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特表2023-515312鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/26 20060101AFI20230406BHJP
   A61P 3/12 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61K33/26
A61P3/12
A61P13/12
A61K47/26
A61K47/36
A61K9/20
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022543658
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2021050697
(87)【国際公開番号】W WO2021144364
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】20152163.0
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522285093
【氏名又は名称】ビフォー フレゼニウス メディカル ケア リーナル ファーマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリゾン ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】スピチガー ミリアム
(72)【発明者】
【氏名】イテル メラニー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC14
4C076CC21
4C076DD28
4C076DD41
4C076DD67
4C076EE38
4C076GG12
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA11
4C086HA23
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA20
4C086ZA81
4C086ZC21
(57)【要約】
本発明は、特定の粒径分布を有する、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子、その製造方法、特定の圧縮錠剤においてそれを含む医薬組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子であって、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、好ましくは、125μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上である、粒子。
【請求項2】
90μm~125μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である、請求項1または2に記載の粒子。
【請求項4】
180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項5】
250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項6】
355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項7】
500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項8】
90~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、30重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項9】
それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として
125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、
180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、
250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、
355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上であり、
500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項10】
それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは12重量%以下であり、
180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下であり、
250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、20重量%以下、より好ましくは16重量%以下、さらにより好ましくは13重量%以下であり、
355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、20重量%以下、より好ましくは18重量%以下、さらにより好ましくは16重量%以下であり、
500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、20重量%以下、より好ましくは16重量%以下、さらにより好ましくは13重量%以下である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項11】
それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは4重量%~15重量%の範囲、さらにより好ましくは5重量%~12重量%の範囲であり、
180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは4重量%~15重量%の範囲、さらにより好ましくは5重量%~10重量%の範囲であり、
250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは4重量%~16重量%の範囲、さらにより好ましくは5重量%~13重量%の範囲であり、
355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは5重量%~18重量%の範囲、さらにより好ましくは8重量%~16重量%の範囲であり、
500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは4重量%~16重量%の範囲、さらにより好ましくは5重量%~13重量%の範囲である
請求項1~10のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項12】
710μmを超える粒径を有する粒子の画分は、篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、5重量%未満、好ましくは3重量%未満である、請求項1~11のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項13】
鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロース、1つまたは複数のデンプンおよび水からなる、請求項1~12のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項14】
粒子が鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含み、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、25重量%未満である、請求項1~13のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
【請求項15】
鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子の医薬組成物の製造のための使用であって、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、125μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上である、使用。
【請求項16】
鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子を含む医薬組成物であって、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、125μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上である、医薬組成物。
【請求項17】
鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子を含む医薬組成物を圧縮することにより得られる圧縮医薬組成物であって、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、125μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上である、圧縮医薬組成物。
【請求項18】
錠剤、特にミニまたはマイクロ錠剤から選択される、請求項17に記載の圧縮医薬組成物。
【請求項19】
医薬組成物の総重量を基準として、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、さらに好ましくは少なくとも約97重量%の、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの総量を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
a)上記に定義した粒子、
b)ステアリン酸マグネシウム、
c)タルク、および
d)任意に1つまたは複数の香味剤
を含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
それぞれ医薬組成物の総重量を基準として、約0.75~約1.25重量%のステアリン酸マグネシウム、および約1.0~約3.0重量%のタルクを含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
組成物が、上記に示された賦形剤を除き、さらなる賦形剤を含有しない、請求項16~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
特に慢性腎不全を有する患者における、高リン酸塩血症状態の予防および処置に使用するための、請求項16~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
請求項17~23のいずれか一項に記載の圧縮医薬組成物を製造する製造方法であって、先行請求項のいずれか一項に定義の非圧縮医薬組成物を錠剤、好ましくはミニ錠剤に圧縮する工程を含む、製造方法。
【請求項25】
請求項24に記載の製造方法により得ることができる圧縮錠剤、好ましくはミニ錠剤であって、前記ミニ錠剤は、約9.1~約15.9mg、好ましくは約10.2~約14.8mg、さらにより好ましくは約11.4~約13.6mgの質量を有する、圧縮錠剤。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
スクロオキシ水酸化鉄は、商品名Velphoro(登録商標)で咀しゃく錠として現在市販されているリン酸塩吸着剤である。WO2009/062993(A1)は、経口投与に適した形態で、高装填量のオキシ水酸化鉄を含む医薬組成物を記載している。WO2015/078900は、リン酸結合剤、特にスクロオキシ水酸化鉄を含む医薬組成物が記載されており、ここで、d50での一定の粒度分布を有するリン酸結合剤粒子は、30~120μmの範囲にある。この中に記載されたスクロオキシ水酸化鉄は、噴霧乾燥プロセスにより得られ、次いで、粉末にさらなる賦形剤を配合し、この粉末をプレスし、約500mgの鉄に相当する2500mgのスクロオキシ水酸化鉄を含む咀しゃく剤を得る。特定の用途、特に小児用途、または嚥下障害を有する患者の場合には、このサイズの咀しゃく剤は望ましくない。したがって、本発明者らは、異なる剤形を検討した。一般に1~4mmの直径を有する、マイクロ錠剤などのより小さい錠剤を形成しようと試みたところ、本発明者らは予期しない問題に直面した。明らかに、マイクロ錠剤化工具におけるより高い放出力のために、公知のスクロオキシ水酸化鉄組成物を使用すると、マイクロ錠剤の端に暗褐色の斑点が生じることがわかった。したがって、本発明者らは、この問題を解決する方法を探した。驚くべきことに、噴霧乾燥により得られた公知のスクロオキシ水酸化鉄粒子に、より小さな粒子の減少およびより大きな粒子の増加につながる凝集が生じた場合、錠剤化においてこのような凝集されたスクロオキシ水酸化鉄粒子を使用することで、好適なより小さい錠剤、特に、マイクロ錠剤またはミニ錠剤の製造も可能になることを見出した。
【発明の概要】
【0002】
したがって、本発明は、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子であって、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、好ましくは、125μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上である、粒子を提供する。篩分析は、特に分析的篩分け、好ましくは以下の決定方法による、欧州薬局方2.9.38の粒度分布推定に基づいて行われる。
- 篩分け法=機械的振動(振動篩振とう器、例えばRetsch AS200)
- サンプルサイズ=100g
- 篩の列=0(底板)、90、125、180、250、355、500および710ミクロン
- 振幅レベル=1.5
- 持続時間=10分
【0003】
好ましくは、90μm~125μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
3重量%以上、
より好ましくは4重量%以上、
さらにより好ましくは5重量%以上である。
【0004】
好ましくは、90μm~125μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
20重量%以下、
より好ましくは15重量%以下、
さらにより好ましくは10重量%以下である。
【0005】
好ましくは、90μm~125μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
3重量%~20重量%の範囲にあり、
より好ましくは4重量%~15重量%の範囲、
さらにより好ましくは5重量%~10重量%の範囲にある。
【0006】
好ましくは、125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
3重量%以上、
好ましくは4重量%以上、
より好ましくは5重量%以上である。
【0007】
好ましくは、125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、
20重量%以下、
より好ましくは15重量%以下、
さらにより好ましくは12重量%以下
である。
【0008】
好ましくは、125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
3重量%~20重量%の範囲にあり、
より好ましくは4重量%~15重量%の範囲、
さらにより好ましくは5重量%~12重量%の範囲にある。
【0009】
好ましくは、180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
3重量%以上、
好ましくは4重量%以上、
より好ましくは5重量%以上
である。
【0010】
好ましくは、180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
20重量%以下、
より好ましくは15重量%以下、
さらにより好ましくは10重量%以下
である。
【0011】
好ましくは、180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
3重量%~20重量%の範囲にあり、
より好ましくは4重量%~15重量%の範囲、
さらにより好ましくは5重量%~10重量%の範囲にある。
好ましくは、250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
3重量%以上、
好ましくは4重量%以上、
より好ましくは5重量%以上
である。
【0012】
好ましくは、250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
20重量%以下、
より好ましくは16重量%以下、
さらにより好ましくは13重量%以下
である。
【0013】
好ましくは、250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
3重量%~20重量%の範囲にあり、
より好ましくは4重量%~16重量%の範囲、
さらにより好ましくは5重量%~13重量%の範囲にある。
【0014】
好ましくは、355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
3重量%以上、
好ましくは5重量%以上、
より好ましくは8重量%以上、
である。
【0015】
好ましくは、355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
20重量%以下、
より好ましくは18重量%以下、
さらにより好ましくは16重量%以下
である。
【0016】
好ましくは、355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
3重量%~20重量%の範囲、
より好ましくは5重量%~18重量%の範囲、
さらに好ましくは8重量%~16重量%の範囲
にある。
【0017】
好ましくは、500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
3重量%以上、
好ましくは4重量%以上、
より好ましくは5重量%以上
である。
【0018】
好ましくは、500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
20重量%以下、
より好ましくは16重量%以下、
さらにより好ましくは13重量%以下
である。
【0019】
好ましくは、500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
3重量%~20重量%の範囲、
より好ましくは4重量%~16重量%の範囲、
さらにより好ましくは5重量%~13重量%の範囲
にある。
【0020】
好ましくは、90~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
30重量%以上、
好ましくは35重量%以上、
より好ましくは40重量%以上、
である。
【0021】
好ましくは、90~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
70重量%以下、
より好ましくは60重量%以下、
さらにより好ましくは55重量%以下
である。
【0022】
好ましくは、90μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
30重量%~70重量%の範囲、
より好ましくは35重量%~60重量%の範囲、
さらにより好ましくは40重量%~55重量%の範囲
にある。
【0023】
好ましくは、それぞれ
篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、
3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、
180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、
3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、
250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、
3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、
355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、
3重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上であり、
500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、
3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。
【0024】
好ましくは、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、
20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは12重量%以下であり、
180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、
20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下であり、
250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、
20重量%以下、より好ましくは16重量%以下、さらにより好ましくは13重量%以下であり、
355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、
20重量%以下、より好ましくは18重量%以下、さらにより好ましくは16重量%以下であり、
500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、
20重量%以下、より好ましくは16重量%以下、さらにより好ましくは13重量%以下である。
【0025】
好ましくは、それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは4重量%~15重量%の範囲、さらにより好ましくは5重量%~12重量%の範囲であり、
180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは4重量%~15重量%の範囲、さらにより好ましくは5重量%~10重量%の範囲であり、
250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは4重量%~16重量%の範囲、さらにより好ましくは5重量%~13重量%の範囲であり、
355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは5重量%~18重量%の範囲、さらにより好ましくは8重量%~16重量%の範囲であり、
500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは4重量%~16重量%の範囲、さらにより好ましくは5重量%~13重量%の範囲であり、
好ましくは、710μmを超える粒径を有する粒子の画分は、篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、5重量%未満、好ましくは3重量%未満である。
【0026】
好ましくは、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子は、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロース、1つまたは複数のデンプンおよび場合により残留水からなる。より好ましくは、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子は、スクロオキシ水酸化鉄の粒子である。「スクロオキシ水酸化鉄」(USAN(米国一般名)評議会によって採用されている一般名)は、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロース、およびデンプンの混合物である。WO2015/078900号に記載されているとおり、スクロオキシ水酸化鉄は、安定化された多核鉄(III)-オキシ水酸化物であり、特に、炭酸ナトリウムにより鉄(III)-塩化物溶液から多核鉄(III)-オキシ水酸化物を沈殿させ、続いてスクロースおよびデンプンを添加し、懸濁液を噴霧乾燥させることによって得ることができる。このようなプロセスは、概ね90μm未満の粒子の約80重量%超を有する、すなわち90μm超の粗い粒子の画分が概ね約20重量%以下である、スクロオキシ水酸化鉄の粒子をもたらすが、好適な噴霧乾燥条件を適用することによって、特許請求される粗い粒子を噴霧乾燥プロセスから直接得ることも可能である。ただし、本発明によれば、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子は、好ましくは、以下に記載するとおり、より粗い粒度分布をもたらす凝集または造粒方法であって、
それぞれ上記篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、125μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上である、方法に供される。このような粒子は、任意に、マイクロまたはミニ錠剤に対する非常に少ない量の1つまたは複数の賦形剤を混合した後、マイクロまたはミニ錠剤の端に斑点を形成することなく、特に多量のスクロオキシ水酸化鉄を装填して、圧縮することができる。
【0027】
本明細書で使用される「デンプン」という用語は、天然の、アルファ化され、分解され、修飾され、誘導体化された形態をとる、好ましくは直接圧縮に適した、通常使用されるデンプン製品(例えば、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、米デンプン、タピオカデンプン)、およびそれらの混合物を含む。最も好ましい生成物には、天然およびアルファ化デンプン、例えば、特に重量比(天然:アルファ化)が、10:1~0.5:1の重量範囲、好ましくは3:1~0.5:1の範囲、より好ましくは2:1~1:1の範囲、さらにより好ましくは約2:1である混合物が含まれる。最も好ましくは、重量比が約2:1であるジャガイモデンプンとアルファ化デンプンの混合物が使用される。
【0028】
本発明によれば、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、特にスクロオキシ水酸化鉄の粒子は、粒子の総重量を基準として、好ましくは、約20~約50重量%の鉄(III)-オキシ水酸化物、約20~50重量%のスクロース、および約20~50重量%の1つまたは複数のデンプンを含む。より好ましくは、粒子は、粒子の総重量を基準として、約20~約40重量%の鉄(III)-オキシ水酸化物、約20~40重量%のスクロース、および約20~40重量%の1つまたは複数のデンプンを含む。さらにより好ましくは、粒子は、粒子の総重量を基準として、約28~約38重量%の鉄(III)-オキシ水酸化物、約25~35重量%のスクロース、および約23~33重量%の1つまたは複数のデンプンを含む。さらなる好ましい実施形態において、本発明による粒子は、天然デンプンとアルファ化デンプンの混合物を含む。天然デンプンは、例えばジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、米デンプン、およびタピオカデンプンを含み、好ましくはジャガイモデンプンである。アルファ化デンプンは、水および熱の存在下でデンプン分子の分子間結合を分解し、水素結合部位(ヒドロキシ水素および酸素)をより多くの水に係合させるプロセスであるデンプン糊化によって適切に得られる。上記で説明したとおり、天然デンプンとアルファ化デンプンの混合物、例えば、特に、10:1~0.5:1の重量範囲、好ましくは3:1~0.5:1の範囲、より好ましくは2:1~1:1の範囲、最も好ましくは約2:1の重量比(天然:アルファ化)を有する混合物が、特に好適である。
【0029】
好ましくは、本発明による粒子は、粒子の総重量を基準として、約15~約28重量%、好ましくは約19~約23重量%の鉄含有量を有する。
【0030】
本発明による粒子は、粒子の総重量を基準として、約15重量%以下、好ましくは最大約10重量%の量の水を含むことができる。
本発明による粒子、特に、スクロオキシ水酸化鉄の粒子は、好適には、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロース、1つまたは複数のデンプンおよび水からなる。
【0031】
本発明はさらに、本発明による粒子の好ましい製造方法に関し、ここで、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子であって、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が25重量%未満である粒子は、凝集または造粒プロセス、例えば乾式または湿式造粒プロセス、好ましくは乾式造粒(圧密化)プロセスに供される。本発明による製造方法の特定の好ましい実施形態において、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子であって、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%未満である、粒子が、ローラーコンパクターによる圧縮に供される。ローラー圧縮は、好ましくは、以下のように実施される。薬物物質が、規定のローラーギャップおよび液圧を有するローラーコンパクターにかけられて、チョッパで破壊され、次いで規定の最終メッシュスクリーンサイズを通して微粉化されるリボンを得る。前述のとおり、別の方法として、本発明による粒子は、噴霧乾燥条件を適切に調整することにより噴霧乾燥プロセスによって直接得ることもできる。
【0032】
鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子であって、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が25重量%未満であり、凝集プロセスの出発物質として使用される、粒子が、好ましくは、前述の鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む水性懸濁液を噴霧乾燥することによって得られる。好ましくは、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄を含む、水性懸濁液は、噴霧乾燥の前に、霧化される。供給物の霧化は、一般に、単一流体ノズルまたは加圧式、二流体ノズルまたは空気圧式、および遠心(回転ディスク)式の基本的な供給装置によって実現することができる。本発明において、霧化は、好ましくは、遠心(回転ディスク)式噴霧器で行われる。遠心噴霧は遠心力による分散を実現し、供給液は回転ディスクにポンプで送り込まれる。本発明において、特に、Anhydro社製噴霧乾燥プラントCSD No.73型での噴霧乾燥が、適切な乾燥プロセスをもたらすことが見出された。濃縮された水性PA21懸濁液の霧化のために、遠心噴霧器CE250を使用することができる。遠心噴霧器CE250は、液体供給物を高速ホイールに供給することによって霧化を行う。回転噴霧器では、ホイール速度を調整することができ、それにより、ノズルよりも粒径を良好に調整することができる。さらに、回転霧化は、より短い噴霧乾燥器により適している。噴霧乾燥プロセスから得られた粉末は良好な流動性を有していなければならず、乾燥生成物の粒径は小さすぎてはならない。回転噴霧器では、粒子の大きさは、特に車輪速度の変動によって調整することができる。噴霧器の車輪速度は、噴霧乾燥器の乾燥室に入る液滴の大きさを規定する。液滴の大きさは乾燥粉末の粒径および乾燥時の粉末の損失に影響する。より小さな液滴が含有する水は、乾燥室を通過する途中でより速く蒸発し、より少なくなるので、より高速なホイール速度により、より小さな液滴が製造され、より小さな粒径の乾燥粉末が得られ、乾燥時の損失がより少なくなる。車輪速度と粒径との間の相関はチャンバの幾何学的形状に依存するので、チャンバの幾何学的形状を個々のプラントに適合させる必要がある。好ましいAnhydro噴霧乾燥プラントCSD No.73型の幾何学的形状のために、12000~20000rpmの車輪速度を使用することが、所望の粒度分布を得るのに適していることがわかった。空気の入口温度は、噴霧乾燥器にもたらされる乾燥エネルギーを規定する。このエネルギーは、入口ガス流と一緒に、乾燥能力を規定する。入口ガス流は約1.9×10/時にて一定に維持される。入口温度は、Anhydro社製噴霧乾燥プラントCSD No.73型では130~180℃の範囲が好適であることが見出された。
【0033】
本発明はさらに、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子の使用、好ましくは、医薬組成物の製造のために、それぞれ上記篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、125μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上である、スクロオキシ水酸化鉄の粒子の使用に関し、したがって、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくは、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、125μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上である、スクロオキシ水酸化鉄の粒子を含む医薬組成物にも関する。特定の好ましい実施形態は、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくは、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μm超の粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、125μm超の粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上である、スクロオキシ水酸化鉄の粒子を含む医薬組成物を圧縮することにより得られる圧縮医薬組成物に関する。本発明による圧縮医薬組成物は、好ましくは、錠剤、特に、通常1~4ミリメートルの直径を有するミニまたはマイクロ錠剤から選択される。例えば、円筒形状の場合、直径は通常、シリンダの底面の直径であり、球形状の場合、直径は通常、球の直径である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態において、医薬組成物は、医薬組成物の総重量を基準として、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、さらにより好ましくは少なくとも約97重量%の、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの総量、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄を含む。
【0035】
本発明の医薬組成物は、好ましくは、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプン、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄ならびに1つまたは複数の賦形剤、例えば、充填剤、結合剤、希釈剤、滑沢剤、崩壊剤、流動促進剤、着色剤、香味剤、甘味剤、吸着剤、安定剤、界面活性剤、コーティング材料または可塑剤を含む。
【0036】
賦形剤は、典型的には、例えば、(乾燥重量基準で)0.01重量%~10重量%、または0.01重量%~6重量%、または0.1重量%~6重量%の量で使用される。好ましくは、追加の賦形剤は、香味剤、甘味剤または呈味増強剤、流動促進剤または滑沢剤から選択されるものであり、滑沢剤は、好ましくは、Aerosil(登録商標)のようなステアリン酸マグネシウムまたはコロイド状シリカから選択され、これらは、(乾燥重量基準で)10重量%以下、好ましくは6重量%以下、より好ましくは3重量%以下の量で使用される。
【0037】
好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、少なくとも1つの滑沢剤、好ましくはステアリン酸マグネシウムおよび香味剤を含む。1つ、2つ、3つまたはそれ以上の希釈剤または充填剤をさらに薬学的に許容される賦形剤として選択することができる。薬学的に許容される充填剤および薬学的に許容される希釈剤の例には、例えば、粉砂糖、精製白糖、デキストラン、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース、粉末セルロース、ソルビトール、スクロースおよびタルクが含まれるがこれらに限定されない。好ましい希釈剤には、例えば微結晶セルロースが含まれる。微結晶セルロースは、いくつかの供給者から入手可能である。好適な微結晶セルロースには、FMC社によって製造されたAvicel製品が含まれる。別の希釈剤は、例えばラクトースである。希釈剤、充填剤は、例えば、それぞれ組成物の約0.1重量%~20重量%および約0.5重量%~40重量%の量で存在してもよい。1つ、2つ、3つまたはそれ以上の崩壊剤を選択することができる。薬学的に許容される崩壊剤の例には、例えば、デンプン;クレー;セルロース;アルギン酸塩;ガム;架橋ポリマー、例えば架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルシウムカルボキシメチルセルロースおよび架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム;大豆多糖類;およびグアーガムが含まれるがこれらに限定されない。例えば、崩壊剤は、組成物の約0.01重量%~約10重量%の量で存在してもよい。崩壊剤はまた、錠剤配合物の任意ではあるが有用な成分である。崩壊剤は、錠剤が許容可能な崩壊速度を有することを確実にするために含まれる。典型的な崩壊剤には、デンプン誘導体およびカルボキシメチルセルロースの塩が含まれる。グリコール酸ナトリウムデンプンは、この製剤のための好ましい崩壊剤である。1つ、2つ、3つまたはそれ以上の滑沢剤を選択することができる。薬学的に許容される滑沢剤および薬学的に許容される流動促進剤の例には、例えば、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、タルク、第三リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ポリエチレングリコールおよびベヘン酸グリセロールが含まれるが、これらに限定されない。滑沢剤は、例えば、組成物の約0.01~10重量%または0.1重量%~約6重量%の量で存在してよく、流動促進剤は、例えば、約0.01~10重量%または約0.1重量%~約10重量%の量で存在してよい。滑沢剤は、典型的には、錠剤ブレンドがパンチに付着することを防止し、錠剤圧縮中の摩擦を最小にし、圧縮錠剤をダイから取り出すことを可能にするために添加される。このような滑沢剤は、一般に、最終錠剤混合物中に通常約2重量%以下の量で含まれる。滑沢剤成分は、疎水性であっても親水性であってもよい。このような滑沢剤の例には、例えば、ステアリン酸、タルクおよびステアリン酸マグネシウムが含まれる。ステアリン酸マグネシウムは、錠剤の圧縮および排出の間に、ダイ壁と錠剤混合物との間の摩擦を減少させる。ステアリン酸マグネシウムは、パンチおよびダイへの錠剤の付着を防止するのに役立つ。ステアリン酸マグネシウムはまた、ホッパー内およびダイ内への粉末の流れを助ける。好ましい滑沢剤である、ステアリン酸マグネシウムも、製剤に使用される。好ましくは、滑沢剤は、約0.01~10重量%または約0.1重量%~約6重量%の量で錠剤製剤中に存在し、同様に、好ましくは組成物の約0.1重量%~約4重量%、最も好ましくは約0.1重量%~約2重量%の量で存在する。他の可能な滑沢剤には、タルク、ポリエチレングリコール、シリカおよび硬化植物油が含まれる。本発明の任意の実施形態では、滑沢剤は製剤中には存在しないが、製剤に直接添加されるのではなく、ダイまたはパンチ上に噴霧される。従来の固体充填剤または担体は、例えば、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリンおよびジステアリン酸グリセリル、ソルビトール、マンニトール、ゼラチン、天然または合成ゴム、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸塩、デキストラン、アラビアゴム、カラヤゴム、ローカストビーンガム、トラガカントゴム等の物質であり、希釈剤、結合剤、崩壊剤、着色剤および香味剤を任意に使用することができる。結合剤は、粉末材料に粘着性を付与する薬剤である。賦形剤としての薬学的に許容される結合剤の例には、デンプン、糖;セルロースおよびそれらの誘導体、例えば、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース;スクロース;グルコース、デキストロース、ラクトースデキストロース;コーンシロップ;多糖類;およびゼラチンが含まれるが、これらに限定されない。臨床試験の間、本出願人は、リン酸結合剤の味が被験者には認識されず、治療処置に関するコンプライアンス(処置アドヒアランス)に直接影響を与えなかったことをさらに認識した。明確にするために、スクロースおよびデンプンは、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む有効成分の一部であり、特に、スクロオキシ水酸化鉄は、本明細書に上げられた結合剤、甘味剤等のような賦形剤として扱われていないことに留意されたい。さらなる実施形態では、本発明の医薬組成物は、経口投薬形態に典型的に使用される、1つまたは複数の香味または矯味および着色添加剤、例えば香味剤、甘味剤、呈味増強剤、着色剤等を含む。好ましい実施形態において、本発明の製剤、組成物および錠剤は、ウッドベリー風味による香味剤を含む。ウッドベリー風味により、特許請求されたリン酸結合剤錠剤のより良好なコンプライアンスおよび受容が得られる。矯味剤、例えば呈味増強剤、着香剤、および/または高甘味度甘味剤を含む天然または人工甘味剤を経口投薬形態に配合して、より心地よい味を与え、または不快な味をマスクすることができる。賦形剤としての典型的な甘味剤は、限定されないが、砂糖、例えば、スクロース、フルクトース、ラクトース、菓子砂糖(confectionery sugar)、粉末砂糖(powdered sugar)を含み、または例えば、ソルビトール(例えば、Neosorb)、キシトール、マルチトール、マルトースおよびポリデキストロース、もしくはこれらの混合物であるポリオールである。典型的な高甘味度甘味剤には、例えば、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、および/またはサッカリン誘導体、またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。さらなる好適な甘味剤または呈味増強剤には、例えば、グリコシド、例えば、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン(ネオヘスペリジンDCまたはNHDC)、グリチルリチン、グルタミン酸等が含まれる。後者は、非常に少ない量で使用することができ、したがって、以下では呈味増強剤と称されることがある。上記の全ては、単独で、または他の甘味剤および/または着香剤との混合物として使用するのに適している。これらの物質は、甘味の余韻が長く続くようにし、不快な後味を覆い隠す。好ましい甘味剤および/または呈味増強剤には、グリコシド、例えばネオヘスペリジンジヒドロカルコンが含まれる。一実施形態において、一般に好まれる甘味剤は、組成物の総重量に対して、0.00001~2%(重量/重量)、好ましくは0.00001~0.1%(重量/重量)、最も好ましくは0.00001~0.001%(重量/重量)の量で存在し得る。一般に好まれる呈味増強剤は、組成物の総重量に対して、0.1~50ppm、好ましくは1~10ppm、最も好ましくは1~5ppmの量で存在し得る。典型的な香味剤には、医薬用途に適した任意の天然および人工香味剤、例えば、香辛料、果実または果汁、野菜または野菜汁等から誘導される香味剤、例えば、ココア、カラメル、バニラ、リンゴ、アプリコット、液果(例えば、ブラックベリー、アカフサスグリ、クロフサスグリ、イチゴ、ラズベリー、ウッドベリー等)、ミント、パネトーネ、蜂蜜、堅果、麦芽、コーラ、ベルベーヌ(バーベナ)、またはこれらの任意の組み合わせ、例えばカラメル/バニラ、果実/クリーム(例えば、イチゴ/クリーム)等をベースとする香味剤が含まれる。一実施形態において、一般に好まれる香味剤は、組成物の総重量に対して、0.01~12%(重量/重量)、好ましくは0.1~6%(重量/重量)、最も好ましくは0.1~4%(重量/重量)の量で存在し得る。有用な賦形剤のさらなる例は、参照により本明細書に組み込まれる、Handbook of pharmaceutical excipients、第3版、A.H.Kibbe編、American Pharmaceutical Association、Washington D.C.、ISBN:0-917330-96-X、またはHandbook of Pharmaceutical Excipients、第4版、Raymond C Rowe編、Science and Practiceに記載されている。
【0038】
好ましくは、本発明による医薬組成物は、医薬組成物の総重量を基準として、約10重量%以下、好ましくは約5重量%以下、より好ましくは約3重量%以下の量で、1つまたは複数の賦形剤、例えば、充填剤、結合剤、希釈剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、甘味剤、収着剤、安定剤、界面活性剤、コーティング材料または可塑剤を含む。特定の好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、滑沢剤および流動促進剤から選択される1つまたは複数の賦形剤を含む。本発明の一実施形態において、医薬組成物は、医薬組成物の総重量を基準として、約0.5~約5重量%の量で、滑沢剤および流動促進剤から選択される1つまたは複数の賦形剤を含む。特定の好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は、
a)鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物、好ましくは上記のスクロオキシ水酸化鉄、
b)ステアリン酸マグネシウム、
c)タルク、および
d)任意に1つまたは複数の香味剤
を含む。
【0039】
マイクロ錠剤化工具における放出力の顕著な低下のため、このような医薬組成物は、マイクロまたはミニ錠剤の形成に特に適したものになっている。
【0040】
好ましくは、この医薬組成物は、医薬組成物の総重量を基準として少なくとも約0.5重量%のステアリン酸マグネシウム、より好ましくは医薬組成物の総重量を基準として約0.5~約1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。好ましくは、この医薬組成物は、医薬組成物の総重量を基準として、少なくとも約0.5重量%のタルク、より好ましくは少なくとも1.0重量%のタルクを含む。
【0041】
さらに好ましい実施形態において、医薬組成物は、医薬組成物の総重量を基準として約0.5~約1.5重量%のステアリン酸マグネシウム、および医薬組成物の総重量を基準として少なくとも約0.5重量%、より好ましくは少なくとも1.0重量%のタルクを含み、好ましくは、それぞれ医薬組成物の総重量を基準として、約0.75~約1.25重量%のステアリン酸マグネシウム、および約1.0~約3.0重量%のタルクを含む。
【0042】
本発明によるこの医薬組成物のさらに好ましい実施形態において、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクの総量は、医薬組成物の総重量を基準として3.0重量%を超えない。
【0043】
本発明による特に好ましい医薬組成物は、それぞれ医薬組成物の総重量を基準として、96~98重量%の、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄、0.75~1.25重量%のステアリン酸マグネシウムおよび1.0~3.0重量%のタルクを含み、より好ましくは、本発明による医薬組成物は、それぞれ医薬組成物の総重量を基準として、96~98重量%の、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄、0.75~1.25重量%のステアリン酸マグネシウムおよび1.0~3.0重量%のタルク、ならびに任意に香味剤からなる。
【0044】
好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、いかなる甘味剤も含有しない。同様に、好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、いかなるシリカも含有しない。同様に、好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、いかなる香味剤も含有しない。同様に、好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、いかなるマクロゴールも含有しない。同様に、好ましい実施形態において、本発明による医薬組成物は、ステアリン酸マグネシウム、タルクおよび香味剤以外に、さらなる賦形剤を含有しない。
【0045】
本発明による医薬組成物は、特に慢性腎不全を有する患者における、高リン酸塩血症状態の予防および処置に使用するために特に有用である。したがって、本発明による医薬組成物は、胃腸管内の食物由来のリン酸塩を吸着する能力という点から、不平衡のリン酸塩レベルから生じる高リン酸塩血症または状態を処置する(例えば、透析中である慢性腎臓病(CKD)を有する患者の血清リン値を制御する際に治療的に使用する)うえで有効である。
【0046】
本発明はさらに、本発明による圧縮医薬組成物の製造方法であって、上記に規定された非圧縮医薬組成物を錠剤に圧縮する工程を含む方法に関する。このような方法は、好ましくは、圧縮錠剤を得るために医薬組成物を圧縮する前に、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄を乾式造粒(圧密化)する工程を含む。圧縮前の乾式造粒工程は、好ましくはローラー圧縮により実施される。
【0047】
好ましい実施形態において、本発明は、タルクを含む医薬組成物の製造方法であって、タルクを篩分けし、篩分けされたタルクを、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄に添加し、篩分けされたタルクと鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄をブレンドして、プレブレンドを得る工程をさらに含む方法に関する。特に好ましいこのような方法は、ステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物の製造方法であって、ステアリン酸マグネシウムを篩分けし、篩分けされたステアリン酸マグネシウムを、タルクと鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄とを含むプレブレンドの一部に混合し、得られた混合物を残りのプレブレンドと混合して最終ブレンドを得て、最終プレブレンドを圧縮して圧縮医薬組成物を得る工程をさらに含む方法である。
【0048】
したがって、本発明はさらに、前述の方法により得られる圧縮錠剤に関し、特に、ミニ錠剤またはマイクロ錠剤である圧縮錠剤に関する。通常、このようなマイクロまたはミニ錠剤は、約1~4mmの直径を有する。好ましくは、ミニ錠剤またはマイクロ錠剤の直径は、約1~4mmの範囲、より好ましくは約1.5~3mmの範囲である。好ましい実施形態において、本発明による圧縮ミニまたはマイクロ錠剤は、約9.1~約15.9mg、好ましくは約10.2~約14.8mg、さらに好ましくは約11.4~約13.6mgの質量を有する。好ましくは、本発明による圧縮錠剤、特にマイクロまたはミニ錠剤は円筒形であり、円筒の直径は好ましくは約1.7mm~約2.3mmの範囲であり、円筒の高さは好ましくは約2.5~約3.1mmの範囲である。本発明による圧縮錠剤、特にマイクロまたはミニ錠剤の円筒の直径対高さの比は、約0.55~約0.92の範囲、より好ましくは約0.6~約0.8の範囲、最も好ましくは約0.65~約0.75の範囲である。
【0049】
本発明による圧縮錠剤は、好ましくは、欧州薬局方モノグラフ2.9.8に従う硬度計により決定された約5N~約25nの範囲の錠剤の平均硬度を有する。
【0050】
本発明による圧縮錠剤は、好ましくは、欧州薬局方モノグラフ2.9.7に従う摩耗ドラムを装着した錠剤破砕試験装置により決定された、2.0以下、好ましくは1.0%未満である錠剤の破砕性を有する。
【0051】
本発明による圧縮錠剤は、欧州薬局方モノグラフ2.9.1に従う崩壊試験装置A(ディスク装備)により決定された15分以下の錠剤の崩壊時間を有する。
【0052】
本発明のさらなる実施形態は、前述した複数のミニまたはマイクロ錠剤を包含するサッシェまたはスティックパックに関する。このようなサッシェまたはスティックパックは、好ましくは、約100~300個、好ましくは150~250個、より好ましくは180~220個のミニまたはマイクロ錠剤を含む。
【0053】
好ましくは、本発明によるサッシェまたはスティックパックは、約500mg~約3700mgの鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄、より好ましくは、約600mg~約3600mgの鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄、さらに好ましくは、約800mg~約3500mgの鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄、さらにより好ましくは、約1500mg~約3500mgの鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの混合物を含む。本発明によるサッシェまたはスティックパックは、好ましくは、子どもに安全なものであり、例えばISO8317に従うものである。
【0054】
ミニまたはマイクロ錠剤は、好ましくは、マイクロ錠剤投薬用ディスペンサー内で提供される。マイクロ錠剤投薬用ディスペンサーには、例えば、Sensidose(登録商標)、sMTS(登録商標)、IQ dose(登録商標)またはホメオパシーチューブ(homeopathic tube)という、最も高度な技術を用いたものから最も単純なものまである。
【0055】
以下では、本発明の好ましい実施形態を要約する。
【0056】
1. 鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子であって、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、好ましくは、125μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらにより好ましくは35重量%以上である、粒子。
【0057】
2. 90μm~125μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、より好ましくは5重量%以上である、実施形態1に記載の粒子。
【0058】
3. 125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは5重量%以上である、実施形態1または2に記載の粒子。
【0059】
4. 180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは5重量%以上である、実施形態1~3のいずれかに記載の粒子。
【0060】
5. 250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは5重量%以上である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の粒子。
【0061】
6. 355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは5重量%以上である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の粒子。
【0062】
7. 500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは5重量%以上である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の粒子。
【0063】
8. 90μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、30重量%以上、好ましくは35重量%以上である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の粒子。
【0064】
9. それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、3重量%以上、好ましくは5重量%以上であり、
180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、3重量%以上、好ましくは5重量%以上であり、250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、3重量%以上、好ましくは5重量%以上であり、355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、3重量%以上、好ましくは5重量%以上であり、500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、3重量%以上、好ましくは5重量%以上である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の粒子。
【0065】
10. 篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、710μmを超える粒径を有する粒子の画分が、5重量%未満、好ましくは3重量%未満である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の粒子。
【0066】
11. 鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロース、1つまたは複数のデンプンおよび任意に水からなる、先行実施形態1~10のいずれか1つに記載の粒子。
【0067】
12. スクロオキシ水酸化鉄により形成される、先行実施形態1~11のいずれか1つに記載の粒子。
【0068】
13. 粒子の総重量を基準として、約20~約50重量%の鉄(III)-オキシ水酸化物、約20~50重量%のスクロース、および約20~50重量%の1つまたは複数のデンプンを含む、先行実施形態1~12のいずれか1つに記載の粒子。
【0069】
14. 粒子の総重量を基準として、約20~約40重量%の鉄(III)-オキシ水酸化物、約20~40重量%のスクロース、および約20~40重量%の1つまたは複数のデンプンを含む、先行実施形態1~13のいずれか1つに記載の粒子。
【0070】
15. 粒子の総重量を基準として、約28~約38重量%の鉄(III)-オキシ水酸化物、約25~35重量%のスクロース、および約23~33重量%の1つまたは複数のデンプンを含む、先行実施形態1~14のいずれか1つに記載の粒子。
【0071】
16. 好ましくは10:1~0.5:1の範囲、好ましくは3:1~0.5:1の範囲、より好ましくは約2:1の範囲の重量比(天然:アルファ化)を有する、天然デンプンとアルファ化デンプンの混合物、好ましくは、アルファ化デンプンとジャガイモデンプンの混合物を含む、先行実施形態1~15のいずれか1つに記載の粒子。
【0072】
17. 粒子の総重量を基準として、約15~約28重量%、好ましくは約19~約23重量%の鉄含有量を有する、先行実施形態1~16のいずれか1つに記載の粒子。
【0073】
18. 粒子の総重量を基準として、約15重量%以下、好ましくは約10重量%以下の量の水を含む、先行実施形態1~17のいずれか1つに記載の粒子。
【0074】
19. 鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロース、1つまたは複数のデンプンおよび水からなる、先行実施形態1~18のいずれか1つに記載の粒子。
【0075】
20. 鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロース、2つ以上のデンプンの混合物および水からなる、先行実施形態1~19のいずれか1つに記載の粒子。
【0076】
21. 鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロース、天然デンプンとアルファ化デンプンの混合物および水からなる、先行実施形態1~20のいずれか1つに記載の粒子。
【0077】
22. 粒子が鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含み、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、25重量%未満である、先行実施形態のいずれか1つに記載の粒子の製造方法。
【0078】
23. 粒子が、乾式または湿式造粒、好ましくは乾式造粒(圧縮)に供される、先行実施形態22に記載の製造方法。
【0079】
24. 粒子が、ローラーコンパクターによる圧縮に供される、先行実施形態22または23に記載の粒子の製造方法。
【0080】
25. 鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含み、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%未満である粒子が、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む水性懸濁液を噴霧乾燥することによって調製される、先行実施形態22~24のいずれか1つに記載の粒子の製造方法。
【0081】
26. 鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくは、スクロオキシ水酸化鉄の粒子の医薬組成物の製造のための使用であって、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、125μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上である、使用。
【0082】
27. 鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子を含む医薬組成物であって、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、125μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上である、医薬組成物。
【0083】
28. 鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子を含む医薬組成物を圧縮することにより得られる圧縮医薬組成物あって、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、125μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上である、圧縮医薬組成物。
【0084】
29. 錠剤、特にミニまたはマイクロ錠剤から選択される、先行実施形態28に記載の圧縮医薬組成物。
【0085】
30. 医薬組成物の総重量を基準として、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、さらにより好ましくは少なくとも約97重量%の、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの総量を含む、先行実施形態27~29のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0086】
31. 医薬組成物の総重量を基準として、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、さらにより好ましくは少なくとも約97重量%のスクロオキシ水酸化鉄を含む、先行実施形態27~30のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0087】
32. 1つまたは複数の賦形剤、例えば、充填剤、結合剤、希釈剤、滑沢剤、崩壊剤、流動促進剤、着色剤、香味剤、甘味剤、収着剤、安定剤、界面活性剤、コーティング材料または可塑剤を含む、先行実施形態27~31のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0088】
33. 医薬組成物の総重量を基準として、約10重量%以下、好ましくは約5重量%以下、より好ましくは約3重量%以下の量で、1つまたは複数の賦形剤、例えば、充填剤、結合剤、希釈剤、滑沢剤、崩壊剤、流動促進剤、着色剤、香味剤、甘味剤、収着剤、安定剤、界面活性剤、コーティング材料または可塑剤を含む、先行実施形態27~32のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0089】
34. 滑沢剤および流動促進剤から選択される1つまたは複数の賦形剤を含む、先行実施形態27~33のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0090】
35. 医薬組成物の総重量を基準として、約0.5~約5重量%の量で、滑沢剤および流動促進剤から選択される1つまたは複数の賦形剤を含む、先行実施形態27~34のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0091】
36.
a)上記に定義した粒子、
b)ステアリン酸マグネシウム、
c)タルク、および
d)任意に1つまたは複数の香味剤
を含む、先行実施形態27~35のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0092】
37. 医薬組成物の総重量を基準として、少なくとも約0.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、先行実施形態27~36のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0093】
38. 医薬組成物の総重量を基準として、約0.5~約1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、先行実施形態27~37のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0094】
39. 医薬組成物の総重量を基準として、少なくとも約0.5重量%のタルク、より好ましくは少なくとも1.0重量%のタルクを含む、先行実施形態27~38のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0095】
40. 医薬組成物の総重量を基準として、約0.5~約1.5重量%のステアリン酸マグネシウム、および医薬組成物の総重量を基準として、少なくとも約0.5重量%、より好ましくは少なくとも1.0重量%のタルクを含む、先行実施形態27~39のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0096】
41. それぞれ医薬組成物の総重量を基準として、約0.75~約1.25重量%のステアリン酸マグネシウム、および約1.0~約3.0重量%のタルクを含む、先行実施形態27~40のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0097】
42. ステアリン酸マグネシウムおよびタルクの総量が、医薬組成物の総重量を基準として、3.0重量%を超えない、先行実施形態27~41のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0098】
43. 組成物が、それぞれ医薬組成物の全重量を基準として、96~98重量%の、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子、0.75~1.25重量%のステアリン酸マグネシウム、ならびに1.0~3.0重量%のタルクを含む、先行実施形態27~42のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0099】
44. 組成物が、いかなる甘味剤も含有しない、先行実施形態27~43のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0100】
45. 組成物が、いかなるシリカも含有しない、先行実施形態27~44のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0101】
46. 組成物が、いかなる香味剤も含有しない、先行実施形態27~45のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0102】
47. 組成物が、いかなるマクロゴールも含有しない、先行実施形態27~46のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0103】
48. 組成物が、上記に示された賦形剤を除き、さらなる賦形剤を含有しない、先行実施形態27~47のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0104】
49. 特に慢性腎不全を有する患者における、高リン酸塩血症状態の予防および処置に使用するための、先行実施形態27~48のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0105】
50. 先行実施形態28~49のいずれか1つに記載の圧縮医薬組成物の製造方法であって、先行実施形態のいずれか1つに記載の非圧縮医薬組成物を錠剤に圧縮する工程を含む、製造方法。
【0106】
51. 圧縮錠剤を得るために医薬組成物を圧縮する前に、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子の乾燥造粒(圧密化)を行う工程を含む、実施形態50に記載の医薬組成物の製造方法。
【0107】
52. 圧縮前の乾式造粒工程が、ローラー圧密化により実施される、実施形態50に記載の医薬組成物の製造方法。
【0108】
53. タルクを篩分けし、篩分けされたタルクを、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子に添加し、篩分けされたタルクと鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子をブレンドして、プレブレンドを得る工程をさらに含む、実施形態50~52のいずれか1つに記載の、タルクを含む医薬組成物の製造方法。
【0109】
54. ステアリン酸マグネシウムを篩分けし、篩分けされたステアリン酸マグネシウムをプレブレンドの一部に混合し、それをプレブレンドの残りと混合して、最終ブレンドを得る工程をさらに含む、実施形態53に記載の、ステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物の製造方法。
【0110】
55. 実施形態50~54.のいずれか1つに記載の方法によって得ることができる圧縮錠剤。
【0111】
56. 圧縮錠剤が、ミニまたはマイクロ錠剤である、実施形態55に記載の圧縮錠剤。
【0112】
57. 錠剤の質量が、約9.1~約15.9mg、好ましくは約10.2~約14.8mg、さらにより好ましくは約11.4~約13.6mgである、実施形態56に記載の圧縮されたミニまたはマイクロ錠剤。
【0113】
58. 錠剤が、円筒形状を有する、実施形態56または57に記載の圧縮錠剤。
【0114】
59. ミニまたはマイクロ錠剤の直径が、約1~4mm、好ましくは約1.5~3mmの範囲である、実施形態56~58のいずれか1つに記載の圧縮錠剤。
【0115】
60. 円筒の直径が、約1.7mm~約2.3mmの範囲である、実施形態58または59に記載の圧縮錠剤。
【0116】
61. 円筒の高さが、約2.5~約3.1mmの範囲である、実施形態58~60のいずれか1つに記載の圧縮錠剤。
【0117】
62. 円筒の直径対高さの比が、約0.55~約0.92の範囲、より好ましくは約0.6~約0.8の範囲、最も好ましくは約0.65~約0.75の範囲である、実施形態58~61のいずれか1つに記載の圧縮錠剤。
【0118】
63. 錠剤の平均硬度が、欧州薬局方モノグラフ2.9.8に従う硬度計により決定された約5N~約25Nの範囲にある、実施形態55~62のいずれか1つに記載の圧縮錠剤。
【0119】
64. 錠剤の破砕性が、欧州薬局方モノグラフ2.9.7に従う摩耗ドラムを装着した錠剤破砕試験装置により決定された、2.0以下、好ましくは1.0%以下である、実施形態55~63のいずれか1つに記載の圧縮錠剤。
【0120】
65. 錠剤の崩壊時間が、欧州薬局方モノグラフ2.9.1に従う崩壊試験装置A(ディスク装備)により決定された15分以下である、実施形態55~64のいずれか1つに記載の圧縮錠剤。
【0121】
66. 実施形態56~65のいずれか1つに記載の複数のミニまたはマイクロ錠剤を包含するサッシェまたはスティックパック。
【0122】
67. 約100~300個、好ましくは150~250個、より好ましくは180~220個のミニまたはマイクロ錠剤を含む、実施形態66に記載のサッシェまたはスティックパック。
【0123】
68. 約500mg~約3700mgの、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子を含む、実施形態66または67に記載のサッシェまたはスティックパック。
【0124】
69. 約600mg~約3600mgの、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子を含む、実施形態66~68のいずれか1つに記載のサッシェまたはスティックパック。
【0125】
70. 約800mg~約3500mgの、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子を含む、実施形態66~69のいずれか1つに記載のサッシェまたはスティックパック。
【0126】
71. 約1500mg~約3500mgの、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子、好ましくはスクロオキシ水酸化鉄の粒子を含む、実施形態66~70のいずれか1つに記載のサッシェまたはスティックパック。
【0127】
72. 子どもに安全なものである、実施形態66~71のいずれか1つに記載のサッシェまたはスティックパック。
【0128】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0129】
図1図1は、放出力の発生に関する結果を示す。
図2図2は、5つのバッチの結果を示す。
図3図3は、4つのバッチの結果を示す。
【実施例
【0130】
比較例1
WO2008/062993およびWO2015/078900に記載されている噴霧乾燥により、スクロオキシ水酸化鉄(約33重量%の鉄(lll)-オキシ水酸化物、約30重量%のスクロース、約28重量%のデンプン、および水の混合物)を得た。スクロオキシ水酸化鉄の粒径は、少なくとも約82重量%が、5つのバッチの結果を示す図2に示すとおり、篩分析により決定された90μm未満の粒径を有していたというものだった。レーザー回折により決定した体積平均粒径d50は、約55~56μmであった。
【実施例
【0131】
比較例1で得たスクロオキシ水酸化鉄を、以下のプロセスパラメータを有するローラーコンパクター(Alexanderwerk製モデルWP120)によるローラー圧密化に供した。
【0132】
【表1】
【0133】
ローラー圧密化プロセスの間、薬物物質は、ローラーコンパクターを通過する。薬物物質は、チョッパで破壊された後、およそ0.63mmの最終メッシュスクリーンサイズを経て粉砕されるリボン中で圧密化される。この乾式圧密化工程は、薬物物質の粒子がより粗い粒度分布を有するように実施される。したがって、得られた圧密化スクロオキシ水酸化鉄は、約44重量%が、4つのバッチの結果を示す図3に示すとおり、篩分析により決定された90μm未満の粒径を有していた。
【0134】
錠剤化例
比較例1および実施例1のそれぞれの1バッチ分のスクロオキシ水酸化鉄粒子を、それぞれ以下の表に示す量(量は重量部である)の香味剤、篩分けしたタルクおよび篩分けしたステアリン酸マグネシウムと混合した。
【0135】
【表2】
【0136】
篩分けされたタルクと香味剤との手動ブレンドを用いて混合工程を開始して、プレプレブレンド1を得た。次いで、このプレブレンドを篩分けされた薬物物質の一部と混合してプレブレンド2を得た。篩分けされたステアリン酸マグネシウムをプレブレンド2に添加して、プレブレンド3を得て、プレブレンドを5分間混合して最終ブレンドを得た。
【0137】
次いで、表に示す錠剤組成物を、16本のパンチを取り付けた回転錠剤プレスにより錠剤化し、放出力(マルチチップパンチ)を記録した。硬度、重量、厚さ、破砕性および崩壊時間に関する顆粒(マイクロ錠剤)特性を得るために、最終圧縮力または打錠速度としての錠剤化プロセスの重要なパラメータを固定した。直径およそ2mm、高さ(厚さ)およそ2.8mmである赤褐色の円筒形顆粒(マイクロ錠剤)を得た。
【0138】
放出力の発生に関する結果を図1に示す。
【0139】
結果は、本発明による錠剤組成物(圧密化スクロオキシ水酸化鉄)について、比較錠剤組成物(非圧密化スクロオキシ水酸化鉄)よりもかなり低い(約300N低い)排出力を示す。さらに、本発明による錠剤組成物では、放出力は時間的に非常に安定したままであるが、比較錠剤組成物は放出力のわずかな増加を示している。錠剤化の速度が増加すると、同じ傾向が観察される。
【0140】
このようにして製造された比較錠剤組成物錠剤のより高い放出力に対応して、より高い放出力に伴う加熱による、暗褐色の斑点がマイクロ錠剤の端に示されているが、これは本発明の錠剤組成物では観察されないものである。

図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含む粒子であって、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらにより好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上であり、好ましくは、125μmを超える粒径を有する粒子の画分が、25重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上である、粒子。
【請求項2】
90μm~125μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である、請求項1または2に記載の粒子。
【請求項4】
180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項5】
250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項6】
355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項7】
500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項8】
90~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分が、それぞれ篩分析により決定された粒子の総重量を基準として、30重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項9】
それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として
125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、
180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、
250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、
355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上であり、
500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項10】
それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは12重量%以下であり、
180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下であり、
250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、20重量%以下、より好ましくは16重量%以下、さらにより好ましくは13重量%以下であり、
355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、20重量%以下、より好ましくは18重量%以下、さらにより好ましくは16重量%以下であり、
500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、20重量%以下、より好ましくは16重量%以下、さらにより好ましくは13重量%以下である、
請求項1~9のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項11】
それぞれ篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、
125μm~180μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは4重量%~15重量%の範囲、さらにより好ましくは5重量%~12重量%の範囲であり、
180μm~250μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは4重量%~15重量%の範囲、さらにより好ましくは5重量%~10重量%の範囲であり、
250μm~355μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは4重量%~16重量%の範囲、さらにより好ましくは5重量%~13重量%の範囲であり、
355μm~500μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは5重量%~18重量%の範囲、さらにより好ましくは8重量%~16重量%の範囲であり、
500μm~710μmの範囲の粒径を有する粒子の画分は、3重量%~20重量%の範囲、より好ましくは4重量%~16重量%の範囲、さらにより好ましくは5重量%~13重量%の範囲である
請求項1~10のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項12】
710μmを超える粒径を有する粒子の画分は、篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、5重量%未満、好ましくは3重量%未満である、請求項1~11のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項13】
鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロース、1つまたは複数のデンプンおよび水からなる、請求項1~12のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項14】
粒子が鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンを含み、90μmを超える粒径を有する粒子の画分が、篩分析によって決定された粒子の総重量を基準として、25重量%未満である、請求項1~13のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の粒子の医薬組成物の製造のための使用。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか一項に記載の粒子を含む医薬組成物。
【請求項17】
請求項1~13のいずれか一項に記載の粒子を含む医薬組成物を圧縮することにより得られる圧縮医薬組成物。
【請求項18】
錠剤、特にミニまたはマイクロ錠剤から選択される、請求項17に記載の圧縮医薬組成物。
【請求項19】
医薬組成物の総重量を基準として、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、さらに好ましくは少なくとも約97重量%の、鉄(III)-オキシ水酸化物、スクロースおよび1つまたは複数のデンプンの総量を含む、請求項16に記載の医薬組成物または請求項17~18のいずれか一項に記載の圧縮医薬組成物
【請求項20】
a)上記に定義した粒子、
b)ステアリン酸マグネシウム、
c)タルク、および
d)任意に1つまたは複数の香味剤
を含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の圧縮医薬組成物。
【請求項21】
それぞれ医薬組成物の総重量を基準として、約0.75~約1.25重量%のステアリン酸マグネシウム、および約1.0~約3.0重量%のタルクを含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の圧縮医薬組成物。
【請求項22】
組成物が、上記に示された賦形剤を除き、さらなる賦形剤を含有しない、請求項17~21のいずれか一項に記載の圧縮医薬組成物。
【請求項23】
特に慢性腎不全を有する患者における、高リン酸塩血症状態の予防および処置に使用するための、請求項17~22のいずれか一項に記載の圧縮医薬組成物。
【請求項24】
請求項17~23のいずれか一項に記載の圧縮医薬組成物を製造する製造方法であって、請求項16に定義の医薬組成物を錠剤、好ましくはミニ錠剤に圧縮する工程を含む、製造方法。
【請求項25】
請求項17~22のいずれか一項に記載の圧縮医薬組成物であって、ミニ錠剤であり、前記ミニ錠剤は、約9.1~約15.9mg、好ましくは約10.2~約14.8mg、さらにより好ましくは約11.4~約13.6mgの質量を有する、圧縮医薬組成物
【国際調査報告】