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特表2023-515318エコロジカルな支持部を備える化粧品ケーク及びその製造方法
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  • 特表-エコロジカルな支持部を備える化粧品ケーク及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】エコロジカルな支持部を備える化粧品ケーク及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20230406BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20230406BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q1/02
A61K8/36
A61K8/73
A61K8/64
A61K8/60
A61K8/25
A61Q1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022545345
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(85)【翻訳文提出日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2021051811
(87)【国際公開番号】W WO2021151918
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】102020000001663
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516200323
【氏名又は名称】インテルコス エッセ.ピ.ア.
【氏名又は名称原語表記】INTERCOS S.p.A
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】ハンノ、イブラヒム
(72)【発明者】
【氏名】スモルドネ、ドナト
(72)【発明者】
【氏名】デプタ、ガブリエレ
(72)【発明者】
【氏名】ベティネリ、サラ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB431
4C083AB432
4C083AC231
4C083AC232
4C083AD191
4C083AD192
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD261
4C083AD262
4C083AD271
4C083AD272
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD411
4C083AD412
4C083BB48
4C083CC11
4C083CC12
4C083DD05
4C083DD17
4C083DD21
4C083DD47
4C083EE50
4C083FF06
(57)【要約】
基部支持固定層(6)と、重畳化粧品層(4)とからなる化粧品ケーク(8)であって、前記基層(6)は、乾燥且つ凝固した、天然の非合成成分のみの水性混合物を使用して形成される、化粧品ケーク(8)。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品層(4)と、前記化粧品層(4)を容器内部に支持固定するための下部基層(6)とからなる化粧品ケーク(8)において、
前記基層(6)が、乾燥凝固した、天然の非合成成分のみの水性混合物からなることを特徴とする、化粧品ケーク(8)。
【請求項2】
前記水性混合物が重量パーセントで以下の配合を有することを特徴とする、請求項1に記載の化粧品ケーク。
水:20.00%~80.00%
有機酸:0.05%~2.00%
セルロース又は派生物:1.00%~10.00%
植物タンパク質:0.10%~20.00%
糖:1.00%~20.00%
デンプン又はデキストリン:10.00%~70.00%
マイカ:10.00%~20.00%
保存料:0.20%~1.00%
【請求項3】
前記水性混合物が重量パーセントで以下の配合を有することを特徴とする、請求項1に記載の化粧品ケーク。
水:59.20%
有機酸:0.20%
セルロース又は派生物:1.00%
植物タンパク質:1.00%
糖:8.10%
デンプン又はデキストリン:15.50%
マイカ:14.00%
保存料:1.00%
【請求項4】
前記植物タンパク質が、エンドウマメ、レンチル、マメ、及びソラマメ等のタンパク質であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の化粧品ケーク。
【請求項5】
前記混合物が、セルロースに由来する親水コロイドを備え、前記親水コロイドは、特に、結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースであり、強い撹拌下の水中で発泡するまで活性化されることを特徴とする、請求項2~4のいずれか1項に記載の化粧品ケーク。
【請求項6】
前記糖が、単糖類、二糖類、又は植物(トウモロコシ、米、タピオカ、小麦、又はマメ科)由来の多糖類の糖であることを特徴とする、請求項2~5のいずれか1項に記載の化粧品ケーク。
【請求項7】
前記糖が、酵素によってデキストリン化されたデンプンに由来することを特徴とする、請求項6に記載の化粧品ケーク。
【請求項8】
前記化粧品(4)が化粧品粉末からなることを特徴とする、請求項1に記載の化粧品ケーク。
【請求項9】
前記化粧品(4)が流体の化粧品からなることを特徴とする、請求項1に記載の化粧品ケーク。
【請求項10】
化粧品層(4)と、前記化粧品層(4)を支持固定するための基層(6)とからなる化粧品ケークを形成するための製造方法において、
天然の非合成成分のみの水性混合物を調製することと、
注入すべき量の化粧品(4)を、型(1)の底壁(2)に重畳する化粧品層(4)を形成するための前記型(1)内へと注入することと、
注入すべき量の前記流体混合物(6)を、前記型(1)内へと、前記化粧品層(4)上に注いで、前記化粧品層(4)に重畳する水性混合物層(6)を形成することと、
前記型(1)を、前記化粧品(4)及び水性混合物(6)の層と共に乾燥凝固オーブン(7)内へ入れることと、
前記型(1)を前記オーブン(7)から取り出すことと、
前記型(1)を上下反転することと、
天然の非合成成分のみを含む前記基層(6)と、前記基層(6)に固定された凝固化粧品層(4)からなる、凝固化粧品ケーク(8)を前記型(1)から取り出すこととを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項11】
前記水性混合物が重量パーセントで以下の配合を有することを特徴とする、請求項10に記載の製造方法。
水:20.00%~80.00%
有機酸:0.05%~2.00%
セルロース又は派生物:1.00%~10.00%
植物タンパク質:0.10%~20.00%
糖:1.00%~20.00%
デンプン又はデキストリン:10.00%~70.00%
マイカ:10.00%~20.00%
保存料:0.20%~1.00%
【請求項12】
前記水性混合物が重量パーセントで以下の配合を有することを特徴とする、請求項10に記載の製造方法。
水:59.20%
有機酸:0.20%
セルロース又は派生物:1.00%
植物タンパク質:1.00%
糖:8.10%
デンプン又はデキストリン:15.50%
マイカ:14.00%
保存料:1.00%
【請求項13】
前記化粧品(4)が化粧品粉末からなることを特徴とする、請求項10に記載の製造方法。
【請求項14】
前記化粧品(4)が流体の化粧品からなることを特徴とする、請求項10に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エコロジカルな支持部を備える化粧品ケーク及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、プラスチックの年間消費量は、1964年の1500万トンから3億1000万トン超へと増加している。現在では、自然環境の大部分をプラスチック廃棄物が汚染している。ある研究では、海洋には150トンものプラスチックが存在し、消費量が現在のペースで増加すれば、プラスチックは2050年までに340億トンに達し、その内の少なくとも12トンが環境全体に散らばる廃棄物となり得ると推定されている。これらの数字は、プラスチック品のリサイクル又は置き換えが、この材料の生産の抜本的な減少実現を目的として、いかに重要であるかを示唆する。
【0003】
成分並びに一次及び二次包装体の両方としてのプラスチックを置き換えるという可能性は、全ての産業及び非産業分野において進行中のプロセスである。化粧品においては、マイクロプラスチックを発生させる原料の置き換えが、すでに進行しており、初めての有意義な結果を残した。
【0004】
欧州特許出願公開第1078625号明細書には、固体タンパク質と、液体又は溶液ポリオールと、固体ポリオールと、軟化剤とを含み、プラスチックシース内に封入された固形又は粘性の化粧品組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1078625号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、プラスチック材料から作られる所謂固定グリッドであって、容器内に固定されるべき化粧品のケークを設けるために通常大量(1ヶ月につき約200万個、そのためプラスチックの大量消費を伴う)に使用される固定グリッドを、別の非プラスチック材料によって得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を実現するために、本発明は、化粧品の層と、前記化粧品層を容器の内部に支持固定するための下部基層とからなる化粧品ケークにおいて、前記基層が、乾燥凝固した、天然の非合成成分のみの水性混合物からなることを特徴とする、化粧品ケークを提供する。
【0008】
前述の水性混合物は、好適には以下の表1に示す配合の成分を含む。
【0009】
【表1】
【0010】
また、より好適には、以下の表2に示す配合の成分を含む。
【0011】
【表2】
【0012】
実施された形態は、ポリスチレン又はプラスチックに代替パッケージとして食品産業ですでにしばらく用いられていた天然成分の使用を、食品技術から化粧品へと転用したことである。
【0013】
原料は食品のウエハースのレシピにおいて、小麦粉が天然マイカに置き換えられ、そのタンパク質部分(グルテン)が植物タンパク質(エンドウマメ、レンチル、マメ、及びソラマメ等)に置き換えられており、現在は化粧品用の成分の市場で容易に入手可能である。
【0014】
担持構造は、タンパク質に加えて、セルロース、又はセルロース(結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)に由来する親水コロイドにより確保される。これらの親水コロイドは、強い撹拌下の水中で発泡するまで活性化される。
【0015】
原料の糖は、混合物の調製の間及び乾燥の後において、生成された泡の安定化を可能とする、3番目の主成分である。これらによって、構造が高硬質化し、支持すべき化粧品に完全に固定されることができる。これらの糖は、単糖類、二糖類、又は植物(トウモロコシ、米、タピオカ、小麦又はマメ科)由来の多糖類であってもよい。その由来は、酵素によってデキストリン化されたデンプンであってもよい。
【0016】
そのままのデンプン又は修飾されたものを、天然マイカと組み合わせて充填剤として使用する。マイカによって基質が白色になり、水の吸収量が制御される。
【0017】
好適には、クエン酸、ソルビン酸、安息香酸、及び塩酸が有機酸として使用される。
【0018】
製造工程の初期に、保存すべき大量の水が含まれることから、保存料、例えばカプリリルグリコール、ヘキシレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム及び/又はナトリウムデヒドロキシアセタート(sodium dehydroxyacetate)が使用される。
【0019】
このように、プラスチック材料から作られた通常の固定グリッドを、上記のような天然で非合成由来のみの成分をもつ水性流体混合物を、予め型の中へと導入された化粧品の層(粉末又は流体)の上に注ぎ、全体を60℃のオーブンに入れ、そこで、水性混合物が乾燥硬化して、化粧品層に不可逆的に付着して凝固することによって、天然材料から作られた「天然グリッド」とも称される対応する支持固定要素と置き換えることが可能であることが分かった。
【0020】
以下のことが分かった。
1.支持基部又は天然グリッドは、全ての種類の化粧品に強固に取り付けられる。
2.製品が数分間又は1日後にゲル状になることで冷たくなっていても、「粘着」不良はない。
3.天然グリッドの混合物は冷間で加工され、温度によって活性化する原料は含まれていないことから、当該加工にエネルギーコストが追加されることがない。
4.天然グリッド混合物は流体であることから、化粧品層の表面上に容易に広がる。
5.天然グリッドの構造は、窯又はオーブン内で50℃を上回る温度で乾燥させることによって得られる。
6.生産の観点から見て、流体である天然グリッドの混合物を定量注入装置によって直接注入することから、プラスチックグリッドを挿入するためのオペレータを用いる必要がなくなる。
7.プラスチックグリッドでは、その形状が製品の主要な面に転写されてしまう。天然グリッドでは、この欠点が解消される。
8.乾燥後、型を上下反転するだけで、完成したケークが取り出される。
9.新たな形状を作る必要がある場合に、型の生産コストが削減される。
10.乾燥した基質は熱接着剤に適合する。
11.生産段階において、天然グリッドを得るための混合物の調製は、単一の作業台において大量に実行でき、その後、複数の個別のラインに分配される。各機械に簡易的な定量注入装置を設ける必要がある。
12.天然支持基部を備える化粧品は、製品が販売される前に行われる試験に合格する(傾斜及び滴下)。
【0021】
天然グリッドの適用特性は、プラスチックのものに匹敵し、いくつかの更なる利点も含む。
・化粧品に幾何学的形状を与える、
・包装時の操作が可能である、
・プラスチックグリッドと同様に、一次包装に化粧品を接着することが可能である、
・化粧品は、包装に対し堅固な接着を維持し、品質管理試験の合格が可能となる、
・化粧品が、その形状又は構造が経時的に変化しない、
・支持基部又は天然グリッドが、その成分のいずれをも化粧品へと移すことがない不活性物質である、
・一次包装がボール紙又は生分解性ケースとなる場合に、「プラスチック不使用」の宣言が可能である。
【0022】
以下、より深い理解のために、本発明に係るケークを作るための方法の一例を説明する。
【0023】
方法の説明に際して、添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1]:図1は、充填前の型を示す。
図2]:図2は、化粧品を型に充填する工程を示す。
図3]:図3は、化粧品の層が充填された型を示す。
図4]:図4は、予め調製した水性流体混合物を化粧品の層の上に注ぐ工程を示す。
図5]:図5は、乾燥凝固オーブン内部における型及びその内容物を示す。
図6]:図6は、反転されて容器の内部に配置された後の、化粧品及び天然成分の支持基部又はグリッドによって形成された、凝固ケークのセットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
製造方法は、準備工程として天然で非合成由来の成分のみからなる水性流体混合物の生成を含み、前記水性流体混合は好適には先述の表1に示すものを、より好適には表2に示すパーセンテージで含む。
【0026】
そして、得ようとする化粧品ケークの上面の所望の美しい形状に対応して形成された内底壁2を有する、参照番号1により図1に全体として示されるような適切な型を選択する。
【0027】
そして、適切な注入装置3(図2)によって、粉末又は流体の形態にある注入すべき量の化粧品4を型1内へと注入し、可能であれば上方から僅かな圧力をかけて、図3に示すような一様な高さの層を形成する。
【0028】
そして、別の注入装置5(図4)によって、予め調製した水性流体混合物6の適切な注入量分を化粧品層4の上に注ぎ、そこで、流体混合物6は流体状態であるため略一様な流体混合物層6を形成するように広がる。
【0029】
そして、化粧品層4と、重畳流体混合物層6とを含む型1を60℃のオーブン内に配置し、そこで、凝固化粧品の下層4と、凝固天然成分の混合物からなる上層6とからなる凝固化粧品ケーク8の形成に伴って、流体層6の水性部分が乾燥する。
【0030】
最後に、ケーク8を上下反転して容器9内へと収納すると、ケーク自体は、プラスチック成分を含まない天然の種類の基部支持固定層6(「グリッド」とも称する)と、前記支持固定基部6に堅固に固定された、成形された上面を含む、凝固化粧品の重畳層4とからなる。
【符号の説明】
【0031】
1 型
2 底壁
4 化粧品層
6 基層
7 オーブン
8 化粧品ケーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】