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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】リメゲパントの経口急速分散剤形
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4545 20060101AFI20230406BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61K31/4545
A61P25/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550949
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2021019825
(87)【国際公開番号】W WO2021173936
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/982,456
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517178900
【氏名又は名称】バイオヘイブン・ファーマシューティカル・ホールディング・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biohaven Pharmaceutical Holding Company Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】コリック,ウラディミール
(72)【発明者】
【氏名】コンウェイ,チャールズ,エム.
(72)【発明者】
【氏名】クロープ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】フロスト,マリアンヌ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA10
4C086ZA08
(57)【要約】
経口送達のための急速分散剤形が提供され、急速分散剤形は、リメゲパントを含む。リメゲパントを対象に送達するための方法も提供され、方法は、リメゲパントを含む急速分散剤形を対象に経口投与することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片頭痛の治療を必要とする患者において、それを行う方法であって、薬学的に許容される担体および治療有効量のリメゲパントを含む、急速分散医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩を、前記患者に経口投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記医薬組成物を投与することにより、投与時間の2時間以内に片頭痛寛解をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記医薬組成物を投与することにより、約21.2%の患者が前記投与時間の2時間以内に片頭痛寛解を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記医薬組成物を投与することにより、前記投与時間の2時間以内に最も煩わしい症状の寛解をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記医薬組成物を投与することにより、約35.1%の患者が前記投与時間の2時間以内に最も煩わしい症状の寛解を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記最も煩わしい症状が、羞明、吐き気、音声恐怖、またはそれらの組み合わせを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記医薬組成物を投与することにより、前記投与時間の90分以内に疼痛緩和をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記医薬組成物を投与することにより、約49.6%の患者が前記投与時間の90分以内に疼痛緩和を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記医薬組成物を投与することにより、前記投与時間の2時間以内に疼痛緩和を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記医薬組成物を投与することにより、約59.3%の患者が前記投与時間の2時間以内に疼痛緩和を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記医薬組成物を投与することにより、前記投与時間の2~48時間以内に持続的な疼痛緩和をもたす、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記医薬組成物を投与することにより、約42.2%の患者が前記投与時間の2~48時間以内に持続的な疼痛緩和を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記医薬組成物を投与することにより、前記投与時間の2~48時間以内に持続的な疼痛寛解をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記医薬組成物を投与することにより、約13.5%の患者が前記投与時間の2~48時間以内に持続的な疼痛寛解を達成する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記医薬組成物を投与することにより、前記投与時間の24時間以内の頓服薬の使用を低減させる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記医薬組成物を投与することにより、約14.2%の患者が前記投与時間の24時間以内に頓服薬を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記医薬組成物を投与することにより、前記投与時間の2時間以内に正常な機能をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記医薬組成物を投与することにより、約38.1%の患者が前記投与時間の2時間以内に正常な機能を報告する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
リメゲパントの1日用量が、約75mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記医薬組成物が、30日間の期間に、最大15回患者に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記薬学的に許容される塩またはリメゲパントが、リメゲパント半硫酸塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
リメゲパント半硫酸塩の1日用量が、約85.65mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記医薬組成物が、ベンジルアルコール、ユーカリプトール、ゼラチン、リモネン、マンニトール、メンソール、メンソン、酢酸メンチル、スクラロース、バニリン、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記医薬組成物を投与された患者の約1.3%以下が、吐き気を経験する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記医薬組成物を投与された患者の約0.15%以下が、過敏症を経験する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記過敏症が、呼吸困難、発疹、またはそれらの組み合わせを含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年2月27日に出願された米国仮出願第62/982,456号の優先権、および米国特許法第119条の下でそれから生じるすべての利益を主張し、それらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬である(5S,6S,9R)-5-アミノ-6-(2,3-ジフルオロフェニル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル4-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル)-1-ピペリジンカルボキシレート(リメゲパント)の医薬組成物に関する。具体的には、本発明は、片頭痛などのCGRP関連障害を治療するために使用され得る、リメゲパントの経口急速分散剤形に関する。
【背景技術】
【0003】
片頭痛は、吐き気もしくは嘔吐、ならびに/または音に対する感受性(音声恐怖)および光に対する感受性(羞明)に関連する中程度から重度の疼痛強度の、典型的には一側性の拍動性頭痛を含む、複数の症状を伴う4~72時間にわたる再発性発作を特徴とする慢性および衰弱性の障害である。片頭痛は、多くの場合、前兆として知られる一過性の神経学的警告症状が先行し、これは、典型的には、点滅光などの視覚障害を伴うが、身体の一部にしびれまたは刺痛を伴う場合もある。片頭痛は、広範囲に広がり、かつ身体障害性のものである。Migraine Research Foundationは、片頭痛を世界で3番目に蔓延している病気として位置付けており、Global Burden of Disease Study 2015は、片頭痛を世界で7番目に高い障害特異的原因として評価している。Migraine Research Foundationによると、米国では約3600万人が片頭痛発作に苦しんでいる。ほとんどの罹患者は月当たり1回または2回の片頭痛発作を経験するが、400万人超の人々は、3ヶ月超の間、月当たり少なくとも15日間頭痛を経験し、そのうち少なくとも8日間が片頭痛であると定義される慢性片頭痛を有する。他の人々は、月当たり15日未満の片頭痛を経験することを特徴とする突発性片頭痛を有する。突発性片頭痛を伴う人々は、徐々に慢性片頭痛に進行する可能性がある。片頭痛発作は、4時間または最大3日間続くことがある。片頭痛発作に苦しんでいる個人の90%超が、片頭痛発作中は働くことができないか、または正常に機能することができず、多くの人が、うつ病、不安、および不眠などの合併性疾患を経験している。また、片頭痛に苦しんでいる人々は、吐き気を伴うことが多く、発作中に食物または液体を摂取することを嫌う。
【0004】
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、37アミノ酸神経ペプチドであり、カルシトニン、アドレノメデュリン、およびアミリンを含むペプチドファミリーに属する。ヒトでは、2つの形態のCGRP(α-CGRPおよび13-CGRP)が存在し、同様の活性を有する。それらは3つのアミノ酸だけ異なり、差異的な分布を示す。少なくとも2つのCGRP受容体サブタイプもまた、差異的な活性をもたらし得る。CGRP受容体は、疼痛シグナル伝達経路、頭蓋内動脈、およびマスト細胞内に位置し、その活性化は、片頭痛病態生理学に因果的役割を果たすと考えられている。例えば、研究および臨床研究は、片頭痛発作中にCGRPの血清レベルが上昇し、静脈内CGRPの注入が片頭痛罹患者および非片頭痛罹患者に持続的な疼痛を引き起こし、抗片頭痛薬による治療がCGRP活性を正常化することを示している。
【0005】
片頭痛におけるCGRPの関与の可能性は、例えば、オルセゲパント(Boehringer Ingelheim,Ridgefield,CT)、テルカゲパント(Merck Sharp & Dohme Corp.,Kenilworth,NJ)、ウブロゲパント(Allergan plc,Dublin,Ireland)、リメゲパント(Biohaven Pharmaceutical Holding Company Ltd.,New Haven,CT)、ガルカネズマブ(Eli Lilly and Company,Indianapolis,IN)、フレマネズマブ(Teva Pharmaceutical Industries,Petah Tikva,Israel)、エプチネズマブ(Alder Biopharmaceuticals,Inc.,Bothell,WA)、およびエレヌマブ(Amgen Inc.,Thousand Oaks,CA)を含む、多数の化合物の開発および臨床試験の基礎となっている。片頭痛の治療のために最近研究された別の化合物は、ラスミジタン(Eli Lilly and Company,Indianapolis,IN)である。
【0006】
現在、臨床医は、片頭痛の急性治療のために多数の薬理学的薬剤を使用している。American Headache Societyが2015年に発表した研究では、片頭痛の急性治療に有効であると考えられている薬物は、以下のクラス:トリプタン、エルゴタミン誘導体、非ステロイド性抗炎症薬(「NSAID」)、オピオイド、および併用薬に分類されると結論付けた。片頭痛の急性治療のための現在の標準治療は、セロトニン5-HT1B/1D受容体作動薬であるトリプタンの処方である。トリプタンは、過去20年間にわたり、片頭痛の急性治療のために開発され、承認されている。トリプタンの初期導入は、片頭痛の疑われる病態生理学をより選択的に標的とする薬物への移行を示した。トリプタンは、医療提供者によりオフィス訪問で処方された抗片頭痛療法のほぼ80%を占めているが、不十分な効果または頭痛の再発などの問題は、依然として重要な臨床的制限である。実際、臨床試験の患者の約30%は、トリプタンを服用した後2時間で痛みがなくなる。加えて、トリプタンは、5-HT1B媒介作用による潜在的な全身および脳血管収縮のために、心血管疾患、脳血管疾患、またはいずれかの重大な危険因子を有する患者に禁忌である。また、Headache誌で発表された2017年1月の研究によると、米国の推定260万人の片頭痛罹患者は、治療オプションとしてトリプタンの可能性を制限する心血管イベント、状態、または手順を有する。
【0007】
したがって、既存の療法と比較して向上した患者の利益を提供し得る片頭痛の治療に対する重要な対処されていない医学的必要性が依然として存在する。加えて、CGRP受容体拮抗薬は、他のCGRP障害を伴う障害に有用な薬理学的薬剤であり得る。片頭痛に加えて、そのような障害としては、群発頭痛(非特許文献1及び2)、慢性緊張型頭痛(非特許文献3)、疼痛(非特許文献4)、慢性疼痛(非特許文献5)、神経原性炎症および炎症性疼痛(非特許文献6~8)、眼痛(非特許文献9)、歯痛(非特許文献10)、非インスリン依存性糖尿病(非特許文献11)、血管障害、炎症(非特許文献12)、関節炎、気管支過敏症、喘息(非特許文献13~15)、衝撃、敗血症(非特許文献16)、オピエート離脱症候群(非特許文献17)、モルヒネ耐性(非特許文献18)、男性および女性のほてり感(非特許文献19及び20)、アレルギー性皮膚炎(非特許文献21)、乾癬、脳炎、脳外傷、虚血、脳卒中、てんかん、および神経変性疾患(非特許文献22)、皮膚疾患(非特許文献23)、神経原性皮膚発赤、皮膚薔薇状赤斑および紅斑、耳鳴り(非特許文献24)、肥満(非特許文献25)、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、(非特許文献26)ならびに膀胱炎が挙げられ得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Doods(2001)Curr.Opin.Invest.Drugs 2,1261-1268
【非特許文献2】Edvinsson et al.(1994)Cephalalgia 14,320-327
【非特許文献3】Ashina et al.(2000)Neurology 14,1335-1340
【非特許文献4】Yu et al.(1998)Eur.J Pharmacol.347,275-282
【非特許文献5】Hulsebosch et al.(2000)Pain 86,163-175
【非特許文献6】Holzer(1988)Neuroscience 24,739-768
【非特許文献7】Delay-Goyet et al.(1992)Acta Physiol.Scanda.146,537-538
【非特許文献8】Salmon s/al.(2001)Nature Neurosci.4,357-358
【非特許文献9】May et al.(2002)Cephalalgia 22,195-196
【非特許文献10】Awawdeh et al.(2002)Int.Endocrin.J35,30-36
【非特許文献11】Molina et al.(1990)Diabetes 39,260-265
【非特許文献12】Zhang et al.(2001)Pain 89,265
【非特許文献13】Foster et al.(1992)Ann.NY Acad.Sci.657,397-404
【非特許文献14】Schini et al.(1994)Am.J Physiol.267,H2483-H2490
【非特許文献15】Zheng et al.(1993)J Viral.67,5786-5791
【非特許文献16】Beer et al.(2002)Crit.Care Med.30,1794-1798
【非特許文献17】Salmon et al.(2001)Nature Neurosci.4,357-358
【非特許文献18】Menard et al.(1996)J Neurosci.16,2342-2351
【非特許文献19】Chen et al.(1993)Lancet 342,49
【非特許文献20】Spetz et al.(2001)J Urology 166,1720-1723
【非特許文献21】Wallengren(2000)Contact Dermatitis 43,137-143
【非特許文献22】Rohrenbeck et al.(1999)Neurobiol.Dis.6,15-34
【非特許文献23】Geppetti and Holzer,Eds.,Neurogenic Inflammation,1996,CRC Press,Boca Raton,FL
【非特許文献24】Herzog et al.(2002)J Membr.Biol.189,225
【非特許文献25】Walker et al.(2010)Endocrinology 151,4257-4269
【非特許文献26】Hoffman et al.(2002)Scand.J Gastroenterol.37,414-422
【発明の概要】
【0009】
本発明は、CGRP関連状態、例えば、片頭痛の治療に関し、薬学的に許容される担体および治療有効量のリメゲパントを含む医薬組成物、またはその薬学的に許容される塩を患者に経口投与することによるものである。
一実施形態において、医薬組成物は、急速分散医薬組成物であり得る。
【0010】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、投与時間の2時間以内に片頭痛寛解をもたらし得る。
【0011】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、少なくとも21.2%の患者は、投与時間の2時間以内に片頭痛寛解を達成し得る。
【0012】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、投与時間の2時間以内に、最も煩わしい症状の寛解をもたらし得る。
【0013】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、少なくとも35.1%の患者は、投与時間の2時間以内に、最も煩わしい症状の寛解を達成し得る。
【0014】
一実施形態において、最も煩わしい症状は、羞明、吐き気、音声恐怖、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0015】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、投与時間の90分以内に疼痛緩和をもたらし得る。
【0016】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、投与時間の2時間以内に疼痛緩和をもたらし得る。
【0017】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、少なくとも59.3%の患者は、投与時間の2時間以内に疼痛緩和を達成し得る。
【0018】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、投与時間の2~48時間以内に持続的な疼痛緩和をもたらし得る。
【0019】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、少なくとも42.2%の患者は、投与時間の2~48時間以内に持続的な疼痛緩和を達成し得る。
【0020】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、投与時間の2~48時間以内に持続的な疼痛寛解をもたらし得る。
【0021】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、少なくとも13.5%の患者は、投与時間の2~24時間以内に持続的な疼痛緩和を達成し得る。
【0022】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、投与時間の24時間以内の頓服薬の使用を低減させ得る。
【0023】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、最大14.2%の患者が投与時間の24時間以内の頓服薬を使用し得る。
【0024】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、投与時間の2時間以内に正常な機能をもたらし得る。
【0025】
一実施形態において、医薬組成物を投与することにより、少なくとも38.1%の患者は、投与時間の2時間以内に正常な機能を報告し得る。
【0026】
一実施形態において、リメゲパントの1日用量は、約75mgであり得る。
【0027】
一実施形態において、医薬組成物は、30日間の期間に最大15回患者に投与され得る。
【0028】
一実施形態において、薬学的に許容される塩またはリメゲパントは、リメゲパント半硫酸塩であり得る。リメゲパント半硫酸塩の1日用量は、約85.65mgであり得る。
【0029】
一実施形態において、医薬組成物は、ベンジルアルコール、ユーカリプトール、ゼラチン、リモネン、マンニトール、メンソール、メントン、酢酸メンチル、スクラロース、バニリン、またはそれらの組み合わせをさらに含み得る。
【0030】
一実施形態において、医薬組成物を投与された患者の1.3%以下は、吐き気を経験し得る。
【0031】
一実施形態において、医薬組成物を投与された患者の0.15%以下は、過敏症を経験し得る。
【0032】
一実施形態において、過敏症は、呼吸困難、発疹、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0033】
これらおよび/または他の態様は、添付の図面と併せて以下の実施形態の説明から明らかになり、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】投与からの時間に対する疼痛寛解を達成する割合のグラフであり、試験1において2時間以内に疼痛寛解を達成する患者の割合を示す。
図2】投与からの時間に対する最も煩わしい症候群(MBS)寛解を達成する割合のグラフであり、試験1におけるさらなる片頭痛有効性評価項目を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施において当業者を支援するために、以下の詳細な説明が提供される。当業者であれば、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施形態において修正および変形を行い得る。別途定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当該技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。説明で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではない。
【0036】
本出願で使用される場合、本明細書で明示的に提供される場合を除き、以下の用語の各々は、以下に記載される意味を有するものとする。追加の定義は、本出願を通じて記載される。本明細書において用語が具体的に定義されていない場合、その用語は、本発明を説明する際のその用語の使用に関連してその用語を適用する当業者によって、当該技術分野において認識される意味が与えられる。
【0037】
冠詞「a」および「an」は、文脈により明らかにそうではないと指示されない限り、冠詞の文法的目的語の1つまたは2つ以上(すなわち少なくとも1つ)を指す。例として、「要素」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0038】
「約」という用語は、当業者によって決定される特定の値または組成に対する許容誤差範囲内にある値または組成を指し、それは、その値または組成がどのように測定または決定されるか、すなわち測定システムの限界に一部依存する。例えば、「約」は、当該技術分野における慣例に従って、1以内のまたは1を超える標準偏差を意味し得る。あるいは、「約」は、出願の文脈に応じて、最大1%、5%、10%または20%(すなわち±10%または±20%)の範囲を意味し得る。例えば、約3mgは、2.7mg~3.3mg(10%の場合)または2.4mg~3.6mg(20%の場合)の任意の数を含むことができる。さらに、特に生物システムまたは生物学的過程に関して、この用語は、最大で1桁、または最大で5倍の値を意味し得る。本出願および特許請求の範囲において特定の値または組成が提供される場合、特に指示しない限り、「約」の意味は、その特定の値または組成について許容誤差範囲内であると考えるべきである。
【0039】
「投与」という用語は、当業者に既知の種々の方法および送達系のいずれかを使用して、治療薬を含む組成物を対象に物理的に導入することを指す。投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1回以上の長期間にわたって行われ得、治療有効用量または治療量以下の用量であり得る。
【0040】
「AUC」(曲線下面積)という用語は、対象に吸収されるかまたは曝露される薬物の総量を指す。一般に、AUCは、濃度が無視できるほどになるまでの経時的な対象における薬物濃度のプロットにおいて、数学的方法により得ることができる。「AUC」という用語はまた、指定された時間間隔での部分AUCを指すことができる。
【0041】
「Cmax」という用語は、第1の用量の投与と第2の用量の投与との間の、対象の血液、血清、特定の区画、または試験領域における薬物の最大濃度を指す。Cmaxという用語はまた、指定された場合、用量正規化比率を指すことができる。
【0042】
「と組み合わせて」および「と併せて」という用語は、別の治療様式に加えた1つの治療様式の投与を指す。したがって、「と組み合わせて」または「と併せて」とは、対象への他の治療様式の投与の前、その間、またはその後に、1つの治療様式を投与することを指す。
【0043】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に記載の化合物のうちの1つ以上の塩形態を指し、典型的には、化合物の溶解およびバイオアベイラビリティを促進するために、患者の胃液または胃腸液における化合物の溶解性を増加させるために提示される。薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容される無機または有機塩基、および該当する場合、酸に由来するものが挙げられる。好適な塩としては、例えば、医薬分野で周知の多数の他の酸および塩基のうち、カリウムおよびナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムおよびアンモニウム塩などのアルカリ土類金属に由来するものが挙げられる。
【0044】
「対象」および「患者」という用語は、任意のヒトまたは非ヒト動物を指す。「非ヒト動物」という用語は、脊椎動物、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ならびにマウス、ラットおよびモルモットなどのげっ歯類が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、対象は、ヒトである。「対象」および「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0045】
薬剤(本明細書において「薬物」とも称されることがある)の用語「有効量」、「治療有効量(therapeutically effective amount)」、「治療有効用量(therapeutically effective dosage)」および「治療有効用量(therapeutically effective dose)」は、単独でまたは別の薬剤と組み合わせて使用される場合、疾患の発症から対象を保護するか、または疾患症状の重症度の減少、疾患症状のない期間の頻度および期間の増加、もしくは疾患の苦痛に起因する機能障害もしくは身体障害からの軽減によって証明される疾患退行を促進する薬剤の任意の量を指す。薬剤の治療有効量は、臨床試験中のヒト対象において、ヒトにおける有効性を予測する動物モデル系において、またはインビトロアッセイにおいて薬剤の活性をアッセイすることによって、当業者に既知の様々な方法を使用して評価することができる。
【0046】
「Tmax」という用語は、対象の血液、血清、特定の区画または試験領域において最大濃度(Cmax)に達する薬物の投与後の時間または期間を指す。
【0047】
「治療」という用語は、対象における状態または疾患の任意の治療を指し、(i)疾患の素因になり得るが、まだそれを有すると診断されていない対象において疾患もしくは状態が発生するのを予防すること、(ii)疾患もしくは状態を阻害すること、すなわちその発症を阻止すること、疾患もしくは状態を軽減すること、すなわち状態の退行を引き起こすこと、または(iii)疾患によって引き起こされる状態、すなわち疾患の症状を改善もしくは軽減することを含み得る。治療は、他の標準的な療法と組み合わせて、または単独で使用することができる。対象の治療または「療法」には、疾患に関連する症状、合併症もしくは状態、または生化学的兆候の発病、進行、発症、重症度もしくは再発を逆転、緩和、改善、阻害、減速、または予防することを目的とする、対象に対して行われる任意の種類の介入もしくはプロセス、または対象への薬剤の投与も含まれる。
【0048】
頭痛に関して、「治療」は、対象との有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果としては、以下のうちの1つ以上:重症度の軽減、疼痛強度および他の関連する症状の緩和、再発の頻度の低減、頭痛に苦しんでいる人々の生活の質の向上、頭痛の治療に必要な他の薬物の投薬量の減少、ならびに1ヶ月当たりの頭痛日数の低減を含む、頭痛の任意の態様の改善、が挙げられるが、これらに限定されない。片頭痛の場合、他の関連する症状としては、吐き気、嘔吐、および光、音、および/または動きに対する感受性が挙げられるが、これらに限定されない。群発頭痛の場合、他の関連する症状としては、眼の下または眼の周囲の腫脹、過度の涙、赤目、鼻漏または鼻閉、および赤い顔面の紅潮が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本開示の目的のため、米国食品医薬品局(FDA)による出版物、Guidance for Industry,「Migraine:Developing Drugs for Acute Treatment」,February 2018を参照し、https://www.fda.gov/downloads/drugs/guidances/ucm419465.pdfから入手可能である。実施例で使用される用語(例えば、最も煩わしい症状(MBS)および疼痛寛解など)は、FDAガイダンスに記載されている。
【0050】
本発明の医薬組成物を作製するのに有用な出発物質は、容易に商業的に入手可能であるか、または当業者によって調製され得る。
【0051】
本発明は、リメゲパントの経口急速分散剤形を包含する。本発明はさらに、組成物を経口投与することによって、CGRPを調節し、CGRPまたはCGRP受容体シグナル伝達の異常なレベルに関連する医学的状態を有する患者を治療するための方法を包含する。リメゲパントは、(5S,6S,9R)-5-アミノ-6-(2,3-ジフルオロフェニル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル4-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル)-1-ピペリジンカルボキシレートとして化学的に記載されており、その構造式は、以下のとおりである。
【化1】


リメゲパントは、例えば、2011年4月21日に公開されたWO2011/046997に記載されている。
【0052】
語句「急速分散剤形」は、本明細書で使用される場合、流体と接触させた後に、1~60秒、好ましくは1~30秒、より好ましくは1~10秒、特に2~8秒以内に分解または分散する組成物を指す。流体は、経口投与と同様に、口腔、すなわち唾液に見られるものであることが好ましい。
【0053】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、活性成分、リメゲパント、および魚ゼラチンを含有する水溶性または水分散性担体の固体ネットワークを含む固体急速分散剤形である。したがって、担体は、活性成分に対して不活性である。ネットワークは、固体状態の組成物から溶媒を昇華させることによって得られ、組成物は、活性成分および担体の溶液を溶媒中に含む。本発明による剤形は、担体として魚ゼラチンを用いて、Gregory et al.、英国特許第1,548,022号に開示されたプロセスに従って調製することができる。したがって、活性成分および魚ゼラチン担体の溶液を溶媒中に含む初期組成物(または混合物)を調製し、続いて昇華させる。昇華は、組成物を凍結乾燥することによって実施されることが好ましい。組成物は、任意の所望の形状の固体形態を生成するために、凍結乾燥プロセス中にモールドに含有され得る。モールドは、組成物がそこに堆積する前の予備ステップにおいて、液体窒素または固体二酸化炭素を使用して冷却することができる。モールドおよび組成物を凍結した後、溶媒の昇華を補助するために、次に減圧し、必要に応じて、加熱の制御を受ける。プロセスにおいて適用される減圧は、約4mmHg未満、好ましくは約0.3mmHg未満であり得る。次いで、凍結乾燥組成物は、必要に応じてモールドから取り出すことができ、または後で使用するまでその中に保管することができる。
【0054】
プロセスを、活性成分および魚ゼラチンを担体として使用する場合、本明細書に記載の魚ゼラチンの使用に関連する利点を有する固体急速分散剤形を製造する。一般に、魚ゼラチンは、冷水魚および温水魚由来に分類され、ゲル化または非ゲル化種に分類される。非ゲル化種の魚ゼラチンは、ゲル化魚ゼラチンおよびウシゼラチンと比較して、架橋特性およびゲル化能に関連することが知られている、より低いプロリンおよびヒドロキシプロリンアミノ酸含有量を含む。非ゲル化魚ゼラチンは、最大約40%の溶液濃度および20℃までの低温にとどまることができる。本発明の一態様において、本発明に従って使用される魚ゼラチンは、好ましくは冷水魚源から得られ、非ゲル化タイプの魚ゼラチンである。より好ましくは、本発明の一態様において、非ゲル化魚ゼラチンの非加水分解形態を使用する。代替の実施形態において、噴霧乾燥非加水分解非ゲル化魚ゼラチンを使用することができる。本発明での使用に好適な魚ゼラチンが市販されている。
【0055】
本発明による組成物は、活性成分の乾燥魚ゼラチン担体に加えて、他のマトリックス形成剤および二次成分も含有し得る。本発明での使用に好適なマトリックス形成剤としては、他のゼラチン、デキストリン、および大豆、小麦、およびサイリウム種子タンパク質などの動物または植物タンパク質に由来する材料、アカシア、グアー、寒天、およびキサンタンなどのガム、多糖類、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、デキストラン、ペクチン、ポリビニルピロリドンなどの合成ポリマー、ならびにゼラチン-アカシア複合体などのポリペプチド/タンパク質または多糖複合体が挙げられる。
【0056】
本発明の速溶性組成物に組み込まれ得る他の材料としては、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、およびトレハロースなどの糖、シクロデキストリンなどの環状糖、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよびケイ酸アルミニウムなどの無機塩、ならびにグリシン、L-アラニン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、L-ヒドロキシプロリン、L-イソロイシン、L-ロイシンおよびL-フェニルアラニンなどの2~12個の炭素原子を有するアミノ酸が挙げられる。1つ以上のマトリックス形成剤は、固化(凍結)の前に溶液または懸濁液に組み込まれ得る。マトリックス形成剤は、界面活性剤に加えて、または界面活性剤を除外して存在し得る。マトリックスを形成することに加えて、マトリックス形成剤は、懸濁液内の任意の活性成分の分散を維持するのに役立ち得る。これは、水に十分に溶解しないため、溶解するのではなく懸濁さなければならない活性剤の場合に特に有用である。防腐剤、抗酸化剤、界面活性剤、粘度向上剤、着色剤、香味剤、pH調節剤、甘味剤、または味覚遮断剤などの二次成分もまた、速溶性組成物に組み込まれ得る。好適な着色剤としては、Ellis & Everardから入手可能なFD&C青色2号およびFD&C赤色40号などの赤色、黒色および黄色の酸化鉄およびFD & C染料が挙げられる。好適な香味剤としては、ミント、ラズベリー、リコリス、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キャラメル、バニラ、チェリー、およびブドウの香料、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。好適なpH修飾剤としては、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸、マレイン酸および水酸化ナトリウムなどの食用酸および塩基が挙げられる。好適な甘味料としては、例えば、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムKおよびタウマチンが挙げられる。好適な味覚遮断剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン含有化合物、吸着剤、またはマイクロカプセル化活性剤が挙げられる。
【0057】
本発明の急速分散剤形を投与する典型的な経路は、経口である。本発明のある特定の実施形態に従う医薬組成物は、患者に組成物を投与した後に、そこに含まれる活性成分が生物学的に利用可能であることを可能にするように製剤化される。対象または患者に投与される組成物は、1つ以上の投薬単位の形態をとり得る。そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者に既知であるか、または明白であろう。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition(Philadelphia College of Pharmacy and Science,2000)を参照されたい。
【0058】
固体組成物は、通常、用量当たり約1~約1000mgの活性成分を提供する投薬単位で製剤化される。固体投薬単位のいくつかの例は、0.1mg、1mg、10mg、37.5mg、75mg、100mg、150mg、300mg、500mg、600mgおよび1000mgである。本発明による典型的な用量範囲は、約10~600mg、25~300mg、25~150mg、50~100mg、60~90mgおよび70~80mgを含む。液体組成物は、一般に、1~100mg/mLの単位投薬範囲である。液体投薬単位のいくつかの例は、0.1mg/mL、1mg/mL、10mg/mL、25mg/mL、50mg/mL、および100mg/mLである。
【0059】
本発明の医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、鼻腔用スプレー、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル、マイクロスフィア、およびエアロゾルを含む、任意の好適な剤形で調製され得る。
【0060】
リメゲパントを含有する本発明の医薬組成物としては、典型的には、例えば、結合剤、滑沢剤、希釈剤、コーティング剤、崩壊剤、バリア層成分、流動剤、着色剤、可溶性向上剤、ゲル化剤、充填剤、タンパク質、補助因子、乳化剤、可溶化剤、懸濁剤、香料剤、防腐剤、およびそれらの混合物などの他の薬学的に許容される担体(賦形剤とも称される)が挙げられる。賦形剤の選択は、組成物の所望の特徴および製剤中の他の薬理学的に活性な化合物の性質に依存する。好適な賦形剤は、当業者に既知である(Rowe et al.,McGraw Hillによって編集されたHandbook of Pharmaceutical Excipients,fifth edition,2005を参照されたい)。
【0061】
本発明の医薬組成物の調製に使用され得る薬学的に許容される担体の例としては、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖類などの充填剤、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝溶液、乳化剤、等張生理食塩水、ピロゲンフリー水、およびそれらの組み合わせなどのセルロース調製物が挙げられ得るが、これらに限定されない。所望される場合、崩壊剤もまた組み合わせることができ、例示的な崩壊剤としては、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、もしくはアルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムなどのその塩であり得るが、これらに限定されない。本発明の一態様において、香味剤は、ミント、ペパーミント、ベリー、チェリー、メンソールおよび塩化ナトリウム、ならびにそれらの組み合わせから選択される。本発明の一態様において、甘味料は、糖、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファム、ネオテーム、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0062】
一般に、本発明の医薬組成物は、当該技術分野で既知の従来の方法で、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入、凍結乾燥プロセスなどによって製造され得る。
【0063】
本発明の一態様において、医薬組成物は、2015年11月24日に発行された米国特許第9,192,580号に記載されているような経口固形成形急速分散剤形で調製される。
【0064】
いくつかの実施形態において、方法は、対象に1つ以上の追加の薬剤をリメゲパントと同時にまたは順次投与することを含み得る。いくつかの実施形態において、追加の薬剤は、当該技術分野で既知の例示的な抗頭痛薬(例えば、5-HT1拮抗薬、トリプタン、麦角アルカロイド、オピエート、アドレナリン拮抗薬、NSAIDまたは抗体)などの抗頭痛薬であり得る。いくつかの実施形態において、治療効果は、リメゲパントまたは1つ以上の追加の薬剤単独の使用と比較して大きくなり得る。したがって、リメゲパントと1つ以上の追加の薬剤との間の相乗効果が達成され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の追加の薬剤は、対象によって予防的に服用され得る。
【0065】
片頭痛に加えて、本発明の医薬組成物および方法によって治療され得る他のCGRP関連障害としては、例えば、群発性頭痛、慢性緊張型頭痛、慢性疼痛、神経原性炎症および炎症性疼痛、眼痛、歯痛、非インスリン依存性糖尿病、血管障害、炎症、関節炎、気管支喘息、喘息、衝撃、敗血症、オピエート離脱症候群、モルヒネ耐性、男性および女性のほてり感、アレルギー性皮膚炎、乾癬、脳炎、脳外傷、虚血、脳卒中、てんかん、および神経変性疾患、皮膚疾患、神経原性皮膚発赤、皮膚薔薇状赤斑および紅斑、耳鳴り、肥満、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、および膀胱炎が挙げられる。
【0066】
一態様において、本発明はまた、本方法で使用するためのキットを提供する。キットは、本明細書に記載の医薬組成物および本明細書に記載の方法のうちのいずれかに従って使用するための説明書を含む1つ以上の容器を含むことができる。一般に、これらの説明書は、本明細書に記載の方法のいずれかに従って、頭痛(片頭痛など)または他のCRGP障害を治療、緩和または予防するための医薬組成物の投与の説明を含む。例えば、キットは、個体が頭痛を有するかどうか、または個体が頭痛を有するリスクがあるかどうかの特定に基づいて、治療に好適な個体を選択することの説明を含み得る。説明書は、典型的には、医薬組成物が患者に提供される管轄区域を管轄する規制当局の要件に従って、添付文書またはラベルの形態で提供される。
【0067】
本発明によれば、リメゲパントを含む医薬組成物を対象に投与することは、重症度(例えば、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、または片頭痛のためのトリプタンを含む、この状態のために一般的に使用される他の薬物および/または療法の必要性および/または量(例えば、曝露)を低減することを含むことができる)、持続時間、および/または頻度(例えば、個体における次の偶発性発作までの時間を遅延または増加させることを含む)の低減を促進し得る。
【0068】
加えて、リメゲパントを含む医薬組成物を対象に投与することにより、治療を投与しない場合と比較して、頭痛の1つ以上の症状の軽減もしくは改善、または症状の持続時間の低減を促進し得る。
【0069】
加えて、リメゲパントを含む医薬組成物を対象に投与することにより、特定の期間、例えば、1ヶ月当たりの個体における頭痛発作の頻度の低下を促進し得る(治療前のレベルと比較して)。例えば、発作の頻度は、個体において、治療前のレベルと比較して、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%のうちのいずれかによって低減され得る。
【0070】
加えて、リメゲパントを含む医薬組成物を対象に投与することにより、頭痛の発症の遅延を促進し得る、すなわち、疾患の進行を延期する、妨げる、遅延する、安定化する、かつ/または延期する。この遅延は、疾患の病歴および/または治療されている個体に応じて、様々な期間のものであり得る。
【0071】
加えて、リメゲパントを含む医薬組成物を対象に投与することにより、頭痛の発症または進行、すなわち、障害の初期症状の遅延および/またはその後の進行を遅延させることができる。頭痛の発症は、当該技術分野で周知の標準的な臨床技術を使用して検出可能であり、評価することができる。しかしながら、発症はまた、検出できない可能性のある進行を指す。
【0072】
加えて、リメゲパントを含む医薬組成物の投与は、投与時間の2時間以内に片頭痛寛解を達成する患者の数の増加をもたらし得る。例えば、投与時間の2時間以内に片頭痛寛解を達成する患者の数は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、または約100%であり得る。例えば、投与から2時間以内に片頭痛寛解を達成する患者数は、約21.2%であり得る。
【0073】
医薬組成物の投与は、投与時間の2時間以内に片頭痛寛解をもたらし得る。例えば、医薬組成物の投与は、投与時間から1.9時間以内、1.8時間以内、1.7時間以内、1.6時間以内、1.5時間以内、1.4時間以内、1.3時間以内、1.2時間以内、1.1時間以内、1.0時間以内、0.9時間以内、0.8時間以内、0.7時間以内、0.6時間以内、0.5時間以内、0.4時間以内、0.3時間以内、0.2時間以内、または0.1時間以内に片頭痛寛解をもたらし得る。
【0074】
加えて、リメゲパントを含む医薬組成物の投与は、投与時間の2時間以内に最も煩わしい症状の寛解を達成する患者の数の増加をもたらし得る。例えば、投与時間の2時間以内に、最も煩わしい症状の寛解を達成する患者の数は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、または約100%であり得る。例えば、投与から2時間以内に片頭痛寛解を達成する患者数は、約35.1%であり得る。最も煩わしい症状は、羞明、吐き気、音声恐怖、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0075】
医薬組成物の投与は、投与時間の2時間以内に、最も煩わしい症状の寛解をもたらし得る。例えば、医薬組成物の投与は、投与時間の1.9時間以内、1.8時間以内、1.7時間以内、1.6時間以内、1.5時間以内、1.4時間以内、1.3時間以内、1.2時間以内、1.1時間以内、1.0時間以内、0.9時間以内、0.8時間以内、0.7時間以内、0.6時間以内、0.5時間以内、0.4時間以内、0.3時間以内、0.2時間以内、または0.1時間以内に、最も煩わしい症状の寛解をもたらし得る。
【0076】
加えて、リメゲパントを含む医薬組成物の投与は、投与時間の90分以内に疼痛緩和を達成する患者の数の増加をもたらし得る。例えば、投与時間の90分以内に疼痛緩和を達成する患者の数は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、または約100%であり得る。例えば、投与時間の90分以内に疼痛緩和を達成する患者数は、約49.6%であり得る。
【0077】
医薬組成物の投与は、投与時間の90分以内に疼痛緩和を達成することをもたらし得る。例えば、医薬組成物の投与は、投与時間から85分以内、80分以内、75分以内、70分以内、65分以内、60分以内、55分以内、50分以内、45分以内、40分以内、35分以内、30分以内、25分以内、20分以内、15分以内、10分以内、または5分以内に疼痛緩和を達成することをもたらし得る。
【0078】
加えて、リメゲパントを含む医薬組成物の投与は、投与時間の2時間以内に疼痛緩和を達成する患者の数の増加をもたらし得る。例えば、投与時間の2時間以内に疼痛緩和を達成する患者の数は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、または約100%であり得る。例えば、投与から2時間以内に疼痛緩和を達成する患者数は、約59.3%であり得る。
【0079】
医薬組成物の投与は、投与時間の2時間以内に疼痛緩和を達成することをもたらし得る。例えば、医薬組成物の投与は、投与時間の1.9時間以内、1.8時間以内、1.7時間以内、1.6時間以内、1.5時間以内、1.4時間以内、1.3時間以内、1.2時間以内、1.1時間以内、1.0時間以内、0.9時間以内、0.8時間以内、0.7時間以内、0.6時間以内、0.5時間以内、0.4時間以内、0.3時間以内、0.2時間以内、または0.1時間以内に、片頭痛緩和を達成することをもたらし得る。
【0080】
加えて、リメゲパントを含む医薬組成物の投与は、投与時間の2~48時間以内に持続的な疼痛緩和を達成する患者の数の増加をもたらし得る。例えば、投与時間の2~48時間以内に持続的な疼痛緩和を達成する患者の数は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、または約100%であり得る。例えば、投与時間の2~48時間以内に持続的な疼痛緩和を達成する患者数は、約42.2%であり得る。
【0081】
加えて、リメゲパントを含む医薬組成物の投与は、投与時間の2~24時間以内に持続的な疼痛寛解を達成する患者の数の増加をもたらし得る。例えば、投与時間の2~24時間以内に持続的な疼痛寛解を達成する患者の数は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、または約100%であり得る。例えば、投与時間の2~24時間以内に持続的な疼痛寛解を達成する患者の数は、約15.7%であり得る。
【0082】
加えて、リメゲパントを含む医薬組成物の投与は、投与時間の2~48時間以内に持続的な疼痛寛解を達成する患者の数の増加をもたらし得る。例えば、投与時間の2~48時間以内に持続的な疼痛寛解を達成する患者の数は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、または約100%であり得る。例えば、投与時間の2~48時間以内に持続的な疼痛寛解を達成する患者の数は、約13.5%であり得る。
【0083】
加えて、リメゲパントを含む医薬組成物の投与は、投与時間の24時間以内に頓服薬を使用する患者の数の低減をもたらし得る。例えば、投与時間の24時間以内に頓服薬を使用する患者の数は、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、または約5%以下であり得る。例えば、投与から24時間以内に頓服薬を使用する患者数は、約14.2%であり得る。
【0084】
加えて、リメゲパントを含む医薬組成物の投与は、投与時間の2時間以内に正常な機能を報告する患者の数の増加をもたらし得る。例えば、投与時間の2~24時間以内に正常な機能を報告する患者の数は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、または約100%であり得る。例えば、投与時間の2時間以内に正常な機能を報告する患者の数は、約38.1%であり得る。
【0085】
医薬組成物の投与は、投与時間の2時間以内に正常な機能を報告することをもたらし得る。例えば、医薬組成物の投与は、投与時間の1.9時間以内、1.8時間以内、1.7時間以内、1.6時間以内、1.5時間以内、1.4時間以内、1.3時間以内、1.2時間以内、1.1時間以内、1.0時間以内、0.9時間以内、0.8時間以内、0.7時間以内、0.6時間以内、0.5時間以内、0.4時間以内、0.3時間以内、0.2時間以内、または0.1時間以内に正常な機能を報告することをもたらし得る。
【0086】
患者は、30日間の期間に15回以下の片頭痛を有し得る。例えば、患者は、30日間の期間に15回の片頭痛、14回の片頭痛、13回の片頭痛、12回の片頭痛、11回の片頭痛、10回の片頭痛、9回の片頭痛、8回の片頭痛、7回の片頭痛、6回の片頭痛、5回の片頭痛、4回の片頭痛、3回の片頭痛、2回の片頭痛、または1回の片頭痛を有し得る。
【0087】
医薬組成物は、30日間の期間に最大15回患者に投与され得る。例えば、医薬組成物は、30日間の期間に1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、または15回、患者に投与され得る。
【0088】
一実施形態において、経口急速分散剤形は、(5S,6S,9R)-5-アミノ-6-(2,3-ジフルオロフェニル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル4-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル)-1-ピペリジンカルボキシレート半硫酸塩セスキ水和物として化学的に記載されるリメゲパント半硫酸塩を含有し得、その構造式は、以下のとおりである。
【化2】


リメゲパント半硫酸塩の実験式は、C2828 0.5HSO 1.5HOであり、610.63の分子量を示す。リメゲパント遊離塩基は、534.56の分子量を有する。リメゲパント半硫酸塩の1日用量は、約85.65mgであり得る。
【0089】
一般に、リメゲパントは、すべての薬学的に許容される塩形態で本発明の組成物に含まれ得る。薬学的に許容される塩は、対イオンが化合物の生物学的活性または毒性に著しく寄与せず、そのため薬理学的等価物として機能するものである。これらの塩は、市販の試薬を用いる一般的な有機技術に従って作製され得る。いくつかの陰イオン塩形態としては、酢酸塩、アシストレート、ベシル酸塩、臭化物、塩化物、クエン酸塩、フマル酸塩、グルクロン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、およびシノフォエートが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの陽イオン塩形態としては、アンモニウム、アルミニウム、ベンザチン、ビスマス、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、リチウム、マグネシウム、メグルミン、4-フェニルシクロヘキシルアミン、ピペラジン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、および亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
本発明は、式Iを有する化合物において発生する原子のすべての同位体を含むことを意図する。同位体は、同じ原子番号であるが、異なる質量数を有する原子を含む。一般的な例として、かつ限定されないが、水素の同位体は、重水素およびトリチウムを含む。炭素の同位体には、13Cおよび14Cが含まれる。本発明の同位体標識化合物は、一般に、当業者に既知の従来の技術によって、または本明細書に記載されるものに類似のプロセスによって、さもなければ用いられる非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して調製され得る。そのような化合物は、例えば、生物学的活性を決定する際の標準および試薬としての様々な潜在的用途を有し得る。安定した同位体の場合、そのような化合物は、生物学的、薬理学的、または薬物動態的特性を良好に修飾する可能性を有し得る。
【0091】
治療活性構成要素は、2つ以上の化合物を含み得、それらの各々は、経口的に生物学的に利用可能な活性医薬成分(「API」)、例えば、抗片頭痛薬であり得る。
【0092】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに例示される。
【実施例
【0093】
本発明は、水にわずかに溶解する白色からオフホワイトの結晶性固体であるリメゲパント半硫酸塩で例示される。リメゲパント半硫酸塩を含有する経口急速分散剤形は、以下、「NURTEC ODT」と称される。
【0094】
NURTEC ODTは、舌下使用または経口使用のための経口崩壊錠剤であり得、75mgのリメゲパント遊離塩基に相当する、85.65mgのリメゲパント半硫酸塩を含有し得る。NURTEC ODTは、以下の不活性成分:ベンジルアルコール、ユーカリプトール、ゼラチン、リモネン、マンニトール、メンソール、メンソン、酢酸メンチル、スクラロース、およびバニリンをさらに含み得る。
【0095】
効能および使用法
NURTEC ODTは、成人において、前兆の有無にかかわらず、片頭痛の急性治療が必要である。片頭痛の予防治療に対して、NURTEC ODTは必要ではない。
【0096】
用法および用量
投薬情報
NURTEC ODTの推奨用量は、75mgの経口摂取である。24時間の期間での最大投与量は、75mgである。30日間の期間に15回を超える片頭痛の治療の安全性は、確立されていない。
【0097】
投与情報
NURTEC ODTを服用している患者は、以下のように指示されるべきである。
●ブリスター包装を開封するときは、乾燥した手を使用する。
●1つのブリスターのホイルカバーを剥がし、経口崩壊錠剤(ODT)を優しく取り出す。ODTはホイルに押し込まない。
●ブリスターを開封したらすぐに、ODTを取り出して舌の上に置くか、あるいは、ODTを舌の下に置いてもよい。
●ODTは唾液中で崩壊するため、追加の液体なしで飲み込むことができる。
●ODTは、ブリスター包装を開封した直後に服用する。後の使用のために、ODTをブリスター包装から出して保管しない。
【0098】
強力または中等度のCYP3A4阻害剤との併用投与
NURTEC ODTとCYP3A4の強力な阻害剤との併用投与は、避けるべきである。また、CYP3A4の中等度の阻害剤と同時に投与される場合は、48時間以内に別の用量のNURTEC ODTを使用することも避けるべきである[Drug Interactions and Clinical Pharmacologyを参照されたい]。
【0099】
強力または中等度のCYP3A誘導剤との併用投与
NURTEC ODTと強力または中等度のCYP3A誘導剤との併用投与は、避けるべきであり、これによりNURTEC ODTの有効性が失われる可能性がある[Drug Interactions and Clinical Pharmacologyを参照されたい]。
【0100】
P-gpまたはBCRPの阻害剤との併用投与
NURTEC ODTとP糖タンパク質(P-gp)または乳がん耐性タンパク質(BCRP)の阻害剤との併用投与は、避けるべきである[Drug Interactions and Clinical Pharmacologyを参照されたい)。
【0101】
剤形および強度
NURTEC ODTは、経口崩壊錠剤の形態であってもよく、経口崩壊錠剤は、白色からオフホワイトであってもよく、円形であってもよく、記号
【化3】


でデボス加工されてもよい。各錠剤は、75mgのリメゲパントを含有し得る。
【0102】
禁忌
NURTEC ODTは、リメゲパント、NURTEC ODT、またはその成分のいずれかに対する過敏症反応の既往がある患者に禁忌である。しかしながら、遅延した重篤な過敏症が発生している[警告および注意事項を参照されたい]。
【0103】
警告および注意事項
過敏症反応
呼吸困難および発疹を含む、過敏症反応は、臨床研究においてNURTEC ODTで発生している。過敏症反応は、投与の数日後に起こり、重篤な過敏症が遅延した。過敏性反応が生じた場合は、NURTEC ODTを中止し、適切な療法を開始すべきである[禁忌を参照されたい]。
【0104】
有害反応
臨床的に有意な有害反応としては、過敏症反応が挙げられ得、これらは、警告および注意事項に記載されている。
【0105】
臨床試験の経験
臨床試験は、多種多様な条件下で実施されるため、薬物の臨床試験で観察される有害反応率は、別の薬物の臨床試験で観察される反応率と直接比較することはできず、診療で観察される反応率を反映しない場合がある。
【0106】
NURTEC ODTの安全性は、1回75mgのNURTEC ODTを投与された682人の片頭痛を有する患者を対象とした無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験(試験1)で評価されている[臨床試験を参照されたい]。約85%が女性、74%が白人、21%が黒人、17%がヒスパニックまたはラテン系であった。試験エントリー時の平均年齢は、40歳(18~75歳の範囲)であった。
【0107】
長期安全性は、異なる経口剤形のリメゲパントを使用した非盲検拡張試験で評価した。この研究は、リメゲパント75mgに少なくとも6ヶ月間曝露された1,131人の患者、および少なくとも1年間曝露された863人の患者を含む、最大1年間断続的に投与された1,798人の患者を評価し、これらの患者はすべて、月当たり平均少なくとも2回の片頭痛発作を治療した。
【0108】
試験1で最も一般的な有害反応は、吐き気であった(NURTEC ODTを投与された患者2%は、プラセボを投与された患者0.4%と比較された)。
【0109】
呼吸困難および重度の発疹を含む過敏症は、NURTEC ODTで治療した患者の1%未満で発生した[禁忌と警告と注意事項を参照されたい]。
【0110】
薬物相互作用
CYP3A4阻害剤
NURTEC ODTとCYP3A4の強力な阻害剤との併用投与は、リメゲパント曝露の有意な増加をもたらす。NURTEC ODTとCYP3A4の強力な阻害剤との併用投与は、避けること[臨床薬理学を参照されたい]。
【0111】
NURTEC ODTとCYP3A4の中等度の阻害剤との併用投与は、リメゲパントの曝露の増加をもたらし得る。CYP3A4の中等度の阻害剤と同時に投与される場合は、48時間以内に別の用量のNURTEC ODTを避けること[臨床薬理学を参照されたい]。
【0112】
CYP3A誘導剤
NURTEC ODTと強力または中等度のCYP3Aの誘導剤との併用投与は、リメゲパント曝露の有意な低減をもたらすことができ、NURTEC ODTの有効性が失われる可能性がある。NURTEC ODTとCYP3Aの強力または中等度の誘導剤との併用投与は、避けること[臨床薬理学を参照されたい]。
【0113】
トランスポーター
リメゲパントは、P-gpおよびBCRP排出トランスポーターの基質である。NURTEC ODTとP-gpまたはBCRPの阻害剤との併用投与は、リメゲパント曝露の有意な増加をもたらし得る[臨床薬理学を参照されたい]。P-gpまたはBCRPの阻害剤とNURTEC ODTの併用は避ける。
【0114】
特定の集団での使用
妊娠
リスクの概要
妊婦におけるNURTEC ODTの使用に関連する発達リスクに関する適切なデータは存在しない。動物試験では、臓器形成中のリメゲパントの経口投与は、母体毒性と関連する臨床的に使用されたものよりも大きい曝露で、ラットの発達に有害作用をもたらした(胎児体重の減少および胎児変異の発生率の増加)。妊娠中および授乳中にリメゲパントを経口投与した後の発達効果の評価は、不十分であった(データを参照されたい)。
【0115】
米国の一般集団では、臨床的に認められた妊娠における重大な先天性異常および流産の推定背景リスクは、それぞれ2~4%および15~20%である。片頭痛を有する女性の出産における重大な先天性異常(2.2~2.9%)および流産(17%)の推定率は、片頭痛のない女性の報告率と同様である。
【0116】
臨床上の考慮事項
疾患関連母体および/または胚/胎児リスク
公表されたデータは、片頭痛を有する女性は、妊娠中に子癇前症および妊娠高血圧のリスクが増加する可能性があることを示唆している。
【0117】
データ
動物データ
臓器形成の期間中の妊娠ラットへのリメゲパント(0、10、60、または300mg/kg/日)の経口投与は、母体毒性と関連した、試験された最高用量(300mg/kg/日)での胎児体重の減少および胎児変異の増加をもたらした。胚胎発達に対する有害作用のための無影響用量(60mg/kg/日)での血漿曝露(AUC)は、75mg/日の最大推奨ヒト用量(MRHD)でのヒトの約45倍であった。
【0118】
臓器形成期間中の妊娠ウサギへのリメゲパント(0、10、25、または50mg/kg/日)の経口投与は、胚胎発達への有害作用をもたらさなかった。試験された最高用量(50mg/kg/日)は、MRHDにおけるヒトの約10倍の血漿曝露(AUC)と関連付けられた。
【0119】
リメゲパント(0、10、25、または60mg/kg/日)が妊娠期および授乳期を通じて経口投与されたラットにおける産前および産後発達試験は、これらの発達期間中のリメゲパントの有害作用を評価するには不十分であった。
【0120】
授乳
ヒト乳中のリメゲパントまたはその代謝産物の存在、リメゲパントが授乳中の乳児に及ぼす影響、またはリメゲパントが乳生産に及ぼす影響に関するデータは存在しない。乳中のリメゲパントの排泄に関する動物データはない。母乳栄養法の発達的および健康的な利点は、NURTEC ODTに対する母親の臨床的必要性、およびNURTEC ODTまたは潜在的な母体状態からの母乳栄養児への潜在的な副作用とともに考慮されなければならない。
【0121】
小児の使用
小児患者におけるNURTEC ODTの安全性および有効性は、確立されていない。
【0122】
老人に使用
薬物動態試験では、高齢者と若年者との間で臨床的に有意な薬物動態の差は観察されなかった。NURTEC ODTの臨床試験では、65歳以上の患者が若い患者と異なる反応を示すかどうかを判断するのに十分な数の患者が含まれていなかった。
【0123】
肝障害
軽度(Child-Pugh A)または中等度(Child-Pugh B)の肝障害を有する患者には、NURTEC ODTの投与量調整は必要ない。重度(Child-Pugh C)の肝障害を有する対象では、リメゲパントの血漿濃度は、有意に高かった。重度の肝障害を有する患者へのNURTEC ODTの使用は、避けるべきである[臨床薬理学を参照されたい]。
【0124】
腎障害
軽度、中等度、または重度の腎障害を有する患者には、NURTEC ODTの投与量調整は必要ない。NURTEC ODTは、末期腎疾患を有する患者および透析中の患者では研究されていない。末期腎疾患(CLcr<15mL/分)を有する患者におけるNURTEC ODTの使用は、避けるべきである[臨床薬理学を参照されたい]。
【0125】
過量投与
NURTEC ODTの過量投与を伴う臨床経験は限られている。NURTEC ODTの過量投与の治療は、バイタルサインのモニタリング、および患者の臨床状態の観察を含む一般的なサポート措置で構成されるべきである。リメゲパントの過量投与の治療のための特定の解毒剤は、入手不可能である。
【0126】
リメゲパントは、血清タンパク質結合が高いため、透析によって有意に除去される可能性は低い[臨床薬理学を参照されたい]。
【0127】
臨床薬理学
作用機序
リメゲパントは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体拮抗薬である。
【0128】
薬力学
薬力学的活性とリメゲパントが臨床効果を発揮する機序との関係は、不明である。健康なボランティアへのスマトリプタン単独投与と比較して、リメゲパントをスマトリプタン(12mgの皮下投与、2回6mgの投与量を1時間で区切って投与)と併用した場合、安静時血圧に臨床的に関連する差は観察されなかった。
【0129】
心臓電気生理学
推奨用量の4倍の単回投与では、リメゲパントは、QT間隔を臨床的に適切な範囲まで延長しない。
【0130】
薬物動態学
吸収
NURTEC ODTの経口投与後、リメゲパントは、1.5時間で、最大濃度で吸収される。リメゲパントの絶対的な経口バイオアベイラビリティは、約64%である。
【0131】
食品の効果
高脂肪食とともにNURTEC ODTを食後に投与した後、Tmaxは1時間遅延し、Cmaxが42~53%低減し、AUCが32~38%低減した。NURTEC ODTは、臨床安全性および有効性研究において食品に関係なく投与された。食品との投与によるリメゲパント曝露の低減がその有効性に及ぼす影響は、不明である。
【0132】
分布
リメゲパントの分布の定常状態の体積は、120Lである。リメゲパントの血漿タンパク質結合は、約96%である。
【0133】
除去
代謝
リメゲパントは主にCYP3A4によって代謝され、CYP2C9によって少ない程度に代謝される。
【0134】
リメゲパントは、主に、血漿中で主要な代謝産物(すなわち、10%超)が検出されない不変の形態(用量の約77%)で除去される。
【0135】
排泄
リメゲパントの除去半減期は、健常な対象において約11時間である。健康な男性対象に[14C]-リメゲパントを経口投与した後、総放射能の78%が糞中で回収され、24%が尿中で回収された。不変のリメゲパントは、排泄された糞(42%)および尿(51%)における主要な単一成分である。
【0136】
特定の集団
腎障害
軽度(推定クレアチニンクリアランス[CLcr]60~89mL/分)、中等度(CLcr30~59mL/分)、および重度(CLcr15~29mL/分)の腎障害を有する対象におけるリメゲパントの薬物動態を、正常な対象(健常なマッチング対照)とのものと比較した専門の臨床試験では、75mgの単回投与後のリメゲパントの曝露は、中等度の腎障害を有する対象において、約40%高かった。しかしながら、重度の腎障害を有する対象におけるリメゲパントの曝露において、正常な腎機能を有する対象(CLcr>=90mL/分)と比較して、臨床的に有意な差はなかった。末期腎疾患(CLcr<15mL/分)を有する患者において、NURTEC ODTは研究されていない[特定の集団における使用を参照されたい]。
【0137】
肝障害
軽度、中等度、および重度の肝障害を有する対象におけるリメゲパントの薬物動態を正常な対象(健常な一致した対照)と比較した専門的な臨床試験では、75mg単回投与後のリメゲパントの曝露(CmaxおよびAUC)は、重度の障害を有する対象(Child-PughクラスC)において約2倍高かった。軽度(Child-PughクラスA)および中等度の肝障害(Child-PughクラスB)を有する対象のリメゲパントの曝露には、正常な肝機能を有する対象と比較して、臨床的に有意な差はなかった[特定の集団での使用を参照されたい]。
【0138】
その他の特定の集団
年齢、性別、人種/民族、体重、またはCYP2C9遺伝子型に基づいて、リメゲパントの薬物動態に臨床的に有意な差は観察されなかった[臨床薬理学を参照されたい]。
【0139】
薬物相互作用試験
インビトロ試験
●酵素
リメゲパントは、CYP3A4およびCYP2C9の基質である[インビトロ試験を参照されたい]。リメゲパントは、臨床的に関連する濃度では、CYP1A2、2B6、2C9、2C19、2D6またはUGT1A1の阻害剤ではない。しかしながら、リメゲパントは、時間依存性阻害を有するCYP3A4の弱い阻害剤である。リメゲパントは、臨床的に関連する濃度では、CYP1A2、CYP2B6またはCYP3A4の誘導剤ではない。
【0140】
●トランスポーター
リメゲパントは、P-gpおよびBCRPの基質である。P-gpまたはBCRPの阻害剤の併用投与は、リメゲパントの曝露を増加させる可能性がある[薬物相互作用を参照されたい]。リメゲパントの薬物動態に対するそれらの効果を評価するための専用の薬物相互作用試験は実施されなかった。
【0141】
リメゲパントは、OATP1B1またはOATP1B3の基質ではない。腎クリアランスが低いことを考慮して、リメゲパントは、OAT1、OAT3、OCT2、MATE1、またはMATE2-Kの基質として評価されなかった。
【0142】
リメゲパントは、臨床的に関連する濃度では、P-gp、BCRP、OAT1、またはMATE2-Kの阻害剤ではない。OATP1B1およびOAT3の弱い阻害剤である。リメゲパントは、OATP1B3、OCT2、およびMATE1の阻害剤である。NURTEC ODTとこれらのトランスポーターとの臨床的に関連する濃度での臨床的薬物相互作用は予想されない。
【0143】
インビボ試験
CYP3A4阻害剤
専用の薬物相互作用試験では、75mgのリメゲパント(単回投与)と強力なCYP3A4阻害剤であるイトラコナゾールとを定常状態で併用投与すると、リメゲパントの曝露量が増加した(AUCが4倍、Cmaxが約1.5倍)[薬物相互作用を参照されたい]。CYP3A4の弱い阻害剤の併用投与がリメゲパントの薬物動態に及ぼす影響を評価するための専用の薬物相互作用試験は実施されなかった。リメゲパントをCYP3A4の中等度の阻害剤と併用投与すると、リメゲパントの曝露(AUC)が2倍未満増加する可能性がある[薬物相互作用を参照されたい]。CYP3A4の弱い阻害剤を伴うリメゲパントの併用投与は、リメゲパント曝露に臨床的に有意な影響を及ぼすことは予想されない。
【0144】
CYP3A誘導剤
専用の薬物相互作用試験では、75mgのリメゲパント(単回投与)と強力なCYP3A4誘導剤であるリファンピンとを定常状態で併用投与すると、リメゲパントの曝露が減少し(AUCが80%、Cmaxが約64%)、有効性が低下する可能性がある[薬物相互作用を参照されたい]。CYP3A4の中等度または弱い誘導剤の併用投与がリメゲパントの薬物動態に及ぼす影響を評価するための専用の薬物相互作用試験は実施されなかった。リメゲパントはCYP3A4の中等度の感受性基質であるため、CYP3A4の中等度の誘導剤である薬物は、リメゲパント曝露の有意な減少を引き起こし、有効性を失わせる可能性もある[薬物相互作用を参照されたい]。CYP3A4の弱い誘導剤とリメゲパントとの併用投与では、臨床的に有意な相互作用は期待されない。
【0145】
CYP2C9阻害剤
専用の薬物相互作用試験では、75mgのリメゲパント(単回投与)と中等度のCYP3A4およびCYP2C9阻害剤を併用したフルコナゾールとを併用投与すると、リメゲパントの曝露が増加した(AUCは1.8倍)が、Cmaxに関連する影響はなかった。リメゲパントは主にCYP3A4によって代謝され、CYP2C9によって少ない程度に代謝される。リメゲパントの曝露の増加は、CYP2C9からの軽微な寄与を示唆するフルコナゾール投与とのCYP2C9およびCYP3A4の併用阻害に起因する可能性がある。したがって、CYP2C9阻害だけでは、リメゲパント曝露に有意に影響を及ぼすことは予想されない。
【0146】
他の薬物
リメゲパントを経口避妊薬(ノルエルゲストロミン、エチニルエストラジオール)、ミダゾラム(感受性CY3A4基質)、またはスマトリプタンと併用投与した場合、有意な薬物動態的相互作用は観察されなかった[臨床薬理学を参照されたい]。
【0147】
薬理遺伝学
CYP2C9活性は、CYP2C9*2およびCYP2C9*3対立遺伝子などの遺伝的変異を有する個体において低下する。リメゲパントCmaxおよびAUC0-infは、CYP2C9中間代謝物(すなわち、*1/*2、*2/*2、*1/*3、n=43)において、通常の代謝物(すなわち、*1/*1、N=72)と比較して類似していた。適切なPKデータは、CYP2C9不良代謝物からは入手できない(すなわち、*2/*3)。リメゲパント代謝へのCYP2C9の寄与は軽微であると考えられるため、CYP2C9多型は、その曝露に有意な影響を及ぼすことは予想されない。
【0148】
非臨床毒性学
発がん、突然変異誘発、不妊性の障害
発がん
26週間、Tg.rasH2マウス(0、10、100、または300mg/k/日)および91~100週間、ラット(0、5、20、または45mg/kg/日)へのリメゲパントの経口投与は、いずれの種においても、薬物誘発性腫瘍の証拠をもたらさなかった。ラットでは、試験した最高用量(45mg/kg/日)での血漿曝露(AUC)は、75mg/日の最大推奨ヒト用量(MRHD)でのヒトの約30倍であった。
【0149】
突然変異誘発
リメゲパントは、インビトロ(細菌の逆突然変異、中国のハムスター卵巣細胞における染色体異常)およびインビボ(ラット微小核)アッセイで陰性であった。
【0150】
不妊性の障害
交配前および交配中、ならびに妊娠7日目(GD)まで雌で継続した雄ラットおよび雌ラットへのリメゲパント(0、30、60、または150mg/kg/日)の経口投与は、すべての用量で子宮萎縮をもたらし、試験された最高用量では不妊性が低下した。低用量(0、5、15、または25mg/kg/日)を試験した第2の不妊研究では、不妊、子宮組織病理、または早期胚発生に対する有害作用は観察されなかった。ラットにおける不妊性および早期胚発生の障害に対する無影響用量(25mg/kg/日)は、MRHDでのヒトの約15倍の血漿薬物曝露(AUC)と関連付けられた。
【0151】
臨床試験
成人における前兆の有無にかかわらず、片頭痛の急性治療に対するNURTEC ODTの有効性は、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験において実証された:試験1(NCT03461757)。試験は、患者を75mgのNURTEC ODT(N=732)またはプラセボ(N=734)に無作為化した。患者には、中程度から重度の頭痛疼痛強度の片頭痛を治療するように指示した。頓服薬(すなわち、NSAID、アセトアミノフェン、および/または止吐剤)を、最初の治療の2時間後に許可した。トリプタンなどの他の頓服薬は、最初の治療から48時間以内には許可されなかった。約14%の患者は、ベースライン時に片頭痛の予防薬を服用していた。試験1の患者は、CGRP経路に作用する併用予防薬を服用していなかった。
【0152】
主要有効性分析は、中程度から重度の疼痛を伴う片頭痛を治療した患者で実施した。NURTEC ODT75mgは、プラセボと比較して、投薬後2時間で、疼痛寛解および最も煩わしい症状(MBS)寛解に対する効果を示した。疼痛寛解は、中等度または重度の頭痛の疼痛を頭痛なしに減少させることとして定義され、MBS寛解は、自己同定されたMBS(すなわち、羞明、音声恐怖、または吐き気)の不在として定義された。MBSを選択した患者の中で、最も一般的に選択された症状は、羞明(54%)であり、次に吐き気(28%)、および音声恐怖(15%)であった。
【0153】
試験1において、単回投与の2時間後に頭痛寛解およびMBS寛解を達成する患者の割合は、プラセボを投与された患者と比較して、NURTEC ODTを投与された患者において統計的に有意に高かった(表1)。
【0154】
【表1】

【0155】
図1は、試験1における治療後2時間以内に片頭痛寛解を達成する患者の割合を示す。
【0156】
試験1では、プラセボと比較したNURTEC ODTの統計学的有意な効果が、2時間での疼痛緩和、2~48時間での持続的な疼痛寛解、24時間以内での頓服薬の使用、および投与後2時間での正常な機能を報告した患者の割合の追加の有効性評価項目について実証された(表2)。疼痛緩和は、中等度または重度の重症度から軽度または全く重症度のない片頭痛寛解として定義された。投与後2時間で正常な機能を報告する患者の割合の測定は、単一項目のアンケートから導き出され、患者は、正常な機能、軽度の障害、重度の障害、または安静が必要な4段階で1つの応答を選択するよう求められた。
【0157】
【表2】

【0158】
NURTEC ODT75mgの投与後、プラセボと比較して、羞明および音声恐怖の発生率が低下した。
【0159】
供給方法/保管および取り扱い
供給方法
NURTEC ODT75mgは、経口崩壊錠剤の形態であり得、経口崩壊錠剤は、白色からオフホワイトであってもよく、円形であってもよく、記号
【化4】


でデボス加工されてもよく、8経口崩壊錠剤のブリスター包装を含むカートンで供給され得る。各ODTは、75mgのリメゲパントを含有し得る。
【0160】
NDC:72618-3000-2
保管および取り扱い
NURTEC ODTは、20℃~25℃(68°F~77°F)の制御された室温で保管され、15℃~30℃(59°F~86°F)の範囲での逸脱が許可されている[USP制御された室温を参照されたい]。
【0161】
患者カウンセリング情報
患者は、FDAが承認した患者ラベル(患者情報)を読むべきである。
【0162】
経口崩壊錠剤包装の取り扱い
患者には、内部の経口崩壊錠剤を使用する準備ができるまで、ブリスターを外側のアルミ製ポーチから取り外さないように指示するべきである[用法および用量を参照されたい]。
【0163】
過敏症反応
患者には、過敏症反応の兆候および症状、ならびにこれらの反応がNURTEC ODTの投与の数日後に発生する可能性があることを知らせるべきである。過敏症反応の兆候または症状が生じた場合は、直ちに医療機関に患者は連絡すべきである[警告および注意事項を参照されたい]。
【0164】
処方情報のハイライト
効能および使用法。NURTEC ODTは、成人において、前兆の有無にかかわらず、片頭痛の急性治療に適応されるカルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体拮抗薬である。片頭痛の予防治療に対して、NURTEC ODTは必要ではない。
【0165】
用法および用量。推奨用量は、必要に応じて、75mgの経口摂取である。24時間の期間での最大投与量は、75mgである。30日間の期間に15回を超える片頭痛の治療の安全性は、確立されていない。
【0166】
剤形および含量。NURTEC ODT経口崩壊錠剤:75mg。
【0167】
禁忌。リメゲパント、NURTEC ODT、またはその成分のいずれかに対する過敏症反応の既往がある患者。
【0168】
警告および注意事項。過敏症反応:重度の過敏症反応が生じた場合は、NURTEC ODTを中止し、適切な治療を開始する。重度の過敏症反応には呼吸困難および発疹があり、投与後数日で発症することがある。
【0169】
有害反応。NURTEC ODTで治療した患者の1%以上で報告された有害反応は、吐き気である。
【0170】
薬物相互作用。
強力なCYP3A4阻害剤:併用投与は避ける。
中等度のCYP3A4阻害剤:中等度のCYP3A4阻害剤を投与した場合は、48時間以内の別の用量を避ける。
強力かつ中等度のCYP3A誘導剤:併用投与は避ける。
P-gpまたはBCRPの阻害剤:併用投与は避ける。
【0171】
特定集団での使用。重度の肝障害を有する対象では、曝露は有意に高かった。重度の肝障害を有する患者には使用しない(Child-Pugh C)。
【0172】
本出願全体を通して、様々な刊行物は、著者名および日付、または特許番号もしくは特許公開番号によって参照される。これらの刊行物の開示は、本明細書に記載および特許請求される本発明の日付時点での当業者に既知の技術の現状をより完全に説明するために、参照によりそれらの全体が本出願に組み込まれる。しかしながら、本明細書における参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明の先行技術であるという認識として解釈されるべきではない。
【0173】
当業者は、本明細書に記載される特定の手順に対する多数の均等物を、日常的な実験のみを使用して認識するか、または確認することができるであろう。そのような均等物は、本発明の範囲内であるとみなされ、以下の特許請求の範囲に包含される。例えば、本明細書の説明および実施例で具体的に開示されるもの以外の薬学的に許容される塩を用いることができる。さらに、項目リスト内の特定の項目、またはより大きな項目の群内の項目のサブセットの群は、そのような組み合わせを特定する本明細書の特定の開示の有無にかかわらず、他の特定の項目、項目のサブセットの群、または項目のより大きな群と組み合わせることができることが意図される。
図1
図2
【国際調査報告】