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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】ゲル電解質前駆体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0565 20100101AFI20230406BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20230406BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230406BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20230406BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20230406BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20230406BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20230406BHJP
【FI】
H01M10/0565
H01M4/139
H01M10/052
H01M50/119
H01M50/103
H01M50/105
H01M50/107
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551001
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 CN2021082142
(87)【国際公開番号】W WO2022057226
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】202010986328.0
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522139349
【氏名又は名称】蜂巣能源科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】呂 文彬
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 素祥
(72)【発明者】
【氏名】陳 少傑
(72)【発明者】
【氏名】楊 紅新
【テーマコード(参考)】
5H011
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011CC06
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL07
5H029AL12
5H029AM16
5H029BJ02
5H029BJ04
5H029BJ12
5H029CJ02
5H029CJ08
5H029CJ11
5H029CJ12
5H029CJ13
5H029CJ22
5H029CJ28
5H029CJ30
5H029DJ13
5H029HJ01
5H029HJ07
5H029HJ14
5H029HJ15
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB12
5H050FA02
5H050FA13
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA12
5H050GA13
5H050GA22
5H050GA27
5H050GA29
5H050HA01
5H050HA07
5H050HA14
5H050HA15
5H050HA20
(57)【要約】
本開示はゲル電解質前駆体及びその使用を提供し、ゲル電解質前駆体はゲル骨格モノマー、可撓性添加剤、重合開始剤及びリチウム塩を含み、ゲル骨格モノマーはアクリロニトリル系モノマーを含む。当該ゲル電解質前駆体を半固体電池に適用すると、良好な電気的性能を有し、電解質の用量をさらに減らし、アクリロニトリル系モノマーをインサイチュ重合でゲル化して得られるアクリロニトリル系ポリマーは、優れた難燃性と高耐電圧性を有し、電池の安全性能が向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤、重合開始剤及びリチウム塩を含むゲル電解質前駆体であって、前記ゲル骨格モノマーはアクリロニトリル系モノマーを含む、ゲル電解質前駆体。
【請求項2】
前記アクリロニトリル系モノマーは、アクリロニトリル、アリルシアニド、2-ブロモアクリロニトリル、1-シクロヘキセンアセトニトリル、3,3-ジフェニルアクリロニトリル、3-シクロヘキセン-1-カルボニトリル、1-シクロペンテニルアセトニトリル、2-エトキシアクリロニトリル、1,2-ジシアノシクロブテン、シクロビニル-1,2-ジカルボニトリル、ジアミノマレオニトリル、3,3-ジメトキシ-2-アクリロニトリル、エトキシメチレンマロノニトリル、シス-2-tert-ブチル-2-ブテンジニトリル、2,2,3,4,4-ペンタフルオロ-3-ブテンニトリル、1-シアノ-2-プロペニルアセテート及びベンザルマロノニトリルの中の少なくとも1種を含む、請求項1に記載のゲル電解質前駆体。
【請求項3】
前記ゲル骨格モノマーはアクリロニトリルである、請求項1に記載のゲル電解質前駆体。
【請求項4】
前記可撓性添加剤はスクシノニトリル及び/又はイオン液体から選ばれる、請求項1~3のいずれか一項に記載のゲル電解質前駆体。
【請求項5】
前記イオン液体は、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩、1-ブチル-1-メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-プロピル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート塩の中の少なくとも1種を含む、請求項4に記載のゲル電解質前駆体。
【請求項6】
前記重合開始剤は、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)及び/又は2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)から選ばれる、請求項1~3のいずれか一項に記載のゲル電解質前駆体。
【請求項7】
前記重合開始剤は2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)である、請求項6に記載のゲル電解質前駆体。
【請求項8】
前記リチウム塩は、過塩素酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム及びテトラフルオロホウ酸リチウムから選ばれる少なくとも1種である、請求項1~7のいずれか一項に記載のゲル電解質前駆体。
【請求項9】
前記リチウム塩はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムである、請求項8に記載のゲル電解質前駆体。
【請求項10】
ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤及び重合開始剤の質量の合計を100%とし、前記ゲル電解質前駆体は以下の成分を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のゲル電解質前駆体。
ゲル骨格モノマー 30~80%
可撓性添加剤 20~60%
重合開始剤 1~10%
【請求項11】
前記リチウム塩のモル量と前記ゲル骨格モノマーの体積比は0.1~2mol/Lである、請求項10に記載のゲル電解質前駆体。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のゲル電解質前駆体と電解液とを含む、ゲル電解質を調製するための溶液。
【請求項13】
ゲル電解質前駆体と電解液の質量比は0.1:9.9~9.9:0.1である、請求項12に記載のゲル電解質を調製するための溶液。
【請求項14】
ゲル電解質前駆体と電解液の質量比は4:6~6:4である、請求項13に記載のゲル電解質を調製するための溶液。
【請求項15】
次の方法により調製され、前記方法は前記ゲル電解質前駆体を電解液と混合して、前記ゲル電解質を調製するための溶液を得ることを含む、請求項12~14のいずれか一項に記載のゲル電解質を調製するための溶液。
【請求項16】
請求項12~15のいずれか一項に記載のゲル電解質を調製するための溶液をインサイチュ重合でゲル化してから、ベークして前記ゲル電解質を得ることを含む、ゲル電解質の調製方法。
【請求項17】
前記インサイチュ重合でゲル化する温度は70~75℃である、請求項16に記載のゲル電解質の調製方法。
【請求項18】
前記ベークは真空ベークである、請求項16又は17に記載のゲル電解質の調製方法。
【請求項19】
前記真空ベークの真空度≦0.1kPaである、請求項18に記載のゲル電解質の調製方法。
【請求項20】
前記ベークする温度は80~85℃である、請求項16~19に記載のゲル電解質の調製方法。
【請求項21】
請求項16~20のいずれか一項に記載の方法で調製して得られたゲル電解質であって、
多孔質形態である、ゲル電解質。
【請求項22】
弾性多孔質形態である、請求項21に記載のゲル電解質。
【請求項23】
請求項12~15のいずれか一項に記載のゲル電解質を調製するための溶液を、極片に塗工し、インサイチュ重合し、乾燥させ、ゲル電解質を含む極片を得ることを含む、ゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項24】
前記極片は正極極片及び/又は負極極片を含む、請求項23に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項25】
前記塗工の方法は浸漬塗布を含む、請求項23又は24に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項26】
前記浸漬塗布の方法は、ゲル電解質を調製するための溶液に前記極片を配置することを含む、請求項25に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項27】
前記極片は、ゲル電解質を調製するための溶液に垂直に配置される、請求項26に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項28】
浸漬塗布を終了した後に、極片の表面を拭き取ることをさらに含む、請求項25~27のいずれか一項に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項29】
前記拭き取りは、無塵紙を用いて拭き取る、請求項28に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項30】
前記インサイチュ重合の温度は70~75℃である、請求項23~29のいずれか一項に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項31】
前記インサイチュ重合の時間は16~32hである、請求項23~30のいずれか一項に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項32】
前記インサイチュ重合した後に、極片のタブを拭き取ることをさらに含む、請求項23~31のいずれか一項に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項33】
前記極片のタブの拭き取りに使用される溶媒はジメチルスルホキシドである、請求項32に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項34】
前記乾燥は真空乾燥である、請求項23~33のいずれか一項に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項35】
前記乾燥の温度は80~85℃である、請求項23~34のいずれか一項に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項36】
ゲル電解質を調製するための溶液が封止されたアルミニウムプラスチックフィルムに、極片を20~30時間垂直に配置してから、極片を取り出し、無塵紙を用いて極片の表面を拭き取り、極片の浸漬塗布を完了するステップ(1)と、
ステップ(1)で浸漬塗布された極片をアルミニウムプラスチックフィルムに配置し、それを70~75℃で配置して24時間インサイチュ重合してから、極片を取り出し、ジメチルスルホキシドでタブを拭き取るステップ(2)と、
ステップ(2)でインサイチュ重合された極片を無塵紙で包み、オーブンに入れ、80~85℃で真空乾燥させ、ゲル電解質を含む極片を得るステップ(3)と、を含む、請求項23~35のいずれか一項に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項37】
請求項23~36のいずれか一項に記載の方法で調製して得られた、ゲル電解質を含む極片。
【請求項38】
前記ゲル電解質を含む極片におけるゲル電解質は多孔質形態である、請求項37に記載のゲル電解質を含む極片。
【請求項39】
前記ゲル電解質を含む極片におけるゲル電解質は弾性多孔質形態である、請求項38に記載のゲル電解質を含む極片。
【請求項40】
正極極片又は負極極片の少なくとも一方は、請求項37~39のいずれか一項に記載のゲル電解質を含む極片が使用される、半固体電池。
【請求項41】
パウチ型電池、円筒型電池及び角型アルミケース型電池の少なくとも1種を含む、請求項40に記載の半固体電池。
【請求項42】
パウチ型電池である、請求項41に記載の半固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電池材料の分野に属し、ゲル電解質前駆体及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
社会の急速な発展と進歩に伴い、エネルギー不足及び環境汚染の問題はますます深刻になり、クリーンエネルギーに対する需要がますます重要視されるようになった。同時に、新エネルギー自動車がますます普及し、エネルギー動力の発展がますます拡大することにより、より高いエネルギー密度のリチウムイオン電池の開発が促進されている。現在、市販のリチウム電池では、エネルギー密度に関するボトルネックがすでに現れており、高エネルギー密度の面では改善することは困難であり、次世代電池として、固体電池が最前線位置に挙げられているが、固体電池の研究開発は、難易度が高く、プロセス要求が高く、現在、大量生産をすぐに実現できないため、半固体電池は過渡製品として登場した。
【0003】
新エネルギー自動車の自然発火が次々と発生しており、人々は、より安全で信頼性の高い新型な電池の開発に取り組んでおり、全固体電池は、電解液成分を含まないため、電池セルの内部でより安定して存在可能であり、人々の注目を集めてきた。現在の全固体電池の技術はまだ未成熟であり、工業化までにまだ長い道のりがある。半固体電池は液体電池と全固体電池の中間製品として、電池セルの内部における電解液の用量を減らし、電池セルの安全性能をある程度改善することができ、現在、大量生産に最も近く、最も容易に実現する過渡製品である。
【0004】
固体電池は製造方法によっては、主に(1)半固体電池と(2)全固体電池に分けられ、そのうち、全固体電池の正極と負極とセパレータとの間は固固接触し、Li+伝導抵抗が大きく、現在、全固体電池の性能は従来の液体電池のレベルに達することは困難である。半固体電池は従来の液体電池と全固体電池の間の過渡状態として、製造の操作可能性、電池のレート性能、及びサイクル性能ですべて全固体電池よりも優れている。
【0005】
従来の液体電池から全固体電池への過渡製品として、半固体電池は、従来の液体電池の優れたレートとサイクル性能を兼ね、同時に全固体電池の安全性能を備える必要があり、電池の安全性能を向上させるために、電解液の用量をできるだけ減らす必要があり、電解液は、電池システムの内部の引火点と沸点が最も低い物質であり、最も燃えやすい物質でもあるため、液体電解液の使用量を減らすことは電池の安全性を向上させる重要な手段であり、安全な電解質としてゲル状態電解質が非常に注目されている。
【0006】
したがって、従来の液体電池に相当する電気的性能を有し、且つより高い安全性を有する半固体電池に適したゲル電解質前駆体を開発することは、依然として重要な意味を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示はゲル電解質前駆体及びその使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は一実施例において、ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤、重合開始剤及リチウム塩を含むゲル電解質前駆体を提供し、前記ゲル骨格モノマーはアクリロニトリル系モノマーを含む。
【0009】
電解液は電池システムの内部の引火点と沸点が最も低い物質であり、その引火点が80℃と低く、最も燃えやすい物質でもあり、電池の使用過程で、電解液は安全上の問題を引き起こす主な原因となるため、電解液の使用量を減らすことで、ほとんどの安全上の問題を回避することができる。
【0010】
本開示に係る一実施例において、ゲル骨格モノマーをゲル電解質の骨格とし、可撓性添加剤はゲル電解質を柔らかくする役割を果たし、続いて電解質と混合してから、インサイチュ重合でゲル化し、ベークした後に弾性多孔質形態のゲル電解質を得る。当該弾性多孔質形態のゲル電解質が電池内部で電解液を吸収することで、電池内の遊離電解液の存在を減らすことができ、電解液の用量を減らすため、電池の安全性能がさらに向上する。さらに、吸収された電解液と弾性多孔質形態のゲル電解質とが形成した新しいゲル電解質は、高い導電率を有し、電池のレート性能を保証するため、得られた電池が高い電気的性能を有する。
【0011】
本開示に係る一実施例において、前記ゲル骨格モノマーはニトリル系モノマーを含み、アクリロニトリル系モノマー自体は反応性比(reactivity ratio)が高く、短時間で線状高分子を形成し、線状高分子同士が絡み合って網状構造を形成することができため、架橋剤を使用する必要がない。
【0012】
本開示に係る一実施例において、アクリロニトリル系モノマーは二重結合を含み、インサイチュ重合でゲル化する過程において、ポリマー開始剤の作用下で二重結合が鎖状に開かれ、その後のベークする過程において揮発性成分をベークで除去し、揮発性成分でゲル電解質に細孔を形成し、ポリマー骨格構造が保留され、弾性と細孔を有する骨格構造を形成する。そして、アクリロニトリル系モノマーを骨格材料とすることで、インサイチュ重合でゲル化して得られたアクリロニトリル系ポリマーが優れた難燃性と高耐電圧性を有し、さらに電池の安全性能のさらなる向上を達成する。
【0013】
一実施例において、前記アクリロニトリル系モノマーは、アクリロニトリル、アリルシアニド、2-ブロモアクリロニトリル、1-シクロヘキセンアセトニトリル、3,3-ジフェニルアクリロニトリル、3-シクロヘキセン-1-カルボニトリル、1-シクロペンテニルアセトニトリル、2-エトキシアクリロニトリル、1,2-ジシアノシクロブテン、シクロビニル-1,2-ジカルボニトリル、ジアミノマレオニトリル、3,3-ジメトキシ-2-アクリロニトリル、エトキシメチレンマロノニトリル、シス-2-tert-ブチル-2-ブテンジニトリル(cis-2-tert-Butyl-2-butenedinitrile)、2,2,3,4,4-ペンタフルオロ-3-ブテンニトリル、酢酸1-シアノ-2-プロペニル及びベンザルマロノニトリルの中の少なくとも1種を含む。
【0014】
一実施例において、前記アクリロニトリル系モノマーはアクリロニトリルである。
【0015】
前記ゲル骨格モノマーはアクリロニトリル系モノマーを含み、電解液と混合してインサイチュ重合でゲル化する過程で、アクリロニトリル系ポリマー(例えば、ポリアクリロニトリル)を形成し、ポリアクリロニトリルは優れた難燃性と高耐電圧性を有し、電池の使用過程で電池の安全性を著しく改善することができる。
【0016】
本開示に係る一実施例において、ゲル電解質前駆体と電解液を混合した後に、正極極片及び/又は負極極片に均一に浸漬塗布することができる。
【0017】
本開示に係る一実施例において、本開示に係るゲル電解質前駆体を使用して得られる半固体電池の初回効率及びレート性能は、基本的に液体電池のものと一致し、電池の電気的性能に影響せず、本開示に係るゲル状態前駆体から得られるゲル状態電解質は、電池内の電解液を固定することにより、電解液が電池内を自由に移動できなくなり、裸の電池セルの外部の遊離電解液を減らすことができ、安全テストにおける安全性問題を低減し、その安全性は液体電池よりも著しく優れている。
【0018】
一実施例において、前記可撓性添加剤はスクシノニトリル及び/又はイオン液体から選ばれる。
【0019】
一実施例において、前記イオン液体は、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(PP13TFSI)、1-ブチル-1-メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(PP14TFSI)、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(Pyr14TFSI)、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Pyr13FSI)、1-プロピル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(Pyr13TFSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩([EMIM]TFSI)及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート塩([EMIM]BF4)の中の少なくとも1種を含む。
【0020】
本開示に係る一実施例において、可撓性添加剤はスクシノニトリル及び/又はイオン液体を使用し、以下の特徴を有し、1)スクシノニトリルとイオン液体は沸点が高いため、蒸気圧が温度に伴う変化が小さく、乾燥過程で基本的に揮発せず、他の沸点の低い溶媒が完全に揮発した後に基本的にシステムに保留され、2)スクシノニトリルとイオン液体は粘度が大きいため、電解質を柔らかくする役割を果たすことができ、3)スクシノニトリルとイオン液体系物質は自体が燃えにくいため、電解質材料の安全性を向上させることができる。したがって、スクシノニトリルとイオン液体を使用することにより、電解質材料を柔らかくする役割を果たすことができ、電解質の可撓性を高めると、電解質のガラス転移温度が下がり、それによって導電率を向上させる役割を果たす。
【0021】
一実施例において、前記重合開始剤は2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)及び/又は2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(V65)から選ばれる。
【0022】
一実施例において、前記重合開始剤は2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)である。
【0023】
一実施例において、前記リチウム塩は、過塩素酸リチウム(LiClO)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiBOB)及びテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)から選ばれる少なくとも1種である。
【0024】
一実施例において、前記リチウム塩はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムである。
【0025】
本開示に係る一実施例において、前記ゲル電解質前駆体は上記リチウム塩を含み、ゲル電解質前駆体内に溶解してリチウムイオンを解離することができ、且つ安定したゲル電解質を形成するのに便利な高い熱安定性を有し、且つ高い導電率を有することにより、リチウムイオン電池は高いレート性能を有する。
【0026】
リチウムイオン電池における電解質の導電は、自由に移動可能なリチウムイオンが必要であり、本開示に係るリチウム塩の役割は、可動性のリチウムイオンを提供することで、現在、リチウム塩を用いてリチウムイオン源を提供するのが一般的な方法である。リチウムイオン源の共通点は、当然リチウムイオンを含み、ゲル電解質前駆体に溶解してリチウムイオンを解離することができることであり、その中で、異なるリチウム塩はその陰イオンのサイズによって選別可能であり、解離度と導電性の両方に違いがあり、且つ本開示におけるリチウム塩は高温安定性を必要とし、上記のリチウム塩はいずれも高温で安定するが、ヘキサフルオロリン酸リチウムは高温で不安定で分解の問題が発生しやすいため、使用を勧めない。
【0027】
一実施例において、ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤及び重合開始剤の質量の合計を100%とし、前記ゲル電解質前駆体は以下の成分を含む。
ゲル骨格モノマー 30~80%
可撓性添加剤 20~60%
重合開始剤 1~10%。
【0028】
本開示に係る一実施例において、前記ゲル前駆体においてゲル骨格モノマー、可撓性添加剤及び重合開始剤の質量の合計を100%とし、ゲル電解質前駆体においてゲル骨格モノマーの質量含有量の百分率は30~80%、例えば、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%又は75%などであり、可撓性添加剤の質量含有量の百分率は20~60%、例えば、25%、30%、35%、40%、45%、50%又は55%などであり、重合開始剤の質量含有量の百分率は1~10%、例えば、2%、3%、5%、7%又は9%などである。
【0029】
一実施例において、前記リチウム塩のモル量と前記ゲル骨格モノマーの体積比は0.1~2mol/L、例えば、0.3mol/L、0.5mol/L、0.8mol/L、1mol/L、1.2mol/L、1.5mol/L又は1.8mol/Lなどである。
【0030】
一実施例において、前記リチウム塩のモル量と前記ゲル骨格モノマーの体積比は0.5~1.5mol/Lである。
【0031】
本開示に係る一実施例において、前記ゲル電解質前駆体の各成分は上記の組成を満たすことで、続いてインサイチュ重合でゲル化し、ベークして弾性多孔質形態を形成することに寄与し、さらに、ゲル電解質前駆体が電池内で電解液を吸収し、新しいゲル電解質を形成し、高い導電率を保証し、電池のレート性能を保証することに寄与し、また、電解液の用量を低減し、裸の電池セルの外部の遊離電解液を低減し、電池の安全性能が向上する。
【0032】
一実施例において、ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤及び重合開始剤の質量の合計を100%とし、前記ゲル電解質前駆体は以下の成分を含む。
ゲル骨格モノマー 50~65%
可撓性添加剤 30~45%
重合開始剤 2~5%。
【0033】
本開示に係る一実施例において、ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤及び重合開始剤の質量の合計を100%とし、ゲル電解質前駆体においてゲル骨格モノマーの質量含有量の百分率は50%~65%、例えば、55%、60%又は65%などであり、可撓性添加剤の質量含有量の百分率は30~45%、例えば、33%、35%、38%、40%、42%又は44%などであり、重合開始剤のモル含有量の百分率は2~5%、例えば、3%、4%などである。
【0034】
本開示は一実施例においてゲル電解質を調製するための溶液を提供し、前記溶液に一実施例に係るゲル電解質前駆体と電解液とを含む。
【0035】
本開示に係る一実施例において、ゲル電解質前駆体を電解液と混合し、ゲル化処理してゲル電解質を得て、ここで電解液の配合比は限定されず、例えば、電解液の溶媒はエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)の混合液(例えば、EC:DMC:EMC=2:4:4)を使用可能であり、ここで、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の含有量は1.15mol/Lであり、7wt%フルオロエチレンカーボネート(FEC)をさらに含む。
【0036】
一実施例において、前記ゲル電解質を調製するための溶液におけるゲル電解質前駆体と電解液の質量比は0.1:9.9~9.9:0.1、例えば、1:9、2:8、3:7、5:5、6:4、7:3、8:2又は9:1などである。
【0037】
一実施例において、前記ゲル電解質を調製するための溶液におけるゲル電解質前駆体と電解液の質量比は4:6~6:4である。
【0038】
一実施例において、前記ゲル電解質を調製するための溶液は次の方法により調製され、前記方法は前記ゲル電解質前駆体を電解液と混合して、前記ゲル電解質を調製するための溶液を得ることを含む。
【0039】
本開示は一実施例においてゲル電解質の調製方法を提供し、前記方法は一実施例に係るゲル電解質を調製するための溶液をインサイチュ重合でゲル化してから、ベークして前記ゲル電解質を得ることを含む。
【0040】
本開示に係る一実施例において、前記ゲル電解質前駆体を電解液と混合してから、インサイチュ重合でゲル化し、ベークした後に弾性多孔質形態のゲル電解質を得ることができ、当該弾性多孔質形態のゲル電解質が電池の内部で電解液を吸収可能であり、これにより電池内の遊離電解液の存在を減らし、電池の安全性を向上させる。
【0041】
一実施例において、前記インサイチュ重合でゲル化する温度は70~75℃、例えば、71℃、72℃、73℃又は74℃などである。
【0042】
一実施例において、前記ベークは真空ベークである。
【0043】
一実施例において、前記真空ベークの真空度≦0.1kPa、例えば、0.01kPa、0.03kPa、0.05kPa又は0.08kPaなどである。
【0044】
一実施例において、前記ベークする温度は80~85℃、例えば、81℃、82℃、83℃又は84℃などである。
【0045】
本開示に係る一実施例において、上記ゲル電解質前駆体を用いて電解液と混合してインサイチュ重合でゲル化してから、ベークして電解液における一部の溶媒を揮発除去し、弾性多孔質形態のゲル電解質を形成し、それにより半固体電池を組み立て、少量の電解液を加えればよい。
【0046】
本開示は一実施例において一実施例に係る方法で調製して得られたゲル電解質を提供し、前記ゲル電解質は多孔質形態である。
【0047】
一実施例において、前記ゲル電解質は弾性多孔質形態である。弾性多孔質形態のゲル電解質は電解液を吸収可能であるため、電池内の遊離電解液の存在を減らすとともに、吸収された電解液が弾性多孔質形態のゲル電解質と新しいゲル電解質を形成し、それは高い導電率を有し、高電解質の導電率を保証し、電池のレート性能及び電気的性能を保証し、且つ電解液の用量を減らし、電池の安全性を向上させる目的を達成する。
【0048】
本開示に係るゲル電解質は電池の正極及び/又は負極に適用可能であり、例えば、正極及び負極はいずれも本開示に係るゲル電解質を使用するか、正極又は負極のいずれか一方は本開示に係るゲル電解質を使用し、他方の極片は他の電解質を使用し、例えば、他方の極片は他のゲル電解質を使用するか、ゲル電解質を加えないか、或いは他のタイプの電解質を使用するなどである。
【0049】
本開示は一実施例においてゲル電解質を含む極片の調製方法を提供し、前記調製方法は一実施例に係るゲル電解質を調製するための溶液を極片に塗工し、インサイチュ重合し、乾燥させ、ゲル電解質を含む極片を得ることを含む。
【0050】
一実施例において、前記極片は正極極片及び/又は負極極片を含む。
【0051】
ここで、極片は製造された正極極片及び/又は負極極片である。
【0052】
本開示に係る一実施例において、ゲル電解質前駆体はいずれのリチウムイオン電池の正負極材料に適用可能であり、例えば、正極活性材料はコバルト酸リチウム(LCO)、ニッケル酸リチウム(LNO)、マンガン酸リチウム(LMO)、ニッケルコバルトマンガン(NCM)又は高ニッケルシステムであってもよく、負極活性材料は人工黒鉛、天然黒鉛、ケイ素酸素、ケイ素炭素又はリチウム金属などのシステムであってもよい。
【0053】
一実施例において、前記塗工の方法は浸漬塗布を含む。
【0054】
一実施例において、前記浸漬塗布の方法は、ゲル電解質を調製するための溶液に前記極片を配置することを含む。
【0055】
本開示に係る一実施例において、前記極片の浸漬塗布の過程で、ゲル電解質を調製するための溶液が封止されたアルミニウムプラスチックフィルムに極片を浸漬塗布し、この過程で、極片は毛細管効果によってゲル電解質前駆体と電解液の混合溶液を完全に吸収し、十分な時間配置をした後、アルミニウムプラスチックフィルムから極片を取り出し、極片の表面を拭き取った後に極片の浸漬塗布を完了し、正極極片と負極極片の浸漬塗布方法は同じである。
【0056】
一実施例において、前記極片は、ゲル電解質を調製するための溶液に垂直に配置される。
【0057】
一実施例において、浸漬塗布を終了した後に、極片の表面を拭き取ることをさらに含む。
【0058】
一実施例において、前記拭き取りは、無塵紙を用いて拭き取る。
【0059】
一実施例において、前記インサイチュ重合の温度は70~75℃、例えば、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃又は75℃などである。
【0060】
本開示に係る一実施例において、前記インサイチュ重合温度を上記範囲内に制御することは、急速なゲル化に寄与し、重合温度が低すぎると、ゲル化過程が長く、扱う時間と扱う能力に影響を及ぼし、重合温度が高すぎると、重合反応が激しすぎ、重合を完全に完了できず、ゲルを形成しない可能性があり、優れたゲルシステムを形成できず、電池の安全性に不利である。
【0061】
ここで正極極片のゲル電解質のインサイチュ重合の条件は異なってもよく、例えば、負極極片のインサイチュ重合条件は75℃で24時間インサイチュ重合することであり、正極極片のインサイチュ重合条件は75℃で17時間インサイチュ重合することである。
【0062】
一実施例において、前記インサイチュ重合を開始する前に浸漬塗布された極片をアルミニウムプラスチックフィルムに配置し、ここでのアルミニウムプラスチックフィルムは清潔なアルミニウムプラスチックフィルムである。
【0063】
一実施例において、前記インサイチュ重合の時間は16~32h、例えば、17h、19h、21h、24h、28h又は30hなどである。
【0064】
一実施例において、前記インサイチュ重合した後に、極片のタブを拭き取ることをさらに含む。
【0065】
一実施例において、前記極片のタブの拭き取りに使用される溶媒はジメチルスルホキシドである。
【0066】
浸漬塗布過程では、前駆体がタブに付着し、その後の半田付け性能に影響を与える可能性があり、ここでインサイチュ重合した後に、上記の溶媒を用いてタブを拭き取り、その後の半田付け品質を保証するのに役立つ。タブに付着しない方法を見つければ、このステップを削除してもよい。
【0067】
一実施例において、前記インサイチュ重合した後に乾燥をさらに含む。
【0068】
一実施例において、前記乾燥の前にインサイチュ重合された極片を無塵紙で包む。
【0069】
正極極片及び負極極片の乾燥過程は、相互汚染を避けるために同一のオーブンで行わず、且つ乾燥完了後に、すぐに使用しなければ、空気中の水分を吸収しないようにアルミニウムプラスチックフィルムを用いて封止する必要がある。
【0070】
一実施例において、前記乾燥は真空乾燥である。
【0071】
一実施例において、前記乾燥の温度は80~85℃、例えば、82℃、84℃又は85℃などである。
【0072】
ここでは、上記の温度下で真空乾燥を行い、電解液における溶媒の一部を除去することにより、弾性多孔質状態のゲル電解質を含む極片を形成し、温度が低すぎると、低沸点成分が完全に揮発せず、多孔質構造をうまく形成できず、その後に電解液を加えた後に、電解液を完全に浸透できず、電池システムの導電率が低く、レート性能に影響を及ぼし、温度が高すぎると、電解質内のリチウム塩の構造が破壊され、電解質の弾性が破壊され、電解質がもろくなり、導電率が低下する。
【0073】
一実施例において、前記方法は、
ゲル電解質を調製するための溶液が封止されたアルミニウムプラスチックフィルムに、極片を20~30時間垂直に配置してから、極片を取り出し、無塵紙を用いて極片の表面を拭き取り、極片の浸漬塗布を完了するステップ(1)と、
ステップ(1)で浸漬塗布された極片をアルミニウムプラスチックフィルムに配置し、それを70~75℃で配置して24時間インサイチュ重合してから、極片を取り出し、ジメチルスルホキシドでタブを拭き取るステップ(2)と、
ステップ(2)でインサイチュ重合された極片を無塵紙で包み、オーブンに入れ、80~85℃で真空乾燥させ、ゲル電解質を含む極片を得るステップ(3)と、を含む。
【0074】
本開示は一実施例において一実施例に係る方法で調製して得られたゲル電解質を含む極片を提供する。
【0075】
本開示は一実施例において半固体電池を提供し、前記半固体電池の正極極片又は負極極片の少なくとも一方は一実施例に係るゲル電解質を含む極片が使用される。
【0076】
一実施例において、前記半固体電池はパウチ型電池、円筒型電池及び角型アルミケース型電池の少なくとも1種を含む。
【0077】
一実施例において、前記半固体電池はパウチ型電池である。
【0078】
一実施例において、前記半固体電池の組み立て方法は積層型及び/又は巻取式を含む。
【0079】
一実施例において、前記半固体電池の製造方法は正極極片、負極極片を巻き取り又は積層の方法で組み立てた後に、液体を注入し、40~50℃静置してから化成し、前記半固体電池を得ることを含み、ここでは液体の注入と化成のフローは限定しない。
【0080】
図面は、本開示の技術案のさらなる理解を提供するために使用され、且つ明細書の一部を構成し、本願の実施例とともに、本開示の技術案を説明するために使用され、本開示の技術案に対する制限を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1図1は本開示の一実施例における正極極片の浸漬塗布過程のプロセスフローである。
図2図2は本開示の一実施例における正極極片を浸漬塗布した後にインサイチュ重合でゲル化するプロセスフローチャートである。
図3図3は本開示の一実施例におけるゲル電解質を含む正極極片表面のSEM+EDX写真である。
図4図4は本開示の一実施例におけるゲル電解質を含む正極極片表面のSEM写真であり、ただし、ボックス領域は領域Aと記し、即ち、下部領域である。
図5図5は本開示の一実施例におけるゲル電解質を含む正極極片表面のSEM写真であり、ただし、ボックス領域は領域Bと記し、即ち、上部領域である。
図6図6は本開示の比較例1における液体NCM-Cr電池のニードリング安全性テストの光学写真である。
図7図7は本開示の一実施例における半固体電池(PVCAゲル状態NCM-Gr電池)のニードリング安全性テストの光学写真である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下、図面を参照しながら、具体的な実施形態によって本開示の技術案をさらに説明する。当業者は、下記実施例は本開示の理解を助けるためのものにすぎず、本開示に対する具体的な制限と見なされるべきではないこと理解すべきである。
【0083】
本開示は一実施例においてゲル電解質を含む正極極片の調製方法を提供し、該方法の調製フロー模式図は図1及び図2に示すように、次のステップを含む。
(a)ゲル電解質前駆体と電解液を調製し、
(b)ゲル電解質前駆体と電解液を混合して混合液を得て、混合液をアルミニウムプラスチックフィルムに配置し、
(c)正極極片をステップ(b)でのアルミニウムプラスチックフィルムに垂直に配置して正極極片の浸漬塗布を行い、
(d)浸漬塗布された正極極片を表面処理し、即ち、無塵紙を用いて正極極片の表面を拭き取り、
(e)ステップ(d)での正極極片を新しいアルミニウムプラスチックフィルムに再配置し、インサイチュ重合を行い(例えば、75℃で24時間インサイチュ重合し)、
(f)インサイチュ重合された正極極片のタブを拭き取り、例えば、まずDMSOを用いてタブを拭き取ってから、乾燥した無塵紙を用いてタブを拭き取り、
(g)ステップ(f)での正極極片を真空乾燥させ、ゲル電解質を含む正極極片を得て、前記ゲル電解質は弾性多孔質状態である。
【0084】
以下は、本開示の典型的であるが非限定的な実施例である。
【0085】
実施例1
本実施例に係るゲル電解質前駆体は、ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤、重合開始剤及びリチウム塩を含む。
ただし、ゲル骨格モノマーはアクリロニトリルモノマーである。
可撓性添加剤はスクシノニトリルである。
重合開始剤は2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)である。
リチウム塩はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムである。
【0086】
ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤及び重合開始剤の質量の合計を100%とし、前記ゲル電解質前駆体は以下の成分を含む。
ゲル骨格モノマー 58%
可撓性添加剤 38%
重合開始剤 4%
前記リチウム塩のモル量と前記ゲル骨格モノマーの体積比は1mol/Lである。
電解液の組成:溶媒は体積比EC:DMC:EMC=2:4:4であり、LiPF含有量は1.15mol/Lであり、7%のFECをさらに含む。
ゲル電解質前駆体と電解液の混合の質量比は1:1である。
正極極片:集電体は12μmのアルミニウム箔であり、正極活性材料はNCM622を使用し、粘着剤はPVDF 5130であり、導電剤はSPである。
負極極片:集電体は8μmの銅箔であり、負極活性材料は人工黒鉛及びハードカーボンの混合物を使用し、導電剤はSPであり、粘着剤はCMC&SBRである。
【0087】
ゲル電解質を含む負極極片の調製方法は次のとおりである。
(1)ゲル電解質を調製するための溶液が封止されたアルミニウムプラスチックフィルムに、調製された負極極片を24時間垂直に配置してから、極片を取り出し、無塵紙を用いて極片の表面を拭き取り、負極極片の浸漬塗布を完了し、
(2)ステップ(1)で浸漬塗布された負極極片を新しいアルミニウムプラスチックフィルムに配置し、75℃で配置して24時間インサイチュ重合してから、極片を取り出し、ジメチルスルホキシドでタブを拭き取り、
(3)ステップ(2)でインサイチュ重合された極片を無塵紙で包み、オーブンに入れ、85℃で24時間真空乾燥させ、ゲル電解質を含む極片を得た。
【0088】
ゲル電解質を含む正極極片の調製方法と負極極片の調製方法の区別は、インサイチュ重合条件を75℃で17時間インサイチュ重合することに変更し、且つ相互汚染を避けるために異なるオーブンを使用することのみにあり、他の条件はすべて同じである。
【0089】
半固体電池の組み立てについて
本実施例では積層の方法で半固体電池を製造し、積層した後に液体を注入し(1.5g/Ah)、45℃で静置して化成し、半固体電池を得て、ポリアクリロニトリル(PAN-SN)ゲル状態NCM-Gr電池と記した。
【0090】
実施例1で得られたゲル電解質を含む負極極片について、ゲル形成の均一性をテストし、テスト方法はSEM+EDXを使用し、LiTFSIにおけるS元素を用いて標定し、その電子顕微鏡写真は図3に示すように、SEM+EDX写真から、S元素が均一に分布し、極片におけるゲルが上から下へ均一に分布するように形成することが分かる。元素の百分率を用いて標定し、図4(下部領域)及び図5(上部領域)に示すように、同一の極片で上下部位置のS元素の含有量はそれぞれ上部:4.1%、下部:4.01%であり、4±0.2%の範囲内にあり、ゲルの形成は非常に均一である。
【0091】
図4の下部領域内の元素分布表を表1に示す。
【表1】
【0092】
図5の上部領域内の元素分布表を下記の表2に示す。
【表2】
【0093】
実施例2
本実施例と実施例1の区別は、ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤及び重合開始剤の質量の合計を100%とし、前記ゲル電解質前駆体は以下の成分を含み、
ゲル骨格モノマー 75%
可撓性添加剤 20%
重合開始剤 5%
前記リチウム塩のモル量と前記ゲル骨格モノマーの体積比は2mol/Lであり、
他のパラメータと条件は実施例1と完全に同じである。
【0094】
実施例3
本実施例と実施例1の区別は、ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤及び重合開始剤の質量の合計を100%とし、前記ゲル電解質前駆体は以下の成分を含み、
ゲル骨格モノマー 30%
可撓性添加剤 60%
重合開始剤 10%
前記リチウム塩のモル量と前記ゲル骨格モノマーの体積比は0.1mol/Lであり、
他のパラメータと条件は実施例1と完全に同じである。
【0095】
実施例4
本実施例と実施例1の区別は、ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤及び重合開始剤の質量の合計を100%とし、前記ゲル電解質前駆体は以下の成分を含み、
ゲル骨格モノマー 65%
可撓性添加剤 30%
重合開始剤 5%
前記リチウム塩のモル量と前記ゲル骨格モノマーの体積比は1.5mol/Lであり、
他のパラメータと条件は実施例1と完全に同じである。
【0096】
実施例5
本実施例と実施例1の区別は、ゲル電解質前駆体と電解液の質量比を1:1から9:1に変更することにあり、他のパラメータと条件は実施例1と比べて完全に同じである。
【0097】
実施例6
本実施例と実施例1の区別は、ゲル電解質前駆体と電解液の質量比を1:1から1:9に変更することにあり、他のパラメータと条件は実施例1と比べて完全に同じである。
【0098】
実施例7
本実施例と実施例1の区別は、可撓性添加剤を等質量のイオン液体に変更し、イオン液体の組成は1-ブチル-1-メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(PP14TFSI)であることにあり、他のパラメータと条件は実施例1と完全に同じである。
【0099】
実施例8
本実施例と実施例1の区別は、前駆体におけるリチウム塩を等モル量の過塩素酸リチウムに変更することにあり、他のパラメータと条件は実施例1と完全に同じである。
【0100】
実施例9
本実施例と実施例1の区別は、前駆体におけるリチウム塩を等モル量のテトラフルオロホウ酸リチウムに変更することにあり、他のパラメータと条件は実施例1と完全に同じである。
【0101】
実施例10
本実施例と実施例1の区別は、ゲル電解質を含む負極極片と正極極片の調製過程で使用する塗布の方法、即ち、浸漬塗布を使用せず、ゲル電解質前駆体と電解液の混合溶液を極片の表面に塗工してから、インサイチュ重合してベークし、ゲル電解質を含む負極極片及び正極極片を得ることのみにあり、他のパラメータと条件は実施例1と完全に同じである。
【0102】
本実施例において使用する塗布の方法でゲル電解質前駆体を正極極片の表面に塗布し、インサイチュ重合した後にSEM+EDXで元素分析による結果は、極片表面のゲル電解質の含有量が非常に高く、極片の底部(集電体側に近く)の電解質含有量約0%であり、浸漬塗布された極片の上部と底部の含有量は非常に不均一であり、完全な浸透の目的が達成されないことを示した。
【0103】
比較例1
本比較例と実施例1の区別は、正極極片及び負極極片にゲル電解質を含まず、製造された正極極片及び負極極片を直接積層してから、液体を注入し(2.65g/Ah)、静置して化成し、液体電池を得て、液体NCM-Gr(正極三元材料、負極黒鉛及びハードカーボン)電池と記すことのみにある。
【0104】
実施例1と比較例1の電池レート性能テストの結果を表3に示す。
【表3】
【0105】
表3から、本開示に係るPAN-SNゲル状態NCM-Gr電池のレート性能は液体電池に近いことが分かった。
【0106】
実施例1及び比較例1での電池の充放電容量及び初回効率のテスト結果を表4に示す。
【表4】
【0107】
表4から、同じシステムでPAN-SN電解質電池を使用すると、充電容量、放電容量、初回効率で従来のNCM-Gr電池との差異が小さいことが分かり、これは、本開示のゲル材料は電池に副作用がないことを示している。
【0108】
比較例1及び実施例1の電池ニードリング安全性テストの光学写真はそれぞれ図6及び図7に示すように、実施例1の半固体電池はニードリングテストに合格できるが、比較例1においてはニードリングで発火し、これにより本開示に係るゲル電解質前駆体を用いて得られた半固体電池はより高い安全性を有することを示した。
【0109】
比較例2
本比較例と実施例1の区別は、ゲル電解質前駆体に可撓性添加剤を含まないことにあり、他のパラメータと条件は実施例1と完全に同じである。
【0110】
比較例3
本比較例と実施例1の区別は、ゲル電解質前駆体にリチウム塩を含まないことにあり、他のパラメータと条件は実施例1と完全に同じである。
【0111】
比較例4
本比較例と実施例1の区別は、実施例1のリチウム塩をLiPFに変更することにあり、他のパラメータと条件は実施例1と完全に同じである。
【0112】
本比較例では、LiPFをゲル電解質前駆体のリチウム塩として用い、75℃でゲル化した後にゲルを完全に形成できず、材料の一部は依然として液体であり、且つ色は暗褐色になった。
【0113】
性能テストについて
実施例及び比較例で得られた電池に対してレート性能、初回効率、サイクル性能及び安全性(ニードリングテスト)のテストを行い、テスト結果を表5に示す。
ただし、レート性能テストの条件は、
a)定電流・定電圧充電:0.33C CC 4h to 4.25V,CV to 0.05C、
b)5分間静置し、
c)定電流放電:0.33C DC to 2.5V、
d)5分間静置し、
e)定電流・定電圧充電:0.33C CC 4h to 4.25V,CV to 0.05C、
f)5分間静置し、
g)定電流放電:1 C DC to 2.5V。
テストして1C/0.33Cのレート性能を得て、他の条件における1C/0.5C、1C/1C、1C/2Cのレート性能のテストのパラメータは上記条件を参照した。
【0114】
初回効率テスト条件について
環境温度は25℃であり、
a)定電流・定電圧充電:0.05C CC 22h to 4.25V,CV to 0.01C、
b)10分間静置し、
c)定電流放電:0.05C DC to 2.5V。
【0115】
サイクル性能テスト条件について
テスト温度は25℃であり、
a)定電流・定電圧充電:1C CC to 4.25V,CV to 0.05C、
b)5分間静置し、
c)定電流放電:1C DC to 2.5V、
d)ステップa)~ステップc)を100回サイクルした。
【0116】
安全性(ニードリングテスト)条件について
GBT31485-2015電気自動車用動力蓄電池の安全要件と試験方法を参照し、ステップは次のとおりである。
a)モノマー電池を充電し、
b)φ6.5mmの耐高温鋼針(針先の円錐角度は50°、針の表面は滑らかで、錆、酸化物層及び油汚れがない)を25mm/sの速度で使用し、蓄電池の極板に垂直な方向から貫通し、貫通位置は刺し面の幾何学的中心に近く、鋼針を電池内に留まり、
c)1時間観察した。
【0117】
上記のテスト結果を表5に示す。
【表5】
【0118】
表5から、本開示に係るゲル電解質前駆体と電解液を混合してインサイチュ重合してゲル化して得られたゲル電解質により組み立て得られた電池の安全性は著しく改善し、且つ得られた半固体電池の電気的性能は液体電池に近いことに達することができ、高い電気的性能を保証するとともに電池の安全性を向上させる効果を取得したことが分かった。
【0119】
実施例1~4を比較すると、本開示に係るゲル電解質前駆体における各成分の含有量は半固体電池の性能に影響し、各成分の含有量は以下の条件を満たすと、得られた半固体電池の電気的性能及び安全性能の改善はより明らかであることが分かった。ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤及び重合開始剤の質量の合計を100%とし、前記ゲル電解質前駆体は以下の成分を含み、ゲル骨格モノマーの質量含有量の百分率は50~65%、可撓性添加剤の質量含有量の百分率は30~45%、重合開始剤の質量含有量の百分率は2~5%である。
【0120】
実施例1、5~6を比較すると、ゲル電解質前駆体と電解液の質量比が0.1:9.9~9.9:1であるとき、すべて高い電気化学的性能及び安全性が得られ、質量比が4:6~6:4であるとき、改善効果はより優れており、質量比が1:1であると、改善効果は最も優れていることが分かった。
【0121】
実施例1、7を比較すると、イオン液体を可撓性添加剤として加えると、得られたゲル電解質前駆体と電解液を混合して得られた半固体電池の性能は液体電池に近いことが分かったが、イオン液体はコストが高いという問題がある。
【0122】
実施例1、8、9を比較すると、本開示のゲル電解質前駆体におけるリチウム塩がビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムを選択すると、半固体電池の性能は過塩素酸リチウム又はホウ酸リチウムを使用するときよりも優れていることが分かった。
【0123】
実施例1、10を比較すると、本開示に係る方法は浸漬塗布を使用し、電池の電気化学的性能及び安全性の向上にさらに寄与することが分かった。
【0124】
実施例1と比較例1を比較すると、本開示に係るゲル電解質前駆体により得られたゲル電解質で組み立てた電池は液体電池に近い電気的性能を達成でき、且つより高い安全性を有することが分かった。
【0125】
比較例2では可撓性添加剤を含まないため、ゲルを形成できず、可撓性添加剤が不足すると、骨格モノマーの重合によって材料結晶化度の増加を引き起こし、材料の粉化と沈殿につながり、比較例3ではリチウム塩を含まず、ゲルを形成できるが、ゲルシステムの導電率が低下し、リチウム塩を加えたものよりも性能が悪くなり、且つ安全性も悪くなった。
【0126】
実施例1及び比較例4を比較すると、前駆体におけるリチウム塩はヘキサフルオロリン酸リチウムを使用すると、ゲルを完全に形成できず、且つ色が黒くなり、安全性が悪いことが分かった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤、重合開始剤及びリチウム塩を含むゲル電解質前駆体であって、前記ゲル骨格モノマーはアクリロニトリル系モノマーを含む、ゲル電解質前駆体。
【請求項2】
前記アクリロニトリル系モノマーは、アクリロニトリル、アリルシアニド、2-ブロモアクリロニトリル、1-シクロヘキセンアセトニトリル、3,3-ジフェニルアクリロニトリル、3-シクロヘキセン-1-カルボニトリル、1-シクロペンテニルアセトニトリル、2-エトキシアクリロニトリル、1,2-ジシアノシクロブテン、シクロビニル-1,2-ジカルボニトリル、ジアミノマレオニトリル、3,3-ジメトキシ-2-アクリロニトリル、エトキシメチレンマロノニトリル、シス-2-tert-ブチル-2-ブテンジニトリル、2,2,3,4,4-ペンタフルオロ-3-ブテンニトリル、1-シアノ-2-プロペニルアセテート及びベンザルマロノニトリルの中の少なくとも1種を含み、
好ましくは、前記ゲル骨格モノマーはアクリロニトリルであり、
好ましくは、前記可撓性添加剤はスクシノニトリル及び/又はイオン液体から選ばれ、
好ましくは、前記イオン液体は、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩、1-ブチル-1-メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-プロピル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート塩の中の少なくとも1種を含み、
好ましくは、前記重合開始剤は、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)及び/又は2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)から選ばれ、
好ましくは、前記重合開始剤は2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)であり、
好ましくは、前記リチウム塩は、過塩素酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム及びテトラフルオロホウ酸リチウムから選ばれる少なくとも1種であり、
好ましくは、前記リチウム塩はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムである請求項1に記載のゲル電解質前駆体。
【請求項3】
ゲル骨格モノマー、可撓性添加剤及び重合開始剤の質量の合計を100%とし、前記ゲル電解質前駆体は以下の成分を含好ましくは前記リチウム塩のモル量と前記ゲル骨格モノマーの体積比は0.1~2mol/Lである請求項に記載のゲル電解質前駆体。
ゲル骨格モノマー 30~80%
可撓性添加剤 20~60%
重合開始剤 1~10%
【請求項4】
請求項に記載のゲル電解質前駆体と電解液とを含むゲル電解質を調製するための溶液であって
好ましくは、ゲル電解質前駆体と電解液の質量比は0.1:9.9~9.9:0.1であり、
好ましくは、ゲル電解質前駆体と電解液の質量比は4:6~6:4であり、
好ましくは、前記ゲル電解質を調製するための溶液は次の方法により調製され、前記方法は前記ゲル電解質前駆体を電解液と混合して、前記ゲル電解質を調製するための溶液を得ることを含む、ゲル電解質を調製するための溶液
【請求項5】
請求項に記載のゲル電解質を調製するための溶液をインサイチュ重合でゲル化してから、ベークして前記ゲル電解質を得ることを含むゲル電解質の調製方法であって
好ましくは、前記インサイチュ重合でゲル化する温度は70~75℃であり、
好ましくは、前記ベークは真空ベークであり、前記真空ベークの真空度≦0.1kPaであり、及び、前記ベークする温度は80~85℃である、ゲル電解質の調製方法
【請求項6】
請求項に記載の方法で調製して得られたゲル電解質であって、
多孔質形態であ好ましくは弾性多孔質形態であるゲル電解質。
【請求項7】
請求項に記載のゲル電解質を調製するための溶液を、極片に塗工し、インサイチュ重合し、乾燥させ、ゲル電解質を含む極片を得ることを含む、ゲル電解質を含む極片の調製方法であって、
好ましくは、前記極片は正極極片及び/又は負極極片を含み、
好ましくは、前記塗工の方法は浸漬塗布を含み、
好ましくは、前記浸漬塗布の方法は、ゲル電解質を調製するための溶液に前記極片を配置することを含み、及び、前記極片は、ゲル電解質を調製するための溶液に垂直に配置され、
好ましくは、前記調製方法は浸漬塗布を終了した後に、極片の表面を拭き取ることをさらに含み、及び、前記拭き取りは、無塵紙を用いて拭き取り、
好ましくは、前記インサイチュ重合の温度は70~75℃であり、及び、前記インサイチュ重合の時間は16~32hであり、
好ましくは、前記調製方法は前記インサイチュ重合した後に、極片のタブを拭き取ることをさらに含み、及び、前記極片のタブの拭き取りに使用される溶媒はジメチルスルホキシドであり、
好ましくは、前記乾燥は真空乾燥であり、及び、前記乾燥の温度は80~85℃である、ゲル電解質を含む極片の調製方法
【請求項8】
ゲル電解質を調製するための溶液が封止されたアルミニウムプラスチックフィルムに、極片を20~30時間垂直に配置してから、極片を取り出し、無塵紙を用いて極片の表面を拭き取り、極片の浸漬塗布を完了するステップ(1)と、
ステップ(1)で浸漬塗布された極片をアルミニウムプラスチックフィルムに配置し、それを70~75℃で配置して24時間インサイチュ重合してから、極片を取り出し、ジメチルスルホキシドでタブを拭き取るステップ(2)と、
ステップ(2)でインサイチュ重合された極片を無塵紙で包み、オーブンに入れ、80~85℃で真空乾燥させ、ゲル電解質を含む極片を得るステップ(3)と、を含む、請求項に記載のゲル電解質を含む極片の調製方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法で調製して得られたゲル電解質を含む極片であって
好ましくは、前記ゲル電解質を含む極片におけるゲル電解質は多孔質形態であり、
好ましくは、前記ゲル電解質を含む極片におけるゲル電解質は弾性多孔質形態である、ゲル電解質を含む極片。
【請求項10】
正極極片又は負極極片の少なくとも一方は、請求項に記載のゲル電解質を含む極片が使用される半固体電池であって、
好ましくは、パウチ型電池、円筒型電池及び角型アルミケース型電池の少なくとも1種を含み、
好ましくは、パウチ型電池である半固体電池
【国際調査報告】