(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】ポリマー組成物におけるフィラー構造の保持
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20230406BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20230406BHJP
C08J 3/215 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/04
C08J3/215
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549836
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 US2021019066
(87)【国際公開番号】W WO2021168422
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506093430
【氏名又は名称】ビルラ カーボン ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】ティアン ジュン
【テーマコード(参考)】
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA15
4F070AB24
4F070AC04
4F070FA03
4F070FB06
4F070FC06
4J002AA011
4J002BB021
4J002BB111
4J002BC021
4J002BD031
4J002BG031
4J002BN151
4J002CB001
4J002CG001
4J002CL001
4J002DA036
4J002FD116
4J002GQ02
(57)【要約】
高ストラクチャーフィラー材料を含むポリマー組成物及び構造を保持しながらそのような組成物を調製する方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー化合物を調製する方法であって:
a)ポリマー及びフィラーを含む供給組成物を供給し;前記フィラーが、前記供給組成物の5~40質量%の量で前記供給組成物中に存在すること;
b)前記供給組成物を均質化して溶融ポリマー組成物を形成し;均質化は前記ポリマーの推奨処理温度範囲の上限よりも10~100℃高い温度で行い;それによりポリマー化合物を形成すること
を含む方法。
【請求項2】
前記溶融ポリマー組成物を凝固させることを更に含み;前記フィラーが、前記溶融ポリマー組成物を凝固させた後に、ASTM D3849に従った透過型電子顕微鏡(TEM)による測定で、その構造の少なくとも80%を保持している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィラーが、前記溶融ポリマー組成物を凝固させた後に、ASTM D3849に従った透過型電子顕微鏡(TEM)による測定で、その構造の少なくとも90%を保持している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィラーが、前記溶融ポリマー組成物を凝固させた後に、ASTM D3849に従った透過型電子顕微鏡(TEM)による測定で、その構造の少なくとも95%を保持している、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記溶融ポリマー組成物を凝固させて前記ポリマー化合物のペレットにする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記フィラーが、前記供給組成物の15~30質量%の量で前記供給組成物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フィラーが、前記供給組成物の18~27質量%の量で前記供給組成物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記フィラーの凝集体が、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定されるブドウ状構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記フィラーがカーボンブラックである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カーボンブラックが半伝導性又は伝導性である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記カーボンブラックの吸油量(OAN)が、ASTM D2414-18に従った測定で少なくとも100cc/100gである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記カーボンブラックの吸油量(OAN)が、ASTM D2414-18に従った測定で100~250cc/100gの範囲にある、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記カーボンブラックの吸油量(OAN)が、ASTM D2414-18に従った測定で100~180cc/100gの範囲にある、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記カーボンブラックは、(a)ASTM D2414-18に従った測定で100~180cc/100gの範囲にある吸油量(OAN);(b)ASTM D6556による測定で50~210m
2/gの範囲にある窒素比表面積(NSA);並びに(c)ASTM D6556による測定で50~150m
2/gの範囲にある統計的厚さ比表面積(STSA)を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記カーボンブラックの平均粒径分布が、ASTM D3849に従った測定で20~60nmの範囲にある、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記カーボンブラックの平均粒径分布が、ASTM D3849に従った測定で40~50nmの範囲にある、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマーが溶融加工可能なポリマーであり、熱可塑性又は熱硬化性である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマーが、ポリ(オレフィン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、アセタール、アクリル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、若しくはコポリマー、又はこれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーのメルトフローインデックスが、ASTM D1238に従った測定で少なくとも5g/10分である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマーのメルトフローインデックスが、ASTM D1238に従った測定で少なくとも20g/10分である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリマーのメルトフローインデックスが、ASTM D1238に従った測定で10~90g/10分の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリマー化合物が伝導性ポリマー化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記伝導性ポリマー化合物から形成される射出成形チップの表面抵抗率が、ASTM D4496に従ったLoresta-GP MCP-T600抵抗率計での測定で1,000Ω/スクエア以下である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記伝導性ポリマー化合物から形成される射出成形チップの表面抵抗率が、ASTM D4496に従ったLoresta-GP MCP-T600抵抗率計での測定で10~1,000Ω/スクエアの範囲にある、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記伝導性ポリマー化合物から形成される射出成形チップの表面抵抗率が、ASTM D4496に従ったLoresta-GP MCP-T600抵抗率計での測定で10~80Ω/スクエアの範囲にある、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記伝導性ポリマー化合物から形成される射出成形チップの表面抵抗率が、ASTM D4496に従ったLoresta-GP MCP-T600抵抗率計での測定で20~80Ω/スクエアの範囲にある、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリマー化合物の分散指数が、ASTM D2663に従った測定で少なくとも80である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリマー化合物の分散指数が、ASTM D2663に従った測定で少なくとも90である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマー化合物の分散指数が、ASTM D2663に従った測定で少なくとも95である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が:
a)ホッパー及び混合室を有する混合装置を用意すること;
b)前記ポリマー及び前記フィラーを含む前記供給組成物を前記混合装置のホッパーに供給すること;
c)前記供給組成物を前記ホッパーから前記混合装置の前記混合室に移動させること;
d)前記混合室内で前記供給組成物を均質化して前記溶融ポリマー組成物を形成することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記混合装置の前記混合室が、少なくとも1つの共回転するダブルローターを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記混合装置の前記混合室が、逆回転非噛合型ダブルローターを有する請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記逆回転非噛合型ダブルローターが、7/7型(#7/#7)ローターの組み合わせ、7/15型(#7/#15)ローターの組み合わせ、15/7型(#15/#7)ローターの組み合わせ、又は15/15型(#15/#15)ローターの組み合わせから選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記供給組成物を少なくとも500kg/時間の速度で前記混合装置の前記ホッパーに供給する、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
請求項1~34のいずれかに記載の方法によって調製される伝導性ポリマー化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年2月20日に出願された米国仮特許出願第62/979,335号の利益を主張するものであり、同出願は参照によりその全体が援用される。
【0002】
本開示は、フィラーを含むポリマー組成物、及びそのようなフィラー含有ポリマー組成物を配合して、フィラー、特にそのようなポリマー組成物の構造を保持する方法に関し、フィラーは高ストラクチャーカーボンブラックを含む。
【背景技術】
【0003】
カーボンブラックなどのフィラーは、様々な用途で、ポリマー材料に望ましい特性を付与するために利用できる。様々な態様において、そのようなフィラーは、紫外線照射耐性、導電性及び/若しくは熱伝導性、補強、並びに/又は色を与えることができる。
カーボンブラックなどのフィラーを含むポリマーの伝導性は、フィラーの構造に関連している可能性がある。カーボンブラックなどの高ストラクチャーフィラーは製造可能であるが、フィラーをポリマー系に配合すると、通常、この高ストラクチャーが縮小又は破壊される。そのため、高ストラクチャーフィラー含有ポリマー材料、及びこれを製造する方法の改善が必要とされている。こうした必要性は本開示の組成物及び方法によって満たされる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的に従って、本明細書において具体化し幅広く説明するように、本開示は、一態様では、フィラーを含むポリマー組成物、及びそのようなフィラー含有ポリマー組成物を配合して、フィラー、特にそのようなポリマー組成物の構造を保持する方法に関し、フィラーは高ストラクチャーカーボンブラックを含む。
一態様では、(a)ポリマー及びフィラーを含む供給組成物を供給し;フィラーが、供給組成物の5~40質量%の量で供給組成物中に存在すること;及び(b)供給組成物を均質化して溶融ポリマー組成物を形成し;均質化はポリマーの推奨処理温度範囲の上限よりも10~100℃高い温度で行い;それによりポリマー化合物を形成することを含む、ポリマー化合物を調製する方法が開示される。
開示される方法に従って調製されるポリマー化合物も開示される。
本発明の追加の態様は、一部を以下に説明し、一部は説明から明らかであり、又は本発明の実施によって教示できる。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲に具体的に示される要素及び組み合わせによって実現及び達成されよう。当然のことながら、前述の一般的な説明と以下の詳細な説明はいずれも例示的及び説明的なものにすぎず、請求項に記載の本発明を制限しない。
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、説明と共に、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】単段式のFarrel Continuous Mixerにおける2つの逆回転非噛合型スクリュー(7/15型、又は#7/#15、ローターの組み合わせ)の例示的な設計と、関連する機能部分(供給部、混合部、頂点領域)を描写した図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、以下の本発明の詳細な説明及びそこに含まれる実施例を参照することによって、より容易に理解することができる。
本発明の化合物、組成物、物品、システム、装置、及び/又は方法を開示及び説明する前に、これらは当然ながら異なる可能性があるため、他に指定のない限り特定の合成方法、又は他に指定のない限り特定の試薬に限定されないことを理解されたい。また当然のことながら、本明細書で使用する用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、限定することを意図していない。本明細書に記載するものと類似又は同等の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用できるが、例示的な方法及び材料をここに説明する。
本明細書で言及する全ての刊行物(ASTM方法を含む)は、参照により本明細書に援用され、当該刊行物の引用にかかる方法及び/又は材料を開示及び説明する。
他に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における通常の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと類似又は同等の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用できるが、例示的な方法及び材料をここに説明する。
【0007】
特に別段の記載がない限り、本明細書で使用する単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに他を指示していない限り、複数の参照語を含む。従って、例えば「a filler(フィラー)」又は「a solvent(溶媒)」への言及は、それぞれ2つ以上のフィラー又は溶媒の混合物を含む。
本明細書で使用する「メルトフローインデックス」は、10分間に何グラムのポリマーが型を流れるかの尺度であり、従って、単位「g/10分」で表される。メルトフローインデックスを測定する試験は、ポリマーに応じて所定の温度で実施する。試験方法は、米国試験材料協会(ASTM)D1238において詳細に説明されており、同方法は参照によりその全体が援用される。
本明細書で使用する「推奨処理温度」は、ポリマーの製造業者が指定する(通常、技術データシートに記載されている)、又は当該技術分野で既知の方法を用いて決定される、ポリマーを分解させずに処理できるとされる温度範囲を指す。従って、例えば特定のポリプロピレンの推奨処理温度範囲が180~230℃の時、ポリプロピレンは、本明細書に記載の方法に従って、推奨処理温度範囲の上限よりも10~100℃高い温度、即ち240~330℃で処理できる。
本明細書で使用する「ブドウ状構造」は、融合してコロイド大の凝集体になった球状炭素粒子(ブドウ状カーボン又は「AC」としても知られる)からなり、クラスター化したブドウの房のような構造として透過型電子顕微鏡(TEM)で観察できるカーボンブラックを指す。
範囲は、本明細書において、ある特定の値の「約」から、及び/又は別の特定の値の「約」までとして表すことができる。このような範囲が表される場合、別の態様には、ある特定の値から、及び/又は他の特定の値までが含まれる。同様に、値が近似値として表される場合、先行詞「約」の使用により、特定の値が別の態様を形成することが理解されよう。更に各範囲の端点は、他の端点に関連しても、又は他の端点とは無関係でも重要であることが理解されよう。また、本明細書に開示される値は多数あり、各値は、値自体に加えて、その特定の値の「約」としても本明細書に開示されていることが理解されよう。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。また当然のことながら、2つの特定の単位の間の各単位も開示されている。例えば、10と15が開示されている場合、11、12、13、及び14も開示されている。
本明細書で使用する用語「任意選択の」又は「任意選択で」は、その後に記述される事象や状況が発生する可能性があること又はないことを意味し、その記述には当該事象や状況が発生する例と発生しない例が含まれる。
【0008】
本発明の組成物の調製に使用する成分、並びに本明細書に開示する方法内で使用する組成物自体が開示される。これらの材料は本明細書に開示されており、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが開示される場合、これらの化合物の様々な個別及び集合の組み合わせ及び順列それぞれの具体的な参照が明示的に開示されることはないが、それぞれが本明細書に具体的に検討及び説明されていると理解される。例えば、特定の化合物が開示及び考察され、その化合物を含む多数の分子に対して可能な多数の修正が考察される場合、特に別段の指示がない限り、その化合物及び可能な修正のあらゆる組み合わせ及び順列が具体的に検討される。従って、分子の種類A、B、及びCが開示され、更に、分子の種類D、E、及びF、並びに連結分子の一例であるA-Dが開示される場合、それぞれ個別に列挙されていなくとも、それぞれが個別及び集合的に検討されている、つまりA-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E、及びC-Fの組み合わせが開示されていると考えられる。同様に、これらのサブセット又は組み合わせも開示されている。従って、例えばA-E、B-F、及びC-Eのサブグループが開示されていると考えられよう。この概念は、本発明の組成物を作製及び使用する方法におけるステップを含むがこれらに限定されない、本出願の全ての態様に当てはまる。従って、実施可能な様々な追加ステップがある場合、これらの追加ステップはそれぞれ、本発明の方法の任意の特定の実施形態又は実施形態の組み合わせで実施可能であることが理解される。
本明細書に開示する各材料は、市販されている、及び/又は製造方法が当業者に既知である。
本明細書に開示する組成物は、特定の機能を有すると理解される。開示された機能を実行するための特定の構造要件を本明細書に開示するが、開示された構造に関連する同じ機能を実行できる様々な構造が存在し、これらの構造が一般に同じ結果を達成することが理解される。
別段の指示がない限り、部分は質量部であり、温度は℃で表す、又は周囲温度であり、圧力は大気圧又は大気圧近傍である。
【0009】
上記に簡単に説明したように、本開示は、フィラーを含むポリマー組成物、及びそのようなフィラー含有ポリマー組成物を配合して、フィラー、特にそのようなポリマー組成物の構造を保持する方法を提供し、フィラーは高ストラクチャーカーボンブラックを含む。
カーボンブラックの形態的特徴に、例えば、粒径/細かさ、表面積、凝集体サイズ/構造、凝集体サイズ分布、及び凝集体形状がある。粒径はカーボンブラックの一次粒子の直径の測定値である。こうしたカーボンブラックのほぼ球状の粒子の平均径はナノメートル範囲である。粒径は、電子顕微鏡を用いて直接的に、又は表面積測定によって間接的に測定できる。平均粒径は、ゴム製品では分散性、引張強度、引裂き強度、ヒステリシス、及び耐摩耗性を決定する可能性がある重要な因子であるのに対し、液体及びプラスチック系では複合体の相対色強度、紫外線安定性、及び伝導性に強く影響を及ぼすことがある。構造が等しい場合、粒径が小さいほど、引張強度、引裂き強度、ヒステリシス、及び耐摩耗性が高く、色が濃く、紫外線抵抗性及び分散困難性が増す。
カーボンブラック粒子は合体して大きなクラスター又は凝集体を形成し、これがカーボンブラックの主な分散性単位となる。凝集体のサイズ及び構造は反応器内で制御される。凝集構造は電子顕微鏡又は吸油量で測定が可能である。構造は、従来N-フタル酸ジブチル(DBP)吸収量によって測定されていたが、現在では吸油量(OAN)(ASTM D2414-18、ISO4656/1)に置き換わっている。構造の測定には他にも圧縮吸油量(COAN)(ASTM D3493-18)があり、この場合、吸油量を測定する前にカーボンブラック試料を機械的に圧縮する。OAN値とCOAN値の差は、カーボンブラック構造の安定性の指標となり得る。一次粒子の数が多く、凝集体が比較的大きなグレードは、空隙と吸油量が多い、かさ高い凝集体を持つ高ストラクチャーグレードとなり得る。高ストラクチャーカーボンブラックは、化合物の粘度、係数、及び伝導性を向上させ得る。また、高ストラクチャーであると、ダイスウェルと負荷量が減少し、分散性が向上する可能性もある。低ストラクチャーカーボンブラックは、化合物の粘度と係数を低下させ、伸張度、ダイスウェル、及び負荷量を向上させる可能性があるが、分散性を低下させることもある。カーボンブラックの他の全ての特徴を一定に保った場合、凝集体のサイズ分布が狭いとカーボンブラックの分散が難しくなり、ヒステリシスが増加して弾性が低下する。
【0010】
カーボンブラックを製造する基本的な方法はよく知られている。一般にカーボンブラックは、炭化水素の気体又は液体の部分酸化又は熱分解によって製造する。この場合、炭化水素原料(以下「原料炭化水素」という)を高温ガスの流れに注入し、原料炭化水素を熱分解して煙にした後に水を噴霧して急冷する。高温ガスは、燃焼部で燃料を燃焼させて発生させる。高温ガスは燃焼部から反応部に流入し、反応部は燃焼部と開放連通している。原料炭化水素は、高温ガスが反応部を流れる際に高温ガスに導入され、それによってカーボンブラックを形成する粒子を含む反応混合物が形成される。反応混合物は反応器から、反応部と開放連通している冷却部に流入する。冷却部の一部の場所で、流れる反応混合物に、例えば水などの急冷噴霧を1回又は複数回行い、それによって反応混合物の温度をカーボンブラックの生成に必要な温度よりも下げ、炭素形成反応を停止させる。次いで、高温ガスの流れからブラック粒子を分離する。反応器条件の操作を制御することによって、多様な種類のカーボンブラックを製造できる。
カーボンブラック反応器の多くは、通常、円筒形又は円錐台状の反応部の一端に円筒形燃焼部が軸方向に接続されている。反応部の他端には、多くの場合、反応チョークが軸方向に接続されている。反応チョークは、反応部の直径よりも実質的に小さい直径を有し、反応部と冷却部とを接続する。冷却部は通常円筒形であり、その直径は反応チョークの直径よりも実質的に大きい。
【0011】
本発明のカーボンブラック材料は、カーボンブラックの技術分野で一般に知られている技術を用いて製造できる。本発明のカーボンブラックの様々な製造方法を、以下に実施例を挙げて説明する。当業者はこれらの方法の変形を決定できる。一態様では、本発明のカーボンブラックは、米国特許第4,927,607号明細書及び米国特許第5,256,388号明細書に概説されているようなカーボンブラック反応器で製造でき、これらの開示は、ここに参照によってそれらの全体が援用される。他のカーボンブラック反応器も使用でき、当業者は特定の用途向けに適切な反応器を決定できる。供給原料、燃焼供給、及び急冷材料はカーボンブラックの技術分野においてよく知られている。これらの供給の選択は本発明のカーボンブラックにとって決定的ではない。当業者は特定の用途向けに適切な供給を決定できる。当業者は、特定の用途向けに好適な供給原料、燃焼供給、及び急冷材料の量も決定できる。
カーボンブラックが、表面積とストラクチャー又は吸収能力に幅広くかかわるブドウ状凝集体の集合体として存在することはよく知られている。吸収能力又は凝集体のストラクチャーは、ポリマー化合物における粘度への影響という形で表され、ストラクチャーが高いほど粘度が高くなる。より基本的には、また形態学的な観点から、ストラクチャーは形状及び/又は凝集体の複雑さの度合いによって表され、凝集体が低ストラクチャーであるほど、より緻密で楕円球状の構造となり、また凝集体が高ストラクチャーであるほど、大きく枝分かれした開放型の構造となって大量のポリマーを封入することができる。
【0012】
一態様では、ポリマー化合物を調製する方法は:(a)ポリマー及びフィラーを含む供給組成物を供給し;フィラーが、供給組成物の5~40質量%の量で供給組成物中に存在すること;及び(b)供給組成物を均質化して溶融ポリマー組成物を形成し;均質化はポリマーの推奨処理温度範囲の上限よりも10~100℃高い温度で行い;それによりポリマー化合物を形成することを含む。更なる態様では、方法は溶融ポリマー組成物を凝固させることを更に含む。
一態様では、本明細書に記載の方法は、低い溶融粘度と短い混合時間で配合機を作動させて調製したカーボンブラックなどの高ストラクチャーフィラーを含む伝導性ポリマー化合物を提供できる。
別の態様では、本明細書に記載の方法を用いて、市販の配合機で、カーボンブラックのような高ストラクチャー化フィラーを有する伝導性化合物を開発できる。
様々な態様において、カーボンブラックなどの伝導性又は高ストラクチャーフィラー材料をプラスチックに配合すると、配合工程でフィラーを分散させるために発生する高いせん断応力、及びフィラー凝集体、特にカーボンブラックの形成性によって、一般的にフィラー構造の破壊が生じる。例えば、高ストラクチャーのカーボンブラックなどのフィラーは伝導性ネットワークの形成に有利であるため、配合工程でフィラー構造を保持することは、伝導性能のために非常に望ましい。本開示の方法は、フィラー構造の全て又はほぼ全てを保持できるようにする独自の工程を提供するため、得られる化合物は、従来の材料又は配合方法で用いられるものと同等又はそれよりも低い添加量で強固な伝導性能などの望ましい特性を示し得る。
【0013】
一態様では、本明細書に記載の方法は、伝導性カーボンブラック材料など様々なフィラー材料、樹脂系、及び市販の連続ミキサーに適用できる。従来の配合方法は、1つ又は複数の樹脂と1つ又は複数のフィラー材料とを混合装置で混合することを含む。フィラー材料が、高ストラクチャーカーボンブラックなどの高ストラクチャーフィラーを含む場合、配合及び/又は押出成形若しくは射出成形の際に発生するせん断力によって、フィラー構造が失われることがある。例えば、高い配合せん断力によってカーボンブラック凝集体が破壊され、ひいては、得られるポリマー物品中のフィラー構造及び電気伝導値が低下する可能性がある。
例えば、カーボンブラック材料のボイド容量(V’/V)は、配合時に、例えば約3.0から約1.6~2.0の水準に大幅に低下し得る。本発明では、高ストラクチャーカーボンブラックは、従来の処理温度と比べて高い温度で配合できる。フィラーやプラスチックの従来の加工では、良好な分散と混合を達成するには高い粘度が望ましいと教示されている。本発明は、従来の常識に反して、より高い処理温度、従ってより低い粘度を利用し、カーボンブラック構造の破壊を抑えながら、良好な分散を維持する。
【0014】
本発明のフィラーは任意のフィラー、例えばブドウ状構造を有するフィラーを含み得る。一態様では、フィラーはカーボンブラック材料を含み得る。別の態様では、フィラーは伝導性又は半伝導性カーボンブラックを含み得る。また別の態様では、フィラーは高ストラクチャーカーボンブラックを含み得る。別の態様では、フィラーは、吸油量が、ASTM D2414-18に従った測定で少なくとも約100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190cc/100g、又はそれ以上であるカーボンブラックを含み得る。他の態様では、フィラーは、吸油量が約100~約250、約100~約180、約130~約160、約125~約175、約140~約160、約140~約150、約150~約160、約100~約160、約110~約150、又は約120~約155cc/100gであるカーボンブラックを含み得る。様々な特定の態様では、カーボンブラックは、Birla Carbon(米国ジョージア州マリエッタ)から市販されているBirla Carbon 7055、7060、7067、CONDUCTEX KU、CONDUCTEX SCU、RAVEN P、RAVEN P7U、又はRAVEN PFEBカーボンブラックを含み得る。更に他の態様では、フィラーは、本発明の方法における使用に適した任意の他のカーボンブラックを含み得る。
更なる態様では、フィラーは、(a)吸油量(OAN)が、ASTM D2414-18に従った測定で100~180cc/100gの範囲にある;(b)窒素比表面積(NSA)が、ASTM D6556による測定で50~210m2/gの範囲にある;並びに(c)統計的厚さ比表面積(STSA)が、ASTM D6556による測定で50~150m2/gの範囲にあるカーボンブラックであり得る。更なる態様では、カーボンブラックの平均粒径分布は、ASTM D3849に従った測定で20~60nmの範囲にある。また更なる態様では、カーボンブラックの平均粒径分布は、ASTM D3849に従った測定で40~50nmの範囲にある。
他の態様では、フィラーは、例えば酸化カーボンブラックなどの表面改質カーボンブラックを含み得る。更なる態様では、フィラーは、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定されるブドウ状構造を有し得る。また更なる態様では、フィラーは、半伝導性又は伝導性であるカーボンブラックを含み得る。
【0015】
特定のポリマー系で用いられるフィラー、例えばカーボンブラックの量は、ポリマー、及び完成品の所望の特性に応じて異なる可能性がある。様々な態様において、フィラー、例えばカーボンブラックの添加量は、約5質量%、7質量%、9質量%、11質量%、13質量%、15質量%、17質量%、19質量%、21質量%、23質量%、25質量%、27質量%、29質量%、31質量%、33質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、又はそれ以上であり得る。他の態様では、フィラー、例えばカーボンブラックの添加量は、約15~約60質量%、約15~約50質量%、約15~約40質量%、約15~約30質量%、約18~約30質量%、約20~約27質量%、約22~約30質量%、又は約25~約35質量%であり得る。いくつかの態様では、フィラーは、供給組成物の5~40質量%の量で供給組成物中に存在する。更なる態様では、フィラーは、供給組成物の15~30質量%の量で供給組成物中に存在する。更なる態様では、フィラーは、供給組成物の18~27質量%の量で供給組成物中に存在する。
更に他の態様では、カーボンブラック又は他のフィラーの比添加量は、特定のポリマー、カーボンブラック、及び完成品の所望の特性に応じて異なる可能性がある。そのような態様において、フィラーの添加量は、本明細書に記載する任意の特定の値より小さくても大きくてもよい。本明細書においてカーボンブラックに言及する任意の例において、本願は、他の任意の好適なフィラー又はフィラーの組み合わせと共にそのような濃度又は添加量への言及も含むとみなされるべきである。
【0016】
ポリマーは、本発明における使用に適した任意のポリマー又はポリマーの混合物を含み得る。一態様では、ポリマー又はポリマーの混合物は溶融加工可能であり得る。一態様では、ポリマーは熱可塑性ポリマーを含み得る。別の態様では、ポリマーは熱硬化性ポリマーを含み得る。様々な態様において、ポリマーは、例えばポリエチレン又はポリプロピレンなどのオレフィンを含み得る。他の態様では、ポリマーは、アセタール、アクリル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリカーボネート、若しくはその他のポリマー、コポリマー、又はこれらの混合物を含み得る。いくつかの態様では、開示する方法により調製して得られるポリマー化合物は、伝導性ポリマー化合物、例えば表面抵抗率が約1,000Ω/スクエア以下のポリマー化合物であり得る。
一態様では、ポリマーのメルトフローインデックス(単位:g/10分)は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又はそれ以上であり得る。更なる態様では、ポリマーのメルトフローインデックスは少なくとも5g/10分である。また更なる態様では、ポリマーのメルトフローインデックスは少なくとも20g/10分である。更なる態様では、ポリマーのメルトフローインデックスは10~90g/10分である。メルトフローインデックス値は、ASTM D1238に従って測定できる。
様々な特定の態様では、ポリマーは、例えば、ASTM D1238に従って測定したメルトフローインデックスが20g/10分であるRavago CERTENE PBM-20NB、又はASTM D1238に従って測定したメルトフローインデックスが80g/10分であるRAVAGO PBM-80Nなどのポリプロピレンを含み得る。更なる態様では、ポリマーは、PP1024E4(メルトフローインデックスが13)、PP1105E1(メルトフローインデックスが35)、又はPP7905E1(メルトフローインデックスが100)(全てExonnMobilから入手可能)などのポリプロピレンであり得る。
他の態様では、組成物は、例えば、抗酸化剤、加工助剤、油、ワックス、離型剤、及び/又はポリマー材料の加工で一般に使用される他の材料など他の成分を含み得る。
【0017】
一態様では、フィラーを含むポリマー材料を混合及び/又は配合するのに用いられる処理温度は、特定のポリマー材料に対する推奨処理温度の上限よりも約10~約100℃高い温度であってよい。様々な態様において、用いられる処理温度は、特定のポリマー材料に対する推奨処理温度の上限よりも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100℃高い。当然のことながら、推奨処理温度は特定のポリマー材料に応じて異なる可能性があり、本発明は、用いられる温度が、所定の材料に対して通常用いられる、又は推奨される温度よりも高い方法を提供することを意図している。当業者であれば、特定のポリマー材料の特性及び推奨処理条件について精通しているはずであり、従って、それらに基づいてより高い温度を選択することが可能である。本明細書で用いられる高温は、高温での操作時に有害物質の放出や発生がなく、機器や材料が全てそのような高温で安全に利用できることを再確認すべきであることに注意が必要である。
いくつかの態様では、方法は、例えば製造業者が提供する技術データシートで特定のポリマーの推奨処理温度を確認すること、及び確認した推奨処理温度範囲に基づいて上昇させた処理温度を決定することを更に含み得る。更なる態様では、アセタールポリマーの推奨処理温度は180~210℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。更なる態様では、アクリルポリマーの推奨処理温度は210~250℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。更なる態様では、NYLON6ポリマーの推奨処理温度は230~290℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。更なる態様では、NYLON6/6ポリマーの推奨処理温度は270~300℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。更なる態様では、ポリカーボネートポリマーの推奨処理温度は280~320℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。更なる態様では、ポリエステルポリマーの推奨処理温度は240~275℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。更なる態様では、PETポリマー(半結晶質又は非晶質)の推奨処理温度は260~280℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。更なる態様では、ポリプロピレンポリマーの推奨処理温度は200~280℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。更なる態様では、ポリプロピレンポリマーの推奨処理温度は200~220℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。更なる態様では、ポリプロピレンポリマーの推奨処理温度は200~230℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。更なる態様では、ポリプロピレンポリマーの推奨処理温度は200~240℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。更なる態様では、ポリプロピレンポリマーの推奨処理温度は200~250℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。更なる態様では、ポリスチレンポリマーの推奨処理温度は170~280℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。更なる態様では、TPEポリマーの推奨処理温度は260~320℃であり得、従って、開示する方法による処理温度は、その範囲の上限よりも10~100℃高い温度であってよい。
【0018】
連続ミキサーなどのミキサーでは、本発明での使用に適した任意の混合ローターを使用できる。いくつかの態様では、好適な連続ミキサーは、同期速度で作動する一対の逆回転非噛合型ローターを有し得る。そのような連続ミキサーにおけるローターの対は、ローターの型番に従って、例えば「7/15型ローターの組み合わせ」、又は、場合によっては「#7/#15」ローターの組み合わせと呼ぶ。様々な態様において、一対のローターは、以下のうちの一対を含んでよい:#7/#7、#7/#15、#15/#7、#15/#15。他の態様では、他のローター又はローターの組み合わせを使用してよい。
一態様では、連続ミキサーを操作して、ポリプロピレン及びBirla Carbon7055カーボンブラックを約18~約27質量%の添加量で配合してよく、ホッパーは149℃に、チャンバーは288℃に、オリフィスは232℃に設定した。そのような態様では、強力に配合するために一対の#15混合ローターを使用した。
一態様では、メルトフローインデックスが80であるポリプロピレンを、260℃の処理温度で使用してよい。様々な態様において、そのような混合のためのカーボンブラックは、添加量が約18~約27質量%のBirla Carbon7055カーボンブラックであってよい。他の態様では、連続ミキサー又は配合機の任意の特定の構成要素は、本明細書に記載する望ましい性能をもたらすように温度を設定することができる。
本明細書に記載の高い処理温度は、溶融ポリマー材料の粘度を低下させることにより、フィラー構造のせん断及び破壊を低減させることができる。
【0019】
ミキサーの供給量又は処理量は、本明細書に記載のポリマー材料を加工するのに適した任意の値であり得る。様々な態様において、処理量は、500kg/時間、又は500、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、又は1500kg/時間であり得る。当然のことながら、供給量は本明細書に挙げる任意の値よりも低くても高くてもよく、混合機、ポリマー材料、及びフィラー材料に応じて異なる可能性がある。当業者であれば、本開示を読めば、適切な供給量を容易に決定することができよう。
別の態様では、金型はスキン層の厚さを減らすのに十分な温度で保持できる。一態様では、金型は約60℃(華氏約140度)の温度で保持できる。
ASTM手順D3849に従って、熱分解により化合物からカーボンブラックを抽出した後、自動画像解析付き透過型電子顕微鏡(TEM/AIA)でカーボンブラック構造の細部を解析した。更に、高せん断粘度を、キャピラリーレオメーターを用いて230℃で測定した。
【0020】
一態様では、ポリマー化合物を調製する方法は、溶融ポリマー組成物を凝固させることを更に含み;フィラーは、溶融ポリマー組成物を凝固させた後に、ASTM D3849に従った透過型電子顕微鏡(TEM)による測定で、その構造の少なくとも80%を保持している。更なる態様では、フィラーは、溶融ポリマー組成物を凝固させた後に、ASTM D3849に従った透過型電子顕微鏡(TEM)による測定で、その構造の少なくとも90%を保持している。また更なる態様では、フィラーは、溶融ポリマー組成物を凝固させた後に、ASTM D3849に従った透過型電子顕微鏡(TEM)による測定で、その構造の少なくとも95%を保持している。いくつかの態様では、溶融ポリマー組成物は、凝固させてポリマー化合物のペレットにしてよい。
一態様では、カーボンブラックなどのフィラー材料は、フィラー及びポリマーの配合、均質化、並びに/又はポリマー化合物の押出し若しくは成形の後に、その構造の少なくとも80%を保持できる。他の態様では、フィラー材料は、フィラー及びポリマーの配合、均質化、並びに/又はポリマー化合物の押出し若しくは成形の後に、その構造の少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約87%、少なくとも約89%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又はそれ以上を保持してよい。
更に他の態様では、得られる化合物は、分散指数が少なくとも約80%、少なくとも約82%、少なくとも約84%、少なくとも約86%、少なくとも約88%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又はそれ以上であってよい。分散指数は、ASTM D2663に従って測定できる。
更に他の態様では、得られるポリマー化合物は、分散指数が少なくとも約80%であってよく、フィラーは、その構造の少なくとも約80%を保持し、又は分散指数が少なくとも約85%であってよく、フィラーは、その構造の少なくとも約85%を保持し、又は分散指数が少なくとも約90%であってよく、フィラーは、その構造の少なくとも約80%を保持し、又は分散指数が少なくとも約85%であってよく、フィラーは、その構造の少なくとも約90%を保持し、又は分散指数が少なくとも約95%であってよく、フィラーは、その構造の少なくとも約95%を保持し、又は分散指数が少なくとも約80%であってよく、フィラーは、その構造の少なくとも約90%を保持し、又は分散指数が少なくとも約85%であってよく、フィラーは、その構造の少なくとも約90%を保持し、又は分散指数が少なくとも約90%であってよく、フィラーは、その構造の少なくとも約85%を保持し、又は分散指数が少なくとも約92%であってよく、フィラーは、その構造の少なくとも約85%を保持し、又は分散指数が少なくとも約95%であってよく、フィラーは、その構造の少なくとも約85%を保持し、又は分散指数が少なくとも約90%であってよく、フィラーは、その構造の少なくとも約87%を保持し、又は分散指数が少なくとも約94%であってよく、フィラーは、その構造の少なくとも約90%を保持する。
【0021】
一態様では、本明細書に記載の方法は、任意の従来の配合機又は混合機を利用できる。他の態様では、本明細書に記載の方法は、例えばFarrel Compact Processor(例えばFCP CP550)又はFarrel Continuous Mixer(Farrel Pomini(米国コネチカット州アンソニア)から入手可能)などの連続ミキサーで実施できる。連続ミキサーは、通常、特定のプラスチック樹脂の推奨処理温度と比べて低い処理温度で作動する。様々な態様において、本明細書に記載の方法は、配合工程における樹脂の短い滞留時間を生かしながらも良好な分散を達成するために、配合には変則的に高い処理温度を採用している。そのような態様では、高い導電性が望ましい化合物の製造にとって、特定のミキサーのローター設計はさほど重要でなくなる。
いくつかの態様では、方法は(a)ホッパー及び混合室を有する混合装置を用意すること;(b)ポリマー及びフィラーを含む供給組成物を混合装置のホッパーに供給すること;(c)供給組成物をホッパーから混合装置の混合室に移動させること;並びに(d)混合室内で供給組成物を均質化して溶融ポリマー組成物を形成することを含む。更なる態様では、溶融ポリマー組成物は凝固させ、例えば固形ペレットにしてよい。いくつかの態様では、混合装置の混合室は、少なくとも1つの共回転するダブルローター押出機を有する。更なる態様では、混合装置の混合室は、逆回転非噛合型ダブルローターを有する。また更なる態様では、逆回転非噛合型ダブルローターは、7/7型(#7/#7)ローターの組み合わせ、7/15型(#7/#15)ローターの組み合わせ、15/7型(#15/#7)ローターの組み合わせ、又は15/15型(#15/#15)ローターの組み合わせから選択される。
【0022】
Farrel Compact Processor又はContinuous Mixerを使用すると、1つ又は複数の固体ポリマー樹脂を計量し、添加物(例えば、カーボンブラック)及び他の任意選択のフィラーや成分と一緒にミキサーに供給できる。供給部は通常、短く、溝が深く、ピッチが狭い一対のスクリューを含み、その機能は固体を混合部に搬送することである。供給スクリューは一般に一条ねじであり、混合部には羽根又は突出部が2つある。供給部と混合部の移行部では、2つのローター羽根のうち1つが供給スクリューのねじ山の続きとして現れ(供給羽根と呼ぶ)、もう1つは供給スクリューの谷底から生じている(非供給羽根と呼ぶ)。供給スクリューが二条ねじの設計では、両方のミキサー羽根に供給される。供給羽根と非供給羽根は、異なる固体搬送特性を有する。いくつかの態様では、Farrel Continuous Mixer又は他の混合装置は、混合室内に比較的大きな自由体積を有する可能性があり、これはフィラー材料の構造を保持するのに役立ち得る。
混合室では、各ローター羽根は順圧送部(回転方向と逆のらせん状のねじれ)から始まり、続いて逆圧送部(回転方向のねじれ)があり、最後に任意選択で短い中立部(らせん状のねじれがない)がある。順圧送部と逆圧送部が合流する点を羽根の頂点と呼ぶ。順圧送部の主な機能は、固体原料を圧縮、加熱し、軟化又は溶融を開始することである。この工程に必要なエネルギーはモーター動力によって供給され、固体粒子と金属壁の摩擦、粒子間摩擦、及び溶融物と固体の混合物中での粘性エネルギー散逸によって消散して熱エネルギーになる。ローターの混合作用により、溶融固体粒子は溶融材料中に懸濁したままとなり、緻密な固体層が形成されない。得られた溶融物が完全に混合され、均質化されると、逆圧送部での溶融工程が完了する。Farrel成形又は連続混合の構造又は操作に関する詳細は、Plastics Compounding:Equipment and Processing (1998),Chapter 9,“Farrel Continuous Mixture Systems for Plastics Compounding,”by Eduardo L. Canedo and Lefteris N. Valsamis(David B.Todd編集)(Carl Hanser Verlag、ミュンヘン)に記載されており、Farrel Continuous Mixerシステムの教示についてはその全体が参照により援用される。
【0023】
本明細書に記載の方法に従って調製した配合ポリマー材料の表面抵抗率は、Loresta-GP MCP-T600抵抗率計(ASTM D4496)を用いて射出成形チップで測定できる。
一態様では、本明細書に記載の方法は、連続ミキサーで配合した場合に、従来の二軸スクリュー押出機と比べて、カーボンブラックの分散及び伝導性(即ち、表面抵抗率)の値が改善した化合物を提供する。
本明細書では、開示される任意の方法によって調製したポリマー化合物、例えば伝導性ポリマー化合物も開示する。
一態様では、伝導性ポリマー化合物から形成される射出成形チップの表面抵抗率は、ASTM D4496に従ったLoresta-GP MCP-T600抵抗率計での測定で1,000Ω/スクエア以下である。更なる態様では、伝導性ポリマー化合物から形成される射出成形チップの表面抵抗率は、ASTM D4496に従ったLoresta-GP MCP-T600抵抗率計での測定で10~1,000Ω/スクエアの範囲にある。また更なる態様では、伝導性ポリマー化合物から形成される射出成形チップの表面抵抗率は、ASTM D4496に従ったLoresta-GP MCP-T600抵抗率計での測定で10~80Ω/スクエアの範囲にある。その上に更なる態様では、伝導性ポリマー化合物から形成される射出成形チップの表面抵抗率は、ASTM D4496に従ったLoresta-GP MCP-T600抵抗率計での測定で20~80Ω/スクエアの範囲にある。
【0024】
例示的な態様
記載した方法、ポリマー化合物、及びこれらの変形を考慮し、以下に本発明のより具体的な態様を説明する。しかしながら、具体的に言及するこれらの態様が、本明細書に記載する様々な、又はより一般的な教示を包含する任意の様々なクレームに対して何らかの制限的効果を持つと解釈すべきでなく、又は「特定の」態様が、そこに実際に使用される言語の固有の意味以外の何らかの方法で制限されると解釈すべきでない。
態様1:ポリマー化合物を調製する方法であって:(a)ポリマー及びフィラーを含む供給組成物を供給し;フィラーが、供給組成物の5~40質量%の量で供給組成物中に存在すること;及び(b)供給組成物を均質化して溶融ポリマー組成物を形成し;均質化はポリマーの推奨処理温度範囲の上限よりも10~100℃高い温度で行い;それによりポリマー化合物を形成することを含む方法。
態様2:溶融ポリマー組成物を凝固させることを更に含み;フィラーが、溶融ポリマー組成物を凝固させた後に、ASTM D3849に従った透過型電子顕微鏡(TEM)による測定で、その構造の少なくとも80%を保持している、態様1に記載の方法。
態様3:フィラーが、溶融ポリマー組成物を凝固させた後に、ASTM D3849に従った透過型電子顕微鏡(TEM)による測定で、その構造の少なくとも90%を保持している、態様1又は2に記載の方法。
態様4:フィラーが、溶融ポリマー組成物を凝固させた後に、ASTM D3849に従った透過型電子顕微鏡(TEM)による測定で、その構造の少なくとも95%を保持している、態様1~3のうちいずれか1つに記載の方法。
態様5:溶融ポリマー組成物を凝固させてポリマー化合物のペレットにする、態様1~4のうちいずれか1つに記載の方法。
態様6:フィラーが、供給組成物の15~30質量%の量で供給組成物中に存在する、態様1~5のうちいずれか1つに記載の方法。
態様7:フィラーが、供給組成物の18~27質量%の量で供給組成物中に存在する、態様1~6のうちいずれか1つに記載の方法。
態様8:フィラーの凝集体が、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定されるブドウ状構造を有する、態様1~7のうちいずれか1つに記載の方法。
態様9:フィラーがカーボンブラックである、態様1~8のうちいずれか1つに記載の方法。
態様10:カーボンブラックが半伝導性又は伝導性である、態様9に記載の方法。
態様11:カーボンブラックの吸油量(OAN)が、ASTM D2414-18に従った測定で少なくとも100cc/100gである、態様9又は10に記載の方法。
態様12:カーボンブラックの吸油量(OAN)が、ASTM D2414-18に従った測定で100~250cc/100gの範囲にある、態様9~11のうちいずれか1つに記載の方法。
態様13:カーボンブラックの吸油量(OAN)が、ASTM D2414-18に従った測定で100~180cc/100gの範囲にある、態様9~12のうちいずれか1つに記載の方法。
態様14:カーボンブラックは、(a)吸油量(OAN)が、ASTM D2414-18に従った測定で100~180cc/100gの範囲にある;(b)窒素比表面積(NSA)が、ASTM D6556による測定で50~210m2/gの範囲にある;並びに(c)統計的厚さ比表面積(STSA)が、ASTM D6556による測定で50~150m2/gの範囲にある、態様9~13のうちいずれか1つに記載の方法。
態様15:カーボンブラックの平均粒径分布が、ASTM D3849に従った測定で20~60nmの範囲にある、態様9~14のうちいずれか1つに記載の方法。
態様16:カーボンブラックの平均粒径分布が、ASTM D3849に従った測定で40~50nmの範囲にある、態様9~15のうちいずれか1つに記載の方法。
態様17:ポリマーが溶融加工可能なポリマーであり、熱可塑性又は熱硬化性である、態様1~16のうちいずれか1つに記載の方法。
態様18:ポリマーが、ポリ(オレフィン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、アセタール、アクリル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリカーボネート、若しくはコポリマー、又はこれらの混合物である、態様1~17のうちいずれか1つに記載の方法。
態様19:ポリマーのメルトフローインデックスが、ASTM D1238に従った測定で少なくとも5g/10分である、態様1~18のうちいずれか1つに記載の方法。
態様20:ポリマーのメルトフローインデックスが、ASTM D1238に従った測定で少なくとも20g/10分である、態様1~19のうちいずれか1つに記載の方法。
態様21:ポリマーのメルトフローインデックスが、ASTM D1238に従った測定で10~90g/10分の範囲にある、態様1~20のうちいずれか1つに記載の方法。
態様22:ポリマー化合物が伝導性ポリマー化合物である、態様1~21のうちいずれか1つに記載の方法。
態様23:伝導性ポリマー化合物から形成される射出成形チップの表面抵抗率が、ASTM D4496に従ったLoresta-GP MCP-T600抵抗率計での測定で1,000Ω/スクエア以下である、態様22に記載の方法。
態様24:伝導性ポリマー化合物から形成される射出成形チップの表面抵抗率が、ASTM D4496に従ったLoresta-GP MCP-T600抵抗率計での測定で10~1,000Ω/スクエアの範囲にある、態様22又は23に記載の方法。
態様25:伝導性ポリマー化合物から形成される射出成形チップの表面抵抗率が、ASTM D4496に従ったLoresta-GP MCP-T600抵抗率計での測定で10~80Ω/スクエアの範囲にある、態様21~24のうちいずれか1つに記載の方法。
態様26:伝導性ポリマー化合物から形成される射出成形チップの表面抵抗率が、ASTM D4496に従ったLoresta-GP MCP-T600抵抗率計での測定で20~80Ω/スクエアの範囲にある、態様21~25のうちいずれか1つに記載の方法。
態様27:ポリマー化合物の分散指数が、ASTM D2663に従った測定で少なくとも80である、態様1~26のうちいずれか1つに記載の方法。
態様28:ポリマー化合物の分散指数が、ASTM D2663に従った測定で少なくとも90である、態様1~27のうちいずれか1つに記載の方法。
態様29:ポリマー化合物の分散指数が、ASTM D2663に従った測定で少なくとも95である、態様1~28のうちいずれか1つに記載の方法。
態様30:方法が(a)ホッパー及び混合室を有する混合装置を用意すること;(b)ポリマー及びフィラーを含む供給組成物を混合装置のホッパーに供給すること;(c)供給組成物をホッパーから混合装置の混合室に移動させること;並びに(d)混合室内で供給組成物を均質化して溶融ポリマー組成物を形成することを含む、態様1~29のうちいずれか1つに記載の方法。
態様31:混合装置の混合室が、少なくとも1つの共回転するダブルローター押出機を有する、態様30に記載の方法。
態様32:混合装置の混合室が、逆回転非噛合型ダブルローターを有する、態様30又は31に記載の方法。
態様33:逆回転非噛合型ダブルローターが、7/7型(#7/#7)ローターの組み合わせ、7/15型(#7/#15)ローターの組み合わせ、15/7型(#15/#7)ローターの組み合わせ、又は15/15型(#15/#15)ローターの組み合わせから選択される、態様32に記載の方法。
態様34:供給組成物を少なくとも500kg/時間の速度で押出機のホッパーに供給する、態様30~33のうちいずれか1つに記載の方法。
態様35:態様1~34のうちいずれか1つに記載の方法によって調製される伝導性ポリマー化合物。
【0025】
実施例
本発明の様々な例示的な実施形態について、以下に詳述する。これらの実施形態は例示を意図しており、本発明の範囲を限定することは意図していない。以下の各実施例について、別段の記載がない限り、以下の工程、装置、及び条件を利用した。
材料は、処理量が約500kg/時間のFarrel CP550ミキサーで2種類のローター(#15及び#7)を用いて配合した。
図1を参照。また、Plastics Compounding:Equipment and Processing(1998),Chapter 9,“Farrel Continuous Mixture Systems for Plastics Compounding,”by Eduardo L.Canedo and Lefteris N.Valsamis(David B.Todd編集)(Carl Hanser Verlag、ミュンヘン)も参照。
射出成形する化合物には、メルトフローインデックスが80のポリプロピレン樹脂及びBirla Carbon 7055カーボンブラックを使用した。カーボンブラック構造の破壊を最小限に抑えるために、高い処理温度(約260℃)を用いた。
【0026】
対象のカーボンブラックを27~18%添加した化合物を調製した。表1に、ローター(#15/#15)を用いて化合物試料から抽出したカーボンブラックCONDUCTEX 7055 ULTRAの形態学的解析結果をまとめる。これらの試料では、過去のデータと比較して、明らかにカーボンブラックの構造が高度に保持されてもいた。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本発明において様々な修正及び変形を実施できることは当業者には明らかであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示する発明の明細書及び実施の検討から当業者には明らかであろう。本明細書及び実施例は、例示としてのみ考慮されることが意図され、本発明の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】