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特表2023-515407低分子量の非晶質グレードのポリ乳酸樹脂を含有する化粧用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】低分子量の非晶質グレードのポリ乳酸樹脂を含有する化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/85 20060101AFI20230406BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230406BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20230406BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230406BHJP
   A61Q 1/06 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61K8/85
A61K8/891
A61Q17/04
A61Q1/00
A61Q1/06
A61K8/37
A61K8/40
A61K8/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549136
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 US2021018658
(87)【国際公開番号】W WO2021168170
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】62/979,556
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504438060
【氏名又は名称】ネイチャーワークス・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コジオ,ウィリアム ディー.
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラー,ジョン マーク
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン-バークレー,サマンサ リー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB051
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC071
4C083AC091
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC152
4C083AC171
4C083AC182
4C083AC262
4C083AC342
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC512
4C083AC581
4C083AC642
4C083AC682
4C083AC852
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD242
4C083AD352
4C083AD662
4C083BB01
4C083BB26
4C083BB46
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC19
4C083DD11
4C083DD21
4C083DD23
4C083DD32
4C083DD33
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE17
(57)【要約】
化粧用組成物は、皮膜形成剤として特定のポリ乳酸樹脂を含有する。このポリ乳酸樹脂は、組成物中において低いレベルで有効であり、及び化粧用組成物に一般に使用される多くの有機成分と混和性である。この化粧用組成物は、スプレー、ローション、クリーム又はペーストとして製剤化され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口唇、皮膚又は睫毛上に皮膜を適用するための化粧用組成物であって、(成分1)(i)最大で1000g/molの分子量、60℃以下の融点及び101kPaの圧力における少なくとも100℃の沸点を有する水不混和性有機化合物、及び(ii)水不混和性シリコーン化合物の少なくとも1つと;(2)少なくとも70重量%の乳酸繰り返し単位を含有し、及び65℃以下のガラス転移温度を有する非晶質グレードのポリ乳酸樹脂とを含み、前記ポリ乳酸樹脂は、1000~12,000g/molの数平均分子量を有し、及び2~24個の炭素原子及び1~8個のヒドロキシル基を有するヒドロキシル含有開始剤化合物のヒドロキシル基の除去後の残基を含有し、前記ポリ乳酸樹脂は、前記化粧用組成物の総重量の0.1~10%を構成し、及び成分1中に溶解されているか、又は成分1も溶解されている油相中に溶解されている、化粧用組成物。
【請求項2】
前記ポリ乳酸樹脂は、前記ポリ乳酸樹脂の乳酸単位の総重量を基準として20%~80%の一方の乳酸鏡像異性体と、それに対応して80%~20%の他方の乳酸鏡像異性体とを含有する、請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項3】
前記ポリ乳酸樹脂は、メソラクチドの重合体又は少なくとも75%のメソラクチド及び最大で25%の別のラクチドを含有するラクチド混合物の共重合体である、請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項4】
前記ポリ乳酸樹脂は、ラクチド又は乳酸と共重合可能な少なくとも1つの他のモノマーの繰り返し単位を更に含有する、請求項1又は2に記載の化粧用組成物。
【請求項5】
前記ポリ乳酸樹脂は、構造:
【化1】
(式中、yは、1~8であり、xは、前記ポリ乳酸樹脂が1000~12,000g/molの数平均分子量を有するような正の数であり、及びRは、y個のヒドロキシル基を有するヒドロキシル含有開始剤化合物のヒドロキシル基の除去後の前記残基である)
によって表される、請求項1又は2に記載の化粧用組成物。
【請求項6】
前記ポリ乳酸樹脂は、2000~8000g/molの数平均分子量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシル含有開始剤化合物は、6~20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐脂肪族一価アルコールである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項8】
前記ヒドロキシル含有開始剤化合物は、3~9個の炭素原子及び2~4個のヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪族アルコールである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項9】
成分1は、脂肪酸エステル、脂肪アルコール又は有機日焼け止めの1つ又は複数を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項10】
水中油型又は油中水型エマルションである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項11】
5重量%~90重量%の水を含有する、請求項10に記載の化粧用組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの水溶性ポリマーを更に含む、請求項10又は11に記載の化粧用組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの乳化剤を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの粒状顔料を更に含有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項15】
酸化亜鉛及び二酸化チタンの少なくとも1つを更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項16】
3~6個の炭素原子及び最大で125g/molの分子量を有する少なくとも1つの多価アルコールを更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの有機UV吸収剤を含有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項18】
21 CFR §201.357(i)(2011)に記載されている方法に従って測定されて少なくとも5の紫外線防御指数を有する日焼け止めである、請求項1~17のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項19】
21 CFR §201.357(i)(2011)に記載されている方法に従って測定されて少なくとも20の紫外線防御指数を有する日焼け止めである、請求項1~18のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料は、皮膚の外観を変え、保護機能を果たし、及び/又は治癒若しくは他の医療機能を果たすように皮膚に適用される製品である。これらの製品は、水相及び油相を含有するエマルションとして製剤化される場合が多い。水相が連続しており、水相中に不連続な油相が分散している場合、エマルションは、水中油型エマルションと称される。逆に、油相が連続しており、油相中に不連続な水相が分散しているエマルションは、油中水型エマルションとして知られている。
【0003】
化粧料は、「皮膜形成剤」を含有するように製剤化されることが多く、これは、通常、皮膚に適用し、揮発性物質を除去すると、柔軟な密着性を有する皮膜を皮膚上に生成するポリマーである。特に、この皮膜は、有効成分を、その機能を必要としている皮膚表面上又はその付近に保持する母材としての役割を果たすことができる。皮膜形成剤は、化粧崩れしにくくし、及び化粧移りの防止を促進するために使用されることが多い。化粧品用皮膜形成剤として使用するための様々な高分子材料が提案されており、例えば米国特許第6,342,209号及び米国特許第6,726,900号に例示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここで、特定のポリ乳酸樹脂が化粧品の有用な皮膜形成剤となることが見出された。
【0005】
したがって、一態様において、本発明は、(成分1)(i)最大で1000g/molの分子量、60℃以下の融点及び101kPaの圧力における少なくとも100℃の沸点を有する水不混和性有機化合物、及び(ii)水不混和性シリコーンの少なくとも1つと;(成分2)少なくとも70重量%の乳酸繰り返し単位を含有し、及び65℃以下のガラス転移温度を有する非晶質グレードのポリ乳酸樹脂とを含む化粧用組成物であって、ポリ乳酸樹脂は、1000~12,000g/molの数平均分子量を有し、及び2~24個の炭素原子及び1~8個のヒドロキシル基を有するヒドロキシル含有開始剤化合物のヒドロキシル基の除去後の残基を含有し、ポリ乳酸樹脂は、化粧用組成物の総重量の0.1~10%を構成し、及び成分1中に溶解されているか、又は成分1も溶解されている油相中に溶解されている、化粧用組成物である。
【0006】
列挙される特徴を有するポリ乳酸樹脂が化粧品の皮膜形成剤として良好に機能することが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において使用される「ポリ乳酸樹脂」という用語は、その乳酸単位がどのように重合体を形成したかに関わらず、少なくとも70重量%の重合した乳酸繰り返し単位(即ち構造-OC(O)CH(CH)-を有する繰り返し単位)を有するポリマーを指す。乳酸繰り返し単位は、L配置又はD配置であり得る。ポリ乳酸樹脂は、少なくとも75%、少なくとも80%又は少なくとも85重量%の乳酸単位を含有することができる。
【0008】
ポリ乳酸樹脂は、ラクチド又は乳酸と共重合可能な他のモノマー、例えばアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシドなど)、環状ラクトン(カプロラクトンなど)、グリコリド、ヒドロキシ酸、例えば3-ヒドロキシ酪酸及び3-ヒドロキシヘキサン酸又はカーボネート(エチレンカーボネートなど)から誘導された繰り返し単位を更に含有することができる。このような他のモノマーから誘導された繰り返し単位は、ブロック、準ランダム及び/又はランダム配置で存在し得る。このような他の繰り返し単位は、好適には、ポリ乳酸の最大で25重量%、最大で15重量%、最大で10重量%、最大で5重量%又は最大で2重量%を構成するが、存在しなくてもよい。
【0009】
ポリ乳酸樹脂は、1~8個のヒドロキシル基及び2~24個の炭素原子を有する開始剤化合物の残基を含有する。開始剤化合物は、ポリマーの成長を開始させるための重合の過程で乳酸又はラクチドの分子と反応する少なくとも1個のヒドロキシル基を有する分子であり、その残基は、開始剤化合物が反応した後、ポリ乳酸分子に組み込まれる。ヒドロキシル基が除去された後の開始剤の分子量は、好ましくは、最大で400g/molである。
【0010】
有用な開始剤化合物は、特に、好ましくは脂肪族である一価アルコールである。この種の一価アルコールは、直鎖状、分岐状及び/又は環状の飽和又は不飽和であり得、より好ましくは6~20個の炭素原子を含有する。その例として、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-エチル-1-ブタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、n-オクタノール、n-デカノール、2-エチル-1-オクタノール、n-ドデカノール、2-エチル-1-デカノール、n-テトラデカノール、2-エチル-1-ドデカノール、n-ヘキサデカノール、2-エチル-1-テトラデカノール、1-オクタデカノール、2-エチル-1-ヘキサデカノール、上に具体的に述べていない様々なゲルベアルコール、cis-9-オクタデセン-1-オール、1-イコソノール及び1-ドコソノールが挙げられる。少なくとも6個又は少なくとも8個の炭素原子を有し、及び最大で18個の炭素原子を有するものが特に有利であり得る。
【0011】
開始剤として有用なポリヒドロキシ化合物の中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,6-オクタンジオール、10~24個の炭素原子及び最大で400g/molの分子量を有するポリエーテルポリオールなどが挙げられる。幾つかの実施形態において、ポリヒドロキシ化合物は、3~9個の炭素原子及び2~4個のヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪族ポリオールである。
【0012】
幾つかの実施形態において、開始剤は、カルボキシル(-COOH)基もカルボキシレート(-COO)基も含有しない。
【0013】
開始剤残基は、好ましくは、ポリ乳酸樹脂の重量の30%以下、20%以下又は12%以下を構成する。
【0014】
ポリ乳酸樹脂は、非晶質グレードである。本発明の目的に関するポリ乳酸樹脂は、純粋な材料(即ち他の材料が混ざっていない)としてのPLA微結晶を、静止状態(即ち無応力下)で70℃~140℃の範囲の任意の温度において1時間加熱した場合、5J/g以上生成しなければ、非晶質グレードと見なされる。結晶化度の測定は、予め少なくとも220℃に加熱して微結晶を全て融解させた後、急速に室温(23±3℃)まで降温することによって急冷したポリ乳酸樹脂試料を用いて行う。次いで、この急冷した試料を70℃~140℃の範囲の温度に加熱し、1時間等温で保持し、再び室温まで降温することにより急冷する。次いで、結晶化度を、示差走査熱量測定(DSC)法を用いて簡便に測定する。このような結晶化度の大きさは、本明細書では、J/g、即ち試料のポリ乳酸結晶の融解エンタルピー(ジュール単位)を試料のポリ乳酸の重量(グラム単位)で除した値によって表す。DSC測定を行うための簡便な試験手順は、Mettler Toledo DSC 821e熱量計をStar V.6.0ソフトウェアで操作するか、又は均等な装置を用いて、5~10ミリグラムの試料を空気中25℃から225℃まで20℃/分で加熱するものである。
【0015】
ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて直鎖ポリスチレン標準に対して測定したポリ乳酸樹脂の数平均分子量は、1000g/mol~12,000g/molである。好ましい最小数平均分子量の値は、少なくとも2000g/molであり、好ましい最大数平均分子量は、最大で10,000g/mol、最大で8000g/mol又は最大で6000g/molである。
【0016】
純粋な材料としてのポリ乳酸樹脂の、示差走査熱量測定により昇温速度20℃/分で測定したガラス転移温度は、65℃以下、55℃以下、50℃以下又は40℃以下であり得、このガラス転移温度は、転移の傾きの中点を取ったものである。
【0017】
ポリ乳酸樹脂の乳酸単位は、L体若しくはD体のいずれか又はこれらの混合物であり得る。L-及びD-乳酸単位が両方とも存在する場合、これらは、ポリ乳酸樹脂分子内に規則的、ランダム又は準ランダムに分布することができる。
【0018】
幾つかの実施形態において、ポリ乳酸樹脂は、ラクチドを重合することにより生成する。この種のポリ乳酸樹脂は、L-ラクチドの重合体、D-ラクチドの重合体、rac-ラクチドの重合体、メソラクチドの重合体又はこれらの2つ以上の混合物の重合体であり得る。ポリ乳酸樹脂は、75%~100%のメソラクチド及び0%~25%の別のラクチド(L-ラクチド、D-ラクチド及び/又はrac-ラクチド)を含有するモノマー混合物の重合体であり得る。特定の実施形態において、ポリ乳酸樹脂は、乳酸単位の総重量を基準として20%~80%、好ましくは40%~60%の一方の乳酸鏡像異性体(即ちL-又はD-乳酸単位のいずれか)と、それに対応して80%~20%、好ましくは60%~40%の他方の乳酸鏡像異性体とを含有する。
【0019】
代わりに、ポリ乳酸樹脂は、他の方法、例えば乳酸、乳酸塩若しくは乳酸のアルキルエステルの直接重合によるか;乳酸の低重合体を開始剤化合物と反応させるエステル交換法によるか;又は様々な固相重合法により製造することができる。
【0020】
ポリ乳酸樹脂は、特定の実施形態において、構造:
【化1】
(式中、yは、1~8、特に1~6又は1~4であり、及びxは、ポリ乳酸樹脂が上記の分子量を有するような正の数である)
によって表される。Rは、上記のヒドロキシル含有開始剤化合物のヒドロキシル基の除去後の残基である。Rは、好ましくは、2~24個の炭素原子含有し、好ましくはカルボキシル基もカルボキシレート基も有しない。yが1を超える場合、Rは、好ましくは、3~9個の炭素原子を含有する。yが1である場合、Rは、好ましくは、6~20個、6~18個又は8~18個の炭素原子を含有する。
【0021】
ポリ乳酸樹脂は、例えば、化粧用組成物の0.25重量%~10重量%を構成することができる。幾つかの実施形態において、ポリ乳酸樹脂は、化粧用組成物の重量の最大で8%、最大で6%、最大で5%、最大で4%又は最大で3%及びその少なくとも0.5重量%を構成することができる。
【0022】
化粧用組成物は、(成分1)(i)最大で1000g/molの分子量、50℃以下の融点及び101kPaの圧力における少なくとも100℃の沸点を有する水不混和性有機化合物;及び(ii)水不混和性シリコーン化合物の少なくとも1つを含有する。ポリ乳酸樹脂は、成分1中に溶解されているか、又は成分1も溶解されている油相中に溶解されている。
【0023】
成分1の化合物は、化粧用組成物の総重量の少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%又は少なくとも20%を構成することができ、及びその最大で99%、最大で90%、最大で70%、最大で60%又は最大で50%を構成することができる。
【0024】
本明細書では、25℃の水100重量部当たり1重量部以下の範囲で水に溶解する材料を「水不混和性」と見なす。
【0025】
この種の水不混和性有機化合物の例としては、(a)少なくとも190g/mol及び最大で1000g/molの分子量、少なくとも1つのアミド基又はエステル基及び少なくとも8個の炭素原子を含有するアルキル鎖を有する非イオン性有機化合物が挙げられる。水不混和性有機化合物(a)としては、様々な脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及びエステル又は脂肪アルコールのエステルが挙げられ、いずれも天然(例えば、動物性若しくは植物性油)又は合成であり得る。具体例としては、トリヘプタノインなどのトリグリセリド、様々な動物脂肪及び植物油、例えばヤシ油、シヤ脂、オリーブ油、アルガン油、キャノーラ油、パーム油、メドウフォーム種子油及びアボカド油並びにトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル;植物油又は野菜油原料から調製されたモノ又はジアセチル化脂肪酸モノ又はジグリセリド;ジカルボン酸のC3~24(特にC6~24)ジアルキルエステル、例えばコハク酸ジ(オクテニル)、ジ(エチルヘキシル)ナフタネート、フタル酸ジ(エチルヘキシル)、セバシン酸ジイソプロピル及びセバシン酸ジ-n-ブチル;並びにC6~24脂肪酸のC6~24アルキルエステル、例えばパルミチン酸エチルヘキシルが挙げられる。
【0026】
この種の水不混和性有機化合物の他の例としては、(b)C8~50アルカン又は様々な鉱油及びパラフィンなどのこの種のアルカンの混合物(このアルカン又はアルカンの混合物は、23℃で液体又は固体であり得る)、(c)8個以上の炭素原子、例えば8~50又は8~24個の炭素原子を有する脂肪アルコール、(d)(a)~(c)のいずれにも含まれないロウ、例えば天然ロウ、例えばミツロウ、コメヌカロウ、シロヤマモモ果実ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オウリキュリーロウ、サトウキビロウ、ホホバワックス、クチクラ外ワックス、オゾケライトワックス及びココナツワックスに加えて、パラフィンワックス及びマイクロクリスタリンワックスなどの合成ワックスなど、(e)ホモサレート、オクチサレート、オクトクリレン、オクチノキサート、アボベンゾン、メトキシルケイ皮酸オクチル及びサリチル酸エチルヘキシルなどの水不混和性有機UV吸収剤;並びに(f)水不混和性の、C2~7直鎖脂肪族ジカルボン酸のC3~24ジアルキルエステル、例えばアジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-ブチル、コハク酸ジイソプロピル及びコハク酸ジ-n-ブチルが挙げられる。
【0027】
水不混和性シリコーン化合物としては、非イオン性有機シリコーン、例えばヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及び直鎖又は分岐ポリジメチルシロキサン(PDMS)油、例えばヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、ポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)油並びに他の液状シクロメチコンが挙げられる。
【0028】
化粧用組成物は、特に水相が存在する場合、1つ又は複数の界面活性剤(乳化剤又は湿潤剤)を含有し得る。この種の界面活性剤は、例えば、油相及び水相の分離を防ぎ、及び/又は顔料若しくは他の粒状固体が組成物中に分散することができるようにその表面を湿潤させるために存在する。界面活性剤は、成分(1)に可溶であり得、水に可溶であるか若しくは水中自己分散性を有するものであり得るか、又はその両方である。界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性若しくは両イオン性又はこれらのいずれか2つ以上が混合されたものであり得る。有用な界面活性剤の例としては、ソルビタンエステル、例えばソルビタンオレイン酸モノエステル、ステアリン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン及びトリオレイン酸ソルビタン;エトキシル化及びエステル化ソルビタン、例えばポリソルベート20、ポリソルベート60及びポリソルベート80;脂肪酸のエトキシル化物;プロピレンオキシド/エチレンオキシドブロックコポリマー;エトキシル化アミン;エトキシル化脂肪酸アミド、ポロキサマー、グリセロールのモノ及びジ脂肪酸エステル、例えばモノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール及びモノラウリン酸グリセロール;プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどのC~Cポリオールのモノ脂肪酸エステル;アルキルフェノールエトキシル化物;脂肪族(好ましくは直鎖C4~12)ジカルボン酸とアルキレンエーテル又はポリエーテルモノオールとの二塩基酸エステル(この種の二塩基酸エステルの例は、コハク酸ジ(エトキシエチル)である);アルキルポリグルコシド;アミンオキシド;ジアシル化脂肪酸モノグリセリドなどが挙げられる。界面活性剤が存在する場合、これは、化粧用組成物の総重量の1%~40%を構成することができる。好ましい量は、同じ基準で1%~20%又は2%~15%である。
【0029】
幾つかの実施形態において、化粧用組成物は、化粧用組成物中に存在する1つ又は複数の水不混和性化合物に可溶な少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。この種の界面活性剤は、最大で12、好ましくは最大で10の親水性-親油性バランスを有し得る。水相が存在する場合、化粧用組成物は、水に可溶であるか又は水中自己分散性を示し、少なくとも10、好ましくは少なくとも12の親水性-親油性バランスを有する少なくとも1つの追加の非イオン性界面活性剤を含むことができる。本発明の化粧用組成物は、最大で12の親水性-親油性バランスを有し、化粧用組成物中に存在する1つ又は複数の水不混和性化合物に可溶な少なくとも1つの非イオン性界面活性剤及び少なくとも10、好ましくは少なくとも12の親水性-親油性バランスを有し、水に可溶であるか又は水中で自己分散性を有する少なくとも1つの異なる非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0030】
化粧用組成物は、水相を含有し得る。水相は、水及び水中に溶解されている任意選択的な1つ又は複数の水溶性成分を含む。水相が存在する場合、これは、化粧用組成物の総重量の0.5%~95%を構成することができる。特定の実施形態において、水相は、化粧用組成物の総重量の少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%又は少なくとも20%を構成することができ、例えばその最大で80%、最大で60%又は最大で50%を構成することができる。水相の重量には、水に可溶であるか又は水中自己分散性を有する任意の界面活性剤の重量が含まれる。水は、それ自体、化粧用組成物の総重量の例えば5%~80%、5%~60%又は5%~50%を構成することができる。
【0031】
水相が存在する場合、化粧用組成物は、水中油型エマルション又は油中水型エマルションの形態を取ることができる。油相は、上に定義した成分1及びポリ乳酸樹脂を含む。この種のエマルションは、油相及び水相のいずれか又は両方に分散している粒状物質を有することができる。水相又は油相のいずれかは、重量に関して主要部分であり得る。製品の物理的形態は、例えば、低粘度の噴霧可能な液体、クリーム、ローション又はペーストであり得る。
【0032】
水相が存在する場合、これは、1つ又は複数の水溶性成分、例えば1つ又は複数の湿潤剤、1つ又は複数の水溶性ポリマー;1つ又は複数の水混和性溶媒、1つ又は複数のpH調整剤及び1つ又は複数の水溶性日焼け止めなどを含有し得る。これらの水溶性成分は、通常、化粧用組成物中に存在する水に溶解されている。
【0033】
有用な湿潤剤の中でも、アルキレンジオール及びポリアルキレングリコール、特に最大で8個の炭素原子及び最大で130g/molの分子量を有するもの、例えばプロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール及び1,8-オクタンジオールが挙げられる。他の有用な湿潤剤としては、グリセリン、三酢酸グリセリル及び最大で10個の炭素原子を有するα-ヒドロキシ酸、例えば乳酸、グリコール酸、2-ヒドロキシデカン酸、2-ヒドロキシオクタン酸及び最大で10個の炭素原子を有するこれらの低重合体が挙げられる。湿潤剤が存在する場合、これは、化粧用組成物の総重量の1%~40%を構成することができる。好ましい量は、同一基準で2%~30%又は5~25%である。
【0034】
水溶性ポリマーは、増粘剤、分散剤、エモリエント剤の機能を果たし、及び/又は1つ若しくは複数の他の機能を果たすことができる。水溶性ポリマーの例としては、それぞれの場合に最大で7000g/molの重量平均分子量を有するスチレン-無水マレイン酸樹脂又はそのエステル;水溶性セルロースエーテル;グアーガム、マルトデキストリン、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、スチレン-アクリル酸コポリマー;エチレン-アクリル酸コポリマー、ポリアクリル酸、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)及びポリ(ビニルアルコール)、ペクチン、デキストリン、キチン及びカラギーナンが挙げられる。水溶性ポリマーが存在する場合、これは、例えば、化粧用組成物の総重量の0.05%~5%を構成することができ、好ましい量は、同一基準で0.1%~2%である。
【0035】
本発明の化粧用組成物は、1つ又は複数の有機溶媒を含有し得、この溶媒は、水と混和性又は不混和性であり得る。この種の溶媒の例としては、0個又は1個のヒドロキシル基を有し、カルボキシル基もカルボキシレート基も有さず、最大で150g/molの分子量を有する化合物が挙げられる。水不混和性溶媒としては、例えば、最大で6個の炭素原子を有するアルカン、ベンゼン、トルエン及びキシレンが挙げられる。水混和性溶媒としては、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、t-ブチルアルコール、ピリジン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、グリム及びジグリムが挙げられる。これらが存在する場合、化粧用組成物の総重量の最大で50%、好ましくは最大で20%、最大で10%、最大で5%又は最大で2%を構成することができるが、存在しなくてもよい。有機溶媒が存在する場合、これは、多くの場合、1つ若しくは複数の他の成分の担体として機能し、及び/又は化粧用組成物全体又は化粧用組成物の油相若しくは水相の粘度を低下させるように機能する。
【0036】
pH調整剤としては、アルギニンなどのアミノ酸に加えて、様々な有機及び無機酸及び塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
【0037】
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(エンスリゾール)は、水溶性日焼け止めとして有用である。
【0038】
化粧用組成物は、1つ又は複数の顔料を含有し得る。本発明の目的に関する顔料は、100℃を超える溶融又は分解(溶融しない場合)温度を有し、化粧用組成物の残りの成分に溶解しない粒状固体である。顔料は、二酸化チタン、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、カーボンブラック、メタホウ酸バリウム、メタホウ酸カルシウム、クロムイエロー、酸化クロム緑、亜酸化銅、ミロリブルー、モリブデートオレンジ、ウルトラマリンブルー、ジンククロメート、リン酸亜鉛、活性炭、グラファイトなどの無機物質であり得るか、又はトルイジンレッド、ボンマルーン、赤色レーキC、ナフトールレッド、DNAオレンジ、ハンザイエロー、ダイアリライドイエロー、フタロブルー若しくはフタログリーンなどの有機顔料であり得る。特定の顔料は、組成物を適用したときに化粧用組成物中で更なる機能を果たすことができる。例えば、二酸化チタン及び酸化亜鉛は、UV遮蔽剤であり、それ自体が日焼け止め製品に有用である。この種の顔料は、例えば、化粧用組成物の総重量の0.1%~60%を構成することができる。好ましい量は、1%~25%又は1%~15%である。日焼け止め製品は、5%~60重量%の二酸化チタン及び/又は酸化亜鉛を含有し得る。
【0039】
化粧用組成物は、それが製剤化される特定の用途に必要である場合、1つ又は複数の任意選択的な機能性成分を更に含有し得る。これらは、油相又は水相(存在する場合)のいずれか又は両方において製剤化され得る。有用な機能性成分の例として、防腐剤、電解質、香料又は他の芳香物質、香料可溶化剤、金属封鎖剤、エモリエント剤、タンパク質加水分解物及び他のタンパク質誘導体、抗老化又は抗シワ製剤、ニキビ治療剤、皮膚美白剤、薬剤及び噴射剤が挙げられる。場合により、化粧用組成物中で2つ以上の機能を果たす成分もある。
【0040】
具体的なこの種の機能性成分としては、ククルビット[6]ウリル及びバンブス[6]ウリル;サリチル酸、コエンザイムQ10、ベンゾエート-4-メチルベンジリデン、シノキサート、カプリルヒドロキサム酸、ジオキシベンゾン、アントラニル酸メンチル、メギゾリルSX、ドロメトリゾール、オクトクリレン、サリチル酸エチルヘキシル、パディメイトO、p-アミノ安息香酸(PABA)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スリソベンゾン、トロラミンサリチル酸チタン、サリチル酸、レチノイン酸(トレチノインとして知られる全トランス型異性体を含む)、過酸化ベンゾイル、ヒドロキノン、アルブチン(それを含有する植物エキスを含む)、コウジ酸、アゼライン酸、グリチルレチック酸、レブリン酸、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸、ベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホン酸ナトリウム、2-シアン-3,3-ジフェニルアクリル酸エチル、2-t-ブチル-6-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2-H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェノール、ベンゾフェノン-12、ボルネロン又は2-ベンゾトリアゾリル-4-tert-オクチルフェノール、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース、ジヒドロキシアセトン-オルト酢酸エチル、カンタキサンチン、アファメラノチド、ミノキシジル、デュタステリド又はケトコナゾールなどの5-α-レダクターゼ阻害剤、亜鉛ピリチオン、硫化セレン、クロトリマゾール、ティーツリー油又はピロクトンオラミン、アンフェタミン、抗ヒスタミン薬、メチルフェニデート、オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロルゾリン、シロシビン、ティーツリー油、ピロクトンオラミン、クロルヘキシジン、オクテニジン、トリクロサン、3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(Dibromol)、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸エタノールアミン、チオグリコール酸グリセリル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸イソプロピル、チオグリコール酸マグネシウム、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸カリウム、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックスグリシン、アルミニウムクロロハイドレート、塩化アルミニウム、レゾルシン(「レゾルシン」)、1-ナプトール、p-アミノフェノール、p-フェニレンジアミン(及びその塩)、4-アミノ-2-ヒドロキシトルエン、フェノキシエタノール、N,N-ジエチル-m-トルアミド、p-メタン-3,8-ジオール(レモンユーカリの精油中の活性剤)、ネペタラクトン(イヌハッカ油)、シトロネラ油、ペルメトリン、ニーム油又はセイヨウヤチヤナギ抽出物が挙げられる。
【0041】
有用な芳香物質の例としては、ベリー類、オールスパイス、ビャクシン類、種子、アーモンド、アニス、セロリ、クミン、ナツメグ油、樹皮、カシア、シナモン、サッサフラス、木、ショウノウ、ヒマラヤスギ、ローズウッド、サンダルウッド、沈香、根茎、ガランガル、生姜、葉、バジル、ローリエ、シナモン、セージ、ユーカリ、レモングラス、メラレウカ、オレガノ、パチョリ、セイヨウハッカ、マツ、ローズマリー、オランダハッカ、ティーツリー、タイム、ヒメコウジ、樹脂、乳香、ミルラ、花、大麻、カモミール、クラリセージ、チョウジ、センテッドゼラニウム、ホップ、ヒソップ、ジャスミン、ラベンダー、ギョリュウバイ、マジョラム、バラ、ローズマリー、バジル、レモングラス、イランイラン、果皮、ベルガモット、グレープフルーツ、レモン、ライム、オレンジ、タンジェリン、根、バレリアン及びマンゴーから誘導された精油が挙げられる。
【0042】
他の芳香物質の例としては、フラネオール、1-ヘキサノール、cis-3-ヘキサン-l-オール、メントール、ヘキサナール、cis-3-ヘキセナール、フルフラール、フラクトン、酢酸ヘキシル、エチルメチルフェニルグリシデート、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、ブタン酸メチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ブタン酸エチル、酢酸イソアミル、酪酸ペンチル、ブタン酸ペンチル、ペンタン酸ペンチル、ベンゾイン、黒コショウ、カヤプテ油、キャラウェー、キャロットシード、コリアンダー、イトスギ、イノンド、ウイキョウ、ヘリチルサム、ラバンディン、レモンベレナ、タイマツバナ、ニアウリ、パルマローザ、プチグレン、マンジュギク、ベチベルソウ、ジヒドロジャスモン、オクト-1-エン-3-オン、2-アセチル-1-ピロリン、6-アセチル-2,3,4,5-テトラヒドロピリジン、γ-デカラクトン、γ-ノナラクトン、δ-オクタラクトン、マソイアラクトン、ソトロン、エタンチオール、グレープフルーツメルカプタン、メタンチオール、2-メチル-2-プロパンチオール、ミルセン、ゲラニオール、ネロール、シトラール、レモナール、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、シトロネロール、リナロール、ネロリドール、リモネン、ショウノウ、テルピネオール、イオノン、チュジョン、ベンズアルデヒド、オイゲノール、シンナムアルデヒド、エチルマルトール、アニソール、アネトール、エストラゴール、チモール、チエチルアミン、トリメチルアミン、カダベリン、ピリジン、インドール、スカトール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、リナロール、酢酸リナリル、テトラヒドロリナロール、シトロネロール、酢酸シトロネリル、ジヒドロミルセノール、酢酸ジヒドロミルセニル、テトラヒドロミルセノール、テルピネオール、酢酸テルピニル、ノポール、酢酸ノピル、2-フェニルエタノール、酢酸2-フェニルエチル、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、酢酸スチラリル、サリチル酸アミル、ジメチルベンジルカルビノール、酢酸トリクロロメチルフェニルカルビニル、酢酸p-tert-ブチル-シクロヘキシル、酢酸イソノニル、酢酸ベチベリル、ベチベロール、アルファ-n-アミルシナミックアルデヒド、アルファ-ヘキシルシナミックアルデヒド、2-メチル-3-(p-tert-ブチルフェニル)-プロパノロール、2-メチル-3-(p-イソプロピルフェニル)-プロパナール、3-(tert-ブチルフェニル)-プロパナール、酢酸トリシクロデセニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロペンチルカルバルデヒド、4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロペンチルカルバルデヒド、4-アセトキシ-3-ペンチレテトラヒドロピラン、メチルジヒドロジャスモネート、2-n-ヘプチルシクロペンタノン、3-メチル-2-ペンチルシクロペンタノン、n-デカナール、9-デセノール-1、イソ酪酸フェノキシエチル、フェニルアセトアルデヒド、ジエチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ゲラノニトリル、シトロネロニトリル、酢酸セドリル、3-イソカムフィシクロヘキサノール、セドリルメチルエーテル、イソロンギホラノン、オーベピンニトリル、オーベピン、ヘリオトロピン、クマリン、オイゲノール、バニリン、ジフェニルオキシド、ヒドロキシシトロネラール、イオノン、メチルイオノン、イソメチルイオニオンズ、イロン、シス-3-ヘキセノール及びそのエステル、インダンムスク、テトラリンムスク、イソクロマンムスク、大環状ケトン、マクロラクトンムスク、エチレンブラシレート、芳香族ニトロムスク、ベルガモット油、コリアンダー油、ジメチルヘプタノール、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸ゲラニル、酢酸シトロネリル、合成ローズ、ゼラニウム・ブルボン、ヘディオン、イソオイゲノール、メチルオイゲノール、酢酸スチラリル、ステモン、ローズオキシド、アルデヒドC-11ウンデシクリック、2,6-ジメチル-2-アルコキシオクタン-7-オール誘導体、ベーチベート油、ベチベロール、ベチベリル、アセテート、クアイアックウッドオイル、エステルスオール-アントラニル酸、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、オークモス、オイゲノール、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル及びクマリンが挙げられる。
【0043】
本発明の化粧用組成物は、例えば、日焼け止め、ファンデーション、コンシーラー、口紅、リップグロス、リップバーム、マスカラ、アイライナー、頬紅、ブロンザー、ボディローション、下地、ハイライト、ヘアスプレー、抗シワクリーム若しくはローション又は白粉として製剤化され得る。この種の化粧用組成物は、意図される用途に応じて、固体(細長い棒)、棒状体、粉末など)、液体、ペースト、クリーム又は軟膏の物理的形態を取ることができる。油相及び水相(存在する場合)は、それぞれ23℃で液体又は固体であり得るが、少なくとも1つの相(より好ましくは両方)が同じ温度で液体又はペーストであることが好ましい。水相及び油相のいずれか一方又は両方は、顔料などの固体材料の粒子を含有し得、この固体材料は、各相に不溶である。
【0044】
化粧用組成物は、好都合には、ポリ乳酸樹脂を1つ又は複数の水不混和性化合物に溶解して油相を生成することにより製造される。これは、好都合には、材料を溶融又は軟化させ、それにより混合及び溶解が容易になるように例えば40℃~100℃の温度で実施される。1つ又は複数の界面活性剤は、油相に組み込むことができる。次いで、油相を1つ又は複数の追加の混合ステップで残りの成分(存在する場合)と合わせる。これらの混合ステップは、都合に応じて、例えば10℃~100℃の温度で実施することができる。
【0045】
ポリ乳酸樹脂は、そのままでは若干の粘性を示す傾向があるため、一般には、他の材料と混合しやすくなるように90℃以上に加熱すると好都合である。そのような温度は、化粧品製造に不都合な高さである場合もあり、一般には、温度を80℃以下に制限することが好ましい。こうした理由から、ポリ乳酸樹脂を、1つ又は複数の他の成分、特に成分1の材料及び/又は成分1の材料に可溶な界面活性剤との予備混合物の形態で提供することが好都合な場合もある。この種の予備混合物は、1つ又は複数の溶媒及び/又は湿潤剤(前述したもの)を更に含有し得るが、好ましくは5重量%以下又は2重量%以下の水(存在する場合)を含有する。次いで、この予備混合物を化粧処方の他の成分、特に水相と合わせることにより、化粧料を作製することができる。
【0046】
予備混合物は、ポリ乳酸樹脂を加熱して軟化させ、加熱軟化したポリ乳酸樹脂を他の予備混合物の成分と混合することにより調製することができる。その温度は、一部又は全部が均質な混合物を形成するのに十分に高く、70~100℃が好適である。この予備混合物を冷却すると、通常、ロウ状又は油状の固体又は半固体となる。室温まで冷却すると、ある程度の相分離が起こる可能性がある。この種の予備混合物を調製することの利点は、予備混合物の粘度がポリ乳酸樹脂自体の粘度よりも低いことから、ポリ乳酸を化粧製剤の他の成分と直接混合する場合よりも幾分低い温度で化粧製剤のこれらの他の成分との混合を容易に行えることである。こうすることにより、化粧料を製剤化する際により低い温度を用いながら、依然として良好な均一性の高い製品を得ることができる。したがって、予備混合物を利用することにより、より低い温度で化粧料を製剤化することが可能となり、その結果、特に熱の影響を受ける可能性のある天然成分を使用する場合、変色が抑えられ、好ましくない臭いの発生が減り、製品の安定性が高くなるなどの更なる利点を得ることができる。
【0047】
この種の予備混合物は、例えば、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%又は少なくとも10重量%及び最大で50重量%、最大で40重量%又は最大で30重量%のポリ乳酸樹脂を含有し得る。
【0048】
幾つかの実施形態において、この種の予備混合物は、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどのC~Cポリオールの少なくとも1つのモノ脂肪酸エステルを含む。この種のモノ脂肪酸エステルの脂肪酸基は、例えば、6~24個又は8~18個の炭素原子を含有し得、飽和又は不飽和であり得る。脂肪酸基の具体例としては、ステアレート基、オレエート基及びラウレート基が挙げられる。モノ脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール及びモノラウリン酸グリセロールが有用である。この種のモノ脂肪酸エステルが存在する場合、これは、予備混合物の総重量の例えば少なくとも25%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%を構成し得、及びその総重量の例えば80%程度又は75%程度を構成し得る。
【0049】
幾つかの実施形態において、この種の予備混合物は、上記の成分1の材料を含む。この種の成分1の材料は、存在する場合、例えば予備混合物の総重量の少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%又は少なくとも10%を構成し、及びその最大で60%又は最大で50%を構成する。
【0050】
幾つかの実施形態において、この種の予備混合物は、上記の湿潤剤又は溶媒を含有する。この種の溶媒又は湿潤剤が存在する場合、これは、例えば、予備混合物の総重量の少なくとも1%、少なくとも5%又は少なくとも10%を構成することができ、及びその最大で50%又はその最大で33%を構成することができる。
【0051】
特定の実施形態において、この種の予備混合物は、(1)1~50重量%のポリ乳酸樹脂と、(2)25~75重量%の、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどのC~Cポリオールの少なくとも1つのモノ脂肪酸エステル並びに少なくとも1つの成分1の材料、好ましくは少なくとも1つのトリグリセリド及び/又は脂肪族(好ましくは最大で12個の炭素原子を有する直鎖脂肪族)ジカルボン酸の少なくとも1つのC3~24ジアルキルエステル(及び特に少なくとも1つの植物油又は動物脂肪)と、(3)1~50重量%の、少なくとも1つの成分1の材料、特に植物油又は動物脂肪とを含有し、(1)、(2)及び(3)は、全体で予備混合物の総重量の少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%及び最大で100%を構成する。この種の予備混合物は、例えば、最大で20重量%、最大で10重量%又は最大で5重量%の、(2)と異なる界面活性剤を含有し得る。
【0052】
他の特定の実施形態において、この種の予備混合物は、(1)1~50重量%のポリ乳酸樹脂と、(2)5~50%の少なくとも1つの溶媒又は湿潤剤と、(3)1~50重量%の、少なくとも1つの成分1の材料、好ましくは少なくとも1つのトリグリセリド及び/又は少なくとも1つの脂肪族(好ましくは最大で12個の炭素原子を有する直鎖脂肪族)ジカルボン酸のC3~24ジアルキルエステル(及び特に少なくとも1つの植物油又は動物脂肪)とを含有し、(1)、(2)及び(3)は、全体で予備混合物の総重量の少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%及び最大で100%を構成する。この種の予備混合物は、例えば、最大で20重量%、最大で10重量%又は最大で5重量%の界面活性剤を含有し得る。
【0053】
他の特定の実施形態において、この種の予備混合物は、(1)1~50重量%のポリ乳酸樹脂と、(2)25~75重量%の、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどのC~Cポリオールの少なくとも1つのモノ脂肪酸エステルと、(3)5~50重量%の少なくとも1つの溶媒又は湿潤剤とを含有し、(1)、(2)及び(3)は、全体で予備混合物の少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%及び最大で100%を構成する。この種の予備混合物は、例えば、最大で20重量%、最大で10重量%又は最大で5重量%の、(2)と異なる界面活性剤を含有し得る。
【0054】
更なる他の特定の実施形態において、この種の予備混合物は、(1)1~50重量%のポリ乳酸樹脂と、(2)25~75重量%の、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどのC~Cポリオールの少なくとも1つのモノ脂肪酸エステルと、(3)1~60重量%の、少なくとも1つの成分1の材料、好ましくは少なくともトリグリセリド及び/又は少なくとも1つの脂肪族(好ましくは最大で12個の炭素原子を有する直鎖脂肪族)ジカルボン酸のC3~24ジアルキルエステル(及び特に少なくとも1つの植物油又は動物脂肪)と、(4)1~50重量%の少なくとも1つの溶媒又は湿潤剤とを含有し、(1)、(2)及び(3)は、全体で予備混合物の総重量の少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%及び最大で100%を構成する。この種の予備混合物は、例えば、最大で20重量%、最大で10重量%又は最大で5重量%の、(2)と異なる界面活性剤を含有し得る。
【0055】
本発明の代表的な日焼け止め製剤は、以下の成分を含む混合物であり得る。追加の成分が存在し得る。
【0056】
【表1】
【0057】
この種の日焼け止めは、水相成分(水、水溶性成分)を混合し;それとは別に、油相の成分(油溶性UV吸収剤、水不混和性溶媒、ポリ乳酸樹脂)を界面活性剤と混合し、酸化亜鉛を水相又は油相のいずれかと混ぜ合わせ、次いで油相及び水相を混合することにより作製することができる。生成物は、酸化亜鉛粒子が懸濁している水中油型エマルションである。
【0058】
本発明の代表的なファンデーション製剤は、以下の成分の混合物であり得る。追加の成分が存在し得る。
【0059】
【表2】
【0060】
本発明の代表的な口紅製剤は、以下の成分の混合物であり得る。追加の成分が存在し得る。
【0061】
【表3】
【0062】
本発明の化粧料は、同じ目的で製剤化された従来の化粧料と同じ一般的な方法で使用することができる。これらは、その意図された使用に適した方法で適用することができる。
【0063】
以下の実施例は、本発明を説明するが、これらは、決して限定することを意図していない。別段の指定がない限り、部及び百分率は、全て重量による。
【実施例
【0064】
実施例1及び2並びに比較試料A
有機及び無機UV吸収剤を含有する水中油型日焼け止め(比較試料A並びに実施例1及び2)を以下に示すように調製した:
1,3-プロパンジオール10重量部、キサンタンガム0.2部、グアーガム0.2部、エンスリゾール2部、L-アルギニン0.5部、フェニルプロパノロール/カプリリルグリコール/1,3-プロパンジオール混合物(Sensiva PA 40、Fairfield, NJ USAのSchulke, Inc.から)1部及び(比較試料Aのみ)マルトデキストリン(水溶性皮膜形成剤)2部を混合して、粘性を有する均質な混合物を形成することにより、水分散性予備混合物を調製する。次いで、予備混合物を70℃に加熱し、水49.1部に加えて均質化することにより水相を作製する。
【0065】
それとは別に、油/界面活性剤予備混合物を、ホモサレート7.5部、オクチサレート2.5部、オクトクリレン5部、ジ(エチルヘキシル)ナフタネート5部、アニオン性界面活性剤(Dracorin GOC、Symrise AGから)2部、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート3部及び被験用皮膜形成剤(実施例1及び2のみ)2部を70℃で混合することにより調製する。酸化亜鉛20部を油/界面活性剤予備混合物と混合し、得られた分散液を上記の水相と合わせて均質化することにより、白色の日焼け止め製剤を作製する。
【0066】
実施例1の皮膜形成剤は、メソラクチド約90%及びL-ラクチド10%の混合物をペンタエリスリトールと重合させることにより作製した、Mが2296g/molのポリマー(「PLA-l」)である。PLA-1は、26℃のガラス転移温度を有し、約94%の乳酸単位を含有する。乳酸単位の約55%は、L-乳酸単位である。
【0067】
実施例2の皮膜形成剤は、メソラクチド約90%及びL-ラクチド10%の混合物を1-オクタデカノールと重合させることにより作製した、Mが3614g/molのポリマー(「PLA-2」)である。PLA-2は、14℃のガラス転移温度を有し、約93%の乳酸単位を含有する。乳酸単位の約55%は、L-乳酸単位である(PLA1及びPLA2の他の物性データについては、表2を参照されたい)。
【0068】
日焼け止めを、それぞれ21 CFR §201.357(i)(2011)に説明されている方法に従ってSPF(紫外線防御指数)試験に付す。被験用日焼け止め0.05グラムをポリメタクリル酸メチルプレートに塗布する。これを、円を描く動作を30秒間、縦方向の動作を15秒間、次いで横方向の動作を15秒間行うことにより広げる。塗布されたプレートを、SPF試験を行う前に15分間暗い引き出し内に入れておく。
【0069】
最初のSPF試験後、塗布されたプレートを、30℃の撹拌された水浴に20分間入れる。次いで、プレートを取り出し、自然乾燥させる。次いで、乾燥したプレートを再びSPF試験に付す。SPF試験の結果を表1に示す。
【0070】
【表4】
【0071】
洗浄前の実施例1及び2は、比較試料に同等以上の性能を示す。SPF試験における性能が良好であることは、日焼け止めを塗布した際に皮膜が形成されたことを示唆しており、皮膜が十分に形成されなかった場合、それよりもはるかに劣る結果となる。洗浄後の実施例1及び2は、比較試料よりもはるかに良好な性能を示す。耐洗浄性がより高いことも、やはり良好な皮膜が形成されたことを示唆している。
【0072】
実施例3~9
水中油型日焼け止め実施例3~9を以下の一般的な方法により作製する。水分散性予備混合物を、1,3-プロパンジオール20部、キサンタンガム/グアーガム混合物0.5部、エンスリゾール2部、L-アルギニン0.5部、Sensive PA 40 1.0部及びマルトデキストリン2部を混合することにより作製する。得られた混合物を80℃の水47部と合わせて80℃に維持する。これにより、水相が得られる。
【0073】
油/界面活性剤/酸化亜鉛相を、(カプリル/カプリン酸)トリグリセリル担体に酸化亜鉛を分散させた50%分散液10部、ホモサレート7.5部、オクチサレート2.5部、オクトクリレン5部、パルミチン酸エチルヘキシル5部、オレイン酸ソルビタン2部、ポリ(プロピレングリコール)60ソルビタンモノラウレート3部及び皮膜形成剤2部を75℃で混合することにより作製する。皮膜形成剤は、それぞれメソラクチド約90%及びL-ラクチド10%の混合物を、表2に記載する開始剤と重合させることにより作製されたポリ乳酸樹脂である。次いで、75℃の油/界面活性剤/酸化亜鉛相を80℃の水相に加えて均質化することにより、日焼け止めを作製する。
【0074】
【表5】
【0075】
各日焼け止め実施例3~9のブルックフィールド粘度を、23℃において、#27スピンドルを用いるVarispeed法により測定する。それぞれのSPFを上記のように測定する。結果を表3に示す。
【0076】
【表6】
【0077】
表3のSPFデータから、ポリ乳酸樹脂の開始剤の長さとSPF値との間に相関があることが分かる。概して、開始剤の鎖長が長いほど、SPF値が高くなる。PLAの分子量は、粘度に影響するが、SPF値にはほとんど影響しない。
【0078】
実施例10及び11
ファンデーション実施例10及び11を以下の一般的な方法により作製する。1,3-プロパンジオール40部、スチレン無水マレイン酸コポリマー(MSA 1800、Cray Valleyから)2部、エンスリゾール6部、二酸化チタン粒子16部及びSensive PA 40 2部を混合する。それとは別に、キサンタンガム0.4部、加工コーンスターチ(ICB 3000、Tate and Lyleから)6部及びオクテニルコハク酸デンプンNa/ククリブツリルス混合物(Aqstar Ml、Cambridge, UK)のAqdot Company)3部を混合する。次いで、この2つの混合物を合一して均質化する。均質化した材料に赤色酸化鉄1.4部、黄色酸化鉄4.2部及び黒色酸化鉄0.4部の混合物(Making Cosmetic Colorより入手可能)を加えた後、更に均質化する。次いで、得られた混合物を80℃の水71.6部と混ぜ合わせる。その結果、水相中に顔料が分散した分散液が得られる。
【0079】
それとは別に、大豆原料から調製されたジアセチル化モノグリセリド30部、セチルアルコール2.5部、オクテニルコハク酸デンプンNa/ククリブツリルス混合物1.5部、クエン酸オレイン酸グリセリル及び(カプリル/カプリン酸)トリグリセリルの混合物4部、フュームドシリカ1部及びポリ乳酸樹脂4部を75℃で混合することにより、油/界面活性剤相を作製する。次いで、75℃の油/界面活性剤相を80℃の水性顔料分散液と混ぜ合わせて均質化することにより、ファンデーションを作製する。
【0080】
実施例10及び11のポリ乳酸樹脂は、それぞれPLA-1及びPLA-2である。
【0081】
実施例10及び11の洗浄前後のSPF評点を上記のように評価する。結果を表4に示す。
【0082】
【表7】
【0083】
いずれのPLA皮膜形成剤もファンデーション製剤に良好な耐洗浄性を付与する。
【0084】
実施例12~18及び比較試料B
ファンデーション組成物(実施例12~18)を以下の一般的な方法により作製する。予備混合物を、1,3-プロパンジオール20部、SMA/MAコポリマー1部、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸0.7部、グアーガム0.3部及びマルトデキストリン2部を混合することにより作製する。それとは別に、赤色酸化鉄0.3部、黄色酸化鉄1部、黒色酸化鉄0.1部及び二酸化チタン8部を含有する顔料混合物を形成する。顔料混合物及び予備混合物を均一になるまで混合した後、85℃の水42.5部と混合する。これにより、顔料が分散している水相が生成する。
【0085】
油/界面活性剤相を、コハク酸ジヘプチル/(カプリロイルグリセリン/セバシン酸)コポリマー混合物(LexfeelN50、Inolex, Inc.)5部、セチルアルコール2部、オクテニルコハク酸デンプンNa/ククリブツリルス混合物(Aqstar Ml、Cambridge, UK)のAqdot Company)1部、トリヘプタノイン/C13~16パラフィン混合物(Lexfeel、Inolexから)10部、オレイン酸ソルビタン2.0部、ポリエチレングリコール60モノラウリン酸ソルビタン2.0部、フュームドシリカ0.1部及び皮膜形成剤(皮膜形成剤を含まない比較試料Bを除く)2部を混合することにより作製する。それぞれ、皮膜形成剤は、表5に示すポリ乳酸樹脂である。次いで、85℃の水相を75℃の油/界面活性剤相と混合して均質化することにより、日焼け止めを作製する。
【0086】
各試料の粘度及びSPF評点を上記の方法で測定する。耐移り性の測定を、ヒト被験者の前腕の2cm×2cmの正方形に区切った部分に、予め計量したファンデーション試料を、スポンジチップの付いた塗布具を用いて塗布し、1分間乾燥させることにより行う。塗布具を再計量して、皮膚に塗布された量を算出する。次いで、計量しておいた3cm×3cmのティッシュペーパーを、塗布されたファンデーションの上に貼り付け、3cm引き摺る。次いで、ティッシュペーパーを再計量し、除去されたファンデーションの量を評価する。次いで、移行した量を100%×(除去された量÷塗布された量)として算出する。
【0087】
試験結果を表5に示す。
【0088】
【表8】
【0089】
ポリ乳酸樹脂の全ては、特に対照(比較試料B)と比較して耐移り性に優れていることから示されるように、有効な皮膜形成剤であることが分かる。比較用として試験した、皮膜形成剤を含まないことを除いて同一であるファンデーション製剤から移行した質量は、43.1%である。
【0090】
実施例19~20及び比較試料C
油中水型サンスクリーン製剤を以下のように調製する:プロパンジオール10部、カプリルヒドロキサム酸1部、乳酸亜鉛0.5部及びL-アルギニン0.2部を室温で水49.3部と混合することにより水相を形成する。それとは別に、油/界面活性剤/酸化亜鉛相を、C15~C19アルカン混合物(Emogreen L15、Seppic S.A.)19部、Dracorin GOC 1部及び水添トリリノール酸トリ(ポリグリセリル-3/ラウリル)1部を混合することにより調製する。この混合物に酸化亜鉛15部を加え、均質になるまで分散させる。油/界面活性剤/酸化亜鉛相を75℃に加温し、皮膜形成剤(表6に示す)3部を加え、均一になるまで混合する。水相を油相と75℃で合わせ、均質化して白色のローションが生成するまで混合する。洗浄前後の両方の粘度及びSPFを上記のように測定する。結果を表6に示す。
【0091】
【表9】
【0092】
実施例19及び20のSPF評点が比較試料Cと比較して高いことが分かり、これは、この製剤中のPLA樹脂が有用な皮膜形成剤であることを示している。
【0093】
実施例21~22
無機日焼け止め物質のみを含有する水中油型サンスクリーン製剤を以下のように調製する:キサンタンガム0.3部、プロパンジオール10部、カプリルヒドロキサム酸/カプリル酸グリセリル混合物1部、L-アルギニン0.5部及び水添コーンスターチヒドロキシエチルエーテル1部を水43.2部と均質になるまで混合することにより水相を形成する。水相を75℃に加熱する。油/界面活性剤/酸化亜鉛相を、イソパラフィン混合物(Lexfeel WOW)20部、酸化亜鉛15部、表7に示す皮膜形成剤3部、Dracorin GOC 1部、ベヘノイルラクチレートNa 3部を75℃で合一して均質になるまで混合することにより調製する。これらの相を混合して均質化する。粘度及びSPF(洗浄前後)を上記のように測定する。結果を表7に示す。
【0094】
【表10】
【0095】
実施例23及び24
口紅製剤を以下のように作製する:ヒマシ油30.8部、(カプリル/カプリン酸)トリグリセリル16部、イソエイコサン17部、メドウフォーム種子油5部、マイクロクリスタリンワックス3.5部、オゾケライトワックス3.5部、キャンデリラロウ7部、カルナウバロウ3部及び表8に示す皮膜形成剤1部を80~95℃で混合することにより、溶融ワックス相を形成する。それとは別に、Red No. 7 D&C Lake 1部及び雲母11部を混合した後、溶融ワックス相に混ぜ込む。トコフェロール0.2部及びパラベン-DU(プロピレングリコール56%、プロピルパラベン3%、メチルパラベン11%及びジアゾリジニル尿素30%の混合物)1部を混合した後、溶融ワックスと混合する。得られた口紅製剤を口紅成形型に流し込み、冷凍庫で固化させる。
【0096】
口紅の耐移り性を上記の方法で試験する。硬度及び針入荷重値をASTM D1321-10に従って測定する。結果を表8に示す。
【0097】
【表11】
【0098】
実施例24~33及び比較試料A
比較試料A:ヤシ油20部及びPLA-1 3部を別々に90℃に加熱してから、手作業で混ぜ合わせる。得られた混合物は、この温度では外観上均質である。同じ実験を80℃で繰り返すと、混合物は、部分的にのみ均質になり、この混合物を70℃で作製すると、完全に不均質となる。ヤシ油及びPLA-1を3:1の比で80℃において混合すると、得られる混合物は、完全に不均質となる。
【0099】
実施例24:モノステアリン酸グリセロール及びヤシ油を68/32の重量比で混合する。この混合物20グラム及びPLA-1 3部を別々に70℃に加熱してから混合すると、完全に均質な混合物が得られる。混合比を3:1にしても同様の結果が得られる。冷却すると、混合物は、部分的に相分離するが、70℃で水相と容易に混ざり合い、化粧製剤が得られる。
【0100】
実施例25:モノオレイン酸グリセロール及びヤシ油を84/16の比で混合する。この混合物20グラム及びPLA-1 3部を別々に70℃に加熱してから混合すると、部分的に不均質な混合物が得られ、80℃では、完全に均質な混合物が得られる。混合比を3:1とすると、70℃及び80℃のいずれの混合温度でも部分的に不均質な混合物が得られる。冷却すると、混合物は、部分的に相分離するが、70℃~80℃で水相と容易に混ざり合い、化粧製剤が得られる。
【0101】
実施例26:モノオレイン酸グリセロール及びモノラウリン酸グリセロールを63/37の比で混合する。この混合物20グラム及びPLA-1 3部を別々に70℃に加熱してから混合すると、部分的に不均質な混合物が得られ、80℃では、完全に均質な混合物が得られる。混合比を3:1とすると、70℃及び80℃のいずれの混合温度でも完全に均質な混合物が得られる。冷却すると、混合物は、部分的に相分離するが、70℃~80℃で水相と容易に混ざり合い、化粧製剤が得られる。
【0102】
実施例27:モノオレイン酸プロピレングリコール及びヤシ油を99/1の比で混合する。この混合物20グラム及びPLA-1 3部を別々に80℃に加熱してから混合すると、完全に均質な混合物が得られる。冷却すると、混合物は、部分的に相分離するが、80℃で水相と容易に混ざり合い、化粧製剤が得られる。
【0103】
実施例28:モノステアリン酸グリセロール及びヤシ油を63/37の比で混合する。この混合物20グラム及びPLA-1 3部を別々に80℃に加熱してから混合すると、部分的に不均質な混合物が得られる。冷却すると、混合物は、部分的に相分離するが、70℃~80℃で水相と容易に混ざり合い、化粧製剤が得られる。
【0104】
実施例29:モノオレイン酸プロピレングリコール及びヤシ油を55/45の比で混合する。この混合物20グラム及びPLA-1 3部を別々に80℃に加熱してから混合すると、部分的に不均質な混合物が得られる。冷却すると、混合物は、部分的に相分離するが、80℃で水相と容易に混ざり合い、化粧製剤が得られる。
【0105】
実施例30:モノステアリン酸グリセロール及びヤシ油を68/32の比で混合する。この混合物20グラム及びPLA-4 3部を別々に80℃に加熱してから混合すると、部分的に不均質な混合物が得られる。混合比を3:1とすると、70℃及び80℃のいずれでも部分的に不均質な混合物が得られる。冷却すると、混合物は、部分的に相分離するが、70℃~80℃で水相と容易に混ざり合い、化粧製剤が得られる。
【0106】
実施例31:モノオレイン酸グリセロール及びヤシ油を84/16の比で混合する。この混合物20グラム及びPLA-4 3部を別々に70℃に加熱してから混合すると、部分的に不均質な混合物が得られ、80℃では、混合物は、完全に均質になる。冷却すると、混合物は、部分的に相分離するが、70℃~80℃で水相と容易に混ざり合い、化粧製剤が得られる。
【0107】
実施例32:モノオレイン酸グリセロール及びモノラウリン酸グリセロールを63/37の比で混合する。この混合物20グラム及びPLA-4 3部を別々に80℃に加熱してから混合すると、部分的に不均質な混合物が得られる。混合比を3:1のとしても同様の結果が得られる。冷却すると、混合物は、部分的に相分離するが、80℃で水相と容易に混ざり合い、化粧製剤が得られる。
【0108】
実施例33:モノオレイン酸プロピレングリコール及びヤシ油を99/1の比で混合する。この混合物20グラム及びPLA-4 3部を別々に80℃に加熱してから混合すると、完全に均質な混合物が得られる。冷却すると、混合物は、部分的に相分離するが、80℃で水相と容易に混ざり合い、化粧製剤が得られる。
【0109】
実施例34及び35
実施例34:ヤシ油6.0部、モノステアリン酸グリセロール10.2部及びPLA-4 5.4部を混合して80℃で1時間加熱し、室温に冷却することにより予備混合物を形成する。
【0110】
それとは別に、水44.55部、キサンタンガム0.55部及び1,3-プロパンジオール9.9部を混合することにより水相を調製する。
【0111】
予備混合物を80℃に加熱し、これをヤシ油18部、クエン酸オレイン酸グリセリル1.8部及びステアレス-21界面活性剤3.6部と合わせて油相を生成することによりローションを調製する。それとは別に、水相を同じ温度に加熱する。約400rpmの穏やかな撹拌条件下で油相をゆっくりと水相に注ぎ込む。相を合一した後、撹拌速度を1000rpmに上昇させ、5分間継続する。得られた生成物は、均質なローションであり、相分離しにくい。
【0112】
PLA-4をPLA-1に替えたことを除いて、実施例35を同様に作製する。同様の結果が得られる。
【国際調査報告】