(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】複数の安全限界を備えた高出力アテレクトミー
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20230406BHJP
【FI】
A61B17/3207
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549614
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-08-30
(86)【国際出願番号】 US2021017939
(87)【国際公開番号】W WO2021167848
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】サテルバク、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】カールソン、コリドン
(72)【発明者】
【氏名】ビチェク、アンドリュー デイビッド
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE21
4C160MM36
(57)【要約】
アテレクトミーシステムは、アテレクトミーバーを回転駆動するように構成される電気駆動機構と、電気駆動機構の動作を制御するように構成されるコントローラとを含む。コントローラは、アテレクトミーバーに投入できる電力量を制限する電力入力制限値、およびアテレクトミーバーに投入できるエネルギー量を制限するエネルギー入力制限値に従って、電気駆動機構の動作を制御する。コントローラはまた、動的トルク制限値に従って電気駆動機構の動作を制御し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アテレクトミーシステムは、
アテレクトミーバーを回転駆動する電気駆動機構と、
前記電気駆動機構の動作を制御するように構成されたコントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記アテレクトミーバーに投入することができる電力量を制限する電力入力制限値、および前記アテレクトミーバーに投入することができるエネルギー量を制限するエネルギー入力制限値に従って、前記電気駆動機構の動作を制御する、アテレクトミーシステム。
【請求項2】
前記電気駆動機構は、
アテレクトミーバーに接続された駆動ケーブルと、
前記駆動ケーブルを回転させる電気駆動モーターと
を備える、請求項1に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項3】
前記駆動ケーブルに対して回転可能に取り付けられたアテレクトミーバーをさらに備える、請求項2に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、動的トルク制限値に従って前記電気駆動機構の動作を制御するようにさらに構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項5】
前記動的トルク制限値は、前記電気駆動機構の動作速度に応じて変動する、請求項4に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記アテレクトミーシステムの動作中、前記電力入力制限値および前記エネルギー入力制限値のうちの少なくともいずれか一方を超えたとき、前記アテレクトミーシステムの操作者にフィードバックするようにさらに構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項7】
前記フィードバックは、前記電気駆動機構の動作速度の一時的な低下を含む、請求項6に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記電力入力制限値および前記エネルギー入力制限値を含み、且つ基準信号を出力するように構成される速度基準ブロックと、
前記速度基準ブロックから前記基準信号を受信して制御エフォート信号を生成するように構成される制御ブロックと、
前記制御ブロックから前記制御エフォート信号を受信し、同制御エフォート信号に従って前記電気駆動機構の動作を制御するように構成される駆動モーター回路ブロックと、を含む、請求項4に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項9】
前記駆動モーター回路ブロックは、前記動的トルク制限値を保存しており、同動的トルク制限値に従って前記電気駆動機構の動作を制御する、請求項8に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項10】
駆動ケーブルに対して動作可能に連結される電気駆動モーターと
前記駆動ケーブルに対して動作可能に連結されるアテレクトミーバーと、
前記電気駆動モーターに対して動作可能に連結される制御システムと
を備え、前記制御システムは、
電力入力制限値およびエネルギー入力制限値を含み、且つ基準信号を出力するように構成されている速度基準ブロックと、
前記速度基準ブロックから前記基準信号を受信し、且つ制御エフォート信号を生成するように構成されている制御ブロックと、
前記制御ブロックから前記制御エフォート信号を受信し、且つそれに応じて前記電気駆動機構の動作を制御するように構成される駆動モーター回路ブロックと、を備える、
アテレクトミーシステム。
【請求項11】
前記制御ブロックは、前記電気駆動モーターから位置信号を受信し且つ前記速度基準ブロックからの前記基準信号に加算されるモーター速度信号を出力する状態推定ブロックをさらに備える、請求項10に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項12】
前記電気駆動モーターはブラシレスDC電気モーターを含む、請求項11に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項13】
前記駆動モーター回路ブロックは、動的トルク制限値を保存しており、同動的トルク制限値に従って前記電気駆動機構の動作を制御する、請求項10~12のいずれか一項に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項14】
アテレクトミーシステムは、
駆動ケーブルに対して動作可能に連結される電気駆動モーターと、
前記駆動ケーブルに対して動作可能に連結されるアテレクトミーバーと、
前記電気駆動モーターに対して動作可能に連結される制御システムと
を備え、前記制御システムは、
電力入力制限値およびエネルギー入力制限値を含み且つ前記電力入力制限値および前記エネルギー入力制限値のうちの少なくとも一方によって制限される基準信号を出力するように構成される速度基準ブロックと、
前記速度基準ブロックから前記基準信号を受信し且つ制御エフォート信号を生成するように構成される制御ブロックと、
前記制御ブロックから前記制御エフォート信号を受信するように構成され、且つ動的トルク制限値を保存しており、前記制御エフォート信号および前記動的トルク制限値に従って前記電気駆動モーターの動作を制御する駆動モーター回路ブロックとを含むアテレクトミーシステム。
【請求項15】
前記制御システムは、前記アテレクトミーシステムの動作中、前記電力入力制限値、前記エネルギー入力制限値、または前記動的トルク制限値のいずれかに接近し、又は超えたとき、前記アテレクトミーシステムの操作者にフィードバックするようにさらに構成される、請求項14に記載のアテレクトミーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置並びに医療装置を製造及び使用するための方法に関する。より詳細には、本発明は、体管腔から閉塞物質を除去するための装置及び方法に関する。さらに、本発明は、血管などの体管腔の閉塞を貫通する通路を形成するためのアテレクトミー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの患者が、血流を制限する閉塞動脈やその他の血管の疾患に罹患している。閉塞には、血管の閉塞した部分内を通過する血流が減少した部分的閉塞、又は閉塞した血管内を通過する血流がほぼ遮断された完全閉塞(例えば、慢性完全閉塞)がある。いくつかの場合には、ステントは治療済みの領域に配置される。しかしながら、ステント内で再狭窄が生じると、血管をさらに閉塞させて血流を制限する可能性がある。血行再建術には、様々な装置を使用して閉塞部分内を貫通して閉塞部分に開口部を形成又は拡張する工程が含まれる。アテレクトミーは、切開要素を搭載したカテーテルを閉塞部分内に前進させて、閉塞部分を貫通する通路を形成又は拡張する技術である。閉塞部分の横断を容易にするための代替的なアテレクトミー装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、医療機器の設計、材料、製造方法、及び代替的使用を提供する。一例として、アテレクトミーシステムは、アテレクトミーバーを回転駆動する電気駆動機構と、電気駆動機構の動作を制御するように構成されたコントローラとを含み、コントローラは、アテレクトミーバーに付与される電力量を制限する電力入力制限値と、アテレクトミーバーに付与されるエネルギー量を制限するエネルギー入力制限値とにしたがって、電力駆動機構の動作を制御する。
【0004】
代替的にまたは追加的に、電気駆動機構は、アテレクトミーバーに連結される駆動ケーブルと、駆動ケーブルを回転させる電気駆動モーターとを含み得る。
代替的または追加的に、アテレクトミーシステムは、駆動ケーブルに対して回転可能に取り付けられるアテレクトミーバーをさらに含み得る。
【0005】
代替的または追加的に、コントローラは、動的トルク制限値に従って電気駆動機構の動作を制御するようにさらに構成され得る。
代替的または追加的に、動的トルク制限値は、電気駆動機構の動作速度に応じて変動し得る。
【0006】
代替的または追加的に、コントローラは、アテレクトミーシステムの動作中、電力入力制限値およびエネルギー入力制限値のいずれか一方を超えたとき、アテレクトミーシステムの操作者にフィードバックするようにさらに構成され得る。
【0007】
代替的または追加的に、フィードバックは、電気駆動機構の動作速度の一時的な低下を含む。
代替的または追加的に、コントローラは、電力入力制限値およびエネルギー入力制限値を含みかつ基準信号を出力するように構成される速度基準ブロックと、速度基準ブロックから基準信号を受信して制御エフォート信号を生成するように構成される制御ブロックと、制御ブロックから制御エフォート信号を受信して、同制御エフォート信号に応じて電気駆動機構の動作を制御するように構成される駆動モーター回路ブロックとを含む。
【0008】
代替的または追加的に、駆動モーター回路ブロックは、動的トルク制限値を予め記憶し、この動的トルク制限値に応じて電気駆動機構の動作を制御する。
代替的または追加的に、動的トルク制限値は、電流制限値を含み得る。
【0009】
代替的または追加的に、制御ブロックは、比例積分微分(PID)コントローラを含み得る。
別例として、アテレクトミーシステムは、駆動ケーブルに対して動作可能に連結される電気駆動モーター、駆動ケーブルに対して動作可能に連結されるアテレクトミーバー、および駆動モーターに対して動作可能に連結される制御システムを含む。制御システムは、電力入力制限値およびエネルギー入力制限値を含みかつ基準信号を出力するように構成される速度基準ブロックと、速度基準ブロックから基準信号を受信するように構成されて制御エフォート信号を生成する制御ブロックと、制御ブロックから制御エフォート信号を受信して、それに応じて電気駆動機構の動作を制御するように構成される駆動モーター回路ブロックとを含む。
【0010】
代替的または追加的に、制御ブロックは、電気駆動モーターから位置信号を受信する状態推定ブロックであって、速度基準ブロックからの基準信号に合計されるモーター速度信号を出力する状態推定ブロックをさらに含む。
【0011】
代替的または追加的に、電気駆動モーターは、ブラシレスDC電気モーターを含む。
代替的または追加的に、駆動モーター回路ブロックは、動的トルク制限値を予め記憶しており、同動的トルク制限値に応じて電気駆動機構の動作を制御する。
【0012】
代替的または追加的に、動的トルク制限値は、電流制限値を含む。
代替的または追加的に、制御ブロックは、比例積分微分(PID)コントローラを含む。
【0013】
別例として、アテレクトミーシステムは、駆動ケーブルに対して動作可能に連結される電気駆動モーター、駆動ケーブルに対して動作可能に連結されるアテレクトミーバー、および駆動モーターに対して動作可能に連結される制御システムを含む。制御システムは、電力入力制限値およびエネルギー入力制限値を含む速度基準ブロックであって、電力入力制限値及びエネルギー入力制限値のうちの少なくとも一方にしたがって制限される基準信号を出力するように構成される速度基準ブロックと、速度基準ブロックから基準信号を受信して制御エフォート信号を生成するように構成される制御ブロックと、制御ブロックから制御エフォート信号を受信するとともに、動的トルク制限値を保存するように構成されており、制御エフォート信号と動的トルク制限値とに従って電気駆動モーターの動作を制御する駆動モーター回路ブロックとを含む。
【0014】
代替的または追加的に、制御システムは、アテレクトミーシステムの動作中に電力入力制限値、エネルギー入力制限値、または動的トルク制限値のいずれかに接近または超えたときに、アテレクトミーシステムの操作者にフィードバックするようにさらに構成される。
【0015】
代替的または追加的に、フィードバックは、電気駆動機構の動作速度の識別可能な低下を含む。
いくつかの実施形態の上記概要は、本発明の各実施形態又はすべての実装を説明することを意図したものではない。以下の図面及び詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0016】
本発明は、添付の図面に関連して本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解できる
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】例示的なアテレクトミーシステムを示す概略ブロック図。
【
図2】例示的なアテレクトミーシステムを示す概略ブロック図。
【
図3】例示的なアテレクトミーシステムを示す概略ブロック図。
【
図4】例示的なアテレクトミーシステムを示す概略ブロック図。
【
図5】例示的なアテレクトミーシステムを示す概略ブロック図。
【
図6】例示的なアテレクトミーシステムを示す概略ブロック図。
【
図7】例示的なアテレクトミーシステムを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、様々な修正形態及び代替形態が可能であるが、それらのうちの特別なものが、例示することを目的として図面に示され且つ詳細に説明されている。しかし、その意図は、本発明を説明する特定の実施形態に限定することではない。むしろその意図は、本発明の趣旨及び範囲に含まれるすべての変更物、均等物及び代替物を網羅することにある。
【0019】
以下の定義された用語については、請求項又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用されるものとする。
本明細書では、数値はすべて明示的に示されているか否かに関係なく、「約」という用語で修飾されることが想定されている。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等である(つまり、同じ機能又は結果を有する)と見なすであろう数の範囲を指す。多くの場合には、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入される複数の数値が含まれる。
【0020】
終点による数値範囲の列挙には、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するように、単数形「ひとつ(a)」、「ひとつ(an)」、及び「その(the)」は、内容が明らかに別に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「又は(or)」という用語は、内容が明確に別に指示しない限り、「及び/又は(and/or)」を含む意味で一般に使用される。
【0021】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれたい。異なる図面の類似する要素には同一番号が付されている。図面は必ずしも縮尺通りではないが、例示的な実施形態を示したものであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0022】
多くの患者が、閉塞した動脈、その他の血管、及び/又は体液の流れを制限し得る閉塞した管又は体管腔(例えば、血液、胆汁など)を患っている。閉塞には、血管の閉塞した部分内を通過する血流が減少する部分的閉塞、又は閉塞した血管内を通過する血流が実質的に遮断される完全閉塞(例えば、慢性完全閉塞)がある。血行再建術には、様々な装置を使用して閉塞部分内を貫通させて閉塞部分に開口部を形成又は拡張する工程が含まれる。アテレクトミーは、切開要素を搭載したカテーテルを閉塞内に前進させて、閉塞を貫通する通路を形成したり拡張したりする技術である。切開要素は、再狭窄が生じた場所において周囲の血管壁や以前埋め込まれたステントを損傷することなく閉塞を切開することが望ましい。しかしながら、切開要素が血管壁及び/又はステントに接触するように操作されたり前進されたりする場合がある。したがって、再狭窄が生じた場所において周囲の血管や以前埋め込まれたステントに損傷を与えることなく閉塞を切開することができる材料を用いたりアテローム切除術装置を設計したりすることが望ましい。加えて、切開要素は、柔かな閉塞物質だけでなく、石灰化した物質などの堅固な閉塞物質を除去する際にも有用であることが望ましい。本明細書に記載の方法及びシステムは、閉塞物質を効果的に切開しつつ、従来のアテレクトミー装置の有する制限の少なくともいくつかを克服するように構成されている。例えば、本明細書に開示する装置及び方法のいくつかは、独特の切開面形状及び/又は設計を有する切開要素を備える。
【0023】
図1は、アテレクトミーバー14を回転駆動する駆動機構12を含む例示的なアテレクトミーシステム10を示す概略ブロック図である。例示的なアテレクトミーシステム10は、本明細書では電気的に駆動されるアテレクトミーシステムとして説明されているが、いくつかの場合には、アテレクトミーシステム10は、圧縮空気または別の圧縮流体を使用して、アテレクトミーバー14を駆動するタービンを駆動する。空気圧作動式アテレクトミーシステムの例示的であるが、ボストンサイエンティフィック社から市販されているJetstream(登録商標)アテレクトミーシステムおよびROTABLATOR(登録商標)アテレクトミーシステムが含まれる。
【0024】
アテレクトミーシステム10は、駆動機構12の動作を制御するように構成されるコントローラ16を含む。いくつかの場合には、アテレクトミーシステム10は、コントローラ16が駆動機構12のパフォーマンスに関する情報を表示することができるように、コントローラ16に対して操作可能に接続されるユーザーインターフェース18を含む。この情報は、例えば、駆動機構12の瞬間速度、アテレクトミーバー14によって経験する瞬間トルクなどのうちの1つ以上を含む。いくつかの場合には、アテレクトミーシステム10は、ユーザーインターフェース18を含まなくてもよい。いくつかの場合には、アテレクトミーバー14は、カッティングヘッドまたはカッティング部材であり、またはカッティングヘッドまたはカッティング部材を含むと呼ばれてもよく、これらの用語は交換可能に使用され得る。
【0025】
図2は、例示的なアテレクトミーシステム20を示す概略ブロック図であり、駆動機構12は、駆動モーター22および駆動モーター22ならびにアテレクトミーバー14に対して動作可能に接続される駆動ケーブル24を含む。いくつかの場合には、アテレクトミーシステム20の要素は、アテレクトミーシステム10の要素と組み合わされてもよい。いくつかの場合には、アテレクトミーシステム20は、また、ハンドル(図示略)を含んでもよい。いくつかの場合には、駆動モーター22は、アテレクトミーシステム20の重量および他の寸法に対して、アテレクトミーバーを3秒未満、またはいくつかの場合には2秒未満で全速力まで加速することができるようなサイズにされてもよい。一例として、モーター22は、少なくとも60ワットの定格である。特定の例では、モーター22は、約80ワットの定格である。これらは単なる例である。
【0026】
図3は、アテレクトミーバー14を回転駆動するために駆動機構12の動作を制御するように構成される制御システム42を含む例示的なアテレクトミーシステム40を示す概略ブロック図である。いくつかの場合には、アテレクトミーシステム40の要素は、アテレクトミーシステム10およびアテレクトミーシステム20のうちの1つ以上と組み合わせてもよい。制御システム42は、基準ブロック32と、基準ブロック32に対して動作可能に連結される比例積分微分(Proportional Integral Derivative:PID)コントローラ44とを含む。いくつかの場合には、基準ブロック32は、公称値、負の値、およびゼロの間で選択可能な速度基準46を決定することができる。いくつかの場合には、PIDコントローラ44は、基準ブロック32から受信される速度基準46にオフセット値を追加するようにさらに構成されており、それによって出力信号48を出力することができるが、いくつかの場合には、基準ブロック32がオフセット値を追加し得る。
【0027】
図4は、アテレクトミーバー14を回転駆動するために駆動モーター22の動作を制御するように構成された制御システム52を含む例示的なアテレクトミーシステム50を示す概略ブロック図である。いくつかの場合には、アテレクトミーシステム50の要素は、アテレクトミーシステム10、アテレクトミーシステム20またはアテレクトミーシステム40のうちの1つ以上と組み合わせてもよい。制御システム52は、駆動モーター22に対して動作可能に連結されて、駆動モーター22のパフォーマンスを監視するとともに制御エフォート信号56を出力するように構成されるフィードバックループ54を含む。駆動回路58は、制御エフォート信号56を受信して制御エフォート信号56に従って駆動モーター22の動作を制御するように構成されている。
【0028】
いくつかの場合には、フィードバックループ54は、速度基準を割り出すための基準ブロックと、速度基準を受信するために基準ブロックに対して動作可能に連結される比例積分微分(PID)コントローラとを含み、PIDコントローラは、制御エフォート信号を割り出すとき、速度基準と、比例(P)ゲイン値と、積分(I)ゲイン値と、微分(D)ゲイン値とを利用するように構成される。いくつかの場合には、フィードバックループ54は、無負荷状態の間に駆動モーター22の速度を正確に保持するために、基準ループ54に提供される基準信号にオフセット値を追加するように構成される。いくつかの場合には、例えば、アテレクトミーバー14がスタックした場合、制御システム52は、短時間の間にトルク閾値が到達されるまで駆動モーター22によって付与されるトルクを増加させ、その後、駆動機構のエネルギーを巻き戻すために、モーター22を低速で逆転させるように構成されてもよい。
【0029】
図5は、例えば、コントローラ16(
図1、
図2)、制御システム42(
図3)、または制御システム52(
図4)のうちのいずれかの内部に実装され得る例示的な制御アルゴリズム60を示す概略ブロック図である。いくつかの場合には、例えば、例示的な制御アルゴリズム60は、アテレクトミーシステム10、20、40、50などのアテレクトミーシステムに、患者を保護するのに役立つ追加の保護手段を設ける。回転式アテレクトミーを実施する際に、患者に付与される電力およびエネルギーの量には限界があることが理解できる。たとえば、アブレーション速度を上げるとともに、電力を付与しすぎると、血管に外傷を負わせる可能性がある。エネルギーを付与しすぎると、アテレクトミーバーの近傍において患者の体内で、定常状態の温度が過度に上昇する可能性がある。電力は時間あたりのエネルギーとして定義されるため、電力とエネルギーは関連していることが理解できる。例示的な制御アルゴリズム60はまた、動的トルク制限を設けると考えられる。いくつかの場合には、付与され得るトルクの量は回転速度によって変動し得る。駆動機構(駆動機構12など)の慣性を克服する必要があるため、例えば、アテレクトミーバーを最初に回転させ始めるとき、追加のトルクが必要となる場合がある。例示的な制御アルゴリズム60は、いくつかのブロックを有すると考えられ得る。速度基準ブロック62は、速度基準を示す信号を形成する。速度基準は、速度基準ブロック62内に保存され且つ出力された速度信号に絞り効果を付与し得る速度制限を有し得る。
【0030】
エネルギー制限ブロック64は、アテレクトミーバー14に付与されるエネルギー量を制限するエネルギー入力制限値を保存する。いくつかの場合には、エネルギー入力制限値は、熱の放散量を説明するために、自己リセットされ得ると考えられる。エネルギー制限ブロック64は、患者の体外の周囲環境に対して失われるエネルギーに対して、アテレクトミーバーに付与することができるエネルギーを推定することによって、システムの非効率性を説明することができる。
【0031】
電力制限ブロック66は、アテレクトミーバー14に付与することができる時間平均電力の量を制限する電力入力制限値を保存する。電力制限ブロック66は、いくつかの場合には、安全な平均電力に対して既知の制限値を参照して、既知の制限値に接近、またはそれを超えたときにのみ減速信号を出力する。電力制限ブロック66は、患者の外部の周囲環境に対して失われる電力と対立するものとして、アテレクトミーバー14に投入される電力を推定することによって、システムの非効率性を説明することができる。
【0032】
速度コントローラ68は、速度基準ブロック62、エネルギー制限ブロック64、および電力制限ブロック66のそれぞれから入力を受け取り、駆動機構を動作させるための適切な速度を決定する。電流制限ブロック70は、速度コントローラ68から信号を受信し、アテレクトミーシステムを介して付与され得るトルクの量を制限する電流入力制限値を含む。電流制限ブロック70は、電流コントローラ72に信号を提供し、電流コントローラ72は、過剰な電流(トルク)を監視して、駆動信号を駆動モーター74に出力する。駆動モーター74は、前の図に示す駆動モーター22を表す。
【0033】
例示的な制御アルゴリズム60は、フィードバックアルゴリズムであると考えられ得る。駆動モーター74は、エネルギー制限ブロック64、電力制限ブロック66、電流制限ブロック70、および電流コントローラ72のうちの1つ以上に提供される電流信号76を出力する。同様に、駆動モーター74は、エネルギー制限ブロック64、電力制限ブロック66、速度コントローラ68、および電流制限ブロック70のうちの1つ以上に提供される速度信号78を出力する。タイマー80は、エネルギー制限ブロック64に時間信号を提供し、これにより、制御アルゴリズム60がエネルギーから電力を計算すること、及び電力からエネルギーを計算することを可能にする。
【0034】
図6は、例示的なアテレクトミーシステム90を示す概略ブロック図である。いくつかの場合には、アテレクトミーシステム90の要素は、アテレクトミーシステム10、アテレクトミーシステム20、アテレクトミーシステム40またはアテレクトミーシステム50のうちの1つ以上と組み合わせてもよい。例示的なアテレクトミーシステム90は、制御システム92および駆動機構94を含む。駆動機構94は、いくつかの場合には、図示のように、ブラシレスDC電気モーターであり得る駆動モーター96を含む。駆動機構94は、駆動モーター96の出力に対して所望のギア減速を行うギア98のセットを含む。駆動コイル100は、駆動ケーブル24などの駆動ケーブルを表し、駆動コイル100は、駆動ケーブル24が回転に対してどのように反応するかにより、しばしばばねコイルとしてモデル化されるとともに、ばねコイルとして扱われる。アテレクトミーバー102は、駆動コイル100に連結して示されている。
【0035】
制御システム92は、比例(P)項106、積分(I)項108、および微分(D)項110を合計ブロック112に提供する比例積分微分(PID)コントローラ104を含む。速度基準ブロック114は、速度基準値を合計ブロック116に提供し、ここで、速度基準値は、状態推定ブロック118によって提供される速度値と合計される。状態推定ブロック118は、駆動モーター96から位置信号を受信する。モーター駆動ブロック120は、加算ブロック112から信号を受信して、駆動信号を駆動モーター96に出力する。
【0036】
制御システム92は、制御アルゴリズム60に関して説明される機能を提供するように構成されることが理解できる。いくつかの場合には、例えば、速度基準ブロック114は、アテレクトミーバー102および/または駆動コイル100に投入できるエネルギー量を制限するエネルギー入力限界値だけでなく、アテレクトミーバー102および/または駆動コイル100に投入できる時間平均電力量を制限する電力入力制限値を保存、又は含む。いくつかの場合には、関心のある特定の組織の熱時定数に関連する移動平均を使用することができる。いくつかの場合には、モーター駆動ブロック120は、動的トルク制限値を保存し、又は含む。動的トルク制限値は、例えば、電流として表し得る。
【0037】
いくつかの場合には、エネルギー入力制限値、電力(または時間平均電力入力制限値、および動的トルク制限値の1つ以上が、所定の安全限界値に接近、または超える場合、制御システム92は、システムの使用者が気付くのに十分な速度低下を開始し得る。システムは、停止されず、一時的に速度が低下される。いくつかの場合には、これは段階的に行われ、複数の安全制限値のうちの1つに接近すると第1の速度低下が開始され、これら安全制限値のうちの1つを超えると、第2の速度低下(第1の速度低下よりも大きい)が開始され得る。
【0038】
図7は、例示的なアテレクトミーシステム130を示す斜視図である。いくつかの場合には、アテレクトミーシステム130は、アテレクトミーシステム10、20、40、50または90を具現したものであると考えられ得る。いくつかの場合には、アテレクトミーシステム130の要素は、例えば、アテレクトミーシステム10、20、40、50または90のいずれかの要素と組み合わせてもよい。アテレクトミーシステム130は、ハンドル132を含む。図示されていないが、アテレクトミーシステム132は、駆動機構(
図1~3に示す駆動機構12など)、およびハンドル132内に配置されて駆動機構の動作を制御するコントローラ(
図1~2に示すコントローラ16など)を含むことが理解できる。ハンドル132は、例えば、動作中に平らな表面上でハンドル132を安定させるのに役立つ脚134を含んでもよい。制御機構136は、ハンドル132から延びて、使用中にアテレクトミーシステム132の1つ以上の要素を制御する際に使用され得る。例えば、制御機構136を使用して、使用者が駆動機構の動作速度を変更できるようにする。
【0039】
ハンドル132は、近位領域138および遠位領域140を含む。理解できるように、遠位領域140は、駆動ケーブル(
図2、
図4の駆動ケーブル24など)がハンドル132から出ることができるように構成される開口142を含む。視認できないが、近位領域138は、アテレクトミーシステム130内を通過して延びるガイドワイヤ144を収容するように構成され得る。遠位領域140では、ガイドワイヤ144は、この図には示されていない駆動ケーブル内を通過して延びると考えられる。いくつかの場合には、アテレクトミーバー14は、本明細書で説明される制御を含まない単純な駆動機構(図示せず)に取り付けられてもよい。
【0040】
本発明は、多くの点で、単なる例示であることを理解されたい。本発明の範囲を超えることなく、詳細において、特に形状、寸法、及び工程の構成に関して変更を行うことができる。これは、適切な範囲で、1つの例示的な実施形態の要素の任意の使用が他の実施形態で使用されることを含み得る。言うまでもないが、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
【国際調査報告】