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  • 特表-液体生検収率の向上 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(54)【発明の名称】液体生検収率の向上
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/574 20060101AFI20230405BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230405BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20230405BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20230405BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20230405BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20230405BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230405BHJP
【FI】
G01N33/574 D
G01N33/53 M
C12Q1/02
C12Q1/686 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6869 Z
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576786
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2020042786
(87)【国際公開番号】W WO2021173180
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/981,326
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522335295
【氏名又は名称】シンガル, シーマ
(71)【出願人】
【識別番号】522335309
【氏名又は名称】メータ, アラン
(71)【出願人】
【識別番号】522335310
【氏名又は名称】メータ, ジャイェシュ
(71)【出願人】
【識別番号】522335321
【氏名又は名称】メータ, ニール
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シンガル, シーマ
(72)【発明者】
【氏名】メータ, アラン
(72)【発明者】
【氏名】メータ, ジャイェシュ
(72)【発明者】
【氏名】メータ, ニール
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB11
4B029BB20
4B029FA15
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR62
4B063QR72
4B063QR77
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX01
(57)【要約】
本明細書では、方法、キット、システム、および組成物、または液体生検収率の向上が提供される。対象から得られた流体試料を分析する方法であって、流体試料中の1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在を決定するステップを含み、対象は、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの循環中への放出を動員するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子が以前に投与されている、方法が本明細書に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象から得られた流体試料を分析する方法であって、前記流体試料中の1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在を決定するステップを含み、前記対象は、前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの循環中への放出を動員するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子が以前に投与されている、方法。
【請求項2】
対象から得られた流体試料中の1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAを検出する方法であって、
a.前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの循環中への放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子を前記対象に投与するステップ;
b.前記サイトカインまたは成長因子を前記対象に投与した後に、前記対象から前記流体試料を得るステップ;および
c.前記流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在を決定するステップ
を含む、方法。
【請求項3】
最小残存病変の存在または非存在の検出を、それを必要とする対象において行う方法であって、請求項1または2に記載の方法に従って、前記対象から得られた流体試料を分析するステップ、または前記対象から得られた流体試料中の1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAを検出するステップを含み、(i)前記流体試料中の前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在が、前記対象における最小残存病変の存在を示し、(ii)前記流体試料中の前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの非存在が、前記対象における最小残存病変の非存在を示す、方法。
【請求項4】
がんの処置をそれをとする対象において行う方法であって、
a.1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの循環中への放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子を前記対象に投与するステップ;
b.前記サイトカインまたは成長因子を前記対象に投与した後、前記対象から流体試料を得るステップ;
c.前記流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在を決定するステップ;および
d.前記流体試料中の前記放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在が検出される場合、少なくとも1つのがん治療薬を前記対象に投与するステップ
を含む、方法。
【請求項5】
がんの処置をそれを必要とする対象において行う方法であって、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの前記対象の循環中への放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子の投与後に前記対象から得られた流体試料中に前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAが検出されている場合、少なくとも1つのがん治療薬を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項6】
前記がん治療薬が自己HSC移植物ではない、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
がんを有する対象を予後診断する方法であって、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物を遺伝子プロファイリングするステップを含み、前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物は前記対象から得られた流体試料から得られており、前記対象は、循環中への前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子が以前に投与されており、前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物の遺伝子プロファイルが、前記対象の予後を示す、方法。
【請求項8】
がんを有する対象を予後診断する方法であって、
a.1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物の循環中への放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子を前記対象に投与するステップ;
b.前記サイトカインまたは成長因子を前記対象に投与した後、前記対象から流体試料を得るステップ;および
c.前記流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物を遺伝子プロファイリングするステップ
を含み、
前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物の遺伝子プロファイルが、前記対象の予後診断を示す、方法。
【請求項9】
対象においてがんを検出する方法であって、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物を検出するステップを含み、前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物は前記対象から得られた流体試料から得られており、前記対象は、循環中への前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子が以前に投与されており、前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物の検出が、前記対象におけるがんを示す、方法。
【請求項10】
対象においてがんを検出する方法であって、
a.1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物の循環中への放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子を前記対象に投与するステップ;
b.前記サイトカインまたは成長因子を前記対象に投与した後、前記対象から流体試料を得るステップ;および
c.前記流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物を検出するステップ
を含み、
前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物の検出が、前記対象におけるがんを示す、方法。
【請求項11】
前記サイトカインまたは成長因子が、エリスロポエチン、G-CSF、GM-CSF、SCF、IL-3、KGF、およびプレリキサフォルから選択される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記成長因子がプレリキサフォルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記投与するステップが、1またはそれを超える抗がん治療薬を前記対象に投与することをさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗がん治療薬が、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、アベマシクリブ、アビラテロン酢酸エステル、アカラブルチニブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、アファチニブジマレイン酸塩、アルデスロイキン、アレクチニブ、アレムツズマブ、アルペリシブ、アミフォスチン、アミノレブリン酸塩酸塩、アナストロゾール、アパルタミド、三酸化ヒ素、L-アスパラギナーゼ、アテゾリズマブ、アベルマブ、アキシチニブ、アザシチジン、ベリノスタット、塩酸ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビニメチニブ、硫酸ブレオマイシン、ブリナツモマブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブレントキシマブベドチン、ブリガチニブ、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ-S-マレート、カラスパルガーゼペゴル-mknl、カペシタビン、カプラシズマブ-yhdp、カルボプラチン、カーフィルゾミブ、カルムスチン、カルムスチンインプラント、セミプリマブ-rwlc、セリチニブ、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、コビメチニブ、コパンリシブ塩酸塩、コルチコステロイド、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シタラビン、ダブラフェニブメシル酸塩、ダカルバジン、ダコミチニブ、ダクチノマイシン、ダラツムマブ、ダロルタミド、ダサチニブ、ダウノルビシン塩酸塩、ダウノルビシン塩酸塩およびシタラビンリポソーム、デシタビン、デフィブロチドナトリウム、デガレリックス、デニロイキンディフティトックス、デノスマブ、デキサメタゾン、デクスラゾキサン塩酸塩、ジヌツキシマブ、ドセタキセル、ドキソルビシン塩酸塩、ドキソルビシン塩酸塩リポソーム、デュルバルマブ、デュベリシブ、エロツズマブ、エルトロンボパグ、オラミン、エマパルマブ-lzsg、エナシデンリブメシル酸塩、エンコラフェニブ、エントレクチニブ、エンザルタミド、エピルビシン塩酸塩、エルダフィチニブ、エリブリンメシル酸塩、エルロチニブ塩酸塩、エトポシド、エトポシドリン酸塩、エベロリムス、エクセメスタン、フェドラチニブ塩酸塩、フルダラビンリン酸塩、フルタミド、フォスタマチニブ2ナトリウム、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン塩酸塩、ゲムツズマブオゾガマイシン、ギルテリチニブフマル酸塩、マレイン酸グラスデジブ、グルカルピダーゼ、酢酸ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブチユキセタン、イブルチニブ、イダルビシン塩酸塩、イデラリシブ、イホスファミド、イマチニブメシル酸塩、イミキモド、イノツズマブオゾガマイシン、インターフェロンアルファ-2b、リコンビナント、イオベングアンI131、イピリムマブ、イリノテカン塩酸塩、イリノテカン塩酸塩リポソーム、イボシデニブ、イクサベピロン、イキサゾミブクエン酸エステル、ランレオチド酢酸塩、ラパチニブジトシル酸塩、ラロトレクチニブ硫酸塩、レナリドミド、レンバチニブメシル酸塩、レトロゾール、酢酸リュープロリド、ロムスチン、ロルラチニブ、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メトトレキサート、臭化メチルナルトレキソン、メチルプレドニゾロン、ミドスタウリン、ミトマイシンC、ミトキサントロン塩酸塩、モガムリズマブ-kpkc、モクセツモマブパスドトックス-tdfk、ネシツムマブ、ネララビン、ネラチニブマレイン酸塩、ネツピタントおよび塩酸パロノセトロン、ニロチニブ、ニルタミド、ニラパリブトシル酸塩一水和物、ニボルマブ、オビンツズマブ、オフェツマブ、オラパリブ、オマセタキシンメペスクシナート、オシメルチニブメシル酸塩、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、パルボシクリブ、パリフェルミン、パニツムマブ、パノビノスタット、塩酸パゾパニブ、ペガスパガーゼ、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド二ナトリウム、ペルツズマブ、ポラツズマブ・ベドチン-piiq、ポマリドマイド、ポナチニブ塩酸塩、プララトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩、プロプラノロール塩酸塩、ラロキシフェン塩酸塩、ラムシルマブ、ラブリズマブ-cwvz、組み換えインターフェロンアルファ-2b、レゴラフェニブ、リボシクリブ、リツキシマブ、リツキシマブおよびヒアルロニダーゼヒト、ロラピタント塩酸塩、ロミデプシン、ロミプロスチム、ルカパリブカムシレート、ルキソリチニブリン酸塩、セリネクサー、シルトキシマブ、ソニデギブ、トシル酸ソラフェニブ、リンゴ酸スニチニブ、タグラクソファスプ-erzs、タラゾパリブトシル酸塩、クエン酸タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、サリドマイド、チオテパ、トシリズマブ、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、トラベクテジン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トラスツズマブおよびヒアルロニダーゼ-oysk、トリフルリジンおよびティピラシル塩酸塩、ウリジン三酢酸塩、バルビシン、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ベネトクラックス、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸リポソーム、ビノレルビン酒石酸塩、ビスモデギブ、ボリノスタット、ザヌブルチニブ、ならびにジブ-アフリベルセプトから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
約1μg~1gの前記抗がん治療薬を前記対象に投与することを含む、請求項13~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記流体試料が血液試料である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記血液試料が血漿または血清試料である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記血液試料が全血試料または全血試料の細胞画分である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記流体試料が、腹水、脳脊髄液、リンパ液、汗、尿、涙、唾液、胸水、心膜液、腔リンス、または臓器リンス試料である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
0.1~0.4mg/kgのプレリキサフォルまたは約10~25mgのプレリキサフォルを前記対象に投与することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
約0.24mg/kgまたは約20mgのプレリキサフォルを前記対象に投与することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
約0.16mg/kgまたは約13mgのプレリキサフォルを前記対象に投与することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
プレリキサフォルを皮下、筋肉内、静脈内、または吸入によって投与することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
皮下注射によってプレリキサフォルを投与することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記プレリキサフォルを、1~4日間毎日投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項26】
前記プレリキサフォルを、前記対象から前記流体試料を得る前に1回投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項27】
前記プレリキサフォルを、前記流体試料を得る6~48時間前に投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項28】
前記プレリキサフォルを、前記流体試料を得る約11時間前に投与する、請求項12に記載の方法。
【請求項29】
前記サイトカインまたは成長因子を、がんのためのラウンドの処置を完了した後で、必要に応じて、前記がんを従来の手段によって検出不能にする(すなわち、MRD検出を除く従来の基準により完全寛解を達成する)のに十分な数のラウンドの化学療法を完了した後で投与する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記サイトカインまたは成長因子が、前記対象が臨床医によってがんから寛解状態にあると決定されるか、または完全寛解状態にあると考えられる場合に投与される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記対象が一連の抗がん治療を完了したとき、前記対象ががんから完全寛解していると考えられる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
寛解の決定が、前記対象の骨髄試料中の形質細胞の存在または非存在を検出することを含む、請求項30記載の方法。
【請求項33】
前記検出することが、前記対象の前記骨髄試料に対してマルチパラメトリックフローサイトメトリーアッセイを実施することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記マルチパラメトリックフローサイトメトリーが、CD138、CD38、CD45、CD56、CD19、細胞質κおよびλ免疫グロブリン軽鎖、CD20、CD27、CD28、CD81、CD117、CD200、CD54、CD229、CD319、ならびにVS38cのいずれか1つまたは複数についてゲーティングすることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
寛解の決定がASO-qPCRを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
寛解の決定が次世代シーケンシングを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記サイトカインまたは成長因子の投与、前記対象からの前記流体試料の取得、および放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在の決定が1回行われる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記サイトカインまたは成長因子の投与、前記対象からの前記流体試料の取得、および放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在の決定が少なくとも2回行われる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記サイトカインまたは成長因子の投与、前記対象からの前記流体試料の取得、および放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在の決定が、前記対象が最小残存病変について陰性であると試験された後に行われる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記がんがCXCR4を発現することが知られている、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記がんが、副腎がん、肛門がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳または中枢神経系のがん、基底細胞性皮膚がん、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、胆嚢がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胃がん(gastric cancer)、神経膠腫、神経膠芽腫、頭頸部がん(頭頸部扁平上皮癌を含む)、ホジキン病、古典的ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、カポジ肉腫、腎臓がん、喉頭および下咽頭がん、白血病(急性骨髄性白血病を含む)、肝臓がん(肝細胞癌を含む)、リンパ腫、黒色腫(切除不能または転移性黒色腫を含む)、前立腺がん、肺がん(非小細胞肺がん、および転移性非小細胞肺がんを含む)、悪性中皮腫、メルケル細胞癌、転移性尿路上皮癌、多発性骨髄腫、骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔および副鼻腔がん、上咽頭がん、神経内分泌がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、口腔および口腔咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、下垂体腫瘍、腎がん(腎細胞癌を含む)、網膜芽細胞腫、血液悪性腫瘍、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、扁平上皮がん、小腸がん、胃がん(stomach cancer)、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、子宮がん、および膣がんから選択される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記がんが、血液悪性腫瘍、乳がん、結腸直腸がん、食道がん、頭頸部がん、腎がん、肺がん、婦人科がん、肝臓がん、前立腺がんおよび胆嚢がんから選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記がんが多発性骨髄腫である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAが非血液区画から循環中に放出される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記非血液区画が骨髄区画である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在が、フローサイトメトリーによって決定される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記フローサイトメトリーがマルチパラメータフローサイトメトリーを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記マルチパラメトリックフローサイトメトリーが、CD138、CD38、CD45、CD56、CD19、細胞質κおよびλ免疫グロブリン軽鎖、CD20、CD27、CD28、CD81、CD117、CD200、CD54、CD229、CD319、ならびにVS38cのいずれか1つまたは複数についてゲーティングすることを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在が、配列分析によって決定される、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記配列分析が、PCR、必要に応じてAso-qPCRを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記配列分析がシーケンシングを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記シーケンシングがディープシーケンシングを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
VDJ領域のディープシーケンシングを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在が、100,000個の細胞中少なくとも1個の感度を有するアッセイによって決定される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの非存在が検出される場合、がん処置を終了することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項56】
薬学的に許容され得る剤形の成長因子またはサイトカイン、および先行する請求項のいずれか1項に従う使用のための指示書を含む、キット。
【請求項57】
液体生検収率向上のためのシステムであって、
a.サイトカインまたは成長因子の1またはそれを超える薬学的に許容され得る剤形;
b.それを必要とする対象から流体試料を得るための1またはそれを超える試薬、デバイス、またはキット;および
c.前記流体試料中の腫瘍細胞および/または腫瘍DNAを分析するための1またはそれを超える試薬、デバイス、および/または装置
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年2月25日に出願された米国仮出願第62/981,326号の利益および優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
疾患の検出、診断、および予後診断の方法は、疾患細胞、例えばがん細胞のサンプリングに依存することが多い。多くの場合、そのような細胞を得るための組織生検は、侵襲性および有痛性であり得、外科的合併症のリスクを伴い得る。例えば、多発性骨髄腫等の特定の場合、がん性細胞は、患者にとって極めて不快な手順である骨の穿刺(骨髄生検)によって得られる。多くの場合、そのような疾患組織へのアクセスは困難であり、正確な診断のための疾患細胞のサンプリングをさらに複雑にする。
【0003】
場合によっては、患者内の疾患細胞の分布は斑状であり、生検および診断をさらに複雑にする。
【0004】
一見して成功したがん処置、例えば、完全な腫瘍切除を有するか、または処置後に完全寛解(CR)を示すかなりの数の患者が、様々な期間の内に再燃する。Landgrenら、New developments in diagnosis,prognosis,and assessment of response in multiple myeloma,Clin Cancer Res 2016;22:5428-33に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのような再燃は、一見成功した治療後でさえ、検出されない微小転移または最小残存病変(MRD)の存在を実証する。MRDの存在は再燃(従来の技術によって検出可能な疾患の存在を示す再燃)を予測し、いくつかの悪性腫瘍における重要な予後因子である。Pantel Kら、Liquid biopsy and minimal residual disease-latest advances and implications for cure、Nat Rev Clin Oncol 2019;16:409-24(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。実際、MRD検出の主要な実際的応用は、MRDが本格的な再燃(すなわち、臨床的におよび/または従来の試験によって検出可能な再燃)を回避し、治癒または長期生存の可能性を改善するために検出される場合、対象におけるがん治療の投与である。
【0005】
MRDを検出することの困難さは、上記の因子、例えば、悪性細胞の斑状分布およびアクセスの困難さによって複雑化する。
【0006】
がんの処置は、しばしば長期有効性の欠如に悩まされる。腫瘍は、少なくとも部分的には、初期の特性評価および治療中には存在しなかったかもしれない遺伝的異常の蓄積によって、治療に対して耐性になり得る。例えば、多発性骨髄腫の場合、しばしば、限局性病変の突然変異状態に時空間上の不均一性がある。Rascheら、Spatial genomic heterogeneity in multiple myeloma revealed by multi-region sequencing.Nat Commun 2017;8:Article number 268(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0007】
しかしながら、診断および予後診断のための現在診療は、単一の部位から連続的にまたは異なる部位から異なる時間にサンプリングすることを含み、それにより、患者のがんの完全なプロファイリングの機会を逸している。多発性骨髄腫患者由来の無細胞DNAの標準的な液体生検およびシーケンシング分析は、同時に分析された骨髄試料と同様の突然変異プロファイルの不均一性を実証し、突然変異プロファイルの時空間的不均一性が高いがんの腫瘍プロファイリングにおける標準的な液体生検の有用性を実証した。Mithraprabhu Sら、Circulating tumour DNA analysis demonstrates spatial mutational heterogeneity that coincides with disease relapse in myeloma.Leukemia 2017;31:1695-705(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0008】
患者から得られた液体試料、例えば血液試料からの循環腫瘍細胞(CTC)および/または循環腫瘍DNA(ctDNA)の検出のために、液体生検技術が過去数年にわたって進歩してきた。液体生検は、従来の生検よりも多くの利点を与え、一般に無痛で、非侵襲的で、便利である。実際、外科的腫瘍切除後のCTC検出年数は、不良な臨床転帰と相関している。Pantel Kら、Liquid biopsy and minimal residual disease-latest advances and implications for cure、Nat Rev Clin Oncol 2019;16:409-24(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0009】
しかしながら、液体生検技術は感度が不十分であり、偽陰性をもたらす。例えば、がん患者由来の血漿試料を使用したctDNA研究は、初期肺がんの59%から初期頭頸部がんの86%まで変動する感度を示した。ctDNA研究は、全ての腫瘍タイプにわたって、ステージIのがんについて34%、ステージIIについて77%、ステージIIIについて84%、およびステージIVについて92%の感度率を実証した(Liuら、2019)。このような結果は、現在の液体生検用途が、かなりの割合の患者においてMRD検出に必要とされる非常に高い程度の感度を有していないことを示している。このような不十分な感受性は、MRD状態中に循環中に放出されるCTCまたはctDNAの数が少ないことに起因する可能性が高い。
【0010】
CXCR4は造血幹細胞(HSC)上に発現され、骨髄ニッチにおけるそれらの保持および維持において重要な役割を果たす。CXCR4に対応するケモカインリガンドは、CXCL12(SDF-1としても知られる)である。CXCR4/CXCL12相互作用は、骨髄内のHSCの保持において重要な役割を果たす。Fricker SP,Physiology and pharmacology of plerixafor,Transfus Med Hemother 2013;40:237-45(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
疾患の検出および予後診断における偽陰性を低減するために、液体生検技術の感度を高めるための方法およびシステムが必要とされている。そのような方法およびシステムは、例えば、MRD検出、疾患予後診断、および早期疾患検出に特に有用であろう。例えば、そのような方法およびシステムは、がんが非常に早期である場合、したがって定義によれば、はるかに処置可能/治癒可能である場合に、がんの同定を可能にし得る高レベルの感度を有する現実的な可能性のある、正常な個体のマススクリーニングに有用であろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Landgrenら、New developments in diagnosis,prognosis,and assessment of response in multiple myeloma,Clin Cancer Res 2016;22:5428-33
【非特許文献2】Pantel Kら、Liquid biopsy and minimal residual disease-latest advances and implications for cure、Nat Rev Clin Oncol 2019;16:409-24
【非特許文献3】Rascheら、Spatial genomic heterogeneity in multiple myeloma revealed by multi-region sequencing.Nat Commun 2017;8:Article number 268
【非特許文献4】Mithraprabhu Sら、Circulating tumour DNA analysis demonstrates spatial mutational heterogeneity that coincides with disease relapse in myeloma.Leukemia 2017;31:1695-705
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
対象から得られた流体試料を分析する方法であって、流体試料中の1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在を決定するステップを含み、対象は、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの循環中への放出を動員するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子が以前に投与されている、方法が本明細書に提供される。
【0013】
対象から得られた流体試料中の1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAを検出する方法であって、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの循環中への放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子を対象に投与するステップ;サイトカインまたは成長因子を対象に投与した後に、対象から流体試料を得るステップ;および流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在を決定するステップを含む、方法も本明細書に提供される。
【0014】
最小残存病変の存在または非存在の検出を、それを必要とする対象において行う方法であって、本明細書に開示される方法に従って、対象から得られた流体試料を分析するステップ、または対象から得られた流体試料中の1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAを検出するステップを含み、(i)流体試料中の1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在は、対象における最小残存病変の存在を示し、(ii)流体試料中の1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの非存在は、対象における最小残存病変の非存在を示す、方法も本明細書に提供される。
【0015】
がんの処置をそれをとする対象において行う方法であって、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの循環中への放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子を対象に投与するステップ;サイトカインまたは成長因子を対象に投与した後、対象から流体試料を得るステップ;流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在を決定するステップ;および流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在が検出される場合、少なくとも1つのがん治療薬を対象に投与するステップを含む、方法も本明細書に提供される。
【0016】
がんの処置をそれを必要とする対象において行う方法であって、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの対象の循環中への放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子の投与後に対象から得られた流体試料中に1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAが検出されている場合、少なくとも1つのがん治療薬を対象に投与することを含む、方法も本明細書に提供される。
【0017】
一部の実施形態では、がん治療薬は自己HSC移植物ではない。
【0018】
がんを有する対象を予後診断する方法であって、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物を遺伝子プロファイリングするステップを含み、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物は対象から得られた流体試料から得られており、対象は、循環中への1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子が以前に投与されており、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物の遺伝子プロファイルは、対象の予後を示す、方法も本明細書に提供される。
【0019】
がんを有する対象を予後診断する方法であって、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物の循環中への放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子を対象に投与するステップ;サイトカインまたは成長因子を対象に投与した後、対象から流体試料を得るステップ;および流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物を遺伝子プロファイリングするステップを含み、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物の遺伝子プロファイルは、対象の予後診断を示す、方法も本明細書に提供される。
【0020】
対象においてがんを検出する方法であって、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物を検出するステップを含み、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物は対象から得られた流体試料から得られており、対象は、循環中への1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子が以前に投与されており、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物の検出は、対象におけるがんを示す、方法も本明細書に提供される。
【0021】
対象においてがんを検出する方法であって、(a)1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物の循環中への放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子を対象に投与するステップ;(b)サイトカインまたは成長因子を対象に投与した後、対象から流体試料を得るステップ;および(c)流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物を検出するステップを含み、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNA分析物の検出は、対象におけるがんを示す、方法も本明細書に提供される。
【0022】
一部の実施形態では、サイトカインまたは成長因子は、エリスロポエチン、G-CSF、GM-CSF、SCF、IL-3、KGF、およびプレリキサフォルから選択される。一部の実施形態では、成長因子はプレリキサフォルである。
【0023】
一部の実施形態では、投与するステップは、1またはそれを超える抗がん治療薬を対象に投与することをさらに含む。
【0024】
一部の実施形態では、抗がん治療薬は、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、アベマシクリブ、アビラテロン酢酸エステル、アカラブルチニブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、アファチニブジマレイン酸塩、アルデスロイキン、アレクチニブ、アレムツズマブ、アルペリシブ、アミフォスチン、アミノレブリン酸塩酸塩、アナストロゾール、アパルタミド、三酸化ヒ素、L-アスパラギナーゼ、アテゾリズマブ、アベルマブ、アキシチニブ、アザシチジン、ベリノスタット、塩酸ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビニメチニブ、硫酸ブレオマイシン、ブリナツモマブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブレントキシマブベドチン、ブリガチニブ、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ-S-マレート、カラスパルガーゼペゴル-mknl、カペシタビン、カプラシズマブ-yhdp、カルボプラチン、カーフィルゾミブ、カルムスチン、カルムスチンインプラント、セミプリマブ-rwlc、セリチニブ、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、コビメチニブ、コパンリシブ塩酸塩、コルチコステロイド、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シタラビン、ダブラフェニブメシル酸塩、ダカルバジン、ダコミチニブ、ダクチノマイシン、ダラツムマブ、ダロルタミド、ダサチニブ、ダウノルビシン塩酸塩、ダウノルビシン塩酸塩およびシタラビンリポソーム、デシタビン、デフィブロチドナトリウム、デガレリックス、デニロイキンディフティトックス、デノスマブ、デキサメタゾン、デクスラゾキサン塩酸塩、ジヌツキシマブ、ドセタキセル、ドキソルビシン塩酸塩、ドキソルビシン塩酸塩リポソーム、デュルバルマブ、デュベリシブ、エロツズマブ、エルトロンボパグ、オラミン、エマパルマブ-lzsg、エナシデンリブメシル酸塩、エンコラフェニブ、エントレクチニブ、エンザルタミド、エピルビシン塩酸塩、エルダフィチニブ、エリブリンメシル酸塩、エルロチニブ塩酸塩、エトポシド、エトポシドリン酸塩、エベロリムス、エクセメスタン、フェドラチニブ塩酸塩、フルダラビンリン酸塩、フルタミド、フォスタマチニブ2ナトリウム、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン塩酸塩、ゲムツズマブオゾガマイシン、ギルテリチニブフマル酸塩、マレイン酸グラスデジブ、グルカルピダーゼ、酢酸ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブチユキセタン、イブルチニブ、イダルビシン塩酸塩、イデラリシブ、イホスファミド、イマチニブメシル酸塩、イミキモド、イノツズマブオゾガマイシン、インターフェロンアルファ-2b、リコンビナント、イオベングアンI131、イピリムマブ、イリノテカン塩酸塩、イリノテカン塩酸塩リポソーム、イボシデニブ、イクサベピロン、イキサゾミブクエン酸エステル、ランレオチド酢酸塩、ラパチニブジトシル酸塩、ラロトレクチニブ硫酸塩、レナリドミド、レンバチニブメシル酸塩、レトロゾール、酢酸リュープロリド、ロムスチン、ロルラチニブ、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メトトレキサート、臭化メチルナルトレキソン、メチルプレドニゾロン、ミドスタウリン、ミトマイシンC、ミトキサントロン塩酸塩、モガムリズマブ-kpkc、モクセツモマブパスドトックス-tdfk、ネシツムマブ、ネララビン、ネラチニブマレイン酸塩、ネツピタントおよび塩酸パロノセトロン、ニロチニブ、ニルタミド、ニラパリブトシル酸塩一水和物、ニボルマブ、オビンツズマブ、オフェツマブ、オラパリブ、オマセタキシンメペスクシナート、オシメルチニブメシル酸塩、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、パルボシクリブ、パリフェルミン、パニツムマブ、パノビノスタット、塩酸パゾパニブ、ペガスパガーゼ、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド二ナトリウム、ペルツズマブ、ポラツズマブ・ベドチン-piiq、ポマリドマイド、ポナチニブ塩酸塩、プララトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩、プロプラノロール塩酸塩、ラロキシフェン塩酸塩、ラムシルマブ、ラブリズマブ-cwvz、組み換えインターフェロンアルファ-2b、レゴラフェニブ、リボシクリブ、リツキシマブ、リツキシマブおよびヒアルロニダーゼヒト、ロラピタント塩酸塩、ロミデプシン、ロミプロスチム、ルカパリブカムシレート、ルキソリチニブリン酸塩、セリネクサー、シルトキシマブ、ソニデギブ、トシル酸ソラフェニブ、リンゴ酸スニチニブ、タグラクソファスプ-erzs、タラゾパリブトシル酸塩、クエン酸タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、サリドマイド、チオテパ、トシリズマブ、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、トラベクテジン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トラスツズマブおよびヒアルロニダーゼ-oysk、トリフルリジンおよびティピラシル塩酸塩、ウリジン三酢酸塩、バルビシン、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ベネトクラックス、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸リポソーム、ビノレルビン酒石酸塩、ビスモデギブ、ボリノスタット、ザヌブルチニブ、ならびにジブ-アフリベルセプトから選択される。
【0025】
一部の実施形態では、方法は、約1μg~1gの抗がん治療薬を対象に投与することを含む。
【0026】
一部の実施形態では、流体試料は血液試料である。
【0027】
一部の実施形態では、血液試料は血漿または血清試料である。
【0028】
一部の実施形態では、血液試料は全血試料または全血試料の細胞画分である。
【0029】
一部の実施形態では、流体試料は、腹水、脳脊髄液、リンパ液、汗、尿、涙、唾液、胸水、心膜液、腔リンス、または臓器リンス試料である。
【0030】
一部の実施形態では、方法は、0.1~0.4mg/kgのプレリキサフォルまたは約10~25mgのプレリキサフォルを対象に投与することを含む。
【0031】
一部の実施形態では、方法は、約0.24mg/kgまたは約20mgのプレリキサフォルを対象に投与することを含む。
【0032】
一部の実施形態では、方法は、約0.16mg/kgまたは約13mgのプレリキサフォルを対象に投与することを含む。
【0033】
一部の実施形態では、方法は、プレリキサフォルを皮下、筋肉内、静脈内、または吸入によって投与することを含む。
【0034】
一部の実施形態では、方法は、皮下注射によってプレリキサフォルを投与することを含む。
【0035】
一部の実施形態では、プレリキサフォルは、1~4日間毎日投与される。
【0036】
一部の実施形態では、プレリキサフォルは、対象から流体試料を得る前に1回投与される。
【0037】
一部の実施形態では、プレリキサフォルは、流体試料を得る6~48時間前に投与される。
【0038】
一部の実施形態では、プレリキサフォルは、流体試料を得る約11時間前に投与される。
【0039】
一部の実施形態では、サイトカインまたは成長因子は、がんのためのラウンドの処置を完了した後で、必要に応じて、がんを従来の手段によって検出不能にする(すなわち、MRD検出を除く従来の基準により完全寛解を達成する)のに十分な数のラウンドの化学療法を完了した後で投与される。
【0040】
一部の実施形態では、サイトカインまたは成長因子は、対象が臨床医によってがんから寛解状態にあると決定されるか、または完全寛解状態にあると考えられる場合に投与される。
【0041】
一部の実施形態では、対象が一連の抗がん治療を完了したとき、対象はがんから完全寛解していると考えられる。
【0042】
一部の実施形態では、寛解の決定は、対象の骨髄試料中の形質細胞の存在または非存在を検出することを含む。
【0043】
一部の実施形態では、検出することは、対象の骨髄試料に対してマルチパラメトリックフローサイトメトリーアッセイを実施することを含む。
【0044】
一部の実施形態では、マルチパラメトリックフローサイトメトリーは、CD138、CD38、CD45、CD56、CD19、細胞質κおよびλ免疫グロブリン軽鎖、CD20、CD27、CD28、CD81、CD117、CD200、CD54、CD229、CD319、ならびにVS38cのいずれか1つまたは複数についてゲーティングすることを含む。
【0045】
一部の実施形態では、寛解の決定はASO-qPCRを含む。
【0046】
一部の実施形態では、寛解の決定は次世代シーケンシングを含む。
【0047】
一部の実施形態では、サイトカインまたは成長因子の投与、対象からの流体試料の獲得、および放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在の決定は1回行われる。
【0048】
一部の実施形態では、サイトカインまたは成長因子の投与、対象からの流体試料の獲得、および放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在の決定は少なくとも2回行われる。
【0049】
一部の実施形態では、サイトカインまたは成長因子の投与、対象からの流体試料の獲得、および放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在の決定は、対象が最小残存病変について陰性であると試験された後に行われる。
【0050】
一部の実施形態では、がんはCXCR4を発現することが知られている。
【0051】
一部の実施形態では、がんは、副腎がん、肛門がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳または中枢神経系のがん、基底細胞性皮膚がん、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、胆嚢がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胃がん(gastric cancer)、神経膠腫、神経膠芽腫、頭頸部がん(頭頸部扁平上皮癌を含む)、ホジキン病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、カポジ肉腫、腎臓がん、喉頭および下咽頭がん、白血病(リンパ球性、骨髄性、両方または未分類の系統を伴う急性および慢性白血病を含む)、肝臓がん(肝細胞癌を含む)、リンパ腫、黒色腫(切除不能または転移性黒色腫を含む)、前立腺がん、肺がん(非小細胞肺がん、および転移性非小細胞肺がんを含む)、悪性中皮腫、メルケル細胞癌、転移性尿路上皮癌、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔および副鼻腔がん、上咽頭がん、神経内分泌がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、口腔および口腔咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、下垂体腫瘍、腎がん(腎細胞癌を含む)、網膜芽細胞腫、血液悪性腫瘍、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、扁平上皮がん、小腸がん、胃がん(stomach cancer)、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、子宮がん、および膣がんから選択される。
【0052】
一部の実施形態では、がんは、血液悪性腫瘍、乳がん、結腸直腸がん、食道がん、頭頸部がん、腎がん、肺がん、婦人科がん、肝臓がん、前立腺がんおよび胆嚢がんから選択される。
【0053】
一部の実施形態では、がんは多発性骨髄腫である。
【0054】
一部の実施形態では、1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAは非血液区画から循環中に放出される。
【0055】
一部の実施形態では、非血液区画は骨髄区画である。
【0056】
一部の実施形態では、流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在は、フローサイトメトリーによって決定される。
【0057】
一部の実施形態では、フローサイトメトリーはマルチパラメータフローサイトメトリーを含む。
【0058】
一部の実施形態では、マルチパラメトリックフローサイトメトリーは、CD138、CD38、CD45、CD56、CD19、細胞質κおよびλ免疫グロブリン軽鎖、CD20、CD27、CD28、CD81、CD117、CD200、CD54、CD229、CD319、ならびにVS38cのいずれか1つまたは複数についてゲーティングすることを含む。
【0059】
一部の実施形態では、流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在は、配列分析によって決定される。
【0060】
一部の実施形態では、配列分析は、PCR、必要に応じてAso-qPCRを含む。
【0061】
一部の実施形態では、配列分析はシーケンシングを含む。
【0062】
一部の実施形態では、シーケンシングはディープシーケンシングを含む。
【0063】
一部の実施形態では、VDJ領域のディープシーケンシングを含む。
【0064】
一部の実施形態では、流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在は、100,000個の細胞中少なくとも1個の感度を有するアッセイによって決定される。
【0065】
一部の実施形態では、方法は、流体試料が腫瘍細胞および腫瘍DNAの非存在を示す場合、がん処置を終了することをさらに含む。
【0066】
薬学的に許容され得る剤形の成長因子またはサイトカイン、および本明細書に記載の方法に従う使用のための指示書を含む、キットも本明細書に提供される。
【0067】
液体生検収率向上のためのシステムであって、サイトカインまたは成長因子の1またはそれを超える薬学的に許容され得る剤形;それを必要とする対象から流体試料を得るための1またはそれを超える試薬、デバイス、またはキット;および流体試料中の腫瘍細胞および/または腫瘍DNAを分析するための1またはそれを超える試薬、デバイス、および/または装置を備える、システムも本明細書に提供される。
【0068】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の図面に関してよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1図1は、プレリキサフォルの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
定義
特許請求の範囲および明細書で使用される用語は、別段の指定がない限り、以下に記載されるように定義される。
【0071】
本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒトと非ヒトの両方を含み、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ウシ、ウマ、およびブタを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、対象はヒト対象である。
【0072】
「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「ヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはそれらの類縁体のいずれかの、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指すために交換可能に使用される。核酸は、RNA、DNA、例えばゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、ウイルスDNA、合成DNA、またはRNAから逆転写されたcDNAであり得る。
【0073】
本明細書で使用される「疾患ポリヌクレオチド」という用語は、疾患細胞、例えば腫瘍またはがん細胞からのポリヌクレオチド、または遺伝子プロファイル、例えば疾患に関連する1またはそれを超える遺伝子異常を含むポリヌクレオチドを指す。
【0074】
本明細書で使用される「共投与」または「共投与する」という用語は、2つまたはそれを超える薬剤が同じ治療過程の一部として投与されるように、2つまたはそれを超える薬剤を投与することを指す。いくつかの実施形態では、2つまたはそれを超える薬剤は、そのような薬剤が同時に投与されるとき、共投与される。いくつかの実施形態では、2つまたはそれを超える薬剤は、薬剤の効果が対象の体内で同時に起こる限り、そのような薬剤が別々に投与される場合に「共投与」される。いくつかの実施形態では、2つまたはそれを超える薬剤は、投与された1またはそれを超える薬剤が他の投与された薬剤の効果を増強または調節するように作用する限り、そのような薬剤が別々に投与される場合に「共投与される」。
【0075】
「十分な量」という用語は、所望の効果をもたらすのに十分な量、例えば、疾患細胞または疾患ポリヌクレオチドを循環に動員するのに十分な量を意味する。
【0076】
「治療有効量」という用語は、疾患の症状を改善するのに有効な量である。予防を治療と考えることができるため、治療有効量は「予防有効量」であり得る。
【0077】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。
概要
【0078】
対象から得られた液体生物学的試料中の疾患細胞、疾患循環核酸、またはそれらの組み合わせの収量を増強する、液体生検のための方法、キット、およびシステムが本明細書で提供される。そのような方法、キット、およびシステムは、疾患細胞またはそれらの残屑をそれらのニッチから対象の循環に動員し、それによって液体生検の収率を高める1またはそれを超える動員剤を利用する。循環中への1またはそれを超える疾患細胞または疾患関連ポリヌクレオチドの動員放出、およびその後のそのような材料を含む流体試料の収集は、本明細書では液体生検収率の増強(LBYE:iquid biopsy yield enhancement)と呼ばれる。
【0079】
疾患細胞またはそれらの残屑の「循環中への」「放出」は、本明細書では、疾患細胞または残屑が対象から得られた流体試料中で得られおよび/または検出され得るように、対象の流体区画内への細胞または残屑(例えば、疾患ポリヌクレオチド)の放出を指すために使用される。いくつかの実施形態では、疾患細胞またはそれらの残屑の循環中への放出は、それらが対象から得られた血液試料中で得られるおよび/または採取することができるように、対象の血流中への放出を含む。いくつかの実施形態では、疾患細胞またはそれらの残屑の循環中への放出は、それらが対象から得られた別の種類の流体試料で得られおよび/または収集され得るように、細胞外液区画への放出を含む。例示的な流体試料を本明細書に開示する。疾患細胞および/または疾患ポリヌクレオチドは、身体の任意の器官または組織から循環中に放出され得ることが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、疾患細胞および/または疾患ポリヌクレオチドは、対象の腫瘍から循環中に放出される。いくつかの実施形態では、疾患細胞および/または疾患ポリヌクレオチドは、対象の骨髄から循環中に放出される。
【0080】
いくつかの実施形態では、1またはそれを超える動員剤はサイトカインまたは成長因子を含む。
【0081】
したがって、対象から得られた流体試料を分析する方法であって、流体試料中の1またはそれを超える疾患細胞または疾患関連ポリヌクレオチドの存在または非存在を決定するステップを含み、対象は、1またはそれを超える疾患細胞または疾患関連ポリヌクレオチドの循環中への放出を動員するのに有効な量の動員剤が以前に投与されている、方法が本明細書に提供される。
【0082】
対象から得られた流体試料中の1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAを検出する方法であって、(a)1またはそれを超える疾患細胞または疾患関連ポリヌクレオチドの循環中への放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子を対象に投与するステップ;(b)サイトカインまたは成長因子を対象に投与した後に、対象から流体試料を得るステップ;および(c)流体試料中の放出された1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在または非存在を決定するステップを含む、方法も本明細書に提供される。
例示的な動員剤
【0083】
いくつかの実施形態では、1またはそれを超える動員剤はサイトカインまたは成長因子を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、サイトカインまたは成長因子はCXCR4アンタゴニストである。例示的なCXCR4アンタゴニストとしては、プレリキサフォル、TG-0054、AMD070、FC122、FC131が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なCXCR4アンタゴニストは、Debnathら、Small molecule inhibitors of CXCR4,Theranostics.2013;3(1):47-75(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0085】
好ましい実施形態では、CXCR4アンタゴニストはプレリキサフォルである。プレリキサフォルのIUPAC名は、1-{[4-(1,4,8,11-テトラザシクロテトラデカ-1-イルメチル)フェニル]メチル}-1,4,8,11-テトラザシクロテトラデカン)である。プレリキサフォルの化学構造を図1に示す。プレリキサフォルは、多発性骨髄腫および非ホジキンリンパ腫の治療のため収集および自己移植のためにHSCを循環に動員するために使用される、FDA承認された処置である。プレリキサフォルは、数時間以内にHSCを迅速に動員することが示されている。
【0086】
いくつかの実施形態では、プレリキサフォルを対象に皮下投与する。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルを対象に筋肉内投与する。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルを、対象に静脈内投与する。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルを吸入によって対象に投与する。好ましい実施形態では、プレリキサフォルを対象に皮下投与する。
【0087】
いくつかの実施形態では、プレリキサフォルを対象に1日1回投与する。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルを、1~10日間、1~8日間、1~6日間、または好ましくは1~4日間にわたって1日1回対象に投与する。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルを1日1回、1日間投与する。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルを1日1回、2日間、3日間または4日間投与する。
【0088】
いくつかの実施形態では、0.1~0.4mg/kgのプレリキサフォルを対象に投与する。いくつかの実施形態では、0.24mg/kgのプレリキサフォルを対象に投与する。いくつかの実施形態では、0.16mg/kgのプレリキサフォルを対象に投与する。例えば、対象が50ml/分未満の推定クレアチニンクリアランスを有する場合、対象に0.16mg/kgのプレリキサフォルを投与し得る。好ましくは、プレリキサフォルは皮下投与される。
【0089】
いくつかの実施形態では、20mgのプレリキサフォルが対象に投与される。いくつかの実施形態では、13mgのプレリキサフォルが対象に投与される。例えば、対象が50ml/分未満の推定クレアチニンクリアランスを有する場合、対象に13mgのプレリキサフォルを投与してもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、プレリキサフォルは、対象からの流体試料の収集の前48時間またはそれ未満に投与される。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルは、対象からの流体試料の収集の前36時間またはそれ未満に投与される。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルは、対象からの流体試料の収集の前24時間またはそれ未満に投与される。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルは、対象からの流体試料の収集の前20時間またはそれ未満に投与される。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルは、対象からの流体試料の収集の前16時間またはそれ未満に投与される。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルは、対象からの流体試料の収集の前12時間またはそれ未満に投与される。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルは、対象からの流体試料の収集の約11時間前に投与される。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルは、対象からの流体試料の収集の約6~48時間前に投与される。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルは、対象からの流体試料の収集の約8~24時間前に投与される。いくつかの実施形態では、プレリキサフォルは、対象からの流体試料の収集の約10~14時間前に投与される。
【0091】
いくつかの実施形態では、サイトカインまたは成長因子はG-CSFである。いくつかの実施形態では、1~30μg/kgのG-CSFを対象に投与する。いくつかの実施形態では、5~20μg/kgのG-CSFを対象に投与する。いくつかの実施形態では、約10マイクログラム/kgのG-CSFを対象に投与する。いくつかの実施形態では、約300μgが、70kgまたはそれ未満の体重の対象に投与される。いくつかの実施形態では、約480μgが、70kgを超える体重の対象に投与される。
【0092】
いくつかの実施形態では、G-CSFは、対象に1日1回投与される。いくつかの実施形態では、G-CSFを、1~10日間、1~8日間、1~6日間、または好ましくは1~4日間にわたって1日1回対象に投与する。いくつかの実施形態では、G-CSFを1日1回、1日間投与する。いくつかの実施形態では、G-CSFを1日1回、2日間、3日間または4日間投与する。
【0093】
特定の実施形態では、G-CSFおよびプレリキサフォルを対象に共投与する。いくつかの実施形態では、G-CSF投与が疾患細胞またはポリヌクレオチドに対するプレリキサフォルの動員効果をプライミングまたは増強するように、G-CSFをプレリキサフォルの投与前に対象に投与する。いくつかの実施形態では、G-CSFを、プレリキサフォル投与と同時に、またはプレリキサフォル投与後に対象に共投与する。
【0094】
G-CSFおよびプレリキサフォルの共投与のいくつかの実施形態では、G-CSFおよびプレリキサフォルを、1日1回、1日間対象に共投与する。別の例示的な実施形態では、G-CSFおよびプレリキサフォルを、1日1回、2日間対象に共投与する。特定の実施形態では、約5~20μg/kgのG-CSFおよび約0.1~0.4mg/kgのプレリキサフォルを対象に共投与する。特定の実施形態では、約および約10マイクログラム/kgのG-CSFおよび約0.24mg/kgのプレリキサフォルを対象に共投与する。特定の実施形態では、約10マイクログラム/kgのG-CSFおよび約0.16mg/kgのプレリキサフォルを対象に共投与する。
【0095】
G-CSFおよびプレリキサフォル投与の例示的な実施形態では、G-CSFを、5~20μg/kgの用量で1~4日間、必要に応じて最も近いバイアルサイズに四捨五入して、1日1回対象に投与する。特定の実施形態では、10マイクログラム/kgのG-CSFを対象に1日1回、1~4日間投与する。対象体が1~4日間にわたって1日1回G-CSFを受けたら、プレリキサフォル投与を開始する。プレリキサフォルを1日1回、1~4日間投与する。対象の流体試料を、最後のプレリキサフォル投与の48時間以内、例えば最後のプレリキサフォル投与の約11時間後に収集する。
【0096】
G-CSFおよびプレリキサフォルの共投与の例示的な実施形態では、G-CSFを対象に1日1回、1日間投与し、続いて翌日プレリキサフォル投与を開始する。G-CSFおよびプレリキサフォルの共投与の例示的な実施形態では、G-CSFを対象に1日1回、2日間投与し、続いて翌日プレリキサフォル投与を開始する。G-CSFおよびプレリキサフォルの共投与の例示的な実施形態では、G-CSFを対象に1日1回、3日間投与し、続いて翌日プレリキサフォル投与を開始する。G-CSFおよびプレリキサフォルの共投与の例示的な実施形態では、G-CSFを対象に1日1回、4日間投与し、続いて翌日プレリキサフォル投与を開始する。
【0097】
いくつかの実施形態では、サイトカインまたは成長因子はGM-CSFである。いくつかの実施形態では、1~30μg/kgのGM-CSFを対象に投与する。いくつかの実施形態では、5~20μg/kgのGM-CSFを対象に投与する。いくつかの実施形態では、約10マイクログラム/kgのGM-CSFを対象に投与する。いくつかの実施形態では、約300μgが、70kgまたはそれ未満の体重の対象に投与される。いくつかの実施形態では、約480μgが、70kgを超える体重の対象に投与される。
【0098】
いくつかの実施形態では、GM-CSFは、対象に1日1回投与される。いくつかの実施形態では、GM-CSFを、1~10日間、1~8日間、1~6日間、または好ましくは1~4日間にわたって1日1回対象に投与する。いくつかの実施形態では、GM-CSFを1日1回、1日間投与する。いくつかの実施形態では、GM-CSFを1日1回、2日間、3日間または4日間投与する。
【0099】
特定の実施形態では、GM-CSFおよびプレリキサフォルを対象に共投与する。いくつかの実施形態では、GM-CSF投与が疾患細胞またはポリヌクレオチドに対するプレリキサフォルの動員効果をプライミングまたは増強するように、GM-CSFをプレリキサフォルの投与前に対象に投与する。いくつかの実施形態では、GM-CSFを、プレリキサフォル投与と同時に、またはプレリキサフォル投与後に対象に共投与する。
【0100】
GM-CSFおよびプレリキサフォルの共投与のいくつかの実施形態では、GM-CSFおよびプレリキサフォルを、1日1回、1日間対象に共投与する。別の例示的な実施形態では、GM-CSFおよびプレリキサフォルを、1日1回、2日間対象に共投与する。特定の実施形態では、約5~20μg/kgのGM-CSFおよび約0.1~0.4mg/kgのプレリキサフォルを対象に共投与する。特定の実施形態では、約および約10マイクログラム/kgのGM-CSFおよび約0.24mg/kgのプレリキサフォルを対象に共投与する。特定の実施形態では、約10マイクログラム/kgのGM-CSFおよび約0.16mg/kgのプレリキサフォルを対象に共投与する。
【0101】
GM-CSFおよびプレリキサフォル投与の例示的な実施形態では、GM-CSFを、5~20μg/kgの用量で1~4日間、必要に応じて最も近いバイアルサイズに四捨五入して、1日1回対象に投与する。特定の実施形態では、10マイクログラム/kgのGM-CSFを対象に1日1回、1~4日間投与する。対象体が1~4日間にわたって1日1回GM-CSFを受けたら、プレリキサフォル投与を開始する。プレリキサフォルを1日1回、1~4日間投与する。対象の流体試料を、最後のプレリキサフォル投与の48時間以内、例えば最後のプレリキサフォル投与の約11時間後に収集する。
【0102】
GM-CSFおよびプレリキサフォルの共投与の例示的な実施形態では、GM-CSFを対象に1日1回、1日間投与し、続いて翌日プレリキサフォル投与を開始する。GM-CSFおよびプレリキサフォルの共投与の例示的な実施形態では、GM-CSFを対象に1日1回、2日間投与し、続いて翌日プレリキサフォル投与を開始する。GM-CSFおよびプレリキサフォルの共投与の例示的な実施形態では、GM-CSFを対象に1日1回、3日間投与し、続いて翌日プレリキサフォル投与を開始する。GM-CSFおよびプレリキサフォルの共投与の例示的な実施形態では、GM-CSFを対象に1日1回、4日間投与し、続いて翌日プレリキサフォル投与を開始する。
【0103】
いくつかの実施形態では、サイトカインまたは成長因子はSCFである。いくつかの実施形態では、SCFは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、Lapierre Vら、Ancestim(r-metHuSCF)plus filgrastim and/or chemotherapy for mobilization of blood progenitors in 513 poorly mobilizing cancer patients:the French compassionate experience,Bone Marrow Transplantation(2011)46:936-942に記載されているr-metHuSCFである。いくつかの実施形態では、約20μg/kgのr-metHuSCFを対象に毎日1~21日間投与する。いくつかの実施形態では、約20μg/kgのr-metHuSCFを対象に毎日1~10日間投与する。いくつかの実施形態では、約20μg/kgのr-metHuSCFを、1~4日間、1~3日間、1~2日間、または1日間にわたって毎日対象に投与する。いくつかの実施形態では、SCF治療の前に、対象を抗アレルギー薬、例えばラニチジンで前処置する。いくつかの実施形態では、約20μg/kgのr-metHuSCFをフィルグラスチムと共に対象に共投与する。r-metHuSCFとフィルグラスチムとの共投与のいくつかの実施形態では、約1~20μg/kgのフィルグラスチムを対象に投与する。r-metHuSCFとフィルグラスチムとの共投与のいくつかの実施形態では、約5~10μg/kgのフィルグラスチムを対象に投与する。
【0104】
いくつかの実施形態では、サイトカインまたは成長因子はIL-3である。いくつかの実施形態では、約5~10μg/kgのIL-3を対象に投与する。
【0105】
いくつかの実施形態では、サイトカインまたは成長因子はエリスロポエチンである。いくつかの実施形態では、約10,000~40,000Uのエリスロポエチンを対象に投与する。いくつかの実施形態では、エリスロポエチンはAranesp(登録商標)である。いくつかの実施形態では、約100~400μgのAranesp(登録商標)を対象に投与する。
【0106】
いくつかの実施形態では、サイトカインまたは成長因子は、KGF(ケラチノサイト成長因子、パリフェルミン)である。いくつかの実施形態では、パリフェルミンを、1日当たり10~100mcg/kgの用量で1~3日間投与する。
【0107】
疾患ががんであるいくつかの実施形態では、動員剤を抗がん治療薬と共投与する。当技術分野で公知の任意の抗がん治療薬を動員剤と共投与することができる。いくつかの実施形態では、抗がん治療薬は化学療法薬である。いくつかの実施形態では、1を超える抗がん治療薬の組み合わせを使用する。多くの化学療法剤が当技術分野で公知である。例示的な抗がん剤として、以下が挙げられるが、これらに限定されない:5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、アベマシクリブ、アビラテロン酢酸エステル、アカラブルチニブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、アファチニブジマレイン酸塩、アルデスロイキン、アレクチニブ、アレムツズマブ、アルペリシブ、アミフォスチン、アミノレブリン酸塩酸塩、アナストロゾール、アパルタミド、三酸化ヒ素、L-アスパラギナーゼ、アテゾリズマブ、アベルマブ、アキシチニブ、アザシチジン、ベリノスタット、塩酸ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビニメチニブ、硫酸ブレオマイシン、ブリナツモマブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブレントキシマブベドチン、ブリガチニブ、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ-S-マレート、カラスパルガーゼペゴル-mknl、カペシタビン、カプラシズマブ-yhdp、カルボプラチン、カーフィルゾミブ、カルムスチン、カルムスチンインプラント、セミプリマブ-rwlc、セリチニブ、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、コビメチニブ、コパンリシブ塩酸塩、コルチコステロイド、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シタラビン、ダブラフェニブメシル酸塩、ダカルバジン、ダコミチニブ、ダクチノマイシン、ダラツムマブ、ダロルタミド、ダサチニブ、ダウノルビシン塩酸塩、ダウノルビシン塩酸塩およびシタラビンリポソーム、デシタビン、デフィブロチドナトリウム、デガレリックス、デニロイキンディフティトックス、デノスマブ、デキサメタゾン、デクスラゾキサン塩酸塩、ジヌツキシマブ、ドセタキセル、ドキソルビシン塩酸塩、ドキソルビシン塩酸塩リポソーム、デュルバルマブ、デュベリシブ、エロツズマブ、エルトロンボパグ、オラミン、エマパルマブ-lzsg、エナシデンリブメシル酸塩、エンコラフェニブ、エントレクチニブ、エンザルタミド、エピルビシン塩酸塩、エルダフィチニブ、エリブリンメシル酸塩、エルロチニブ塩酸塩、エトポシド、エトポシドリン酸塩、エベロリムス、エクセメスタン、フェドラチニブ塩酸塩、フルダラビンリン酸塩、フルタミド、フォスタマチニブ2ナトリウム、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン塩酸塩、ゲムツズマブオゾガマイシン、ギルテリチニブフマル酸塩、マレイン酸グラスデジブ、グルカルピダーゼ、酢酸ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブチユキセタン、イブルチニブ、イダルビシン塩酸塩、イデラリシブ、イホスファミド、イマチニブメシル酸塩、イミキモド、イノツズマブオゾガマイシン、インターフェロンアルファ-2b、リコンビナント、イオベングアンI131、イピリムマブ、イリノテカン塩酸塩、イリノテカン塩酸塩リポソーム、イボシデニブ、イクサベピロン、イキサゾミブクエン酸エステル、ランレオチド酢酸塩、ラパチニブジトシル酸塩、ラロトレクチニブ硫酸塩、レナリドミド、レンバチニブメシル酸塩、レトロゾール、酢酸リュープロリド、ロムスチン、ロルラチニブ、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メトトレキサート、臭化メチルナルトレキソン、メチルプレドニゾロン、ミドスタウリン、ミトマイシンC、ミトキサントロン塩酸塩、モガムリズマブ-kpkc、モクセツモマブパスドトックス-tdfk、ネシツムマブ、ネララビン、ネラチニブマレイン酸塩、ネツピタントおよび塩酸パロノセトロン、ニロチニブ、ニルタミド、ニラパリブトシル酸塩一水和物、ニボルマブ、オビンツズマブ、オフェツマブ、オラパリブ、オマセタキシンメペスクシナート、オシメルチニブメシル酸塩、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、パルボシクリブ、パリフェルミン、パニツムマブ、パノビノスタット、塩酸パゾパニブ、ペガスパガーゼ、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド二ナトリウム、ペルツズマブ、ポラツズマブ・ベドチン-piiq、ポマリドマイド、ポナチニブ塩酸塩、プララトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジン塩酸塩、プロプラノロール塩酸塩、ラロキシフェン塩酸塩、ラムシルマブ、ラブリズマブ-cwvz、組み換えインターフェロンアルファ-2b、レゴラフェニブ、リボシクリブ、リツキシマブ、リツキシマブおよびヒアルロニダーゼヒト、ロラピタント塩酸塩、ロミデプシン、ロミプロスチム、ルカパリブカムシレート、ルキソリチニブリン酸塩、セリネクサー、シルトキシマブ、ソニデギブ、トシル酸ソラフェニブ、リンゴ酸スニチニブ、タグラクソファスプ-erzs、タラゾパリブトシル酸塩、クエン酸タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、サリドマイド、チオテパ、トシリズマブ、トポテカン塩酸塩、トレミフェン、トラベクテジン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トラスツズマブおよびヒアルロニダーゼ-oysk、トリフルリジンおよびティピラシル塩酸塩、ウリジン三酢酸塩、バルビシン、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ベネトクラックス、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸リポソーム、ビノレルビン酒石酸塩、ビスモデギブ、ボリノスタット、ザヌブルチニブ、ならびにジブ-アフリベルセプト。
【0108】
いくつかの実施形態では、抗がん治療薬は、治療用抗体、例えばモノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメントである。治療用抗体は、抗腫瘍抗原、例えば対象のがんタイプに関連する抗原または対象の腫瘍に関連する抗原に対して選択的であり得る。
【0109】
対象が残存病変を有すると疑われるが、従来の基準によって完全寛解状態にある特定の実施形態では、サイトカインまたは成長因子は、適切な用量の抗がん治療薬と共投与される。抗がん治療薬は、循環中に放出された任意のがん細胞を死滅または不活性化して、他の部位でのそれらの生着を防止し得る。医師は、不必要な副作用を最小限に抑えながら、放出されたがん細胞を不活性化するための適切な抗がん治療薬を決定し得る。医師は、不必要な副作用を最小限に抑えながら、彼または彼女が放出されたがん細胞を不活性化するために適切であると考える共投与する治療薬の投与計画を決定し得る。医師は、決定において、例えば、対象の病歴、疾患の種類(例えば、がんの種類)、対象の年齢、体重、性別、治療的介入に対する過去の応答等のいくつかの要因を考慮することができる。いくつかの実施形態では、約1μg~1gの抗がん治療薬がプレリキサフォルと共投与される。
例示的な疾患
【0110】
いくつかの実施形態では、疾患はがんである。本明細書に記載の1またはそれを超えるLBYE方法は、任意の種類のがんの予後診断または最小残存病変の検出に有用である。例示的ながんとして、副腎がん、肛門がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳または中枢神経系のがん、基底細胞性皮膚がん、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、胆嚢がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胃がん(gastric cancer)、神経膠腫、神経膠芽腫、頭頸部がん(頭頸部扁平上皮癌を含む)、ホジキン病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、カポジ肉腫、腎臓がん、喉頭および下咽頭がん、白血病(リンパ球性、骨髄性、両方または未分類の系統を伴う急性および慢性白血病を含む)、肝臓がん(肝細胞癌を含む)、リンパ腫、黒色腫(切除不能または転移性黒色腫を含む)、前立腺がん、肺がん(非小細胞肺がん、および転移性非小細胞肺がんを含む)、悪性中皮腫、メルケル細胞癌、転移性尿路上皮癌、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔および副鼻腔がん、上咽頭がん、神経内分泌がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、口腔および口腔咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、下垂体腫瘍、腎がん(腎細胞癌を含む)、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、扁平上皮がん、小腸がん、胃がん(stomach cancer)、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、子宮がん、または膣がんが挙げられる。
【0111】
いくつかの実施形態では、がんはCXCR4発現に関連する。CXCR4発現に関連する例示的ながんは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるZhao,Hongliら、’’CXCR4 over-expression and survival in cancer:a system review and meta-analysis.’’ Oncotarget vol.6,7(2015):5022-40に記載される。そのようながんとしては、血液悪性腫瘍、乳がん、結腸直腸がん、食道がん、頭頸部がん、腎臓がん、肺がん、婦人科がん、肝臓がん、前立腺がんおよび胆嚢がんが挙げられるが、これらに限定されない。血液悪性腫瘍としては、例えば、多発性骨髄腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、急性白血病、慢性白血病、および骨髄異形成症候群が挙げられる。
【0112】
特定の実施形態では、がんは多発性骨髄腫である。
例示的な流体試料および流体試料の処理
【0113】
いくつかの実施形態では、流体試料は全血試料である。いくつかの実施形態では、流体試料は血漿試料または血清試料である。いくつかの実施形態では、流体試料は、腹水、脳脊髄液、汗、尿、涙、唾液、胸水、心膜液、リンパ液、空洞リンス、または臓器リンス試料である。液体試料は、本質的に無細胞の液体試料(例えば、血漿、血清、汗、尿、涙等)であり得る。いくつかの実施形態では、液体試料は本質的に無細胞ではない。
【0114】
いくつかの実施形態では、全血試料が対象から得られる。全血試料を画分、例えば細胞画分および非細胞画分に分離してもよい。細胞画分は、1またはそれを超えるCTCの存在または非存在について評定され得る。非細胞画分(例えば、血漿または血清)をctDNAの存在または非存在について評定することができる。
【0115】
例示的な実施形態では、Ficoll試薬(例えば、Ficoll-Paque PLUS、GE Healthcare)を使用して全血試料を画分に分離する。いくつかの実施形態では、フィコールと組み合わせた血液試料を密度ベースの遠心分離に供し、その結果、成分を4つの別個の層:(1)赤血球層、(2)フィコール層、(3)白血球および他の有核細胞(例えばCTC)を含有する単核層、および(4)血漿層に分割する。
【0116】
いくつかの実施形態では、CTCを濃縮するために、血液試料または全血試料の細胞画分に対して1またはそれを超える濃縮工程が行われる。当業者は、血中に見られる他の細胞からCTCを分離することによってCTCを濃縮するものを含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意のCTC濃縮プロセスを利用することができる。CTCは、例えば、サイズ、密度、電荷、および変形能等の物理的特性によって他の細胞から分離され得る。CTCは、生物学的特性によって、例えば、バイオマーカープロファイルに基づく陽性または陰性の選択によって、他の細胞から分離され得る。バイオマーカー検出試薬、例えば抗体は、対象の腫瘍タイプおよび腫瘍プロファイルに基づいて選択され得る。CTC濃縮のための例示的な方法は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるHarouaka,Ramdane Aら、’’Circulating tumor cell enrichment based on physical properties.’’ Journal of laboratory automation vol.18,6(2013):455-68.doi:10.1177/2211068213494391に記載される。
【0117】
CTC濃縮のための例示的なシステムとしては、EasySep(商標)Direct Human CTC Enrichment(StemCell Technologies)およびCellSearch(登録商標)(Veridex,LLC、米国ニュージャージー州ラリタン)が挙げられる。
疾患細胞または疾患関連ポリヌクレオチドの検出/分析
【0118】
流体試料中の疾患細胞の存在または非存在は、当技術分野で公知の任意の手段によって決定され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、流体試料中の疾患細胞は循環腫瘍細胞(CTC)である。CTCは、本明細書に開示されるがんのいずれか1つに由来し得る。いくつかの実施形態では、CTCはCXCR4発現に関連するがんに由来する。いくつかの実施形態では、CTCは血液悪性腫瘍に由来する。特定の実施形態では、CTCは多発性骨髄腫に由来する。例示的ながん、CXCR4発現に関連するがん、および血液悪性腫瘍が本明細書に開示される。
【0120】
特定の実施形態では、CTCは、腫瘍に特異的な1またはそれを超えるバイオマーカーを使用して検出される。
【0121】
がんが多発性骨髄腫である特定の実施形態では、1またはそれを超えるバイオマーカーは、CD138、CD38、CD45、CD56、CD19、細胞質κおよびλ免疫グロブリン軽鎖、CD20、CD27、CD28、CD81、CD117、CD200、CD54、CD229、CD319、ならびにVS38cから選択される。がんが多発性骨髄腫である特定の実施形態では、1またはそれを超えるバイオマーカーは、CD138、CD38、CD45、CD56、CD19、ならびに細胞質κおよびλ免疫グロブリン軽鎖から選択される。がんが多発性骨髄腫である特定の実施形態では、1またはそれを超えるバイオマーカーは、CD19、CD45、CD56、CD81、CD27、CD117、ならびに細胞質κおよびλ免疫グロブリン軽鎖から選択される。1またはそれを超えるバイオマーカーは、陽性マーカーまたは陰性マーカーであり得る。がんが多発性骨髄腫であるいくつかの実施形態では、CTCは、1またはそれを超えるバイオマーカーについてマルチパラメトリックフローサイトメトリーを使用して検出される。いくつかの実施形態では、マルチパラメトリックフローサイトメトリーは、CD138、CD38、CD45、CD56、CD19、細胞質κおよびλ免疫グロブリン軽鎖、CD20、CD27、CD28、CD81、CD117、CD200、CD54、CD229、CD319、ならびにVS38cのいずれか1またはそれを超えるものについてゲーティングすることを含む。特定の実施形態では、マルチパラメトリックフローサイトメトリーは、CD138、CD38、CD45、CD56、CD19、ならびに細胞質κおよびλ免疫グロブリン軽鎖のいずれか1またはそれを超えるものについてゲーティングすることを含む。他の特定の実施形態では、マルチパラメトリックフローサイトメトリーは、CD19、CD45、CD56、CD81、CD27、CD117、ならびに細胞質κおよびλ免疫グロブリン軽鎖についてゲーティングすることを含む。好ましい実施形態では、マルチパラメトリックフローサイトメトリーは、CD138のゲーティングを含む。対象がCD38またはCD138に対するモノクローナル抗体を含む抗がん治療で以前に処置されたことがあるいくつかの実施形態では、マルチパラメトリックフローサイトメトリーは、CD54、CD229、CD319、およびVS38cのいずれか1またはそれを超えるものについてゲーティングすることを含む。多発性骨髄腫を検出するためのマルチパラメトリックフローサイトメトリー法が本明細書に記載されており、以下の参考文献に記載されている:Kumar Sら、International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal residual disease assessment in multiple myeloma.Lancet Oncol 2016;17:e328-46;国際公開第2017198879号A1;Flores-Montero J,Sanoja-Flores L,Paiva Bら、Next generation flow for highly sensitive and standardized detection of minimal residual disease in multiple myeloma.Leukemia 2017;31:2094-2103;Mishima Yら、The Mutational Landscape of Circulating Tumor Cells in Multiple Myeloma,Cell Rep.2017 April 04;19(1):218-224.doi:10.1016/j.celrep.2017.03.025;米国特許出願公開第20180140664号A1(これらの各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0122】
がんが多発性骨髄腫である特定の実施形態では、ASO-qPCRを使用して、流体試料中の多発性骨髄腫CTCの存在または非存在を検出してもよい。例示的なASO-qPCR技術は、Kumar Sら、International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal residual disease assessment in multiple myeloma.Lancet Oncol 2016;17:e 328-46(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0123】
いくつかの実施形態では、流体試料からのCTCは、シーケンシング、例えば単一細胞シーケンシングによって分析される。シーケンシングは、全エクソームシーケンシング、全ゲノムシーケンシング、がん遺伝子のパネルの標的シーケンシング、または単一がん遺伝子の標的シーケンシングを含み得る。シーケンシングは、例えば本明細書に記載されるように、次世代シーケンシングを含み得る。シーケンシングは、ディープシーケンシング、例えばVDJ領域のディープシーケンシングを含み得る。
【0124】
がんがリンパ腫である特定の実施形態では、1またはそれを超えるバイオマーカーは、CD4、CD5、CD8、CD10、CD19、CD20、CD22、CD23、CD30、CD38、ならびに表面κおよびλ免疫グロブリン軽鎖から選択される。
【0125】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは抗体染色によって検出される。特定の実施形態では、バイオマーカーについて陽性である細胞は、フローサイトメトリーによって検出される。
【0126】
流体試料中の疾患循環核酸の存在または非存在は、当技術分野で公知の任意の手段によって決定することができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、無細胞または循環核酸は、流体試料、例えば無細胞流体試料から単離され得る。核酸は、当技術分野で公知の任意の手段を使用して試料から単離することができる。例えば、核酸は、液体抽出(例えば、Trizol、DNAzol)技術を使用して試料から抽出することができる。核酸は、市販のキット(例えば、Qiagen DNeasyキット、QIAampキット、Qiagen Midiキット、QIAprepスピンキット)を用いて抽出することもできる。
【0128】
核酸は、単なる例として、遠心分離を含む公知の方法によって濃縮することができる。核酸を、精製の目的で選択膜(例えばシリカ)に結合させることができる。核酸を、所望の長さの断片、例えば1000、500、400、300、200または100塩基対未満の長さの断片について濃縮することもできる。サイズに基づくそのような濃縮は、例えば、PEG誘導沈殿、電気泳動ゲルまたはクロマトグラフィー材料(Huberら、(1993)Nucleic Acids Res.21:1061-6)、ゲル濾過クロマトグラフィー、TSKゲル(Katoら、(1984)J.Biochem,95:83-86)を使用して行うことができ、これらの刊行物は参照により本明細書に組み込まれる。
【0129】
生物学的試料から抽出されたポリヌクレオチドを、当技術分野で公知の任意の方法を使用して選択的に沈殿または濃縮することができる。
【0130】
核酸試料を、標的ポリヌクレオチドについて濃縮することができる。標的濃縮は、当技術分野で公知の任意の手段によって行うことができる。例えば、核酸試料を、標的特異的プライマーを使用して標的配列を増幅することによって濃縮してもよい。標的増幅は、当技術分野で公知の任意の方法またはシステムを使用して、デジタルPCR形式で行うことができる。核酸試料を、アレイ上に固定化された標的選択的オリゴヌクレオチドに標的配列を捕捉することによって濃縮され得る。核酸試料は、溶液中または固体支持体上に遊離した標的選択的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることによって濃縮され得る。オリゴヌクレオチドは、捕捉試薬による捕捉を可能にする捕捉部分を含み得る。捕捉部分/捕捉試薬対は当技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、捕捉試薬はアビジン、ストレプトアビジン、またはニュートラアビジンであり、捕捉部分はビオチンである。別の実施形態では、捕捉部分/捕捉試薬対はジゴキシゲニン/小麦胚芽凝集素である。
【0131】
いくつかの実施形態では、核酸試料は、標的ポリヌクレオチドについて濃縮されておらず、例えば、全ゲノムを表す。
【0132】
いくつかの実施形態では、流体試料からの疾患循環ポリヌクレオチドは、疾患に関連する1またはそれを超える遺伝的異常の存在または非存在によって検出される。例えば、ctDNA(循環腫瘍DNA)は、1またはそれを超えるがん関連遺伝子異常の存在または非存在に基づいて検出され得る。多くのタイプの遺伝子異常が当技術分野で公知であり、染色体への突然変異および/または遺伝子配列への突然変異を含み得る。多くの種類の染色体異常が当技術分野で公知であり、構造異常(例えば、転座、逆位または挿入)または非定型数の染色体(例えば、欠失または重複等のコピー数多型)を含み得る。
【0133】
多発性骨髄腫の場合、疾患循環ポリヌクレオチドは、KRAS、NRAS、TP53、DIS3、FAM46C、BRAF、TRAF3、PRDM1、CYLD、RB1、ACTG1、IRF4、IDH1、INTS12、SP140、LTB、MAX、HIST1H1E、EGR1、FGFR3、FNDC3A、TNKS、BCL7A、RPL10、GCET2、RASA2、PLA2G2D、C9orf80、HIST1H3G、CDKN1B、RNF151、C17orf77、FAM153B、SLC24A1、OR1L8、USP50、CXCR4、KRTDAP、FBXO36、ROBO1、TGDS、SNX7、MPEG1、DHX32、RYR2、NFKBIA、FSIP2、SI、NECAB3、COASY、EIF4G2、ZFHX4、CCND1、LRRCl6A、YTHDF2、PHOX2B、C15orf59、MOGAT3、EXOG GRIA2、C4orf43、CCDC144NL、CKM、OR1N2、PRIM2、OR1S2、NDUFAF3、C20orf112、HIST1H3H、およびPNRClから選択される1またはそれを超える遺伝子における1またはそれを超える突然変異を含み得る。いくつかの場合、遺伝的異常は、1またはそれを超えるKRAS(p.G12D)、KRAS(p.Q61H)、NRAS(p.G12D)、BRAF(p.G469R)、IRF4(p.L116R)、SLC24A1(p.R686G)、MPEG1(p.G537E)、およびRYR2(p.I784V)である。多発性骨髄腫に関連するそのような遺伝子異常は、米国特許出願公開第2018/0305766号A1に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
いくつかの実施形態では、流体試料からの疾患循環ポリヌクレオチドは次世代シーケンシングによって検出される。次世代シーケンシングは、免疫グロブリン遺伝子セグメントのシーケンシングを含み得る。例示的な次世代シーケンシング技術は、Kumar Sら、International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal residual disease assessment in multiple myeloma.Lancet Oncol 2016;17:e 328-46(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
キット
【0135】
本明細書に開示される動員剤の薬学的に許容され得る剤形および使用説明書を含むキットも本明細書で提供される。
【0136】
いくつかの実施形態では、そのようなキットは、バイアル、チューブ等の1またはそれを超える容器を受け入れるように区画化されたキャリア、パッケージまたは容器を含み、容器(複数可)の各々は、上記方法で使用される別個の要素の1つを含む。キットは、上記の容器と、緩衝液、希釈剤、フィルター、および使用のための指示書を含む添付文書を含む、商業的エンドユーザの観点から望ましい材料を含む1またはそれを超える他の容器とを含むことができる。さらに、組成物が特定の療法用途に使用されることを示すために容器にラベルを提供することができ、また、上記のようなin vivoまたはin vitro使用のいずれかのための指示を示すこともできる。指示およびまたは他の情報も、キットに含まれる添付文書に含めることができる。
非一時的コンピュータ可読媒体
【0137】
本明細書では、本明細書に記載の方法のいずれかを実施するように構成されたコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータ可読媒体も提供される。様々な実施形態では、コンピュータ可読媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体である。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、コンピュータシステム(例えば、コンピュータシステムのメモリ)の一部である。コンピュータ可読媒体は、例えば、対象のMRD決定、予後診断、本明細書に開示される方法によって得られた1またはそれを超える疾患細胞または疾患ポリヌクレオチドの遺伝的プロファイルの報告を生成し、必要に応じて、ネットワークを介して報告を送信するためのコンピュータ実行可能命令を含むことができる。
【0138】
本明細書では、本明細書に開示されるコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータシステムも提供される。
システム
【0139】
液体生検収率の向上(LBYE)のためのシステムも本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、システムは、本明細書に開示される動員剤(例えば、対象への投与のためのプレリキサフォルの1またはそれを超える剤形)の1またはそれを超える薬学的に許容され得る剤形を含む。システムは、それを必要とする対象(例えば、流体収集管および必要に応じて流体試料の安定性を高めるための試薬)から流体試料を得るための試薬、デバイス、および/またはキットをさらに含み得る。システムは、疾患細胞または疾患ポリヌクレオチド(例えば、マルチパラメトリックフローサイトメトリー分析、シーケンサー等の1またはそれを超える試薬、デバイスおよび/または装置)を分析するための1またはそれを超える試薬、デバイス、および/または装置をさらに含み得る。
MRD検出のための方法
【0140】
本明細書に記載の方法を、対象におけるMRD検出に使用することができる。そのような方法は、疾患細胞(例えば、腫瘍細胞)および/または疾患細胞からの残屑(例えば、ctDNA)の動員が疾患細胞および/またはポリヌクレオチドの収量を増強し、したがってアッセイの感度を向上させ、偽陰性を減少させることから、MRDの検出に特に有利である。したがって、いくつかの実施形態では、流体試料中の腫瘍細胞またはctDNAの検出された存在は、対象のMRDを示す。同様に、流体試料中の腫瘍細胞またはctDNAの検出された非存在は、対象における真のMRDの非存在を示す。いくつかの実施形態では、上記方法は、MRDが検出された場合、対象にがん治療薬を投与することをさらに含む。
【0141】
したがって、MRDの存在または非存在の検出を必要とする対象においてMRDの存在または非存在を検出する方法であって、対象から得られた流体試料を分析すること、または対象から得られた流体試料中の1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAを本明細書に記載の方法に従って検出することを含み、(i)流体試料中の1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの存在が、対象におけるMRDの存在を示し、(ii)流体試料中の1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの非存在が、対象におけるMRDの非存在を示す方法が本明細書で提供される。
【0142】
MRD検出方法のいくつかの実施形態では、動員剤の投与、その後の流体試料収集、および流体試料の分析は、臨床医によってがんから対象が寛解していると決定されるか、または完全な寛解が考えられる場合に行われる。MRD検出方法のいくつかの実施形態では、動員剤の投与、その後の流体試料の収集、および流体試料の分析は、対象が一連の疾患治療、例えば一連の抗がん治療を終了した後に行われる。MRD検出方法のいくつかの実施形態では、動員剤の投与、その後の流体試料の収集、および流体試料の分析は、対象のがんが従来の手段によって検出不能になった後に行われる。いくつかの実施形態では、動員剤の投与、その後の流体試料収集、および流体試料の分析は、対象が顕微鏡検査、腫瘍マーカーの測定、標準的なフローサイトメトリー、生検、画像検査(例えば、X線、CTスキャン、放射性核種スキャン、PETスキャン、MRIスキャン)等の従来の手段によってがんを検出不能にするのに十分な抗がん治療を完了した後に行われる。従来の手段は、例えば、医用画像、(本明細書に記載の1またはそれを超える動員剤の使用による)増強を伴わない液体生検、および固形組織生検等の当技術分野で公知の手段を含み得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるLBYE方法に従って得られた流体試料中の疾患細胞または疾患ポリヌクレオチドの存在は、対象がMRDを有することを示す。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるLBYE方法に従って得られた流体試料中に疾患細胞または疾患ポリヌクレオチドが存在しないことは、対象におけるMRDの欠如を示し、対象が完全寛解状態にあるというより正確な指標を提供する。流体試料中の疾患細胞の存在または非存在を検出する方法は、上に開示される。流体試料中の疾患ポリヌクレオチドの存在または非存在を検出するための方法は上に開示される。
【0144】
いくつかの実施形態では、1またはそれを超える動員剤の投与、その後の流体試料の収集、および流体試料の分析は、1回行われる。いくつかの実施形態では、1またはそれを超える動員剤の投与、その後の流体試料の収集、および流体試料の分析は、複数回(すなわち、少なくとも2回)行われる。例えば、最初のLBYE法が対象においてMRDの存在を検出する場合、対象には追加の一連の抗がん治療を投与することができ、対象が追加の一連の療法を終了した後にMRDの検出のためにLBYE法が行われ得る。他の例では、最初のLBYE法がMRDの非存在を検出した場合、MRDの回復または再燃について対象をモニターするために、LBYE法を1またはそれを超えて連続して実施することができる。最初のLBYE試験がMRDの非存在を検出するいくつかの実施形態では、維持療法が対象に投与され得る。維持療法は、一般に、治療的抗がんレジメンによって達成された対象に対する治療利益、例えば、(1)がん細胞の数の増加を阻害すること、(2)腫瘍サイズの増大を阻害すること、(3)末梢臓器へのがん細胞浸潤を阻害すること、(4)腫瘍転移を阻害すること、(5)障害に関連する1またはそれを超える症状をある程度緩和または軽減すること、および/または(6)がんの再発または再燃を阻害すること、を維持するのに有効な量の抗がん剤の投与を含む。いくつかの実施形態では、維持療法は、より低い投与スキームでの治療的抗がんレジメンの投与を含む。最初のLBYE法がMRDについて陰性であったいくつかの実施形態では、対象の疾患治療は終了する。最初のLBYE試験がMRDの存在を検出するいくつかの実施形態では、維持療法または標準治療が対象に投与される。いくつかの実施形態では、LBYE法は、MRDの復活または再燃をモニターするために一定の間隔で繰り返される。いくつかの実施形態では、LBYE法は、約1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、6ヶ月に1回、1年に1回の頻度で行われる。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかによる対象のMRD状態の決定の報告が、ネットワークを介して送信される。
完全寛解の決定
【0146】
本明細書中に開示されるMRD検出方法は、特定の実施形態では、例えば、対象が完全寛解であると決定された場合、または完全寛解が考えられる場合のMRDの検出等において特に有用である。したがって、いくつかの実施形態では、動員剤の投与、その後の流体試料収集、および流体試料の分析は、対象が多発性骨髄腫からの寛解状態にあると決定されるかまたは寛解状態が考えられる場合に行われる。
【0147】
いくつかの実施形態では、対象は、対象が一連の抗がん治療を完了したときに、寛解状態にあると決定されるか、または寛解が考えられる。例えば、対象は、対象が自己幹細胞移植(ASCT)を受けたときに寛解状態にあると予想され得る。いくつかの実施形態では、対象は、ASCTを受けた1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、または3ヶ月超後に寛解状態にあると予想される。いくつかの実施形態では、対象は、ASCTを受けた約100日後に寛解状態にあると考えられる。
【0148】
いくつかの実施形態では、動員剤の投与、その後の流体試料収集、および流体試料の分析は、従来の基準に従って対象が多発性骨髄腫からの寛解状態にあると決定または寛解状態が考えられる場合に行われる。
【0149】
当業者、例えば臨床医は、当技術分野で公知の任意の従来の基準に従って、骨髄腫を有する対象が寛解状態にあると予想されるかどうかを決定し得る。骨髄腫を有する対象が寛解状態にあると予想されるかどうかを決定するための従来の基準の例示的な実施形態は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるKumarら(Lancet Oncology)に記載される。いくつかの実施形態では、骨髄腫を有する対象は、以下の条件(1)~(6)が全て満たされる場合、従来の基準に従って寛解状態にあると決定されるか、または寛解状態にあると予想される:(1)骨髄において異常な(クローン性の)形質細胞がないこと、(2)免疫固定電気泳動において血液および/または尿から元の疾患特異的モノクローナルタンパク質が消失していること、(3)全ての形質細胞腫(腫瘍)が消失していること、(4)1またはそれを超える画像化調査(X線、CTスキャン、MRIスキャン、PETスキャン)において新たな骨病変がないこと、(5)関与する(疾患特異的な)無血清軽鎖レベルの不均衡な上昇がないこと、および(6)血清において一致した異常な遊離軽鎖比がないこと。例えば、いくつかの実施形態では、免疫固定電気泳動での血液および/または尿からの元の疾患特異的モノクローナルタンパク質の消失は、従来の基準による寛解と定義することができる。いくつかの実施形態では、骨髄腫を有する対象は、条件(1)~(6)のうちの最初の2つが満たされたとき、従来の基準に従って寛解状態にあると決定されるか、または寛解状態にあると予想される。いくつかの実施形態では、骨髄腫を有する対象は、条件(1)~(6)のうちの最初の3つが満たされたとき、従来の基準に従って寛解状態にあると決定されるか、または寛解状態にあると予想される。いくつかの実施形態では、骨髄腫を有する対象は、条件(1)~(6)のうちの最初の4つが満たされたとき、従来の基準に従って寛解状態にあると決定されるか、または寛解状態にあると予想される。いくつかの実施形態では、骨髄腫を有する対象は、条件(1)~(6)のうちの最初の5つが満たされたとき、従来の基準に従って寛解状態にあると決定されるか、または寛解状態にあると予想される。単なる例として、骨髄腫を有する対象は、条件(2)~(6)が満たされたとき、従来の基準に従って寛解状態にあると決定されるか、または寛解状態にあると予想される。いくつかの実施形態では、骨髄腫を有する対象は、第2の条件(1)~(6)が満たされたとき(「血清学的CR」)、従来の基準に従って寛解状態にあると決定されるか、または寛解状態にあると予想される。上記の例では、LBYE法が対象の流体試料中にCTCまたはctDNAを検出しない場合、対象が完全寛解していることを確認することができる。骨髄腫において少数の悪性細胞集団(通常、治療で排除するのが最も困難なもの)は、パラプロテイン(血液中で容易に検出可能な異常タンパク質)を分泌しないことが知られている。LBYEは、この状況でMRDを同定するために特に重要であり、骨髄腫におけるCRの現在の定義を変える可能性がある。
【0150】
骨病変は、当技術分野で公知の任意の方法に従って、医用画像によって検出可能であり得る。医用画像は、骨格X線撮影(例えば、X線)、CT(低線量全身CTを含む)、MRI、18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)PET、およびCTを伴うFDG-PET(PET-CT)を含み得る。いくつかの実施形態では、骨病変は、CT(低線量全身CTを含む)またはPET-CTで見られる溶骨性骨破壊(5mm以上のサイズ)の1またはそれを超える部位の存在によって診断される。そのような基準は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるRajkumar Sらに記載されている。
【0151】
血清遊離軽鎖レベルおよび比率は、当技術分野で公知の任意の方法に従って決定され得る。遊離軽鎖(FLC)アッセイは、血清中の遊離κおよびλ軽免疫グロブリン鎖(免疫グロブリン重鎖に結合していない)の比率を測定する。FLC-κ/λの通常の比は、0.26~1.65である。正常範囲外の比、例えば約100の比は、多発性骨髄腫を示すために使用される。そのようなアッセイは、Rajkumar Sら、International Myeloma Working Group updated criteria for the diagnosis of multiple myeloma.Lancet Oncol.2014 Nov;15(12):e538-48.doi:10.1016/S1470-2045(14)70442-5(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0152】
対象の骨髄試料中の異常な(クローン)形質細胞は、当技術分野で公知の任意の方法に従って検出することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、骨髄の異常な形質細胞が、CD138抗体による免疫組織化学的染色を伴うコア骨髄生検によって検出される。いくつかの実施形態では、骨髄の異常な形質細胞が、骨髄穿刺液スメアで細胞を数えることによって検出される。
【0154】
いくつかの実施形態では、骨髄の異常な形質細胞が、対象の骨髄試料のフローサイトメトリーによって検出される。いくつかの実施形態では、骨髄試料中の多発性骨髄腫細胞がフローサイトメトリーによって検出される。フローサイトメトリーは、マルチパラメトリックフローサイトメトリーを含み得る。そのような技術は、多発性骨髄腫形質細胞を非疾患形質細胞と区別するために使用することができる。例示的なマルチパラメータ(multiparameteric)フローサイトメトリー技術は、Kumar Sら、International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal residual disease assessment in multiple myeloma.Lancet Oncol 2016;17:e 328-46(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。いくつかの実施形態では、マルチパラメトリックフローサイトメトリーは、CD138、CD38、CD45、CD56、CD19、細胞質κおよびλ免疫グロブリン軽鎖、CD20、CD27、CD28、CD81、CD117、CD200、CD54、CD229、CD319、ならびにVS38cのいずれか1またはそれを超えるものについてゲーティングすることを含む。特定の実施形態では、マルチパラメトリックフローサイトメトリーは、CD138、CD38、CD45、CD56、CD19、ならびに細胞質κおよびλ免疫グロブリン軽鎖のいずれか1またはそれを超えるものについてゲーティングすることを含む。他の特定の実施形態では、マルチパラメトリックフローサイトメトリーは、CD19、CD45、CD56、CD81、CD27、CD117、ならびに細胞質κおよびλ免疫グロブリン軽鎖についてゲーティングすることを含む。好ましい実施形態では、マルチパラメトリックフローサイトメトリーは、CD138のゲーティングを含む。対象がCD38またはCD138に対するモノクローナル抗体を含む抗がん治療で以前に処置されたことがあるいくつかの実施形態では、マルチパラメトリックフローサイトメトリーは、CD54、CD229、CD319、およびVS38cのいずれか1またはそれを超えるものについてゲーティングすることを含む。例示的なマルチパラメータフローサイトメトリー技術は、Kumar Sら、International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal residual disease assessment in multiple myeloma.Lancet Oncol 2016;17:e328-46(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、国際公開第2017198879号A1(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。骨髄試料中の多発性骨髄腫MRDを検出するための他の例示的なマルチパラメトリックフローサイトメトリー法は、Flores-Montero J,Sanoja-Flores L,Paiva Bら、Next generation flow for highly sensitive and standardized detection of minimal residual disease in multiple myeloma.Leukemia 2017;31:2094-2103;Mishima Yら、The Mutational Landscape of Circulating Tumor Cells in Multiple Myeloma,Cell Rep.2017 April 04;19(1):218-224.doi:10.1016/j.celrep.2017.03.025;および米国特許出願公開第20180140664号A1(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0155】
いくつかの実施形態では、寛解の決定は、骨髄試料における多発性骨髄腫細胞の存在または非存在を検出するためのASO-qPCRの使用を含む。例示的なASO-qPCR技術は、Kumar Sら、International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal residual disease assessment in multiple myeloma.Lancet Oncol 2016;17:e 328-46(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0156】
いくつかの実施形態では、寛解の決定は、骨髄試料における多発性骨髄腫細胞の存在または非存在を検出するための次世代シーケンシングの使用を含む。次世代シーケンシングは、免疫グロブリン遺伝子セグメントのシーケンシングを含み得る。例示的な次世代シーケンシング技術は、Kumar Sら、International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal residual disease assessment in multiple myeloma.Lancet Oncol 2016;17:e 328-46(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0157】
対象が多発性骨髄腫から完全寛解しているかどうかを決定するときに考慮され得る追加の従来の因子としては、高カルシウム血症の評定、腎機能不全の評定、および貧血の評定が挙げられる。そのような基準は、Rajkumar Sら、International Myeloma Working Group updated criteria for the diagnosis of multiple myeloma.Lancet Oncol.2014 Nov;15(12):e538-48.doi:10.1016/S1470-2045(14)70442-5(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。
疾患の予後診断のための方法
【0158】
本明細書に記載の方法はまた、疾患予後診断を必要とする対象の疾患予後診断に有用である。予後診断には、対象の疾患の転帰の予測、疾患からの回復の可能性、一連の治療に対する応答、または疾患の進行の追跡が含まれ得る。予後診断はまた、例えば、対象の疾患細胞または疾患ポリヌクレオチドの遺伝的プロファイルに基づいて、対象の治療の経過を決定することを含み得る。
【0159】
したがって、本明細書で提供されるいくつかの態様では、予後診断を必要とする対象を予後診断する方法であって、対象から得られた流体試料から得られた1またはそれを超える疾患細胞または疾患循環ポリヌクレオチドを遺伝子プロファイリングすることを含み、対象には、1またはそれを超える疾患細胞または疾患循環ポリヌクレオチドの循環中への放出を刺激するのに有効な量の本明細書に開示される動員剤が以前に投与されており、遺伝子プロファイルは対象の予後診断に使用される方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、動員剤の対象への投与、対象からの流体試料の収集、および流体試料中に放出された疾患細胞または疾患ポリヌクレオチドの遺伝子プロファイリングを含む。
【0160】
本明細書に開示される予後診断方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象が疾患を有すると決定される。いくつかの実施形態では、対象は、がんを有すると決定される。いくつかの実施形態では、対象は寛解状態にないと決定されるか、または活動性疾患を抱えている疑いがある。
【0161】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかによる対象の予後の決定の報告が、ネットワークを介して送信される。
疾患検出のための方法
【0162】
本明細書に記載の方法はまた、疾患検出を必要とする対象における疾患検出にも有用である。例えば、本明細書に記載の方法は、疾患が他の従来の手段によって検出可能である場合の前に、疾患の非常に初期段階で対象の疾患を検出するのに有用である。
【0163】
したがって、対象から得られた流体試料中の1またはそれを超える疾患細胞または疾患関連ポリヌクレオチドを検出することを含む、対象における疾患を検出する方法であって、対象には、1またはそれを超える疾患細胞または疾患関連ポリヌクレオチドの循環中への放出を刺激するのに有効な量のサイトカインまたは成長因子が以前に投与されており、1またはそれを超える疾患細胞または疾患関連ポリヌクレオチドの検出は、対象における疾患を示す、方法が本明細書で提供される。
【0164】
いくつかの実施形態では、疾患はがんである。
【0165】
いくつかの実施形態では、疾患細胞は腫瘍細胞を含む。いくつかの実施形態では、疾患関連ポリヌクレオチドは腫瘍関連ポリヌクレオチド、例えば腫瘍DNAである。
処置の方法
【0166】
いくつかの態様では、処置の方法が本明細書で提供される。処置の方法は、がんを処置する方法を含み得る。いくつかの実施形態では、がんを処置する方法は、本明細書に開示される動員剤を対象の循環中への1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAの放出を刺激するのに有効な量で投与した後、対象から得られた流体試料中に1またはそれを超える腫瘍細胞または腫瘍DNAが検出された場合、少なくとも1つのがん治療薬を対象に投与することを含む。例示的な抗がん治療薬(がん治療薬)を本明細書に開示する。いくつかの実施形態では、抗がん治療薬は、HSC移植を含む。いくつかの実施形態では、抗がん治療薬は、自己HSC移植を含む。特定の実施形態では、抗がん治療薬は、自家HSC移植を含まない。いくつかの実施形態では、抗がん治療薬は、同種HSC移植を含む。いくつかの実施形態では、抗がん介入は免疫療法(限定されないが、CAR-T細胞等の細胞療法、チェックポイント阻害剤等の免疫活性化剤、およびそれらの様々な組み合わせを含む)を含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、処置の方法は、LBYEによって対象から得られた1またはそれを超える疾患細胞または疾患関連ポリヌクレオチドの突然変異プロファイルまたは遺伝子プロファイルを決定すること、および決定された遺伝子プロファイルに基づいて抗がん治療薬を対象に投与することを含む。
医薬組成物
【0168】
処置の方法も本発明に包含される。本発明の上記方法は、治療有効量の治療薬、例えば抗がん薬を対象に投与することを含む。治療薬は、医薬組成物に製剤化することができる。これらの組成物は、1またはそれを超える有効成分に加えて、薬学的に許容され得る賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤または当業者に周知の他の材料を含むことができる。そのような材料は非毒性であるべきであり、有効成分の有効性を妨げてはならない。担体または他の材料の正確な性質は、投与経路、例えば経口、静脈内、皮膚または皮下、経鼻、筋肉内、腹腔内の経路に依存し得る。
【0169】
経口投与のための医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、粉末または液体形態であり得る。錠剤は、ゼラチンまたはアジュバント等の固体担体を含むことができる。液体医薬組成物は、一般に、水、石油、動物油または植物油、鉱油または合成油等の液体担体を含む。生理食塩水、デキストロースもしくは他の糖溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール等のグリコールを含めることができる。
【0170】
静脈内、筋肉内もしくは皮下注射、または罹患部位での注射の場合、有効成分は、発熱物質を含まず、適切なpH、等張性および安定性を有する非経口的に許容され得る水溶液の形態である。当業者は、例えば、等張性ビヒクル、例えば塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液を使用して適切な溶液を調製することが十分に可能である。必要に応じて、防腐剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤および/または他の添加剤を含めることができる。
【0171】
個体に与えられるポリペプチド、抗体、核酸、小分子または他の薬学的に有用な化合物であるかどうかにかかわらず、投与は、好ましくは「治療有効量」または「予防有効量」(場合によっては、予防が治療とみなされ得る)であり、これは個体に利益を示すのに十分である。投与される実際の量、ならびに投与の速度および時間経過は、処置される疾患の性質および重症度に依存する。処置の処方、例えば投与量の決定は、がん専門医(血液学者または腫瘍学者)または他の医師の責任の範囲内であり、典型的には、処置される障害、個々の患者の症状、送達部位、投与方法、および医師に知られている他の要因を考慮する。上記の技術およびプロトコルの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition,Osol,A.(ed),1980に見出すことができる。
【0172】
組成物は、単独で、または他の処置と組み合わせて、処置される症状に応じて同時にまたは順次依存して投与することができる。
【実施例
【0173】
以下に、本発明を実施するための具体的な実施形態の例を示す。実施例は、例示のみを目的として提供されており、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。使用される数(例えば、量、温度等)に関して正確性を確保するための努力がなされてきたが、当然ながら、いくらかの実験誤差および偏差が許容されるべきである。
【0174】
本発明の実施は、特に明記しない限り、当業者の技術の範囲内で、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術および薬理学の従来の方法を使用する。そのような技術は、文献で十分に説明されている。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993);A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition);Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989);Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.);Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990);Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed.(Plenum Press)Vols A and B(1992)を参照されたい。
実施例1:MRD検出のためのLBYE(多発性骨髄腫)
【0175】
多発性骨髄腫の抗がん処置を受けたヒト患者を、「LBYE」と「対照群」の2つの実験群に分ける。患者は、実験群にわたって、年齢、性別、および患者における多発性骨髄腫負荷または多発性骨髄腫の遺伝的プロファイル等の他の臨床的要因によって一致させることができる。
【0176】
適切な治療後に従来の技術を使用して完全寛解している場合、対照群の患者は血液ならびに骨髄検査を受け、それぞれをClonoSEQ(登録商標)技術(Adaptive Biotechnologies)を使用してMRD検出/アッセイに供する。比較可能な「LBYE」実験群には、記載されているように、単回の20mg用量のプレリキサフォルまたはその変形が投与される。プレリキサフォル投与の約12時間後、LBYE群の患者は採血を受ける。血液試料を、ClonoSEQ(登録商標)技術を使用してMRDアッセイに供する。残存病変は、対照群よりもLBYE群でより多くの患者で検出され、LBYEサンプリングを受けている患者における疾患細胞の動員の成功を示す。
【0177】
骨髄腫患者が自身の対照としての役割を果たす実験の別の変形例では、患者は完全寛解を達成した後に骨髄検査を受ける。骨髄をClonoSEQ(登録商標)によるMRDアッセイに供する。骨髄検査を行った後、各患者は20mgのプレリキサフォルを受け、12時間後に血液を採取する。血液試料をClonoSEQ(登録商標)によるMRDアッセイに供する。より大きな割合の患者が、骨髄よりもLBYE技術後の血液からのMRDについて陽性であることがわかる。骨髄からのMRDについて陽性である患者の全てまたはほとんどが、LBYE技術後の血液からのMRDについて陽性であるのに対して、骨髄からのMRDについて陰性である患者の多くは、LBYE技術後の血液から陽性である。
【0178】
無細胞DNA(cfDNA)は、公知の方法に従って患者血漿試料から単離される。
【0179】
LBYEおよび対照患者から単離されたcfDNAの濃度を決定する。LBYE群の患者は、対照群の患者よりも高いcfDNA濃度を示し、LBYEサンプリングを受けている患者における疾患ctDNAの動員の成功を示し、本明細書に開示されるLBYE方法を利用してMRDを検出することに対する感度の改善を示し、本明細書に開示されるLBYE方法を利用してMRDを検出することに対する感度の改善を示す。
【0180】
cfDNAを全エクソームシーケンシングまたは標的化シーケンシングに供して、cfDNA試料の突然変異プロファイルを決定する。cfDNA試料の突然変異プロファイルを、場合によっては、同じ患者からの骨髄試料から得られた多発性骨髄腫細胞の突然プロファイルと比較する。
実施例2:MRD検出のためのLBYE後の患者のフォローアップ(多発性骨髄腫)
【0181】
実施例1に記載されているようにCTCまたはctDNAがLBYEによって検出されたヒト患者に、さらなる一連の抗がん処置を投与し、再燃をモニターする。モニタリングは、当技術分野で公知の任意の手段による再燃の臨床評定を含み得る。場合によっては、患者は、実施例1に記載の方法に従って、さらなるLBYEサンプリングおよび分析を受ける。
【0182】
実施例1に記載されているようにCTCまたはctDNAがLBYEによって検出されなかったヒト患者には、さらなる一連の抗がん処置を投与しない。そのような患者を、実施例1に記載される方法を使用して、一定の間隔でCTCおよび/またはctDNAの存在または非存在についてさらにモニターする。臨床医は、例えば、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、6ヶ月に1回、1年に1回、1~10年、1~5年、1~3年、または1~10年以内の部分範囲のいずれかの範囲であり得る、実施例1に記載の方法によるモニタリングの頻度および期間を決定する。
実施例3:活動性疾患の予後診断のためのLBYE(多発性骨髄腫)
【0183】
多発性骨髄腫と診断されたヒト患者を、「LBYE」群と「対照群」の2つの実験群に分ける。患者は、実験群にわたって、年齢、性別、および患者における多発性骨髄腫負荷または多発性骨髄腫の遺伝的プロファイル等の他の臨床的要因によって一致させることができる。
【0184】
「LBYE」 実験群の患者は、20mgのプレリキサフォルの単回用量を投与され、12時間後に採血を受ける。この試料を、骨髄腫の予後診断に影響を及ぼすことが知られている様々な突然変異および遺伝的変異の存在について分析する。対照群の患者は、同様の試験に供される骨髄検査を受ける。LBYE群の患者は、対照群の患者よりも異常の頻度および幅が大きい。上記の実験の変形では、LBYE群の患者は、適切な試験に供される骨髄検査を受ける。LBYE群の最終結果は、各患者の血液および骨髄からの所見の合計であり、骨髄サンプリングのみに供された対照群よりも多くの関連情報を示す。
【0185】
実験の別の変形例では、LBYE群の骨髄および血液試料をプールし、単一のアッセイで分析して、試験の費用対効果を高める。血液試料を血漿画分と細胞画分とに分離する。さらに別の変形例では、LBYE群のみを研究し、同じ患者の骨髄と比較して、LBYE後の血液でより大きな情報が見出される。細胞画分を、本明細書中に記載される方法に従ってマルチパラメトリックフローサイトメトリーによって多発性骨髄腫CTCの存在について分析する。多発性骨髄腫CTCは、例えば、CTCの突然変異プロファイルを決定するためのシーケンシングによって遺伝子プロファイリングされる。CTC試料の突然変異プロファイルを、場合によっては、同じ患者からの骨髄試料から得られた多発性骨髄腫細胞の突然プロファイルと比較する。
【0186】
いくつかの場合、無細胞DNA(cfDNA)は、公知の方法に従って患者血漿試料から単離され、例えばシーケンシングによって遺伝子プロファイリングされる。cfDNA試料の突然変異プロファイルを、場合によっては、同じ患者からの骨髄試料から得られた多発性骨髄腫細胞の突然プロファイルと比較する。
【0187】
CTCおよび/またはcfDNAの突然変異プロファイルは、患者の予後診断および処置の選択のために臨床医によって使用される。
【0188】
場合によっては、CTCおよび/またはcfDNAの遺伝子プロファイルを、この実施例に記載の方法を用いて一定の間隔でさらにモニターする。臨床医は、例えば、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、6ヶ月に1回、1年に1回、1~10年、1~5年、1~3年、または1~10年以内の部分範囲のいずれかの範囲であり得る、この実施例に記載の方法によるモニタリングの頻度および期間を決定する。
実施例4 MRD検出のためのLBYE(リンパ腫)
【0189】
リンパ腫の抗がん処置を受けたヒト患者を、「LBYE」と「対照群」の2つの実験群に分ける。患者は、実験群間で、年齢、性別、および患者のリンパ腫負荷またはリンパ腫の遺伝的プロファイル等の他の臨床的要因によって一致させることができる。
適切な治療後に従来の技術を使用して完全寛解している場合、対照群の患者は、血液ならびに骨髄検査を受け、それぞれを前述の技術(限定されないが、フローサイトメトリー、シーケンシング等を含む)のいずれかを使用するMRD検出/アッセイに供する。比較可能な「LBYE」実験群には、記載されているように、単回の20mg用量のプレリキサフォルまたはその変形が投与される。プレリキサフォル投与の約12時間後、LBYE群の患者は採血を受ける。血液試料をMRDアッセイに供する。残存病変は、対照群よりもLBYE群でより多くの患者で検出され、LBYEサンプリングを受けている患者における疾患細胞の動員の成功を示す。
【0190】
リンパ腫患者が自身の対照としての役割を果たす実験の別の変形例では、患者は完全寛解を達成した後に採血を受ける。血液をMRDアッセイに供する。血液試験を行った後、各患者は20mgのプレリキサフォルを受け、12時間後に血液を採取する。これらの血液試料を、同様の手法によりMRDアッセイに供する。LBYE技術後の血液からのMRDについて陽性である患者の割合は、非LBYE血液試料よりも高いことがわかる。
【0191】
無細胞DNA(cfDNA)は、公知の方法に従って患者血漿試料から単離される。
【0192】
LBYEおよび対照患者から単離されたcfDNAの濃度を決定する。患者が自身の対照としての役割を果たす第2の実験では、cfDNAの存在を示す(すなわち、MRDについて陽性)患者の中でも、LBYE後にcfDNAの濃度/量がより高く、LBYEサンプリングを受けている患者における疾患ctDNAの動員の成功を示し、本明細書に開示されるLBYE方法を利用してMRDを検出することに対する感度の改善を示し、本明細書に開示されるLBYE方法を利用してMRDを検出することに対する感度の改善を示す。
【0193】
cfDNAを全エクソームシーケンシングまたは標的化シーケンシングに供して、cfDNA試料の突然変異プロファイルを決定する。cfDNA試料の突然変異プロファイルを、場合によっては、同じ患者からの骨髄試料から得られたリンパ腫細胞の突然プロファイルと比較する。
実施例5:MRD検出のためのLBYE後の患者のフォローアップ(リンパ腫)
【0194】
実施例1に記載されているようにCTCまたはctDNAがLBYEによって検出されたヒト患者に、さらなる一連の抗がん処置を投与し、再燃をモニターする。モニタリングは、当技術分野で公知の任意の手段による再燃の臨床評定を含み得る。場合によっては、患者は、実施例1に記載の方法に従って、さらなるLBYEサンプリングおよび分析を受ける。
【0195】
実施例1に記載されているようにCTCまたはctDNAがLBYEによって検出されなかったヒト患者には、さらなる一連の抗がん処置を投与しない。そのような患者を、実施例1に記載される方法を使用して、一定の間隔でCTCおよび/またはctDNAの存在または非存在についてさらにモニターする。臨床医は、例えば、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、6ヶ月に1回、1年に1回、1~10年、1~5年、1~3年、または1~10年以内の部分範囲のいずれかの範囲であり得る、実施例1に記載の方法によるモニタリングの頻度および期間を決定する。
実施例6:活動性疾患の予後診断のためのLBYE(リンパ腫)
【0196】
リンパ腫と診断されたヒト患者を、「LBYE」群と「対照群」の2つの実験群に分ける。患者は、実験群間で、年齢、性別、および患者のリンパ腫負荷またはリンパ腫の遺伝的プロファイル等の他の臨床的要因によって一致させることができる。
【0197】
「LBYE」 実験群の患者は、20mgのプレリキサフォルの単回用量を投与され、12時間後に採血を受ける。この試料を、骨髄腫の予後診断に影響を及ぼすことが知られている様々な突然変異および遺伝的変異の存在について分析する。対照群の患者は、同様の試験に供される骨髄検査を受ける。LBYE群の患者は、対照群の患者よりも異常の頻度および幅が大きい。上記の実験の変形では、LBYE群の患者は、適切な試験に供される骨髄検査を受ける。LBYE群の最終結果は、各患者の血液および骨髄からの所見の合計であり、骨髄サンプリングのみに供された対照群よりも多くの関連情報を示す。
【0198】
実験の別の変形例では、LBYE群の骨髄および血液試料をプールし、単一のアッセイで分析して、試験の費用対効果を高める。さらに別の変形例では、LBYE群のみを研究し、同じ患者の骨髄と比較して、LBYE後の血液でより大きな情報が見出される。単核細胞画分を、本明細書中に記載の方法に従ってマルチパラメトリックフローサイトメトリーによってリンパ腫CTCの存在について分析する。リンパ腫CTCは、例えば、CTCの突然変異プロファイルを決定するためのシーケンシングによって遺伝子プロファイリングされる。CTC試料の突然変異プロファイルを、場合によっては、同じ患者からの骨髄試料から得られたリンパ腫細胞の突然プロファイルと比較する。
【0199】
いくつかの場合、無細胞DNA(cfDNA)は、公知の方法に従って患者血漿試料から単離され、例えばシーケンシングによって遺伝子プロファイリングされる。cfDNA試料の突然変異プロファイルを、場合によっては、同じ患者からの骨髄試料から得られたリンパ腫細胞の突然プロファイルと比較する。
【0200】
CTCおよび/またはcfDNAの突然変異プロファイルは、患者の予後診断および処置の選択のために臨床医によって使用される。
【0201】
場合によっては、CTCおよび/またはcfDNAの遺伝子プロファイルを、この実施例に記載の方法を用いて一定の間隔でさらにモニターする。臨床医は、例えば、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、6ヶ月に1回、1年に1回、1~10年、1~5年、1~3年、または1~10年以内の部分範囲のいずれかの範囲であり得る、この実施例に記載の方法によるモニタリングの頻度および期間を決定する。
実施例7:MRD検出のためのLBYE(固形腫瘍)
【0202】
特定の固形腫瘍(例えば、とりわけ、肺がん、乳がん、結腸がん)の抗がん処置を受けたヒト患者を2つの実験群、「LBYE」と「対照群」に分ける。患者は、実験群間で、年齢、性別、および患者の固形腫瘍負荷または固形腫瘍の遺伝的プロファイル等の他の臨床的要因によって一致させることができる。
適切な治療後に従来の技術を使用して完全寛解している場合、対照群の患者は血液検査を受け、それぞれを適切なアッセイ(例えば、Guardant 360液体生検またはTempus XF液体生検)を使用するMRD検出/アッセイに供する。比較可能な「LBYE」実験群には、記載されているように、単回の20mg用量のプレリキサフォルまたはその変形が投与される。プレリキサフォル投与の約12時間後、LBYE群の患者は採血を受ける。血液試料を同じMRDアッセイに供する。残存病変は、対照群よりもLBYE群でより多くの患者で検出され、LBYEサンプリングを受けている患者における疾患細胞の動員の成功を示す。
【0203】
がん患者が自身の対照としての役割を果たす実験の別の変形例では、患者は完全寛解を達成した後に血液検査を受ける。その後、各患者は20mgのプレリキサフォルを受け、12時間後に血液を採取する。両方の試料をMRDアッセイに供する。プレリキサフォル投与後に得られた血液試料からは、プレリキサフォル前の血液試料と比較して、より大きな割合の患者がMRDについて陽性であることがわかる。
【0204】
無細胞DNA(cfDNA)は、公知の方法に従って患者血漿試料から単離される。
【0205】
LBYEおよび対照患者から単離されたcfDNAの濃度を決定する。LBYE群の患者は、対照群の患者よりも高いcfDNA濃度を示し、LBYEサンプリングを受けている患者における疾患ctDNAの動員の成功を示し、本明細書に開示されるLBYE方法を利用してMRDを検出することに対する感度の改善を示し、本明細書に開示されるLBYE方法を利用してMRDを検出することに対する感度の改善を示す。
【0206】
cfDNAを全エクソームシーケンシングまたは標的化シーケンシングに供して、cfDNA試料の突然変異プロファイルを決定する。cfDNA試料の突然変異プロファイルを、場合によっては、同じ患者からの固形腫瘍試料から得られた固形腫瘍細胞の突然変異プロファイルと比較する。
実施例8:MRD検出のためのLBYE後の患者のフォローアップ(固形腫瘍)
【0207】
実施例1に記載されているようにCTCまたはctDNAがLBYEによって検出されたヒト患者に、さらなる一連の抗がん処置を投与し、再燃をモニターする。モニタリングは、当技術分野で公知の任意の手段による再燃の臨床評定を含み得る。場合によっては、患者は、実施例1に記載の方法に従って、さらなるLBYEサンプリングおよび分析を受ける。
【0208】
実施例1に記載されているようにCTCまたはctDNAがLBYEによって検出されなかったヒト患者には、さらなる一連の抗がん処置を投与しない。そのような患者を、実施例1に記載される方法を使用して、一定の間隔でCTCおよび/またはctDNAの存在または非存在についてさらにモニターする。臨床医は、例えば、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、6ヶ月に1回、1年に1回、1~10年、1~5年、1~3年、または1~10年以内の部分範囲のいずれかの範囲であり得る、実施例1に記載の方法によるモニタリングの頻度および期間を決定する。
実施例9:活動性疾患の予後診断のためのLBYE(固形腫瘍)
【0209】
1またはそれを超える固形腫瘍と診断されたヒト患者を2つの実験群、「LBYE」群および「対照群」に分ける。患者は、実験群間で、年齢、性別、および患者の固形腫瘍負荷または固形腫瘍の遺伝的プロファイル等の他の臨床的要因によって一致させることができる。
【0210】
「LBYE」 実験群の患者は、20mgのプレリキサフォルの単回用量を投与され、12時間後に採血を受ける。この試料を、骨髄腫の予後診断に影響を及ぼすことが知られている様々な突然変異および遺伝的変異の存在について分析する。対照群の患者は、同様の試験に供される固形腫瘍検査を受ける。LBYE群の患者は、対照群の患者よりも異常の頻度および幅が大きい。上記の実験の変形では、LBYE群の患者は、適切な試験に供される固形腫瘍検査を受ける。LBYE群の最終結果は、各患者の血液および骨髄からの所見の合計であり、固形腫瘍サンプリングのみに供された対照群よりも多くの関連情報を示す。
【0211】
実験の別の変形例では、LBYE群の腫瘍および血液試料をプールし、単一のアッセイで分析して、試験の費用対効果を高める。さらに別の変形例では、LBYE群のみを研究し、同じ患者の固形腫瘍と比較して、LBYE後の血液でより大きな情報が見出される。単核細胞画分を、本明細書中に記載の方法に従ってマルチパラメトリックフローサイトメトリーによって固形腫瘍CTCの存在について分析する。固形腫瘍CTCは、例えば、CTCの突然変異プロファイルを決定するためのシーケンシングによって遺伝子プロファイリングされる。CTC試料の変異プロファイルを、場合によっては、同じ患者からの固形腫瘍試料から得られた固形腫瘍細胞の変異プロファイルと比較する。
【0212】
いくつかの場合、無細胞DNA(cfDNA)は、公知の方法に従って患者血漿試料から単離され、例えばシーケンシングによって遺伝子プロファイリングされる。cfDNA試料の突然変異プロファイルを、場合によっては、同じ患者からの固形腫瘍試料から得られた固形腫瘍細胞の変異プロファイルと比較する。
【0213】
CTCおよび/またはcfDNAの突然変異プロファイルは、患者の予後診断および処置の選択のために臨床医によって使用される。
【0214】
場合によっては、CTCおよび/またはcfDNAの遺伝子プロファイルを、この実施例に記載の方法を用いて一定の間隔でさらにモニターする。臨床医は、例えば、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、6ヶ月に1回、1年に1回、1~10年、1~5年、1~3年、または1~10年以内の部分範囲のいずれかの範囲であり得る、この実施例に記載の方法によるモニタリングの頻度および期間を決定する。
【0215】
実施例10:健康な個体をスクリーニングするためのLBYE
【0216】
がんを有することがわかっていない個体は、スクリーニングツールとして液体生検を受ける。悪性腫瘍の疑いがないことは、そのような対象のごく一部で検出され得る。同じ対象セットがLBYE技術後にスクリーニングを受ける。疑いがない/診断されていない悪性腫瘍は、対象のより大きな割合で見られる。
【0217】
本発明は、好ましい実施形態および様々な代替の実施形態を参照して詳しく示され説明されてきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更を行うことができることが当業者には理解されよう。
【0218】
本明細書の本文内で引用された全ての参考文献、発行された特許および特許出願は、あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
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図1
【国際調査報告】