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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】弾性おむつ要素
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20230406BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20230406BHJP
   B32B 5/04 20060101ALI20230406BHJP
   D04H 3/16 20060101ALI20230406BHJP
   D04H 3/04 20120101ALI20230406BHJP
【FI】
A61F13/56 210
A61F13/49 311A
B32B5/04
D04H3/16
D04H3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022541246
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2020080352
(87)【国際公開番号】W WO2021170261
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】102020105263.4
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521100003
【氏名又は名称】アールケイダブリュー エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィリング,クリストフ
【テーマコード(参考)】
3B200
4F100
4L047
【Fターム(参考)】
3B200BA11
3B200BA12
3B200BB03
3B200BB09
3B200BB11
3B200CA05
3B200CA07
3B200CB02
3B200DA01
3B200DE01
3B200DE07
3B200DE08
3B200DE15
3B200EA09
3B200EA11
4F100AK64A
4F100AK64J
4F100AT00
4F100BA03
4F100DB07C
4F100DD12C
4F100DG15C
4F100EC032
4F100EC03B
4F100EC172
4F100EC17B
4F100GB71
4F100JK03
4F100JK08
4L047AA14
4L047AA25
4L047AB02
4L047AB03
4L047BA04
4L047CA03
4L047CA05
4L047CA19
4L047CC04
(57)【要約】
【課題】 好ましい伸長特性を有し、それと同時に高い引き裂き強さを確保するおむつ要素を提供することである。
【解決手段】 本発明は、弾性材料層(1)と少なくとも1つの不織布層(2)含む弾性おむつ要素に関する。弾性要素は、弾性材料層(1)と不織布層(2)との間に結合領域(5)を有する。結合領域(5)は好ましい方向へ延びる。不織布層(2)は、弾性要素が引き伸ばされていない状態ではウェーブ状であり、引き伸ばしを可能にするための留保部としての領域(6)を提供する。結合領域(5)はその範囲に沿って波状の形状を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性材料層(1)と不織布層(2)を有する弾性おむつ要素であって、前記弾性要素は前記弾性材料層(1)と前記不織布層(2)との間に結合領域(5)を有し、前記結合領域(5)は好ましい方向への範囲を有し、前記不織布層(2)は前記おむつ要素が引き伸ばされていない状態ではウェーブ状であり、引き伸ばしを可能にするための留保部としての領域(6)が確保され、前記結合領域(5)はその前記範囲において波状のプロファイルを有することを特徴とする弾性おむつ要素。
【請求項2】
前記結合領域(5)はウェーブ状のプロファイルを有することを特徴とする、請求項1に記載のおむつ要素。
【請求項3】
前記結合領域(5)はジグザグのプロファイルを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のおむつ要素。
【請求項4】
前記結合領域(5)の範囲は前記おむつ要素の引張方向に垂直に延びること特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のおむつ要素。
【請求項5】
前記波状のプロファイルの1つの位相の長さ(12)が10mmより大きく、好ましくは20mmより大きく、特に30mmより大きく、及び/又は200mmより小さく、好ましくは150mmより小さく、特に100mmより小さいことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のおむつ要素。
【請求項6】
前記波状のプロファイルの1つの位相の振幅(11)が0.5mmより大きく、好ましくは0.8mmより大きく、特に1.0mmより大きく、及び/又は10mmより小さく、好ましくは8.0mmより小さく、特に6.0mmより小さいことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のおむつ要素。
【請求項7】
不織布層(2)は水流交絡不織布材料、好ましくは連続単繊維からの水流交絡不織布材料で構成され、前記不織布材料の比重は好ましくは10~70g/m、特に10~40g/m、好ましくは15~35g/mであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のおむつ要素。
【請求項8】
弾性材料層(1)は複数の層で構成され、好ましくは1つのコア層(3)と少なくとも1つの別の層(4)を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のおむつ要素。
【請求項9】
前記要素は別の不織布層を有し、前記弾性材料層(1)は2つの前記不織布層間に配置されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のおむつ要素。
【請求項10】
弾性材料層(1)と不織布層(2)を有する弾性積層体の製造方法であって、前記弾性材料層(1)と前記不織布層(2)との間に結合領域(5)が生成され、前記結合領域(5)はここで、好ましい方向への範囲を有し、前記不織布層(2)は前記おむつ要素が引き伸ばされていない状態ではウェーブ状であり、引き伸ばしを可能にするための留保部としての領域(6)が確保され、前記結合領域(5)は前記結合領域(5)前記範囲内で波状のプロファイルで生成されることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記結合領域(5)は、波状に延びる縦溝を有するローラを使って生成されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記結合領域(5)は相互に波状のローラを使って生成されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
弾性おむつ要素としての、特にウエストバンドとしての、請求項10~12のいずれか1項により製造される積層体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
明細書
本発明は弾性材料層と不織布の層を有する弾性おむつ要素に関し、弾性要素は弾性材料層と不織布層との間の結合領域を有し、結合領域は好ましい方向への範囲を有し、不織布層はオムツ要素の引き伸ばされていない状態では引き伸ばすことを可能にするための留保部としての領域が確保されるようにウェーブ状である。
【背景技術】
【0002】
弾性要素はおむつの中で、ほどよいフィット及び締め付けを確保するために使用される。本発明によるおむつ要素は好ましくは、ウエストバンドとして使用される。材料は同様に、赤ちゃん用おむつの弾性止着要素、すなわちいわゆる「バックイヤー」としての使用にも特に適している。
【0003】
本発明によるおむつ要素は、弾性材料の層を含む。弾性材料層には、少なくとも片側に不織布材料の層が設けられる。このような不織布層には典型的に、限定的な伸長能力を有する。したがって、本発明によるウエストバンド要素の不織布層はウェーブ形状で弾性材料層に結合される。ウェーブの谷は弾性材料層に結合され、ウェーブの山は弾性材料層から突出し弾性材料層に向かう隙間を取り囲む。ウェーブ形状の結果として、引き伸ばされていない状態の不織布層は、要素の引き伸ばしを可能にするための留保部を形成する。
【0004】
独国特許出願公表第60204588T2号は、伸長可能な弾性複合材料の製造方法が記載されている。ここで、相互に隣り合わせにあり、円周方向に延びる同じ形状の、軸方向に離間された複数の歯を有するローラが使用される。相互に隣り合わせにある歯間の間隔は、円周方向に延びる同じ構成の凹んだ縦溝を形成する。
【0005】
上層及び下層を有するおむつが独国特許出願公表第68923866T2号に記載されている。弾性バンドは、非緊張状態の弾性材料層に固定される。弾性バンドは全面積にわたり弾性材料層に結合される。弾性バンドが伸長させられ、弛緩されるとギャザー領域が形成される。
【0006】
欧州特許第217032B1号は、相互に離間された位置において、プリーツ状にされる予定の少なくとも1枚のウェブに結合される弾性材料を有する積層体に関する。弾性材料は弾性繊維ウェブであり、これはウェーブ状ではない。
【0007】
ウェーブ状の弾性積層体の製造方法が欧州特許第1 807 035 B1号に記載されている。ここで、溶融状態の弾性化合物がキャリアウェブに塗布されて、弾性要素が形成される。弾性複合材料のプリフォームは、キャリアウェブを伸長させることにより形成される。プリフォームの引き伸ばしは、その後行われる。母材が引き伸ばされたプリフォームに結合され、引き伸ばされたプリフォームが弛緩させられると、ウェーブ状弾性積層体が形成される。
【0008】
欧州特許第2024178B1号には、3層を有する弾性伸長可能積層体の製造方法が記載されている。積層体は1つの弾性フィルムと2つの非弾性不織布を含む。1つの変形型では不織布クレープが使用される。第1の弾性積層体は伸長状態で非弾性不織布層に結合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、好ましい伸長特性を有し、それと同時に高い引き裂き強さを確保するおむつ要素を提供することである。力で圧迫されたとき、要素は弾性的に挙動するだけでなく、消費者に高品質な製品という印象を与えるのに十分な抵抗力を生じさせるべきである。「バックイヤー」として使用される場合、要素は破れてはならず、これはさもなければおむつを閉じることができなくなるからである。本明細書の少なくとも1つの非不織布層は、例えばウェーブ状構成であり、要素を伸長させるための十分であるが過剰ではない留保部を提供すべきである。積層体はいかなる健康上のリスクももたらさず、また環境的に持続可能であるべきである。さらに、製品からは一切臭いがしないべきである。そのうえ、製品は肌触りのよいものであるべきである。さらに、体へのおむつの最適なフィットがおむつ要素によって確保されて、おむつと体との間に隙間ができるのが避けられ、液体の漏れが防止されるようにすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、本発明によれば、同格の独立請求項によるおむつ要素、方法、及び使用により確実に達成される。好ましい変形型は、従属項、説明、例示的実施形態、及び図面から得られる。
【0011】
本発明によれば、結合領域はおむつ要素の弾性材料層と不織布層との間に波状に延びる。直線状に延びる結合領域と比較して、伸長特性、引き裂き強度、及び感触がその結果として改善される。
【0012】
結合領域がウェーブ状の、特に正弦波状の配列を有していると特に有利であることが判明している。ここで、プロファイルは想像補助線を基準として、1つの位相の長さにおける振幅が想像補助線より高くなったり低くなったりするように延びる。
【0013】
本発明の有利な代替案において、結合領域はジグザグ配列を有する。ここで、結合領域は鋸歯形状又は三角形を描く線として構成できる。これらの線は直線区間を有し、その配列の方向は所定の角度だけ変化する。
【0014】
結合領域が、その想像補助線を基準として、おむつ要素の引張方向に垂直な領域を有すると特に有利であることが判明している。ウェーブ状のプロファイルでは、結合領域の斜めの接線と引張応力の方向との間の角度は連続的に45°~135°の範囲で変化する。その結果、様々な伸長領域パターンが得られ、その結果として弾性留保部及びそれと同時に復元力が大幅に増大する。
【0015】
本発明の1つの変形型において、波状の線として実施される結合領域は好ましくは等間隔である。
【0016】
これらの線の間隔は1mmより大きい、好ましくは2mmより大きい、特に2.5mmより大きい、及び/又は8mmより小さい、好ましくは7mmより小さい、特に6mmより小さいと有利であることが判明している。
【0017】
代替的変形型において、結合領域の波状線は相互に鏡対称となるように配置される。本発明によれば、小さい留保領域と大きい留保領域が交互に、その結果として引き伸ばされるように配置され、それによっておむつ要素のうち、特に圧迫された領域の伸長能力が増大する。ここで、これらの線の間隔は1mmより大きく、好ましくは1.5mmより大きく、特に2mmより大きく、及び/又は16mmより小さく、好ましくは10mmより小さく、特に6mmより小さいと有利であることが判明している。
【0018】
別の代替案では、結合領域の波状線はその位相の点で変位され、その結果、引き伸ばしのための小さい、及び大きい留保領域がランダムに分散される。結合領域の波状の線がその振幅及びその位相の長さの点で異なる場合に、伸長能力を増大させる同じ効果が実現される。
【0019】
結合領域のセグメントが中断部のセグメントと交互に配置される変形型もまた想定される。本明細書では、相互にずらして直接隣り合わせに配置される結合領域のセグメントと中断部のセグメントを有する行が形成される。
【0020】
好ましくは、ウェーブ状の不織布層を溶融可能な弾性材料層の中に凸部を有するローラを使って押し込む方法が弾性積層体の製造に使用される。本発明によれば、ウェーブ状となるように構成された凸部を有するローラが工程中に使用される。
【0021】
代替的に、実質的に一体的な結合が不織布層と弾性材料層との間に超音波溶接によって確立されて、結合領域が生成される。このために、不織布層にローリングによってウェーブ形状が付与され、波状のプロファイルによって、ウェーブの谷にある前記不織布層が弾性材料層に溶接される。
【0022】
相互に平行な波状のウェブを有するローラの使用は特に好ましいことが判明している。ここで、ウェブの波状のプロファイルは、ウェーブ状、特に正弦波状、又は鋸歯若しくは三角形の歯の形状となるように構成され得て、前記波状のプロファイルは繰返し鏡像化される波状部分によって区別される。ウェブのプロファイルは弾性材料層と不織布層との間の結合領域のプロファイルの基礎となる。
【0023】
方法の別の変形型において、平行で直線的な縦溝を有するローラが使用される。結合領域の波状のプロファイルが実装されるためには、少なくとも2つのローラが相互に揺動するように設定される。ここで、ローラは1つの位相の長さが10mmより長く、好ましくは20mmより長く、特に30mmより長く、及び/又は200mmより短く、好ましくは150mmより短く、特に100mmより短く、その振幅が0.5mmより大きく、好ましくは0.8mmより大きく、特に1.0mmより大きく、及び/又は10mmより小さく、好ましくは8.0mmより小さく、特に6.0mmより小さくなるような方法で振動する。
【0024】
本発明の1つの変形型において、不織布層のウェーブ状のプロファイルは凸部と凹部を有する2つのローラ間に形成でき、2つのローラの少なくとも一方は縦溝付きローラとして構成される。本明細書の1つのローラの凸部は他方のローラの凹部と係合し、またその逆である。本発明によれば、凸部は波状のプロファイルを有する。本発明の他の変形型では、凸部はジグザグの縦溝付きプロファイル、特に鋸歯又は三角形の歯を有する。
【0025】
代替的に、結合領域の波状のプロファイルは、ウェーブ状及び/又はぎざぎざのプロファイルに超音波溶接で生成できる。
【0026】
「不織布」又は「不織生地」という用語はそれぞれ、織ったり又は縫ったりせずに連続単繊維及び/又は不連続単繊維からスパンボンディング、カージング、又は溶融接合によって製造できる生地を指す。不織生地は1つ又は複数の不織布層を含むことができ、各層は連続単繊維又は不連続単繊維を含み得る。不織生地はまた、例えばシェル/コア、サイドバイサイド構造等の繊維構造を示すことのできる二成分繊維も含むことができる。
【0027】
「弾性材料」という用語は好ましくは、方向付けられた力を加えると、その弛緩した当初の長さの少なくとも約160%の伸長長さまで、裂けたり又は破れたりせずに引き伸ばすことができ、加えられた力を取り除くとその延長長さの少なくとも約55%だけ復元し、好ましくは実質的にその当初の長さまで、すなわち復元後の長さが弛緩した当初の長さの約120%未満、好ましくは約110%未満、より好ましくは約105%未満となるように復元するあらゆる材料を指す。
【0028】
「おむつ」という用語は好ましくは、流体を吸収して閉じ込める使い捨ての吸収製品を指す。この用語はとりわけ、止着材を有するおむつ、パンツ型おむつ、トレーニングパンツ、スイミング用おむつ、成人用失禁対策製品などを含む。
【0029】
おむつ要素の製造では、結合ステップの前に、不織布層を、前記不織布層が特殊な装置の中に案内されるような3次元ウェーブ形状にされる。この装置は、凸部を有し、その結果として不織布層のウェーブ状プロファイルを構成するローラであり得る。追加的又は代替的に、結合ステップの前に、不織布層は、押し出された弾性材料層まで弓状に延びる要素の中に案内することができ、それによって不織布層のウェーブ状プロファイルが結合ステップまで保持される。要素は、例えばフィンガレールとして構成できる。
【0030】
ウェーブ状プロファイルを形成するために、及び結合ステップ中に使用される装置の凸領域及び凹領域間の比は最適なウエストバンド積層体にとって重要である。この比はまた、ウェブ-溝比とも呼ばれる。このウェブ-溝比は、好ましくは1:1未満、好ましくは1:2未満である。
【0031】
結合領域の幅は0.1mmより大きく、好ましくは0.3mmより大きく、特に0.5mmより大きく、及び/又はその幅は1.5mmより小さく、好ましくは1.3mmより小さく、特に0.9mmより小さいと特に有利であることが判明している。
【0032】
ウェーブ状の不織布層がその凸部によってウェーブ形状に弾性材料層から突出し、空洞を閉じる領域は結合領域間に配置される。これらの領域は、おむつ要素の引き伸ばしのための留保部としての役割を果たし、これらの領域の不織布層と弾性材料層との間には結合部が存在しない。
【0033】
平坦フィルムの全面積の点で、留保領域は結合領域よりかなり大きい比率を有する。留保領域の比率は好ましくは、全面積の60%より大きく、特に70%より大きく、好ましくは80%より大きい。固化された平坦弾性材料層の表面は、基準全面積として使用される。
【0034】
留保領域の中で、不織布層と弾性材料層の間に結合部は存在しない。
【0035】
ウェーブ状の設計の結果として、積層体部分の不織布層は弾性材料層よりかなり大きい。不織布層は好ましくは、弾性材料層より1.5倍超、特に2.0倍超、好ましくは2.5倍超長い。
【0036】
本発明の1つの好ましい変形型において、積層体の反対方向への引き伸ばしは、結合手順の後で行われる。伸長は好ましくは、不織布層が破断する伸長状態となる前まで行われる。
【0037】
非結合領域の、それゆえ留保領域の幅が1.5mmより大きく、好ましくは2mmより大きく、特に2.5mmより大きく、及び/又はその幅が6mmより小さく、好ましくは5mmより小さく、特に4mmより小さいと特に有利であることが判明している。
【0038】
結合領域の幅は、好ましくは0.1mmより大きく、特に0.2mmより大きく、好ましくは0.3mmより大きく、及び/又はその幅は0.1mmより小さく、好ましくは0.8mmより小さく、好ましくは0.6mmより小さい。
【0039】
留保領域又は結合領域はそれぞれ、好ましくはウエストバンドの引張方向を横切るように延びるストリップの形状に構成される。
【0040】
結合領域が実現されるようにするために、表面構造を有するローラが好ましくは使用され、凸部の高さは100μmより大きく、好ましくは500μmより大きく、特に1mmより大きく、及び/又は12mmより小さく、好ましくは10mmより小さく、特に8mmより小さい。
【0041】
不織布層は好ましくは、水流交絡不織布材料で構成される。不織布材料の繊維は、水流交絡によって当初の2次元繊維配列から3次元繊維方位へと方向を変更できる。繊維は不織生地の中に、より強力に組み込まれる。この不織布層は好ましくは、比重が5~80g/m、好ましくは10~70g/m、特に15~35g/mである。
【0042】
水流交絡不織布層は好ましくは、連続単繊維からの不織布材料で構成される。これは、製造工程から、好ましくはループ状に構成される繊維のパイルを提供する。
【0043】
例えばポリエステル、PLA、ポリオレフィン、特にポリプロピレンやポリエチレン等の紡織可能ポリマを連続単繊維製造のための材料として使用できる。
【0044】
本発明による、おむつ要素を伸長させるための留保領域を形成するウェーブ状の不織布層としての水流交絡不織布材料の使用は特に有利である。ウェーブ形成の結果として、水流交絡不織布材料は、結合領域内の繊維が引き伸ばされ、その結果、好ましくはある方位が付与されるように変形される。その結果、溶融可能材料が水流交絡不織布材料の伸長し、整列した単繊維を取り囲む、特に有利な結合ゾーンが実現され、固化すると特に有利な、体にフィットする複合材料が作られる。驚くべきことに、特に有利な特性を有するおむつ要素は、水流交絡不織布材料を使用すると実現されることが実証されている。水流交絡不織布材料で構成される不織布層は特に容易に変形させることができる。現実的に、製造工程中に送給される不織布ウェブにおいて、ウェーブを形成しても幅が損なわれることがない。
【0045】
弾性材料層は好ましくは、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンブロックコポリマである。弾性フィルムの比重は好ましくは、5~140g/m、特に10~130g/m、好ましくは20~40g/mである。
【0046】
代替的に、弾性材料層はまた、SBC(スチレンブロックコポリマ)又は弾性ポリウレタンでも構成され得る。
【0047】
本発明の1つの変形型において、弾性材料層は複数の層で構成され、好ましくは共押出フィルムとして実施される。これは1つの有利な変形型において、コア層と、それと比較してかなり薄いスキン層を含む。スキン層の比重は好ましくは、5g/mより小さく、特に4g/mより小さく、好ましくは3g/mより小さく、及び/又は0.3g/mより大きく、特に0.6g/mより大きく、好ましくは0.9g/mより大きい。
【0048】
1つの変形型において、コア層は2つの外側スキン層間に埋め込まれる。
【0049】
コア層は好ましくは、弾性ポリオレフィン又はSBC(スチレンブロックコポリマ)若しくはポリウレタンで構成される。
【0050】
スキン層は好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はEVA(エチレン酢酸ビニルコポリマ)で構成される。
【0051】
本発明の1つの有利な変形型において、充填ポリオレフィンがスキン層として使用される。例えば炭酸カルシウム又はタルク等の鉱物材料がフィラ材料として使用される。フィラ材料の割合は好ましくは、20重量%より高く、特に30重量%より高く、好ましくは40重量%より高い。
【0052】
スキン層の形成には混合材料も使用され得る。例えば、ポリオレフィンとポリスチレンの混合材料及び/又はポリオレフィンとPLAとの混合材料がここでは好適である。フィラ材料はこのような混合材料中で必須ではない。
【0053】
スキン層は、粘性のあるコア層からのブロック解除が保証されるような設計とされる。さらに、スキン層は容易に変形可能であり、容易に伸長可能である。
【0054】
本発明の1つの変形型において、おむつ要素はカージングによる不織布材料からなる不織布層を含む。使用されるカージングによる不織布材料は好ましくは、ポリプロピレン繊維及び/又は異なる種類の繊維のミクスチャ、例えばポリプロピレン/ビスコース、ポリプロピレン/ポリアミド、ポリプロピレン/ポリエステル等で構成される。カージングによる不織布材料はまた、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンコポリマでも構成できる。カージングによる不織布材料の比重(specific area of weight)は好ましくは10~40g/m、特に15~25g/mである。カージングによる不織布材料は、例えばカレンダによって、及び/又はそれらに作用する空気及び/又は水ジェットにより固化させることができる。
【0055】
おむつ要素の弾性材料層はまた、不織布の2層間に埋め込むこともできる。本明細書における少なくとも1層は好ましくは、水流交絡不織布材料で構成される。第2の不織布層は、水流交絡不織布材料若しくはカージングによる不織布材料の何れか又はスパンボンディングによる不織布材料で構成できる。第2の不織布層は、ウェーブ状となるように、又は平坦なプロファイルを有するように構成できる。
【0056】
本発明によるおむつ要素の設計の結果として、おむつは最適な方法で体に取り付けられ、最適なフィットが確保される。その折り目の配置の結果として、おむつ要素はたっぷりとした設計で、おむつと体との間の隙間を埋め、あらゆる漏れが有効に防止される。
【0057】
本発明による積層体は好ましくは、不織布材料表面にまっすぐなプリーツを有し、確実な復元弾性を有する。積層体が長さ方向へとウェブと圧縮されたときの引き伸ばしによる衝突時の横方向の弾性及び組成変形は、「セット」とも呼ばれ、複合エリアと比例相関を示す。本発明による積層体の複合エリアはサイズが小さくなる。それと同時に、ここで十分な複合材料間接着が保持される。機械方向(MD)への本発明による積層体の複合材料間粘着力(addition)は好ましくは1N/25mmより高く、他方でそれと同時に横方向(CD)への弾性が改善される。
【0058】
両方の要求事項は、使用されるローラのウェブ圧縮面を小さくすることによって満たされる。本発明の1つの変形型において、ローラのウェブには機械加工によるカット部が設けられ、それゆえ中断する。
【0059】
ここでは好ましくは、平行なウェブと波状のプロファイルの縦溝を有するローラが使用される。ウェブと縦溝を有する、同じ円周のウェーブ状の縦溝付きローラは、特に有利であることが判明している。これらの縦溝の波状のプロファイルの1つの位相の長さは10mmより長く、好ましくは20mmより長く、特に30mmより長く、及び/又は200mmより短く、好ましくは150mmより短く、特に100mmより短い。これらの縦溝の波状のプロファイルの1つの位相の振幅は、0.5mmより大きく、好ましくは0.8mmより大きく、特に1.0mmより大きく、及び/又は10mmより小さく、好ましくは8.0mmより小さく、特に6.0mmより小さい。ローラには、約0.5~10mmの深さのウェーブ状の縦溝が設けられ、相互に係合し、円周と速度が同じことにより、噛み合いながら相互に対向して転がる。
【0060】
本発明のさらなる利点と特徴は、図面による例示的実施形態の説明及び図面自体から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】本発明によるおむつ要素の断面図を示す。
図2】ウェーブ状結合領域の第1の変形型を有するおむつ要素の概略平面図を示す。
図3】ウェーブ状結合領域の第2の変形型を有するおむつ要素の概略平面図を示す。
図4】結合領域と引張方向との間の連続的に変化する角度を強調する、ウェーブ形状に延びる結合領域の概略平面図を示す。
図5】ウェーブ状結合領域の別の変形型を有するおむつ要素の概略平面図を示す。
図6】ウェーブ状結合領域の代替的変形型を有するおむつ要素の概略平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1によれば、積層体は弾性材料層1と、ウェーブ状の不織布材料の不織布層2を含む。これはここでは水流交絡不織布材料であり、例示的実施形態においては連続単繊維からのスパンボンディングによる不織布材料が使用される。本発明によれば、不織布材料はウェーブ状にされてから弾性材料層1に結合される。弾性材料層1が押し出されてウェーブ状の不織布層2が形成されると、不織布材料の凹部は溶融可能な弾性材料層1の中に押し込まれ、ウェーブ状の不織布材料2と弾性材料層1との間に結合領域5が構成される。
【0063】
例示的な実施形態における弾性材料層1は、多層共押出フィルムとして実施され、これはコア層3と、スキン層として構成される別の層4を有する。コア層3と別の層4の厚さの比は好ましくは、8:1より大きく、特に10:1より大きく、特に12:1より大きい。スキン層4の重量は好ましくは、1~3g/mである。
【0064】
コア層3は好ましくは、熱可塑性ポリマで構成される。ここでは好ましくは、例えばExxon Vistamaxx(PPベース)のタイプ、VM6102又はVN6202又はVM7810、及び/又はDow Infuse(PEベース)のタイプ、Infuse 9507、Infuse 9107のポリプロピレン-ポリエチレンブロックコポリマが使用される。
【0065】
外側層4は好ましくは、ポリオレフィン又はエチレン酢酸ビニルコポリマ(EVA)で構成される。コア層3とは異なり、外側層4は粘着性を持たず、それゆえ不要な接着が防止される。
【0066】
本発明によれば、積層体は結合領域5と留保領域6を含む。留保領域6は弾性材料層1と結合しないか、又は非常に弱くしか結合せず、好ましくは空洞7を取り囲む。
【0067】
例示的実施形態において、不織布をウェーブ形状にし、ウェーブ状の不織布層2の凹部を溶融可能な弾性材料層1の中へと押し込むローラのウェブ-溝比は1:6であり、ウェブ幅は好ましくは0.5mmであり、溝幅は好ましくは3mmである。
【0068】
例示的実施形態の本発明による結合領域5は、異なるゾーン8、9を有する。
【0069】
外側ゾーン9は弾性材料を含まず、それによって弾性材料は不織布層2を貫通しない。外側ゾーン8の不織布材料は外部からの熱の影響を受けず、それによって不織布の層2の単繊維は溶融しない。
【0070】
固化した弾性材料及び不織布材料の体にぴったりする複合材料が結合領域5の内側ゾーン内にある。ここで、例示的実施形態では、不織布材料は内側ゾーン8内で溶融しない。水流交絡不織布材料の連続する単繊維は単に弾性溶融物の中に押し込まれて、固化すると体にぴったりする複合材料が作られる。水流交絡不織布材料の連続単繊維はそれ自体が結合工程中に大きく影響を受けたままである。これらの連続単繊維は単に、弾性材料層1の溶融可能材料により取り囲まれる。
【0071】
弾性材料が固化すると、不織布材料と弾性材料層1の固化した材料の、体にフィットする複合材料が内側ゾーン8内に存在する。
【0072】
図中に示される積層体は1対のローラ間に相互接続され、図の中で見たときに、凸部を有するプロファイル付きのローラが上から弾性材料層1の中に不織布層2を押し込み、小さい表面を有するカウンタローラがその下に配置される。図1に示される積層体の製造において、冷却ローラがカウンタローラとして使用される。冷却ローラはスチールローラである。上から作用するローラは、冷却されないローラである。
【0073】
結合に使用されるローラは間隔をあけて動作し、一定の間隔が設定される。
【0074】
積層体の比重(specific area weight)は10g/mより大きく、特に20g/mより大きく、好ましくは30g/mより大きく、及び/又は200g/mより小さく、特に150g/mより小さく、好ましくは100g/mより小さい。
【0075】
例示的実施形態において、結合領域5と留保領域6はストリップの形状で実施され、ストリップはおむつ要素の引張方向を横切るように延びる。
【0076】
結合領域5のストリップの幅は0.1~1mmである。例示的実施形態における結合領域5の幅は0.5mmである。
【0077】
不織布層2と弾性材料層1との間に結合部を有していない留保領域6のストリップの幅は2~6mmである。例示的実施形態における留保領域6の幅は3mmである。このように、例示的実施形態における結合領域5は、平坦な、引き伸ばされていない弾性材料層1の表面に関して0.5/3.5=14.3%の割合を有し、留保領域6は3/3.5=85.7%の割合を有する。
【0078】
図2は、ウェーブ状の結合領域5の第1の変形型を有するおむつ要素の概略平面図を示す。結合領域5は引張方向を横切るように延びる。結合領域5は、連続するウェーブ状の線として実施され、これらの線の間隔10は例示的実施形態において約3mmである。
【0079】
結合領域5のウェーブ状プロファイルの想像補助線13は、想像補助線13に関する振幅11としてのウェーブの振れを明示する。結合領域5のウェーブ状のプロファイルの規則的な反復形状において、位相12の長さは最も小さい局所的インタバルを表す。ウェーブ状の線の1つの位相12の長さは30~100mmの範囲で延びる。振幅11の寸法は1~6mmである。振幅11と位相12との比は0.001より大きく、好ましくは0.005より大きく、特に0.01より大きく、及び/又は0.6より小さく、好ましくは0.4より小さく、特に0.2より小さい。
【0080】
図の中で見たときに、上向き及び下向きのブロック矢印は、応力を受けたときのおむつ要素の引張方向を示す。想像補助線13は、結合領域5が延びる方向に対応する。
【0081】
図3は、ウェーブ状の結合領域5の第2の変形型を有するおむつ要素の概略平面図を示す。これらの結合領域5は想像補助線13に沿って、それゆえ応力を受けたおむつ要素の引張方向を横切るように延び、これは、図中で見たときに上向き及び下向きのブロック矢印により示されている。
【0082】
ここで、2つの結合領域5はそれぞれ、鏡対称となるように相互に整列される。想像補助線13の間隔14は、少なくとも振幅11の2倍プラス、少なくとも1mmの最小間隔15である。その結果、結合領域5の最大間隔16は振幅11の4倍プラス最小間隔15に対応する。
【0083】
ウェーブ状の不織布層がその凸部によって中央の層からプリーツ状に突出し、空洞7を取り囲む留保領域6(図示せず)が結合領域5間に配置される。これらの領域6はおむつ要素を引き伸ばすための留保部としての機能を果たす。ウェーブ形状に延びる結合領域5によって、留保領域6は不織布層の異なる留保部を自由に有し、それゆえ、伸長能力の点で異なる留保部を有し、前記留保部は鏡対称的に相互に相補的である。
【0084】
図4は、想像補助線13を基準としてウェーブ形状に延びる結合領域5のウェーブ状プロファイルを概略的に示す。ブロック矢印は、図を見たときに上向き及び下向きであり、応力のかかったおむつ要素の引張方向を示す。
【0085】
その結果、結合領域5の勾配接線と引張応力の方向との間の角度がウェーブ状プロファイルで連続的に変化する。ここで平面図において、ウェーブの山18での角度とウェーブの谷20での角度は正確に90°である。ウェーブの谷での角度(20と同等)からウェーブの山18での角度に向かって、この角度は連続的に増大し、反転ポイントで135°の最大角度17に到達し、その後ウェーブの山18での角度に向かって連続的に減少する。結合領域5の別のプロファイルでは、勾配接線と引張応力の方向との間の角度は、前記角度が反転ポイント19での45°の最小角度に到達するまでさらに減少し、そこから連続的に増大する。
【0086】
図5は、結合領域5が想像補助線13を基準としてウェーブ状に延びるという点で、本発明の別の変形型におけるおむつ要素の概略平面図を示す。相互に隣合わせに配置された結合領域5はその振幅11及び22において、及びその波長12及び21において異なり得る。それゆえ、不織布層が引き伸ばされるための異なる留保部を提供する留保領域6が作られる。詳しく見るとランダムに見える留保領域6と、より広い範囲で見たときには規則的に繰り返される留保領域の整然としたパターンが形成される。
【0087】
図6は、ウェーブ状の結合領域5の代替的な変形型を有するおむつ要素の概略平面図を示す。これらの結合領域5は想像補助線13に沿って延び、それゆえ応力を受けたおむつ要素の引張方向を横切り、これは、図中で見たときに上向きと下向きのブロック矢印によって示されている。
【0088】
ここで相互に隣り合わせに配置された結合領域5は、その振幅11及び波長12においては同じであるが、その位相においては、ずれている。その位相シフト23は、結合領域5が相互に隣り合わせである場合には0~π/2の範囲で実装できる。結合領域5が直接相互に隣合わせに配置されていない場合、位相シフト25及び26は0~2πの範囲内とすることができる。
【0089】
このことは、想像補助線13が異なる間隔22及び24を有し得るという結果をもたらし、これは結合領域5が交差せず、それと同時にできるだけ密に配置された場合に発生する。この観察から、不織布層が引き伸ばされるための異なる留保部を提供する留保領域6が作られる。この概略平面図の小さい領域では、ランダムに見える留保領域6が形成され、前記留保領域6は、より広い範囲で見ると、規則的に繰り返される整然とした留保領域パターンが得られる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】