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特表2023-515569癌を治療するためのシクロスポリン類似体の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】癌を治療するためのシクロスポリン類似体の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/13 20060101AFI20230406BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/69 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 38/07 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/27 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 38/06 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61K38/13
A61P43/00 105
A61P35/00
A61K38/12
A61P1/16
A61P35/02
A61K45/00
A61K31/19
A61K31/69
A61K38/07
A61K31/27
A61K31/353
A61K38/06
A61K31/407
A61K31/427
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/50
A61K9/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551278
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 US2021019480
(87)【国際公開番号】W WO2021173723
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/981,383
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521225214
【氏名又は名称】ヘピオン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ウレ ダレン アール
(72)【発明者】
【氏名】トレパニエ ダニエル ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マヨ パトリック アール
(72)【発明者】
【氏名】フォスター ロバート ティー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA24
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA61
4C076BB01
4C076BB11
4C076CC16
4C076CC27
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA09
4C084BA15
4C084BA16
4C084BA18
4C084BA23
4C084BA24
4C084DA11
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA35
4C084MA36
4C084MA37
4C084MA38
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086BC82
4C086CB22
4C086DA43
4C086GA02
4C086GA10
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA35
4C086MA36
4C086MA37
4C086MA38
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZA75
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C206AA01
4C206DA07
4C206JA72
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA33
4C206MA36
4C206MA55
4C206MA56
4C206MA57
4C206MA58
4C206MA61
4C206MA63
4C206MA72
4C206MA75
4C206MA86
4C206NA05
4C206ZA75
4C206ZB21
4C206ZB26
4C206ZB27
(57)【要約】
癌等の増殖性疾患の予防及び治療に使用するのに適した方法、組成物、及びキットを開示する。方法は、それを必要とする対象者に、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む組成物を投与することを含む。組成物及びキットは、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
増殖性疾患を患っている対象者の増殖性疾患を治療する方法であって、前記対象者に、下記式L:
【化1】
(式中:
a. R’は、H又はアセチルであり;
b. R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
c. R2は、下記:
i. H;
ii. 非置換、N置換、又はN,N二置換アミド;
iii. N置換又は非置換アシル保護アミン;
iv. N置換又は非置換アミン;
v. カルボン酸;
vi. ニトリル;
vii. エステル;
viii. ケトン;
ix. ヒドロキシ、ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、又はポリヒドロキシアルキル;及び
x. 置換又は非置換アリール;
xi. 任意に、水素、ケトン、ヒドロキシル、ニトリル、カルボン酸、エステル、1,3-ジオキソラン、ハロゲン、及びオキソから成る群より選択される置換基を含有してよい飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖;
xii. ハロゲン、エステル、及びニトロから成る群より選択される置換基を含有する芳香族基;及び
xiii. (xi)の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖及び(xii)の芳香族基の組み合わせ
から成る群より選択され;及び
d. R23は、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した任意に置換されていてもよい脂肪族炭素鎖である)
のシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
増殖性疾患を患っている対象者の増殖性疾患の1つ以上の症状を軽減するか、又は増殖性疾患の1つ以上の症状の発生を予防若しくは遅延させる方法であって、前記対象者に、下記式L:
【化2】
(式中:
a. R’は、H又はアセチルであり;
b. R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
c. R2は、下記:
i. H;
ii. 非置換、N置換、又はN,N二置換アミド;
iii. N置換又は非置換アシル保護アミン;
iv. N置換又は非置換アミン;
v. カルボン酸;
vi. ニトリル;
vii. エステル;
viii. ケトン;
ix. ヒドロキシ、ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、又はポリヒドロキシアルキル;及び
x. 置換又は非置換アリール;
xi. 任意に、水素、ケトン、ヒドロキシル、ニトリル、カルボン酸、エステル、1,3-ジオキソラン、ハロゲン、及びオキソから成る群より選択される置換基を含有してよい飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖;
xii. ハロゲン、エステル、及びニトロから成る群より選択される置換基を含有する芳香族基;及び
xiii. (xi)の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖及び(xii)の芳香族基の組み合わせ
から成る群より選択され;及び
d. R23は、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した任意に置換されていてもよい脂肪族炭素鎖である)
のシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項3】
前記対象者が、前記増殖性疾患の部分寛解の状態である、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記増殖性疾患を患っている対象者を識別することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
それを必要とする対象者の増殖性疾患を予防する方法であって、前記対象者に、下記式L:
【化3】
(式中:
a. R’は、H又はアセチルであり;
b. R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
c. R2は、下記:
i. H;
ii. 非置換、N置換、又はN,N二置換アミド;
iii. N置換又は非置換アシル保護アミン;
iv. N置換又は非置換アミン;
v. カルボン酸;
vi. ニトリル;
vii. エステル;
viii. ケトン;
ix. ヒドロキシ、ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、又はポリヒドロキシアルキル;及び
x. 置換又は非置換アリール;
xi. 任意に、水素、ケトン、ヒドロキシル、ニトリル、カルボン酸、エステル、1,3-ジオキソラン、ハロゲン、及びオキソから成る群より選択される置換基を含有してよい飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖;
xii. ハロゲン、エステル、及びニトロから成る群より選択される置換基を含有する芳香族基;及び
xiii. (xi)の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖及び(xii)の芳香族基の組み合わせ
から成る群より選択され;及び
d. R23は、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した任意に置換されていてもよい脂肪族炭素鎖である)
のシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項6】
前記それを必要とする対象者が、前記増殖性疾患を発症するリスクがある対象者、又は前記増殖性疾患の完全寛解状態の対象者である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記増殖性疾患を発症するリスクがある対象者を識別することを含む、請求項5~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
式Lの前記シクロスポリン類似体が下記CRV431である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【化4】
【請求項9】
前記増殖性疾患が癌である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記癌が、癌種、扁平上皮癌、腺癌、肉腫、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、卵管癌、原発性腹膜癌、結腸癌、結腸直腸癌、肛門性器部の有棘細胞癌、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺の有棘細胞癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頚部癌、グリオブラストーマ、グリオーマ、頭頚部の有棘細胞癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、肉腫、血液癌、白血病、リンパ腫、神経腫、多発性骨髄腫又はその組み合わせである、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記癌が肝臓癌である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記肝臓癌が原発性肝臓癌又は続発性肝臓癌である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記肝臓癌が、肝細胞癌(HCC)、胆管癌、脈管肉腫、血管肉腫、肝芽腫、血管腫、肝腺腫、限局性結節性過形成、又はその組み合わせである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記増殖性疾患が固形腫瘍であり、場合によっては前記固形腫瘍がニューロブラストーマ、ユーイング肉腫又はウィルムス腫瘍である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記増殖性疾患が液性腫瘍である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が、治療的又は予防的に有効な量の式Lのシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象者が哺乳動物である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象者がヒトである、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が、1種以上の医薬的に許容される賦形剤を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、1種以上の追加治療薬を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象者に1種以上の追加治療薬を投与すること、又は前記対象者に1種以上の癌治療を施すこと、又は両方をさらに含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記1種以上の追加治療薬が、放射線療法薬、抗免疫抑制薬若しくは免疫賦活薬、化学療法薬、又はその組み合わせを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記1種以上の追加治療薬が、抗PD-1薬、抗PD-L1薬、抗CTLA4薬、抗TIM-3薬、抗LAG-3薬、GITR(グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質)刺激薬、抗IDO薬、抗ICOS薬、プロテアソーム阻害薬、抗OX40薬、抗CSF1R薬、ケモカインシグナル伝達薬、サイトカインシグナル刺激薬、又はその組み合わせを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記1種以上の追加治療薬が、ベバシズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、PDR001、REGN2810(SAR-439684)、BGB-A317、BI 754091、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、MEDI0680(AMP-514)、MGA-012、PF-06801591、REGN-2810、TSR-042、アテゾリズマブ、アベルマブ、CX-072、デュルバルマブ、FAZ053、LY3300054、PD-L1ミラモレキュール、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、LY3300054、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、β-ヒドロキシβ-メチルブチラート、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブセレリン、ブスルファン、カンポテシン、カペシタビン、カルフィルゾミブ、カルボプラチン、カルムスチン、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロナート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デランゾミブ、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ジスルフィラム、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピガロカテキン-3-ガラート、エピルビシン、エポキソミシン、エストラジオール、エストラムヌスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、イキサゾミブ、マリゾミブ、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オプロゾミブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロナート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、スラミン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、又はその組み合わせを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記1種以上の癌治療が、手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、又はその組み合わせを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記増殖性疾患が多発性骨髄腫である、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記対象者にプロテアソーム阻害薬、及び式Lのシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を投与することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
式Lの前記シクロスポリン類似体がCRV431である、請求項26~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記プロテアソーム阻害薬が、β-ヒドロキシβ-メチルブチラート、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、デランゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガラート、エポキソミシン、イキサゾミブ、マリゾミブ、又はオプロゾミブである、請求項27~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記1種以上の追加治療薬及び/又は前記1種以上の癌治療の少なくとも1つが、前記対象者に前記組成物と同時投与される、請求項21~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記1種以上の追加治療薬及び/又は前記1種以上の癌治療の少なくとも1つが、前記対象者に前記組成物の投与前、前記組成物の投与後、又は前記組成物の投与前後に投与される、請求項21~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、静脈内投与、経口投与、非経口投与によって前記対象者に投与される、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が、粉末、丸剤、錠剤、マイクロタブレット、ペレット、マイクロペレット、カプセル剤、マイクロタブレット含有カプセル剤、液剤、エアロゾル、又はナノ粒子の形態である、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、前記対象者に、10mg~250mgの、前記シクロスポリン類似体又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体の有効な1日用量で投与される、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
増殖性疾患の予防若しくは治療に使用するため、又は増殖性疾患の1つ以上の症状の軽減のため、又は増殖性疾患の1つ以上の症状の発生の予防若しくは遅延のため、又は増殖性疾患の発生の予防若しくは遅延ための、下記式L:
【化5】
(式中:
a. R’は、H又はアセチルであり;
b. R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
c. R2は、下記:
i. H;
ii. 非置換、N置換、又はN,N二置換アミド;
iii. N置換又は非置換アシル保護アミン;
iv. N置換又は非置換アミン;
v. カルボン酸;
vi. ニトリル;
vii. エステル;
viii. ケトン;
ix. ヒドロキシ、ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、又はポリヒドロキシアルキル;及び
x. 置換又は非置換アリール;
xi. 任意に、水素、ケトン、ヒドロキシル、ニトリル、カルボン酸、エステル、1,3-ジオキソラン、ハロゲン、及びオキソから成る群より選択される置換基を含有してよい飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖;
xii. ハロゲン、エステル、及びニトロから成る群より選択される置換基を含有する芳香族基;及び
xiii. (xi)の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖及び(xii)の芳香族基の組み合わせ
から成る群より選択され;及び
d. R23は、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した任意に置換されていてもよい脂肪族炭素鎖である)
のシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む医薬組成物。
【請求項36】
前記シクロスポリン類似体が下記CRV431である、請求項35に記載の医薬組成物。
【化6】
【請求項37】
前記医薬組成物が、静脈内投与、経口投与、又は非経口投与用である、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記医薬組成物が、粉末、丸剤、錠剤、マイクロタブレット、ペレット、マイクロペレット、カプセル剤、マイクロタブレット含有カプセル剤、液剤、エアロゾル、又はナノ粒子の形態である、請求項35~37のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記増殖性疾患が癌である、請求項35~38のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記癌が、癌種、扁平上皮癌、腺癌、肉腫、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、卵管癌、原発性腹膜癌、結腸癌、結腸直腸癌、肛門性器部の有棘細胞癌、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺の有棘細胞癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頚部癌、グリオブラストーマ、グリオーマ、頭頚部の有棘細胞癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、肉腫、血液癌、白血病、リンパ腫、神経腫、又はその組み合わせである、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記癌が肝臓癌である、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項42】
請求項35~41のいずれか1項に記載の医薬組成物;及び
ラベルを含むキットであって、前記ラベルは、下記:
(a)前記キットが、増殖性疾患の予防若しくは治療用であること、
(b)前記キットが、増殖性疾患の1つ以上の症状の軽減、又は増殖性疾患の1つ以上の症状の発生の予防若しくは遅延用であること、及び
(c)前記キットが、増殖性疾患の発生の予防若しくは遅延用であること
の1つ以上を示している、前記キット。
【請求項43】
前記増殖性疾患を発症するリスクがある対象者を識別するための説明書、前記増殖性疾患を患っている対象者を識別するための説明書、又は両方をさらに含む、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
癌細胞を抗癌薬又は抗癌療法に対して感作させる方法をであって、癌細胞を、下記式L:
【化7】
(式中:
a. R’は、H又はアセチルであり;
b. R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
c. R2は、下記:
i. H;
ii. 非置換、N置換、又はN,N二置換アミド;
iii. N置換又は非置換アシル保護アミン;
iv. N置換又は非置換アミン;
v. カルボン酸;
vi. ニトリル;
vii. エステル;
viii. ケトン;
ix. ヒドロキシ、ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、又はポリヒドロキシアルキル;及び
x. 置換又は非置換アリール;
xi. 任意に、水素、ケトン、ヒドロキシル、ニトリル、カルボン酸、エステル、1,3-ジオキソラン、ハロゲン、及びオキソから成る群より選択される置換基を含有してよい飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖;
xii. ハロゲン、エステル、及びニトロから成る群より選択される置換基を含有する芳香族基;及び
xiii. (xi)の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖及び(xii)の芳香族基の組み合わせ
から成る群より選択され;及び
d. R23は、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した任意に置換されていてもよい脂肪族炭素鎖である)
のシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む組成物と接触させ、それによって前記癌細胞を1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方に対して感作させる、前記方法。
【請求項45】
前記シクロスポリン類似体が下記CRV431である、請求項44に記載の方法。
【化8】
【請求項46】
癌細胞と前記組成物の接触が、in vitro、ex vivo、及び/又はin vivoで起こる、請求項44~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
癌細胞と前記組成物の接触が対象者内である、請求項44~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記対象者が、前記1種以上の抗癌薬のみ、前記1種以上の癌治療のみ、若しくは両方に対して反応しなかったか、又は抵抗性であることが分かっている、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記対象者が、前記1種以上の抗癌薬、前記1種以上の癌治療、又は両方による前治療を受けた、請求項47~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記対象者が哺乳動物であり、場合によっては前記哺乳動物はヒトである、請求項47~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記組成物と接触させた後に、前記癌細胞の前記1種以上の抗癌薬、前記1種以上の癌治療、又は両方に対する感作を判定することを含む、請求項44~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記癌細胞を前記1種以上の抗癌薬、前記1種以上の癌治療、又は両方と接触させることを含む、請求項44~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記癌細胞と前記1種以上の抗癌薬、前記1種以上の癌治療、又は両方との接触が、前記対象者内で起こる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記対象者の前記1種以上の抗癌薬、前記1種以上の癌治療、又は両方に対する反応を判定することを含む、請求項52~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記癌細胞と前記1種以上の抗癌薬、前記1種以上の癌治療、又は両方との接触が、前記癌細胞と前記組成物の接触と同時、又は前記癌細胞と前記組成物の接触後である、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記癌細胞が、癌種、扁平上皮癌、腺癌、肉腫、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、卵管癌、原発性腹膜癌、結腸癌、結腸直腸癌、肛門性器部の有棘細胞癌、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺の有棘細胞癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頚部癌、グリオブラストーマ、グリオーマ、頭頚部の有棘細胞癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、肉腫、血液癌、白血病、リンパ腫、神経腫、多発性骨髄腫、又はその組み合わせの細胞を含む、請求項44~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記癌細胞が、肝臓癌の細胞を含む、請求項44~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記1種以上の抗癌薬が、放射線治療薬、抗免疫抑制薬若しくは免疫賦活薬、化学療法薬、又はその組み合わせを含む、請求項44~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記1種以上の抗癌薬が、抗PD-1薬、抗PD-L1薬、抗CTLA4薬、抗TIM-3薬、抗LAG-3薬、GITR(グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質)刺激薬、抗IDO薬、抗ICOS薬、プロテアソーム阻害薬、抗OX40薬、抗CSF1R薬、ケモカインシグナル伝達薬、サイトカインシグナル刺激薬、又はその組み合わせを含む、請求項44~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記1種以上の抗癌薬が、ベバシズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、PDR001、REGN2810(SAR-439684)、BGB-A317、BI 754091、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、MEDI0680(AMP-514)、MGA-012、PF-06801591、REGN-2810、TSR-042、アテゾリズマブ、アベルマブ、CX-072、デュルバルマブ、FAZ053、LY3300054、PD-L1ミラモレキュール、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、LY3300054、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、β-ヒドロキシβ-メチルブチラート、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブセレリン、ブスルファン、カンポテシン、カペシタビン、カルフィルゾミブ、カルボプラチン、カルムスチン、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロナート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デランゾミブ、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ジスルフィラム、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピガロカテキン-3-ガラート、エピルビシン、エポキソミシン、エストラジオール、エストラムヌスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、イキサゾミブ、マリゾミブ、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オプロゾミブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロナート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、スラミン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、又はその組み合わせを含む、請求項44~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記1種以上の癌治療が、手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、又はその組み合わせを含む、請求項44~57のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照することによりその内容全体を本明細書に援用する2020年2月25日に出願された米国仮特許出願第62/981,383号に対する優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
分野
本開示は、一般的に分子生物学及び医学の分野に関する。一態様は、シクロフィリン阻害薬で癌を予防及び治療することに関する。
【0003】
関連技術の説明
癌は、世界的に依然として死亡の主因の1つのままである。種々の癌について治療選択肢が利用可能であるが、癌の予防及び治療に有効な治療薬を見出す必要がある。
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書の開示は、増殖性疾患を患っている対象者(被験者ともいう)の増殖性疾患を治療する方法を包含する。本方法は、例えば、下記式Lのシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む組成物を対象者に投与することを含み得る。
【0005】
【化1】
【0006】
式中:
a. R’は、H又はアセチルであり;
b. R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
c. R2は、下記:
i. H;
ii. 非置換、N置換、又はN,N二置換アミド;
iii. N置換又は非置換アシル保護アミン;
iv. N置換又は非置換アミン;
v. カルボン酸;
vi. ニトリル;
vii. エステル;
viii. ケトン;
ix. ヒドロキシ、ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、又はポリヒドロキシアルキル;及び
x. 置換又は非置換アリール;
xi. 任意に、水素、ケトン、ヒドロキシル、ニトリル、カルボン酸、エステル、1,3-ジオキソラン、ハロゲン、及びオキソから成る群より選択される置換基を含有してよい飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖;
xii. ハロゲン、エステル、及びニトロから成る群より選択される置換基を含有する芳香族基;及び
xiii. (xi)の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖及び(xii)の芳香族基の組み合わせ
から成る群より選択され;及び
d. R23は、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した任意に置換されていてもよい脂肪族炭素鎖である。
【0007】
本明細書の開示は、増殖性疾患を患っている対象者において、増殖性疾患の1つ以上の症状を軽減するか、又は増殖性疾患の1つ以上の症状の発生を予防するか若しくは遅延させる方法であって、下記式Lのシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む組成物を対象者に投与することを含む方法をも包含する。
【0008】
【化2】
【0009】
式中:
a. R’は、H又はアセチルであり;
b. R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
c. R2は、下記:
i. H;
ii. 非置換、N置換、又はN,N二置換アミド;
iii. N置換又は非置換アシル保護アミン;
iv. N置換又は非置換アミン;
v. カルボン酸;
vi. ニトリル;
vii. エステル;
viii. ケトン;
ix. ヒドロキシ、ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、又はポリヒドロキシアルキル;及び
x. 置換又は非置換アリール;
xi. 任意に、水素、ケトン、ヒドロキシル、ニトリル、カルボン酸、エステル、1,3-ジオキソラン、ハロゲン、及びオキソから成る群より選択される置換基を含有してよい飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖;
xii. ハロゲン、エステル、及びニトロから成る群より選択される置換基を含有する芳香族基;及び
xiii. (xi)の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖及び(xii)の芳香族基の組み合わせ
から成る群より選択され;及び
d. R23は、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した任意に置換されていてもよい脂肪族炭素鎖である。
【0010】
対象者は、増殖性疾患の部分寛解状態であり得る。一部の実施形態では、方法は、増殖性疾患を患っている対象者を識別することを含む。
本明細書の開示は、それを必要とする対象者の増殖性疾患を予防する方法であって、下記式Lのシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む組成物を対象者に投与することを含む方法を包含する。
【0011】
【化3】
【0012】
式中:
a. R’は、H又はアセチルであり;
b. R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
c. R2は、下記:
i. H;
ii. 非置換、N置換、又はN,N二置換アミド;
iii. N置換又は非置換アシル保護アミン;
iv. N置換又は非置換アミン;
v. カルボン酸;
vi. ニトリル;
vii. エステル;
viii. ケトン;
ix. ヒドロキシ、ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、又はポリヒドロキシアルキル;及び
x. 置換又は非置換アリール;
xi. 任意に、水素、ケトン、ヒドロキシル、ニトリル、カルボン酸、エステル、1,3-ジオキソラン、ハロゲン、及びオキソから成る群より選択される置換基を含有してよい飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖;
xii. ハロゲン、エステル、及びニトロから成る群より選択される置換基を含有する芳香族基;及び
xiii. (xi)の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖及び(xii)の芳香族基の組み合わせ
から成る群より選択され;及び
d. R23は、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した任意に置換されていてもよい脂肪族炭素鎖である。
【0013】
それを必要とする対象者は、増殖性疾患を発症するリスクがある対象者、又は増殖性疾患の完全寛解状態の対象者であり得る。方法は、例えば、増殖性疾患を発症するリスクがある対象者を識別することを含み得る。
一部の実施形態では、式Lのシクロスポリン類似体は下記CRV431である。
【0014】
【化4】
【0015】
増殖性疾患は、例えば、癌であり得る。癌の非限定例としては、癌腫、扁平上皮癌、腺癌、肉腫(sarcomata)、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、卵管癌、原発性腹膜癌、結腸癌、結腸直腸癌、肛門性器部の有棘細胞癌、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺の有棘細胞癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頚部癌、グリオブラストーマ、グリオーマ、頭頚部の有棘細胞癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、肉腫、血液癌、白血病、リンパ腫、神経腫、多発性骨髄腫、及びその任意の組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、癌は、肝臓癌、例えば原発性肝臓癌又は続発性肝臓癌である。一部の実施形態では、肝臓癌は、肝細胞癌(HCC)、胆管癌、脈管肉腫、血管肉腫、肝芽腫、血管腫、肝腺腫、限局性結節性過形成、又はその組み合わせである。
増殖性疾患は、固形腫瘍(限定するものではないが、ニューロブラストーマ、ユーイング肉腫又はウィルムス腫瘍を含めて)、又は液性腫瘍であり得る。
【0016】
一部の実施形態では、組成物は、治療的又は予防的に有効な量の式Lのシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む。対象者は、哺乳動物、例えばヒトであり得る。組成物は、1種位以上の医薬的に許容される賦形剤を含み得る。
組成物は、1種以上の追加治療薬を含む。一部の実施形態では、方法は、対象者に1種以上の追加治療薬を投与すること、対象者に1種以上の癌治療を施すこと、又は両方をさらに含む。
1種以上の追加治療薬は、例えば、放射線治療薬、抗免疫抑制薬若しくは免疫賦活薬、化学療法薬、又はその組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、1種以上の追加治療薬は、抗PD-1薬、抗PD-L1薬、抗CTLA4薬、抗TIM-3薬、抗LAG-3薬、GITR(グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質)刺激薬、抗IDO薬、抗ICOS薬、プロテアソーム阻害薬、抗OX40薬、抗CSF1R薬、ケモカインシグナル伝達薬、サイトカインシグナル刺激薬、又はその組み合わせを含む。一部の実施形態では、1種以上の追加治療薬は、ベバシズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、PDR001、REGN2810(SAR-439684)、BGB-A317、BI 754091、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、MEDI0680(AMP-514)、MGA-012、PF-06801591、REGN-2810、TSR-042、アテゾリズマブ、アベルマブ、CX-072、デュルバルマブ、FAZ053、LY3300054、PD-L1ミラモレキュール(millamolecule)、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、LY3300054、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、β-ヒドロキシβ-メチルブチラート、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブセレリン、ブスルファン、カンポテシン、カペシタビン、カルフィルゾミブ、カルボプラチン、カルムスチン、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロナート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デランゾミブ、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ジスルフィラム、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピガロカテキン-3-ガラート、エピルビシン、エポキソミシン、エストラジオール、エストラムヌスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、イキサゾミブ、マリゾミブ、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オプロゾミブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロナート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、スラミン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、又はその組み合わせを含む。
【0017】
1種以上の癌治療は、例えば、手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、又はその組み合わせを含み得る。
一部の実施形態では、増殖性疾患は、多発性骨髄腫である。一部の実施形態では、方法は、対象者にプロテアソーム阻害薬、及び式Lのシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を投与することを含む。式Lのシクロスポリン類似体は、CRV431であり得る。一部の実施形態では、プロテアソーム阻害薬は、β-ヒドロキシβ-メチルブチラート、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、デランゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガラート、エポキソミシン、イキサゾミブ、マリゾミブ、又はオプロゾミブである。
【0018】
一部の実施形態では、1種以上の追加治療薬及び/又は1種以上の癌治療の少なくとも1つは、対象者に組成物と同時投与される。一部の実施形態では、1種以上の追加治療薬及び/又は1種以上の癌治療の少なくとも1つは、対象者に組成物の投与前、組成物の投与後、又は組成物の投与前後に投与される。組成物は、例えば、静脈内投与、経口投与、非経口投与によって対象者に投与可能である。組成物は、例えば、粉末、丸剤、錠剤、マイクロタブレット、ペレット、マイクロペレット、カプセル剤、マイクロタブレット含有カプセル剤、液剤、エアロゾル、又はナノ粒子の形態であり得る。一部の実施形態では、組成物は、対象者に10mg~250mgの、シクロスポリン類似体又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体の有効な1日用量で投与される。
本明細書の開示は、増殖性疾患の予防若しくは治療に使用するため、又は増殖性疾患の1つ以上の症状の軽減のため、又は増殖性疾患の1つ以上の症状の発生の予防若しくは遅延のため、又は増殖性疾患の発生の予防若しくは遅延ための、下記式Lのシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む医薬組成物をも包含する。
【0019】
【化5】
【0020】
式中:
a. R’は、H又はアセチルであり;
b. R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
c. R2は、下記:
i. H;
ii. 非置換、N置換、又はN,N二置換アミド;
iii. N置換又は非置換アシル保護アミン;
iv. N置換又は非置換アミン;
v. カルボン酸;
vi. ニトリル;
vii. エステル;
viii. ケトン;
ix. ヒドロキシ、ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、又はポリヒドロキシアルキル;及び
x. 置換又は非置換アリール;
xi. 任意に、水素、ケトン、ヒドロキシル、ニトリル、カルボン酸、エステル、1,3-ジオキソラン、ハロゲン、及びオキソから成る群より選択される置換基を含有してよい飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖;
xii. ハロゲン、エステル、及びニトロから成る群より選択される置換基を含有する芳香族基;及び
xiii. (xi)の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖及び(xii)の芳香族基の組み合わせ
から成る群より選択され;及び
d. R23は、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した任意に置換されていてもよい脂肪族炭素鎖である。
一部の実施形態では、シクロスポリン類似体は、下記CRV431である。
【0021】
【化6】
【0022】
医薬組成物は、例えば、静脈内投与、経口投与、又は非経口投与用であり得る。医薬組成物は、例えば、粉末、丸剤、錠剤、マイクロタブレット、ペレット、マイクロペレット、カプセル剤、マイクロタブレット含有カプセル剤、液剤、エアロゾル、又はナノ粒子の形態であり得る。一部の実施形態では、増殖性疾患は癌であり、限定するものではないが、扁平上皮癌、腺癌、肉腫(sarcomata)、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、卵管癌、原発性腹膜癌、結腸癌、結腸直腸癌、肛門性器部の有棘細胞癌、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺の有棘細胞癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頚部癌、グリオブラストーマ、グリオーマ、頭頚部の有棘細胞癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、肉腫、血液癌、白血病、リンパ腫、神経腫、又はその組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、癌は肝臓癌である。
【0023】
本明細書の開示は、本明細書で開示する医薬組成物のいずれか1つ;及びラベルを含むキットであって、ラベルは、下記:(a)キットが、増殖性疾患の予防若しくは治療用であること、(b)キットが、増殖性疾患の1つ以上の症状の軽減、又は増殖性疾患の1つ以上の症状の発生の予防若しくは遅延用であること、及び(c)キットが、増殖性疾患の発生の予防若しくは遅延用であることの1つ以上を示している、キットを包含する。一部の実施形態では、キットは、増殖性疾患を発症するリスクがある対象者を識別するための説明書、増殖性疾患を患っている対象者を識別するための説明書、又は両方をさらに含む。
本明細書の開示は、癌細胞を抗癌薬又は抗癌療法に対して感作させる方法を包含する。この方法は、例えば、癌細胞を、下記式Lのシクロスポリン類似、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む組成物と接触させ、それによって癌細胞を1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方に対して感作させることを含み得る。
【0024】
【化7】
【0025】
式中:
a. R’は、H又はアセチルであり;
b. R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
c. R2は、下記:
i. H;
ii. 非置換、N置換、又はN,N二置換アミド;
iii. N置換又は非置換アシル保護アミン;
iv. N置換又は非置換アミン;
v. カルボン酸;
vi. ニトリル;
vii. エステル;
viii. ケトン;
ix. ヒドロキシ、ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、又はポリヒドロキシアルキル;及び
x. 置換又は非置換アリール;
xi. 任意に、水素、ケトン、ヒドロキシル、ニトリル、カルボン酸、エステル、1,3-ジオキソラン、ハロゲン、及びオキソから成る群より選択される置換基を含有してよい飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖;
xii. ハロゲン、エステル、及びニトロから成る群より選択される置換基を含有する芳香族基;及び
xiii. (xi)の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖及び(xii)の芳香族基の組み合わせ
から成る群より選択され;及び
d. R23は、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した任意に置換されていてもよい脂肪族炭素鎖である。
一部の実施形態では、シクロスポリン類似体は、下記CRV431である。
【0026】
【化8】
【0027】
一部の実施形態では、癌細胞と組成物の接触は、in vitro、ex vivo、及び/又はin vivoで起こる。一部の実施形態では、癌細胞と組成物の接触は対象者内である。一部の実施形態では、対象者は、1種以上の抗癌薬のみ、1種以上の癌治療のみ、若しくは両方に対して反応しなかったか、又は抵抗性であることが分かっている。一部の実施形態では、対象者は、1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方による前治療を受けた。対象者は、哺乳動物、例えばヒトであり得る。
一部の実施形態では、方法は、組成物と接触させた後に、癌細胞の1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方に対する感作を判定することを含む。一部の実施形態では、方法は、癌細胞を1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方と接触させることを含む。一部の実施形態では、癌細胞と1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方との接触は、対象者内で起こる。一部の実施形態では、方法は、対象者の1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方に対する反応を判定することを含む。一部の実施形態では、癌細胞と1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方との接触は、癌細胞と組成物の接触と同時、又は癌細胞と組成物の接触後である。
【0028】
癌細胞は、例えば、癌種、扁平上皮癌、腺癌、肉腫(sarcomata)、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、卵管癌、原発性腹膜癌、結腸癌、結腸直腸癌、肛門性器部の有棘細胞癌、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺の有棘細胞癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頚部癌、グリオブラストーマ、グリオーマ、頭頚部の有棘細胞癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、肉腫、血液癌、白血病、リンパ腫、神経腫、多発性骨髄腫、又はその組み合わせの細胞であり得る。一部の実施形態では、癌細胞は、肝臓癌の細胞を含む。一部の実施形態では、1種以上の抗癌薬は、放射線治療薬、抗免疫抑制薬若しくは免疫賦活薬、化学療法薬、又はその組み合わせを含む。一部の実施形態では、1種以上の抗癌薬は、抗PD-1薬、抗PD-L1薬、抗CTLA4薬、抗TIM-3薬、抗LAG-3薬、GITR(グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質)刺激薬、抗IDO薬、抗ICOS薬、プロテアソーム阻害薬、抗OX40薬、抗CSF1R薬、ケモカインシグナル伝達薬、サイトカインシグナル刺激薬、又はその組み合わせを含む。一部の実施形態では、1種以上の抗癌薬は、ベバシズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、PDR001、REGN2810(SAR-439684)、BGB-A317、BI 754091、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、MEDI0680(AMP-514)、MGA-012、PF-06801591、REGN-2810、TSR-042、アテゾリズマブ、アベルマブ、CX-072、デュルバルマブ、FAZ053、LY3300054、PD-L1ミラモレキュール(millamolecule)、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、LY3300054、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、β-ヒドロキシβ-メチルブチラート、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブセレリン、ブスルファン、カンポテシン、カペシタビン、カルフィルゾミブ、カルボプラチン、カルムスチン、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロナート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デランゾミブ、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ジスルフィラム、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピガロカテキン-3-ガラート、エピルビシン、エポキソミシン、エストラジオール、エストラムヌスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、イキサゾミブ、マリゾミブ、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オプロゾミブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロナート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、スラミン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、又はその組み合わせを含む。
一部の実施形態では、1種以上の癌治療は、手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、又はその組み合わせを含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】ヒト精密切断肝薄片(PCLS)におけるCRV431の抗線維化活性を示すプロットである。
図1B】ヒト精密切断肝薄片(PCLS)におけるCRV431の抗線維化活性を示すプロットである。
図1C】ヒト精密切断肝薄片(PCLS)におけるCRV431の抗線維化活性を示すプロットである。
図2A】TGFb/PDGF+CRV431対TGFb/PDGF+ビヒクルを群別に比較するためのサンプル及びドナーの分布を示すPCAプロットである。
図2B】TGFb/PDGF+CRV431対TGFb/PDGF+ビヒクルを群別に比較するためのサンプル及びドナーの分布を示すPCAプロットである。
図2C】TGFb/PDGF+CRV431対TGFb/PDGF+ビヒクルを群別に比較するためのMAプロットである。
図3A】TGFb/PDGF+CRV431対TGFb/PDGF+ビヒクルを群別に比較するために生成したヒートマップである。
図3B】TGFb/PDGF+CRV431対TGFb/PDGF+ビヒクルを群別に比較するために生成したヒートマップである。
図4】TGFb/PDGF+CRV431対TGFb/PDGF+ビヒクルの群別比較において同定された有意な異なって発現された遺伝子を示すボルケーノプロット(volcano plot)である。
図5A】全3名のドナー間の有意な遺伝子オーバーラップを示すベン図である。
図5B】全3名のドナー間の有意な遺伝子オーバーラップを示すベン図である。
図6A】非刺激+CRV431対非刺激+ビヒクルを群別に比較するためのサンプル及びドナーの分布を示すPCAプロットである。
図6B】非刺激+CRV431対非刺激+ビヒクルを群別に比較するためのサンプル及びドナーの分布を示すPCAプロットである。
図6C】非刺激+CRV431対非刺激+ビヒクルを群別に比較するためのMAプロットである。
図7A】非刺激+CRV431対非刺激+ビヒクルを群別に比較するために生成したヒートマップである。
図7B】非刺激+CRV431対非刺激+ビヒクルを群別に比較するために生成したヒートマップである。
図8】非刺激+CRV431対非刺激+ビヒクルの群別比較において同定された有意な異なって発現された遺伝子を示すボルケーノプロットである。
図9A】非刺激+CRV431対非刺激+ビヒクルをドナー別に比較するために全3名のドナー間の有意な遺伝子オーバーラップを示すベン図である。
図9B】非刺激+CRV431対非刺激+ビヒクルをドナー別に比較するために全3名のドナー間の有意な遺伝子オーバーラップを示すベン図である。
図10A】HepG2肝細胞癌細胞のダウノルビシンに対するCRV431感作を示すプロットである。
図10B】HepG2肝細胞癌細胞のダウノルビシンに対するCRV431感作を示すプロットである。
図10C】HepG2肝細胞癌細胞のダウノルビシンに対するCRV431感作を示すプロットである。
図10D】Huh7肝細胞癌細胞のダウノルビシンに対するCRV431感作を示すプロットである。
図10E】Huh7肝細胞癌細胞のダウノルビシンに対するCRV431感作を示すプロットである。
図10F】Huh7肝細胞癌細胞のダウノルビシンに対するCRV431感作を示すプロットである。
図11A】腫瘍数によって評価した治療最後の腫瘍負荷(tumor burden)を示す。
図11B】腫瘍数及び腫瘍サイズ(0~7の尺度)に基づくコンポジットスコアを示す。
図12A】腫瘍数によって評価した治療最後の腫瘍負荷を示す。
図12B】腫瘍数及び腫瘍サイズ(0~7の尺度)に基づくコンポジットスコアを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
下記詳細な説明では、その一部を形成する添付図面を参照する。図面中、類似記号は、文脈上他の意味に解すべき場合を除いて、典型的に類似成分と同一視する。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載の例示実施形態は、限定することを意味しない。他の実施形態を利用してよく、かつ本明細書で提示する主題の精神又は範囲を逸脱しなければ、他の変更を加えてよい。本開示の態様は、本明細書に一般的に述べ、図に示すように、種々多様の異なる構成で配置し、置換し、組み合わせ、分離し、及び設計することができ、これらの全ては、本明細書で明示的に企図され、本明細書の開示の一部を形成することは容易に分かるであろう。
本明細書で参照した全ての特許、公開特許出願、他の公表文献、及びGenBankからの配列、並びに他のデータベースは、参照することにより関連技術についてそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で用いる技術及び科学用語は、本開示が属する当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。例えば、Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 1994);Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press (Cold Spring Harbor, NY 1989)を参照されたい。本開示の目的のため、下記用語を以下に定義する。
本明細書で使用する場合、「対象者」は治療、観察又は実験の対象である動物を指す。「動物」には、冷血及び温血脊椎動物並びに無脊椎動物、例えば魚類、甲殻類、爬虫類、特に哺乳類が含まれる。哺乳類には、限定するものではないが、マウス;ラット;ウサギ;モルモット;イヌ;ネコ;ヒツジ;ヤギ;ウシ;ウマ;霊長類、例えばサル、チンパンジー、及び類人猿、特に、ヒトが含まれる。
本明細書で使用する場合、「患者」は、特定の疾患若しくは障害を治そうと、又はその影響を少なくとも緩和しようと、又は第一に疾患若しくは障害が発生しないように予防しようと試みるために、医療従事者、例えば医学博士(すなわち、アロパシー医学の医師又はオステオパシー医学の医師)又は獣医学の医師によって治療される対象者を指す。
【0032】
本明細書で使用する場合、「投与」又は「投与すること」は、ある投薬量の医薬的に活性な成分を脊椎動物に与える方法を指す。投与は、例えば、経口投与、坐剤としての投与、局所接触、静脈内、腹腔内、筋肉内、病巣内、鼻腔内若しくは皮下投与、又は対象者への徐放デバイス、例えば、ミニ浸透圧ポンプの移植であり得る。投与は、いずれの適切な経路によってもよく、非経口及び経粘膜(例えば、バッカル、舌下、口蓋、歯肉、鼻、腟、直腸、又は経皮)が含まれる。非経口投与としては、例えば、静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、及び頭蓋内が挙げられる。本明細書で開示する医薬組成物及び治療物質の他の送達モードには、限定するものではないが、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮パッチ、又はその組み合わせの使用が含まれる。
【0033】
本明細書で使用する場合、「投薬量」は、活性成分(例えば、CRV431を含めたシクロスポリン類似体)の合計量を指す。
本明細書で使用する場合、「単位投薬量」は、単一用量で患者に投与される治療薬の量を指す。
本明細書で使用する場合、「1日投薬量」は、1日に患者に投与される治療薬の総量を指す。
本明細書で使用する場合、「治療的に有効な量」又は「医薬的に有効な量」は、治療効果がある治療薬の量を意味する。単独又は1種以上の追加治療薬と組み合わせて投与されると治療に役立つ医薬的に活性な成分の投薬量は、治療的に有効な量である。従って、本明細書で使用する場合、治療的に有効な量は、臨床試験結果及び/又はモデル動物研究によって判断される所望の治療効果を生じさせる治療薬の量を意味する。
【0034】
本明細書で使用する場合、用語「治療する」、「治療」、又は「治療すること」は、予防及び/又は治療目的で治療薬又は医薬組成物を対象者に投与することを指す。用語「予防的治療」は、まだ疾患若しくは病気の症状を示さないが、特定の疾患若しくは病気になりやすいか、又はそうでなくてもそのリスクがある対象者を治療することを指し、この治療は、患者が疾患若しくは病気を発症する可能性を減じる。用語「治療的治療」は、既に疾患又は病気を患っている対象者に治療を施すことを指す。本明細書で使用する場合、用語「治療効果」は、疾患又は障害の症状の1つ以上をある程度軽減する。例えば、治療効果は、対象者によって伝えられる主観的不快感の減少(例えば、自己投与患者の質問票に記述される不快感の減少)によって観察され得る。
本明細書で使用する場合、用語「予防(「prophylaxis」又は「prevention」)」は、臨床的疾患状態の発生の確率を減じるための、対象者、例えば哺乳動物(ヒトを含む)の無症状の疾患状態の予防的治療を指す。対象者は、母集団に比べて臨床的疾患状態を患うリスクを高めることが分かっている要因に基づく予防療法に合わせて選択される。「予防」療法は、(a)一次予防及び(b)二次予防に分類することができる。一次予防は、まだ臨床的疾患状態を呈していない対象者の治療と定義され、一方で二次予防は、同一又は類似の臨床的疾患状態の二次発生を予防することと定義される。
【0035】
本明細書で使用する場合、「製剤される」又は「製剤」は、1種以上の医薬的に活性な成分を含め、異なる化学物質を組み合わせて剤形を作り出すプロセス指す。一部の実施形態では、2種以上の医薬的に活性な成分を同時に製剤して単一剤形又は混合投薬単位にすることができ、或いは別々に製剤し、その後に組み合わせて混合投薬単位にすることができる。持続放出製剤は、長期間にわったって体内に治療薬をゆっくり放出するようにデザインされる製剤であり、一方で即時放出製剤は、短期間で体内に治療薬を迅速に放出するようにデザインされる製剤である。
本明細書で使用する場合、用語「水和物」は、水分子と溶質の分子若しくはイオンとの組み合わせによって形成される複合体を指す。本明細書で使用する場合、用語「溶媒和物」は、溶媒分子と溶質の分子若しくはイオンとの組み合わせによって形成される複合体を指す。溶媒は、有機化合物、無機化合物、又は両方の混合物であり得る。溶媒和物は、水和物、半水和物、チャネル水和物等を含むことになる。溶媒のいくつかの例としては、限定するものではないが、メタノール、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、及び水が挙げられる。
【0036】
疾患
本明細書で開示する方法、組成物及びキットを用いて、癌等の増殖性疾患を治療し、予防し、その発生を遅延させ、及び/又はその進行を遅くすることができる。増殖性疾患の1つ以上の症状を軽減し、予防し、及び/又はその発生を遅延させるための方法、組成物及びキットをも提供する。
本明細書に記載するように、増殖性疾患は、例えば、過剰増殖性疾患であり得る。一部の実施形態では、増殖性疾患は癌である。癌は、制御されない方法で増殖し、場合によっては、転移する(広がる)傾向がある細胞の異常な成長である。癌は、体のいずれの組織をも巻き込む可能性があり、各体部に多くの異なる形態がある。腫瘍は癌性又は良性であり得る。良性腫瘍は、腫瘍が成長するが、広がらないことを意味する。癌性腫瘍は悪性であり、それが成長して体の他の部分に広がる可能性があることを意味する。癌が広がる(転移する)と、新しい腫瘍は、最初の(原発性)腫瘍と同じ名称を有する。一部の実施形態では、本明細書で開示する方法、組成物及びキットを用いて、原発性癌及び/又は続発性癌の1つ以上の症状を治療し、予防し、その発生を遅延させ、その進行を遅くし、及び/又は軽減する。
【0037】
本明細書で開示する方法、組成物及びキットは、限定するものではないが、黒色腫(例えば、転移性悪性黒色腫)、腎臓癌(例えば、明細胞癌)、前立腺癌(例えば、ホルモン不応性前立腺癌)、膵臓腺癌、乳癌、結腸癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)及び小細胞肺癌(SCLC))、食道癌、頭頚部の有棘細胞癌、肝臓癌、卵巣癌、子宮頚癌、甲状腺癌、グリオブラストーマ、グリオーマ、白血病、リンパ腫、及び他の悪性腫瘍が含まれる種々のタイプの癌に使用することができる。さらに、本明細書で提示する疾患又は状態には、その成長を本明細書で開示する方法及び組成物を用いて抑制し得る難治性又は再発性腫瘍が含まれる。一部の実施形態では、癌は、癌腫、扁平上皮癌、腺癌、肉腫(sarcomata)、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、卵管癌、原発性腹膜癌、結腸癌、結腸直腸癌、肛門性器部の有棘細胞癌、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺の有棘細胞癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頚部癌、グリオブラストーマ、グリオーマ、頭頚部の有棘細胞癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、肉腫、血液癌、白血病、リンパ腫、神経腫、又はその組み合わせである。一部の実施形態では、癌は、癌腫、扁平上皮癌(例えば、頚管、眼瞼、結膜、膣、肺、口腔、皮膚、膀胱、舌、喉頭、及び食道)、及び腺癌(例えば、前立腺、小腸、子宮内膜、頚管、大腸、肺、膵臓、食道、直腸、子宮、胃、乳腺、及び卵巣)である。一部の実施形態では、癌は、肉腫(例えば、筋原性肉腫)、白血症、神経腫、黒色腫、及びリンパ腫である。一部の実施形態では、癌は、肝臓癌、例えば、原発性肝臓癌及び続発性肝臓癌である。肝臓癌の非限定例としては、肝細胞癌(HCC)、胆管癌、脈管肉腫、血管肉腫、肝芽腫、血管腫、肝腺腫、限局性結節性過形成、及びその任意の組み合わせが挙げられる。
【0038】
癌は、固形腫瘍、液性腫瘍、又はその組み合わせであり得る。一部の実施形態では、癌は、限定するものではないが、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頚癌、結腸癌、胆嚢癌、喉頭癌、肝臓癌、甲状腺癌、胃癌、唾液腺癌、前立腺癌、膵臓癌、メルケル細胞癌、脳及び中枢神経系の癌、並びにその任意の組み合わせを含めた固形腫瘍である。一部の実施形態では、癌は液性腫瘍である。一部の実施形態では、癌は血液癌である。血液癌の非限定例としては、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(「DLBCL」)、ホジキンリンパ腫(「HL」)、非ホジキンリンパ腫(「NHL」)、濾胞性リンパ腫(「FL」)、急性骨髄性白血病(「AML」)、及び多発性骨髄腫(「MM」)が挙げられる。
【0039】
本明細書で開示する方法、組成物及びキットを用いて予防及び/又は治療できる癌の非限定例としては、腎臓癌;肝臓癌;多形性グリオブラストーマ;転移性乳癌;乳癌;乳房肉腫;神経線維腫;神経線維腫症;小児腫瘍;神経芽腫;悪性黒色腫;表皮の癌種;白血病、例えば、限定するものではないが、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、例えば骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤芽球性白血病及び骨髄異形成症候群(myclodysplastic syndrome)、慢性白血病、例えば、限定するものではないが、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病;真性多血症等;リンパ腫、例えば、限定するものではないが、ホジキン病、非ホジキン病等;多発性骨髄腫、例えば、限定するものではないが、くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌型骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞白血病、孤立性形質細胞腫及び髄外性形質細胞腫等;ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症;意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症;良性単クローン性ガンマグロブリン血症;重鎖病;骨癌及び結合組織の肉腫、例えば、限定するものではないが、骨肉腫、骨髄腫の骨病変、多発性骨髄腫、真珠腫誘導性骨肉腫、骨のパジェット病、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫、骨の線維肉腫、脊索腫、骨膜性肉腫、軟部組織肉腫、脈管肉腫(血管肉腫)、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ脈管肉腫(lymphangio sarcoma)、神経鞘腫、横紋筋肉腫、及び滑膜肉腫等;脳腫瘍、例えば、限定するものではないが、グリオーマ、星状細胞腫、脳幹グリオーマ、上衣腫、乏突起神経膠腫、非グリア細胞腫瘍(nonglial tumor)、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽腫、及び原発性脳リンパ腫等;乳癌、例えば、限定するものではないが、腺癌、小葉(小細胞)癌、乳管癌、髄様乳癌、粘液性乳癌、管状乳癌、乳頭状乳癌、パジェット病(若年性パジェット病を含む)及び炎症性乳癌等;副腎癌、例えば、限定するものではないが、褐色細胞腫及び副腎皮質癌等;甲状腺癌、例えば、限定するものではないが、乳頭状又は濾胞状甲状腺癌、髄様甲状腺癌及び未分化甲状腺癌等;膵臓癌、例えば、限定するものではないが、インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン分泌腫瘍、及びカルチノイド又は膵島腫瘍等;下垂体癌、例えば、限定するものではないが、クッシング病、プロラクチン分泌腫瘍、先端巨大症、及び尿崩症(diabetes insipius);眼癌、例えば、限定するものではないが、眼性黒色腫、例えば虹彩黒色腫、脈絡膜黒色腫、及び毛様体黒色腫、及び網膜芽細胞腫等;腟癌、例えば有棘細胞癌、腺癌、及び黒色腫等;外陰癌、例えば有棘細胞癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫、及びパジェット病等;子宮頚癌、例えば、限定するものではないが、有棘細胞癌、及び腺癌等;子宮癌、例えば、限定するものではないが、子宮内膜癌及び子宮肉腫等;卵巣癌、例えば、限定するものではないが、卵巣上皮癌、境界悪性腫瘍、胚細胞性腫瘍、及び間質性腫瘍等;子宮頚癌;食道癌、例えば、限定するものではないが、扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌、粘表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、疣状癌、及び燕麦細胞(小細胞)癌;胃癌、例えば、限定するものではないが、腺癌、カビ状(ポリープ状)、潰瘍化、表在拡大型、散在性拡大型、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、及び癌肉腫等;大腸癌;結腸直腸癌、KRAS変異型結腸直腸癌;結腸癌;直腸癌;肝臓癌、例えば、限定するものではないが、肝細胞癌及び肝芽腫、胆嚢癌、例えば腺癌等;胆管細胞癌、例えば、限定するものではないが、乳頭状、結節状、及びびまん性等;肺癌、例えばKRAS変異型非小細胞肺癌、非小細胞肺癌、有棘細胞癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌及び小細胞肺癌等;肺癌;精巣癌、例えば、限定するものではないが、胚腫瘍、セミノーマ、未分化、古典的(典型的)、精母細胞性(spermatocytic)、非セミノーマ、胚性癌腫、奇形性(teratoma)癌種、絨毛癌(卵黄嚢腫瘍)、前立腺癌、例えば、限定するものではないが、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性前立腺癌、腺癌、平滑筋肉腫、及び横紋筋肉腫等;陰茎癌(penal cancer);口腔癌、例えば、限定するものではないが、有棘細胞癌等;基底癌(basal cancer);唾液腺癌、例えば、限定するものではないが、腺癌、粘表皮癌、及び腺様嚢胞癌;咽頭癌、例えば、限定するものではないが、扁平上皮癌、及びいぼ状等;皮膚癌、例えば、限定するものではないが、基底細胞癌、有棘細胞癌及び黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節状黒色腫、悪性黒子由来黒色腫、末端黒子型黒色腫等;腎臓癌、例えば、限定するものではないが、腎細胞癌、腺癌、グラヴィッツ腫瘍、線維肉腫、移行細胞細胞癌(腎盂及び/又は尿管(uterer))等;腎臓癌種;ウィルムス腫瘍;及び膀胱癌、例えば、限定するものではないが、移行細胞癌、扁平上皮癌、腺癌、癌肉腫等が挙げられる。一部の実施形態では、癌は、粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、中皮腫、滑膜腫、血管芽腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支原性肺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌である。
【0040】
本明細書で開示する方法、組成物及びキットを用いて、癌等の増殖性疾患の1つ以上の症状を軽減し、予防し、又はその発生を遅延させることができる。症状は、例えば、線維症であり得る。線維症は、線維性結合組織の過剰な蓄積を引き起こす病的状態である。癌関連線維症は、例えば、腫瘍微小環境(TME)内における癌の重要な制御因子である。一部の実施形態では、本明細書で開示する方法、組成物及びキットを用いて、限定するものではないが、肝細胞癌、胃癌、食道癌、頭頚部癌、大腸癌、膵臓癌、子宮頚癌、乳癌、前立腺癌、及び外陰癌を含めた癌と関連する慢性炎症関連線維症(感染性又は自己免疫性のどちらかの原因)を軽減又は予防する。一部の実施形態では、本方法、組成物及びキットを用いて、例えば、心臓、肝臓、肺、筋(例えば、骨格筋)、腎臓、眼、血管、皮膚、脳、骨髄、胃腸管、腹膜、及び脈管構造を冒す線維症を軽減又は予防する。一部の実施形態では、本方法、組成物及びキットを用いて、炎症関連癌に起因する線維症を軽減又は予防する。一部の実施形態では、本方法、組成物及びキットを用いて、癌治療のための医療処置(例えば、手術、化学療法、免疫療法)に起因する線維症を軽減又は予防する。線維症としては、限定するものではないが、肺線維症、肝線維症、骨髄線維症、皮膚線維症(例えば、腎性全身性線維症及びケロイド線維症)、縦隔線維症、心臓線維症、腎線維症、間質性線維症、硬膜外線維症、上皮線維症、特発性線維症、肝硬変、及びその任意の組み合わせが挙げられる。
【0041】
方法
本明細書では、それを必要とする対象者における癌等の増殖性疾患を治療し、予防し、その発生を遅延させ、及び/又はその進行を遅くするための方法、組成物及びキットを開示する。それを必要とする対象者における増殖性疾患の1つ以上の症状を軽減し、予防し、及び/又はその発生を遅延させるために使用できる方法、組成物及びキットをも開示する。癌は、一部の実施形態では、肝臓癌である。
一部の実施形態では、方法は、増殖性疾患を有する対象者を識別することを含む。一部の実施形態では、方法は、増殖性疾患を発症するリスクがある対象者を識別することを含む。キットは、増殖性疾患を有する対象者を識別するための説明書、増殖性疾患を発症するリスクがある対象者を識別するための説明書、又は両方を含み得る。
【0042】
方法は、例えば、それを必要とする対象者に、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む組成物を投与することを含み得る。一部の実施形態では、それを必要とする対象者は、増殖性疾患を発症するリスクがある対象者である。一部の実施形態では、対象者は、増殖性疾患を患っている対象者である。一部の実施形態では、対象者は、増殖性疾患、例えば線維症の1つ以上の症状を有する対象者である。一部の実施形態では、それを必要とする対象者は、増殖性疾患の完全又は部分寛解状態の対象者である。増殖性疾患(例えば、癌)が生じないように予防し、その発生を遅延させ、又は疾患の進行を遅くすることができる。一部の実施形態では、それを必要とする対象者は、肝臓癌の完全寛解状態の対象者である。一部の実施形態では、それを必要とする対象者は、肝臓癌の不完全な寛解状態の対象者である。
【0043】
本方法、組成物及びキットは、例えば、癌の進行を予防し、遅くし、又は減少させることができる。例えば、腫瘍の質量及び/又はサイズを減少させ得る。方法は、腫瘍の質量、サイズ及び/又は形態を測定して、治療に対する腫瘍の反応性及び/又は治療の有効性を判定することを含み得る。
本明細書で開示する方法、組成物及びキットを用いて、増殖性疾患、例えば線維症の1つ以上の症状を軽減し、予防し、又はその発生を遅延させることができる。一部の実施形態では、線維症が生じないように予防する。一部の実施形態では、対象者における線維症形成を予防する。一部の実施形態では、線維症の発生が遅延する。遅延は、例えば、1秒以上、1分以上、1時間以上、1日以上、1週間以上、1カ月以上、又は1年以上であり得る。一部の実施形態では、治療対象者における遅延は、治療を受けなかった同対象者に対するものである。一部の実施形態では、治療対象者における遅延は、未治療対象者に対するものである。一部の実施形態では、線維症の発生は、5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、250、300、350、又は約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、250、300、350、又はこれらの任意の値間の範囲の日数遅延する。一部の実施形態では、線維症の発生は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又はこれらの任意の値間の範囲の月数若しくは年数遅延する。一部の実施形態では、線維症の発生は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10カ月若しくは年、又は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10カ月若しくは年遅延する。一部の実施形態では、線維症の発生は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10時間、若しくはそれ以上の時間、又は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10時間、若しくはそれ以上の時間遅延する。
【0044】
一部の実施形態では、対象者において線維症(例えば、組織線維症)が回復する。回復は、対象者に存在する線維症の1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は約1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲であり得る。一部の実施形態では、回復は、対象者に存在する線維症の少なくとも1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、若しくはそれ以上、又は少なくとも約1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、若しくはそれ以上であり得る。線維症は、例えば、肝臓癌と関連する線維症であり得る。
【0045】
一部の実施形態では、対象者において線維症(例えば、組織線維症)の量が減少する。対象者において、線維症の量の減少は、1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は約1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲であり得る。一部の実施形態では、対象者において、線維症の量の減少は、少なくとも1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、若しくはそれ以上、又は少なくとも約1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、若しくはそれ以上であり得る。
【0046】
一部の実施形態では、対象者において線維症(例えば、組織線維症)の形成が減少する。線維症形成の減少は、対象者において、1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は約1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲であり得る。一部の実施形態では、線維症形成の減少は、対象者において、少なくとも1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、若しくはそれ以上、又は少なくとも約1%、2%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、若しくはそれ以上であり得る。線維症は、一部の実施形態では、非肝線維症である。治療対象者における線維症形成の減少は、治療を受けなかった同対象者に対するものである。一部の実施形態では、治療対象者における線維症形成の減少は、未治療対象者に対するものである。
【0047】
本明細書で開示する1種以上のシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体の治療有効性は、線維症(例えば、増殖性疾患の症状)を軽減し、予防し、又はその発生を遅延させる際に、対象者の線維症(例えば、罹患臓器、組織又はエリア内の線維症)の量を測定することで知られている方法を用いて決定することができる。対象者は、例えば、線維症を患っている患者又は最近線維症を患った患者であり得る。対象者の線維症の量は、線維症の量を測定することで当業者に知られている方法によって測定することができる。例えば、限定するものではないが、線維症の量は、対象者から筋バイオプシーを採取し、筋をスライドの上で薄片にし、当技術分野で既知の染色技術(例えば、ヘマトキシリン・エオジン(H&E)染色及び/又はマッソントリクローム染色)によって明らかにされる線維症の量を評価することによって決定することができる。別の例として、磁気共鳴画像法(MRI)を利用することによって線維症の量をin vivoで決定することができる。
【0048】
本明細書で開示する組成物、方法又はキットによって達成できる例示治療エンドポイントは、本明細書で開示する1種以上のシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、及び任意的に1種以上の追加治療薬(例えば、抗線維化薬)を投与されている対象者の線維症の量の減少であり得る。対象者の線維症の相対量は、例えば、組織バイオプシー及びその後の組織学的検査によって、例えば、限定するものではないが、筋線維又は細胞損傷の尺度としてのエバンスブルー色素取込みを定量化することによって(例えばHeydemann et al., Neuromuscular Disorders 15(9-10): 601-9 (2005)に記載)、又はSwaggart et al., Physiol Genomics 43: 24-31 (2011)に記載されているヒドロキシプロリン含量の定量化によって、又は両方によって定量化し得る。一部の実施形態では、本明細書で開示する1種以上のシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、及び任意的に1種以上の追加治療薬(例えば、抗癌薬)を投与されている対象者の線維症の量は、そのように治療されていない患者に比べて、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、又は約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、又は1%~100%以内の任意の値、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲減少する。一部の実施形態では、本明細書で開示する1種以上のシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、及び任意的に1種以上の追加治療薬(例えば、抗癌薬)を投与されている対象者の線維症の量は、そのように治療されていない患者に比べて、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%減少し、又は少なくとも約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%減少する。
【0049】
治療薬
対象者の増殖性疾患(例えば、癌)を治療するため、又は増殖性疾患(例えば、癌)の一次予防若しくは二次予防のため、本明細書で開示するシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む抗癌薬を使用することができる。シクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体は、例えば、対象者(例えば、増殖性疾患を発症するリスクがある対象者)において、増殖性疾患(例えば、癌)の発生を遅延させることができる。シクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体は、例えば、対象者の癌を治療又は予防することができる。癌は、一部の実施形態では、肝臓癌である。
一部の実施形態では、シクロスポリン類似体は、下記式L:
【0050】
【化9】
【0051】
式中:
a. R’は、H又はアセチルであり;
b. R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
c. R2は、下記:
i. H;
ii. 非置換、N置換、又はN,N二置換アミド;
iii. N置換又は非置換アシル保護アミン;
iv. N置換又は非置換アミン;
v. カルボン酸;
vi. ニトリル;
vii. エステル;
viii. ケトン;
ix. ヒドロキシ、ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、又はポリヒドロキシアルキル;及び
x. 置換又は非置換アリール;
xi. 任意に、水素、ケトン、ヒドロキシル、ニトリル、カルボン酸、エステル、1,3-ジオキソラン、ハロゲン、及びオキソから成る群より選択される置換基を含有してよい飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖;
xii. ハロゲン、エステル、及びニトロから成る群より選択される置換基を含有する芳香族基;及び
xiii. (xi)の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖及び(xii)の芳香族基の組み合わせ
から成る群より選択され;及び
d. R23は、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した任意に置換されていてもよい脂肪族炭素鎖である。
一部の実施形態では、R1-R2は、下記基から成る群より選択される。
【0052】
【化10】
【0053】
一部の実施形態では、R1-R2は、任意に、水素、ケトン、ヒドロキシル、ニトリル、ハロゲン、オキソ、カルボン酸、エステル、及び1,3-ジオキソランから成る群より選択される置換基で置換されていてもよい、2と5の間の炭素数の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族鎖を含む。
一部の実施形態では、R2は、下記基:
【0054】
【化11】
【0055】
から成る群より選択され;R5は、1と10の間の炭素長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;及びR6は、1と10の間の炭素長のモノヒドロキシル化、ジヒドロキシル化、トリヒドロキシル化又はポリヒドロキシル化飽和又は不飽和の直鎖又は分岐脂肪族炭素鎖である。
一部の実施形態では、R23は、下記基から成る群より選択される。
【0056】
【化12】
【0057】
一部の実施形態では、R23は、任意に置換されていてもよいアルキル、例えば任意に置換されていてもよいC1-C3アルキルである。アルキルは、アミノで置換されることがあり、かつC1-C3-Alaを含んでよく、この場合、化合物は、R23が付着されるアミノ酸であるアミノ酸3のD-エピマーを含む。一部の実施形態では、R23はMeAlaであり得る。一部の実施形態では、R23は、1~6、1~5、1~4、1~3又は2炭素長の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖である。
一部の実施形態では、式Lの
【0058】
【化13】
【0059】
は、下記基から成る群より選択される。
【0060】
【化14】
【0061】
一部の実施形態では、シクロスポリン類似体は、下記式L:
【0062】
【化15】
【0063】
(式中:
a. R’は、H又はアセチルであり;
b. R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
c. R2は、下記:
i. 非置換、N置換、又はN,N二置換アミド;
ii. カルボン酸;
iii. ニトリル;
iv. エステル;
v. ケトン;
vi. ヒドロキシ、ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、又はポリヒドロキシアルキル;及び
vii. 置換又は非置換アリール;
viii. ケトン、ヒドロキシ、ニトリル、カルボン酸、エステル、1,3-ジオキソラン、及びオキソから成る群より選択される置換基で置換された飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖;
ix. ハロゲン、エステル、及びニトロから成る群より選択される置換基で置換された芳香族基;及び
x. viii)の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖及びix)の芳香族基の組み合わせ
から成る群より選択され;及び
d. R23は、非置換C1-C3アルキルである)
の化合物である。
一部の実施形態では、R’はHである。
一部の実施形態では、R1は、5~8炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖である。
一部の実施形態では、R2は、下記基:
【0064】
【化16】
【0065】
から成る群より選択され;
R5は、1と10の間の炭素長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;かつR6は、1と10の間の炭素長のモノヒドロキシル化、ジヒドロキシル化、トリヒドロキシル化、又はポリヒドロキシル化飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖である。
一部の実施形態では、R1-R2は、下記基から成る群より選択される。
【0066】
【化17】
【0067】
一部の実施形態では、R1-R2は、ケトン、ヒドロキシ、ニトリル、オキソ、カルボン酸、エステル、及び1,3-ジオキソランから成る群より選択される置換基で置換される。一部の実施形態では、R1-R2は、少なくとも6炭素原子長である。
一部の実施形態では、式Lの
【0068】
【化18】
【0069】
は、下記基から成る群より選択される。
【0070】
【化19】
【0071】
一部の実施形態では、
R23は、下記基から成る群より選択される。
【0072】
【化20】
【0073】
一部の実施形態では、R23はメチルである。一部の実施形態では、化合物は、R23が付着されるアミノ酸であるアミノ酸3のD-エピマーを含む。
一部の実施形態では、シクロスポリン類似体は、下記化合物から成る群より選択される化合物である。
【0074】
【表1】


【0075】
式中:
Rは、
【0076】
【化21】
【0077】
であり;
R’はH又はアセチルであり;かつ
異性体は、R23が付着されるアミノ酸であるアミノ酸3の異性形態である。
一部の実施形態では、シクロスポリン類似体は、下記式L:
【0078】
【化22】
【0079】
(式中:
a. R’は、H又はアセチルであり;
b. R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
c. R2は、下記:
i. 非置換、N置換、又はN,N二置換アミド;
ii. カルボン酸;
iii. ニトリル;
iv. エステル;
v. ケトン;
vi. ヒドロキシ、ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、又はポリヒドロキシアルキル;
vii. 置換又は非置換アリール;
viii. ケトン、ヒドロキシ、ニトリル、カルボン酸、エステル、1,3-ジオキソラン、及びオキソから成る群より選択される置換基で置換された飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖;
ix. ハロゲン、エステル、及びニトロから成る群より選択される置換基で置換された芳香族基;及び
x. (viii)の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖及び(ix)の芳香族基の組み合わせ
から成る群より選択され;及び
d. R23は、飽和又は不飽和の直線状又は分岐した任意に置換されていてもよい脂肪族炭素鎖であり、
R1-R2は、少なくとも6炭素原子長である)
の化合物である。
一部の実施形態では、R’はHである。
一部の実施形態では、R1は、5~8炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖である。
一部の実施形態では、R1-R2は、下記基から成る群より選択される。
【0080】
【化23】
【0081】
一部の実施形態では、R1-R2は、ケトン、ヒドロキシ、ニトリル、オキソ、カルボン酸、エステル、及び1,3-ジオキソランから成る群より選択される置換基で置換される。
一部の実施形態では、R23は、下記基から成る群より選択される。
【0082】
【化24】
【0083】
一部の実施形態では、R23は、任意に置換されていてもよいC1-C3アルキルを含む。一部の実施形態では、R23は、アミノで置換される。一部の実施形態では、R23はC1-C3アルキルであり、化合物は、R23が付着されるアミノ酸であるアミノ酸3のD-エピマーを含む。一部の実施形態では、R23はメチルである。一部の実施形態では、R23は、1~6炭素長の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖である。
一部の実施形態では、式Lの
【0084】
【化25】
【0085】
は、下記基から成る群より選択される。
【0086】
【化26】
【0087】
一部の実施形態では、R1-R2は、
【0088】
【化27】
【0089】
であり、R23はメチルであり、かつ化合物は、R23が付着されるアミノ酸であるアミノ酸3のD-エピマーである。
一部の実施形態では、シクロスポリン類似体は、下記式L:
【0090】
【化28】
【0091】
(式中:
R’は、H又はアセチルであり;
R1は、2~15炭素原子長の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐脂肪族炭素鎖であり;
R2は、N置換又は非置換アシル保護アミンであり;かつ
R23は、メチル又はエチルである)
の化合物である。
一部の実施形態では、R’はHである。
一部の実施形態では、R1は、5~8炭素原子長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖である。
一部の実施形態では、R2は、
【0092】
【化29】
【0093】
であり;R5は、1と10の間の炭素長の飽和又は不飽和の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖である。
一部の実施形態では、R1-R2は、下記基から成る群より選択される。
【0094】
【化30】
【0095】
一部の実施形態では、R23はメチルである。
一部の実施形態では、式Lの
【0096】
【化31】
【0097】
は、下記基である。
【0098】
【化32】
【0099】
一部の実施形態では、R’、R1-R2、及びR23並びに前記化合物の異性体は、下記から選択される。
【0100】
【化33】
【0101】
ここで、異性体は、R23が付着されるアミノ酸であるアミノ酸3の異性形態である。
一部の実施形態では、シクロスポリン類似体は、下記式L:
【0102】
【化34】
【0103】
(式中:
R’は、H又はアセチルであり;
R1-R2は、下記基:
【0104】
【化35】
【0105】
から成る群より選択され;かつ
R23は、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した任意に置換されていてもよい脂肪族炭素鎖である)
の化合物である。
一部の実施形態では、R’はHである。
一部の実施形態では、R1-R2は、下記基である。
【0106】
【化36】
【0107】
一部の実施形態では、式Lの
【0108】
【化37】
【0109】
は、下記基である。
【0110】
【化38】
【0111】
一部の実施形態では、R23は、下記基から成る群より選択される。
【0112】
【化39】
【0113】
一部の実施形態では、R23は、下記基である。
【0114】
【化40】
【0115】
一部の実施形態では、R23は、下記基である。
【0116】
【化41】
【0117】
一部の実施形態では、R23は、(a)任意に置換されていてもよいC1-C3アルキルを含み;(b)アミノで置換され;(c)C1-C3-Alaであり、かつ前記化合物は、D-エピマーを含み;(d)MeAlaであり;及び/又は(e)1~6、1~5、1~4、1~3又は2炭素長の直線状又は分岐脂肪族炭素鎖である。
一部の実施形態では、R’、R1-R2及びR23並びに前記化合物の異性体は下記から選択される。
【0118】
【化42】
【0119】
シクロスポリン類似体は、11個のアミノ酸から成り、アミノ酸1及び3が化学的に修飾されている中性環状ペプチドである、シクロスポリンA(CsA)の誘導体である小分子シクロフィリン阻害薬CRV431(以下に示す)であり得る。
【0120】
【化43】
【0121】
CRV431は、肝線維症及び肝細胞癌を含めた肝疾患の治療のために臨床開発されている小分子シクロフィリン阻害薬である。前臨床研究において、CRV431は、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、及びHIVを含めた多数のウイルスに対する抗ウイルス活性を示し、かつ多数のin vivoモデルで肝臓における抗線維化活性を示す。CRV431は、非アルコール性脂肪性肝炎(「NASH」)から生じる肝線維症及びNASHの実験モデルにおける肝細胞癌腫瘍負荷を減少させることができる。
例えば、本明細書で述べるように、CRV431は、癌遺伝子を制御することができ、抗癌活性を有し得る。CRV431は、特発性肺線維症(「IPF」)患者からの肺線維芽細胞、心線維芽細胞、皮膚線維芽細胞、腎メサンギウム細胞、及びLX2肝星細胞株を含む5つの細胞型由来の線維芽細胞からの細胞外マトリックス(ECM)分子、コラーゲン及びフィブロネクチンの産生を減少させることができる。IPFは、新しい治療を非常に必要としている侵襲性の線維性疾患であることが知られている。本明細書で述べるように、CRV431は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)により測定して、同程度の大きさを有する全ての細胞型からのプロコラーゲン及びフィブロネクチンの分泌を用量依存的に減少させた。ECM合成への直接的作用と一致する線維化促進因子であるトランスフォーミング成長因子β(TGFβ)で細胞が刺激されたか否かにかかわらず、抑制の程度は同様だった。CRV431は、臨床的に意義のある濃度で、細胞生存率の如何なる低下をも引き起こすことなく、用量依存的にECM産生を55%まで減少させた。本明細書で開示するように、CRV431を用いて、シクロフィリンBを阻害することによってECM産生を減少させることができ、この知見と一致して、低分子干渉RNA(siRNA)によるシクロフィリンBの下方制御が同様にプロコラーゲン及びフィブロネクチン分泌を減少させた。
【0122】
線維性瘢痕化は、癌を含めた多くの疾患における臓器不全の主要な病理学的特徴及びドライバーである。しかしながら、瘢痕化を弱めるのに利用できる治療はほとんどない。多くの治療は、線維芽細胞の刺激を標的にすることによって線維症を減少させようとするが、これらのシグナル伝達現象は、患者、線維性疾患のタイプ、又は病期によって異なり得る。如何なる特定理論にも限定されるものではないが、一部の実施形態では、CRV431の効果は、刺激性シグナルのタイプに無関係であり得るので、癌と関連する線維症(肝臓のみならず、肝臓以外の臓器においても)の治療のためにCRV431を使用することが有利である可能性がある。
【0123】
本方法、組成物及びキットを用いて、1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方に対して癌細胞を感作させることもできる。この方法は、癌細胞を、本明細書で開示するシクロスポリン類似体、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む組成物と接触させ、それによって癌細胞を1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方に対して感作させることを含み得る。癌細胞と組成物の接触はin vitro、ex vivo、in vivo、又は任意の組み合わせで起こり得る。一部の実施形態では、癌細胞と組成物の接触は対象者の体内である。一部の実施形態では、癌細胞は、細胞培養において組成物と接触する。対象者は、哺乳動物、例えばヒトであり得る。癌細胞の感作は、1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方に対する癌細胞の反応性を1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲高めることができる。癌細胞の感作は、1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方に対する癌細胞の反応性を少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は少なくとも約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲高めることができる。癌細胞の反応性の増加は、一部の実施形態では、未治療癌細胞に対するものである。癌細胞の感作は、癌細胞を有する対象者の、1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方に対する反応性を1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲高めることができる。癌細胞の感作は、癌細胞を有する対象者の、1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方に対する反応性を少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は少なくとも約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はこれらの値の任意の2つの間の範囲高めることができる。癌細胞を有する対象者の反応性の増加は、一部の実施形態では、組成物で治療されなかった対象者に対するものである。
【0124】
方法は、組成物との接触後に、1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方に対する癌細胞の感作を判定することを含み得る。方法は、組成物との接触と同時及び/又接触後に、癌細胞を1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方と接触させることを含み得る。一部の実施形態では、癌細胞と1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方との接触は、対象者の体内で起こる。対象者は、哺乳動物、例えばヒトであり得る。対象者は、例えば、1種以上の抗癌薬のみ、1種以上の癌治療のみ、又は両方に対して反応しなかったか、或いは抵抗性であることが分かっている対象者であり得る。対象者は、例えば、1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方で前治療を受けた対象者であり得る。一部の実施形態では、方法は、1種以上の抗癌薬、1種以上の癌治療、又は両方に対する対象者の反応性を判定することを含む。
【0125】
癌細胞は、例えば、癌種、扁平上皮癌、腺癌、肉腫(sarcomata)、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、卵管癌、原発性腹膜癌、結腸癌、結腸直腸癌、肛門性器部の有棘細胞癌、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺の有棘細胞癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頚部癌、グリオブラストーマ、グリオーマ、頭頚部の有棘細胞癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、肉腫、血液癌、白血病、リンパ腫、神経腫、多発性骨髄腫、又はその組み合わせの細胞であり得る。一部の実施形態では、癌細胞は、肝臓癌の細胞を含む。一部の実施形態では、癌細胞は、肝臓癌を患っている患者から単離された細胞を含む。一部の実施形態では、癌細胞は、多発性骨髄腫の細胞を含む。
【0126】
抗癌薬は、例えば、放射線療法薬、抗免疫抑制薬、免疫賦活薬、化学療法薬、又はその任意の組み合わせであり得る。例えば、抗癌薬は、抗PD-1薬、抗PD-L1薬、 抗CTLA4薬、抗TIM-3薬、抗LAG-3薬、GITR(グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質)刺激薬、抗IDO薬、抗ICOS薬、抗OX40薬、抗CSF1R薬、ケモカインシグナル伝達薬、サイトカインシグナル刺激薬、又はその組み合わせであり得る。抗癌薬の非限定例としては、ベバシズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、PDR001、REGN2810(SAR-439684)、BGB-A317、BI 754091、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、MEDI0680(AMP-514)、MGA-012、PF-06801591、REGN-2810、TSR-042、アテゾリズマブ、アベルマブ、CX-072、デュルバルマブ、FAZ053、LY3300054、PD-L1ミラモレキュール、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、LY3300054、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、β-ヒドロキシβ-メチルブチラート、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブセレリン、ブスルファン、カンポテシン、カペシタビン、カルフィルゾミブ、カルボプラチン、カルムスチン、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロナート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デランゾミブ、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ジスルフィラム、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピガロカテキン-3-ガラート、エピルビシン、エポキソミシン、エストラジオール、エストラムヌスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスフアミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、イキサゾミブ、マリゾミブ、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロナート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、スラミン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、及びその組み合わせが挙げられる。癌治療の非限定例としては、手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、及びその組み合わせが挙げられる。
【0127】
併用療法
本明細書で開示する方法、組成物及びキットは、増殖性疾患を治療し、予防し、抑制し、若しくはその発生を遅延させ、その進行を遅くし、及び/又は増殖性疾患の1つ以上の症状を軽減し、予防し、若しくはその発生を遅延させるためのいずれの治療方法、薬剤、又は療法とも併用することができる。増殖性疾患は、一部の実施形態では、癌である。例えば、本明細書で開示する方法は、1種以上の癌治療又は1種以上の追加治療薬を対象者に投与することを含み得る。癌治療の例としては、限定するものではないが、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、免疫療法、補完療法又は代替療法、及びその任意の組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、癌治療又は追加治療薬は、それぞれの癌の現在の標準的治療の一部である。
【0128】
追加治療薬は、1種以上の化学療法薬、例えば、限定するものではないが、有糸分裂阻害薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、挿入性抗生物質、成長因子阻害薬、細胞周期阻害薬、酵素、トポイソメラーゼ阻害薬、生体応答修飾物質、抗ホルモン薬、血管新生抑制薬、プロテアソーム阻害薬、及び抗アンドロゲン薬等を含み得る。追加治療薬の非限定例としては、化学療法薬、細胞傷害性薬、及び非ペプチド小分子、例えばGleevec(登録商標)( メシル酸イマチニブ)、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、Velcade(登録商標)( ボルテゾミブ)、Casodex(ビカルタミド)、Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ)、ベネトクラクス、及びアドリアマイシンが挙げられる。化学療法薬の非限定例としては、アルキル化薬、例えばチオテパ及びシクロホスファミド(cyclosphosphamide)(CYTOXANTM);スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドパ、カルボクォン、メツレドパ、及びウレドパ;エチレンイミン及びメチルアメラミン(methylamelamine)、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)等;ナイトロジェンマスタード、例えばクロランブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスフアミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスフアミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばアクラシノミシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、CasodexTM、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピュロマイシン、クェラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えばメトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充薬、例えば、フォリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デホファミン;デメコルシン;ジアジクォン;エルホミチン;エリプチニウムアセテート(elliptinium acetate);エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクォン;2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えばパクリタキセル及びドセタキセル;レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;及び上記のいずれかの医薬的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。
【0129】
一部の実施形態では、1種以上の追加治療薬は、腫瘍へのホルモン作用を調節又は抑制できる抗ホルモン薬、例えば抗エストロゲン薬、例えばタモキシフェン(NolvadexTM)、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)等;及び抗アンドロゲン薬、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;クロランブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えばシスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスフアミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセロダ;イバンドロナート;カンプトテシン-11(CPT-11);トポイソメラーゼ阻害薬RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)等を含む。
【0130】
一部の実施形態では、本明細書で開示する組成物の投与を受けているか、又は受けたことがあるか、又は受けることになる対象者に投与できる1種以上の追加治療薬は、現在処方されている抗癌薬、例えばHerceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、ABVD、AVICINE、アバゴボマブ(Abagovomab)、アクリジンカルボキサミド、アデカツムマブ(Adecatumumab)、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(demethoxygeldanamycin)、アルファラジン(Alpharadin)、アルボシジブ(Alvocidib)、3-アミノピリジン-2-カルボキサルデヒドチオセミカルバゾン、アモナフィド(Amonafide)、アントラセンジオン(Anthracenedione)、抗CD22イムノトキシン、抗悪性腫瘍薬、抗腫瘍性ハーブ、アパジクォン(Apaziquone)、アチプリモド(Atiprimod)、アザチオプリン(Azathioprine)、ベロテカン(Belotecan)、ベンダムスチン(Bendamustine)、BIBW 2992、ビリコダル(Biricodar)、ブロスタリシン(Brostallicin)、ブリオスタチン(Bryostatin)、ブチオニン(Buthionine)スルホキシイミン、CBV(化学療法)、カリクリン(Calyculin)、細胞周期非特異的抗悪性腫瘍薬、ジクロロ酢酸、ジスコデルモリド(Discodermolide)、エルサミトルシン(Elsamitrucin)、エノシタビン(Enocitabine)、エポチロン(Epothilone)、エリブリン(Eribulin)、エベロリムス(Everolimus)、エキサテカン(Exatecan)、エキシスリンド(Exisulind)、フェルギノール(Ferruginol)、ホロデシン(Forodesine)、ホスフェストロール(Fosfestrol)、ICE化学療法レジメン、IT-101、イメキソン(Imexon)、イミキモド(Imiquimod)、インドロカルバゾール(Indolocarbazole)、イロフルベン(Irofulven)、ラニキダル(Laniquidar)、ラロタキセル(Larotaxel)、レナリドミド(Lenalidomide)、ルカントン(Lucanthone)、ルルトテカン(Lurtotecan)、マホスフアミド(Mafosfamide)、ミトゾロミド(Mitozolomide)、ナホキシジン(Nafoxidine)、ネダプラチン(Nedaplatin)、オラパリブ(Olaparib)、オルタタキセル(Ortataxel)、PAC-1、パウパウ(Pawpaw)、ピキサントロン(Pixantrone)、プロテアソーム阻害薬、レベッカマイシン(Rebeccamycin)、レシキモド(Resiquimod)、ルビテカン(Rubitecan)、SN-38、サリノスポラミド(Salinosporamide)A、サパシタビン(Sapacitabine)、スタンホルド(Stanford)V、スワインソニン(Swainsonine)、タラポルフィン(Talaporfin)、タリキダル(Tariquidar)、テガフール-ウラシル(Tegafur-uracil)、テモダル(Temodar)、テセタキセル(Tesetaxel)、トリプラチン(Triplatin)四硝酸塩、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン(Troxacitabine)、ウラムスチン(Uramustine)、バジメザン(Vadimezan)、ビンフルニン(Vinflunine)、ZD6126、ゾスキダル(Zosuquidar)、免疫調節薬、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬、抗体、又はその組み合わせを含む。
【0131】
本明細書で開示する方法、組成物及びキットは、一部の実施形態では、異常な細胞成長を抑制するため又は過剰増殖性疾患等の増殖性疾患を治療するための放射線療法と併用することができる。放射線療法の非限定例としては、限定するものではないが、体外照射療法、体内照射療法、移植療法、定位放射線手術、全身放射線療法、放射線療法及び永久又は一時的組織内小線源治療が挙げられる。
一部の実施形態では、本明細書で開示する方法、組成物及びキットは、抗血管新生薬、化学療法薬、抗悪性腫瘍薬、ステロイド薬、シグナル伝達阻害薬、抗増殖薬、解糖阻害薬、及びオートファジー阻害薬の1種以上と併用される。抗血管新生薬は、MMP-2(マトリックス-メタロプロテイナーゼ2)阻害薬、MMP-9(マトリックス-メタロプロテイナーゼ9)阻害薬、及びCOX-11(シクロオキシゲナーゼ11)阻害薬であり得る。抗血管新生薬としては、例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、ソラフェニブ、スニチニブ、及びベバシズマブが挙げられる。COX-II阻害薬の非限定例としては、アレコキシブ、バルデコキシブ、及びロフェコキシブが挙げられる。抗悪性腫瘍薬の非限定例としては、アセマンナン、アクラルビシン、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、ANCER、アンセスチム、ARGLABIN、三酸化ヒ素、BAM 002(Novelos)、ベキサロテン、ビカルタミド、ブロクスウリジン(broxuridine)、カペシタビン、セルモロイキン、セトロレリクス、クラドリビン、クロトリマゾール、シタラビンオクホスファート、DA 3030(Dong-A)、ダクリズマブ、デニロイキンジフチトクス、デスロレリン、デクスラゾキサン、ジラゼプ、ドセタキセル、ドコサノール、ドキセルカルシフェロール、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ブロモクリプチン、カルムスチン、シタラビン、フルオロウラシル、HITジクロフェナク、インターフェロンα、ダウノルビシン、ドキソルビシン、トレチノイン、エデルホシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エミテフール、エピルビシン、エポエチンβ、リン酸エトポシド、エキセメスタン、エキシスリンド、ファドロゾール、フィルグラスチム、フィナステリド、リン酸フルダラビン、ホルメスタン、ホテムスチン、硝酸ガリウム ニトラート、ゲムシタビン、ゲムツズマブゾガマイシン、ギメラシル/オテラシル/テガフール合剤、グリコピン、ゴセレリン、ヘプタプラチン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎児性αフェトプロテイン、イバンドロン酸、イダルビシン、イミキモド、インターフェロンα、天然型インターフェロンα、インターフェロンα-2、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-N1、インターフェロンα-n3、インターフェロンアルファコン-1、天然型インターフェロンα、天然インターフェロンβ、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ-1b、インターフェロンγ、天然インターフェロンγ-1a、インターフェロンγ-1b、インターロイキン-1β、イオベングアン、イリノテカン、イルソグラジン、ランレオチド、LC 9018(Yakult)、レフルノミド、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レトロゾール、白血球アルファインターフェロン、ロイプロレリン、レバミソール+フルオロウラシル、リアロゾール、ロバプラチン、ロニダミン、ロバスタチン、マソプロコール、メラルソプロール、メトクロプラミド、ミフェプリストン、ミルテホシン、ミリモスチム、不適正二本鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトキサントロン、モルグラモスチム、ナファレリン、ナロキソン+ペンタゾシン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ニルタミド、ノスカピン、新規赤血球生成促進タンパク質、NSC 631570オクトレオチド、オプレルベキン、オサテロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロン酸、ペガスパルガーゼ、ペグインターフェロンα-2b、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、ペントスタチン、ピシバニル、ピラルビシン、ウサギ抗胸腺細胞ポリクローナル抗体、ポリエチレングリコールインターフェロンα-2a、ポルフィマーナトリウム、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラスブリエンボジメント、レニウムRe 186エチドロナート、RIIレチンアミド、リツキシマブ、ロムルチド、サマリウム(153 Sm)レキシドロナム、サルグラモスチム、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソネルミン、ストロンチウム-89クロリド、スラミン、タソネルミン、タザロテン、テガフール、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、サリドマイド、チマルファシン、チロトロピンアルファ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ-ヨウ素131、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トリロスタン、トリメトレキサート、トリプトレリン、天然型腫瘍壊死因子α、ウベニメクス、膀胱癌ワクチン、丸山ワクチン、メラノーマライセートワクチン、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビノレルビン、VIRULIZIN、ジノスタチンスチマラマー、又はゾレドロン酸;アバレリックス;AE 941(Aeterna)、アンバムスチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、bcl-2(Genta)、APC 8015(Dendreon)、セツキシマブ、デシタビン、デキサミノグルテチミド、ジアジクォン、EL 532(Elan)、EM 800(Endorecherche)、エニルラシル、エタニダゾール、フェンレチニド、フィルグラスチムSD01(Amgen)、フルベストラント、ガロシタビン、ガストリン17免疫原、HLA-B7遺伝子療法薬(Vical)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒスタミン二塩酸塩、イブリツモマブチウキセタン、イロマスタット、IM 862(Cytran)、インターロイキン-2、イプロキシフェン、LDI 200(Milkhaus)、レリジスチム、リンツズマブ、CA 125 MAb(Biomira)、癌MAb(Japan Pharmaceutical Development)、HER-2及びFc MAb(Medarex)、イディオタイプ105AD7 MAb(CRC Technology)、イディオタイプCEA MAb(Trilex)、LYM-1-ヨウ素131 MAb(Techniclone)、多型上皮ムチン-イットリウム90 MAb(Antisoma)、マリマスタット、メノガリル、ミツモマブ、モテキサフィンガドリニウム、MX6(Galderma)、ネララビン、ノラトレキセド、P30プロテイン、ペグビソマント、ペメトレキセド、ポルフィロマイシン、プリノマスタット、RL 0903(Shire)、ルビテカン、サトラプラチン、フェニル酢酸ナトリウム、スパルフォス酸(sparfosic acid)、SRL 172(SR Pharma)、SU 5416(SUGEN)、TA 077(Tanabe)、テトラチオモリブダート、タリブラスチン、トロンボポイエチン、エチルエチオプルプリンすず、チラパザミン、癌ワクチン(Biomira)、又はバルスポダルが挙げられる。
【0132】
抗血管新生薬の例としては、限定するものではないが、ERBITUX(商標)(IMC-C225)、KDR(キナーゼドメイン受容体)阻害薬(例えば、特異的にキナーゼドメイン受容体に結合する抗体及び抗原結合領域)、抗VEGF薬(例えば、特異的にVEGF、又は可溶性VEGF受容体又はそのリガンド結合領域に結合する抗体又は抗原結合領域)、例えばAVASTIN(商標)又はVEGF-TRAP(商標)、及び抗VEGF受容体薬(例えば、特異的にそれに結合する抗体又は抗原結合領域)、EGFR阻害薬(例えば、特異的にそれに結合する抗体又は抗原結合領域)、例えばVectibix(パニツムマブ)、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(商標)( エルロチニブ)、抗Ang1及び抗Ang2薬(例えば、特異的にそれに又はそれらの受容体、例えば、Tie2/Tekに結合する抗体又は抗原結合領域)、抗Tie2キナーゼ阻害薬(例えば、特異的にそれに結合する抗体又は抗原結合領域)、キャンパス(Campath)、IL-8、B-FGF、Tek拮抗薬、抗TWEAK薬(例えば、特異的に結合する抗体若しくは抗原結合領域、又は可溶性TWEAK受容体拮抗薬)、インテグリンのそのリガンドへの結合に拮抗するADAMディスインテグリン(distintegrin)ドメイン、特異的に結合する抗eph受容体及び/又は抗エフリン抗体若しくは抗原結合領域、抗PDGF-BB拮抗薬(例えば、特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)並びに特異的にPDGF-BBリガンドに結合する抗体又は抗原結合領域、及びPDGFRキナーゼ阻害薬(例えば、特異的にそれに結合する抗体又は抗原結合領域)が挙げられる。オートファジー阻害薬としては、限定するものではないが、クロロキン、3-メチルアデニン、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))、バフィロマイシンA1、5-アミノ-4-イミダゾールカルボキサミドリボシド(AICAR)、オカダ酸、2A型又は1型プロテインホスファターゼを阻害するオートファジー抑制藻類毒素、cAMPの類似体、並びにアデノシン等のcAMPレベルを上昇させる薬物、LY204002、N6-メルカプトプリンリボシド、及びビンブラスチンが挙げられる。
【0133】
非限定的化学療法薬としては、天然物、例えばビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビノレルビン)、パクリタキセル、エピポドフィロトキシン(epidipodophyllotoxin)(例えば、エトポシド及びテニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン、及びイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシン、酵素(例えば、L-アスパラギンを全身に代謝し、それら自体のアスパラギンを合成する能力がない細胞を取り除くL-アスパラギナーゼ)、抗血小板薬、抗増殖性/抗有糸分裂性アルキル化薬、例えばナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド及び類似体、メルファラン、及びクロランブシル)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、CDK阻害薬(例えば、セリシクリブ、UCN-01、P1446A-05、PD-0332991、ジナシクリブ、P27-00、AT-7519、RGB286638、及びSCH727965)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)と類似体、及びストレプトゾシン)、トラゼン-ダカルバジン(DTIC)、抗増殖性/抗有糸分裂性代謝拮抗薬、例えば葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、ピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、及びシタラビン)、プリン類似体及び関連阻害薬(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2-クロロデオキシアデノシン)、アロマターゼ阻害薬(例えば、アナストロゾール、エキセメスタン、及びレトロゾール)、及び白金配位錯体(例えば、シスプラチン及びカルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬(例えば、トリコスタチン、酪酸ナトリウム、アピシダン、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(hydroamic acid)、ボリノスタット、LBH 589、ロミデプシン、ACY-1215、及びパノビノスタット)、mTor阻害薬(例えば、テムシロリムス、エベロリムス、リダホロリムス、及びシロリムス)、KSP(Eg5)阻害薬(例えば、Array 520)、DNA結合薬(例えば、ザリプシス(Zalypsis))、PI3Kδ阻害薬(例えば、GS-1101及びTGR-1202)、PI3Kδ及びγ阻害薬(例えば、CAL-130)、マルチキナーゼ阻害薬(例えば、TG02及びソラフェニブ)、ホルモン(例えば、エストロゲン)及びホルモン類似体、例えば黄体形成(leutinizing)ホルモン放出ホルモン(LHRH)作動薬(例えば、ゴセレリン、ロイプロリド及びトリプトレリン)、BAFF中和抗体(例えば、LY2127399)、IKK阻害薬、p38MAPK阻害薬、抗IL-6(例えば、CNTO328)、テロメラーゼ阻害薬(例えば、GRN 163L)、オーロラキナーゼ阻害薬(例えば、MLN8237)、細胞表面モノクローナル抗体(例えば、抗CD38(HUMAX-CD38)、抗CS1(例えば、エロツズマブ)、HSP90阻害薬(例えば、17 AAG及びKOS 953)、P13K/Akt阻害薬(例えば、ペリホシン)、Akt阻害薬(例えば、GSK-2141795)、PKC阻害薬(例えば、エンザスタウリン)、FTIs(例えば、Zarnestra(商標))、抗CD138(例えば、BT062)、Torc1/2特異性キナーゼ阻害薬(例えば、INK128)、キナーゼ阻害薬(例えば、GS-1101)、ER/UPR標的薬(例えば、MKC-3946)、cFMS阻害薬(例えば、ARRY-382)、JAK1/2阻害薬(例えば、CYT387)、PARP阻害薬(例えば、オラパリブ及びベリパリブ(ABT-888))、BCL-2拮抗薬が挙げられる。他の化学療法薬としては、メクロレタミン、カンプトテシン、イホスフアミド、タモキシフェン、ラロキシフェン、ゲムシタビン、ナベルビン、ソラフェニブ、又は前述のもののいずれかの類似又は誘導異型が挙げられる。
【0134】
本明細書で開示する方法、組成物及びキットは、放射線療法、ホルモン療法、手術及び免疫療法と併用可能であり、これらの療法は当業者に周知である。
ステロイド薬の非限定例としては、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタソール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコルト、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラソン、ジフルコルトロン、ジフプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカソン、ホルモコルタール、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタソール、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、メドリソン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルバート、プレドニゾロン、25-ジエチルアミノ酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバール、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、並びにその塩及び/又は誘導体が挙げられる。特定実施形態では、本発明の化合物は、悪心を治療する追加の医薬的に活性な薬剤と併用することもできる。悪心を治療するために使用できる薬剤の例としては、ドロナビノール;グラニセトロン;メトクロプラミド;オンダンセトロン;及びプロクロルペラジン;又はその医薬的に許容される塩が挙げられる。
【0135】
一部の実施形態では、対象者に投与される1種以上の追加治療薬は、1種以上のPD-1拮抗薬、PD-L1拮抗薬、EGFR阻害薬、MEK阻害薬、PI3K阻害薬、AKT阻害薬、TOR阻害薬、Mcl-1阻害薬、BCL-2阻害薬、SHP2阻害薬、プロテアソーム阻害薬、及び免疫療法薬、例えばモノクローナル抗体、免疫調節イミド(IMiD)、抗PD-1、抗PDL-1、抗CTLA4、抗LAG1、及び抗OX40薬、GITR作動薬、CAR-T細胞、及びBiTE等を含む。プロテアソーム阻害薬としては、限定するものではないが、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、及びオプロゾミブが挙げられる。モノクローナル抗体としては、限定するものではないが、Darzalex(登録商標)(ダラツムマブ)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、及びEylea(登録商標)( アフリベルセプト)が挙げられる。一部の実施形態では、1種以上の追加治療薬は、ベバシズマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、PDR001、REGN2810 (SAR-439684)、BGB-A317、BI 754091、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、MEDI0680 (AMP-514)、MGA-012、PF-06801591、REGN-2810、TSR-042、アテゾリズマブ、アベルマブ、CX-072、デュルバルマブ、FAZ053、LY3300054、PD-L1ミラモレキュール、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、LY3300054、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、β-ヒドロキシβ-メチルブチラート、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブセレリン、ブスルファン、カンポテシン、カペシタビン、カルフィルゾミブ、カルボプラチン、カルムスチン、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロナート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デランゾミブ、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ジスルフィラム、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピガロカテキン-3-ガラート、エピルビシン、エポキソミシン、エストラジオール、エストラムヌスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、イキサゾミブ、マリゾミブ、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オプロゾミブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロナート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、スラミン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、又はその組み合わせを含む。
一部の実施形態では、本方法は、標準的な治療及び本明細書で開示するシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)(又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体)を、それを必要とする対象者の多発性骨髄腫を治療するために投与することを含む。標準的な治療は、例えば、1種以上のプロテアソーム阻害薬(例えば、Velcade(ボルテゾミブ)、Kyprolis(カルフィルゾミブ)、及びNinlaro(イキサゾミブ)、β-ヒドロキシβ-メチルブチラート、デランゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン-3-ガラート、エポキソミシン、マリゾミブ、及びオプロゾミブ)を含み得る。
【0136】
キット、組成物及び投与方法
一部の実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、及びキットの使用を指示するラベルを含むキットを提供する。一部の実施形態では、ラベルは、キットが対象者の増殖性疾患、例えば癌の治療用であることを示す。一部の実施形態では、ラベルは、キットが対象者の増殖性疾患、例えば癌の予防用であることを示す。一部の実施形態では、ラベルは、増殖性疾患の1つ以上の症状の軽減用、又は増殖性疾患の1つ以上の症状の発生の予防若しくは遅延用であることを示す。一部の実施形態では、ラベルは、増殖性疾患の発生の予防又は遅延用であることを示す。一部の実施形態では、方法、組成物及びキットは、線維症(例えば、癌関連線維症)の予防、線維症(例えば、癌関連線維症)の治療、線維症の量の減少、線維症の発生の遅延、線維症形成の減少若しくは抑制、線維症の回復、又はその任意の組み合わせが可能である。
一部の実施形態では、増殖性疾患の治療、増殖性疾患の予防で使用するため、増殖性疾患の1つ以上の症状の軽減のため、又は増殖性疾患の1つ以上の症状の発生の予防若しくは遅延のための、本明細書で開示するシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の1種以上又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む組成物をも提供する。
【0137】
増殖性疾患は、例えば、過剰増殖性疾患であり得る。一部の実施形態では、増殖性疾患は癌である。癌は、原発性癌及び/又は続発性癌であり得る。癌は、固形腫瘍又は液性腫瘍であり得る。一部の実施形態では、癌は、限定するものではないが、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頚癌、結腸癌、胆嚢癌、喉頭癌、肝臓癌、甲状腺癌、胃癌、唾液腺癌、前立腺癌、膵臓癌、メルケル細胞癌、脳及び中枢神経系の癌、並びにその任意の組み合わせを含めた固形腫瘍である。一部の実施形態では、癌は液性腫瘍である。一部の実施形態では、癌は、限定するものではないが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(「DLBCL」)、ホジキンリンパ腫(「HL」)、非ホジキンリンパ腫(「NHL」)、濾胞性リンパ腫(「FL」)、急性骨髄性白血病(「AML」)、及び多発性骨髄腫(「MM」)を含めた血液癌である。
【0138】
線維症は、心臓、肝臓、肺、骨格筋、腎臓、眼、血管、皮膚、脳、骨髄、胃腸管、腹膜、脈管構造、又はその任意の組み合わせを冒す線維症であり得る。一部の実施形態では、線維症は非肝線維症である。線維性障害は、本明細書で開示する線維性障害のいずれであってもよく、限定するものではないが、網膜線維症、角膜線維症、結膜線維症、線維柱帯網の線維症、腎線維症、肺線維症、特発性肺線維症(IPF)、通常型間質性肺炎(UIP)、間質性肺疾患(ILD)、原因不明線維化性肺胞炎(CFA)、閉塞性細気管支炎、気管支拡張症、肝硬変、肝線維症、線維性血管疾患、嚢胞性線維症、肺線維症、特発性肺線維症、筋骨格線維症、腎線維性疾患、HIVと関連するリンパ節線維症、炎症性肺線維症、膵線維症、心臓線維症、血管線維症、心筋線維症、又はその組み合わせが挙げられる。
【0139】
一部の実施形態では、組成物は、シクロスポリンAの誘導体若しくは類似体(例えば、CRV431)、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む安定自己マイクロ乳化薬物送達システム(self-microemulsifying drug delivery system)(「SMEDDS」)製剤である。組成物は、例えば、シクロスポリンAの誘導体(例えば、CRV431)、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体の良好な溶解性を可能にし、ヒトにおける顕著な血液曝露を可能にする。一部の実施形態では、組成物は、さらにポリオキシルヒマシ油(ポリオキシル40硬化ヒマシ油、マクロゴールグリセロールヒドロキシステアラート、及びPEG-40硬化ヒマシ油、例えばCremophor(登録商標)RH40及びKolliphor(登録商標)RH40としても知られる)を含む。一部の実施形態では、組成物は、エタノールを含む。一部の実施形態では、組成物は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、例えばTranscutol(登録商標)としても知られる)を含む。一部の実施形態では、組成物は、プロピレングリコール(PG)を含む。一部の実施形態では、組成物は、グリセリルモノリノレアート、例えばMaisine(登録商標)CCを含む。一部の実施形態では、組成物は、ビタミンEを含む。シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)又はその医薬的に許容される塩を含む種々の医薬組成物/薬物送達システム(例えば、SMEDDS製剤)が、WO 2020/112562として公開され、その内容全体を参照することにより本明細書に援用するPCT特許出願に記載されている。
【0140】
一部の実施形態では、システムは、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノール、及びCremophor(登録商標)RH40を含む。システム中の非シクロスポリンA類似体成分の質量比は、様々な実施形態で異なり得る。一部の実施形態では、システムにおける非シクロスポリンA類似体成分(例えば、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノール、又はCremophor(登録商標)RH40)の、別の非シクロスポリンA類似体成分(例えば、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノール、又はCremophor(登録商標)RH40)に対する質量比は、約0.1と約10の間であり得る。一部の実施形態では、システムにおける非シクロスポリンA類似体成分の、全ての他の非シクロスポリンA成分に対する質量比は、約0.1と約10の間であり得る。一部の実施形態では、システムにおける非シクロスポリンA類似体成分の、別の非シクロスポリンA類似体成分に対する(又は全ての他の非シクロスポリンA成分に対する)質量比は、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2、2.05、2.1、2.15、2.2、2.25、2.3、2.35、2.4、2.45、2.5、2.55、2.6、2.65、2.7、2.75、2.8、2.85、2.9、2.95、3、3.05、3.1、3.15、3.2、3.25、3.3、3.35、3.4、3.45、3.5、3.55、3.6、3.65、3.7、3.75、3.8、3.85、3.9、3.95、4、4.05、4.1、4.15、4.2、4.25、4.3、4.35、4.4、4.45、4.5、4.55、4.6、4.65、4.7、4.75、4.8、4.85、4.9、4.95、5、5.05、5.1、5.15、5.2、5.25、5.3、5.35、5.4、5.45、5.5、5.55、5.6、5.65、5.7、5.75、5.8、5.85、5.9、5.95、6、6.05、6.1、6.15、6.2、6.25、6.3、6.35、6.4、6.45、6.5、6.55、6.6、6.65、6.7、6.75、6.8、6.85、6.9、6.95、7、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、7.4、7.45、7.5、7.55、7.6、7.65、7.7、7.75、7.8、7.85、7.9、7.95、8、8.05、8.1、8.15、8.2、8.25、8.3、8.35、8.4、8.45、8.5、8.55、8.6、8.65、8.7、8.75、8.8、8.85、8.9、8.95、9、9.05、9.1、9.15、9.2、9.25、9.3、9.35、9.4、9.45、9.5、9.55、9.6、9.65、9.7、9.75、9.8、9.85、9.9、9.95、10、又は約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2、2.05、2.1、2.15、2.2、2.25、2.3、2.35、2.4、2.45、2.5、2.55、2.6、2.65、2.7、2.75、2.8、2.85、2.9、2.95、3、3.05、3.1、3.15、3.2、3.25、3.3、3.35、3.4、3.45、3.5、3.55、3.6、3.65、3.7、3.75、3.8、3.85、3.9、3.95、4、4.05、4.1、4.15、4.2、4.25、4.3、4.35、4.4、4.45、4.5、4.55、4.6、4.65、4.7、4.75、4.8、4.85、4.9、4.95、5、5.05、5.1、5.15、5.2、5.25、5.3、5.35、5.4、5.45、5.5、5.55、5.6、5.65、5.7、5.75、5.8、5.85、5.9、5.95、6、6.05、6.1、6.15、6.2、6.25、6.3、6.35、6.4、6.45、6.5、6.55、6.6、6.65、6.7、6.75、6.8、6.85、6.9、6.95、7、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、7.4、7.45、7.5、7.55、7.6、7.65、7.7、7.75、7.8、7.85、7.9、7.95、8、8.05、8.1、8.15、8.2、8.25、8.3、8.35、8.4、8.45、8.5、8.55、8.6、8.65、8.7、8.75、8.8、8.85、8.9、8.95、9、9.05、9.1、9.15、9.2、9.25、9.3、9.35、9.4、9.45、9.5、9.55、9.6、9.65、9.7、9.75、9.8、9.85、9.9、9.95、10、又は少なくとも0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2、2.05、2.1、2.15、2.2、2.25、2.3、2.35、2.4、2.45、2.5、2.55、2.6、2.65、2.7、2.75、2.8、2.85、2.9、2.95、3、3.05、3.1、3.15、3.2、3.25、3.3、3.35、3.4、3.45、3.5、3.55、3.6、3.65、3.7、3.75、3.8、3.85、3.9、3.95、4、4.05、4.1、4.15、4.2、4.25、4.3、4.35、4.4、4.45、4.5、4.55、4.6、4.65、4.7、4.75、4.8、4.85、4.9、4.95、5、5.05、5.1、5.15、5.2、5.25、5.3、5.35、5.4、5.45、5.5、5.55、5.6、5.65、5.7、5.75、5.8、5.85、5.9、5.95、6、6.05、6.1、6.15、6.2、6.25、6.3、6.35、6.4、6.45、6.5、6.55、6.6、6.65、6.7、6.75、6.8、6.85、6.9、6.95、7、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、7.4、7.45、7.5、7.55、7.6、7.65、7.7、7.75、7.8、7.85、7.9、7.95、8、8.05、8.1、8.15、8.2、8.25、8.3、8.35、8.4、8.45、8.5、8.55、8.6、8.65、8.7、8.75、8.8、8.85、8.9、8.95、9、9.05、9.1、9.15、9.2、9.25、9.3、9.35、9.4、9.45、9.5、9.55、9.6、9.65、9.7、9.75、9.8、9.85、9.9、9.95、10、又は少なくとも約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2、2.05、2.1、2.15、2.2、2.25、2.3、2.35、2.4、2.45、2.5、2.55、2.6、2.65、2.7、2.75、2.8、2.85、2.9、2.95、3、3.05、3.1、3.15、3.2、3.25、3.3、3.35、3.4、3.45、3.5、3.55、3.6、3.65、3.7、3.75、3.8、3.85、3.9、3.95、4、4.05、4.1、4.15、4.2、4.25、4.3、4.35、4.4、4.45、4.5、4.55、4.6、4.65、4.7、4.75、4.8、4.85、4.9、4.95、5、5.05、5.1、5.15、5.2、5.25、5.3、5.35、5.4、5.45、5.5、5.55、5.6、5.65、5.7、5.75、5.8、5.85、5.9、5.95、6、6.05、6.1、6.15、6.2、6.25、6.3、6.35、6.4、6.45、6.5、6.55、6.6、6.65、6.7、6.75、6.8、6.85、6.9、6.95、7、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、7.4、7.45、7.5、7.55、7.6、7.65、7.7、7.75、7.8、7.85、7.9、7.95、8、8.05、8.1、8.15、8.2、8.25、8.3、8.35、8.4、8.45、8.5、8.55、8.6、8.65、8.7、8.75、8.8、8.85、8.9、8.95、9、9.05、9.1、9.15、9.2、9.25、9.3、9.35、9.4、9.45、9.5、9.55、9.6、9.65、9.7、9.75、9.8、9.85、9.9、9.95、10、又は最大で0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2、2.05、2.1、2.15、2.2、2.25、2.3、2.35、2.4、2.45、2.5、2.55、2.6、2.65、2.7、2.75、2.8、2.85、2.9、2.95、3、3.05、3.1、3.15、3.2、3.25、3.3、3.35、3.4、3.45、3.5、3.55、3.6、3.65、3.7、3.75、3.8、3.85、3.9、3.95、4、4.05、4.1、4.15、4.2、4.25、4.3、4.35、4.4、4.45、4.5、4.55、4.6、4.65、4.7、4.75、4.8、4.85、4.9、4.95、5、5.05、5.1、5.15、5.2、5.25、5.3、5.35、5.4、5.45、5.5、5.55、5.6、5.65、5.7、5.75、5.8、5.85、5.9、5.95、6、6.05、6.1、6.15、6.2、6.25、6.3、6.35、6.4、6.45、6.5、6.55、6.6、6.65、6.7、6.75、6.8、6.85、6.9、6.95、7、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、7.4、7.45、7.5、7.55、7.6、7.65、7.7、7.75、7.8、7.85、7.9、7.95、8、8.05、8.1、8.15、8.2、8.25、8.3、8.35、8.4、8.45、8.5、8.55、8.6、8.65、8.7、8.75、8.8、8.85、8.9、8.95、9、9.05、9.1、9.15、9.2、9.25、9.3、9.35、9.4、9.45、9.5、9.55、9.6、9.65、9.7、9.75、9.8、9.85、9.9、9.95、10、又は最大で約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2、2.05、2.1、2.15、2.2、2.25、2.3、2.35、2.4、2.45、2.5、2.55、2.6、2.65、2.7、2.75、2.8、2.85、2.9、2.95、3、3.05、3.1、3.15、3.2、3.25、3.3、3.35、3.4、3.45、3.5、3.55、3.6、3.65、3.7、3.75、3.8、3.85、3.9、3.95、4、4.05、4.1、4.15、4.2、4.25、4.3、4.35、4.4、4.45、4.5、4.55、4.6、4.65、4.7、4.75、4.8、4.85、4.9、4.95、5、5.05、5.1、5.15、5.2、5.25、5.3、5.35、5.4、5.45、5.5、5.55、5.6、5.65、5.7、5.75、5.8、5.85、5.9、5.95、6、6.05、6.1、6.15、6.2、6.25、6.3、6.35、6.4、6.45、6.5、6.55、6.6、6.65、6.7、6.75、6.8、6.85、6.9、6.95、7、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、7.4、7.45、7.5、7.55、7.6、7.65、7.7、7.75、7.8、7.85、7.9、7.95、8、8.05、8.1、8.15、8.2、8.25、8.3、8.35、8.4、8.45、8.5、8.55、8.6、8.65、8.7、8.75、8.8、8.85、8.9、8.95、9、9.05、9.1、9.15、9.2、9.25、9.3、9.35、9.4、9.45、9.5、9.55、9.6、9.65、9.7、9.75、9.8、9.85、9.9、9.95、10、又はこれらの値の任意の2つの間の数値若しくは範囲であり得る。例えば、システムは、ビタミンE、Maisine(登録商標)CC、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)、エタノール、及びCremophor(登録商標)RH40を1/1/5/5/2.4/4~1/1.5/2.5/5/2.4/5の質量比で含む。
システムは、例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を、約10mg/mL~約90mg/mL、例えば10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、これらの値の任意の2つの間の範囲、又は10mg/mL~90mg/mL内の任意の値等の濃度で含み得る。一部の実施形態では、システムは、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を約90mg/mLの濃度で含む。一部の実施形態では、システムは、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を70mg/mL又は約70mg/mLの濃度で含む。
【0141】
組成物は、例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)、又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、及び1種以上の医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物であり得る。一部の実施形態では、組成物は、対象者に静脈内投与、鼻腔投与、肺内投与、経口投与、又は非経口投与によって投与される。一部の実施形態では、組成物は、粉末、丸剤、錠剤、マイクロタブレット、ペレット、マイクロペレット、カプセル剤、マイクロタブレット含有カプセル剤、液剤、エアロゾル、懸濁液、又はナノ粒子の形態である。一部の実施形態では、組成物は、対象者に1日1回、2回又は3回投与される。一部の実施形態では、組成物は、対象者に、緊急事態(例えば、手術進行中)に1回又は2回投与される。一部の実施形態では、組成物は、対象者に少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも1週間、又はそれ以上にわたって投与される。一部の実施形態では、組成物は、対象者に、10mg~250mgの、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体の有効な1日用量で投与される。
【0142】
シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の治療的に有効な量及び投与頻度、並びにシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)による治療の長さは、増殖性疾患の性質及び重症度、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の効力、投与モード、対象者の年齢、体重、健康全般、性別及び食事制限、並びに対象者の治療への反応を含めた種々の要因によって決まり、治療医師が決めることができる。一部の実施形態では、増殖性疾患を治療若しくは予防するため、又は本明細書に記載の増殖性疾患の進行を減少させ若しくは抑制するためのシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の治療的に有効な量は、約0.1~200mg、0.1~150mg、0.1~100mg、0.1~50mg、0.1~30mg、0.5~20mg、0.5~10mg若しくは1~10mg(例えば、1日当たり又は1用量当たり)であり、又は治療医師が適切と判断した場合には、単一用量若しくは分割用量で投与できる。一部の実施形態では、増殖性疾患を治療若しくは予防するため、又は本明細書に記載の増殖性疾患の進行を減少させ若しくは抑制するためのシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の治療的に有効な用量(例えば、1日当たり又は1用量当たり)は、約0.1~1mg(例えば、約0.1mg、0.5mg又は1mg)、約1~5mg(例えば、約1mg、2mg、3mg、4mg又は5mg)、約5~10mg(例えば、約5mg、6mg、7mg、8mg、9mg又は10mg)、約10~20mg(例えば、約10mg、15mg又は20mg)、約20~30mg(例えば、約20mg、25mg又は30mg)、約30~40mg(例えば、約30mg、35mg又は40mg)、約40~50mg(例えば、約40mg、45mg又は50mg)、約50~100mg(例えば、約50mg、60mg、70mg、80mg、90mg又は100mg)、約100~150mg(例えば、約100mg、125mg又は150mg)、又は約150~200mg(例えば、約150mg、175mg又は200mg)である。一部の実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の治療的に有効な用量は、1日1回以上(例えば、2回、3回若しくは4回以上)、又は2日若しくは3日に1回、又は1週間に1回、2回若しくは3回、又は治療医師が適切と判断したとおりに投与される。一部の実施形態では、組成物は、治療的又は予防的に有効な量のシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体を含む。
【0143】
シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、不規則な様式で投与することもできる。例えば、30分、1時間、2時間又はそれ以上の期間に1回、2回又は3回、不規則な様式でシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を投与することができる。さらに、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、必要に応じて摂取することができる。例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、規則的であろうと不規則な様式であろうと、疾患状態が改善するまで1、2、3、4、5回又はそれ以上投与することができる。障害/病態からの解放が一旦達成されたら、場合によってはシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の投与を中断することができる。障害/病態が戻った場合、規則的であろうと不規則な様式であろうと、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の投与を再開することができる。シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の適切な投薬量、投与頻度及びシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)による治療の長さは、治療医師が決めることができる。
【0144】
シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を予防的に用いて、増殖性疾患を治療若しくは予防し、又は増殖性疾患の発生を予防し若しくは減少させ、又は増殖性疾患の進行を減少させ若しくは抑制することができる。シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の予防的に有効な量は、本明細書に記載のシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)のいずれの治療的に有効な量でもあり得る。
シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、いずれの適切な経路でも投与することができる。シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の可能性のある投与経路としては、限定するものではないが、経口、非経口(筋肉内、皮下、皮内、血管内、静脈内、動脈内、髄内及びくも膜下腔内を含む)、腔内、腹腔内、及び局所(皮膚/皮膚上、経皮、粘膜、経粘膜、鼻腔内[例えば、鼻スプレー又は点鼻薬による]、眼内[例えば、点眼薬による]、肺[例えば、経口又は経鼻吸入による]、バッカル、舌下、直腸内及び腟内を含む)が挙げられる。一部の実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は経口(例えば、場合によっては腸溶コーティングを有するカプセル剤又は錠剤として)投与される。他の実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は非経口(例えば、静脈内、皮下又は皮内)投与される。さらなる実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は局所(例えば、皮膚、皮膚上、経皮、粘膜、経粘膜、バッカル又は舌下)投与される。
【0145】
一部の実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、食物なしで投与される。一部の実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、食事の少なくとも約1時間又は2時間前又は後に投与される。一部の実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、夕食後少なくとも約2時間で投与される。シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、実質的に食事と同時に(例えば、食事の前若しくは後約0.5、1若しくは2時間以内、又は食事と共に)摂取することもできる。
シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の治療レベルのより迅速な確立が望ましい一部の実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、負荷用量の投与後に、(i)1以上の追加負荷用量、次に1以上の治療的に有効な維持用量が投与され、又は(ii)治療医師が適切と判断した場合には、追加の負荷用量なしで1以上の治療的に有効な維持用量が投与される投与計画のもとで投与される。薬物の負荷用量は、典型的にその後の維持用量より多く(例えば、約1.5、2、3、4又は5倍多い)、より迅速に薬物の治療レベルを確立するようにデザインされる。1以上の治療的に有効な維持用量は、本明細書に記載のいずれの治療的に有効な用量であってもよい。一部の実施形態では、負荷用量は、維持用量より約3倍多い。一部の実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の負荷用量の投与後、適切な時間後(例えば、約12又は24時間後)及びその後、治療の持続期間にわたって維持用量のシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)が投与される。例えば、負荷用量のシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)が1日目に投与され、2日目及びその後治療の持続期間にわたって維持用量が投与される。一部の実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、1日目に約1.5、3、15又は30mg(例えば、3×約0.5、1、5又は10mg)の負荷用量で経口(例えば、錠剤として)投与された後、約0.5、1、5又は10mgの維持用量が、経口で(例えば、錠剤として)1日1回、場合によっては就寝前に、少なくとも約2週間、1カ月(4週間)、6週間、2カ月、10週間、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、1年、1.5年、2年、3年又はそれ以上(例えば、少なくとも約6週間、2カ月、3カ月又は6カ月)にわたって投与される。一部の実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、1日目に約15mg(例えば、3×約5mg)の負荷用量で経口(例えば、錠剤として)投与された後、約5mgの維持用量が、経口で(例えば、錠剤として)1日1回、場合によっては就寝前に、少なくとも約2週間、1カ月、6週間、2カ月、3カ月、6カ月、1年、1.5年、2年、3年又はそれ以上(例えば、少なくとも約6週間、2カ月、3カ月又は6カ月)にわったて投与される。
一部の実施形態では、最初の負荷用量のシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)が1日目に投与され、2回目の負荷用量が2日目に投与され、維持用量が3日目及びその後治療の持続期間にわたって投与される。一部の実施形態では、最初の負荷用量は、維持用量より約3倍多く、2回目の負荷用量は、維持用量より約2倍多い。
【0146】
本明細書で開示するように、治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))は、生理学的に許容される表面活性剤、担体、希釈剤、賦形剤、平滑剤、懸濁剤、膜形成物質、コーティング助剤、又はその組み合わせを含む医薬組成物での投与用に製剤され得る。一部の実施形態では、治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))は、医薬的に許容される担体又は希釈剤と共に投与するために製剤される。治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))は、医薬分野においてルーチン的である標準的な医薬的に許容される担体及び/又は賦形剤を含む薬物として製剤され得る。製剤の正確な性質は、所望の投与経路を含めたいくつかの要因によって決まる。一部の実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、経口、静脈内、胃内、血管内又は腹膜内投与用に製剤される。標準的な医薬製剤技術は、例えば参照することによりその全体を本明細書に援用するRemington's The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., Lippincott Williams & Wilkins (2005)に開示された技術を利用することができる。
【0147】
用語「医薬的に許容される担体」又は「医薬的に許容される賦形剤」には、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤、抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等が含まれる。医薬活性物質のために該媒体及び薬剤を使用することは技術上周知である。いずれの通常の媒体又は薬剤も活性成分と不適合性でない限り、治療組成物でのその使用が企図される。さらに、当該技術分野で一般的に使用されるような種々のアジュバンを含めてよい。医薬組成物に種々の成分を含めるために考慮すべき事項は、例えば、参照することによりその全体を本明細書に援用するGilman et al. (Eds.) (1990); Goodman and Gilman' s: The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Ed., Pergamon Pressに記載されている。
医薬的に許容される担体又はその成分として役立ち得る物質のいくつかの例は、糖、例えばラクトース、グルコース及びスクロース;デンプン、例えばトウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;セルロース及びその誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;固体滑沢剤、例えばステアリン酸及びステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;植物油、例えばピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コム油(com oil)及びカカオ脂;ポリオール、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチルエングリコール;アルギン酸;乳化剤、例えばTWEENS;湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム;着色剤;香味剤;錠剤化剤、安定剤;抗酸化剤;防腐剤;発熱性物質除去水;等張食塩水;及びリン酸緩衝液である。
対象治療薬と併用すべき医薬的に許容される担体の選択は、基本的に組成物が投与される方法によって決まる。
【0148】
本明細書に記載の組成物は、好ましくは単位剤形で提供される。本明細書で使用する場合、「単位剤形」は、良い医療行為に従って、動物、好ましくは哺乳動物対象者に、単一用量で投与するのに適した量の治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))を含有する組成物である。しかしながら単一又は単位剤形の調製は、その剤形が1日1回又は治療コース当たり1回投与されることを意味しない。該剤形は、1日1回、2回、3回若しくはそれ以上投与されるよう企図され、ある時間(例えば、約30分から約2~6時間まで)にわたる注入として投与され、又は連続注入として投与されてよく、かつ治療コース中に複数回与えられることもあるが、単回投与が明確に排除されるわけではない。熟練職人であれば、該製剤は、治療の全コースを明確に企図するものではなく、該判断は製剤よりむしろ治療の当業者のために残されていることを認識する。
【0149】
上述したように有用な組成物は、種々の投与経路、例えば、経口、経鼻、直腸、局所(経皮を含む)、眼、脳内、頭蓋内、くも膜下腔内、動脈内、静脈内、筋肉内、又は他の非経口(parental)投与経路に適した種々の形態のいずれであってもよい。熟練職人であれば、経口及び経鼻組成物には、吸入によって投与される組成物が含まれ、利用可能な方法論を用いて作られることを理解する。望まれる特定投与経路に応じて、技術上周知の種々の医薬的に許容される担体を使用してよい。医薬的に許容される担体としては、例えば、固体若しくは液体フィラー、希釈剤、ヒドロトロピー、表面活性剤、及び被包物質が挙げられる。実質的に治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))の阻害活性を妨害しない任意的な医薬的に活性な材料を含めてもよい。治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))と組み合わせて用いる担体の量は、治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))の単位用量当たりの投与のために実用的量の材料を与えれば十分である。本明細書に記載の方法に有用な剤形を作製するための技術及び組成物は、参照することにより本明細書に援用する下記参考文献に記載されている:Modern Pharmaceutics, 4th Ed., Chapters 9 and 10 (Banker & Rhodes, editors, 2002);Lieberman et al, Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets (1989)、及びAnsel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 8th Edition (2004)。
【0150】
錠剤、カプセル剤、及び顆粒剤のような固体形態を含め、種々の経口剤形を使用することができる。錠剤は、適切な結合剤、潤沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、流れ誘導剤、及び溶融剤を含有する、圧縮された粉薬錠剤、腸溶錠、糖衣錠、フィルムコート錠、又は多重圧縮錠剤であり得る。液体経口剤形には、適切な溶媒、防腐剤、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味料、溶融剤、着色剤及び香味剤を含有する水溶液、エマルション、懸濁液、非発泡性顆粒から再構成される溶液及び/又は懸濁液、並びに発泡性顆粒から再構成される発泡性製剤が含まれる。
経口投与用単位剤形の調製に適した医薬的に許容される担体は技術上周知である。錠剤は、典型的に不活性な希釈剤として通常の医薬的に適合性のアジュバント、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース及びセルロース;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン及びスクロース;崩壊剤、例えばデンプン、アルギン酸及びクロスカルメロース;潤沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びタルクを含む。二酸化ケイ素等の流動促進剤を用いて粉末混合物の流れ特性を改善することができる。外観のためFD&C色素等の着色剤を添加することができる。甘味料及び香味剤、例えばアスパルテーム、サッカリン、メントール、ペッパーミント、及び果実フレーバーは、咀嚼錠に有用なアジュバントである。カプセル剤は、典型的に1種以上の上記固体希釈剤を含む。担体成分の選択は、重要でない味覚、コスト、及び貯蔵性のような二次的考慮事項によって決まり、当業者なら容易に行うことができる。
【0151】
経口組成物には、溶液、エマルション、懸濁液等も含まれる。該組成物の調製に適した医薬的に許容される担体は技術上周知である。シロップ剤、エリキシル剤、エマルション及び懸濁液用担体の典型的成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトール及び水が挙げられる。懸濁液については、典型的懸濁剤として、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、AVICEL RC-591、トラガント及びアルギン酸ナトリウム;典型的湿潤剤としては、レシチン及びポリソルベート80があり;典型的防腐剤としては、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウムがある。経口液体組成物は、上記甘味料、香味剤及び着色料等の1種以上の成分を含有してもよい。
【0152】
対象治療薬の送達システムを達成するために有用な他の組成物としては、舌下、バッカル及び経鼻剤形がある。該組成物は典型的に可溶性フィラー物質、例えばスクロース、ソルビトール及びマンニトール;並びに結合剤、例えばアラビアガム、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの1種以上を含む。上記流動促進剤、潤沢剤、甘味料、着色料、抗酸化剤及び香味剤を含めてもよい。
局所使用のためには、本明細書で開示する治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))を含有するクリーム、軟膏、ゲル、溶液又は懸濁液等が利用される。局所製剤は、一般的に医薬担体、共溶媒、乳化剤、浸透促進剤、防腐系、及び皮膚軟化剤を含んでよい。
【0153】
静脈内投与のために、本明細書に記載の治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))及び組成物を、医薬的に許容される希釈剤、例えば生理食塩水又はデキストロース溶液に溶解又は分散させてよい。限定するものではないが、例えばNaOH、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HC1、及びクエン酸等の適切な賦形剤を含めて所望のpHを達成し得る。種々の実施形態では、最終組成物のpHは、2~8、好ましくは4~7の範囲である。抗酸化賦形剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、アセトン亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルホキシラート、チオウレア、及びEDTAが挙げられる。最終静脈内組成物に見られる適切な賦形剤の他の非限定例としては、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、並びに炭水化物、例えばデキストロース、マンニトール、及びデキストランが挙げられる。さらなる許容される賦形剤は、Powell, et al., Compendium of Excipients for Parenteral Formulations, PDA J Pharm Sci and Tech 1998, 52 238-31 1及びNema et al., Excipients and Their Role in Approved Injectable Products: Current Usage and Future Directions, PDA J Pharm Sci and Tech 2011, 65 287-332に記載されている。両文献は、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。限定するものではないが、例えばフェニル水銀硝酸塩、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、及びクロロブタノール等の抗菌剤を含めて、静細菌性又は静真菌性溶液を得てもよい。
【0154】
投与の少し前に滅菌水、生理食塩水又は水中デキストロース等の適切な希釈剤で再構成される1種以上の固体の形態で介護者に静脈内投与用組成物を提供してよい。他の実施形態では、組成物は、すぐに非経口投与できる溶液で提供される。さらに他の実施形態では、組成物は、投与前にさらに希釈される溶液で提供される。本明細書に記載の治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))と別の薬剤の組み合わせを投与することを含む実施形態では、組み合わせを混合物として介護者に提供してよく、又は介護者が投与前に2つの薬剤を混合してよく、又は2つの薬剤を別々に投与してもよい。
非ヒト動物研究では、可能性のある製品の適用をより高い投薬量レベルで開始し、もはや所望効果が達成されないか又は有害な副作用が消失するまで投薬量を減らしていく。投薬量は、所望効果及び治療指標に応じて、広い範囲であり得る。典型的に、投薬量は、約0.1mg/kg(体重)と4000mg/kg(体重)の間、好ましくは、約80mg/kg(体重)と1600mg/kg(体重)の間であり得る。或いは当業者なら分かるように、患者の表面積に基づいて投薬量を計算することができる。
【0155】
治療すべき状態の重症度及び反応性によっては、数日から数週間持続する治療の経過と共に又は治癒がもたらされるか若しくは疾患状態の減少が達成されるまで、投薬が徐放組成物の単一投与であることもある。投与すべき組成物の量は、当然に、治療される被検者、苦痛の重症度、投与方法、処方医師の判断を含めた多くの要因によって決まることになる。本明細書で開示する治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))又は治療薬の組み合わせを1日当たり患者の体重1kg当たり0.1mg~4000mgの用量で経口投与又は注射によって投与してよい。成人の用量範囲は、一般的に1g~100g/日である。錠剤又は個別単位で提供される他の提示形態は、便宜上、該投薬量で有効であるか又は複数の同じ例えば、1g~60g(例えば、約5g~20g、約10g~50g、約20~40g、又は約25g~35g)を含有する単位として有効である量の、本明細書で開示する治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))又は治療薬の組み合わせを含有する。患者に投与される治療薬の正確な量は主治医の責任である。しかしながら、使用用量は、患者の年齢及び性別、治療される正確な障害、及びその重症度を含めた多数の要因によって決まることになる。さらに、投与経路は、状態及びその重症度に応じて異なり得る。治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))の典型的用量は、該パラメーターに応じて、体重1kg当たり0.02g~1.25g、例えば体重1kg当たり0.1g~0.5gであり得る。一部の実施形態では、治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))の投薬量は、1g~100g、例えば、10g~80g、15g~60g、20g~40g、又は25g~35gであり得る。医師は、いずれの特定対象者についても治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))の所要投薬量を決めることができる。
【0156】
本明細書で開示する治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))又は治療薬の組み合わせの医薬組成物のための的確な製剤、投与経路及び投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師が選択することができる。典型的に、患者に投与される組成物の用量範囲は、患者の体重1kg当たり約0.1~約4000mgであり得る。投薬量は、患者の必要に応じて、1日以上の経過中に与えられる単一投薬量又は一連の2以上の投薬量であり得る。少なくともいくつかの状態について治療薬のヒト投薬量が確立されている場合には、本開示は、それらの同じ投薬量、又は確立されたヒト投薬量の約0.1%と約5000%の間、さらに好ましくは約25%と約1000%の間の投薬量を使用することになる。新たに発見された医薬化合物の場合のように、ヒト投薬量が確立されていない場合、適切なヒト投薬量は、ED50若しくはID50値から、又は動物の毒性研究及び有効性研究によって認定されるin vitro若しくはin vivo研究から導かれる他の適切な値から推測することができる。
【0157】
主治医は、毒性又は臓器不全のため、どのように及びいつ投与を停止、中断、又は調整するかが分かることに留意すべきである。逆に、主治医は、臨床反応が適切でなかった(毒性を排除しなかった)場合に、より高いレベルに治療を調整することも知っている。興味ある障害の管理において投与用量の大きさは、治療すべき状態の重症度及び投与経路によって異なるであろう。状態の重症度は、例えば、標準的な予後評価方法によって、部分的に評価し得る。さらに、用量及びおそらく投薬回数は、個々の患者の年齢、体重、及び反応によっても異なる。上記プログラムに匹敵するプログラムを獣医学で使用してよい。
的確な投薬量は、薬物ごとに決められるが、ほとんどの場合、投薬量に関してある程度一般化することができる。医薬的に許容される塩の投与の場合、投薬量は遊離塩基として計算してよい。一部の実施形態では、組成物は、1日1~4回投与される。或いは本明細書で開示する組成物は、連続静脈内注入によって、例えば、1日当たり100gまでの各活性成分の用量で投与され得る。当業者には明らかなように、ある一定の状況では、特に侵襲性の疾患又は感染症を効果的かつ積極的に治療するため、本明細書で開示する組成物を上記好ましい投薬量範囲を超え、又はさらにずっと超える量で投与する必要があり得る。一部の実施形態では、本明細書で開示する治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))又は治療薬の組み合わせは、連続治療の期間にわったて、例えば1週間以上にわたって、又は数カ月若しくは数年にわたって投与されることになる。
【0158】
一部の実施形態では、本明細書で開示する治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))又は治療薬の組み合わの投与計画は、例えば、少なくとも約1週間~少なくとも約4週間、少なくとも約4週間~少なくとも約8週間、少なくとも約4週間~少なくとも約12週間、少なくとも約4週間~少なくとも約16週間、又はそれ以上の期間であり得る期間にわたって実施される。本明細書で開示する治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))又は治療薬の組み合わの投与計画は、1日3回、1日2回、毎日、1日置き、1週間に3回、1週間置き、月3回、月1回、実質的に連続的又は連続的に実施し得る。
シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、単独で又は組成物(例えば、医薬組成物)の形態で投与し得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形、プロドラッグ又は代謝物、及び1種以上の医薬的に許容される担体又は賦形剤を含む。組成物は、任意に、本明細書に記載の1種以上の追加治療薬を含有し得る。医薬組成物は、治療的に有効な量の治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))及び1種以上の医薬的に許容される担体又は賦形剤を含み、治療的使用のための対象者への投与用に製剤される。医薬組成物の内容という意味では、用語「治療薬」、「活性成分」、「活性薬」及び「薬物」は、プロドラッグを包含する。
【0159】
医薬組成物は、実質的に純粋な形態で治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))を含有する。一部の実施形態では、治療薬の純度は、少なくとも約95%、96%、97%、98%又は99%である。一部の実施形態では、治療薬の純度は、少なくとも約98%又は99%である。さらに、医薬組成物は、実質的に汚染物質又は不純物を含まない。一部の実施形態では、医薬組成物中の残留溶媒以外の汚染物質又は不純物のレベルは、意図した活性成分及び不活性成分の合計質量に対して約5%、4%、3%、2%又は1%以下である。一部の実施形態では、医薬組成物中の残留溶媒以外の汚染物質又は不純物のレベルは、意図した活性成分及び不活性成分の合計質量に対して約2%又は1%以下である。医薬組成物は、一般的に、例えば、Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)§501(a)(2)(B)及びInternational Conference on Harmonisation Q7 Guidelineによって推奨及び要求されるように、現在の適正製造基準(GMP)に従って調製される。
【0160】
医薬的に許容される担体及び賦形剤には、医薬的に許容される材料、ビヒクル及び物質が含まれる。賦形剤の非限定例としては、液体及び固体フィラー、希釈剤、結合剤、潤沢剤、流動促進剤、可溶化剤、界面活性剤、分散剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、懸濁剤、増粘剤、溶媒、等張剤、緩衝剤、pH調整剤、安定剤、防腐剤、抗酸化剤、抗菌剤、抗細菌剤、抗真菌剤、吸収遅延剤、甘未剤、香味剤、着色剤、アジュバント、被包材及びコーティング材が挙げられる。医薬製剤に該賦形剤を使用することは技術上周知である。例えば、通常のビヒクル及び担体としては、限定するものではないが、油(例えば、植物油、例えばゴマ油)、水性溶媒(例えば、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水[PBS]及び等張溶液[例えば、リンゲル溶液])、及び溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド[DMSO]及びアルコール[例えば、エタノール、グリセロール及びプロピレングリコール])が挙げられる。いずれの通常の担体又は賦形剤も活性成分と不適合性でない限り、本開示は、治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431))を含有する製剤における通常の担体及び賦形剤の使用を包含する。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., Lippincott Williams & Wilkins (Philadelphia, Pennsylvania [2005]);Handbook of Pharmaceutical Excipients, 5th Ed., Rowe et al., Eds., The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association (2005);Handbook of Pharmaceutical Additives, 3rd Ed., Ash and Ash, Eds., Gower Publishing Co. (2007);及びPharmaceutical Preformulation and Formulation, Gibson, Ed., CRC Press (Boca Raton, Florida, 2004)を参照されたい。
【0161】
適切な製剤は、種々の要因、例えば選択した投与モードによって決まり得る。シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を含む医薬組成物の投与の可能性のあるモードとしては、限定するものではないが、経口、非経口(筋肉内、皮下、皮内、血管内、静脈内、動脈内、腹腔内、髄内、くも膜下腔内及び局所を含む)、腔内、及び局所(皮膚/皮膚上、経皮、粘膜、経粘膜、鼻腔内[例えば、鼻スプレー又は点鼻薬による]、肺内[例えば、経口又は経鼻吸入による]、バッカル、舌下、直腸内[例えば、坐剤による]、及び膣内[例えば、坐剤による])が挙げられる。
例として、経口投与に適したシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の製剤は、例えば、ボーラス;錠剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤又はロレンジ剤として;粉末又は顆粒として;半固体、舐剤、ペースト又はゲルとして;水性液体及び/又は非水性液体中の溶液又は懸濁液として;又は水中油液体エマルション若しくは油中水液体エマルションとして提供され得る。
【0162】
錠剤は、例えば、フィラー又は不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース、マンニトール又は微結晶性セルロース)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチン、アラビアガム、アルギン酸若しくはその塩、又は微結晶性セルロース)、潤沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク又は二酸化ケイ素)、及び崩壊剤(例えば、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム又はコロイダルシリカ)、及び場合によっては界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)との混合物にシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を含有することができる。錠剤は、無コートであってよく、又は例えば、胃の酸性環境から活性成分を保護する腸溶コーティングで、又は胃腸管内での活性成分の崩壊及び吸収を遅延させ、それによってより長い期間にわたる持続性作用を与える材料でコーティングされ得る。一部の実施形態では、錠剤は、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)、マンニトール、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム及びラウリル硫酸ナトリウム、並びに場合によってはラクトース一水和物を含み、錠剤は、場合によってはフィルムコーティング(例えば、Opadry(登録商標)で)される。
【0163】
プッシュフィットカプセル剤又はツーピースハードゼラチンカプセル剤は、例えば、フィラー又は不活性な固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン又はラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)、流動促進剤又は潤沢剤(例えば、タルク又はステアリン酸マグネシウム)、及び崩壊剤(例えば、クロスポビドン)、並びに場合によっては安定剤及び/又は防腐剤との混合物にシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を含有し得る。ソフトカプセル剤又はシングルピースゼラチンカプセル剤のためには、適切な液体(例えば、液体ポリエチレングリコール又は油媒体、例えば脂肪油、ピーナッツ油、オリーブ油又は液体パラフィン)にシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を溶解又は懸濁させることができ、液体充填カプセル剤は、1種以上の他の液体賦形剤又は/及び半固体賦形剤、例えば安定剤又は/及び両親媒性薬剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール又はソルビトールの脂肪酸エステル)を含有し得る。
【0164】
水性液体若しくは/及び非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として、又は水中油液体エマルション若しくは油中水液体エマルションとして経口投与用組成物を製剤することもできる。シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の分散性粉末又は顆粒を水性液体、有機溶媒又は/及び油及び任意の適切な賦形剤(例えば、分散剤、湿潤剤、懸濁剤、乳化剤又は/及び防腐剤の任意の組み合わせ)の任意の適切な組み合わせと混合して、溶液、懸濁液又はエマルションを形成することができる。
シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を注射又は注入による非経口投与用に製剤して、胃腸吸収及び初回通過代謝を回避することもできる。代表的な非経口投与経路は、静脈内経路である。
【0165】
静脈内投与のさらなる利点としては、迅速な全身作用を達成するための治療薬の体循環への直接投与、並びに必要に応じて薬剤を連続的又は/及び大量に投与する能力がある。注射又は注入用製剤は、例えば、油性又は水性ビヒクル中の溶液、懸濁液又はエマルションの形態であってよく、懸濁剤、分散剤又は/及び安定剤等の賦形剤を含有することができる。例えば、水性又は非水性(例えば、油性)の無菌注射液は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤及び製剤に対象者の血液との等張性を与える溶質のような賦形剤と共にシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を含有し得る。水性又は非水性の無菌懸濁液は、懸濁剤及び増粘剤、並びに場合によっては安定剤及びシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の溶解度を高めてより濃縮された溶液又は懸濁液の調製を可能にする薬剤のような賦形剤と共にシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を含有し得る。別の例として、注射又は注入(例えば、皮下又は静脈内)用の無菌水溶液は、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)、NaCl、緩衝剤(例えば、クエン酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、メタ-クレゾール)、及び場合によってはpHを調整するための塩基(例えば、NaOH)又は/及び酸(例えば、HC1)を含有し得る。
【0166】
局所投与のため、例えば、バッカル錠若しくは舌下錠又は丸剤としてシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を製剤することができる。バッカル錠若しくは舌下錠又は丸剤は、初回通過代謝を回避し、胃腸吸収を迂回し得る。体循環中にそれをより迅速に取り込むためにシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)のより速い放出を実現するようにバッカル錠若しくは舌下錠又は丸剤をデザインすることができる。治療的に有効な量のシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)に加えて、バッカル錠若しくは舌下錠又は丸剤は、限定するものではないが、フィラー及び希釈剤(例えば、マンニトール及びソルビトール)、結合剤(例えば、炭酸ナトリウム)、湿潤剤(例えば、炭酸ナトリウム)、崩壊剤(例えば、クロスポビドン及びクロスカルメロースナトリウム)、潤沢剤(例えば、二酸化ケイ素[コロイド状二酸化ケイ素を含む]及びフマル酸ステアリルナトリウム)、安定剤(例えば、炭酸水素ナトリウム)、香味剤(例えば、スペアミントフレーバー)、甘未剤(例えば、スクラロース)、及び着色剤(例えば、黄色酸化鉄)の任意の組み合わせを含めた適切な賦形剤を含有することができる。
【0167】
局所投与のため、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を鼻腔内投与用に製剤することもできる。鼻粘膜は、大表面積、多孔性内皮、高血管性上皮下層及び高吸収率を与えるので、高いバイオアベイラビリティを可能にする。さらに、鼻腔内投与は、初回通過代謝を回避し、かなりの濃度のシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を中枢神経系に導入することができ、迷走神経求心性神経が終結する延髄の咳中枢において孤束核による中枢咳反射をシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)が遮断できるようにする。鼻腔内溶液又は懸濁液製剤は、溶解度向上剤(例えば、プロピレングリコール)、湿潤剤(例えば、マンニトール又はソルビトール)、緩衝剤及び水、並びに場合によっては防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)、粘膜付着剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)又は/及び浸透促進剤のような賦形剤と共にシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を含み得る。一部の実施形態では、鼻スプレー製剤は、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)、微結晶性セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストロース及び水、並びに場合によってはpHを調整するための酸(例えば、HC1)を含む。限定するものではないが、ドロッパー、ピペット、又は例えば、定量噴霧スプレーポンプを用いるスプレーを含め、いずれの適切な手段によっても鼻腔内溶液又は懸濁液製剤を鼻腔に投与することができる。さらなる局所投与モードは、経口吸入及び経鼻吸入を含めた肺内投与である。
【0168】
一部の実施形態では、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)は、徐放組成物から送達される。本明細書で使用する場合、用語「徐放(sustained-release)組成物」は、徐放、持続放出(prolonged-release、extended-release、slow-release)及び制御放出組成物、システム及びデバイスを包含する。徐放組成物の使用は、治療的に有効な量の薬物又はその活性代謝物の長期間にわたる送達を含め、ある期間にわたって標的部位に送達される薬物又はその活性代謝物の量のプロファイル改善のような利益を有し得る。一部の実施形態では、徐放組成物は、少なくとも約1日、2日、3日、1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月又はそれ以上の期間にわたってシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を送達する。一部の実施形態では、徐放組成物は、薬物被包システム、例えば、生分解性ポリマー又は/及びヒドロゲルで作られたナノ粒子、マイクロ粒子又はカプセル等である。一部の実施形態では、徐放組成物はヒドロゲルを含む。ヒドロゲルを構成し得るポリマーの非限定例としては、ポリビニルアルコール、アクリラートポリマー(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム)、並びに比較的多数の親水性基(例えば、ヒドロキシル又は/及びカルボキシラート基)を有する他のホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。一部の実施形態では、徐放薬物被包システムは、膜に囲まれたリザーバーを含み、このリザーバーは薬物を含有し、膜は薬物に対して透過性である。該薬物送達システムは、例えば、経皮パッチの形態であり得る。
【0169】
一部の実施形態では、徐放組成物は、経口剤形、例えば錠剤又はカプセル剤である。例えば、薬物を、不溶性多孔性マトリックス内に、溶解薬物が胃腸管を通って吸収され得る前にマトリックスから出るその道を作るはずであるように埋め込むことができる。或いは、膨潤して、薬物が通って出るゲルを形成するマトリックス内に薬物を埋め込むことができる。徐放は、単層又は多層浸透圧性制御放出経口送達システム(OROS)を手段として達成することもできる。OROSは、半透過性外膜及び中に1つ以上の小さいレーザードリル穴を有する錠剤である。錠剤が体内を通過しながら、浸透により水が半透膜を通って吸収され、結果として生じる浸透圧が錠剤の穴から胃腸管の中へ薬物を押し出し、そこで薬物が吸収され得る。
【0170】
徐放組成物をポリマーナノ粒子又はマイクロ粒子として製剤することができ、ポリマー粒子は、例えば、吸入若しくは注射によって又はインプラントから送達され得る。一部の実施形態では、ポリマーインプラント又はポリマーナノ粒子若しくはマイクロ粒子は、生分解性ポリマーで構成される。一部の実施形態では、生分解性ポリマーは、乳酸又は/及びグリコール酸[例えば、L-乳酸系コポリマー、例えばポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)又はポリ(L-乳酸-co-D,L-2-ヒドロキシオクタン酸)]を含む。例えば、ポリ乳酸又は/及びポリグリコール酸で構成された生分解性ポリマーミクロスフェアは、徐放肺薬物送達システムとして働くことができる。ポリマーインプラント又はポリマーナノ粒子若しくはマイクロ粒子の生分解性ポリマーは、治療期間の終了が予想される頃にポリマーが実質的に完全に分解するように、かつポリマーの分解の副生物、例えばポリマーが生体適合性であるように選択可能である。
【0171】
シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)の遅延放出又は徐放のため、例えば、筋肉内又は皮下的に対象者に移植又は注射できるデポーとして組成物を製剤することもできる。より長期間にわたって、例えば、少なくとも約1週間、2週間、3週間、1カ月、6週間、2カ月、3カ月又はそれ以上の期間にわたってシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を送達するようにデポー製剤をデザインすることができる。例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)をポリマー材料(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ乳酸(PLA)若しくはポリグリコール酸(PGA)、又はそのコポリマー(例えば、PLGA))、疎水性材料(例えば、油中エマルションとして)又は/及びイオン交換樹脂、又は難溶性誘導体(例えば、難溶性塩)と共に製剤することができる。説明に役立つ例として、PLGAで構成された徐放性マイクロ粒子にシクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を組み入れるか又は埋め込み、1カ月続くデポーとして製剤することができる。
【0172】
シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)をマトリックス材料中に含有又は分散させることもできる。マトリックス材料はポリマー(例えば、エチレン-酢酸ビニル)を含んでよく、化合物の溶解又は/及び例えば、リザーバーからの化合物の拡散を制御することによって放出を制御し、リザーバーに包含されながら化合物の安定性を高めることができる。該放出システムを徐放システムとしてデザインすることができ、例えば、経皮又は経粘膜パッチとして形成することができ、化合物の放出を加速できる賦形剤、例えば、化合物のリザーバーからの排出を助ける水膨潤性材料(例えば、ヒドロゲル)を含有し得る。
放出システムは、血漿レベルの時間変化が望ましいときには時間的に調節される放出プロファイル(例えば、パルス放出)を実現し、或いは一定の血漿レベルが望ましいときにはより連続的又は一貫した放出を実現することができる。パルス放出は、個々のリザーバーから又は複数のリザーバーから達成され得る。例えば、各リザーバーが単一パルスを与える場合、複数パルス(「パルス状」放出)は、複数の各リザーバーからの単一パルス放出を重ならないように時間的にずらすことによって達成される。
【0173】
さらに、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を含む医薬組成物を、徐放用にデザインするか否かにかかわらず、例えば、リポソーム、ミセル(例えば、生分解性天然ポリマー又は/及び生分解性合成ポリマー、例えばラクトソームで構成されたもの)、ミクロスフェア、マイクロ粒子又はナノ粒子として製剤することができる。
技術上周知のいずれの適切な様式でも、例えば、従来の混合、溶解、懸濁化、顆粒化、糖衣錠作製、研和(levigating)、乳化、被包、封入又は圧縮プロセスを利用して医薬組成物を製造することができる。
全ての活性成分及び不活性成分を適切なシステム内で混ぜ合わせ、投与すべき組成物を形成するために成分を混合する必要がない単一用量として単位剤形で医薬組成物を提供することができる。単位剤形は、有効用量、又はその適切な分率の治療薬(例えば、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)を含有し得る。単位剤形の代表例としては、経口投与用の錠剤、カプセル剤又は丸剤、及び経口又は経鼻吸入用のバイアル又はアンプル中の粉末が挙げられる。
【0174】
活性成分、賦形剤及び担体(例えば、溶媒)が2つ以上の別々の容器(例えば、アンプル、バイアル、チューブ、ボトル又はシリンジ)で提供され、投与すべき組成物を形成するために混ぜ合わせる必要があるキットとして、本明細書で開示する医薬組成物を提供することができる。キットは、組成物(例えば、静脈内注射すべき溶液)を貯蔵、調製及び投与するための説明書を含有し得る。
キットは、全ての活性成分及び不活性成分を単位剤形に含有するか又は活性成分及び不活性成分を2つ以上の別々の容器に含有することができ、医薬組成物を使用するための説明書を含有し得る。一部の実施形態では、キットは、シクロスポリン類似体(例えば、CRV431)又はその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形、プロドラッグ又は代謝物、及び化合物を投与するための説明書を含む。
【実施例
【0175】
実施例
上記実施形態のいくつかの態様について下記実施例でさらに詳細に開示するが、これらは、決して本開示の範囲を限定する意図ではない。
実施例1
ヒト精密切断肝薄片(PCLS)のCRV431処置
この実施例は、CRV431の抗線維化活性を判定するためにヒトPCLSで行った研究を記述し、全5名のヒトドナーからのPCLSは、TGFβ+PDGF-BB刺激によって分画エリア近辺で7~11%まで増加したいくらかの既存線維症を有することが観察された。CRV431は、TGFβ+PDGF-BB誘発組織線維症の予防における5つのNASH薬物候補のうちで最も有効だった。ほとんどのCRV431処置薄片は、外因性TGFβ+PDGF-BBの非存在下での6日の培養後にビヒクル処置薄片より少ない線維症をも示した。組織線維症減少は、コラーゲン1α1、フィブロネクチン、ヒアルロン酸、IL-6、及びMCP-1の分泌減少、並びにqRT-PCRによって実証されるコラーゲン1α1、αSMA、TIMP1、IL-6、及びMCP-1のRNAレベルの低下を伴った。RNA-Seq分析は、同様にCRV431が、多くの線維症関連遺伝子、例えば10超のコラーゲン遺伝子、コラーゲンヒドロキシラーゼ及びオキシダーゼ、ACTA2、VEGF、及びTIMPs等の発現を減少させることを示した。全てのドナーにおいて200未満の遺伝子の発現がCRV431によって例外なく変化したように、遺伝子発現はドナーによってかなり異なった。これらのパンドナー(pan-donor)の転写変化の多くは、文献に遺伝子に関して記載されている抗NASH、抗線維化、及び抗癌活性と一致した。TGFβ+PDGF-BBの非存在下で例外なくCRV431によって影響を受けた注目すべき遺伝子は、ESM1(RNAが2.2倍減少;-2.2)、NCOA3(-2.7)、IFI44L(-4.8)、mIR-194-2(-7.9)、及びDKK1(RNAが3.8倍増加;+3.8)だった。外因性TGFβ+PDGF-BBの存在下では、例外なくCRV431によって影響を受けた注目すべき遺伝子は、LOXL2(-1.9)、UBD/FAT10(-2.0)、ESM1(-2.6)、STRA6(-3.1)、RCCD1(-3.6)、及びDUOX2(-4.5)だった。如何なる特定の理論によっても束縛されるものではないが、本明細書に記載の結果は、CRV431には線維症形成を予防し、線維症を回復させる能力があることを示唆していると考えられる。
【0176】
肝臓癌の切除術を受けた5名のヒトドナーからPCLSを得た。健康な切除マージンからレプリケート薄片を収集し、実験プロトコルに応じて4又は6日間培養した。非刺激プロトコルでは薄片を6日間培養し、全期間にわたってDMSOビヒクル又は5μMのCRV431で処置した。刺激プロトコルでは薄片を1日休ませてから3日間、サイトカイン、TGFβ及びPDGF-BBを投与して炎症及び線維症を刺激した。刺激プロトコルではTGFβ+PDGF-BBと同時に薬物処置としてDMSOビヒクル、CRV431(1及び5μM)、Alk5i(10μM)、オベチコール酸(5μM)、エラフィブラノール(5μM)、レスメチロム(resmetirom)(5μM)、及びアラムコール(Aramchol)(5μM)を個々に投与した。培地処置薬は毎日交換した。
PCLSについて下記4タイプの評価を行った:(a)炎症及び線維症のバイオマーカーの培地中への分泌、(b)組織線維症の尺度としての組織学的染色及びシリウスレッドの定量化、(c)炎症及び線維症のバイオマーカーのRT-PCRによる遺伝子発現及び(d)完全トランスクリプトームのRNA配列決定(RNA-Seq)。4タイプの各評価について以下に述べる。
【0177】
(a)バイオマーカー分泌。各処置用の二つ組薄片から使用済み培地を毎日収集した。ELISAを利用して単球走化性タンパク質(MCP-1)、インターロイキン-6(IL-6)、メタロプロテイナーゼ1の組織インヒビター(TIMP1)、ヒアルロン酸、フィブロネクチン、及びコラーゲン1α1の分泌を定量化した。各ドナーについて各処置群のバイオマーカー分泌の平均レベルをDMSOビヒクルに対する変化百分率として表し、全てのドナーについて百分率の平均値を出し、最後に全ての評価日から日変化平均百分率を計算した。結果を図1Aに示す(分泌マーカー-日平均変化%)。
(b)シリウスレッド組織学的染色。実験終了時にPCLSを組織学的に処理し、シリウスレッドで染色して組織線維症を実証した。組織学的切片において各処置からの10枚の切片にシリウスレッド染色のある面積百分率として形態計測学的にシリウスレッドを定量化した。非刺激プロトコルではビヒクル群に対してシリウスレッド染色の量を表した。刺激プロトコルでは非刺激PCLS(0%)及びTGFβ+PDGF-BB刺激+ビヒクルPCLS(100%)に対してシリウスレッド染色の量を表した。結果を図1Bに示す(組織線維症に対するシリシウスレッド染色)。
【0178】
(c)RT-PCRによる遺伝子発現。実験終了時に処置毎の二つ組肝薄片からRNAを単離し、炎症及び線維症の5つのマーカー:MCP-1、IL-6、TIMP1、αSMA、及びコラーゲン1α1についてRT-PCRによって評価した。βアクチンを参照遺伝子として用いて各標的遺伝子RNAの相対的レベルを計算した。5μM濃度で適用したCRV431は、Alk5i(TGFβ受容体キナーゼの阻害薬)、ピルフェニドン(IPFのために認可された治療薬)、及びニンテダニブ(IPFのために認可された治療薬)と同様に全てのマーカーの日平均分泌及び遺伝子発現を減少させた。結果を図1C(RT-PCRによる遺伝子)に示す。
(d)RNA-Seqによる遺伝子発現。3名のドナーからのビヒクル及び5μMのCRV431処置群について非刺激及び刺激の両プロトコルから完全トランスクリプトームのRNA配列決定(1サンプル当たり3000万リード)を行った。バイオインフォマティクスソフトウェアプログラムによってデータを分析し、ビヒクル処置とCRV431処置との間で差次的に発現された遺伝子を同定した。
(d)について行う評価のため、4つの異なる処置を受けた3名の異なるドナースライドに相当する12個のサンプルを調べた。この分析では下記比較を行った:(1)TGFb/PDGF+CRV対TGFb/PDGF+Vehicle(V)、及び(2)非刺激+CRV対非刺激+ビヒクル。下表1は、サンプルID及び対応する処置を示す。
【0179】
【表2】
【0180】
全てのサンプルについて品質管理チェックを行った。全てのサンプルは、3000万超のリードを有し、配列中のほとんど全ての塩基について品質平均スコア>35を有した。RNA配列決定の実情では、重複レベルが予想され、同一RNAの異なるコピーがサンプルに存在すると予想される。全てのサンプルは、良い量のリード及び品質を有したので、全てのサンプルは、チェックしたQCをパスし、分析に含められた。
TGFb/PDGF+CRV431対TGFb/PDGF+ビヒクルを群別に比較した。主成分分析(PCA)プロットを作成してサンプルの分布を分析した(図2A)。それは、それらはドナーに基づいてクラスター化するように、ドナーの強い影響を示すが、図2Bに示すようにPCAプロットではそれらは分かれるので、処置間の差もある。
図2CのMAプロットでは、対数倍率変化(log fold change)に対して平均カウントをプロットした。TGFb/PDGF+CRVとTGFb/PDGF+ビヒクルの比較(p値調整<0.05)で異なって発現された有意な遺伝子を赤で示している。
【0181】
TGFb/PDGF+CRVとTGFb/PDGF+ビヒクルの比較のためにヒートマップをも作成して、有意な異なって発現された遺伝子をプロットした(p値調整<0.05、対数倍率変化>0.5)。群内に存在する異なる発現パターンを観察するため、群別にグループ化したサンプルによるヒートマップを図3Aに示す(青=ビヒクル:赤=CRV)。同一の有意な遺伝子をも別のヒートマップにプロットしたが(図3B)、ドナー間の差を観察するために今度はドナー別にグループ化してサンプルをプロットしている(青=ビヒクル;赤=CRV)。
さらに、ボルケーノプロットに有意なヒットをプロットし(図4)、有意な遺伝子を赤でプロットし、それらの対応記号IDを表示した。下方制御及び上方制御はCRV処置に対するものである。
TGFb/PDGF+CRVとTGFb/PDGF+ビヒクルの比較(p値調整>0.05、対数倍率変化>0.5)で同定された有意な異なって発現された遺伝子を下表2に示す。倍率変化は処置(CRV)に対するものである。
【0182】
【表3】

【0183】
PCA分析に示すように、ドナーの強い影響がある。従って各ドナーを個々に分析した。カウント比較をTGFb/PDGF+CRV341対TGFb/PDGF+ビヒクルについてドナー別に行った。最初に、カウント数に差がある遺伝子(TGFb/PDGF+ビヒクル-TGFb/PDGF+CRV)<-300を選択した。従ってビヒクル群はCRV処置より少なくとも300個少ないコピーを有した。言い換えれば、この処置はビヒクルより少なくとも300個多いコピーを有した。各ドナーについて個々にこの選択を行った後、ベン図をプロットして、全3名のドナー間のオーバーラップを示した。図5Aに示すように、117個の遺伝子は、CRV処置サンプルにビヒクル処置サンプルより少なくとも300個多いコピーを有した。
次に、カウント数に差がある(TGFb/PDGF+ビヒクル-TGFb/PDGF+CRV)>300の遺伝子、従ってCRV処置に比べて、ビヒクルサンプルに少なくとも300個多いコピーを有する遺伝子を選択した。つまり、それらは、CVR処置にビヒクルに比べて少なくとも300個少ないコピーを有した。各ドナーについてこの選択を個々に行った後、ベン図をプロットして、全3名のドナー間のオーバーラップを示した。図5Bに示すように、279個の遺伝子は、CRV処置においてビヒクルより少なくとも300個少ないコピーを有した。
【0184】
次に非刺激+CRV431対非刺激+ビヒクルを群別に比較した。主成分分析(PCA)プロットを作成してサンプルの分布を分析した(図6A)。予想どおりに、それらは、処置ではなくドナーに基づいてクラスター化するように、ドナーの強い影響が観察された。しなしながらPCAプロット(図6B)ではそれらは分かれるので処置間に差がある。
図6Cに示すMAプロットのために、対数倍率変化に対して平均カウントをプロットした。非刺激+CRVと非刺激+ビヒクルの比較で異なって発現された有意な遺伝子(enes)を赤で示している(p値調整<0.05)。
非刺激+CRVと非刺激+ビヒクルの比較のために有意な異なって発現された遺伝子をプロットすることによってヒートマップを作成した(p値調整<0.05、対数倍率変化>0.5)。最初に、群内に存在する異なる発現パターンを観察するため、群別にグループ化したサンプルによるヒートマップ(図7A)を示す(青=ビヒクル;赤=CRV)。次に、同じ有意な遺伝子をヒートマップにプロットしたが(図7B)、ドナー間の差を観察するために今度はドナー別にグループ化してサンプルをプロットしている(青=ビヒクル;赤=CRV)。
ボルケーノプロットに有意なヒットをプロットした(図8)。有意な遺伝子を赤でプロットし、その対応記号IDを表示する。下方制御及び上方制御遺伝子は処置CRVに対するものである。
非刺激+CRVと非刺激+ビヒクルの比較(p値調整>0.05、対数倍率変化>0.5)で同定された有意な異なって発現された遺伝子を下表3に示す。示した倍率変化は処置CRVに対するものである。
【0185】
【表4】


【0186】
次に非刺激+CRV431対非刺激+ビヒクルをドナー別に比較した。PCAに示すように、ドナーの強い影響があった。そこで、以前の比較と同様に分析を繰り返した。最初に、カウント数に差がある(非刺激+ビヒクル-非刺激+CRV)<-300、従ってビヒクル群がCRV処置より少なくとも300個少ないコピーを有する遺伝子を選択した。言い換えれば、処置CRVにはビヒクルより少なくとも300個多いコピーがあった。各ドナーについて個々にこの選択を行った後、ベン図をプロットして全3名のドナー間のオーバーラップを示した。図9Aに示すように、210個の遺伝子は、CRV処置においてビヒクルより少なくとも300個多いコピーを有した。次に、カウント数に差がある(非刺激+ビヒクル-非刺激+CRV)>300、従ってCRV処置に比べて、ビヒクルサンプルに少なくとも300個多いコピーを有する遺伝子を選択した。つまり、処置群にはビヒクル群に比べて少なくとも300個少ないコピーがある。各ドナーについて個々にこの選択を行った後、ベン図をプロットして全3名のドナー間のオーバーラップを示した。図9Bに示すように、255個の遺伝子は、CRV処置においてビヒクル中より300個以下のコピーを有した。
【0187】
実施例2
ダウノルビシンに対する肝細胞癌のCRV431感作
HepG2肝細胞癌細胞株及びHuh7肝細胞癌細胞株を96ウェルプレートにサブコンフルエント密度で蒔いた。化学療法化合物ダウノルビシン、及びCRV431を各処置について単独で又は組み合わせて指示濃度で二つ組ウェルに加えた。4日のインキュベーション後、細胞生存率をCell Titer Glo 2.0で評価した。
図10A~10Cに示すように、HepG2細胞について、CRV431は、ダウノルビシンの細胞傷害性を上昇させた。CRV431の最強の用量依存的感作効果は、0.37μMのダウノルビシン及び0.25~4μMの範囲の濃度のCRV431で観察された。
図10D~10Fに示すように、Huh7細胞について、CRV431は、ダウノルビシンの細胞傷害性を上昇させた。CRV431の最強の用量依存的感作効果は、0.37μMのダウノルビシン及び1~4μMの範囲の濃度のCRV431で観察された。
【0188】
実施例3
CRV431処置
200mgのストレプトゾトシン(S0130;Sigma-Aldrich)を含む腹腔内注射によって2日齢C57BL/6J雄性マウスにNASHを惹起して膵β細胞を破壊し、糖尿病を誘発し、肝臓内の脂肪症を増進させた。3週齢でマウスを離乳させ、研究の持続期間、60%kcal脂肪を有する高脂肪食(D12492N;Research Diets)を始めた。さらに、ネガティブコントロールとして、通常食(D12450KN;Research Diets)のマウス及びストレプトゾトシンなしのマウスを含めた。CRV431を自己マイクロ乳化薬物ビヒクルに溶かしてからPBSで希釈し、経口胃管栄養法によって50mg/kg/日で毎日投与した。ビヒクル及びCRV431処置の開示時及び持続期間は、研究に応じて異なった。
14週目に調べたマウスの肝臓に腫瘍はなかったが、ビヒクル処置マウスは30週目に広範な腫瘍負荷(tumor load)を有し、14週~30週の間のいつかに肝臓腫瘍が発症したことを示唆している。病理組織学的評価は、腫瘍が細胞的な性質だったので、肝細胞癌を呈した可能性が高いことを示した。さらに、ビヒクルコントロール群では、全てのマウスが肝臓腫瘍を有し、10個の肝臓のうち3個は、直径が1cm以上の小結節を有した。対照的に、20週~30週のCRV431処置は、半数の腫瘍をもたらし、腫瘍は平均してより小さく、CRV431処置マウスの10個の肝臓のうち2個は腫瘍がなかった。腫瘍の数とサイズの組み合わせを反映する採点システムは、CRV431が腫瘍負荷を52%低減させることを明らかにした。腫瘍負荷低減が機構的により低い線維症レベルと関連するか又は細胞へのより大きい直接効果を反映しているかどうかを判断するためにはさらなる研究が必要である。
2つの別々の実験において、処置最後の腫瘍負荷を腫瘍数(図11A及び12A)及び腫瘍の数とサイズに基づく総合スコア(0~7の尺度;図11B及び12B)によって評価した。表4は、それぞれ、ビヒクルによって及びCRV431によって処置した2つの群における腫瘍数及び腫瘍スコアの平均を示す。
【0189】
【表5】
【0190】
前述の実施形態の少なくとも一部では、ある実施形態に用いた1種以上の要素を別の実施形態で互換的に使用することは、該交換が技術的にできなくない限り、可能である。当業者には明らかなように、請求項に係る主題の範囲を逸脱しなければ、上記方法及び構造に種々の他の省略、追加及び修正を行ってよい。全てのこのような修正及び変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される主題の範囲内に入るよう意図される。
本明細書における実質的にいずれの複数及び/又は単数の用語の使用に関しても、当業者なら文脈及び/又は本出願に妥当なように複数から単数に及び/又は単数から複数に置き換えることができる。本明細書では分かりやすくするために種々の単数/複数の置換を明示的に示すことがある。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、複数の言及が含まれる。本明細書におけるいずれの「又は」への言及も、特に明記しない限り「及び/又は」を包含する意図である。
【0191】
一般的に、本明細書、及び特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の主部)で使用する用語は、一般的に「オープンな」用語として企図されることを当業者なら理解するであろう(例えば、用語「含んでいる(including)」は、「…を含んでいるが、それに限定されない」と解釈すべきであり、用語「有する」は、「少なくとも…を有する」と解釈すべきであり、用語「含む(include)」は、「…を含むが、それに限定されない」と解釈すべきである等)。さらに、特定数の導入請求項列挙が意図される場合、該意図は請求項に明示的に列挙されることになり、該列挙の非存在下では該意図は存在しないことを当業者なら理解するであろう。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の用法を含有して請求項列挙を導入してよい。しかしながら、該句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による請求項列挙の導入が、このような導入請求項列挙を含有するいずれの特定の請求項をも、同請求項が導入句「1つ以上」又は「少なくとも1つ」及び不定冠詞、例えば「a」又は「an」を含むときでさえ、1つの該列挙だけを含有する実施形態に限定することになると解釈すべきでなく(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈すべきである);請求項列挙を導入するための定冠詞の使用についても同じことが言える。さらに、特定数の導入請求項列挙がたとえ明示的に記載されているとしても、該列挙は、少なくともその列挙された数を意味すると解釈すべきであることを当業者なら認めるであろう(例えば、他の修飾語のない「2つの列挙」というただそれだけの列挙は、少なくとも2つの列挙、又は2つ以上の列挙を意味する)。さらに、「A、B、及びCの少なくとも1つ等」に類似の慣例を使用する場合、一般的に該構成は、当業者がこの慣例を理解することになるという意味に企図される(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、及び/又はAと、Bと、Cを一緒に有するシステムを含むことになるが、これらに限定されない等)。「A、B、又はCの少なくとも1つ等」に類似の慣例が使用される場合、一般的に該構成は、当業者がこの慣例を理解することになるという意味に企図される(例えば、「A、B、又はCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、及び/又はAと、Bと、Cを一緒に有するシステムを含むことになるが、これらに限定されない等)。さらに、事実上2つ以上の代替用語を提示しているいずれの離接的な語及び/又は句も、本説明、特許請求の範囲、又は図面であろうが、それらの用語の1つの用語、どちらかの用語、又は両方の用語を含む可能性を企図するものと理解すべきであることが当業者なら分かるだろう。
【0192】
さらに、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群の観点から記述されている場合、それによって本開示はマーカッシュ群のいずれの個々のメンバー又はサブグループのメンバーの観点でも記述されていることを当業者なら認識するであろう。
当業者には明らかなように、ありとあらゆる目的で、このような文章化した記述の観点から、本明細書で開示する全ての範囲は、ありとあらゆる可能性のある部分範囲及びその部分範囲の組み合わせをも包含する。いずれの記載した範囲をも十分に記述していると容易に認めることができ、同範囲を少なくとも等しい2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1等に分けることが可能である。非限定例として、本明細書に記載の各範囲を下部3分の1、中部3分の1及び上部3分の1等に容易に分けることができる。同様に当業者には明らかなように、例えば「まで(up to)」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」等の全ての言語は、列挙した数を含み、上述したように、その後サブグループに分けることができる範囲を指す。最後に、当業者には明らかなように、ある範囲には各個々のメンバーが含まれる。従って、例えば、1~3個の項目を有する群は、1、2、又は3個の項目を有する群を指す。同様に、1~5個の項目を有する群は、1、2、3、4、又は5個の項目を有する群を指す等である。
【0193】
本明細書では種々の態様及び実施形態を開示したが、当業者には他の態様及び実施形態が明白であろう。本明細書で開示した種々の態様及び実施形態は説明のためであり、限定する意図ではなく、真の範囲及び精神は、下記特許請求の範囲によって示される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11A
図11B
図12A
図12B
【国際調査報告】