(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】放出特性に優れたエソメプラゾール及び炭酸水素ナトリウムの薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4439 20060101AFI20230406BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230406BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20230406BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230406BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230406BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20230406BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230406BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20230406BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61K31/4439
A61P1/04
A61P1/14
A61P1/00
A61K47/02
A61K9/16
A61K9/14
A61K9/50
A61K9/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549748
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 KR2021002058
(87)【国際公開番号】W WO2021167364
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0021913
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518208484
【氏名又は名称】チョン クン ダン ファーマシューティカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100202603
【氏名又は名称】宮崎 智史
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ジョン ソ
(72)【発明者】
【氏名】キム ミン スー
(72)【発明者】
【氏名】パク シン ジュン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
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4C076BB01
4C076CC16
4C076DD25Q
4C076FF65
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4C086BC39
4C086GA07
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4C086MA02
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4C086MA35
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4C086MA38
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4C086MA52
4C086NA03
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA69
(57)【要約】
本発明は、オメプラゾール、その鏡像異性体または薬剤学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む薬学的製剤、及びその製造方法に関する。具体的には、本発明は、エソメプラゾールを含む第1の混合部に、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して40重量%以下の炭酸水素ナトリウムを含ませて、炭酸水素ナトリウムが先に溶解されてpHを上昇させてから、エソメプラゾールが溶出されるようにすることで、有効成分の放出特性を改善して薬物の溶出パターン及び生物学的利用能を向上させた薬学的製剤に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩を含む第1の混合部と、
炭酸水素ナトリウムを含む第2の混合部とを含み、
前記第1の混合部が、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して40重量%以下の炭酸水素ナトリウムを含み、
前記製剤を溶液に溶解させるとき、炭酸水素ナトリウムがオメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩よりも先に溶出されることを特徴とする、薬学的製剤。
【請求項2】
前記第1の混合部が、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して30重量%以下の炭酸水素ナトリウムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項3】
前記第1の混合部及び第2の混合部が、粉末、顆粒、細粒、ビード、マイクロカプセル、ペレット、錠剤、またはそれらの任意の組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項4】
前記製剤を水で溶出させるとき、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の80%が1時間以内に溶出されることを特徴とする、請求項1に記載の即時放出性薬学的製剤。
【請求項5】
前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の90%が1時間以内に溶出されることを特徴とする、請求項4に記載の即時放出性薬学的製剤。
【請求項6】
前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の80%が45分以内に溶出されることを特徴とする、請求項4に記載の即時放出性薬学的製剤。
【請求項7】
前記製剤の単回投与後、60分以内に胃内のpHが増加することを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項8】
前記製剤の単回投与後、45分以内に胃内のpHが増加することを特徴とする、請求項7に記載の薬学的製剤。
【請求項9】
前記製剤の反復投与後、30分以内に胃内のpHが増加することを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項10】
前記製剤の反復投与後、25分以内に胃内のpHが増加することを特徴とする、請求項9に記載の薬学的製剤。
【請求項11】
前記製剤を単回投与する際の前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が1.5時間以内であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項12】
前記製剤を単回投与する際の前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が1時間以内であることを特徴とする、請求項11に記載の薬学的製剤。
【請求項13】
前記製剤を反復投与する際の前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が1.25時間以内であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項14】
前記製剤を反復投与する際の前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が1時間以内であることを特徴とする、請求項13に記載の薬学的製剤。
【請求項15】
前記製剤を投与するとき、胃内のpHが4以下を維持する時間が30%以上減少したことを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項16】
前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩がエソメプラゾールであることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項17】
前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩がエソメプラゾールマグネシウム塩であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【請求項18】
前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩がエソメプラゾールマグネシウム三水和物であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オメプラゾール、その鏡像異性体または薬剤学的に許容される塩、及び炭酸水素ナトリウムを含む薬学的製剤、及びその製造方法に関する。具体的には、本発明は、エソメプラゾールを含む第1の混合部と、炭酸水素ナトリウムを含む第2の混合部とを含む製剤において、炭酸水素ナトリウムが先に溶解されて胃内のpHを上昇させてから、エソメプラゾールが溶出されるようにすることで、有効成分の放出特性を改善して薬物の溶出パターン及び生物学的利用能を向上させた薬学的製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
オメプラゾール(Omeprazole)の化学名は、5-メトキシ-2-[(4-メトキシ-3,5-ジメチル-2-ピリジニル)メチル]スルフィニル-1H-ベンゾイミダゾールである。オメプラゾールには、2つの異性体、すなわちR異性体とS異性体が存在し、S異性体は、R異性体に比べて、治療効果及び副作用の面ではるかに優れることが知られている。前記S異性体は、(S)-5-メトキシ-2-[(4-メトキシ-3,5-ジメチル-2-ピリジニル)-メチル]スルフィニル-1H-ベンゾイミダゾールであり、一般にエソメプラゾール(esomeprazole)という。
【0003】
エソメプラゾールは、消化不良、消化性潰瘍疾患(peptic ulcer disease)、胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease)、ゾリンジャー・エリソン症候群(Zollinger-Ellison syndrome)などの治療に用いられる代表的なプロトンポンプ阻害剤(proton pump inhibitor;PPI)である。
【0004】
オメプラゾール、特にエソメプラゾールは酸性媒質において分解または変形しやすいことが当該技術分野でよく知られており、より具体的には、pH値が3以下の水溶液においてエソメプラゾールの分解半減期は10分未満であることが知られている。よって、エソメプラゾールの分解は、酸性化合物により促進され、水分、熱、有機溶媒及び光にも影響を受ける。よって、安定したエソメプラゾール製剤に対する要求が強く、安定性の問題を解決するために、特許文献1には、エソメプラゾールマグネシウム塩を含むペレットを作製し、その後それを腸溶コーティングし、その後賦形剤を添加して錠剤に製剤化する方法が開示されている。前記方法により製造された製剤は、ネキシウム(Nexium)という商品名で現在市販されている。
【0005】
しかしながら、ネキシウムなどの腸溶コーティング錠は、胃ですぐに吸収されるのではなく、腸で溶解及び吸収されるように設計されているので、胃酸関連疾患などの投与後にすぐに治療効果が求められる疾患の治療には適さない。
【0006】
特許文献2には、酸化マグネシウムとポビドンで固体分散体剤形を製造することにより、オメプラゾールの安定性及び物性の問題を改善した腸溶コーティング錠及びカプセル剤が開示されている。
【0007】
特許文献3には、オメプラゾールを有効成分とし、安定化成分としてβ-シクロデキストリン及び水酸化ナトリウムを添加して固体分散体剤形を製造する方法が開示されている。しかしながら、前記特許文献に記載された発明には、人体に有害な水酸化ナトリウムを用いるという問題がある。固体分散体を製造する過程は、有効成分であるオメプラゾールを溶媒に溶解させる過程を含むので、この過程においてオメプラゾールを安定化させるために、水酸化ナトリウムなどの特殊な安定化剤を必要とする。
【0008】
前記問題を解決するために、特許文献4は、オメプラゾールに炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)などの緩衝剤を用いる方法を開示している。しかしながら、前記特許に記載の発明は、オメプラゾールと緩衝剤として炭酸水素ナトリウムを同時に含む複合製剤を開示しているのに過ぎず、それら複合製剤からオメプラゾールが胃液において崩壊及び溶出されてくるとき、オメプラゾールが分解される問題は依然として解決されてえいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0384960号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1104349号公報
【特許文献3】韓国公開特許第10-1996-0003605号公報
【特許文献4】韓国登録特許第10-0679767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、オメプラゾールが胃内の酸性環境で分解されないようにして高い溶出率及び生物学的利用能を達成することを目的とする。
【0011】
よって、本発明は、オメプラゾールが分解されないように胃内の酸性環境を中和させ、その後オメプラゾールを放出させるために炭酸水素ナトリウムがオメプラゾールよりも先に溶出される薬学的製剤を提供することを目的とする。
【0012】
また、中性の環境でオメプラゾールが放出されるように炭酸水素ナトリウムが溶出され、その後中和された胃内のpHが再び減少する前にオメプラゾールが即時的に溶出される薬学的製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩を含む第1の混合部と、炭酸水素ナトリウムを含む第2の混合部とを含み、前記第1の混合部は、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して40重量%以下の炭酸水素ナトリウムを含み、前記製剤を溶液に溶解させるとき、炭酸水素ナトリウムがオメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩よりも先に溶出されることを特徴とする薬学的製剤を提供する。
【0014】
一実施態様において、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩はエソメプラゾールであってもよく、好ましくは、エソメプラゾールマグネシウムであり、さらに好ましくは、エソメプラゾールマグネシウム塩三水和物である。
【0015】
一実施態様において、前記第1の混合部に含まれる炭酸水素ナトリウムの含有量は、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して40重量%以下であってもよく、好ましくは30重量%以下であってもよく、より好ましくは20重量%であってもよく、さらに好ましくは10重量%以下であってもよい。
【0016】
一実施態様において、前記第1の混合部及び第2の混合部は、粉末、顆粒、細粒、ビード、マイクロカプセル、ペレット、錠剤、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。また、前記薬学的製剤は、単一錠、多層錠、または有核錠の形態であってもよいが、それらに制限されるものではない。
【0017】
一実施態様において、前記第1の混合部及び第2の混合部は互いに分離された状態で存在してもよく、前記混合部が分離された状態で存在することは必ずオメプラゾール及び炭酸水素ナトリウムが分離されて存在することを意味するものではない。
【0018】
一実施態様において、前記第1の混合部はコーティング剤でコーティングされてもよい。そのとき、前記コーティング剤は、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテート、エチルセルロースまたはメタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸メチル共重合体であってもよいが、それらに制限されるものではない。
【0019】
また、本発明の製剤は、水で溶出させるとき、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の80%が1時間以内に溶出されることを特徴とする、即時放出性薬学的製剤を提供する。好ましくは、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の90%が1時間以内に溶出されてもよく、80%が45分以内に溶出されてもよい。
【0020】
本発明のflow through cell溶出試験法は、USP apparatus4の固形製剤の溶出試験法に規定されており、薬物がセル(cell)内に固定され、試験液がセル(cell)を通過する溶出試験法であって試験液の即時のpH変更が可能であり、生体内(in-vivo)条件と類似したシンク条件(sink condition)を維持しながら、薬物の放出速度を確認できる溶出試験法を意味する。
【0021】
また、本発明は、前記製剤の単回投与後、60分以内に胃内のpHが増加することを特徴とする薬学的製剤を提供する。好ましくは、前記製剤の単回投与後、45分以内に胃内のpHが増加する。
【0022】
また、本発明は、前記製剤の反復投与後、30分以内に胃内のpHが増加することを特徴とする薬学的製剤を提供する。好ましくは、前記製剤の反復投与後、25分以内に胃内のpHが増加する。
【0023】
また、本発明は、前記製剤を単回投与する際の前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間(Tmax)が1.5時間以内であることを特徴とする薬学的製剤を提供する。好ましくは、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が1時間以内であり、より好ましくは0.75時間以内である。
【0024】
また、本発明は、前記製剤を反復投与する際の前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が1.25時間以内であることを特徴とする薬学的製剤を提供する。好ましくは、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩の最高濃度到達時間が1時間以内である。
【0025】
また、本発明は、前記製剤を投与するとき、胃内のpHが4以下を維持する時間が30%以上減少したことを特徴とする薬学的製剤を提供する。そのとき、胃内のpHが4以下を維持する時間が30%以上減少したことは、前記製剤の投与前、24時間のうち胃内のpHが4以下を維持する時間の分率と、前記製剤の投与後、24時間のうち胃内のpHが4以下を維持する時間の分率の差(製剤投与前、24時間の間の胃内のpHが4以下を維持する時間の分率-製剤投与後、24時間の間の胃内のpHが4以下を維持する時間の分率)が30%以上であることを意味する。
【0026】
前記製剤のうちオメプラゾール20mgを含む製剤の単回投与時、胃内のpHが4以下を維持する時間の減少率は30%以上であってもよく、好ましくは35%以上であってもよい。
【0027】
前記製剤のうちオメプラゾール40mgを含む製剤の単回投与時、胃内のpHが4以下を維持する時間の減少率は30%以上であってもよく、好ましくは40%以上であってもよく、より好ましくは50%以上であってもよい。
【0028】
前記製剤のうちオメプラゾール20mgを含む製剤の反復投与時、胃内のpHが4以下を維持する時間の減少率は30%以上であってもよく、好ましくは40%以上であってもよく、より好ましくは45%以上であってもよい。
【0029】
前記製剤のうちオメプラゾール40mgを含む製剤の反復投与時、胃内のpHが4以下を維持する時間の減少率は30%以上であってもよく、好ましくは40%以上であってもよく、より好ましくは50%以上であってもよく、さらに好ましくは60%以上であってもよい。
【0030】
本発明は、(a)オメプラゾール、その鏡像異性体または薬剤学的に許容される塩を含む第1の混合部を製造するステップと、
(b)炭酸水素ナトリウムを含む第2の混合部を製造するステップと、
(c)第1の混合部と第2の混合部を打錠機で打錠するステップと、
(d)前記裸錠をコーティング液でコーティングし、その後乾燥してコーティング錠を得るステップとを含む、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩と、炭酸水素ナトリウムとを含む薬学的製剤の製造方法を提供する。
【0031】
一実施態様において、前記ステップ(a)において、炭酸水素ナトリウムをさらに混合して第1の混合部に炭酸水素ナトリウムが含まれた薬学的製剤を製造できる。前記ステップ(a)において混合される炭酸水素ナトリウムの含有量は、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して40重量%以下であってもよく、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下であってもよい。
【0032】
本発明は、(a)オメプラゾール、その鏡像異性体または薬剤学的に許容される塩を含む1次コーティング液でコアをコーティングして第1の混合部を製造するステップと、
(b)前記第1の混合部をコーティング剤を含む2次コーティング液でコーティングしてコーティング物を製造するステップと、
(c)前記コーティング物を炭酸水素ナトリウムと混合して混合物を得るステップと、
(d)前記混合物を打錠して裸錠を得るステップと、
(e)前記裸錠を3次コーティング液でコーティングし、その後乾燥してコーティング錠を得るステップとを含む、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩と、炭酸水素ナトリウムとを含む薬学的製剤の製造方法を提供する。
【0033】
一実施態様において、前記ステップ(c)の炭酸水素ナトリウムは湿式顆粒で製造され、その後コーティング物と混合されてもよい。
【0034】
一実施態様において、前記ステップ(a)において、炭酸水素ナトリウムをさらに混合して第1の混合部に炭酸水素ナトリウムが含まれた薬学的製剤を製造できる。前記ステップ(a)において混合される炭酸水素ナトリウムの含有量は、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して40重量%以下であってもよく、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下であってもよい。
【0035】
本発明はまた、(a)オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩を結合液と練合して第1の混合部を得るステップと、
(b)前記第1の混合部を炭酸水素ナトリウムと混合して最終混合物を得るステップと、
(c)前記最終混合物を打錠して裸錠を得るステップと、
(d)前記裸錠をコーティング液でコーティングし、その後乾燥してコーティング錠を得るステップとを含む、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩と、炭酸水素ナトリウムとを含む薬学的製剤の製造方法を提供する。
【0036】
一実施態様において、前記ステップ(a)において、前記オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩を炭酸水素ナトリウムと混合し、その後結合液と練合して炭酸水素ナトリウムが含まれた第1の混合部を得ることができる。前記ステップ(a)において混合される炭酸水素ナトリウムの含有量は、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して40重量%以下であってもよく、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下であってもよい。
【0037】
本発明はまた、(a)オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩を炭酸水素ナトリウムと混合し、その後強打して第1の混合物を得るステップと、
(b)前記第1の混合物を炭酸水素ナトリウムと混合して最終混合物を得るステップと、
(c)前記最終混合物を打錠して裸錠を得るステップと、
(d)前記裸錠をコーティング液でコーティングし、その後乾燥してコーティング錠を得るステップとを含む、オメプラゾール、その鏡像異性体またはその薬学的に許容される塩と、炭酸水素ナトリウムとを含む薬学的製剤の製造方法を提供する。前記ステップ(a)において混合される炭酸水素ナトリウムの含有量は、製剤に含まれる炭酸水素ナトリウムの全重量に対して40重量%以下であってもよく、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、炭酸水素ナトリウムがオメプラゾールよりも先に溶出されて胃内の酸性環境を中和させることでオメプラゾールが分解されないようにする。
【0039】
また、炭酸水素ナトリウムが溶出され、その後中和された胃内のpHが再び減少する前にオメプラゾールが即時的に溶出されるようにしてオメプラゾールが分解されないようにする。
【0040】
それにより、オメプラゾールが胃内の酸性環境で分解されないようにして、本発明の薬学的製剤は、オメプラゾールの高い溶出率及び生物学的利用能を示すことができる。
【0041】
また、本発明の製剤は剤型と関係なく前記効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】実施例1の製剤及び対照薬の単回投与後の胃内のpHの平均値を示したグラフである。
【
図2】実施例1の製剤及び対照薬の反復投与後の胃内のpHの平均値を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付図面を参照して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本願の実施形態及び実施例について詳しく説明する。しかしながら、本願は、様々な形態で実施され得るので、以下に説明する実施形態及び実施例に限定されるものではない。
【0044】
本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする場合、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0045】
本願に用いられた「多層錠」なる用語は、層が数個で構成されている製剤を意味するものであって、一つの層の一面に他の層の一面が接触して積層されている構造、及び一つの層の全ての面に他の層が接触して取り囲んだ構造を含むが、それらに制限されるものではない。多層錠には一つの成分が必ず一つの層にのみ含まれるべきものではなく、各層は、平たい形態または球形の形態で2層、3層またはそれ以上の層で製造されてもよい。
【0046】
本願に用いられた「有核錠」なる用語は、製剤の周辺を他の製剤が取り囲んだ形態の製剤を意味する。この時、一つの成分が必ず一つの層にのみ含まれるべきものではない。
【0047】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明しようとするが、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであって、本願発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0048】
実施例1~11:エソメプラゾールと炭酸水素ナトリウムの複合製剤の製造
[実施例1]
次の製造方法により実施例1の製剤を製造した。
1.第1の混合部の製造(ペレット)
精製水とヒドロキシプロピルセルロースを入れて溶解させ、その後アルギニン、シメチコン、エソメプラゾールマグネシウム三水和物(エソメプラゾール換算で20~40mg)、酸化マグネシウム及びタルクを入れて分散させることにより、1次コーティング液を調製した。流動層コーティング機に球形白糖を入れて、1次コーティング液を噴霧することにより、第1の混合部を製造した。
【0049】
2.第1の混合部のコーティング
調製タンクに精製水、ポリビニルアルコール、タルク、酸化チタン、グリセロールモノカプリロカプレート、ラウリル硫酸ナトリウムを入れて分散させることにより、2次コーティング液を調製した。流動層コーティング機に前記第1の混合部のコーティング物を入れ、2次コーティング液を噴霧することにより、第1の混合部をコーティングした。
【0050】
3.第2の混合部の製造(単純混合)
前記コーティングされた第1の混合部を混合機に入れ、炭酸水素ナトリウム(800mg)を入れた。そのとき、水分含有量に応じて精製水を含んでもよい。さらに、コポビドン、クロスポビドン及びフマル酸ステアリルナトリウムを入れて混合し、前記炭酸水素ナトリウムと共に第2の混合部(第1の混合部を除いた部分)を形成することにより、最終混合物を得た。
【0051】
4.打錠
最終混合物を打錠機で打錠した(裸錠)。
【0052】
5.コーティング
調製タンクにポリビニルアルコール、タルク、酸化チタン、グリセロールモノカプリロカプレート、ラウリル硫酸ナトリウム、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄及び精製水を入れて溶解させることにより、3次コーティング液を調製した。コーティング機に前記裸錠を入れ、3次コーティング液でコーティングし、その後乾燥してコーティング錠を得た。
【0053】
[実施例2]
前記実施例1の製造方法におけるステップ3の第2の混合部の製造工程において、単純混合の代わりに下記の湿式顆粒工程を用いたことを除き、実施例1と同様の方法で実施例2の製剤を製造した。
【0054】
3.第2の混合部の製造(湿式顆粒)及び混合
別途の容器にコポビドンと水で結合液を調製し、その後炭酸水素ナトリウム(800mg)と練合して乾燥することにより、第2の混合部の湿式顆粒を製造した。その後、混合機に前記第1の混合部と第2の混合部を入れ、コポビドン、クロスポビドン、フマル酸ステアリルナトリウムを入れて混合した(最終混合物)。
【0055】
[実施例3]
次の製造方法により実施例3の製剤(エソメプラゾール20~40mg、炭酸水素ナトリウム800mg)を製造した。
【0056】
1.混合
エソメプラゾールマグネシウム三水和物及び微結晶セルロースを入れ、High Speed Mixerで混合した。
【0057】
2.第1の混合部の製造(湿式顆粒)
精製水にヒドロキシプロピルセルロースを入れて溶解させることにより、結合液を調製した。前記混合物に結合液を入れ、練り合わせて乾燥することにより、第1の混合部の湿式顆粒を製造した。
【0058】
3.第2の混合部の製造、混合及び潤滑
混合機に前記第1の混合部の湿式顆粒、炭酸水素ナトリウム、コポビドン及びクロスカルメロースナトリウムを入れて混合し、その後フマル酸ステアリルナトリウムを入れて潤滑することにより、最終混合物を製造した。そのとき、前記第1の混合部を除く部分が第2の混合部を形成する。
【0059】
4.打錠及びコーティング
最終混合物を打錠機で打錠した(裸錠)。調製タンクにポリビニルアルコール、酸化チタン、ポリエチレングリコール、タルク及び精製水を入れて溶解させた。コーティング機に前記裸錠を入れてコーティングし、その後乾燥してコーティング錠を得た。
【0060】
[実施例4]
次の製造方法により実施例4の製剤(エソメプラゾール20~40mg、炭酸水素ナトリウム800mg)を製造した。
【0061】
1.混合及び潤滑
エソメプラゾールマグネシウム三水和物、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム及びクロスポビドンを入れて混合し、その後フマル酸ステアリルナトリウムを入れて潤滑することにより、混合物を得た。
【0062】
2.第1の混合部の製造(乾式顆粒)
前記混合物をスラッグ打錠機でスラッグ打錠することにより、第1の混合部を製造した。
【0063】
3.第2の混合部の製造、混合、及び潤滑
前記第1の混合部、炭酸水素ナトリウム、コポビドン及びクロスポビドンを入れて混合し、その後フマル酸ステアリルナトリウムを入れて潤滑することにより、最終混合物を製造した。そのとき、第1の混合部を除く部分が第2の混合部を形成する。
【0064】
4.打錠及びコーティング
最終混合物を打錠機で打錠した(裸錠)。調製タンクにヒドロキシプロピルメチルセルロース、酸化チタン、ポリエチレングリコール及び精製水を入れて溶解させた。コーティング機に前記裸錠を入れてコーティングし、その後乾燥してコーティング錠を得た。
【0065】
[実施例5]
1.第1の混合部の製造
エソメプラゾールマグネシウム三水和物、マンニトール、コポビドン、クロスポビドン及びステアリルフマル酸ナトリウムを均一に混合することにより、第1の混合部を製造した。
【0066】
2.第2の混合部の製造
炭酸水素ナトリウム、コポビドン、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリルフマル酸ナトリウムを均一に混合することにより、第2の混合部を製造した。
【0067】
3.打錠
第1の混合部及び第2の混合部を打錠機で打錠した(裸錠)。
【0068】
4.コーティング
調製タンクにポリビニルアルコール、酸化チタン、ポリエチレングリコール、タルク及び精製水を入れて溶解させた。コーティング機に前記裸錠を入れてコーティングし、その後乾燥してコーティング錠を得た。
【0069】
[実施例6及び7]
実施例5の製造方法により実施例6及び7の製剤を製造したが、前記製造方法におけるステップ1の第1の混合部の製造工程において、炭酸水素ナトリウムをさらに混合し、炭酸水素ナトリウムが第1の混合部及び第2の混合部に含まれるようにした。実施例6及び7の第1の混合部には、それぞれ製剤の炭酸水素ナトリウム(800mg)の全重量に対して5及び10重量%の炭酸水素ナトリウムが含まれた。
【0070】
[実施例8~12]
実施例3の製造方法により、実施例8~12の製剤を製造したが、前記製造方法におけるステップ1の混合工程において、炭酸水素ナトリウムをさらに混合し、炭酸水素ナトリウムが第1の混合部及び第2の混合部に含まれるようにした。実施例8~12の製剤の第1の混合部には、それぞれ製剤の炭酸水素ナトリウム(800mg)の全重量に対して10、30、40、50及び75重量%の炭酸水素ナトリウムが含まれた。
【0071】
[試験例1]
第1の混合部内の炭酸水素ナトリウムの含有量による比較溶出率の試験
剤型による製剤の溶出率及びAUCの変化を確認し、優れた溶出率及びAUCを示す第1の混合部内の炭酸水素ナトリウムの含有量を確認するために、下記の試験を実施した。
【0072】
前記において製造された実施例1、3及び8~12の製剤(エソメプラゾール20mg/炭酸水素ナトリウム800mg)に対して溶出試験を行った。溶出試験及び分析条件は、次のとおりである。
【0073】
<溶出試験条件>
1)溶出法:大韓民国薬典第3法(Flow Through Cell法)
2)溶出液:pH1.2→pH4.0
3)溶出温度:37±0.5℃
4)流速:2mL/min
5)試験時間:pH1.2(15分)→pH4.0(15分)
6)cellの大きさ:22.4mm
【0074】
<HPLC分析条件>
1)検出器:紫外吸光光度計(測定波長:302nm)
2)カラム:Capcell Pak C18(4.6×150mm、5μm)またはそれと同等のカラム
3)注入量:20μL
4)流量:1.0mL/分
5)カラム温度:30℃付近の一定温度
6)サンプル温度:10℃付近の一定温度
7)移動相:アセトニトリル、pH7.3緩衝液*及び水の混合液(350:500:150)
*pH7.3緩衝液は、1mol/Lのリン酸二水素ナトリウム溶液10.5mLと0.5mol/Lのリン酸水素二ナトリウム溶液60mLをそれぞれ採取し、容量1Lのフラスコに入れ、精製水で標線した液である
【0075】
【0076】
表1に示したように、第1の混合部に製剤全体の炭酸水素ナトリウムの重量(800mg)に対して、炭酸水素ナトリウムの含有量が増加するほどAUC及び溶出率が減少することを確認した。
【0077】
特に、第1の混合部に製剤全体の炭酸水素ナトリウムの重量(800mg)に対して、炭酸水素ナトリウムを50%及び75%それぞれ含む実施例11及び12においてAUC及び溶出率が急激に減少することを確認した。
【0078】
よって、製剤全体の炭酸水素ナトリウムの重量(800mg)に対して、40重量%以下の炭酸水素ナトリウムを第1の混合部に用いることが適合していることが分かる。
【0079】
[試験例2]
エソメプラゾール及び炭酸水素ナトリウム複合剤の臨床試験-Tmaxの測定
健康な成人を対象に、実施例1の製剤(エソメプラゾール20mgまたは40mg/炭酸水素ナトリウム800mg)と、対照薬としてネキシウム錠(D027 20mgまたは40mg)を単回投与及び反復投与し、その後薬物動態及び薬力学的特性と安全性を比較評価するために、ランダム配置、公開、反復投与、2×2のクロスオーバー設計で表2のように臨床試験を行った。
【0080】
【0081】
エソメプラゾール20mgの実施例1の製剤及び20mgの対照薬に対する臨床試験は、エソメプラゾール40mgの実施例1の製剤及び40mgの対照薬と別途に臨床試験を行った。
【0082】
すべての対象者は、午前中の同じ時間に臨床試験用医薬品(RまたはT)を服用し、約1時間後に所定の標準食事(700~800kcal、脂肪5~25%含有)を開始し、20分以内に食事を終了するようにした。
【0083】
対象者には、第1期にベースライン24時間のpHモニタリングを行い、その後第1期の1日目から、配置された各群の臨床試験用医薬品を1日1回ずつ、計7日間投与した。すべての対象者は、臨床試験用医薬品の投与後、約1時間後に所定の標準食事を開始し、20分以内に終了するようにした。
【0084】
第1期の最後の投薬後、7日以上の休薬期を設け、その後再び入院して第2期の臨床試験を行った。第2期の臨床試験は、第1期と同様にベースライン24時間のpHモニタリングを行い、その後第2期の1日目から、配置された各群の臨床試験用医薬品を1日1回ずつ、計7日間投与した。しかしながら、第1期とは異なり、グループAの対象者には対照薬を、グループBの対象者には実施例1の製剤を所定の時間に投与し、投薬後、約1時間後に所定の標準食事を開始し、20分以内に終了するようにした。
【0085】
実施例1の製剤と対照薬の薬物動態的特性を比較するために、単回投与後の薬物動態採血は、第1期及び第2期のそれぞれの1日目に、反復投与後の薬物動態採血は、第1期及び第2期のそれぞれの7日目に、投与直前と、投与0.17(=10min)、0.33(=20min)、0.5、0.75、1、1.25、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、8、10、12h後に(各期毎に18回ずつ)行った。採血した血液から分離した血漿におけるエソメプラゾールの濃度を測定し、最高血中濃度到達時間(Tmax)の中央値(最小値、最大値)を分析した。それを表3に示す。
【0086】
【0087】
20mg及び40mg容量の単回投与及び反復投与の両方において、実施例1の製剤の最高血中濃度到達時間は、対照薬と比較してはるかに短かった。それにより、実施例1の製剤は、迅速にエソメプラゾールを放出することにより、迅速に薬効を示すことができることを確認した。
【0088】
[試験例3]
エソメプラゾール及び炭酸水素ナトリウム複合剤の臨床試験の結果-胃内のpHの測定
前記臨床試験において、24時間のpHモニタリングによって胃内のpHを測定した。単回投与後の24時間のpHモニタリングは、第1期及び第2期のそれぞれの1日目に、反復投与後の24時間のpHモニタリングは、第1期及び第2期のそれぞれの7日目に行い、胃内のpHの測定は、MMS Ohmega R pHを用いた。pH meterカテーテルにより標準溶液を利用してcalibrationを行い、calibrationが正常に完了したカテーテルと、pH検査機器のみを24時間胃内のpH検査に用いられるように準備した。その後、カテーテルに潤滑用ゲルまたは水を十分に塗布して違和感を減らし、その後鼻腔から胃内に挿入してpHを測定した。
【0089】
単回投与後及び反復投与後、分単位のpHの平均値を
図1及び2に示す。
図1に示すように、実施例1の製剤は、単回投薬後、約30分が過ぎた時点からpHが増加するのに対して、対照薬は、単回投薬後、1時間が過ぎた時点からpHが増加することを確認した。
【0090】
また、
図2に示すように、実施例1の製剤は、反復投薬後、約20分が過ぎた時点からpHが増加するのに対して、対照薬は、反復投薬後、30分が過ぎた時点からpHが徐々に増加することを確認した。
【0091】
すなわち、実施例1の製剤は、投薬時の胃内のpHを迅速に上昇させることが分かる。
【0092】
[試験例4]
エソメプラゾール及び炭酸水素ナトリウム複合剤の臨床試験の結果-胃内のpHの測定
試験例3において各臨床試験用医薬品投与後に、24時間観察した胃内のpHのうちpH≦4を維持する時間分率(%)を測定し、医薬品投与前に、24時間観察した胃内のpHのうちpH≦4を維持する時間分率(%)と対して差を測定した。その結果を下記の表4に示す。
【0093】
【0094】
実施例1の製剤投与時、胃内のpHが4以下を維持する時間が減少することを確認した。
【0095】
[試験例5]
エソメプラゾールの溶出試験
実施例1の錠剤に対し、大韓民国薬典溶出第2法パドル法(50rpm、900mL)により水で溶出試験を行い、分析条件は、次のとおりである。
【0096】
<分析条件>
1)検出器:紫外吸光光度計(測定波長:302nm)
2)カラム:Waters BEH C18(2.1×50mm、1.7μm)
3)カラム温度:30℃付近の一定温度
4)サンプル温度:10℃付近の一定温度
5)注入量:5μL
6)流量:0.3mL/分
7)移動相:pH7.3緩衝液*とアセトニトリルの混液(60:40)
*pH7.3緩衝液は、1mol/Lのリン酸二水素ナトリウム溶液10.5mLと0.5mol/Lのリン酸水素二ナトリウム溶液60mLをそれぞれ採取し、容量1Lのフラスコに入れて精製水で標線した液である
【0097】
【0098】
前記のように、実施例1の製剤は、水においてもエソメプラゾールを1時間以内に90%以上、45分以内に80%以上溶出して即時放出性の溶出パターンを示すので、迅速にエソメプラゾールを放出することで迅速に薬効を示すことができることを確認した。
【国際調査報告】