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  • 特表-サトウキビ蒸留物の製造方法。 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】サトウキビ蒸留物の製造方法。
(51)【国際特許分類】
   C12H 6/02 20190101AFI20230406BHJP
   C12G 3/02 20190101ALI20230406BHJP
【FI】
C12H6/02
C12G3/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548739
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-09
(86)【国際出願番号】 NL2021050108
(87)【国際公開番号】W WO2021167456
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】2024944
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522318586
【氏名又は名称】コステル,エーリク テオドルス マリア
【氏名又は名称原語表記】KOSTER, Erik Theodorus Maria
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】コステル,エーリク テオドルス マリア
【テーマコード(参考)】
4B115
【Fターム(参考)】
4B115AG09
4B115NB02
4B115NG09
4B115NP01
4B115NP02
(57)【要約】
ラム等のサトウキビ蒸留物の製造方法であって、以下の工程:
-酵母発酵のための発酵成分であって、サトウキビおよびサトウキビから完全に作られた産物、例えばサトウキビジュース、ケーンシュガー、またはサトウキビ糖蜜、の成分の少なくとも1つから選択される発酵成分を提供する工程;
-発酵成分をアルコール混合物へと酵母発酵する工程;
-アルコール混合物を蒸留する工程;
を含み、発酵成分を酵母発酵する工程の前に発酵成分を煙と接触させて発酵成分をスモークする事を特徴とする、方法。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラム等のサトウキビ蒸留物の製造方法であって、以下の工程:
-酵母発酵のための発酵成分であって、サトウキビおよびサトウキビから完全に作られた産物、例えばサトウキビジュース、ケーンシュガー、またはサトウキビ糖蜜など、の成分の少なくとも1つから選択される発酵成分を提供する工程;
-発酵成分をアルコール混合物へと酵母発酵する工程;
-アルコール混合物を蒸留する工程;
を含み、発酵成分を酵母発酵する工程の前に発酵成分を煙と接触させて発酵成分をスモークする事を特徴とする、方法。
【請求項2】
発酵成分のスモークが最大25℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
発酵成分のスモークが25℃よりも高い温度、好ましくは60℃~80℃の範囲の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
追加的な発酵成分がスモークの工程の後に添加され、この追加的な発酵成分はサトウキビおよびサトウキビから完全に作られた産物、例えばサトウキビジュース、ケーンシュガーまたはサトウキビ糖蜜など、の成分の少なくとも1つから選択され、この追加的な発酵成分はスモークされない、前述の請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
煙が木材に由来する、前述の請求項の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
煙が泥炭に由来する、前述の請求項の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラム酒等のサトウキビ蒸留物を製造するための方法であって、以下の工程:
-酵母発酵のための発酵成分であって、サトウキビおよびサトウキビから完全に作られた産物、例えばサトウキビジュース、ケーンシュガーまたはサトウキビ糖蜜など、の成分の少なくとも1つから選択される発酵成分を提供する工程;
-発酵成分をアルコール混合物へと酵母発酵する工程;
-アルコール混合物を蒸留する工程;
を含む、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなサトウキビ蒸留物には、例えばラム酒、カシャッサおよびアラック等がある。ほとんどのサトウキビ蒸留物は、サトウキビが生産される地域において何世紀にもわたって醸造されてきた。ラム酒は、一般にその原産地の特徴を生かした様々な方法を用いて製造され得ることがとりわけ特徴的である。
【0003】
よって、ヨーロッパの法律(legislation)は、規則(EU)2019/787の形で、ラムの名称を掲げ得る飲料についてのかなり広い定義を有している。この規則によると、ラム酒は、ケーンシュガーの生産に由来する糖蜜またはシロップ、またはサトウキビ自体のジュースの何れかをアルコール酵母発酵することで得られる産物を、96容量%未満に蒸留し、蒸留物がラム酒に特異的な官能的品質を有することが観察できるようなやり方によってのみ製造される蒸留物である。ラム酒のアルコール度数は37.5~96容量%である。ただし、香りまたはアルコールはラム酒に添加され得ない。
【0004】
このようなサトウキビ蒸留物、特にラム酒の欠点は、サトウキビのみが成分として使用され得るために、特徴的な風味を得るための選択肢が限定されている事である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の欠点を解消する事、または少なくとも代替的なサトウキビ蒸留物の製造方法を提供する事が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、発酵成分を酵母発酵する工程の前に発酵成分を煙に接触させることでスモークする事を特徴とする、前文に記載の方法を用いて達成される。
【0007】
例えばサトウキビ、サトウキビジュース、ケーンシュガーまたはサトウキビ糖蜜(その混合物)などの発酵成分をスモークすることにより、元の蒸留物の官能的品質を損なわずに、得られる最終蒸留物の官能スペクトルを広げる事ができる。よって、規則(EU)2019/787の下で、スモークの風味を有するラム酒は、例えばラム酒を香りづけする事なしに本方法に従って得る事ができる。
【0008】
所望の効果を得る目的で、使用する煙を発酵成分と接触させる。例えば、煙は発酵成分にそって誘導され得る。
【0009】
酵母発酵および蒸留は、サトウキビ蒸留物で知られた条件下で行われる。そのため、酵母および水が酵母発酵のために発酵成分に添加される。蒸留は、例えばバッチ蒸留またはケトル蒸留を用いるのみならず、カラム蒸留または他の蒸留方法を用いることで行われ得る。
【0010】
本発明の方法の好ましい実施形態では、発酵成分のスモークは最大25℃の温度で行われる。
【0011】
発酵成分を低温スモークする事で、成分のキュアリング(curing)は全くないかまたは非常に限定的であり、且つ水分も非常に限定的な程度にしか放出されない。このようにして、発酵成分の本来の風味は可能な限り保たれる。
【0012】
本発明の方法のある実施形態では、発酵成分のスモークは25℃よりも高い温度、好ましくは60℃~80℃の範囲の温度で行われる。
【0013】
発酵成分を高温スモークする事で、成分のわずかなキュアリングが起こり、異なる官能スペクトルを得ることができる。発酵成分のあり得る水分バランスもより高い温度のために変化し、それによって異なる味覚もまた達成され得る。スモークは例えば60℃~80℃の間の温度で行われ得るが、これはこの温度範囲ではスモーク中に発酵成分があまり早く乾燥しないためである。
【0014】
本発明の方法の別の実施形態では、追加的な発酵成分がスモークの工程の後に添加され、この追加的な発酵成分はサトウキビおよびサトウキビから完全に作られた産物、例えばサトウキビジュース、ケーンシュガーまたはサトウキビ糖蜜など、の成分の少なくとも1つから選択され、この追加的な発酵成分はスモークされない。
【0015】
最終産物中のスモークの風味の程度は、発酵成分のスモーク後の、スモークされない追加的な発酵成分の添加によって変化させ得る。
【0016】
追加的な発酵成分は、例えば酵母発酵の工程の前に添加され得る。
【0017】
また、本発明によれば、煙が木材に由来する方法の一実施形態が挙げられる。
【0018】
燻した、または燃やした木材からの煙はサトウキビ蒸留物にとってよい官能的品質を有するものであり、それによって使用者に心地よい味覚を感じさせることができる。スモークのために、例えばサクラ(cherry)、リンゴ(apple)、バーチ(birch)、ブナ(beech)、オーク(oak)、カエデ(maple)、ヒッコリー(hickory)またはペカン(pecan)などの木材の種類を使用することができる。また、木材の種類を組み合わせることにより、特別な風味プロファイルを得ることができる。
【0019】
本発明の方法の別の実施形態は、煙が泥炭に由来する方法である。
【0020】
燻した、または燃やした泥炭からの煙はサトウキビ蒸留物にとってよい官能的品質を有するものであり、それによって使用者に心地よい味覚を感じさせることができる。泥炭の煙および木材の煙の組合せを選択する事も可能である。
【0021】
本発明のこれらのおよびその他の特徴は、添付の図面を参照して、さらに明らかにされる。
【0022】
図1は、本発明の方法のフロー図を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の方法のフロー図1を示す。最初の工程2では発酵成分が提供される。発酵成分は2番目の工程3でスモークされる。3番目の工程4では成分がアルコール混合物へと酵母発酵され、これは4番目の工程5で蒸留される。スモークされない、追加的な発酵成分が任意には添加され、例えば2番目の工程3と3番目の工程4の間で添加される。
図1
【国際調査報告】