(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】タバコ材を処理する方法、タバコ材を処理するための装置、処理されたタバコ材およびその使用
(51)【国際特許分類】
A24B 3/12 20060101AFI20230406BHJP
A24B 3/08 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A24B3/12 Z
A24B3/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550977
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(85)【翻訳文提出日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 GB2021050481
(87)【国際公開番号】W WO2021171021
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】フランケ、ディートマー
(72)【発明者】
【氏名】クノーテ、ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】プリュークハーン、フランク
(72)【発明者】
【氏名】リンク、マティーアス
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BA29
4B043BA49
4B043BA51
(57)【要約】
本発明は、予め切断されたおよび/または予め膨張させた葉柄を葉身とを組み合わせて葉柄と葉身の最初の組み合わせを形成することと、この葉柄と葉身の最初の組み合わせを切断することと、葉柄と葉身の組み合わせを膨張させることと、膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された表面に断続的に接触させて処理タバコを製造することとを含むタバコ材の処理方法を提供する。またタバコ材を処理する装置も提供する。また本発明は処理されたタバコ材並びにそれを含む製品を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め切断されたおよび/または予め膨張させた葉柄を葉身とを組み合わせて葉柄と葉身の最初の組み合わせを形成することと、
葉柄と葉身の最初の組み合わせを切断することと、
葉柄と葉身の組み合わせを膨張させることと、
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と断続的に接触させて処理されたタバコ材を製することとを含むタバコ材の処理方法。
【請求項2】
葉柄と葉身の最初の組み合わせは、重量で少なくとも約5%~約99%の葉身および/または重量で少なくとも約1%~約95%の葉柄を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせをそれが加熱された面と断続的に接触するように撹拌されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
加熱された面の温度は、タバコ材と接触する前に少なくとも約100℃~約300℃であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
加熱された面の温度はタバコ材と接触する前に少なくとも約120℃~約250℃であり、またはタバコ材と接触する前に少なくとも約150℃~約300℃であることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と接触させることで、タバコ材を約120℃~約230℃のピーク温度に加熱することを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
加熱された面は加熱された金属面であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
処理されたタバコ材は、0~約10%のオーブン揮発分(OV)の水分量を有することを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせは、それが加熱された面と断続的に接触する前に少なくとも5%OVの水分量を有することを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせは、それが加熱された面と断続的に接触する前に約5%~約25%OVまたは約12%~約16%OVの水分量を有することを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と断続的に少なくとも約1分~約15分間、接触させることを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と断続的に少なくとも約2分~約10分間、接触させることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と断続的に少なくとも約2分30秒~約5分間、接触させることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
水および蒸気のうちの少なくとも1つが膨張させた葉柄と葉身の組み合わせにそれを加熱された面と断続的に接触させている間に加えられて、水分量を増加させることを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
水および蒸気のうちの少なくとも1つが膨張させた葉柄と葉身の組み合わせにそれを加熱された面と断続的に接触させている間に繰り返し加えられて、水分量を増加させることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
連続的な工程であることを特徴とする請求項1乃至15いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせは、スクリュー機構、デュアルスクリュー機構、エアーフローおよび回転ドラムからなる群から選択される少なくとも1つによって撹拌されることを特徴とする請求項1乃至16いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
処理されたタバコの充填値は、膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と断続的に接触させる直前の膨張させた葉柄と葉身の組み合わせの充填値より少なくとも約5%または少なくとも約15%大きいことを特徴とする請求項1乃至17いずれか1項記載の方法。
【請求項19】
処理されたタバコの充填値は、葉柄と葉身の最初の組み合わせの充填値より約30%~約50%大きいことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
処理されたタバコの糖分は、葉柄と葉身の最初の組み合わせの糖分より約20%~約95%少ないことを特徴とする請求項1乃至19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
処理されたタバコの糖分は、葉柄と葉身の最初の組み合わせの糖分より約60%~約90%少ないことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
処理されたタバコのニコチン含有量は、葉柄と葉身の最初の組み合わせのニコチン含有量より約10%~約80%少ないことを特徴とする請求項1乃至21いずれか1項記載の方法。
【請求項23】
処理されたタバコのニコチン含有量は、葉柄と葉身の最初の組み合わせのニコチン含有量より約35%~約70%少ないことを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
処理されたタバコのアンモニア含有量は、葉柄と葉身の最初の組み合わせのアンモニア含有量より約30%~約99%少ないことを特徴とする請求項1乃至23いずれか1項記載の方法。
【請求項25】
処理されたタバコのアンモニア含有量は、葉柄と葉身の最初の組み合わせのアンモニア含有量より約50%~約90%少ないことを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
切断された葉柄と葉身の組み合わせを切断された葉柄と葉身を膨張剤に晒すことによって膨張させることを特徴とする請求項1乃至25いずれか1項記載の方法。
【請求項27】
膨張剤は液体二酸化炭素、固体二酸化炭素、蒸気、液体窒素、液体短鎖(C
5またはC
6)炭水化物またはこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と断続的に接触させるためのモジュールを含み、このモジュールは膨張させた葉柄と葉身の組み合わせと断続的に接触するために設けられた加熱された面を含む請求項1乃至27いずれか1項記載の方法を実行するための装置。
【請求項29】
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを撹拌するための手段をさらに含むことを特徴とする請求項28記載の装置。
【請求項30】
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを撹拌するための手段は、スクリュー機構、デュアルスクリュー機構、エアーフローおよび回転ドラムからなる群のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項29記載の装置。
【請求項31】
加熱された面の温度は、タバコ材と接触する前に少なくとも約100℃~約300℃であることを特徴とする請求項28乃至30いずれか1項記載の装置。
【請求項32】
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせと接触する前の加熱された面の温度は、少なくとも約120℃~約250℃であり、または膨張させた葉柄と葉身の組み合わせと接触する前の加熱された面の温度は、少なくとも約150℃~約300℃であることを特徴とする請求項31記載の装置。
【請求項33】
膨張させた葉柄と葉身の組み合わせと加熱された面を接触させることによって膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを約120℃~約230℃のピーク温度に加熱することを特徴とする請求項28乃至32いずれか1項記載の装置。
【請求項34】
加熱された面は加熱された金属面であることを特徴とする請求項28乃至33いずれか1項記載の装置。
【請求項35】
加熱された面は加熱媒体によって加熱され、加熱媒体は、水、油、蒸気、電気またはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項28乃至34いずれか1項記載の装置。
【請求項36】
請求項1乃至27いずれか1項記載の方法によって得られるまたは得ることが可能な処理されたタバコ材。
【請求項37】
処理されたタバコ材は、糖類、ニコチンおよびアンモニアからなる群のうちの1つ以上の量が葉柄と葉身の最初の組み合わせの量と比較して減少していることを特徴とする請求項36記載の処理されたタバコ材。
【請求項38】
処理されたタバコの糖分は、葉柄と葉身の最初の組み合わせの糖分より約20%~約95%または約60%~約90%少ないことを特徴とする請求項37記載の処理されたタバコ材。
【請求項39】
処理されたタバコ材のニコチン含有量は、葉柄と葉身の最初の組み合わせのニコチン含有量より約10%~約80%または約35%~約70%少ないことを特徴とする請求項37または38記載の処理されたタバコ材。
【請求項40】
処理されたタバコ材のアンモニア含有量は、葉柄と葉身の最初の組み合わせのアンモニア含有量より約30%~約99%または約50%~約90%少ないことを特徴とする請求項37乃至39いずれか1項記載の処理されたタバコ材。
【請求項41】
処理されたタバコの充填値は、葉柄と葉身の最初の組み合わせの充填値より少なくとも約25%または少なくとも約30%高いことを特徴とする請求項36乃至40いずれか1項記載の処理されたタバコ材。
【請求項42】
処理されたタバコの充填値は、葉柄と葉身の最初の組み合わせの充填値より約30%~約50%高いことを特徴とする請求項41記載の処理されたタバコ材。
【請求項43】
請求項36乃至42いずれか1項記載の処理されたタバコ材を含むタバコ産業製品。
【請求項44】
タバコ産業製品の製造のための請求項36乃至42いずれか1項記載の処理されたタバコ材の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタバコ材の処理方法を提供する。またタバコ材を処理する装置も提供する。また本発明は処理されたタバコ材並びにそれを含む製品を提供する。
【背景技術】
【0002】
タバコ材の充填値を改善するためにタバコ材を膨張させる種々の方法および装置が知られている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様ではタバコ材の処理方法が提供され、この方法は、予め切断されたおよび/または予め膨張させた葉柄を葉身とを組み合わせて葉柄と葉身の最初の組み合わせを形成することと、この葉柄と葉身の最初の組み合わせを切断することと、葉柄と葉身の組み合わせを膨張させることと、膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と断続的に接触させて処理されたタバコ材を製造することとを含む。
【0004】
一部の実施態様では葉柄と葉身の最初の組み合わせは、重量で少なくとも約5%~99%の葉身および/または重量で少なくとも約1%~約95%の葉柄を含む。
【0005】
一部の実施態様では膨張させた葉柄と葉身の組み合わせをそれが加熱された面と断続的に接触するように撹拌される。
【0006】
一部の実施態様では加熱された面の温度は、タバコ材と接触する前に少なくとも約100℃~約300℃である。
【0007】
一部の実施態様では加熱された面の温度はタバコ材と接触する前に少なくとも約120℃~約250℃であり、またはタバコ材と接触する前に少なくとも約150℃~約300℃である。
【0008】
一部の実施態様では膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と接触させることで、タバコ材を約120℃~約230℃のピーク温度に加熱する。
【0009】
一部の実施態様では加熱された面は加熱された金属面である。
【0010】
一部の実施態様では処理されたタバコ材は、0~約10%のオーブン揮発分(OV)の水分量を有する。
【0011】
一部の実施態様では膨張させた葉柄と葉身の組み合わせは、それが加熱された面と断続的に接触する前に少なくとも5%OVの水分量を有する。一部の実施態様では膨張させた葉柄と葉身の組み合わせは、それが加熱された面と断続的に接触する前に約5%~約25%OVまたは約12%~約16%OVの水分量を有する。
【0012】
一部の実施態様では膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と断続的に少なくとも約1分~約15分間、接触させる。一部の実施態様では膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と断続的に少なくとも約2分~約10分間、接触させる。一部の実施態様では膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と断続的に少なくとも約2分30秒~約5分間、接触させる。
【0013】
一部の実施態様では水および蒸気のうちの少なくとも1つが膨張させた葉柄と葉身の組み合わせにそれを加熱された面と断続的に接触させている間に加えられて、水分量を増加させる。一部の実施態様では水および蒸気のうちの少なくとも1つが膨張させた葉柄と葉身の組み合わせにそれを加熱された面と断続的に接触させている間に繰り返し加えられて、水分量を増加させる。
【0014】
一部の実施態様では本発明の方法は、連続した工程である。
【0015】
一部の実施態様では膨張させた葉柄と葉身の組み合わせは、スクリュー機構、デュアルスクリュー機構、エアーフローおよび回転ドラムからなる群から選択される少なくとも1つによって撹拌される。
【0016】
一部の実施態様では処理されたタバコの充填値は、膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と断続的に接触させる直前の膨張させた葉柄と葉身の組み合わせの充填値より少なくとも約5%または少なくとも約15%大きい。一部の実施態様では処理されたタバコの充填値は、葉柄と葉身の最初の組み合わせの充填値より約30%~約50%大きい。
【0017】
一部の実施態様では処理されたタバコの糖分は、葉柄と葉身の最初の組み合わせの糖分より約20%~約95%少ない。一部の実施態様では処理されたタバコの糖分は、葉柄と葉身の最初の組み合わせの糖分より約60%~約90%少ない。
【0018】
一部の実施態様では処理されたタバコのニコチン含有量は、葉柄と葉身の最初の組み合わせのニコチン含有量より約10%~約80%少ない。一部の実施態様では処理されたタバコのニコチン含有量は、葉柄と葉身の最初の組み合わせのニコチン含有量より約35%~約70%少ない。
【0019】
一部の実施態様では処理されたタバコのアンモニア含有量は、葉柄と葉身の最初の組み合わせのアンモニア含有量より約30%~約99%少ない。一部の実施態様では処理されたタバコのアンモニア含有量は、葉柄と葉身の最初の組み合わせのアンモニア含有量より約50%~約90%少ない。
【0020】
一部の実施態様では切断された葉柄と葉身の組み合わせは、切断された葉柄と葉身を膨張剤に晒すことによって膨張させる。一部の実施態様では膨張剤は液体二酸化炭素、固体二酸化炭素、蒸気、液体窒素、液体短鎖(C5またはC6)炭水化物またはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0021】
本発明の第2の態様では第1の態様による方法を実行するための装置が提供され、この装置は、膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と断続的に接触させるためのモジュールを含み、このモジュールは、膨張させた葉柄と葉身の組み合わせと断続的に接触するために設けられた加熱された面を含む。
【0022】
一部の実施態様では本発明の装置は、膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを撹拌するための手段を含む。一部の実施態様では膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを撹拌するための手段は、スクリュー機構、デュアルスクリュー機構、エアーフローおよび回転ドラムからなる群のうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
一部の実施態様では加熱された面の温度は、タバコ材と接触する前に少なくとも約100℃~約300℃である。一部の実施態様では膨張させた葉柄と葉身の組み合わせと接触する前の加熱された面の温度は、少なくとも約120℃~約250℃であり、または膨張させた葉柄と葉身の組み合わせと接触する前の加熱された面の温度は、少なくとも約150℃~約300℃である。
【0024】
一部の実施態様では膨張させた葉柄と葉身の組み合わせと加熱された面を接触させることによって膨張させた葉柄と葉身の組み合わせを約120℃~約230℃のピーク温度に加熱する。
【0025】
一部の実施態様では加熱された面は加熱された金属面である。一部の実施態様では加熱された面は加熱媒体によって加熱され、加熱媒体は、水、油、蒸気、電気またはこれらの組み合わせである。
【0026】
本発明の第3の態様では処理されたタバコ材が提供され、これは第1の態様による方法で得られるまたは得ることができる。
【0027】
一部の実施態様では処理されたタバコ材は、糖類、ニコチンおよびアンモニアからなる群のうちの1つ以上の量が葉柄と葉身の最初の組み合わせの量と比較して減少している。
【0028】
一部の実施態様では処理されたタバコの糖分は、葉柄と葉身の最初の組み合わせの糖分より約20%~約95%または約60%~約90%少ない。
【0029】
一部の実施態様では処理されたタバコ材のニコチン含有量は、葉柄と葉身の最初の組み合わせのニコチン含有量より約10%~約80%または約35%~約70%少ない。
【0030】
一部の実施態様では処理されたタバコ材のアンモニア含有量は、葉柄と葉身の最初の組み合わせのアンモニア含有量より約30%~約99%または約50%~約90%少ない。
【0031】
一部の実施態様では処理されたタバコの充填値は、葉柄と葉身の最初の組み合わせの充填値より少なくとも約25%または少なくとも約30%高い。一部の実施態様では処理されたタバコの充填値は、葉柄と葉身の最初の組み合わせの充填値より約30%~約50%高い。
【0032】
本発明の第4の態様では第3の態様による処理されたタバコ材を含むタバコ産業製品が提供される。
【0033】
本発明の第5の態様ではタバコ産業製品の製造のための第3の態様による処理されたタバコ材の使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の実施態様を添付図面を参照して例示のみを目的として説明する。
【
図2】タバコ材を処理するための装置を通過するタバコ材を略式に例示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、タバコ産業製品に組み込むための調製においてタバコ材の処理を向上させることを目的としている。以下に考察するようにタバコ産業製品は、燃焼系紙巻きタバコだけでなくタバコ加熱製品などの喫煙品を含む。またタバコ産業製品は、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品を組み込んだ非喫煙品を含む。
【0036】
収穫後、タバコ材は、消費のための材料を提供するために種々の方法で処理することができる。その内の1つに乾燥がある。乾燥の目的はタバコ材から水分を除去することである。またタバコ材を膨張させるという別の処理もある。膨張の目的はタバコの充填値を大きくすることである。さらに別の処理または一連の処理は、タバコ材の感覚刺激性および/または味特性を向上させる目的を有する。
【0037】
本発明は、これらの効果の全てを簡単且つ比較的速い工程で達成しつつ、出発材料が葉柄と葉身を含んでいるにも拘わらず、色、粒径および燃焼性の点で高い一貫性または均一性を有する処理されたタバコ材を製することを目的としている。
【0038】
本明細書中では「タバコ材」なる用語は、タバコ属のあらゆる種の例えば葉または茎などのあらゆる部分および関連する副産物を含む。本発明に使用するためのタバコ材は、タバコ種からのものであることが好ましい。
【0039】
あらゆる型、様式および/または種類のタバコを処理してもよい。使用してもよいタバコの例としてはバージニア、バーレー、コムム(Comum)およびメリーランドタバコおよびこれらの種のブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、異なる型、様式および/または種類の処理は異なる感覚刺激特性を有するタバコが得られることを認識している。
【0040】
タバコ材は、従来の慣例による予備処理をされてもよい。
【0041】
処理されるタバコ材は硬化後のタバコを含むおよび/または硬化後のタバコからなってもよい。本明細書中では「硬化後のタバコ」なる用語は、硬化されているが、タバコ材の味および/または香味を変えるためのさらなる処理工程を受けていないタバコを意味する。硬化後のタバコは、他の様式、種類および/または型とブレンドしたものであってもよい。硬化後のタバコは、刻みくずタバコを含まないまたは刻みくずタバコからなるものではない。
【0042】
通常、紙巻きタバコは、異なる種類のタバコのブレンドを含む。3つの主要な種類のタバコ、即ちバージニア、バーレーおよびオリエンタルが共通してこれらのブレンドに使用されている。これらの主要な種類のタバコは、そのタバコがどこで育ったか、そのタバコ植物のどの部分を取ったものかおよび色、熟成度および均一性などのタバコの知覚される品質に関連する他の特徴によってさらにサブグループに区別される。異なる種類および異なるサブグループは、異なる特徴を有する。これら3つの主要タバコ種とサブグループは、異なる味特性および異なるニコチン含有量を有する。
【0043】
タバコ葉全体としては中央葉柄(またはミッドリブ)および葉(葉身)を含む。葉のこれらの部分は、通常は機械的な脱穀によって分離される。
【0044】
脱穀と分類は、葉柄と葉身が全て分離されるまで繰り返される。その後それらは別々に処理される。葉柄は通常はコンディショニングを受け、未処理の葉より葉柄の水分量を多くする。次に葉柄は、乾燥させる前に切断される。
【0045】
脱穀と分類の後、葉身の水分量は変化する場合があり、水分量が確実に均一になるように葉身を処理することが重要である。最初に葉身を乾燥させ、次に冷ます。次にそれを高湿度状態のチェンバー内に送り、そこで水分を吸収させ、平衡に到達する。次に葉身は、梱包され、使用されるまで貯蔵される。
【0046】
葉身および葉柄の物理的特徴は、非常に重要である。葉身は、より脆い構造であり、葉柄は、より繊維質、木質で堅い感じである。
【0047】
喫煙品に組み込むためのブレンドに葉身と葉柄両方をブレンドに含むことが望ましい場合が多々ある。通常はこれらの材料は、喫煙品に含有させるためにブレンドされる前に上述の分離および予備処理につづいて個別に処理される。
【0048】
葉身のさらなる処理は、切断を伴う。葉柄は、大抵、その物理的特性が葉身の物理的特性に似たものになるように処理される。そのような処理は、大抵、ローリング、切断および/または膨張を伴う。
【0049】
それでも大抵の場合葉柄と葉身のブレンドを含む喫煙品を見た場合、葉柄成分が視覚的に識別できる。葉柄成分は、喫煙品を燃焼させた際に形成される煙に葉身だけからなる喫煙材と比較してざらついた刺激的な品質を供する。
【0050】
葉柄と葉身の混合
本発明のタバコ材の処理方法の第1の工程ではタバコ葉柄と葉身が組み合わされる。本明細書ではこの工程によって形成された葉柄と葉身の組み合わせを便宜上且つ明確にするために「葉柄と葉身の最初の組み合わせ」とする。
【0051】
葉柄は、葉身と組み合わされる前に既に切断され、および/または既に膨張させてある。
【0052】
一部の実施態様では葉柄は、葉身と組み合わされる前に従来は処理されていた。一部の実施態様では葉柄の水分量は、約18%~約45%OVである。
【0053】
特に明記しない限り本明細書で水分量と言った場合はオーブン揮発分(OV)を意味する。揮発分は固形物質の総質量に含まれる揮発性成分の割合として定義される。これは水とすべての他の揮発成分成分を含む。オーブン揮発性物質は、飛ばされた揮発性物質の質量である。水分量(OV)は、サンプルを強制通風オーブン内で110℃±1℃に調整された温度で3時間±0.5分乾燥させた際の質量の減少として測定される。乾燥後、サンプルを冷ますためにデシケーター内で室温で約30分間冷ます。
【0054】
葉柄を予め切断した場合、一部の実施態様では0.08~0.3mmの範囲の幅に切断された。
【0055】
葉柄を予め膨張させた場合、膨張は任意の従来の膨張工程によって行ってもよい。従来の葉柄膨張技術としては、例えば葉柄蒸気処理(STS)プロセス、蒸気トンネル、刻み葉柄プロセスおよび葉柄裁断圧延(CRES)と一般に呼ばれているプロセスなどが挙げられる。
【0056】
従来は葉身は、全ての公知のプロセスおよびタバコ産業に共通の原理を網羅する処理がなされた。一部の実施態様では葉身は、コンディショニングされ、約20%~約30%OVの水分量を有する。また葉身はブレンドされ、既にケーシング処理されていてもよい。
【0057】
一部の実施態様では葉柄と葉身が組み合わされる、混合またはブレンドされ、比較的均一の混合物を形成する。
【0058】
一部の実施態様では葉柄と葉身の組み合わせは、少なくとも約5%の葉身~約99%以下の葉身および/または少なくとも約1%の葉柄~約95%以下の葉柄を含んでもよい。一部の実施態様では葉柄と葉身の組み合わせは、約5%の葉柄と95%の葉身~約50%の葉柄と50%の葉身を含む。
【0059】
一部の実施態様では葉柄と葉身の組み合わせは、再生タバコ材をさらに含む。再生タバコは、リーフグレードと処理される場合が多く、したがって本発明による葉柄と葉身で処理してもよい。
【0060】
葉柄と葉身の組み合わせの切断
本発明のタバコ材の処理方法のさらなる工程では葉柄と葉身の最初の組み合わせが切断される。
【0061】
切断は、任意の従来の切断方法および/または装置を使用して実行してもよい。
【0062】
一部の実施態様では葉柄と葉身の最初の組み合わせは、少なくとも約0.2mmの幅に切断される。一部の実施態様では混合物は、約2mm以下の幅に切断される。通常、葉身は、燃焼性喫煙品(手巻き紙巻きタバコのタバコ用の極めて細かい、0.25mmの幅の刻み葉身)に使用するために0.6mm~1.1mmの幅に切断され、葉柄は、0.12mm~0.25mmの幅に切断される。幅広く切断するほど、得られる製品は、堅固になり、したがって許容できる粒径でその後の処理工程で残存しやすくなる。しかしながら広い切断幅で製せられる粒子は少ない。この工程は、味以外に最終製品の充填値によって部分的に決定されるので、粒径の理想的な組み合わせを決めなければならない。本発明は、2mm以下の幅で葉身に切断幅の従来の範囲を超える可能性を提供し、その結果得られるタバコの充填値をよりさらに大きくする可能性を提供する。
【0063】
葉柄と葉身の組み合わせの膨張
本発明のタバコ材の処理方法のさらなる工程では葉柄と葉身の組み合わせを膨張させる。
【0064】
切断したタバコは、膨張させて紙巻きタバコに含まれて燃やされるタバコの質量を減少させることができる。低ISOタール生成量の多くのタバコブランドは、全体のブレンドにある程度の割合の膨張タバコを使用する。
【0065】
本発明による方法では切断された葉柄と葉身の組み合わせは、切断された葉柄と切断された葉身を膨張させる膨張工程で処理される。一部の実施態様ではこの膨張により14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に膨張前の葉柄と葉身の組み合わせの充填値より少なくとも約10%大きい充填値を有する膨張された材料が得られる。
【0066】
一部の実施態様ではこの膨張工程は、膨張工程前に約20%~約40%OVの水分量を有する切断された葉柄と葉身の組み合わせで始まる。
【0067】
一部の実施態様ではこの膨張工程は、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に膨張工程前に約3.5~約7ml/gの充填値を有する切断された葉柄と葉身の組み合わせで始まる。
【0068】
一部の実施態様ではこの膨張工程は、従来の膨張技術を利用する。タバコを加圧下で気体または蒸気に含浸させ、次に圧力を解放することを含むタバコを膨張させる種々の方法が今まで提案されており、これにより気体がタバコ細胞を膨張させ、処理されたタバコの容積を大きくする。これはドライアイス膨張タバコ(DIET)を製するために使用される膨張プロセス、フラッシュタワー乾燥(Flash Tower 乾燥)INCOM(不活性ガス圧縮)プロセスおよびタバコに炭化水素溶液を含浸させることおよび乾燥技術と組み合わせたスチームトンネルを含むIMPEXプロセスなどの従来の葉身膨張技術の使用を含む。
【0069】
一部の実施態様では本発明の方法は、タバコを水または比較的揮発性の有機液体などの液体に含浸することを含み、その後、液体を除去し、タバコを膨張させる。広く知られている従来の膨張技術はドライアイスを使用し、これはいわゆるドライアイス膨張タバコまたはDIETというものになる。この工程はタバコを温める前に液体二酸化炭素に浸すことを含む。気体となった二酸化炭素が強制的にタバコを膨張させる。
【0070】
使用してもよい他の方法としては、熱せられると、分解してタバコを膨張させるように働く気体を発生させる固体材料でタバコを処理することが挙げられる。他の方法はタバコに液体を染みこませるために加圧下で炭酸水などの気体含有液でタバコを処理することを含む。染みこませたタバコは、次に加熱されるまたは気体を放出させてタバコを膨張させるために減圧する。タバコを膨張させるためのさらなる技術が開発され、これはタバコ内に固体化学反応物を形成する気体、例えば炭酸アンモニウムを形成する二酸化炭素とアンモニアでタバコを処理することを含む。これらの固体化学反応物は次に放出される際にタバコを膨張させる気体をタバコ内に発生させるために加熱よって分解される。タバコは、種々の加熱処理またはマイクロ波エネルギーによっても膨張させてもよい。タバコの凍結乾燥を採用して容量を増加させてもよい。切断された葉柄と葉身の組み合わせを空気乾燥および流動床乾燥などの連続的な乾燥技術も使用して膨張させてもよい。
【0071】
一部の実施態様では膨張工程は、切断された葉柄と葉身の組み合わせを膨張剤に晒すことを含む。膨張剤は、液体二酸化炭素、固体二酸化炭素。蒸気、液体窒素、液体短鎖(C5またはC6)炭水化物またはこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0072】
一部の実施態様では膨張させた葉柄と葉身の組み合わせは、ドライアイス膨張タバコ(DIET)である。
【0073】
このような従来の膨張技術によって充填値が少なくとも約10%増加することが知られている。上記の従来の膨張技術の内の1つを使用した膨張工程の後、切断された葉柄と葉身の組み合わせは、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に少なくとも約4ml/g(インフィード充填値では3.5ml/g)~少なくとも約8ml/g(インフィード充填値では7ml/g)の膨張充填値を有する。これらの膨張の数値は控えめな値であり、公知の従来膨張および乾燥工程の最小膨張効果を表している。実際には公知の膨張技術の膨張効果は潜在的にはより顕著である。例えば、膨張させた葉柄と葉身の組み合わせは、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約5ml/g~約10ml/g、例えば約5ml/g~約9ml/g、例えば約5ml/g~約8ml/g、例えば約5ml/g~約7ml/gの充填値を有してもよい。
【0074】
一部の実施態様では膨張工程は、切断された葉柄と葉身の組み合わせを膨張させて、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際の膨張前の葉柄と葉身の組み合わせの充填値より少なくとも約12%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約100%大きい充填値を有する膨張タバコ材を提供する。
【0075】
一部の実施態様では膨張させた葉柄と葉身の組み合わせの水分量は、約5%~約25%OV、例えば約5%~約20%OV、例えば約10%~約15%OVである。
【0076】
加熱された面との断続的な接触
本発明のタバコ材の処理方法のさらなる工程では、葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面と断続的に接触させて、処理されたタバコ材を製造する。
【0077】
タバコを熱い面に晒すことはそのタバコ材を極めて少ない水分量(オーブン揮発分に基づいて)に乾燥させることだけでなく、一部の実施態様では本発明の方法は次の所望の化学的または物理的変化の1つ以上につながることが発見された、
-処理された材料の感覚的特性の著しい向上、
-例えば処理された切断された葉柄および処理された切断された葉身の場合20%~90%の糖分の著しい減少、
-例えば処理された切断された葉柄および処理された切断された葉身の場合10%~70%のニコチンの量の著しい減少、
-例えば処理された切断された葉柄および処理された切断された葉身の場合20%~90%のアンモニアの分析値の著しい減少および
-処理された材料の場合15%~50%の増加といった著しい充填値の増加。
【0078】
葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面に断続的に接触させる工程は、タバコ材内に化学的変化をもたらす。少なくとも一部の実施態様ではこれらの変化は処理されたタバコの感覚刺激特性を向上させる。
【0079】
タバコ材の感覚刺激特性は、従来は種々の異なる処理によって高められている。タバコ材は、消費用の葉を調製するために硬化させることができる。タバコ材は、例えばタバコの感覚刺激特性を向上させるために熟成または発酵によるさらなる処理を行ってもよい。しかしながら、これらの工程は時間が掛かり、得られるタバコ材の品質にバラツキが生じ得る。タバコ処理の後段でのタバコ材の風味および香味を向上させるまたはこれらをタバコ材に加える処理は、タバコに1つ以上の添加剤を加えることを伴い、追加の処理工程および装置を必要とする可能性があり、これは費用および時間が掛かる。
【0080】
葉柄と葉身の組み合わせを加熱された面に断続的に接触させることによって繰り返し短い時間高温に晒すことになる。一部の実施態様ではこの断続的な接触はタバコを撹拌することによって実行してもよい。加熱された面の温度、従ってタバコが晒される温度は、約100℃より著しく高く、一部の実施態様では少なくとも約150℃である。したがって、断続的な接触は、タバコがそのような高温の面に長い時間連続して晒されることによって確実に燃えないようにするために重要である。
【0081】
一部の実施態様ではタバコと加熱された面との断続的な接触によってタバコ材の表面が焼かれるまたは焦がされることになる。これは急に高温に晒すことの結果である。これは乾燥効果があるだけでなく、従来技術で知られている緩やかな乾燥工程とは異なるタバコの処理にもなる。
【0082】
一部の実施態様では処理中のタバコの周囲の酸素量は少なくしてもよい。これは加熱された面に露出された結果として形成される「ホットスポット」のリスクを小さくし、タバコの焼けのリスクを小さくする効果を有する。従って、そのような酸素量の減少によってタバコが従来の工程および装置でより高い温度で処理することができる。一部の実施態様では酸素量は蒸気を加えることによって少なくなる。
【0083】
いかなる特定の理論に束縛されることを望まないが、本発明の工程は2つの段階に分けられると推定されている。第1の段階ではタバコ材がある種のタバコ材の蒸気蒸留で水を含む揮発成分を除く熱に晒された結果として乾燥される。第2の段階では本明細書中で「表面焼け」と言う効果が生じる。タバコ内に主要な化学的変化が起こるのがこの第2の段階中である。
【0084】
タバコと加熱された面とが短時間接触し、タバコの局部的な焼けによってメイラードおよびキャラメル化反応生成物の増加につながると推定され、それらの多くは所望の感覚刺激特性に貢献することが知られている。メイラード反応はアミノ酸と糖との化学反応であり、それらはタバコ出発材料中に存在するが、処理されたタバコ材では僅かにしか見られない。これは約140~165℃の温度で通常生じる非酵素反応である。メイラード反応生成物の感覚刺激特性に心地よい効果を与えることに加えて、この反応は材料の褐色化も担っている。本発明の実施態様によって処理されたタバコは、タバコ出発材料より濃い茶色であることが観察されている。
【0085】
一部の実施態様では本明細書中で説明したようにタバコ材を加熱された面と断続的に接触させることによるタバコ材の処理によって、風味特性が向上したまたは感覚刺激特性が向上した(処理されていないまたは従来の硬化工程だけを使用して処理されたタバコの風味特性と比較して)タバコが製せられる。これは従来のタバコの処理後に見られるタバコの味特性を維持しつつオフノートまたは刺激が減少することを意味する。本明細書中では「向上させる」または「向上」なる用語は、風味または感覚刺激特性との関連で、熟練喫煙者によって特定される味または味の質の改良または改善されたことを意味する。これは味を強化することを含んでもよいが、必ずしも必要ではない。
【0086】
本明細書中でタバコ材の感覚刺激特性と言った場合、例えば消費者が口にくわえて使用した場合のタバコ材自体の感覚刺激特性を意味する。加えてまたはこれとは別にタバコ材の燃焼によって発生した煙の、またはタバコ材の加熱によって発生した蒸気の感覚刺激特性を意味する。一部の実施態様では処理されたタバコ材は、使用または消費される際に所望の感覚刺激特性を有する上記タバコ材を含むタバコ製品を提供する。
【0087】
一部の実施態様では本発明の方法は、ブレンドの全体的な性能に対する葉柄のマイナスの感覚効果を軽減するという予測しなかった利点を有する。マウスコーティング、セルロースっぽいおよび「茎っぽい」味に寄与することは葉柄の全体的な特性の否定的側面と見なされている。
【0088】
さらにまた表面の焼けはタバコ材に対して物理的影響を有し、植物材の個々の細胞はその内側の水分が急激に加熱され蒸発することで膨張すると推察される。
【0089】
一部の実施態様では加熱された面の温度は、約100℃から約300℃の範囲内である。一部の実施態様ではその温度は少なくとも約105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃または少なくとも約200℃である。一部の実施態様では加熱された面の温度は約295℃、290℃、285℃、280℃、275℃、270℃、265℃、260℃、255℃、250℃、245℃、240℃、235℃、230℃、225℃、220℃、215℃、210℃、205℃以下または約200℃以下である。一部の実施態様では加熱された面は、少なくとも約120℃~約250℃の温度または少なくとも約150℃~約300℃の温度を有する。
【0090】
加熱された面の温度について述べる場合、本明細書中ではタバコ材と接触する前の温度を意味する。なぜならタバコ材との接触および乾燥工程は加熱された面を冷ますからである。従って、乾燥工程中の加熱された面の正確な温度は、どの程度「乾燥作業」が行われるかによる。例えば、水がタバコから蒸発させられる最初の段階では、より多くのエネルギーが利用され、加熱された面が過度に冷まされることにつながる。従って、それが容易かつ正確に測定できるタバコとの接触前の加熱された面の温度になる。
【0091】
一部の実施態様では加熱された面の温度は、処理中に変化を最小限にするために制御される。例えば、フィードバック機構を使用して温度が許容範囲内に確実に維持されるようにし、タバコ材の処理の結果、温度が下がった際に面を加熱する。
【0092】
一部の実施態様では加熱された面の温度は処理されるタバコ材の種類に応じて調整されるのが適している。このことが適している理由の一つは、種々のタバコ材は異なる出発水分量を有し、従ってその処理は異なる量の水分および揮発分を除去することを伴うからである。
【0093】
一部の実施態様では加熱された面は、ステンレススチールまたは充分な伝熱特性を有するあらゆる他の好適なスチールまたは金属種などの金属である。他の実施態様では加熱された面は、本明細書中で述べた方法で使用する温度に加熱することができる充分な伝熱特性を有すあらゆる材料から形成される。例えば、セラミックからなる面を使用してもよい。
【0094】
加熱された面は、例えば油、水または蒸気からなる群から選択された加熱媒体などの加熱媒体によって間接的に加熱されてもよい。一部の実施態様では熱媒油は好ましい加熱媒体である。これとは別にまたは加えて加熱された面は直接加熱されてもよい。一部の実施態様では加熱された面は電気で加熱される。
【0095】
タバコ材が加熱された面と断続的に繰り返し接触する場合、タバコ材が加熱される。加熱された面が高温ならば、タバコの温度は著しく上昇する。一部の実施態様では本発明の処理方法の結果、タバコ材の温度は約120℃~約230℃の範囲のピーク温度に上昇する。一部の実施態様ではタバコ材のピーク温度は少なくとも約125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃、215℃または少なくとも約220℃である。一部の実施態様ではタバコのピーク温度は、約225℃以下、220℃以下、215℃以下、210℃以下、195℃以下、190℃以下、185℃以下、180℃以下、175℃以下、170℃以下、165℃以下、160℃以下、155℃以下、150℃以下、145℃以下、140℃以下、135℃以下、130℃以下または約125℃以下である。タバコの温度は、赤外線計測温度計または電気抵抗温度計などの好適な測定装置で測定される。
【0096】
一部の実施態様ではタバコ材は不活性雰囲気下で加熱される。
【0097】
一部の実施態様では窒素、飽和スチーム、二酸化炭素またはそれらの混合物などの不活性ガスが装置に加えられ、酸素量を調節し、処理中所望の化学反応を誘導する。
【0098】
一部の実施態様ではタバコ材を加熱された面に断続的に接触させることは乾燥効果を有し、そのタバコ材の水分量が減少する。一部の実施態様では処理されたタバコ材の水分量は0%~約10%オーブン揮発分(OV)である。言い換えれば処理されたタバコ材の水分量は、約10%OVを超えない。一部の実施態様では処理されたタバコ材の水分量は、9.5%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下、4.5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、2.5%以下、2%以下、1.5%以下、1%以下または約0.5%OV以下である。一部の実施態様では処理されたタバコ材の水分量は、約2%OV以下である。
【0099】
一部の実施態様ではタバコ材は、それを加熱された面に断続的に接触させる工程の直前に少なくとも約5%OVの水分量を有する。一部の実施態様ではタバコ材を加熱された面に断続的に接触させる工程の直前のタバコ材の水分量は、少なくとも約6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%または少なくとも約24%OVである。一部の実施態様ではタバコ材を加熱された面に断続的に接触させる工程の直前のタバコ材の水分量は、約25%以下、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%または約6%OV以下である。一部の実施態様ではタバコ材を加熱された面に断続的に接触させる工程の直前のタバコ材の水分量は、少なくとも約5%~約25%OVまたは少なくとも約5%~約20%OVである。一部の実施態様ではタバコ材を加熱された面に断続的に接触させる工程の直前のタバコ材の水分量は、少なくとも約12%~約16%OVである。
【0100】
したがって、一部の実施態様では加熱された面と断続的に接触させることによって処理されるタバコ材は、タバコ材がすでに乾燥しているという意味の水分量を有する。一部の実施態様では加熱された面と断続的に接触させることによるこのタバコの処理の主目的は、タバコ材の水分量をさらに減少させることではなく、加熱された面の高温に短い時間接触することで生じる表面焼けによるタバコの物理的および化学的変化を実行することである。一部の実施態様ではこの効果は加熱された面との接触の結果としてタバコを燃やさないまたは実質的に燃やさずに達成される。
【0101】
一部の実施態様ではタバコ材の水分量は、タバコ材を加熱された面に断続的に接触させる工程の間、水分を加えることによって調節してもよい。水分は水または蒸気の形で処理中にタバコに導入してもよい。これは断続的にタバコ材を加熱された面と接触させている間にタバコ材にスプレーしてもよい。
【0102】
一部の実施態様ではこの水分の導入によってタバコ材の水分量が2%~5%OV増加する。一部の実施態様では水分は、工程中に異なるポイントまたは位置で導入される。
【0103】
タバコのこの湿潤は処理工程中に起こるので、水分量は、湿潤されたタバコが加熱面と接触するため再度減少する。本発明の方法は、タバコ材の水分量は処理中に繰り返し上下に変動するように複数回の水分の添加を含んでもよい。
【0104】
一部の実施態様ではこの工程は、少なくとも約1分~約15分の処理時間に亘って1つ以上の加熱された面とタバコ材を繰り返し断続的に接触させることを含む。一部の実施態様ではタバコを加熱された面と断続的に接触させる時間は、少なくとも約1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分または少なくとも約14分である。一部の実施態様ではタバコを加熱された面と断続的に接触させる時間は、約14分以下、13分以下、12分以下、11分以下、10分以下、9分以下、8分以下、7分以下、6分以下、5分以下、4分以下、3分以下または約2分以下である。一部の実施態様ではタバコ材は加熱された面と合計で少なくとも約2分~約10分または少なくとも約2.5分~約5分接触させる。
【0105】
一部の実施態様では断続的な接触は、最大で約5秒間、タバコと加熱された面との直接的かつ連続的な接触を含んでもよい。一部の実施態様では直接的かつ連続的な接触の平均時間は、約0.1秒~約3秒である。
【0106】
加熱された面とのタバコ材の断続的な接触と言った場合、タバコ材のあらゆる部分が加熱された面と一時的にのみ直接接触することを意味する。一部の実施態様ではこれはタバコ材が加熱された面に対して移動し、タバコ材が加熱された面と接触する特定の位置に長い時間停止過ぎないようにするおよび/またはタバコ材の同じ部分が長い時間加熱された面と直接接触したままにならないようにすることを意味する。タバコ材の同じ部分と加熱された面との接触時間を延ばすことは、タバコ材の燃焼につながり、これはタバコ材の物理的および化学的特性に対して有害作用を有し、処理された材料は例えばタバコ産業製品でのさらなる使用に適さなくなる。
【0107】
一部の実施態様ではタバコを加熱された面と断続的に接触させる工程は、タバコ材が処理される際、タバコ材を撹拌することを含む。一部の実施態様ではタバコ材を撹拌する手段を含む装置が提供される。
【0108】
一部の実施態様ではタバコ材はタバコ材を混転させることによって撹拌されるのが好ましい。これは、例えば処理されるタバコをつまみ、持ち上げ、落下させてタバコ材の混転運動を生じさせることによって行ってもよい。
【0109】
一部の実施態様ではタバコ材の回転運動は1つ以上のスクリューを含むもののような機構によって行ってもよい。このような構成ではスクリューは回転するシャフトを囲む螺旋面を含み、この螺旋面はタバコ材をつまみ上げる構造をしている。シャフトが回転すると、螺旋面が処理されるタバコ材の少なくとも一部をすくい上げる。このタバコ材は、次に搬送され、回転する螺旋面によってスクリューの回転がタバコ材をスクリューから落とす(重力で)まで持ち上げられる。一部の実施態様では1つ以上のスクリューは、処理チェンバーを通ってタバコ材を移動させ、タバコ材を撹拌させるように配置してもよい。このような配置によりタバコを連続して処理することが可能になる。一部の実施態様では螺旋面および/またはスクリューのシャフトは加熱してタバコの処理に使用される加熱された面を提供してもよい。2つのスクリューをタバコ材の移動に使用する場合、これらのスクリューは平行に配置され、処理されるタバコのすべてと接触し、移動させるように位置させてもよい。一部の実施態様ではスクリューは追加のパドルを含み、タバコ材の拾い上げおよび搬送を補助するようにしてもよい。これらのパドルもタバコ材を処理するために使用される加熱された面であってもよい。
【0110】
他の実施態様ではタバコ材は回転ドラム内で撹拌してもよい。ドラムの内側はチェンバーであってもよく、その中でタバコが処理される。タバコはドラムの内側に位置し、ドラムが回転するとドラムの底部から拾い上げられ、持ち上げられる。タバコ材は、タバコ材との接触を維持することができる内面を有するドラム、例えばタバコ材をすくい上げるパドルなどの粗い面または突起を有することによって拾い上げやすくしてもよい。ドラムが回転すると、ドラムの内面と接触しているタバコは、ドラムの回転によってタバコをドラムの壁から落とし(重力で)、ドラムの底部に戻すまで持ち上げられる。これによってタバコ材の混転と混合が生じる。ドラムの内面の不規則性がどのくらい長くタバコ材がドラム壁と接触したままにするかを制御することを補助する。その不規則性は、タバコ材が落下する際にドラムと接触したままに確実にならないように(壁に滑り戻る)するために使用して、タバコ材の混転運動を高めるようにしてもよい。回転速度も回転軸の向きと同じように混転運動に影響を与える。一部の実施態様ではドラムの内面は、タバコを処理するために使用される加熱された面であってもよい。ドラムは、水平または実質的に水平な軸を中心に回転してもよい。他の実施態様では傾斜した軸を中心にした回転は、タバコがより長くドラムの内面との接触を維持できるようにし、またタバコ材を長手方向に移動させる。ドラムの回転の結果としてのタバコの長手方向の移動は、さらにまたはこれとは別にドラムの内面に適切に配置され、角度付けされた突起によって実行してもよい。
【0111】
他の実施態様ではタバコ材は空気流で撹拌させてもよい。例えば、タバコ材は空気流によって持ち上げられ、移動させてもよい。
【0112】
一部の実施態様ではタバコ材は、装置を通る空気の流れによって撹拌されない。一部の実施態様ではタバコ材を処理するための装置はタバコ材を撹拌するための装置を介して空気を吸い上げる手段を含まない。
【0113】
一部の実施態様ではタバコを加熱された面と断続的に接触させる工程は、連続したプロセスの一部である。例えば、タバコ出発原料は装置に連続的に供給され、処理され、処理されたタバコとして装置から出る。別の実施態様では本発明の方法はバッチプロセスであり、タバコ出発原料のバッチが装置に供給され、処理されたタバコ材のバッチを製するために処理され、新しいバッチが処理される前に取り除かれる。
【0114】
追加の処理工程
一部の実施態様では組み合わせ、切断、膨張そして加熱された面との断続的な接触の後、処理されたタバコをコンディショニングしてもよい。例えば一部の実施態様では水分を処理されたタバコ材に加えてもよい。一部の実施態様ではこれは水および/または蒸気に処理されたタバコ材を晒すことによって実行される。一部の実施態様では水分量は、約10%OVまたは約10~約20%OVへと増加される。
【0115】
一部の実施態様では処理後、処理されたタバコを冷却してもよい。一部の実施態様ではこれは冷却ベルトの使用を伴い、周囲空気または冷却された空気が処理されたタバコの層を通過する。他の実施態様ではタバコ材は、放置する、冷却シリンダーを通過させる、エアーリフティングおよび流動床を介して冷却するなどの工程の内の1つ以上によって冷却してもよい。
【0116】
図1のフローチャートはタバコ材を処理するための工程の例の概略をまとめている。タバコ出発原料は、必要であれば、従来の基礎生産(PMD)工程などの予備処理を受けてもよい。葉柄の場合、それは、例えば未加工葉柄のコンディショニング、その後のローリング、乾燥および混合の内の1つ以上を含んでもよい。一部の実施態様では葉身の予備処理は、薄切り、コンディショニング、ケーシング(必要であれば)、切断、乾燥、冷却および混合を含んでもよい。
【0117】
選択的に予備処理された葉柄は、切断および/または膨張させる。切断および/または膨張は、本明細書で述べたような従来の方法および装置を使用して行ってもよい。
【0118】
次に切断および/または膨張させた葉柄は、葉身と組み合わされる。この組み合わせ工程は、さらなる処理工程の前にある程度均一化された材料の混合物を得るために混合またはブレンドを含む。
【0119】
葉柄と葉身の組み合わせは、次に切断される。これも従来の方法および装置を使用して行ってもよい。
【0120】
切断された葉柄と葉身の組み合わせは、次に膨張させる。この膨張は、1つ以上の従来の膨張方法および装置を使用して行ってもよい。
【0121】
膨張させた材料は、次に加熱された面との断続的な接触によって処理される処理装置に供給される。この処理中、タバコ材は、加熱された面との断続的な接触を生じさせるように撹拌してもよい。
【0122】
加熱された面との断続的な接触によるタバコ材の処理が終了すると、処理されたタバコ材は、必要であればコンディショニングしてもよい。1つの可能な実施態様ではこのコンディショニングは、処理されたタバコ材に水または蒸気を加えてその水分量を例えば14.5%OVの範囲に上昇させることを含む。
【0123】
工程パラメータは、タバコ材の物理的特徴の一部またはすべてを維持するために処理されたタバコ材にとって充分に軽いものである。例えば、タバコ材は、喫煙品などのタバコ含有製品に組み込むための取り扱いおよび/または加工を可能にするため、処理の後でも充分に損なわれないままである。これによりタバコ材が本明細書中で説明した処理を受けていない従来のタバコと同じように標準的な処理による取り扱いを受けられるようにする。
【0124】
装置
本明細書で説明した方法で処理されるタバコ材を加熱された面と断続的に接触させる工程を行うために好適な装置の具体的な実例を
図2に示す。この実施態様では装置1は、デュアルスクリュー構造の2つのスクリュー2を含む。この構成はタバコ材のあらゆる部分がこの装置のスクリューによって発生する撹拌または乱流の結果として一回数秒程度の時間加熱された面と接触すると考えられている。
【0125】
タバコ材8は、螺旋面3とシャフト4を含む従来の搬送スクリュー2を含む装置1で処理され、スクリュー2はタバコ材を装置1の処理チェンバー7内を移動させる。スクリュー2は回転し、スクリュー2のシャフト4は、モーターを含む駆動機構11によって回転する。
【0126】
一部の実施態様では組み合わされ、切断され、膨張させた葉柄と葉身の組み合わせは、タバコ入り口5を通って処理チェンバー7に入り、その際回転しているスクリューがタバコ材を拾い上げ、混転させ、処理チェンバーを通ってタバコ出口6の方へ移動させる。
【0127】
例えばタバコ材8の塊がタバコ入り口5を通って処理チェンバー7に入る。スクリュー2が回転すると、タバコ材が拾い上げられ、その一部は螺旋面3と直接接触し、スクリュー2のシャフト4とも接触する可能性がある。タバコ材は、タバコ材が処理チェンバー7内を搬送され、混転させられるようにスクリュー2に沿って引きずられ、スクリュー2によって持ち上げられ、落とされる。回転している1つ以上のスクリューにより持ち上げられたタバコは、その後チェンバー7内を搬送されるタバコ材8の塊に落下し、その塊は一定に混ぜられ、移動させられ、その結果、塊の異なる部分が異なる時間でスクリュー2と接触することになる。
【0128】
例示の実施態様ではスクリュー2の表面は加熱され、それらは本発明のタバコの処理に従って断続的にタバコ材と接触する。
【0129】
スクリュー2は、加熱媒体パイプ10を介して装置1に供給される加熱媒体によって加熱される金属面を有する。例示の実施態様では加熱媒体は所望の温度に加熱される熱媒油である。
【0130】
処理されるタバコ材の一部だけがどの時点においても加熱された面と直接接触する。タバコが搬送される際、タバコは混転、混合され、タバコ材の撹拌、乱流を供し、加熱された1つ以上の面との所望の断続的な接触が行われる。個々の接触時間は一回に2、3秒を超えないと考えられている。タバコ流の動力によってスクリューの形によって誘発されるタバコの塊全体の均一処理を確実にする。
【0131】
例示した装置では処理チェンバーは異なる温度領域9に分割してもよい。これらの領域はスクリューの異なるセクションを表し、それらのセクションは別々に加熱される。したがって、本発明の装置は、種々の温度に加熱される面を有するように構成することができる。一部の実施態様では処理工程中に異なるポイントで異なる温度を有する加熱された面にタバコを露出させることによって乾燥および処理の表面焼け段階を制御するのが望ましい。
【0132】
処理されたタバコの使用
本発明による処理されたタバコは、タバコ産業製品に使用してもよい。タバコ産業製品は、タバコ産業で製造されるまたは販売されるあらゆる品目を指し、通常は、a)紙巻きタバコ、シガリロ、シガー、パイプまたは手巻きタバコおよび他の自作用タバコ製品用のタバコ(タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品をベースにしているか否かに関係なく)、b)タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品を組み込んだ嗅ぎタバコ、スヌース、ハードタバコなどの非喫煙製品および非燃焼加熱(HnB)製品およびc)吸入器、電子タバコ、エアロゾル発生材またはそれらの消耗品の組み合わせを含むハイブリッドデバイスなどのエアロゾル発生デバイス、トローチ剤およびガムなどの他のニコチン送出システムを含む。この例はこれ以外のものを排除するものではなく、単にタバコ産業で製造、販売されている一連の製品を例示しているに過ぎない。
【0133】
処理されたタバコ材は、喫煙品に組み込まれてもよい。本明細書中では「喫煙品」なる用語はタバコ、タバコ派生品、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品をベースにしているかに関係なく紙巻きタバコ、シガーおよびシガリロおよびまた非燃焼加熱製品などの喫煙可能な製品を含む。
【0134】
処理されたタバコ材は、手巻きタバコ、自作タバコ製品および/またはパイプタバコ用に使用してもよい。
【0135】
処理されたタバコ材は「無煙タバコ製品」内に組み入れてもよい。「無縁タバコ製品」は、本明細書中では燃焼を意図しないあらゆるタバコ製品を意味するために使用されている。これは限られた時間ユーザーの口腔に入れられるように設計されたあらゆる無煙タバコ製品を含み、口腔に入れられている間ユーザーの唾液と接触するようになっている。
【0136】
処理されたタバコ材は、喫煙品または無煙タバコ製品に組み込まれる前または手巻きタバコ、自作タバコ製品またはパイプタバコ用に使用される前に1つ以上のタバコ材とブレンドしてもよい。
【0137】
実施例1
タバコ葉柄を切断される時点まで従来通り処理する。切断された葉柄の幅は0.21mmであり、水分量は33%OVである。
【0138】
葉身を水分量が24%~26%OVになるようにコンディショニングされる時点まで従来通り処理する。葉身は、ブレンドされ、ケーシングを保持する。
【0139】
切断された葉柄と葉身は組み合わされ、一緒に1mmの幅に切断される。
【0140】
この処理工程のための材料は、60%の葉身と40%の膨張させてない切断された葉柄からなっていた。
【0141】
次にこの混合物を従来の膨張工程に移し、関連する乾燥およびリオーダリング(re-ordering)後に13%~15%OVの水分量の膨張乾燥製品とする。
【0142】
この既に膨張させたブレンドは、所謂「表面焼き」工程に移され、そこで加熱された面と断続的に接触させる。
【0143】
切断され膨張させた葉柄と葉身を送り込み材料として使用し、
図2に示した装置を使用して本発明の方法で処理する。
【0144】
この処理は、個々の粒子が処理されるタバコ材の塊全体に落下して戻る前に数秒ほど熱い金属面にタバコの粒子を晒すこととして説明することができる。
【0145】
装置内のタバコ粒子の塊の滞留時間(そして従って処理時間)は、1~5分である。加熱された金属面は、加熱された面を合成油を介して所望の温度にするスクリューと同様に加熱されるジャケットによって加熱される。
【0146】
下記表1に記載されている数字およびパラメータは、加熱媒体(油)温度が230℃に設定された場合の処理工程における個々の温度を反映している。
【0147】
【0148】
タバコは、約3分の滞留時間(または処理時間)および約14.5%OVの水分量のタバコを約35kg/hで供給するタバコ材処理速度を伴う工程で試験する。
【0149】
この工程は2つの異なる段階に分割することができる。第1の段階を通してタバコ粒子はその水分を失う。加熱媒体(油)温度230℃でタバコ粒子は、約2分後に0%OVの水分量になる。第2段階は処理の残りの工程で起こり、その効果は「表面焼け」と称される。この第2の段階でタバコ材の主な化学的変化が起こる。
【0150】
表面焼き工程は、処理されたタバコのニコチン含有量の減少(例えば、230℃の加熱媒体の温度で35%超の減少)を引き起こし、同時にタバコの総糖含有量およびアンモニア含有量の著しい減少(例えば、60%超の減少)をも引き起こす。
【0151】
さらに表面焼き工程は、その工程を通してタバコ材を著しく変化させる原因にもなる。これらの変化は処理された材料の感覚刺激特性の変化に置き換えることができることを示しており、これは処理されたタバコが例えば紙巻きタバコで燃焼させた際に発生する煙で認識可能である。この煙の感覚刺激特性は、熟練喫煙者によって非常に好意的な言葉で表現され、タバコの処理が有益かつ望ましい特性を有する処理された材料の製造につながっていることを示している。これはいくつかの望ましくないタバコ成分の減少および感覚刺激特性の向上という両方の点からである。これらの変化は、表面焼き処理後のタバコの色または外観の黒ずみまたは褐変にもあらわれる。
【0152】
さらには葉柄と葉身を組み合わせた結果として、処理された材料の色および粒径の点における非常に高い均一性が得られる。これは、例えば燃焼系製品の非常に安定した燃焼特性を可能にする。処理されたブレンドの葉柄部分は、文字通り最終材料では見えなくなり、これはパイプ用、手巻き紙巻きタバコまたは自作タバコ製品用のタバコなどの多くの製品に望ましい。
【0153】
さらに工程の組み合わせにより従来の製品と比較して高い充填値、即ち質量当たりのタバコ体積が向上した製品が結果として得られる。
【0154】
葉身60%/葉柄40%混合物の正規化充填値は、表面焼き処理前は6.75ml/gと測定され、表面焼き処理および関連するリオーダリング(re-ordering)処理の後は、正規化充填値は8.10ml/gとなった。
【0155】
実施例2
この工程は、実施例1で使用した工程と類似しているが、組み合わせて切断する前に、既に膨張させた葉柄を葉身と組み合わせたものを送り込み材料として使用した。
【0156】
本工程の材料は、葉身60%と膨張切断葉柄40%からなる。
【0157】
この膨張させた葉柄の水分量は、22%~24%OVである。
【0158】
切断された葉柄と葉身は、組み合わされ、一緒に0.9mmの幅に切断される。
【0159】
次にこの混合物を従来の膨張工程に移し、関連する乾燥およびリオーダリング(re-ordering)の後に14%~15%OVの水分量の膨張乾燥製品とする。
【0160】
下記表2に記載されている数字およびパラメータは、加熱媒体(油)温度が230℃に設定された場合の処理工程における個々の温度を反映している。
【0161】
【0162】
タバコは、約3分の滞留時間(または処理時間)および約14.5%OVの水分量のタバコを約30kg/hで供給するタバコ材処理速度を伴う工程で試験する。
【0163】
表面焼き工程は、処理されたタバコのニコチン含有量の減少(例えば、230℃の加熱媒体の温度で40%超の減少)を引き起こし、同時にタバコの総糖含有量およびアンモニア含有量の著しい減少(例えば、70%超の減少)をも引き起こす。
【0164】
葉身60%/葉柄40%混合物の正規化充填値は、表面焼き処理前は7.95ml/gと測定され、表面焼き処理および関連するリオーダリング(re-ordering)処理の後は、正規化充填値は9.60ml/gとなった。
【0165】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態では特許請求された発明が実践され、優れた方法、装置、処理されたタバコおよびそこから得られる抽出物を提供することができる。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
【国際調査報告】