(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】ケーブルの保護
(51)【国際特許分類】
H02G 1/10 20060101AFI20230406BHJP
H02G 9/02 20060101ALI20230406BHJP
H02G 3/22 20060101ALI20230406BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20230406BHJP
B63B 35/00 20200101ALI20230406BHJP
【FI】
H02G1/10
H02G9/02
H02G3/22
F16L57/00 A
B63B35/00 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022552198
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(85)【翻訳文提出日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 GB2021000011
(87)【国際公開番号】W WO2021170966
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522340875
【氏名又は名称】スーパー グリップ (ユーケー) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUPER GRIP (UK) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100145883
【氏名又は名称】新池 義明
(72)【発明者】
【氏名】コンロン, ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】ブラックバーン, ダレン ジョン
【テーマコード(参考)】
3H024
5G352
5G363
5G369
【Fターム(参考)】
3H024AA02
3H024AB02
3H024AB06
3H024AC03
5G352EA02
5G363AA12
5G363BA01
5G363CA17
5G369AA06
5G369BA02
5G369BB01
5G369CA09
5G369CB01
5G369DA02
(57)【要約】
ケーブル、配管、又はチューブの保護には、曲げ補強材が含まれる。これは、その長さの少なくとも一部に沿って周方向の窪み部を規定する、実質的に滑らかな内面を有する管状壁を備える少なくとも1つの要素を含む。各窪み部は、壁の周囲にある開放端、底部、及び開放端よりも底部で互いに接近している傾斜側面を有する。各窪み部の深さは、管状壁の厚さの50%以下である。曲げ補強材は、一緒に接続された多数のそのような要素を含むことができる。ケーブル保護には、曲げ補強材に取り付けられたクランプも含まれる場合がある。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に滑らかな内面を有する管状壁を含む要素;
ここで、前記管状壁が、その長さの少なくとも一部に沿った複数の周方向の窪み部を規定している、
各窪み部は、前記壁の周縁にある開放端と、底部と、前記開放端よりも前記底部で互いに接近している傾斜側面とを有しており、前記管状壁の厚さの50%以下の深さを有している
を含む、曲げ補強材。
【請求項2】
前記要素が、同一の要素に取り付けるための取付手段を各端部に更に含む、請求項1記載の曲げ補強材。
【請求項3】
前記取付手段が、前記要素の一端に設けられた管状のナックルと、前記要素の他端に設けられた凹部を含む、ここで、前記ナックルが同一の要素の凹部に嵌り合っている、請求項2記載の曲げ補強材。
【請求項4】
前記要素が、一緒に取り付けられるように構成された2つの相補的なハーフシェルを含み、各前記ハーフシェルが2つの長いエッジを有し、各長いエッジが前記管状壁の断面を含んでいる、請求項1ないし4のいずれか1項記載の曲げ補強材。
【請求項5】
前記ハーフシェルが実質的に同一である、請求項4記載の曲げ補強材。
【請求項6】
前記ハーフシェルの隣接する長いエッジを接続する少なくとも1つのヒンジ要素を更に含む、請求項4記載の曲げ補強材。
【請求項7】
各前記ハーフシェルの少なくとも1つの長いエッジについて、前記エッジは、互いに接合されたときエッジがかみ合うように、その長さの少なくとも一部に沿ってクレネル加工されている、請求項4ないし6のいずれか1項記載の曲げ補強材。
【請求項8】
1のハーフシェルが、1の長いエッジから立ち上がっている突起を含み;及び、他のハーフシェルが、1の長いエッジに形成された逆方向の窪みを有する;これにより、ハーフシェルがそれらの長いエッジに沿って一緒に配置されるとき、前記突起が前記窪み内に組み合わされる、請求項4ないし6のいずれか1項記載の曲げ補強材。
【請求項9】
各ハーフシェルの各長いエッジが、少なくとも1つのそのような突起と少なくとも1つのそのような窪みを有する、これにより、ハーフシェルがその長いエッジに沿って一緒に配置されるとき、突起と窪みが組み合う、請求項8記載の曲げ補強材。
【請求項10】
前記窪みの少なくとも1つに対して、前記要素の管状壁を貫通して前記窪みに至る第1の穴が規定されている、及び、前記窪みと逆向きの前記突起に第2の穴が規定されている、及び、前記要素が、前記ハーフシェルを一緒に保持するために前記第1の穴及び前記第2の穴を押して通すピンを更に備える、請求項9記載の曲げ補強材。
【請求項11】
前記管状壁が実質的に円形の断面を有する、請求項1ないし7のいずれか1項記載の曲げ補強材。
【請求項12】
各前記窪み部が実質的にV字形状の断面を有する、請求項1ないし11のいずれか1項記載の曲げ補強材。
【請求項13】
各窪み部の底部が湾曲している、請求項12記載の曲げ補強材。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項記載の複数の接続された要素を含み、各端部に端部要素が存在する、ここで、
前記端部要素の1つを除く各要素のナックルは、隣接する要素の凹部内に保持されている、
ケーブル又はチューブ保護装置。
【請求項15】
ナックルを有するクランプを更に含み、該クランプのナックルが前記端部要素の1つの凹部内に保持されている、請求項14記載のケーブル保護具。
【請求項16】
2つの相補的なハーフシェルで形成され、実質的に滑らかな内面を有する管状壁を含む第1の要素を得るステップ;
前記管状壁が、その長さの少なくとも一部に沿って周方向の窪み部を規定するステップ;
各窪み部は、壁の周縁にある開放端と、底部と、及び開放端よりも底部で互いに接近している傾斜側面とを有し、管状壁の厚さの50%以下の深さを有するステップ;
ハーフシェルをケーブルの周りに配置し、要素を閉じるステップ;そして、
前記ハーフシェルを一緒に接合するステップ;
を含む、ケーブル又はチューブを保護する方法。
【請求項17】
前記ハーフシェルが一緒にヒンジで結合されている、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第1の要素に隣接する前記ケーブルの周りに、前記第1の要素と同じの第2の要素を配置するステップ;そして
前記第2の要素を前記第1の要素に取り付けるステップ、
を更に含む、請求項16又は請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記第1の要素は一端にナックルを有し、前記第2の要素は一端に凹部を有し、前記第2の要素は、前記要素を閉じる前に前記ナックルの周りに前記凹部を配置することによって前記第1の要素に取り付けられる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記ハーフシェルの相補的なエッジの少なくとも1対は、それらの長さの少なくとも一部に沿ってクレネル加工され、これにより、ハーフシェルが一緒に接合されたときかみ合う、請求項16ないし19のいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
1のハーフシェルは、1の長いエッジから立ち上がっている突起を含む;そして、
他のハーフシェルは、1の長いエッジに規定されてる相互関係のある窪みを有する;
これにより、ハーフシェルがそれらの長いエッジに沿って一緒に配置されるとき、前記突起が前記窪みにはまり合う、
請求項16ないし20のいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
第1の穴は要素の管状壁を通って前記窪みまで形成され、第2の穴は前記突起に形成され、そして、前記ハーフシェルを結合する前記ステップは、前記第1の穴及び前記第2の穴を通してピンを押すことを含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記第1の要素を取り付ける前に、
一端にナックルを有するクランプを得るステップ;
前記クランプを前記ケーブルの周りに固定するステップ;
ここで、前記第1の要素を取り付ける前記ステップは、前記第1の要素を閉じる前に、前記クランプのナックルの周りの前記第1の要素の端部に凹部を配置するステップを更に含む
請求項16ないし22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前端及び後端を有するクランプを前記ケーブルに取り付けるステップ;
前記ケーブルを取り囲むように、前記クランプの後端に曲げ補強材を取り付けるステップ;
クランプが支持構造物の前端部に最初に入るように、前記ケーブルを前記支持構造物内に通すステップ;
風力発電機内で所望の高さに達するまで、前記ケーブルを上方に引っ張るステップ;
を含む支持構造物を有する洋上風力発電機に電気ケーブルを設置する方法。
【請求項25】
前記支持構造物が、開口部を規定する壁を含み、前記ケーブル、前記クランプ及び前記曲げ補強材の少なくとも一部が前記開口部を通過する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記曲げ補強材は、請求項1ないし13のいずれか1項記載の曲げ補強材を含む、請求項24記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年2月27日に出願された英国特許出願番号20 02 835.3及び2020年12月10日に出願された英国特許出願番号20 19 504.6に基づく優先権を主張するものであり、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ケーブル用曲げ補強材、及びそのような曲げ補強材を含むケーブル保護具に関する。
海底ケーブルは、例えば洋上風力発電機に接続されるケーブルの場合、一般にそのほとんどの長さが埋設されている。しかしながら、ケーブルの一部、例えば風力発電機の基部は、海底の上の水中にあるため、保護が必要である。他の場所で使用される可撓性の配管及びチューブにも同様な概念がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
曲げ補強材は、可撓性プラスチックの筒状のシートで、収容されたケーブルの曲げを可能にし、剛性を高めるものであることが知られている。一般に、長いケーブルの保護には使用されない。その代わりに、海底から風力発電機の基部に至るケーブルのうち、洗掘領域と呼ばれる領域に曲げ制限器が一般に使用されている。これらは曲げを許容するが、最小半径でロックアウトし、ケーブルの過度の曲げを防止する。
風力発電機の基部にケーブルを接続する既知の方法は、ラッチヘッドと曲げ制限器を含むプロテクタを提供することであり、その両方を通してケーブルは自由に走行する。ラッチヘッドは発電機の基部に固定され、曲げ制限器は洗掘領域内でケーブルを保護する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[発明の簡単な説明]
本発明の第1の観点によれば、請求項1に記載の曲げ補強材が提供される。
【0005】
本発明の第2の観点によれば、請求項16に記載のケーブル又はチューブを保護する方法が提供される。
【0006】
本発明の第3の観点によれば、請求項24に記載の洋上風力発電機における電気ケーブルの設置方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、電気ケーブルを含む洋上風力発電機を示す図であり;
【
図2】
図2は、
図1に示すケーブルを保護するために使用するケーブル保護具を示し;
【
図3】
図3は、
図2に示すケーブル保護具の一部である要素の第1の実施形態を示す図であり;
【
図4】
図4は、
図3に示す要素を構成する2つのハーフシェルの斜視図であり;
【
図5】
図5は、
図4に示す2つのハーフシェルを接合した図であり;
【
図8】
図8は、
図7に示すクランプを構成するハーフシェルを示す図であり;
【
図9】
図9a、9b、9c及び9dは、
図2に示すケーブル保護具を作るために部品をはめ込む段階を示し;
【
図10】
図10は、
図2に示すケーブル保護具の一部である要素の第2の実施形態を示す図であり;
【
図13】
図13は、
図1に示す風力発電機の設置中にケーブルを敷設する設置船を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態について、図面を参照して例としてのみ説明する。詳細な実施形態は、発明者が知っている最良のモードを示し、特許請求された本発明をサポートする。ただし、これらは単なる例示であり、特許請求の範囲を解釈又は制限するために使用するべきではない。これらの目的は、当該技術分野の当業者に教示を提供することである。「第1」や「第2」のなどの序数句で区別される要素及びプロセスは、必ずしも、いかなる種類の順序又は順位をも規定するものでははない。
【0009】
[発明の詳細な説明]
(
図1)
風力発電機101は、単杭発電機として知られるタイプのものである。これは、海底103に埋設された単杭102を備える。単杭102の上部にはトランジションピース104が取り付けられており、トランジションピース104の上部にはタワー105が載っている。タワー105は、発電機106とブレード107を含む。単杭の基礎は海底下に降りており、ここでは示していない。
【0010】
ケーブル108は、発電機101を風力発電所の残りの部分に接続し、発電されたエネルギーが変電所に供給されることを可能にする。ケーブルは海底を走り、保護構造物109の下で海底を出て、洗掘領域112を通り、単杭102に入り、制御ボックス110で終わる。更にケーブル (図示せず) がタワー内を走り、制御ボックスを発電機に接続する。
単杭102は直径5mの中空の鋼管であり、壁111の厚さは15cmである。ケーブル108は、壁111の開口部を通過する。この開口部は、単杭に水が入る可能性があるので、密封されている必要はない。ケーブルを開口部に通す既知の方法は、ケーブルの周りに鋼製のラッチヘッドを設けることである。これは、装置に恒久的に取り付けられ、その外側にわずかに延びる。この方法には、以下のようないくつかの欠点がある。
【0011】
ラッチヘッドは、鋼製で可動部を有するので、腐食しやすく、機械的に故障する可能性がある。更に、特にケーブルが自由に動くため、鋼がケーブルの摩耗の原因となる可能性がある。(ラッチヘッドを設置した後、ケーブルを単杭の上部まで引き上げなければならないため、ケーブルが自由に動くことが必要である。)次に、ケーブルがラッチヘッドを出たところは海流の影響を受けるため、波によって前後に動く傾向がある;これにより、ラッチヘッドから出たところでケーブルがよじれる可能性があり、障害の原因になる。曲げ制限器の使用は、ケーブルの直径を大きくするため、波によってより大きく動く可能性がある。そのため、ケーブルがラッチヘッドを抜ける地点は、依然として潜在的な障害点である。
【0012】
図1に示す例では、風力発電機101の支持構造は単杭102によって提供されている。他のサイズの単杭は、様々な水深に適している。更に、三脚、ジャケット、多杭など、多くの支持構造が洋上風力発電機用に知られており、想定されている。あるいは、支持構造は、海底に基礎があるものではなく、浮体構造であってもよい。いずれの場合も、海底から支持構造物までケーブルの長さを確保する必要である。したがって、ケーブルは、単杭のように支持構造物の内部を通過することもあれば、支持構造物の上方に沿ってタワーに至ることもある。このような場合、ケーブルを支持構造物の内部又は周囲に通して制御ボックスに接続し、海水や波浪にさらされるケーブルを保護する必要がある。
【0013】
(
図2)
図2は、洗掘領域112における単杭壁111の一部とケーブル108のフリースパンを示す。典型的な例として、ケーブルは海底103を出る地点で岩201によって洗掘から保護されている。その後、ケーブルが壁111の傾きのある開口部202に入る前に、数メートルのフリースパンが存在する。ケーブル108は、クランプ204と曲げ補強材205を含むケーブル保護具203によって保護されている。ノーズ曲げ補強材206も、ケーブル保護具203の前部に設けられている。
【0014】
曲げ補強材205は、保護岩201から単杭102の内側までケーブル108を被覆している。したがって、ケーブルのフリースパン全体が単一の曲げ補強材によって保護されているため、ねじれによって引き起こされる潜在的な故障点が存在しない。これは、開口部202を通してケーブルを引っ張る前に、ケーブル108にクランプ206を固定し、それを曲げ補強材205に取り付けることによって達成される。ケーブル保護具203は単杭102の壁111に取り付けられていないので、十分な量の曲げ補強材が単杭102の内側にくるまでケーブルを通すことができ、したがって、ケーブルが壁111を出る点でのねじれを防止することができる。
【0015】
このシステムの更なる利点は、曲げ補強材205がポリウレタン製であるため、鋼製ラッチヘッドのように開口部202の摩耗を引き起こさず、また、内部のケーブルの摩耗を引き起こさないことである。ケーブルの摩耗は、ケーブルがクランプ206によって固定されているため、ケーブル保護具203内で動かないという事実によって、更に減少する。このシステムの更なる利点は、ケーブル保護具が単杭102に取り付けられていないため、厳しい気象条件下で単杭に伝わる負荷が少ないことである。
【0016】
したがって、ケーブル保護具203は、鋼ではなくポリウレタン製であり、可動部分を有していないので、製造コストが大幅に安いことに加えて、既存のシステムよりも信頼性が高いため、保守コストを削減できるはずである。
曲げ補強材205は、
図3に関して更に説明する要素207及び208のような多数の同一の要素で構成されている。しかしながら、クランプ及び曲げ補強材を有する風力発電機用のケーブル又はチューブ保護システムにおいて、他のタイプの曲げ補強材を使用することも可能である。
【0017】
(
図3)
図3は、多数の同一の要素と組み合わせて曲げ補強材205を形成する要素207を示す。要素207は、曲げ補強材205を形成するのに適した要素の第1の実施形態であり、適切な要素の第2の実施形態は
図10に示す。
要素207は、円形チューブであり、この実施形態では、長さ1m、外径28cmである。内径は10.5cmであり、10cmの直径を有するケーブルにぴったりとフィットすることを可能にする。しかし、異なるサイズのケーブルに対応するために、他のサイズを使用することも可能である。1mの長さは、1つの要素を扱いにくくすることなく、曲げ制限器を形成するために必要な要素の数を最小限にする。しかしながら、より長い又はより短い要素を使用することも可能である。破線306及び307は、チューブの内面を示しており、これは滑らかであり、内部空隙309を形成し、これは、隣接する要素への接合を可能にするために一端に内部凹部310を有し、実質的に円筒形である。要素207は、これが要素がすべての方向に等しく曲がることを可能にするので、外側及び内側の円形断面を有している。しかしながら、要素が他の方向よりも一方向に多くの曲げを許容することが望まれる場合、要素は異なる形状の断面を有するかもしれない。例えば、楕円形は、その短辺よりも長辺の方でより大きくの曲げを許容するであろう。
【0018】
要素207は、内部凹部310とは反対側の端部にナックル305を有し、結合は、1つの要素のナックルを他の要素の内部凹部内に封入することによって達成できる。
図4に関して更に説明するように、要素207は、クレネル加工されたエッジを有する2つのハーフシェルからなり、線311は、2つのハーフシェルのエッジが互いにはめ合わされた状態を示している。要素207の反対側から見た図は、クレネル加工された接合線がわずかに異なることを除けば、ほぼ同じである。
要素207は、ショア硬度65Dのポリウレタンから作られているが、適切な硬度の他の適切な材料も使用することができる。
【0019】
要素の管状壁308は、内部凹部310を除いて、その長さの大部分に沿って8.75cmの厚さであり、その長さに沿って窪み部301及び302のような周方向の窪み部を形成している。この実施形態では、窪み部は、9つの窪み部の第1のセット303と、8つの窪み部の第2のセット304にグループ化される。しかしながら、他の任意の構成を使用することもできる。周方向の窪み部は、要素207の長さに沿って動的な曲げ剛性を提供する。
窪み部301のような周方向の各窪み部は、底部がわずかに湾曲したV字形状である。要素207に力が加わると、その力の方向に曲がる。屈曲部の凹側では、
図6a及び6bに示すように、窪み部が閉じ、凸側では窪み部が開くことになる。これにより、窪み部を有しない曲げ補強材と比較して、小さな力が加わった場合に、曲げが生じることを許容できる。しかしながら、力が増加して窪み部が更に閉じると、要素は硬くなる。つまり、要素の曲げを継続するのに必要な力の大きさが、要素の曲げとともに増加する。これにより、
図6a及び6bを参照して更に説明するように、動的な曲げ剛性が得られる。
【0020】
この動的な曲げ剛性が存在するためには、窪み部301のような各窪み部の深さは、要素の管状壁308の厚さの50%以下とするべきである。
図3の実施形態では、各窪み部の深さは壁の厚さの20%程度である。これより深い窪み部は、動的な曲げ剛性ではなく、無制限の曲げを可能にする傾向がある。
この動的な曲げ剛性の効果により、曲げ補強材の1か所にかかる力が曲げ補強材の長さ方向に広がる傾向があるため、曲げ補強材の一部分が過度に曲がってねじれを起こす可能性が低くなる。
【0021】
(
図4)
要素207は、ケーブル108の周りに一緒にボルト止めされた2つの実質的に同一のハーフシェル401及び402から構成されている。ハーフシェル401は、壁403を含み、その外側には窪み部410のような窪み部が形成されている。ハーフシェル402は、壁411を含み、その外側には窪み部412のような窪み部が同様に形成されている。一緒に接合すると、壁403と壁410は、要素207の管状壁308を形成し、窪み部が一致して周方向の窪み部301を形成し、そして、内部円筒状空隙309が形成される。管状壁308は滑らかな内面409を有することが分かる;したがって、要素の壁308は波形状ではなく、その外面にのみ窪み部を形成している。
各ハーフシェルは2つの長いエッジを有している。ハーフシェル401の長いエッジ404を見ることができ、ハーフシェル402の長いエッジ405及び406を見ることができる。各長いエッジは、他のハーフシェル上の対応する壁と相補的な管状壁を通る断面である。
【0022】
この実施形態では、
図3に示すように、長いエッジはクレネル加工されており、それらが互いに適合するようになっている。このクレネル加工は、要素が曲がるときに開く可能性のある単一の長い結合線を防止している。これは、粒子状物質が曲げ補強材に入り、ケーブルを磨滅させるおそれがある。
同一の要素を使用することで、工具のコスト、ひいては製造コストを最小限に抑えることができる。しかしながら、他の実施形態では、ハーフシェルは、ある種のヒンジ要素を使用してヒンジ結合することができ、その場合、ボルト締め点の数が減るので、ケーブルの周りに素早くフィットすることができるであろう;この場合、ヒンジのない長いエッジのみが鋸歯になっている可能性がある。
【0023】
各要素のナックル305は、隣接する要素内に保持される。要素207の内部凹部310は、隣接する要素のナックルを保持する。更に、クランプ206には、
図7に示すようにナックルが形成されているため、そのクランプに隣接する曲げ補強材の第1の要素は、この手段によってクランプに取り付けられる。要素同士を接続する他の取付手段を使用することも可能である。
ハーフシェルのそれぞれには、ボルト穴407などのボルト穴と、ワッシャースロット408などのワッシャースロットが形成されている。2つのハーフシェルを一緒に固定するには、ワッシャースロット408にワッシャーを入れ、穴407にボルトを入れ、ワッシャーを通過させる。そして、他方のハーフシェルにセルフタップで固定する。この実施形態では、6つのボルトポイントが設けられている。しかし、シェルを接続する他の方法を使用することも可能である。
【0024】
(
図5)
図5は、ハーフシェル401及び402が一緒に配置され、円筒形空隙309をほぼ埋める例示的なケーブル503の周りにボルト止めされた後の要素207を示す。ボルト501及び502が示されている。
要素207は、この図に示すようにそれ自体で使用してもよいし、多数の同一の要素と共に使用して任意の長さの曲げ補強材を形成してもよい。本明細書に示す洋上風力発電機用のケーブル保護具の実施形態は、それがどのように使用され得るのかを示す一例にすぎない。この動的な曲げ補強材は、例えば、他の海底電気ケーブルの保護、ガス及び石油の配管及びチューブの保護など、適切な設定において他の曲げ補強材及び曲げ制限器に置き換えることができる。
【0025】
(
図6)
図3を参照して説明したように、要素207は動的な曲げ剛性を提供する。
図6aと6bにこれを示す。
窪み部601のような各周方向の窪み部は、管状壁(その内径を破線306及び307で示す)の周縁にある開放端602と底部603を有する。側面604及び605は、実質的にV字形状の断面を形成するように傾斜しており、側面は開放端よりも底部において互いに接近しており、底部603は湾曲している。
要素207が曲がっていないとき、開放端における側面604及び605の間の距離は16.5mmであり、隣接する窪み部の間の間隔は23mmである。各窪み部の深さは20.5mmであり、側面は水平から72°の角度で傾斜している。この窪み部の形状、サイズ、及び間隔は、風力発電用ケーブルの保護に有効であると判断されたものである。他の形状、サイズ及び間隔の窪み部は、要件に応じて、曲げ補強材の曲げ量を多くしたり少なくするために使用することができる。
【0026】
図6aでは、力611が加えられている。これにより、窪み部612及び613が閉じ始め、曲げが可能になり、力が加えられる側に凹曲面が形成され、凸面側では同じ窪み部がわずかに開く。窪み部の湾曲は、この開放を容易にする。
図6bでは、力611が大きくなっている。スロット612及び613は、凹曲側でほぼ完全に閉じられている。窪み部の閉鎖の効果は、管状壁が窪み部内でより厚くなることである。これにより、この時点で要素が曲がりにくくなる。したがって、隣接する窪み部614及び615も閉じ始める。これらの点では、窪み部612及び613よりも要素を曲げるのに必要な力が小さいからである。これらも閉じ始めると、次の隣接する窪み部616及び617で曲げが続き、これらの点で曲げるのに必要な力が再び小さくなる。このように、曲げ補強材の1点にすべての力がかかるのではなく、動的な剛性を提供することによってその長さに沿って力が分散される。
【0027】
最終的に、すべての窪み部が閉じると、曲げ補強材はロックアウトする傾向があり、これが曲がり続けることができる唯一の方法は、かなり大きな力を必要とするポリウレタンの変形による。このように、動的曲げ補強材の効果は、小さな力がかかると動的な剛性を提供し、大きな力がかかると曲げ制限器のように動作することである。これは、機能性を損なうことなく曲げ制限器に置き換えることができることを意味する。しかしながら、この挙動は材料の選択によって異なるであろう。可撓性の高い材料は、窪み部が閉じた後に更に曲げられるように変形するが、可撓性の低い材料は、それ以上曲がらず、曲げを制限するであろう。
【0028】
要素は、適切な曲げ半径でロックアウトするように設計することができる。半径は、壁の厚さに対する窪み部の深さに依存する:より深い窪み部は、より小さい半径でロックアウトする (つまり、より多くの曲げを許容する)。壁の厚さの約50%よりも深い窪み部は、曲げ半径がゼロに近くなるため、適切な窪み部の深さはこれより小さくなる。
したがって、本明細書には、実質的に滑らか内面を有する壁308のような管状壁からなる要素、例えば要素207を含む曲げ補強材が記載されている。壁は、その長さの少なくとも一部に沿って、窪み部301のような周方向の窪み部を規定し、各窪み部は、壁の周における開放端と底部を有し、底部から離れる方向に傾斜する側面を有する。各窪み部の深さは、壁の厚さの50%以下である。
【0029】
(
図7,
図8)
図7は、クランプ204を示す。それは、2つのハーフシェルからなり、
図8は、そのうちの1つのハーフシェル801を示す。クランプは、実質的に円筒形のチューブであり、ケーブル108の直径と同じか又はわずかに小さい内径を有する。2つのハーフシェルは、ケーブル108の周囲に配置され、穴701及び702のようなボルト穴を通して一緒にボルト締めされる。これらは、クランプがケーブル上で動かなくなるまで締め付けられる。
クランプは、要素207のナックル305とサイズ及び形状が同一であるナックル703を含む。クランプ204を曲げ補強材要素の長さに取り付けるために、ナックル703が凹部310などの凹部にフィットするように、第1の要素がクランプの周囲に取り付けられる。他の取付手段を使用することもできる。
【0030】
クランプは、ノーズ曲げ補強材206を取り付けるために、その前端704で狭くなっている。これは、穴802のような貫通孔にボルト止めされる。ノーズ曲げ補強材は、ケーブルがクランプの前部から出るところでねじれるのを防止する役割を果たすが、他の実施形態では、これを省略したり、別のタイプにしたり、又は他の手段で取り付けたりすることができる。
【0031】
(
図9)
図9aから
図9dは、ケーブル保護具203の建造の段階を示す。最初に、
図9aに示すように、円錐形の筒で、前方から後方に向かって肉厚になっている、ノーズ曲げ補強材206にケーブル108を通す。内径はケーブル108の直径より広く、ケーブルが自由に通過できるようになっている。ノーズ端に所定の長さのケーブル901が存在するように、ケーブルのある点にノーズ曲げ補強材206を配置する。本明細書で説明する実施形態では、これは、概略、単杭102の開口部202から制御ボックス110までの距離とほぼ一致する。
【0032】
図9bに示すように、次に、ケーブル108に2つのハーフシェルをクランプ204で固定する。所定の位置に置き、ノーズ曲げ補強材206にクランプの前部をボルトで固定する。今や、これらは、ケーブル108に不動に取り付けられている。
図9cに示すように、第1の曲げ補強要素207を追加する。ケーブル108とクランプ204のナックル703の周りに2つのハーフシェルを配置し、一緒にボルトで固定する。今や、要素207は、クランプ204の背面に取り付けられている。
次に、
図9dに示すように、要素207に同じ方法で更なる曲げ補強材要素208を取り付ける。曲げ補強材205が所望の長さになるまでこれを続ける。
【0033】
したがって、本明細書では、要素207及び208のような複数の接続された要素からなるケーブル又はチューブ保護装置が開示されている。各々は、隣接する要素の窪み部内に保持されているナックルを有する。例外は、2つの端部要素であり、凹部又はナックルのいずれかが自由である。この実施形態では、端部要素の凹部内に保持されているナックルを有するクランプも提供される。
【0034】
(
図10)
図10は、曲げ制限器205を形成するのに適した要素の第2の実施形態を示す。要素1001は円形チューブであり、この実施形態では長さ1m、外径28cmである。内径は10.5cmであり、直径10cmのケーブルにぴったりとフィットすることを可能にする。しかし、異なるサイズのケーブルに対応するために、他のサイズを使用することも可能である。1mの長さは、単一の要素を扱いにくくすることなく、曲げ制限器を形成するために必要な要素の数を最小にする。しかしながら、より長い又はより短い要素を使用することも可能である。破線1002及び1003は、チューブの内面を示しており、これは滑らかであり、内部空隙1004を形成し、これは、隣接する要素への接合を可能にするために一端に内部凹部1005を有し、実質的に円筒形である。要素1001は、これが要素がすべての方向に等しく曲がることを可能にするので、外側及び内側の円形断面を有している。しかしながら、要素が他の方向よりも一方向に多くの曲げを許容することが望まれる場合、要素は異なる形状の断面を有するかもしれない。例えば、楕円形は、その短辺よりも長辺の方でより大きくの曲げを許容するであろう。
【0035】
要素1001は、内部凹部1005とは反対側の端部にナックル1006を有し、そして、接合は、1つの要素のナックルを他の要素の内部凹部内に封入することによって達成できる。
図11に関して更に説明するように、要素1001は2つのハーフシェルを含む。穴1015、1015、1016、1017及び1018は、ハーフシェルを一緒に保持するための固定点を提供し、線1019は2つのハーフシェルのエッジを示す。要素1007の反対側から見た図は同じである。
要素1001は、ショア硬度56Dのポリウレタンで作られているが、適切な硬度の他の適切な材料も使用することができる。
【0036】
要素の管状壁1007は、内部凹部1005を除いて、その長さの大部分に沿って8.75cmの厚さであり、その長さに沿って窪み部1008及び1009のような周方向の窪み部を形成している。この実施形態では、窪み部は、4つの窪み部の第1のセット1010、5つの窪み部の第2のセット1011、5つの窪み部の第3のセット1012、及び4つの窪み部の第4のセット1013の4つのセットにグループ化される。周方向の窪み部は、要素1001の長さに沿って動的な曲げ剛性を提供する。
この実施形態と
図3に示す実施形態は、窪み部の配置が異なる。この配置は更に変更させてもよく、使用する材料の硬度、要素の長さと幅、壁の厚さ及び窪み部の深さに依存することができる。
【0037】
窪み部1008のような周方向の各窪み部は、底部がわずかに湾曲したV字形状である。この湾曲は、
図3よりも
図10により明確に示しているが、窪み部は、両方の実施形態において実質的に同様である。要素1001に力が加わると、それはその力の方向に曲がる。
図6a及び
図6bに示すように、窪み部が閉じ、凸側では窪み部が開くことになる。これにより、窪み部を有しない曲げ補強材と比較して、小さな力が加わった場合に、曲げが生じることを許容できる。しかしながら、力が増加して窪み部が更に閉じると、要素は硬くなる。つまり、要素の曲げを継続するのに必要な力の大きさが、要素の曲げとともに増加する。
【0038】
この動的な曲げ剛性が存在するためには、窪み部1008のような各窪み部の深さは、要素の管状壁1007の厚さの50%以下とするべきである。
図10の実施形態では、各窪み部の深さは、壁の厚さの30%程度である。これより深い窪み部は、動的な曲げ剛性ではなく、無制限の曲げを可能にする傾向がある。
この動的な曲げ剛性の効果により、曲げ補強材の1か所にかかる力が曲げ補強材の長さ方向に広がる傾向があるため、曲げ補強材の一部分が過度に曲がってねじれを起こす可能性が低くなる。
【0039】
(
図11)
要素1001は、ケーブルの周りに一緒に固定された2つの実質的に同一のハーフシェル1101及び1102から構成されている。ハーフシェル1101は、壁1103を含み、その外側には窪み部1104のような窪み部が規定されている。ハーフシェル1102は、壁1105を含み、その外側には窪み部1106のような窪み部が同様に形成されている。一緒に結合すると、壁1103と壁1105は、要素1001の管状壁1007を形成し、窪み部1008のような窪み部が一致して周方向の窪み部を形成し、そして、内部円筒空隙1004が形成される。管状壁1007は、滑らかな内面1107を有することが分かる;したがって、要素の壁1007は波形ではなく、その外面にのみ窪み部を形成している。
【0040】
各ハーフシェルは 2 つの長いエッジを有している。ハーフシェル1101の長いエッジ1108を見ることができ、ハーフシェル1102の長いエッジ1109及び1110を見ることができる。各長いエッジは、他のハーフシェルの対応する壁と相補的である管状壁を通る断面である。ハーフシェルは、長いエッジに沿った相補的な凸部と凹部によって一緒に固定されている。
ハーフシェル1102は、その長いエッジから立ち上がっている多数の円筒状突起を形成している。小さな突起1111及び1112は、長いエッジ1110の両端にあり、大きな突起1113は、第2及び第3の組の窪み部1011及び1012の間の、ほぼ中央にある。大きな突起1114及び1115は、長いエッジ1109から、第1及び第2の組の窪み部1010及び1011と第3及び第4の組の窪み部1012及び1013の間に、それぞれ立っている。各突起は、ハーフシェルの長軸に直交する固定ピン用の穴を形成している。
【0041】
各突起の反対側、対向する長いエッジは、相互関係にあるサイズと形状の窪みを形成している。したがって、長いエッジ1109は、両端に小さな窪み1116及び1117を形成し、第2及び第3の組の窪み部1011及び1012の間の、ほぼ中央に大きな窪み1118を形成している。同様に、長いエッジ部1110は、第1及び第2の組の窪み部1010及び1011と第3及び第4の組の窪み部1012及び1013の間にそれぞれ大きな窪み1119及び1120を形成している。各ハーフシェルの壁には、ハーフシェルの長軸に直交し、各窪み部とぴったりと合う穴が形成されている。例えば、ハーフシェル1102の穴1015は、窪み1119とぴったりと合っている。各穴は窪みの反対側にも続いており、例えば穴1121は穴1015の続きにある。
ハーフシェル1101は同一であるため、その長いエッジに同一の突起と窪みを有しており、そのうちの 1 つである小さな突起1122のみを見ることができる。
【0042】
ハーフシェル1101と1102を接合するために、突起は、他方のハーフシェル上のそれらの逆方向の窪みにはめ込まれる。例えば、突起1122は窪み1116にはめ込まれる。ナイロンピン(図示せず)を使用してハーフシェル同士を固定する。例えば、ピンを穴1015から突起の穴を通り、続きにある穴1121に通して、ピンを所定の位置に打ち込み、摩擦はめで保持する。この例では、両側に5つのピンがはめ込まれる。突起と窪みの代替配置や、ハンマー加工されたナイロンピンの代替品 (例えば、ねじ付きボルト) を使用することも可能である。
突起と窪みを交互に配置し、両方のハーフシェルにピンを設けてハーフシェルを接合するこの方法は、第1の実施形態のクレネル加工形成と同じ機能を果たす。すなわち、要素1001が曲がるときに、ハーフシェル間の接合ライン1019が開くのを防止する。そのような開口は、粒子状物質が曲げ補強材に入り込み、ケーブルを摩耗させる可能性がある。
【0043】
同一の要素を使用することで、工具のコスト、したがって製造コストを最小限に抑えることができる。しかし、他の実施形態では、ハーフシェルは、ある種のヒンジ要素を用いてヒンジ結合することができ、その場合、ボルト締め点の数が減少するので、ケーブルの周りに素早く装着することができるであろう。その場合、ピンのための突起、窪み及び穴は、長いエッジの一方にのみ存在することになるかもしれない。このように、ハーフシェルを結合して要素を形成する異なる方法を用いる2つの実施形態について説明した。他の適切な結合方法も使用され得る。
2つの要素を接合するために、各要素のナックル1006は、隣接する要素内に保持される。要素1001の内部凹部1005は、隣接する要素のナックルを保持する。更に、第1の実施形態と同様に、クランプ204に隣接する曲げ補強材の第1の要素は、ナックル703とかみ合うことによって、それに取り付けられる。要素を一緒に接続する他の取付手段を使用することも可能である。
【0044】
(
図12)
図12は、ハーフシェル1101及び1102が、円筒形空隙1004をほぼ満たす例のケーブル1201の周りに一緒に配置された後の要素1001を示している。ピンは、穴1014から1018に打ち込まれている。
要素1001は、この図に示すように単独で使用してもよいし、
図9に示したのと同様に、多数の同一の要素と共に任意の長さの曲げ補強材を形成することもできる。更に、この実施形態は、ハーフシェル同士の固定方法と凹部の配置のみが第1の実施形態は異なるので、必要に応じて2つの実施形態(又は別の実施形態)を接合して、曲げ補強材を形成することも可能である。
【0045】
(
図13)
図13は、単杭102へのケーブル108の設置を示している。典型的には、このような設置は自昇降式設置船1301によって行われる。これは、沖合の必要な位置まで航行した後、脚1302のような複数の脚で自らを昇降させる船である。これにより、風力発電機の据付中に船の位置を確実に維持し、重い部材を持ち上げるための基礎を提供する。しかしながら、ケーブルの設置のためには、停泊した船で十分な場合がある。
船1301は、巻上ロープ1304を含むクレーン1303を有する。水中では、人間のダイバーよりもコストと安全性の理由から好ましい遠隔操作の水中車両(ROV)1305によって、設置が支援される。これは、船1301上の制御機器に無線で接続され、オペレータによる制御のために、オペレータに水中景観を提供するためのカメラを含む。
【0046】
ケーブルの設置前に、ROV1305の支援によりメッセンジャーワイヤ1306を単杭から開口部202を通して送り出し、水中側の端部を設置船1306まで引き戻す。
ケーブル108は、船1301上のスプール1307に保持される。船上では、ケーブル保護具203が設置され、ケーブル901の所定の長さを前端の先に残す。要素207又は要素1001のいずれかを使用して、曲げ補強材205を形成することができる。
次に、ケーブル108がクレーン1303を使用してケーブルを所定の位置に引っ張ることができるように、ホイストロープ1304に取り付けられたメッセンジャーライン1306にケーブル108を取り付ける。ケーブル108の端部がトランジションピース104の上部に到達すると、クランプ204及び曲げ補強材205の前部分が開口部202を通って入っていることをROV1305を用いて視覚的に確認する。その後、ケーブルを固定し、メッセンジャーワイヤ1306を外す。
【0047】
そして、ケーブルの残りの部分は、埋設される前に海底に巻き出される。典型的には、設置船1301は、トレンチユニット又は他のケーブル埋設設備を備えている。
この洋上風力発電機用ケーブルの設置方法は、ケーブル保護システムがラッチヘッドからなる既知の方法よりも簡単である。この既知の方法では、ROVを使ってラッチヘッドが正しく取り付けられているかどうかを確認する必要がある。ケーブルは、海底を引っ張られるため、水が濁っていることが多く、その確認が困難な場合がある。ケーブルがラッチヘッドから外れ、ケーブル保護システムを通って単杭の頂上まで自由に引き出された後、ラッチヘッドが正しい位置になければ力を加えることはできない。したがって、メンテナンスは操縦機能を有するROV又は人間のダイバーでなければできない。
【0048】
対照的に、本明細書に記載の方法を使用すると、曲げ補強材の少なくとも一部が開口部に入ったことを確認するだけでよく、これは、濁った水中で視覚的に確認することがかなり容易である。更に、ケーブル108はケーブル保護具203に恒久的に取り付けられているので、ケーブル保護具が全く正しい位置にないことが後で判明した場合、クレーンやウインチを使用してケーブルを昇降させることは簡単なことである。
本明細書に記載されたシステムの更なる利点は、メンテナンスに関連する。公知のシステムにおいて、ラッチヘッドが所定の位置にあると、それを取り外すように設計されていない。いくつかのシステムは、取り外しツールを含むが、これらは一般に使用が困難であり、操縦機能を有するROV又は人間のダイバーを使用する必要がある。したがって、保護システムに何らかの障害が発生した場合、それを取り外して交換することは困難な問題である。しかしながら、ケーブル保護具203は、金属又は可動部を含まないため、故障の可能性は低い。
【0049】
したがって、この例では単杭202である支持構造物を有する洋上風力発電機に電気ケーブルを設置する方法が本明細書に記載されている。これは、この例ではクランプ204であるクランプをケーブルに取り付けるステップと、この例では曲げ補強材205である曲げ補強材を、ケーブルを囲むようにクランプの後端部に取り付けるステップを含む。ケーブルは、クランプが構造体の前端部に最初に入るように、支持構造体の中に通し、所望の高さに達するまで上方に引っ張る。
【国際調査報告】