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特表2023-515340SOCEモジュレーターとしてのビフェニル化合物、その組成物および使用
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  • 特表-SOCEモジュレーターとしてのビフェニル化合物、その組成物および使用 図1
  • 特表-SOCEモジュレーターとしてのビフェニル化合物、その組成物および使用 図2A
  • 特表-SOCEモジュレーターとしてのビフェニル化合物、その組成物および使用 図2B
  • 特表-SOCEモジュレーターとしてのビフェニル化合物、その組成物および使用 図3A
  • 特表-SOCEモジュレーターとしてのビフェニル化合物、その組成物および使用 図3B
  • 特表-SOCEモジュレーターとしてのビフェニル化合物、その組成物および使用 図3C
  • 特表-SOCEモジュレーターとしてのビフェニル化合物、その組成物および使用 図3D
  • 特表-SOCEモジュレーターとしてのビフェニル化合物、その組成物および使用 図4
  • 特表-SOCEモジュレーターとしてのビフェニル化合物、その組成物および使用 図5
  • 特表-SOCEモジュレーターとしてのビフェニル化合物、その組成物および使用 図6
  • 特表-SOCEモジュレーターとしてのビフェニル化合物、その組成物および使用 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】SOCEモジュレーターとしてのビフェニル化合物、その組成物および使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 249/06 20060101AFI20230406BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230406BHJP
   C07D 405/10 20060101ALI20230406BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20230406BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/4192 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
C07D249/06 501
A61P21/04 ZNA
A61P29/00
C07D405/10 CSP
C07D401/04
C07D405/14
A61K31/4192
A61K31/4439
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548110
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(85)【翻訳文提出日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 IB2020061136
(87)【国際公開番号】W WO2021165735
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】102020000003692
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】515294259
【氏名又は名称】ウニベルシタ ディグリ ストゥディ デル ピエモンテ オリエンターレ “アメデオ アヴォガードロ”
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【弁理士】
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【弁理士】
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【弁理士】
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】リヴァ ベアトリーチェ
(72)【発明者】
【氏名】ピラリ トレーシー
(72)【発明者】
【氏名】セラフィーニ マルタ
(72)【発明者】
【氏名】アプリーレ シルヴィオ
(72)【発明者】
【氏名】コルデオ サンチェス セリア
(72)【発明者】
【氏名】グローラ アンブラ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB02
4C063BB06
4C063CC42
4C063CC81
4C063CC82
4C063DD12
4C063DD42
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC60
4C086BC62
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA94
4C086ZB11
(57)【要約】
式(I)の化合物は、ストア作動性カルシウム流入(SOCE)を調整することができる。本開示はまた、SOCEの活性の増加/減少に依存した疾患状態の処置のための式(I)の化合物の組成物および使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
式中、
環Hzは、アリールまたはヘテロアリール基から選択され;
、A、A、AおよびAは、同一または互いに異なり、H、CF、Br、I、Cl、F、OH、OR、SR、NH、NHR、NR、S(O)R、S(O)、NHCOR、NHSO、CONHR、CONR、SONHR、COOH、COOR、NO、CN、5~6員O-複素環基から独立に選択され;
およびA、またはAおよびA、またはAおよびA、またはAおよびAは、それらが結合しているフェニル環に縮合した5~6員O-複素環基を一緒に形成することができ;
、B、B、BおよびBは、同一または異なり、H、CHCOOH、COOH、COOR、CN、CF、Br、I、Cl、F、1H-テトラゾル-5-イルから独立に選択され;
およびRは、同一または互いに異なり、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから独立に選択され、ここでnは整数1~4であり;
は、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから選択され、ここでmは整数1~4である;
その薬学的に許容できる水和物および/または溶媒和物および/または塩、但し以下を除く:4’-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリル;1-(4’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;2-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ピリジン;1-(2’-エトキシ-4’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;2-フルオロ-5-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ピリジン;1-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;5-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ニコチノニトリル;1-(2’-クロロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-(5’-クロロ-2’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-(5’-フルオロ-2’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;4’-(4-(ピリジン-2-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン;4’-(4-(ピリジン-2-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-オール;N-(4’-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンズアミド;N-(5-フルオロ-4’-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンズアミド;4-[4-(4-ビフェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル]ピリジン-2,6-ジカルボン酸。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、
存在する場合にR、RおよびRが置換C1-8アルキル基、置換C2-8アルケニル基、置換C2-8アルキニル基、置換C3-6シクロアルキル、置換アリール、置換複素環基から独立に選択される場合、前記の1つまたは複数の置換基は、ハロゲン、CH、CHF、CHF、CF、OR、CN、COOR、CONR、NR、NHCOR、NHSO、S(O)R、S(O)、およびSONHRから独立に選択され、
式中RおよびRは同一または異なり、H、非置換または1つもしくは複数のハロゲン原子で置換されたC-Cアルキル基、および、非置換または1つもしくは複数のハロゲン原子で置換されたC-Cシクロアルキル基から独立に選択される、
化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物であって、
式中、R、RおよびRは、非置換メチル、エチル、tert-ブチル、イソ-プロピル、ペンタン-2-イル、ピリジン-4-イル、ベンジルから選択される、
化合物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物であって、
化合物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物であって、
式中、Aは、H、F、OMe、5~6員O-複素環基から選択される、
化合物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物であって、
式中、Aは、H、OMe、SMe、OH、5~6員O-複素環基から選択される、
化合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物であって、
式中、A、AおよびAは、H、OMe、5~6員O-複素環基から独立に選択される、
化合物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物であって、
位置A、A、A、AまたはAにおける2つの隣接基は、それらが結合しているフェニル環と縮合した5~6員O-複素環基を一緒に形成し、
前記フェニル環と縮合した前記複素環基は、ジヒドロベンゾジオキシニルまたはベンゾジオキソリルから選択される、
化合物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物であって、
式中、BおよびBは、HおよびFから独立に選択される、
化合物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物であって、
式中、BおよびBは、H、CHCOOH、COOH、COOMe、CN、および1H-テトラゾル-5-イルから独立に選択される、
化合物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物であって、
式中、BはHである、
化合物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物であって、
以下:
3-(1-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(3’-(メチルチオ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(2’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(3’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(3’-ヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(2’,4’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(3’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(4-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(3’,4’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(2’,3’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-5-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(2’,6’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(2’-フルオロ-5’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
3-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸;
4-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピコリン酸;
4-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)-3-フルオロピリジン;
4-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピリジン;
3-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピリジン;
2-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピリジン;
3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ベンゾニトリル;
5-(3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)フェニル)-1H-テトラゾール;
2-(3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)フェニル)酢酸;
3-(4-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
3-(4-(3’-(メチルチオ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
3-(4-(2’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
3-(4-(3’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
3-(4-(2’,4’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
3-(4-(3’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
3-(4-(4-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
3-(4-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
3-(4-(3’,4’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
3-(4-(2’,3’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
3-(4-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-5-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
3-(4-(2’,6’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
3-(4-(2’-フルオロ-5’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
3-(4-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸;
メチル4-(4-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)ピコリネート;
4-(4-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)ピコリン酸;
4-(4-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-3-フルオロピリジン;
4-(4-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)ピリジン;
3-(4-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)ピリジン
から選択される、
化合物。
【請求項13】
医薬としての使用のための式(I)の化合物であって、
式中、
環Hzは、アリールまたはヘテロアリール基から選択され;
、A、A、AおよびAは、同一または互いに異なり、H、CF、Br、I、Cl、F、OH、OR、SR、NH、NHR、NR、S(O)R、S(O)、NHCOR、NHSO、CONHR、CONR、SONHR、COOH、COOR、NO、CN、5~6員O-複素環基から独立に選択され;
およびA、またはAおよびA、またはAおよびA、またはAおよびAは、それらが結合しているフェニル環に縮合した5~6員O-複素環基を一緒に形成することができ;
、B、B、BおよびBは、同一または異なり、H、CHCOOH、COOH、COOR、CN、CF、Br、I、Cl、F、1H-テトラゾル-5-イルから独立に選択され;
およびRは、同一または互いに異なり、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから独立に選択され、ここでnは整数1~4であり;
は、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから選択され、ここでmは整数1~4である;
その薬学的に許容できる水和物および/または溶媒和物および/または塩、但し以下を除く:1-(2’-エトキシ-4’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;2-フルオロ-5-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ピリジン;1-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;5-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ニコチノニトリル;1-(2’-クロロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-(5’-クロロ-2’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-(5’-フルオロ-2’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール。
【請求項14】
SOCEの活性の増加/減少に依存した疾患状態を処置するのに用いるための式(I)の化合物であって、
式中、
環Hzは、アリールまたはヘテロアリール基から選択され;
、A、A、AおよびAは、同一または互いに異なり、H、CF、Br、I、Cl、F、OH、OR、SR、NH、NHR、NR、S(O)R、S(O)、NHCOR、NHSO、CONHR、CONR、SONHR、COOH、COOR、NO、CN、5~6員O-複素環基から独立に選択され;
およびA、またはAおよびA、またはAおよびA、またはAおよびAは、それらが結合しているフェニル環に縮合した5~6員O-複素環基を一緒に形成することができ;
、B、B、BおよびBは、同一または異なり、H、CHCOOH、COOH、COOR、CN、CF、Br、I、Cl、F、1H-テトラゾル-5-イルから独立に選択され;
およびRは、同一または互いに異なり、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから独立に選択され、ここでnは整数1~4であり;
は、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから選択され、ここでmは整数1~4である;
その薬学的に許容できる水和物および/または溶媒和物および/または塩。
【請求項15】
機能喪失型または機能獲得型STIM1/Orai1突然変異、筋ジストロフィー、炎症性疾患と関連する疾患の処置における使用のための、式(I)の化合物であって、
式中、
環Hzは、アリールまたはヘテロアリール基から選択され;
、A、A、AおよびAは、同一または互いに異なり、H、CF、Br、I、Cl、F、OH、OR、SR、NH、NHR、NR、S(O)R、S(O)、NHCOR、NHSO、CONHR、CONR、SONHR、COOH、COOR、NO、CN、5~6員O-複素環基から独立に選択され;
およびA、またはAおよびA、またはAおよびA、またはAおよびAは、それらが結合しているフェニル環に縮合した5~6員O-複素環基を一緒に形成することができ;
、B、B、BおよびBは、同一または異なり、H、CHCOOH、COOH、COOR、CN、CF、Br、I、Cl、F、1H-テトラゾル-5-イルから独立に選択され;
およびRは、同一または互いに異なり、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから独立に選択され、ここでnは整数1~4であり;
は、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから選択され、ここでmは整数1~4である;
その薬学的に許容できる水和物および/または溶媒和物および/または塩。
【請求項16】
少なくとも1つの式(I)の化合物および薬学的に許容できる担体および/またはビヒクルを含む医薬組成物であって、
式中、
環Hzは、アリールまたはヘテロアリール基から選択され;
、A、A、AおよびAは、同一または互いに異なり、H、CF、Br、I、Cl、F、OH、OR、SR、NH、NHR、NR、S(O)R、S(O)、NHCOR、NHSO、CONHR、CONR、SONHR、COOH、COOR、NO、CN、5~6員O-複素環基から独立に選択され;
およびA、またはAおよびA、またはAおよびA、またはAおよびAは、それらが結合しているフェニル環に縮合した5~6員O-複素環基を一緒に形成することができ;
、B、B、BおよびBは、同一または異なり、H、CHCOOH、COOH、COOR、CN、CF、Br、I、Cl、F、1H-テトラゾル-5-イルから独立に選択され;
およびRは、同一または互いに異なり、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから独立に選択され、ここでnは整数1~4であり;
は、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから選択され、ここでmは整数1~4である;
その薬学的に許容できる水和物および/または溶媒和物および/または塩、但し以下を除く:1-(2’-エトキシ-4’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;2-フルオロ-5-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ピリジン;1-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;5-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ニコチノニトリル;1-(2’-クロロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-(5’-クロロ-2’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-(5’-フルオロ-2’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、小胞体によって作動されるカルシウム流入(ストア作動性カルシウム流入(SOCE)としても知られる)を調整することが可能な新規のビフェニル1,4-二置換1,2,3-トリアゾル化合物、その組成物、および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カルシウム(Ca2+)は、細胞間および細胞内部の情報を分類する普遍的なシグナル分子として働く遍在するメッセンジャーを表わし、収縮および分泌などの短期の応答から、転写、細胞分裂および細胞死の長期の制御までに及ぶ広範な細胞機能を調節している(Jeremy T.Smyth,et al.;2010.J.Cell.Mol.Med.Vol 14,No 10,pp.2337-2349;Lewis Richard S.2011 Cold Spring Harb Perspect Biol;3:a003970)。細胞形質膜を横切る大きな勾配は、細胞基質内の非常に低濃度のCa2+と共に(Ca2+は、オルガネラおよび細胞外媒体において10倍多い)、その後、このイオンを特有のセカンドメッセンジャーとして使用する大きな機会となった。Ca2+シグナルは、細胞内の正確な空間的局在、振幅、持続時間およびその上昇頻度によってメッセージを分類する。高濃度のカルシウムイオンは、細胞内オルガネラ内(特に小胞体(ER)および/または筋小胞体(SR)内)に存在し、これらの膜上に位置するCa2+チャネル(例えばRyR、IP3R)の開放は、このイオンが堆積物から流れ出して細胞シグナルを引き起こすのを可能にする。Ca2+の再取り込みが可能なCa2+ポンプはSR/ER膜上に存在するが、形質膜の流出機構の活性を考慮すると、このオルガネラはCa2+がすぐに枯渇することが予期される。しかしながら、細胞内には、いわゆるストア作動性Ca2+流入(SOCE)に代表されるERと形質膜の間の相互干渉が存在するので、そのようなことは生じない。SOCEという用語は、細胞がER内のカルシウム濃度の低減を感知して、このイオンが形質膜を横切って細胞内へ流れるのを誘導する能力を指す(Putney JW.2011.Frontiers in Bioscience(Scholar Edition)3:980-984)。
【0003】
SOCEは電気生理学的な電流ICRACと関連し、HothおよびPennerによって最初に記載された(Hoth M,Penner R.1992.Nature 355:353-356)。この現象の背後にある正確な分子メカニズムは2005~2006年に明らかにされ、そのときに、SOCE機構の主な構成要素であるCa2+放出活性化Ca2+(CRAC)チャネルが発見された。CRACチャネルは、2つの根本的なタンパク質複合体:形質膜上にイオンチャネルポアを形成するOraiタンパク質、およびER上でカルシウムセンサーとして作用する間質相互作用分子(STIM)タンパク質から組み立てられる(Berna-Erro A,et al.Redondo PC,Rosado JA.2012 Medicine and Biology 740:349-382;Soboloff J,Rothberg BS,Madesh M,Gill DL.2012Nature Reviews.Molecular Cell Biology 13:549-565;Lacruz RS,Feske S.2015.Annals of the New York Academy of Sciences 1356:45-79)。STIMおよびOraiの他に、一過性受容体電位チャネル(TRPC)(Ong HL,Ambudkar IS.2015.Cell Calcium 58:376-386)を含む、他の極めて重要なタンパク質がSOCEメカニズムに関与していることを強調すべきである。
【0004】
STIMタンパク質は、種にわたり高度に保存されたシングルスパン膜タンパク質である。ファミリーの2つのメンバーが説明されており(STIM1およびSTIM2)、前者がより多く発現されるようである(Roos et al.(2005;J Cell Biol.;169(3):435-45)。Drosophila S2細胞の制限されたRNAiスクリーンを用いて、Drosophila STIMが、SOCE活性化において根本的な役割を有するものとして同定され、HeLa細胞スクリーンにおいてヒトSTIM1およびSTIM2について、ほぼ同時に同様の結論に到達した(Jeremy T.Smyth,et al.;2010.J.Cell.Mol.Med.Vol 14,No 10,pp.2337-2349,Lewis Richard S.2011 Cold Spring Harb Perspect Biol;3:a003970)。STIM1は、ER Ca2+シグナルにおける大きな変化に応答するために特化されているのでSOCEのためのCa2+センサーとして同定された。STIM1局在は、SOCEの役割に極めて重要である:Ca2+の貯蔵が十分な場合は、STIM1はER膜の全体にわたって管状構造内に局在するが、貯蔵が枯渇すると、ERが形質膜と接触している部位において点状構造へ移動する。形質膜へ向けた、ER内のSTIM1のこの再局在化は、Oraiチャネルの直接または間接的な相互作用および活性化を可能にする。Oraiチャネルは、形質膜上に存在し、ファミリーの3つのメンバー(Orai1,Orai2、およびOrai3)が説明されており、Orai1が最も量が多く、ICRACと密接に関連している(Jeremy T.Smyth,et al.;2010.J.Cell.Mol.Med.Vol 14,No 10,pp.2337-2349;Lewis Richard S.2011 Cold Spring Harb Perspect Biol,3:a003970;Feske S.et al 2005 J Exp Med 202(5):651-62;Nature 11;441(7090):179-85)。
【0005】
SOCEを例示する重要な実験を図1に示す。簡潔には、ER/SR貯蔵が空になると、形質膜上にあるチャネルが開放され、それを通してCa2+が細胞内に逆流することができ、これらの2つの現象は、細胞内の貯蔵が枯渇した後にCa2+を細胞外溶液に加えることによって分析することができる。この単純だが強力なインビトロの実験的手法は、スクリーニングにおける現象を明らかにするために妥当であることに変わりはない。
【0006】
CRAC電流は、はじめにリンパ球およびマスト細胞において同定され、同時に、DT40 B細胞、肝細胞、樹状細胞、巨核球およびMadin-Darbyイヌ腎細胞などの異なる細胞株において特徴付けられた。リンパ球およびマスト細胞では、T細胞受容体またはFc受容体を介した活性化により、セカンドメッセンジャーイノシトール(1,4,5)-三リン酸(IP)に起因する細胞内貯蔵からのCa2+イオンの放出が開始され、それにより、形質膜内のCRACチャネルを通したCa2+イオン流入が生じる。
【0007】
CRACチャネルはまた、分泌から遺伝子発現および細胞増殖までの極めて重要な機能を仲介し、適応免疫応答の活性化に必須なプロセスを形成する。T細胞抗原受容体(TCR)の刺激を介して引き起こされるCa2+変動は、ストア作動性CRACチャネルの流入経路のみが関与していることが示されている。したがって、ストア作動性CRACチャネルによって仲介されるCa2+イオンの流入は、リンパ球活性化において根本的である(Anant B.Parekh and James W.Putney Jr.2005,Physiol Rev 85:757-810.;Hogan G.p.,et al 2010,Annu.Rev.Immunol.28:491-533;Patrick G Hogan and Anjana Rao 2015,Biochem BiophysRes Commun 24,460(1):40-49.;Feske S,Okamura H,Hogan PG,Rao A.2003,Biochem Biophys Res Commun,311(4):1117-32)。反対に、内皮細胞、平滑筋、上皮細胞および前立腺がん細胞株において同定されたストア作動性Ca2+電流は、異なる生物物理学的特徴を示し、異なる分子起源を示唆している。これらの証拠は、細胞内Ca2+が、異なる細胞機能において、ならびに形質膜およびER上のCa2+チャネルを介したCa2+流入によるその濃縮において、重要な役割を果たしていることを示している。
【0008】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を患っている患者およびmdxマウス(DMD遺伝子内に点突然変異を有するDMDを研究するための一般的モデル)由来の骨格筋において、細胞骨格タンパク質ジストロフィンの不存在が、正常なカルシウム流入を維持するのに必須であることが示されている。特に、STIM1、ORAI1およびTRPC1ストア依存性流入は、ジストロフィンの喪失によって増大することが報告されており、この致命的な病理学におけるSOCEの関与を示している(Onopiuk M.2015 Arch Biochem Biophys,569:1-9;Sabourin J.2012 Cell Calcium,6:445-456)。
【0009】
さらに、ヒトの健康におけるCRACチャネルによる極めて重要な役割は、筋肉欠損、免疫不全、自己免疫および出血障害などの重大な健康問題によって影響を受ける機能喪失型または機能獲得型STIM1/Orai1突然変異を有する患者の特定を導いた遺伝子研究リストの増加によって強調される(Feske S.2010 European Journal of Physiology,460:417-435)。
【0010】
機能喪失型の突然変異については、少なくとも3つの関係のないファミリーが、フレームシフトを含む異なる突然変異に起因して、Tリンパ球細胞の形質膜上にOrai1を発現せず、ストア作動性Ca2+流入が欠如しており、それにより、Tリンパ球を活性化することができないことが示されている(Feske S,et al.1996 European Journal of Immunology 26:2119-2126.;McCarl CA,et al.2009.J Allergy Clin Immunol.124(6):1311-1318.e7)。とりわけ、タンパク質の発現をもたらさないSTIM1突然変異を有するファミリーが報告されており、T細胞免疫不全によって特徴付けられている(Picard C,et al.2009,N Engl J Med.7,360(19):1971-80.;Byun M,et al.2010,The Journal of Experimental Medicine,207:2307-2312;Fuchs S,et al.2012 Journal of Immunology(Baltimore,Md.:1950)188:1523-1533)。最後に、免疫不全は疾患のホールマークであるが、これらの患者はまた、血小板活性化の欠損に起因して、リンパ増殖性疾患、自己免疫、先天性ミオパシー、無汗症、歯のエナメル質、および血栓形成機能障害も示す。いくつかの突然変異は、薬理学的に増強され得る低減した活性を引き起こすが、大部分の突然変異は、タンパク質発現の著しい低減をもたらすので、薬理学的手法は、これらの障害のためにも適応され得る。現在のところ、文献で報告されているSTIM1およびOrai1の機能喪失型突然変異は以下である:STIM1について、p.P165Q、p.R429C、p.R426C、p.E128RfsX9、および、Orai1について、p.R91W、p.A103E、p.L194P、p.A88SfsX25およびp.H165PfsX1。
【0011】
STIM1またはOrai1の機能獲得型突然変異は、主に骨格筋および血小板に影響するが、多臓器疾患であると考えられる(Lacruz RS,Feske S.2015.Annals of the New York Academy of Sciences1356:45-79)。障害の優勢(prevalence)は不明だが、それらの凝集体の優勢は、およそ1/250.000であると考えられる。障害の希少性を考慮すれば、他のミオパシーと比較して、障害は診療所で体系的に取り組まれておらず、疾患登録は現在のところ利用可能でない。STIM1およびOrai1突然変異は両方とも、3つの別々だが重複する障害:管状凝集体ミオパシー、Stormorken症候群およびYork血小板症候群と関連している。管状凝集体ミオパシーは、筋肉痛、痙攣および筋硬直の可変の組み合わせ(脱力(weakness)を伴うか、または伴わず、主に近位に分布している)、および、筋小胞体に由来する細管の規則的な配列である管状凝集体の存在によって特徴付けられる(Bohm J,et al.2013.American Journal of Human Genetics 92:271-278;Nesin V,et al.2014.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 111:4197-4202;Endo Y,et al.2015.Human Molecular Genetics 24:637-648)。Stormorken症候群は、ミオパチー性の徴候によって特徴付けられるが、血小板機能障害、血小板減少症、貧血、無脾症、先天性縮瞳、魚鱗癬、頭痛および再発性の脳卒中様発作に起因して、軽い出血傾向も含み得る(Stormorken H,et al.1995.Thromb Haemost 74:1244-1251)。最後に、York血小板症候群は、主な表現型として血液疾患が見られる。現在のところ、文献で報告されているSTIM1およびOrai1の機能獲得型突然変異は以下である:STIM1について、p.N80T、p.H72Q、p.G81D、p.D84G、p.D84E、p.L96V、p.F108L、p.F108I、p.H109R、p.H109N、p.I115F、p.R304W、p.R304G;およびOrai1について、p.S97C、p.G98S、p.V107M、p.L138F、p.T184M、p.P245L。簡潔には、STIM1の突然変異は、主にEFハンドCa2+結合モチーフ内に存在し、タンパク質のCa2+イオンに関する親和性を改変する可能性が最も高く、唯一例外は、STIM1の二量体化/オリゴマー化(Orai1チャネル開放の推定トリガーである)に影響する可能性があるコイル-コイルド・ドメイン上のタンパク質の細胞質ゾル側に位置する突然変異である。Orai1の突然変異は、それらがチャネルのライニング(lining)に関与するという仮説をもたらし得る位置の膜貫通ドメイン内に存在する。
【0012】
これらのデータは全て、SOCEのモジュレーターが、異常なSOCEに起因する疾患の処置に有用であることを示唆している。SOCEならびにその生理学的および病態生理学的役割の研究における主な制限は、強力かつ選択的なモジュレーターがないことである。
【0013】
Synta66(GSK1349571A;3-フルオロピリジン-4-カルボン酸(2’,5’-ジメトキシビフェニル-4-イル)アミド)は、Synta PharmaceuticalsおよびGSKによって開発された化合物である。それは、約1μMのIC50でICRACを阻害する(Di Sabatino A.2009.Journal of Immunology(Baltimore,Md.:1950)183:3454-3462;Ng,S.W.Journal of Biological Chemistry,2008,283,31348-31355;WO2005009954;WO2005009539)。さらに、T細胞サイトカイン産生を低減することが可能であること、および特に、IFN-γ、IL-2およびIL-17の産生を阻害するが、IL-8の産生は阻害しないことが報告されている(Di Sabatino A.2009.Journal of Immunology(Baltimore,Md.:1950)183:3454-3462)。興味深いことに、血管の平滑筋細胞において、効能は100倍大きい(IC50は約30nM)(Li,J.BJP,2011,164、382-393)。
【0014】
化合物の詳細なメカニズムは未知であるが、マスト細胞におけるOrai1のsiRNAノックダウンは、Orai1に関して選択的であり得ることを示唆する(Ng,S.W.Journal of Biological Chemistry,2008,283,31348-31355)。さらに、血管の平滑筋細胞における実験は、STIM1クラスタリングを妨げないことを示唆しており、薬物がSTIM1メカニズムを標的にしない可能性が高い(Li,J.BJP,2011,164、382-393)。
【0015】
Synta66は、代謝調節型グルタメート、ムスカリン性アセチルコリンおよびGABA B受容体、GABA A、AMPAおよびNMDA受容体、リガンド依存性イオンチャネル、例えばテトロドトキシン感受性Naチャネル、ならびにN型およびP/Q型の電圧依存性Ca2+チャネルに影響しないことが報告されている(Di Sabatino A.2009.Journal of Immunology(Baltimore,Md.:1950)。さらに、内因性TRPC1/5または過剰発現TRPC5チャネルを阻害しない(Li,J.BJP,2011,164,382-393)。
【0016】
インビトロおよび動物モデルにおけるCRACチャネルの生理学的役割を調べるためにSynta66を用いている研究の数は増えているが、異なるOraiアイソフォームに対するその特異性は最適でない。
【0017】
WO2017/212414は、SOCEモジュレーターとして、1位にトリアゾールをパラ位で有するフェニル環を有する5-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾールを開示する。
【0018】
Young Ae Cho et al,Organic Letters(2009)11(19):4330-4333は、4’-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリルの合成を開示している。
【0019】
K.Bolla et al,Tetrahedron(2011)67(31):5556-5563は、4’-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリル、1-(4’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール、および2-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ピリジンの合成を開示している。
【0020】
M.Gilandoust et al,Bioorganics&Medicinal Chemistry Letters(2018)28(13):2314-2319は、ヒト乳がん細胞に対する細胞傷害剤として、1-(2’-エトキシ-4’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール、2-フルオロ-5-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ピリジン、1-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール、5-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ニコチノニトリル、1-(2’-クロロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール、1-(5’-クロロ-2’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール、1-(5’-フルオロ-2’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール、および1-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾールを開示している。
【0021】
A.Baschieri et al,Organometallics(2014)33(21):6154-6164は、発光化合物の産生のための中間体として、4’-(4-(ピリジン-2-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン、および4’-(4-(ピリジン-2-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-オールの合成を開示している。
【0022】
US2014/005231は、植物疾患の制御において有用な殺菌剤および抗線虫薬として、N-(4’-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンズアミド、およびN-(5-フルオロ-4’-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンズアミドを開示している。
【0023】
EP2578581は、発光化合物の産生のための中間体として、4-[4-(4-ビフェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル]ピリジン-2,6-ジカルボン酸の合成を開示している。
【0024】
WO2017/212414に開示される化合物を除き、上記の従来技術文献に開示されるビフェニル1,4-二置換1,2,3-トリアゾル化合物は、SOCEモジュレーターとして示されていないことに注意する価値がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
特にSOCEと関連する疾患および障害の処置のために、CRACチャネルの活性を調節すべく、高い効能およびSTIM1および/またはOrai1に対する特異性を有する小分子モジュレーターについて未だ対処されていないニーズが残っている。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本開示の目的は、SOCEを調整することが可能な新規の化合物を提供することである。
【0027】
本発明によれば、上記目的は、本開示の不可欠な部分を形成すると理解される次の特許請求の範囲に具体的に想起される要旨のおかげで達成される。
【0028】
本発明は、新規のSOCEモジュレーターとしての化合物のクラスおよび治療におけるそれらの使用を提供する。より具体的には、本発明は、ビフェニル1,4-二置換1,2,3-トリアゾル化合物のファミリーを提供する。
【0029】
本開示は、式(I)の化合物:
式中、
環Hzは、アリールまたはヘテロアリール基から選択され;
、A、A、AおよびAは、同一または互いに異なり、H、CF、Br、I、Cl、F、OH、OR、SR、NH、NHR、NR、S(O)R、S(O)、NHCOR、NHSO、CONHR、CONR、SONHR、COOH、COOR、NO、CN、5~6員O-複素環基から独立に選択され;
およびA、またはAおよびA、またはAおよびA、またはAおよびAは、それらが結合しているフェニル環に縮合した5~6員O-複素環基を一緒に形成することができ;
、B、B、BおよびBは、H、CHCOOH、COOH、COOR、CN、CF、Br、I、Cl、Fおよび1H-テトラゾル-5-イルから独立に選択され;
およびRは、同一または互いに異なり、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから独立に選択され、ここでnは整数1~4であり;
は、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから選択され、ここでmは整数1~4である;
その薬学的に許容できる水和物および/または溶媒和物および/または塩を開示する。
【0030】
本開示は、医薬としての使用のための、好ましくはSOCEに対して比活性を有する、式(I)のビフェニル1,4-二置換1,2,3-トリアゾル化合物を開示する。
【0031】
本開示はまた、SOCE調整が有益である、機能喪失型または機能獲得型STIM1/Orai1突然変異、筋ジストロフィー、炎症性疾患と関連する病状のインビボでの処置における使用のための、式(I)の化合物も開示する。
【0032】
本開示はまた、少なくとも1つの式(I)の化合物および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物も開示する。医薬組成物は、1つまたは複数のさらなる治療的薬剤をさらに含んでよい。
【0033】
本発明はここで、純粋に例示的および非限定的な例として、添付の図面に関して、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】ストア作動性カルシウム流入(SOCE)の代表的なトレース。 実験は、Ca2+フリーの溶液への細胞の曝露前および曝露中に行なった。Ca2+の不存在下では、細胞内Ca2+貯蔵は、2,5-t-ブチルヒドロキノン(tBHQ、50μM;Sigma-Aldrich,Italy)、SERCA毒によって枯渇され、次いで、カルシウム2mMを細胞外溶液へ再添加した。
図2】SOCE-モジュレーターに対するカルシウム応答 (A)HEK細胞を、ポリ-d-リジンでコーティングされた6ウェルプレート中にプレーティングして、一晩インキュベートした。24時間後、細胞に5μMのFura-2 AMを負荷し、0mMのCa2+を含む細胞外溶液中に置いた。貯蔵を50μMのtBHQによって枯渇させ、2mMのCa2+のみ(Ctrl)、または以下と組み合わせて添加することによってカルシウム流入を刺激した:活性のない化合物(4-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)-3-フルオロピリジン)、ならびに、化合物3-(1-(3’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸、3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸および3-(1-(2’,3’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(SOCEを負に調節する)。カルシウム応答は、選択したモジュレーターの添加前後の蛍光強度の変化として表される。 (B)Hek細胞を、異なる濃度の3-(1-(2’,3’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸および3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸)(0.1-0.3-1-3-10-30-100μM)に対するカルシウム応答について、Fura-2 AMアッセイを用いてアッセイした。濃度応答曲線は、ポジティブコントロールと比較した両方の化合物のAUC%を表わす。
図3】SOCEは、KI-STIM1I115Fマウス由来の筋管において増強される。 野生型(WT)またはKI-STIM1I115Fマウス由来の筋管において、tBHQによって誘導されたSOCE。トレースは、2つの異なる実験日における6つのプレート由来の少なくとも180個の筋管の平均である。全ての時点において、各条件について4匹の動物(2匹のオス、2匹のメス)由来の筋管を用いた。
図4】KI-STIM1I115Fマウス由来の筋管における3-(1-(3’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸の効果の評価 3-(1-(3’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(10μM)は、KI-STIM1I115Fマウス由来の筋管におけるSOCEを減じさせる。詳細には、該化合物は、STIM1突然変異タンパク質の過剰活性化を元に戻すことができる。トレースは、2つの異なる実験日における6つのプレート由来の少なくとも180個の筋管の平均である。
図5】SOCEは、mdxマウス由来の筋管において増強される。 野生型(WT)またはmdxマウス由来の筋管においてtBHQによって誘導されたSOCE。トレースは、2つの異なる実験日における6つのプレート由来の少なくとも180個の筋管の平均である。全ての時点において、各条件について4匹の動物(2匹のオス、2匹のメス)由来の筋管を用いた。
図6】mdxマウス由来の筋管における、3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸の効果の評価。 3-(1-(3’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(10μM)は、mdxマウス由来の筋管におけるSOCEを減じさせる。詳細には、該化合物は、DMD突然変異タンパク質の過剰活性化を元に戻すことができる。トレースは、2つの異なる実験日における6つのプレート由来の少なくとも180個の筋管の平均である。
図7】標的化ベクターF118.3TV。 Stim1のエクソン3(矢頭によって示される)における塩基交換(星によって示される)を、FRTで挟まれたネオマイシン耐性カセットとともに挿入する。ホモロジーの長いアームは5.3kbの長さを有するが、ホモロジーの短いアームは2.8kbの長さである(LAおよびSA;ボックスによって示される)。確認のために用いた制限酵素を示す。標的化ベクターは、エレクトロポレーションの前にNotIを用いて線状化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の説明において、非常に多くの特定の詳細が、実施形態の徹底的な理解を提供するために与えられる。実施形態は、特定の詳細の1つまたは複数を用いずに、または他の方法、構成要素、材料などを用いて実施することができる。他の例では、公知の構造、材料、または操作は、実施形態の態様を不明瞭にするのを避けるために、示されないかまたは詳細に説明されない。
【0036】
本明細書全体にわたり、「1つの実施形態」または「一実施形態」という言及は、実施形態との関連で説明される特定の特性、構造、または特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な場所における語句「1つの実施形態では」または「一実施形態では」という表現は、必ずしも全てが同一の実施形態を言及しているわけではない。さらに、特定の特性、構造、または特徴は、任意の適切な様式で1つまたは複数の実施形態において組み合わせられ得る。
【0037】
本明細書において提供される見出しは便宜のためのみであり、実施形態の範囲または意味と解釈されない。
【0038】
本明細書において用いられる用語「アルキル」は、1~8個の炭素の不飽和炭化水素に由来する一価の直鎖または分岐鎖基を指す。本発明のアルキル基は、置換されていてもよい。
【0039】
本明細書において用いられる用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する2~8個の炭素の炭化水素に由来する一価の直鎖または分岐鎖基を指す。本発明のアルケニル基は、置換されていてもよい。
【0040】
本明細書において用いられる用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する2~8個の炭素の炭化水素に由来する一価の直鎖または分岐鎖基を指す。本発明のアルキニル基は、置換されていてもよい。
【0041】
本明細書において用いられる用語「アリール」は、置換されていてもよい少なくとも1つの芳香族環を有する一環式または二環式炭素環系を指す。アリール基は、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロペンタンまたはシクロペンテン環に縮合され得て、その場合、アリール基は、それが結合している環を介して、または芳香族環自体を介して結合され得る。本発明のアリール基は、置換されていてもよい。
【0042】
本明細書において用いられる用語「ヘテロアリール」は、窒素、酸素および硫黄からなる群から独立に選択される1,2,3または4つのヘテロ原子を含む上記に定義されたアリール基を指す。好ましくは、ヘテロアリール基は、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、フリル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリル、イソキノリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、ピラゾリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピロリル、キノリニル、キノキサロイル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリルなどによって代表される。より好ましくは、ヘテロアリール基は、窒素含有ヘテロ環、例えば、ピリジル、トリアゾリルなどによって代表される。
【0043】
本明細書において用いられる用語「シクロアルキル」は、3~6個の炭素の一価飽和環式または二環式炭化水素を指す。本発明のシクロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0044】
本明細書において用いられる用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br、またはIを指す。
【0045】
本明細書において用いられる用語「複素環」は、窒素、酸素および硫黄からなる群から独立に選択される1、2または3つのヘテロ原子を含む4-、5-、6-または7-員環を指す。4-および5-員環は0、1、または2個の二重結合を有し、6-および7-員環は0、1、2、または3個の二重結合を有する。窒素および硫黄原子は酸化されていてもよく、窒素原子は四級化されていてもよい。用語「複素環」はまた、複素環がアリール環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環または別の単環式複素環から選択される1つまたは2つの環に縮合された二環式、三環式、および四環式の基も含む。このタイプのヘテロ環は、それらが縮合している環を介して、または複素環自体を介して結合され得る。ヘテロ環は、限定されないが、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ビオチニル、シンノリニル、ジヒドロフリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジチアゾリル、ジオキサニル、ジオキソラニル、フリル、ホモピペリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリル、イソキノリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キノリニル、キノキサロイル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリル、チエニル、チオモルホリニル、トリアゾリルなどを含む。本発明のヘテロ環基は、置換されていてもよい。好ましくは、複素環基は、窒素含有ヘテロ環、例えば、ピリジル、トリアゾリル、および酸素含有ヘテロ環、例えばジオキサニルおよびジオキソラニルから選択される。
【0046】
本明細書において用いられる用語「薬学的に許容できる塩」は、妥当な医学的判断の範囲内であり、過度の毒性、炎症、アレルギー応答などを伴わずにヒトおよび下等動物の組織と接触する使用に適切であり、合理的な利益/リスク比に見合った塩を指す。
【0047】
本明細書において用いられる用語「薬学的に許容できる水和物および/または溶媒和物」は、1つまたは複数の水および/または溶媒分子を含む物質の結晶形態を指す。
【0048】
一実施形態では、本開示は式(I)の化合物:
式中、
環Hzは、アリールまたはヘテロアリール基から選択され;
、A、A、AおよびAは、同一または互いに異なり、H、CF、Br、I、Cl、F、OH、OR、SR、NH、NHR、NR、S(O)R、S(O)、NHCOR、NHSO、CONHR、CONR、SONHR、COOH、COOR、NO、CN、5~6員O-複素環基から独立に選択され;
およびA、またはAおよびA、またはAおよびA、またはAおよびAは、それらが結合しているフェニル環に縮合した5~6員O-複素環基を一緒に形成することができ;
、B、B、BおよびBは、同一または異なり、H、CHCOOH、COOH、COOR、CN、CF、Br、I、Cl、F、1H-テトラゾル-5-イルから独立に選択され;
およびRは、同一または互いに異なり、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから独立に選択され、ここでnは整数1~4であり;
は、非置換または置換C1-8アルキル基、非置換または置換C2-8アルケニル基、非置換または置換C2-8アルキニル基、非置換または置換C3-6シクロアルキル、非置換または置換アリール、非置換または置換複素環基、(CH-C1-8アルキル、(CH-C2-8アルケニル、(CH-C2-8アルキニル基、(CH-シクロアルキル、(CH-アリールおよび(CH-ヘテロアリールから選択され、ここでmは整数1~4である;
その薬学的に許容できる水和物および/または溶媒和物および/または塩を提供するが、但し以下を除く:4’-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリル;1-(4’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;2-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ピリジン;1-(2’-エトキシ-4’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;2-フルオロ-5-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ピリジン;1-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;5-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ニコチノニトリル;1-(2’-クロロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-(5’-クロロ-2’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-(5’-フルオロ-2’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;4’-(4-(ピリジン-2-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン;4’-(4-(ピリジン-2-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-オール;N-(4’-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンズアミド;N-(5-フルオロ-4’-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)ベンズアミド;4-[4-(4-ビフェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル]ピリジン-2,6-ジカルボン酸。
【0049】
1つまたは複数の実施形態では、存在する場合にR、RおよびRが置換C1-8アルキル基、置換C2-8アルケニル基、置換C2-8アルキニル基、置換C3-6シクロアルキル、置換アリール、置換複素環基から独立に選択される場合、1つまたは複数の置換基は、ハロゲン、CH、CHF、CHF、CF、OR、CN、COOR、CONR、NR、NHCOR、NHSO、S(O)R、S(O)、およびSONHRから独立に選択され、
式中RおよびRは同一または異なり、H、非置換または1つもしくは複数のハロゲン原子で置換されたC-Cアルキル基、および、非置換または1つもしくは複数のハロゲン原子で置換されたC-Cシクロアルキル基から独立に選択される。
【0050】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、R、RおよびRは、非置換メチル、エチル、tert-ブチル、イソ-プロピル、フェニルおよびベンジルから選択される。
【0051】
【0052】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、A置換基は、H、F、OMe、5~6員O-複素環基から選択される。
【0053】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、A置換基は、H、OMe、SMe、OH、5~6員O-複素環基から選択される。
【0054】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、A置換基は、H、OMe、5~6員O-複素環基から選択される。
【0055】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、A置換基は、H、OMe、5~6員O-複素環基から選択される。
【0056】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、A置換基は、H、OMe5~6員O-複素環基から選択される。
【0057】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、位置A、A、A、AまたはAにおける2つの隣接基は、それらが結合しているフェニル環と縮合した5~6員O-複素環基を形成し、フェニル環と縮合した複素環基は、ジヒドロベンゾジオキシニルまたはベンゾジオキソリルから選択される。
【0058】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、B置換基は、HおよびFから選択される。
【0059】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、B置換基は、H、CHCOOH、COOH、COOMe、CN、および1H-テトラゾル-5-イルから選択される。
【0060】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、BはHである。
【0061】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、B置換基は、H、CHCOOH、COOH、COOMe、CN、および1H-テトラゾル-5-イルから選択される。
【0062】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、B置換基は、HおよびFから選択される。
【0063】
本発明に記載の化合物と比べて、Synta66は、10μMでかなりの細胞毒性を示し、24時間後に残存する細胞生存能力は76%である。同一の条件下で、記載されるビフェニル1,4-二置換1,2,3-トリアゾルSOCEモジュレーターは、細胞傷害性でなく、24時間後に細胞生存能力が90%よりも高い。さらに、ビフェニルモジュレーターは、SOCE活性の阻害においてSynta66と同等の効能を維持し、IC50値は両方の場合においてナノモル範囲内である。
【0064】
一実施形態では、本説明は、医薬としての使用のための式(I)の化合物およびそれを含む医薬組成物に関する:
式中、残基A、A、A、A、A、B、B、B、B、B、Hy、およびHzは、上記に示した意味を有しているが、以下は除外される:1-(2’-エトキシ-4’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;2-フルオロ-5-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ピリジン;1-(3’-(メチルスルホニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;5-(4-(4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)フェニル)ニコチノニトリル;1-(2’-クロロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-(5’-クロロ-2’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-(5’-フルオロ-2’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール;1-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-4-フェニル-1H-1,2,3-トリアゾール。
【0065】
一実施形態では、本説明は、SOCEの活性の増加/減少に依存した疾患状態を処置するのに用いるための式(I)の化合物に関し:
式中、残基A、A、A、A、A、B、B、B、B、B、Hy、およびHzは、上記に示した意味を有する。
【0066】
したがって、式(I)の化合物は、以下の予防または処置に有用である:
-機能喪失型または機能獲得型STIM1/Orai1突然変異と関連する疾患であって、制限されないが以下を含むもの:免疫不全(T細胞免疫不全、リンパ増殖性疾患、自己免疫、先天性ミオパシー、無汗症、歯のエナメル、および、血小板活性化の欠損に起因する血栓形成機能障害)、管状凝集体ミオパシー(TAM)、Stormorken症候群およびYork血小板症候群。
-デュシェンヌ型筋ジストロフィーを含む筋ジストロフィー;
-軽度および重度の急性膵炎、慢性膵炎およびERCP後膵炎を含む、炎症性疾患。
【0067】
式(I)の化合物は、処置される状態に適切な様々な経路において投与することができる。適切な経路は、経口、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、皮内、髄腔内および硬膜外を含む)、経皮、直腸、経鼻、局所(口腔および舌下を含む)、膣、腹腔内、肺内および鼻腔内を含む。
【0068】
式(I)の化合物は、錠剤、カプセル、水溶液、顆粒、粉末、懸濁液、クリーム、シロップ、ジェル、エマルションなどの形態で医薬組成物として製剤化することができる。
【0069】
投薬量は、患者の年齢、体重および状態、ならびに投与経路を含む、様々な因子に依存する。1日の投薬量は個々に異なり得るが、化合物(複数可)は、1日の単回用量として0.0001~50mg/体重kgまたは1日の反復用量として0.01~1mg/kgの範囲内で成人ヒトに投与される。
【0070】
錠剤は、式(I)の化合物(複数可)を、錠剤の製造に適切な非毒性の薬学的賦形剤との混合で含む。例示的な賦形剤は以下であり得る:不活性希釈剤、例えば、炭酸ナトリウム、ラクトース、ブドウ糖、セルロースなど;造粒剤および崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、グリコレート、アルギン酸;結合剤、例えば、ゼラチンまたはアカシア;平滑剤、例えばシリカマグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸またはタルク。坐薬の調製のためには、例えば脂肪酸グリセリドまたはカカオ脂の混合物が最初に溶解され、式(I)の化合物(複数可)が攪拌によって均質に溶解される。次いで、均質な混合物を便利なサイズの型へ冷却する。溶液、懸濁液およびエマルションを含む液体製剤は、式(I)の化合物(複数可)を、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、樹脂、アルギン酸ナトリウムおよび天然または合成ガムのような水性懸濁液の製造に適切な賦形剤の混合物中に含んでいる。最終的に、液体製剤は、所望の適切な着色剤、香料、安定剤、防腐剤および増粘剤を含んでよい。
【0071】
本発明の化合物は、1つまたは複数のさらなる治療的薬剤と共投与してもよい。好ましい一実施形態では、前記さらなる治療的薬剤は、限定されないが、非ステロイド系抗炎症性薬物(例えばインドメタシン)およびステロイド系抗炎症性薬物を含む。
【0072】
さらに、式(I)に従った1よりも多い化合物を共投与することができる。
【0073】
式(I)の化合物は、限定されないが表1に示される化合物を含む。



【0074】
式(I)の化合物の一般的な合成
以下のスキームは、本説明の式(I)の化合物を調製する方法を示す。個々の反応ステップのより詳細な説明については、本明細書中の以下の実施例を参照されたい。当業者は、他の合成経路を用いて本発明の化合物を合成し得ることを理解するであろう。特定の出発原料および試薬がスキーム中に示され以下に議論されているが、他の出発原料および試薬を容易に置換して様々な誘導体および/または反応条件を提供することができる。さらに、以下に記載される方法によって調製される化合物の多くは、当業者に公知の従来の化学を用いて本開示に照らしてさらに改変され得る。
【0075】
詳細には、式(IV)の化合物
[式中Cは、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、フェニル、3-メチルチオフェニル、2,4-ジメトキシフェニル、3,5-ジメトキシフェニル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシニル、2,3-ジメトキシフェニル、2,6-ジメトキシフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、2-フルオロ-5-メトキシフェニルおよび3-ヒドロキシフェニルから選択される]を、以下のスキームaに概説されるとおりに調製することができる:
【0076】
式IVの化合物は、鈴木クロスカップリング反応を用いて合成される。ボロン酸は、市販されるか、または当技術分野で知られている合成方法論に従って合成することができるが、臭化アリール1(中間体1)は、アスコルビン酸ナトリウムによってin situで産生される銅(I)により触媒されるアジド-アルキン1,3-双極子環状付加を介して調製される。1-アジド-4-ブロモベンゼンおよび3-エチニル安息香酸の間のクリック反応によって中間体1が得られる。
【0077】
式(V)の化合物
[式中Dは、ピリジン-4-イル、ピリジン-3-イル)、ピリジン-2-イル、3-フルオロピリジン-4-イル、3-カルボキシフェニル、2-カルボキシ-ピリジン-4-イルおよび(2-メトキシカルボニル)ピリジン-4-イルから選択される]を、以下のスキームbに概説されるとおりに調製することができる:
【0078】
式Vの化合物は、アスコルビン酸ナトリウムによってin situで産生される銅(I)により触媒されるアジド-アルキン1,3-双極子環状付加を介して合成される。アルキンは市販されるか、または当技術分野で知られている合成方法論に従って合成することができるが、アジド3はスキームbに示されるとおりに合成される。(2,5-ジメトキシフェニル)ボロン酸および4-ブロモアニリンが鈴木クロスカップリング反応において反応し、中間体2が得られる。次いで、ジアゾ化-アジ化プロトコルによってアジド3(中間体3)が得られ、そして、異なるアルキンとのクリックケミストリー反応を受ける。
【0079】
式(VI)の化合物
[式中Eは、(1H-テトラゾル-5-イル)フェニル、(カルボキシメチル)フェニルおよび3-シアノフェニルから選択される]を、以下のスキームcにおいて概説されるとおりに調製することができる:
【0080】
式VIの化合物は、アスコルビン酸ナトリウムによってin situで産生される銅(I)により触媒されるアジド-アルキン1,3-双極子環状付加を介して合成される。アルキンは市販されるか、または当技術分野で知られている合成方法論に従って合成することができるが、アジド5は、スキームcに示されるとおりに合成される。(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)ボロン酸および4-ブロモアニリンが鈴木クロスカップリング反応において反応して、中間体4が得られる。次いで、ジアゾ化-アジ化プロトコルによってアジド5(中間体5)が得られ、そして、異なるアルキンとのクリックケミストリー反応を受ける。
【0081】
式(VII)の化合物
[式中Fは、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、フェニル、3-メチルチオフェニル、2,4-ジメトキシフェニル、3,5-ジメトキシフェニル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシニル、2,3-ジメトキシフェニル、2,6-ジメトキシフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、2-フルオロ-5-メトキシフェニルおよび3-ヒドロキシフェニルから選択される]を、以下のスキームdに概説されるとおりに調製することができる:
【0082】
式VIIの化合物は、鈴木クロスカップリング反応を用いて合成される。ボロン酸は市販されるか、または当技術分野で知られている合成方法論に従って合成することができるが、臭化アリール7は、Bestmann-Ohira試薬の存在下で反応する4-ブロモベンズアルデヒドから開始して調製されて、中間体6が得られる。アスコルビン酸ナトリウムによってin situで産生される銅(I)により触媒されるアジド-アルキン1,3-双極子環状付加を介して3-アジド安息香酸と6が反応して、化合物7が得られる。
【0083】
式(VIII)の化合物
[式中Gは、ピリジン-4-イル、ピリジン-3-イル)、ピリジン-2-イル、3-フルオロピリジン-4-イル、3-カルボキシフェニル、2-カルボキシ-ピリジン-4-イルおよび(2-メトキシカルボニル)ピリジン-4-イルから選択される]を、以下のスキームeにおいて概説されるとおりに調製することができる:
【0084】
式VIIIの化合物は、アスコルビン酸ナトリウムによってin situで産生される銅(I)により触媒されるアジド-アルキン1,3-双極子環状付加を介して合成される。アジドは当技術分野で知られている合成方法論に従って合成されるが、アルキン9は、スキームeに示されるとおりに合成される。(2,5-ジメトキシフェニル)ボロン酸および4-ブロモベンズアルデヒドが鈴木クロスカップリング反応において反応して、中間体8が得られる。次いで、Bestmann-Ohira試薬存在下で8が反応して、アルキン9(中間体9)が得られる。
【0085】
以下の実施例に記載される化学反応は、複数の他の本発明のSOCEモジュレーターを調製するために容易に適合することができ、式(I)の化合物を調製する代替方法は、当業者の一般的な技術常識に属する。
【0086】
例えば、本発明に従った、例示されない化合物の合成は、当業者に明らかな改変によって、例えば、干渉する基を適切に保護することにより、記載されるもの以外の当技術分野で知られている他の適切な試薬を利用することにより、および/または、反応条件の日常的な改変を行なうことによって、成功的に実施され得る。あるいは、本明細書中に開示されるまたは当技術分野で知られている他の反応は、本発明の他の化合物を調製するための適用性を有するものとして認識される。
【実施例
【0087】
実施例1:3-(1-(4-ブロモフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(中間体1)の合成。
水(26mL)およびt-BuOH(26mL)中の1-アジド-4-ブロモベンゼン(2.78g、14.04mmol)の懸濁液に、3-エチニル安息香酸(2.05g、14.04mmol)を添加する。次いで、1.4mLのアスコルビン酸ナトリウム水溶液(1M)および硫酸銅五水和物(34.9mg、0.14mmol)を添加して、混合物を激しく48時間攪拌する。次いで、揮発性物質を除去し、溶離液として石油エーテル/酢酸エチル2:8および酢酸エチル/メタノール8:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物1が黄色固体として得られる(4.22g、12.27mmol、87%)。
【0088】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.54 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 8.14 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.98-7.94 (m, 3H), 7.86-7.83 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.60 (t, J = 7.7 Hz, 1H). MS: M-1 343.
【0089】
実施例2:2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(中間体2)の合成。
4-ブロモアニリン(2g、11.63mmol)を、窒素雰囲気下でDMF(23mL)およびエタノール(23mL)中に可溶化させる。2,5-ジメトキシフェニル)ボロン酸(3.17g、17.44mmol)、Pd(OAc)(26.1mg、0.116mmol)およびKCO(3.2g、23.26mmol)を順に添加する。混合物を80℃で3時間および室温で一晩攪拌する。反応物を真空下にてセライトパッド上で濾過し、エタノールを用いてリンスして蒸発させる。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル7:3を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物2が黄色固体として得られる(2.61g、11.40mmol、98%)。
【0090】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.39 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 6.97-6.88 (m, 2H), 6.84 (s, 1H), 6.70 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.76 (s, 3H). MS: M+1 230.
【0091】
実施例3:4’-アジド-2,5-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(中間体3)の合成。
水(40mL)中の2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(2g、8.73mmol)の溶液に、HCl 37%(3.5mL)を添加し、生じる混合物を0℃で冷却する。次いで、水(2mL)中のNaNO(0.60g、8.73mmol)の溶液を添加し、10分後、水(2mL)中のNaN(0.68g、10.48mmol)の溶液を滴下する。反応物を室温で5時間攪拌し、EtOAcで希釈し、水(2x)で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、揮発性物質を真空下で除去する。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル98:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗物質を精製すると、化合物3が橙色固体として得られる(1.33g、5.24mmol、60%)。
【0092】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 8.31 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 7.75 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 6.92-6.83 (m, 3H), 3.85 (s, 3H), 3.79 (s, 3H).
【0093】
実施例4:4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)アニリン(中間体4)の合成。
4-ブロモアニリン(0.5g、2.91mmol)をDMF(5mL)およびエタノール(5mL)中に窒素雰囲気下で可溶化する。(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)ボロン酸(0.52g、2.91mmol)、Pd(OAc)(19.6mg、0.029mmol)およびKCO(0.80g、5.82mmol)を順に添加する。混合物を80℃で6時間および室温で一晩攪拌する。反応物を真空下にてセライトパッド上で濾過し、エタノールを用いてリンスして蒸発させる。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル8:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物4が橙色固体として得られる(0.65g、2.86mmol、98%)。
【0094】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.37 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.09 (s, 1H), 7.04 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.93 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.72 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 4.26-4.23 (m, 4H). MS: M+1 228.
【0095】
実施例5:6-(4-アジドフェニル)-2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン(中間体5)の合成。
水(9mL)中の2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(475mg、2.09mmol)の溶液にHCl 37%(831μL)を添加し、生じる混合物を0℃で冷却する。次いで、水(2mL)中のNaNO(144mg、2.09mmol)の溶液を添加し、10分後、水(2mL)中のNaN(163mg、2.51mmol)の溶液を滴下する。反応物を室温で1時間攪拌し、EtOAcで希釈し、水(1x)およびHCl(3N)水溶液(1x)で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、揮発性物質を真空下で除去する。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル98:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗物質を精製すると、化合物5が濃黄色固体として得られる(386mg、1.53mmol、73%)。
【0096】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.50 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 7.10-7.07 (m, 4H), 6.92 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 4.28-4.22 (m, 4H).
【0097】
実施例6:1-ブロモ-4-エチニルベンゼン(中間体6)の合成。
MeOH(22mL)中の4-ブロモベンズアルデヒド(2.15g、11.62mmol)の溶液に、KCO(3.21g、23.24mmol)およびジメチル(1-ジアゾ-2-オキソプロピル)ホスホネート(2.61g、17.43mmol)を順に窒素下で添加する。混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、溶媒を真空下で除去し、水を添加して、水層をCHCl(5x)で抽出する。有機相を回収し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させる。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル9:1および石油エーテル/酢酸エチル8:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗物質を精製すると、化合物6が橙色固体として得られる(1.12g、6.26mmol、54%)。
【0098】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.45 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.34 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 3.11 (s, 1H). MS: M+1 180.
【0099】
実施例7:3-(4-(4-ブロモフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(中間体7)の合成。
水(6mL)およびt-BuOH(6mL)中の1-ブロモ-4-エチニルベンゼン(1g、5.52mmol)の懸濁液に、3-アジド安息香酸(0.89g、5.52mmol)を添加する。次いで、55μLのアスコルビン酸ナトリウム水溶液(1M)および硫酸銅五水和物(13.7mg、0.055mmol)を添加して、混合物を激しく一晩攪拌する。次いで、揮発性物質を除去し、溶離液として石油エーテル/酢酸エチル3:7および酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーにより粗物質を精製すると、化合物7が淡黄色固体として得られる(1.23g、3.59mmol、65%)。
【0100】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.50 (s, 1H), 8.46 (s, 1H), 8.19 (d, J=7.6 Hz, 1H), 8.06 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.78-7.69 (m, 3H). MS: M-1 343.
【0101】
実施例8:2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-カルバルデヒド(中間体8)の合成。
DMF(8mL)および水(2mL)中の4-ブロモベンズアルデヒド(500mg、2.70mmol)の溶液に、(2,5-ジメトキシフェニル)ボロン酸(540mg、2.97mmol)、Pd(OAc)(11.2mg、0.05mmol)およびKCO(933mg、6.75mmol)を順に窒素雰囲気下で添加する。混合物を50℃で3時間攪拌する。反応物を真空下にてセライトパッド上で濾過し、ジエチルエーテルで希釈し、水(3x)で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させて、蒸発させる。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル98:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物8が橙色固体として得られる(647mg、2.67mmol、99%)。
【0102】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 10.06 (s, 1H), 7.89 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 7.69 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 7.08-6.91 (m, 3H), 3.79 (s, 3H), 3.73 (s, 3H). MS: M+1 243.
【0103】
実施例9:4’-エチニル-2,5-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(中間体9)の合成。
MeOH(6mL)中の2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-カルバルデヒド(636mg、2.63mmol)の溶液に、KCO(727mg、5.26mmol)およびジメチル(1-ジアゾ-2-オキソプロピル)ホスホネート(759mg、3.95mmol)を順に窒素下で添加する。混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、溶媒を除去し、水を添加して、水層をCHCl(3x)で抽出する。有機相を回収し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させる。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル98:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗物質を精製すると、化合物9が白色固体として得られる(514mg、2.16mmol、82%)。
【0104】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.59-7.49 (m, 4H), 6.93-6.85 (m, 3H), 3.86 (s, 3H), 3.76 (s, 3H), 3.10 (s, 1H). MS: M+1 239.
【0105】
実施例10:3-(1-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(10)の合成。
3-(1-(4-ブロモフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(100mg、0.29mmol)を、DMF(500μL)およびエタノール(500μL)中に窒素雰囲気下で可溶化する。フェニルボロン酸(79mg、0.44mmol)、Pd(OAc)(1.96mg、0.0029mmol)およびKCO(80mg、0.58mmol)を順に添加する。混合物を80℃で3時間および室温で一晩攪拌する。反応物を真空下にてセライトパッド上で濾過し、エタノールを用いてリンスして蒸発させる。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル4:6を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物10が黄色固体として得られる(39.5mg、0.12mmol、40%)。
【0106】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.52 (s, 1H), 8.61 (s, 1H), 8.20 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 8.09 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.98-7.85 (m, 3H), 7.77 (d , J = 8.3 Hz, 2H), 7.63 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.54-7.50 (m, 2H), 7.43 (d, J = 7.5 Hz, 1H). MS: M+1 342.
【0107】
実施例11:3-(1-(3’-(メチルチオ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(11)の合成。
標記化合物を、実施例10について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物11が白色固体として得られる(89.8mg、0.23mmol、80%)。
【0108】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.55 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.18 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.08 (d, J = 9.3 Hz, 2H), 7.97-7.95 (m, 3H), 7.60 (d, J = 9.3 Hz, 2H), 7.52 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.45 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 2.58 (s, 3H). MS: M+1 388.
【0109】
実施例12:3-(1-(2’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(12)の合成。
標記化合物を、実施例10について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物12が黄色固体として得られる(72mg、0.19mmol、67%)。
【0110】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.45 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.18 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 8.03-7.95 (m, 3H), 7.74 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.53 (t, J = 6.9 Hz, 1H), (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.24-7.14 (m, 2H), 3.82 (s, 3H). MS: M+1 372.
【0111】
実施例13:3-(1-(3’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(13)の合成。
標記化合物を、実施例10について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物13が白色固体として得られる(73mg、0.20mmol、68%)。
【0112】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): 9.45 (s, 1H), 8.54 (s, 1H), 8.19 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.94-7.91 (m, 3H), 7.64 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.28 (s, 1H), 6.98 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 3.84 (s, 3H). MS: M+1 372.
【0113】
実施例14:3-(1-(3’-ヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(14)の合成。
標記化合物を、実施例10について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1および酢酸エチル/メタノール8:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物14が濃黄色固体として得られる(19mg、0.05mmol、18%)。
【0114】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CD3OD): δ 8.96 (s, 1H), 8.59 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 8.03 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.18-7.15 (m, 3H), 7.04-6.99 (m, 2H), 6.82 (d, J = 5.8 Hz, 2H). MS: M-1 356.
【0115】
実施例15:3-(1-(2’,4’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(15)の合成。
標記化合物を、実施例10について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物15が淡黄色固体として得られる(100mg、0.25mmol、86%)。
【0116】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.47 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.17 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.99-7.95 (m, 3H), 7.69 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.62 (t, J = 8.2 Hz, 1H) 7.32 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.71 (s, 1H), 6.66 (d, J = 6.2 Hz, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.81 (s, 3H). MS: M+1 402.
【0117】
実施例16:3-(1-(3’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(16)の合成。
標記化合物を、実施例10について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物16が白色固体として得られる(100mg、0.25mmol、86%)。
【0118】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.51 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.17 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.06 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.95-7.93 (m, 3H), 7.61 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 6.89 (s, 2H), 6.55 (s, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.73 (s, 3H). MS: M+1 402.
【0119】
実施例17:3-(1-(4-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(17)の合成。
標記化合物を、実施例10について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物17が黄色固体として得られる(37mg、0.10mmol、33%)。
【0120】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.51 (s, 1H), 8.54 (s, 1H), 8.17 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.03 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.95 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.61 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.27 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 6.09 (s, 2H). MS: M+1 386.
【0121】
実施例18:3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(18)の合成。
標記化合物を、実施例10について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物18が白色固体として得られる(87mg、0.22mmol、75%)。
【0122】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.50 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.03-7.94 (m, 4H), 7.86 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.62 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 7.27-7.23 (m, 2H), 6.97 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.29-4.22 (m, 4H). MS: M+1 400.
【0123】
実施例19:3-(1-(3’,4’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(19)の合成。
標記化合物を、実施例10について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1および酢酸エチル/メタノール8:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物19が淡黄色固体として得られる(50mg、0.12mmol、43%)。
【0124】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.47 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.17 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 8.03 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.97-7.90 (m, 3H), 7.62 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.33-7.29 (m, 2H), 7.07 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 3.99 (s, 3H), 3.88 (s, 3H). MS: M+1 402.
【0125】
実施例20:3-(1-(2’,3’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(20)の合成。
標記化合物を、実施例10について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1および酢酸エチル/メタノール8:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物20が黄色固体として得られる(88mg、0.22mmol、76%)。
【0126】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.46 (s, 1H), 8.57 (s, 1H), 8.18 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 7.98 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 7.64 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 7.18-7.14 (m, 2H), 7.03 (t, J = 7.3 Hz, 1H) 3.88 (s, 3H), 3.77 (s, 3H). MS: M+1 402.
【0127】
実施例21:3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-5-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(21)の合成。
標記化合物を、実施例10について説明した手順に従って合成する。溶離液としてエチル石油エーテル/酢酸1:9および酢酸エチル/メタノール9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物21が淡黄色固体として得られる(88mg、0.22mmol、76%)。
【0128】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.44 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.15 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 8.03-7.97 (m, 3H), 7.67 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.61 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 6.94-6.93 (m, 3H), 4.32-4.28 (m, 4H). MS: M+1 400.
【0129】
実施例22:3-(1-(2’,6’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(22)の合成。
標記化合物を、実施例10について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1および酢酸エチル/メタノール8:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物22が淡黄色固体として得られる(60mg、0.15mmol、52%)。
【0130】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.40 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.15 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 7.97-7.95 (m, 4H), 7.84 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 7.62-7.58 (m, 1H), 7.47 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.35 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 6.79 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 3.71 (s, 6H). MS: M+1 402.
【0131】
実施例23:3-(1-(2’-フルオロ-5’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(23)の合成。
標記化合物を、実施例10について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物23が白色固体として得られる(52mg、0.13mmol、46%)。
【0132】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.45 (s, 1H), 8.54 (s, 1H), 8.16 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 8.08 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.95 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.64-7.59 (m, 1H), 7.27 (t, J = 7.1 Hz, 1H), 7.13-7.12 (m, 1H), 7.01-6.98 (m, 1H), 3.81 (s, 3H). MS: M+1 390.
【0133】
実施例24:3-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸(24)の合成。
水(460μL)およびt-BuOH(460μL)中の4’-アジド-2,5-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(74mg、0.29mmol)の懸濁液に、3-エチニル安息香酸(42mg、0.29mmol)を添加する。次いで、29μLのアスコルビン酸ナトリウム(1M)水溶液および硫酸銅五水和物(0.72mg、0.0029mmol)を添加し、混合物を激しく一晩攪拌する。次いで、揮発性物質を除去して、溶離液として石油エーテル/酢酸エチル6:4を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物24が淡黄色固体として得られる(49mg、0.12mmol、42%)。
【0134】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 9.20 (s, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.28 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 7.73 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 7.67-7.53 (m, 2H), 7.08 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.01-6.92 (m, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.79 (s, 3H). MS: M+1 402.
【0135】
実施例25:4-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピコリン酸(25)の合成。
メチル4-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピコリネートを、実施例24について説明した手順に従って合成する。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル4:6を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、メチル4-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピコリネートが黄色固体として得られる(39mg、0.09mmol、32%)。
【0136】
化合物(39mg、0.09mmol)を、アセトン(390μL)および水(390μL)中に可溶化する。NaOH(7.2mg、0.18mmol)を添加し、混合物を室温で1時間攪拌する。次いで、揮発性物質を除去して、溶離液として酢酸エチル/メタノール7:3を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物25が淡黄色固体として得られる(21mg、0.05mmol、58%)。
【0137】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.72 (s, 1H), 8.70-8.56 (m, 3H), 8.01 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.75 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.75 (s, 1H), 6.96 (m, 2H), 3.76 (s, 3H), 3.73 (s, 3H). MS: M+1 403.
【0138】
実施例26:4-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)-3-フルオロピリジン(26)の合成。
標記化合物を、実施例24について説明した手順に従って合成する。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル6:4を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物26が黄色固体として得られる(34mg、0.09mmol、31%)。
【0139】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 8.60-8.50 (m, 3H), 8.31 (d, J = 6.1 Hz, 1H), 7.85 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.73 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.97-6.89 (m, 3H), 3.83 (s, 3H), 3.75 (s, 3H). MS: M+1 377.
【0140】
実施例27:4-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピリジン(27)の合成。
標記化合物を、実施例24について説明した手順に従って合成する。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル4:6を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物27が白っぽい固体として得られる(38mg、0.11mmol、37%)。
【0141】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 8.36 (s, 1H), 7.82 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.73-7.64 (m, 4H), 7.52 (s, 1H), 6.97-6.90 (m, 4H), 3.82 (s, 3H), 3.80 (s, 3H). MS: M+1 359.
【0142】
実施例28:3-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピリジン(28)の合成。
標記化合物を、実施例24について説明した手順に従って合成する。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル5:5、石油エーテル/酢酸エチル3:7および石油エーテル/酢酸エチル2:8を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物28が黄色固体として得られる(68mg、0.19mmol、65%)。
【0143】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 9.11 (s, 1H), 8.63 (s, 1H), 8.31-8.29 (m, 2H), 7.83 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.72 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.43 (s, 1H), 6.97-6.91 (m, 3H), 3.94 (s, 3H), 3.79 (s, 3H). MS: M+1 359.
【0144】
実施例29:2-(1-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ピリジン(29)の合成。
標記化合物を、実施例24について説明した手順に従って合成する。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル7:3を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物29が黄色固体として得られる(52mg、0.15mmol、50%)。
【0145】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 8.65-8.59 (m, 2H), 8.26 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.85-7.78 (m, 3H), 7.70 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.25 (t, J = 6.6 Hz, 1H), 6.95-6.86 (m, 3H), 3.82 (s, 3H), 3.77 (s, 3H). MS: M+1 359.
【0146】
実施例30:3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)ベンゾニトリル(30)の合成。
THF(53μL)中のCu(OAc)(5.27mg、0.029mmol)の溶液に、TBTA(トリス(ベンジルトリアゾリルメチル)アミン)(15mg、0.029mmol)を添加し、混合物を室温で30分間攪拌する。THF(1mL)中の中間体3(150mg、0.58mmol)の溶液、THF(1mL)中の3-エチニルベンゾニトリル(74mg、0.58mmol)の溶液、および58μLのアスコルビン酸ナトリウム(1M)水溶液を、順に添加する。反応物を室温で3時間攪拌する。揮発性物質を除去し、溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物30が黄色固体として得られる(198mg、0.52mmol、90%)。
【0147】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.45 (s, 1H), 8.35 (s, 1H), 8.30 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.94 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.88-7.86 (m, 3H), 7.73 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.26-7.23 (m, 2H), 6.97 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 4.31-4.28 (m, 4H). MS: M+1 381.
【0148】
実施例31:5-(3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)フェニル)-1H-テトラゾール(31)の合成。
化合物30(100mg、0.26mmol)をDMF(3mL)中に可溶化し、NaN(20mg、0.31mmol)およびNHCl(16mg、0.31mmol)を順に添加する。混合物を120℃で48時間攪拌する。次いで、HCl(3N)をpH6まで滴下する。水層を酢酸エチル(6x)で抽出し、有機相を回収し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させる。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル2:8および酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物31が濃黄色固体として得られる(39mg、0.09mmol、35%)。
【0149】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CD3OD): δ 8.94 (s, 1H), 8.42 (s, 1H), 7.95 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.76 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.66 (t, J = 7.1 Hz, 1H), 7.37-7.33 (m, 2H), 7.17-7.15 (m, 2H), 6.98 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 4.30-4.27 (m, 4H). MS: M+1 424.
【0150】
実施例32:2-(3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)フェニル)酢酸(32)の合成。
標記化合物を、実施例30について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチルおよび酢酸エチル/メタノール8:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物32が濃黄色固体として得られる(98mg、0.24mmol、41%)。
【0151】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.21 (s, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.87-7.80 (m, 4H), 7.40 (d, J =7.9 Hz, 2H), 7.26 (t, J = 8.5 Hz, 1H), 7.25-7.20 (m, 3H), 5.51 (s, 2H), 4.30-4.27 (m, 4H). MS: M+1 414.
【0152】
実施例33:3-(4-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(33)の合成。
3-(4-(4-ブロモフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(100mg、0.29mmol)をDMF(500μL)およびエタノール(500μL)中で窒素雰囲気下にて可溶化する。フェニルボロン酸(79mg、0.44mmol)、Pd(OAc)(1.96mg、0.0029mmol)およびKCO(80mg、0.58mmol)を順に添加する。混合物を80℃で3時間および室温で一晩攪拌する。反応物を真空下にてセライトパッド上で濾過し、エタノールを用いてリンスして蒸発させる。溶離液として酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物33が白色固体として得られる(54mg、0.16mmol、55%)。
【0153】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.48 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.13-8.03 (m, 5H), 7.83-7.69 (m, 4H), 7.49 (m, 2H), 7.38 (d, J = 7.1 Hz, 1H). MS: M+1 342.
【0154】
実施例34:3-(4-(3’-(メチルチオ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(34)の合成。
標記化合物を、実施例33について説明した手順に従って合成する。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル5:5を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物34が黄色味の固体として得られる(111mg、0.29mmol、99%)。
【0155】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.49 (s, 1H), 8.47 (s, 1H), 8.13-8.03 (m, 4H), 7.83 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.70 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.51 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 2.56 (s, 3H). MS: M-1 386.
【0156】
実施例35:3-(4-(2’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(35)の合成。
標記化合物を、実施例33について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物35が白色固体として得られる(24mg、0.06mmol、22%)。
【0157】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.41 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 8.19 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 8.00 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.71-7.62 (m, 3H), 7.37-7.35 (m, 3H), 7.13-7.05 (m, 3H), 3.81 (s, 3H). MS: M+1 372.
【0158】
実施例36:3-(4-(3’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(36)の合成。
標記化合物を、実施例33について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物36が白色固体として得られる(66mg、0.18mmol、61%)。
【0159】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.53 (s, 1H), 8.50 (s, 1H), 8.25 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 8.07-8.05 (m, 3H), 7.84-7.75 (m, 3H), 7.40-7.27 (m, 3H), 6.96 (d, J = 7.7, 1H), 3.84 (s, 3H). MS: M+1 372.
【0160】
実施例37:3-(4-(2’,4’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(37)の合成。
標記化合物を、実施例33について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物37が黄色固体として得られる(114mg、0.28mmol、98%)。
【0161】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.41 (s, 1H), 8.47 (s, 1H), 8.13 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.96 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 7.71 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 7.55 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 7.27 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 6.67-6.61 (m, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.78 (s, 3H). MS: M+1 402.
【0162】
実施例38:3-(4-(3’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(38)の合成。
標記化合物を、実施例33について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物38が黄色固体として得られる(115mg、0.29mmol、99%)。
【0163】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.50 (s, 1H), 8.50 (s, 1H), 8.14 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 8.06-8.04 (m, 3H), 7.82 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.70 (t, J = 7.1 Hz, 1H), 6.94-6.87 (m, 2H), 6.52 (s, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.78 (s, 3H) MS: M+1 402.
【0164】
実施例39:3-(4-(4-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(39)の合成。
標記化合物を、実施例33について説明した手順に従って合成する。溶離液としてエーテル/酢酸エチル1:9を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物39が黄色味の固体として得られる(65mg、0.17mmol、58%)。
【0165】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.48 (s, 1H), 8.49 (s, 1H), 8.22 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 8.05-7.94 (m, 3H), 7.79-7.74 (m, 3H), 7.33 (s, 1H), 7.23 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 7.02 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.11 (s, 2H). MS: M+1 386.
【0166】
実施例40:3-(4-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(40)の合成。
標記化合物を、実施例33について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物40が淡黄色固体として得られる(115mg、0.29mmol、99%)。
【0167】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.49 (s, 1H), 8.49 (s, 1H), 8.22 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.02 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.79-7.77 (m, 3H), 7.27-7.22 (m, 3H), 6.95 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.34-4.28 (m, 4H). MS: M+1 400.
【0168】
実施例41:3-(4-(3’,4’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(41)の合成。
標記化合物を、実施例33について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1および酢酸エチル/メタノール8:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物41が白色固体として得らえる(65mg、0.16mmol、56%)。
【0169】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.41 (s, 1H), 8.49 (s, 1H), 8.16 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.08-8.02 (m, 3H), 7.79 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.71 (t, J = 7.9 Hz. 1H), 7.30-7.27 (m, 2H), 7.06 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.82 (s, 3H). MS: M+1 402.
【0170】
実施例42:3-(4-(2’,3’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(42)の合成。
標記化合物を、実施例33について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1および酢酸エチル/メタノール8:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物42が白色固体として得られる(88mg、0.22mmol、76%)。
【0171】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.53 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 8.18-8.07 (m, 4H), 7.77 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 7.21-7.15 (m, 2H), 7.03 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.91 (s, 3H), 3.62 (s, 3H). MS: M+1 402.
【0172】
実施例43:3-(4-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-5-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(43)の合成。
標記化合物を、実施例33について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル/メタノール9:1および酢酸エチル/メタノール8:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物43が淡黄色固体として得られる(105mg、0.26mmol、91%)。
【0173】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.42 (s, 1H), 8.49 (s, 1H), 8.11-7.99 (m, 4H), 7.70 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 6.93-6.90 (m, 3H), 4.29-4.26 (m, 4H). MS: M+1 400.
【0174】
実施例44:3-(4-(2’,6’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(44)の合成。
標記化合物を、実施例33について説明した手順に従って合成する。溶離液として酢酸エチル、酢酸エチル/メタノール9:1および酢酸エチル/メタノール8:2を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物44が淡黄色固体として得られる(53mg、0.13mmol、46%)。
【0175】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.40 (s, 1H), 8.55 (s, 1H), 8.15 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.06 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 7.96-7.92 (m, 3H), 7.72-7.70 (m, 4H), 7.29 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 3.69 (s, 6H). MS: M+1 402.
【0176】
実施例45:3-(4-(2’-フルオロ-5’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(45)の合成。
標記化合物を、実施例33について説明した手順に従って合成する。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル2:8を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物45が黄色固体として得られる(46mg、0.12mmol、41%)。
【0177】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.49 (s, 1H), 8.50 (s, 1H), 8.24 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.08-8.06 (m, 3H), 7.80-7.70 (m, 3H), 7.25 (t, J = 7.1 Hz, 1H), 7.12-7.11 (m, 1H), 6.99-6.98 (m, 1H), 3.78 (s, 3H). MS: M+1 390.
【0178】
実施例46:3-(4-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)安息香酸(46)の合成。
水(425μL)およびt-BuOH(425μL)中の4’-エチニル-2,5-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル(100mg、0.42mmol)の懸濁液に、3-アジド安息香酸(68mg、0.42mmol)を添加する。次いで、42μLのアスコルビン酸ナトリウム(1M)水溶液および硫酸銅五水和物(1.04mg、0.0042mmol)を添加し、混合物を激しく一晩攪拌する。次いで、揮発性物質を除去し、溶離液として石油エーテル/酢酸エチル3:7を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物46が黄色味の固体として得られる(167mg、0.42mmol、99%)。
【0179】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, (CD3)2CO): δ 9.18 (s, 1H), 8.58 (s, 1H), 8,26 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.15 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.77 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.04 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.97-6.89 (m, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.76 (s, 3H). MS: M+1 402.
【0180】
実施例47:メチル4-(4-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)ピコリネート(47)の合成。
標記化合物を、実施例46について説明した手順に従って合成する。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル4:6を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物47が黄色味の固体として得られる(107mg、0.26mmol、61%)。
【0181】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, (CD3)2CO): δ 9.38 (s, 1H), 8.93 (d, J = 4.6 Hz, 1H) 8.65 (s, 1H), 8.26 (d, J =9.0 Hz, 1H) 8.05 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.67 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.05 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.95-6.91 (m, 2H), 4.03 (s, 3H), 3.81 (s, 3H), 3,77 (s, 3H). MS: M+1 417.
【0182】
実施例48:4-(4-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)ピコリン酸(48)の合成。
化合物47(49mg、0.12mmol)をアセトン(490μL)および水(490μL)中に可溶化する。NaOH(9.6mg、0.24mmol)を添加し、混合物を室温で2時間攪拌する。次いで、揮発性物質を除去して、溶離液として酢酸エチル/メタノール8:2および酢酸エチル/メタノール7:3を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物48が淡黄色固体として得られる(36mg、0.09mmol、75%)。
【0183】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.71 (s, 1H), 8.70-8.62 (m, 3H), 8.02 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.63 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.09 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.94-6.92 (m, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.76 (s, 3H). MS: M+1 403.
【0184】
実施例49:4-(4-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)-3-フルオロピリジン(49)の合成。
標記化合物を、実施例46について説明した手順に従って合成する。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル7:3を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物49が黄色固体として得られる(95mg、0.25mmol、60%)。
【0185】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 8.75 (s, 1H), 8.64 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.22 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.96 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.66 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 6.96-6.89 (m, 3H), 3.82 (s, 3H), 3.76 (s, 3H). MS: M+1 377.
【0186】
実施例50:4-(4-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)ピリジン(50)の合成。
標記化合物を、実施例46について説明した手順に従って合成する。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル9:1を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物50が黄色固体として得られる(119mg、0.33mmol、79%)。
【0187】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.55 (s, 1H), 8.85 (s, 1H), 8.04-8.01 (m, 2H), 7.99 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.66 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.06 (d, J = 6.9 Hz, 1H) 6.94-9.93 (m, 3H), 3.77 (s, 3H), 3.74 (s, 3H). MS: M+1 359.
【0188】
実施例51:3-(4-(2’,5’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)ピリジン(51)の合成。
標記化合物を、実施例46について説明した手順に従って合成する。溶離液として石油エーテル/酢酸エチル5:5を用いてカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製すると、化合物51が黄色味の固体として得られる(117mg、0.33mmol、78%)。
【0189】
分析データ:
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ 9.08 (s, 1H), 8.72 (s, 1H), 8.27-8.21 (m, 2H), 7.95 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.65 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.53 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 6.96-6.88 (m, 3H), 3.82 (s, 3H), 3.78 (s, 3H). MS: M+1 359.
【0190】
生物学的アッセイ
昨今言及されているストア作動性Ca2+流入(SOCE)を例証する重要な実験を図1に示す。簡潔には、ER/SR貯蔵が空になると、形質膜チャネルが開放され、それを通ってCa2+が細胞内に逆流することができ、これらの2つの現象は、細胞内貯蔵が枯渇した後にCa2+を細胞外溶液に添加することによって分析することができる。この単純だが強力な実験的手法は、スクリーニングにおける現象を明らかにするために妥当であることに変わりはない。
【0191】
細胞培養および動物モデル
ヒト胚腎臓HEK細胞をATCC(ATCC(登録商標)CRL-1573(商標)、Rockville,MD,USA)から取得し、10%熱不活化FBS(Gibco,Italy)、l-グルタミン50mg/mL(Sigma-Aldrich,Italy)、ペニシリン10U/mLおよびストレプトマイシン100mg/mL(Sigma-Aldrich,Italy)で補充された、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Sigma-Aldrich,Italy)中で37℃にて、5%CO加湿雰囲気下で培養した。実験のために、細胞を、ガラスカバースリップ上に5×10/mLの濃度でプレーティングした(6ウェルプレート中、24mm直径カバースリップ)。
【0192】
化合物の効果を実証するため、機能獲得型の希少な遺伝子障害のための治療的戦略を開発するために、我々は、C57Bl/6Nバックグラウンドに対してp.I115Fノックイン点突然変異(KI-STIM1I115F)を有するマウスコロニーを生産した。さらに、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する化合物の効果を評価するために、我々は、Jackson Laboratoryから購入したジストロフィン‐欠損mdxマウス(C57BL/10ScSn‐Dmdmdx/J)を用いた。
【0193】
動物の世話と飼育は、国内外の法律や政策を遵守し、施設のガイドラインに準拠した。マウスは、12時間の明/暗サイクルで22±1℃のモニタールームにおいて換気されたケージ内に収容され、餌と水を自由に摂取できるようにし、雌雄別で23日目に離乳させた。本手順は、地元の動物衛生倫理委員会(Universita del Piemonte Orientale)の承認を受け、国の当局(Istituto Superiore di Sanita;承認番号N.194/2019-PR)の認可を受けた。
【0194】
C57Bl/6NバックグラウンドにおけるKI-STIM1I115Fファウンダー(founder)をPolyGene transgenics(CH、https://www.polygene.ch/)から取得した。簡潔には、このノックインマウスモデルは、エレクトロポレーションによってトランスフェクトされた胚性幹(ES)細胞における相同組み換えによって生産され、染色体7上に位置するStim1遺伝子のエクソン3上に、c.343A>T突然変異を挿入した(イソロイシンからフェニルアラニンの置換;I115Fに相当)。
【0195】
Stim1のイントロン3内の疑わしくない(unsuspicious)領域内に挿入されたFRTで挟まれたネオマイシン耐性カセットを有する線状化した標的化ベクターF118.3 TV(図7)をエレクトロポレーションに用いた。
【0196】
標的化ベクターの完全性を、エクソン領域のシーケンシングおよび以下の制限酵素を用いた制限分析:HindIII(7.2kb/2.9kb/1.7kb/1.2kb)、PstI(8.3kb/2.7kb/1.3kb/0.7kb)、PvuII(3.5kb/2.8kb/2.5kb/1.1kb/0.9kb/0.8kb/0.6kb/0.4kb/0.3kb/0.15kb)およびBglII(5.5kb/2.9kb/2.2kb/1.3kb/1.0kb/0.05kb)によって確認した。G418選択を用いて安定なトランスフェクションを維持し、得られたクローンを、PCRならびに制限酵素BstEIIおよび3’外部プローブ(LAprobe)を用いたサザンブロットによって分析および評価した。このプローブは463bpのサイズを有しており、以下のプライマーを用いて生産した:
F118.20 5’-TGCCAGTTTCCCTATCAG-3’(配列番号:1);
F118.21 5’-CCTAAGGATGGGATGTAACC-3(配列番号:2).
【0197】
選択したESクローンを、灰色C57Bl/6Nマウス由来の49個の胚盤胞内に注入した。41個の生存している胚盤胞を2匹のCD-1 fosterマウス内に移植した。生じたキメラを灰色Flp-deleterマウスと交配させた。キメラ由来の子孫を、Flpによって仲介されるネオマイシンカセットの欠失および対応する残存FRT部位の存在についてスクリーニングした。
【0198】
離乳時に耳パンチ法によりマウスを識別し、得られた組織片を使用してPCRBIO Rapid Extract PCRキット(PCR Biosystems,UK)を用いた遺伝子型決定を行なった。DNA抽出を製造元の説明書に従って行なった(5xPCRBIO Rapid ExtractバッファーA、10xPCRBIO Rapid ExtractバッファーB)。
【0199】
野生型およびKI-STIM1I115F一次筋芽細胞を以下の筋肉から得た:腓腹筋、前脛骨筋、大腿四頭筋、長指伸筋、ヒラメ筋、上腕二頭筋および横隔膜。それぞれの筋肉を、60mm皿においてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に置き、腱から取り外し、長手方向に分離して、続いて、より小片に切り刻んだ。小さなフラグメントを、プロナーゼ(登録商標)(プロテアーゼ、Streptomyces griseus、Calbiochem(登録商標)、25KU)とともに1時間37℃で振とうしながらインキュベートして、10%熱不活化FCS(Gibco,Italy)、L-グルタミン50mg/mL(Sigma-Aldrich,Italy)、ペニシリン10U/mLおよびストレプトマイシン100mg/mL(Sigma-Aldrich,Italy)、および1%雛胚抽出物(Sigma-Aldrich,Italy)で補充されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM,Sigma-Aldrich,Italy)を用いて中和した。次いで、組織をより小片に切り刻み、10および5mLのピペットを通し、得られた上清を40μmストレーナーで濾過し、RTで10分間、1200rpmで遠心分離した。ペレットを再懸濁し、100mm皿において、10%熱不活化ウシ胎児血清(Gibco,Italy)、L-グルタミン50mg/mL(Sigma-Aldrich,Italy)、ペニシリン10U/mL、ストレプトマイシン100mg/mL(Sigma-Aldrich,Italy)、および1%雛胚抽出物(Sigma-Aldrich,Italy)で補充されたDMEM中、90分間37℃にて、5%CO加湿雰囲気下に筋芽細胞をプレーティングし、デブリさせた(for letting the debris)。次いで、上清を遠心分離して、2%ゼラチン処理した35mm皿において、20%熱不活化ウシ胎児血清(Gibco,Italy)、10%ウマ血清(Gibco,Italy)、L-グルタミン50mg/mL(Sigma-Aldrich,Italy)、ペニシリン10U/mLおよびストレプトマイシン100mg/mL(Sigma-Aldrich,Italy)、1%雛胚抽出物(Sigma-Aldrich,Italy)およびFGF10ng/ml(Peprotech,UK)で補充したDMEM(Sigma-Aldrich,Italy)中、37℃にて、5%CO加湿雰囲気下で6~7日間プレーティングし、培地を24~36時間ごとに交換した。筋管への分化のために、5%ウマ血清および1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含むDMEMからなる分化培地中へ筋芽細胞を24時間移した。
【0200】
実験のために、筋管を、ガラスカバースリップ上に20×10/ウェルの濃度でプレーティングする際に同一培地中でさらに24時間維持し(6ウェルプレート中、24mm直径カバースリップ)、10%熱不活化FBS(Gibco,Italy)、L-グルタミン50mg/mL(Sigma-Aldrich,Italy)、ペニシリン10U/mLおよびストレプトマイシン100mg/mL(Sigma-Aldrich,Italy)で補充されたDMEM中で、37℃にて5%CO加湿雰囲気下で維持した。実験は、P2およびP3での抽出の6~7日後に行なった。
【0201】
Fura-2 Ca 2+ 測定による、SOCEを標的化する化合物の生物学的評価
化合物を、カバースリップ上でFura-2 AMを用いてシングルセル分析においてHek細胞に対して試験した。Hek細胞に、0.02%のプルロニック-127の存在下で5μM Fura-2 AM(両方ともLife Technologies,Italy)と、2mMCaClを含むKrebs-Ringerバッファー(KRB,135mM NaCl、5mM KCl、0.4mM KHPO、1mM MgSO、5.5mMグルコース、20mM HEPES、pH7.4)中の10μMスルフィンピラゾンとを負荷した(30分、室温)。その後、細胞を洗浄して、KRBとともにさらに30分間インキュベートして、Fura-2AMを脱エステル化させた。ストア作動性カルシウム流入を測定するために、細胞質ゾルCa2+の変化を細胞内Ca2+貯蔵の枯渇の際に監視した。実験は、Ca2+フリー溶液に対する細胞の曝露前および曝露中に行なった。Ca2+の不存在下では、細胞内Ca2+貯蔵は、2,5-t-ブチルヒドロキノン(tBHQ、50μM;Sigma-Aldrich,Italy)による水胞のCa2+ポンプの阻害によって枯渇した。2mMのCa2+の再添加によってSOCEの評価が可能となった。実験中、カバースリップを取得チャンバ(acquisition chamber)内に搭載し、S Fluor ×40/1.3(対物)を備えたLeica DMI6000落射蛍光顕微鏡の台上に置いた。PolychromeIVモノクロメーター(TillPhoton-ics,Germany)を用いて交互の340および380nmによってFura-2を励起し、520/20バンドパスフィルタを通してプローブ発光をフィルタリングし、冷却CCDカメラ(Hamamatsu,Japan)によって集光した。蛍光シグナルを取得し、MetaFluorソフトウェア(Molecular Device,Sun-Nyvale,CA,USA)を用いて処理した。Ca2+過渡変化(transient)の振幅における違いを定量化するために、式ΔF/F0を用いて比率の値を正規化した。
【0202】
化合物のSOCE調整のパーセンテージを、tBHQによって誘導されたHek細胞内へのカルシウム流入の値に基づき決定した。マイクロソフトのエクセルおよびGraphPad Prismを用いてデータを解析した。例を表2に示す。
【0203】
【0204】
【0205】
STIM1突然変異マウスモデル(KI-STIM1 I115F )由来の筋管におけるSOCEの薬理学的調整
筋管を各条件において4匹の動物から生産した。我々はまた、WT筋管内のSOCEがこれらの動物の寿命中に改変されるかどうか分析した。これを行なうために我々は、Ca2+流入に関する古典的なプロトコルを用いた。そのプロトコルでは、貯蔵がCa2+フリーのバッファー中でtBHQにより枯渇し、10分後に細胞をCa2+含有溶液(2mM)中で灌流する。
【0206】
4匹の野生型(WT)および4匹のKI-STIM1I115Fマウス由来の筋管に5μMのFura-2 AMを負荷し、0mMのCa2+を含む細胞外溶液中に置いた。貯蔵を50μM tBHQにより枯渇させ、10分後に細胞を、選択された化合物(3-(1-(3’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸)の存在下または不存在下でCa2+含有溶液(2mM)中で灌流した。図3に見られるように、KI-STIM1I115F由来の筋管は、1ヶ月で既にWTと比べて有意に増大したSOCEを示す。増加したSOCEは、試験した全ての時点(1、3、6および12ヶ月)を通して維持された。興味深いことに、WT筋管由来のSOCEは、より若い動物(1ヶ月)においてより高いようであり、その後の時点では減少した。
【0207】
化合物3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸の筋管に対する効果を図4に示す。見ることができるように、化合物はSTIM1突然変異タンパク質の過剰活性化を元に戻すことができる(図4)。
【0208】
DMDマウスモデル(mdx)の筋管由来のSOCEの薬理学的調整
筋管を各条件において4匹の動物から生産した。我々は、SOCEがWTマウス由来の筋管と比べてmxdマウス由来の筋管において増加するかどうか分析した。これを行なうために我々は、Ca2+流入に関する古典的なプロトコルを用いた。そのプロトコルでは、貯蔵がCa2+フリーのバッファー中でtBHQにより枯渇し、10分後に細胞をCa2+含有溶液(2mM)中で灌流する。
【0209】
4匹の野生型(WT)および4匹のmdxマウス由来の筋管に5μMのFura-2 AMを負荷し、0mMのCa2+を含む細胞外溶液中に置いた。貯蔵を50μM tBHQにより枯渇させ、10分後に細胞を、選択された化合物(3-(1-(3’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸)の存在下または不存在下でCa2+含有溶液(2mM)中で灌流した。図5に見られるように、mdxマウス由来の筋管は、3ヶ月で既にWTと比べて有意に増大したSOCEを示す。
【0210】
化合物3-(1-(4-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル)安息香酸の筋管に対する効果を図6に示す。見ることができるように、化合物はDMDマウスモデルにおいてSOCEの過剰活性化を元に戻すことができる(図6)。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
【配列表】
2023515340000001.app
【国際調査報告】