(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】ピストン監視アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F04B 51/00 20060101AFI20230406BHJP
F04B 49/06 20060101ALI20230406BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20230406BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
F04B51/00
F04B49/06 311
B05C5/00 101
B05C11/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552196
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 US2021019955
(87)【国際公開番号】W WO2021174032
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ジェイコブ ボガスキー
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ウェイン ボルヤード ジュニア
【テーマコード(参考)】
3H145
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
3H145AA03
3H145AA12
3H145AA22
3H145AA41
3H145BA30
3H145CA12
3H145CA21
3H145DA22
3H145EA20
3H145EA34
3H145EA42
3H145FA02
3H145FA13
3H145FA23
3H145FA24
4F041AB01
4F041BA02
4F041BA36
4F042AB01
4F042BA12
4F042CB08
4F042DH09
(57)【要約】
ピストン監視アセンブリが、流体を吐出するためにピストンストローク時に反対の方向へ移動するピストンに連結された磁性体と、磁性体によって生成される磁界を表す信号を出力する磁気センサーと、磁気センサーによって出力される信号を検査するとともに、ピストンストロークにおけるピストンの第1の移動時に流体が確実に吐出され、かつ、ピストンストロークにおけるピストンの第2の移動時に流体が吐出されないようにすることを確実にするのに十分な距離をピストンが移動しているかどうかを判定するコントローラーとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を吐出するためにピストンストローク時に反対の方向へ移動するピストンに連結された磁性体と、
前記磁性体によって生成される磁界を表す信号を出力する磁気センサーと、
前記磁気センサーによって出力される前記信号を検査するとともに、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの第1の移動時に前記流体が確実に吐出され、かつ、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの第2の移動時に前記流体が吐出されないようにすることを確実にするのに十分な距離を前記ピストンが移動しているかどうかを判定するコントローラーとを具備するピストン監視アセンブリ。
【請求項2】
前記コントローラーは、0.6ミリメートル以下の距離にわたる前記ピストンの移動を監視するために前記信号を検査する請求項1に記載のピストン監視アセンブリ。
【請求項3】
前記ピストンの前記第1の移動は前記ピストンの下方への移動である請求項1に記載のピストン監視アセンブリ。
【請求項4】
前記ピストンの前記第2の移動は前記ピストンの上方への移動である請求項1に記載のピストン監視アセンブリ。
【請求項5】
前記コントローラーは、前記磁気センサーによって出力される前記信号のサンプルを繰り返し取得するとともに、前記ピストンの上位置及び前記ピストンの下位置を判定するために前記サンプルを分類する請求項1に記載のピストン監視アセンブリ。
【請求項6】
前記磁気センサーは、出力される前記信号としてアナログ電圧を出力する請求項1に記載のピストン監視アセンブリ。
【請求項7】
前記磁気センサーは第1の磁気センサーであり、前記ピストン監視アセンブリは、前記磁性体によって生成される前記磁界を表す前記信号を出力する少なくとも第2の磁気センサーを更に備える請求項1に記載のピストン監視アセンブリ。
【請求項8】
前記コントローラーは、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの前記第1の移動時に前記流体が確実に吐出され、かつ、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの前記第2の移動時に前記流体が吐出されないようにすることを確実にするのに十分な距離を前記ピストンが移動しているかどうかを判定するために、前記第1の磁気センサーによって及び少なくとも前記第2の磁気センサーによって出力される前記信号を検査する請求項7に記載のピストン監視アセンブリ。
【請求項9】
流体接着剤の吐出を制御するためにピストンストローク時に反対の方向へ移動するピストンを含む吐出アセンブリと、
前記ピストンに連結されるとともに磁界を生成する磁性体を備える監視アセンブリであって、該監視アセンブリは、前記磁性体によって生成される前記磁界を表す信号を出力する磁気センサーも含み、該監視アセンブリは、前記磁気センサーによって出力される前記信号を検査するとともに、前記接着剤を吐出するのに十分な距離を前記ピストンが移動している、又は前記接着剤の吐出を停止するのに十分な距離を前記ピストンが移動していることのうちの1つ以上かどうかを判定するコントローラーも含む監視アセンブリとを具備する吐出システム。
【請求項10】
前記コントローラーは、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの下方への移動時に前記接着剤が確実に吐出され、かつ、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの上方への移動時に前記流体が吐出されないようにすることを確実にするために、磁気センサーによって出力される前記信号を検査する請求項9に記載の吐出システム。
【請求項11】
前記コントローラーは、0.6ミリメートル以下の距離にわたる前記ピストンの移動を監視するために前記信号を検査する請求項9に記載の吐出システム。
【請求項12】
前記コントローラーは、前記磁気センサーによって出力される前記信号のサンプルを繰り返し取得するとともに、前記ピストンの上位置及び前記ピストンの下位置を判定するために前記サンプルを分類する請求項9に記載の吐出システム。
【請求項13】
前記磁気センサーは、前記信号としてアナログ電圧を出力する請求項9に記載の吐出システム。
【請求項14】
前記磁気センサーは第1の磁気センサーであり、前記吐出システムは、前記磁性体によって生成される前記磁界を表す前記信号を出力する少なくとも第2の磁気センサーを更に備える請求項9に記載の吐出システム。
【請求項15】
前記コントローラーは、前記接着剤が吐出されていることを確実にするのに十分な距離を前記ピストンが移動しているかどうかのうちの1つ以上を判定するために、前記第1の磁気センサーによって及び少なくとも前記第2の磁気センサーによって出力される前記信号を検査する請求項14に記載の吐出システム。
【請求項16】
流体接着剤を吐出するためにピストンストローク時に反対の方向へ移動するピストンに連結される磁性体によって生成される磁界を表す磁気センサーからの信号を取得することと、
前記ピストンストロークにおける前記ピストンの第1の移動時に前記流体接着剤が確実に吐出され、かつ、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの第2の移動時に前記流体接着剤が吐出されないようにすることを確実にするのに十分な距離を前記ピストンが移動しているかどうかを判定するために、前記磁気センサーによって出力される前記信号を検査することとを含む方法。
【請求項17】
前記ピストンの上位置及び前記ピストンの下位置を判定するためにサンプルを分類することを更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記信号は、前記磁気センサー及び少なくとも1つの追加の磁気センサーから受信される請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の移動は前記ピストンの上方への移動である請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の移動は前記ピストンの下方への移動である請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年2月28日付で出願された米国仮特許出願第62/983,018号の利益を主張し、その開示全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本明細書に記載の主題は、空気作動式のピストン等のピストンの移動を監視するアセンブリ及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかのアクチュエータは、空気圧の変化に応じて既定の経路に沿って上下に移動するピストンを含む。例えば、いくつかの接着剤吐出アセンブリは、素早く繰り返し上下に移動して高温の接着剤を表面(例えば、パッケージの表面)へ向かわせる空気作動式のピストンを含む。これらのピストンは、下方へ移動して接着剤を吐出し、上方へ移動して接着剤の吐出を止めることができる。ピストンは、各ストローク(例えば、各上下移動)時には非常に少量だけ移動することができ、これにより、ピストンは、素早く移動し、ピストンがより遅く移動した場合と比べてより多くの表面に接着剤を吐出することができる。
【0004】
接着剤を吐出するのに十分な距離をピストンが移動することを確実にするために、ピストンのストロークの完結が監視され得る。いくつかのピストンの移動は、レーザー光及び光学センサーによって光学的に監視することができる。しかし、この光学的な監視が行われる環境において接着剤の素早い吐出が伴うことを前提とした場合、レーザー光の光源及び/又は光学センサーに対して接着剤が遮蔽又は干渉し得る。
【発明の概要】
【0005】
1つの実施の形態においては、ピストン監視アセンブリは、流体を吐出するためにピストンストローク時に反対の方向へ移動するピストンに連結された磁性体と、前記磁性体によって生成される磁界を表す信号を出力する磁気センサーと、前記磁気センサーによって出力される前記信号を検査するとともに、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの第1の移動時に前記流体が確実に吐出され、かつ、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの第2の移動時に前記流体が吐出されないようにすることを確実にするのに十分な距離を前記ピストンが移動しているかどうかを判定するコントローラーとを備える。
【0006】
1つの実施の形態においては、吐出システムは、流体接着剤の吐出を制御するためにピストンストローク時に反対の方向へ移動するピストンを含む吐出アセンブリと、前記ピストンに連結されるとともに磁界を生成する磁性体を備える監視アセンブリとを備える。該監視アセンブリは、前記磁性体によって生成される前記磁界を表す信号を出力する磁気センサーも含む。前記監視アセンブリは、前記磁気センサーによって出力される前記信号を検査するとともに、前記接着剤を吐出するのに十分な距離を前記ピストンが移動している、又は前記接着剤の吐出を停止するのに十分な距離を前記ピストンが移動していることのうちの1つ以上かどうかを判定するコントローラーも含む。
【0007】
1つの実施の形態においては、方法は、流体接着剤を吐出するためにピストンストローク時に反対の方向へ移動するピストンに連結される磁性体によって生成される磁界を表す磁気センサーからの信号を取得することと、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの第1の移動時に前記流体接着剤が確実に吐出され、かつ、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの第2の移動時に前記流体接着剤が吐出されないようにすることを確実にするのに十分な距離を前記ピストンが移動しているかどうかを判定するために、前記磁気センサーによって出力される前記信号を検査することとを含む。
【0008】
本発明の主題は、添付の図面を参照しながら、非限定的な実施形態についての以下の説明を読むことによって理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ピストン監視アセンブリを有する吐出システムの1つの例を示す図である。
【
図2】
図1に示される吐出アセンブリ及び監視アセンブリの1つの実施形態を示す断面図である。
【
図3】
図2に示される吐出アセンブリの下部を示す図である。
【
図4】
図1に示される監視アセンブリの動作の1つの例を示す図である。
【
図5】吐出アセンブリの動作を監視する方法の1つの例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載の本発明の主題の1つ以上の実施形態は、磁気センサーを使用してピストンの移動を監視するピストン監視アセンブリ及び方法を提供する。監視アセンブリ及び方法は、ピストンの完全なストロークが完結しているかどうかを判定するためにピストンの小さな移動を検知することができる。監視アセンブリ及び方法は、空気作動式のピストンが比較的小さな移動のストロークを完結しているかどうかを判定するために使用することができる。例えば、監視アセンブリ及び方法は、ピストンが0.3ミリメートル~0.6ミリメートルの総距離(ストローク移動の最上からストローク移動の最下まで)を有するストロークを完結しているかどうかを確認することができる。
【0011】
監視アセンブリ及び方法の1つの実施形態についての説明は接着剤の塗布に使用される空気作動式のピストンの移動の監視に関するものであるが、本発明の主題のすべての実施形態がこの1つに限定されるものではない。電子作動式のピストン、電磁気作動式のピストン、空気以外の流体を使用して空気圧で作動するピストン等の移動を監視するために、1つ以上の他の実施形態を使用することができる。別の例として、1つ以上の実施形態は、流体の薬剤を吐出するように作動するピストン等、接着剤の吐出以外の用途に使用されるピストンの移動を監視するために使用され得る。
【0012】
図1は、ピストン監視アセンブリ102を有する吐出システム101の1つの例を示す。吐出システム101は、吐出アセンブリ100と監視アセンブリ102とを含む。吐出アセンブリ100は、ピストン(
図2と関連して以下で図示及び説明する)の内部移動による吐出端104を有するモジュールハウジング106を含む。吐出アセンブリ100は、接着剤(例えば、熱接着剤)をモジュールハウジング106の吐出端104内の吐出開口(
図2に示されている)から噴射するために使用することができる。1つ以上の弁を内部に有する弁装置108は、モジュールハウジング106の内部へ入る作動流体の流れ及びモジュールハウジング106の内部から出る作動流体の流れを制御することができる。例えば、弁装置108は、加圧空気がピストンの上方のモジュールハウジング106内へ向けられるときを制御すること(例えば、ピストンのストローク時に内部ピストンを下方へ移動させて接着剤を吐出するために)、及び加圧空気がピストンの下方のモジュールハウジング106内へ向けられるときを制御すること(例えば、ピストンのストローク時に内部ピストンを上方へ移動させて接着剤の吐出を止めるために)ができる。
【0013】
監視アセンブリ102のセンサーハウジング110は、磁気センサー(
図2に示されている)をモジュールハウジング106の近傍に保持する。センサーハウジング110は、センサーハウジング110をモジュールハウジング106に機械的に固定すること等によって、モジュールハウジング106に固定することができる。監視アセンブリ102は、1つ以上の接続部114によって磁気センサーと連結されるコントローラー(
図1では見ることができないが
図4に示されている)を含む。
図1に示されている接続部114は、1つ以上のワイヤー、ケーブル、バス等によって構成される導電接続部である。任意選択で、接続部114は、1つ以上の無線接続部を含むことができる。
【0014】
図2は、吐出アセンブリ100及び監視アセンブリ102の1つの実施形態の断面図を示す。
図3は、吐出アセンブリ100の下部を示す。モジュールハウジング106は、長尺のシャフト202が位置する内部チャンバ200を含む。シャフト202は、モジュールハウジング106の吐出体214内の吐出開口300(
図3において符号が付されている)からの接着剤の吐出を制御するために、シャフト202の中心軸204に沿って上下に移動する。吐出体214は、内部導管を有するとともにモジュールハウジング106の残りの部分と連結される固定具とすることができる。
【0015】
例えば、接着剤の流れは、監視アセンブリ102の下部(例えば、吐出体214)における横導管302(
図3において符号が付されている)を通して提供することができる。シャフト202の下部は、吐出体214の鉛直導管304(
図3において符号が付されている)内に配設される。鉛直導管304は、吐出体214内で横導管302と交差する。接着剤は、横導管302を通して横方向に流れるか又は移動し、次いでシャフト202の外側で鉛直導管304内を下方へ鉛直方向に流れることができる。シャフト202の外方の下端306(
図3において符号が付されている)は、吐出開口300よりも大きい。結果として、シャフト202が
図2に示されている位置(すなわち、ピストンストロークの最上又は最上の近く)にある間に接着剤が吐出開口300を介して出ることができないように、シャフト202の球状の下端306が吐出開口300を閉じる。シャフト202の下端306は、シャフト202が下方へ移動する(すなわち、ピストンストロークの最下へ向かう又は最下にある)ときに吐出開口300の下方を移動する。これにより、シャフト202の下端306と吐出体214内の吐出開口300との間に分離が生じる。この分離により、鉛直導管304内の接着剤が吐出開口300の外へ(例えば、標的表面上へ)出ることができる。
【0016】
シャフト202の移動は、シャフト204が連結されるピストン216の移動によって制御される。例えば、ピストン216は、シャフト202の反対端(シャフト202の下端306に対して反対側)又はその近くに連結することができる。ピストン216は、モジュールハウジング106の内部チャンバ200内に位置する。弁装置108は、ピストン216を内部チャンバ200内で
図2に示されている位置へ押し上げるために、内部チャンバ200内へ延在する下導管口308を介して加圧流体(例えば、空気)を内部チャンバ200内へ注入又は別様に向かわせることができる。ピストン216は、内部チャンバ200内においてピストン216がどの程度の距離を上方へ(例えば、吐出開口300から離れる方向へ)移動するかを制限するためにモジュールハウジング106の内部段310に接触することができる上接触面310を含む。ピストン216は、上接触面310が段312に接触するように、
図2、3に示されている位置まで駆動することができる。これによってシャフト202が引き上げられ、シャフト202の下端306が吐出開口300を閉じる。
【0017】
そして、弁装置108は、ピストン216を内部チャンバ200内で押し下げるために、同様に内部チャンバ200内へ延在する上導管口314(
図3において符号が付されている)を介して加圧流体(例えば、空気)を内部チャンバ200内へ向かわせることができる。ピストン216は、上接触面310とは反対側の下接触面316を含む(例えば、面310、316は反対の方向に面する)。この下接触面316は、ピストン216の下方への移動を制限するために下導管口308に接触することができる。上記のように、この下方への移動により、シャフト202が下がり、シャフト202の下端306が吐出開口300から分離され、接着剤が吐出される。
【0018】
図2、3に示されている上位置から下位置へ向かい、上位置へ戻るピストン216の移動は、ピストン216の1つのストロークである。ピストン216の上位置と下位置との間の距離は、0.3ミリメートル~0.6ミリメートル等、比較的小さなものであり得る。代替的に、この距離は、より長い距離又はより短い距離とすることができる。
【0019】
監視アセンブリ100は、センサーハウジング110内に配設される磁気センサー206(
図2に示されている)と、ピストン216と連結される磁性体318(
図3において符号が付されている)とを含む。磁性体318は、永久磁石とすることができる。代替的に、磁性体318は、半永久磁石(例えば、一時磁石)又は電磁石であってもよい。磁気センサー206は、センサー206によって検出される磁界の量に対応する大きさを有する電圧(例えば、直流)を出力又は生成するアナログ磁気センサーとすることができる。例えば、磁気センサー206は、ホール効果センサーとすることができる。ハウジング106の内側の磁界は、電圧がセンサー206を通過することを防止する。ピストンのストローク中のピストン216の下方への移動時においてピストン216及び磁性体318がセンサー206から離れるように移動するにつれ、センサー206の電圧出力が増加する。ピストンのストローク中のピストン216の上方への移動時においてピストン216及び磁性体318がセンサー206へ向かって移動するにつれ、センサー206の電圧出力が減少する。代替的に、磁気センサー206は、デジタルセンサーとすることができる、及び/又はピストン216の移動及び/又は位置を示すデジタル信号等、電圧以外の出力を提供することができる。1つのセンサー206及び1つの磁性体318のみが図示されているが、代替的に、2つ以上のセンサー206及び/又は2つ以上の磁性体318を使用してもよい。
【0020】
図4は、監視アセンブリ100の動作の1つの例を示す。監視アセンブリ100は、吐出アセンブリ100内でのピストン216の移動についての通知を提供する出力装置400を含むことができる。コントローラー402は、センサー206から接続部114を介して出力を受信する。コントローラー402は、磁気センサーからの出力を監視するとともに出力装置400によって提示される情報を制御する、ハードウェア回路、例えば、1つ以上のプロセッサを有する又は1つ以上のプロセッサと連結される1つ以上の回路基板(例えば、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、マイクロコントローラー、集積回路等)に相当するものとすることができる。出力装置400は、1つ以上のライト若しくはランプ、電子ディスプレイ、スピーカー等に相当するものとすることができる。出力装置400は、ピストン216の移動についての通知を提示するようにコントローラー402によって制御することができる。例えば、ピストン216の求められるストロークの全距離にわたってピストン216が移動していないことに応答して、ライトを作動させてもよく、メッセージを表示してもよく、アラームを鳴らしてもよい。異なる言い方をすると、コントローラー402は、ピストン216がどの程度の距離を移動しているかを判定するために、センサー206による出力を比較することができる。ピストン216のストロークの下方部分においてピストン216の距離又は移動した距離が指定の距離よりも短いことを出力が示す場合、コントローラー402は、通知を提供するように出力装置400に指示することができる。
【0021】
1つの実施形態において、コントローラー402のハードウェア回路は、監視アセンブリ102が起動されたときに電圧(例えば、正の直流極性で24ボルト)を受信することができる増幅器を含む。コントローラー402は、ピストン216の移動の前に提供される入力信号又は手動入力(例えば、コントローラー402のボタンを押す)によって較正することができる。例えば、入力は、ピストン216が既知の位置(例えば、ストロークの最下又は最も低い位置)にある間にコントローラー402に提供することができる。コントローラー402は、較正のために入力が提供されるときにセンサー206からの出力を検査することができる。そして、コントローラー402は、この出力をピストン216のゼロ位置又は最も低い位置と関連付けることができる。コントローラー402は、ピストン216が既知の位置に対してどこに位置するか、ピストン216が既知の位置に位置するとき、及び/又はピストン216が既知の位置からどの程度の距離にあるかを判定するために、この出力をセンサー206の1つ以上の他の出力と比較することができる。
【0022】
吐出アセンブリ100が起動されると、ピストン216は、ピストン216のストロークを通じて上下に移動する。ピストン216の移動は、磁性体306からセンサー206によって検出される磁界を変化させる。センサー206によって感知される磁界の強度により、コントローラー402に出力される電圧をセンサー206が少量だけ変化させる。コントローラー402は、200マイクロ秒あたりにおよそ8つのサンプルで出力電圧を測定することができる。代替的に、コントローラー402は、より高い頻度又はより低い頻度で出力電圧を測定することができる。
【0023】
コントローラー402は、センサー206からの出力電圧の測定値を分類することができる。例えば、コントローラー402は、ピストン216の場所又は移動を判定するために使用されるセンサー206の出力の値を判定するために、中央値分類アルゴリズム(median sorting algorithm)を使用することができる。コントローラー402は、ピストン216のストローク時のピストン216の上位置及び下位置を判定するために、1つ以上のソフトウェアフィルターを適用し、分類アルゴリズムから出力される値を分析することができる。例えば、コントローラー402は、分類及びフィルタリングから出力される最大値を識別し、この値をストローク時のピストンの最も低い位置と関連付けることができる。
【0024】
コントローラー402は、分類及びフィルタリングから出力される最小値を識別し、この値をストローク時のピストンの最も高い位置と関連付けることができる。コントローラー402は、任意選択で、温度の変化によるこれらの値又は位置のうちの1つ以上を調整することができる。コントローラー402は、時間の経過に伴ってストローク内でピストン216が移動する距離を検査することができる。ピストン216の物理的な移動を構成するのに十分な程度に距離が変化した場合、コントローラー402は、対応するセンサー206(複数のセンサー206が使用される場合)に対する出力信号を生成及び通信することができる。
【0025】
例えば、コントローラー402によって判定された距離が閾値距離以上である場合、コントローラー402は信号を出力することができる。コントローラー402によって判定された距離がこの閾値距離未満である場合、コントローラー402は信号を出力し得ない。この出力信号は、上記のように、操作者によって出力装置400を介して提示することができる。代替的に、コントローラー402によって判定された距離が閾値距離未満である場合、コントローラー402は信号を出力することができるが、コントローラー402によって判定された距離がこの閾値距離以上である場合、コントローラー402は信号を出力し得ない。閾値距離は、接着剤を吐出するための間隙又は分離がシャフト202の下端306と吐出開口300との間にあることを確実にするためにピストン216が移動する必要のある距離とすることができる。
【0026】
代替的に、コントローラー402は、センサー206によって出力された電圧を検査し、これらの電圧を下閾値電圧及び上閾値電圧と比較してもよい。下閾値電圧は、シャフト202の下端306が吐出開口300を閉じることを確実にするのに十分に高いピストン216の位置(ピストン216の取り得る最も高い位置でない場合もある)と関連付けることができる。上閾値電圧は、シャフト202の下端306が吐出開口300を開くことを確実にするのに十分に低いピストン216の位置(ピストン216の取り得る最も低い位置でない場合もある)と関連付けることができる。コントローラー402は、センサー206からの出力が上閾値電圧と同程度に大きくないこと(シャフト202の下端306が吐出開口300を開くようにするのにピストン216が十分に低くないことを示す)に応答してアセンブリ100の操作者に通知するように出力装置400を制御することができる。
【0027】
コントローラー402は、センサー206からの出力が下閾値電圧と同程度に低くないこと(シャフト202の下端306が吐出開口300を閉じるようにするのにピストン216が十分に高くないことを示す)に応答して操作者に通知するように出力装置400を制御することができる。代替的に、コントローラー402は、センサー206からの出力が少なくとも上閾値電圧と同程度に大きいこと(シャフト202の下端306が吐出開口300を開くようにするのにピストン216が十分に低いことを示す)に応答してアセンブリ100の操作者に通知するように出力装置400を制御することができ、コントローラー402は、センサー206からの出力が下閾値電圧未満であること(シャフト202の下端306が吐出開口300を閉じるようにするのにピストン216が十分に高いことを示す)に応答して操作者に通知するように出力装置400を制御することができる。
【0028】
図5は、吐出アセンブリの動作を監視する方法500の1つの例のフロー図を示す。1つの実施形態において、方法500は、接着剤の吐出時のピストン216の移動を監視するために監視アセンブリ102によって行われる動作に相当するものとすることができる。502において、監視アセンブリが較正される。例えば、吐出アセンブリのピストンが既知の位置(例えば、ピストンのストロークの最下位置)にある間に磁気センサーからの出力を検査することができる。504において、吐出アセンブリが動作している間、磁気センサーによって出力される信号がサンプリングされる。例えば、ピストンが吐出アセンブリ内で上下に移動する間、磁気センサーからの出力が繰り返し検査される。506において、ピストンが移動している1つ以上の距離が判定される。距離は、上記のように、センサー出力を互いに比較することによって、及び/又はピストンの既知の位置からの出力と比較することによって判定することができる。
【0029】
506において、ピストンが移動している距離が吐出を発生させることを確実にするのに十分に大きいかどうかについて判定が行われる。例えば、接着剤を吐出開口から外へ吐出することが可能なほどにピストンが連結されるシャフトの端が十分に低下しているかどうかを判定するために、センサーの出力及び/又は距離を1つ以上の閾値と比較することができる。接着剤が吐出開口から外へ吐出されないようにすることが可能なほどにピストンが連結されるシャフトの端が十分に上昇しているかどうかを判定するために、センサーの出力及び/距離を1つ以上の閾値と比較することができる。
【0030】
ピストンが移動している距離が、吐出が発生することを確実にする、及び接着剤の吐出の間で吐出開口が閉じられることを確実にするのに十分に長い場合、吐出アセンブリは適切に動作しているものであり得る。結果として、方法500のフローは、512へ続き得る。512において、吐出アセンブリが適切に動作していることを操作者に通知するために、例えば、ライトを起動すること、メッセージを表示すること等、通知を提供することができる。
【0031】
しかし、ピストンが移動している距離が、吐出が発生することを確実にする、及び接着剤の吐出の間で吐出開口が閉じられることを確実にするのに十分に長くない場合、吐出アセンブリは適切に動作していないものであり得る。結果として、方法500のフローは、510へ続き得る。510において、1つ以上の応答アクションが実施され得る。例えば、吐出アセンブリが適切に動作していないことを操作者に通知するために、ライトを起動すること、アラームを鳴らすこと、メッセージを表示すること、吐出アセンブリを起動解除又はオフにする等、通知を提供することができる。代替的に、応答アクションを行わない。
【0032】
510又は512に続き、方法500を終了することができる、或いは方法500のフローを504等の1つ以上の他の動作へ戻すことができる。
【0033】
1つの実施形態においては、ピストン監視アセンブリは、流体を吐出するためにピストンストローク時に反対の方向へ移動するピストンに連結された磁性体と、前記磁性体によって生成される磁界を表す信号を出力する磁気センサーと、前記磁気センサーによって出力される前記信号を検査するとともに、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの第1の移動時に前記流体が確実に吐出され、かつ、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの第2の移動時に前記流体が吐出されないようにすることを確実にするのに十分な距離を前記ピストンが移動しているかどうかを判定するコントローラーとを備える。
【0034】
任意選択で、前記コントローラーは、0.6ミリメートル以下の距離にわたる前記ピストンの移動を監視するために前記信号を検査する。
【0035】
任意選択で、前記ピストンの前記第1の移動は、前記ピストンの下方への移動である。
【0036】
任意選択で、前記ピストンの前記第2の移動は、前記ピストンの上方への移動である。
【0037】
任意選択で、前記コントローラーは、前記磁気センサーによって出力される前記信号のサンプルを繰り返し取得するとともに、前記ピストンの上位置及び前記ピストンの下位置を判定するために前記サンプルを分類する。
【0038】
任意選択で、前記磁気センサーは、出力される前記信号としてアナログ電圧を出力する。
【0039】
任意選択で、前記磁気センサーは第1の磁気センサーであり、前記ピストン監視アセンブリは、前記磁性体によって生成される前記磁界を表す前記信号を出力する少なくとも第2の磁気センサーを更に備える。
【0040】
任意選択で、前記コントローラーは、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの前記第1の移動時に前記流体が確実に吐出され、かつ、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの前記第2の移動時に前記流体が吐出されないようにすることを確実にするのに十分な距離を前記ピストンが移動しているかどうかを判定するために、前記第1の磁気センサーによって及び少なくとも前記第2の磁気センサーによって出力される前記信号を検査する。
【0041】
1つの実施形態においては、吐出システムは、流体接着剤の吐出を制御するためにピストンストローク時に反対の方向へ移動するピストンを含む吐出アセンブリと、前記ピストンに連結されるとともに磁界を生成する磁性体を備える監視アセンブリとを備える。該監視アセンブリは、前記磁性体によって生成される前記磁界を表す信号を出力する磁気センサーも含む。前記監視アセンブリは、前記磁気センサーによって出力される前記信号を検査するとともに、前記接着剤を吐出するのに十分な距離を前記ピストンが移動している、又は前記接着剤の吐出を停止するのに十分な距離を前記ピストンが移動していることのうちの1つ以上かどうかを判定するコントローラーも含む。
【0042】
任意選択で、前記コントローラーは、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの下方への移動時に前記接着剤が確実に吐出され、かつ、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの上方への移動時に前記流体が吐出されないようにすることを確実にするために、磁気センサーによって出力される前記信号を検査する。
【0043】
任意選択で、前記コントローラーは、0.6ミリメートル以下の距離にわたる前記ピストンの移動を監視するために前記信号を検査する。
【0044】
任意選択で、前記コントローラーは、前記磁気センサーによって出力される前記信号のサンプルを繰り返し取得するとともに、前記ピストンの上位置及び前記ピストンの下位置を判定するために前記サンプルを分類する。
【0045】
任意選択で、前記磁気センサーは、前記信号としてアナログ電圧を出力する。
【0046】
任意選択で、前記磁気センサーは第1の磁気センサーであり、前記吐出システムは、前記磁性体によって生成される前記磁界を表す前記信号を出力する少なくとも第2の磁気センサーを更に備える。
【0047】
任意選択で、前記コントローラーは、前記接着剤が吐出されていることを確実にするのに十分な距離を前記ピストンが移動しているかどうかのうちの1つ以上を判定するために、前記第1の磁気センサーによって及び少なくとも前記第2の磁気センサーによって出力される前記信号を検査する。
【0048】
1つの実施形態においては、方法は、流体接着剤を吐出するためにピストンストローク時に反対の方向へ移動するピストンに連結される磁性体によって生成される磁界を表す磁気センサーからの信号を取得することと、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの第1の移動時に前記流体接着剤が確実に吐出され、かつ、前記ピストンストロークにおける前記ピストンの第2の移動時に前記流体接着剤が吐出されないようにすることを確実にするのに十分な距離を前記ピストンが移動しているかどうかを判定するために、前記磁気センサーによって出力される前記信号を検査することとを含む。
【0049】
任意選択で、前記ピストンの上位置及び前記ピストンの下位置を判定するために前記サンプルを分類することも含む。
【0050】
任意選択で、前記信号は、前記磁気センサー及び少なくとも1つの追加の磁気センサーから受信される。
【0051】
任意選択で、前記第1の移動は前記ピストンの上方への移動である。
【0052】
任意選択で、前記第2の移動は前記ピストンの下方への移動である。
【0053】
単数形である「a」、「an」、及び「the」は、文脈において別段明確に示されない限り、複数を指すことも含む。「任意選択の(optional)」又は「任意選択で(optionally)」は、続いて記載される事象又は状況が起こり得ること又は起こり得ないことを意味するとともに、説明には事象が起こる事例及び起こらない事例が含まれることを意味する。明細書及び請求項の全体にわたって本明細書において使用される概略化する用語は、この用語が関連し得る基本的機能に変化を生じさせることなく変動が許容される任意の定量的な表現を修飾するために適用され得る。このため、単数又は複数の用語、例えば「約(about)」、「実質的に(substantially)」、及び「略(approximately)」によって修飾される値は、特定される正確な値に限定されないものであってもよい。少なくともいくつかの事例において、概略化する用語は、値を測定するための機器の精度に対応し得る。ここで、及び明細書及び請求項の全体を通じて、範囲限定は、組み合わせること及び/又は互換することができ、このような範囲は、文脈又は用語において別段示されない限り、識別することができる、及びすべての下位範囲を含めることができる。
【0054】
本書面においては、ベストモードを含む実施形態を開示する、並びに任意の装置又はシステムの製造及び使用、及び任意の組み込まれた方法を行うことを含め、当業者が実施形態を実施することを可能にするために、例を使用する。請求項は、本開示の特許可能な範囲を画定するものであり、当業者が思い至る他の例を含む。このような他の例は、それらが請求項の文言とは異ならない構造的要素を有する場合、又はそれらが請求項の文言とは僅かに異なる同等の構造的要素を有する場合には特許請求の範囲内に収まることを意図している。
【符号の説明】
【0055】
100 吐出アセンブリ
102 監視アセンブリ
104 吐出端
106 モジュールハウジング
108 弁装置
110 センサーハウジング
114 接続部
200 内部チャンバ
202 シャフト
204 中心軸
206 磁気センサー
214 吐出体
216 ピストン
300 吐出開口
302 横導管
304 鉛直導管
306 下端
308 下導管口
310 上接触面
314 上導管口
316 下接触面
318 磁性体
400 出力装置
402 コントローラー
500 方法
【国際調査報告】