いて、選択されたCDR 配列が欠失した元のC323親抗体をコードするウラシル含有一本鎖DNAテンプレートに組み込まれる。ファージ発現Fabは、ビオチン化ヒトCD19 ECD抗原を用いてスクリーニングされる。このようにして同定された親和性中性突然変異のDNA配列決定を行い、独自のクローンをE.coliで周辺質Fabとして発現させ、滴定ELISAによって分析する。このプロセスにより、親和性中性であるが、より親水性の3つアミノ酸置換:LCDR1:Y31H、HCDR2:F54Y、およびHCDR3:Y99K(Kabatナンバリング)が同定された。
【0058】
並行して、親和性を高めるための最適化が、6つすべてのCDRを標的とするNNKコドンベースの変異原性オリゴヌクレオチドを用いて行われ、Kunkelの突然変異誘発を用いて、選択されたCDR配列が欠失したウラシル含有一本鎖DNAテンプレートに組み込まれる。ファージ発現Fab変異体のスクリーニングは、捕捉リフト(Anal Biochem.1998 256(2):169-77)およびビオチン化ヒトCD19 ECD抗原を用いたELISAによって行われる。このようにして、親和性の増加をもたらすCDR置換、HCDR1:F29I、I34Y;HCDR2:G55D、HCDR3:G100bA;LCDR1:G27aK、A34H、LCDR2:S52R、A55P、LCDR3:N93Q(Kabatナンバリング)が同定され、これらを組み合わせることでC323.C1の生成がもたらされる。
【0059】
上記3つの親水性置換(Y31H、F54Y、およびY99K)がC323.C1に加えられ、NNKコドンベースの突然変異誘発を用いたCDRランダム化の最終ラウンドに使用されるFabテンプレートが生成される。有益なCDR突然変異をライブラリーに組み合わせて、すべての有益な突然変異をランダムに組み合わせるか、または野生型配列に逆突然変異させたりすることができる。このプロセスは、CB3と称される高親和性変異体を識別する。CB3は、追加のCDR残基置換を含む:HCDR1:G27H、HCDR2:G50D、I53A、D55G、T56S、A57P;LCDR1:K27aH、H34A、LCDR3:L95Q(Kabatナンバリング)。
【0060】
テンプレートとしてCB3を使用して、特定の残基をヒトIGKV3-20生殖細胞系の同一性に戻すために追加のCDR変更が行われる。LCDR1の1つの残基:N29SおよびLCDR2の5つの残基:A50G、T51A、R52S、T53S、P55Aは、抗体の機能に対する影響を最小限に抑えながら同時に元に戻される。これにより、CB3fと称される最終的な分子が得られた。
【0061】
(1)配列番号35のHCおよび配列番号39のLCを含むIgG4アイソタイプ、(2)配列番号50のHCおよび配列番号39のLCを含むIgG1アイソタイプ、ならびに(3)配列番号52のHCおよび配列番号39のLCを含むIgG1エフェクターヌル抗体を含む、CB3fのいくつかのバージョンが生成される。別段の指定のない限り、「CB3f」は、配列番号35のHCおよび配列番号39のLCを含むIgG4アイソタイプを指す。
【0062】
図1A図1Bは、親抗体C323と比較して改善されたCB3fの表面疎水性プロファイルを示す。HICカラムでのCB3fの保持時間は、親抗体C323と比較して2倍超短縮された。同時に、一過性CHO発現からのCB3f抗体の力価は、親C323抗体の力価と比較した場合に2倍超増加した。
【0063】
図2は、ELISAアッセイにおいて、C323およびC323.C1と比較した場合の、親和性改変抗体CB3およびCB3fによるヒトCD19への改善された結合を示す。ELISAアッセイは以下のように実施される。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で5μg/mLに希釈したヤギ抗ヒトカッパポリクローナル抗体50μL/ウェルを用いて、96ウェルマイクロタイタープレートを4℃で一晩コーティングする。一晩インキュベーションした後、プレートを吸引し、200μLのカゼイン緩衝液を用いて室温で1時間ブロックする。PBST(0.1%Tweenを含むPBS)を用いてプレートを3回洗浄する。抗ヒトCD19抗体をPBSカゼインで5μg/mLに希釈し、抗ヒトカッパでコーティングした、カゼインでブロックされたプレートの各カラムに50μLを37℃で1時間加える。PBSTを用いてプレートを3回洗浄する。ビオチン化ヒトCD19細胞外ドメインタンパク質を20μg/mLから9ng/mLまで段階希釈し、50μLをプレートに加え、37℃で1時間インキュベートする。PBSTを用いてプレートを3回洗浄し、次いで1リットルのPBSTを含むビーカーに移し、37℃で一晩(約16時間)撹拌しながらインキュベートする。洗浄緩衝液を吸引し、カゼイン緩衝液で1:1000に希釈したニュートラアビジンアルカリホスファターゼ複合体50μLを加え、37℃で1時間インキュベートする。PBS0.1%Tweenを用いてプレートを3回洗浄する。脱イオン水で1:35に希釈したAMP-PMP基質50μLを加え、Spectramaxプレートリーダーで560nmでの吸光度を読み取る。
【0064】
以下に示すように、CB3fは、ヒトCD19発現CHO細胞への高い親和性結合を示し、カニクイザルCD19発現CHO細胞への結合を予想外に獲得した。CB3fは、ヒトIGHV1-69およびIGKV3-20生殖細胞系に対して、それぞれ92%および96%の同一性を有する。したがって、抗ヒトCD19抗体CB3fは、親和性が高く、疎水性が低く、ヒト生殖細胞系の同一性の割合が高い、すなわち免疫原性リスクが低い。
【0065】
CB3fを含むがこれに限定されない本明細書に記載の抗ヒトCD19抗体は、最適な所定のHC:LC比、またはHCとLCの両方をコードする単一のベクター系を用いて、抗体を分泌するための発現系で一過性または安定的にトランスフェクトされた、HEK293またはCHO等の哺乳動物細胞株で発現させることができる。抗体が分泌された清澄化培地は、一般的に使用される技術を用いて精製することができる。これらのクロマトグラフィーステップの後、抗体の純度は、99.0%(モノマー)を超える値を達成し得る。
【0066】
実施例2.抗ヒトCD19抗体の特徴付け
CD19に対する結合親和性
CHO細胞上で安定に発現した膜結合型ヒトCD19およびカニクイザルCD19への抗ヒトCD19 mAb CB3fの液相平衡結合親和性を、37℃のMSD溶液平衡滴定(MSD-SET)アッセイによって測定する。さらに、CD19に結合するCB3f Fab断片の一価親和性および動力学を、37℃で表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定する。
【0067】
MSDSI6000機器(Meso Scale Discovery、Rockville,MD)を使用してMSDプレートを読み取る。MSDアッセイプレートを、以下のように調製する。マルチアレイ96ウェルプレート(Meso Scale Discovery、P/NL15XA-3)を、PBS中のヤギ抗ヒトFc捕捉抗体(Jackson ImmunoResearch、P/N109-005-098)の1μg/mL溶液で4℃で一晩コーティングする。コーティング後、プレートをTBS+0.1%Tween-20(TBST)で3回洗浄する。
【0068】
ヒトおよびカニクイザルCD19細胞を安定に発現するCHO細胞を、室温で5分間、PBS中の1%パラホルムアルデヒドで固定する。PBSで洗浄してパラホルムアルデヒドを除去し、0.05%(w/v)アジ化ナトリウムを含む1%ブロッカーA(3%ブロッカーA、Meso Scale Discovery、P/N R93AA-1から希釈)中に細胞を4℃で保存する。
【0069】
ヒトCD19親和性測定の場合、400pM、80pM、16pMおよび3.2pMの固定抗体濃度でサンプルを2つ調製する。カニクイザルCD19親和性測定の場合、10nM、2nM、400pM、および80pMの固定抗体濃度でサンプルを2つ調製する。固定ヒトCD19CHO細胞を遠心分離によりペレット化し、22×10細胞/mLで3%ブロッカーA溶液に再懸濁する。固定カニクイザルCD19CHO細胞を遠心分離によりペレット化し、200×10細胞/mLで3%ブロッカーA溶液に再懸濁する。3%ブロッカーAの円錐底96ウェルプレートで細胞を2.5倍に段階希釈し、ヒトCD19の場合は約900細胞/mLまで、カニクイザルCD19の場合は8,400細胞/mLまで、それぞれ合計12回の細胞希釈を行う。これらを、以前に調製した抗体希釈液と1:1で混合する。ヒトCD19の場合、最終抗体濃度は200pM、40pM、8pM、および1.6pMであり、最終細胞希釈は11×10細胞/mLから約450細胞/mLまでである。カニクイザルCD19の場合、最終抗体濃度は5nM、1nM、200pM、および40pMであり、最終細胞希釈は100×10細胞/mLから約4,200細胞/mLまでである。ヒトCD19は3~4日間、カニクイザルCD19は2日間、プレートシェーカー上でプレートを37℃でインキュベートして、結合が平衡に達するようにする。
【0070】
インキュベーション後、遠心分離によって細胞をペレット化する。プレートからの清澄化した上清100マイクロリットルを、調製したMSDプレートに移し、室温で60分間、プレートシェーカー上でインキュベートする。インキュベーション後、プレートをTBSTで3回洗浄し、次いで1%ブロッカーA中の1μg/mLビオチン化ヤギ抗ヒトIgG一次抗体(Southern Biotech、カタログ2010-08)100μLをすべてのウェルに加える。これを室温で60分間、プレートシェーカー上でインキュベートする。プレートをTBSTで3回洗浄し、次いで1%ブロッカーA中の1μg/mL SULFO-TAGストレプトアビジン(Meso Scale Discovery、P/N R32AD-1)100μLをすべてのウェルに加えた。これを室温で60分間、プレートシェーカー上でインキュベートした。プレートをTBSTで3回洗浄し、プレートを読み取る直前に1×Read Buffer T(Meso Scale Discovery、P/NR92TC-1)を加える。細胞上の未知の抗原濃度を説明するための解離定数(K)および最小公倍数(LCM)を、GraphPad Prism で非線形回帰を使用して、MSD-SETデータから平衡結合方程式に全体的に当てはめる(Darling and Brault,2005,Kinetic Exclusion Assay Technology:Characterization of Molecular Interactions.Assay and Drug Development Technologies 2:647-657を参照)
【0071】
Biacore T200機器(GE Healthcare Life Sciences)、試薬、およびBiacore T200 Evaluation Software Ver 3.1が、CB3fのFab断片に結合するヒト、マウスおよびカニクイザルCD19の表面プラズモン共鳴分析に使用される。組換えCD19-Fcタンパク質は、R&D Systemsから購入する。プロテインAセンサーチップ(GEプロテインAチップP/N2912755)を使用する。泳動用緩衝液は1×HBS-EP+(Teknova P/NH8022)であり、泳動温度は37℃である。
【0072】
CD19 Fc融合タンパク質を泳動用緩衝液で3μg/mLに希釈し、各々が約60RUのヒト、カニクイザル、およびマウスのタンパク質をフローセル(Fc)2、3、および4にそれぞれ捕捉する。CB3f Fab断片を泳動用緩衝液で1000nMに希釈し、次いで、泳動用緩衝液で1.6nMまで5倍段階希釈して合計5回希釈する。Fabまたは緩衝液ブランクを50μL/分で300秒間注入し、その後に900秒間の解離相が続く。再生は、10mMのグリシンpH1.5を30μL/分ですべてのFcに注入することによって実施される。参照を差し引いたデータは、Fc2-Fc1、Fc3-Fc1、およびFc4-Fc1として収集される。オンレート(kon)およびオフレート(koff)を、「1:1結合」モデルを使用して適合させる。親和性(K)を、関係K=koff/konに従って結合キネティクスから算出する。
【0073】
CB3fは、CHO細胞上に発現したヒトおよびカニクイザルCD19に、それぞれ3.35pMおよび45.2pMの親和性(K)で結合する(表1)。
【0074】
CB3fのFab断片は、3.20×10-1-1のオンレート(kon)、2.35×10-4-1のオフレート(koff)、および76.8pMの親和性(K)でヒトCD19に結合する(表2)。CB3fのFab断片は、1.04×10-1-1のオンレート(kon)、9.78×10-2-1のオフレート(koff)、および94.5nMの親和性(K)でカニクイザルCD19に結合する(表2)。1μMのFab濃度では、マウスCD19への結合は観察されない。
【表1】
【表2】
【0075】
安定性
CB3fの安定性を、賦形剤を含む5mMヒスチジン緩衝液(pH6.0)中で高濃度(約100mg/mL)で評価する。濃縮サンプルを5℃および35℃で4週間の期間にわたってインキュベートする。インキュベーション後、サンプルを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により高分子量の割合(%HMW)について、キャピラリー電気泳動により断片化(CE-SDS)について、およびLC-MSペプチドマッピングにより化学修飾(例えば、脱アミド化、異性化、または酸化)について分析する。35℃で4週間後、CB3fは、0.5%のΔ%HMW、0.6%のΔ%断片を示すが、0.2%を超えるCDRの化学修飾は示さない。
【0076】
同じ条件下での凍結/融解安定性を、-70℃に置かれた大量のバルク原薬の凍結/融解条件を模倣する、3回繰り返される、緩慢な制御された温度サイクルを用いて評価する。CB3fは、3回の凍結融解サイクル後にSECで測定した場合、1.9%の%HMWを示す。他の賦形剤は、%HMWの増加をさらに低減することができる(データは示さず)。
【0077】
これらの結果は、CB3fが良好な物理的および化学的安定性を有することを示唆している。
【0078】
溶解度
溶解度は、100mgのCB3fを30kDaの分子量カットオフ遠心フィルター(例えば、Amicon UCフィルター、Millipore、カタログ番号UFC903024)で約0.5mLの体積に濃縮することによって評価する。Solo VPE分光光度計(C Technologies,Inc)を使用して、280nmでのUV吸光度によってサンプルの最終濃度を測定する。
【0079】
CB3fは、5mMヒスチジンpH6緩衝液で183mg/mL以上、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)pH7.4で170mg/mL以上の溶解度を示す。これらの結果は、CB3fが高い溶解度を示すことを示唆している。
【0080】
粘度
CB3fの粘度を、異なる賦形剤を含むpH6.0の5mMヒスチジン中約125mg/mLの濃度で、15℃で分析する。粘度測定は、VROC Initium(RheoSense)で行われる。CB3fは、pH6の5mMヒスチジン+280mMマンニトール中131mg/mLで14.2cP、pH6.0の5mMヒスチジン+150mM塩化ナトリウム中で9.5cP、および5mMヒスチジンpH6.0+280mMアルギニン中で6.1cPの粘度を示した。これらの結果は、CB3fが低粘度を示し、高濃度投与が可能であることを示唆している。
【0081】
薬物動態(PK)
CB3fのPK特性を、0.03、0.3、1および10mg/kgのCB3fの単回皮下投与、または1mg/kgのCB3fの単回静脈内ボーラス投与後に、カニクイザルにおいて調べる。CB3fは、調べた皮下投与量範囲にわたって線形のPKを示し、終末半減期(T1/2)が182時間~301時間の範囲である。1mg/kgのCB3fの単回静脈内ボーラス投与後のT1/2は324時間である。
【0082】
オベキセリマブの平均T1/2は3.5±1.0日であり、これは60~108時間に相当することが報告されている(Jaraczewska-Baumann,et al.,European League Against Rheumatism(EULAR)2015 Annual Meeting Poster:A Phase 1b/2a Study of the Safety,Tolerability,Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of XmAb(登録商標)5871 in Patients with Rheumatoid Arthritis,June 12,2015、https://investors.xencor.com/static-files/0017dcf1-deb2-46eb-93ff-90ba164ec50cで入手可能)。したがって、CB3fはオベキセリマブより優れたT1/2を有する。
【0083】
実施例3.抗ヒトCD19抗体のインビトロ機能特性評価。
抗ヒトCD19 mAb CB3fによるB細胞増殖のインビトロ阻害。
【0084】
抗ヒトCD19 mAb CB3fが初代ヒトB細胞の増殖を阻害する能力を、インビトロB細胞増殖アッセイで試験する。
【0085】
B細胞単離キット(Stemcell Technologies)を用いたネガティブ選択により、健康なドナーのPBMCから初代ヒトB細胞を単離する。ヒト初代B細胞を1×10細胞/mLで再懸濁し、完全培地(10%ウシ胎児血清を含むRPMI-1640、1×MEM-非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、1×ペニシリン-ストレプトマイシン溶液(すべてCorning)および1×GlutaMAX(Gibco)、0.1%β-メルカプトエタノール(Life Technologies)で、ポリスチレン96ウェルU底プレート中、37℃で培養する。細胞を抗ヒトCD19抗体で1時間前処理し、マウス抗ヒトIgM(2μg/mL-Southern Biotech)とウサギ抗マウスIgG(12μg/mL-Thermo Fisher)で、37℃および5% COで2日間刺激する。次いで、細胞培地の[H]-チミジン(1μCiチミジン/ウェル、PerkinElmer、Boston,MA)で細胞を18時間パルスする。[H]-チミジンの取り込みレベルを、2450 Microplate Counter (MicroBetaシリアル番号:5129186、PerkinElmer、Boston,MA)によって測定し、1分当たりの細胞数(ccpm)として表す。
【0086】
抗ヒトCD19 mAb CB3fは、初代ヒトB細胞の増殖を用量依存的に阻害するが、アイソタイプ対照は、試験したいずれの濃度でも阻害を示さない(図3)。12人の異なるドナーから得られたB細胞を用いてCB3fの阻害機能を試験すると、CB3fの平均IC50は0.007nMである(表3)。データは、抗ヒトCD19mAb CB3fが初代ヒトB細胞の増殖を用量依存的に阻害できる一方で、B細胞増殖はアイソタイプ対照抗体による影響を受けないことを示している。
【表3】
【0087】
ヒト全血におけるB細胞活性化のインビトロ阻害
全血中の初代ヒトB細胞の活性化を阻害する抗ヒトCD19 mAb CB3fの能力を、インビトロ全血活性化アッセイで試験する。
【0088】
EDTA処理したヒト全血(健康なドナー、TSRI Normal Blood Donor Services、San Diego,CA)を、ポリスチレン96ウェルU底プレートで培養し、CB3fまたはアイソタイプ対照抗体とともに30分~1時間、37℃および5% COでプレインキュベートする。7nMの各抗体を、完全培地(10%ウシ胎児血清を含むRPMI-1640、1×MEM-非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、1×ペニシリン-ストレプトマイシン溶液(すべてCorning)および1×GlutaMAX(Gibco)、0.1%β-メルカプトエタノール(Life Technologies)中で、4倍希釈および12点滴定による最高濃度として使用する。37℃および5%CO(CpG ODN 7909(InvivoGen、San Diego,CA))で24時間、2.5μg/mLのTLR9リガンドで全血を刺激する。B細胞活性化プロファイルをフローサイトメトリーにより測定し、FlowJoソフトウェアを使用してデータを分析する。
【0089】
フローサイトメトリーは、以下のように実施される。処理および活性化したヒト全血を、RBC溶解緩衝液(Fisherscientific,USA)で溶解する。適切な組み合わせの蛍光色素結合抗体で4℃で30分間細胞を染色してB細胞活性化マーカーを同定する:BioLegendのCD69 BV605(カタログ番号310938)。細胞を、BioLegendのCD3 FITC(カタログ番号300306)、CD19 APC(カタログ番号363006)、BD PharminogenのCD20 PerCP-Cy5.5(カタログ番号560736)、および固定可能な生存性色素eFluor(商標)780(eBioscience)でも染色する。各サンプルについて、生細胞でゲートをかけた少なくとも25,000~50,000の事象を分析する。BD Fortessa X-20でサンプルを取得し、FlowJoソフトウェアを使用して結果を分析する。
【0090】
抗ヒトCD19 mAb CB3fは、初代ヒトB細胞の活性化を用量依存的に阻害し、それはCD69+ B細胞の減少によって測定される。3人の異なるドナーから得られた血液を用いてアッセイを行い、代表的な結果を図4に示す。このアッセイにおけるCB3fの平均IC50は0.008nMである(表4)。アイソタイプ対照抗体は、試験したいずれの濃度でもCD69発現の阻害を示さなかった。データは、抗ヒトCD19 mAb CB3fが全血中の初代ヒトB細胞の活性化を用量依存的に阻害できる一方で、細胞活性化はアイソタイプ対照抗体による影響を受けないことを示している。
【表4】
【0091】
B細胞の形質芽細胞への分化のインビトロ阻害
メモリーB細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を使用して、健康なドナーのPBMCからヒトメモリーB細胞を単離する。ヒト初代メモリーB細胞を1×10細胞/mLで再懸濁し、完全培地(10%ウシ胎児血清を含むRPMI-1640、1×MEM-非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、1×ペニシリン-ストレプトマイシン溶液(すべてCorning)および1×GlutaMAX(Gibco)、0.1%β-メルカプトエタノール(LifeTechnologies)で、ポリスチレン96ウェルU底プレート中、37℃で培養する。細胞を抗ヒトCD19 mAb CB3fで1時間前処理し、50ng/mL抗CD40、200ng/mLBAFF、1ng/mLIL-2、100ng/mLIL-21(すべてR&D)で5日間刺激する。細胞を洗浄し、適切な組み合わせの蛍光色素結合抗体で4℃で30分間染色して、メモリーB細胞の形質芽細胞への分化を同定する:CD38 PE、CD3 FITC(カタログ番号300306)、CD19 APC(カタログ番号363006)(すべてBioLegend)、BD PharminogenのCD20 PerCP-Cy5.5(カタログ番号560736)、および固定可能な生存性色素eFluor(商標)780(eBioscience)。各サンプルについて、生細胞でゲートをかけた少なくとも25,000~50,000の事象を分析する。BD Fortessa X-20でサンプルを取得し、FlowJoソフトウェアを使用して結果を分析する{1]。形質芽細胞のパーセントは、CD38bright/CD20low B細胞の%として定義される。
【0092】
抗ヒトCD19 mAb CB3fは、初代ヒトメモリーB細胞の形質芽細胞への分化を用量依存的に阻害する(図5)。実験は3回繰り返され、代表的なデータが示される。アイソタイプ対照抗体は、試験したいずれの濃度でも形質芽細胞分化の阻害を示さない。データは、CB3fが初代ヒトメモリーB細胞の形質芽細胞への分化を用量依存的に阻害できる一方で、分化はアイソタイプ対照抗体による影響を受けないことを示している。
【0093】
CD19 mAb CB3fは、非枯渇mAbであり、インビトロCDCおよびADCCアッセイにおいて活性を欠く。
抗ヒトCD19 mAb CB3fは、B細胞阻害抗体であり、B細胞の枯渇を引き起こすことなくB細胞の機能を阻害するように設計される。インビトロアッセイを行って、CB3fが補体依存性細胞傷害(CDC)および抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を欠くことを確認するが、それはCB3fが枯渇機能を有しないことを意味する。
【0094】
CD19およびCD20を発現するWil2-s細胞株を標的細胞として使用し、機能的なFcγRIIIa(V158)-NFAT-Lucを発現するJurkat細胞株(Eli Lilly and Company)をエフェクター細胞株として使用する。CB3fを試験し、ADCCおよびCDCの既知の強力なインデューサーであるIgG1抗体を陽性対照として使用する。
【0095】
CB3fを、CDCおよびADCCアッセイ用に、それぞれ10μg/mLおよび1μg/mLの試験濃度から開始して3段階続希釈する。50μL/ウェルの試験化合物またはアッセイ緩衝液を96ウェルプレート(Costar 3916)に加える。Wil2-s細胞を1×10細胞/mLの濃度に希釈し、50μL/ウェルでプレートに加える。CDCおよびADCCプレートを37℃で1時間インキュベートする。次に、Jurkat V158細胞を3×10細胞/mLの濃度に希釈してADCCプレートに50μL/ウェルで加えるか、またはヒト血清からの事前希釈した補体(Quidel A113)をCDCプレートに50μL/ウェルで加える。CDCプレートを37℃で2時間インキュベートし、続いて100μL/ウェルのCell-Titre Glo(Promega G7571)を加える。ADCCプレートを37℃で4時間インキュベートし、続いて100μL/ウェルのONE-Glo(Promega E8130)を加える。低速でプレートシェーカーを使用してプレートの内容物を混合し、0.2cpsの積分を用いてEnvision 11マルチモードプレートリーダーで発光シグナルを読み取る。データは、GraphPad Prism v8.2を使用して分析する。
【0096】
CDCおよびADCCアッセイの結果を図6A~6Bに示す(3回の独立したプレートランからの代表的な結果)。すべての応答レベルは、陽性対照IgG1抗体と比較して分類される。抗ヒトCD19 mAb CB3fは、示された濃度ではCDC活性(図6A)もADCC活性(図6B)も有しない。
【0097】
ヒト全血中のB細胞に結合する抗ヒトCD19 mAbの特異性。
抗ヒトCD19 mAb CB3fはB細胞阻害抗体であり、B細胞機能を抑制することによって作用する。オベキセリマブは、CD19とFcγRIIbの両方に結合する抗体である。しかしながら、FcγRIIbに対するオベキセリマブの高親和性結合は、CD19に依存しない様式で他の細胞型への結合をもたらす可能性がある。したがって、オベキセリマブと抗ヒトCD19 mAb CB3fの結合特異性を、ヒト全血結合アッセイを使用して比較する。
【0098】
EDTA処理したヒト全血(健康なドナー、TSRI Normal Blood Donor Services、San Diego,CA)を、ポリスチレン96ウェルに播種し、異なる濃度のAlexa Flour(登録商標)647結合CB3f、Alexa Flour(登録商標)647結合およびAlexa Flour(登録商標)647結合アイソタイプ対照と、適切な組み合わせの蛍光色素結合細胞外抗体で染色して、リンパ球/顆粒球集団を検出する。7nMの各抗体を、2%ウシ胎児血清(熱不活性化FBS)を補充したCa2+およびMg2+不含DPBS1×(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水)(どちらもCorning(登録商標))中で、3倍希釈および8点滴定による最高濃度として使用する。このカクテルには、CD20 PerCP-Cy5.5(カタログ番号560736)、CD45 BV421(カタログ番号563879)、CD66 FITC(カタログ番号555724)(すべてBD Biosciences)、CD3 BV605(カタログ番号317322)、CD11b PE-Cy7(カタログ番号101216)(すべてBioLegend)、およびeBioscienceの固定可能な生存性色素eFluor(商標)780(カタログ番号65-0865-14)が含まれる。全血と抗体を、暗所で30分間4℃で染色する。死滅した細胞を生存性色素により除外し、生細胞でゲートをかけた少なくとも25,000~50,000の事象を分析する。BD Fortessa X-20でサンプルを取得し、FlowJoソフトウェアを使用して結果を分析する。
【0099】
フローサイトメトリー分析は、CB3fがすべての試験濃度でヒト全血中のB細胞に排他的に結合することを示している(図7)。オベキセリマブは、CD66およびCD11bを発現し、したがって好中球として識別されるCD20陰性細胞(すなわち、非B細胞)の集団と同様に、ヒトB細胞への結合を示す(図7)。したがって、データは、抗ヒトCD19 mAb CB3fがヒト全血中のヒトB細胞に高度に特異的に結合するのに対し、オベキセリマブは、B細胞結合に加えてヒト好中球への非特異的結合を示すことを示唆している。好中球はヒトにおいて最も豊富な種類の白血球であるため、好中球への非特異的結合は、ヒト患者に観察されるオベキセリマブの短い半減期を説明する可能性がある。4人の異なるドナーからの血液を用いて実験を繰り返し、代表的な結果を図7に示す。
【0100】
インビトロアポトーシスアッセイ。
前述のように、オベキシリマブは臨床試験中にヒト患者の B 細胞数を減少させることが示された(Jaraczewska-Baumann,et al.,EULAR 2015 Annual Meeting Poster:A Phase 1b/2a Study of the Safety,Tolerability,Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of XmAb(登録商標)5871 in Patients with Rheumatoid Arthritis,June 12,2015)。
【0101】
抗ヒトCD19 mAb CB3fおよびオベキシリマブが初代ヒトB細胞のアポトーシスを誘導する能力を、インビトロB細胞アポトーシスアッセイを使用して試験する。B細胞単離キット(Stemcell Technologies)を用いたネガティブ選択により、健康なドナーのPBMCからヒト初代B細胞を単離する。ヒト初代B細胞を1×10細胞/mLで再懸濁し、完全培地(10%ウシ胎児血清を含むRPMI-1640、1×MEM-非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、1×ペニシリン-ストレプトマイシン溶液(すべてCorning)および1×GlutaMAX(Gibco)、0.1%β-メルカプトエタノール(LifeTechnologies)で、ポリスチレン96ウェルU底プレート中、37℃で培養する。細胞を指定濃度のCB3f、オベキシリマブ、またはアイソタイプ対照抗体で2時間、37℃および5% COで処理する。B細胞のアポトーシスを、アネキシンV染色を生存性色素と組み合わせて使用するフローサイトメトリーによって測定する。適切な組み合わせの蛍光色素結合抗体で4℃で30分間細胞を染色してB細胞活性化マーカーを同定する:CD19 APC(Biolegend)、CD20 PerCP-Cy5.5(BD Pharminogen)、アネキシンV(Invitrogen)および固定可能な生存性色素eFluor(商標)780(eBioscience)。アポトーシス細胞は、生きたアネキシンV細胞として定義される。BD Fortessa X-20でサンプルを取得し、FlowJoソフトウェアを使用して結果を分析する{1]。
【0102】
3人の異なるドナーから得られたB細胞を用いて実験を繰り返し、代表的なデータを図8に示す。オベキシリマブはB細胞アポトーシスを用量依存的に誘導し(図8)、これは臨床試験で観察されたヒト患者におけるB細胞数の減少を説明し得る。対照的に、CB3fは、アイソタイプ対照と比較した場合、ヒトB細胞のアポトーシスをほとんどまたは全く誘導しない(図8)。データは、オベキシリマブとは対照的に、抗ヒトCD19 mAb CB3fが、エクスビボで初代ヒトB細胞のアポトーシスを誘導しないことを示しており、CB3fの異なる作用機序が示唆される。このデータはさらに、抗ヒトCD19 mAb CB3fが、B細胞を枯渇させることなく、またはB細胞数を有意に減少させることなく、B細胞機能を阻害することによって作用することを示している。
【0103】
実施例4.抗ヒトCD19抗体のインビボ機能特性評価。
雌NSGマウス(NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl / SzJ、JAX Labs、ストック#05557)は、72℃、12時間の明:暗サイクル下でケージあたり3匹収容され、飼料および水を自由に摂取できる(n=33)。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)は、製造業者の指示(StemCell Technologies、Vancouver、BC)に従ってSepMate 50 Ficol調製チューブを使用して、San Diego Blood Bank(San Diego CA)から得られたLRSチューブから単離する。新たに単離したPBMCを1.2e細胞/mLでPBSに懸濁し、0日目にマウスに100μLのPBMC懸濁液を静脈内移植する(1.2e/マウス、n=29)。4匹のマウスには、非移植対照としてPBMCを投与しない。1日目に、体重が一致するようにマウスを3つの群に分け、ヒトIgG4アイソタイプ対照またはCB3fを0.01または1.0mg/kgで皮下投与する(200μL/マウス、それぞれn=10、10、および9)。投与を、実験の残りの間、週に1回続ける。健康診断および体重測定を定期的に行う。6日目および10日目に、テールスニップにより、ヘパリンでコーティングされたキャピラリーチューブに血液を採取する。15日目に、血液を、イソフルラン麻酔下で心臓穿刺によってFACS分析のためにEDTAチューブに収集し、血漿分析のために遠心分離によって清澄化する。脾臓を回収し、FACS分析のために単一細胞懸濁液に処理する。
【0104】
マウスの体重を、2~3回/週でBSL2フードにおいて量り、苦痛の臨床徴候について評価する。このモデルに共通する臨床徴候は、ボサボサの毛、丸まった体、衰弱、および呼吸または運動困難である。体重変化を、それらのベースライン体重のパーセンテージ:(日(x)体重/0日目体重)*100として計算する。
【0105】
心臓穿刺からの血液は、EDTAコーティングされたチューブに収集し、遠心分離によって清澄化し、得られた血漿は、今後の処理のために-80℃で保存する。Mesoscale DiscoveryのHuman Isotyping Panel(Rockville Maryland)を製造業者の指示に従って使用して血漿IgMレベルを測定する。
【0106】
マウス脾臓の単一細胞懸濁液をFACS分析に使用する。細胞を96ウェルプレートに播種し、適切な組み合わせの蛍光色素結合抗体で4℃で30分間染色してB細胞活性化マーカーを同定する:hCD45-BV421、CD86 BV650、CD3 APC、CD19 FTIC(すべてBioLegend)、CD20 PerCP-Cy5.5および固定可能な生存性色素eFluor(商標)780。各サンプルについて、生細胞でゲートをかけた少なくとも250,000の事象を分析する。BD Fortessa X-20でサンプルを取得し、FlowJoソフトウェアを使用して結果を分析する。
【0107】
データをグラフ化し、Prism Software(GraphPad、San Diego,CA)を使用して統計を計算する。群間の体重の差を、Tukeyの事後検定を伴う2-way RM-ANOVAによって決定する。血漿IgMレベルの差を、Tukeyの事後検定を伴う一元配置ANOVAによって決定し、p<0.05の場合に有意であるとみなす。
【0108】
ヒトPBMCをNSGマウスに注射すると、末梢へのヒトIgMの分泌によって測定されるように、機能的なB細胞の顕著な生着が生じる。IgG4アイソタイプ対照で処理した動物におけるヒトIgMは、移植後6日目および10日目に、検出不能から1.3±0.1および48.8±6.2μg/mLまで、それぞれ急速に増加する。図9A図9Bに示すように、0.01および1.0mg/kg/週で投与されたCB3fは、6日目にIgMの分泌を60%および78%有意に減弱させる(両方の用量でp<0.01)。1.0mg/kg/週用量のCB3fでは、10日目に循環IgMの57%の減少も観察される(p<0.05)。マウスの体重に群間差はなく、GvHDの徴候を示すマウスもいない。
【0109】
NSGマウスにおけるヒトB細胞の活性化を、活性化マーカーであるCD86の発現によって測定する。図10に示されるように、抗ヒトCD19 mAb CB3fによる処理は、ヒトB細胞上のCD86の発現を用量依存的に低下させる。
【0110】
CB3fによる処理は、脾臓B細胞の割合を軽度に減少させるが、これはおそらくB細胞の活性化および増殖の低下によるものである。この事実にもかかわらず、B細胞はほとんど変化しない数で脾臓に存在し(脾細胞の>50%)、抗ヒトCD19 mAb CB3fの非枯渇性が示唆される(図11)。
【0111】
実施例5.初代ヒトB細胞における抗ヒトCD19抗体の内在化
標準的な密度勾配遠心分離法を用いて、健康なボランティアのLRS-WBCから末梢血単核細胞(PBMC)を収集する。B細胞単離キットを用いたネガティブ選択により、健康なドナーのPBMCからヒト初代B細胞を単離する。内在化試験のために、B細胞を4×10細胞/mLで再懸濁し、50μLを96ウェルプレートの各ウェルに加える。ヒトIg Fcγ断片を標的とする標識されたF(ab’)2(F(ab’)2-TAMRA-QSY7)を、内在化を追跡するためのプローブとして使用する。試験抗体をプローブとともに4℃で30分間インキュベートして複合体を形成し、50μLを各ウェルのB細胞に加える。試験抗体の最終濃度は2μg/mLである。細胞をCOインキュベーターで、37℃で24時間インキュベートする。次いで、細胞を2%FBS PBSで2回洗浄し、生存性色素(SYTOX Green、Invitrogen)を含む2%FBS PBSに再懸濁する。BD Fortessa X-20でデータを収集し、FlowJoで分析する。
【0112】
抗ヒトCD19 mAb1(CB3f)および抗ヒトCD19 mAb2(C323.C1)の両方が、24時間で初代ヒトB細胞において内在化を示す(図12)。IgG1エフェクターヌルアイソタイプ対照抗体が陰性対照として使用され、TAMRA+細胞の割合が低いことによって示されるように有意な内在化を示さない(図12)。陽性対照IgG4 mAbは、試験した抗ヒトCD19 mAbに匹敵する内在化を示す(図12)。
【0113】
実施例6.動物モデルにおける非枯渇抗マウスCD19代替抗体とB細胞枯渇抗マウスCD20代替抗体の有効性の比較
マウスCIAモデルにおける非枯渇CD19代替抗体およびB細胞枯渇CD20代替抗体のインビボ有効性
この試験では、非枯渇抗マウスCD19代替抗体(CD19代替Ab)およびB細胞枯渇抗マウスCD20代替抗体(CD20代替Ab)を、アイソタイプ対照抗体とともに、半確立疾患モードのマウスコラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルで試験した(すなわち、疾患の誘発後、動物が検出可能な臨床スコアを示し始める前に抗体が導入された)。
【0114】
コラーゲンおよび完全フロイントアジュバント(CFA)で免疫したアイソタイプ対照処理マウスは、25日目から関節炎症の観察可能な徴候を発症したが、アイソタイプで処理した非疾患マウスには、試験を通して観察可能な関節炎症が見られなかった(図13A)。19日目に開始したCD20代替Abによる処理(10mg/kg SC、週1回)は平均臨床スコアを改善したが、CD19代替Ab(5mg/kg SC、週2回)は平均臨床スコアをさらに低下させた(図13A)。CD20代替Abは、アイソタイプ対照と比較して臨床スコアAUCを有意に低下させなかった(図13B)。一方、CD19代替Abは、アイソタイプ対照およびCD20代替Abの両方と比較して、臨床スコアAUCを有意に低下させた(図13B)。これらの結果は、半確立モードで実施されたマウス関節炎のCIAモデルにおける臨床スコアAUCによって評価されるように、CD19代替Abが疾患の重症度をCD20代替Abよりも大きく軽減できることを示唆している。
【0115】
1型糖尿病のマウスNODモデルにおける非枯渇CD19代替AbおよびB細胞枯渇CD20代替Abのインビボ有効性。
NOD/ShiLtJマウス系統(一般に非肥満糖尿病と呼ばれる)は、自己免疫1型糖尿病(T1D)の多遺伝子モデルである。NODマウスの糖尿病は、高血糖、および膵島の白血球浸潤である膵島炎によって特徴付けられる。疾患の有病率は、雌のマウスにおいて最も高い。
【0116】
この試験では、非枯渇CD19代替Abを枯渇CD20代替Abとともに、半治療的疾患モードの1型糖尿病のマウスNODモデルで試験した(すなわち、対照動物が臨床スコアを示し始める直前に抗体が導入された)。
【0117】
雌のNOD-LTJマウスを未処理のままにし、12週齢から開始して5mg/kg/BIWのCD19代替AbまたはCD20代替Abを投与した。Accu Check Aviva血糖測定器(Rocheカタログ番号06870287001)および試験ストリップ(Rocheカタログ番号06908373001、ロット番号497064)を使用して、すべてのマウスの血糖を毎週検査した。240mg/dlを超える血糖値を有するマウスを糖尿病であると見なした。未処理マウスは、14週齢から糖尿病を発症した。CD20代替Abによる処理(5mg/kg SC、週2回)は、疾患進行に対して非常に軽度の保護を示したのに対し、CD19代替Ab(5mg/kg SC、週2回)は、糖尿病の発症を遅らせ、かつ軽減した(図14)。これらの結果は、非枯渇CD19代替Abが、NODマウスの1型糖尿病の発生を枯渇抗CD20代替Abよりも大きく遅らせ、かつ軽減できることを示唆している。
【0118】
マウスEAEモデルにおける非枯渇CD19代替AbおよびB細胞枯渇CD20代替Abのインビボ有効性
マウス実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)は、多発性硬化症(MS)等の炎症性神経変性および脱髄性疾患のモデルとして広く使用されている。
【0119】
この試験では、非枯渇抗CD19代替Abを枯渇CD20代替Abとともに、半治療的疾患モードのプロテオリピドタンパク質誘発性の再発寛解型(RR)脱髄性EAEモデルで試験した(すなわち、疾患の誘発後、動物が検出可能な臨床スコアを示し始める前に抗体が導入された)。
【0120】
平均体重18~21gの雌の9~10週齢SJLマウス(Jackson Labs)を試験に用いた。マウスは、Hooke Kit(商標)PLP139-151/CFAエマルジョン(カタログ番号EK-0120、Hooke Laboratories、Lawrence MA)、および75ngの百日咳毒素(PTX)で免疫した。動物を、体重に基づいて、各群15匹のマウスを含む試験群に無作為に割り付けた。5mg/kgの非枯渇CD19代替Ab、枯渇CD20代替Ab、またはアイソタイプマウスIgG1対照を、8日目から開始して週2回皮下投与した。EAEスコアは、0.5単位の増分でスケール0~6で毎日収集した。42日目にマウスを屠殺した。非枯渇CD19代替Abによる処理は、アイソタイプ対照と比較して35~41日目のEAEスコアを有意に低下させ、最終日にはEAEスコアが51%低下した(図15)。枯渇CD20代替Abによる処理は、試験したいずれの時点でも、アイソタイプ対照と比べて疾患スコアの有意な低下を示さなかった(図15)。これらの結果は、半治療モードの処理における多発性硬化症のEAEモデルの臨床スコアによって評価されるように、非枯渇CD19代替抗体が枯渇CD20代替抗体よりも疾患の重症度を大きく低下させることができることを示唆している。
配列表
C323
配列番号1 C323 HCDR1(North)
KASGGTFSSYAIS
配列番号2 C323 HCDR2(North)
GIIPIFGTAN
配列番号3 C323 HCDR3(North)
AREDFGYNYGMDV
配列番号4 C323 LCDR1(North)
RASQGVNSYYLA
配列番号5 C323 LCDR2(North)
YATSTRAT
配列番号6 C323 LCDR3(North)
QHYGNSLFT
配列番号7 C323 HC IgG4-S228P
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREDFGYNYGMDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
配列番号8 C323 HC IgG4-S228P DNA
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGAGGCACCTTCAGCAGCTATGCTATCAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGAGGGATCATCCCTATCTTTGGTACAGCAAACTACGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACGAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGGACTTCGGCTACAATTACGGCATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCTTCTACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGTTTCTGGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAAAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGT
配列番号9 C323HC可変領域(VH)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSPDYSPYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
配列番号10 C323 HC VH DNA
CAGGTTCAGCTGGTGCAGTCTGGTGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGTGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGTTACACCTTTACCGACTACTACATGCACTGGGTGCGTCAGGCCCCTGGTCAAGGTCTTGAGTGGATGGGTCGTGTTAATCCTAACCGGAGGGGTACTACCTACAACCAGAAATTCGAGGGCCGTGTCACCATGACCACAGACACATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGCGTAGCCTGCGTTCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGCGTGCGAACTGGCTTGACTACTGGGGCCAGGGCACCACCGTCACCGTCTCC
配列番号11 C323 LCEIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVPYIHWYQQKPGQAPRLLIYATSALASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWLSNPPTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号12 C323 LC DNA
GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGGGTGTTAACAGCTACTACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATGTATGCTACATCCACCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCACTATGGTAACTCACTATTCACTTTCGGCCCTGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGGACCGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
配列番号13 C323 LC可変領域(VL)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQGVNSYYLAWYQQKPGQAPRLLMYATSTRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQHYGNSLFTFGPGTKVEIK
配列番号14 C323 LC VL DNA
GCCCTGACTCAGCCGTCCTCGGTGTCAGCAAACCTGGGAGGAACAGTCAAGATCACCTGCTCCGGGGGTAGTGGCAGCTATGGCTGGTTCCGGCAGAAGTCTCCTGGCAGTGCCCCTGTCACTGTGATCTATTACAACGACAAGAGACCCTCGGACATCCCTTCACGATTCTCCGGTTCCAAATCCGGCTCCACAGCCACATTAACCATCACTGGGGTCCGAGCCGAGGACGAGGCTGTCTATTTCTGTGGGAGTGCAGGCAACAGTGGTGCATTTGGGGCCGGGACAACCCTGACCGTCCTT
C323.C1
配列番号15 C323.C1 HCDR1(North)
KASGGTISSYAYS
配列番号16 C323.C1 HCDR2(North)
GIIPIFDTAN
配列番号17 C323.C1 HCDR3(North)
AREDFGYNYAMDV
配列番号18 C323.C1 LCDR1(North)
RASQKVNSYYLH
配列番号19 C323.C1 LCDR2(North)
YATRTRPT
配列番号20 C323.C1 LCDR3(North)
QHYGQSLFT
配列番号21 C323.C1 HC IgG4-S228P
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTISSYAYSWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFDTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREDFGYNYAMDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
配列番号22 C323.C1 HC IgG4-S228P DNA
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGAGGCACCATTAGCAGCTATGCTTACAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGAGGGATCATCCCTATCTTTGACACAGCAAACTACGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACGAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGGACTTCGGCTACAATTACGCGATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCCTTGTCACCGTCTCCTCAGCTTCTACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGTTTCTGGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAAAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGT
配列番号23 C323.C1 VH
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDGGDYGDMGYWGQGTLVTVSS
配列番号24 C323.C1 VH DNA
CAGGTTCAGCTGGTGCAGTCTGGTGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGTGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGTTACACCTTTACCGACTACTACATGCACTGGGTGCGTCAGGCCCCTGGTCAAGGTCTTGAGTGGATGGGTCGTGTTAATCCTAACCGGAGGGGTACTACCTACAACCAGAAATTCGAGGGCCGTGTCACCATGACCACAGACACATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGCGTAGCCTGCGTTCTGACGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGCGTGCGAACTGGCTTGACTACTGGGGCCAGGGCACCACCGTCACCGTCTCC
配列番号25 C323.C1 LC
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVPYIHWYQQKPGQAPRLLIYATSALASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWLSNPPTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号26 C323.C1 LC DNA
GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAAAGTTAACAGCTACTACTTACATTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGCTACAAGAACCAGGCCAACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCACTATGGTCAGTCACTATTCACTTTCGGCCAGGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGGACCGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
配列番号27 C323.C1 VL
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASRSVPYIHWYQQKPGQAPRLLIYATSALASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWLSNPPTFGQGTKLEIK
配列番号28 C323.C1 VL DNA
GCCCTGACTCAGCCGTCCTCGGTGTCAGCAAACCTGGGAGGAACCGTCAAGATCACCTGCTCCGGGGGTTACAGCAGCTATGGCTGGTATCAGCAGAAGTCTCCTGGCAGTGCTCCTGTCACTCTGATCTATTACAACGCCAAGAGACCCTCGAACATCCCTTCACGATTCTCCGGTTCCAAATCCGGCTCCACAGCCACATTAACCATCACTGGGGTCCAAGCCGAGGACGAGGCTGTCTATTTCTGTGGGACTGCAGACAGGAGCAGTACTGCTTTATTTGGGGCCGGGACAACCCTGACCGTCCTT
CB3f
配列番号29 CB3f/CB3 HCDR1(North)
KASGHTISSYAYS
配列番号30 CB3f/CB3 HCDR2(North)
DIIPAYGSPN
配列番号31 CB3f/CB3 HCDR3(North)
AREDFGKNYAMDV
配列番号32 CB3f LCDR1(North)
RASQHVSSHYLA
配列番号33 CB3f LCDR2(North)
GASSRAT
配列番号34 CB3f LCDR3(North)
QHYGQSQFT
配列番号35 CB3f/CB3 HC IgG4-S228P
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGHTISSYAYSWVRQAPGQGLEWMGDIIPAYGSPNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREDFGKNYAMDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
配列番号36 CB3f/CB3 HC IgG4-S228P DNA
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGACATACCATTAGCAGCTATGCTTACAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGAGACATCATCCCTGCCTATGGCTCACCAAACTACGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACGAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGGACTTCGGCAAGAATTACGCGATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCCTTGTCACCGTCTCCTCAGCTTCTACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGTTTCTGGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAAAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGT
配列番号37 CB3f/CB3 VH
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDGGDYGDMGYWGQGTLVTVSS
配列番号38 CB3f/CB3 VH DNA
ACGAATTCGGCCGTGACGTTGGACGAGTCTGGGGGCGGCCTCCAGACGCCCGGAGGAGGGCTCAGCCTCGTCTGCAAGGCCTCCGGGTTCTCCTTCAGCAGTTATGGCATGGGCTGGGTGCGACAGGCGCCCGGCAAGGGGCTGGAATTCATCGCGGGTATTAGAAGCAGTGGTAGTAGCACATACTACGGGGCGGCGGTGAAGGGCCGTGCCACCATCACGAGGGACAACGGGCAGAGCACAGTGAGGCTGCAGCTGAACAACCTCAGGGCTGAGGACACCGCCACCTACTACTGCGCCAAAGCTGGTTGTAGTGATTGTTGGCGTAGTACTCCTGGTAGGATCGACGCATGGGGCCACGGGACCGAAGTCATCGTCTCCTCG
配列番号39 CB3f LC
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVRSNYFAWYQQKPGQAPRLLIYGVSRRAFGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGASLITFGQGTRLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号40 CB3f LC DNA
GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGCATGTTAGCAGCCACTACTTAGCTTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCAGCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCACTATGGTCAGTCACAGTTCACTTTCGGCCAGGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGGACCGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
配列番号41 CB3f VL
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVRSNYFAWYQQKPGQAPRLLIYGVSRRAFGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGASLITFGQGTRLEIK
配列番号42 CB3f VL DNA
GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGATGCATCCAACAGGGCCACTGGCATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTAGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCAGCGTAGCAACTGGCCTCCGGCGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAA
CB3(LCのみ、HCはCB3fと同一)
配列番号43 CB3 LCDR1(North)
RASQHVNSHYLA
配列番号44 CB3 LCDR2(North)
YATRTRPT
配列番号45 CB3 LCDR3(North)
QHYGQSQFT
配列番号46 CB3 LC
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASSSVPYIHWYQQKPGQAPRLLIYATSALASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWLSNPPTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号47 CB3 LC DNA
GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGCATGTTAACAGCCACTACTTAGCTTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGCTACAAGAACCAGGCCAACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCACTATGGTCAGTCACAGTTCACTTTCGGCCAGGGGACCAAGGTGGAGATCAAACGGACCGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGC
配列番号48 CB3 VL
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASRSVPYIHWYQQKPGQAPRLLIYATSALASGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQWLSNPPTFGQGTKLEIK
配列番号49 CB3 VL DNA
GCCCTGACTCAGCCGTCCTCGGTGTCAGCAAACCTGGGAGGAACAGTCAAGATCACCTGCTCCGGGGGTAGTGGCAGCTATGGCTGGTTCCGGCAGAAGTCTCCTGGCAGTGCCCCTGTCACTGTGATCTATTACAACGACAAGAGACCCTCGGACATCCCTTCACGATTCTCCGGTTCCAAATCCGGCTCCACAGCCACATTAACCATCACTGGGGTCCGAGCCGAGGACGAGGCTGTCTATTTCTGTGGGAGTGCAGGCAACAGTGGTGCATTTGGGGCCGGGACAACCCTGACCGTCCTT
CB3f/CB3-IgG1
配列番号50 CB3f/CB3 IgG1 HC
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGHTISSYAYSWVRQAPGQGLEWMGDIIPAYGSPNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREDFGKNYAMDVWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
配列番号51 CB3f/CB3 IgG1 HC DNA
CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGACATACCATTAGCAGCTATGCTTACAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGAGACATCATCCCTGCCTATGGCTCACCAAACTACGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACGAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGGACTTCGGCAAGAATTACGCGATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCCTTGTCACCGTCTCCTCAGCTTCTACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGACGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCCCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGT
CB3f/CB3-IgG1エフェクターヌル
配列番号52 CB3f/CB3 IgG1エフェクターヌルHC(LCはCB3f/CB3と同一)(下線部はIgG1 WTからの変化)
【配列表1】
【0121】
配列番号53 CB3f/CB3 IgG1エフェクターヌルHC DNA(LCはCB3f/CB3と同一)
CAGGTGCAACTTGTCCAAAGCGGAGCTGAGGTTAAGAAACCAGGTTCATCTGTGAAGGTGTCATGTAAGGCAAGCGGCCACACCATTTCATCTTACGCATACTCCTGGGTTCGACAAGCTCCAGGCCAGGGATTGGAATGGATGGGAGACATAATCCCAGCATACGGATCACCTAACTACGCACAGAAGTTTCAGGGGAGAGTGACAATTACAGCCGACGAGTCTACTAGCACTGCTTACATGGAGTTGTCTTCACTTCGGTCAGAGGATACAGCAGTTTACTATTGTGCCAGGGAGGATTTCGGGAAAAATTATGCTATGGATGTATGGGGTCAGGGCACCCTGGTTACTGTATCATCTGCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAAGCCGCCGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGTCCGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTATGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAAGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAAGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATTCCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGCAAA
C323.C1-IgG1エフェクターヌル
配列番号54 C323.C1 IgG1エフェクターヌルHC(LCはCB3.C1と同一)(下線部はIgG1 WTからの変化)
【配列表2】
【0122】
配列番号55 C323.C1 IgG1エフェクターヌルHC DNA
CAGGTTCAGCTCGTGCAAAGTGGAGCTGAGGTGAAAAAACCTGGTTCTAGCGTCAAGGTCTCTTGTAAGGCCTCTGGGGGCACTATAAGCTCTTATGCTTATAGTTGGGTGCGCCAGGCCCCAGGACAGGGCTTGGAATGGATGGGCGGCATAATACCCATATTCGACACAGCCAACTACGCTCAAAAATTTCAGGGGAGAGTGACTATAACTGCAGACGAGAGCACTAGCACCGCTTACATGGAGTTGAGTAGTCTCCGCAGTGAAGACACAGCCGTCTATTATTGCGCTAGGGAGGACTTTGGTTACAACTACGCCATGGATGTCTGGGGCCAGGGTACTTTGGTCACCGTATCTAGTGCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAAGCCGCCGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGTCCGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTATGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAAGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAAGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTATTCCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGCAAA
配列番号56 ヒトCD19アイソフォーム1(NCBI参照配列:NP_001171569.1)
MPPPRLLFFLLFLTPMEVRPEEPLVVKVEEGDNAVLQCLKGTSDGPTQQLTWSRESPLKPFLKLSLGLPGLGIHMRPLAIWLFIFNVSQQMGGFYLCQPGPPSEKAWQPGWTVNVEGSGELFRWNVSDLGGLGCGLKNRSSEGPSSPSGKLMSPKLYVWAKDRPEIWEGEPPCLPPRDSLNQSLSQDLTMAPGSTLWLSCGVPPDSVSRGPLSWTHVHPKGPKSLLSLELKDDRPARDMWVMETGLLLPRATAQDAGKYYCHRGNLTMSFHLEITARPVLWHWLLRTGGWKVSAVTLAYLIFCLCSLVGILHLQRALVLRRKRKRMTDPTRRFFKVTPPPGSGPQNQYGNVLSLPTPTSGLGRAQRWAAGLGGTAPSYGNPSSDVQADGALGSRSPPGVGPEEEEGEGYEEPDSEEDSEFYENDSNLGQDQLSQDGSGYENPEDEPLGPEDEDSFSNAESYENEDEELTQPVARTMDFLSPHGSAWDPSREATSLAGSQSYEDMRGILYAAPQLRSIRGQPGPNHEEDADSYENMDNPDGPDPAWGGGGRMGTWSTR
配列番号57 ヒトCD19アイソフォーム2(NCBI参照配列:NP_001761.3)
MPPPRLLFFLLFLTPMEVRPEEPLVVKVEEGDNAVLQCLKGTSDGPTQQLTWSRESPLKPFLKLSLGLPGLGIHMRPLAIWLFIFNVSQQMGGFYLCQPGPPSEKAWQPGWTVNVEGSGELFRWNVSDLGGLGCGLKNRSSEGPSSPSGKLMSPKLYVWAKDRPEIWEGEPPCLPPRDSLNQSLSQDLTMAPGSTLWLSCGVPPDSVSRGPLSWTHVHPKGPKSLLSLELKDDRPARDMWVMETGLLLPRATAQDAGKYYCHRGNLTMSFHLEITARPVLWHWLLRTGGWKVSAVTLAYLIFCLCSLVGILHLQRALVLRRKRKRMTDPTRRFFKVTPPPGSGPQNQYGNVLSLPTPTSGLGRAQRWAAGLGGTAPSYGNPSSDVQADGALGSRSPPGVGPEEEEGEGYEEPDSEEDSEFYENDSNLGQDQLSQDGSGYENPEDEPLGPEDEDSFSNAESYENEDEELTQPVARTMDFLSPHGSAWDPSREATSLGSQSYEDMRGILYAAPQLRSIRGQPGPNHEEDADSYENMDNPDGPDPAWGGGGRMGTWSTR
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
【配列表】
2023515219000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトCD19に結合する抗体であって、前記抗体が、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号29を含み、
前記HCDR2が、配列番号30を含み、
前記HCDR3が、配列番号31を含み、
前記LCDR1が、配列番号32を含み、
前記LCDR2が、配列番号33を含み、ならびに
前記LCDR3が、配列番号34を含む、抗体。
【請求項2】
前記VHが、配列番号37を含み、前記VLが、配列番号41を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体が、配列番号35を含む重鎖(HC)、および配列番号39を含む軽鎖(LC)を含む、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体が、配列番号52を含むHC、および配列番号39を含むLCを含む、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項5】
ヒトCD19に結合する抗体であって、前記抗体が、VHおよびVLを含み、前記VHが、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号29を含み、
前記HCDR2が、配列番号30を含み、
前記HCDR3が、配列番号31を含み、
前記LCDR1が、配列番号43を含み、
前記LCDR2が、配列番号44を含み、ならびに
前記LCDR3が、配列番号45を含む、抗体。
【請求項6】
前記VHが、配列番号37を含み、前記VLが、配列番号48を含む、請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体が、配列番号35を含むHC、および配列番号46を含むLCを含む、請求項5または6に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体が、配列番号52を含むHC、および配列番号46を含むLCを含む、請求項5または6に記載の抗体。
【請求項9】
ヒトCD19に結合する抗体であって、前記抗体が、VHおよびVLを含み、前記VHが、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含み、前記VLが、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み、
前記HCDR1が、配列番号15を含み、
前記HCDR2が、配列番号16を含み、
前記HCDR3が、配列番号17を含み、
前記LCDR1が、配列番号18を含み、
前記LCDR2が、配列番号19を含み、
前記LCDR3が、配列番号20を含む、抗体。
【請求項10】
前記VHが、配列番号23を含み、前記VLが、配列番号27を含む、請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
配列番号21を含むHC、および配列番号25を含むLCを含む、請求項9または10に記載の抗体。
【請求項12】
配列番号54を含むHC、および配列番号25を含むLCを含む、請求項9または10に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体が非枯渇抗体である、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項14】
配列番号35、52、39、46、21、54、または25をコードする配列を含む、核酸。
【請求項15】
請求項14に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項16】
配列番号35または52をコードする第1の核酸配列、および配列番号39または46をコードする第2の核酸配列を含む、請求項15に記載のベクター。
【請求項17】
配列番号21または54をコードする第1の核酸配列、および配列番号25をコードする第2の核酸配列を含む、請求項15に記載のベクター。
【請求項18】
配列番号35または52をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号39または46をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む、組成物。
【請求項19】
配列番号21または54をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号25をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む、組成物。
【請求項20】
請求項16または17に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項21】
配列番号35または52をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号39または46をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む、細胞。
【請求項22】
配列番号21または54をコードする核酸配列を含む第1のベクター、および配列番号25をコードする核酸配列を含む第2のベクターを含む、細胞。
【請求項23】
前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項20~22のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項24】
抗体を生成するための方法であって、前記抗体が発現するような条件下で、請求項20~23のいずれか一項に記載の細胞を培養し、次いで発現した抗体を培養培地から回収することを含む、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法によって生成された、抗体。
【請求項26】
請求項1~13および25のいずれか一項に記載の抗体、および薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体を含む、医薬組成物。
【請求項27】
療法に使用するための、請求項1~13または25のいずれか一項に記載の抗体を含む、医薬組成物。
【請求項28】
B細胞関連疾患の治療における使用のための、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記B細胞関連疾患が、自己免疫疾患である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記B細胞関連疾患が、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、シェーグレン症候群、特発性血小板減少性紫斑病、1型糖尿病、尋常性天疱瘡、視神経脊髄炎、ANCA血管炎、または重症筋無力症から選択される、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項31】
B細胞関連疾患の治療のための薬物の製造における、請求項1~13または25のいずれか一項に記載の抗体の使用。
【請求項32】
前記B細胞関連疾患が、自己免疫疾患である、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記B細胞関連疾患が、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、シェーグレン症候群、特発性血小板減少性紫斑病、1型糖尿病、尋常性天疱瘡、視神経脊髄炎、ANCA血管炎、または重症筋無力症から選択される、請求項31に記載の使用。
【国際調査報告】