(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】力検知装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20230406BHJP
B25J 19/02 20060101ALI20230406BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
B25J15/08 W
B25J19/02
G01L5/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551806
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(85)【翻訳文提出日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 GB2021050466
(87)【国際公開番号】W WO2021171009
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217113
【氏名又は名称】高坂 晶子
(72)【発明者】
【氏名】エドアルド ファルニオリ
(72)【発明者】
【氏名】イアイン ウィリアム フィリップ ハウトン
【テーマコード(参考)】
2F051
3C707
【Fターム(参考)】
2F051AA10
2F051BA03
2F051BA05
2F051BA07
3C707DS01
3C707ES03
3C707ES07
3C707ET03
3C707EU18
3C707HS27
3C707KS34
3C707KS35
3C707KW03
3C707KW05
3C707KX08
(57)【要約】
第1の端に第1のジョイントを有する第1のセグメントと、第2のジョイントにより第1のセグメントに連結されている第2のセグメントと、第3のジョイントにより第2のセグメントに連結されている第3のセグメントと、第3のセグメントに力が付加されたときに、ジョイントの各々におけるトルクを検知するトルク検知手段とを備え、第1のジョイント、第2のジョイント、および第3のジョイントは、同一の平面内に配置されており、かつ千鳥状に配置されている、ロボット指用の力検知装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端に第1のジョイントを有する第1のセグメントと、
第2のジョイントにより前記第1のセグメントに連結されている第2のセグメントと、
第3のジョイントにより前記第2のセグメントに連結されている第3のセグメントと、
前記第3のセグメントに力が付加されたときに、前記ジョイントの各々におけるトルクを検知するトルク検知手段と
を備え、
前記第1のジョイント、前記第2のジョイント、および前記第3のジョイントは、同一の平面内に配置されており、かつ千鳥状に配置されている、ロボット指用の力検知装置。
【請求項2】
前記トルク検知手段は、前記3つのジョイントについてのトルクデータを制御ユニットに出力する出力を備える、請求項1に記載の力検知装置。
【請求項3】
前記トルク検知手段は、前記第1のジョイント、前記第2のジョイント、および前記第3のジョイントの各々と連携させたトルクセンサを備える、請求項1または請求項2に記載の力検知装置。
【請求項4】
各トルクセンサは、力センサを備える、請求項3に記載の力検知装置。
【請求項5】
前記平面内において前記装置を介してチャネルが設けられ、各チャネルは、一端に力センサを備え、他端にジョイントを備える、請求項3または請求項4に記載の力検知装置。
【請求項6】
前記第1のジョイントは、回転可能である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の力検知装置。
【請求項7】
前記第3のセグメントは、前記他のセグメントの少なくともいくつかを覆うように配置されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の力検知装置。
【請求項8】
前記第3のセグメントは、前記第1のセグメントおよび前記第2のセグメントにわたって延在するように配置されているカバーに囲まれており、前記カバーは、前記第1のセグメントおよび前記第2のセグメントから空隙を介して離間している、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の力検知装置。
【請求項9】
前記第1のジョイント、前記第2のジョイント、および前記第3のジョイントの前記平面の外に配置されている第4のジョイントにおいてトルク検知手段を備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の力検知装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の力検知装置に作用している接触力の力成分を判定する方法であって、
物体が接触点において前記力検知装置の前記第3のセグメントの面に接触するときに、前記力検知装置の前記ジョイントの各々における前記トルクを測定することと、
前記接触点の位置および前記接触力の前記力成分を、前記トルクの測定値から判定することと
を含む方法。
【請求項11】
前記力検知装置内におけるジョイントの千鳥状の配置において、前記ジョイントの1つに対する前記接触力の前記接触点を定義することと、
前記接触力の前記力成分、前記力検知装置における前記ジョイントの千鳥状の配置の寸法、および前記接触力の前記接触点に関して、前記各ジョイントにおける前記トルクを定義することと
を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記力成分は、前記接触点において前記第3のセグメントの前記面に対して法線的な前記力成分と、前記接触点において前記第3のセグメントの前記面に対して接線的な前記力成分とを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ベース部と、
ジョイントにより前記ベース部に連結されている基節骨を備える第1の指と、
ジョイントにより前記ベース部に連結されている基節骨を備える第2の指と
を備え、
少なくとも1つの基節骨は、力検知装置を備える、ロボットグリッパー。
【請求項14】
各基節骨は、力検知装置を備える、請求項12に記載のロボットグリッパー。
【請求項15】
請求項10乃至11のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された制御ユニットを備える、請求項12または請求項13に記載のロボットグリッパー。
【請求項16】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の力検知装置または請求項12乃至14のいずれか一項に記載のロボットグリッパーを備えるロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力検知装置に関する。本発明の態様は、力検知装置、力検知装置に作用する接触力の力成分を判定する方法、力検知装置を備えるロボットグリッパー、およびロボットグリッパーを備えるロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットハンドおよびグリッパーを備えて構成されるロボット装置(本明細書において、ロボットまたはロボットグリッパーとも呼ばれうる)が、製造業などの産業において知られている。そのようなロボット装置の主要能力は、多くの場合、様々な物体を操作できることである。
【0003】
ロボットグリッパーと物体との間の相互作用から生じる接触力は、ロボットグリッパーの指先内にセンサを設置することにより判定することができる。しかしながら、そのような配置は、複雑である(多数の力センサをグリッパーの接触面に配備する必要がある)か、またはロボットグリッパーに作用する接触力の法線成分しか判定できないという点で制約がある。
【0004】
本発明は、上記の課題を軽減または実質的に軽減するロボットグリッパーを提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、第1の端に第1のジョイントを有する第1のセグメントと、第2のジョイントにより第1のセグメントに連結されている第2のセグメントと、第3のジョイントにより第2のセグメントに連結されている第3のセグメントと、第3のセグメントに力が付加されたときにジョイントの各々におけるトルクを検知するトルク検知手段とを備え、第1のジョイント、第2のジョイント、および第3のジョイントは、同一の平面内に配置されており、かつ千鳥状に配置されている、ロボット指用の力検知装置が提供される。
【0006】
本発明は、3つのセグメントと、千鳥状に配置されている3つの連携するジョイントとを備える力検知装置を提供する。各ジョイントにおけるトルクは、トルク検知手段により検知される。そのような配置によれば、第3のセグメントにおける接触力を検知でき、当該接触力の、第3のセグメントの面に対して法線的な成分および第3のセグメントの面に対して接線的な成分の両方を、接触力の位置と共に判定できる点で有利である。
【0007】
トルク検知手段は、3つのジョイントについてのトルクデータを制御ユニットに出力する出力を備えてよい。そうすれば、トルクデータを、ジョイントの形状および第3のセグメントの接触面の形状の詳細と組み合わせて使用して、力検知装置に作用する接触力の力成分を判定することができる。
【0008】
トルク検知手段は、第1のジョイント、第2のジョイント、および第3のジョイントの各々と連携させたトルクセンサを備えてよい。各ジョイントとトルクセンサとを連携させることにより、各ジョイントにおいて発生したトルクを正確に判定でき、便宜である。
【0009】
トルクセンサは、連携するジョイントから定距離に配置された力センサとして提供されてよい。一構成において、ジョイントが配置されている同一の平面内の力検知装置を介してチャネルを設けてもよく、各チャネルは、一端に力センサを備え、他端にジョイントを備える。
【0010】
力検知装置の3つのジョイントは、接触力が存在するときにのみ、限定的な屈曲および動きが可能な、回転不能なジョイントであってよい。
【0011】
別の構成において、第1のジョイントは、回転可能であってよい。例えば、第1のジョイントは、ロボットグリッパーの指骨間またはロボットグリッパーのベース(手掌)部と指骨との間のジョイントであってよい。そのような配置により、ロボットグリッパーの指骨全体を力検知装置として動作させることができるようになる。本配置における第2のジョイントおよび第3のジョイントは、わずかに屈曲させるだけで、第2のジョイントおよび第3のジョイントにおいて、力センサを圧縮または押圧するのに十分な動きが生じるようにしてもよい。
【0012】
第3のセグメントは、他のセグメントの少なくともいくつかを覆うように配置されてよい。なお、本発明に係る力検知装置は、第3のセグメントに作用する力(法線成分および接線成分の両方)を算出することができる。そのような算出が可能なのは、3つのジョイントが存在すること、およびそれらを千鳥状に配置したことによる。しかしながら、仮に、第1のセグメントまたは第2のセグメントに力が接触した場合、力成分を分解するのに必要なジョイントの数およびトルクデータが不足するであろう。より効果的な力検知装置を提供するため、第3のセグメントにより第1のセグメントおよび第2のセグメントを覆う構成とすることで、接触力は第3のセグメントに常に接触し、それにより力成分を分解できる。第1のセグメント、第2のセグメント、および第3のセグメントを直線状に配置した場合には、第3のセグメントを「折り返し」て第1および第2のセグメントを覆うようにしてもよい。
【0013】
第3のセグメントは、第1のセグメントおよび第2のセグメントにわたって延在するように配置されているカバーにより囲まれてよく、カバーは、第1のセグメントおよび第2のセグメントから空隙を介して離間している。本配置は、第3のセグメントを装置の他の部分の上に折り返す代わりの代替手段である。カバーは、第1のセグメントおよび第2のセグメントを「遮蔽」するように配置され、これらのセグメントの領域上の物体が、実際にはカバーと接触する結果、3つのジョイントの全てにおいてトルクに変化が生じ、その変化が検知される。
【0014】
力検知装置は、第4のジョイントを備えてよく、トルク検知手段は、第4のジョイントにおけるトルクを判定するように配置されてよく、第4のジョイントは、第1のジョイント、第2のジョイント、および第3のジョイントの平面の外に配置されている。第4のジョイントを、平面の外の位置であって、トルクの検出が可能な位置に配置することにより、第1のジョイント、第2のジョイント、および第3のジョイントの平面の外に作用する力の成分の判定が可能になるため、便宜である。
【0015】
本発明の一態様によれば、本発明の上記の態様に係る力検知装置に作用する接触力の力成分を判定する方法が提供され、本方法は、物体が接触点において力検知装置の第3のセグメントの面に接触するときに力検知装置のジョイントの各々におけるトルクを測定することと、接触力の接触点の位置および接触力の力成分をトルクの測定値から判定することとを含む。
【0016】
本方法は、力検知装置内でジョイントの千鳥状の配置におけるジョイントの1つに対する接触力の接触点を定義することと、接触力の力成分、力検知装置におけるジョイントの千鳥状の配置の寸法、および接触力の接触点に関して、各ジョイントにおけるトルクを定義することとを更に含んでよい。
【0017】
力成分は、接触点において第3のセグメントの面に対して法線的な力成分と、接触点において第3のセグメントの面に対して接線的な力成分とを備えてよい。力検知装置がロボットグリッパーに組み込まれているとき、接触力の接線的な力成分を判定する機能により、そのようなロボットグリッパーは、物体を把持して、物体をグリッパーで持ち上げるときに当該物体が及ぼす接線的な力を判定することにより、持ち上げようとする物体の重量を判定できるようになる。
【0018】
本開示に係る上記方法のステップの順序は、方法の特定の実施に応じてわずかに変更されてよく、例えば、いくつかのステップは、同時にまたは上述したのとは異なる順序で行われてよいことが分かる。
【0019】
本発明の一態様によれば、ベース部と、ジョイントによりベース部に連結されている基節骨を備える第1の指と、ジョイントによりベース部に連結されている基節骨を備える第2の指とを備え、少なくとも1つの基節骨は、力検知装置を備える、ロボットグリッパーが提供される。
【0020】
本発明に係る力検知装置は、有利には、ロボットグリッパーに組み込まれ、物体が把持されたときにグリッパーに生じる力を、当該グリッパーにより判定できるようにしてよい。便宜上、力検知装置は、ロボットグリッパーの潜在的な接触面の全てに組み込まれてよく、例えば、ロボットグリッパーの各基節骨が、力検知装置を備えてもよい。
【0021】
本発明の一態様によれば、本発明の上記の態様に係るロボットグリッパーが提供され、当該ロボットグリッパーは本発明の方法を実施するように構成されている制御ユニットを備える。
【0022】
本出願の範囲内において、前述の段落において、特許請求の範囲において、および/または以下の説明および図面において提示された様々な態様、実施形態、実施例、および代替案、ならびに、特に、その個々の特徴は、単独でまたは任意の組み合わせで理解されてよいことが明示的に意図されている。すなわち、全ての実施形態、および/または任意の実施形態の特徴は、当該特徴が矛盾しない限りにおいて、任意の方法および/または組み合わせで組み合わせることができる。出願人は、当初はそのように請求されていなくても、任意の他の請求項の任意の特徴に従属するように、および/または任意の他の請求項の任意の特徴を組み込むように、任意の最初に出願された請求項を補正する権利を含み、任意の最初に出願された請求項を変更する、またはそれに応じて任意の新規の請求項を出願する権利を留保する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、本開示の1つ以上の実施形態を、単なる例示として、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】力検知装置を備えるロボットグリッパーであって、本発明の一実施形態に係る開構成のグリッパーの側面図である。
【
図3】
図1のロボットグリッパーを別の開構成とした場合の斜視図である。
【
図4】物体を把持している
図1のロボットグリッパーの側面図である。
【
図5】物体を把持している
図1のロボットグリッパーの斜視図である。
【
図6】物体を把持している
図1のロボットグリッパーの平面図である。
【
図7】力検知装置の第3のセグメントの側面図および接触力を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る接触力の力成分を算出する手順を示すフローチャートである。
【
図9】ロボットグリッパーを備えるロボットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本開示の一般的な実施形態および特定の実施形態を説明する。図面内では、同様の特徴には同様の符号を付して示す。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係るロボットグリッパー10の側面図を示す。グリッパー10は、ベース部12と、第1の指14と、第2の指16とを備える。
【0026】
第1の指14は、ジョイント20によりベース部12に連結される第1の指骨、または基節骨18を備える。第2の指14は、(ベース部)ジョイント24によりベース部12に連結される第1の指骨(基節骨)22を備える。第2の指16は、(指骨)ジョイント28により隣接した基節骨22に連結される第2の指骨(末節骨)26を更に備える。第1および第2の指(14、16)は、互いに対向可能である。
【0027】
図1に示すように、ベース部は、互いに90度に配置される第1の内面30および第2の内面31を備える。ベース部のこれらの内面(30、31)は、物体の把持を補助するテクスチャ面を備える。この面は、例えば、ゴム引き材料を含みうる。ロボットグリッパーは、手首連結部32を追加的に備え、グリッパー10のロボットアーム(
図1では図示せず)への連結を可能にする。
【0028】
図1は、ベース部12の面30および第1の指14の内面34が互いに平行である、十分に開いた形状のグリッパー10を示す。追加的に、第2の指16の第1および第2の指骨(22、26)は、ベース部12の内面31に平行な直線を画定する。
図1に示すように、第1の指14は、第2の指16に対して90度にある。
【0029】
図1に示すロボットグリッパー10に関しては、奇数のジョイント(この場合、3つのジョイント)と、奇数の指骨とがある。対向可能な指に奇数の指骨を有するハンドの存在により、結果として、グリッパーの指が、把持する動作および摘まむ動作、ならびに対向可能な2つの指の間で物体を転がすなどの、より複雑な動作を実行可能にする「手のような」グリッパー10が得られる。
【0030】
図2は、
図1のグリッパー10の斜視図である。
図3は、
図1のグリッパーの別の斜視図であり、当該グリッパーの第2の指16の第2の指骨26が第1の指14の指骨18に平行である、別の「開」構成を示す。
【0031】
各ジョイント(20、24、28)は、軸を中心に回転可能である。
図1に示すように、各ジョイント(20、24、28)の軸は、互いに平行であり、図の平面に対して垂直である。各ジョイントは、それぞれモーターを備え、ロボットグリッパーを十分に駆動させ、それによりグリッパーが取りうる把持姿勢が補助されるようにする。
【0032】
各ジョイントのモーターは、ジョイントと直接連携されてよい。そのような構成により、手首接続部に連結されているグリッパーを、交換用グリッパー(損傷の場合)または代替的なロボットマニピュレーターと交換することが容易になる。代替的に、各ジョイントのモーターは、グリッパー10から離れて(例えば、手首接続部32を介してグリッパー10に取り付けられたアーム内に)配置されてよく、好適な機械式または油圧式の腱様(tendon)システムを介してジョイントに連結されてよい。この構成は、グリッパー内においてモーターを各ジョイントと共にそのまま配置する場合と比較して、グリッパーをより小型に設計することが可能となる。
【0033】
グリッパーは、第1の手の位置と第2の手の位置との間で動けるように、手首連結部を中心に回転可能であってよい。
【0034】
図1(
図2、および
図3)に示すロボットグリッパーの各指(14、16)には、力検知装置が追加的に設けられている。後述するように、力検知装置を使用して、(例えば、物体と接触したことにより)ロボットの指に作用する力の接触点の位置を特定することができる。力検知装置を使用して、指に作用する力の(指の面に対する)法線的な力および接線的な力を追加的に判定してよい。
【0035】
図1に示すように、指14の指骨18は、(ジョイント20が組み込まれた)ベースセグメント40と、(ベース部12から遠位の指骨18の先端に配置された)力検知装置42とを備える。力検知装置は、第1のセグメント、第2のセグメント、および第3のセグメント(44、46、48)を備え、3つのセグメントは、第1のセグメント42が指14のベースセグメント40に隣接するように構成されている。
【0036】
第1のセグメント44は、ベースセグメント40と第1のセグメント44との間に第1のジョイント50を備える。第2のセグメント46は、第2のジョイント52により第1のセグメント44に連結されている。第3のセグメント48は、第3のジョイント54により第2のセグメントに連結されている。
【0037】
ジョイント50、52、54は回転可能なジョイントではないこと、かつ3つのセグメント44、46、48は互いに対して実質的に固定されていることが分かる。しかしながら、3つのセグメントは、互いに対して任意の動きができないわけではなく、力が指14に作用するとき、指14の構造にわずかな圧縮または伸縮が生じることになる。結果として、指が物体と接触するとき、3つのセグメントの間にわずかな相対運動が生じることになる。
【0038】
力検知装置42は、
図1に示す力センサ56(ベースセグメント40と第1のセグメント44との間に配置されている)、力センサ58(第1および第2のセグメント(44、46)の間に配置されている)、及び力センサ60(第2および第3のセグメント(46、48)の間に配置されている)の3つの力センサで構成されるトルク検知手段を更に備える。
【0039】
図1に示すように、ジョイント(50、52、54)および力センサ(56、58、60)は、指14の長手方向軸に垂直に走るチャネル(62、64、66)のどちらかの端に配置されている。
【0040】
第3のセグメント48は、第1のセグメント44および第2のセグメント46を部分的に覆うカバー部68を備えるように成形されている。
図1において、第3のセグメントが折り返されて、カバー部68が第1のセグメントおよび第2のセグメントの内面34を覆うようにしているのが分かる。
【0041】
第1のジョイント、第2のジョイント、および第3のジョイント(50、52、54)は、同一の平面内に配置され、更に、千鳥状に配置されている。以下で
図7を参照して詳細に説明するように、ジョイントをこのように配置することにより、第3のセグメント48に作用する力の法線成分および接線成分の両方を判定することができる。
【0042】
指16は、指14における力検知装置42と同様の構成の力検知装置42aを備える。力検知装置42aの対応する機構は、ラベル付けされている(例えば、第1のセグメント、第2のセグメント、および第3のセグメント(44a、46a、48a)、ジョイント(50a、52a、54a)、力センサ(56a、58a、60a)、チャネル(62a、64a、66a)、およびカバー部68a)。
【0043】
力検知装置42および力検知装置42aにおけるトルク検知手段の出力は、
図6および
図7を参照して、以下に更に詳細に説明するように、把持された物体に付加される力を判定可能な制御ユニット(図示せず)に送信されてよい。
【0044】
制御ユニットは、グリッパー10の操作を制御するモーターに制御信号を送信するように追加的に構成されてよい。
【0045】
図1乃至
図3において、力検知装置(42、42a)は、指(14、16)の先端に示されている。本発明の各実施形態に係る力検知装置を備えるロボットの指については、代替的な構成も可能である。
【0046】
例えば、指14に示すように、力検知装置42は、指骨18の先端にあり、指骨は、ベースセグメント40を更に備える。代替的な構成においては、力検知装置42は、指骨18の全長にわたって延在してよい。そのような代替的な構成においては、第1のジョイント50を別途設ける必要はなく、ベースジョイント20が力検知装置42の一部として代わりに使用されてよい(すなわち、ベースジョイント20が、力検知装置42の「第1のジョイント」を形成する)。そのような構成においては、第1の検知装置42の第1のジョイントが回転可能なジョイントであるのに対して、第2のジョイント52および第3のジョイント54は、上述のように実質的に固定されている。
【0047】
更なる代替的な構成においては、ロボットの指の各指骨(例えば、指16の指骨22、26)が、力検知装置42を備えてよい。
【0048】
図4および
図5に、物体80と相互作用するときの
図1のグリッパー10を示す。各図から分かるように、物体80は、力検知装置(42、42a)のカバー部(68、68a)に接触する。
【0049】
図6は、物体80を垂直に掴んで把持している
図1乃至
図5に係るグリッパー10の側面図を示す。本図において、重力の方向82と、物体80の重量84とが示される。物体に作用するグリッパー10からの接触力86も示される。
【0050】
図7にグリッパー10の略図を示す。本図を参照して、グリッパーが物体と相互作用するときにグリッパー10に作用する力f
cの成分(f
cx、f
cy)を説明する。
【0051】
図7は、カバー部68ならびに第1のジョイント50、第2のジョイント52、および第3のジョイント54と共に、力検知装置42の第3のセグメント48を示す。
【0052】
図1にも示すように、力検知装置42の3つのジョイント(50、52、54)は、同一の平面(図の平面)内にあり、千鳥状に配置されている。
【0053】
図7に示すように、3つのジョイントにより形成された千鳥形(triangle)は、底辺寸法2a、および底辺(ジョイント50、54)から頂点(ジョイント52)までの高さが寸法bの二等辺三角形または正三角形である。
【0054】
図7において、x軸は指のセグメント48の長手方向軸に平行であり、y軸は長手方向軸に垂直であり、x、y軸は3つのジョイント(50、52、54)と同一の平面内にある。ジョイント54を原点とすると、接触力90は、(x
p、h)に位置する。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
上述した方法により、力検知手段の第3のセグメント48に作用している力fcのxおよびy成分を、その力の接触点の位置と共に判定することができる。
【0060】
図7に示す配置において、セグメント48の頂面(すなわち、f
cが作用する面)がx方向のセグメントが延在する範囲にわたって水平な直線であるため、セグメントのプロファイルは一定である(言い換えれば、セグメント48の深さは、一定値hである)。しかしながら、第3のセグメントの異なるプロファイルに対して、例えば、h(x)=mx+q(傾斜線)または二次曲線に対して、力を演算してもよいことが分かる。
【0061】
図7に示すように、力f
cは、図の平面において作用する。力f
cが紙面の内外に(すなわち、z軸を図の平面に垂直とした場合のz軸方向に)作用している成分を有する場合には、成分f
czを判定するため、第4の力センサ(図示せず)がロボットグリッパー10に搭載されてよい。
【0062】
図8は、グリッパーが物体と相互作用するときにグリッパー10に作用している接触力の成分を判定する手順を示すフローチャートである。
【0063】
ステップ100において、物体が第3のセグメントの面と接触すると、力検知装置42の各ジョイント(50、52、54)におけるトルクが測定される。
【0064】
ステップ102において、接触力f
cの接触点90が、千鳥状に配置されたジョイントのうち、1つのジョイントに対して定義される(
図7との関連で上で説明したように、この接触点は、x
p、hである)。
【0065】
ステップ104において、接触力の力成分、力検知装置におけるジョイントの千鳥状配置の寸法、および接触力の接触点に基づいて、各点におけるトルクが定義される。
【0066】
ステップ106において、接触点における接触力の力成分は、測定されたトルク値から判定できる。
図7との関連で上に示されたように、力成分の値(f
cx、f
cyは、既知であるパラメーターに基づいて全体的に定義(ジョイントの千鳥状配置の寸法)、または測定することができる(3つのジョイントにおけるトルク測定値)。
【0067】
図9は、上記の
図1乃至
図7のいずれかに係るアーム122とロボットグリッパー10とを備えるロボット120を示す。
【0068】
添付の特許請求の範囲に規定される本開示の範囲から逸脱することなく、上記の実施例に対しては多くの変更が可能である。
【国際調査報告】