(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置
(51)【国際特許分類】
G01T 1/16 20060101AFI20230406BHJP
G01T 1/167 20060101ALI20230406BHJP
G21C 17/00 20060101ALI20230406BHJP
G21F 9/30 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
G01T1/16 A
G01T1/167 D
G01T1/167 C
G21C17/00 500
G21F9/30 535
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552514
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-04
(86)【国際出願番号】 KR2021002499
(87)【国際公開番号】W WO2021177678
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0026148
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518442000
【氏名又は名称】コリア ハイドロ アンド ニュークリアー パワー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ユン,チャンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヘジン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジンウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンウン
【テーマコード(参考)】
2G075
2G188
【Fターム(参考)】
2G075CA02
2G075DA08
2G075EA01
2G075FA05
2G188AA19
2G188AA23
2G188BB02
2G188BB15
2G188BB18
2G188CC29
2G188DD05
2G188DD16
2G188GG01
2G188GG02
(57)【要約】
原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置は、(1)原子力発電所の解体地域から発生するX線スペクトルを検出する複数のピクセルを含む検出部と、(2)前記検出部に連結され、前記複数のピクセルから検出された前記X線スペクトルを分析して、前記複数のピクセルのうちの、第1元素についての第1特性X線エネルギーを検出した第1ピクセルが表示された第1元素イメージと、前記複数のピクセルのうちの、第2元素についての第2特性X線エネルギーを検出した第2ピクセルが表示された第2元素イメージとを、融合イメージに融合する処理部と、(3)前記処理部に連結され、前記解体地域に対応する前記融合イメージを表示する表示部とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所の解体地域から発生するX線スペクトルを検出する複数のピクセルを含む検出部と、
前記検出部に連結され、前記複数のピクセルから検出された前記X線スペクトルを分析して、前記複数のピクセルのうちの、第1元素についての第1特性X線エネルギーを検出した第1ピクセルが表示された第1元素イメージと、前記複数のピクセルのうちの、第2元素についての第2特性X線エネルギーを検出した第2ピクセルが表示された第2元素イメージとを、融合イメージに融合する処理部と、
前記処理部に連結され、前記解体地域に対応する前記融合イメージを表示する表示部と
を含む原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記複数のピクセルから検出された前記X線スペクトルを分析して、前記複数のピクセルのうちの、第3元素の第3特性X線エネルギーを検出した第3ピクセルが表示された第3元素イメージを、前記融合イメージに融合する、請求項1に記載の原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記複数のピクセルから検出された前記X線スペクトルを分析して、前記解体地域に対応する地域イメージを、前記融合イメージに融合する、請求項1に記載の原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記融合イメージにおいて、前記第1ピクセルは第1色相で表示し、前記第2ピクセルは第2色相で表示する、請求項1に記載の原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記複数のピクセルの前方に位置し、前記複数のピクセル同士の間を遮蔽するコリメータを含む、請求項1に記載の原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、原子力発電所の解体地域についての放射線源の映像化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の解体期間には、多様な解体作業および多様な発電所内部の位置によって、解体地域に位置する多様な放射線源に起因する放射性汚染が存在する。しかし、解体地域に位置する多様な放射線源が、作業者の目に見えないので、解体地域に対する効果的な除染を行うことが困難である。
【0003】
従来用いられるサーベイメータ(survey meter)では、解体地域の線量率の情報だけを把握することができるため、解体地域に位置する多様な放射線源についての位置、分布、および種類を確認することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施例は、原子力発電所の解体地域に位置する多様な放射線源についての位置、分布、および種類を映像化する、原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一側面は、(1)原子力発電所の解体地域から発生するX線スペクトルを検出する複数のピクセルを含む検出部と、(2)前記検出部に連結され、前記複数のピクセルから検出された前記X線スペクトルを分析して、前記複数のピクセルのうちの、第1元素についての第1特性X線エネルギーを検出した第1ピクセルが表示された第1元素イメージと、前記複数のピクセルのうちの、第2元素についての第2特性X線エネルギーを検出した第2ピクセルが表示された第2元素イメージとを、融合イメージに融合する処理部と、(3)前記処理部に連結され、前記解体地域に対応する前記融合イメージを表示する表示部と、を含む原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置を提供する。
【0006】
前記処理部は、前記複数のピクセルから検出された前記X線スペクトルを分析して、前記複数のピクセルのうちの、第3元素の第3特性X線エネルギーを検出した第3ピクセルが表示された第3元素イメージを、前記融合イメージに融合することができる。
【0007】
前記処理部は、前記複数のピクセルから検出された前記X線スペクトルを分析して、前記解体地域に対応する地域イメージを、前記融合イメージに融合することができる。
【0008】
前記表示部は、前記融合イメージにおいて、前記第1ピクセルは第1色相で表示し、前記第2ピクセルは第2色相で表示することができる。
【0009】
前記検出部は、前記複数のピクセルの前方に位置し、前記複数のピクセル同士の間を遮蔽するコリメータを含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
一実施例によれば、原子力発電所の解体地域に位置する多様な放射線源の位置、分布、および種類を映像化する原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施例による原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置を示す図である。
【
図2】一実施例による原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置の処理部が地域イメージを形成することを説明するための写真である。
【
図3】一実施例による原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置の処理部が第1元素イメージを形成することを説明するためのグラフおよび写真である。
【
図4】一実施例による原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置の処理部が第2元素イメージを形成することを説明するためのグラフおよび写真である。
【
図5】一実施例による原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置の処理部が第3元素イメージを形成することを説明するためのグラフおよび写真である。
【
図6】一実施例による原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置の処理部が、地域イメージ、第1元素イメージ、第2元素イメージ、第3元素イメージを融合した融合イメージを形成することを説明するための写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0013】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0014】
以下、
図1~
図6を参照して、一実施例による原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置を説明する。
【0015】
図1は、一実施例による原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置を示す図である。
【0016】
図1を参照すれば、解体地域10は、運営(運転)期間中の原子力発電所ではない、解体期間中の原子力発電所の内部に位置する地域である。解体地域10は多様な放射線源が位置した汚染地域であり、解体地域10は、解体作業を行うための除染工程が必要である。
【0017】
一実施例による原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置は、解体地域10に位置する多様な放射線源についての位置、分布、種類を、融合イメージに映像化して、表示部300の表示窓310に表示する。作業者は、融合イメージを確認して解体地域10の除染を容易に行うことができる。
【0018】
原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置は、多様な解体地域10に位置する多様な放射線源を映像化するために、作業者が所望する位置に移動可能であるか、作業者が携帯可能である。一例として、公知の多様な移動手段および多様な携帯手段が原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置に装着される。
【0019】
原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置は、検出部100と、処理部200と、表示部300とを含む。
【0020】
検出部100は、複数のピクセル110と、コリメータ(collimator; 視準器)120とを含む。
【0021】
複数のピクセル110は、原子力発電所の解体地域10から発生するX線スペクトルを検出する。
【0022】
複数のピクセル110は、X線スペクトルを検出可能な公知の多様な検出手段を含むことができる。一例として、複数のピクセル110は、分解能の高いCdTe、CZT、HPGeなどの半導体物質を含むことができるが、これに限定されない。複数のピクセル110は、複数のピクセル110に対応する解体地域10の一領域または全体から発生するX線スペクトルを検出する。複数のピクセル110のそれぞれは、平面的に四角の形態であるが、これに限定されず、平面的に三角形、四角形、五角形などの多角形または円形、楕円形、閉ループ(closed loop)などの多様な形態を有することができる。複数のピクセル110は、公知の多様な解像度を有することができる。
【0023】
コリメータ120は、複数のピクセル110の前方に位置し、複数のピクセル110同士の間を遮蔽する。コリメータ120は、解体地域10から複数のピクセル110に照射される放射線の方向と拡散を限定する。コリメータ120によって複数のピクセル110のそれぞれは、それぞれのピクセル110に対応する解体地域10の一領域からそれぞれ発生するX線スペクトルを検出する。コリメータ120は、公知の多様な放射線吸収物質を含むことができる。一例として、コリメータ120は、鉛、タングステンなどを含みうるが、これに限定されない。
【0024】
処理部200は、検出部100に連結され、複数のピクセル110から検出されたX線スペクトルを分析して、地域イメージ、第1元素イメージ、第2元素イメージ、および第3元素イメージを形成し、地域イメージ、第1元素イメージ、第2元素イメージ、および第3元素イメージを、融合イメージに融合する。
【0025】
処理部200は、複数のピクセル110から検出されたX線スペクトルを分析して、解体地域10に対応する地域イメージを形成する。
【0026】
図2は、一実施例による原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置の処理部が地域イメージを形成することを説明するための写真である。
図2の(A)は、解体地域の一例として、セシウム(Ce)、ガドリニウム(Gd)、ビスマス(Bi)が収納されたビーカーを示す写真であり、(B)は、セシウム(Ce)、ガドリニウム(Gd)、ビスマス(Bi)が収納されたビーカーから発生するX線スペクトルを検出した複数のピクセルに連結された処理部がX線スペクトルを分析して、形成したビーカーに対応する地域イメージAIを示す写真である。
【0027】
具体的には、
図1および
図2を参照すれば、処理部200は、解体地域10の一例として、セシウム(Ce)、ガドリニウム(Gd)、ビスマス(Bi)が収納されたビーカーから発生するX線スペクトルを検出した、複数のピクセル110に連結され、X線スペクトルを分析して、解体地域10に対応する地域イメージAIを形成する。処理部200は、公知の多様な処理手段を用いて、X線スペクトルから地域イメージAIを形成することができる。一例として、処理部200は、X線撮影手段と実質的に同一の処理手段を用いて、解体地域10に対応する地域イメージAIを形成することができるが、これに限定されない。
【0028】
つまり、処理部200は、解体地域10から検出されたX線スペクトルを分析して、解体地域10に対応する地域イメージAIを形成する。
【0029】
処理部200は、複数のピクセル110から検出されたX線スペクトルを分析して、複数のピクセル110のうちの、第1元素の第1特性X線エネルギーを検出した第1ピクセルが表示された第1元素イメージを形成する。
【0030】
図3は、一実施例による、原子力発電所の解体地域についての放射線源映像化装置の処理部が、第1元素イメージを形成することを説明するためのグラフおよび写真である。
図3の(A)は、セシウム(Ce)の特性X線スペクトルを示すグラフであり、(B)は、セシウム(Ce)、ガドリニウム(Gd)、ビスマス(Bi)が収納されたビーカーから発生するX線スペクトルを検出した、複数のピクセルに連結された処理部が、X線スペクトルを分析して、形成した複数のピクセル110のうちの、第1元素であるセシウム(Ce)の第1特性X線エネルギーCX1を検出した第1ピクセルが表示された、第1元素イメージIM1を示す写真である。
【0031】
具体的には、
図1および
図3を参照すれば、処理部200は、解体地域10の一例として、セシウム(Ce)、ガドリニウム(Gd)、ビスマス(Bi)が収納されたビーカーから発生するX線スペクトルを検出した、複数のピクセル110に連結され、X線スペクトルを分析して、複数のピクセル110のうちの、第1元素であるセシウム(Ce)の第1特性X線エネルギーCX1である33keVを検出した第1ピクセルが表示された、第1元素イメージIM1を形成する。
【0032】
第1元素イメージIM1に表示された第1ピクセルは、青色(blue)である第1色相で表示されうるが、これに限定されず、公知の多様な色相で表示されてもよい。
【0033】
ここで、セシウム(Ce)は第1元素の一例であって、第1元素は、セシウム(Ce)に限定されず、コバルト(Co)などの公知の多様な放射線源であってもよい。
【0034】
また、第1特性X線エネルギーCX1である33keVは一例であって、第1特性X線エネルギーCX1は、公知の多様な放射線源である第1元素の公知の特性X線エネルギーであってもよい。
【0035】
つまり、処理部200は、解体地域10から複数のピクセル110が検出したX線スペクトルを分析して、複数のピクセル110のうちの、第1元素であるセシウム(Ce)の第1特性X線エネルギーCX1である33keVを検出した第1ピクセルを表示した、第1元素イメージIM1を形成することによって、解体地域10に位置する放射線源である第1元素(一例として、セシウム)についての位置、分布、種類を映像化した第1元素イメージIM1を形成する。
【0036】
処理部200は、複数のピクセル110から検出されたX線スペクトルを分析して、複数のピクセル110のうちの、第2元素についての第2特性X線エネルギーを検出した第2ピクセルが表示された、第2元素イメージを形成する。
【0037】
図4は、一実施例による、原子力発電所の解体地域についての放射線源映像化装置の処理部が、第2元素イメージを形成することを説明するためのグラフおよび写真である。
図4の(A)は、ガドリニウム(Gd)の特性X線スペクトルを示すグラフであり、(B)は、セシウム(Ce)、ガドリニウム(Gd)、ビスマス(Bi)が収納されたビーカーから発生する、X線スペクトルを検出した複数のピクセルに連結された処理部が、X線スペクトルを分析して、形成した複数のピクセル110のうちの、第2元素であるガドリニウム(Gd)の第2特性X線エネルギーCX2を検出した第2ピクセルが表示された、第2元素イメージIM2を示す写真である。
【0038】
具体的には、
図1および
図4を参照すれば、処理部200は、解体地域10の一例として、セシウム(Ce)、ガドリニウム(Gd)、ビスマス(Bi)が収納されたビーカーから発生するX線スペクトルを検出した、複数のピクセル110に連結され、X線スペクトルを分析して、複数のピクセル110のうちの、第2元素であるガドリニウム(Gd)の第2特性X線エネルギーCX2である43keVを検出した第2ピクセルが表示された、第2元素イメージIM2を形成する。
【0039】
第2元素イメージIM2に表示された第2ピクセルは、橙色(orange)である第2色相で表示されうるが、これに限定されず、公知の多様な色相で表示されてもよい。
【0040】
ここで、ガドリニウム(Gd)は第2元素の一例であって、第2元素は、ガドリニウム(Gd)に限定されず、公知の多様な放射線源であってもよい。
【0041】
また、第2特性X線エネルギーCX2である43keVは一例であって、第2特性X線エネルギーCX2は、公知の多様な放射線源である第2元素の公知の特性X線エネルギーであってもよい。
【0042】
つまり、処理部200は、解体地域10から複数のピクセル110が検出したX線スペクトルを分析して、複数のピクセル110のうちの、第2元素であるガドリニウム(Gd)の第2特性X線エネルギーCX2である43keVを検出した第2ピクセルを表示した、第2元素イメージIM2を形成することによって、解体地域10に位置する放射線源である第2元素(一例として、ガドリニウム)についての位置、分布、種類を映像化した、第2元素イメージIM2を形成する。
【0043】
処理部200は、複数のピクセル110から検出されたX線スペクトルを分析して、複数のピクセル110のうちの、第3元素についての第3特性X線エネルギーを検出した第3ピクセルが表示された、第3元素イメージを形成する。
【0044】
図5は、一実施例による、原子力発電所の解体地域についての放射線源映像化装置の処理部が、第3元素イメージを形成することを説明するためのグラフおよび写真である。
図5の(A)は、ビスマス(Bi)の特性X線スペクトルを示すグラフであり、(B)は、セシウム(Ce)、ガドリニウム(Gd)、ビスマス(Bi)が収納されたビーカーから発生するX線スペクトルを検出した、複数のピクセルに連結された処理部が、X線スペクトルを分析して、形成した複数のピクセル110のうちの、第3元素であるビスマス(Bi)の第3特性X線エネルギーCX3を検出した第3ピクセルが表示された、第3元素イメージIM3を示す写真である。
【0045】
具体的には、
図1および
図5を参照すれば、処理部200は、解体地域10の一例として、セシウム(Ce)、ガドリニウム(Gd)、ビスマス(Bi)が収納されたビーカーから発生するX線スペクトルを検出した、複数のピクセル110に連結され、X線スペクトルを分析して、複数のピクセル110のうちの、第3元素であるビスマス(Bi)の第3特性X線エネルギーCX3である77keVを検出した第3ピクセルが表示された、第3元素イメージIM3を形成する。
【0046】
第3元素イメージIM3に表示された第3ピクセルは、緑色(green)である第3色相で表示されうるが、これに限定されず、公知の多様な色相で表示されてもよい。
【0047】
ここで、ビスマス(Bi)は第3元素の一例であって、第3元素は、ビスマス(Bi)に限定されず、公知の多様な放射線源であってもよい。
【0048】
また、第3特性X線エネルギーCX3である77keVは一例であって、第3特性X線エネルギーCX3は、公知の多様な放射線源である第3元素の公知の特性X線エネルギーであってもよい。
【0049】
つまり、処理部200は、解体地域10から複数のピクセル110が検出したX線スペクトルを分析して、複数のピクセル110のうちの、第3元素であるビスマス(Bi)の第3特性X線エネルギーCX3である77keVを検出した、第3ピクセルを表示した第3元素イメージIM3を形成することによって、解体地域10に位置する放射線源である第3元素(一例として、ビスマス)についての位置、分布、種類を映像化した第3元素イメージIM3を形成する。
【0050】
図6は、一実施例による、原子力発電所の解体地域についての放射線源映像化装置の処理部が、地域イメージ、第1元素イメージ、第2元素イメージ、第3元素イメージを融合した融合イメージを形成することを説明するための写真である。
【0051】
図1および
図6を参照すれば、処理部200は、解体地域10から複数のピクセル110が検出したX線スペクトルを分析して、(1)形成した解体地域10に対応する地域イメージAI、(2)解体地域10に位置する放射線源である第1元素(一例として、セシウム)の位置、分布、種類を映像化した第1元素イメージIM1、(3)解体地域10に位置する放射線源である第2元素(一例として、ガドリニウム)の位置、分布、種類を映像化した第2元素イメージIM2、(4)解体地域10に位置する放射線源である第3元素(一例として、ビスマス)の位置、分布、種類を映像化した第3元素イメージIM3を、融合イメージFIに融合する。
【0052】
一方、処理部200は、地域イメージAI、第1元素イメージIM1、第2元素イメージIM2、第3元素イメージIM3の中から選択された複数のイメージだけを、融合イメージに融合することができる。一例として、処理部200は、第1元素イメージIM1および第2元素イメージIM2だけを融合イメージに融合するか、第1元素イメージIM1、第2元素イメージIM2、第3元素イメージIM3だけを融合イメージに融合することができる。
【0053】
また、処理部200は、3つの元素イメージだけでなく、X線スペクトルを分析して、各元素の固有の特性X線エネルギーを検出したピクセルを表示した、4つ以上の元素イメージを、融合イメージに融合することができる。
【0054】
さらに、処理部200は、揮発性または不揮発性メモリなどの、公知の多様な処理手段を含むことができる。
【0055】
表示部300は、処理部200に連結され、解体地域10に対応する融合イメージFIを表示する表示窓310を含む。
【0056】
表示窓310に表示された融合イメージFIに、地域イメージAI、第1元素イメージIM1、第2元素イメージIM2、第3元素イメージIM3が表示されることによって、作業者は、融合イメージFIを通して、解体地域10に位置する第1元素、第2元素、第3元素のそれぞれの位置、分布、種類を確認することができる。
【0057】
表示部300は、処理部200に連結され、処理部200が融合した融合イメージFIを表示可能な、公知の多様な表示手段を含むことができる。
【0058】
つまり、原子力発電所の解体地域10に位置する、多様な放射線源の位置、分布、および種類を映像化して、融合イメージFIでもって表示する、原子力発電所の解体地域についての放射線源映像化装置が提供される。
【0059】
このように、一実施例による、原子力発電所の解体地域についての放射線源映像化装置が、原子力発電所の解体地域10に位置する、多様な放射線源の位置、分布、および種類を映像化した融合イメージFIを表示することによって、作業者は、解体地域10に位置する放射線源の位置、分布、種類に適した、効率的な除染作業を解体地域10に行うことができる。
【0060】
また、一実施例による、原子力発電所の解体地域についての放射線源映像化装置は、解体地域10を様々な角度で検出し、アルゴリズムにより映像を再構成すれば、2D映像だけでなく、3D映像も表示することができる。つまり、一実施例による、原子力発電所の解体地域についての放射線源映像化装置を用いて、除染が必要な地域を正確に把握することができる。
【0061】
また、一実施例による、原子力発電所の解体地域についての放射線源映像化装置は、除染を行う汚染地域の範囲を知ることができるだけでなく、構成している元素の種類も把握することができ、汚染地域を2Dまたは3Dの映像で実現することができるため、正確な汚染地域に該当する効果的な除染が可能である。
【0062】
さらに、放射性同位元素はそれぞれ異なる特性を有しているが、一実施例による、原子力発電所の解体地域についての放射線源映像化装置は、特性X線エネルギーの検出により把握した元素の構成比を通じて、適した除染方式を反映することができる。
【0063】
また、一実施例による、原子力発電所の解体地域についての放射線源映像化装置は、遠隔で駆動できるようにして、作業者の安全な解体作業に寄与することができ、携帯が簡便なため、遠隔作業が困難な地域では、最小化された作業動線で迅速な測定が可能である。
【0064】
また、一実施例による、原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置は、それぞれのピクセルごとのエネルギースペクトルを得ることができ、これによって、対象の映像化により放射性物質がどこにどのように分布しているかを確認可能であると同時に、互いに異なる核種が多様に存在する場合にも識別可能である。核種はそれぞれ異なる半減期、エネルギーを有しているため、一実施例による原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置を用いて各核種に合った除染および廃棄物処理方法を行って安全で経済的な解体が可能である。
【0065】
また、一実施例による、原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置は、それぞれのピクセルごとに検出されたエネルギースペクトルの分析により、放射性物質の映像化だけでなく、核種の種類および分布度までも把握可能である。地球上に存在するすべての元素は、それぞれ固有の特性X線エネルギー値を有しているため(一例として、Ce:34.72keV、Gd:43.00keV、Bi:77.11keVなど)、当該エネルギー領域を選択的に再構成する方式で、それぞれの元素ごとの映像を再構成することができる。
【0066】
さらに、一実施例による、原子力発電所の解体地域についての放射線源映像化装置は、線量率のみ把握可能なサーベイメータ、エネルギーの分布のみ把握可能なバルク(塊; bulk)形態検出器、物質の識別が不可能な単純映像化のみ可能であった既存のピクセル化検出器装備などに比べて、どの核種がどこにどのように分布しているかについてまで、正確に把握可能な装置である。なお、一実施例による原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置は、検出されたX線スペクトルのピーク分析により、核種の定量的な分析も可能である。したがって、多様な放射性物質の位置が時々刻々変化する解体地域にて、どの地域に、どの核種で汚染がなされているかを、迅速で正確に把握可能であることから、効果的な除染方法を選定できる、原子力発電所の解体地域の放射線源映像化装置が提供される。
【0067】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した、当業者の様々な変形および改良形態も、本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0068】
検出部100、処理部200、表示部300
【国際調査報告】