(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】回転成形用組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/04 20060101AFI20230406BHJP
B29C 41/04 20060101ALI20230406BHJP
B29C 41/36 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
C08L23/04
B29C41/04
B29C41/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549131
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(85)【翻訳文提出日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 IB2021051084
(87)【国際公開番号】W WO2021165790
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505382548
【氏名又は名称】ノバ ケミカルズ(インターナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダゴスティーノ、カーマイン
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド、ギルバート
(72)【発明者】
【氏名】ベルユームール、セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイ、ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ダン、バン
【テーマコード(参考)】
4F205
4J002
【Fターム(参考)】
4F205AA04
4F205AB06
4F205AC01
4F205AG06
4F205AH55
4F205AH56
4F205AR06
4F205AR13
4F205GA01
4F205GB01
4F205GC04
4F205GF01
4F205GN01
4F205GN29
4J002BB031
4J002BB032
4J002BB041
4J002BB042
4J002EJ016
4J002EJ026
4J002EJ036
4J002EV076
4J002FD010
4J002FD020
4J002FD040
4J002FD050
4J002FD076
4J002GA00
4J002GC00
4J002GG01
(57)【要約】
回転成形組成物は、2つのポリエチレン:1)十分に安定化されたポリエチレン;2)非常に低い流量を有する、安定化が不十分なポリエチレンのブレンドを含む。難安定化ポリエチレンは、大きな粒径(500~3000ミクロン)を有することをさらに特徴とする。組成物から調製された回転成形部品は、粗い内面を有する。ポリウレタンフォームは、この粗面によく接着する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)2.16kgの鉛を使用して190℃でASTM D 1238によって測定して0.5~10グラム/10分のメルトインデックス(I
2);ASTM D792によって測定して0.920~0.950g/ccの密度を有する、85~99重量%の安定化ポリエチレン;及び
2)(i)21.6kgの負荷を用いて190℃でASTM D1238によって測定して2~20グラム/10分の高負荷メルトインデックス(I
21);(ii)ASTM D792によって測定して0.950~0.965g/ccの密度;(iii)500~3000ミクロンの平均粒径を有する、15~1重量%の実質的に非安定化ポリエチレン
を含む、ポリエチレン組成物。
【請求項2】
前記粒径が500~1000ミクロンである、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項3】
前記安定化ポリエチレンの平均粒径が、前記実質的に非安定化ポリエチレンの平均粒径よりも小さい、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項4】
前記実質的に非安定化ポリエチレンが、21.6kgの負荷を用いて190℃でASTM D1238によって測定して、3~6グラム/10分の高負荷メルトインデックスI
21を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項5】
前記安定化ポリエチレンが、
1.1)250~1500重量百万分率の量の一次酸化防止剤、及び
1.2)250~1500重量百万分率の量の二次酸化防止剤
を含んでいる安定剤パッケージを含む、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項6】
a)請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー組成物を調製すること、及び
b)前記ブレンドを回転成形に供すること、
を含む、回転成形部品を調製するプロセス。
【請求項7】
前記回転成形が250℃~400℃の温度で行われる、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
10ミクロン~30ミクロンの表面粗さを有する内面を有する回転成形部品を製造する、請求項6又は7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記表面粗さが12~20ミクロンである、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記内面が、フーリエ変換赤外機器によって検出可能なカルボニル官能基を有することをさらに特徴とする、請求項8に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
極性ポリマーに接着する改善された能力を有する回転成形部品を提供する回転成形のための組成物及びプロセス。
【背景技術】
【0002】
回転成形(rotomolding)としても知られている回転成形(Rotational molding)は、ガソリン容器、ゴミ箱、農業用貯蔵容器、浄化槽、及びカヤックなどのスポーツ用品などの中空プラスチック部品を製造するために広く使用されている周知のプロセスである。このプロセスは、細かく分割されたプラスチック樹脂の充填物を金型「シェル」に充填し、次いで、金型を(通常、2つの軸上で)プラスチック樹脂の融点より高い温度まで加熱しながら回転させることによって行われる。溶融したプラスチックは、装置の回転によって引き起こされる力の下で金型キャビティを通って流れる。回転は、溶融したプラスチックが金型の表面を覆うことを可能にするのに十分な時間継続する。次いで、金型を冷却して、プラスチックを固体に凍結させる。成形サイクルの最終段階は、部品を回転成形機から取り外すことである。
【0003】
回転成形プロセスは、中空部品、すなわち、内面及び外面を有する部品を生成することが認識されよう。いくつかの最終用途では、絶縁層を提供するために、又は構造強度若しくは浮力を改善するために、内面をコーティングする(又はさらに中空領域を充填する)ことが望ましい。特に、このコーティング又は充填にポリウレタンを使用することが知られている。しかしながら、ポリウレタンをポリエチレンに効果的に付着させることは、これら2つのポリマーの極性が異なるため困難である。この問題は、ポリエチレンを処理して表面極性を高めることによって解決することができるが、これは高価である。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態では、高い表面粗さを有する内面を有する回転成形部品を提供する組成物及びプロセスが本明細書に開示される。これらの実施形態では、ポリウレタンに対する改善された接着が観察される。
【0005】
一実施形態では、以下を含むポリエチレン組成物が提供される:
1)2.16kgの鉛を使用して190℃でASTM D 1238によって測定して0.5~10グラム/10分のメルトインデックス(I2);ASTM D792によって測定して0.920~0.950g/ccの密度を有する、85~99重量%の安定化ポリエチレン;及び
2)(i)21.6kgの負荷を用いて190℃でASTM D1238によって測定して2~20グラム/10分の高負荷メルトインデックス(I21);(ii)ASTM D792によって測定して0.950~0.965g/ccの密度;(iii)500~3000ミクロンの平均粒径を有する、15~1重量%の実質的に非安定化ポリエチレン。
【0006】
用語の定義
例又は別段の指示がある場合を除いて、明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、押出条件などに言及するすべての数又は表現は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。したがって、反対のことが示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、様々な実施形態が得ることを望む所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の丸め技術を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。特定の例に記載された数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。
【0007】
本明細書に列挙された任意の数値範囲は、その中に包含されるすべての部分範囲を含むことが意図されていることを理解されたい。例えば、「1~10」の範囲は、列挙された最小値1と列挙された最大値10との間に含まれるすべての部分範囲を含むことが意図されている。すなわち、最小値が1以上であり、最大値が10以下である。開示された数値範囲は連続的であるため、最小値と最大値との間のすべての値を含む。特に明記しない限り、本出願で指定される様々な数値範囲は近似値である。
【0008】
本明細書で表されるすべての組成範囲は、実際には合計で100%(体積パーセント又は重量パーセント)に制限され、それを超えない。複数の成分が組成物中に存在し得る場合、各成分の最大量の合計は、当業者が容易に理解するように、実際に使用される成分の量が最大100%に適合することを理解して、100%を超えることができる。
【0009】
本開示のより完全な理解を形成するために、以下の用語が定義され、添付の図面及び様々な実施形態の説明と共に全体を通して使用されるべきである。
【0010】
本明細書で使用される場合、「モノマー」という用語は、それ自体又は他のモノマーと化学的に反応し、化学的に結合して、ポリマーを形成し得る小分子を指す。
【0011】
本明細書で使用される場合、「α-オレフィン」という用語は、鎖の一端に二重結合を有する3~20個の炭素原子を含む直鎖炭化水素鎖を有するモノマーを表すために使用される。例としてはブテン-1、ヘキセン-1及びオクテン-1が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.ポリエチレン
ポリエチレンは、回転成形部品の製造に一般的に使用されるプラスチック樹脂である。ポリエチレンのホモポリマーを使用することも知られているが、ポリエチレンのコポリマー(一般に、クロム触媒又はZiegler Natta触媒の存在下でエチレンとC4-10アルファオレフィンとの共重合によって調製される)が典型的に使用される。アルファオレフィンのコモノマーは、コポリマー中に「短鎖分岐」(SCB)を生成する。これらのSCBは、(直鎖エチレンのホモポリマーと比較して)コポリマーの結晶性を低下させ、コポリマーは典型的に、ホモポリマーと比較して改善された耐衝撃性を有する。これらの従来のポリエチレンは、ポリエチレンが実際には有意に異なる分子量及びコモノマー分布を有する異なるポリエチレン鎖の混合物であるという意味で「不均質」と呼ばれ得る。最も注目すべきことに、従来の不均質ポリエチレンは、一般に以下の3つの画分を含む:
i)高いコモノマー含有量(又は高レベルのSCB)を有する低分子量画分)この画分は、しばしば「ワックス」又は「抽出物」と呼ばれる);
ii)コモノマーをほとんど又は全く有しない非常に高分子量の画分(この画分はしばしば「ホモポリマー」と呼ばれる);及び
iii)中間の分子量及びSCB含有量の画分。
【0013】
これらの従来のポリエチレンは、回転成形によく適している。例えば、理論に拘束されることを望むものではないが、高分子量「ホモポリマー」画分は、回転成形部品の剛性又は弾性率を高め得ると仮定されている。
【0014】
最近では、均質なポリエチレンが市販されている。これらの均質なポリエチレンは、均一な(又は狭い)分子量分布及び均一なコモノマー分布を有する。これにより、均質なポリエチレンは、(融点「範囲」又はさらには複数の融点を有する不均質ポリエチレンと比較して)明確な融点を有する。回転成形プロセスにおいて「均質な」ポリエチレンを使用することも知られている。
【0015】
安定化ポリエチレン
「安定化ポリエチレン」という用語は、回転成形プロセス中の分解/酸化からポリエチレンを保護するための「安定剤」パッケージを含むポリエチレン(不均質ポリエチレン又は均質ポリエチレンであり得る)を広く指す。一般に、回転成形用途で現在使用されている任意の安定剤パッケージは、本プロセスでの使用に潜在的に適している。当業者は、多くのそのような安定剤パッケージが現在使用されていることを認識するであろう。
【0016】
一実施形態では、安定剤パッケージは以下を含む:
1)一次酸化防止剤(理論に拘束されることを望むものではないが、一般にフリーラジカルを捕捉すると考えられている);
2)二次酸化防止剤(理論に束縛されることを望むものではないが、一般に、ヒドロペルオキシドをクエンチすると考えられている)。
【0017】
一次酸化防止剤の適切な(非限定的な)例としては、ヒンダードフェノール;ヒドロキシルアミン及びラクトンが挙げられ、及び適切な量は、ポリエチレンの重量に基づいて100~2000(特に250~1500)重量百万分率(「ppm」)である。
【0018】
適切な(非限定的な)二次酸化防止剤には、特に100~2000(特に250~1500ppm)の量のホスファイト及びホスフィナイトが含まれる。
【0019】
また、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)を、回転成形組成物中に、特に500~3000ppmの量で含むことが望ましい。酸化亜鉛(500~5000重量百万分率の量)及び/又は紫外線(UV)吸収剤の任意の追加の使用は、太陽光に曝される回転成形部品の安定性をさらに改善することができる。
【0020】
一実施形態では、安定剤パッケージは、以下を含む:
1)250~1500ppmの、以下:
1.1)ヒンダードフェノール;及び
1.2)ヒドロキシルアミン;
から選択される少なくとも1つの一次酸化防止剤、及び
2)100~1000ppmの、以下:
2.1)ホスファイト;及び
2.2)ホスフィナイト;
から選択される少なくとも1つの二次酸化防止剤、及び
3)500~3000ppmのHALS;及び
4)0~5000ppmの酸化亜鉛。
【0021】
他の多くの添加剤もポリエチレンと共に使用されることが知られている。これらの添加剤のいくつかは、以下の添加剤セクションに記載されている。
【0022】
添加剤は、押出機又は内部バッチミキサ(バンバリーミキサとしても知られる)などの混合装置を使用してポリエチレン組成物に取り込むことができる。添加剤は、「マスターバッチ」として(すなわち、添加剤を少量のポリエチレンと予備混合し、続いてこれを組成物のバルクと混合することによって);又は「プレブレンド」(すなわち、添加剤の混合物)として、「ニート」で(すなわち、樹脂に直接)添加することができる。
【0023】
安定化高密度ポリエチレン組成物は、いくつかの実施形態では、回転成形プロセスで使用される前に粉砕されて粉末にされる(回転成形において従来の実施である)。粉末に適した(非限定的な)平均粒径は、200~400ミクロンである。一実施形態では、安定化ポリエチレンの平均粒径は、実質的に非安定化ポリエチレンの平均粒径よりも低い/小さい。
【0024】
添加剤
一実施形態では、回転成形組成物は、以下を含んでよい:
A)以下:
A.1)ヒンダードフェノール(その非限定的な例は、以下のセクション1.1及び1.4に記載されている);及び
A.2)ヒドロキシルアミン(その非限定的な例は、以下のセクション5に記載されている);
から選択される少なくとも1つの一次酸化防止剤
B)ホスファイト及びホスホナイトから選択される少なくとも1つの二次酸化防止剤(その非限定的な例は、以下のセクション4に記載されている);及び
C)少なくとも1つのヒンダードアミン光安定剤「HALS」(その非限定的な例は、以下のセクション2.6に記載されている。)
【0025】
多くの他の添加剤もまた、回転成形プロセスで使用されるポリエチレン組成物に含まれ得る。これらの添加剤のいくつかを以下に簡単に説明する。
【0026】
1.酸化防止剤(「ヒンダードフェノール類」とも呼ばれる)
1.1アルキル化モノフェノール
例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール;2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4イソブチルフェノール;2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノール;2-(α-メチルシクロヘキシル)-4,6ジメチルフェノール;2,6-ジ-オクタデシル-4-メチルフェノール;2,4,6-トリシクロヘキシフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシメチルフェノール;及びビタミンE。
【0027】
1.2アルキル化ヒドロキノン
例えば、2,6ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール;2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン;2,5-ジ-tert-アミル-ヒドロキノン;及び2,6ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール。
【0028】
1.3ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル
例えば、2,2’-チオ-ビス-(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール);2,2’-チオ-ビス-(4-オクチルフェノール);4,4’チオ-ビス-(6-tertブチル-3-メチルフェノール);及び4,4’-チオ-ビス-(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)。
【0029】
1.4アルキリデン-ビスフェノール類(「ヒンダードフェノール類」とも呼ばれる)
例えば、2,2’-メチレン-ビス-(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール);2,2’-メチレン-ビス-(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール);2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)フェノール);2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール);2,2’-メチレン-ビス-(6-ノニル-4-メチルフェノール);2,2’-メチレン-ビス-(6-ノニル-4メチルフェノール);2,2’-メチレン-ビス-(6-(α-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール);2,2’-メチレン-ビス-(6-(α、α-ジメチルベンジル)-4-ノニル-フェノール);2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2’-エチリデン-ビス-(6-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール);4,4’メチレン-ビス-(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-メチレン-ビス-(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール);1,1-ビス-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェノール)ブタン2,6-ジ-(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール;1,1,3-トリス-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン;1,1-ビス-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ2-メチルフェニル)-3-ドデシル-メルカプトブタン;エチレングリコール-ビス-(3,3,-ビス-(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)-ブチレート)-ジ-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルペニル)-ジシクロペンタジエン;ジ-(2-(3’-tert-ブチル-2’ヒドロキシ-5’メチルベンジル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェニル)テレフタレート;及び他のフェノール類、例えばビスフェノール類のモノアクリレートエステル、例えばエチリジエンビス-2,4-ジ-t-ブチルフェノールモノアクリレートエステル。
【0030】
2.UV吸収剤及び光安定剤
2.1 2-(2’-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール
例えば、5’-メチル-、3’5’-ジ-tert-ブチル-、5’-tert-ブチル-、5’(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-、5-クロロ-3’,5’-ジ-tert-ブチル-、5-クロロ-3’-tert-ブチル-5’-メチル-3’-sec-ブチル-5’-tert-ブチル-、4’-オクトキシ-、3’,5’-ジtert-アミル-3’,5’-ビス-(α、α-ジメチルベンジル)-誘導体である。
【0031】
2.2 2-ヒドロキシ-ベンゾフェノン
例えば、4-ヒドロキシ-4-メトキシ-、4-オクトキシ-、4-デシルオキシ-、4-ドデシルオキシ-、4-ベンジルオキシ、4,2’,4’-トリヒドロキシ-及び2’-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ誘導体である。
【0032】
2.3ヒンダードアミン光安定剤(HALS)
例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-セバケート;ビス-5(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-セバケート;n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)エステル;1-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシ-ピペリジンとコハク酸との縮合物;N,N’-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-s-トリアジンとの縮合物;トリス-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-ニトリロトリアセテート、テトラキス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4ブタン-テトラ-炭酸(arbonic acid);及び1,1’(1,2-エタンジイル)-ビス-(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)。典型的にHALS(ヒンダードアミン光安定化)と呼ばれるこれらのアミンには、ブタンテトラカルボン酸2,2,6,6-テトラメチルピペリジノールエステルが含まれる。そのようなアミンには、ジ(1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;1-ヒドロキシ2,2,6,6-テトラメチル-4-ベンゾキシピペリジン;1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ)-ピペリジン;及びN-(1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-4-イル)-イプシロンカプロラクタムなどのヒンダードアミンから誘導されるヒドロキシルアミンが含まれる。
【0033】
3.ホスファイト及びホスホナイト
例えば、トリフェニルホスファイト;ジフェニルアルキルホスファート;フェニルジアルキルホスファート;トリス(ノニル-フェニル)ホスファイト;トリラウリルホスファイト;トリオクタデシルホスファイト;ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト;トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト;ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト;2,4,6トリ-tert-ブチルフェニル-2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールホスファイト;ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトトリステアリルソルビトールトリホスファイト;及びテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4’-ビフェニレンジホスホナイト。
【0034】
4.ペルオキシド捕捉剤
例えば、ベタチオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリル、ステアリル、ミリスチル又はトリデシルエステル;メルカプトベンゾイミダゾール又は2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩;ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛;ジオクタデシルジスルフィド;及びペンタエリスリトットテトラキス-(β-ドデシルメルカプト)-プロピオナート。
【0035】
5.ヒドロキシルアミン及びアミンオキシド
例えば、N,N-ジベンジルヒドロキシルアミン;N,N-ジエチルヒドロキシルアミン;N,N-ジオクチルヒドロキシルアミン;N,N-ジラウリルヒドロキシルアミン;N,N-ジテトラデシルヒドロキシルアミン;N,N-ジヘキサデシルヒドロキシルアミン;N,N-ジオクタデシルヒドロキシルアミン;N-ヘキサデシル-N-オクタデシルヒドロキシルアミン;N-ヘプタデシル-N-オクタデシルヒドロキシルアミン;及び水素化獣脂アミンから誘導されるN,N-ジアルキルヒドロキシルアミン。類似のアミンオキシド(USP 5,844,029(Prachu et al.)に開示される)も適している。
【0036】
6.ニトロン
例えば、N-ベンジル-α-フェニルニトロン;N-エチル-α-メチルニトロン;N-オクチル-α-ヘプチルニトロン;N-ラウリル-α-ウンデシルニトロン;N-テトラデシル-α-トリデシルニトロン;N-ヘキサデシル-α-ペンタデシルニトロン;N-オクタデシル-α-ヘプタデシルニトロン;N-ヘキサデシル-α-ヘプタデシルニトロン;N-オクタデシル-α-ペンタデシルニトロン;N-ヘプタデシル-α-ヘプタデシルニトロン;N-オクタデシル-α-ヘキサデシルニトロン;及び水素化獣脂アミンから誘導されるN,N-ジアルキルヒドロキシルアミンから誘導されるニトロン。
【0037】
7.塩基性共安定剤
例えば、メラミン;ポリビニルピロリドン;ジシアンジアミド;トリアリルシアヌレート;尿素誘導体;ヒドラジン誘導体;アミン;ポリアミド;ポリウレタン;高級脂肪酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えば、ステアリン酸Ca、乳酸ステアロイルカルシウム、乳酸カルシウム、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、リシノール酸Na及びパルミチン酸K;ハイドロタルサイト及び合成ハイドロタルサイトなどの中和剤を含む、アンチモンピロカテコラート又は亜鉛ピロカテコラート;及びLi、Na、Mg、Ca、Alヒドロキシカルボナート。
【0038】
8.核形成剤
例えば、4-tert-ブチル安息香酸;アジピン酸;ジフェニル酢酸;メチレンビス-2,4-ジブチルフェニルのナトリウム塩;環状リン酸エステル;ソルビトールトリス-ベンズアルデヒドアセタール;及びビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファートのナトリウム塩又はエチリデンビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファートのNa塩。核形成剤は、回転成形部品の剛性を改善することができる。
【0039】
9.充填剤及び補強剤
例えば、炭酸カルシウム;シリケート;ガラス繊維;アスベスト;タルク;カオリン;雲母;硫酸バリウム;金属酸化物及び金属水酸化物;カーボンブラック及びグラファイト。
【0040】
10.その他
例えば、可塑剤;エポキシ化植物油、例えばエポキシ化ダイズ油;潤滑剤;乳化剤;顔料;蛍光増白剤;耐炎化剤;帯電防止剤;ジラウリルチオジプロピオナート又はジステアリルチオジプロピオナートなどの発泡剤及びチオシアネジスト。
【0041】
実質的に非安定化ポリエチレン
「実質的に非安定化」という用語は、ポリエチレンが回転成形プロセス中に酸化を受けやすいことを意味する。これは、回転成形プロセス後に、回転成形部品の内面上の酸化種(特にカルボニル基)の形成を観察することによって確認することができる。酸化種は、従来のフーリエ変換赤外(「FTIR」)機器を使用して検出することができる。
【0042】
一般的なガイドラインとして、実質的に非安定化ポリエチレンは、100ppm未満の一次酸化防止剤及び/又は二次酸化防止剤を含有すべきであり、一次又は二次酸化防止剤を含有しなくてもよい。一実施形態では、実質的に非安定化ポリエチレンは、一次又は二次酸化防止剤を含まない。
【0043】
いくつかの実施形態では、実質的に非安定化ポリエチレンは、非常に低い流量を有する。流量は、特定の温度及び負荷で毛細管を通って流れるポリマーの量を測定することによって決定される。ASTM D1238を使用して流量を測定する。一実施形態では、非安定化ポリエチレンは、ASTM D1238(190℃)で2.16kgの負荷を使用する場合、意味のある/測定可能な流量を有さない。21.6kgの負荷を使用する「高負荷」流量は、2~20グラム/10分、又は例えば3~6グラム/10分である。流量は、一般に「メルトインデックス」とも呼ばれる。
【0044】
一実施形態では、実質的に非安定化ポリエチレンは、Zeigler Natta触媒又はクロム触媒などの不均質触媒を使用して調製される。
【0045】
成形部品の内面
理論に束縛されることを望むものではないが、このプロセスによって調製される回転成形部品は、主に安定化ポリエチレン(上記)から作製される外面を有し、実質的に非安定化ポリエチレンは外面から離れて(特に内面に)位置する傾向があると考えられる。
【0046】
一実施形態では、部品の内面は、外面よりも高い表面粗さを有する。表面粗さは、機械的又は光学的形状測定器で測定することができる。本発明者らは、レーザー共焦点顕微鏡(光学形状測定装置の一種)を使用して、本プロセスによって製造された部品の内面の粗さを測定し、10ミクロンを超える平均表面粗さ「Ra」を観察した。比較すると、外面は、はるかに低い表面粗さ(例えば、2~4ミクロンのRa)を有することが観察されている。
【0047】
さらに、本発明者らは、内面にカルボニル基が存在することを観察しており、理論に拘束されることを望まないが、これらのカルボニル基は、実質的に非安定化ポリエチレンの酸化によって形成されると考えている。
【0048】
本発明者らは、ポリウレタン層における回転成形部品の表面間の結合の強度を測定するために接着試験(例に記載)を行った。これらの試験は、回転成形部品の表面が、a)高い表面粗さ及びb)カルボニル基の両方を有する場合に、高い強度の結合が形成されることを示している。
【0049】
B.回転成形プロセス
前述のように、回転成形は周知のプロセスであり、これは、細かく分割されたプラスチック樹脂の充填物を金型「シェル」に充填し、次いで、金型を(通常、2つの軸上で)プラスチック樹脂の融点より高い温度まで加熱しながら回転させることによって行われる。溶融したプラスチックは、装置の回転によって引き起こされる力の下で金型キャビティを通って流れる。回転は、溶融したプラスチックが金型の表面を覆うことを可能にするのに十分な時間継続する。次いで、金型を冷却して、プラスチックを固体に凍結させる。成形サイクルの最終段階は、部品を回転成形機から取り外すことである。
【0050】
成形サイクルを完了するのに必要な時間は、成形されているプラスチックのバルク特性;成形される部品のサイズ及び成形温度の関数である。また、金型内に充填されるプラスチック樹脂は、樹脂の「自由流動」を促進するために、細かく分割され(すなわち、粉末に粉砕する)、高い嵩密度及び狭い粒径分布を有することが好ましい。
【0051】
また、回転成形部品の物理的特性は、不十分な強度特性を有する「未加熱」部品と、外観不良(「焼けた」色)及び/又は強度特性の低下を被る「過剰加熱」部品との適切な成形サイクル時間の使用によって影響を受けることも理解されよう。短い成形サイクル(高価な回転成形機の生産性を向上させるため)及び広い「プロセスウィンドウ」を有することが望ましい(すなわち、回転成形組成物は、理想的には短期間で「適切に加熱された」部品を提供するが、長期間「過剰に加熱された」部品にならない)。
【0052】
さらに、回転成形部品の特性は、部品を調製するために使用されるポリマーの分子構造によって影響を受ける。重要な物理的特性には、剛性(部品の弾性率によって示される)、耐環境応力亀裂性(又は「ESCR」)、耐衝撃性及び耐反り性が含まれる。
【0053】
したがって、プロセスの成形時間及び温度は、多くの変数によって影響を受ける。特定の/好ましい条件は、機械の選択によっても影響を受け得る。しかしながら、当業者は、過度の困難なしに条件を最適化することができるであろう。本組成物を回転成形するための適切な条件を例に示す。
【0054】
例1
ポリエチレン
例で用いたポリエチレンを表1に示す。
【0055】
PE-1は、SURPASS(登録商標)RMs539-UG(NOVA Chemicals)である。PE-2は、NOVAPOL(登録商標)TR-0735-UG(NOVA Chemicals)である。PE-4は、SCLAIR(登録商標)19A(NOVA Chemicals)である。
【0056】
PE-1及びPE-2はそれぞれ、本発明の組成物及びプロセスでの使用に適した「安定化ポリエチレン」の例である。PE-1及びPE-2は、従来の回転成形プロセスでの使用にも適している。
【0057】
PE-3は、実質的に非安定化ポリエチレンであり、表1に示すように、酸化防止剤を含有しない。さらに、PE-3の流量は非常に低く、意味のあるI2を有さず(すなわち、2.16kgの負荷を使用して190℃でASTM D1238によって測定して意味のある流量を示さない)、「高負荷メルトインデックス、I21」(21.6kgの負荷を使用して190℃でASTM D1238によって測定される)は、わずか4.5グラム/10分である。また、PE-3の平均粒径は大きい(700ミクロン)。
【0058】
PE-4は、比較目的のために含まれる。これは、64グラム/10分の高負荷メルトインデックスI21を有する。したがって、PE-4のI21はPE-3のI21よりもはるかに高いので、PE-4はPE-3よりも容易に「流れる」。しかしながら、PE-4のI2は、(表1に示すように)10分あたり1グラム未満である。従来の回転成形プロセスで使用されるポリエチレンのI2流量は、通常、これよりも高い。要約すると、PE-4は、従来の回転成形プロセスで使用されるポリエチレンよりも低い流量を有するが、この流量は、本組成物の実質的に非安定化ポリエチレンとして使用するには「高すぎる」。PE-4は、600ミクロンの平均粒径を有する。
【0059】
平均粒径は、ASTM D1921によって測定される。
【0060】
これらのポリエチレンを用いて一連のブレンドを作製した。ブレンド組成を表2に示す。
【表1】
【0061】
PE-1及びPE-2の両方とも、従来の/典型的な回転成形プロセスでの使用に適しており、本技術の「安定化ポリエチレン」として適している。PE-1はシングルサイト触媒を用いて調製され、PE-2は従来のZeigler Natta触媒を用いて調製される。
【0062】
これらの例で使用されたPE-1に添加された安定剤添加剤は、ポリエチレンの重量(「ppm」)に基づいて、重量百万分率として以下に報告される。安定剤の商標名は、便宜上、化学名又はChemical Abstracts Registry Numberの説明と共に提供される。
1.250ppmのIRGASTAB(商標)FS042(n,n,-ジ(アルキル)ヒドロキシルアミン)
2.450ppmのDOVERPHOS(商標)9228(ジホスファイト:CAS登録番号154862-43-8)
3.750ppmのTINUVIN(商標)622(HALS:CAS登録番号65447-77-0)
4.750ppmのCHIMASSORB(商標)944(HALS:CAS登録番号70624-18-9)
5.750ppmの酸化亜鉛
【0063】
PE-2に追加された安定剤パッケージを以下に同様に説明する。
1.500ppmのIRGANOX(商標)1076(ヒンダードフェノール:オクタデシル3-(3,5ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナール
2.1000ppmのIRGAFOS(商標)168(ホスファイト:トリス-(2,4ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)
3.1000ppmのCYASSORB(商標)3529(HALS:CAS登録番号193098-40-7)
【0064】
PE-3は、非常に低い流量を有する(I2検定は有意な結果をもたらさない;21.6kg負荷での流量は4.5グラム/10分である)。これは、クロム系触媒を用いて調製される。この流量を有するポリエチレンは、一般に、回転成形プロセスでは使用されない(代わりに、このタイプのポリエチレンは、ブロー成形に適している)。PE-3は安定剤添加剤を含有せず、安定化されていない。
【0065】
PE-4は、比較的低い流量(I
2が1グラム/10分未満、I
21が64グラム/10分)を有する。しかし、PE-4の流量は高すぎて、本開示の実質的に非安定化ポリエチレンとして適切ではない。これは、Z/N触媒を用いて調製される。このタイプのポリエチレンは、フィルムの調製に適している。PE-4は、唯一の安定剤として300ppmのヒンダードフェノール(IRGANOX(商標)1010;CAS登録番号6683-19-8)を含有する。
【表2】
【表3】
【0066】
回転成形部品は、Ferry Industries Inc.によってRotospeed RS3-160の商品名で販売されている回転成形機において、表2に示す組成物から調製された。機械は、中心軸の周りを回転する2つのアームを有する。各アームには、アームの回転軸にほぼ垂直な軸上で回転するプレートが取り付けられている。各プレートには、12.5インチ(31.8cm)×12.5インチ×12.5インチの寸法を有するプラスチック立方体を製造する3つの鋳造アルミニウム金型が取り付けられる。これらの金型は、約3.7kgのポリエチレン樹脂の標準充填物で最初に充填されたとき、約0.25インチ(0.64cm)の公称厚さを有する部品を製造する。
【0067】
毎時200万英国熱量単位(Btu)を提供することができるガス燃焼炉が、ファンによって金型の周りに循環される高温空気を提供するために使用される。一般に、密閉されたオーブン内の温度は、機械がアーム(典型的には、約8毎分回転数(rpm))及びプレート(典型的には、約2rpm)を回転させている間、指定された期間、250℃~400℃の温度に維持される。異なる組成物の具体的な成形条件を表2に報告する。
【0068】
次いで、オーブンを開けることによって「加熱済み部品」を冷却する。冷却を容易にするために水噴霧を使用することもできる。「加熱時間」、回転速度、温度及び冷却サイクルは、データ収集システムも含む適切なソフトウェアでコンピュータ制御される。
【0069】
表面粗さ
部品を切断して試験片を得た。内面及び外面の表面粗さデータを表3に示す。
【0070】
接着試験
試験片は、厚さ1インチ(2.5cm)のポリウレタンフォームの層を、2片の回転成形ポリエチレン(上記のように調製)の間に塗布することによって調製した。
【0071】
泡を23℃で24時間「調整」した後、接着試験を行った。
【0072】
試験片を引張試験機(商標名Instron 4204で販売されている)に設置し、グリップを2つのポリエチレン層に取り付けた。試験速度は8インチ/分に設定した。部品が故障するまで試験を続けた。結果は、表4に「剥離強度」(ポンド力の単位)として報告されている。
【表4】
【0073】
結果は、従来のポリエチレン組成物で調製され、従来の安定剤パッケージを有する回転成形部品が、この例の回転成形条件に従って部品を調製した場合に、ポリウレタンフォームによく接着しない成形部品を生成することを示している(比較実験1、4、及び7を参照)。
【0074】
低い流量及び大きい粒径を有する実質的に非安定化ポリエチレン(すなわち、PE-3)の使用は、成形部品の内側の表面粗さを改善/増加させることが観察された(表3の本発明の実験2、5、8、12及び15)。
【0075】
比較実験3-C、6-C、9-C、11-C、13-C及び16-C(微量成分としてPE-4を使用)は、比較的高い流量を有するポリエチレンの使用が、粗い内面を生成するのにあまり効果的でないことを示している。
【0076】
表4の接着データは、より高い表面粗さがポリウレタンへの接着を改善し得ることを示す。
【0077】
最後に、理論に束縛されることを望むものではないが、より高い温度及び又はより長い加熱時間は、ポリエチレンの酸化レベルをより高く増加させる可能性があるため、接着結合を最大化する最適な加熱時間/温度条件が存在し得ると仮定される。
【0078】
本技術は、適切な接着強度を提供する成形条件を「広げる」ことができ、これは、表4のデータに示すように、より高い表面粗さをより強い接着で補正できることが観察されたためである。
【0079】
本発明者らは、このプロセスに従って調製された回転成形部品の内面が、フーリエ変換赤外(FTIR)分析によって検出可能なカルボニル(C=O)基を有することができることを観察した。
【0080】
本発明者らはまた、低い流量及び大きな粒径を有する実質的に非安定化ポリエチレンの使用が、高い表面粗さを有する回転成形部品を製造することができることを観察した。
【0081】
本発明者らは、ポリウレタンがカルボニル基を有する粗面によく接着することを観察した。
【0082】
したがって、理論に拘束されることを望むものではないが、以下が考えられる:
1)安定化ポリエチレン(実質的に非安定化ポリエチレンと比較して小さい粒径及び高い流量を有する)は、加熱された金型内で溶融し、金型表面に優先的に流れ、それによって成形部品の外面を形成する);
2)実質的に非安定化ポリエチレン(粒径が大きく、流量が乏しい)は、安定化ポリエチレンのようには金型表面に流れず、その結果、実質的に非安定化ポリエチレンは成形部品の内面に存在する;
3)実質的に非安定化ポリエチレンの大きな粒子は、この乏しい流量の材料と共に、本プロセスに従って調製された部品の内面の高い表面粗さに寄与する;
4)実質的に非安定化ポリエチレンは、回転成形プロセス中に部分的に酸化され、それによって部品の内面上に酸化種の形成をもたらし、特に、カルボニル基(C=O)がFTIR分析によって観察されるのに十分な量で形成される;及び
5)A)高い表面粗さ及びB)カルボニルの存在の組み合わせは、回転成形部品の表面とポリウレタンとの間の接着を改善する。
【産業上の利用可能性】
【0083】
2つのポリエチレン:1)十分に安定化されたポリエチレン;2)非常に低い流量を有する、安定化が不十分なポリエチレンのブレンドを含む回転成形組成物が提供される。組成物から調製された回転成形部品は、粗い内面を有し、ポリウレタンフォームはこの粗面によく接着する。
【国際調査報告】