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特表2023-5156165HT2Aアゴニストの投与後の抑制効果
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】5HT2Aアゴニストの投与後の抑制効果
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20230406BHJP
   A61K 31/48 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/4045 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/48
A61K31/675
A61P25/18
A61P43/00 121
A61K31/137
A61P43/00 111
A61P25/00
A61K31/4045
A61K31/517
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552200
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2021014721
(87)【国際公開番号】W WO2021173273
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/982,877
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522340934
【氏名又は名称】ユニヴェルシテートスピタル バーゼル
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リヒティ,マティアス エマニュエル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA20
4C084MA02
4C084NA06
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA181
4C084ZC751
4C086AA01
4C086BC13
4C086BC46
4C086CB20
4C086DA38
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA06
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA18
4C086ZC41
4C086ZC42
4C086ZC75
4C206AA01
4C206FA08
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA06
4C206NA14
4C206ZA02
4C206ZA18
4C206ZC41
4C206ZC75
(57)【要約】
有効量の幻覚剤及び持続時間短縮剤を含む、急性効果を軽減すると共に個体を処置するための組成物。個体に幻覚剤を投与すること、個体に持続時間短縮剤を投与すること、並びに幻覚剤の急性効果を短縮及び/又は軽減することによって、個体を幻覚剤で処置すると共にその急性作用持続時間を短縮する方法。個体が幻覚剤を摂取した後に持続時間短縮剤を個体に投与して、幻覚剤の急性作用を停止することによって、個体の幻覚剤の急性作用持続時間を停止する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の幻覚剤及び持続時間短縮剤を含む、急性効果を軽減すると共に個体を処置するための組成物。
【請求項2】
前記幻覚剤が、LSD、サイロシビン、メスカリン、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミエ(DOB)、その塩、その類似体、及びその同族体からなる群から選択される5HT2Aアゴニストである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記幻覚剤が、効果を少なくとも2時間提供する量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記幻覚剤が、0.01~1mgのLSD、10~50mgのサイロシビン、100~800mgのメスカリン、20~100mgのDMT、0.1~5mgのDOI、及び0.1~5mgのDOBからなる群から選択される量で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記持続時間短縮剤が、5HT2A受容体アンタゴニストである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記持続時間短縮剤が、ケタンセリン、その塩、その類似体、及びその同族体からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ケタンセリンが、5~100mgの量で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記幻覚剤及び前記持続時間短縮剤が、別個の投与単位からなる群から選択される投与単位、同じ放出プロファイルを有する同じ投与単位、及び異なる放出プロファイルを有する同じ投与単位である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
個体を幻覚剤で処置すると共にその急性作用持続時間を短縮する方法であって:
幻覚剤を前記個体に投与する工程;
持続時間短縮剤及び/又は効果遮断剤を前記個体に投与する工程;並びに
前記幻覚剤の急性効果を短縮及び/又は軽減する工程を含む、方法。
【請求項10】
前記持続時間短縮剤が、前記幻覚剤の投与の1分後~24時間後に投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記幻覚剤が、LSD、サイロシビン、メスカリン、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミエ(DOB)、その塩、その類似体、及びその同族体からなる群から選択される5HT2Aアゴニストである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記幻覚剤が、効果を少なくとも2時間提供する量で投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記幻覚剤が、0.01~1mgのLSD、10~50mgのサイロシビン、100~800mgのメスカリン、20~100mgのDMT、0.1~5mgのDOI、及び0.1~5mgのDOBからなる群から選択される量で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記持続時間短縮剤又は/及び前記効果遮断剤が5HT2A受容体アンタゴニストである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記持続時間短縮剤又は/及び前記効果遮断剤が、ケタンセリン、その塩、その類似体、及びその同族体からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ケタンセリンが5~100mgの量で投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記幻覚剤及び前記持続時間短縮剤が、別個の投与単位からなる群から選択される投与単位、同じ放出プロファイルを有する同じ投与単位、及び異なる放出プロファイルを有する同じ投与単位である、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
同量の前記幻覚剤のみでの処置と比較して10~100%、主観的効果の時間を短縮し、又は/及びすべての薬物効果、悪い薬物効果、不安、自我溶解、及び自律反応の尺度を含む効果の程度を軽減する工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記短縮する工程が、前記幻覚剤と5HT2A受容体との相互作用を阻害する前記持続時間短縮剤及び/又は前記効果低減剤によって達成される、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記短縮する工程が、前記個体をほぼ正常な状態に戻すこととしてさらに定義される、請求項9に記載の方法。
【請求項21】
前記持続時間短縮剤が投与された後に、前記幻覚剤の効果の再発をさらにもたらすことがない、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
前記幻覚剤による認知障害の時間及び/又は程度を減少させること、医療関係者による処置セッションの監視の時間を減少させること、前記幻覚剤に応答した不安又は任意の他の急性有害作用の強度及び/又は持続時間を減少させること、高用量の前記幻覚剤の不注意な投与による予想される急性有害作用の強度及び/又は持続時間を減少させること、前記幻覚剤の意図的な摂取による予想される急性有害作用の強度及び/又は持続時間を減少させること、並びに高すぎると考えられる用量の前記幻覚剤の意図的な摂取による、又は投与後に強すぎる効果を生み出すことによる、予想される急性有害作用の持続時間及び/又は強度を減少させることからなる群から選択される工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項23】
個体における幻覚剤の急性作用持続時間を停止する方法であって:
前記個体が幻覚剤を摂取した後に、持続時間短縮剤及び/又は効果低減剤を前記個体に投与する工程;並びに
前記幻覚剤の急性効果を停止する工程を含む、方法。
【請求項24】
前記個体が、前記幻覚剤による有害作用を体験している、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記個体が、前記幻覚剤を過量摂取している、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記持続時間短縮剤が、前記幻覚剤の投与の1分後~24時間後に投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記幻覚剤が、LSD、サイロシビン、メスカリン、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミエ(DOB)、その塩、その類似体、及びその同族体からなる群から選択される5HT2Aアゴニストである、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記持続時間短縮剤及び/又は前記効果低減剤が、5HT2A受容体アンタゴニストである、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記持続時間短縮剤及び/又は前記効果低減剤が、ケタンセリン、その塩、その類似体、及びその同族体からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ケタンセリンが、5~100mgの量で投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記停止する工程が、前記幻覚剤と5HT2A受容体との相互作用を阻害する前記持続時間短縮剤及び/又は前記効果低減剤によって達成される、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記停止する工程が、前記個体をほぼ正常な状態に戻すこととしてさらに定義される、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記持続時間短縮剤が投与された後に、前記幻覚剤の効果の再発をさらにもたらすことがない、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
助成金情報
本出願における研究は、スイス国立科学財団からの助成金(助成金番号32003B_185111)によって一部支援された。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、医学的処置において5HT2Aアンタゴニストを使用するための組成物及び方法に関する。より具体的には、本発明は、5HT2Aアゴニストの急性効果を短縮するための方法及び手段に関する。
【背景技術】
【0003】
2.背景技術
リセルグ酸ジエチルアミド(LSD)は、不安、うつ病、依存症、及び人格障害などを含む多くの症状の心理療法を補助するために使用することができ、また、群発頭痛及び片頭痛などの他の障害を処置するためにも使用することができる(Hintzen & Passie, 2010; Liechti, 2017; Nichols, 2016; Passie et al., 2008)。LSDは、セロトニン受容体である5HT2A受容体を標的とする。LSDの効果には、思考の変化、感情、周囲に対する意識、瞳孔の拡張、血圧の上昇、及び体温の上昇が含まれ得る。
【0004】
LSDの作用持続時間は長い。LSD支援処置/心理療法で一般的に使用される用量は、100~200μgである。100μgの用量は、1つの代表的な研究(Holze et al., 2019)では、8.5±2.0時間(平均±SD)(範囲:5.3~12.8時間)持続するヒトの主観的効果をもたらした。他の研究では、LSDの効果は、同様に、100μg用量の投与後、8.2±2.1時間(範囲:5~14時間)、200μg用量の投与後、11.6±1.7時間(範囲:7~19.5時間)持続した(Dolder et al., 2017)。
【0005】
LSDの用量依存的で長い作用持続時間は、特定の治療設定において問題となり得る。患者は入念に監視する必要があり、これは、リソース(時間、人員)を消費する。加えて、一部の患者は、より短い処置を好む。さらに、一部の患者は、処置に十分に耐えられない場合もあり、その場合、より短い処置が必要になる、又はすでに開始されている処置の短縮が必要になる。
【0006】
過去には、LSDの作用持続時間が長いという問題は、心理療法を補助するためのLSDを作用時間の短い物質に置き換えることによって対処され、一部解決された。ほとんどの場合、LSDは、約4~6時間作用するサイロシビンに置き換えられたため(Griffiths et al., 2016; Passie et al., 2008)、同等の精神活性用量でのLSDの作用持続時間の長さの約半分の作用持続時間である。一部では、LSDの長い作用持続時間の結果として、サイロシビンは、幻覚剤の有効性を評価して心理療法を評価する最近の臨床研究試験のほとんどで使用されている(Carhart-Harris et al., 2017; Carhart-Harris et al., 2016; Griffiths et al., 2016; Grob et al., 2011; Ross et al., 2016)。しかしながら、いくつかの研究では同様に、その作用持続時間の長さにもかかわらずLSDを使用している(Gasser et al., 2014; Gasser et al., 2015)。加えて、一部の医師や患者は、サイロシビンではなくLSDを使用したいと考えている。例えば、LSDの使用と関連する安全性に関するデータがサイロシビンよりもかなり多い。実際、LSDは、1940年代から1970年代に主に使用されていたが、サイロシビンは、主に2000年以降のごく最近になってのみ研究された。
【0007】
Perez Castilloらの米国特許出願公開第20200397752号は、精神障害及び/又は神経障害の処置及び/又は予防のための組み合わせ製品を開示している。この組み合わせ製品は、(i)神経新生を促進し、幻覚誘発及び/又は幻覚副作用を有する化合物、及び(ii)第1の化合物によって引き起こされる幻覚誘発及び/又は幻覚副作用を軽減及び/又はなくす5-HT2A受容体アンタゴニストを含む。5-HT2A受容体アンタゴニストは、ケタンセリンであり得る。この研究は、動物で幻覚剤ジメチルトリプタミン(DMT)を使用して行われ、神経新生を生成し、DMTとケタンセリンの組み合わせが使用された。本発明は、医薬品として使用するためのケタンセリンを含むトリプタミンと任意の5-HT2Aアンタゴニストのみを含む組み合わせ製品の使用を請求する。この処置の目的は、精神作用効果なしに神経新生を誘導することである。対照的に、ヒトにおける本研究及び本発明は、任意の幻覚剤を使用してヒトに完全な幻覚体験を誘発し、ケタンセリン又は任意の5-HT2A受容体アンタゴニストを使用して幻覚体験を短縮又はなくすことが目標である。
【0008】
LSD及び他の5HT2Aアゴニストを使用する安全且つ有効な方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明は、有効量の幻覚剤及び持続時間短縮剤を含む、急性効果を軽減すると共に個体を処置するための組成物を提供する。
【0010】
本発明は、個体への幻覚剤の投与、持続時間短縮剤の個体への投与、並びに幻覚剤の急性効果の短縮及び/又は低減によって、幻覚剤で個体を処置すると共にその急性作用持続時間を短縮する方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、個体が幻覚剤を摂取した後の持続時間短縮剤の個体への投与、及び幻覚剤の急性作用の停止によって、個体における幻覚剤の急性作用持続時間を停止する方法を提供する。
【0012】
図面の説明
添付の図面に関連して考慮されると、以下の詳細な説明を参照することによって本発明の他の利点がよりよく理解されるため、本発明の他の利点は容易に認識される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、LSDの描画を示す。
図2図2は、ケタンセリンの描画を示す。
図3図3は、LSDのみの効果-時間曲線のグラフである。
図4図4は、LSD後にケタンセリンが投与された場合のLSDの効果-時間曲線のグラフである。
図5A図5Aは、時間に対するすべての薬物効果のグラフである。
図5B図5Bは、時間に対する良い薬物効果のグラフである。
図5C図5Cは、時間に対する悪い薬物効果のグラフである。
図5D図5Dは、時間に対する薬物嗜好のグラフである。
図5E図5Eは、時間に対する刺激感のグラフである。
図5F図5Fは、時間に対する恐怖感のグラフである。
図5G図5Gは、時間に対する自我溶解(ego dissolution)のグラフである。
図5H図5Hは、時間に対する時間の感覚のグラフである。
図5I図5Iは、時間に対する集中力のグラフである。
図6A図6Aは、時間に対する幸福のグラフである。
図6B図6Bは、時間に対する不安のグラフである。
図6C図6Cは、時間に対する活動的でない状態のグラフである。
図6D図6Dは、時間に対する外向性のグラフである。
図6E図6Eは、時間に対する内向性のグラフである。
図6F図6Fは、時間に対する感情的興奮のグラフである。
図7図7は、LSDのみ、LSD+ケタンセリン、及びプラセボの急性効果の比較データの表である。
図8A図8Aは、大洋感(oceanic boundlessness)のグラフである。
図8B図8Bは、不安による自我溶解のグラフである。
図8C図8Cは、視覚的再構築(visionary restructualisation)のグラフである。
図9図9は、最大スケール(%)のグラフである。
図10A図10Aは、時間に対する収縮期血圧のグラフである。
図10B図10Bは、時間に対する拡張期血圧のグラフである。
図10C図10Cは、時間に対する心拍数のグラフである。
図10D図10Dは、時間に対する体温のグラフである。
図11図11は、急性薬物有害作用の表である。
図12図12は、コンパートメントモデリングに基づくLSDの薬物動態パラメーターの表である。
図13図13は、ブラインドデータ(blinding data)の表である。
図14A図14Aは、LSDの1時間後にケタンセリン又はプラセボが投与されたLSDの主観的効果のグラフであり、図14Aは、「すべての薬物効果」を示す。
図14B図14Bは、LSDの1時間後にケタンセリン又はプラセボが投与されたLSDの主観的効果のグラフであり、図14Bは、「良い薬物効果」を示す。
図14C図14Cは、LSDの1時間後にケタンセリン又はプラセボが投与されたLSDの主観的効果のグラフであり、図14Cは、「視覚の変化」を示す。
図14D図14Dは、LSDの1時間後にケタンセリン又はプラセボが投与されたLSDの主観的効果のグラフであり、図14Dは、「音が見たものに影響を与えた(共感覚)」を示す。
図14E図14Eは、LSDの1時間後にケタンセリン又はプラセボが投与されたLSDの主観的効果のグラフであり、図14Eは、「時間感覚の変化」を示す。
図14F図14Fは、LSDの1時間後にケタンセリン又はプラセボが投与されたLSDの主観的効果のグラフであり、図14Fは、「自我溶解」を示す。
図14G図14Gは、LSDの1時間後にケタンセリン又はプラセボが投与されたLSDの主観的効果のグラフであり、図14Gは、刺激感を示す。
図14H図14Hは、LSDの1時間後にケタンセリン又はプラセボが投与されたLSDの主観的効果のグラフであり、図14Hは、疲労感を示す。
図14I図14Iは、LSDの1時間後にケタンセリン又はプラセボが投与されたLSDの主観的効果のグラフであり、図14Iは、吐き気を示す。
図15A図15Aは、LSDの1時間後のケタンセリン又はプラセボの追加投与後のLSD誘発性の精神の変化を示すグラフである。
図15B図15Bは、LSDの1時間後のケタンセリン又はプラセボの追加投与後のLSD誘発性の精神の変化を示すグラフである。
図16A図16Aは、LSDの投与の1時間後のケタンセリン又はプラセボの追加投与後のLSDの心血管効果のグラフであり、図16Aは、収縮期血圧を示す。
図16B図16Bは、LSDの投与の1時間後のケタンセリン又はプラセボの追加投与後のLSDの心血管効果のグラフであり、図16Bは、拡張期血圧を示す。
図16C図16Cは、LSDの投与の1時間後のケタンセリン又はプラセボの追加投与後のLSDの心血管効果のグラフであり、図16Cは、心拍数を示す。
図16D図16Dは、LSDの投与の1時間後のケタンセリン又はプラセボの追加投与後のLSDの心血管効果のグラフであり、図16Dは、体温を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、一般に、病状のための短時間作用型幻覚剤処置を提供する。より具体的には、本発明は、有効量の幻覚剤及び持続時間短縮剤、最も好ましくはケタンセリンを含む、急性効果を軽減すると共に個体を処置するための組成物を提供する。一般に、ケタンセリンは、幻覚剤の急性効果を軽減する。
【0015】
幻覚剤は、限定されるものではないが、LSD、サイロシビン、メスカリン、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミエ(bromoamphetamie)(DOB)、その塩、その類似体、又はその同族体などの5HT2Aアゴニストであり得る。好ましくは、幻覚剤の用量は、効果を少なくとも数時間(少なくとも2時間など)提供するか、又は有意な効果を有するものである。0.01~1mg(10~1000μgの用量のLSDを使用できるが、拮抗作用は、より高用量のLSD(>0.05mg)又は幻覚剤を使用すると最も有効である。図1は、LSDの描画を示す。サイロシビンは10~50mgで投与することができ、メスカリンは100~800mgで投与することができ、DMTは20~100mgで投与することができ、DOIは0.1~5mgで投与することができ、DOBは0.1~5mgで投与することができる。非常に高い用量も含む用量範囲は、これらの例では、臨床的に一般的に使用されていない。
【0016】
持続時間短縮剤は、幻覚剤の急性効果を軽減することができる任意の適切な薬剤であり得、好ましくは、ケタンセリン、その塩、その類似体、及びその同族体などの5HT2A受容体アンタゴニストである。ケタンセリンは、降圧剤であり、5HT2Aの高親和性アンタゴニストである。前述のように、5HT2A受容体は、セロトニン受容体であり、LSDのようなセロトニン作動性幻覚剤の標的となるGタンパク質共役受容体である。ケタンセリンは、セロトニン5HT2受容体の放射性リガンドとして使用されている。ケタンセリンは、H1受容体に対する高親和性アンタゴニストでもある。ケタンセリンの降圧反応は、α1-アドレナリン受容体の遮断と5HT2Aの遮断によるものである。5~100mgの用量を使用することができる。図2は、ケタンセリンの描画を示す。持続時間短縮剤はまた、効果遮断剤であり得る。
【0017】
最も好ましくは、化合物は、別々に提供され、経口投与されるが、同じ投与単位でも提供され、同じ又は異なる放出プロファイルを有することができる。例えば、投与単位は、最初に幻覚剤を放出し、その後にケタンセリンを放出するように設計することができる。
【0018】
本発明の化合物は、個々の患者の臨床状態、投与の部位及び方法、投与スケジュール、患者の年齢、性別、体重、及び医療従事者に知られているその他の要因を考慮して、優れた医療行為に従って投与及び服用される。従って、本明細書における目的のための薬学的に「有効な量」は、当技術分野で知られているような考慮事項によって決定される。量は、限定されるものではないが、改善された生存率若しくはより迅速な回復、又は症状の改善若しくは除去、及び当業者によって適切な手段として選択される他の指標を含む改善を達成するのに有効でなければならない。
【0019】
本発明の方法では、本発明の化合物は、様々な方法で投与することができる。本発明の化合物は、化合物として投与でき、単独で、又は薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバント、及びビヒクルと組み合わせた活性成分として投与できることに留意すべきである。化合物は、静脈内、筋肉内、及び鼻腔内投与、並びにくも膜下及び注入技術を含む、経口、皮下、又は非経口で投与することができる。化合物のインプラントも有用である。処置される患者は、温血動物であり、特に人間を含む哺乳動物である。薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバント、及びビヒクル、並びにインプラント担体は、一般に、不活性で非毒性の固体若しくは液体の充填剤、希釈剤、又は本発明の活性成分と反応しない封入物質を指す。
【0020】
用量は、数日間にわたる単回用量又は複数回用量であり得る。処置は、一般に、疾患過程の長さ、薬物の有効性、及び処置される患者の種に比例する長さを有する。
【0021】
本発明の化合物が非経口投与される場合、この化合物は、一般に単位用量の注射可能な形態(溶液、懸濁液、エマルジョン)に製剤化される。注射に適した薬学的製剤には、滅菌水溶液又は分散液、及び滅菌注射用溶液若しくは分散液に再構成するための滅菌粉末が含まれる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、及び植物油を含む溶媒又は分散媒体であり得る。
【0022】
適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。綿実油、ゴマ油、オリーブ油、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、又はピーナッツ油などの非水性ビヒクル、及びミリスチン酸イソプロピルなどのエステルも、化合物組成物の溶媒系として使用することができる。加えて、抗菌防腐剤、抗酸化剤、キレート剤、及び緩衝剤を含む、組成物の安定性、無菌性、及び等張性を高める様々な添加剤を加えることができる。微生物の作用の阻害は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、及びソルビン酸などによって確実に行うことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖及び塩化ナトリウムなどを含むことが望ましい。注射可能な医薬形態の持続的な吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によってもたらすことができる。しかしながら、本発明によると、使用される任意のビヒクル、希釈剤、又は添加剤は、化合物と適合しなければならないことになる。
【0023】
滅菌注射液は、本発明の実施に利用される化合物を、必要量の適切な溶媒に、必要に応じて様々な他の成分とともに含めることによって調製することができる。
【0024】
本発明の薬理学的製剤は、様々なビヒクル、アジュバント、添加剤、及び希釈剤などの任意の適合性担体を含む注射可能な製剤で患者に投与することができる;又は、本発明で利用される化合物は、徐放性皮下インプラントの形態、又はモノクローナル抗体、ベクター送達、イオン導入、ポリマーマトリックス、リポソーム、及びミクロスフェアなどの標的送達システムの形態で患者に非経口投与することができる。本発明において有用な送達システムの例には:5,225,182;5,169,383;5,167,616;4,959,217;4,925,678;4,487,603;4,486,194;4,447,233;4,447,224;4,439,196;及び4,475,196が含まれる。他の多くのそのようなインプラント、送達システム、及びモジュールは、当業者に周知である。
【0025】
本発明は、個体に幻覚剤を投与し、ケタンセリンなどの持続時間短縮剤を個体に投与して、幻覚剤の急性効果を短縮及び/又は軽減することによって、個体を幻覚剤で処置すると共にその急性作用持続時間を短縮する方法を提供する。幻覚剤は、LSDでは0.01~1mgの量で投与することができ、ケタンセリンは、5~100mgの量で投与することができる。実施例3では、LSDを100μg投与し、ケタンセリンを40mg投与した。ケタンセリンは、幻覚剤の投与の1分後~24時間後に投与することができる。実施例3では、ケタンセリンを、LSDの1時間後に投与した。上記の任意の幻覚剤をこの方法で使用することができる。持続時間短縮剤の投与は、製剤に応じて、幻覚剤の投与と同時又は後に行うことができる。投与工程は、別個の経口投与によって、又は上記のように、最初に幻覚剤を放出し、続いてケタンセリンを放出する単一の経口投与単位で達成することができる。
【0026】
この方法はまた、同量の幻覚剤のみからなる処置と比較して、すべての薬物効果、悪い薬物効果、不安、自我溶解、又は任意の他の主観的反応の尺度、又は任意の他の関連する自律反応の尺度(血圧、心拍数、又は/及び瞳孔の大きさ)を含む主観的効果を10~100%軽減する工程も含み得る。実施例3では、ケタンセリンは、投与後1時間でLSDの効果を減少させ、2時間以内にLSDの効果を遮断して、個体をほぼ正常な状態に戻した。また、ケタンセリン投与後の幻覚剤の効果の再発もない。言い換えれば、ケタンセリンは、個体の体内で有効なままである。
【0027】
この方法を使用して、幻覚剤による認知障害の時間及び/又は程度を減少させ、医療関係者による処置セッションの監視の時間を減少させ、幻覚剤に応答した不安又は任意の他の急性有害作用の強度及び/又は期間を減少させ、高用量の幻覚剤の不注意な投与による予想される急性有害作用の強度及び/又は持続時間を減少させ、幻覚剤の意図的な摂取(過量摂取)による予想される急性有害作用の強度及び/又は持続時間を減少させ、且つ高すぎると考えられる用量の幻覚剤の意図的な摂取による、又は投与後に強すぎる効果を生み出すことによる、予想される急性有害作用の持続時間及び/又は強度を減少させることができる。
【0028】
本発明はまた、個体が幻覚剤を摂取した後にケタンセリンなどの持続時間短縮剤を個体に投与し、幻覚剤の急性効果を停止することによって、個体における幻覚剤の急性作用持続時間を停止する方法を提供する。以下でも説明するように、この方法は、個体に有害作用を及ぼしている幻覚剤の効果を停止する場合、又は過量摂取の場合に役立ち得る。持続時間短縮剤は、幻覚剤の後に投与すると、幻覚剤の急性効果を停止するのに有効である。
【0029】
本発明は、(1)監視の時間を短縮すること、及び(2)持続的な負の急性処置効果を回避することを目標とした急性の主観的幻覚剤効果の持続時間を短縮することを目標として、幻覚剤体験を修正(減弱)することを可能にする。例えば、本発明は、LSDのみによる従来の処置と比較して作用時間を50%短縮して4~6時間に短縮し、サイロシビンと同様の作用持続時間を達成することを目標とする。中程度の用量(70~100μg)でLSDを経口投与する1時間前に、ケタンセリンなどの薬理学的アンタゴニスト(経口で40mg)を使用すると、LSD体験をほぼ完全に防止することが示されている(Preller et al., 2017)。200μgの高用量のLSDの1時間前にケタンセリン(経口で40mg)を投与すると、同様にLSD体験が妨げられた(Liechti)。本発明は、幻覚剤の投与後にケタンセリンを使用して、幻覚剤の体験を短縮する。LSDは、主にセロトニン5HT2A受容体に結合して活性化し(Rickli et al., 2016)、この受容体相互作用は、この受容体に強力に結合する5HT2A受容体アンタゴニストケタンセリンによって妨げられる。研究者は、LSDの受容体への強力でユニークな結合を示し、このプロセスがヒトにおけるLSDの長い作用持続時間の根底にあると述べている(Wacker et al., 2017)。他の研究者は、LSDが体内に存在している間のみ作用すること、従ってヒトにおけるLSDの作用持続時間を説明するのに受容体での特別なメカニズムは必要ないであろうことを示している。むしろ、持続時間は、その薬物動態特性によって十分に説明される(Holze et al., 2019)。重要なのは、LSDのその標的受容体への単純な結合が、その作用持続時間を説明するのに十分であるかどうかについてはかなりの論争があるようであり、従って、ケタンセリンなどの受容体アンタゴニストの投与が、ヒトにおけるLSDの作用を減弱及び短縮することになるかどうかは明らかではない。従って、ケタンセリンがLSDの1時間前に投与された場合、ケタンセリンがLSD応答を遮断できるという既知の情報に基づいて、投与後に行われる処置でLSD体験を遮断できるかは明らかではない。
【0030】
本発明にはいくつかの利点がある。LSDなどの幻覚剤の作用は、通常は長時間(8~12時間)であるが、短時間(2~6時間)にすることができ、より短時間で費用対効果の高い処置セッションが可能になる。これらの場合、ケタンセリンは、支持する研究によって示されているように、幻覚剤の1~2時間後に投与して、作用時間を2~6時間短縮することができる。本発明はまた、ケタンセリンを使用して幻覚剤の体験を弱める、又は停止さえして、(a)幻覚剤にうまく反応しない(ホラートリップ(horror trip))患者、(b)体験が強すぎると考えられる患者、又は(c)過量摂取された患者を処置することができる。これらすべての場合で、幻覚剤の効果を弱める/拮抗する必要性が明らかになった直後に、ケタンセリンを与えることができる。極端な場合、幻覚剤の直後にケタンセリンを与えることができる。
【0031】
以下の実験例を参照することにより、本発明をさらに詳細に説明する。これらの例は、説明のみを目的として提供され、別段の指定がない限り限定を意図したものではない。従って、本発明は、以下の実施例に限定されると決して解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書で提供される教示の結果として明らかになるあらゆる変形例を包含すると解釈されるべきである。
【実施例
【0032】
実施例1
図3は、LSDのみの効果-時間曲線を示す。図4は、本発明に従ってLSD後にケタンセリンを投与した場合のLSDの効果-時間曲線を示す。図4に見られるように、ケタンセリンの投与後、LSD効果の持続時間及び/又は強度が低下している。この曲線は、本発明の例示であり、本発明を形成するために行われた実施例2及び実施例3に記載の研究を含むLSD及びケタンセリンに関する薬理学的情報に由来する。LSD及びケタンセリンの急性効果の詳細を以下に示す。
【0033】
実施例2
高用量のLSDの前にケタンセリンを投与した臨床研究は、高用量のLSD効果がケタンセリンによって拮抗され得ることを実証した。本発明は、LSD後にケタンセリンを投与するが、この実施例は、2つの薬物が一緒に作用して急性効果を軽減することを示している。実施例2で使用され、本発明の一部を説明するデータは、(Holze et al., 2020)に公開されている。
【0034】
主な結果は次のとおりである。
【0035】
ケタンセリンは、高用量LSDに対する主観的反応を顕著且つ有意に(ほとんどP<0.001)、ほぼ25μgのLSD用量のレベルまで低下させた。ケタンセリンは、LSD誘発心拍数応答を有意に阻害した。ケタンセリンは、200μgのLSDの急性有害作用を有意に阻害した。ケタンセリンは、200μgのLSDのPKをほとんど変更しなかった。ケタンセリンとLSDは、組み合わせられると、正しく認識されるか、又は低用量のLSDと間違えられても高用量のLSDと間違えられることは決してなかった。
【0036】
材料及び方法
研究デザイン:研究は、6回の実験的試験セッションで二重盲検、プラセボ対照、クロスオーバーデザインを使用して、(1)プラセボ、(2)25μg、(3)50μg、(4)100μg、(5)200μgのLSD、及び(6)ケタンセリン(40mg)後の200μgのLSDに対する反応を調べた。セッション間のウォッシュアウト期間は少なくとも10日間とした。この研究は、ClinicalTrials.gov (NCT03321136)に登録した。
【0037】
参加者:16人の健康な対象(男性8人と女性8人;平均年齢±SD:29±6.4歳;範囲:25~52歳)が参加した。25歳未満の参加者は、研究への参加から除外した。追加の除外基準は、年齢>65歳、妊娠(スクリーニング時及び各試験セッション前の尿妊娠検査)、主要な精神障害の既往歴又は家族歴(第一度近親者)(訓練を受けた精神科医が、Semi-structured Clinical Interview for Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th edition, Axis I disordersによって評価)、治験薬を妨害し得る薬剤の使用(例えば、抗うつ薬、抗精神病薬、鎮静薬)、慢性又は急性の身体疾患(異常な身体検査、心電図、又は血液学的及び化学的血液分析)、喫煙(>10本/日)、違法薬物使用の生涯有病率>10倍(Δ-テトラヒドロカンナビノールを除く)、過去2か月以内の違法薬物の使用、及び研究中の違法薬物の使用(尿薬物検査によって決定される)とした。
【0038】
治験薬:LSD(D-リセルグ酸ジエチルアミド塩基、高速液体クロマトグラフィー純度>99%;Lipomed AG, Arlesheim, Switzerland)を、96%エタノール1mL中、100μg(Holze et al., 2019)又は25μgのLSDを含む単位で経口溶液として投与した。従って、対象は、セッションごとに2mLのLSD溶液及び/又はプラセボ(96%エタノール)を摂取した:(1)プラセボ/プラセボ、(2)25μgのLSD/プラセボ、(3)25μgのLSD/25μgのLSD、(4)100μgのLSD/プラセボ、5)100μgのLSD/100μgのLSD、(6)100μgのLSD/100μgのLSD。ケタンセリンは、市販薬(KETENSIN(登録商標)(Janssen))として入手し、確実に盲検化するために不透明なカプセルでカプセル化した。プラセボは、マンニトールを充填した同一の不透明なカプセルで構成されていた。従って、処置に対する盲検化を、プラセボとしてそれぞれマンニトール及びエタノールが充填された同一のカプセルとバイアルを使用したダブルダミー法を使用することによって保証した。各セッションの終了時及び研究の終了時に、参加者に、遡及的に自分の処置の割り当てを推測するように求めた。
【0039】
研究手順:研究は、スクリーニング訪問、6回の25時間の試験セッション、及び研究終了時の訪問を含んでいた。ケタンセリン(40mg)又はプラセボを午前8:00に投与した。LSD又はプラセボを午前9:00に投与した。評価項目を、24時間繰り返し評価した。
【0040】
主観的薬物効果:主観的効果を、LSD投与の1時間前と、0時間後、0.5時間後、1時間後、1.5時間後、2時間後、2.5時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、11時間後、12時間後、14時間後、16時間後、及び24時間後に視覚的アナログスケール(VAS)を使用して繰り返し評価した。VASを、100mmの水平線(0~100%)として表示し、左側の「まったくない」から右側の「極端」までマークした。「集中力」と「時間の感覚」のVASは、双方向性(±50%)であった。集中力については左側の「まったくない」(-50)から、中央の「普通」(0)、そして右側の「極端」(+50)を示し、「時間の感覚」については「遅い」(-50)及び「速い」(+50)を示した。5D-ASCスケール((Dittrich, 1998; Studerus et al., 2010)を、LSD投与の24時間後に投与して、薬物によって誘発された覚醒時の意識の変化を遡及的に評価した。神秘体験は、43項目と新しい30項目のMEQ(MEQ43(Griffiths et al., 2006)及びMEQ30(Barrett et al., 2015))を含む100項目の意識状態質問票(States of Consciousness Questionnaire)(SOCQ)(Griffiths et al., 2006)のドイツ語版((Liechti et al., 2017)を使用して評価した。60項目の形容詞的気分評価スケール(Adjective Mood Rating Scale)(AMRS)(Janke & Debus, 1978)を、薬物投与の1時間前と3時間後、6時間後、9時間後、12時間後、及び24時間後に評価した。
【0041】
自律神経系への影響、有害作用、及び内分泌効果:血圧、心拍数、及び鼓膜体温を、既に詳細に記載したように、薬物投与の1時間前と、0時間後、0.5時間後、1時間後、1.5時間後、2.5時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、11時間後、12時間後、14時間後、16時間後、及び24時間後に繰り返し測定した(Hysek et al., 2010)。有害作用を、66項目の苦情リスト(Zerssen, 1976)を使用して、薬物投与の1時間前と、12時間後及び24時間後に体系的に評価した。
【0042】
血漿薬物濃度:LSD投与の1時間前と、0時間後、0.5時間後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後、14時間後、16時間後、及び24時間後に血液をヘパリンリチウムチューブに採取した。血液試料を直ちに遠心分離し、その後、血漿を分析まで-80℃で保存した。LSD及びO-H-LSDの血漿濃度を、既に詳細に説明したように、検証済みの超高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析法を使用して決定した(Holze et al., 2019)。
【0043】
薬物動態分析及び薬物動態-薬力学モデリング:薬物動態パラメーターを、既に詳細に説明したように、Phoenix WinNonlin 6.4 (Certara, Princeton, NJ, USA)において一次入力、一次排除、及びラグタイムのない1コンパートメントモデルを用いて推定した(Holze et al., 2019)。
【0044】
データ分析:ピーク(Emax及び/又はEmin)値又はベースライン値からのピーク変化(ΔEmax)を反復測定について決定した。次いで、反復測定分散分析(ANOVA)を使用して値を分析し、対象内因子として薬物を使用し、続いてStatistica 12ソフトウェア(StatSoft, Tulsa, OK, USA)を使用してTukey post hoc比較を行った。有意性の基準はp<0.05とした。
【0045】
結果
主観的薬物効果:VAS及びAMRSでの経時的な主観的効果をそれぞれ、図5A図5I及び図6A図6Fに示す。ケタンセリン又はプラセボを、t=-1時間で投与し、LSD又はプラセボを、t=0時間で投与した。データを、16人の対象における平均±SEM最大値(%)として表す。図6A図6Fは、ケタンセリンがAMRSに対するLSD応答のほとんどを遮断したことを示す。具体的には、ケタンセリンは、200μgのLSDによって誘発される不安、内向性、及び感情的興奮を有意に防止した。対応するピーク応答と統計データを図7に示す。精神及び神秘的効果の変化をそれぞれ、図8A図8C及び図9に示し、統計データを図7に示す。図8A図8Cは、ケタンセリンが、5次元変性意識状態(5D-ASC: 5 Dimensions of Altered States of Consciousness)スケールで主観的効果を200μgのLSDから25μgのLSDのレベルまで有意且つ顕著に減少させたことを示す。データを、16人の対象の平均値±SEM最大スケール(%)として表す。視覚化するには評価が低すぎるため、プラセボの評価はここでは示さない。図9は、ケタンセリンが、神秘的効果のアンケート(MEQ)及びSOCQから導出されたサブスケール「最低の状態」及び「美的体験」に対する主観的効果を200μgのLSDから25μgのLSDのレベルまで有意且つ顕著に減少させたことを示す。データを、16人の対象における平均値±SEM最大スケール(%)として表す。視覚化するには評価が低すぎるため、プラセボの評価はここでは示さない。全体として、ケタンセリンは、高用量LSDに対する主観的反応をほぼ25μgのLSDの用量レベルまで顕著且つ有意に(ほとんどP<0.001)減少させた。
【0046】
心血管系への影響、自律神経系への影響、有害作用、及び内分泌効果:経時的な自律神経系への影響及びそれぞれのピーク効果をそれぞれ、図10A図10D及び図7に示す。図10A図10Dは、LSD+ケタンセリンが、収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数、及び体温の一時的な低下を示し、その後、収縮期及び拡張期血圧でLSDのレベルまで上昇し、心拍数及び体温が正常化することを示す。データは、16人の対象の平均値±SEMとして表す。ケタンセリンは、LSD誘発心拍数応答を大幅に阻害した。ケタンセリンは、血圧に対するLSD応答を最大6時間のみ一時的に低下させた。ケタンセリンは、200μgのLSDの急性有害作用を有意に阻害した。頻繁に報告される有害作用を図11に示す。
【0047】
薬物動態:図12は、LSDの薬物動態パラメーターを示す。ケタンセリンは、200μgのLSDのPKを最小限にしか変更しなかった。
【0048】
盲検化:LSD用量条件の参加者の遡及的な認識に関するデータを図13に示す。ケタンセリンとLSDは、組み合わせられると、正しく認識されるか、又は低用量のLSDと間違えられても高用量のLSDと間違えられることは決してなかった。
【0049】
実施例3
臨床研究で、急性LSD効果が実際にケタンセリンで拮抗できることを立証するために、典型的且つ完全な精神活性用量のLSDの後にケタンセリン又はプラセボを二重盲検及び無作為法で投与した。臨床試験に参加している3人の対象のデータの例を本明細書に示す。
【0050】
重要な結果は、ケタンセリン(40mg)が、100μgのLSDベースの用量(146μgのLSD酒石酸塩1:1に相当)に対する急性の主観的幻覚剤反応を顕著に短縮し、また減弱したことである。この発見は、幻覚剤の効果を遮断するために本発明を使用することの実用性を裏付ける。
【0051】
材料及び方法
研究デザイン:研究は、二重盲検、プラセボ対照、無作為順2期間クロスオーバーデザインを2つの処置条件:(1)100μgのLSD+ケタンセリン(40mg)及び(2)100μgのLSD+プラセボで使用した。ケタンセリン又はプラセボを、LSDの1時間後に投与した。セッション間のウォッシュアウト期間は少なくとも10日間とした。この研究は、ClinicalTrials.gov (NCT04558294)に登録した。
【0052】
参加者:健康な対象(男性及び女性)を募集した。25歳未満の参加者は、研究への参加から除外した。追加の除外基準は、年齢>65歳、妊娠(スクリーニング時及び各試験セッション前の尿妊娠検査)、主要な精神障害の既往歴又は家族歴(第一度近親者)(訓練を受けた精神科医が、Semi-structured Clinical Interview for Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th edition, Axis I disordersによって評価)、治験薬を妨害し得る薬剤の使用(例えば、抗うつ薬、抗精神病薬、鎮静薬)、慢性又は急性の身体疾患(異常な身体検査、心電図、又は血液学的及び化学的血液分析)、喫煙(>10本/日)、違法薬物使用の生涯有病率>10倍(Δ-テトラヒドロカンナビノールを除く)、過去2か月以内の違法薬物の使用、及び研究中の違法薬物の使用(尿薬物検査によって決定される)とした。
【0053】
治験薬:LSD(D-リセルグ酸ジエチルアミド塩基、高速液体クロマトグラフィー純度>99%;Lipomed AG, Arlesheim, Switzerland)を、96%エタノール1mL中、100μgのLSDを含む単位で経口溶液として投与した(Holze et al., 2019)。ケタンセリンは、市販薬(KETENSIN(登録商標)(Janssen))として入手し、確実に盲検化するために不透明なカプセルでカプセル化した。ケタンセリンプラセボは、マンニトールを充填した同一の不透明なカプセルで構成されていた。
【0054】
研究手順:研究は、スクリーニング訪問、2回の13時間の試験セッション(午前7時~午後8時)、及び研究終了時の訪問を含んでいた。LSDを午前8時に投与した。ケタンセリン(40mg)又はプラセボを午前9時に投与した。評価項目を、LSD投与の12時間後に繰り返し評価した。
【0055】
主観的薬物効果:主観的効果を、LSD投与の0時間後、0.5時間後、1時間後、1.5時間後、2時間後、2.5時間後、3時間後、3.5時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、11時間後、及び12時間後に視覚的アナログスケール(VAS)を使用して繰り返し評価した。VASを、100mmの水平線(0~100%)として表示し、左側の「まったくない」から右側の「極端」までマークした。5D-ASCスケール(Dittrich, 1998; Studerus et al., 2010)を、LSD投与の12時間後に投与して、薬物によって誘発された覚醒時の意識の変化を遡及的に評価した。自律神経系への影響、有害作用、及び内分泌効果:血圧、心拍数、及び鼓膜体温を、既に詳細に記載したように、LSD投与の1時間前と、0時間後、0.5時間後、1時間後、1.5時間後、2.5時間後、3時間後、3.5時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、11時間後、及び12時間後に繰り返し測定した(Hysek et al., 2010)。有害作用を、66項目の苦情リスト(Zerssen, 1976)を使用して、薬物投与の12時間後まで体系的に評価した。
【0056】
結果
3人の健康な対象からのデータの例を平均値及びSEM値として示して、ヒトで実施した場合の本発明の効果を例示する。
【0057】
主観的薬物効果:VASでの経時的な主観的効果を図14A~14Iに示す。LSDの1時間後のケタンセリンの投与は、プラセボの投与と比較してLSD効果を顕著に減少させた。LSDに対する主観的反応についてのケタンセリンの効果は、ケタンセリン投与の1時間後に始まり、LSDに典型的な効果は、2時間以内に遮断されてほぼ正常な状態になった。LSDの作用持続時間は、10時間からわずか4時間へと約60%短縮され、LSD効果の再発はなかった。ケタンセリンは、「すべての薬物効果」(図14A)、「良い薬物効果」(図14B)、「視覚の変化」(図14C)、「聴覚の変化」(図示せず)、共感覚効果(「音が見たものに影響を与えた」(図14D))、「時間感覚の変化」(図14E)、及び幻覚剤に典型的な「自我溶解」の体験(図14F)を含む、LSDの典型的な精神変化効果を非常に効果的に減少させた。自我溶解は、時々不安をもたらすことがあり、従って不安惹起効果も減少すると予想され得る(不安は、本実施例で試験したいずれの対象にも存在しなかった)。LSDの後に投与されたケタンセリンは、LSDのみと比較して主観的刺激感を増加させた(図14G)。なぜなら、この主観的刺激感は、選択的セロトニン作動性アンタゴニストであるケタンセリンによって拮抗されなかったLSDのドーパミン作動性特性を介して媒介されるためである。予想どおり、LSDにケタンセリンを添加すると、プラセボを添加した場合と比較して疲労感が増し、ケタンセリンの既知の副作用が示された(図14H)。ケタンセリンは、LSDによって誘発される吐き気も軽減する傾向があったが、この効果を検証するには、さらなるデータが必要である(図14I)。
【0058】
2つの異なるサブスケールのセットにおけるLSD誘発性の精神の変化を図15A及び図15Bに示す。LSD後のケタンセリンの投与は、プラセボと比較して、5次元変性意識状態(5D-ASC)スケールでLSDの主観的効果を減少させた。ケタンセリンは、LSDによって生成される3つの主要なスケールでの精神の変化の全体的なピークを反映する3D-OAV合計スコアを約30%減少させた。3D-OAVスコアは、プラセボ後に34%であり、ケタンセリン後に24%であった。
【0059】
経時的なLSDの心血管系への影響を図16A図16D(収縮期血圧(図16A)、拡張期血圧(図16B)、心拍数(図16C)、及び体温(図16D))に示す。ケタンセリン後は、さらなる研究が必要な拡張期血圧の一時的な低下以外に、プラセボの添加と比較して、LSDの心血管系への影響に対して関連する影響はなかった。
【0060】
LSD後にケタンセリンが投与された場合、LSD投与の12時間後までにLCリストで報告された苦情の総数は、LSD後にプラセボが投与された場合の7±3.6と比較して、(平均±SEM)8.3±4であった。従って、ケタンセリンは、それ自体にいくつかの有害作用があるため、報告されている悪影響の総数が減少しなかった。
【0061】
本出願を通して、米国特許を含む様々な刊行物は、著者及び年度によって参照され、特許は番号によって参照される。出版物の完全な引用を以下に列挙する。これらの刊行物及び特許全体の開示は、本発明が属する最新技術をより完全に説明するために、参照により本出願に組み込まれる。
【0062】
本発明を例示的に説明してきたが、使用した用語は、限定ではなく説明の言葉の本質を意図していることを理解されたい。
【0063】
明らかに、上記の教示に照らして、本発明の多くの修正及び変形が可能である。従って、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、具体的に説明した以外の方法で実施できることを理解されたい。
【0064】
参考文献
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図1
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【手続補正書】
【提出日】2022-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の幻覚剤及び持続時間短縮剤を含む、急性効果を軽減すると共に個体を処置するための組成物。
【請求項2】
前記幻覚剤が、LSD、サイロシビン、メスカリン、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミエ(DOB)、その塩、その類似体、及びその同族体からなる群から選択される5HT2Aアゴニストである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記幻覚剤が、効果を少なくとも2時間提供する量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記幻覚剤が、0.01~1mgのLSD、10~50mgのサイロシビン、100~800mgのメスカリン、20~100mgのDMT、0.1~5mgのDOI、及び0.1~5mgのDOBからなる群から選択される量で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記持続時間短縮剤が、ケタンセリン、その塩、その類似体、及びその同族体からなる群から選択される5HT2A受容体アンタゴニストである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ケタンセリンが、5~100mgの量で存在する、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
前記幻覚剤及び前記持続時間短縮剤が、別個の投与単位からなる群から選択される投与単位、同じ放出プロファイルを有する同じ投与単位、及び異なる放出プロファイルを有する同じ投与単位である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
個体を幻覚剤で処置すると共にその急性作用持続時間を短縮する方法であって:
LSD、サイロシビン、メスカリン、ジメチルトリプタミン(DMT)、2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)、2,5-ジメトキシ-4-ブロモアンフェタミエ(DOB)、その塩、その類似体、及びその同族体からなる群から選択される5HT2Aアゴニストである幻覚剤を前記個体に投与する工程;
ケタンセリン、その塩、その類似体、及びその同族体からなる群から選択される5HT2A受容体アンタゴニストである持続時間短縮剤及び/又は効果遮断剤を前記個体に投与する工程;並びに
前記幻覚剤の急性効果を短縮及び/又は軽減する工程を含む、方法。
【請求項9】
前記持続時間短縮剤が、前記幻覚剤の投与の1分後~24時間後に投与される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記幻覚剤が、効果を少なくとも2時間提供する量、且つ0.01~1mgのLSD、10~50mgのサイロシビン、100~800mgのメスカリン、20~100mgのDMT、0.1~5mgのDOI、及び0.1~5mgのDOBからなる群から選択される量で投与される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記ケタンセリンが5~100mgの量で投与される、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記幻覚剤及び前記持続時間短縮剤が、別個の投与単位からなる群から選択される投与単位、同じ放出プロファイルを有する同じ投与単位、及び異なる放出プロファイルを有する同じ投与単位である、請求項に記載の方法。
【請求項13】
同量の前記幻覚剤のみの処置と比較して10~100%、主観的効果の時間を短縮し、又は/及びすべての薬物効果、悪い薬物効果、不安、自我溶解、及び自律反応の尺度を含む効果の程度を軽減する工程をさらに含み、前記持続時間短縮剤が投与された後に、前記幻覚剤の効果の再発をさらにもたらすことがない、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記短縮する工程が、前記幻覚剤と5HT2A受容体との相互作用を阻害する前記持続時間短縮剤及び/又は前記効果低減剤によって達成され、前記短縮する工程が、前記個体をほぼ正常な状態に戻すこととしてさらに定義される、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記幻覚剤による認知障害の時間及び/又は程度を減少させること、医療関係者による処置セッションの監視の時間を減少させること、前記幻覚剤に応答した不安又は任意の他の急性有害作用の強度及び/又は持続時間を減少させること、高用量の前記幻覚剤の不注意な投与による予想される急性有害作用の強度及び/又は持続時間を減少させること、前記幻覚剤の意図的な摂取による予想される急性有害作用の強度及び/又は持続時間を減少させること、並びに高すぎると考えられる用量の前記幻覚剤の意図的な摂取による、又は投与後に強すぎる効果を生み出すことによる、予想される急性有害作用の持続時間及び/又は強度を減少させることからなる群から選択される工程をさらに含む、請求項に記載の方法。
【国際調査報告】