(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】電気端子を封止するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/72 20060101AFI20230405BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20230405BHJP
H01R 4/02 20060101ALN20230405BHJP
H01R 4/18 20060101ALN20230405BHJP
【FI】
H01R4/72
H02G1/14
H01R4/02 C
H01R4/02 Z
H01R4/18 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560912
(86)(22)【出願日】2021-04-08
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 IB2021052927
(87)【国際公開番号】W WO2021205380
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522184501
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・ソリューションズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Solutions GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】セティ,サニー
(72)【発明者】
【氏名】ダガ,ビジャイ
【テーマコード(参考)】
5E085
5G355
【Fターム(参考)】
5E085BB01
5E085CC03
5E085DD01
5E085DD03
5E085DD13
5G355BA08
5G355BA15
5G355CA17
5G355CA26
(57)【要約】
電気端子を封止する封止デバイス及び方法である。封止デバイスには、内壁を有する熱収縮チューブが含まれる。第1シーラント/接着剤は、熱収縮チューブと協働するように構成される。第1シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤の第1表面と、反対側に面する第1シーラント/接着剤の第2表面とを有する。第1シーラント/接着剤の第2表面は、熱収縮チューブの内壁に接着される。第2シーラント/接着剤は、電気端子と電気的に係合する導電体の自由端と協働するように構成される。第2シーラント/接着剤は、第2シーラント/接着剤の第1表面と、反対側に面する第2シーラント/接着剤の第2表面とを有する。第2シーラント/接着剤の第1表面は、導電体と係合して供される。第2シーラント/接着剤の第2表面は、第1シーラント/接着剤の第1表面と係合及び接着して供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気端子を封止するための封止デバイスであって、
内壁を有する熱収縮チューブ;
熱収縮チューブと協働するように構成される第1シーラント/接着剤;
電気端子と電気的に係合する導電体の自由端と協働するように構成される第2シーラント/接着剤を有して成り、
第1シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤の第1表面と、反対側に面する第1シーラント/接着剤の第2表面とを有し、第1シーラント/接着剤の第2表面は、熱収縮チューブの内壁に接着し、第1シーラント/接着剤は、第1粘度を有し、
第2シーラント/接着剤は、第2シーラント/接着剤の第1表面と、反対側に面する第2シーラント/接着剤の第2表面とを有し、第2シーラント/接着剤の第1表面は、導電体と係合して供され、第2シーラント/接着剤の第2表面は、第1シーラント/接着剤の第1表面と係合及び接着して供され、第2シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤より低い第2粘度を有する、封止デバイス。
【請求項2】
第1シーラント/接着剤に近接して第3シーラント/接着剤が供され、第3シーラント/接着剤は、導電体と協働するように構成され、第3シーラント/接着剤は、第3シーラント/接着剤の第1表面と、反対側に面する第3シーラント/接着剤の第2表面とを有し、第3シーラント/接着剤の第1表面は、導電体と係合して供され、第3シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤の第1粘度より高い第3粘度を有し、これにより、第3シーラント/接着剤は、加熱すると、導電体の所定の領域から大幅に流れることなく溶融して、導電体の表面に適合可能となる、請求項1に記載の封止デバイス。
【請求項3】
第3シーラント/接着剤の第2表面が、第1シーラント/接着剤の第1表面と係合及び接着して供される、請求項2に記載の封止デバイス。
【請求項4】
第3シーラント/接着剤の第3粘度が、第1シーラント/接着剤の第1粘度に等しい、請求項3に記載の封止デバイス。
【請求項5】
第3シーラント/接着剤に近接して、第4シーラント/接着剤が供され、第4シーラント/接着剤は、導電体と協働するように構成され、第4シーラント/接着剤は、第4シーラント/接着剤の第1表面と、反対側に面する第4シーラント/接着剤の第2表面とを有し、第4シーラント/接着剤の第1表面は、導電体と係合して供され、第4シーラント/接着剤は第4粘度を有し、これにより、第4シーラント/接着剤は、加熱すると、溶融して、導電体の自由端の間にわたって流れ、導電体間に存在する空隙を充填可能となる、請求項4に記載の封止デバイス。
【請求項6】
第4シーラント/接着剤の第2表面が、第1シーラント/接着剤の第1表面に係合及び接着して供される、請求項5に記載の封止デバイス。
【請求項7】
第4シーラント/接着剤の第4粘度が、第2シーラント/接着剤の第2粘度に等しい、請求項6に記載の封止デバイス。
【請求項8】
第2シーラント/接着剤、第3シーラント/接着剤及び第4シーラント/接着剤が平面部材を形成する、請求項7に記載の封止デバイス。
【請求項9】
熱収縮チューブ、第1シーラント/接着剤及び第2シーラント/接着剤は、電気端子の上に封止デバイスを配置する前に集められる、請求項1に記載の封止デバイス。
【請求項10】
第1シーラント/接着剤は0.25mm~1.0mmの間の厚さを有する、請求項1に記載の封止デバイス。
【請求項11】
第1シーラント/接着剤は、第2シーラント/接着剤と等しい幅、又はそれより大きい幅を有する、請求項1に記載の封止デバイス。
【請求項12】
第1シーラント/接着剤の第1粘度は、設置温度にて20Pa・sより大きい、請求項1に記載の封止デバイス。
【請求項13】
第2シーラント/接着剤の第2粘度は、設置温度にて20Pa・s未満である、請求項1に記載の封止デバイス。
【請求項14】
第1シーラント/接着剤は架橋可能なシーラント/接着剤である、請求項1に記載の封止デバイス。
【請求項15】
電気端子の導電体を封止するためにカバーと共に用いる封止デバイスであって、
カバーは内壁を有し、
封止デバイスは、
カバーと協働するように構成される第1シーラント/接着剤;
電気端子と電気的に係合する導電体の自由端と協働するように構成される第2シーラント/接着剤を有して成り、
第1シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤の第1表面と、反対側に面する第1シーラント/接着剤の第2表面とを有し、第1シーラント/接着剤の第2表面は、カバーの内壁に接着しており、第1シーラント/接着剤は第1粘度を有し、
第2シーラント/接着剤は、第2シーラント/接着剤の第1表面と、反対側に面する第2シーラント/接着剤の第2表面とを有し、第2シーラント/接着剤の第1表面は、導電体と係合して供され、第2シーラント/接着剤の第2表面は、第1シーラント/接着剤の第1表面と係合及び接着して供され、第2シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤より低い粘度を有する第2粘度を有し、
加熱すると、第1シーラント/接着剤がカバーの内壁に適合し、
さらに加熱すると、第2シーラント/接着剤及び第1シーラント/接着剤は溶融して、導電体の自由端の間にわたって流れ、導電体の間に存在する空隙を充填する、封止デバイス。
【請求項16】
第1シーラント/接着剤に近接して、第3シーラント/接着剤が供され、第3シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤の第1粘度より高い第3粘度を有し、これにより、第3シーラント/接着剤は、加熱すると、電線の所定領域から大幅に流れることなく溶融し、電線の表面に適合可能となる、請求項15に記載の封止デバイス。
【請求項17】
電気端子に導電体を封止する方法であって、
第1シーラント/接着剤と第2シーラント/接着剤とを有する封止デバイスを作製すること、
第1シーラント/接着剤を熱収縮チューブの内壁に接着させることを含み、
第1シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤の第1表面と、反対側に面する第1シーラント/接着剤の第2表面とを有し、第1シーラント/接着剤は第1粘度を有し、第2シーラント/接着剤は、第2シーラント/接着剤の第1表面と、反対側に面する第2シーラント/接着剤の第2表面とを有し、第2シーラント/接着剤の第1表面は、第1シーラント/接着剤の第2表面に接着され、第1シーラント/接着剤は、第2シーラント/接着剤の第1粘度より低い粘度である第2粘度を有する、方法。
【請求項18】
熱収縮チューブの内壁に第1シーラント/接着剤を接着させることは、超音波溶接によって行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
導電体及び電気端子上に封止デバイスが配置された状態で熱収縮チューブを配置することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
熱収縮チューブに熱を加え、第2シーラント/接着剤を溶融させて導電体の自由端の間にわたって流れさせ、導電体の間に存在する空隙を充填し、熱収縮チューブを収縮させることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電体と電気端子との間の電気的及び機械的な終端を封止するための、封止デバイス及び方法に関する。特に、本発明は、適切な封止を供するため、異なる粘度のシーラント/接着剤を端子領域に適用できる封止デバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リング端子は、典型的には、電線をスタッズ又はポスト(車両バッテリー及び他のバッテリーで見られるもの等)に取り付けるために用いられ、様々なタイプ及びサイズで製造される。典型的に、リング端子には、リング部分と、溶接又は他の手段で電線が接続されるワイヤ(又は線若しくは電線、wire)取付/接続部分とが含まれる。非絶縁リング端子は、圧着又ははんだ付けすることができ、熱収縮チューブで仕上げて、電線と端子のワイヤ取付部分との間に形成される接続部を絶縁及び保護してよい。熱収縮チューブ(HST)は、電線の絶縁によく用いられる収縮可能なプラスチックチューブである。HSTは、様々な電気用途で用いられる、撚り線及び単線の導体、接続部、結合部、及び端子に耐摩耗性及び環境封止保護を供する。また、HSTは、電線の損傷した絶縁体の修復、ワイヤの束ね、及びケーブル入口の封止の設置にも使用できる。上述のように、HSTは、単層システム又は多層システムであってよく、多層システムには、少なくとも1つの熱収縮性層と、シーラントシステムの少なくとも1層とが含まれる。通常、熱収縮チューブは、加熱すると放射状に収縮するフルオロポリマー又はポリオレフィンから製造される。HSTが収縮するプロセスはHSTの「回復(recovering)」と称され、HSTが回復し始める所定の温度は「回復温度」と称される。HSTが回復、すなわち収縮すると、HSTが包囲しているアイテムに対して内向きの力がかかり、これはHSTの「フープ応力(hoop stress)」と称される。より具体的には、フープ応力(シリンダー応力としても知られる)は、チューブ又はシリンダー壁における全ての粒子(particle)に両方向で円周方向(物体の軸及び半径の両方に対して垂直)に加えられる力である。フープ応力の程度は、基材の種類、肉厚、架橋度、膨張度等の特定のHST特性によって決定される。また、フープ応力は、回復温度及び回復度等のプロセスパラメータの影響も受ける。
【0003】
乗用車及び商用車の電気システムで現在用いられているリング端子には、単線構成及び多線構成が含まれる。多線構成には、端子における端子-線界面領域の封止に関して、重大な課題がある。従前は、熱収縮チューブ及び接着剤/シーラント層の使用を含む外部シーラントシステムは、端子に取り付けられた電線の間及び外側に水密シールを作るために用いられていた。しかしながら、既存のシーラントシステムでは、多線構成に含まれる複数の電線(例えば、6本以上の線)を簡易かつ信頼できる方法で封止することができない。第1に問題となる状況は、水(動作環境に存在する場合)のウィッキング(wicking)に関する。水は、端子のリング部分から端子のワイヤ取付部分へ、次いで取り付けられた電線へ、そして、溶接又は圧着された界面を通って電線の一端から電線の他端に浸入する可能性がある。また、水は線の間から端子に浸入する可能性もある。第2の問題点は、リング端子のリング部分への過剰な接着剤又はシーラントの流れ又は滲出に関する。リング部分に存在する接着剤は、効果的な電気的接触に必要な金属と金属の接触を妨げる可能性がある。
【0004】
外部接着剤及び熱収縮チューブの使用を伴う封止システムの制限を克服するために現在用いられている工業的アプローチには、多成分、多段階プロセスが含まれる。このプロセスは労働集約的であり、費用がかかる。そのため、単純で、信頼性が高く、費用対効果の高い方法で全ての機能要件を満たすリング端子で用いられる封止システムが、引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
以下に、本発明のある例示的な実施形態の概要を供する。この概要は広範な概要ではなく、本発明の肝要若しくは重要な態様又は要素を特定すること、又はその範囲を詳述することを意図するものではない。
【0006】
一実施形態は、電気端子を封止するための封止デバイスに関する。封止デバイスには、内壁を有する熱収縮チューブが含まれる。第1シーラント(sealant)/接着剤は、熱収縮チューブと協働する(cooperate)ように構成される。第1シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤の第1表面と、その反対側に面する第1シーラント/接着剤の第2表面とを有する。第1シーラント/接着剤の第2表面は、熱収縮チューブの内壁に接着(又は接合、bond)される。第1シーラント/接着剤は、第1粘度を有する。第2シーラント/接着剤は、電気端子と電気的に係合(engagement)している導電体(又は電気導体)の自由端と協働するように構成されている。第2シーラント/接着剤は、第2シーラント/接着剤の第1表面と、その反対側に面する第2シーラント/接着剤の第2表面とを有する。第2シーラント/接着剤の第1表面は、導電体と係合して供される。第2シーラント/接着剤の第2表面は、第1シーラント/接着剤の第1表面と係合及び接着して供される。第2シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤より低い粘度である第2粘度を有する。
【0007】
一実施形態は、電気端子の導電体を封止するためのカバーと共に用いるための封止デバイスに関し、当該カバーは内壁を有する。封止デバイスには、第1シーラント/接着剤及び第2シーラント/接着剤が含まれる。第1シーラント/接着剤は、カバーと協働するように構成される。第1シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤の第1表面と、反対側に面する第1シーラント/接着剤の第2表面とを有する。第1シーラント/接着剤の第2表面は、カバーの内壁に接着される。第1シーラント/接着剤は、第1粘度を有する。第2シーラント/接着剤は、電気端子と電気的に係合する導電体の自由端の協働するように構成される。第2シーラント/接着剤は、第2シーラント/接着剤の第1表面と、反対側に面する第2シーラント/接着剤の第2表面とを有する。第2シーラント/接着剤の第1表面は、導電体と係合して供される。第2シーラント/接着剤の第2表面は、第1シーラント/接着剤の第1表面と係合及び接着して供される。第2シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤より低い粘度である第2粘度を有する。熱を加えると、第1シーラント/接着剤は、カバーの内壁に適合する(conform)。さらに熱を加えると、第2シーラント/接着剤及び第1シーラント/接着剤は溶融し、導電体の自由端の間にわたって(又は横切るように、across)流れ、導電体の間に存在する空隙を埋める。
【0008】
一実施形態は、導電体を電気端子に封止する方法に関する。方法には、第1シーラント/接着剤及び第2シーラント/接着剤を有する封止デバイスを製造すること、並びに熱収縮チューブの内壁に第1シーラント/接着剤を接着することが含まれ、第1シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤の第1表面と、その反対側に面する第1シーラント/接着剤の第2表面とを有し、第1シーラント/接着剤は第1粘度を有し、第2シーラント/接着剤は、第2シーラント/接着剤の第1表面と、その反対側に面する第2シーラント/接着剤の第2表面とを有し、第2シーラント/接着剤の第1表面は、第1シーラント/接着剤の第2表面に接着し、第2シーラント/接着剤は、第1シーラント/接着剤の第1粘度より低い粘度である第2粘度を有する。
【0009】
本発明の追加の特徴及び態様は、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読んで理解することにより、当業者に明らかになるであろう。当業者に理解されるように、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本発明のさらなる実施形態が可能である。したがって、図面及び関連する説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本発明の1つ以上の例示的な実施形態を概略的に示し、上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ:
【0011】
【
図1】
図1は、本発明に従う電気端子を封止する例示的な封止デバイスの斜視図であり、層状のシーラント/接着剤が設けられる熱収縮チューブを示す。
【
図2】
図2は、
図1のデバイスの断面斜視図であり、デバイスの熱収縮チューブ部品の回復前を示す。
【
図3】
図3は、
図1の層状のシーラント/接着剤の上面図である。
【
図4】
図4は、
図1の層状のシーラント/接着剤の底面図である。
【
図5】
図5は、
図1の層状のシーラント/接着剤の側面図である。
【
図6】
図6は、ワイヤ取付部分に取り付けられた複数の電線を含むリング型電気端子の概略的な側面図であり、
図1の封止デバイスが加熱源から回復した後を示し、電線の間の接着剤の分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の原理に従う例示的な実施形態の説明は、添付の図面に関連して読まれることを意図されており、これらは、既述された説明全体の一部と見なされるべきである。本明細書に開示される発明の実施形態の説明において、方向又は向きへの言及はいずれも単に説明の便宜を意図するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。「下方(lower)」、「上方(upper)」、「横」、「縦」、「上に(above)」、「下に(below)」、「上昇(up)」、「下降(down)」、「頂(top)」及び「底(bottom)」並びにそれらの派生語(例えば、「水平に」、「下向きに」、「上向きに」等)等の相対的な用語は、説明される、又は議論中の図面に示される向きを指すと解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためだけのものであり、そのように明示的に示されない限り、装置が特定の向きで構築又は操作されることを必要としない。「取り付けられる」、「貼付される」、「接続される」、「結合される」、「相互接続される」等の用語は、特に明示されない限り、構造物が、介在する構造物を介して直接的又は間接的に互いに固定又は取り付けられる関係、ならびに可動若しくは固定の取り付け又は関係であることを指す。さらに、本発明の特徴及び利益は、好ましい実施形態を参照することによって説明される。したがって、本発明は、単独で、又は他の特徴の組み合わせで存在し得る、いくつかの可能な被限定的な特徴の組み合わせを示すような好ましい実施形態に限定されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0013】
ここで、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を説明する。詳細な説明全体を通して、様々な要素及び構造を指すために参照番号を用いる。以下の詳細な説明は、例示の目的で多くの詳細を含むものの、当業者は、以下の詳細に対する多くの変形及び変更が本発明の範囲内であることを理解するであろう。したがって、本発明の以下の実施形態は、特許請求される本発明に対する一般性を失うことなく、また特許請求される本発明に制限を課すことなく記載される。
【0014】
図を参照すると、
図1は、本発明のシステム、方法、及びデバイスと互換性のある電気端子10の図を供する。
図1に示す電気端子は、リング型端子である。しかしながら、本発明のシステム、方法、及びデバイスは、例えば、スペード端子、フック端子、フラグ端子、プッシュオン端子等の多くの他のタイプの電気端子とも互換性がある。
図1を参照すると、電気端子10には、端子取付部分12及びワイヤ取付部分14が含まれる。端子取付部分12は、例えばバッテリー等の電気デバイスのスタッド又はポスト等の相補的な端子に接続するように構成される。ワイヤ取付部分14は、複数のワイヤ16等の1つ以上の電線に接続するように構成され、溶接、はんだ付け、圧着、又は他の好適な取り付け方法によって接続されてよい。
【0015】
図1~
図5を参照すると、本発明の電気端子封止デバイス20の例示的な実施形態が示されている。デバイス20には、収縮チューブ22の一部、第1シーラント/接着剤24の第1ストリップ(例えば、平面部材、ストリップ、又は他のプロファイル形状)、第2シーラント/接着剤26の第2ストリップ(例えば、平面部材、ストリップ、又は他のプロファイル形状)、第3シーラント/接着剤28の第3ストリップ(例えば、平面部材、ストリップ、又は他のプロファイル形状)、及び第4シーラント/接着剤30の第4ストリップ(例えば、平面部材、ストリップ、又は他のプロファイル形状)が含まれる。収縮チューブ22が端子10に配置される前に、第1シーラント/接着剤24、第2シーラント/接着剤26、第3シーラント/接着剤28、及び第4シーラント/接着剤30が収縮チューブ22に配置される。様々な例示的な実施形態において、第1シーラント/接着剤24、第2シーラント/接着剤26、第3シーラント/接着剤28、及び第4シーラント/接着剤30を共押出し(co-extrude)してよい。
【0016】
収縮チューブ22は、単層又は多層のチューブであることができる。収縮チューブ22は、熱を加えると収縮するポリマー構成要素である。限定されないものの、このような収縮チューブには、熱収縮チューブ又はテープが含まれる。限定されないものの、シーラント/接着剤の用語には、温度及び/又は圧力等の適切な刺激の下で流動する能力を有する粘弾性材料であるシーラント及び接着剤が含まれる。そのような材料の例示としては、ホットメルト接着剤及びブチルマスチックが挙げられる。
【0017】
第1シーラント/接着剤24の第1ストリップは、収縮チューブ22内に配置される。第1シーラント/接着剤24は、高粘度のシーラント/接着剤である。例示的な一実施形態において、高粘度のシーラント/接着剤は、指定温度又は定格温度に相関する設置温度で、20Pa・sより高い粘度を有する。しかしながら、第1シーラント/接着剤24の粘度は変更されてよい。第1シーラント/接着剤24は、第1シーラント/接着剤の第1表面40と、その反対側に面する第1シーラント/接着剤の第2表面42とを有する。第1シーラント/接着剤の第2表面42は、熱収縮チューブ22の内壁34に接着される。
【0018】
第1シーラント/接着剤24は、他のシーラント/接着剤26、28、30の融点よりも低い融点を有するように構成される。これにより、他のシーラント/接着剤26、28、30を早期に溶融又は流動させることなく、第1シーラント/接着剤24を収縮チューブ22に超音波溶接することができる。例えば、第1シーラント/接着剤24の溶融温度は、摂氏105度~摂氏120度の範囲であってよく、一方で他のシーラント/接着剤26、28、30の溶融温度は、摂氏110度~摂氏130度の範囲であってよい。第1シーラント/接着剤24がより低い融点を供することによって、デバイス20を集める(又は組み立てる、assembly)際に、収縮チューブ22及び他のシーラント/接着剤26、28、30に第1シーラント/接着剤24を好適に接着させることができる。
【0019】
図示されている例示的な実施形態において、第1シーラント/接着剤24は、0.25mm~1.0mmの間の厚さを有する。第1シーラント/接着剤の幅は、第2シーラント/接着剤26、第3シーラント/接着剤28、及び/若しくは第4シーラント/接着剤30の幅と等しいか、又はそれより大きい。第1シーラント/接着剤24の第1粘度は、設置温度において20Pa・sより大きい。第1シーラント/接着剤24は、架橋可能なシーラント/接着剤である。
【0020】
第2シーラント/接着剤26の第2ストリップは、収縮チューブ22のエッジ32に隣接又は近接して、収縮チューブ22内に配置される。第2シーラント/接着剤26は、低粘度のシーラント/接着剤である。第2シーラント/接着剤26の粘度は、第1シーラント/接着剤24の粘度より低い。例示的な一実施形態では、前述したように、低粘度のシーラント/接着剤は、指定温度又は定格温度に相関する設置温度において、20Pa・s未満の粘度を有する。第2シーラント/接着剤26は、第2シーラント/接着剤の第1表面44と、その反対側に面する第2シーラント/接着剤の第2表面46とを有する。第2シーラント/接着剤の第2表面46は、第1シーラント/接着剤の第1表面40と係合及び接着して供される。第2シーラント/接着剤の第1表面44は、電線又は導体16に面する。図示される例示的な実施形態において、第2シーラント/接着剤の第1表面44は、その端部に近接するラウンド部分(又はアール部分若しくは丸みを帯びた部分、rounded portion)45を有する。しかしながら、第2シーラント/接着剤の第1表面44は、他の構成を有していてもよい。
【0021】
第3シーラント/接着剤28の第3ストリップは、収縮チューブ22内に配置される。第3シーラント/接着剤28のストリップは、エッジ32から離間され、第2シーラント/接着剤26のストリップと隣接又は離間する。第2シーラント/接着剤26のストリップと第3シーラント/接着剤28のストリップとの間の間隔又は距離は、端子の構造及びサイズ、用途に依存するものの、それらに限定されるものではない。例えば、第2シーラント/接着剤26のストリップと第3シーラント/接着剤28のストリップとの間隔又は距離は、0mm~10mmの間の範囲であってよい。第3シーラント/接着剤28は、高粘度のシーラント/接着剤である。例示的な一実施形態において、前述したように、高粘度のシーラント/接着剤28は、指定温度又は定格温度に相関する設置温度において、20Pa sより高い粘度を有する。第3シーラント/接着剤28は、第3シーラント/接着剤の第1表面48と、その反対側に面する第3シーラント/接着剤の第2表面50とを有する。第3シーラント/接着剤の第2表面50は、第1シーラント/接着剤の第1表面40と係合及び接着して供される。第3シーラント/接着剤の第1表面48は、電線又は導体16に面する。図示される例示的な実施形態において、第3シーラント/接着剤の第1表面48は、丸みを帯びた形状を有する。しかしながら、第3シーラント/接着剤の第1表面48は、他の構成を有してもよい。
【0022】
第4シーラント/接着剤30のストリップは、収縮チューブ22内に配置される。第4シーラント/接着剤30のストリップは、エッジ32から離間し、第3のシーラント/接着剤28のストリップと隣接又は離間する。第4シーラント/接着剤30のストリップと第3シーラント/接着剤28のストリップとの間の間隔又は距離は、端子の構造及びサイズ、用途に依存するものの、それらに限定されるものではない。例えば、第4シーラント/接着剤30のストリップと第3シーラント/接着剤28のストリップとの間の間隔又は距離は、0mm~10mmの範囲であってよい。第4シーラント/接着剤30は、低粘度のシーラント/接着剤である。例示的な一実施形態において、低粘度のシーラント/接着剤30は、前述のように、指定温度又は定格温度に相関する設置温度にて、20Pa・s未満の粘度を有する。第4シーラント/接着剤30は、第4シーラント/接着剤の第1表面52と、その反対側に面する第4シーラント/接着剤の第2表面54とを有する。第4シーラント/接着剤の第2表面54は、第1シーラント/接着剤の第1表面40と係合及び接着して供される。第4シーラント/接着剤の第1表面52は、電線又は導体16に面する。図示される例示的な実施形態において、第4シーラント/接着剤の第1表面52は、その端部に近接したラウンド部分53を有する。しかしながら、第4シーラント/接着剤の第1表面52は、他の構成を有してもよい。
【0023】
図示される実施形態において、第4シーラント/接着剤30のストリップは、第2シーラント/接着剤26のストリップと同じ又は類似している。しかしながら、第4シーラント/接着剤30のストリップ及び第2シーラント/接着剤26のストリップは、異なる材料で作られてよく、異なる粘度を有していてよい。図示される実施形態において、第1シーラント/接着剤24のストリップは、第3シーラント/接着剤28のストリップと同じ又は類似している。しかしながら、第1シーラント/接着剤24のストリップ及び第3シーラント/接着剤28のストリップは、異なる材料で作られてよく、異なる粘度を有していてよい。
【0024】
第3シーラント/接着剤28のストリップは、所望の領域から著しく流出することなく、ワイヤ取付部分の表面又は複数のワイヤの表面に適合するような流動挙動を有する。これは、高い固有粘度を有するか、又は架橋などの方法によって高粘度を達成できる(架橋により、滲出速度(ooze out rate)よりも高い速度で粘度が増加する)第3シーラント/接着剤28のストリップにシーラント/接着剤を用いることで達成される。第3シーラント/接着剤28のストリップはバリアを形成し、第4シーラント/接着剤30の浸出を防ぐ。第4シーラント/接着剤30のストリップは、シールされる基板内の空気を効率的に置換可能にする低い初期粘度を有する。第4シーラント/接着剤30のストリップは、強固なシールを形成する。第3シーラント/接着剤28のストリップは、設置前の第4シーラント/接着剤30のストリップよりも高い粘度を有する。
【0025】
第2シーラント/接着剤26のストリップは、ワイヤが機械的及び電気的に端子に取り付けられている端子の溶接領域にて、ワイヤと相互作用する(interact)ように寸法決めされる。ワイヤの自由端に近接して第2シーラント/接着剤26を配置し、相互作用させることで、第2シーラント/接着剤26が流動し、ワイヤの自由端を適切にシール可能となる。
【0026】
電気端子上に収縮チューブ22を取り付けた後に(例えば、赤外線オーブン内で30秒又は他の時間)熱を加えると、第2シーラント/接着剤26は溶融し、ワイヤの自由端にわたって流動し、自由端に近接する。溶接領域におけるワイヤと第2シーラント/接着剤26との相互作用により、ワイヤの自由端に強固なシールが供される。
【0027】
第2シーラント/接着剤26は制御された小さなストリップであるため、第2シーラント/接着剤26の接着剤の流れは制御され、ワイヤの自由端などの開放的構成(又は開放型ジオメトリ、open geometry)に拘束される。さらに、制御された流れにより、第2シーラント/接着剤26が個々のワイヤの鋭利な自由端を封入可能となる。場合によっては、少量の第2シーラント/接着剤26は、端子の端子取付部分に移動することがある一方で、その量は電気端子の機能に関して重要ではない。
【0028】
さらに、第3シーラント/接着剤28のストリップは、溶融し、ワイヤ取付部分又は複数のワイヤの表面にわたって流れてバリアを形成する。第4シーラント/接着剤のストリップ30は、溶融して複数のワイヤをわたって流れ、存在するいずれの空隙を埋める。収縮チューブ22は、収縮して、複数の電線及び電気端子のワイヤ取付部分を封入し、それによって収縮チューブ22内の溶融したシーラント/接着剤24、26、28、30を実質的に封止する。加熱プロセス中、第1シーラント/接着剤24のストリップ及び第3シーラント/接着剤28は、端子の端子取付部分の方向における第4シーラント/接着剤30の流れを効果的に抑制し、それによって端子取付部分の問題のある汚染を低減又は防止する。
【0029】
第1シーラント/接着剤24、第2シーラント/接着剤26、第3シーラント/接着剤28及び第4シーラント/接着剤30の構造(又はジオメトリ、geometry)により、第1シーラント/接着剤24、第2シーラント/接着剤26、第3シーラント/接着材28及び第4シーラント/接着剤30の制御された流れが可能となる。第1シーラント/接着剤24、第2シーラント/接着剤26、第3シーラント/接着剤28及び第4シーラント/接着剤30の構成は、例示を意図したものである。例えば、第1シーラント/接着剤24、第2シーラント/接着剤26、第3シーラント/接着剤28及び第4シーラント/接着剤30の幅及び長さは変更されてよい。
【0030】
図1~5に示される例示的な実施形態において、第1シーラント/接着剤24、第2シーラント/接着剤26、第3シーラント/接着剤28及び第4シーラント/接着剤30は、ほぼ平面の構成を有する。しかしながら、他の断面プロファイル及び形状が用いられてもよい。第1シーラント/接着剤24、第2シーラント/接着剤26、第3シーラント/接着剤28、第4シーラント/接着剤30の構成は、異なる量の第1シーラント/接着剤24、第2シーラント/接着剤26、第3シーラント/接着剤28及び/又は第4シーラント/接着剤30が、端子の幅に沿って異なる領域に流動可能とするように変更することができる。
【0031】
本発明は、その例示的な実施形態の説明によって示され、実施形態について一定の詳細な説明を行っている一方で、添付の特許請求の範囲をそのように詳細に限定したり、何らかの方法で限定したりする意図はない。当業者には、更なる利点及び変更が容易に理解されるであろう。したがって、そのより広い態様において、本発明は、特定の詳細、代表的なデバイス及び方法、及び/又は図示及び説明された実施例のいずれにも限定されない。したがって、一般的な発明概念の精神又は範囲から逸脱することなく、そのような詳細から逸脱してもよい。
【国際調査報告】