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特表2023-515342心臓修復構造、およびそのための装置と方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】心臓修復構造、およびそのための装置と方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022548126
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-22
(86)【国際出願番号】 US2021018611
(87)【国際公開番号】W WO2021168138
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】63/090,785
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/978,078
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506243057
【氏名又は名称】エルエスアイ ソルーションズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サウアー, ジュード エス.
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC03
4C097DD15
4C097EE08
4C097SB01
4C097SB02
(57)【要約】
心臓手術のための修復構造装置が開示されている。修復構造装置は、流体貯留部と、流体貯留部と連通する多孔性表面を含むプラットフォームと、を備えている。ポートが多孔性表面と連通している。装置は、プラットフォームと位置合わせするように構成された切断テンプレートと、プラットフォームに係合するように構成されたスライス用そりと、を備えている。さらに、心臓手術のための修復構造を構築するための切断テンプレートが開示されている。切断テンプレートは、少なくとも1つの弧状ローブと少なくとも1つの鋭利なエッジとを有するフレームを含む。心臓手術のための修復構造を構築するための装置も開示されている。この装置は、多孔性プラットフォームを含む。心臓手術のための修復構造が開示される。この修復構造は組織シートを含む。組織シートは、組織シートの自由エッジに沿って折り畳まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織シートを備え、前記組織シートが自由エッジに沿って折り畳まれている、心臓手術のための修復構造。
【請求項2】
前記組織シートは、一方側の平滑面と、反対側の粗面とをさらに備える、請求項1に記載の心臓手術のための修復構造。
【請求項3】
前記粗面の2つの部分が、互いに対面している、請求項2に記載の心臓手術のための修復構造。
【請求項4】
多孔性プラットフォームを備えた、心臓手術のための修復構造を構築するための装置。
【請求項5】
さらに、前記多孔性プラットフォームに結合されたバキューム源を備えた、請求項4に記載の心臓手術のための修復構造を構築するための装置。
【請求項6】
さらに、前記多孔性プラットフォーム上に配置された心膜シートに接触ように構成されたテンプレートを備えた、請求項4に記載の心臓手術のための修復構造を構築するための装置。
【請求項7】
少なくとも1つの弧状のローブを有するフレームと、
少なくとも1つの鋭利なエッジと、
を備えた、心臓手術のための修復構造を構築するための切断テンプレート。
【請求項8】
流体貯留部と、
前記流体貯留部と連通する多孔性表面を備えるプラットフォームと、
前記多孔性表面と連通するポートと、
前記プラットフォームと位置合わせするように構成された切断テンプレートと、
前記プラットフォームに係合するように構成されたスライス用そりと、
を備えた、心臓手術のための修復構造装置。
【請求項9】
さらに、前記プラットフォームと連通するマニホルドを備えた、請求項8に記載の心臓手術のための修復構造装置。
【請求項10】
前記マニホルドが少なくとも1つのポートをさらに含む、請求項9に記載の心臓手術のための修復構造装置。
【請求項11】
前記マニホルドが4つのポートを含む、請求項10に記載の心臓手術のための修復構造装置。
【請求項12】
さらに折り畳み基板を備えた、請求項8に記載の心臓手術のための修復構造装置。
【請求項13】
前記プラットフォームは、複数の穴をさらに含む、請求項8に記載の心臓手術のための修復構造装置。
【請求項14】
前記プラットフォームは、前記切断テンプレートと位置合わせするように構成されたアライメントフィーチャをさらに含む、請求項8に記載の心臓手術のための修復構造装置。
【請求項15】
前記プラットフォームは、第1プラットフォームセグメントと第2プラットフォームセグメントをさらに含む、請求項8に記載の心臓手術のための修復構造装置。
【請求項16】
前記第1プラットフォームセグメントと前記第2プラットフォームセグメントが、回転可能に連結されている、請求項15に記載の心臓手術のための修復構造装置。
【請求項17】
前記第2プラットフォームセグメントは、取り外し可能な構成要素を有する、請求項15に記載の心臓手術のための修復構造装置。
【請求項18】
前記切断テンプレートは、少なくとも1つの弧状ローブを有するフレームと、鋭利なエッジとを含む、請求項8に記載の心臓手術のための修復構造装置。
【請求項19】
前記スライス用そりは、前記スライス用そりに結合されたブレードをさらに含む、請求項8に記載の心臓手術のための修復構造装置。
【請求項20】
前記スライス用そりは、調整可能なオフセットをさらに含む、請求項19に記載の心臓手術のための修復構造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織修復構造に関し、より詳しくは、低侵襲性の心臓外科手術の際に用いられる組織修復構造およびこの修復構造を構築するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パッチまたは移植片を作成するために、保存された自己組織および保存されていない自己組織が、数年先行して利用され実施されている。特に、大動脈弁を置換するためのオザキの技術は、過去10年間の心臓手術の分野においてより多く受け入れてきた。オザキ博士の前進は、患者自身からの保存された自己心膜組織を、弁尖(リーフレット)の形状に切断するためのより精密なパターンのテンプレートを提供したことである。この心膜組織のセグメントは、3つの片(pieces)に切断される。これらは典型的な大動脈弁の3つの弁尖(すなわち、左冠状動脈入口部に隣接する左弁尖と、右冠状動脈の近くの右弁尖と、非冠状動脈弁尖)の形状に似ており、選択されたパターンに従って切断される。
【0003】
心膜組織は、いずれかの側の横隔神経の前で、心臓の前側の表面の上から採取される。心臓に隣接する心膜表面は非常に滑らかであるが、反対側は、付着した脂肪組織の集まりを有していて粗い表面であることが多い。通常は単一層の心膜が、大動脈根に縫い付けられる。心膜組織の滑らかな内側の表面が左心室側に面し、心膜組織の粗い外側の表面が上行大動脈の壁に向かって外側に面するようにする。
【0004】
現在のオザキ法の場合、採取された心膜組織は、通常、0.6%グルタルアルデヒド溶液の10分間浸漬し、続いてすすぎ工程を実行することによって保存される。他の組織保存技術および治療方法も知られている。これらの保存技術は組織を強化し、取り扱いを容易にするが、それらはプロセス中において全ての生きた組織細胞を殺すことがある。保存されていない組織とは異なり、現在の保存技術は、経時的に脆性または劣化する可能性のある組織を提供し、成長している患者では成長しないであろう。
【0005】
現在、患者の中で劣化を伴わずに何十年も続く心臓修復構造が必要とされている。例えば、置換心臓弁は、患者の寿命よりも長く持続することが好ましい。身体および心臓のサイズがまだ成長している若い患者においては、理想的な置換弁は、それが心臓弁の本来の組織であるかのように、患者と共に成長する。
【発明の概要】
【0006】
心臓手術のための修復構造が開示されている。この修復構造は、組織シートを含み、この組織シートは自由エッジに沿って折り畳まれる。
【0007】
心臓手術用の修復構造を構築する装置も開示されている。この装置は多孔性プラットフォームを含む。
【0008】
心臓手術用の修復構造を構築するための切断テンプレートが開示されている。この切断テンプレートは、少なくとも1つの弧状のローブを有するフレームと、少なくとも1つの鋭利なエッジを含む。
【0009】
心臓手術のための修復構造装置が開示されている。この修復構造装置は、流体貯留部と、この流体貯留部と連通する多孔性表面を備えたプラットフォームとを含む。ポートが多孔性表面に連通している。この装置は、プラットフォームと位置合わせされるように構成された切断テンプレートと、プラットフォームと係合するように構成されたスライス用そりと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】心臓手術のための修復構造を左前方の上方から見た斜視図である。
【0011】
図2A図1の心臓手術のための修復構造の構築手順を示す上面図である。
図2B】同修復構造の構築手順の次の段階を示す上面図である。
図2C】同修復構造の構築手順のさらに次の段階を示す上面図である。
【0012】
図3】心臓手術のための修復構造を構築するためのテンプレートを左前方の上方から見た斜視図である。
【0013】
図4】心臓手術のための修復構造装置を右前方の上方から見た斜視図である。
【0014】
図5A図4の心臓手術のための修復構造装置の組立手順を示す分解図である。
図5B】同修復構造装置の組立手順の次の段階を示す分解図である。
図5C】同修復構造装置の組立手順のさらに次の段階を示す分解図である。
【0015】
図6A図4の心臓手術のための修復構造装置と共に使用される追加の外科用器具(スライス用そり)を下方から見た斜視図である。
図6B】同外科用器具を上方から見た斜視図である。
図6C】さらに追加の外科用器具(折り畳みフェルトホルダ)の分解図である。
図6D】同外科用器具の斜視図である。
図6E】さらに追加の外科用器具(ピンクッションツール)を下方から見た斜視図である。
図6F】同外科用器具の底面図である。
図6G】さらに追加の外科用器具(切断テンプレート)を下方から見た斜視図である。
図6H】同外科用器具の底面図である。
【0016】
図7A図4の修復構造装置と図6A図6Hの追加的な外科用器具を使用する方法の最初の工程を示す。
図7B】同方法の次の工程を示す。
図7C】同方法の次の工程を示す。
図7D】同方法の次の工程を示す。
図7E】同方法の次の工程を示す。
図7F】同方法の次の工程を示す。
図7G】同方法の次の工程を示す。
図7H】同方法の次の工程を示す。
図7J】同方法の次の工程を示す。
図7K】同方法の次の工程を示す。
図7L】同方法の次の工程を示す。
図7M】同方法の次の工程を示す。
図7N】同方法の次の工程を示す。
図7P】同方法の次の工程を示す。
図7Q】同方法の次の工程を示す。
【0017】
図7I図7Oは、数字71、70と混同しないように省略されていることに注意すべきである。
明確にする目的で、そして適切であると思われる場合、対応するフィーチャを示すために参照番号が図で繰り返されていること、フィーチャをより良く示すために、図面の様々な要素が必ずしも縮尺どおりに描かれていないことを、理解されたい。
【発明の詳細な説明】
【0018】
図1は、心臓手術のための修復構造を左前方の上方から見た斜視図である。図示の修復構造は、自己組織すなわち心膜組織から構成された置換心臓弁である。
修復構造10とも呼ばれる置換心臓弁は構造的に頑丈であり、単一の弁尖(弁リーフレット;valve leaflet)だけのために、単一の層ではなく、2つの層の心膜組織を用いて形成されている。図1に示された実施形態は、いくつかのローブ12とリーフレット14を有し、自由エッジ16に沿って折られている。修復構造10の構造については、図2A図2Cを参照してさらに詳しく説明するであろう。修復構造アセンブリは、縫合糸18を使用して、交連縁ポイント20および環状縁(この図には示されていない)で縫合することによって完成される。修復構造の別の実施形態では、組織溶接、生体適合性接着剤、または当業者に公知の他の手段によって完成される。この修復構造10(または置換バルブ)は、心膜組織を二重厚さに折り畳むことにより構成されているが、このような修復構造の他の実施形態は、3層以上の心膜組織または他の適切な組織を含むことができる。
【0019】
図2A図2Cは、図1の心臓手術用修復構造の構成を示す上面図である。図2Aは、採取された心膜組織シート22の一部分を示す。この心膜組織シート22は、粗面側24と反対側の平滑面側(この図では見えない)を有する。本明細書に記載される修復構造を作成するための最初の工程を示す指標ラインが、心膜組織部分に重ねられて示されている。破線で示される切断ライン26は構造の輪郭を描いている。この構造は、第1ローブの第1部分28と、第1ローブの第2部分30と、第2ローブの第2部分32と、第2ローブの第2部分34と、第3ローブの第1部分36と、第3ローブの第2部分38とを有する。さらに心膜組織部分には、折り畳みエッジライン40、ローブラインA、ローブラインBが示されている。切開ライン26は、心膜組織22とともに切断される線を示し、この切断により、本実施形態の修復構造10(この例では自己組織置換心臓弁)を含むことになる構造を最初に作成する。
【0020】
図2Bは、切り取られた心膜組織を示す。心膜組織は粗面側24と反対側の平滑面側を有する。平滑面側はこの図では見えない。矢印は、自己組織置換心臓弁の構築における次の工程での折り畳み方向を示す。切り取られた心膜組織は、折り畳みエッジライン40に沿って、内側折り畳み方向42に折り畳まれ、その結果、切り取られた心膜組織において折り畳みエッジライン40によって2分割された粗面の2つの部分が、内側に折り畳まれて互いに対面する。粗面は、典型的には付着した脂肪組織の集合を有し、これは血栓形成の病巣または中心となり得る。ローブラインAとローブラインBは、折り畳みエッジラインに沿う折り畳み後に実行される折り曲げのラインを示す。
【0021】
図2Cは、自己組織置換心臓弁の構築における次の工程を示す。図2Cは、切り取られ折り畳まれた心膜組織44を示しており、両側で平滑面54が外側に面している。ローブラインAとローブラインBは、図1に示すような置換心臓弁のローブ46、48、50を形成するための折り曲げ位置を示す。折り曲げ方向52も示されている。この折り曲げ工程では、折り曲げ角度が約90-120度であり、図2Bで説明した折り畳み工程のように平らに折り畳まれない。一旦組織が図2B及び図2Cに示すように折られると、本明細書に記述される実施形態では、新しい弁の他の縁が、交連縁および環状縁とともに縫合される。さらに、3つの交連縁に沿った組織の折り曲げは、これらの高応力領域において弁に追加の補強を提供することができる。自己組織を処理せずコンプロマイズすることにより、弁の成長および改造の可能性が最も高くなる。さらに、この材料は、同じ患者から採取するので、死体または他の種の組織、すなわち異種移植片のような免疫拒絶のリスクは無い。
【0022】
得られた置換弁は、自己組織で依然として生存可能な組織のために、典型的な手術室条件において人間工学的な取り扱いを可能にする基材を提供する。保存されていない心膜の確実なトリミングおよび強化を可能にするために、より良い手段を使用することができる。カスタマイズされた弁形状はまた、この弁を患者の心臓内の適切な位置に縫合する能力を高めることができる。心膜組織の二重の層を提供することにより、内表面を左心室(LV)側だけでなく大動脈側にも配向することができる。心膜の粗い外表面は、折り畳まれ、露出した内表面の間に挟まれる。
【0023】
本明細書に記載される実施形態は、保存されていない生存可能な自己組織の心膜から作られた、より耐久性があり取り扱いが容易な置換弁を提供する。心膜の平滑な内表面は循環する血液に露出され、一方、心膜の外表面は創面切除後でも粗いが、折り畳まれた心膜組織内で隔離される。追加の折り目は、交連縁の縫い点等の応力領域の補強層を提供することができる。
【0024】
図3は、心臓手術用修復構造を構築するためのテンプレート56を左前方の上方から見た斜視図である。テンプレート56はフレーム58を有する。フレーム58は、いくつかのローブ構造60、62、64とテンプレート構造全体を横断する側壁68を含む。テンプレート56はまた、心膜または他の適切な組織を切断または切り取るために使用される鋭利なエッジ66を含む。これは、本明細書に記載の修復構造に使用するために、テンプレート形状を手動で追跡したり、適切な自己組織を少しずつ切り取ったりする必要性を排除することができる。図3に示されたテンプレート56は必ずしも縮尺通りではなく、テンプレートの寸法は、各患者固有の解剖学的構造の相違に適応するように変えることができる。
【0025】
別の実施形態は、心臓弁の置換または他の心臓修復構造を形成する静止した組織を維持するための、他の自己組織保持または切り取り装置を含むことができる。このような組織保持装置は、採取された組織を、多孔性プラットフォーム例えば発泡体または他の安定化ベース上に配置することができる。多孔性材料には、組織の健康を維持し乾燥を防止するために、電解質を含有するグルコース溶液を含浸させることができる。組織保持装置は、当技術分野で知られているように、バキューム発生器またはバキューム源または他の手段による吸引を用いて実施してもよいし、吸引を用いずに実施してもよい。吸引および多孔性のプラットフォームの安定化は、一緒に用いるか別個に用いるかに拘わらず、組織を切り取り形成して適切な心臓修復構造にするための安定したベースを提供する。縫合または半自動縫合を容易にするために、追加の低侵襲性縫合装置を使用することもできる。
【0026】
図4は、心臓手術のための修復構造装置を右前方の上方から見た斜視図である。修復構造装置70は精密ワークステーションであり、患者自身から採取された心膜組織で構成され心臓手術で用いられる心臓弁または他の修復構造を構築するのに使用される。修復構造装置70は、ベース構造およびワークステーションとして使用されるデッキ72を有する。デッキ72は、第1流体貯留部78と、流体貯留部78より低く流体貯留部78内に差し込まれた第2内部流体貯留部82とを画成する。流体貯留部78は、流体貯留部78の両側に複数の流体チャネル80をさらに画成する。流体貯留部78は、第2内部流体貯留部82と連通している。内部流体貯留部82は、プラットフォーム74を受け入れて保持するように、寸法決めされ構成されている。プラットフォーム74は、いくつかの組み合わされた構成要素からなる。プラットフォーム74は、第1のプラットフォームセグメント(プラットフォーム半体)104を有している。このプラットフォームセグメント104は、一端に第1ポート110と第2ポート112を有し、上面に多孔性表面部分106を有している。この多孔性表面部分106は、第1内部チャンバおよび第1ポート110と連通する複数の小さな開口からなる。第1のプラットフォームセグメント104はまた、第2の多孔性表面部分108を有する。この多孔性表面部分108は、第2内部チャンバおよび第2ポート112と連通する複数の小さな開口からなる。プラットフォーム74はまた、第2のプラットフォームセグメント(プラットフォーム半体)114を有している。このプラットフォームセグメント114は、独立した第3のプラットフォーム部分116と独立した第4のプラットフォーム部分120を有している。第3のプラットフォーム部分116は、第3内部チャンバおよび第3ポート118に連通する複数の小さな開口を画成している。第4のプラットフォーム部分120も、第4内部チャンバおよび第4ポート122と連通する複数の小さな開口を画成する。第4のプラットフォーム部分120は、本明細書に記載される切断テンプレートと位置合わせするように構成されたアライメントエッジ168を画成する。この切断テンプレートは、採取された心膜組織の一部を特定のパターンで切断し、続いて置換心臓弁のような心臓修復構造を構築するためのものである。第1のプラットフォームセグメント104と第2のプラットフォームセグメント114は、第1ヒンジ124と第2ヒンジ126によって一緒に保持される。第1ヒンジピン128と第2ヒンジピン130は、ヒンジ124、126を一緒にしっかりと保持する。第1ヒンジ124と第2ヒンジ126により、本明細書に記載された工程において、プラットフォーム74の第1プラットフォームセグメント104を約180度回転させて、第2のプラットフォームセグメント114上に折り畳むことができる。
【0027】
デッキ72はまた、その両側に第1の縫合糸チャネル100および第2の縫合糸チャネル102を画成している。それぞれのチャネル100、102は、これらチャネル内において縫合糸を解放可能に保持する(あるいは一時的に動きを制限する)ように構成されている。ピン164を有する第1クランプレバー84は、デッキ72の下に保持された第1回転シャフト86に結合されている。いくつかのピン92が第1回転シャフト86の長手方向に沿って取り付けられている。その詳細な構造および動作については後で詳細に説明する。この図に示すように、第1回転シャフト86が開き位置(または非ロック位置)に位置している時には、第1回転シャフト86に取り付けられたピン92が外側に回転しており、クランプレバー84のピン164が、デッキ72に画成された下側ピン凹部166に解放可能に保持されている。第1回転シャフト86が閉じ位置(またはロック位置)に回転されると、第1回転シャフト86の長手方向に沿って取り付けられた各ピン92が、内側に回転されてプラットフォーム74を所定位置に保持し、それからピン164がデッキ72によって画成された上側ピン凹部167に解放可能に保持される。ピン164を有する第2クランプレバー88は、第2回転シャフト90に連結されている。第2回転シャフト90もまたデッキ72の下に保持されている。いくつかのピン94が第2回転シャフト90の長手方向に沿って取り付けられており、その詳細な構造および動作については後で詳細に説明する。第2回転シャフト90が開き位置(または非ロック位置)に位置している時、第2回転シャフト90に取り付けられたピン94が外側に回転しており、クランプレバー88のピン164が、デッキ72によって画成された下側ピン凹部166に解放可能に保持されている。第2回転シャフト90が図4に示すように閉じ位置(またはロック位置)に回転されると、第2回転シャフト90の長手方向に沿って取り付けられた各ピン94が内側に回転してプラットフォーム74を所定位置に保持し、それからピン164がデッキ72によって画成された上側ピン凹部167に解放可能に保持される。
【0028】
修復構造装置70はまた、マニホルド(またはバキュームアレイ)76を含む。このマニホルドは、4つの独立したバキュームチャネル、すなわち第1バキュームチャネル76A、第2バキュームチャネル76B、第3バキュームチャネル76Cおよび第4バキュームチャネル76Dを含む。第1チューブ132は、一端がプラットフォーム74の第1ポート110に接続され、他端が第1入口フィッティング140に接続され、これにより、第1プラットフォームセグメント104の第1チャンバと第1バキュームチャネル76Aとの間の連通を提供する。第1バキュームチャネル76Aはまた、バキュームの流れをオンオフするための第1閉止コック148と、バキューム源に通じる第1ソースフィッティング156とを有する。第2チューブ134は、一端がプラットフォーム74の第2ポート112に接続され、他端が第2入口フィッティング142に接続され、これにより、第1プラットフォームセグメント104の第2チャンバと第2バキュームチャネル76Bとの間の連通を提供する。第2バキュームチャネル76Bはまた、第2閉止コック150と、バキューム源に通じる第2ソースフィッティング158とを有する。第3チューブ136は、一端がプラットフォーム74の第3ポート118に接続され、他端が第3入口フィッティング144に接続され、これにより、第2プラットフォームセグメント114の第3チャンバと第3バキュームチャネル76Cとの間の連通を提供する。第3バキュームチャネル76Cはまた、第3閉止コック152と、バキューム源に通じる第3ソースフィッティング160とを有する。第4チューブ138は、一端がプラットフォーム74の第4ポート122に接続され、他端が第4入口フィッティング146に接続され、これにより、第2プラットフォームセグメント114の第4チャンバと第4バキュームチャネル76Dとの間の連通を提供する。第4バキュームチャネル76Dはまた、第4閉止コック154と、バキューム源に通じる第4ソースフィッティング162を有する。本実施形態におけるプラットフォーム74の構造は、他の実施形態の構造で代替してもよい。本実施形態ではプラットフォーム74の4つのセクションが示されているが、プラットフォームのセクションは、より少なくてもよいし、より多くてもよい。別の実施形態では、デッキは他の形状または構造を有していてもよく、楕円形、円形または他の形状でもよい。他の態様では、特定の外科プロトコルまたは手術の他のパラメータによって必要とされる2つを超える流体貯留部を備えていてもよい。ここでは4つの独立したバキュームチャネルが示されているが、これらは例示の目的のためにのみ示されている。他の実施形態は、これよりも少ない数または多い数のバキュームチャネルを有してもよいし、他の構造、配置であってもよい。
【0029】
図5A図5Cは、図4の心臓手術のための修復構造装置の組立手順を示す分解図である。図5Aは、プラットフォーム74に関連するいくつかの組立工程を示している。第1多孔性表面部分106、第2多孔性表面部分108、第1ポート110および第2ポート112を有する第1のプラットフォームセグメント104はまた、プラットフォーム74の他の部分と位置合わせされて噛み合うように構成された数個のアライメントタブ182を画成するとともに、両端において第1ヒンジ部分124Aと第2ヒンジ部分126Aを画成する。第1ポート110はバーベッド端部(返しのある端部)178を有し、第2ポート112はバーベッド端部180を有している。第1ヒンジ部124Aはピン通路172を画成し、第2ヒンジ部126Aはピン通路174を画成する。第1の下部チャンバ床部材196は、第1のチャンバ206を輪郭付けし確立する封止エッジ204を画成する。この床部材196は、第1のプラットフォームセグメント104の底部に取り付けられ、第1のプラットフォームセグメント104の第1多孔性表面部分106に対応する。これにより、プラットフォーム74内に、第1多孔性表面部分106と第1ポート110の両方に連通する第1チャンバ206が構築される。封止エッジ208と第2チャンバ210を画成する第2の下部チャンバ床部材198は、第1のプラットフォームセグメント104の底部と結合し、第1プラットフォームセグメント104内の第2多孔性表面部分108に対応する。これにより、プラットフォーム74内に、第1プラットフォームセグメント104の第2多孔性表面部分108と第2ポート112の両方に連通する第2チャンバ210が構築される。
【0030】
第3プラットフォーム部分116は、複数の穴によって画成された多孔性表面を有するとともに、デッキ72の他の対応するフィーチャと位置合わせされて係合する数個のアライメントタブ192を画成する。第3プラットフォーム部分116はまた、バーベッド端部190を有する第3ポート118を画成するとともに、両端部に第1ヒンジ部分124Bと第2ヒンジ部分126Bを画成する。第1ヒンジ部分124Bはピン通路186を画成し、第2ヒンジ部分126Bはピン通路184を画成する。封止エッジ212と第3チャンバ214を画成する第3の下部チャンバ床部材200は、第3プラットフォーム部分116の底部と結合し、第3プラットフォーム部分116によって画成された多孔性表面と対応する。これにより、プラットフォーム74内に、第3プラットフォーム部分116によって画成された多孔性表面と第3ポート118の両方に連通する第3チャンバ214が構築される。第4プラットフォーム部分120は、複数の穴によって画成された多孔性表面を有するととともに、外側リップ170が付いたアライメントエッジ168と、バーベッド端部194を有する第4ポート122を画成する。封止エッジ126と第4チャンバ218を画成する第4の下部チャンバ床部材202は、第4プラットフォームセグメント120の底部に結合され、第4プラットフォーム部分120によって画成された多孔性表面と対応する。これにより、プラットフォーム74内に、第4プラットフォーム部分120によって画成された多孔性表面と第4ポート122の両方に連通する第4チャンバ218が構築される。第4プラットフォーム部分120は、第3プラットフォーム部分116と噛み合わせることによって結合される。次に、第1プラットフォームセグメント104の第2プラットフォーム部分が、第1ヒンジ部分124A、124Bを噛み合わせて第1のヒンジ124を形成するとともに、第2のンジ部分126A、126Bを噛み合わせて第2ヒンジ126を形成することによって、第3のプラットフォーム部分116に結合される。同時に、またはその近くで、第1プラットフォームセグメント104のアライメントタブ182が、第3プラットフォーム部分116の対応する受部と整列する。ヒンジ124、126を一緒に固定するために、縫合糸チャネル176を画成する第1ヒンジピン128と、縫合糸チャネル188を画成する第2ヒンジピン130が、第1ヒンジ124と第2ヒンジ126に挿入され、第1ヒンジ部分124A、124Bおよび第2ヒンジ部分126A、126Bがそれぞれ所定位置にロックされる。多孔性表面は、表面の複数の穴によって形成してもよいし、フリット化されたガラスまたはセラミックの部分またはピースから製造してもよく、または他の表面材料により、プラットフォームの1つ以上のセグメント内のチャンバと連通するように構成された多孔性表面を提供してもよい。表面は複数の穴を有していてもよいが、フリットガラスまたは他の材料で形成してもよい。
【0031】
図5Bは、図4の心臓手術のための修復構造装置の組立手順の次の工程を示している。図5Bは、デッキ72に関するいくつかの組立工程を示している。内部流体貯留部82内には、第1回転シャフト86に関連する数個のスロット222と、プラットフォーム74を固定するための2つの保持タブ237と、ノブ96およびノブシャフト98を受け入れるように構成された穴220がある。見ることはできないが、第2回転シャフト90に関連する追加のスロットが反対側にある。デッキはまた、第1回転シャフト86を受け入れるための穴224と、第2回転シャフト90を受け入れるための第2の穴226とを画成する。ピン164がクランプレバー84に挿入され、クランプレバー84が第1回転シャフト86の穴232に挿入される。第1回転シャフト86はその長手方向に沿って、デッキ72の内部流体貯留部82内のスロット222の位置に対応する複数の穴228を有している。第1回転シャフト86が穴224内に挿入されると、ピン挿入部92Aを有する各ピン92が、各スロット222を通って第1回転シャフト86の対応する穴228に挿入される。第1回転シャフト86が回転すると、ピン92は第1回転シャフト86と共に回転する。第2ピン164がクランプレバー88に挿入され、クランプレバー88が第2回転シャフト90の穴234に挿入される。第2回転シャフト90はその長手方向に、デッキ72の内部流体貯留部82内のスロット(この図では見えない)の位置に対応する複数の穴230を有している。第2回転シャフト90が穴226内に挿入されると、ピン挿入部94Aを有する各ピン94が、各スロットを通って第2回転シャフト90の対応する穴230に挿入される。第2回転シャフト90が回転すると、ピン94は第2回転シャフト90と共に回転する。
【0032】
図5Cは、図4の心臓手術のための修復構造装置の組立手順における次の工程を示す。図5Cは、デッキ組立の完成と、プラットフォーム74の取り付けと、バキュームアレイ76の組立に関する数個の工程を示す。アーム240を有する数個の第1シャフトリテーナ236が、デッキ72の底部に固定され、第1回転シャフト86を所定位置にしっかり取り付ける。アーム242を有する数個の第2シャフトリテーナ238が、デッキ72の底部に固定され、第2回転シャフト90を所定の位置にしっかり取り付ける。各バキュームチューブ132、134、136、138の一端が、それぞれ第1ポート110、第2ポート112、第3ポート118および第4ポート122で、プラットフォーム74に取り付けられる。各バキュームチューブ132、134、136、138の他端は、第1バキュームチャネル76Aの第1入口フィッティング140、第2バキュームチャネル76Bの第2入口フィッティング142、第3バキュームチャネル76Cの第3入口フィッティング144、および第4バキュームチャネル76Dの第4入口フィッティング146にそれぞれ取り付けられる。次いで、プラットフォーム74が、デッキ72の第2内部流体貯留部82内に設置され、第2の内部流体貯留部82の底部の保持タブ237にスライドして係止することによって、部分的に固定される。プラットフォーム74の下側には、対応するフィーチャ(図示しない)が配置されている。第1クランプレバー84と第1回転シャフト86が内側に回転し、第2クランプレバー88と第2回転シャフト90も内側に回転して、第1回転シャフト86に取り付けられたピン92と第2回転シャフト90に取り付けられたピン94が、プラットフォーム74に係合し、このプラットフォーム74を所定位置に側部から保持する。最後に、ノブ96のノブシャフト98が、プラットフォーム74側に挿入され(ここでは図示しない)、プラットフォーム74の第1プラットフォームセグメント104を回転させるために動作可能にする。
【0033】
図6A-図6Hは、図4の心臓手術のための修復構造装置と共に使用される追加の外科用器具の例示的な図である。図6Aは、図4の修復構造装置と共に使用するためのスライス用そり(slicing sled)244を左後方の下方から見た斜視図である。スライス用そり244は、心臓修復構造で使用される心膜または他の組織の部分の上面から、粗い組織を薄くスライスするために用いられる装置である。スライス用そり244は、いずれかの側にハンドル248を有するフレーム246と、フレーム246の底部に配置された数個のオフセット250とを有している。各オフセット250は、フレーム246の底部と、ブレードサポート252に取り付けられたブレード258との間の空間を提供するように構成されている。ブレードサポート252は、スライス用そり244のフレーム246に架け渡されている。ブレードサポート252はまた、その長手方向に沿って複数のブレードリテーナ256を画成する。外科用グレードのステンレス鋼からなるブレード258は、ブレードエッジ260と長手方向に沿う数個のブレード凹部254とを画成する。ブレード凹部254は、ブレードリテーナ256を受け入れ、ブレード258をスライス用そり244の底部に固定的に取り付ける。図6Bは、図4の修復構造装置と関連して使用するためのスライスそり244を右後方の上方から見た斜視図である。ブレード258は、外科用グレードのステンレス鋼から作られているが、外科的処置に適した他の材料を適宜使用してもよい。設定された又は調整可能な厚さ(または切断高さ)を有する他の構成もまた、代替の実施形態で使用され得る。
【0034】
図6Cは、図4の心臓手術のための修復構造装置と共に使用される折り畳みフェルトホルダ262のアセンブリの分解図であり、図6Dはフェルトホルダ262の斜視図である。スロット273とヒンジ268を画成する第1折り畳み部材264は、スロット273とヒンジ270を画成する第2折り畳み部材266と連結され組み合わされる。ヒンジ268とヒンジ270は組み合わされて、折り畳みフェルトホルダ262の第1折り畳み部材264と第2折り畳み部材266との間に、折り畳みヒンジを形成する。第1折り畳み部材264と第2折り畳み部材266の各々は、一端部にスカラップ(scallops;波状の縁取り)272を有する。この一端部は。心臓修復構造のための潜在的な縫合場所(stitching site)に対応する。複数のガイド穴276と2つのスロット278とを有するフェルトサポート(フェルト製サポート;felt support)274が、折り畳みフェルトホルダ262の各部材264、266のスロット273内に挿入される。
【0035】
図6Eは、図4の心臓手術のための修復構造装置と共に使用されるピンクッションツール280を左前方の下方から見た斜視図である。ピンクッションツール280はベース282を画成する。このベース282は、プラットフォーム74の第1プラットフォームセグメント104の一部の形状と、心臓修復構造で使用される心膜または他の組織部分の意図された形状の両方に対応する。ピンクッションツール280の底部には、複数のピン284がさらに画成されている。図6Fは、図6Eのピンクッションツール280の底面図である。ピンクッションツール280は、心臓修復構造として使用される準備された心膜組織の解放を補助するために使用される。詳細は後述する。ここでは、機械的ピンクッションツールが図示されているが、プラットフォームからの心膜組織の解放を補助するために、他の方法または装置を代替実施形態で用いてもよい。例えば、圧縮空気供給システム、流体放出システム、または当業者が使用することができる他の手段がある。
【0036】
図6Gは、図4の心臓手術のための修復構造装置と共に使用される切断テンプレートを左後方の下方から見た斜視図である。ベース294を画成する切断テンプレート286は、ベース294に連結されたフレーム296を有している。ベース294は、切断エッジ298を有する硬い材料であり、潜在的心臓修復構造の形状にある心膜または他の適切な組織の部分を区分けするように構成されている。フレーム296は数個のローブ288、290、292を有している。切断テンプレート286の使用については後述する。図6Hは、図6Gの切断テンプレートの底面図である。
【0037】
図7A-7H、図7J-7Nおよび図7P-7Qは、図4の修復構造装置および図6A-6Hに示された追加の外科用器具の使用方法を示す。図7I及び図7Oは、それぞれ数字71及び70とそれぞれ混同されないように省略されている。本明細書に記載されるような修復構造装置の利用は、適切に採取された心膜組織、好ましくは患者自身の自己由来の心膜組織を必要とする。特定の外科的処置ステップが記載されているが、優先的な外科技術または医療の必要性により、代替的な処置ステップまたは技術を用いることに留意されたい。心膜組織の採取のための典型的な手順は、心膜嚢採取のための剣状突起下へのアクセスを開始するであろう。前方中央内側脊椎空間へのアクセスは、剣状突起の下側での切開と共に、剣状突起下の皮膚切開部を介して実行される。次いで、リトラクターを使用して胸骨を心臓から持ち上げ、心膜を注意深く評価して、心膜に沿って走る左右の横隔神経の全長を同定する。心膜組織の止血採取は、手術中に可能な限り長く心膜組織への血流供給を維持するために特別の注意を伴って、両側の横隔神経の直前から実行される。一旦採取されると、心膜は分けられて冷却された酸素化溶液に入れられる。酸素化溶液は、適切な代謝物質とエネルギー特性を有する。全体の手順を通して適切に検体を処理し注意を払わなければならない。組織の保存は、標準的な手術室装置内、または修復構造装置70のデッキ72部分の第2内部流体貯留部82と第1流体貯留部78内で、実施することができる。大動脈へのアクセスは、右前方胸壁の第2、第3肋間腔の上方に5cmの皮膚切開部を形成し、右胸骨境界から約5cm開始することによって、実行される。焼灼は、肋間筋を切断するために使用される。この際、骨に近づき過ぎるのを回避するために注意を払う。特に肋間神経や血管への損傷を回避するために、第2肋骨の内側の面に注意を払う。通常の方法では胸膜空間に入り、右肺を収縮させ、溶解する必要がある接着剤を向ける。右上肺静脈シャントは必要ではない。次に、外科医の好ましい実施であるならば、腕頭動脈に近い上行大動脈が同定され、肺動脈への付着から解放される。先端から0.5cmのボールを有する16ゲージのステンレス鋼の針を、大動脈切開部位に挿入する。別のポーク穴を使用して、クランプが腕頭動脈のすぐ近くに配置される。順行性結晶学的(antegrade crystalloid)心臓麻痺は、外科医の練習である場合、アデノシンの急速静注の後に組み込まれる。心臓の停止時に、外科医の好ましい大動脈切開部は、アンテグレードの心臓麻痺穿刺部位を組み込むように作られる。弁リーフレットが切除され、脱灰が実行され、3つの頂部接合部位の各々に縫合糸が配置される。大動脈根の適切な後退が達成され、プレジェット付きの2-0ポリエステル縫合糸が環に均等間隔で配置される。
【0038】
図7Aは、図4に示された心臓手術のための修復構造装置の斜視図である。心膜組織を準備するには、図7Aに示された修復構造装置70のような精密なワークステーションを使用する必要がある。この修復構造装置70は、正確な位置合わせフィーチャと正確な基準面とを有する剛性のドッキングベース(またはデッキ)72を含む。この修復構造装置70は、この構築プロセスの中心的なベースとして使用される。このドッキングステーションは、プラットフォーム74に配置された特定の基準サイトおよび良好にコントロールされた表面を有する。ここでさらに詳細に説明する。独立してコントロールされる4つのバキュームブロック(バキュームチャンバとも呼ばれる)は、4つのバキュームチャネル76A、76B、76C、76Dに接続されている。これらブロックは、提案された弁の自由エッジの軸に沿って一緒に関節運動する。第1プラットフォームセグメント104内に配置された上部バキュームブロックは、独立した第3プラットフォーム部116、第4プラットフォーム部120とからなる第2プラットフォームセグメント114内の下部バキュームブロックに対して180度回転する。横隔膜の縁を頂部に向けた状態で、心膜組織300の血清心膜の体壁葉は、繊維状の心膜を上に向けて、第1プラットフォームセグメント104と第2プラットフォームセグメント114の両方のバキューム表面上に配置される。適切な温度が維持され、酸素化された生理学的溶液が、第1流体貯留部78および第2内部流体貯留部82内で心膜試料に配置される。第1流体貯留部78全体の中で下側貯留部としての第2内部流体貯留部82の全体的な配置が与えられると、保存生理学的溶液がデッキ72に導入され第1流体貯留部78と第2の内部流体貯留部82に導入される。これにより心膜組織300が手順中浸漬される。大きな又は脂肪の塊(またはセグメント)は、露出された繊維状心膜から切除されるか又は他の方法で除去される。この際、心膜組織300を貫通する穴をあけないように、そして心膜の粗い繊維状の表面を平滑にするように、注意が払われる。あらゆるデブリが洗い流され除去される。心膜組織300がプラットフォーム74上に配置されると、第1クランプレバー84および第2回転シャフト90は、関連するピン92、94がプラットフォーム74を平坦で静止した状態で所定位置に保持するように、配置される。プラットフォーム74は、第1バキュームチューブ132、第2バキュームチューブ134、第3バキュームチューブ136および第4バキュームチューブ138によって、第1バキュームチャネル76A、第2バキュームチャネル76B、第3バキュームチャネル76Cおよび第4バキュームチャネル76Dのそれぞれに接続されている。第1ソースフィッティング156、第2ソースフィッティング158、第3ソースフィッティング160および第4ソースフィッティング162は、任意のバキューム源(明瞭化のために図示しない)に接続されている。当業者には、バキュームアレイ76のための適切なバキューム源の適切な設計および構成が知られている。
【0039】
図7Bは、修復構造装置70を使用する手順の次のステップを示す。第1バキュームチャネル76Aは、第1閉止コック148の回転によってオンにされ、プラットフォーム74の第1プラットフォームセグメント104内の第1バキュームチャンバの下方から、心膜組織300のプラットフォームに対面する背面側に、バキュームを提供する。心膜組織300は、プラットフォーム74にわたって平滑化され、伸ばされる。ハンドル304を有するローラ302が、心膜組織300を押圧し、心膜組織300を横切ってほぼ対角線方向306に移動される。ローラ302がプラットフォーム74に対して心膜組織300を連続的に滑らかにして平坦にするために使用されるとき、図7Cに示すように、第2バキュームチャネル76Bの第2閉止コック150、第3バキュームチャネル76Cの第3閉止コック152、第4バキュームチャネル76Dの第4閉止コック154が回転してオンに切り替わり、プラットフォーム内の4つのバキュームチャンバの全てを介して、バキュームが提供される。バキュームチャネルのための閉止コック機構は1/4ターンバルブとして示されているが、バキューム源とプラットフォームとの間の当業者に知られているバキュームフローを制御または調整する他の手段が、別の実施形態で利用されてもよい。
【0040】
図7Dは、スライス用そり244がデッキ72上に設置され第1流体貯留部78内に入り込んだ初期位置を示している。スライス用そり244は、第2内部流体貯留部82に架け渡され、心膜組織300を手動で横切り、頂面から粗い組織をスライスし、得られた心膜組織300の均一な厚さを残すように構成されている。均一な厚さは、スライス用そり244の両側のオフセット250の高さによって決まる。オフセット250は、第1流体貯留部78内で乗り、プラットフォーム74の表面に対するブレードエッジ260の高さを設定する。前方の余計なまたは粗い組織材料を切除するために、ジグザグパターンでの刈り取り動作を用い、これにより後方に約0.15インチの心膜組織300の層の厚さを残すようにしてもよい。このスライス用そり244は両側に固定されたオフセット250を含むが、調整可能なオフセットを有する代替実施形態を用いてもよいし、心膜組織300を異なる均一な厚さにスライスする代替方法を用いてもよい。図7Eに示すように、スライス用そり244が心膜組織300を横断すると、スライス用そり244が除去され、切除されたデブリが洗い出されて修復構造装置70のデッキ72から除去される。
【0041】
図7Fは、図6G、6Hのテンプレート286がプラットフォーム74に降下している状態を示す。修復構造装置70のプラットフォーム74には、保存され準備された心膜組織300が、多孔性表面を介したバキュームにより適所に保持されている。切断テンプレート286はクッキーカッターに似ており、クッキーカッターと見比べて参照することができる。切断テンプレート286はプラットフォーム74へと下降され、プラットフォーム74のアライメントエッジ168を基準にして位置合わせされる。この図では、アライメントエッジ168は、心膜組織300によって隠されている。切断テンプレート286は、図7Gに示すように心膜組織300へと下降する。心膜組織300は3つのU字形を2組有する形状に切断される。テンプレート286が心膜組織300に押し下げられると、第1バキュームチャネル76Aと第4バキュームチャネル76Dは、それぞれ第1閉止コック148と第4閉止コック154により、閉じられる。図7Hは、上記工程の結果物である区分けされた心膜組織テンプレート308を示す。この心膜組織テンプレート308は心臓修復構造を完成するために用いられる。心膜組織テンプレートの周囲の余分の周辺組織は、第1多孔性表面部分106および第4プラットフォーム部分120とその多孔性表面に対応するバキューム領域から、除去される。ここで示される心膜組織テンプレートは提案された縫合位置に関連するマーキングまたはミシン目(穿孔の列)を含むことに留意されたい。これらは実際の組織サンプルには存在しないが、本明細書に記載されているような心臓修復構造を構築するための手順において後の工程での提案された縫合位置として注目されるであろう。
【0042】
図7Jは、自己の心膜組織から心臓修復構造(または心臓弁)を構築する際に、図4の修復構造装置で実行される次の処置工程を示す。ePTFE製の両端針縫合糸310の糸部(ストランド)は、区分けされた心膜組織テンプレート308の自由エッジの折り畳みラインに沿い、デッキ72の第1縫合糸チャネル100を通り、マッシュルーム形状のヒンジ124のピン通路172に入り、マッシュルーム形状のヒンジ126の縫合糸チャネル188を通り、修復構造装置70のデッキ72の第2縫合糸チャネル102を通って、配置されている。縫合糸310は、当該技術分野で知られている通常の縫合糸固定手段により固定される。縫合糸310が固定されると、プラットフォーム74の第1プラットフォーム半体104は第2プラットフォーム半体114に向かって180度回転され、図7Kに示すように、ePTFE縫合糸を、区分けされた心膜組織テンプレート308の層内に折り畳みラインにおいて捕捉する。次に、第2閉止コック150を回転させて第2バキュームチャネル76Bを閉じ、これにより、プラットフォーム74の第1プラットフォームセグメント104へのバキューム供給を遮断する。次いで、第2の下部チャンバ床部材198を第1プラットフォームセグメント104から外すと、図6E図6Fのピンクッションツール280を用いて、区分けされた心膜組織テンプレート308をプラットフォーム74の第1プラットフォームセグメント104から機械的に解放することができる。この解放は、ピンクッションツール280を第2チャンバ210を介し、第2多孔性表面部分108の多孔性表面を通って押すことにより、実現する。ピンクッションツール280を用いたこの機械的解放は図7Lに示されているが、第2の下部チャンバ床部材198の除去はここでは示されていない。第1プラットフォームセグメント104は180度回転され、最初の平坦な位置に戻され、ePTFEの両端針縫合糸310を覆って折り畳まれた心膜組織312が残される。この配置は図7Mに示されている。図7Nは、次の工程すなわち、図6C、6Dの折り畳みフェルトホルダ262がプラットフォーム74の第3プラットフォームセグメント116のバキュームチャンバアライメントエッジ168に配置される工程を示す。折り畳みフェルトホルダ262がプラットフォーム74上に配置されると、プラットフォーム74の独立した第4プラットフォームセグメント120を、図7Pに示すように除去することができる。ここでは、明瞭化の目的のために、バキュームチャネル76Dおよび関連する接続部は示されていない。ePTFEの薄いフェルトトリムが組織層の環状の縁部にわたる3つのU字形状の組織形状を縁取った状態で、折り畳みフェルトホルダ262の縁のスカラップ(波形状)272と、対応するバキュームチャンバの湾部のフィーチャは、冠状でない入江部の下から左側の交連フェルトの右側部へと縫合糸を通すためのガイドとして使用される。次いで、同じ縫合糸を左側の非リーフレットの下から右側の交連フェルトの縁まで走らせる。この時点で、第3閉止コック152を動作させバキュームチャネル76Cをオフにすることができる。これにより、必要に応じてピンクッションツール280の追加の補助を伴って、折り畳みフェルトホルダ262をプラットフォームから取り外すことができる。次に、折り畳みフェルトホルダ262は、図7Qに示すように半分に折り畳まれる。この段階で、他のバキューム源を除去してもよいし、または手順の完了の際に少なくとも完全に遮断してもよい。また、プラットフォーム74および関連する器具および装置を取り外すことができる。
【0043】
図1に示された心臓修復構造の構築は、環状フェルトに縫合された縫合二重層の弁をバキュームプレートから持ち上げることにより完成される。ただし、図7Qに示されるように、折り畳みフェルトホルダがまだ付けられている。R-Lの交連フェルトでの後続の縫合のために、折り畳みフェルトホルダ262は180度折り曲げられて、縫合のための2つの接触面がアライメントされる。R-Lの交連フェルトの連結部での縫合により縫合が継続され、チタン製ファスナが取り付けられて縫合糸端部を構築し、固定する。代替的に、L-Rの交連フェルトのひだ付きシームを縫製するために、補助的な外科用ミシンを使用することができる。最後の縫合またはバイトがePTFEストランドにあることが推奨される。次いで、折り畳まれたフェルトホルダ262を取り外すことができる。次に、最後のバイトがePTFEストランドの下にあることを保証するように、R-Nの交連フェルトのひだ付きシームを縫合する。次に、最後のバイトがePTFEストランドの下にあることを保証するように、L-Nの交連フェルトのひだ付きシームを縫合する。このようにしてL-R取付縫合、R-N取付縫合、およびL-N取付縫合が配置される。12の縫製カフ縫合糸は、www.lsisolutions.comから入手可能なSEW-EASY (登録商標)の装置を使用して配置される。このプロセス全体を通して、生存可能な心膜組織は、冷却された生理学的な、おそらく酸素化された溶液中に、湿った状態で維持されるか又は浸漬されることに留意すべきである。自己心臓弁または自己心臓修復構造は、現在、確立された手順および外科医および外科チームの好ましい外科的実施に従って、移植される準備が整っている。
【0044】
最小侵襲性心臓手術に使用するための修復構造の種々の利点を論じた。本明細書で論じられる実施形態は、本明細書では例として説明されている。前述の詳細な開示は、単なる例として提示されることを意図しており、限定するものではないことは、当業者には明らかであろう。一例として、論じてきたエンドエフェクタはしばしばスコープの使用に焦点を合わせていたが、このシステムは他のタイプの手術器具を位置決めするために用いることができる。本明細書に明示的に記載されていないが、様々な変更、改善、および修正を当業者は意図するであろう。本明細書で明示的に述べられていないが、様々な変更、改善、および修正が当業者に意図されるであろう。これらの変更、改善、および修正は、ここに示唆されることを意図しており、クレームされた発明の精神および範囲内にある。図面は必ずしも縮尺通りではない。さらに、要素の処理またはシーケンスの記載された順序、または数字、文字、または他の指定は、したがって、特許請求の範囲で指定されている場合を除き、請求項を任意の順序に限定することを意図しない。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲およびその均等物よってのみ限定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7J
図7K
図7L
図7M
図7N
図7P
図7Q
【手続補正書】
【提出日】2022-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
採取された心膜組織のシートを備えた心臓手術のための修復構造であって、前記シートは、
第1端からこの第1端の反対側の第2端まで延びる折り畳みエッジラインと、
第1端からこの第1端の反対側の第2端まで延び、前記折り畳みエッジラインと平行をなして前記折り畳みエッジラインから第1の間隔で離間した第1ローブラインと、
第1端からこの第1端の反対側の第2端まで延び、前記折り畳みエッジラインと平行をなして前記折り畳みエッジラインから第2の間隔で離間した第2ローブラインと、
を備え、
前記シートはさらに、第1ローブの第1部分と第2ローブの第1部分と第3ローブの第1部分を備え、前記第1ローブの前記第1部分と前記第2ローブの前記第1部分と前記第3ローブの前記第1部分の各々が、湾曲した形状を有する境界エッジにより少なくとも部分的に画成され、前記第1ローブの前記第1部分と前記第2ローブの前記第1部分と前記第3ローブの前記第1部分の各々の前記境界エッジの始点と終点が、前記第1ローブライン上またはその近傍にあり、
前記シートはさらに、前記第1ローブの第2部分と前記第2ローブの第2部分と前記第3ローブの第2部分を備え、前記第1ローブの前記第2部分と前記第2ローブの前記第2部分と前記第3ローブの前記第2部分の各々が、湾曲した形状を有する境界エッジにより少なくとも部分的に画成され、前記第1ローブの前記第2部分と前記第2ローブの前記第2部分と前記第3ローブの前記第2部分の各々の前記境界エッジの始点と終点が、前記第2ローブライン上またはその近傍にあり、
前記シートは前記折り畳みエッジラインで折り畳まれるように構成され、これにより、前記第1ローブラインが前記第2ローブラインと位置合わせされ、前記第1ローブの前記第1部分の前記境界エッジが前記第1ローブの前記第2部分の前記境界エッジと位置合わせされ、前記第2ローブの前記第1部分の前記境界エッジが前記第2ローブの前記第2部分の前記境界エッジと位置合わせされ、前記第3ローブの前記第1部分の前記境界エッジが前記第3ローブの前記第2部分の前記境界エッジと位置合わせされるようになっており、
前記第1ローブの前記第1部分と前記第1ローブの前記第2部分が、それぞれ前記第1ローブラインと前記第2ローブラインで折り曲げられて、前記第1ローブを形成するように構成され、
前記第2ローブの前記第1部分と前記第2ローブの前記第2部分が、それぞれ前記第1ローブラインと前記第2ローブラインで折り曲げられて、前記第2ローブを形成するように構成され、
前記第3ローブの前記第1部分と前記第3ローブの前記第2部分が、それぞれ前記第1ローブラインと前記第2ローブラインで折り曲げられて、前記第3ローブを形成するように構成された、心臓手術のための修復構造。
【請求項2】
前記第1ローブの前記第1部分と前記第1ローブの第2部分は前記折り畳みエッジラインについて対称をなし、前記第2ローブの前記第1部分と前記第2ローブの第2部分は前記折り畳みエッジラインについて対称をなし、前記第3ローブの前記第1部分と前記第3ローブの第2部分は前記折り畳みエッジラインについて対称をなす、請求項1に記載の修復構造。
【請求項3】
前記第1ローブの前記第1部分の前記始点は、前記第1ローブラインの前記第1端に位置し、前記第3ローブの前記第1部分の前記終点は、前記前記第1ローブラインの前記第2端に位置する、請求項1に記載の修復構造。
【請求項4】
前記第1ローブの前記第2部分の前記始点は、前記第2ローブラインの前記第1端に位置し、前記第3ローブの前記第2部分の終点は、前記第2ローブラインの前記第2端に位置し、
前記第1の間隔と前記第2の間隔が等しい、請求項1に記載の修復構造。
【請求項5】
前記第1ローブの前記第1部分と、前記第1ローブの前記第2部分と、前記第2ローブの前記第1部分と、前記第2ローブの前記第2部分と、前記第3ローブの前記第1部分と、前記第3ローブの前記第2部分は、各々の境界エッジの形状が等しい、請求項1に記載の修復構造。
【請求項6】
前記第1ローブの前記第1部分と、前記第1ローブの前記第2部分と、前記第2ローブの前記第1部分と、前記第2ローブの前記第2部分と、前記第3ローブの前記第1部分と、前記第3ローブの前記第2部分は、各々の境界エッジの形状が円弧である、請求項1に記載の修復構造。
【請求項7】
前記第1ローブの前記第1部分と、前記第1ローブの前記第2部分と、前記第2ローブの前記第1部分と、前記第2ローブの前記第2部分と、前記第3ローブの前記第1部分と、前記第3ローブの前記第2部分は、各々の境界エッジの形状が半円形である、請求項6に記載の修復構造。
【請求項8】
前記第1ローブの前記第1部分と前記第2ローブの前記第1部分と前記第3ローブの前記第1部分は、各々の前記境界エッジの前記始点と前記終点が、前記第1ローブラインと交わり、
前記第1ローブの前記第2部分と前記第2ローブの前記第2部分と前記第3ローブの前記第2部分は、各々の前記境界エッジの前記始点と前記終点が、前記第2ローブラインと交わる、請求項1に記載の修復構造。
【請求項9】
前記シートはさらに第1横断折り曲げラインと第2横断折り曲げラインを備え、
前記第1横断折り曲げラインは第1端からこの第1端の反対側の第2端まで延び、前記第1横断折り曲げラインは前記第1ローブラインと前記第2ローブラインとの間を延び、前記第1横断折り曲げラインの前記第1端は前記第1ローブライン又はその近傍にあり、前記第1横断折り曲げラインの前記第2端は前記第2ローブライン又はその近傍にあり、前記第1横断折り曲げラインの前記第1端が前記第1ローブの前記第1部分の前記境界エッジの前記終点又はその近傍にあり、前記第1横断折り曲げラインの前記第2端が前記第1ローブの前記第2部分の前記境界エッジの前記終点又はその近傍にあり、
前記第2横断折り曲げラインは第1端からこの第1端の反対側の第2端まで延び、前記第2横断折り曲げラインは前記第1ローブラインと前記第2ローブラインとの間を延び、前記第2横断折り曲げラインの前記第1端は前記第1ローブライン又はその近傍にあり、前記第2横断折り曲げラインの前記第2端は前記第2ローブライン又はその近傍にあり、前記第2横断折り曲げラインの前記第1端が前記第2ローブの前記第1部分の前記境界エッジの前記終点又はその近傍にあり、前記第2横断折り曲げラインの前記第2端が前記第2ローブの前記第2部分の前記境界エッジの前記終点又はその近傍にある、請求項1に記載の修復構造。
【請求項10】
前記第1横断折り曲げラインと前記第2横断折り曲げラインは、前記折り畳みエッジラインと直交して延びている、請求項9に記載の修復構造。
【請求項11】
前記シートは前記第1横断折り曲げラインと前記第2横断折り曲げラインで折り曲げられるように構成され、これにより、前記第1ローブラインの前記第1端が前記第1ローブラインの前記第2端又はその近傍に配置され、前記第2ローブラインの前記第1端が前記第2ローブラインの前記第2端又はその近傍に配置されるようになっている、請求項10に記載の修復構造。
【請求項12】
前記シートが前記第1横断折り曲げラインと前記第2横断折り曲げラインで折り曲げられると、
第1側壁が、前記第1横断折り曲げラインと、前記第1ローブラインの第1部分と、前記折り畳みエッジラインの第1部分により、部分的に画成され、
第2側壁が、前記第1横断折り曲げラインと、前記第2横断折り曲げラインと、前記第1ローブラインの第2部分と、前記折り畳みエッジラインの第2部分により、部分的に画成され、
第3側壁が、前記第2横断折り曲げラインと、前記第1ローブラインの第3部分と、前記折り畳みエッジラインの第3部分により、部分的に画成される、請求項11に記載の修復構造。
【請求項13】
前記第1側壁と前記第2側壁と前記第3側壁は、協働して実質的に三角形を形成する、請求項12に記載の修復構造。
【請求項14】
採取された心膜組織のシートを折り畳んで心臓手術のための修復構造を作成する方法であって、
前記シートは、
第1端からこの第1端の反対側の第2端まで延びる折り畳みエッジラインと、
第1端からこの第1端の反対側の第2端まで延び、前記折り畳みエッジラインと平行をなして前記折り畳みエッジラインから第1の間隔で離間した第1ローブラインと、
第1端からこの第1端の反対側の第2端まで延び、前記折り畳みエッジラインと平行をなして前記折り畳みエッジラインから第2の間隔で離間した第2ローブラインと、
を備え、
前記シートはさらに、第1ローブの第1部分と第2ローブの第1部分と第3ローブの第1部分を備え、前記第1ローブの前記第1部分と前記第2ローブの前記第1部分と前記第3ローブの前記第1部分の各々が、湾曲した形状を有する境界エッジにより少なくとも部分的に画成され、前記第1ローブの前記第1部分と前記第2ローブの前記第1部分と前記第3ローブの前記第1部分の各々の前記境界エッジの始点と終点が、前記第1ローブラインと交わるようになっており、
前記シートはさらに、前記第1ローブの第2部分と前記第2ローブの第2部分と前記第3ローブの第2部分を備え、前記第1ローブの前記第2部分と前記第2ローブの前記第2部分と前記第3ローブの前記第2部分の各々が、湾曲した形状を有する境界エッジにより少なくとも部分的に画成され、前記第1ローブの前記第2部分と前記第2ローブの前記第2部分と前記第3ローブの前記第2部分の各々の前記境界エッジの始点と終点が、前記第2ローブラインと交わるようになっており、
前記シートを前記折り畳みエッジラインで折り畳み、これにより、前記第1ローブラインを前記第2ローブラインと位置合わせし、前記第1ローブの前記第1部分の前記境界エッジを前記第1ローブの前記第2部分の前記境界エッジと位置合わせし、前記第2ローブの前記第1部分の前記境界エッジを前記第2ローブの前記第2部分の前記境界エッジと位置合わせし、前記第3ローブの前記第1部分の前記境界エッジを前記第3ローブの前記第2部分の前記境界エッジと位置合わせする工程と、
前記第1ローブの前記第1部分と前記第1ローブの前記第2部分を、それぞれ前記第1ローブラインと前記第2ローブラインで折り曲げて、前記第1ローブを形成する工程と、
前記第2ローブの前記第1部分と前記第2ローブの前記第2部分を、それぞれ前記第1ローブラインと前記第2ローブラインで折り曲げて、前記第2ローブを形成する工程と、
前記第3ローブの前記第1部分と前記第3ローブの前記第2部分を、それぞれ前記第1ローブラインと前記第2ローブラインで折り曲げて、前記第3ローブを形成する工程と、を備えた、方法。
【請求項15】
前記シートはさらに第1横断折り曲げラインと第2横断折り曲げラインを備え、
前記第1横断折り曲げラインは第1端からこの第1端の反対側の第2端まで延び、前記第1横断折り曲げラインは前記第1ローブラインと前記第2ローブラインとの間を延び、前記第1横断折り曲げラインの前記第1端は前記第1ローブライン又はその近傍にあり、前記第1横断折り曲げラインの前記第2端は前記第2ローブライン又はその近傍にあり、前記第1横断折り曲げラインの前記第1端が前記第1ローブの前記第1部分の前記境界エッジの前記終点又はその近傍にあり、前記第1横断折り曲げラインの前記第2端が前記第1ローブの前記第2部分の前記境界エッジの前記終点又はその近傍にあり、
前記第2横断折り曲げラインは第1端からこの第1端の反対側の第2端まで延び、前記第2横断折り曲げラインは前記第1ローブラインと前記第2ローブラインとの間を延び、前記第2横断折り曲げラインの前記第1端は前記第1ローブライン又はその近傍にあり、前記第2横断折り曲げラインの前記第2端は前記第2ローブライン又はその近傍にあり、前記第2横断折り曲げラインの前記第1端が前記第2ローブの前記第1部分の前記境界エッジの前記終点又はその近傍にあり、前記第2横断折り曲げラインの前記第2端が前記第2ローブの前記第2部分の前記境界エッジの前記終点又はその近傍にあり、
さらに、前記シートを前記第1横断折り曲げラインと前記第2横断折り曲げラインで折り曲げ、これにより、前記第1ローブラインの前記第1端を前記第1ローブラインの前記第2端又はその近傍に配置し、前記第2ローブラインの前記第1端を前記第2ローブラインの前記第2端又はその近傍に配置する工程を備えた、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】