(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】深部組織超音波埋め込み型発光酸素センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1459 20060101AFI20230406BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230406BHJP
B06B 1/06 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61B5/1459
A61B5/00 B
B06B1/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549818
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 US2021018751
(87)【国際公開番号】W WO2021168229
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520091661
【氏名又は名称】チャン ザッカーバーグ バイオハブ, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・エム・マハルビズ
(72)【発明者】
【氏名】ソナー・ソンメゾグル
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
5D107
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KL01
4C038KL07
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5D107BB07
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5D107CD01
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5D107CD06
5D107CD08
(57)【要約】
以下は概して、患者の組織に埋め込まれたモートで患者のO2レベルを測定することに関する。たとえば、患者の外部にある超音波質問器によって生成された超音波(US)信号によって、患者の組織に埋め込まれたモートに給電することができる。モート上のコンポーネントをデューティサイクルオフして電力消費を有利に削減することができる。モート上の発光センサを使用してO2レベルを測定することができ、発光センサはブラックシリコーンのような不透明材料によって患者の組織から光学的に分離することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のO
2レベルを測定するためのモートであって、
超音(US)波の送信および受信の両方を行うように構成されたモートピエゾと、
前記モートピエゾによって受信されたUS波を電気エネルギーに変換することによって給電されるように構成されたコンデンサと、
前記コンデンサによって給電されるように構成された発光センサであって、前記発光センサの少なくとも一部が不透明材料によって光学的に分離されている、発光センサと、
を含む、モート。
【請求項2】
前記不透明材料はブラックシリコーンである、請求項1に記載のモート。
【請求項3】
前記光学的分離は前記発光センサの前記少なくとも一部と患者の組織との間の光学的分離である、請求項1に記載のモート。
【請求項4】
前記発光センサは患者の組織から完全に光学的に分離されている、請求項1に記載のモート。
【請求項5】
前記発光センサは、
光励起用に構成された発光ダイオード(LED)と、
O
2感受性発光ルテニウム(Ru)色素のカプセル化用に構成された生体適合性フィルムと、
光学フィルタと、
集積フォトダイオードを備えた集積回路(IC)と、
をさらに含む、請求項1に記載のモート。
【請求項6】
前記コンデンサはモート集積回路(IC)の一部であり、
前記モートICは、(i)トランスインピーダンス増幅器およびコンパレータを含むアナログフロントエンドと、(ii)時間デジタルコンバータ(TDC)と、(iii)有限状態機械(FSM)と、(iv)低ドロップアウト(LDO)と、(v)電圧ダブラと、(vi)発光ダイオード(LED)ドライバと、を含み、
前記モートICは、
第1のフェーズにおいて、(i)前記モートピエゾによって受信された前記US波を電気エネルギーに変換することによって前記コンデンサに給電し、(ii)前記アナログフロントエンド、TDC、LDO、電圧ダブラおよびLEDドライバの少なくとも1つをデューティサイクルオフし、
第2のフェーズにおいて、USデータ送信を受信する
ように構成されている、
請求項1に記載のモート。
【請求項7】
前記発光センサは、前記モートピエゾによって受信された前記US波に基づいて患者のO
2レベルを測定するように構成されている、請求項1に記載のモート。
【請求項8】
前記コンデンサは100nF未満の値を有する、請求項1に記載のモート。
【請求項9】
前記コンデンサは2.5nFの値を有する、請求項1に記載のモート。
【請求項10】
患者のO
2レベルを測定するための方法であって、
電源投入フェーズにおいて、超音波(US)信号を受信することによってコンデンサに給電するステップと、
データ送信フェーズにおいて、USデータ送信を受信するステップと、
を含み、
前記データ送信フェーズ中、モートの少なくとも1つのコンポーネントがデューティサイクルオフされる、
方法。
【請求項11】
前記モートの前記少なくとも1つのコンポーネントは、
トランスインピーダンス増幅器およびコンパレータを含むアナログフロントエンド、
時間デジタルコンバータ(TDC)、
低ドロップアウト(LDO)、
電圧ダブラ、および
発光ダイオード(LED)ドライバ
の少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記モートの前記少なくとも1つのコンポーネントは、
トランスインピーダンス増幅器およびコンパレータを含むアナログフロントエンド、
時間デジタルコンバータ(TDC)、
低ドロップアウト(LDO)、
電圧ダブラ、および
発光ダイオード(LED)ドライバ
のすべてを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記受信されたUSデータ送信から生成された電流を、前記患者の前記O
2レベルを測定するように構成された発光センサに送信するステップと、
前記測定されたO
2レベルに基づいて前記電流を変調するステップと、
前記測定されたO
2レベルをエンコードする超音波後方散乱に、前記変調された電流を変換するステップと、
前記超音波後方散乱を質問器に放出するステップと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記データ送信フェーズ中、
前記受信されたUSデータ送信から生成された電流を、前記患者の前記O
2レベルを測定するように構成された発光センサに送信するステップと、
前記測定されたO
2レベルに基づいて前記電流を変調するステップと、
後方散乱フェーズ中、
前記測定されたO
2レベルをエンコードする超音波後方散乱に、前記変調された電流を変換するステップと、
前記超音波後方散乱を質問器に放出するステップと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
後方散乱フェーズ中、
前記モートの前記少なくとも1つのコンポーネントはデューティサイクルオンされ、
前記コンデンサは放電して前記モートの前記少なくとも1つのコンポーネントに給電する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記モートは、前記コンデンサによって給電されるように構成された発光センサを含み、
前記発光センサの少なくとも一部が不透明材料によって光学的に分離されている、
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記モートは、前記コンデンサによって給電されるように構成された発光センサを含み、
前記発光センサの少なくとも一部がブラックシリコーンによって光学的に分離されている、
請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記モートは、前記コンデンサによって給電されるように構成された発光センサを含み、
前記発光センサ全体が光学的に分離され、
前記光学的分離の少なくとも一部がブラックシリコーンによって提供されている、
請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記受信されたUSデータ送信に基づいてO
2感受性発光ルテニウム(Ru)色素を励起するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
超音波(US)信号をモートに送信および受信するためのデバイスであって、
超音(US)波を送信および受信するように構成されたピエゾと、
電源投入フェーズにおいて、電力US送信が前記モートに対して行われ、
データ送信フェーズにおいて、データUS送信が前記モートに対して行われる
ように、前記US波を送信および受信するように前記ピエゾを制御するように構成されたUS質問器と、
を含む、デバイス。
【請求項21】
前記US質問器は、前記電源投入フェーズ中にデータUS送信が行われないように、前記US波を送信および受信するように前記ピエゾを制御するように構成されている、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記US質問器は、US後方散乱を受信するようにさらに構成され、
前記US質問器は、前記US後方散乱を分析してO
2の測定量を判定するように構成されている、
請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
前記US質問器は、前記電力US送信を制御することによって前記モートのコンデンサを所定のレベルまで充電するようにさらに構成されている、請求項20に記載のデバイス。
【請求項24】
前記US質問器は、前記電力US送信を制御することによって前記モートの低ドロップアウト(LDO)の電圧レベルを所定の電圧レベルにするようにさらに構成されている、請求項20に記載のデバイス。
【請求項25】
前記US質問器は、前記電力US送信を制御することによって、
前記モートのアナログ低ドロップアウト(A-LDO)の電圧レベルを所定のアナログVDD(A-VDD)電圧レベルにし、
前記モートのデジタル低ドロップアウト(D-LDO)の電圧レベルを所定のデジタルVDD(D-VDD)電圧レベルに
するようにさらに構成されている、請求項20に記載のデバイス。
【請求項26】
前記モートの発光センサが患者の組織から光学的に分離されている、請求項20に記載のデバイス。
【請求項27】
前記データUS送信は、前記モートの発光センサにO
2感受性発光ルテニウム(Ru)色素を励起させるように構成されている、請求項20に記載のデバイス。
【請求項28】
パルスエコー超音波(US)通信を使用して患者のO
2レベルを測定するための方法であって、
データを第1のデータパケットおよび第2のデータパケットに分割するステップであって、前記第1のデータパケットは最上位ビットを含み、前記第2のデータパケットは最下位ビットを含む、ステップと、
第1のデータ送信フェーズにおいて、前記第1のデータパケットを送信するステップと、
第2のデータ送信フェーズにおいて、前記第2のデータパケットを送信するステップと、
前記送信された第1および第2のデータパケットにしたがって前記患者の前記O
2レベルを測定するステップと、
を含む、方法。
【請求項29】
第1の後方散乱受信フェーズ中、前記第1のデータパケットの後方散乱を受信するステップと、
第2の後方散乱受信フェーズ中、前記第2のデータパケットから後方散乱を受信するステップと、
をさらに含む、請求項28の方法。
【請求項30】
前記第1のデータ送信フェーズの前に、
電源投入フェーズにおいて、US信号を送信することによってコンデンサに給電するステップ
をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
プリアンブルが前記第1のデータパケットの最上位ビットに先行する、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
ポストアンブルが前記第2のデータパケットの最下位ビットに続く、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のデータパケットおよび前記第2のデータパケットはそれぞれ15μsの長さである、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のデータパケットの最上位ビットは5ビットであり、
1ビットのプリアンブルが前記第1のデータパケットの最上位ビットに先行する、
請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記第2のデータパケットの最下位ビットは5ビットであり、
1ビットのポストアンブルが前記第2のデータパケットの最下位ビットに続く、
請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波後方散乱を使用して対象者のO2レベルを感知および報告するための埋め込み型デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
局所組織酸素化(RTO、regional tissue oxygenation)を継続的に監視するための以前から知られているシステムは、救命救急患者のための治療指針を提供する。これにより健康および病気の予後をよりよく理解することが可能になる。たとえば、血中酸素化レベルは、コンパートメント症候群、がん、臓器移植などの監視に役立つ。しかしながら、RTO評価のための現在の技術には、つながれた、有線の接続またはバッテリが要求され、これらの体積が大きいため、移植および長期的な使用に関する問題が生じている。必要とされているのは、O2濃度を感知するためのより小型の埋め込み型デバイスである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に記載されるのは、患者の組織に埋め込まれたデバイスで患者のO2レベルを感知し、超音波後方散乱を使用して感知されたO2を報告するためのシステムおよび方法である。さらに記載されるのは、1つまたは複数の埋め込み型デバイスおよび質問器を含むシステムである。
【0004】
一態様において、患者のO2レベルを測定するためのモートが提供され、モートは、超音(US)波の送信および受信の両方を行うように構成されたモートピエゾと、モートピエゾによって受信されたUS波を電気エネルギーに変換することによって給電されるように構成されたコンデンサと、コンデンサによって給電されるように構成された発光センサと、を含み、発光センサの少なくとも一部が不透明材料によって光学的に分離されている。
【0005】
モートのいくつかの実施形態において、不透明材料はブラックシリコーンである。
【0006】
いくつかの実施形態において、光学的分離は発光センサの少なくとも一部と患者の組織との間の光学的分離である。
【0007】
いくつかの実施形態において、発光センサは患者の組織から完全に光学的に分離されている。
【0008】
モートのいくつかの実施形態において、発光センサは、光励起用に構成された発光ダイオード(LED)と、O2感受性発光ルテニウム(Ru)色素のカプセル化用に構成された生体適合性フィルムと、光学フィルタと、をさらに含む。
【0009】
モートのいくつかの実施形態において、コンデンサはモート集積回路(IC)の一部であり、モートICは、低ドロップアウト(LDO)、電圧ダブラ、および発光ダイオード(LED)ドライバを含み、モートICは、第1のフェーズにおいて、(i)モートピエゾによって受信されたUS波を電気エネルギーに変換することによってコンデンサに給電し、(ii)LDO、電圧ダブラおよびLEDドライバの少なくとも1つをデューティサイクルオフし、そして第2のフェーズにおいて、USデータ送信を受信するように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態において、発光センサは、モートピエゾによって受信されたUS波に基づいて患者のO2レベルを測定するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態において、コンデンサは100nF未満の値を有する。
【0012】
いくつかの実施形態において、コンデンサは2.5nFの値を有する。
【0013】
一態様において、患者のO2レベルを測定するための方法が提供され、この方法は、電源投入フェーズにおいて、超音波(US)信号を受信することによってコンデンサに給電するステップと、データ送信フェーズにおいて、USデータ送信を受信するステップと、を含み、電源投入フェーズまたはデータ送信フェーズのいずれかの間、モートの少なくとも1つのコンポーネントがデューティサイクルオフされる。
【0014】
上述の方法のいくつかの実施形態において、モートの少なくとも1つのコンポーネントは、低ドロップアウト(LDO)、電圧ダブラ、および発光ダイオード(LED)ドライバの少なくとも1つを含む。
【0015】
上述の方法のいくつかの実施形態において、モートの少なくとも1つのコンポーネントは、低ドロップアウト(LDO)、電圧ダブラ、および発光ダイオード(LED)ドライバのすべてを含む。
【0016】
上述の方法のいくつかの実施形態において、この方法は、受信されたUSデータ送信から生成された電流を、患者のO2レベルを測定するように構成された発光センサに送信するステップと、測定されたO2レベルに基づいて電流を変調するステップと、測定されたO2レベルをエンコードする超音波後方散乱に、変調された電流を変換するステップと、超音波後方散乱を質問器に放出するステップと、をさらに含む。
【0017】
上述の方法のいくつかの実施形態において、この方法は、データ送信フェーズ中、受信されたUSデータ送信から生成された電流を、患者のO2レベルを測定するように構成された発光センサに送信するステップと、測定されたO2レベルに基づいて電流を変調するステップと、をさらに含む。上述の方法のいくつかの実施形態において、この方法は、後方散乱フェーズ中、測定されたO2レベルをエンコードする超音波後方散乱に、変調された電流を変換するステップと、超音波後方散乱を質問器に放出するステップと、をさらに含む。
【0018】
上述の方法のいくつかの実施形態において、後方散乱フェーズ中、モートの少なくとも1つのコンポーネントがデューティサイクルオンされ、コンデンサは放電してモートの少なくとも1つのコンポーネントに給電する。
【0019】
上述の方法のいくつかの実施形態において、モートは、コンデンサによって給電されるように構成された発光センサを含み、発光センサの少なくとも一部が不透明材料によって光学的に分離されている。
【0020】
上述の方法のいくつかの実施形態において、モートは、コンデンサによって給電されるように構成された発光センサを含み、発光センサの少なくとも一部がブラックシリコーンによって光学的に分離されている。
【0021】
上述の方法のいくつかの実施形態において、モートは、コンデンサによって給電されるように構成された発光センサを含み、発光センサ全体が光学的に分離され、光学的分離の少なくとも一部がブラックシリコーンによって提供されている。
【0022】
上述の方法のいくつかの実施形態において、この方法は、受信されたUSデータ送信に基づいてO2感受性発光ルテニウム(Ru)色素を励起するステップをさらに含む。
【0023】
さらに他の一態様において、超音波(US)信号をモートに送信および受信するためのデバイスがあり、このデバイスは、超音(US)波を送信および受信するように構成されたピエゾと、電源投入フェーズにおいて、電力US送信がモートに対して行われ、データ送信フェーズにおいて、データUS送信がモートに対して行われるように、US波を送信および受信するようにピエゾを制御するように構成されたUS質問器と、を含む。
【0024】
デバイスのいくつかの実施形態において、US質問器は、電源投入フェーズ中にデータUS送信が行われないように、US波を送信および受信するようにピエゾを制御するように構成されている。
【0025】
デバイスのいくつかの実施形態において、ピエゾは、US後方散乱を受信するようにさらに構成され、US質問器は、US後方散乱を分析してO2の測定量を判定するように構成されている。
【0026】
デバイスのいくつかの実施形態において、US質問器は、電力US送信を制御することによってモートのコンデンサを所定のレベルまで充電するようにさらに構成されている。
【0027】
デバイスのいくつかの実施形態において、US質問器は、電力US送信を制御することによってモートの低ドロップアウト(LDO)の電圧レベルを所定の電圧レベルにするようにさらに構成されている。
【0028】
デバイスのいくつかの実施形態において、US質問器は、電力US送信を制御することによって、モートのアナログ低ドロップアウト(A-LDO)の電圧レベルを所定のアナログVDD(A-VDD)電圧レベルに、そしてモートのデジタル低ドロップアウト(D-LDO)の電圧レベルを所定のデジタルVDD(D-VDD)電圧レベルにするようにさらに構成されている。
【0029】
デバイスのいくつかの実施形態において、モートの発光センサが患者の組織から光学的に分離されている。
【0030】
デバイスのいくつかの実施形態において、データUS送信は、モートの発光センサにO2感受性発光ルテニウム(Ru)色素を励起させるように構成されている。
【0031】
さらに他の一態様において、パルスエコー超音波(US)通信を使用して患者のO2レベルを測定するための方法があり、この方法は、データを第1のデータパケットおよび第2のデータパケットに分割するステップであって、第1のデータパケットは最上位ビットを含み、第2のデータパケットは最下位ビットを含む、ステップと、第1のデータ送信フェーズにおいて、第1のデータパケットを送信するステップと、第2のデータ送信フェーズにおいて、第2のデータパケットを送信するステップと、送信された第1および第2のデータパケットにしたがって患者のO2レベルを測定するステップと、を含む。
【0032】
上述の方法のいくつかの実施形態において、この方法は、第1の後方散乱受信フェーズ中、第1のデータパケットの後方散乱を受信するステップと、第2の後方散乱受信フェーズ中、第2のデータパケットから後方散乱を受信するステップと、をさらに含む。
【0033】
上述の方法のいくつかの実施形態において、この方法は、第1のデータ送信フェーズの前に、電源投入フェーズにおいて、US信号を送信することによってコンデンサに給電するステップをさらに含む。
【0034】
上述の方法のいくつかの実施形態において、プリアンブルが第1のデータパケットの最上位ビットに先行する。
【0035】
上述の方法のいくつかの実施形態において、ポストアンブルが第2のデータパケットの最下位ビットに続く。
【0036】
上述の方法のいくつかの実施形態において、第1のデータパケットおよび第2のデータパケットはそれぞれ15μsの長さである。
【0037】
上述の方法のいくつかの実施形態において、第1のデータパケットの最上位ビットは5ビットであり、1ビットのプリアンブルが第1のデータパケットの最上位ビットに先行する。
【0038】
上述の方法のいくつかの実施形態において、第2のデータパケットの最下位ビットは5ビットであり、1ビットのポストアンブルが第2のデータパケットの最下位ビットに続く。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1A】モートピエゾおよびモートICを含むモートの一実施形態の一例の概略図を示す。
【
図1B】患者の指の表面にある一例のモートを示す。
【
図1C】シリカ、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、O
2、およびRu色素の一例の描写を示す。
【
図1D】吸収セクション、ストークスシフト、光学フィルタ、および発光スペクトルの一例を示す。
【
図1F】O
2感知フィルムにおけるRu色素の一例の正規化された吸収および発光スペクトルとともに、青色μLEDの正規化された発光スペクトルおよび光学フィルタの透過スペクトルを示す。
【
図1G】青色μLEDの一例の電流-電圧-光出力特性を示す。
【
図1H】300×300μm
2の活性領域および0.6Vの逆バイアス電圧を備えた集積フォトダイオードの一例の応答スペクトルを示す。
【
図1I】空気中(21%のO
2)室温で60時間の期間、フィルムの表面で約4.9μW/mm
2の平均光電力密度をもたらす、24μAの動作順電流で約1.53μWのピーク励起光電力を備えた連続矩形波照射下でのO
2感知フィルムにおけるRu色素の一例の光退色を示す。
【
図1J】室内空気中37℃でPBS溶液中の光退色試験に使用された同じ完全にパッケージ化されたO
2センサの浸漬後の時間の関数としてPDMSフィルムにおけるRu色素の一例の正規化された発光強度を示す。
【
図2A】モートICと通信するUS質問器を含む一例のシステム全体を示す。
【
図2B】モートICと通信するUS質問器を含む一例のシステム全体を示す。
【
図2C】ICアーキテクチャの他の一例の概略図を示す。
【
図3A】さまざまな送信フェーズを含む一例のタイミング図を示す。たとえば、
図3Aは、モート用の電力を生成するために使用される(たとえばコンデンサC
storeを充電するために使用される)US信号がUS質問器から送信される2つの電源投入および感知フェーズを示す。他の一例として、
図3Aは、データがモートに送信される2つのデータ送信フェーズを示す。さらに他の一例において、
図3Aは送信準備フェーズを示す。さらに他の一例において、
図3Aは2つの後方散乱受信フェーズを示す。
【
図3B】他の一例のタイミング図を示す。特に、
図3Bは、深さまでのToFがより長いため5cmより深く埋め込まれたセンサに有利な代替通信プロトコルを示す。
【
図4A】一例のICアーキテクチャを示す。一例のアクティブバイアスオペレーショナルトランスコンダクタンス増幅器(OTA)、一例の整流器コンパレータ、および一例のLEDドライバの詳細図をさらに示す。
【
図4B】一例のICアーキテクチャを示す。一例のアクティブバイアスオペレーショナルトランスコンダクタンス増幅器(OTA)、一例の整流器コンパレータ、および一例のLEDドライバの詳細図をさらに示す。
【
図4C】一例のICアーキテクチャを示す。一例のアクティブバイアスオペレーショナルトランスコンダクタンス増幅器(OTA)、一例の整流器コンパレータ、および一例のLEDドライバの詳細図をさらに示す。
【
図4D】一例のICアーキテクチャを示す。一例のアクティブバイアスオペレーショナルトランスコンダクタンス増幅器(OTA)、一例の整流器コンパレータ、および一例のLEDドライバの詳細図をさらに示す。
【
図5A】単一のO
2サンプルの試験管内(in vitro)設定および無線測定の一例、および約14%の変調深度を示す後方散乱相対差を示す。
【
図5B】単一のO
2サンプルの試験管内(in vitro)設定および無線測定の一例、および約14%の変調深度を示す後方散乱相対差を示す。
【
図5C】121kのO
2サンプルについての後方散乱相対差の一例を示す。
【
図5F】試験管内特性評価(たとえば、
図5Aに示すような)の間に毎秒350サンプルのサンプリングレートおよび5cmの深さで動作させた無線O
2センサで記録された測定の一例を示す。
【
図5G】生体内(in vivo)実験で捕捉された無線O
2センサからの一例の後方散乱信号を示し、約15%の高い変調深度を示している。
【
図5H】はかりに載せた、完全に埋め込み可能な、無線の、バッテリのない発光センサの一例を示す。
【
図5I】ブラックシリコーンカプセル化前後の37℃でのDI水中のO
2濃度の変化に対する一例のO
2センサ応答を示す。
【
図5J】エチレンオキシド(EtO)殺菌前後の37℃でのDI水中のO
2濃度の変化に対する一例のO
2センサ応答を示す。
【
図5K】37℃で10日間、PBSおよび非希釈ヒト血清中でインキュベートされた例のO
2センサからのデータを示す。
【
図5L】位相読み出し回路における非線形性の一例を示す。
【
図5M】約150μsの電源投入期間中の整流器電圧(V
rect)および電圧ダブラ出力(V
DC-DC)の一例を示す。定常状態で、電圧ダブラの電圧変換比(VCR)は1.91であった。
【
図5P】
図5Fに示すデータから得られた一例の寿命の(τ)ベースのシュテルン-フォルマープロットを示す。
【
図5Q】無線O
2センサの一例の較正曲線を示す。
図5Fに示すように、センサ周囲の水のO
2濃度を周期的に増加させることによって、37℃の蒸留水中でのO
2センサの較正を行った。市販のO
2センサによって各ステップで溶存O
2濃度を測定した。指数方程式:pO
2(mmHg)=A・e(
B/Ф)+Cによって較正曲線をフィッティングしたが、ここでФはセンサ位相出力、A、BおよびCは曲線フィッティングから得られた定係数である。この指数方程式は0.9993のR
2で高精度を提供する。高次多項式関数のような代替の方程式を較正曲線フィッティングに使用することができる。
【
図5R】蒸留水中の周波数の関数として10μm厚さのパリレンでコーティングされたピエゾ結晶の測定インピーダンスの一例を示す。システム動作中、ピエゾは2MHzの周波数で駆動されたが、これは2.05MHzのその開放回路共振周波数に近い。2MHzでのインピーダンス値は、整流器の所望の(2V)出力電圧で約11.8kΩの整流器入力抵抗(R
in)と良好なインピーダンス整合を提供し、ピエゾと整流器との間で約97%のインピーダンス整合効率を生む。容量性整合ネットワークを使用して整合効率をさらに向上させることができる。
【
図5S】2MHzの超音波で測定された、ピエゾ結晶対負荷抵抗(R
load)の一例の正規化された音響反射係数(Г)を示す。ここでR
loadはR
inをシミュレートする。
【
図5T】ハイドロフォンを使用して蒸留水中で中程度の深さ≦5cmで測定するために使用された、外部超音波トランスデューサの一例の特性を示す。特に、
図5Tは縦ビームパターンを示す。
【
図5U】ハイドロフォンを使用して蒸留水中で中程度の深さ≦5cmで測定するために使用された、外部超音波トランスデューサの一例の特性を示す。特に、
図5Uは横ビームパターンを示す。
【
図5V】ハイドロフォンを使用して蒸留水中で10cmの深さで測定するために使用された、外部超音波トランスデューサの例の特性を示す。具体的には、
図5Vは縦ビームパターンを示す。
【
図5W】ハイドロフォンを使用して蒸留水中で10cmの深さで測定するために使用された、外部超音波トランスデューサの例の特性を示す。具体的には、
図5Wは横ビームパターンを示す。
【
図6A】さまざまな溶存酸素(DO)濃度で測定された一例のシステム応答を示す。
【
図6B】さまざまな溶存酸素(DO)濃度で測定された一例のシステム応答を示す。
【
図6D】O
2とN
2の交互の流れに対する一例の応答を示す。
【
図6E】位相読み出し回路の一例の非線形性を示す。
【
図6F】一例のシュテルン-フォルマープロットを示す。
【
図7A】以前から知られているシステムに対する本明細書で開示されたシステムおよび方法の利点を示す一例を示す。
【
図7B】以前から知られているシステムに対する本明細書で開示されたシステムおよび方法の利点を示す一例を示す。
【
図7C】以前から知られているシステムに対する本明細書で開示されたシステムおよび方法の利点を示す一例を示す。
【
図8A】横方向の位置ずれのない一例のシステム設定を示す。
【
図8B】
図8Aの例の設定に対応するセンサ波形および後方散乱信号の一例を示す。
【
図8C】
図8Aの設定に対応する一例の後方散乱相対差を示す。
【
図8D】横方向の位置ずれのある一例のシステム設定を示す。
【
図8E】
図8Dの例の設定に対応するセンサ波形および後方散乱信号の一例を示す。
【
図8F】
図8Dの設定に対応する一例の後方散乱相対差を示す。
【
図8H】波形および後方散乱信号の他の一例を示す。
【
図9A】さまざまなO
2濃度に対する一例のシステム応答を示す。追加の、同一の無線O
2センサも、蒸留水中5cmの深さで、さまざまなO
2濃度で毎秒350サンプルのサンプリングレートで特性評価した。このセンサは組織O
2モニタリングにも使用した。
図5Oに示すデータは、このセンサを使用して収集した。より具体的には、
図9Aは位相応答対時間を示す。
【
図9B】さまざまなO
2濃度に対する一例のシステム応答を示す。追加の、同一の無線O
2センサも、蒸留水中5cmの深さで、さまざまなO
2濃度で毎秒350サンプルのサンプリングレートで特性評価した。このセンサは組織O
2モニタリングにも使用した。
図5Oに示すデータは、このセンサを使用して収集した。より具体的には、
図9Bは位相応答対溶存O
2濃度を示す。
【
図9C】システム動作に対するUSリンクの位置合わせの一例の効果を示す。
図9Cは位置ずれパラメータの一例の概略図を示す。25.4mmの直径および47.8mmの焦点深度を備えた球状集束外部トランスデューサを使用して蒸留水中で測定を実行した。この例において、無線センサは220mW/cm
2の固定ISPTAで動作させた。
【
図9D】システム動作に対するUSリンクの位置合わせの一例の効果を示す。
図9Dは、その深さが音場の中心軸に沿って縦方向にスキャンされていた間、センサが動作していたことを示し、16mmの広い動作ウィンドウを示している。
【
図9E】システム動作に対するUSリンクの位置合わせの一例の効果を示す。
図9Eは、焦点深度で焦点面の中心に合わせて無線センサを配置し、センサピエゾの中心軸に対して横方向および角度方向に沿ってその位置および配向をスキャンした一例を示す。
【
図9F】システム動作に対するUSリンクの位置合わせの一例の効果を示す。
図9Fは、センサが動作する領域を示すマップを示す。
【
図9G】異なる音響強度で水中5cm深さで動作するセンサについての単一のO
2サンプルの例の無線測定を示す。無線O
2センサは、
図9Gでは155mW/cm
2のISPTAで2MHzの音響波で動作させた。センサを動作させるために要求される最小整流器出力電圧(V
rect)は
図9Gで約1.36Vであった。
【
図9H】異なる音響強度で水中5cm深さで動作するセンサについての単一O
2サンプルの例の無線測定を示す。無線O
2センサは、
図9Hでは478mW/cm
2のISPTAで2MHzの音響波で動作させた。ICによって生成することができる最大V
rectは
図9Hでトランジスタの破損を防止するために整流器入力で電圧制限クランプによって制限された約3Vであった。
【
図9I】一例の無線O
2センサが新鮮な、生体外(ex vivo)のブタ組織標本を通って5cm深さにあったことを示し、660mW/cm
2のディレーティングされたISPTAを備えた超音波が、外部トランスデューサ表面で約27.67mWの音響出力を生成し、約2mmの超音波ゲル、1.5mmの皮膚、1mmの脂肪、および45.5mmの筋肉組織を伝搬した。
【
図9J】単一のO
2サンプルの無線測定で捕捉された一例のセンサ波形および後方散乱信号を示す。
【
図9K】118kのO
2サンプルについての一例の後方散乱相対差を示し、約32%の変調深度を示している。このシステムは、<10
-5のビットエラーレート(BER)および約0.73%の無線リンク電力伝達効率を達成した。生体外で測定された変調深度は、変調振幅の非変調後方散乱信号の振幅に対する比(すなわち、変調および非変調後方散乱信号間の振幅差)の減少により、蒸留(DI)水において試験管内で測定された変調深度(
図5C参照)より低かった。この比率の減少は、内部組織界面からの超音波反射が、センサのピエゾおよび外部トランスデューサの面にあるセンサ表面の一部からの総US反射を妨害したことに起因する可能性がある。公平な比較を行うため、ピエゾの中心軸と音場との間の位置合わせは、この測定およびDI水での測定で整流器電圧(V
rect)振幅を監視することによってよく調節されたことに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本実施形態は、とりわけ、患者の組織に埋め込まれたデバイスで患者のO2レベルを測定するためのシステムおよび方法に関する。特に、局所組織酸素化(RTO)を継続的に監視することにより、救命救急患者のための治療指針を提供することができる。しかしながら、RTO評価のための現在の技術には、つながれた、有線の接続またはバッテリが要求され、これらの体積が大きいため、移植および長期的な使用に関する問題が生じている。
【0041】
この点において、超音波(US)は、組織の深部にある埋め込み型デバイスに無線で給電してこれと通信する効率的な方法として実証されており、その小型化[T. C. Changら、「A 30.5mm3 fully packaged implantable device with duplex ultrasonic data and power links achieving 95kb/s with <10-4 BER at 8.5cm depth」、IEEE ISSCC、2017年、460頁~461頁参照、M. M. Ghanbariら、「A 0.8 mm3 ultrasonic implantable wireless neural recording system with linear am backscattering」、IEEE ISSCC、2019年、284頁~286頁も参照]がワイヤまたは大きなバッテリの必要性を排除することによって可能になっている。本明細書で開示されるシステムおよび方法は、発光センサをUS技術と組み合わせる、完全に無線の埋め込み可能な、リアルタイムのDOモニタリングシステムを提示する。さらに提示されるのは、深部組織O2モニタリング用の初の完全無線埋め込み型発光センサシステムであり、以前に実証されたいかなるシステムより競争力のある、または良好なO2分解能、最小の消費電力および最小の体積(4.5mm3)を達成している。
【0042】
参照により本明細書に組み込まれる、WO 2018/009905の段落0069~段落0070でいくらか議論されているように、そしてこれも参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第10,300,310号のコラム8の58行目からコラム9の29行目でさらにいくらか議論されているように、電力の側面のいくつかの概要として、埋め込み型デバイス(モートのような)は、小型化超音波トランスデューサ(小型化圧電トランスデューサのような)および生理学的センサ(発光センサのような)を含む。小型化超音波トランスデューサは質問器(これは外部にあっても埋め込まれていてもよい)から超音波エネルギーを受信し、これにより埋め込み型デバイスが給電される。質問器は送信機および受信機(これらは複合トランシーバに統合されていてもよい)を含み、送信機および受信機は同じコンポーネントまたは異なるコンポーネント上にあってもよい。生理学的センサは生理学的状態(圧力、温度、ひずみ、圧力、または1つまたは複数の分析物の量のような)を検出し、アナログまたはデジタル電気信号を生成する。質問器から送信された超音波からの機械的エネルギーにより埋め込み型デバイス上の小型化超音波トランスデューサが振動し、これにより電流が生成される。小型化超音波トランスデューサを流れる電流は、検出された生理学的状態に基づいて埋め込み型デバイス内の電気回路によって変調される。小型化超音波トランスデューサは、感知された生理学的状態を示す超音波後方散乱通信情報を放出し、これが質問器の受信機コンポーネントによって検出される。
【0043】
埋め込み型デバイスの大きな利点は、無線で給電されながら深部組織における1つまたは複数の生理学的状態を検出し、これらの生理学的状態を質問器に無線で送信する能力であり、質問器は外部にある、または外部コンポーネントに情報を中継することができる。したがって、埋め込み型デバイスは、バッテリを充電したり、デバイスに保存された情報を取り出したりする必要なく、長期間対象内にとどまることができる。これらの利点により、ひいては、デバイスをより小さくし、製造をより安価にすることが可能になる。他の利点において、超音波を使用することにより、データ通信のための相対時間を距離に関連付けることが可能になり、これは埋め込み型デバイスの場所または移動をリアルタイムで判定するのに役立ち得る。現在の技術のさらなる問題は、O2消費、生物付着の受けやすさ、長い読み出し時間、および深部組織での動作不能を含む。本明細書に記載のシステムおよび方法は、これらの問題および他のものを回避する。
【0044】
より具体的には、
図1Aおよび
図1Bを参照すると、モート110は、電力およびダウンリンク/アップリンクデータ送信の両方にシングルUSリンクを使用して動作するように設計され、アップリンクデータ送信はUS後方散乱のデジタル振幅変調によって実行される。効率的なシステムインパッケージ統合と最小限のオフチップコンポーネントを組み合わせた、シングルリンクカスタムプロトコルを使用した結果、最小限の組織損傷で長期的な使用のための大きな可能性を持って、モートの合計サイズが非常に小さく(たとえば、4.5mm
3)なった。モート110は、生体内用途に適した、0~13.2%(0~100mmHg)の生理学的に関連するO
2範囲にわたって分解能<0.76%(5.8mmHg)を備えて50mm深さで安全に動作する一方、電力変換効率を含め、140μWの平均電力を消費することが立証されている。記載のシステムは試験管内で蒸留水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)および非希釈ヒト血清中で、生体外でブタ組織を通して、そして生体内で麻酔をかけられたヒツジモデルで動作することができる。生体内で生理学的状態の間に組織の酸素化を監視する能力は、大腿二頭筋の深部への外科的移植を介して確認することができる。
【0045】
モート110は異なる深さで動作することもできる。いくつかの例において、モート110は、麻酔をかけられたヒツジ(たとえば、大型動物)のセンチメートルスケールの深さで動作することができる。他の例において、モート110は、生体外のブタ(解剖学的に不均一な)組織を通してより大きな深さ(≧5cm)で動作する。
【0046】
モート110は、
図1Aの例において、750×750×750μm
3のピエゾ(チタン酸ジルコン酸鉛、PZT)(たとえば、超音波トランスデューサである小型化圧電トランスデューサ)および発光センサを含む。ピエゾに関して、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第10,300,309号に記載されているように、「圧電トランスデューサ」または「ピエゾ」は、圧電材料を含む超音波トランシーバの一種である。圧電材料は、結晶、セラミック、ポリマー、または任意の他の天然または合成圧電材料とすることができる。
【0047】
発光センサは、光励起用のμLED150、O
2感受性発光ルテニウム(Ru)色素のカプセル化用の生体適合性フィルム、光学フィルタ、および65nmのLP-CMOSプロセスで製造されたICを含む。この点に関し、
図1Cは、シリカ、PDMS、O
2、およびRu色素の一例の描写を示す。一例の実装形態において、青色光励起下のRu色素から放出される発光強度とO
2応答時間との間の合理的なトレードオフを維持するように、フィルム厚(約100μm)およびPDMS中のシリカ粒子の量(約8.3%)を調整した。O
2感受性発光ルテニウム(Ru)色素の一例はRu(dpp)
3(ClO
4)
2である。Ru(dpp)
3(ClO
4)
2錯体は、その大きなストークスシフト、比較的長い励起状態の寿命、および高い光安定性のため、有利である。発光センサは、少なくとも部分的にIC上でのセンサコンポーネントのコンパクトな統合のため、他のセンサより低い電力消費および良好なO
2分解能を達成する。
【0048】
有利には、組織は発光センサから光学的に分離される。これを達成するため、いくつかの実施形態において、カプセル化物140(
図1Aの)の特定の領域が、μLED150を組織から光学的に分離するブラックシリコーンまたは他の不透明材料で作製されている。いくつかの実施形態において、ピエゾ120を除くモート110上のすべてのコンポーネントが、ブラックシリコーンまたは他の不透明材料を使用して光学的に分離される。いくつかの実施形態において、カプセル化物140全体が、μLED150を組織から光学的に分離するブラックシリコーンまたは他の不透明材料で作製されている。いくつかの実施形態において、センサまたはセンサの一部のみがブラックシリコーンまたは他の不透明材料でコーティングされる。いくつかの実施形態において、ブラックシリコーンにより、組織または血液の発光によるバックグラウンド干渉をデバイスが回避することが有利に可能になる。いくつかの実施形態において、一例の完全にパッケージ化されたセンサ(たとえば、
図1B)は、3mm×4.5mm×1.2mmの大きさで、4.5±0.5mm
3の体積を占有し、約0.26mm
3の検出体積を有した(O
2分子がμLEDの下のO
2感知フィルムまで拡散する材料体積から推定)。ピエゾの共振周波数によって超音波リンクの搬送周波数が決まり、この周波数は結晶厚さおよびアスペクト比によって設定されたため、組織内の周波数依存音響損失、パワーハーベスティングの容量、および合計移植サイズへの影響の間の合理的なトレードオフを維持するように結晶形状が選択された。
【0049】
センサは位相ルミノメトリの原理で動作し、励起および発光信号間の位相シフト(ΔФ)を監視してO
2濃度を検出する。一例の実装形態において、460nmで光励起すると、Ru色素は618nmで光を放出し、光学フィルタを通るバックグラウンド/励起光除去が可能になる(たとえば、
図1Dの例参照)。他の一例の実装形態において、465nmで光励起すると、Ru色素は621nmで光を放出し、光学フィルタを通るバックグラウンド/励起光除去が可能になる。動作中、Ru色素は固定周波数(f
op)の矩形波変調光で励起され、同じf
opで発光するが、位相(Ф)がシフトし、これに関する一例を
図1Eに示す。位相、Ф、は、ω
opτ≪1でtan
-1(2πf
opτ)≒ω
opτに等しく、発光寿命(τ)の関数であり、これは次にτ0/τ=1+K
SV[O
2]として局所O
2濃度に関連付けられ、τ
0≒6.4μsはゼロO
2での寿命、KSVはシュテルン-フォルマー定数である[L. Yaoら、「Sensitivity-enhanced CMOS phase luminometry system using xerogel-based sensors」、IEEE TBioCAS、vol. 3、no. 5、304頁~311頁、2009年10月参照]。強度または寿命のいずれかを測定して溶存O
2を計算することができるが、発光寿命(τ)は、光源強度および色素濃度の変動、内部フィルタ効果、および光退色(広範囲の)から独立しており、これらのすべてが強度ベースのセンサの主な制限である。
【0050】
一例の実装形態において、動作中、放出された光は固定動作周波数(f
op=20kHz)で矩形波変調され、PDMSフィルム内のRu色素を約1.53μWのピーク励起出力で励起し、結果、フィルム表面での平均電力強度は約4.9μW/mm
2である(
図1Eおよび
図1G)。励起されたRu色素は、37℃で約8nW/mm
2の典型的な平均電力密度、約160mmHg(室内空気)のO
2濃度および同じf
opで発光を生成するが、励起光の位相に対する位相シフト(A1)がある(
図1E)。ロングパス光学フィルタを使用して光励起をフィルタリングした後、300×300μm
2の活性面積および約621nmのピーク発光波長で約0.12A/Wの応答性を備えた0.6Vの逆バイアスの、オンチップnwell/psubフォトダイオードによって、発光が検出された(
図1Cおよび
図1H)。結果の位相シフト(MФ)は、w
opt<<1でtan
-1(2tf
opt)≒w
optに等しく、発光tに直接依存し、これは、次に、シュテルン-フォルマーの式を介して局所O
2濃度に関連付けられる。
【0051】
さらにこの例の実装形態において、室内空気中(21%のO
2)室温で合計60時間の期間連続動作させた完全にパッケージ化されたO
2センサ(
図1b)を使用して、Ru色素の光退色を評価した。発光強度は最初の10時間でその初期値の約96.8%まで急速に、そして次の50時間で約96.8%から約93.6%までゆっくりと減少したが、これはセンサが1%のデューティサイクルで動作し得ることを示しており、これは1日で14.4分の連続動作に対応し、250日間で発光強度は約6.4%しか低下しない。退色試験後、37℃のリン酸緩衝生理食塩水(PBS、1×)溶液に浸漬した同じセンサの長期連続試験(14日)を室内空気中で実施して感知フィルムからの色素浸出を評価したが、発光強度の変動は±1.7%内であり、14日で減少傾向を示さなかった。
【0052】
図1A~
図1Jの例をさらに参照すると、これらの図は、一例の生体適合性O
2感知フィルム、発光O
2センサの動作原理、およびその光学特性を示す。
図1Cは、発光O
2センサの拡大断面図、およびシリカ含有PDMS内のRu色素およびO
2分子の軌跡についてのモデルを示す。四角および丸はそれぞれ、Ru色素およびO
2分子を表す(
図1Cに示すように)。Ru吸着シリカ粒子はPDMSに分散させた。
図1Fは、O
2感知フィルム内のRu色素の正規化された吸収および発光スペクトルとともに、青色μLEDの正規化された発光スペクトルおよび光学フィルタの透過スペクトルを示す。いくつかの実施形態において、青色μLEDは、O
2感知フィルムを照射するためにセンサプラットフォーム上に配置され、O
2感知フィルム内のRu色素を励起する約465nmでピーク強度を備える光を生成する。励起されたRu色素は、約621nmでピークを備える発光を放出する。約550nmのカットオン波長を備えたロングパス光学フィルタが励起光を抑制して発光を透過させ、集積フォトダイオードを備えた集積回路(IC)によってRu色素の発光を検出することが可能になる。
図1Eは周波数領域発光励起および発光信号の図である。
図1Gは青色μLEDの電流-電圧-光出力特性である。
図1Hは、300×300μm
2の活性領域および0.6Vの逆バイアス電圧を備えた集積フォトダイオードの応答スペクトルを示す。
図1Hは発光波長範囲をさらに示し、これは、励起されたRu色素からの強い発光を伴う波長範囲である。
図1Iは、24μAの動作順方向電流で約1.53μWのピーク励起光電力での連続矩形波照射下でのO
2感知フィルムにおけるRu色素の光退色を示し、結果、平均光電力密度は、空気中(21%のO
2)室温で60時間の期間、フィルムの表面で約4.9μW/mm
2になる。
図1Jは、室内空気中37℃のPBS溶液で光退色試験に使用された同じ完全にパッケージ化されたO
2センサの浸漬後の時間の関数としてPDMSフィルムにおけるRu色素の正規化された発光強度を示す。試験中、センサは光退色試験と同じ動作条件で動作させた。
【0053】
さらに説明すると、そして参照により本明細書に組み込まれる、WO 2018/009905の段落0131~段落0133で議論されているように、いくつかの実施形態において、酸素センサはクラーク電極を含む。クラーク電極は、膜によって囲まれた触媒表面(プラチナ表面のような)上の酸素を測定し、小型化して埋め込み型デバイス(たとえばモート)に含めることができる。クラーク電極は、埋め込み型デバイス上の特定用途向け集積回路(ASIC)(たとえばモートIC)に取り付けることができ、埋め込み型デバイスによって感知される酸素(これは血中酸素または間質液酸素であり得る)の量の変動が超音波後方散乱を変調することができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、酸素センサは、光源(発光ダイオードまたは垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のような)および光検出器(フォトトランジスタまたは光電池、またはフォトトランジスタまたは光電池のアレイのような)を含む。酸素感受性蛍光体を含むマトリックスが、光源および光検出器の上、または光源と光検出器をつなぐ位置に配置され、光源によって検出される光の量は周囲の流体中の酸素の量に依存する。このようなデバイスをオプトロードと呼ぶことができる。マトリックスは、たとえば、酸素感受性蛍光体(ルテニウム蛍光体のような)を含むことができ、増加した酸素(蛍光体の選択に依存する)により、蛍光のより速い減衰および強度の減少が引き起こされ得る。この酸素依存性の強度変化および蛍光減衰寿命は光検出器によって検出することができる。いくつかの実施形態において、マトリックスは、ルテニウム蛍光体を含有するヒドロゲルまたはポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマーである。いくつかの実施形態において、ルテニウム蛍光体は、マトリックス内に含有されるシリカ粒子またはシリカ表面に結合する(これらは、たとえばゾルゲル法によって作製することができる)。マトリックスは細胞外液中の成分から蛍光体を保護し、マトリックスへの酸素の拡散に影響を与える可能性のあるタンパク質、細胞および他の細胞残屑の付着を抑制する。さらに、マトリックス中のルテニウム金属のカプセル化により、ルテニウムの潜在的な毒性が減少する。光源および/または光検出器は、放出または検出された光を狭い帯域幅に制限するフィルタを任意選択で含むことができる。ASICは光源を駆動してパルス状または正弦波の光信号を発することができ、これにより光源から光が発せられる。光源によって放出された光により、マトリックス内の蛍光体が蛍光を発する。たとえば、いくつかの実施形態において、光源は青色光またはUV光を放出し、蛍光体はオレンジまたは赤色光を放出することができる。蛍光強度および/または蛍光の寿命(減衰)はマトリックスの酸素濃度の関数であり、これは周囲の流体(たとえば、血液または間質液)の影響を受ける。蛍光減衰から、蛍光寿命減衰定数を判定することができ、これは酸素量を反映し得る。
【0055】
光源から放出される光パルスを使用することにより、蛍光減衰または蛍光寿命の観察が可能になり、これは酸素濃度に依存する。したがって、いくつかの実施形態において、光源からの光パルスに続く蛍光の減衰(蛍光寿命)を使用してセンサの周囲の酸素濃度を測定する。
【0056】
図2Aおよび
図2Bは一例のシステム全体を示す。高電圧(HV)ドライバ240およびレベルシフタ250の両方を含むHVパルサ230によって駆動される外部ピエゾ220が、送信(TX)モードにあるときにUSパルスを組織に送信し、これらは1飛行時間(ToF)後にモート110に到着する。いくつかの実施形態において、外部ピエゾ220はUS質問器上に配置される。モート110は、モートピエゾ120、およびモートIC130を含む。モート110はUSパルスを使用してそれ自体に給電し、モートのピエゾからの超音波反射においてエンコードされた振幅変調(AM)後方散乱パルスを介して通信する。反射後方散乱は同じ外部ピエゾ220によって受信(RX)モードで受信され、TX中に送信された後、2ToFでモートに到着する。RXチャネルは、AM後方散乱を増幅、フィルタリング、デジタル化、復調およびデコードし、リアルタイムデータを提供する。パルスエコーを介した質問により、RXまたはサーキュレータ用の二次外部ピエゾの必要性が排除される。TX/RXの重複を回避するため、AM後方散乱パルス(TDM)の持続時間を<2ToFに設定しなければならず、これによりモートと外部ピエゾとの間の最小距離(たとえば2cm)が制限される。この制限を克服するため、後方散乱を介してデジタルO
2データを2つのデータパケットで送信する(
図3A)。
【0057】
図2Aの例をさらに参照すると、外部トランシーバが、送信(TX)および受信(RX)パスを含むとして示され、TXパスはダウンリンクデータを2MHzの搬送波上へエンコードした。TX動作中、レベルシフタがデジタルコントローラからの低電圧送信信号をブーストし、高電圧パルサが外部ピエゾトランスデューサ220を駆動した。TXパスが無効化されたときにRXパスが有効化された。センサのピエゾ結晶からの反射US後方散乱が同じ外部ピエゾトランスデューサ220によって捕捉され、これがRXチェーンによってデジタル化された。組織の外側表面に結合された外部ピエゾ220は、組織を通過するUS波を生成し、これらは1飛行時間(ToF)後にセンサに到着した。ダウンリンクはセンサに給電および送信コマンドを提供した。アップリンクは、TX中に送信された後2ToFで外部ピエゾに到達した振幅変調後方散乱US波を含むものであった。
図2Bは一例のセンサICアーキテクチャを示す。
【0058】
図2CはICアーキテクチャの他の一例の概略図を示し、
図2Aおよび
図2Bの例より詳細を含む。
図2Cの例において、アナログフロントエンド(AFE)がトランスキャパシタンス増幅器からなり、DCフィードバックは能動バイアス回路を使用して提供され、スイッチは、Ф
TIAによって制御され、デューティサイクリング後の、およびコンパレータのセトリング時間を最小化するために実装された。整流器のコンパレータ出力(Comp1およびComp2)および変調信号(Ф
mod)は、ダウンリンク信号のエンベロープを検出してノッチを生成するOOK復調器への入力として使用された。TDCは10ビット同期カウンタおよび位相検出器に基づくものであった。整流器電圧(V
rect)の変動を回避するために20kHzの相補クロック信号によって駆動された8ビット電流デジタルアナログコンバータ(DAC)を使用してLEDドライバが実装された。交差結合された電圧ダブラが、V
rectをブーストするように設計された。
図3Aは一例のタイミング図を示す。モートPZTは入射USパルスが到着するとパワーハーベスティングを開始し、これはモートICによって整流および調節される。低ドロップアウト(LDO)電圧が確立されると、パワーオンリセット(POR)信号がトリガーされてシステムを初期化する。短い初期化期間(たとえば、
図3Aにおいて送信準備期間/フェーズとしてマークされている)の後、O
2感知動作が始まり、ΔФは10ビットデータに変換され、これはプリアンブル付きの2つの15μs長さのデータパケットに分割され、第1のパケットは最上位ビット(MSB)を含む。モートは次いで質問器から入力されたデータにおける立ち下がりエッジをリッスンし、ノッチはモートをアップリンク送信に備える。データパケットがデジタル後方散乱変調を使用して送信される。エネルギー消費を削減し、したがって大きなオフチップ蓄積コンデンサ(たとえば、大きなC
store)の必要性を排除するため、電力集約型ブロック(たとえば、フロントエンド(たとえば
図2Bに示すような、これはアナログフロントエンド(AFE)を含むフロントエンドを示す)、A-LDO、D-LDO、電圧ダブラおよび/またはLEDドライバ)がアップリンク送信中デューティサイクルオフされる。(いくつかの実施形態において、電力集約型ブロックは、後方散乱受信フェーズではない
図3Aによって示される任意のフェーズの間、デューティサイクルオフされ、たとえば、電力集約型ブロックは、電源投入および感知、送信準備、またはデータ送信フェーズのいずれかの間、デューティサイクルオフされる。)有利には、いくつかの実装形態において、これによりC
storeを100nFから2.5nFに削減することが可能になり、これによりひいては、C
storeとして、物理的寸法がより小さなコンデンサを使用することが可能になり、したがってモート全体が小さくなる。いくつかの実施形態において、ノッチ持続時間が>64μsであれば、アップリンク送信は停止し、これは2MHzのUS搬送波の約127の振動に相当する。このような各シーケンスの後にモートはO
2サンプルを返し、このように、サンプリングレート(f
s)を外部から制御してモートおよび質問器のエネルギー消費を削減することができる。
【0059】
一例において、65nmの低電力CMOSプロセスで製造されたICダイの総面積は約3.84mm2である。一例の実装形態において、ICの適切な動作に要求される最小入力電力は約150μWであって、O2感知フェーズ中、約1.36Vの整流器電圧(Vrect)を生成した。電力集約型回路(AFE、LEDドライバ、電圧ダブラ、およびTDC)を、アップリンク送信中、デューティサイクルオフして、IC電力消費を約22μWに削減し、したがって大きなオフチップCstoreの必要性を回避した。ICの平均電力消費は、整流器の電力変換効率を含め、動作中、O2サンプリングレートに応じて、150μW未満に低下する。システムのサンプリングレート(fs)は外部受信機を通して外部から制御された。
【0060】
一例において、動作中、外部トランシーバをTXからRXモードへ切り替えて、センサのピエゾからの後方散乱反射でエンコードされたアップリンクデータを捕捉した。RXパスは受信された後方散乱を復調およびデコードし、リアルタイムO
2データを生成した。データ蓄積およびさらなる分析のため、シリアルリンクを通してデータをコンピュータに送信した。TXおよびRXパルスの重複を避けるため、データパケット持続時間(TDM)をセンサのピエゾと外部トランスデューサとの間のUSパルスの往復飛行時間(2ToF)より短く保ち、(たとえば、
図2A参照)、センサと外部トランスデューサとの間の最小動作距離を制限した。この制限を克服するため、デジタルデータを2つの部分に分割し、これらを続いて外部トランシーバに送信した。
図3Bは、5cmより深く埋め込まれたセンサについての、これらの深さまでのより長いToFのための代替通信プロトコルを示す。
図3Aにおけるプロトコルと比較して、代替プロトコルはデータ送信中に費やされる時間を短縮し、したがってサンプリングを増やす。
【0061】
図3Aおよび
図3Bの例において、電源投入および感知フェーズの間、データは送信されないことが理解されるべきである。したがって、
図3Aおよび
図3Bの例における電源投入および感知フェーズは、C
storeに給電するためにのみ使用される。
【0062】
図4A~
図4Dは一例のICアーキテクチャを示す。電力管理回路は、AC-DC変換用の能動全波整流器410、μLEDを駆動するための未調節の整流電圧(V
rect)をブーストする電圧ダブラ420、他の回路に給電、およびバイアスするために1.2Vで供給を調節するLDOを含む。整流器コンパレータ出力は、オンオフキーイング(OOK)復調器430を駆動するために使用され、ダウンリンクUSエンベロープを検出してノッチを生成する。gm-Cフィルタ440はV
midを生成し、V
ref,0.6V上のノイズを低減する。LEDドライバ450(8ビット電流DAC)が、20kHz、24μAの矩形波電流でLED460(たとえば、μLED)を駆動するように設計されている。逆相電流を生成するレプリカドライバ470が、V
rect変動を回避するために使用される。300×300μm
2のnwell/psubフォトダイオードは発光誘起光電流(IPD)を生成する。IPDはトランスキャパシタンス増幅器によって電圧に変換され、能動バイアス回路がDCフィードバックを提供するために使用され、スイッチ(Ф
TIA)がデューティサイクリング後のセトリング時間を最小化するために使用される。増幅器出力はコンパレータによってそのDC成分(V
LPF,out)と比較され、ゼロ交差検出を実行し、時間遅延信号を生成する。時間遅延をΔФのデジタル表現に量子化するために時間デジタルコンバータ(TDC)が使用される。デジタル出力はシリアル化され、分割され、そしてPZTを通して送信される。トランジスタスイッチ(Ф
mod)は、PZT直列抵抗(R
p)とシャントの電気負荷インピーダンス(R
L)を変調し、PZT境界で音響反射係数(Γ∝R
L/(R
L+R
P))、したがって後方散乱振幅を変化させる。
【0063】
いくつかの実施形態において、5段電流スターブ型リング発振器によって生成される16MHzのオンチップクロックで動作する時間デジタル変換器(TDC)が、μLEDを駆動するために使用される基準信号(Фref)と発光信号(ФPD)との間の時間遅延(位相差、ΔФ)を10ビットのデジタルデータに変換した。10ビットデータはシリアル化され、有限状態機械によってプリアンブルおよびポストアンブルを備えた2つの等しい15μs長さのデータパケットに分割することができ、第1のパケットは最上位ビット(MSB)を含む。測定された最小検出可能平均光電力は、1Hz帯域幅で1に等しい信号対雑音比(SNR)を生成し、約621nmのピーク発光波長および光学読み出しのための20kHzの動作周波数で約1.3pWであり、これはAFEのノイズによって支配された。SNRは、室内空気中37℃で動作させたセンサでは、O2感知フィルム内の励起されたRu色素によって生成される、光学フィルタの後の典型的な約6.7nW/mm2の光電力下で約53dBであった。オンオフキーイング(OOK)復調器が外部トランシーバから入力されたUSデータにおける「立ち下がりエッジ」を検出し、ノッチ(VOOK)を生成したときに、アップリンクデータ送信が始まった。ノッチは、アップリンク送信中にセンサICと外部トランシーバを時間同期する基準として機能し、2MHzのUS搬送波の127の振動に相当する、約64μsより短い継続時間のノッチの後に、データパケットが外部トランシーバに送信された。データパケットは、センサのピエゾからのUS反射においてエンコードされ、後方散乱のデジタル振幅変調を介して送信された。Фmodによって制御される変調(トランジスタ)スイッチを通して、ピエゾインピーダンス(Zp)とシャントにある電気負荷インピーダンス(Rload)を変調し、ピエゾ境界でのUS反射係数、したがって後方散乱の振幅を変更することによって、後方散乱振幅変調が達成された。O2データを送信するためにトランジスタスイッチをオンにすると、ピエゾにわたるRloadは、ICの電力消費および整流器入力電圧の振幅に応じて、80kΩより高い抵抗値から約0.51Ω(トランジスタスイッチオン抵抗)まで減少した。ノッチ期間が約64μsより長く保たれたとき、アップリンク送信は停止した。
【0064】
図4A~
図4Dの例のようないくつかの実施形態において、デジタルVDD(DVDD)の出力を備えたデジタルLDO(D-LDO)およびアナログVDD(AVDD)の出力を備えたアナログLDOという、2つのLDOがある。(
図3Aの例も参照、これは1.2Vの所定のレベルに充電されたAVDDおよびDVDDを示す)。
【0065】
図5Aおよび
図5Bは、162mW/cm
2の時間平均強度(FDA制限の約23%)を備えた2MHzの音響波を使用して50mm深さで動作する一例のモートについての試験管内設定および測定の一例を示す。第1のデータパケットは「1」のプリアンブルに続く5ビットのMSBからなり、第2は5ビットのLSBに続く「1」のポストアンブルからなる。
【0066】
一例の実装形態において、このシステムは、生理学的に関連する対象の酸素範囲(0~100mmHg)にわたって<5.8mmHg/√Hzの分解能及び<10
-5のビットエラーレートで毎秒350回酸素をサンプリングした。このシステムは、まず水槽の設定(たとえば、
図5Aなどのような)で特性評価され、生理的温度をシミュレートするために蒸留(DI)水温度を37±0.1℃で一定に保ち、市販のO
2プローブを介してO
2濃度を監視し、水槽に供給されたO
2と窒素(N
2)の比率を制御することによって変化させた。蒸留水は、軟組織と同様の音響インピーダンス(約1.5MRayls)を有する。
【0067】
一実装形態において、5cmの深さに移植片を配置して、例のシステムを上述のように動作させた。237mW/cm
2(超音波診断用のFDA安全限界、ディレーティングされたI
SPTA=720mW/cm
2の約32.9%)の空間ピーク時間平均強度(I
SPTA)を備えた音場を使用して毎秒350サンプルのサンプリングレート(f
s)(Hz)で動作させたシステムについて、測定された波形および後方散乱信号を記録した(
図5B)。このシステムは、移植片のピエゾ結晶の表面での音響出力からICの入力電力までの電力伝達効率を約20.4%、そしてICの入力電力の外部トランスデューサから放出される音響出力に対する比率として定義された、USリンク電力伝達効率を約3.9%と示した。各データパケットは、2.5μsの期間の6ビットを含む、15μs長さであった(たとえば、
図5B)。第1のデータパケットは「1」のプリアンブルで始まって5ビットのMSBが続き、第2のデータパケットは5ビットの最下位ビット(LSB)で始まって「1」のポストアンブルが続いた。このシステムは、約41%の変調深度、および最適しきい値を備えた10
-5未満(121kサンプル中の0)のアップリンクビットエラーレート(BER)を達成し、外部トランシーバによって判定されたBERを最小化した(
図5C)。
【0068】
さまざまなO
2濃度に対するシステム応答およびデータのアラン偏差を
図5Dおよび
図5Eの例に示す。アラン偏差分析を使用してシステムのノイズ性能を定量化した。毎秒350サンプル(f
s)で動作させたシステムは、約0.066°/mmHgより大きなO
2感度および0.38°/√Hz未満の位相(Ф)分解能を示し、関連する対象のO
2範囲(<100mmHg)にわたって5.8mmHg/√Hzより良好なO
2分解能をもたらした。システムにおけるФ分解能はAFEのジッタノイズによって支配され、発光強度(I)はO
2濃度の減少とともに増加するため、システムSNR、およびしたがってФ分解能は、O
2レベルが低いほど向上する。フォトダイオード、AFE、およびTDCを含む位相読み出し回路の非線形性は、μLEDを駆動する可変Фシフト信号を生成する関数発生器を使用して特性評価した。端点法を使用して計算された最悪の非直線性は、0.27LSB=約0.12°未満であった(たとえば、
図5L参照)。式ΔФ=tan
-1(2tf
opτ)を使用して得られた、τベースのシュテルン-フォルマープロット(たとえば、
図5P参照)により、システム出力での非線形性が明らかになり、これは主にO
2感知フィルム内のシリカ粒子の不均一な分散によるものである。
【0069】
O
2濃度の変化に対する発光O
2センサ応答は可逆的である(たとえば、
図5Iを参照)。
図5Iの結果を生成するために使用された例の実装形態は、この研究でセンサ位相出力をmmHgのO
2濃度(酸素の分圧、pO
2)に変換する較正曲線および式を使用したことに留意されたい(
図5Q参照)。約3.5から約156mmHgのO
2までおよびその逆のブラックシリコーンカプセル化前のセンサの応答時間(たとえば、定常状態値の90%に到達するのに要求される時間)はそれぞれ、約210sおよび約257sであって、これは、O
2センサのブラックシリコーンカプセル化後、約250sおよび約320sに増加した。
【0070】
O
2センサの機能性に対する殺菌の潜在的な影響を評価するため、センサをまずエチレンオキシド(EtO)で殺菌し、次いでO
2変化に対するこれらの応答を37℃のDI水で試験した。殺菌前後のO
2変動に対するセンサ応答はほぼ同一であり(
図5J)、これらのセンサはこれらの機能性を失うことなく殺菌可能であることを示した。
【0071】
O
2センサが生体内生物付着に抵抗する能力を評価するため、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、1×)および非希釈のプールされたヒト血清において試験管内実験を実施した。インプラント表面への非特異的なタンパク質の吸着(汚損)は、異物反応を引き起こす初期ステップおよび多くのインプラントの故障を引き起こす致命的な要因の1つと考えられているため、生体内汚損をシミュレートするために、数百の異なるタンパク質を含有する複雑な流体である、ヒト血清が選択されたことに留意されたい。PBSおよび血清中37℃でインキュベートされたO
2センサの応答を、低(6.5mmHg)および高(156mmHg)酸素レベルおよび10日間の異なる時間で測定した(
図5k)。センサは、この10日間、O
2変化に対する明らかな感度の損失を示さなかった。
【0072】
一例の実装形態において、
図5Cは121kのO
2サンプルについての後方散乱相対差を示し、約41%の変調深度を示している。「0」または「1」のいずれかである各ビットを検出するため、データパケット内の後方散乱信号の振幅をしきい値と比較した。この無線システムは、この測定において10
-5未満(121kサンプル中の0)のアップリンクビットエラーレート(BER)を達成し、堅牢なデータアップリンクを示した。他の一例の実装形態において、
図5Eは生データ(
図5Fに示す)のアラン偏差を示す。
図5Iおよび
図5Jは、ブラックシリコーンカプセル化(
図5I)およびエチレンオキシド(EtO)殺菌(
図5J)前後のDI水中37℃でのO
2濃度の変化に対するO
2センサ応答を示す。
図5Kは、PBSおよび非希釈ヒト血清中37℃で10日間、インキュベートされたO
2センサからのデータを示す。
【0073】
他の一例の実装形態では、生理学的に関連する大型動物モデル(ヒツジ)において、この無線、直接O2モニタリングシステムの臨床的有用性を試験した。ヒツジモデルは、心血管および肺の生理学、神経生物学、ならびに代謝における顕著な類似性のため、胎児、新生児および成人の疾患状態の標準である。麻酔をかけられた若年または成体のヒツジ(n=2頭の動物)に挿管して機械的に換気した。大腿二頭筋を慎重に解剖し、無線センサ、ならびに市販の有線pO2センサを筋肉層の下方の面に配置し、筋肉、ならびに上にある皮膚を上方で閉じた。超音波トランスデューサは、微調整のために5軸マイクロマニピュレータに取り付け、皮膚層の上で音響スタンドオフパッド上に配置した。
【0074】
図5Nにおける、そして有線pO
2センサによって判定されたデータ(動物Aからの)からわかるように、吸気O
2濃度を100%から10%に急激に調整した結果、筋肉pO
2が約90mmHgから約20mmHgへ急速に減少した。無線センサも同様に筋肉pO
2レベルを正確に反映することができた。
【0075】
吸気酸素含有量のより緩やかな、段階的減少の結果、組織pO
2がより緩やかに減少し、これは市販の有線プローブと同様の動態で無線センサによってリアルタイムで正確に判定された(
図5O、動物Bからのデータ)。特に、パルスオキシメトリを介する血中ヘモグロビン飽和度の同時判定では、室内空気(21%)の上方の組織または血液の酸素化の違いを検出することができなかったが、これはこの点を超えるとすべてのヘモグロビンが完全に飽和するためである。要約すると、そしてこれからわかるように、例示的なミリスケールの無線埋め込み型酸素センサは、生理的状態下での組織の酸素化状態を正確に反映し、したがって、組織または患者の酸素化状態により慎重なモニタリングが保証される環境において臨床的意思決定を強化する大きな可能性を有する。
【0076】
図5Nの例に関して、麻酔をかけた動物に、気管内チューブを介して100%吸気酸素を、続いて窒素混合およびインラインO
2検出器での確認を介して達成された10%のO
2の低酸素ガス混合物を供給し、続いて室内空気(21%のO
2)で換気した。無線O
2センサならびに有線の市販のNEOFOXプローブを介して、組織のO
2濃度の読み取り値を継続的に監視した。対応するpaO
2、SpO
2およびFiO
2の読み取り値が提供されている。
図5Oの例はFiO
2の段階的減少を示し、この結果、組織pO
2読み取り値が対応して段階的に減少し、これは無線O
2センサと市販のプローブとの間で優れた一致を示した。対応するpaO
2、SpO
2およびFiO
2の読み取り値が提供されている。室内空気の上方のFiO
2値では、SpO
2読み取り値はpaO
2または組織pO
2レベルに近似することができないということに留意されたい。
【0077】
他の一例において、アップリンク性能をさらに評価するため、同じ水槽の設定(
図8Aおよび
図8D)を使用し、および新鮮な、生体外ブタ組織(これは不均一な音響特性を示した)(
図8G)を通して、意図的な位置ずれありおよびなしでDI水中350Hzのf
sおよび10cmの深さでシステムを動作させた。システムは、いかなる位置ずれもなく、そして282mW/cm
2のI
SPTAで2MHzの音場を使用して動作している間、14%を超える変調深度、10
-5未満のBERおよび約0.74%のUSリンク電力伝達効率を示した(
図8A~
図8C)。音場の中心軸とセンサピエゾとの間に意図的に約1.21mmの横ずれを持って動作させたとき、システムは約108%の変調深度および10
-5未満のBERを示したが、I
SPTAが約58.9%増加するという犠牲を払った結果、USリンク電力伝達効率が同時に低下した(
図8D~
図8F)。非変調後方散乱信号の振幅からわかるように(
図8Bおよび
図8E)、変調深度の増加は主に非応答領域(ここで、センサ表面)からの反射の減少によるものであり、横ビームスポットサイズがより小さい(たとえばピエゾサイズに匹敵する)音場がより堅牢なアップリンク性能およびより高いUSリンク電力伝達効率を提供することができるということを示している。
【0078】
この例の生体外測定において、外部トランスデューサは0.3dB・cm
-1・MHz
-1だけディレーティングされた706mW/cm
2のI
SPTA(軟組織におけるFDA規格US減衰
24)でUS波を生成し、トランスデューサ表面で約228mWの音響出力を生成し、これは約3mmの超音波ゲル、1mmの皮膚、1mmの脂肪、および95mmの筋肉組織を伝搬した(
図8G)。このシステムは約21%の変調深度、<10
-5のBERを達成し、堅牢なアップリンク性能、および約194μWの平均電力を消費するセンサで約0.08%のUSリンク電力伝達効率を示した(
図8Eおよび
図8F)。システムのアップリンク性能(変調深度およびBER)は不均一組織における散乱および吸収による音響減衰に依存し、これは組織の種類/標本によって異なることに留意されたい。これは、アップリンクデータが受信される時間間隔中に外部トランシーバによって受信される非変調後方散乱信号の振幅が音響吸収および分散によって変化する可能性があるためである。さらに、USリンク電力伝達効率も音響減衰の関数であり、たとえば、ブタの組織標本を通して動作させたシステム(
図8G)は、蒸留水において動作させたシステム(
図8A)より大幅に低いリンク電力伝達効率を示したが、これは組織サンプルのUS減衰が水のそれよりはるかに高いためである。
【0079】
図8A~
図8Iは、例示的な無線酸素感知システムの試験管内および生体外のアップリンク特性に関する例を示す。
図8Aおよび
図8Dの例示的なシステムは両方とも、蒸留水中10cm深さでの無線センサ動作を含む。しかしながら、
図8Aの例は音場の中心軸のセンサのピエゾのそれに対する意図的な横ずれを含まないが、
図8Dの例はこの意図的な横ずれを含む。
図8Bおよび
図8Eは、横方向の位置ずれなし(
図8B)、および横方向の位置ずれあり(
図8E)で、試験管内10cm深さで動作させたセンサについて単一のO
2サンプルの無線測定において捕捉されたセンサ波形および後方散乱信号の例を示す。
図8Cおよび
図8Fは、横方向の位置ずれなし(
図8C)およびあり(
図8F)で、試験管内10cm深さで動作させたセンサから無線で記録されたO
2サンプル≧100kについての後方散乱相対差を示す。
図8Gは、新鮮な、生体外ブタ組織の不均一なサンプルを通して10cmの深さでO
2センサを無線で動作させた一例を示し、約3mmの超音波ゲル、1mmの皮膚、1mmの脂肪、および97mmの筋肉組織を音波が通過した。
図8Hは、ブタ標本を通して10cm深さで動作させたセンサについて単一のO
2サンプルの無線測定においてセンサ波形および後方散乱信号が記録された例を示す。
図8Iは、ブタの組織標本を通して10cm深さで動作させたセンサからの、約21%の変調深度を示している、100kのO
2サンプルについての後方散乱相対差を示す。このシステムはこの測定において<10
-5のアップリンクBERを達成した。
【0080】
システムおよび例の議論
次に、深部組織測定に適した、mm3の体積範囲において完全に埋め込み可能なオプトロードの最初の小型化を示す。次の焦点は生体内の酸素分圧を測定するためのシステムであるが、基本的な技術的成果により、とりわけ、低侵襲のパルス酸素濃度計センサ、pHセンサ、CO2センサへの扉が開かれる。超小型および深部組織システムにおいて具現化された、これらのそれぞれが、新しい診断への扉を開くであろう。
【0081】
深部組織酸素分圧の測定に関して、無線O2感知システムの適用空間は広大である。臓器移植が明確な一例を提供する。臓器移植の需要は増え続けている。2019年には、米国だけで腎移植の待機リストに94,863人の候補者がいた。[全国データ-OPTN、https://optn.transplant.hrsa.gov/data/view-data-reports/national-data/参照]。臓器移植に続いて移植片の酸素化を監視することは重要であるが、通常、熟練したオペレータが要求され、組織灌流の断続的なスナップショットのみを提供する間接的な方法に依存している。同所性肝移植に続く移植片の酸素化の継続的で信頼できるモニタリングにより、たとえば、肝動脈血栓症または移植片血管疾患のいずれかによる移植片の虚血の早期の検出が可能になり、致命的な可能性がある、移植片喪失のリスクを最小化するためのタイムリーな外科的再調査が可能になる。特に、これらの合併症は移植に続いて数か月から数年で発生する可能性がある。本明細書に記載したもののような低侵襲の無線モダリティは、院外環境においてウェアラブルアプリケーションを介して移植片の酸素化をリアルタイムで監視することを可能にし、移植片の機能障害が発生する前に組織の酸素化に関する重要な情報を提供し、タイムリーな介入を可能にする。これは、臓器機能障害が発生したときに、実質拒絶を移植片血管疾患から区別するのにも役立つであろう。さらに、米国(U.S.)では年間570万人より多くの患者が集中治療室(ICU)に入院している。組織の酸素化の評価はこの環境における基本的なニーズである。いくつかの実施形態には外科的配置が要求されるが、いくつかの企図された実施形態により、プローブ配置のために半侵襲的/血管アプローチが可能になり得る。根底にある病理に応じて、さまざまな形態のショック中に観察されるような、病理学的状態中に局所的な酸素需給バランスが歪む可能性がある。したがって、理由が何であれ、要求に対して不十分な送達では組織pO2が減少することになる。他方、代謝要求の一次減少またはミトコンドリアの酸化的リン酸化の阻害または失敗は酸素供給にほとんど影響を与えることがなく、したがって、組織pO2が増加する可能性がある。酸素供給と需要の密接な一致は、送達の全体的な増加またはターンオーバーの減少を介してであっても、組織pO2に正味の変化をもたらすことはない。心拍出量、酸素供給または血圧のような心肺機能の全体的な測定値は、臓器および組織レベルでの局所的な代謝要求を反映していないことが多く、過度の流体負荷または強心薬投与を促進し、転帰を悪化させる可能性がある。この環境における注目すべき要因は、微小循環と大循環との間の血行動態の一貫性の欠如である。これらの変化は通常、数分から数時間にわたって発生することを考えると、パルスオキシメトリについて通常観察されるよりわずかに長い応答時間でも重要な臨床情報が得られるであろう。微小循環の直接測定と組織pO2の直接モニタリングを組み合わせれば、救命救急管理アプローチが大幅に強化されるであろう。組織の酸素含有量の正確な測定はしたがって、ショック状態の適切な管理に役立つが、現在は間接的または表面の深い方法に限定されている。本明細書に記載するような、深部組織の酸素化を監視するための新規な非侵襲的ならびに低侵襲的なモダリティは、酸素の送達または代謝が損なわれている病状の理解および管理を進めるために明らかに必要とされている。
【0082】
無線O2感知システムを長期的な、リアルタイムの生体内O2追跡に臨床的に採用するには、多くの技術的課題に対処しなければならない。主な課題の1つは、手術後の生体内位置がいかなる外部基準に対してもドリフトする可能性があるため、外部トランシーバによるインプラントの手術後の位置特定であり、このような動きは、体外からの圧力、患者の動きまたは呼吸、および傷跡の形成によって発生する可能性がある。各pO2測定前の生体内位置特定は、最初に超音波(US)後方散乱情報を利用して体内のインプラントの時間依存の位置を発見および次いで追跡する外部フェーズドアレイトランシーバで達成することができる。
【0083】
第2の課題は、散乱および吸収による音響減衰が、不均一組織内のインプラントへの異なるUS伝播経路間で異なるために発生し、組織内での減衰が大きい経路は、システムの電力転送効率およびデータ転送の信頼性を大幅に低下させる可能性がある。たとえば、筋肉内の脂肪含有量がより不均一に分布している筋肉組織は、より大きな音響減衰を示すことになる。ここでも、USエネルギーをインプラントに集中させることができる大口径の、多要素トランスデューサアレイを備えた外部トランシーバにより、USビームを優先経路に沿って操縦することが可能になる。最後に、標的組織の異なる場所に埋め込まれた複数のO2センサを時分割多重化方式でまたは同時に調査するためにフェーズドアレイを使用することができる可能性もある。
【0084】
これらの改善に加えて、無線O2センサの長期的な生体内使用には、電子センサコンポーネント(ICおよびμLED)およびピエゾ結晶への生体液の浸透を防止する気密パッケージが要求されることになる。従来このようなミリメートルスケールの移植可能な気密ハウジングは、要求される気密性を達成するためにろう付けまたはマイクロ溶接されたセラミックまたはチタンの筐体を使用している。これは商業的および学術的の両方で活発に活動している分野であり、大規模なレビューが最近公開された。[Shen, K. & Maharbiz, M. M. Ceramic Packaging in Neural Implants. bioRxiv 2020.06.26.174144 (2020) doi:10.1101/2020.06.26.174144]。セラミックまたは金属製のハウジングに超音波エネルギーを効率的に伝達するための音響窓が最近、学術文献において示されてきた。[Shen, K. & Maharbiz, M. M. Design of Ceramic Packages for Ultrasonically Coupled Implantable Medical Devices. IEEE Trans. Biomed. Eng. 67、2230~2240(2020)]。本明細書に記載のいくつかの実施形態は生体適合性ポリマー材料(パリレン-C、シリコーンおよびUV硬化性エポキシ)を使用して、急性および半慢性的実験でのその使いやすさを考慮してセンサをカプセル化する。これらの厚さのポリマー材料は、その高い水蒸気透過性のため、インプラントの長期間の生体内使用には適していないことが留意されるべきである。
【0085】
例の方法および実験データ
一例の酸素感知フィルムの作製。
フィルム製造のいくつかの実装形態は2つのステップを含むものであった。まず、発光色素、トリス-(バソフェナントロリン)ルテニウム(II)過塩素酸塩(Ru(dpp)3(ClO4)2)(CAS 75213-31-9、GFS Chemicals)を、10μmの直径のシリカ粒子(CAS 7631-86-9、LiChrosorb Si 100(10μm)、Sigma-Aldrich)の表面上に約1:10の色素:粒子の重量比で不動化した。簡単に言えば、200mgのRu(dpp)3(ClO4)2錯体を10mlのエタノール(ACS試薬≧99.5%、CAS 459844、Sigma-Aldrich)に溶解した。2gのシリカ粒子を40mlのNaOH(0.01N、CAS 1310-73-2、Fisher Scientific)水溶液に加え、この混合物を1000rpmの速度で30分間磁気攪拌することによってシリカゲルを調製した。次に、この色素含有エタノール溶液をシリカゲル溶液に注ぎ、1000rpmで30分間攪拌した。孔径0.45μmのフィルタ(カタログ番号165-0045、ThermoFisher Scientific)を通してこの溶液から色素含有シリカ粒子をろ過し、次いでエタノールで1回、そして脱イオン水で3回洗浄した。すべての上清を除去し、この色素担持シリカ粒子を70℃で一晩乾燥させた。
【0086】
第2に、色素担持シリカ粒子をポリジメチルシロキサン(PDMS)に組み込んで、水性媒体での色素の浸出に関連する問題を回避した。2gの乾燥シリカ粒子を、20gのPDMSプレポリマーパートAおよび2gのPDMS硬化剤パートB(Sylgard 184、Dow Corning)と完全に混合した。顕微鏡スライド上で少量のこの混合物を500rpmで回転させることによって、次いでこれを60℃の暗所および真空(<10Torr)下で約7日間硬化させ、溶媒および気泡を除去することによって、厚さ約100μmのフィルムを調製した。硬化したフィルムは、使用前に少なくとも24時間、室温で暗所に保ち、室温で暗所に保管した。
【0087】
一例の無線酸素センサの設計、製造、および組み立て。
いくつかの実装形態において、無電解ニッケル浸漬金(ENIG)コーティング(Rigiflex Technology)を施した厚さ100μmのポリイミドの、フレキシブルPCB上に無線センサを構築した。銀電極上に厚さ12μmで焼成された厚さ750μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)シートを、厚さ300μmのセラミック切断刃を備えたダイシングソーを使用してダイシングした。750μm3のPZTキューブを最初にフレキシブルPCBに1:1の混合比の2液型導電性銀エポキシ(8331、MG Chemicals)を使用して取り付け、次いで基板を65℃で15分間、PZTキュリー温度およびポリイミドの融解温度の十分下方で硬化させた。ウェッジボンダー(747677E、West Bond)を使用してPZTの上部電極をPCBにワイヤボンディングしてPZTとICとの間に電気的接続を作成した。次いで基板を、その生物学的不活性および湿気に対する耐性により絶縁のために化学蒸着を使用してパリレン-Cの厚さ約10μmの層でカプセル化した(Specialty Coating Systems)。厚さ約10μmのパリレンCは、その振動を減衰させることによってPZTのパワーハーベスティング効率を約49%減少させる。鋭利なプローブチップを使用してパッドの周囲のパリレンに傷を付けてパリレン層を除去することによって、ICとそのワイヤボンド用のPCB上の金属パッドを慎重に露出させた。同じ銀エポキシを使用してICをPCBに取り付け、65℃で15分間硬化させ、次いでPCBにワイヤボンディングした。次に、カットオン波長が550nmの厚さ約250μmの光学ロングパスフィルタ(Edmund optics)を、医療グレードの、UV硬化型エポキシ(OG142、Epotek)を使用してICの上部に取り付けた。同じUV硬化型エポキシをまた使用して、寸法が650μm×350μm×200μmのμLED(APG0603PBC、Kingbright)およびその3Dプリントホルダ(Protolabs)を含む、他のセンサコンポーネントを組み立てて、チップとμLEDのワイヤボンドを保護して絶縁を提供した。組み立てが完了した後、厚さ約100μmのO2感知フィルムをμLEDホルダと光学フィルタとの間の隙間を通して滑り込ませた。μLEDホルダとフィルムとの間の小さな残りの空間をPDMS(Sylgard 184、Dow Corning)によって充填した。PDMS Sylgard 184のパートAとBを10:1の比率で混合し、脱気し、その空間に注入し、室温で48時間硬化させた。最後に、生体適合性のある、O2透過性の高いブラックシリコーンの厚さ約180μmの層で、IC上の酸素感知領域をコーティングした。ブラックシリコーンは、2液性の、低粘度シリコーンエラストマー(MED4-4220、NuSil Technology, LLC)および黒色の、単一成分マスターバッチ(Med-4900-2 NuSil Technology, LLC)からなり、2つのシリコーン部分(AおよびB)を最初に1:1の重量比で混合し、次いでマスターバッチ(4重量%)を加え、完全に混合し、<約5分脱気し、センサ表面に塗布し、室温で48時間硬化させた。
【0088】
この例において、その高い電気機械結合係数および高い機械的品質係数のためにPZTが圧電材料として選択され、高いパワーハーベスティング効率が得られた。PZTの代わりに、電気機械結合係数がわずかに低い鉛フリーの生体適合性チタン酸バリウム(BaTiO3)セラミックを使用することができる。
【0089】
吊り下げ技術を使用することによって無線O2センサの体積を測定した。体積測定において、測定精度0.1mgの電子天秤に置かれた容器内の水面下に、テストリードなしのセンサを細い硬いワイヤで吊り下げた。センサを水に浸す前後の水で満たされた容器の重量差からセンサの体積を計算し、浮力に等しい重量の差を水の密度で割って、実際のセンサの体積を判定した。2つの別個のセンサを使用して体積測定を実行し、再現性を判定するために各センサの体積を5回測定した。すべての体積測定から得られたデータを、平均値および標準偏差値(平均±2s.d.)によって提示した。
【0090】
発光酸素センサのコンポーネントの光学特性評価
いくつかの実装形態において、O2感知フィルムの吸収スペクトルおよび光学フィルタの透過スペクトルをJenway 6300分光光度計で測定した。感知フィルムおよび青色μLEDの発光スペクトルは、1秒の積分時間で動作させ、電気的暗補正が有効になっているファイバー結合CCD分光計(Thorlabs、CCS200/M)を使用して測定した。Keithley 2400ソースメータで駆動されたレーザダイオード(Osram、PL450B、Thorlabsから購入)によって450nmでフィルムサンプルを励起し、その発光を515~800nmの範囲でスキャンした。Siフォトダイオード検出器(Thorlabs、S121C)を備えた光電力メータ(Thorlabs、PM100D)を使用してμLEDの光出力レベルを測定した。Keithley 2400ソースメータでμLEDの電流-電圧曲線を測定した。モノクロメータ、リファレンスフォトダイオード(Thorlabs、FD11A Siフォトダイオード)およびAgilent B2912Aソースメータに結合されたハロゲンランプを使用して、波長の関数としてのフォトダイオードの応答性を測定した。同じフォトダイオード(FD11A)を使用してμLEDの出力光強度も測定した。
【0091】
光退色および浸出試験
O
2感知フィルム内のRu色素の光退色は、完全にパッケージ化されたO
2センサ(
図1B)を使用して、室内空気(21%のO
2)中室温で60時間連続動作させて評価した。光退色試験の後、同じセンサを、カルシウムおよびマグネシウムがないリン酸緩衝生理食塩水(PBS、1x)(Corning、Mediatech Inc.)で、オーブン(Test Equity Model 107)内で37±0.1℃で14日間連続的に動作させて、フィルムにおけるRu色素の浸出およびさらなる光退色を評価した。試験において、ICの整流器入力にAC結合されたKeysight 33500B関数発生器からの差動、2MHzのAC信号によってセンサを電気的に駆動した。トランスインピーダンス増幅器(TIA)(
図2C)の出力はバッファ(LTC6268、Linear Technology)に接続した。試験中、2MHzのサンプリングレートで14ビットデジタイザ(NI PXIe-5122、National Instruments)を使用して、20kHzの励起周波数でのバッファ出力を連続的に測定した。カスタムLabviewプログラム(Labview 2018、National Instruments)が、O
2感知フィルムに不動化されたRu色素の発光強度に正比例するバッファ出力のピークツーピーク振幅を検出および記録するために開発された。収集されたデータを、それぞれ
図1Iおよび
図1Jで3時間および12時間ごとに平均化した。
【0092】
一例の外部トランシーバの設計
外部トランシーバは、送信機(TX)および受信機(RX)パスで構成された。TXパスは、統合されたTX/RXスイッチ(MAX 14808、Maxim Integrated)およびデジタルコントローラモジュール(NI PXIe-6363、National Instruments)を備えた商用高電圧パルサを含むものであった。TXモード中、高電圧パルサがデジタルコントローラモジュールからの低電圧信号を、外部超音波トランスデューサを駆動して超音波パルスを生成するために必要な高電圧信号に変換した。RXパスは、外部トランスデューサからの後方散乱信号を受信および増幅する超低ノイズ増幅器(AD8432、Analog Devices)と、アナログデジタルコンバータ(ADC)の入力範囲内のレベルに信号をさらに増幅するゲイン増幅器と、受信および増幅後に信号をフィルタリングおよびデジタル化するアンチエイリアシングフィルタと14ビット高速ADCを備えたデジタイザ(NI PXIe-5122、National Instruments)と、を含むものであった。パルサに組み込まれたスイッチに加えて、追加のデジタル制御スイッチ(ADG619、Analog Devices)を使用して、TXパスおよびRXパス間の電気的結合(相互作用)を最小限に抑えた。PXIシャーシ(NI PXIe-1062Q、National Instruments)のバックプレーンに統合された同じ基準クロックを使用することによって、TXおよびRXパスを互いに同期させた。デジタルコントローラ、デジタイザ、およびNI PXIe-8360モジュールをシャーシに挿入し、他のモジュールとの通信およびデータ転送のためにシャーシをコンピュータに接続するためにNI PXIe-8360モジュールを使用したことに留意されたい。
【0093】
カスタムLabviewプログラム(Labview 2018、National Instruments)が、モジュールを制御し、後方散乱データをリアルタイムで処理するために開発された。(TXおよびRX)通信プロトコルをこのプログラムにおいてエンコードした。リアルタイムデータ処理中、サンプリングレート20MHzの14ビットADCによってデジタル化された後方散乱データを5倍にリサンプリングし、次いでシンク関数で補間した。シンク補間に続いて、後方散乱信号の包絡線を抽出するためのピーク検出と、線形補間を行ってデータポイントの数を増やし、ビットエラーレート(BER)を最小化する最適なしきい値の決定の精度を向上させた。定常状態の後方散乱信号が振幅変調された場合と変調されていない場合の時間間隔からデータポイントの平均をとることによって、最適なしきい値(すなわち、変調された後方散乱信号振幅と変調されていない後方散乱信号振幅の合計の半分の値)を決定した。このしきい値は、デジタル化されたデータをデジタル形式、ビット(「0」または「1」)に変換するために使用した。ビットをスキャンしてプリアンブルとポストアンブルを検出し、したがってデータビットを抽出した。バイナリコード化されたデータ(ビット)は数値データに変換され、これがコンピュータに格納された。
【0094】
例の試験管内および生体外特性評価
無線酸素モニタリングシステムの試験管内特性評価を、カスタム構築された水槽において、手動回転ステージ(Thorlabs)に接続された直径0.75mmのスチールロッドの上部に取り付けられた、テストリード付きの無線酸素センサのさまざまな位置合わせおよび位置で、手動移動ステージ(Thorlabs)に取り付けられ、外部トランシーバボードに接続された、47.8mmの焦点深度を備えた25.4mmの直径の、2.25MHzの単素子外部超音波トランスデューサ(V304-SU-F1.88IN-PTF、Olympus)を使用して実行した。測定において、外部トランスデューサ面をラテックスの薄いシートで覆い、トランスデューサ面とラテックスシートとの間の空きスペースをヒマシ油(結合媒体として使用)で満たすことによって、水または超音波ゲルとの長時間の直接接触によるあり得る損傷からトランスデューサのマッチング層を保護した。ハイドロフォン(HGL-0400、Onda)を使用して出力圧力およびしたがって音響強度を較正し、外部トランスデューサの音響ビームパターンを特性評価した(
図5Tおよび
図5U)。
【0095】
測定において、水槽を攪拌ホットプレート(Thermo Scientific Cimarec)に置き、水温を37±0.1℃で一定に保って生理的温度をシミュレートし、マグネチックスターラを使用して攪拌して蒸留水中で低から高O2レベルおよびその逆へ移行速度を上げた。水のO2濃度は、コア径300μmの市販のO2プローブ(NEOFOX-KIT-PROBE、BIFBORO-300-2、Ocean Optics)を使用して監視し、2本のパイプを通じて、O2およびN2ガスボンベに接続されたガス流コントローラ(FMA-A2407、Omega)の一致した対を介して水槽に供給されたO2とN2の比率を制御することによって変化させた。カスタマイズされたMatlabプログラムが、コンピュータに接続されたデジタルアナログコンバータボード(NI myDAQ、National Instruments)を通してガス流コントローラを制御した。
【0096】
無線システムからの測定された位相出力データは、指数方程式pO
2(mmHg)=A・e(
B/Ф)+C、Фは位相出力、A、BおよびCは曲線フィッティングから得られる定数係数(
図5Q参照)によってmmHgのO
2濃度(酸素の分圧、pO
2)に変換された。
【0097】
37±3℃で4時間の曝露時間および37±3℃で24時間の曝気時間によるエチレンオキシド(EtO)殺菌が、商業ベンダー(Blue Line Sterilization Services LLC、Novato、CA)によって実行された。
【0098】
完全にパッケージ化されたO
2センサ(
図1B)の機能性を、生体内生物付着を(一次的に)模倣する環境で経時的に評価するため、カルシウムおよびマグネシウムを含まないリン酸緩衝生理食塩水(PBS、1×)(Corning、Mediatech Inc.)およびプールされたヒト血清(血餅から離れた)(Innovative Research、Inc., Novi、MIから購入)を使用して、オーブン内で37±0.1℃でセンサを10日間インキュベートした(Test Equity Model 107)。最終濃度が100単位/mLおよび100μg/mLの2つの抗生物質、ペニシリンとストレプトマイシン(Life Technologies によるGibco、カタログ# 15-140-122、ThermoFisher Scientificから購入)をヒト血清に添加して、調査中細菌の増殖を阻害した。血清中の試験は、センサを容器に入れることによって実施され、抗生物質を添加した血清を24時間ごとに交換して、研究期間中の無菌状態を確保した。汚損試験において、ICの整流器入力にAC結合されたKeysight 33500B関数発生器によって生成された差動、2MHzのAC信号を使用して、350サンプル/秒(Hz)のサンプリングレートでセンサを動作させた。整流器の入力の1つは、高入力インピーダンスのバッファ増幅器(LTC6268、Linear Technology)に接続された。バッファ出力、O
2データを、14ビット高速デジタイザ(NI PXIe-5122、National Instruments)によって記録し、関数発生器のクロック、およびカスタムLabviewプログラム(Labview 2018、National Instruments)に同期させた。
【0099】
カスタム設計および構築された球状に集束された、2MHz、25.4mm直径の、焦点距離が88.1mmの超音波トランスデューサ(Sensor Networks Inc.)で、DI水中10cm深さでの、および新鮮な生体外ブタ標本を通した、システムのアップリンク性能評価のための測定を実行した(トランスデューサビームパターンについては
図5Vおよび
図5W参照)。生体外測定において、無線センサと外部トランスデューサとの間にブタ組織サンプルを配置し、超音波ゲル(Aquasonic Clear、Parker Labs)によって結合が可能になった。2800rpmで10分間の遠心分離を介して超音波ゲル内の気泡を除去した。センサと組織との間に閉じ込められた可能性のある気泡を除去するため、DI水で満たされた容器内の組織サンプル上にセンサを配置した。容器の底界面からの超音波反射を避けるために超音波吸収材料片を組織サンプルの下に置いた。
【0100】
後方散乱変調深度
変調および非変調後方散乱信号間の振幅差の非変調後方散乱信号の振幅に対する比率として、後方散乱相対差が定義される。後方散乱相対差に100を掛けることによって変調深度のパーセンテージを計算した。O2測定中に定常状態の後方散乱信号が振幅変調されたおよび変調されなかった時点からデータサンプルを収集することによって、後方散乱相対差プロットが得られた。
【0101】
超音波(US)リンク電力伝達効率
USリンク電力伝達効率は、ICの入力電力の外部トランスデューサから放出される音響電力に対する比として定義され、これは、外部トランスデューサのビーム集束能力、伝播媒体におけるUS強度の周波数依存減衰、およびセンサの電力変換効率に依存する。サイドローブの強度が無視できない円形領域にわたって、焦点距離でハイドロフォンによって得られた音場強度データを統合することによって、トランスデューサ表面での音響出力を計算した。センサの電力変換効率は、ピエゾの受信(音響から電気への変換)効率およびピエゾとICとの間のインピーダンス整合に依存し、ICの入力電力のセンサピエゾの表面での音響出力に対する比率に等しく、ハイドロフォンからの音場強度データをセンサピエゾの表面にわたって統合することによってピエゾ表面での音響出力を計算した。
【0102】
生体内測定
毎秒350サンプルのサンプリングレートで動作させた無線システムで組織pO
2測定を実行した。生体内測定において、外部トランスデューサから無線O
2センサまでの最大距離は、454mW/cm
2のディレーティングされたI
SPTAおよび0.08の機械的指数(両方とも720mW/cm
2および0.19のFDA規制限界の下方)を有する音場で動作させて、約26mmであって、約19mmが組織(皮膚、脂肪、および筋肉を含む)からなるものであった。埋め込まれたセンサと外部トランスデューサとの間の距離は、往復飛行時間(すなわち、センサピエゾから受信された後方散乱信号と外部トランスデューサを駆動した信号との間の時間遅延)から推定した。無線データと有線データの両方を5秒ごとに平均化した。生体内測定において2つの同一の無線O
2センサを使用し、水および動物AにおけるさまざまなO
2濃度に対する第1のセンサ応答を
図5Dおよび
図5Nに示し、水および動物Bにおける第2のセンサ応答を
図5O、
図9A、
図9Bに示した。すべての画像をスマートフォンカメラによって撮影した。
【0103】
いくつかの例の実装形態において、アップリンク性能を評価するため、脱イオン(DI)水および筋肉組織様模型において50mm深さおよび毎秒360サンプル(sps)f
sでビットエラーレート(BER)測定も実行される(
図7A~7Cも参照)。モートは、BER<10
-5(>10
5サンプル中0)および変調深度>10%を達成し、堅牢なデータアップリンクを示している。
【0104】
図6A~
図6Fに関して、
図6Aおよび
図6Bは、さまざまな溶存酸素(DO)濃度で測定された一例のシステム応答を示し、
図6Cは例のデータの一例のアラン偏差を示し、
図6DはO
2とN
2の交互の流れに対する一例の応答を示し、
図6Eは位相読み出し回路の一例の非線形性を示し、
図6Fは一例のシュテルン-フォルマープロットを示す。さらに説明すると、モートは可逆的かつ反復可能なDO応答を示し、そのO
2感度は>0.5°/%であり(たとえば、
図6B参照)、f
s=360spsでのФ分解能は0~13.2%のO
2範囲において<0.38°であり、O
2分解能<0.76%になる(たとえば、
図6C参照)。発光強度(I)はO
2の関数(I
0/I=1+K
SV[O
2])であり、Ф分解能はコンパレータ出力でのジッタノイズによって制限されるため、DO濃度が減少するにつれてФ分解能は向上する。フォトダイオード、TIA、コンパレータ、およびTDCを含む、全位相読み出し非線形性(NL)は、変調されたΔФを生成してμLEDを駆動する関数発生器を使用して評価し、端点法を使用して計算した。測定された最悪の場合のNLはセンサ動作Ф範囲にわたって<0.27LSB(1LSB=0.45°)である。τベースのシュテルン-フォルマープロットにより、主にフィルム内の不均一なRu色素分散のため、非線形挙動が明らかになる。
【0105】
図7A~
図7Cは、本明細書で開示されたシステムおよび方法の以前から知られているシステムに対する利点を示す一例を示す。より具体的には、
図7A~
図7Cにおいて、
[3]は、L. Yaoら「Sensitivity-enhanced CMOS phase luminometry system using xerogel-based sensors」、IEEE TBioCAS、vol. 3、no. 5、304頁~311頁、2009年10月からの測定を示し、
[4]はW. P. Chanら、「A monolithically integrated pressure/oxygen/temperature sensing SoC for multimodality intracranial neuromonitoring」、IEEE JSSC、vol. 49、no. 11、2449頁~2461頁、2014年11月からの測定を示し、
[5]は、E. A. Johannessenら、「Implementation of multichannel sensors for remote biomedical measurements in a microsystems format」、IEEE Trans. Biomed. Eng.、vol. 51、no. 3、525頁~535頁、2004年3月からの測定を示す。
【0106】
USリンクの位置ずれのシステム動作への例の影響
次のセクションは、USリンクの位置ずれのシステム動作への一例の影響を説明する。近接場電磁波の代わりに、音波を使用することで、大きな深さ(≧5cm)でmmスケールの無線O2センサに給電してこれと通信することが可能になったが、これによりシステムは外部トランシーバと無線O2センサとの間のUSリンクの位置合わせに敏感になった。したがって、これは、USリンクの位置ずれのシステム動作への影響を理解するのに役立った。
【0107】
センサV
rectおよびアップリンクビットエラーレート(BER)を測定することによってシステムの位置ずれ感度を評価した(
図9C、
図9Dおよび
図9E)。μLEDをオンにしてしたがってセンサを動作させるために必要な最小V
rectは約1.36Vであった(
図9G参照)。1.36VのV
rectを生成するために要求される最小音響強度は142mW/cm
2であり、720mW/cm
2のFDA制限(ディレーティングされたI
SPTA)の約19.7%であった。この約5×の音響強度マージンにより、強度を安全なレベルに保ちながら適切なセンサ動作のためにUSリンクの位置ずれを許容する能力が提供された。
【0108】
47.8mmの焦点深度を備え、2MHzで220mW/cm
2の固定I
SPTAを備えた音響パルスを生成する、25.4mm直径のトランスデューサを使用して水槽内で位置合わせ測定を実行した(
図9C)。角度ずれがゼロでUSビームの中心軸上でセンサを動作させたとき、システムは、BER性能を犠牲にすることなく、約41~57mmの広い深度範囲で堅牢に動作することができ(
図9D)、動作深さ範囲内のさまざまな深さで測定されたBERは10
-5の下方であった。焦点深度で音場の中心軸上に配置されたセンサを、センサのピエゾの中心軸に対して横方向および角度方向にスキャンしたとき、システムはまた、ビームの中心軸に対して24°の角度方向および0.56mmの横方向のずれでは適切に機能したが、代償として異なる角度方向および/または横方向のずれでBER性能がわずかに低下した(
図9Eおよび
図9F)。
【0109】
リンク位置ずれ測定は、横方向の位置ずれと比較して深さの位置ずれに対してシステム動作が比較的高い耐性を示すことを示したが、これは単一素子集束トランスデューサの-3dBの被写界深度(DOF、約12mm)が焦点深度でのそのビームスポットサイズ(HPBW、約1.2mm)よりかなり高いためである(
図5Tおよび
図5U)。実際には、音響スタンドオフパッドおよび/または超音波ゲルまたは異なる焦点深度を備えた外部トランスデューサのいずれかを使用することによって、細かな深さの位置合わせを実現することもできる。センサを組織内に慎重に外科的に配置することによって、±24°の動作角度の位置ずれ範囲内の角度位置合わせを実行することができる。ここで、外部トランスデューサによって生成された横方向のビームパターンのため、横方向の位置ずれに動作が比較的敏感であった。トランスデューサに組み込まれた音響レンズの形状を最適化することによって、所望の焦点距離での横ビームスポットサイズを増加させることができる。スポットサイズを広くしたカスタム設計および構築された単一素子トランスデューサを使用して横方向の位置ずれに対するシステム感度を減少させることができるが、代償としてUSリンク電力伝達効率が減少する。
【0110】
さらに、実装されると、本明細書またはその一部に記載の方法および技術のいずれかを、磁気ディスク、レーザディスク、光ディスク、半導体メモリ、生物学的メモリ、コンピュータまたはプロセッサなどのRAMまたはROM内の他のメモリデバイス、または他の記憶媒体のような1つまたは複数の非一時的な、有形の、コンピュータ可読記憶媒体またはメモリに格納されたソフトウェアを実行することによって実行することができる。
【0111】
もちろん、本明細書に記載のシステム、方法および技術の用途および利益は、上の例のみに限定されない。本明細書に記載のシステム、方法および技術を使用することによって、多くの他の用途および利益が可能である。
【0112】
例示的な実施形態
実施形態1.患者のO2レベルを測定するためのモートであって、
超音(US)波の送信および受信の両方を行うように構成されたモートピエゾと、
モートピエゾによって受信されたUS波を電気エネルギーに変換することによって給電されるように構成されたコンデンサと、
コンデンサによって給電されるように構成された発光センサであって、発光センサの少なくとも一部が不透明材料によって光学的に分離されている、発光センサと、
を含む、モート。
【0113】
実施形態2.不透明材料はブラックシリコーンである、実施形態1のモート。
【0114】
実施形態3.光学的分離は発光センサの少なくとも一部と患者の組織との間の光学的分離である、実施形態1~2のいずれか1つのモート。
【0115】
実施形態4.発光センサは患者の組織から完全に光学的に分離されている、実施形態1~3のいずれか1つのモート。
【0116】
実施形態5.発光センサは、
光励起用に構成された発光ダイオード(LED)と、
O2感受性発光ルテニウム(Ru)色素のカプセル化用に構成された生体適合性フィルムと、
光学フィルタと、
集積フォトダイオードを備えた集積回路(IC)と、
をさらに含む、実施形態1~4のいずれか1つのモート。
【0117】
実施形態6.コンデンサはモート集積回路(IC)の一部であり、
モートICは、(i)トランスインピーダンス増幅器およびコンパレータを含むアナログフロントエンドと、(ii)時間デジタルコンバータ(TDC)と、(iii)有限状態機械(FSM)と、(iv)低ドロップアウト(LDO)と、(v)電圧ダブラと、(vi)発光ダイオード(LED)ドライバと、を含み、
モートICは、
第1のフェーズにおいて、(i)モートピエゾによって受信されたUS波を電気エネルギーに変換することによってコンデンサに給電し、(ii)アナログフロントエンド、TDC、LDO、電圧ダブラおよびLEDドライバの少なくとも1つをデューティサイクルオフし、そして
第2のフェーズにおいて、USデータ送信を受信する
ように構成されている、
実施形態1~5のいずれか1つのモート。
【0118】
実施形態7.発光センサは、モートピエゾによって受信されたUS波に基づいて患者のO2レベルを測定するように構成されている、実施形態1~6のいずれか1つのモート。
【0119】
実施形態8.コンデンサは100nF未満の値を有する、実施形態1~7のいずれか1つのモート。
【0120】
実施形態9.コンデンサは2.5nFの値を有する、実施形態1~8のいずれか1つのモート。
【0121】
実施形態10.患者のO2レベルを測定するための方法であって、
電源投入フェーズにおいて、超音波(US)信号を受信することによってコンデンサに給電するステップと、
データ送信フェーズにおいて、USデータ送信を受信するステップと、
を含み、
データ送信フェーズ中、モートの少なくとも1つのコンポーネントがデューティサイクルオフされる、
方法。
【0122】
実施形態11.モートの少なくとも1つのコンポーネントは、
トランスインピーダンス増幅器およびコンパレータを含むアナログフロントエンド、
時間デジタルコンバータ(TDC)、
低ドロップアウト(LDO)、
電圧ダブラ、および
発光ダイオード(LED)ドライバ
の少なくとも1つを含む、実施形態10の方法。
【0123】
実施形態12.モートの少なくとも1つのコンポーネントは、
トランスインピーダンス増幅器およびコンパレータを含むアナログフロントエンド、
時間デジタルコンバータ(TDC)、
低ドロップアウト(LDO)、
電圧ダブラ、および
発光ダイオード(LED)ドライバ
のすべてを含む、実施形態10~11のいずれか1つの方法。
【0124】
実施形態13.受信されたUSデータ送信から生成された電流を、患者のO2レベルを測定するように構成された発光センサに送信するステップと、
測定されたO2レベルに基づいて電流を変調するステップと、
測定されたO2レベルをエンコードする超音波後方散乱に、変調された電流を変換するステップと、
超音波後方散乱を質問器に放出するステップと、
をさらに含む、実施形態10~12のいずれか1つの方法。
【0125】
実施形態14.データ送信フェーズ中、
受信されたUSデータ送信から生成された電流を、患者のO2レベルを測定するように構成された発光センサに送信するステップと、
測定されたO2レベルに基づいて電流を変調するステップと、
後方散乱フェーズ中、
測定されたO2レベルをエンコードする超音波後方散乱に、変調された電流を変換するステップと、
超音波後方散乱を質問器に放出するステップと、
をさらに含む、実施形態10~13のいずれか1つの方法。
【0126】
実施形態15.後方散乱フェーズ中、
モートの少なくとも1つのコンポーネントはデューティサイクルオンされ、
コンデンサは放電してモートの少なくとも1つのコンポーネントに給電する、
実施形態10~14のいずれか1つの方法。
【0127】
実施形態16.モートは、コンデンサによって給電されるように構成された発光センサを含み、
発光センサの少なくとも一部が不透明材料によって光学的に分離されている、
実施形態10~15のいずれか1つの方法。
【0128】
実施形態17.モートは、コンデンサによって給電されるように構成された発光センサを含み、
発光センサの少なくとも一部がブラックシリコーンによって光学的に分離されている、
実施形態10~16のいずれか1つの方法。
【0129】
実施形態18.モートは、コンデンサによって給電されるように構成された発光センサを含み、
発光センサ全体が光学的に分離され、
光学的分離の少なくとも一部がブラックシリコーンによって提供されている、
実施形態10~17のいずれか1つの方法。
【0130】
実施形態19.受信されたUSデータ送信に基づいてO2感受性発光ルテニウム(Ru)色素を励起するステップをさらに含む、実施形態10~18のいずれか1つの方法。
【0131】
実施形態20.超音波(US)信号をモートに送信および受信するためのデバイスであって、
超音(US)波を送信および受信するように構成されたピエゾと、
電源投入フェーズにおいて、電力US送信がモートに対して行われ、
データ送信フェーズにおいて、データUS送信がモートに対して行われる
ように、US波を送信および受信するようにピエゾを制御するように構成されたUS質問器と、を含む、デバイス。
【0132】
実施形態21.US質問器は、電源投入フェーズ中にデータUS送信が行われないように、US波を送信および受信するようにピエゾを制御するように構成されている、実施形態20のデバイス。
【0133】
実施形態22.US質問器は、US後方散乱を受信するようにさらに構成され、
US質問器は、US後方散乱を分析してO2の測定量を判定するように構成されている、
実施形態20~21のいずれか1つのデバイス。
【0134】
実施形態23.US質問器は、電力US送信を制御することによってモートのコンデンサを所定のレベルまで充電するようにさらに構成されている、実施形態20~22のいずれか1つのデバイス。
【0135】
実施形態24.US質問器は、電力US送信を制御することによってモートの低ドロップアウト(LDO)の電圧レベルを所定の電圧レベルにするようにさらに構成されている、実施形態20~23のいずれか1つのデバイス。
【0136】
実施形態25.US質問器は、電力US送信を制御することによって、
モートのアナログ低ドロップアウト(A-LDO)の電圧レベルを所定のアナログVDD(A-VDD)電圧レベルに、そして
モートのデジタル低ドロップアウト(D-LDO)の電圧レベルを所定のデジタルVDD(D-VDD)電圧レベルに
するようにさらに構成されている、実施形態20~24のいずれか1つのデバイス。
【0137】
実施形態26.モートの発光センサが患者の組織から光学的に分離されている、実施形態20~25のいずれか1つのデバイス。
【0138】
実施形態27.データUS送信は、モートの発光センサにO2感受性発光ルテニウム(Ru)色素を励起させるように構成されている、実施形態20~26のいずれか1つのデバイス。
【0139】
実施形態28.パルスエコー超音波(US)通信を使用して患者のO2レベルを測定するための方法であって、
データを第1のデータパケットおよび第2のデータパケットに分割するステップであって、第1のデータパケットは最上位ビットを含み、第2のデータパケットは最下位ビットを含む、ステップと、
第1のデータ送信フェーズにおいて、第1のデータパケットを送信するステップと、
第2のデータ送信フェーズにおいて、第2のデータパケットを送信するステップと、
送信された第1および第2のデータパケットにしたがって患者のO2レベルを測定するステップと、
を含む、方法。
【0140】
実施形態29.第1の後方散乱受信フェーズ中、第1のデータパケットの後方散乱を受信するステップと、
第2の後方散乱受信フェーズ中、第2のデータパケットから後方散乱を受信するステップと、
をさらに含む、実施形態28の方法。
【0141】
実施形態30.第1のデータ送信フェーズの前に、
電源投入フェーズにおいて、US信号を送信することによってコンデンサに給電するステップ
をさらに含む、実施形態28~29のいずれか1つの方法。
【0142】
実施形態31.プリアンブルが第1のデータパケットの最上位ビットに先行する、実施形態28~30のいずれか1つの方法。
【0143】
実施形態32.ポストアンブルが第2のデータパケットの最下位ビットに続く、実施形態28~31のいずれか1つの方法。
【0144】
実施形態33.第1のデータパケットおよび第2のデータパケットはそれぞれ15μsの長さである、実施形態28~32のいずれか1つの方法。
【0145】
実施形態34.第1のデータパケットの最上位ビットは5ビットであり、
1ビットのプリアンブルが第1のデータパケットの最上位ビットに先行する、
実施形態28~33のいずれか1つの方法。
【0146】
実施形態35.第2のデータパケットの最下位ビットは5ビットであり、
1ビットのポストアンブルが第2のデータパケットの最下位ビットに続く、
実施形態28~34のいずれか1つの方法。
【0147】
参照による組み込み
次の文献のそれぞれを、参照によりその全体を組み込む。
・「IMPLANTS USING ULTRASONIC BACKSCATTER FOR DETECTING ELECTROPHYSIOLOGICAL SIGNALS」という名称の米国特許出願公開第2019/0150883号
・「IMPLANTS USING ULTRASONIC BACKSCATTER FOR SENSING ELECTRICAL IMPEDANCE OF TISSUE」という名称の米国特許出願公開第2019/0150882号
・「IMPLANTS USING ULTRASONIC WAVES FOR STIMULATING TISSUE」という名称の米国特許出願公開第2019/0150884号
・「IMPLANTS USING ULTRASONIC BACKSCATTER FOR SENSING PHYSIOLOGICAL CONDITIONS」という名称の米国特許第10,300,310号
・「IMPLANTS USING ULTRASONIC BACKSCATTER FOR SENSING PHYSIOLOGICAL CONDITIONS」という名称の米国特許第10,300,309号
・「IMPLANTS USING ULTRASONIC BACKSCATTER FOR RADIATION DETECTION AND ONCOLOGY」という名称の米国特許出願公開第2019/0150881号
・「IMPLANTS USING ULTRASONIC BACKSCATTER FOR SENSING PHYSIOLOGICAL CONDITIONS」という名称の米国特許第10,118,054号
【符号の説明】
【0148】
110 モート
120 モートピエゾ
130 モートIC
140 カプセル化物
150 μLED
220 外部ピエゾ
230 HVパルサ
240 高電圧(HV)ドライバ
250 レベルシフタ
410 能動全波整流器
420 電圧ダブラ
430 オンオフキーイング(OOK)復調器
440 gm-Cフィルタ
450 LEDドライバ
460 LED
470 レプリカドライバ
【国際調査報告】