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特表2023-515274物質分配器及び物質分配器を提供する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】物質分配器及び物質分配器を提供する方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/76 20060101AFI20230405BHJP
   A45D 40/26 20060101ALI20230405BHJP
   A45D 34/00 20060101ALI20230405BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20230405BHJP
   G01F 11/02 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
B65D83/76 200
A45D40/26 Z
A45D34/00 510Z
B65D83/00 M
G01F11/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574847
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2021051512
(87)【国際公開番号】W WO2021164983
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】2002203.4
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522327186
【氏名又は名称】ミスター アンド ミセス オリバー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ケアリー,ホレーショ
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,ニール
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014KA08
(57)【要約】
物質分配器及び物質分配器を提供する方法。本発明は、クリーム又はゲル、他の粘質物若しくは非粘質物などの計量された量の物質を分配するための物質分配器を提供し、分配器は、分配器のハンドルを画定する第1のハウジング部材と、ハンドル部材に対して伸縮自在に摺動するように配置されたクリーム収容チャンバであって、第1の端部に、使用中にそこからクリームが分配されるノズル開口部を有するクリーム収容チャンバと、第2の軸方向端部にあるベアリングと、ハンドルに対して回転可能に固定され、ハンドルがクリーム収容チャンバに対して回転すると、クリーム収容チャンバ及びハンドルが互いに対して伸縮自在に移動するようベアリングを通過するように配置されるシャフトであって、、その移動の結果、物質収容チャンバがハンドル内で軸方向に移動して、ノズル開口部にクリームを押し通し、ハンドルのクリーム収容チャンバに対する移動が、その回転に応じて所定の量のクリームを分配するように割り出されるシャフトとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量された量の物質を分配するために分配器であって、
前記分配器のハンドルを画定する第1のハウジングと、
前記ハンドルに対して伸縮自在に摺動するように配置された物質収容チャンバであって、第1の軸方向端部に、使用中にそこから物質が分配されるノズル開口部を有する、物質収容チャンバと、
前記物質収容チャンバの前記第2の軸方向端部で軸方向に固定されたベアリングを含む前記物質収容チャンバと、
前記ハンドルに関して回転可能に固定され、前記ハンドルが前記物質収容チャンバに対して回転すると、前記物質収容チャンバ及び前記ハンドルが互いに対して伸縮自在に移動するよう前記ベアリングを通過するように配置されるシャフトであって、、その移動の結果、前記物質収容チャンバが前記ハンドル内で軸方向に移動して、前記ノズル開口部に物質を押し通し、前記ハンドルの前記物質収容チャンバに対する移動が、その回転に応じて所定量の物質を分配するように割り出される、シャフトと
を備える、分配器。
【請求項2】
前記ベアリング及び前記シャフトが螺合で配置される、請求項1に記載の分配器。
【請求項3】
前記シャフトの前記ねじ山が、前記シャフトの前記本体の周りで不連続である、請求項1又は2に記載の分配器。
【請求項4】
前記シャフトが、そのほぼ円周面に前記ねじ山が配置された概して管状の本体を有し、前記不連続部が、前記シャフトの前記長さの少なくとも一部に沿って延びる長手方向溝によって形成される、請求項3に記載の分配器。
【請求項5】
前記シャフトが、前記ねじ山の各部が180度未満、半径方向に延びるように前記シャフトの異なる側でその長さに沿って形成された少なくとも2つの長手方向の溝を有する、請求項4に記載の分配器。
【請求項6】
前記ベアリングが、前記1つ以上の溝の端縁と係合するために偏向されたばね部材を有する、請求項4又は5に記載の分配器。
【請求項7】
前記ばね部材が、1つ以上の溝に偏向され、前記1つ以上の溝のうちの1つで適所にあるとき、前記ベアリングに対して前記シャフトを一時的に回転ロックする係合端部を有する半径方向の板ばねである、請求項6に記載の分配器。
【請求項8】
前記板ばねが、前記1つ以上の長手方向の溝の端縁を係合するために成形されたカムとの係合端部を有する、請求項7に記載の分配器。
【請求項9】
前記ハンドル及びクリーム収容容器の偶発的な回転が起きないことを保証するためにカムの角度が選択される、請求項8に記載の分配器。
【請求項10】
前記割り出し機構が、前記ハンドルの内側円筒面に設けられた溝又は突起と係合するように偏向されたばね部材を備える、請求項1又は2に記載の分配器。
【請求項11】
ばね部材が、前記ベアリング又は割り出し機構と一体で形成される、請求項10に記載の分配器。
【請求項12】
前記ハンドルの前記内側円筒面が、その上に形成された少なくとも2つの長手方向溝又は突起を有する、請求項10又は11に記載の分配器。
【請求項13】
前記物質が、クリーム、ゲル、別の粘質物若しくは非粘質物、又は薬効のある軟膏若しくは化粧用のクリームなどの他の物質から成るグループから選択される、請求項1から12のいずれかに記載の分配器。
【請求項14】
前記シャフトの端部に固定され、前記物質収容チャンバの内壁と密封係合するプランジャを備える、請求項11から13のいずれかに記載の分配器。
【請求項15】
前記ノズルが、前記クリーム収容チャンバからの蒸発を制限又は回避するために密封シールを提供する、請求項1から14のいずれかに記載の分配器。
【請求項16】
前記クリーム収容チャンバが、その外面に、前記チャンバ内で利用可能な物質の前記量の視覚的なインジケータを提供するために目盛りを設けている、請求項1から14のいずれかに記載の分配器。
【請求項17】
分配器を提供するための方法であって、
前記分配器のハンドルを画定する第1のハウジング部材と、
前記ハンドル部材に対して伸縮自在に摺動するように配置された物質収容チャンバであって、第1の端部に、使用中にそこから物質が分配されるノズル開口部を有する前記物質収容チャンバと、
前記第2の軸方向端部で前記物質収容チャンバに対して軸方向に固定されたベアリングと、
前記ハンドルに対して回転可能に固定され、前記ハンドルが前記物質収容チャンバに対して回転すると、前記物質収容チャンバ及び前記ハンドルが互いに対して伸縮自在に移動するよう前記ベアリング又は割り出し機構を通過するように配置されるシャフトであって、、その移動の結果、前記物質収容チャンバが前記ハンドル内で軸方向に移動して、前記ノズル開口部に物質を押し通し、前記ハンドルの前記物質収容チャンバに対する移動が、その回転に応じて所定の量のクリームを分配するように割り出されるシャフトと
を提供することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーム又はゲル、他の粘質物若しくは非粘質物用の分配器、及び係る分配器を提供する方法に関する。実施形態では、本発明は、制御され、計量された量のクリーム、ゲル、他の粘質物若しくは非粘質物、又は薬効のある軟膏若しくは化粧用クリームなどの他の物質を分配するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用クリーム又は化粧用クリームの組成物は、通常、変形可能なチューブ又は円筒形の剛性チューブなどの分配器で提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
WO-A-2019/001,687は、クリームなどの粘性製品用の分配容器を開示する。分配器は、クリームなどの粘性製品を貯蔵するように構成された貯蔵容積を画定する内側シリンダを有するクリームポットを含む。クリームポットを閉じ、分配出口を有するように構成されたキャップが提供される。ねじロッドは、クリームポットに回転可能に接続される。内側ねじを有し、ねじロッドに結合されるピストンが提供されるため、ねじロッドの回転は、ねじロッドの長手方向軸に沿った内側シリンダ内でのピストンの移動につながり、内側シリンダの貯蔵容積を減少させ、それによって分配出口を通して製品を分配する。ねじロッドをクリームポッドに対して複数の回転位置にロックするように構成された割り出し機構が提供される。割り出し機構は、ねじロードに位置する様々な割り出しばね要素、及びクリームポットの底部に位置する割り出しセクションを含む。ねじロッドの割り出しばね要素は、ねじロッドをクリームポットに対してロックするためにクリームポットの割り出しセクションと相互に作用するように構成される。
【0004】
EP-A-2,123,188は、クリーム用の容器を開示する。容器は気密であり、ポッドの内容物のどのくらいが押し出されているのかを迅速に認識することを可能にするように配置される。
【0005】
WO-A-2010/081,205は、一方向にのみ回転し、デバイスの本体に対して同じ平面内に固定される円盤の形状をしたデバイス用の密封結合を開示する。システムは、それが容器内のクリームなどの製品に対して十分な圧力を加えて、保護投与弁を開き、デバイスから正確な用量の製品を分配することを可能にするように構成され得るように配置される。
【0006】
WO-A-2007/005,883は、薬などの計量された1回分のクリームを分配するための分配器を開示する。デバイスは、バレル、及びそこから延びるねじ付きロッドを有する基部を含む。バレルを係合する可撓性シールを有するライザーが提供される。その中に分配されたクリームをユーザの皮膚の上に広げるための開口を有するアプリケータキャップが提供される。デバイスによって触覚フィードバック及び可聴フィードバックが提供されるため、ユーザは、どのくらいのクリームがいつ分配されたのかが分かる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、計量された量のクリームを分配するためのクリーム分配器が提供され、分配器は、分配器のハンドルを画定するための第1のハウジング部材と、ハンドル部材に対して伸縮自在に摺動するように配置されたクリーム収容チャンバであって、第1の端部に、使用中にそこからクリームが分配されるノズル開口部を有するクリーム収容チャンバと、第2の軸方向端部でクリーム収容チャンバに対して軸方向に固定されたベアリングと、ハンドルに対して回転可能に固定され、ハンドルがクリーム収容チャンバに対して回転すると、クリーム収容チャンバ及びハンドルが互いに対して伸縮自在に移動するようベアリングを通過するように配置されるシャフトであって、その移動の結果、物質収容チャンバがハンドル内で軸方向に移動するか、又はハンドルが物質収容チャンバ内で軸方向に移動して、ノズル開口部にクリームを押し通し、ハンドルのクリーム収容チャンバに対する移動は、その回転に応じて所定の量のクリームを分配するように割り出されるすシャフトとを備える。
【0008】
一実施形態では、ベアリング及びシャフトは螺合で配置される。
【0009】
一実施形態では、シャフトのねじ山は、シャフトの本体の周りで不連続である。
【0010】
一実施形態では、シャフトは、そのほぼ円周面にねじ山が配置された概して管状の本体を有し、不連続部は、シャフトの長さの少なくとも一部に沿って延びる長手方向溝によって形成される。別の例では、添付の図には示されていないが、不連続部は、ハンドル及びベアリングが互いに対して回転すると、板ばねの端部と再び相互に作用できる長手方向の突起又は隆起によって形成される。
【0011】
一実施形態では、シャフトは、ねじ山の各部が180度未満、半径方向に延びるようにシャフトの異なる側でその長さに沿って形成された少なくとも2つの長手方向の溝を有する。
【0012】
一実施形態では、ベアリングは、1つ以上の溝の端縁と係合するために偏向されたばね部材を有する。溝は、好ましくは、シャフトの長さに沿って延びる長手方向溝である。
【0013】
一実施形態では、ばね部材は、1つ以上の溝に偏向され、1つ以上の溝のうちの1つで適所にあるとき、ベアリングに対してシャフト(及びシャフトの端部に固定されたプランジャ)を一時的に回転ロックする係合端部を有する半径方向の板ばねである。
【0014】
一実施形態では、板ばねは、1つ以上の長手方向の溝の端縁を係合するために成形されたカムとの係合端部を有する。
【0015】
一実施形態では、ハンドル及びクリーム収容容器の偶発的な回転が起きないことを保証するためにカムの角度が選択される。
【0016】
一実施形態では、ベアリング又は割り出し機構は、ハンドルの内側円筒面に設けられた溝又は突起と係合するように偏向されたばね部材を含む。
【0017】
したがって、本実施形態では、シャフトに設けられた不連続ねじ山によって設けられるのとは対照的に、割り出し機構はハンドルの内側円筒面に設けられる。シャフトの上に溝が必要とされないので、これは、シャフトの製造を簡略化することができる。本実施形態の偏向機構は、ばねと溝又は突起との間の相互作用が外向きに向けられるので、内向きにの代わりに外向きに偏向される。再び、第1の実施形態と同様に、溝は外壁に設けられ、適切な位置にあるときにその中に板ばねの端部が偏向されるが、ばねと係合するように設けられる偏向機構の構成要素、つまり、ハンドルの内側円筒面上の構成要素は、突起であることが好ましい。割り出し機構は、さらなる非限定的な実施形態では、ねじ付きベアリング及び別個の板ばねである2つの別々のパーツである場合もあれば、どちらかのパーツがハンドル設計に組み込まれる場合もあるであろう。
【0018】
一実施形態では、ハンドルの内側円筒面は、その上に形成された少なくとも2つの長手方向溝又は突起を有する。ベアリングの部分として設けられた外向きのばね又は偏向する要素と組み合わせて、これは、ハンドル及びチャンバ16(したがって、それはチャンバ16に対して回転固定されるのでベアリング)が互いに対して回転すると、割り出し機構として機能するであろう。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、クリーム分配器などの分配器を提供する方法が提供され、方法は、分配器のハンドルを画定する第1のハウジング部材と、ハンドル部材に対して伸縮自在に摺動するように配置された物質収容チャンバであって、第1の端部に、使用中にそこから物質が分配されるノズル開口部を有する物質収容チャンバと、第2の軸方向端部で物質収容チャンバに対して軸方向に固定されたベアリングと、ハンドルに対して回転可能に固定され、ハンドルがクリーム収容チャンバに対して回転すると、クリーム収容チャンバ及びハンドルが互いに対して伸縮自在に移動するようベアリングを通過するように配置されるシャフトであって、その移動の結果、物質収容チャンバがハンドル内で軸方向に移動するか、又はハンドルが物質収容チャンバ内で軸方向に移動して、ノズル開口部に物質を押し通し、ハンドルの物質収容チャンバに対する移動が、その回転に応じて所定の量の物質を分配するように割り出されるシャフトとを提供することを含む。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、計量された量の物質を分配するための分配器が提供され、分配器のハンドルを画定する第1のハウジング部材と、ハンドルに対して伸縮自在に摺動するように配置された物質収容チャンバであって、物質収容チャンバが第1の軸方向端部に、使用中にそこから物質が分配されるノズル開口部を有し、物質収容チャンバの第2の軸方向端部にベアリングを含む物質収容チャンバと、ハンドルに対して回転可能に固定され、ハンドルがクリーム収容チャンバに対して回転すると、クリーム収容チャンバ及びハンドルが互いに対して伸縮自在に移動するようベアリングを通過するように配置されるシャフトであって、その移動の結果、物質収容チャンバがハンドル内で軸方向に移動してノズル開口部に物質を押し通し、ハンドルの物質収容チャンバに対する移動が、その回転に応じて所定の量の物質を分配するように割り出される、シャフトとを備える含む。
【0021】
本発明の実施形態は、添付図面を参照してここで詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】クリーム分配器などの物質分配器を通る概略長手方向断面図である。
図2】クリーム分配器などの物質分配器を通る長手方向断面の概略透視図である。
図3】クリーム分配器などの物質分配器の構成要素部分の概略分解組立図である。
図4】クリーム分配器などの物質分配器からのシャフト及びベアリングの平面図である。
図5】クリーム分配器などの物質分配器からのシャフト及びベアリングの透視図である。
図6A-6C】分配器のライフサイクルの異なる段階におけるクリーム分配器などの物質分配器を通る概略長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
クリーム、ゲル、他の粘質物若しくは非粘質物、又は薬効のある軟膏若しくは化粧用のクリームなどの他の物質などの計量された量の物質を分配するための分配器が提供される。明確かつ簡潔にするために、本明細書では、分配器はクリーム分配器として説明され、分配器の構成要素は相応して説明される。ただし、分配器が、クリーム以外の計量された量の物質の分配用でもあることを理解されたい。
【0024】
分配器は、分配器用のハンドルを画定する第1のハウジング部材を含む。また、クリーム収容チャンバが設けられ、ハンドル部材に関して伸縮自在に動くように配置される。クリーム収容チャンバは、第1の端部にノズルなどの開口部を有し、使用中、ハンドルが、クリーム収容チャンバに対して回転されると、開口部又はノズルからクリームを分配するように、クリーム収容チャンバの容積は実質的に減少する。また、ノズルは、好ましくはチャンバの内容物、つまりクリームが漏れ出すの妨げるように構成される。以下に説明されるように、単一の回転に起因して開口部の中から押し出されるクリームの量をそれにより注意深く制御することを保証する、相対的な回転の量を制御するための手段が提供される。このようにして、クリームの計量された分配が達成される。
【0025】
チャンバの第2の軸方向端部、つまり開口部又はノズルの端部から反対の長手方向に端部に、クリーム収容チャンバに対して軸方向に固定されたベアリングが設けられる。シャフトはハンドルに対して回転可能に固定され、ベアリングを通過するように配置され、ハンドルはクリーム収容チャンバに対して回転すると、クリーム収容チャンバ及びハンドルが互いに対して伸縮自在に移動する。クリーム収容チャンバは、このようにして、ノズル開口部にクリームを押し通すためにハンドル内で軸方向に移動する。以下に説明されるように、ハンドルのクリーム収容チャンバに対する移動は、その回転に応じて所定量のクリームを分配するように割り出される。他の例では、相対的な伸縮自在の移動は、ハンドルがクリーム収容チャンバ内で伸縮自在に移動するためであり、係る例では、ハウジングのパーツ、つまりハンドル及びクリーム収容チャンバの相対的な寸法は、相応して構成される必要がある。
【0026】
選択され、計量された量のクリームを確実に且つ繰り返し可能に送達することができる簡略且つ堅牢な分配器が提供される。使用中、クリーム収容チャンバが実質的にハンドルのハウジングの中に引き込まれるという事実により、クリームが分配されるにつれ、アセンブリ全体の長さは減少する。言い換えると、ハンドル及びクリーム収容チャンバの外側の結合されたエンベロープが減少するため、分配器を素早く見ることによって、どのくらいの量のクリームが分配器内に残っているのかの表示が即座に示される。これは、好ましくは反対方向での相対的な軸方向の移動の可能性を排除する機構が提供されるので、特に当てはまる。言い換えると、分配器は好ましくは、ハンドル及びクリーム収容チャンバの相対的な回転によりエンベロープが長くなることが可能ではないように構成される。したがって、これは、いずれかの時点で、ハンドル及びクリーム収容チャンバの結合された外部エンベロープがどのようであろうとも、どれほど多くのクリームがクリーム収容チャンバに残されているのかを明確に示すことを意味する。好ましい例では、これまで分配されていない残りの量又は用量数をユーザに示すための別の手段を提供するために、クリーム収容チャンバの(又はハンドルの)外面に目盛りが適用される。言い換えると、一例では、クリーム収容チャンバが、その外面に、チャンバ内で利用可能な物質の量の視覚的なインジケータを提供するために目盛りを設けていることが好ましい。ユーザは、容器を素早く見ることによって、例えば、ある特定の日数分に相当するクリームが分配器(又はクリーム収容チャンバ)内に残っていることを確かめることができる。
【0027】
図1及び図2は、クリーム分配器2を通る長手方向の概略断面図である。分配器は、回転用のハンドル4、及びクリーム収容チャンバ6を含む。ハンドル4及びクリーム収容チャンバ6は、分配器2の長手方向軸8の周りで互いに対して回転するように配置される。分配器2は、クリーム収容チャンバ6に対して軸方向と回転方向の両方で固定されたベアリング10を含む。ベアリング10は、シャフト16の外部円筒面に設けられたねじ山14と係合するように配置された内部周方向ねじ山12を含む。
【0028】
クリーム分配器の動作は以下に詳細に説明されるが、一般に、回転ハンドル4が長手方向軸8の周りで回転すると、ねじ山12と14との間の相互作用を介してハンドルに回転固定されるシャフト16が、図1では右方向に(図2では左方向に)引き寄せられることを理解されたい。シャフト16の第1の末端部20に固定取り付けされたプランジャ18が設けられる。第2の近端部22で、シャフト16はハンドルに固定される。シャフトのハンドルへの固定は、ハンドル4の一部として形成されたボス24とのプレス嵌め係合によって達成される。シャフトをハンドルに固定する他の方法が使用されてもよい。一例では、シャフト16及びハンドルは、一体成形パーツとして提供される。別の例では、シャフト16をハンドル4に固定結合するためにリベット又は固定装置が使用される。
【0029】
ベアリング10は、物質収容チャンバ6に対して固定位置にある。つまり、ハンドル4はクリーム収容チャンバ6に対して長手方向軸8の周りで回転するので、クリーム収容チャンバは、ハンドル4(又はその外側ハウジング)の中に実質的に引き込まれる。したがって、クリームチャンバ内の量は、クリームチャンバのハンドル4の中への移動のたびに連続して減少する。物質収容チャンバに対して固定されたベアリング(例えば、図6Aから図6Cを参照)は、ハンドル4の内壁に対して摺動する。シャフト16の端部に固定されたプランジャ18は、物質収容チャンバの内壁と密封係合する。
【0030】
図1及び図2を再び参照すると、分かるように、物質収容チャンバ6は、クリーム収容チャンバ6の末端部でプランジャ18とノズル又はシール28との間の容積26を画定する。プランジャがシール28に対して移動するにつれ、クリームは、シール28によって提供された開口部から押し出される。好ましくは、シール28によって提供されたノズル又は開口部は、開いて、クリームの分配を可能にするために圧力作動される一方弁である。
【0031】
分かるように、シール28及びプランジャ18の成形及び構造は、オス/メス対応を提供するように選択される。これは、構成要素18と28との間にデッドスペースが実質的にほとんどない、又は全くないことを保証する。分配器2がその動作の最後に近づくと、アイスクリーム収容チャンバが実質的に完全にハンドル4のエンベロープ内に組み込まるとき、プランジャ18及びシール28は、この2つの間の容積が最小の状態のぴったりとした位置に配置される。
【0032】
クリームチャンバがその最も拡張した形にある、つまり使用前の最大量を有するときに、アイスクリームチャンバの周りにぴったりと適合するサイズに作られた蓋30が設けられる。蓋は、回転ハンドルと(断面で)同じ直径を有するように選ばれ、その結果、蓋及び回転ハンドルが閉鎖構成に配置されると、分配器2は、概して円形のシリンダに見える。
【0033】
図5を参照すると、ベアリング10と係合しているシャフト16の例が示されている。シャフト16は、その軸の実質的に全長に沿って延びる雄ねじ14を含む。分かるように、ねじが、シャフト16の実質的に全長に沿って延びる長手方向溝32も有する点で、ねじはシャフト16の本体の周りで連続していない。ベアリング10は、シャフト16の外周面でねじ山14と係合する雌ねじ(図5では不図示)を有する。ベアリング10は、シャフト16が、それがベアリング10に対して回転するときにそれを通って軸方向に移動することを可能にするサイズに作られた開口部34を有する、概して円形の断面を有する。ベアリング10は、本実施形態では、半径方向の板ばねの形の偏向部材36を含む。板ばね36は、シャフト16の中心に向かって半径方向に内向きに偏向する。
【0034】
図4を参照すると、わかるように、偏向部材36の端部38は、溝32と係合し、偏向ばねの力を受けて、シャフト16をベアリング16に対して回転ロックするように成形される。板ばねの端部38は、溝32の第1の表面と係合するように、曲げられ、成形されたカム面40を有する。したがって、ベアリング及びシャフト16の相対的な回転を強制するために、一定程度の圧力が必要となり、使用中、ハンドル4を回転するユーザによって駆動され、それによって端部38の表面40及び溝32の第1の面を互いに対して摺動させて、偏向部材36を溝32の中から押し出し、それによってシャフト16及びベアリング10の相対的な回転を可能にする。
【0035】
したがって、相対的に垂直な半径方向の第2の表面44が、シャフト16がベアリング10に対して長手方向軸8の周りで回転すると、偏向部材36が溝32の中にカチッと音を立てて収まるように、溝32の反対の長手方向側に設けられることが分かる。つまり、ベアリング10とシャフト16との間の相対的な移動は、それが可聴クリックの間、及び回転を引き起こすために再び追加の力を必要とする前に、ねじ山14の正確に1ピッチを移動することを保証するために、注意深くしかも簡略に調節される。
【0036】
一例では、溝32などのいくつかの長手方向溝は、シャフト16の外側円筒面に沿って設けられる。例えば、2つの係る溝が互いに正反対に設けられる場合、これは、シャフトがベアリング10に対して完全に回転するたびに、システムが、偏向部材36の端部38が対応する溝に戻ると2回クリックすることを意味する。複数の長手方向溝を設けることによって、プランジャのクリームチャンバ6に対する相対的な移動は、注意深く制御及び調節することができる。一例では、溝は、シャフトの円筒面の周りで異なる距離、離間される。言い換えると、正反対になる代わりに、それらは他の可変に選択又は決定された角位置にあるであろう。例えば、それらは、例えば0度及び120度の角位置にあるであろう。つまり、連続用量は、以前の用量のサイズの半分又は二倍になるであろう。係る柔軟性は、一部の特定の患者に対して複数の用量が必要とされる、又は1日おき若しくは2時間ごとにより強力な若しくは多い用量が必要とされる場合に役立つ。
【0037】
機構は、偏向部材がシャフト16の長さに沿って長手方向溝の1つに一時的に固定されるときに、定められた数の位置が存在するという点で、ハンドルとクリーム分配チャンバとの間の相対的な軸方向移動の割り出しを提供する。
【0038】
ハンドル4のハウジングとのシャフト16の係合は、ハンドル4に対してシャフト16の回転が可能にならないように配置される。これは、ハンドルの回転によりシャフト16の対応する回転、したがってハンドル4とクリーム収容チャンバ6との間の対応する相対的な軸方向移動が生じる技術的効果を達成する。
【0039】
図4及び図5の例では、偏向部材は、半径方向板ばねとして配置される。別の実施形態では、半径方向に配置された螺旋形の又は他の圧縮可能なばね部材は、ベアリング10とシャフト16の外側円筒面との間に半径方向に配置されて設けられる。再び、シャフト16とベアリング10との間の触覚且つ可聴の相互作用を保証するためにはある程度のカム作用が必要とされる。半径方向板ばねの使用は、それがベアリング及び偏向部材又はばねを一体構成部品として提供することを可能にするので、好ましい。
【0040】
別の例(不図示)では、シャフト16の外部円筒面に設けられるのと対照的に、割り出し機構がハンドルの内部円筒面に対して設けられている。この例では、1つ以上の溝又は長手方向突起が、ハンドルの内側円筒面に設けられる又は形成され、偏向部材はハンドルの内側円筒面に向かって外向きに偏向される。割り出しは、偏向部材と、ハンドルの内側円筒面に設けられ、ハンドルの空洞の中にわずかな距離突出する長手方向のライン若しくは突起との間の係合により提供されるので、この状況でのねじ山は、長手方向の溝なしに提供することができる。
【0041】
図6aから図6cは、使用の様々な段階でのクリーム分配器2の3つの図を示す。図6aでは、クリーム収容チャンバ6は最大量にあり、これは、事前に充填された分配器が通常どのようにして最初にユーザに提供されるのかである。図6bで、ユーザは容器内のクリームの約3分の1を使用しており、図6cでは、クリームの約4分の3又は5分の4が使用されている。
【0042】
図6aから図6cのすべてで分かるように、蓋30は、外面的に及び第1印象で、クリーム分配器が、ハンドル及びクリーム収容チャンバの相対的な位置に関わりなく同じに見えるようにクリーム収容チャンバ6の上に配置される。一例では、クリーム収容チャンバ内のクリームの量の迅速且つ容易な視覚的な表示を提供するように、長手方向ののぞき窓(不図示)が蓋30に設けられてよい。
【0043】
好ましい例では、シャフト16に設けられたピッチねじ山の数は、特定の薬剤向けの投与窓と一致する数になるように選択される。例えば、一例では、任意の月の各日に一日1回、単に所定の量のクリームを提供するために分配器を使用できるように、ねじ山が32ピッチを含むことが好ましい。月末に、クリーム分配器を廃棄し、適切な構成要素をリサイクルできることが仮定されている。
【0044】
分配器の様々な構成要素を製造する材料は、利便性及び効率のために選択され得る。通常、シャフト16は、ベアリング10と同様にプラスチックから形成されると予想される。ハンドル及びクリーム収容チャンバのハウジングは、プラスチック又は金属から形成されてよい。プランジャ及びシールは、好ましくは、比較的に柔らかい又は圧縮可能なプラスチックから形成される。これは、プランジャの外側円形壁とクリーム収容チャンバの内側円筒面との間のシールが容易に且つ便宜的に密封されることを保証され得ることを確実にする。さらに、一例では、プランジャ及びシールの一方は、より柔らかな変形可能なプラスチックから形成され、他方は硬質プラスチックから形成される。これは、2つが組み合わされるとき、構成要素の一方の硬質プラスチックが構成要素間の相互作用の最終的な形状を定義することを保証する。
【0045】
分配器の典型的な寸法は、所望される量のクリームを送達するために選択され得る。非限定的な一例では、ハンドルを含む分配器2の全長、つまり図6aに示されるシステムの長さが、100と150mmとの間となると予想される。好ましくは、長さは125mmとなる。
【0046】
完全に使用されるときのデバイス(蓋なし)の長さは、通常、60と80mmの間、好ましくは70mmとなる。
【0047】
一般的に、全体としてのクリームチャンバ及び分配器の直径は、好ましくは20と25mmの間、より好ましくは23mmである。
【0048】
保湿剤、スキンケアクリーム、医薬品クリーム、皮膚科用組成物、又は任意の他の適切な薬剤若しくはクリームの任意の1つ又は複数を含むクリームが、分配器から分配され得ることが好ましい。他の用途は、獣医用である場合があり、上述のように、クリームに限定されるのではなく、むしろ粘質物又は非粘質物を含む他の物質を含む。
【0049】
分配器は、それが毎日又は実際には他の選択された時間間隔で正確な1回分のクリームを送達することができるように配置及び構成される。一例では、システムは、1日に複数回の投与又は2日おき、3日おき、若しくは他の日数で1回の投与を提供するような寸法又は構成にされ得る。したがって、クリーム収容チャンバに対するハンドルの1回の回転は、(クリーム収容チャンバに取り付けられた)ベアリングを1ねじ山ピッチ下方に動かし、それによって1回の投与量のクリームをクリームチャンバの上部から分配させる。ばねの端部38が長手方向溝の中に下降して戻ると、投与量の最後でのクリックが提供され、これが、ユーザに投与量が送達されたことを知らせる。さらに、溝32の長手方向の端縁面の成形及び/又は偏向部材の端部38でのカム面の形状は、ユーザが、ハンドル及びクリーム収容チャンバを互いに対して間違った回転方向に回転させることを不可能にするように提供される。
【0050】
上述のように、ねじ山のピッチは、分配器が、例えば適切な場合にはリサイクル又は補充のために使用され、廃棄される準備が整うまで、一定数の投与量を与えるように選択される。好ましい例では、ねじ山はその上に正確に32ねじ山ピッチを有し、パッケージが正確に32回分のクリームを含むことを意味する。分配器が使用されると、投与量が出てくるにつれ、長さは変化し、したがってユーザに進捗を示す。クリーム収容チャンバは、実際に、回転ハンドルの外側エンベロープに組み込まれる。目盛りがクリーム収容チャンバに、その外側に書かれており、それによってユーザにどのくらいの投与量が残っているのかを示すことが好ましい。
【0051】
本発明の実施形態は、特に示されている例に関して説明されている。しかしながら、変形形態及び修正形態を、本発明の範囲内で説明される例に対して加え得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
【国際調査報告】