(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】医療治療システムおよびそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20230406BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61B17/12
A61B1/018 515
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550944
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 US2021019767
(87)【国際公開番号】W WO2021173897
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ライアン、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ホーゲン、アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ラグラム、アシュリタ
(72)【発明者】
【氏名】ファブロー、ジョン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】サリバン、キラ
(72)【発明者】
【氏名】マレー、コリン
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160DD02
4C160DD70
4C161AA01
4C161CC06
4C161DD03
4C161GG15
4C161GG25
4C161HH05
4C161HH56
4C161LL02
(57)【要約】
圧縮性装置、およびその圧縮性装置上の被覆を備える医療システムであって、被覆は送達形態および展開形態を含み、送達形態において被覆は少なくとも部分的に圧縮性装置を覆って圧縮性装置を圧縮状態に維持し、展開形態において被覆は装置から解放可能であって圧縮状態から拡張状態へと圧縮性装置を移行する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮性装置と、
前記圧縮性装置上の被覆であって、送達形態および展開形態を含む被覆と、
を備え、
前記送達形態において、前記被覆は、少なくとも部分的に前記圧縮性装置を覆って前記圧縮性装置を圧縮状態に維持し、
前記展開形態において、前記被覆は前記装置から解放可能であって、前記圧縮性装置を前記圧縮状態から拡張状態へと移行させる、医療システム。
【請求項2】
吸引チューブをさらに備え、前記吸引チューブは前記圧縮性装置の近位部分に連結され、前記吸引チューブは前記圧縮性装置に吸引力を付与するように構成された、請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
前記圧縮性装置は多孔性かつ吸収性である、請求項1または請求項2に記載の医療システム。
【請求項4】
前記被覆はカプセルである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項5】
前記カプセルは流動体への曝露を介して除去可能な、請求項4に記載の医療システム。
【請求項6】
前記被覆はネットである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項7】
前記ネットに結合されたスレッドまたはワイヤをさらに備え、前記スレッドまたは前記ワイヤは、前記スレッドまたは前記ワイヤに付与される力を介して前記ネットを取り除くように構成された、請求項6に記載の医療システム。
【請求項8】
前記ネットは、前記圧縮性装置が前記ネットの破壊点に対して押し込まれたときに除去可能に構成された、請求項6に記載の医療システム。
【請求項9】
前記ネットは、締め付けられて前記圧縮性装置をさらに圧縮するように構成された、請求項6に記載の医療システム。
【請求項10】
前記被覆は膜である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項11】
前記膜は不浸透性である、請求項10に記載の医療システム。
【請求項12】
前記膜は、真空シールを介して前記圧縮性装置を圧縮するように構成された、請求項10に記載の医療システム。
【請求項13】
前記膜は流動体への曝露を介して除去可能である、請求項10に記載の医療システム。
【請求項14】
前記膜は、前記圧縮性装置が前記膜の破壊点に対して押し込まれたときに除去可能に構成された、請求項10に記載の医療システム。
【請求項15】
前記被覆は前記圧縮性装置を完全に覆う、請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に医療治療システム、装置、およびそれに関連する方法に関する。本開示の実施形態は、管腔内創傷治療システム、および陰圧創傷閉鎖法のための医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸(GI)管の内視鏡手術および切開外科手術は、特に、例えば結腸切除、肥満外科手術、食道切除、胃バイパス、およびスリーブ状胃切除術を含む。これらの手術は、穿孔、術後漏出、または管の他の創傷につながることがある。このような創傷に対処するために、有意な疾病率および死亡率を有する限られた治療法の選択肢が存在する。選択肢は、外科的再手術、およびステントまたはクリップの内視鏡的留置を含む。外科的手術は比較的侵襲的であり、また、高い疾病率および死亡率を有する。内視鏡的ステント留置は、より侵襲的でない選択肢である。しかし、留置したステントは、意図した箇所から移動することがあり、および/または治療部位において感染を囲んでドレナージを阻害することがある。
【発明の概要】
【0003】
一例によれば、医療システムは、圧縮性装置、およびその圧縮性装置上の被覆を備えてもよく、被覆は送達形態および展開形態を含み、送達形態において被覆は少なくとも部分的に圧縮性装置を覆って圧縮性装置を圧縮状態に維持し、展開形態において被覆は装置から解放可能であって圧縮状態から拡張状態へと圧縮性装置を移行する。
【0004】
別の例において、医療システムは吸引チューブをさらに備えてもよく、吸引チューブは圧縮性装置の近位部分に連結され、吸引チューブは圧縮性装置に吸引力を付与するように構成される。
【0005】
別の例において、圧縮性装置は多孔性かつ吸収性であってもよい。
別の例において、被覆はカプセルでもよい。カプセルは、流動体への曝露によって除去可能でもよい。
【0006】
別の例において、被覆はネットでもよい。医療システムはネットに結合されたスレッドまたはワイヤをさらに備えてもよく、スレッドまたはワイヤは、スレッドまたはワイヤに付与される力を介してネットを取り除くように構成される。ネットは、圧縮性装置がネットの破壊点に対して押し込まれたときに除去可能に構成されてもよい。ネットは、締め付けられて圧縮性装置をさらに圧縮するように構成されてもよい。
【0007】
別の例において、被覆は膜でもよい。膜は不浸透性でもよい。膜は、真空シールを介して圧縮性装置を圧縮するように構成されてもよい。膜は、流動体への曝露によって除去可能でもよい。膜は、圧縮性装置が膜の破壊点に対して押し込まれたときに除去可能に構成されてもよい。
【0008】
別の例において、被覆は圧縮性装置を完全に覆ってもよい。
別の例によれば、医療システムは、圧縮性装置、圧縮性装置上の被覆、圧縮性装置の近位部分に連結された第一チューブ、および第一チューブを収容する管腔を含む第二チューブを備えてもよく、管腔の近位端は吸引源と連通するように構成され、被覆は第二チューブの遠位部分に固定されて被覆の空洞の中に圧縮性装置を収容および封止し、被覆は空洞に供給された吸引力を介して圧縮性装置上につぶれるように構成され、それによって圧縮性装置を圧縮する。被覆は不浸透性膜でもよい。圧縮性装置は、圧縮性装置が第二チューブの管腔内に適合して圧縮するように構成される。被覆は第二チューブから除去可能に構成されてもよい。
【0009】
別の例によれば、圧縮性装置、圧縮性装置上の被覆、および圧縮性装置に連結されたチューブを含む医療装置を介した管腔内創傷治療の方法は、創傷の空洞内に医療装置を配置すること、圧縮性装置上の被覆を取り除くこと、およびチューブを介して圧縮性装置全体に吸引力を提供することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書の一部に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、様々な典型的な実施形態を示し、説明とともに、開示される実施形態の原理を解説するのに役立つ。
【
図1】実施形態に従った、管腔内創傷治療のための医療装置を含む内視鏡の軸の一部の側面図である。
【
図2A】実施形態に従った、管腔内真空治療のための圧縮された医療装置の斜視図である。
【
図2B】実施形態に従った、管腔内真空治療のための圧縮された医療装置の断面図である。
【
図3】別の実施形態に従った、管腔内真空治療のための圧縮された医療装置の斜視図である。
【
図4A】別の実施形態に従った、管腔内真空治療のための拡張状態における医療装置の断面図である。
【
図4B】別の実施形態に従った、管腔内真空治療のための圧縮状態における医療装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の態様をこれから詳細に参照し、その例は添付の図面において示される。可能な限り、同一または類似の参照番号が図面を通して使用されて、同一または類似の部分を参照するであろう。用語「遠位の(distal)」は、対象(例えば患者)の中に装置を導入するときに使用者から最も遠く離れた部分に言及する。反対に、用語「近位の(proximal)」は、対象の中に装置を設置するときに使用者から最も近い部分に言及する。
【0012】
上述の一般的な記述および以下の詳細な記述は両方とも典型的かつ説明のためのみであり、特許請求されるものとしての特徴を制限するものではない。本明細書に使用されるとき、用語「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」またはその他にこれらが変化したものは、非排他的に含有物をカバーすることを意図されているため、要素のリストを備えるプロセス、方法、項目、または機器はこれらの要素のみを含むのではなく、明示的に記載された他の要素またはこのようなプロセス、方法、項目、または機器に固有の他の要素を含んでもよい。本開示において、例えば「約(about)」、「実質的に(substantially)」、「一般的に(generally)」、および「およそ(approximately)」等の相対語は、記述の値または性質において±10%の考えられる変化を示すために使用される。
【0013】
本開示の実施形態は、管腔内真空治療(EVAC)のための装置、システム、および方法を含む。例において、EVACはスポンジまたは他の同様の材料の、穿孔、漏出、吻合等を含む創傷部位への管腔内留置を含む。材料の留置は、カテーテル、スコープ(内視鏡、気管支鏡、結腸鏡、胃カメラ、十二指腸内視鏡等)、チューブ、またはシースによって自然の開口部を介してGI管の中に挿入されてもよい。開口部は、例えば鼻、口、または肛門でもよく、留置は、食道、胃、十二指腸、大腸、小腸を含むGI管のいずれの部分でもよい。留置はまた、GI管を介して到達可能な他の器官でもよい。その後、陰圧が真空源を介してGI管内の創傷部位に送達されてもよい。
【0014】
さらに、本開示の実施形態において、EVAC装置のスポンジは、液体を吸収し、および/または陰圧によって液体がそれを通過することを許容し得る任意の適切な生体適合性材料でもよい。材料は可撓性、圧縮性、多孔性、親水性、無菌性、および/または使い捨て可能なものでもよい。スポンジ材料はオープンセルフォームでもよい。適切な材料は、ポリウレタン、エステル、エーテル、複合材料、および任意の医療用材料を含む。
【0015】
以下に記述される実施形態において、圧縮性スポンジは、例えば被覆、膜等の様々な手段および機構によって圧縮状態にある。これにより、圧縮されたスポンジがより容易にスコープのワーキングチャネルを通って、および対象の自然の体管腔を通って送達可能であり得る。被覆は、例えば剪断、破壊、溶解/分解等の任意の適切な方法で解放可能または除去可能に構成されるため、圧縮されたスポンジは標的部位に送達された時点で展開および拡張し得る。
【0016】
図1を参照すると、実施形態に従って、例えば内視鏡等のスコープを含む医療システム5が示される。医療システム5は、可撓性軸50(例えばカテーテル)および可撓性軸50の近位端に連結されたハンドル52を含む。ハンドル52、あるいは医療システム5および医療システム5に関連する任意のツールまたは装置を作動または制御するためのいくつかの他の装置は、可撓性軸50の関節および/または可撓性軸50の遠位端における関節継ぎ手を複数の方向に制御する第一作動装置42および第二作動装置43を含む。装置42、43は、例えば、軸線の周りを回転して作動要素(図示なし)を押し/引きする回転可能なノブでもよい。医療手術に適切なケーブルまたはワイヤ(例えば医療用プラスチックまたは医療用金属)等の作動要素は、医療システム5の近位端から遠位に延び、可撓性軸50に連結してそれの動作を制御する。あるいは、または加えて、使用者はハンドル52とは無関係に作動要素を操作してもよい。作動要素の遠位端は、可撓性軸50を通って延び、関節継ぎ手および/または可撓性軸50の遠位先端にて終結してもよい。例えば、一つ以上の作動要素は関節継ぎ手に連結されてもよく、作動要素の作動により、関節継ぎ手または可撓性軸50の遠位端が複数の方向に移動するように制御されてもよい。
【0017】
加えて、一つ以上の電気ケーブル(図示なし)がシステム5の近位端から可撓性軸50の遠位端まで延びてもよく、可撓性軸50の遠位端におけるイメージング、照明、および/または他の電気装置に電気制御を提供してもよく、可撓性軸50の遠位端から近位にイメージング信号を伝達してディスプレイ上にて処理および/または表示されてもよい。ハンドル52はまた、ツール、流動体、または他の材料を導入し、および/または患者からそれらを取り除くためのポート54、46を含んでもよい。ポート54および/またはポート46は、ツールを導入するために使用されてもよい。ポート54および/またはポート46はまた、流動体、吸引力を導入し、および/または電気構成要素の配線をするために中心に連結されてもよい。例えば、
図1に示すように、ポート54は、可撓性軸50の近位端から遠位端まで軸50のワーキングチャネル50aを経由して延びるチューブ100を受け入れる。
【0018】
図1に示すように、システム5は、チューブ100および医療装置10が対象の体内に送達され得るための手段であってもよい。チューブ100は特に限定されない。例えば、チューブ100は、近位端にて真空源(図示なし)に連結されるように構成される単一の管腔(図示なし)を有してもよい。チューブ100の遠位端は医療装置10に結合される。従って、チューブ100の管腔により、真空源と医療装置10との間の連通が確立され得る。この連通は、医療装置10およびチューブ100が対象の体内に送達され、医療システム5から取り除かれた後に確立されてもよい。あるいは、この連通は、医療装置10およびチューブ100が医療システム5の中に維持される間に確立されてもよい。他の実施形態において、チューブ100は対象の体内に維持され、経鼻胃チューブを通って対象から抜け出る。留置および送達の方法は限定されない。医療装置10は周囲の創傷に陰圧を掛け、それによって、装置10が創傷からのあらゆる流動体を吸収および吸引するのを補助し得る。さらに、装置10を介した創傷への陰圧の適用は治療であり得、創傷の治癒を促進し得る。真空源は特に限定されず、任意の適切な源でよい。
【0019】
図2Aから
図2Bを参照すると、
図1の医療装置10の実施形態がさらに記述される。医療装置10は、例えばEVAC装置等の管腔内創傷治療のために使用される装置であり得る。従って、医療装置10は、例えば漏出、嚢胞、穿孔等の創傷へチューブ100を介して送達可能な形態にあってもよい。装置10は、創傷まで送達された時点で、その後に展開された形態に移行し、治療に備えてもよい。
【0020】
医療装置10は、上述のような圧縮された多孔性本体/スポンジ12およびカプセル被覆14を含む。スポンジ12はある程度圧縮され得るため、カプセル14と共に、任意の適切なスコープのワーキングチャネル内に適合し得、対象の自然の体管腔を通って送達可能であり得る。圧縮されたスポンジ12がカプセル14の中に適合する方法は特に限定されず、任意の適切な方法によってよい。例えば、スポンジ12は、すでに形成済みのカプセル被覆14の中に、圧縮後に挿入されてもよい。別の例において、スポンジ12は、カプセル被覆14を形成するカプセルコーティングによって、圧縮中にコーティングされてもよい。
【0021】
カプセル14は圧縮性スポンジ12を全体的に封入するが、それに限定されない。他の典型的な実施形態において、カプセル14は部分的にスポンジ12を覆ってもよい。カプセル14は、圧縮されたスポンジ12の拡張可能な性質、および圧縮されたスポンジ12によって発生する外向きの力に耐え得る任意の適切な材料から構成されてよい。加えて、カプセル14は、既定のpHを有する流動体を含む任意の種類の流動体に曝露されたときに溶解するように構成された任意の適切な材料から構成されてもよい。従って、例えば、カプセル14は、胃腸管を介して対象の体内に留置されたとき、および対象の体内で流動体に接触する状態になったときに、即座にまたは次第に溶解し得る。あるいは、カプセル14は、カプセル14が、チューブ100または別のツールを介した外因からの例えば生理食塩水等の流動体に曝露されたときに、溶解してもよい。カプセル14に適切な材料は、ゼラチンまたは他のコラーゲン誘導体、ヒプロメロース(HPMC)または他のセルロース誘導体、デンプン、および吸収性多糖を含む。他の典型的な実施形態において、カプセル14は、以下に記述されるように、スポンジ12を圧縮するように巻き付けられた縫合、またはメッシュ材料から形成されてもよい。カプセル14の層の厚さは、装置10の送達およびスポンジ12の展開の両方を許容する限りは特に限定されない。カプセル14の適切な厚さは、カプセル14の材料に依存し得、例えば100μm(100ミクロン)以上の厚さを含んでもよい。従って、装置10は、圧縮されたスポンジ12がカプセル14の中に収容された送達形態、およびカプセル14が取り除かれ、または溶解され、スポンジ12が拡張された展開形態を含み得る。
【0022】
医療装置10はまた開口16を含み、それを通ってチューブ100の端は挿入され、従って、装置10に連結され得る。開口16はカプセル14およびスポンジ12の両方を通って延びる。開口16は装置10の近位端/近位面上にあってもよい。開口16は、チューブ100の上にしっかりとした適合を許容する任意の適切な直径を有するものでもよい。加えて、開口16は、チューブ100の上にしっかりとした適合を許容しつつ、装置10が創傷に展開されたときに装置10の全体に分配されるように十分な量の陰圧を許容する任意の適切な深さを有するものでもよい。スポンジ12はチューブ100に連結されるため、スポンジ12の相互接続したチャネル、オープンセル、または連続孔が流動体および材料をチューブ100の中に吸引することを許容する。
【0023】
医療装置10が形成される方法および順序は特に限定されない。いくつかの典型的な実施形態において、開口16は、スポンジ12の圧縮の前にスポンジ12に形成されてもよく、チューブ100は開口16の中に挿入されてもよい。その後に、例えばスポンジ12を乾燥させること、および/またはスポンジ12に吸引力を付与することによってスポンジ12が圧縮されて、スポンジ12の中の孔およびチャネルを閉鎖してもよい。圧縮中または圧縮後に、カプセル14は圧縮されたスポンジ12の上に適合または形成されつつ、チューブ100に適応してもよい。カプセルは、例えばスプレーコーティング、ディップコーティング等を含むコーティングまたはラッピングを含む任意の適切な方法によってスポンジ12の上に留置されてもよい。
【0024】
図1および
図2Aから
図2Bを参照すると、医療装置10が送達および使用され得る方法の例がさらに以下に記述される。使用者は、送達形態にある間に装置10を、例えば自然の開口部(口または肛門等)を通じて対象の体内へ送達してもよい。装置10は、食道、胃、結腸等の対象の蛇行した自然の体管腔を通って移動してもよい。装置10は、チューブ100を介して、例えば内視鏡5のワーキングチャネル50aを通る等の任意の適切な方法で、チューブ100を含む装置10を内視鏡5のポート54の中に挿入することによって、送達されてもよい。あるいは、装置10およびチューブ100は、経鼻胃チューブを介して患者の中に留置されてもよい。使用者は、穿孔、漏出、嚢胞、空洞等の創傷内に管腔内創傷治療のために装置10を移動/配置してもよい。使用者はその後に、カプセル14を体内または外因からの流動体に曝露し、それによってカプセルコーティング14を取り除くことによって装置10を展開形態へと移行させてもよい。圧縮されたスポンジ12は、その後に、例えば創傷の壁に対して適切な圧力を付与するまで創傷の中で拡張してもよい。使用者はその後に、送達されたチューブ100および装置10から内視鏡5を取り除いてもよい。その後に、使用者はチューブ100の近位端を真空源に結合して、その後に任意の適切な時に真空源を作動させてチューブ100の管腔を介してスポンジ12に吸引力または陰圧を供給してもよい。あるいは、装置10が送達形態にある間に、使用者は吸引力の供給を開始してもよい。
【0025】
図3に示すような医療装置10’は、多くの点において装置10に類似する。同様の参照番号は同様の部分を参照する。装置10と装置10’との間の違いは以下に記述される。カプセルコーティングの代わりに、装置10’はスポンジ12の周りに巻き付けられたネット24を含む。装置10のカプセル14と同様に、ネット24は、スポンジ12を圧縮し、その形状を保持しながら、ネット24の機械的圧力を介して、スポンジ12を収容するように実施され得る。ネット24はスポンジ12を圧縮して収容するため、装置10’は例えば内視鏡5等のスコープのワーキングチャネルを通って送達可能であり得る。ネット24は任意の適切な材料から構成されてもよく、特に限定されない。ネット24に適切な材料は、ナイロンまたはポリプロピレン等の任意の適切なポリマーを含む。さらに、ネット24が編まれる方法も特に限定されない。ネット24は、任意の適切な方法によって螺旋状、十字、不規則、または他のパターンに適用されてもよい。
【0026】
装置10’は、ネット24に結合された制御スレッドまたはワイヤ26をさらに含む。ワイヤ26は、
図3のネット24の近位部分に結合されるが、それに限定されない。制御ワイヤ26はネット24の糸でも、個別のスレッドまたはワイヤ構成要素でもよい。ワイヤ26は、牽引力等のワイヤ26に付与される適切な力によってネット24を剥奪または取り除くように構成されてもよい。ワイヤ26は、チューブ100の管腔を通って延びても(図示なし)、示されるようにチューブ100の管腔の外側を延びてもよく、ワイヤ26の近位端は、ワイヤ26に必要な力を付与してネット24を取り除くように構成されたコントローラまたは機構(図示なし)に連結されてもよい。あるいは、ワイヤ26の近位端は、フリーで使用者によって近位に引かれてもよい。従って、ワイヤ26は、装置10’を送達形態から展開形態へと移行させる助けとなり得る。実施形態において、ネットは、流動体に接触することで分解または溶解するであろう材料から形成されてもよい。
【0027】
しかしながら、装置10’は制御ワイヤ26を含むことに限定されない。いくつかの他の実施形態において、装置10’はワイヤ26を有しなくてもよく、ネット24を取り除いてスポンジ12を展開するように構成された他の適切な機構を含んでもよい。例えば、ネット24の破壊点に対してスポンジ12が前進して押し込まれたときにネット24が破壊されるように、ネット24はストレスライザ等の破壊点を含んでもよい。いくつかの典型的な実施形態において、このような破壊点はネット24の遠位端に見出されることがある。あるいは、ネット24は、内視鏡鋏または他のツールによってスポンジ12から分断されてもよい。
【0028】
医療装置10のように、医療装置10’が形成される方法および順序は特に限定されない。いくつかの典型的な実施形態において、開口16は、スポンジ12の圧縮の前にスポンジ12に形成されてもよく、チューブ100は開口16の中に挿入されてもよい。その後に、例えば吸引力を付与することによって、スポンジ12が圧縮されてもよい。圧縮後に、ネット24は圧縮されたスポンジ12の上に適合されつつ、チューブ100に適応してもよい。他の典型的な実施形態において、ネット24は圧縮前にスポンジ12の上に適合されてもよく、ネット24は締め付けられてスポンジ12を機械的に圧縮および収容してもよい。
【0029】
使用者がワイヤ26または任意の他の適切な方法/機構を介してネット24を取り除くことによって、装置10’を展開形態へと移行できるということを除いて、装置10’は、装置10と類似の方法で使用できる。
【0030】
図4Aから
図4Bに示すような医療装置10”もまた、多くの点において装置10に類似する。同様の参照番号は同様の部分を参照する。装置10と装置10”との間の違いは以下に記述される。カプセルコーティングの代わりに、装置10”は膜34を含む。膜34は特に限定されず、例えば可撓性プラスチック、ラテックス等の任意の適切な不浸透性材料から構成されてよい。膜34は可撓性および/または弾性でもよい。膜34の厚さもまた特に限定されない。膜34は、送達チューブ/カテーテル102の外側の遠位部分に固定されることによってスポンジ12を封入する。膜34はカテーテル102の遠位部分の全周の周りに固定されてもよい。カテーテル102は可撓性であり、スコープ50のワーキングチャネル50aの中に適合する大きさに形成されてもよい。カテーテル102は、チューブ100を受け入れる内側チャネル102aを含む。チューブ100はチャネル102aの中で軸方向に移動する。
図4Aに示すように、膜34は、非圧縮状態においてスポンジ12を収容する空洞36を形成してもよい。
【0031】
カテーテル102は真空源に連結され得るため、チャネル102aは、膜34によって形成された空洞36と連通する。デフォルトの展開形態から圧縮された送達形態へと装置10”を移行するために、真空源はチャネル102aを通して装置10”の空洞36に至るまで遠位に吸引力を伝送してもよい。吸引力、および不浸透性膜34がカテーテル102に固定された結果として、膜34はスポンジ12の上につぶれ、それによって
図4Bに示すように均一にスポンジ12を圧縮する。圧縮されたスポンジ12は、その後にチューブ100を近位に引くことによってチャネル102aの中に格納されて、その圧縮状態を維持できる。膜34はその後に取り除かれてもよく、維持されてもよい。装置10”は、装置の製造の間にこのような送達形態に留置されてもよい。これによって、張力が低減された状態でスポンジ12を送達システムに装着することが可能となり得、従って、傷つけることを潜在的に回避する。あるいは、装置10”は
図4Bに示されるような状態に維持され得る。しかしながら、装置10”を
図4Bに示す送達形態に維持するには、スポンジ12が長時間の圧縮に耐えられないなら、ワーキングチャネル50aを通じて吸引力が連続的に伝送されることが必要とされ得る。あるいは、膜34は、吸引力が存在するときに
図4Bの圧縮形態を維持するような材料から構成されてもよい。
【0032】
装置10”の展開形態は特に限定されない。例えば、圧縮されたスポンジ12が上述のようにチャネル102aの中に格納されるとき、スポンジ12はカテーテル102の外側を遠位に延ばされて標的とされた創傷の中で展開されてもよい。膜34が維持される例において、膜34の遠位端は、スポンジ12がスリットを通って展開され得るようにスリット(例えば有孔または脆弱領域を有する)をいれられてもよい。他の例において、装置10”が
図4Bに示すような形態に維持されるとき、膜34は、装置10”が標的とされた創傷まで送達されたときに取り除かれ得る。膜34が取り除かれ得るための方法は特に限定されず、例えば追加のツール(把持具等)が使用されてもよい。いくつかの典型的な実施形態において、膜34が標的とされた創傷に到達するときに溶解され得るように、膜34は生分解性材料から構成されてよい。他の典型的な実施形態において、膜34は、穿孔または薄層化部分等の、それが破壊または破裂し得るための手段を含み得るため、スポンジ12が前方(遠位)へ運ばれたときに膜34は破壊または破裂し得る。圧縮されたスポンジ12は、一旦展開されると、完全な拡張状態に到達し、および/または創傷エリアの壁に対して圧力を付与するまで、圧縮前の状態へと自然に拡張し得る。別の実施形態において、カテーテル102は
図4Aから
図4Bの実施形態から省略されてもよく、膜34はチューブ100の遠位部分の全周の周りに固定されてもよい。チューブ100を通して付与される吸引力により、膜34がつぶされてスポンジ12が圧縮されるであろう。
【0033】
使用者が上述の方法または機構を介して膜34を取り除くか破壊することによって装置10”を展開形態へと移行できるということを除いて、装置10”は装置10と類似の方法で使用できる。
【0034】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示された機器に様々な修正および変更がなされ得ることは、当業者にとって明らかであろう。本開示の他の実施形態は、明細書および本明細書中に開示された発明の実施を検討すれば、当業者にとって明らかであろう。明細書および例は、典型的なものとしてみなされることのみを意図されており、発明の真の範囲および主旨は、以下の特許請求の範囲によって示されている。
【国際調査報告】