(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】多機能カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20230406BHJP
A61B 1/005 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61B1/00 715
A61B1/005 511
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551704
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(85)【翻訳文提出日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2021075482
(87)【国際公開番号】W WO2021175087
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】202010143001.7
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521375461
【氏名又は名称】マイクロ-テック (ナンジン) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MICRO-TECH (NANJING) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 10, Gaoke Third Road, National New & High Technology Industrial Development Zone, Pukou District, Nanjing, Jiangsu, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ドゥアングイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リ シャオチュン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ フェンリャン
(72)【発明者】
【氏名】グ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】グアン ミンスン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA06
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF26
4C161FF27
4C161FF40
4C161FF43
4C161HH32
4C161LL02
(57)【要約】
マルチルーメン構造のカテーテル本体(1)と遠位管(2)とを含む多機能カテーテルであって、遠位管(2)は近位端に位置するソフトエンド(21)と、遠位端に位置する機能端(22)とを含み、カテーテル本体(1)及びソフトエンド(21)内には作業チャンネル(3)とレンズチャンネル(6)とが設けられ、機能端(22)上にはレンズチャンネル(6)に連通する貫通穴がさらに設けられ、レンズチャンネル(6)はカテーテル本体(1)及びソフトエンド(21)に沿って延在する円形のルーメン構造であり、レンズチャンネル(6)の内壁には複数の収容溝(61)が設けられ、複数の収容溝(61)にレンズアセンブリの光センサチップが収容される、多機能カテーテルが提供される。当該カテーテルはレンズチャンネル(6)の中の複数の収容溝(61)から光センサチップの収容空間を形成できるため、レンズチャンネル(6)の直径を増加させることなくレンズアセンブリを設置することができ、カテーテル全体の直径が短くなるため、消化管よりも複雑な胆道の環境にも適用できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチルーメン構造であるカテーテル本体(1)と、
前記カテーテル本体(1)の遠位端に接続されるマルチルーメン構造の遠位管(2)と、を含み、
前記カテーテル本体(1)及び遠位管(2)内には作業チャンネル(3)が設けられ、前記遠位管(2)の遠位端の端面には前記作業チャンネル(3)に連通する貫通穴が設けられ、前記カテーテル本体(1)及び遠位管(2)内にはレンズチャンネル(6)がさらに設けられ、前記遠位管(2)の遠位端の端面には前記レンズチャンネル(6)に連通する貫通穴が設けられ、
前記レンズチャンネル(6)はカテーテル本体(1)及び遠位管(2)に沿って延在するルーメン構造であり、前記レンズチャンネル(6)の内壁には複数の収容溝(61)が設けられ、複数の前記収容溝(61)にレンズアセンブリの光センサチップが収容されることを特徴とする、多機能カテーテル。
【請求項2】
前記収容溝(61)は直角のV字形の溝であり、前記レンズチャンネル(6)内には4つの収容溝(61)が設けられて、レンズアセンブリの光センサチップを収容できる長方形の空間が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の多機能カテーテル。
【請求項3】
4つの前記収容溝(61)から形成された長方形の空間は前記レンズチャンネル(6)と同軸であることを特徴とする、請求項2に記載の多機能カテーテル。
【請求項4】
複数の前記収容溝(61)は前記レンズチャンネル(6)の中心軸を中心に、中心対称に分布し、複数の前記収容溝(61)のうち、対角線上にある2つの収容溝(61)の距離は前記光センサチップの対角線の長さ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の多機能カテーテル。
【請求項5】
前記遠位管(2)はソフトエンド(21)と機能端(22)とを含み、前記ソフトエンド(21)は前記遠位管(2)の近位端に位置し、前記機能端(22)は前記遠位管(2)の遠位端に位置することを特徴とする、請求項1に記載の多機能カテーテル。
【請求項6】
前記機能端(22)の前記作業チャンネル(3)に連通する貫通穴の端面は傾斜面であることを特徴とする、請求項5に記載の多機能カテーテル。
【請求項7】
前記作業チャンネル(3)の直径は前記ソフトエンド(21)の外径の48%以上であり、前記作業チャンネル(3)の直径は前記カテーテル本体(1)の外径の45%以上であることを特徴とする、請求項5に記載の多機能カテーテル。
【請求項8】
カテーテル本体(1)及びソフトエンド(21)内には複数の操作チャンネル(4)がさらに設けられ、前記機能端(22)には前記操作チャンネル(4)に連通する複数の接続穴が設けられ、
各前記操作チャンネル(4)の中に操作ワイヤー(5)が設けられ、前記操作ワイヤー(5)の遠位端が前記操作チャンネル(4)の接続穴内に固定され、これにより複数の前記操作ワイヤー(5)によって前記機能端(22)を引っ張って、遠位管(2)を所定の方向に湾曲させることを特徴とする、請求項5に記載の多機能カテーテル。
【請求項9】
カテーテル本体(1)は補強層(11)を含み、前記補強層(11)は前記カテーテル本体(1)及びソフトエンド(21)の外壁を覆っており、前記補強層(11)は、内層にある金属編成メッシュと外層にあるプラスチックベースチューブとを含む編成メッシュチューブ構造であることを特徴とする、請求項5に記載の多機能カテーテル。
【請求項10】
前記機能端(22)は前記ソフトエンド(21)と外径が等しい円筒構造であり、前記機能端(22)の硬度は前記ソフトエンド(21)の硬度を超えることを特徴とする、請求項5に記載の多機能カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、医療機器の技術分野に関し、特に、多機能カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
最小侵襲手術では、細長い器具を患者の体腔に通して、病巣部位に届けて診断と治療を行うのが一般的で、最小侵襲手術に高い精度と高度な判断が必要とされるため、視覚化は特に重要な課題であり、そのため最小侵襲手術では細長い内視鏡装置又はカテーテルで操作を支援する必要がある。細長いカテーテルは液体(ガス)の出入り、データ伝送、照明及び方向の変換などのためのチャンネルを含むだけでなく、診断・治療器具が出入りするための作業チャンネルを提供する必要があるため、その外径を小さくするのが難しい。一般にその直径が5mmを超えているため、胆管又は膵管などの狭い腔体に対しては、視覚化した診断と治療操作を直接行うのは不可能である。
【0003】
一般には、胆道又は膵管などの小さな腔体を検査する場合に、まず、十二指腸内視鏡を消化管から十二指腸乳頭の近くに挿入し、その後、当該内視鏡の作業チャンネルからガイドワイヤーを入れ、さらにガイドワイヤーで導いて診断と治療用の様々な細長い器具を挿入し、それと同時に常にX線でこれらの腔体の内部の状況を確認しガイドワイヤーと器具の位置を調整する。十二指腸内視鏡は胆道に入ることができず、十二指腸乳頭外にとどまるため、手術が直感的ではなく、特に胆管枝に入る場合は、複雑な胆道環境のため、操作が難しい。
【0004】
胆道鏡が通常の十二指腸内視鏡の作業チャンネルを通って十二指腸乳頭に到達すると、さらに胆道に入って、内視鏡のサブスコープのように機能する。十二指腸内視鏡の作業チャンネルを通れる外径であるだけでなく、作業チャンネル、液体(ガス)出入り、データ伝送、照明及び方向の変換などのためのチャンネルを備えている。胆道鏡自体の作業チャンネルの内径が1.2mmであるため、通れるのは外径1.1mm以下の器具だけであるが、従来のERCP診断・治療器具の外径は一般に1.8~2.5mmで1.1mmを超えているため、当該診断・治療器具は前記作業チャンネルの内径が1.2mmの胆道鏡を通ることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、従来の内視鏡は胆道手術の環境に適していないという課題を解決するために、多機能カテーテルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願では、マルチルーメン構造のカテーテル本体と遠位管とを含む多機能カテーテルが提供され、前記遠位管は前記カテーテル本体の遠位端に接続される。前記カテーテル本体及び遠位管内には作業チャンネルが設けられ、前記遠位管の遠位端の端面には前記作業チャンネルに連通する貫通穴が設けられ、前記カテーテル本体及び遠位管内にはレンズチャンネルがさらに設けられ、前記遠位管の遠位端の端面には前記レンズチャンネルに連通する貫通穴が設けられる。
前記レンズチャンネルはカテーテル本体及び遠位管に沿って延在するルーメン構造であり、前記レンズチャンネルの内壁には複数の収容溝が設けられ、複数の前記収容溝にレンズアセンブリの光センサチップが収容される。
【0007】
任意選択で、複数の前記収容溝は前記レンズチャンネルの中心軸を中心に、中心対称に分布する。
【0008】
任意選択で、前記収容溝は直角のV字形の溝であり、前記レンズチャンネル内には4つの収容溝が設けられて、レンズアセンブリの光センサチップを収容できる長方形の空間が形成される。
【0009】
任意選択で、4つの前記収容溝から形成された長方形の空間は前記レンズチャンネルと同軸である。
【0010】
任意選択で、前記遠位管はソフトエンドと機能端とを含む。前記ソフトエンドは前記遠位管の近位端に位置し、前記機能端は前記遠位管の遠位端に位置する。
【0011】
任意選択で、前記機能端の前記作業チャンネルに連通する貫通穴の端面は傾斜面である。
【0012】
任意選択で、前記作業チャンネルの直径は前記ソフトエンドの外径の48%以上であり、前記作業チャンネルの直径は前記カテーテル本体の外径の45%以上である。
【0013】
任意選択で、前記カテーテル本体及びソフトエンド内には複数の操作チャンネルがさらに設けられ、前記機能端には前記操作チャンネルに連通する複数の接続穴が設けられる。
各前記操作チャンネルの中に操作ワイヤーが設けられ、前記操作ワイヤーの遠位端が前記操作チャンネルの接続穴内に固定され、これにより複数の前記操作ワイヤーによって前記機能端を引っ張って、遠位管を所定の方向に湾曲させる。
【0014】
任意選択で、前記カテーテル本体は補強層を含み、前記補強層は前記カテーテル本体及びソフトエンドの外壁を覆っている。前記補強層は、内層にある金属編成メッシュと外層にあるプラスチックベースチューブとを含む編成メッシュチューブ構造である。
【0015】
任意選択で、前記多機能カテーテルは前記カテーテル本体の近位端に接続されたハンドルをさらに含み、前記ハンドルには複数の回転部品が同軸に設けられる。
前記回転部品が操作ワイヤーの近位端に接続され、これにより前記回転部品によって前記操作ワイヤーを引っ張って、遠位管を制御して所定の方向に湾曲させる。
【0016】
任意選択で、前記ハンドルには作業チャンネル入口がさらに設けられ、前記作業チャンネル入口は6%標準ルアーテーパーであり、前記作業チャンネル入口は作業チャンネルに連通する。
【0017】
任意選択で、各前記回転部品には2つの前記操作ワイヤーが接続されており、2つの前記操作ワイヤーは前記回転部品の回転軸に相反する方向に巻き付けられ、これにより遠位管を制御して所定の方向に湾曲させる引張力を生じる。
【0018】
任意選択で、前記機能端は前記ソフトエンドと外径が等しい円筒構造で、前記機能端の硬度は前記ソフトエンドの硬度を超える。
【0019】
任意選択で、前記カテーテル本体の外径は3.7mm以下であり、前記作業チャンネルの直径は1.8mm以上である。
【発明の効果】
【0020】
上記の技術的解決手段から明らかなように、本願では、マルチルーメン構造のカテーテル本体と遠位管とを含む多機能カテーテルが提供される。前記カテーテル本体及び遠位管内には作業チャンネルとレンズチャンネルとが設けられ、前記遠位管の遠位端の端面には前記レンズチャンネルに連通する貫通穴がさらに設けられ、前記レンズチャンネルはカテーテル本体及びソフトエンドに沿って延在するルーメン構造であり、前記レンズチャンネルの内壁には複数の収容溝が設けられ、複数の前記収容溝にレンズアセンブリの光センサチップが収容される。本願に係るカテーテルはレンズチャンネルの中の複数の収容溝から光センサチップの収容空間を形成できるため、レンズチャンネルの直径を増加させることなくレンズアセンブリを収容することができ、カテーテル全体の直径が短くなるため、消化管よりも複雑な胆道の環境にも適用する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本願に係る多機能カテーテルの構造模式図である。
【
図2】本願に係るカテーテル本体の断面構造模式図である。
【
図3】本願に係るソフトエンドの断面構造模式図である。
【
図4】本願に係るハンドルの立体構造模式図である。
【
図7】本願に係る別の機能端の横断面構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施例を詳しく説明し、図面には例が示される。以下の説明で図面が言及される場合に、特記のない限り、図面が違っても同じ数字は同じ又は類似の要素を表す。以下の実施例で説明される実施形態は本願の全ての実施形態ではない。特許請求の範囲において詳しく説明される本願のいくつかの態様に適合するシステム及び方法の例に過ぎない。
【0023】
本願に係る技術的解決手段において、説明の都合上、カテーテル全体を人体に入れる端を遠位端と称し、当該端は主に組織に手術を行うために利用される。体外に位置する端を近位端と称し、当該端は主に手術実施者が操作を行うために利用される。本願では、特記のない限り、各構成部品において遠位端と呼ばれるのは体内に近い側の端を、各構成部品において近位端と呼ばれるのは体外に近い側の端を指す。
【0024】
図1には、本願の多機能カテーテルの構造模式図が示される。
図1、
図2から明らかなように、本願に係る多機能カテーテルは、カテーテル本体1と遠位管2とを含む。カテーテル本体1と遠位管2はいずれもマルチルーメン構造である。遠位管2は前記カテーテル本体1の遠位端に接続されて、カテーテル本体1の遠位端の延長に相当する。実際の使用では、カテーテル本体1の長さは、患者の体外から患者の体腔の病巣位置まで延在することを満たさなければならず、遠位管2の長さは、カテーテルの遠位端の最大方向変換角における行程を満たす必要がある。
【0025】
前記カテーテル本体1及び遠位管2内には作業チャンネル3が設けられ、前記遠位管2の遠位端の端面には前記作業チャンネル3に連通する貫通穴が設けられ、前記カテーテル本体1及び遠位管2内にはレンズチャンネル6がさらに設けられ、前記遠位管2の遠位端の端面には前記レンズチャンネル6に連通する貫通穴が設けられる。
【0026】
いくつかの実施例において、前記遠位管2は近位端に位置するソフトエンド21と、遠位端に位置する機能端22とを含む。機能端22においては、例えば、カメラ、光源などの様々な内視鏡の観察部品を設置することができ、遠位管2の方向変換を駆動する操作ワイヤーを接続させるためにも利用される。ソフトエンド21はカテーテル本体1及び機能端22に接続するために利用される。本実施例において、前記ソフトエンド21の硬度は前記カテーテル本体1の硬度より小さく、これによりソフトエンド21はカテーテル本体1より変形しやすく、ガイドワイヤーにガイドされながら順調に患者の体腔に入ることができ、また、カテーテルの体腔の組織壁から受ける抵抗を軽減して、カテーテルが患者の体内の組織を傷つけることを避けることができる。
【0027】
なお、本願においてソフトエンド21の硬度が前記カテーテル本体1の硬度より小さいとは、単なる材質自体の硬度の違いではなく、ソフトエンド21がカテーテル本体1より変形しやすいことを指す。そのために、実際の使用では、前記ソフトエンド21の硬度が前記カテーテル本体1の硬度より小さいのは異なる材質より実現してもよいし、変形しやすい構造より実現してもよい。異なる材質で硬度の違いを実現する場合には、カテーテル本体1は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルブロックアミド(Pebax)などのプラスチック材質などの軟質材料からできてもよく、ソフトエンド21は、例えば、焼入れ・焼戻し後の硬度が低いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、シリコーンゴム、ポリウレタン(PU)、ポリエーテルブロックアミド(Pebax)などの軟質材料からできてもよい。変形しやすい構造により硬度の違いを実現する場合には、ソフトエンド21を変形しやすい蛇腹構造、薄肉管構造、マルチキャビティ構造などとして設けることができる。
【0028】
本願に係る技術的解決手段において、
図3に示されるとおり、前記カテーテル本体1及びソフトエンド21内には作業チャンネル3が設けられ、前記機能端22には前記作業チャンネル3に連通する貫通穴が設けられる。作業チャンネル3は、実際の使用において、例えば、生検鉗子やレーザー砕石装置などの支援器具を挿入して更なる診断と治療を行うことができ、作業チャンネル3を通して医薬品などを送達し、体腔を洗い流して内部の液体を体外に送り出すこともできる。支援器具を操作しやすいように、前記作業チャンネル3の直径は前記ソフトエンド21の外径の48%以上であり、前記作業チャンネル3の直径は前記カテーテル本体1の外径の45%以上である。
【0029】
実際の使用では、作業チャンネル3の直径が大きいほど、手術の操作空間が大きく、手術操作が実施しやすい。しかし、人体の体腔から制限されているため、カテーテル本体1及びソフトエンド21の外径を非常に大きくするのは不可能で、作業チャンネル3の直径も非常に大きくすることはできない。胆管及び膵管を例にすると、胆管と膵管の空間の内径の影響で、前記カテーテル本体1の外径は3.7mm以下であり、つまり作業チャンネル3の直径を設定する際には当該パラメータを参照する必要がある。
【0030】
いくつかの実施例において、前記機能端22の前記作業チャンネル3に連通する貫通穴の端面は傾斜面であり、傾斜面の方が、カテーテルが消化管の中を進む時の抵抗を低減させて、病巣位置に到達させやすくする。例示的には、
図5、
図6に示されるとおり、傾斜面の傾斜角度は45°であってもよい。明らかなことに、前記作業チャンネル3に連通する貫通穴の端面は異なる傾斜角度を有する複数の面をつなぎ合わせる構成されてもよく、
図7に示されるとおり、機能端22の端面において、レンズチャンネル6の位置から作業チャンネル3に至るまでは2つの傾斜面から構成されてもよく、これにより端面の形状が穏やかな方から徐々に鋭くなり、消化管に入りやすい。
【0031】
本願に係る技術的解決手段において、
図2、
図5、
図6に示されるとおり、前記カテーテル本体1及びソフトエンド21内にはレンズチャンネル6がさらに設けられ、前記機能端22には前記レンズチャンネル6に連通する貫通穴がさらに設けられる。機能端22における貫通穴の端面では、消化管内の環境の画像を得るためにレンズアセンブリが設けられてもよく、レンズチャンネル6の内部にレンズアセンブリのデータケーブルなどのワイヤー部品を設ければ、レンズアセンブリで収集した画像データを表示装置に伝送して表示させることができる。
【0032】
レンズアセンブリは一般にレンズと感光チップとを含む。消化管内の画像が、レンズの屈折によって感光チップに届いて、画像信号が生成される。レンズアセンブリの体積は感光チップの形状から制限されており、つまり、画像の解像度が低すぎるのを避けるためには感光チップが小さすぎてはならない。且つ、レンズアセンブリのレンズは様々な形状であってもよいが、感光チップは長方形の構造でなければならない。組み立てる過程において長方形の構造の感光チップはレンズチャンネル6の内径が感光チップの対角線の長さより大きいことを満たすべきであり、レンズアセンブリには大きな収容空間が必要である。
【0033】
例えば、1.12×1.12mmの正方形の感光チップの場合は、その対角線の長さが1.697mmであるため、当該感光チップを収容するためには内径が1.7mm以上のレンズチャンネル6が必要で、また、長方形の感光チップの場合は、レンズチャンネル6にはより大きい内径を必要とする。レンズチャンネル6の内径が大きい場合には、レンズチャンネル6がカテーテル全体の空間を使用するため、カテーテル全体の外径が制限されている場合に、作業チャンネル3の利用可能な空間が縮まり、作業チャンネル3の内径も小さい値に制限されている。
【0034】
したがって、本願において、レンズチャンネル6はカテーテル本体1及びソフトエンド21に沿って延在する円形のルーメン構造である。レンズチャンネル6の内壁には複数の収容溝61が設けられ、複数の前記収容溝61にレンズアセンブリの光センサチップが収容される。実際の使用に当たっては、複数の収容溝61から感光チップを収容する長方形の空間が形成されて、感光チップの形状に適合し、レンズチャンネル6の円形ルーメンの直径を短縮することができる。
【0035】
長方形の構造を形成させるために、前記収容溝61は直角のV字形の溝とする。前記レンズチャンネル6内には4つの収容溝61が設けられて、レンズアセンブリの光センサチップを収容できる長方形の空間が形成される。例えば、4つの収容溝61は直角のV字形の溝で、1.12×1.12mmの長方形の収容空間を形成させており、最大1.12×1.12mmの光センサチップを収容することができ、この場合に、レンズチャンネル6の円形ルーメンの直径は1.36mm以下である。前記収容溝61を利用しないなら、1.12×1.12mmの光センサチップを収容するには直径が1.7mm以上の円形ルーメンを必要とする。したがって、レンズチャンネル6の中の複数の収容溝61が光センサチップの収容空間を形成するため、レンズチャンネル6の直径を増加させることなくレンズアセンブリを設置することができ、カテーテル全体の直径が短くなる。
【0036】
レンズチャンネル6の直径が短くなるため、レンズチャンネル6のカテーテル全体を占める空間が減少し、カテーテルの外径が限定されている場合に、大きな作業チャンネル3は得られる。例えば、カテーテル本体の外径が3.7mm以下である場合に、前記作業チャンネルの直径が1.8mm以上であるため、通常のERCP診断・治療器具が通ることができる。
【0037】
また、4つの収容溝61から形成された長方形の構造は、従来の円筒状のルーメン構造よりもレンズアセンブリを固定しやすく、つまり、長方形の辺で感光チップを制限して、操作中にレンズアセンブリがレンズチャンネル6内において回転するのを防いで、手術中の画像の安定性を保つ。
【0038】
いくつかの実施例において、4つの前記収容溝61から形成された長方形の空間は前記レンズチャンネル6と同軸で、レンズアセンブリの光センサチップを収容することを実現する上に、設置及び固定に備え、光センサチップの中心位置をレンズチャンネル6の中心位置に限定することができる。また、収容溝61から形成された長方形の空間はレンズチャンネル6と同軸であるのは、レンズアセンブリの中の感光チップと光ファイバデータケーブルとの接続を確立させやすく、余分な配線とプリント基板の配置を減らし、レンズチャンネル6内の空間を節約することができる。
【0039】
いくつかの実施例において、複数の前記収容溝61は前記レンズチャンネル6の中心軸を中心に、中心対称に分布する。複数の前記収容溝61のうち、対角線上にある2つの収容溝61の距離は前記光センサチップの対角線の長さ以上である。
【0040】
例えば、
図2に示されるカテーテルの横断面の形状において、レンズチャンネル6は、それぞれレンズチャンネル6の左上隅、右上隅、左下隅及び右下隅に位置する4つの収容溝61を含み、レンズチャンネル6の中心軸を中心に、中心対称に分布する。且つ、光センサチップを収容するためには、4つの収容溝61のうち、レンズチャンネル6の左上隅及び右下隅に位置する2つの収容溝61の距離は光センサチップの対角線の長さ以上であるとし、同様に、レンズチャンネル6の右上隅及び左下隅に位置する2つの収容溝61の距離も、光センサチップの対角線の長さ以上であり、これにより光センサチップを収容し、光センサチップの側面を制限して、回転を防ぐことができる。
【0041】
本実施例において、レンズアセンブリは光センサチップとデータケーブルとを含み、光センサチップはリアルタイムで体腔内の画像を取得し、データケーブルによってカテーテルの近位端の表示装置に伝送することで、体腔内におけるカテーテルの進み具合及び手術操作中の手術器具の実際の動作状況を可視化することができる。
【0042】
本願において、内視鏡の中のガイドワイヤーで導くことで、カテーテルの遠位端を制御して方向の変換動作を実現できるが、カテーテルの遠位端が、内視鏡が到達できない胆管まで進んでいると、操作ワイヤー5によってカテーテルの遠位端を制御して方向を変換させることができ、つまり、本願に係るいくつかの実施例において、前記カテーテル本体1及びソフトエンド21内には複数の操作チャンネル4がさらに設けられ、前記機能端22には前記操作チャンネル4に連通する複数の接続穴が設けられ、各前記操作チャンネル4の中に操作ワイヤー5が設けられ、前記操作ワイヤー5の遠位端が前記操作チャンネル4の接続穴内に固定され、これにより複数の前記操作ワイヤー5によって前記機能端22を引っ張って、遠位管2を所定の方向に湾曲させる。
【0043】
実際の使用では、操作ワイヤー5の一端が機能端22に接続され、他端はカテーテルの遠位端から近位端まで延在しており、そのためカテーテルの近位端において操作ワイヤー5を引っ張れば、操作ワイヤー5が機能端22を引っ張って移動させ、遠位管2において蛇の骨のような湾曲を形成させる。明らかなことに、手術操作が実行できるように操作ワイヤー5の数は少なくとも2つとすべきであり、また、より柔軟性の高い方向変換操作を実現するためには、操作ワイヤー5及び操作チャンネル4の数を適宜増やしてもよい。
【0044】
本実施例では、操作ワイヤー5の遠位端を固定するために、機能端22は金属又はプラスチック構造として設けられてもよく、操作ワイヤー5と溶接又はインサート成形接続されることで、操作ワイヤー5の遠位端が機能端22に固定して接続され、操作ワイヤー5の長さを調整して、リアルタイムで遠位管2を制御して方向を変換させることを実現する。前記操作ワイヤー5の直径は0.35mm以下とし、頑丈で耐摩耗性の金属ワイヤー又はプラスチック繊維を使用することができる。
【0045】
上記の技術的解決手段から明らかなように、
図5に示されるとおり、連続的なルーメンを得るために、本願においてカテーテル本体1とソフトエンド21、機能端22上のチャンネルは同じ形態に配置され、例えば、カテーテル本体1には1つの作業チャンネル3と、4つの操作チャンネル4と、1つのレンズチャンネル6とが設けられる。これで4つの異なる方向に変換する機能を得、プロセスがシンプルであるだけでなく、大量の空間を節約している。また、方向変換、作業チャンネル、液体の注入と吸引、光学的視覚などの機能を同時に実現でき、その外径が3.7mm以下に縮小しており、ほぼ全てのERCP器具が使用可能となり、つまり胆管と膵管における視覚化の診断と治療を満たす。
【0046】
本願のいくつかの実施例において、前記カテーテル本体1は補強層11を含み、前記補強層11は前記カテーテル本体1、ソフトエンド21及び機能端22の外壁を覆っている。前記補強層11は、カテーテルを患者の体腔に送達しやすいようにカテーテル全体の剛性を高めるとともに、補強層11によってカテーテル本体1、ソフトエンド21と機能端22を連通することができ、これによりカテーテル本体1と遠位管2が同じ材料を使用せず又は一体的な構造でない場合には、依然として互いにつながって一つとなることができ、接続部品の使用でチャンネル及びカテーテルが変形することが避けられる。
【0047】
いくつかの実施例において、前記補強層11は、内層にある金属編成メッシュと外層にあるプラスチックベースチューブとを含む編成メッシュチューブ構造である。補強層11の管壁の肉厚は十分な接続強度を保つために片方を少なくとも0.1mm以上とする必要があり、したがって、前記カテーテル本体1の外径が3.7mm以下である場合に、その中の実体の直径を3.5mm未満とする。従来の押出技術と材料特性に基づけば、カテーテル本体1及びソフトエンド21(例えば、PEBAX、シリカゲルなどの材料を使用する)の有効肉厚は最大0.1mmとなるため、内部のマルチルーメンを設計するための直径の空間は3.3mm以下とし、作業チャンネルの直径は1.8mm以上に設定することができ、つまり、前記作業チャンネル3の直径は1.8mm以上である。
【0048】
本願のいくつかの実施例において、
図4に示されるとおり、前記多機能カテーテルは前記カテーテル本体1の近位端に接続されたハンドル7をさらに含み、前記ハンドル7には複数の回転部品71が同軸に設けられる。前記回転部品71が操作ワイヤー5の近位端に接続され、これにより前記回転部品71によって前記操作ワイヤー5を引っ張って、遠位管2を制御して所定の方向に湾曲させる。各前記回転部品71には2つの前記操作ワイヤー5が接続されており、2つの前記操作ワイヤー5は前記回転部品71の回転軸に相反する方向に巻き付けられ、これにより遠位管2を制御して所定の方向に湾曲させる引張力を生じる。いくつかの実施例において、前記ハンドル7には作業チャンネル入口72がさらに設けられ、前記作業チャンネル入口72は6%標準ルアーテーパーであり、前記作業チャンネル入口72は作業チャンネル3に連通する。
【0049】
本実施例において、前記カテーテル本体1の近位端はハンドル7を含み、ハンドル7は1対の同軸の回転部品71、即ち回転ホイールを含み、各回転ホイールはその回転軸の両側にはそれぞれ2つの操作ワイヤー5が接続され、前記多機能カテーテルを単独で又は十二指腸内視鏡と一緒に使用して目標体腔に届けると、医師は片手でハンドル7を握って又はハンドル7を、それと一緒に使用する他の内視鏡(例えば、十二指腸内視鏡)の作業チャンネルの近くに掛ける。
【0050】
ハンドル7上の同軸の回転部品71を回して、それぞれハンドル7内の同軸の2つの回転ホイールの回転軸を連れて回転させ、一方の回転ホイールが時計回りに回転する時、それに接続された2つの対称な操作ワイヤー5はカテーテル本体1及び遠位管2内の操作チャンネル4の中で相対的に移動して、方向が相反する引きと推しの両方の作用力を生じて、それに接続された機能端22を傾斜させ、遠位管2の中のソフトエンド21を圧縮させて、遠位管2を所定の方向に湾曲させる。回転ホイールが反時計回りに回転する時、遠位管2は他方の方向に湾曲する。同様に、他方の回転ホイールが時計回り又は反時計回りに回転する時に、遠位管2を連れて他の方向に湾曲させる。
【0051】
本実施例において、医師はハンドル7上の回転部品71を回すことで、遠位管2の患者の体内における、及び一緒に使用する内視鏡のチャンネルの中に進む方向、及び観察方向を制御し、また、カテーテル本体1の近位端のハンドル7を押すと遠位管2のチャンネルに出入りする深さを制御することができる。また、ハンドル7の近位端は6%標準ルアーテーパーとして構成されている作業チャンネル入口72を1つ有し、作業チャンネル入口72が作業チャンネル3に接続され、医師は作業チャンネル入口72から、例えば、生検鉗子やレーザー砕石装置などの支援器具を挿入して更なる診断と治療を行うことができ、作業チャンネル入口72から液体を注射して体腔を洗い流し、体腔内部の液体を体外に送り出すこともできる。
【0052】
本願のいくつかの実施例において、前記機能端22は前記ソフトエンド21と外径が等しい円筒構造であり、前記機能端22の硬度は前記ソフトエンド21の硬度を超える。実際の使用では、機能端22は軟質プラスチック又はステンレス鋼材料からなる円筒構造としてもよく、且つ、円筒構造にはソフトエンド21の複数のチャンネルに対応する貫通穴が設置される。機能端22では予め硬質材料で、例えば、カメラスロットや、操作ワイヤー5の固定穴、注液チャンネル8に連通する投与穴又は注液穴などの複数の設置穴を設置することができる。したがって、機能端22の硬度がソフトエンド21の硬度を超えることは様々な設置部品を固定するのに役立ち、全体としては動作が一層安定的になる。また、硬度の高い機能端22を使用すると、穴を加工し、プロセスの精度を高めるためにも役立つ。
【0053】
上記の技術的解決手段から明らかなように、前記実施例に係る多機能カテーテルは、マルチルーメン構造のカテーテル本体1と遠位管2とを含む。遠位管2は近位端に位置するソフトエンド21と、遠位端に位置する機能端22とを含み、ソフトエンド21の硬度はカテーテル本体1の硬度より小さく、カテーテル本体1及びソフトエンド21内には作業チャンネルが設けられ、機能端22には作業チャンネル3に連通する貫通穴が設けられ、作業チャンネル3の直径はソフトエンド21の外径の51%以上であり、作業チャンネル3の直径はカテーテル本体1の外径の49%以上である。本願に係るカテーテルは遠位管2のソフトエンド21と作業チャンネル3を組み合わせて方向変換の機能を実現することで、カテーテルの遠位端は消化管よりも複雑な胆道の環境にも適用できる。
【0054】
また、前記レンズチャンネル6はカテーテル本体1及びソフトエンド31に沿って延在する円形のルーメン構造であり、前記レンズチャンネル6の内壁には複数の収容溝61が設けられ、複数の前記収容溝61にレンズアセンブリの光センサチップが収容される。本願に係るカテーテルはレンズチャンネル6の中の複数の収容溝61から光センサチップの収容空間を形成できるため、レンズチャンネル6の直径を増加させることなくレンズアセンブリを収容することができ、カテーテル全体の直径が短くなるため、消化管よりも複雑な胆道の環境にも適用できる。
【0055】
また、本願に係る多機能カテーテルは、作業チャンネルには通常の1.8mmの器具が通ることができ、医師が使いやすいだけでなく、製造コストを節約しており、一緒に使用する器具のコストを一層下げることができ、患者の負担軽減にもつながる。
【0056】
本願において提供される実施例の類似する部分は互いに参照することができ、上記で提供される特定の実施形態は本願の趣旨に準じるいくつかの例であり、本願の保護範囲への限定を構成しない。当業者が本願の技術的解決手段に基づいて、創造性のない実施で他の実施形態を得た場合は、そのいずれも本願の保護範囲に含まれる。
【0057】
本願では、2020年3月4日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202010143001.7で発明の名称が「多機能カテーテル」である中国特許出願の優先権が主張され、それが援用により全体として本願に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチルーメン構造であるカテーテル本体(1)と、
前記カテーテル本体(1)の遠位端に接続されるマルチルーメン構造の遠位管(2)と、を含み、
前記カテーテル本体(1)及び遠位管(2)内には作業チャンネル(3)が設けられ、前記遠位管(2)の遠位端の端面には前記作業チャンネル(3)に連通する貫通穴が設けられ、前記カテーテル本体(1)及び遠位管(2)内にはレンズチャンネル(6)がさらに設けられ、前記遠位管(2)の遠位端の端面には前記レンズチャンネル(6)に連通する貫通穴が設けられ、
前記レンズチャンネル(6)はカテーテル本体(1)及び遠位管(2)に沿って延在するルーメン構造であり、前記レンズチャンネル(6)の内壁には複数の収容溝(61)が設けられ、複数の前記収容溝(61)にレンズアセンブリの光センサチップが収容されることを特徴とする、多機能カテーテル。
【請求項2】
前記収容溝(61)は直角のV字形の溝であり、前記レンズチャンネル(6)内には4つの収容溝(61)が設けられて、レンズアセンブリの光センサチップを収容できる長方形の空間が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の多機能カテーテル。
【請求項3】
4つの前記収容溝(61)から形成された長方形の空間は前記レンズチャンネル(6)と同軸であることを特徴とする、請求項2に記載の多機能カテーテル。
【請求項4】
複数の前記収容溝(61)は前記レンズチャンネル(6)の中心軸を中心に、中心対称に分布し、複数の前記収容溝(61)のうち、対角線上にある2つの収容溝(61)の距離は前記光センサチップの対角線の長さ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の多機能カテーテル。
【請求項5】
前記遠位管(2)はソフトエンド(21)と機能端(22)とを含み、前記ソフトエンド(21)は前記遠位管(2)の近位端に位置し、前記機能端(22)は前記遠位管(2)の遠位端に位置することを特徴とする、請求項1に記載の多機能カテーテル。
【請求項6】
前記機能端(22)の前記作業チャンネル(3)に連通する貫通穴の端面は傾斜面であることを特徴とする、請求項5に記載の多機能カテーテル。
【請求項7】
前記作業チャンネル(3)の直径は前記ソフトエンド(21)の外径の48%以上であり、前記作業チャンネル(3)の直径は前記カテーテル本体(1)の外径の45%以上であることを特徴とする、請求項5に記載の多機能カテーテル。
【請求項8】
カテーテル本体(1)及びソフトエンド(21)内には複数の操作チャンネル(4)がさらに設けられ、前記機能端(22)には前記操作チャンネル(4)に連通する複数の接続穴が設けられ、
各前記操作チャンネル(4)の中に操作ワイヤー(5)が設けられ、前記操作ワイヤー(5)の遠位端が前記
機能端(22)の対応する接続穴内に固定され、これにより複数の前記操作ワイヤー(5)によって前記機能端(22)を引っ張って、遠位管(2)を所定の方向に湾曲させることを特徴とする、請求項5に記載の多機能カテーテル。
【請求項9】
カテーテル本体(1)は補強層(11)を含み、前記補強層(11)は前記カテーテル本体(1)及びソフトエンド(21)の外壁を覆っており、前記補強層(11)は、内層にある金属編成メッシュと外層にあるプラスチックベースチューブとを含む編成メッシュチューブ構造であることを特徴とする、請求項5に記載の多機能カテーテル。
【請求項10】
前記機能端(22)は前記ソフトエンド(21)と外径が等しい円筒構造であり、前記機能端(22)の硬度は前記ソフトエンド(21)の硬度を超えることを特徴とする、請求項5に記載の多機能カテーテル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、医療機器の技術分野に関し、特に、多機能カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
最小侵襲手術では、細長い器具を患者の体腔に通して、病巣部位に届けて診断と治療を行うのが一般的で、最小侵襲手術に高い精度と高度な判断が必要とされるため、視覚化は特に重要な課題であり、そのため最小侵襲手術では細長い内視鏡装置又はカテーテルで操作を支援する必要がある。細長いカテーテルは液体(ガス)の出入り、データ伝送、照明及び方向の変換などのためのチャンネルを含むだけでなく、診断・治療器具が出入りするための作業チャンネルを提供する必要があるため、その外径を小さくするのが難しい。一般にその直径が5mmを超えているため、胆管又は膵管などの狭い腔体に対しては、視覚化した診断と治療操作を直接行うのは不可能である。
【0003】
一般には、胆道又は膵管などの小さな腔体を検査する場合に、まず、十二指腸内視鏡を消化管から十二指腸乳頭の近くに挿入し、その後、当該内視鏡の作業チャンネルからガイドワイヤーを入れ、さらにガイドワイヤーで導いて診断と治療用の様々な細長い器具を挿入し、それと同時に常にX線でこれらの腔体の内部の状況を確認しガイドワイヤーと器具の位置を調整する。十二指腸内視鏡は胆道に入ることができず、十二指腸乳頭外にとどまるため、手術が直感的ではなく、特に胆管枝に入る場合は、複雑な胆道環境のため、操作が難しい。
【0004】
胆道鏡が通常の十二指腸内視鏡の作業チャンネルを通って十二指腸乳頭に到達すると、さらに胆道に入って、内視鏡のサブスコープのように機能する。十二指腸内視鏡の作業チャンネルを通れる外径であるだけでなく、作業チャンネル、液体(ガス)出入り、データ伝送、照明及び方向の変換などのためのチャンネルを備えている。胆道鏡自体の作業チャンネルの内径が1.2mmであるため、通れるのは外径1.1mm以下の器具だけであるが、従来のERCP(内視鏡的逆行性胆管造影)診断・治療器具の外径は一般に1.8~2.5mmで1.1mmを超えているため、当該診断・治療器具は前記作業チャンネルの内径が1.2mmの胆道鏡を通ることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、従来の内視鏡は胆道手術の環境に適していないという課題を解決するために、多機能カテーテルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願では、マルチルーメン構造のカテーテル本体と遠位管とを含む多機能カテーテルが提供され、前記遠位管は前記カテーテル本体の遠位端に接続される。前記カテーテル本体及び遠位管内には作業チャンネルが設けられ、前記遠位管の遠位端の端面には前記作業チャンネルに連通する貫通穴が設けられ、前記カテーテル本体及び遠位管内にはレンズチャンネルがさらに設けられ、前記遠位管の遠位端の端面には前記レンズチャンネルに連通する貫通穴が設けられる。
前記レンズチャンネルはカテーテル本体及び遠位管に沿って延在するルーメン構造であり、前記レンズチャンネルの内壁には複数の収容溝が設けられ、複数の前記収容溝にレンズアセンブリの光センサチップが収容される。
【0007】
任意選択で、複数の前記収容溝は前記レンズチャンネルの中心軸を中心に、中心対称に分布する。
【0008】
任意選択で、前記収容溝は直角のV字形の溝であり、前記レンズチャンネル内には4つの収容溝が設けられて、レンズアセンブリの光センサチップを収容できる長方形の空間が形成される。
【0009】
任意選択で、4つの前記収容溝から形成された長方形の空間は前記レンズチャンネルと同軸である。
【0010】
任意選択で、前記遠位管はソフトエンドと機能端とを含む。前記ソフトエンドは前記遠位管の近位端に位置し、前記機能端は前記遠位管の遠位端に位置する。
【0011】
任意選択で、前記機能端の前記作業チャンネルに連通する貫通穴の端面は傾斜面である。
【0012】
任意選択で、前記作業チャンネルの直径は前記ソフトエンドの外径の48%以上であり、前記作業チャンネルの直径は前記カテーテル本体の外径の45%以上である。
【0013】
任意選択で、前記カテーテル本体及びソフトエンド内には複数の操作チャンネルがさらに設けられ、前記機能端には前記操作チャンネルに連通する複数の接続穴が設けられる。
各前記操作チャンネルの中に操作ワイヤーが設けられ、前記操作ワイヤーの遠位端が前記機能端の対応する接続穴内に固定され、これにより複数の前記操作ワイヤーによって前記機能端を引っ張って、遠位管を所定の方向に湾曲させる。
【0014】
任意選択で、前記カテーテル本体は補強層を含み、前記補強層は前記カテーテル本体及びソフトエンドの外壁を覆っている。前記補強層は、内層にある金属編成メッシュと外層にあるプラスチックベースチューブとを含む編成メッシュチューブ構造である。
【0015】
任意選択で、前記多機能カテーテルは前記カテーテル本体の近位端に接続されたハンドルをさらに含み、前記ハンドルには複数の回転部品が同軸に設けられる。
前記回転部品が操作ワイヤーの近位端に接続され、これにより前記回転部品によって前記操作ワイヤーを引っ張って、遠位管を制御して所定の方向に湾曲させる。
【0016】
任意選択で、前記ハンドルには作業チャンネル入口がさらに設けられ、前記作業チャンネル入口は6%標準ルアーテーパーであり、前記作業チャンネル入口は作業チャンネルに連通する。
【0017】
任意選択で、各前記回転部品には2つの前記操作ワイヤーが接続されており、2つの前記操作ワイヤーは前記回転部品の回転軸に相反する方向に巻き付けられ、これにより遠位管を制御して所定の方向に湾曲させる引張力を生じる。
【0018】
任意選択で、前記機能端は前記ソフトエンドと外径が等しい円筒構造で、前記機能端の硬度は前記ソフトエンドの硬度を超える。
【0019】
任意選択で、前記カテーテル本体の外径は3.7mm以下であり、前記作業チャンネルの直径は1.8mm以上である。
【発明の効果】
【0020】
上記の技術的解決手段から明らかなように、本願では、マルチルーメン構造のカテーテル本体と遠位管とを含む多機能カテーテルが提供される。前記カテーテル本体及び遠位管内には作業チャンネルとレンズチャンネルとが設けられ、前記遠位管の遠位端の端面には前記レンズチャンネルに連通する貫通穴がさらに設けられ、前記レンズチャンネルはカテーテル本体及びソフトエンドに沿って延在するルーメン構造であり、前記レンズチャンネルの内壁には複数の収容溝が設けられ、複数の前記収容溝にレンズアセンブリの光センサチップが収容される。本願に係るカテーテルはレンズチャンネルの中の複数の収容溝から光センサチップの収容空間を形成できるため、レンズチャンネルの直径を増加させることなくレンズアセンブリを収容することができ、カテーテル全体の直径が短くなるため、消化管よりも複雑な胆道の環境にも適用する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本願に係る多機能カテーテルの構造模式図である。
【
図2】本願に係るカテーテル本体の断面構造模式図である。
【
図3】本願に係るソフトエンドの断面構造模式図である。
【
図4】本願に係るハンドルの立体構造模式図である。
【
図7】本願に係る別の機能端の横断面構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施例を詳しく説明し、図面には例が示される。以下の説明で図面が言及される場合に、特記のない限り、図面が違っても同じ数字は同じ又は類似の要素を表す。以下の実施例で説明される実施形態は本願の全ての実施形態ではない。特許請求の範囲において詳しく説明される本願のいくつかの態様に適合するシステム及び方法の例に過ぎない。
【0023】
本願に係る技術的解決手段において、説明の都合上、カテーテル全体を人体に入れる端を遠位端と称し、当該端は主に組織に手術を行うために利用される。体外に位置する端を近位端と称し、当該端は主に手術実施者が操作を行うために利用される。本願では、特記のない限り、各構成部品において遠位端と呼ばれるのは人体内に近い側の端を、各構成部品において近位端と呼ばれるのは人体外に近い側の端を指す。
【0024】
図1には、本願の多機能カテーテルの構造模式図が示される。
図1、
図2から明らかなように、本願に係る多機能カテーテルは、カテーテル本体1と遠位管2とを含む。カテーテル本体1と遠位管2はいずれもマルチルーメン構造である。遠位管2は前記カテーテル本体1の遠位端に接続されて、カテーテル本体1の遠位端の延長に相当する。実際の使用では、カテーテル本体1の長さは、患者の体外から患者の体腔の病巣位置まで延在することを満たさなければならず、遠位管2の長さは、カテーテルの遠位端の最大方向変換角における行程を満たす必要がある。
【0025】
前記カテーテル本体1及び遠位管2内には作業チャンネル3が設けられ、前記遠位管2の遠位端の端面には前記作業チャンネル3に連通する貫通穴が設けられ、前記カテーテル本体1及び遠位管2内にはレンズチャンネル6がさらに設けられ、前記遠位管2の遠位端の端面には前記レンズチャンネル6に連通する貫通穴が設けられる。
【0026】
いくつかの実施例において、前記遠位管2は近位端に位置するソフトエンド21と、遠位端に位置する機能端22とを含む。機能端22においては、例えば、カメラ、光源などの様々な内視鏡の観察部品を設置することができ、遠位管2の方向変換を駆動する操作ワイヤーを接続させるためにも利用される。ソフトエンド21はカテーテル本体1及び機能端22に接続するために利用される。本実施例において、前記ソフトエンド21の硬度は前記カテーテル本体1の硬度より小さく、これによりソフトエンド21はカテーテル本体1より変形しやすく、ガイドワイヤーにガイドされながら順調に患者の体腔に入ることができ、また、カテーテルの体腔の組織壁から受ける抵抗を軽減して、カテーテルが患者の体内の組織を傷つけることを避けることができる。
【0027】
なお、本願においてソフトエンド21の硬度が前記カテーテル本体1の硬度より小さいとは、単なる材質自体の硬度の違いではなく、ソフトエンド21がカテーテル本体1より変形しやすいことを指す。そのために、実際の使用では、前記ソフトエンド21の硬度が前記カテーテル本体1の硬度より小さいのは異なる材質より実現してもよいし、変形しやすい構造より実現してもよい。異なる材質で硬度の違いを実現する場合には、カテーテル本体1は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX)などのプラスチック材質などの軟質材料からできてもよく、ソフトエンド21は、例えば、焼入れ・焼戻し後の硬度が低いポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、シリコーンゴム、ポリウレタン(PU)、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX)などの軟質材料からできてもよい。変形しやすい構造により硬度の違いを実現する場合には、ソフトエンド21を変形しやすい蛇腹構造、薄肉管構造、マルチキャビティ構造などとして設けることができる。
【0028】
本願に係る技術的解決手段において、
図3に示されるとおり、前記カテーテル本体1及びソフトエンド21内には作業チャンネル3が設けられ、前記機能端22には前記作業チャンネル3に連通する貫通穴が設けられる。作業チャンネル3は、実際の使用において、例えば、生検鉗子やレーザー砕石装置などの支援器具を挿入して更なる診断と治療を行うことができ、作業チャンネル3を通して医薬品などを送達し、体腔を洗い流して内部の液体を体外に送り出すこともできる。支援器具を操作しやすいように、前記作業チャンネル3の直径は前記ソフトエンド21の外径の48%以上であり、前記作業チャンネル3の直径は前記カテーテル本体1の外径の45%以上である。
【0029】
実際の使用では、作業チャンネル3の直径が大きいほど、手術の操作空間が大きく、手術操作が実施しやすい。しかし、人体の体腔から制限されているため、カテーテル本体1及びソフトエンド21の外径を非常に大きくするのは不可能で、作業チャンネル3の直径も非常に大きくすることはできない。胆管及び膵管を例にすると、胆管と膵管の空間の内径の影響で、前記カテーテル本体1の外径は3.7mm以下であり、つまり作業チャンネル3の直径を設定する際には当該パラメータを参照する必要がある。
【0030】
いくつかの実施例において、前記機能端22の前記作業チャンネル3に連通する貫通穴の端面は傾斜面であり、傾斜面の方が、カテーテルが消化管の中を進む時の抵抗を低減させて、病巣位置に到達させやすくする。例示的には、
図5、
図6に示されるとおり、傾斜面の傾斜角度は45°であってもよい。明らかなことに、前記作業チャンネル3に連通する貫通穴の端面は異なる傾斜角度を有する複数の面をつなぎ合わせる構成されてもよく、
図7に示されるとおり、機能端22の端面において、レンズチャンネル6の位置から作業チャンネル3に至るまでは2つの傾斜面から構成されてもよく、これにより端面の形状が穏やかな方から徐々に鋭くなり、消化管に入りやすい。
【0031】
本願に係る技術的解決手段において、
図2、
図5、
図6に示されるとおり、前記カテーテル本体1及びソフトエンド21内にはレンズチャンネル6がさらに設けられ、前記機能端22には前記レンズチャンネル6に連通する貫通穴がさらに設けられる。機能端22における貫通穴の端面では、消化管内の環境の画像を得るためにレンズアセンブリが設けられてもよく、レンズチャンネル6の内部にレンズアセンブリのデータケーブルなどのワイヤー部品を設ければ、レンズアセンブリで収集した画像データを表示装置に伝送して表示させることができる。
【0032】
レンズアセンブリは一般にレンズと感光チップとを含む。消化管内の画像が、レンズの屈折によって感光チップに届いて、画像信号が生成される。レンズアセンブリの体積は感光チップの形状から制限されており、つまり、画像の解像度が低すぎるのを避けるためには感光チップが小さすぎてはならない。且つ、レンズアセンブリのレンズは様々な形状であってもよいが、感光チップは長方形の構造でなければならない。組み立てる過程において長方形の構造の感光チップはレンズチャンネル6の内径が感光チップの対角線の長さより大きいことを満たすべきであり、レンズアセンブリには大きな収容空間が必要である。
【0033】
例えば、1.12×1.12mmの正方形の感光チップの場合は、その対角線の長さが1.697mmであるため、当該感光チップを収容するためには内径が1.7mm以上のレンズチャンネル6が必要で、また、長方形の感光チップの場合は、レンズチャンネル6にはより大きい内径を必要とする。レンズチャンネル6の内径が大きい場合には、レンズチャンネル6がカテーテル全体の空間を使用するため、カテーテル全体の外径が制限されている場合に、作業チャンネル3の利用可能な空間が縮まり、作業チャンネル3の内径も小さい値に制限されている。
【0034】
したがって、本願において、レンズチャンネル6はカテーテル本体1及びソフトエンド21に沿って延在する円形のルーメン構造である。レンズチャンネル6の内壁には複数の収容溝61が設けられ、複数の前記収容溝61にレンズアセンブリの光センサチップが収容される。実際の使用に当たっては、複数の収容溝61から感光チップを収容する長方形の空間が形成されて、感光チップの形状に適合し、レンズチャンネル6の円形ルーメンの直径を短縮することができる。
【0035】
長方形の構造を形成させるために、前記収容溝61は直角のV字形の溝とする。前記レンズチャンネル6内には4つの収容溝61が設けられて、レンズアセンブリの光センサチップを収容できる長方形の空間が形成される。例えば、4つの収容溝61は直角のV字形の溝で、1.12×1.12mmの長方形の収容空間を形成させており、最大1.12×1.12mmの光センサチップを収容することができ、この場合に、レンズチャンネル6の円形ルーメンの直径は1.36mm以下である。前記収容溝61を利用しないなら、1.12×1.12mmの光センサチップを収容するには直径が1.7mm以上の円形ルーメンを必要とする。したがって、レンズチャンネル6の中の複数の収容溝61が光センサチップの収容空間を形成するため、レンズチャンネル6の直径を増加させることなくレンズアセンブリを設置することができ、カテーテル全体の直径が短くなる。
【0036】
レンズチャンネル6の直径が短くなるため、レンズチャンネル6のカテーテル全体を占める空間が減少し、カテーテルの外径が限定されている場合に、大きな作業チャンネル3は得られる。例えば、カテーテル本体の外径が3.7mm以下である場合に、前記作業チャンネルの直径が1.8mm以上であるため、通常のERCP診断・治療器具が通ることができる。
【0037】
また、4つの収容溝61から形成された長方形の構造は、従来の円筒状のルーメン構造よりもレンズアセンブリを固定しやすく、つまり、収容溝61の長方形の辺で感光チップを制限して、操作中にレンズアセンブリがレンズチャンネル6内において回転するのを防いで、手術中の画像の安定性を保つ。
【0038】
いくつかの実施例において、4つの前記収容溝61から形成された長方形の空間は前記レンズチャンネル6と同軸で、レンズアセンブリの光センサチップを収容することを実現する上に、設置及び固定に備え、光センサチップの中心位置をレンズチャンネル6の中心位置に限定することができる。また、収容溝61から形成された長方形の空間はレンズチャンネル6と同軸であるのは、レンズアセンブリの中の感光チップと光ファイバデータケーブルとの接続を確立させやすく、余分な配線とプリント基板の配置を減らし、レンズチャンネル6内の空間を節約することができる。
【0039】
いくつかの実施例において、複数の前記収容溝61は前記レンズチャンネル6の中心軸を中心に、中心対称に分布する。複数の前記収容溝61のうち、対角線上にある2つの収容溝61の距離は前記光センサチップの対角線の長さ以上である。
【0040】
例えば、
図2に示されるカテーテルの横断面の形状において、レンズチャンネル6は、それぞれレンズチャンネル6の左上隅、右上隅、左下隅及び右下隅に位置する4つの収容溝61を含み、レンズチャンネル6の中心軸を中心に、中心対称に分布する。且つ、光センサチップを収容するためには、4つの収容溝61のうち、レンズチャンネル6の左上隅及び右下隅に位置する2つの収容溝61の距離は光センサチップの対角線の長さ以上であるとし、同様に、レンズチャンネル6の右上隅及び左下隅に位置する2つの収容溝61の距離も、光センサチップの対角線の長さ以上であり、これにより光センサチップを収容し、光センサチップの側面を制限して、回転を防ぐことができる。
【0041】
本実施例において、レンズアセンブリは光センサチップとデータケーブルとを含み、光センサチップはリアルタイムで体腔内の画像を取得し、データケーブルによってカテーテルの近位端の表示装置に伝送することで、体腔内におけるカテーテルの進み具合及び手術操作中の手術器具の実際の動作状況を可視化することができる。
【0042】
本願において、内視鏡の中のガイドワイヤーで導くことで、カテーテルの遠位端を制御して方向の変換動作を実現できるが、カテーテルの遠位端が、内視鏡が到達できない胆管まで進んでいると、操作ワイヤー5によってカテーテルの遠位端を制御して方向を変換させることができ、つまり、本願に係るいくつかの実施例において、前記カテーテル本体1及びソフトエンド21内には複数の操作チャンネル4がさらに設けられ、前記機能端22には前記操作チャンネル4に連通する複数の接続穴が設けられ、各前記操作チャンネル4の中に操作ワイヤー5が設けられ、前記操作ワイヤー5の遠位端が前記機能端22の対応する接続穴内に固定され、これにより複数の前記操作ワイヤー5によって前記機能端22を引っ張って、遠位管2を所定の方向に湾曲させる。
【0043】
実際の使用では、操作ワイヤー5の一端が機能端22に接続され、他端はカテーテルの遠位端から近位端まで延在しており、そのためカテーテルの近位端において操作ワイヤー5を引っ張れば、操作ワイヤー5が機能端22を引っ張って移動させ、遠位管2において蛇の骨のような湾曲を形成させる。明らかなことに、手術操作が実行できるように操作ワイヤー5の数は少なくとも2つとすべきであり、また、より柔軟性の高い方向変換操作を実現するためには、操作ワイヤー5及び操作チャンネル4の数を適宜増やしてもよい。
【0044】
本実施例では、操作ワイヤー5の遠位端を固定するために、機能端22は金属又はプラスチック構造として設けられてもよく、操作ワイヤー5と溶接又はインサート成形接続されることで、操作ワイヤー5の遠位端が機能端22に固定して接続され、操作ワイヤー5の長さを調整して、リアルタイムで遠位管2を制御して方向を変換させることを実現する。前記操作ワイヤー5の直径は0.35mm以下とし、頑丈で耐摩耗性の金属ワイヤー又はプラスチック繊維を使用することができる。
【0045】
上記の技術的解決手段から明らかなように、図6に示されるとおり、連続的なルーメンを得るために、本願においてカテーテル本体1とソフトエンド21、機能端22上のチャンネルは同じ形態に配置され、例えば、カテーテル本体1には1つの作業チャンネル3と、4つの操作チャンネル4と、1つのレンズチャンネル6とが設けられる。これで4つの異なる方向に変換する機能を得、プロセスがシンプルであるだけでなく、大量の空間を節約している。また、方向変換、作業チャンネル、液体の注入と吸引、光学的視覚などの機能を同時に実現でき、その外径が3.7mm以下に縮小しており、ほぼ全てのERCP器具が使用可能となり、つまり胆管と膵管における視覚化の診断と治療を満たす。
【0046】
本願のいくつかの実施例において、前記カテーテル本体1は補強層11を含み、前記補強層11は前記カテーテル本体1、ソフトエンド21及び機能端22の外壁を覆っている。前記補強層11は、カテーテルを患者の体腔に送達しやすいようにカテーテル全体の剛性を高めるとともに、補強層11によってカテーテル本体1、ソフトエンド21と機能端22を連通することができ、これによりカテーテル本体1と遠位管2が同じ材料を使用せず又は一体的な構造でない場合には、依然として互いにつながって一つとなることができ、接続部品の使用でチャンネル及びカテーテルが変形することが避けられる。
【0047】
いくつかの実施例において、前記補強層11は、内層にある金属編成メッシュと外層にあるプラスチックベースチューブとを含む編成メッシュチューブ構造である。補強層11の管壁の肉厚を十分な接続強度を保つために少なくとも0.1mm以上とする必要があり、したがって、前記カテーテル本体1の外径が3.7mm以下である場合に、その中の実際の直径を3.5mm未満とする。従来の押出技術と材料特性に基づけば、カテーテル本体1及びソフトエンド21(例えば、PEBAX、シリカゲルなどの材料を使用する)の有効肉厚は最大0.1mmとなるため、内部のマルチルーメンを設計するための空間の直径は3.3mm以下とし、作業チャンネルの直径は1.8mm以上に設定することができ、つまり、前記作業チャンネル3の直径は1.8mm以上である。
【0048】
本願のいくつかの実施例において、
図4に示されるとおり、前記多機能カテーテルは前記カテーテル本体1の近位端に接続されたハンドル7をさらに含み、前記ハンドル7には複数の回転部品71が同軸に設けられる。前記回転部品71が操作ワイヤー5の近位端に接続され、これにより前記回転部品71によって前記操作ワイヤー5を引っ張って、遠位管2を制御して所定の方向に湾曲させる。各前記回転部品71には2つの前記操作ワイヤー5が接続されており、2つの前記操作ワイヤー5は前記回転部品71の回転軸に相反する方向に巻き付けられ、これにより遠位管2を制御して所定の方向に湾曲させる引張力を生じる。いくつかの実施例において、前記ハンドル7には作業チャンネル入口72がさらに設けられ、前記作業チャンネル入口72は6%標準ルアーテーパーであり、前記作業チャンネル入口72は作業チャンネル3に連通する。
【0049】
本実施例において、前記カテーテル本体1の近位端はハンドル7を含み、ハンドル7は1対の同軸の回転部品71、即ち回転ホイールを含み、各回転ホイールはその回転軸の両側のそれぞれには1つの操作ワイヤー5が接続され、前記多機能カテーテルを単独で又は十二指腸内視鏡と一緒に使用して目標体腔に届けると、医師は片手でハンドル7を握って又はハンドル7を、それと一緒に使用する他の内視鏡(例えば、十二指腸内視鏡)の作業チャンネルの近くに掛ける。
【0050】
ハンドル7上の同軸の回転部品71を回して、それぞれハンドル7内の同軸の2つの回転ホイールの回転軸を連れて回転させ、一方の回転ホイールが時計回りに回転する時、それに接続された2つの対称な操作ワイヤー5はカテーテル本体1及び遠位管2内の操作チャンネル4の中で相対的に移動して、方向が相反する引きと推しの両方の作用力を生じて、操作ワイヤー5に接続された機能端22を傾斜させ、遠位管2の中のソフトエンド21を圧縮させて、遠位管2を所定の方向に湾曲させる。回転ホイールが反時計回りに回転する時、遠位管2は他方の方向に湾曲する。同様に、他方の回転ホイールが時計回り又は反時計回りに回転する時に、遠位管2を連れて他の方向に湾曲させる。
【0051】
本実施例において、医師はハンドル7上の回転部品71を回すことで、遠位管2の患者の体内における、及び一緒に使用する内視鏡のチャンネルの中に進む方向、及び観察方向を制御し、また、カテーテル本体1の近位端のハンドル7を押すと遠位管2のチャンネルに入る深さを制御することができる。また、ハンドル7の近位端は6%標準ルアーテーパーとして構成されている作業チャンネル入口72を1つ有し、作業チャンネル入口72が作業チャンネル3に接続され、医師は作業チャンネル入口72から、例えば、生検鉗子やレーザー砕石装置などの支援器具を挿入して更なる診断と治療を行うことができ、作業チャンネル入口72から液体を注射して体腔を洗い流し、体腔内部の液体を体外に送り出すこともできる。
【0052】
本願のいくつかの実施例において、前記機能端22は前記ソフトエンド21と外径が等しい円筒構造であり、前記機能端22の硬度は前記ソフトエンド21の硬度を超える。実際の使用では、機能端22は軟質プラスチック又はステンレス鋼材料からなる円筒構造としてもよく、且つ、円筒構造にはソフトエンド21の複数のチャンネルに対応する貫通穴が設置される。機能端22では予め硬質材料で、例えば、カメラスロットや、操作ワイヤー5の固定穴、注液チャンネル8に連通する投与穴又は注液穴などの複数の設置穴を設置することができる。したがって、機能端22の硬度がソフトエンド21の硬度を超えることは様々な設置部品を固定するのに役立ち、全体としては動作が一層安定的になる。また、硬度の高い機能端22を使用すると、穴を加工し、プロセスの精度を高めるためにも役立つ。
【0053】
上記の技術的解決手段から明らかなように、前記実施例に係る多機能カテーテルは、マルチルーメン構造のカテーテル本体1と遠位管2とを含む。遠位管2は近位端に位置するソフトエンド21と、遠位端に位置する機能端22とを含み、ソフトエンド21の硬度はカテーテル本体1の硬度より小さく、カテーテル本体1及びソフトエンド21内には作業チャンネルが設けられ、機能端22には作業チャンネル3に連通する貫通穴が設けられ、作業チャンネル3の直径はソフトエンド21の外径の51%以上であり、作業チャンネル3の直径はカテーテル本体1の外径の49%以上である。本願に係るカテーテルは遠位管2のソフトエンド21と作業チャンネル3を組み合わせて方向変換の機能を実現することで、カテーテルの遠位端は消化管よりも複雑な胆道の環境にも適用できる。
【0054】
また、前記レンズチャンネル6はカテーテル本体1及びソフトエンド21に沿って延在する円形のルーメン構造であり、前記レンズチャンネル6の内壁には複数の収容溝61が設けられ、複数の前記収容溝61にレンズアセンブリの光センサチップが収容される。本願に係るカテーテルはレンズチャンネル6の中の複数の収容溝61から光センサチップの収容空間を形成できるため、レンズチャンネル6の直径を増加させることなくレンズアセンブリを収容することができ、カテーテル全体の直径が短くなるため、消化管よりも複雑な胆道の環境にも適用できる。
【0055】
また、本願に係る多機能カテーテルは、作業チャンネルには直径が1.8mmである通常の器具が通ることができ、医師が使いやすいだけでなく、製造コストを節約しており、一緒に使用する器具のコストを一層下げることができ、患者の負担軽減にもつながる。
【0056】
本願において提供される実施例の類似する部分は互いに参照することができ、上記で提供される特定の実施形態は本願の趣旨に準じるいくつかの例であり、本願の保護範囲への限定を構成しない。当業者が本願の技術的解決手段に基づいて、創造性のない実施で他の実施形態を得た場合は、そのいずれも本願の保護範囲に含まれる。
【0057】
本願では、2020年3月4日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202010143001.7で発明の名称が「多機能カテーテル」である中国特許出願の優先権が主張され、それが援用により全体として本願に組み込まれる。
【国際調査報告】