IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドレクセル ユニバーシティの特許一覧

特表2023-515382ポリオキシメチレンの開始剤支援化学気相堆積および構造化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】ポリオキシメチレンの開始剤支援化学気相堆積および構造化
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20230406BHJP
   C08G 2/00 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
C23C16/44 A
C08G2/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548827
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(85)【翻訳文提出日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 US2021017193
(87)【国際公開番号】W WO2021163025
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/975,866
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515015252
【氏名又は名称】ドレクセル ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ラウ ケネス ケー エス
(72)【発明者】
【氏名】チェン ツェンタオ
【テーマコード(参考)】
4J032
4K030
【Fターム(参考)】
4J032AA02
4J032AA03
4J032AA04
4J032AA05
4J032AA32
4J032AA35
4J032AB02
4J032AC35
4J032AC41
4J032AD41
4K030AA09
4K030AA18
4K030BA61
4K030CA01
4K030CA02
4K030CA04
4K030CA06
4K030CA07
4K030CA08
4K030FA10
4K030HA17
4K030JA05
4K030JA09
4K030JA10
(57)【要約】
本発明は、基材上にポリオキシメチレンを合成する方法に関する。この方法は、開始剤支援化学気相堆積(iCVD)を用いて、開始剤支援重合反応によってポリオキシメチレンを形成することができるモノマーおよび開始剤を開始剤支援化学気相堆積反応器内の基材の表面上に堆積させることを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にポリオキシメチレンを合成する方法であって、
開始剤支援化学気相堆積(iCVD)を用いて、開始剤支援重合反応によってポリオキシメチレンを形成することができるモノマーおよび開始剤を開始剤支援化学気相堆積反応器内の基材の表面上に堆積させるステップ、を含む方法。
【請求項2】
前記基材が、前記基材上への前記モノマーおよび開始剤の堆積を促進する温度に冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材が、約0℃~約50℃、約0℃~約40℃、約10℃~約35℃または約15℃~約25℃に冷却される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記開始剤支援化学気相堆積反応器内の内部反応器圧力が、圧力計、例えば静電容量式圧力計を使用して測定して、約0.1~約10torrである、または約0.5~約5torrもしくは約1~約3torrである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記堆積ステップが、約0.1~約20標準立方センチメートル毎分(sccm)、約2~約15sccmまたは約3~約10sccmの開始剤支援化学気相堆積反応器へのモノマーの流量で実行される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記開始剤が、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素、ならびに、水、フェノール、酢酸、テトラヒドロフラン、メタノール、プロパノール、エチルアミン、硫化メチルおよびジブチルエーテルと錯体を形成した三フッ化ホウ素を含む他の三フッ化ホウ素錯体からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記開始剤が、開始剤支援化学気相堆積反応器に開始剤を供給する前に、30℃~50℃、30℃~40℃または約35℃の温度に加熱される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記開始剤が、約0.1~10標準立方センチメートル毎分(sccm)、約0.5~7.5sccmまたは約1~5sccmの流量で開始剤支援化学気相堆積反応器に供給される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記基材が、シリコン、ガラス、布地、紙、プラスチック、薬剤、金属、金属酸化物、イオン液体、ならびに構造化されたトポロジー、テンプレート化されたトポロジー、機械加工されたトポロジーおよび規定されたトポロジーのうちの1つ以上を含む表面およびデバイスから選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記堆積ステップが、開始剤支援化学気相堆積反応器内に配置された1つ以上の加熱フィラメントを用いて実行される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のフィラメントが、リン青銅フィラメントワイヤである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フィラメントが、150℃~400℃、約200℃~約375℃または約250℃~約350℃の温度に加熱される、請求項10~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記反応器に窒素ガスを導入するステップをさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記窒素ガスが、0.1sccm~約2sccmまたは約1sccmの流量で前記反応器に導入される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記モノマーが、1,3,5-トリオキサン、ホルムアルデヒド、ジオキサン、およびホルムアルデヒドを形成することができる他の環分子およびそのオリゴマー、例えば、より大きな(CH2O)環含有分子など、ならびに、ポリオキシメチレンを形成するための重合反応に使用することが知られている他のモノマーからなる群から選択される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記堆積ステップが、基材表面での1,3,5-トリオキサンモノマーの分画飽和度(ZM)が典型的には0.1~約1の間であるような条件下で実施され、ここで、ZMは以下の式によって定義される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法:
【数1】
式中、PMはモノマーの気相中の分圧であり、精密ニードルバルブまたはマスフローコントローラを介して計量された成分流量と、圧力計、例えば静電容量式圧力計を介して測定されるような反応器全圧とに基づいて計算され、PM,satは基材表面におけるモノマーの蒸気圧であり、接触型熱電対などの表面温度測定器によって測定された基材温度におけるモノマーの平衡蒸気圧データに基づく。
【請求項17】
前記方法が、水、アルコールおよびアルデヒドから選択される1つ以上の共反応物を導入するステップをさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記共反応物がメタノールであり、前記メタノールが、約0.1~約2sccmまたは約0.1~約1sccmの流量で前記反応器に導入される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記共反応物がパラホルムアルデヒドであり、前記パラホルムアルデヒドが、60℃~120℃に加熱され、約0.1sccm~約2sccmまたは約0.1sccm~約2sccmの蒸気流量で提供される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、水を導入するステップをさらに含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年2月13日に出願された米国仮出願第62/975,866号の利益を主張し、その開示全体は、本明細書に完全に記載されているものとして、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
1920年代に、ヘルマン・シュタウディンガーは最初にポリオキシメチレン(POM)を発見し、大いに研究した(参考文献1ー2)。POMは、有害な排気を低減することができる非常に一般的なディーゼル燃料添加剤である(参考文献3)。また、POMは、その高い機械的強度、耐摩耗性および疲労抵抗(参考文献5)から、機械式歯車(参考文献4)などにおける金属および合金の代替品としても広く使用されている。POMの1つのユニークな側面は、クリーンに熱的に解重合する能力であり、過渡電子デバイス(参考文献6)、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)、およびマイクロフルイディクス(microfluidics)(参考文献7)を製造するための魅力的な犠牲材料となる。
【0003】
デバイスのサイズが縮小することにつれて、従来の液体ベースの重合は、強い液体表面張力のために、デバイスの脆弱なマイクロ/ナノ構造を損傷する可能性がある。重合中に使用される溶媒はまた、除去しにくいか、または残留物を残すこともある。これは、POMが一般的な溶媒に不溶であるためであり、したがって、POMのフィルムおよびコーティングへの液体処理は困難な取り組みである。ホットフィラメント化学気相堆積(HFCVD)などのPOMを合成するための無溶媒法が報告されている。HFCVDによる重合は、トリオキサンモノマーを分解するための高いフィラメント温度(~700℃)およびポリマーが成長するステージを冷却するための液体窒素(<-195℃)の使用を伴う極端な条件を必要とし、これは、脆弱な基材の材料および構造を損傷する可能性がある(参考文献7)。
【発明の概要】
【0004】
本開示のさらなる詳細および利点は、以下の説明に部分的に記載され、および/または本開示の実施によって学習され得る。本発明の細部および効果は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素および組合せの手段によって実現および達成することができる。上記の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求されるように、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0005】
以下のセンテンスは、本開示の特定の実施形態を説明するために使用され得る。
【0006】
1. 第1の態様において、本発明は、基材上にポリオキシメチレン(POM)を合成するための方法に関する。この方法は、開始剤支援化学気相堆積(initiated chemical vapor deposition)(iCVD)を用いて、開始剤および開始剤支援重合反応によってポリオキシメチレンを形成することができるモノマーを開始剤支援化学気相堆積反応器内の基材の表面上に堆積させるステップを含む。
【0007】
2. センテンス1に記載の方法において、基材は、基材上へのモノマーおよび開始剤の堆積を促進するモノマーおよび開始剤の沸点未満の温度に冷却されてもよい。
【0008】
3. センテンス2に記載の方法において、基材は、約0℃~約50℃、約0℃~約40℃、約10℃~約35℃または約15℃~約25℃の温度に冷却されてもよい。
【0009】
4. センテンス1~3のいずれか1つに記載の方法において、開始剤支援化学気相堆積反応器内の内部反応器圧力は、圧力計、例えば静電容量式圧力計を使用して測定して、約0.1~約10torrであってもよく、約0.5~約5torrまたは約1~約3torrであってもよい。
【0010】
5. センテンス1~4のいずれか1つに記載の方法において、堆積ステップは、約0.1~約20標準立方センチメートル毎分(sccm)、約2~約15sccmまたは約3~約10sccmの開始剤支援化学気相堆積反応器へのモノマーの流量で実行されてもよい。
【0011】
6. センテンス1~5のいずれか1つに記載の方法において、開始剤は、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素、ならびに、水、フェノール、酢酸、テトラヒドロフラン、メタノール、プロパノール、エチルアミン、硫化メチルおよびジブチルエーテルと錯体を形成した三フッ化ホウ素を含む他の三フッ化ホウ素錯体からなる群から選択されてもよい。
【0012】
7. センテンス1~6のいずれか1つに記載の方法において、開始剤は、開始剤支援化学気相堆積反応器に開始剤を供給する前に、30℃~50℃、30℃~40℃または約35℃の温度に加熱されてもよい。
【0013】
8. センテンス1~7のいずれか1つに記載の方法において、開始剤は、約0.1~10標準立方センチメートル毎分(sccm)、約0.5~7.5sccmまたは約1~5sccmの流量で開始剤支援化学気相堆積反応器に供給されてもよい。
【0014】
9. センテンス1~8のいずれか1つに記載の方法において、基材は、シリコン、ガラス、布地、紙、プラスチック、薬剤、金属、金属酸化物、イオン液体、ならびに構造化されたトポロジー、テンプレート化されたトポロジー、機械加工されたトポロジーおよび規定されたトポロジーのうちの1つ以上を含む表面およびデバイスから選択されてもよい。
【0015】
10. センテンス1~9のいずれか1つに記載の方法において、堆積ステップは、開始剤支援化学気相堆積反応器内に配置された1つ以上の加熱フィラメントを用いて実行されてもよい。
【0016】
11. センテンス10に記載の方法において、上記1つ以上のフィラメントは、リン青銅フィラメントワイヤであってもよい。
【0017】
12. センテンス10~11のいずれか1つに記載の方法において、フィラメントは、約150℃~400℃、約200℃~約375℃または約250℃~約350℃の温度に加熱されてもよい。
【0018】
13. センテンス1~12のいずれか1つに記載の方法において、上記方法は、反応器に窒素ガスを導入するステップをさらに含んでもよい。
【0019】
14. センテンス13に記載の方法において、窒素ガスは、0.1sccm~約2sccmの流量で、または約1sccmの流量で反応器に導入されてもよい。
【0020】
15. センテンス1~14のいずれか1つに記載の方法において、モノマーは、1,3,5-トリオキサン、ホルムアルデヒド、ジオキサン、およびホルムアルデヒドを形成することができる他の環分子およびそのオリゴマー、例えば、より大きな(CH2O)環含有分子など、ならびに、ジオキサン、トリオキサンおよびパラホルムアルデヒドと同様に、ポリオキシメチレン(直鎖状または環状に2~100個の繰り返し基を有するPOMのポリマーなど)を形成するための重合反応に使用することが知られている他のモノマーからなる群から選択されてもよい。
【0021】
16. センテンス1~15のいずれか1つに記載の方法において、堆積ステップは、基材表面における1,3,5-トリオキサンモノマーの分画飽和度(fractional saturation)(ZM)が典型的には0.1~約1の間であるような条件下で実行されてもよく、ここで、ZMは以下の式によって定義される:
【数1】
式中、PMはモノマーの気相中の分圧であり、精密ニードルバルブまたはマスフローコントローラを介して計量された成分流量と、圧力計、例えば静電容量式圧力計を介して測定されるような反応器全圧とに基づいて計算され、PM,satは基材表面におけるモノマーの蒸気圧であり、接触型熱電対などの表面温度測定器によって測定された基材温度におけるモノマーの平衡蒸気圧データに基づく。
【0022】
17. センテンス1~16のいずれか1つに記載の方法において、上記方法は、水、アルコールおよびアルデヒドから選択される1つ以上の共反応物を導入するステップをさらに含んでもよい。
【0023】
18. センテンス17に記載の方法において、共反応物は、メタノールであってもよい。メタノールは、約0.1~約2sccmまたは約0.1~約1sccmの流量で反応器に導入することができる。
【0024】
19. センテンス17に記載の方法において、共反応物は、パラホルムアルデヒドであってもよい。パラホルムアルデヒドは、60℃~120℃に加熱してもよく、約0.1sccm~約2sccmまたは約0.1sccm~約2sccmの蒸気流量で供給することができる。
【0025】
20. センテンス1~17のいずれか1つに記載の方法において、上記方法は、共反応物として水を導入するステップをさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、1,3,5-トリオキサンのiCVD重合のために提案された開始反応機構を示す。
図2図2は、1,3,5-トリオキサンモノマー(上)ならびにフィラメント加熱あり(ラン#3;中央)およびフィラメント加熱なし(ラン#2;下)で合成されたiCVD・POMのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを示す。
図3図3は、iCVD・POMの三方晶結晶形態の六方晶充填を明らかにするX線粉末回折(XRD)スペクトルを示す。
図4ABDEGH図4A~4B、4D~4Eおよび4G~4Hは、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図4CFI図4C、4Fおよび4Iは、ラン#3(図4A~4Cに対応する)、ラン#4(図4G~4Iに対応する)およびラン#7(図4G~4Iに対応する)からのiCVD・POM膜の水滴画像を示す。スケールバーは、図4A、4Dおよび4Gについては10μmであり、図4B、4Eおよび4Hについては400nmである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
POMに関連する課題に対処するために、本方法はPOMを生成するための代替の無溶媒アプローチ、開始剤支援化学気相堆積(iCVD)を導入する。iCVDは液体前駆体、典型的にはモノマーおよび開始剤を蒸発させて、POMのような固体ポリマーを様々な基材上に直接合成する。液相を省くことによって、iCVDは、液体溶媒にしばしば付随する不十分な濡れ性および基材損傷を克服する。さらに、重合開始剤の使用は、フィラメント温度(250~350℃)を著しく下げることができ、室温の表面重合を提供し、これは、布地、紙、プラスチック、薬剤、金属、金属酸化物およびイオン液体を含む脆い基材の使用を可能にすることができる。
【0028】
堆積の前に、基材は、基材上へのモノマーおよび開始剤の堆積を促進する温度に冷却されてもよい。基材は、約0℃~約50℃、約0℃~約40℃、約10℃~約35℃または約15℃~約25℃に冷却することができる。基材の適切な例としては、シリコン、ガラス、布地、紙、プラスチック、薬剤、金属、金属酸化物、イオン液体、ならびに構造化されたトポロジー、テンプレート化されたトポロジー、機械加工されたトポロジーおよび規定されたトポロジーのうちの1つ以上を含む表面およびデバイスが挙げられる。
【0029】
具体的には、iCVDは、低/中真空チャンバ(1×10-3~760torr)中での気化した開始剤およびモノマーの継続的な輸送に依存し、開始剤は、任意の好適な手段(活性化した開始剤およびモノマーの吸着を促進し次いで表面重合をもたらす冷却された対象の基材上に吊り下げられ加熱されたフィラメントの配列の使用など)による加熱によって選択的に活性化される(参考文献8-9)。フリーラジカル重合は、種々の重合体をiCVDにより合成するのに首尾よく使用されてきたが、カチオン開環重合は、それぞれエチレンオキシドおよびエチレングリコールモノマーならびにカチオン開始剤三フッ化ホウ素ジエチルエテレート(BF3・O(C252)を使用することにより、ポリエチレンオキシド(PEO)(参考文献10)およびポリグリシドール(PGL)(参考文献11)の合成に役立つことが証明されている。
【0030】
開始剤支援化学気相堆積反応器内の内部反応器圧力が、圧力計、例えば静電容量式圧力計を用いて測定して、約0.01~約100torr、約0.1~約10torr、約0.5~約5torrまたは約1~約3torrであってもよい。
【0031】
本発明において、iCVDは、モノマーと開始剤の任意の適切な組み合わせを使用してポリオキシメチレン(POM)を合成するために使用することができる。適切なモノマーは、POMを生成するための重合反応において使用するために知られているモノマーであり、例えば、1,3,5-トリオキサンモノマー、ホルムアルデヒド、ジオキサン、iCVD反応器中でホルムアルデヒドおよびそのオリゴマーを形成することができるより大きい(CH2O)環含有モノマー、ならびに開始剤支援重合を介してPOMを作製するための他の適切なモノマーである。堆積ステップは、約0.1~約20標準立方センチメートル毎分(sccm)、約2~約15sccmまたは約3~約10sccmの開始剤支援化学気相堆積反応器へのモノマーの流量で実施することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、堆積ステップは、基材表面での1,3,5-トリオキサンモノマーの分画飽和度(ZM)が0.1~約1であるような条件下で実施され、ここで、ZMは以下の式によって定義される:
【数2】
式中、PMはモノマーの気相中の分圧であり、精密ニードルバルブまたはマスフローコントローラを介して計量された成分流量と、圧力計、例えば静電容量式圧力計を介して測定されるような反応器全圧とに基づいて計算され、PM,satは基材表面におけるモノマーの蒸気圧であり、接触型熱電対などの表面温度測定器によって測定された基材温度におけるモノマーの平衡蒸気圧データに基づく。PMは、式=ym*P=(Fm/Ftot)*P(式中、ymは気相におけるモノマーのモル分率であり、Pは、圧力計によって測定される全反応器圧力である)を使用して推定することができる。ymは、モノマーのモル流量と総モル流量(Fm/Ftot)との比率に基づいて計算することができ、これらの流量は流量校正測定から得られる。PM,satは、基材表面におけるモノマーの蒸気圧または飽和圧であり、公表されている文献からの温度との平衡圧力データの熱力学的関係、例えばアントワンの式またはファントホッフの式に基づいて推定される。
【0033】
好適な開始剤は、POMを生成するためのモノマーの重合に使用することが知られている開始剤であり、特に好ましい開始剤は、1つ以上の周期的な環を含有するモノマーを使用するカチオン開環重合反応を可能にする開始剤である。好適な開始剤としてはこれらに限定されないが、ルイス酸、例えば三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素、ならびに、水、フェノール、酢酸、テトラヒドロフラン、メタノール、プロパノール、エチルアミン、硫化メチルおよびジブチルエーテルと錯体を形成した三フッ化ホウ素を含む他の三フッ化ホウ素錯体、加えて、他の金属ハロゲン化物、例えばAlCl3、AlBr3、TiCl4、SnCl4、ならびにそれらの有機金属変異体、例えばRAlCl2、R2AlClおよびR3Cl(式中、Rはアルキル基またはアリール基である)が挙げられる。開始剤は、開始剤を開始剤支援化学気相堆積反応器に供給する前に、約28℃~約50℃、約30℃~50℃、30℃~40℃、または約35℃に加熱することができる。開始剤は、約0.05~10標準立方センチメートル毎分(sccm)、約0.1sccm~約10sccm、約0.5~7.5sccmまたは約1~5sccmの流量で開始剤支援化学気相堆積反応器に供給することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、堆積ステップは、開始剤支援化学気相堆積反応器内に配置された1つ以上の加熱フィラメントを用いて実行される。1つ以上のフィラメントの適切な例は、リン青銅、銅、ベリリウム銅、ニッケル、Chromaloy(商標)、ニクロム、ステンレス鋼、鉄、および他の適切な金属または金属合金のフィラメントワイヤから選択され得る。1つ以上のフィラメントは、約150℃~約400℃、約200℃~約375℃または約250℃~約350℃の温度に加熱されてもよい。いくつかの実施形態において、方法は、反応器に窒素ガスを導入する工程をさらに含んでもよい。好ましくは、窒素ガスは、約0.1sccm~約2sccmの流量または約1sccmの流量で反応器に導入される。
【0035】
例えば、1,3,5-トリオキサンモノマーおよび三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(BF3・O(C252)開始剤を使用して、POMポリマー膜をiCVDによって作製することができる。iCVDを使用して、三フッ化ホウ素開始剤の存在下でのトリオキサンモノマーのカチオン開環重合を可能にして、POMを合成する。iCVD処理条件は、1つの重要なパラメータ、すなわち、表面モノマー濃度を本質的に測定する、基材表面でのモノマーの分画飽和度(z=PM/PM,sat)を通して、iCVD重合動特性(kinetics)に影響を及ぼすように制御することができる。このzパラメータは、化学前駆体流量、不活性キャリアガス流量、真空チャンバの全圧、フィラメント温度、および基材温度によって直接影響を受ける。iCVD合成堆積条件を制御することによって、POMは、高い表面モノマー濃度を提供する条件で首尾よく成長させることができる。また、iCVD合成により、POMは、三方晶結晶構造の六方晶充填にある主に伸長結晶鎖形態に形成される。iCVD成長中のPOMの結晶化は、POM膜の構造化をもたらす。得られた構造化POMは、密なPOMによる親水性表面から構造化POMによる疎水性表面に濡れ性をシフトさせる。
【0036】
いくつかの実施形態では、本方法は、水、アルコールおよびアルデヒドならびにそれらの混合物から選択される1つ以上の共反応物を導入するステップを含んでもよい。アルコールの適切な例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1-ブタノール、1-ヘキサノール、1-デカノール、プロパン-2オール、エタンジオール、1,2-プロパンジオール、アルコキシアルコール、アルキルアルコールが挙げられ、好ましくはメタノールが使用される。アルデヒドの好適な例としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、ポリオキシメチレン、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ベンゾアルデヒドが挙げられる。好ましくは、アルデヒドはパラホルムアルデヒドである。
【0037】
アルコールが共反応物として使用される実施形態では、アルコールは、約0.1~約2sccmまたは約0.1~約1sccmの流量で反応器に導入することができる。アルデヒドが共反応物として使用される他の実施形態では、例えば、アルデヒドがパラホルムアルデヒドである場合、パラホルムアルデヒドは約0.1sccm~約2sccmまたは約0.1sccm~約2sccmの蒸気流量を達成するために60℃~120℃に加熱される。
【実施例
【0038】
1.実験
iCVDセットアップ 厚さ2.5cmの石英ウィンドウカバーを有する大きさ21×21×4cm3のカスタムビルドのiCVD反応器を用いてPOMを成長させた。基材は、シリコンウェハ(直径100mm、ピュアウェハ社製)であり、0℃~25℃の基材温度を制御するために、再循環冷却器(Polyscience912)を通って流れる熱流体との背面接触によって冷却された反応器ステージ上に置かれた。K型熱電対を基材の上面に取り付け、温度を測定した。HeNeレーザを用いて、基材上のポリマー膜のその場成長をモニタリングした。POM合成に特有のポリマー成長は、加熱されたフィラメントの存在の有無にかかわらず開始され得る。フィラメントを使用する場合、12本のリン青銅フィラメントワイヤ(直径0.5mm、グッドフェロー社製)のセットを基材の2cm上に配置した。フィラメントを~330℃まで加熱するために、ワイヤを10.5V(4A)の定電圧に設定された直流電源(Vol Teq)に接続した。エドワーズ社の回転真空ポンプ(E2M30)、バラトロン静電容量式圧力計(MKS626C)、ダウンストリームスロットルバルブ(MKS153D)を用いて、反応チャンバ内の1~3torrの設定圧力を自動的に維持した。
【0039】
合成 カチオン開始剤およびモノマーとしてそれぞれ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート((BF3・O(C252)、98+%、アルファエーサル社製)および1,3,5-トリオキサン(99.5+%、アクロスオーガニクス社製)を精製せずに用いた。開始剤を35℃に加熱して、充分な気相ヘッド圧を達成した。開始剤流量は、精密ニードルバルブ(スウェージロック社製)を介して0.1~2sccm(標準立方センチメートル毎分)に設定した。別の精密ニードルバルブ(スウェージロック社製)を用いてモノマーを40℃に加熱し、モノマー流量を3~10sccmに設定した。窒素キャリアガス(0~2sccm)を自動マスフローコントローラ(MKS1479A)により制御した。開始剤、モノマーおよび窒素を、直径0.25インチのステンレス鋼管を介して反応器に輸送した。いくつかの反応では、メタノールまたはパラホルムアルデヒドを共反応物としてさらに使用した。メタノール流量を0.1~1sccmに設定し、パラホルムアルデヒドを60~120℃に加熱して0.1~1sccmのホルムアルデヒド蒸気流量を達成した。
【0040】
特性分析 ポリマー化学構造を解明するために、ニコレット6700を用いて400~4000cm-1の範囲で4cm-1の分解能で128回にわたり測定を行った。ポリマーの結晶化度を調べるために、リガクスマートラボX線回折計を用いて、0.02°のステップサイズを有するCuKα放射線(1.54Å)でX線回折(XRD)を行った。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、表面形態を物理的に分析した。SEM分析の準備のために、スパッタコーター(Cressington208HR)を用いて、40mAで30秒間、Pt/Pdで試料をコーティングして、絶縁性ポリマーの帯電を最小限に抑えた。試料をスパッタコーター内に45°の角度で配置し、試料を連続的に回転させて、試料の上端部および断面上に均一にコーティングした。SEM観察は、Zeiss Supra 50VP(加速電圧2~4kV、作動距離~5mm)で行った。基材の上面図および断面図を得た。接触角ゴニオメータ(ラメ-ハートインスツルメンツ社製)上でいくつかの試験液体の接触角を測定することによって、基材表面の濡れ性を分析し、ドロップイメージアドバンスド(DROPimage Advanced)ソフトウェアによって処理した。
【0041】
2.結果と考察
表1に示すように、iCVD・POMの成長ウィンドウを理解するために、iCVD処理条件の範囲を調べた。一般に、POMは、充分に高いz条件、すなわち充分な表面モノマー濃度がある条件で成長する。具体的には、これは、典型的にはより高い圧力、より低い基材温度、およびより低い窒素流量によるより少ない希釈において起こる。そのような条件では堆積速度が80nm/分~1μm/分の範囲であり得、より高いzではより高い成長速度を有する。これまでの研究では、トリオキサンは気固・液固相転移の際に重合する傾向があることが報告されており(参考文献12ー13)、充分に高濃度のモノマーが基材に吸着した場合にのみ、iCVD重合が起こったと考えるのが妥当である。加えて、誘導期は、典型的には溶液中の1,3,5-トリオキサンのカチオン重合において観察される。この誘導期では、高分子の形成に先立ち、開始後にホルムアルデヒドとそのオリゴマーが形成され、ホルムアルデヒドが温度依存性の上限濃度に達して初めて重合が始まり、その後、反応平衡がPOM形成に向かって押し進められる(参考文献14)。図1を参照すると、iCVD・POMでも同様のメカニズムが起こり、充分に高いzやモノマー条件によって、固体材料が得られない低分子やオリゴマー形成ではなく、POM成長に向けた反応が押し進められると思われる。さらに、POM反応は、ポリマー鎖の開始を助けることができる共反応物、典型的にはプロトゲンの存在によってさらに影響を受けることがある。プロトゲンは例えば、水またはアルコールであり得る。したがって、メタノールとの反応もまた、表1に示されるように行われた。加えて、ホルムアルデヒドよりもむしろより多くのPOMを生成するように平衡を押し進めるために、POM反応中にホルムアルデヒド蒸気環境を人工的に導入することも可能である。これは、パラホルムアルデヒドの熱分解からホルムアルデヒド蒸気の流れを導入することによって達成することができる。表1に示すように、ホルムアルデヒドとの反応も行った。提案された反応機構を図1に示す。
【0042】
表1.POM重合のためのiCVD処理条件。
【表1】
【0043】
ラン12~30のデータは、ラン1~12について本明細書に提供されるデータと同様であった。
【0044】
図2は、1,3,5-トリオキサンモノマーならびに加熱されたフィラメントがある場合およびない場合に堆積したiCVD・POM膜のFTIRスペクトルを示す。2983および2923cm-1のピークはCH2伸縮であり、1470、1383および1292cm-1のピークはCH2屈伸、振動およびねじれであり、1239、1095および902cm-1のピークはPOMに特徴的なC-O-C伸縮である(参考文献7)。POMとは異なり、モノマーは2700~3100cm-1により多くのピークを有し、重合したときに消失する強いピークを700~8000cm-1付近に有する(参考文献7)。FTIRにより、iCVDによるPOMの線形構造と合成を確認した。また、FTIRは、POMが主に伸長鎖結晶構造形態であることを示している。FTIRに加えて、X線回折は図3に見られるように22.9°にピークを示す。このピークは16.2nm-1の相反散乱ベクトルqと3.87Åのd間隔を与え、これは理論値(3.86Å)に非常に近い三方晶系のPOMの六方配列の(110)面と(020)面を表す(参考文献15)。
【0045】
図4A~4B、4D~4Eおよび4G~4HにおけるSEM画像から、iCVD堆積によって構造化POMフィルムが得られることがわかり、これはおそらく重合プロセス中の結晶化によって引き起こされる。窒素の導入およびより高い基材温度は、両方とも、ポリマーの多くの島状クラスターを有する形態をもたらす。次いで、そのような構造化フィルムは、より疎水性のPOM表面(水接触角>90°)に変換され、これは文献において親水性であると報告されているバルクPOMとは異なる(水接触角=74.5°<90°)(参考文献16)。本発明者らのプロセス研究から、ラン#5からのPOMフィルムは、111°の最高接触角をもたらす最大量のポリマー構造を有する。
【0046】
メタノールおよび/またはパラホルムアルデヒドとの反応について、FTIRはまた、POMが堆積していることを確認している。さらに、メタノールはPOM堆積のための上限温度を上昇させ、より高い基材温度で安定な成長をもたらし、一方、パラホルムアルデヒドは、基材全体にわたる堆積均一性を改善した。
【0047】
3.結論
POMは、1,3,5‐トリオキサンモノマーと三フッ化ホウ素開始剤を用いてiCVDにより合成することに成功した。iCVD・POMフィルムは、疎水性POM表面をもたらすように構造化される。基材温度、反応器圧力、および窒素流のiCVDプロセス条件を調整することによって、ポリマー成長、動特性および形態を調整することができる。本発明の方法を用いたPOMフィルムの乾式合成および構造化の容易さは、エレクトロニクス、機械的システム、バリアフィルム、テンプレーティングおよび先進複合材料を含む、新しい応用分野を開くことができる。本開示の他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書に開示される実施形態の実施から当業者には明らかであろう。本明細書および請求の範囲を通して使用される場合、「a」および/または「an」は、1つまたは2つ以上を指し得る。別段の指示がない限り、本明細書および請求の範囲において使用される成分の量、特性、例えば分子量、パーセント、比、反応条件などを表すすべての数は、用語「約」が存在するか否かにかかわらず、すべての場合において用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。したがって、相反する指示がない限り、本明細書および請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る概算値である。少なくとも、請求の範囲に均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効数字の数に照らし、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。開示の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは概算値であるが、具体的な実施例で示された数値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は本質的に、それぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含む。本明細書および実施例は例示的なものに過ぎないとみなされ、本開示の真の範囲および趣旨は以下の請求の範囲によって示されることが意図される。
【0048】
前述の実施形態は、実際にはかなりの変形が可能である。したがって、実施形態は、上述の特定の例示に限定されることを意図するものではない。むしろ、前述の実施形態は、法律の問題として利用可能なその等価物を含む、添付の請求の範囲の趣旨および範囲内にある。当業者に明らかで当分野で通常遭遇する様々な条件およびパラメータの他の適切な修正および適合は、本開示の範囲内である。
【0049】
本明細書に引用される全ての特許および刊行物は、それらの全体、または少なくともそれらが本明細書において具体的に引用されまたは依拠されたそれらの説明部分について、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0050】
特許権者は、開示された実施形態を一般に公開することを意図しておらず、開示された修正または変更が請求の範囲に文字通り含まれない可能性がある限り、それらは均等論に基づき本明細書の一部とみなされるものとする。
【0051】
本明細書に開示された各成分、化合物、置換基またはパラメータは、単独で、または本明細書に開示された1つ以上の他の成分、化合物、置換基またはパラメータと組み合わせて使用するために開示されたと解釈されるべきであることを理解されたい。
【0052】
また、本明細書に開示された各成分、化合物、置換基またはパラメータの各量/値または量/値の範囲は、本明細書に開示された任意の他の成分、化合物、置換基またはパラメータについて開示された各量/値または量/値の範囲と組み合わせて開示されていると理解されるべきであり、したがって、本明細書に開示された2つ以上の成分、化合物、置換基またはパラメータについての量/値または量/値の範囲の任意の組み合わせも、本明細書の目的のために互いに組み合わせて開示されていると理解されるべきである。
【0053】
さらに、本明細書に開示された各範囲は、開示された範囲内で有効桁数が同じである各特定値の開示と解釈すべきことが理解される。したがって、1~4の範囲は、値1、2、3および4の明示的な開示として解釈すべきである。
【0054】
さらに、本明細書に開示された各範囲の各下限は、同じ成分、化合物、置換基またはパラメータについて本明細書に開示された各範囲内の各範囲の各上限および各特定値と組み合わせて開示されていると解釈すべきであることが理解される。したがって、本開示は、各範囲の各下限を各範囲の各上限と組み合わせることによって、または各範囲内の各特定値と組み合わせることによって、または各範囲の各上限を各範囲内の各特定値と組み合わせることによって導出されるすべての範囲の開示として解釈されるべきである。
【0055】
さらに、本明細書または実施例に開示された成分、化合物、置換基またはパラメータの特定の量/値は、範囲の下限または上限のいずれかの開示として解釈されるべきであり、したがって、その成分、化合物、置換基またはパラメータの範囲を形成するために、本出願の他の場所に開示される同じ成分、化合物、置換基またはパラメータの範囲または特定の量/値の任意の他の下限または上限と組み合わせることができる。
【0056】
参考文献
以下の参考文献は、本明細書で論じられる原理のいくつかを理解するのに有用であり得る。
1. Muelhaupt, R., Hermann Staudinger and the origin of macromolecular chemistry. Angewandte Chemie International Edition 2004, 43 (9), 1054-1063.
2. Staudinger, H., Macromolecular Chemistry. In Nobel Lecture, 1953.
3. Baranowski, C. J.; Bahmanpour, A. M.; Kroecher, O., Catalytic synthesis of polyoxymethylene dimethyl ethers (OME): A review. Applied Catalysis B: Environmental 2017, 217, 407-420.
4. Evans, S. M.; Keogh, P. S., Wear mechanisms in polyoxymethylene spur gears. Wear 2019, 428-429, 356-365.
5. Kongkhlang, T.; Tashiro, K.; Kotaki, M.; Chirachanchai, S., Electrospinning as a New Technique To Control the Crystal Morphology and Molecular Orientation of Polyoxymethylene Nanofibers. Journal of the American Chemical Society 2008, 130 (46), 15460-15466.
6. Liu, D.; Zhang, S.; Cheng, H.; Peng, R.; Luo, Z., Thermally Triggered Vanishing Bulk Polyoxymethylene for Transient Electronics. Scientific Reports 2019, 9 (1), 18107.
7. Loo, L. S.; Gleason, K. K., Hot filament chemical vapor deposition of polyoxymethylene as a sacrificial layer for fabricating air gaps. Electrochemical and Solid-State Letters 2001, 4 (11), G81-G84.
8. Lau, K. K.; Gleason, K. K., Initiated chemical vapor deposition (iCVD) of poly (alkyl acrylates): a kinetic model. Macromolecules 2006, 39 (10), 3695-3703.
9. Lau, K. K.; Gleason, K. K., Initiated chemical vapor deposition (iCVD) of poly (alkyl acrylates): an experimental study. Macromolecules 2006, 39 (10), 3688-3694.
10. Bose, R. K.; Nejati, S.; Stufflet, D. R.; Lau, K. K. S., Graft Polymerization of Anti-Fouling PEO Surfaces by Liquid-Free Initiated Chemical Vapor Deposition. Macromolecules 2012, 45 (17), 6915-6922.
11. Hsieh, C.-Y.; Lau, K. K. S., Growth of Polyglycidol in Porous TiO2 Nanoparticle Networks via Initiated Chemical Vapor Deposition: Probing Polymer Confinement Under High Nanoparticle Loading. Advanced Materials Interfaces 2015, 2 (17), 1500341-n/a.
12. Hammick, D. L.; Boeree, A. R., CCCXXIX.-Preparation of α-trioxymethylene and a new polymeride of formaldehyde. Journal of the Chemical Society, Transactions 1922, 121, 2738-2740.
13. Weissermel, K.; Fischer, E.; Gutweiler, K.; Hermann, H.; Cherdron, H., Polymerization of trioxane. Angewandte Chemie International Edition in English 1967, 6 (6), 526-533.
14. Kern, W.; Jaacks, V., Some kinetic effects in the polymerization of 1,3,5-trioxane. Journal of Polymer Science 1960, 48 (150), 399-404.
15. Carazzolo, G.; Mammi, M., Crystal structure of a new form of polyoxymethylene. Journal of Polymer Science Part A: General Papers 1963, 1 (3), 965-983.
16. Kaelble, D.; Cirlin, E., Dispersion and polar contributions to surface tension of poly (methylene oxide) and Na-treated polytetrafluoroethylene. Journal of Polymer Science Part A-2: Polymer Physics 1971, 9 (2), 363-368.
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
【国際調査報告】