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特表2023-515675PD-1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニストおよびレンバチニブまたはその薬学的に許容される塩の組合せを用いる癌を治療する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】PD-1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニストおよびレンバチニブまたはその薬学的に許容される塩の組合せを用いる癌を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20230406BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230406BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20230406BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230406BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230406BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20230406BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P35/00
A61P37/04
A61P43/00 121
A61P1/04
A61P1/16
A61P13/12
A61P13/10
A61P15/00
A61P11/00
A61P17/00
A61P35/04
A61K31/47
A61K39/395 N
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552573
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 US2021020858
(87)【国際公開番号】W WO2021178657
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】62/985,500
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】506137147
【氏名又は名称】エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】モレノ,ブランカ・ホーメット
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム,ナジョエット
(72)【発明者】
【氏名】ペリーニ,ロドルフォ・フルーリー
(72)【発明者】
【氏名】ディード,スコット・ジェー
(72)【発明者】
【氏名】エビングハウス,スコット・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥーラ,レイチェル・アリソン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA23
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZA661
4C084ZA751
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZB091
4C084ZB261
4C084ZC411
4C084ZC751
4C085AA14
4C085AA16
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C086AA01
4C086BC28
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
癌(例えば、黒色腫またはRCC)を治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、(a)PD-1アンタゴニスト、(b)CTLA4アンタゴニスト、および、(c)式(I)によって表されるレンバチニブまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法が本明細書に提供される。そのような薬剤を含むキット、および癌の治療のためのそのような薬剤の治療用組合せの使用も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA-4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化1】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記癌が、膀胱癌、乳癌、非小細胞肺癌、結腸直腸癌、腎細胞癌(RCC)、肝細胞癌および黒色腫からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記癌がRCCである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記RCCが進行RCCである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記RCCが転移性RCCである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記癌が黒色腫である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記黒色腫が進行黒色腫である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記黒色腫が転移性黒色腫である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA-4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化2】
またはその薬学的に許容される塩
を含むキット。
【請求項10】
前記PD-1アンタゴニスト、前記CTLA-4アンタゴニスト、および、式(I)によって表されるレンバチニブ
【化3】
またはその薬学的に許容される塩をヒト患者に投与するための指示書、をさらに含む、請求項8に記載のキット。
【請求項11】
ヒト患者の癌を治療するための治療用組合せの使用であって、前記治療用組合せが、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA-4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化4】
またはその薬学的に許容される塩、を含む使用。
【請求項12】
前記癌が、膀胱癌、乳癌、非小細胞肺癌、結腸直腸癌、腎細胞癌(RCC)、肝細胞癌および黒色腫からなる群から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記癌がRCCである、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記癌が黒色腫である、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
前記黒色腫が難治性黒色腫である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記黒色腫が黒色腫脳転移である、請求項14に記載の使用。
【請求項17】
前記PD-1アンタゴニストが、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項18】
前記PD-1アンタゴニストが、抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であり、ここで、前記抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体はアテゾリズマブではない、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項19】
前記抗ヒトPD-1モノクローナル抗体がヒト化抗体である、請求項17に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項20】
前記抗ヒトPD-1モノクローナル抗体がヒト抗体である、請求項17に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項21】
前記CTLA-4アンタゴニストが、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項22】
前記抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体がヒト化抗体である、請求項21に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項23】
前記抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体がヒト抗体である、請求項21に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項24】
前記抗ヒトPD-1モノクローナル抗体がペンブロリズマブである、請求項17に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項25】
前記抗ヒトPD-1モノクローナル抗体がニボルマブである、請求項17に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項26】
前記抗ヒトPD-1モノクローナル抗体がセミプリマブである、請求項17に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項27】
前記抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体が、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3、および、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3を含む、請求項21に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項28】
前記抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体が、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むV領域、および、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むV領域を含む、請求項21に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項29】
前記抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体が、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖と、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖とを含む、請求項21に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項30】
(a)前記PD-1アンタゴニストがペンブロリズマブであり、
(b)前記CTLA-4アンタゴニストが、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含むモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項31】
(a)前記PD-1アンタゴニストがニボルマブであり、そして
(b)前記CTLA-4アンタゴニストが、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含むモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項32】
(a)前記PD-1アンタゴニストがセミプリマブであり、そして、
(b)前記CTLA-4アンタゴニストが、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含むモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法、キットまたは使用。
【請求項33】
前記ヒト患者に、200mg、240mg、400mg、または2mg/kgのペンブロリズマブが投与され、そしてここで、ペンブロリズマブが6週間に1回投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記ヒト患者に、400mgのペンブロリズマブが投与され、そしてここで、ペンブロリズマブが6週間に1回投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記ヒト患者に、240mg、もしくは3mg/kgのニボルマブが2週間に1回、または480mgのニボルマブが4週間に1回投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記ヒト患者に、350mgのセミプリマブが投与され、そしてここで、セミプリマブが3週間に1回投与される、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記ヒト患者に、約1mg~約200mgの前記抗ヒトCTLA-4抗体が投与され、そしてここで、前記抗ヒトCTLA4抗体が6週間に1回投与される、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ヒト患者に、1、1.25、1.4、2.0、2.5、2.9、5、7.9、10、12.5、25、50、75、100、125、150、175または200mgの前記抗ヒトCTLA-4抗体が投与され、そしてここで、前記抗ヒトCTLA-4抗体が3週間に1回投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ヒト患者に、25mgの前記抗ヒトCTLA-4抗体が投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ヒト患者に、8、10、12、14、18、20または24mgのレンバチニブまたはその薬学的に許容される塩が投与され、そしてここで、レンバチニブまたは前記その薬学的に許容される塩が1日1回投与される、請求項33~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
黒色腫を治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)400mgのペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、25mgの抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)20mgのレンバチニブ、を投与することを含む方法。
【請求項42】
(a)および(b)の各々が、6週間に1回投与される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
(c)が1日1回投与される、請求項41~42に記載の方法。
【請求項44】
(a)および(b)が同じ日に投与され、(a)および(b)が連続的または同時に投与される、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記その薬学的に許容される塩がレンバチニブメシル酸塩である、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法、キットまたは使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月5日に出願された米国仮出願第62/985,500号の優先権の利益を主張し、この開示全体を参照により組み込む。
【0002】
(a)プログラム死1タンパク質(PD-1)アンタゴニスト、(b)細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)アンタゴニストおよび(c)式(I)によって表される4-[3-クロロ-4-(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ]-7-メトキシ-6-キノリンカルボキサミド(レンバチニブ)
【化1】
またはその薬学的に許容される塩の組合せを用いて、癌(例えば腎細胞癌(RCC)、膀胱癌、乳癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸直腸癌(CRC)、肝細胞癌(HCC)、黒色腫)を治療する方法が本明細書に提供される。
【背景技術】
【0003】
PD-1は、免疫調節および末梢性寛容の維持として、重要な因子として認識されている。PD-1またはそのリガンド(例えばPD-L1)を標的とする免疫チェックポイント療法は、複数のヒト癌型に対して臨床応答の革新的な改善をもたらした(Brahmer et al.,N Engl J Med,366:2455-2465(2012);Garon et al.,N Engl J Med,372:2018-2028(2015);Hamid et al.,N Engl J Med,369:134-144(2013);Robert et al.,Lancet,384:1109-1117(2014);Robert et al.,N Engl J Med,372:2521-2532(2015);Robert et al.,N Engl J Med,372:320-330(2015);Topalian et al.,N Engl J Med,366:2443-2454(2012);Topalian et al.,J Clin Oncol,32:1020-1030(2014);Wolchok et al.,N Engl J Med,369:122-133(2013))。PD-1軸を標的とする免疫療法には、PD-1受容体に対するモノクローナル抗体(例えば、KEYTRUDA(登録商標)(ペンブロリズマブ)、Merck and Co.,Inc.、Kenilworth,NJ;OPDIVO(登録商標)(ニボルマブ)、Bristol-Myers Squibb Company、Princeton,NJ)、および、PD-L1リガンドに結合するモノクローナル抗体(例えば、TECENTRIQ(登録商標)(アテゾリズマブ)、Genentech、San Francisco,CA)が含まれる。
【0004】
そのような抗体の効果は、他の承認された癌療法または実験的な癌療法、例えば、放射線、手術、化学療法剤、標的療法、腫瘍内で調節不全である他のシグナル伝達経路を阻害する薬剤および他の免疫増強剤と組み合わせて投与された場合に増強される可能性があることが提案されている。PD-1のアンタゴニストと組み合わせて試験されているそのような薬剤の1つが、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4と略す)のアンタゴニストである。
【0005】
CTLA4は、遺伝子構造、染色体位置、配列相同性および遺伝子発現では、CD28分子と非常に密接な関係を有する。いずれも、活性化T細胞の表面に主に発現される共刺激分子B7の受容体である。CTLA4は、B7に結合した後、マウスT細胞およびヒトT細胞の活性化を阻害し、T細胞の活性化に対して負の調節役割を果たすことができる。
【0006】
CTLA4 mAbまたはCTLA4リガンドは、CTLA4がその天然のリガンドに結合するのを防ぎ、それによって、CTLA4によるT細胞負調節シグナルの伝達を遮断し、様々な抗原に対するT細胞の応答性を高めることができる。この局面では、インビボ試験およびインビトロ試験からの結果は実質的に一致している。現在、前立腺癌、膀胱癌、結腸直腸癌、消化管の癌、肝癌、悪性黒色腫などを治療するための臨床試験では、いくつかのCTLA4 mAbが試験されている。(Grosso et al.,CTLA-4 blockade in tumor models:an overview of preclinical and translational research.Cancer Immun.13:5(2013))。
【0007】
T細胞の機能に影響を及ぼす重要な因子として、CTLA4およびCTLA4 mAbは、体内の免疫微小環境を妨害することによって疾患に対して特異的な治療効果をもたらし得る。それらは、高い効果を有し、従来の医薬品の欠陥を改善し、遺伝子治療の新規経路を開く。CTLA4およびCTLA4 mAbは、実験、および臨床試験の様々な段階で試験されている。例えば、CTLA4およびCTLA4 mAbは、自己免疫疾患では、喘息の動物モデルの気道過敏性を効果的に阻害し、リウマチ性疾患の発症を予防し、体内の同種移植片に対する免疫寛容を媒介することなどが示されている。一方、生物学的遺伝子治療は短期間の臨床試験では何ら有害作用を示さなかったが、長期適用後の潜在的な作用に注意すべきである。例えば、CTLA4 mAbによるCTLA4-B7シグナル伝達の過剰な遮断は、自己免疫疾患を発症させる可能性がある。抗体は、それらの抗原に特異的に結合し、標的細胞の溶解を誘導するかまたは病態の進行を阻止することができるため、抗体に基づく薬物、特にヒト化抗体の開発および利用は、ヒトの悪性腫瘍および他の免疫疾患の臨床治療では重要な意義を有する。
【0008】
チロシンキナーゼは増殖因子シグナル伝達の調節に関与しており、したがって、癌治療の重要な標的である。レンバチニブは、腫瘍増殖に関与する他の血管新生促進性および発癌性の経路関連RTK(血小板由来増殖因子(PDGF)受容体PDGFRα;KIT;およびRET癌原遺伝子(RET)を含む)に加えて、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体(VEGFR1(FLT1)、VEGFR2(KDR)およびVEGFR3(FLT4))ならびに線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体FGFR1、2、3および4のキナーゼ活性を選択的に阻害する多重RTK(multiple RTK)(多重RTK(multi-RTK))阻害剤である。特に、レンバチニブは、X線結晶構造解析によって確認されるように、VEGFR2に対する新しい結合様式(Type V)を有し、動態解析によれば、キナーゼ活性の迅速かつ強力な阻害を示す。
【0009】
抗PD-1アンタゴニスト抗体または抗PD-L1アンタゴニスト抗体の効果は、他の承認された癌療法または実験的な癌療法、例えば、放射線、手術、化学療法剤、標的療法、腫瘍内で調節不全である他のシグナル伝達経路を阻害する薬剤、および他の免疫増強剤と組み合わせて投与された場合に、増強される可能性があることが提案されている。しかし、抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体と組み合わせたどの薬剤が効果的であり得るか、またはその組合せがどの患者に対して治療の効果を増強し得るかに関する明確な指針はない。したがって、当技術分野では、癌に対する堅牢な免疫応答を生じ得る、効果が高い治療用組合せに対する必要性が満たされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Brahmer et al.,N Engl J Med,366:2455-2465(2012)
【非特許文献2】Garon et al.,N Engl J Med,372:2018-2028(2015)
【非特許文献3】Hamid et al.,N Engl J Med,369:134-144(2013)
【非特許文献4】Robert et al.,Lancet,384:1109-1117(2014)
【非特許文献5】Robert et al.,N Engl J Med,372:2521-2532(2015)
【非特許文献6】Robert et al.,N Engl J Med,372:320-330(2015)
【非特許文献7】Topalian et al.,N Engl J Med,366:2443-2454(2012)
【非特許文献8】Topalian et al.,J Clin Oncol,32:1020-1030(2014)
【非特許文献9】Wolchok et al.,N Engl J Med,369:122-133(2013)
【非特許文献10】Grosso et al.,CTLA-4 blockade in tumor models:an overview of preclinical and translational research.Cancer Immun.13:5(2013)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、治療剤の組合せ、例えば、抗体またはその抗原結合断片の組合せを用いて、癌、感染性疾患または感染症を治療する方法、医薬組成物、使用およびキットを提供する。
【0012】
本開示は、PD-1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニストおよび式(I)によって表される4-[3-クロロ-4-(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ]-7-メトキシ-6-キノリンカルボキサミド(レンバチニブ)
【化2】
またはその薬学的に許容される塩の組合せを用いて、癌(例えば、黒色腫またはRCC)を治療する方法を提供する。
【0013】
本開示は、PD-1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、および、式(I)によって表される4-[3-クロロ-4-(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ]-7-メトキシ-6-キノリンカルボキサミド(レンバチニブ)
【化3】
またはその薬学的に許容される塩、を含むキットをさらに提供する。
【0014】
癌(例えば、RCC、黒色腫)を治療するための治療用組合せの使用も本明細書に提供され、治療用組合せは、PD-1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、および、式(I)によって表される4-[3-クロロ-4-(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ]-7-メトキシ-6-キノリンカルボキサミド(レンバチニブ)
【化4】
またはその薬学的に許容される塩、を含む。
【0015】
一態様では、癌を治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表される4-[3-クロロ-4-(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ]-7-メトキシ-6-キノリンカルボキサミド(レンバチニブ)
【化5】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む方法が、本明細書に提供される。
【0016】
一態様では、癌を治療するのに使用するための治療用組合せであって、それを必要とするヒト患者に、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表される4-[3-クロロ-4-(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ]-7-メトキシ-6-キノリンカルボキサミド(レンバチニブ)
【化6】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む治療用組合せが、本明細書に提供される。
【0017】
いくつかの実施形態では、癌は、骨肉腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、腎癌、白血病、腎移行細胞癌(renal transitional cell cancer)、膀胱癌、ウィルムス癌(Wilm’s cancer)、卵巣癌、膵癌、乳癌、前立腺癌、骨癌、肺癌(例えば非小細胞肺癌)、胃癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、滑膜肉腫、頭頸部癌、扁平上皮癌、リンパ腫(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)または非ホジキンリンパ腫(NHL))、多発性骨髄腫、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、肝芽細胞腫、肝細胞癌、黒色腫、腎臓のラブドイド腫瘍、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、脳癌、神経膠芽腫、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原始神経外胚葉性腫瘍、髄芽細胞腫、星細胞腫、退形成星細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、脈絡叢乳頭腫、真性多血症、血小板血症、特発性骨髄線維症、軟部組織肉腫、甲状腺癌、子宮内膜癌およびカルチノイド癌(carcinoid cancer)からなる群から選択される。例えば、癌は黒色腫である。ある特定の実施形態では、癌は、PD-1難治性黒色腫の治療である。さらに別の実施形態では、対象は、黒色腫脳転移を有する。さらに別の実施形態では、癌は難治性黒色腫である。
【0018】
ある特定の実施形態では、癌は転移性である。いくつかの実施形態では、癌は再発している。他の実施形態では、癌は難治性である。さらに他の実施形態では、癌は、再発しており、難治性である。
【0019】
一実施形態では、癌は骨肉腫である。別の実施形態では、癌は横紋筋肉腫である。さらに別の実施形態では、癌は神経芽細胞腫である。なお別の実施形態では、癌は腎癌である。一実施形態では、癌は白血病である。別の実施形態では、癌は腎移行細胞癌である。さらに別の実施形態では、癌は膀胱癌である。なお別の実施形態では、癌はウィルムス癌である。一実施形態では、癌は卵巣癌である。別の実施形態では、癌は膵癌である。さらに別の実施形態では、癌は乳癌である。なお別の実施形態では、癌は前立腺癌である。一実施形態では、癌は骨癌である。別の実施形態では、癌は肺癌である。さらに別の実施形態では、癌は非小細胞肺癌である。なお別の実施形態では、癌は胃癌である。一実施形態では、癌は結腸直腸癌である。別の実施形態では、癌は子宮頸癌である。さらに別の実施形態では、癌は滑膜肉腫である。なお別の実施形態では、癌は頭頸部癌である。一実施形態では、癌は扁平上皮癌である。別の実施形態では、癌はリンパ腫である。一実施形態では、癌はDLBCLである。別の実施形態では、癌はNHLである。さらに別の実施形態では、癌は多発性骨髄腫である。なお別の実施形態では、癌は腎細胞癌である。一実施形態では、癌は網膜芽細胞腫である。別の実施形態では、癌は肝芽細胞腫である。さらに別の実施形態では、癌は肝細胞癌である。なお別の実施形態では、癌は黒色腫である。一実施形態では、癌は、腎臓のラブドイド腫瘍である。別の実施形態では、癌はユーイング肉腫である。さらに別の実施形態では、癌は軟骨肉腫である。なお別の実施形態では、癌は脳癌である。一実施形態では、癌は神経膠芽腫である。別の実施形態では、癌は髄膜腫である。さらに別の実施形態では、癌は下垂体腺腫である。なお別の実施形態では、癌は前庭神経鞘腫である。一実施形態では、癌は原始神経外胚葉性腫瘍である。別の実施形態では、癌は髄芽細胞腫である。さらに別の実施形態では、癌は星細胞腫である。なお別の実施形態では、癌は退形成星細胞腫である。一実施形態では、癌は乏突起膠腫である。別の実施形態では、癌は上衣腫である。さらに別の実施形態では、癌は脈絡叢乳頭腫である。なお別の実施形態では、癌は真性多血症である。一実施形態では、癌は血小板血症である。別の実施形態では、癌は特発性骨髄線維症である。さらに別の実施形態では、癌は軟部組織肉腫である。なお別の実施形態では、癌は甲状腺癌である。一実施形態では、癌は子宮内膜癌である。別の実施形態では、癌はカルチノイド癌である。さらに別の実施形態では、癌は難治性頭頸部癌である。なお別の実施形態では、癌は、再発/難治性NHL(rrNHL)である。さらになお別の実施形態では、癌はPD-1難治性rrNHLである。
【0020】
いくつかの実施形態では、癌は、膀胱癌、乳癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸直腸癌(CRC)、腎細胞癌(RCC)、肝細胞癌(HCC)および黒色腫からなる群から選択される。
【0021】
ある特定の実施形態では、癌は転移性である。いくつかの実施形態では、癌は再発している。他の実施形態では、癌は難治性である。さらに他の実施形態では、癌は、再発しており、難治性である。ある特定の実施形態では、癌は切除可能である。
【0022】
一実施形態では、癌は膀胱癌である。別の実施形態では、癌は乳癌である。さらに別の実施形態では、癌はNSCLCである。なお別の実施形態では、癌はCRCである。一実施形態では、癌はRCCである。別の実施形態では、癌はHCCである。さらに別の実施形態では、癌は黒色腫である。さらに別の実施形態では、癌は黒色腫であり、患者は黒色腫脳転移を有する。さらに別の実施形態では、癌は難治性黒色腫である。一実施形態では、癌はPD-1難治性黒色腫である。一実施形態では、癌は進行黒色腫である。別の実施形態では、癌は転移性黒色腫である。さらに別の実施形態では、癌は再発黒色腫である。さらになお別の実施形態では、癌は、再発および難治性黒色腫である。様々な実施形態では、癌は、局所的に進行しているかまたは切除可能である。様々な実施形態では、癌は、アジュバントによって治療されている。様々な実施形態では、癌は、ネオアジュバントによって治療されている。
【0023】
一実施形態では、癌は進行腎細胞癌(RCC)である。別の実施形態では、癌は転移性RCCである。さらに別の実施形態では、癌は再発RCCである。なお別の実施形態では、癌は難治性RCCである。さらになお別の実施形態では、癌は、再発および難治性RCCである。
【0024】
別の態様では、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表される4-[3-クロロ-4-(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ]-7-メトキシ-6-キノリンカルボキサミド(レンバチニブ)
【化7】
またはその薬学的に許容される塩、を含むキットが本明細書に提供される。
【0025】
ある特定の実施形態では、キットは、PD-1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、および、式(I)によって表される4-[3-クロロ-4-(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ]-7-メトキシ-6-キノリンカルボキサミド(レンバチニブ)
【化8】
またはその薬学的に許容される塩、をヒト患者に投与するための指示書をさらに含む。
【0026】
なお別の態様では、ヒト患者の癌を治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、ここで、治療用組合せは、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表される4-[3-クロロ-4-(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ]-7-メトキシ-6-キノリンカルボキサミド(レンバチニブ)
【化9】
またはその薬学的に許容される塩、を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、癌は、膀胱癌、乳癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸直腸癌(CRC)、腎細胞癌(RCC)、肝細胞癌(HCC)および黒色腫からなる群から選択される。
【0028】
ある特定の実施形態では、癌は転移性である。いくつかの実施形態では、癌は再発している。他の実施形態では、癌は難治性である。さらに他の実施形態では、癌は、再発しており、難治性である。
【0029】
一実施形態では、癌は膀胱癌である。別の実施形態では、癌は乳癌である。さらに別の実施形態では、癌はNSCLCである。なお別の実施形態では、癌はCRCである。一実施形態では、癌はRCCである。別の実施形態では、癌はHCCである。さらに別の実施形態では、癌は黒色腫である。さらに別の実施形態では、癌は黒色腫であり、患者は黒色腫脳転移を有する。さらに別の実施形態では、癌は難治性黒色腫である。
【0030】
一実施形態では、癌は進行RCCである。別の実施形態では、癌は転移性RCCである。さらに別の実施形態では、癌は再発RCCである。なお別の実施形態では、癌は難治性RCCである。さらになお別の実施形態では、癌は、再発および難治性RCCである。
【0031】
様々な実施形態では、対象または患者は、癌を有し、少なくとも1つの乳癌遺伝子(例えばBRCA)を発現する。様々な実施形態では、対象から得られた癌または試料は、少なくとも1つの乳癌遺伝子(BRCA)のあるレベルを有するかまたは発現することが見出される。様々な実施形態では、少なくとも1つのBRCA遺伝子は、BRCA1またはBRCA2である。一実施形態では、癌はBRCA陰性である。例えば、癌(例えば、乳癌および卵巣癌)は、BRCA陰性癌である。一実施形態では、癌はBRCA陽性である。
【0032】
本明細書に提供される使用のための様々な方法、医薬組成物、キット、使用または組合せのある特定の実施形態では、対象はヒト患者である。
【0033】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される使用のための方法、医薬組成物、キット、使用または組合せは、癌を治療するためのものである。
【0034】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用のある特定の実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0035】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用の他の実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0036】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用のいくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はヒト化抗体である。
【0037】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用の他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はヒト抗体である。
【0038】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用のいくつかの実施形態では、抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体はヒト化抗体である。
【0039】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用の他の実施形態では、抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体はヒト抗体である。
【0040】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用のある特定の実施形態では、CTLA4アンタゴニストは、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0041】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用のいくつかの実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体はヒト化抗体である。
【0042】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用の他の実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体はヒト抗体である。
【0043】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キット、使用のなお他の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、カンレリズマブおよびトリパリマブから独立して選択される。
【0044】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用の一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はペンブロリズマブである。
【0045】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用の別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はニボルマブである。
【0046】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用の別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はセミプリマブである。
【0047】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用のさらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はピディリズマブ(米国特許第7,332,582号)である。
【0048】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用のさらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はAMP-514(MedImmune LLC,Gaithersburg,MD)である。
【0049】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用のさらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はPDR001(米国特許第9,683,048号)である。
【0050】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用のさらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はBGB-A317(米国特許第8,735,553号)である。
【0051】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用のさらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はMGA012(MacroGenics,Rockville,MD)である。
【0052】
本明細書に提供される様々な方法、キットまたは使用のある特定の実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体は、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3、ならびに、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3を含む。
【0053】
本明細書に提供される様々な方法、キットまたは使用のいくつかの実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体は、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むV領域、および、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むV領域を含む。
【0054】
本明細書に提供される様々な方法、キットまたは使用の他の実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体は、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖、および、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖を含む。
【0055】
本明細書に提供される様々な方法、キットまたは使用のさらになお別の実施形態では、レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩は、レンバチニブメシル酸塩である。経口投与用のカプセルは、それぞれ4.90mgまたは12.25mgのレンバチニブメシル酸塩に相当する4mgまたは10mgのレンバチニブを含有する。別の実施形態では、レンバチニブの薬学的に許容される塩、例えばレンバチニブメシル酸塩が投与され、使用されるレンバチニブの用量が4mgである場合、医療従事者であれば、4.90mgのレンバチニブメシル酸塩を投与することを知っているであろう。別の実施形態では、レンバチニブの薬学的に許容される塩、例えばレンバチニブメシル酸塩が投与され、使用されるレンバチニブの用量が10mgである場合、医療従事者であれば、12.25mgのレンバチニブメシル酸塩を投与することを知っているであろう。
【0056】
本明細書に提供される様々な方法、キットまたは使用の具体的な一実施形態では、PD-1アンタゴニストはペンブロリズマブであり、そして、CTLA4アンタゴニストは、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3、ならびに、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3を含むモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0057】
本明細書に提供される様々な方法、キットまたは使用の具体的な一実施形態では、PD-1アンタゴニストはニボルマブであり、そして、CTLA4アンタゴニストは、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3、ならびに、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3を含むモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0058】
本明細書に提供される様々な方法、キットまたは使用の具体的な一実施形態では、PD-1アンタゴニストはセミプリマブであり、そして、CTLA4アンタゴニストは、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3、ならびに、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3を含むモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0059】
本明細書に提供される様々な方法、キットまたは使用の具体的な一実施形態では、CTLA4アンタゴニストは、6つの相補性決定領域(CDR)を含み、ここで、6つのCDRは、(a)配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖(LC)可変ドメインのCDR1、CDR2およびCDR3、ならびに、(b)配列番号15に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖(LC)可変ドメインのCDR1、CDR2およびCDR3を含む。
【0060】
別の態様では、T細胞活性を増強する方法であって、T細胞と、
(a)抗ヒトPD-1抗体(例えばモノクローナル抗体)またはその抗原結合断片、
(b)抗ヒトCTLA4抗体(例えばモノクローナル抗体)またはその抗原結合断片、および
(a)式(I)によって表される4-[3-クロロ-4-(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ]-7-メトキシ-6-キノリンカルボキサミド(レンバチニブ)、
【化10】
またはその薬学的に許容される塩、を接触させることを含む方法が、本明細書に提供される。
【0061】
いくつかの実施形態では、T細胞活性の増強は、インビトロで起こる。他の実施形態では、T細胞活性の増強は、インビボで起こる。例えば、増強は、限定するものではないが、ヒト対象またはヒト患者を含む対象に対するものである。
【0062】
ある特定の実施形態では、T細胞活性の増強は、サイトカイン産生の増加によって測定される。他の実施形態では、T細胞活性の増強は、細胞増殖の増加によって測定される。
【0063】
いくつかの実施形態では、T細胞のサイトカイン産生を増加させる方法であって、T細胞と、
(a)抗ヒトPD-1抗体(例えばモノクローナル抗体)またはその抗原結合断片、
(b)抗ヒトCTLA4抗体(例えばモノクローナル抗体)またはその抗原結合断片、および
(a)式(I)によって表される4-[3-クロロ-4-(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ]-7-メトキシ-6-キノリンカルボキサミド(レンバチニブ)、
【化11】
またはその薬学的に許容される塩、を接触させることを含む方法が、本明細書に提供される。
【0064】
いくつかの実施形態では、T細胞のサイトカイン産生の増加は、インビトロで起こる。他の実施形態では、T細胞のサイトカイン産生の増加は、インビボで起こる。
【0065】
本明細書に記載される様々な方法のいくつかの実施形態では、ヒト患者に、200mg、240mg、または2mg/kgのペンブロリズマブが投与され、ペンブロリズマブは、3週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者に、200mgのペンブロリズマブが3週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者に、240mgのペンブロリズマブが3週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者に、2mg/kgのペンブロリズマブが3週間に1回投与される。
【0066】
本明細書に記載される様々な方法のある特定の実施形態では、ヒト患者に、400mgのペンブロリズマブが投与され、ペンブロリズマブは、6週間に1回投与される。
【0067】
本明細書に記載される様々な方法の他の実施形態では、ヒト患者に、240mg、もしくは3mg/kgのニボルマブが2週間に1回、または480mgのニボルマブが4週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、240mgのニボルマブが2週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、3mg/kgのニボルマブが2週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、480mgのニボルマブが4週間に1回投与される。
【0068】
本明細書に記載される様々な方法のさらに他の実施形態では、ヒト患者に、350mgのセミプリマブが投与され、セミプリマブは、3週間に1回投与される。
【0069】
本明細書に記載される様々な方法のなお他の実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3、ならびに、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3を含み、ヒト患者に、約1mg~約100mgの抗ヒトCTLA4抗体が3週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヒト患者に、1、10、25、50、75または100mgの抗ヒトCTLA4抗体が3週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、1mgの抗ヒトCTLA4抗体が3週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、10mgの抗ヒトCTLA4抗体が3週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、25mgの抗ヒトCTLA4抗体が3週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、50mgの抗ヒトCTLA4抗体が3週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、75mgの抗ヒトCTLA4抗体が3週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、100mgの抗ヒトCTLA4抗体が3週間に1回投与される。
【0070】
本明細書に記載される様々な方法のなお他の実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3、ならびに、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3を含み、ヒト患者に、約1mg~約100mgの抗ヒトCTLA4抗体が6週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、ヒト患者に、1、10、25、50、75または100mgの抗ヒトCTLA4抗体が6週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、1mgの抗ヒトCTLA4抗体が6週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、10mgの抗ヒトCTLA4抗体が6週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、25mgの抗ヒトCTLA4抗体が6週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、50mgの抗ヒトCTLA4抗体が6週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、75mgの抗ヒトCTLA4抗体が6週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、100mgの抗ヒトCTLA4抗体が6週間に1回投与される。
【0071】
本明細書に記載される様々な方法のさらになお他の実施形態では、ヒト患者に、8、10、12、14、18、20または24mgのレンバチニブが1日1回投与される。
【0072】
したがって、いくつかの実施形態では、ヒト患者に、
(a)3週間または6週間に1回、200mg、240mg、または2mg/kgのペンブロリズマブ、
(b)6週間に1回、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、1、10、25、50、75または100mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)1日1回、8、10、12、14、18、20または24mgのレンバチニブ、が投与される。
【0073】
ある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)6週間に1回、200mg、240mg、または2mg/kgのペンブロリズマブ、
(b)6週間に1回、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、1、10、25、50、75または100mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)1日1回、8、10、12、14、18、20または24mgのレンバチニブ、が投与される。
【0074】
ある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)6週間に1回、200mgのペンブロリズマブ、
(b)6週間に1回、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、25mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)1日1回、20mgのレンバチニブ、が投与される。
【0075】
ある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)6週間に1回、240mgのペンブロリズマブ、
(b)6週間に1回、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、25mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)1日1回、20mgのレンバチニブ、が投与される。
【0076】
ある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)6週間に1回、2mg/kgのペンブロリズマブ、
(b)6週間に1回、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、25mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)1日1回、20mgのレンバチニブ、が投与される。
【0077】
ある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)6週間に1回、400mgのペンブロリズマブ、
(b)6週間に1回、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、25mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)1日1回、20mgのレンバチニブ、が投与される。
【0078】
具体的な実施形態では、RCCを治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)6週間に1回、400mgのペンブロリズマブ、
(b)6週間に1回、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、25mgの抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)1日1回、20mgのレンバチニブ、を投与することを含む方法が本明細書に提供される。
【0079】
具体的な実施形態では、黒色腫を治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)6週間に1回、400mgのペンブロリズマブ、
(b)6週間に1回、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、25mgの抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)1日1回、20mgのレンバチニブ、を投与することを含む方法が本明細書に提供される。
【0080】
そのような方法のある特定の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体と抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体とは同じ日に投与される。いくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体と抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体とは連続的に投与される。他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体と抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体とは同時に投与される。
【0081】
本明細書に記載される様々な方法、キット、または、使用のいくつかの実施形態では、レンバチニブの薬学的に許容される塩(レンバチニブメシル酸塩)が使用され得る。レンバチニブメシル酸塩が使用される場合、レンバチニブメシル酸塩の投与量は、8、10、12、14、18、20または24mgのレンバチニブを提供するのと同じモル当量のレンバチニブを提供するように適切に調整される。
【発明を実施するための形態】
【0082】
1.定義
特定の技術用語および科学用語を以下に具体的に定義する。本明細書の他の箇所で具体的に定義されていない限り、本明細書で使用される他のすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0083】
「約」は、数値的に定義されたパラメータ(例えば、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片、抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片、もしくはレンバチニブの用量、または本明細書に記載される併用療法による治療時間の長さ)を修飾するために使用される場合、パラメータが、そのパラメータについて記載された数値または範囲の20%以内、15%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内またはそれ以下であることを意味し、適切な場合、記載されたパラメータは、最も近い整数に丸められてもよい。例えば、約5mg/kgの用量は、4.5mg/kg~5.5mg/kgの間で変動し得る。
【0084】
添付の特許請求の範囲を含む本明細書で使用される場合、単語の単数形、例えば、「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、それらの対応する複数の言及を含む。
【0085】
用語「投与」または「投与する」は、例えば、経口送達、粘膜送達、皮内送達、静脈内送達、皮下送達、筋肉内送達、および/または本明細書に記載されているかもしくは当技術分野で公知の任意の他の物理的送達方法によって、体外に存在する物質(例えば、本明細書に記載の抗PD-1抗体、抗CTLA4抗体およびレンバチニブ)を患者に注射または他の方法で物理的に送達する行為を指す。
【0086】
「抗PD-1抗体」は、ヒトPD-1に特異的に結合するモノクローナル抗体を意味する。PD-1は、免疫調節においておよび末梢性寛容の維持で、重要な分子として認識されている。PD-1は、ナイーブT細胞、B細胞およびNKT細胞上で中程度に発現され、そして、リンパ球、単球および骨髄細胞上のT/B細胞受容体シグナル伝達によってアップレギュレートされる(Sharpe,A.H,Wherry,E.J.,Ahmed R.,and Freeman G.J.The function of programmed cell death 1 and its ligands in regulating autoimmunity and infection.Nature Immunology(2007);8:239-245)。PD-1の2つの公知のリガンド、PD-L1(B7-H1)およびPD-L2(B7-DC)は、様々な組織に生じるヒト癌内で発現される。例えば、卵巣癌、腎癌、結腸直腸癌、膵癌、肝癌および黒色腫の大きな試料セットでは、PD-L1発現が予後不良と相関し、その後の治療に関係なく総生存期間を短縮することが示された(Dong H et al.Nat Med.2002 Aug;8(8):793-800;Yang et al.Invest Ophthalmol Vis Sci.2008 Jun;49(6(2008):49:2518-2525;Ghebeh et al.Neoplasia(2006)8:190-198;Hamanishi J et al.Proceeding of the National Academy of Sciences(2007):104:3360-3365;Thompson RH et al.Clinical genitourin Cancer(2006):5:206-211;Nomi,T.Sho,M.,Akahori,T.,et al.Clinical Cancer Research(2007);13:2151-2157;Ohigashi Y et al.Clin.Cancer Research(2005):11:2947-2953;Inman et al.Cancer(2007):109:1499-1505;Shimauchi T et al.Int.J.Cancer(2007):121:2585-2590;Gao et al.Clinical Cancer Research(2009)15:971-979;Nakanishi J..Cancer Immunol Immunother.(2007)56:1173-1182;Hino et al..Cancer(2010):00:1-9)。同様に、腫瘍浸潤リンパ球上のPD-1発現は、乳癌および黒色腫では機能不全T細胞を示し(Ghebeh H.,BMC Cancer.2008 Feb 23;8:57;およびAhmadzadeh M et al.Blood(2009)114:1537-1544)、腎癌では予後不良と相関することが見出された(Thompson RH et al,Clinical Cancer Research(2007)15:1757-1761)。したがって、PD-L1発現腫瘍細胞は、PD-1発現T細胞と相互作用して、T細胞の活性化と免疫監視の回避とを減弱させ、それによって、腫瘍に対する免疫応答の障害に寄与することが提案されている。
【0087】
PD-1とそのリガンドPD-L1およびPD-L2の一方または両方との間の相互作用を阻害するいくつかのモノクローナル抗体が、癌を治療するために承認されている。ペンブロリズマブは、プログラム細胞死1(PD1)受容体への結合の高い特異性を有する強力なヒト化免疫グロブリンG4(IgG4)mAbであり、したがって、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)およびプログラム細胞死リガンド2(PD-L2)とのその相互作用を阻害する。前臨床インビトロデータに基づくと、ペンブロリズマブは、PD-1に対して高い親和性と、強力な受容体遮断活性とを有する。Keytruda(登録商標)(ペンブロリズマブ)は、多数の適応症にわたって患者の治療に適応されている。「PD-1アンタゴニスト」は、免疫細胞(T細胞、B細胞またはNKT細胞)上に発現されたPD-1への癌細胞上に発現されたPD-L1の結合を遮断し、好ましくは、免疫細胞によって発現されたPD-1への癌細胞上に発現されたPD-L2の結合も遮断する任意の化学化合物または生物学的分子を意味する。PD-1およびそのリガンドの代替名または同義語には、PD-1については、PDCD1、PD1、CD279およびSLEB2;PD-L1については、PDCD1L1、PDL1、B7H1、B7-4、CD274およびB7-H;ならびに、PD-L2については、PDCD1L2、PDL2、B7-DC、BtdcおよびCD273が含まれる。ヒト個体が治療されている治療方法、医薬品および開示される使用のいずれかでは、PD-1アンタゴニストは、ヒトPD-1へのヒトPD-L1の結合を遮断し、そして、好ましくは、ヒトPD-1へのヒトPD-L1およびヒトPD-L2の両方の結合を遮断する。ヒトPD-1アミノ酸配列は、NCBI Locus No.:NP_005009に見出すことができる。ヒトPD-L1アミノ酸配列およびヒトPD-L2アミノ酸配列は、それぞれNCBI Locus No.:NP_054862およびNP_079515に見出すことができる。PD-1アンタゴニストは、抗PD-L1モノクローナル抗体アテゾリズマブではない。
【0088】
「CTLA4アンタゴニスト」は、ヒトCTLA4に特異的に結合し、CTLA4とそのリガンドであるCD80(B7.1)およびCD86(B7.2)との相互作用を遮断する任意の化学化合物または生物学的分子を意味する。「抗CTLA4抗体」は、ヒトCTLA4に特異的に結合するモノクローナル抗体を意味する。抗CTLA4抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であり得、ヒト定常領域を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1定常領域、IgG2定常領域、IgG3定常領域およびIgG4定常領域からなる群から選択され、好ましい実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1定常領域またはIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’-SH、F(ab’)2、scFvおよびFv断片からなる群から選択される。
【0089】
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、所望の生物学的活性または結合活性を示す免疫グロブリン分子の任意の形態を指す。したがって、用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、限定するものではないが、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、ヒト化、完全ヒト抗体およびキメラ抗体を具体的に包含する。「親抗体」は、意図する用途のための抗体の改変、例えば、ヒト治療薬として使用するための抗体のヒト化の前に、免疫系を抗原に曝露することによって得られる抗体である。本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、インタクトなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけでなく、特に明記しない限り、特異的結合についてインタクトな抗体と競合するその任意の抗原結合部分、抗原結合部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構成も包含する。
【0090】
一般に、基本的な抗体構造単位は、四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対を含み、各対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)と、1つの「重」鎖(約50~70kDa)とを有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主に担う約100~110個以上のアミノ酸の可変領域を含む。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。したがって、一般に、インタクトな抗体は2つの結合部位を有する。重鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担う定常領域を規定し得る。典型的には、ヒト軽鎖は、カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖として分類される。さらに、ヒト重鎖は、典型的には、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファまたはイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEと規定する。軽鎖および重鎖内で、可変領域および定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって連結されており、重鎖はまた、約10個以上のアミノ酸の「D」領域を含む。一般に、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989)を参照されたい。
【0091】
本明細書で使用される「可変領域」または「V領域」または「V鎖」は、異なる抗体間で配列が可変のIgG鎖のセグメントを意味する。抗体の「可変領域」は、単独でまたは組み合わせて、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。重鎖の可変領域は、「V」と呼ばれ得る。軽鎖の可変領域は、「V」と呼ばれ得る。
【0092】
典型的には、重鎖および軽鎖の両方の可変領域は、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)内に位置する、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる3つの超可変領域を含む。CDRは、通常、フレームワーク領域によって整列され、特定のエピトープへの結合を可能にする。一般に、N末端からC末端に向かって、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインの両方が、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、一般に、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Kabat,et al.;National Institutes of Health,Bethesda,Md.;5th ed.;NIH Publ.No.91-3242(1991);Kabat(1978)Adv.Prot.Chem.32:1-75;Kabat,et al.,(1977)J.Biol.Chem.252:6609-6616;Chothia,et al.,(1987)J Mol.Biol.196:901-917またはChothia,et al.,(1989)Nature 342:878-883の定義に従う。
【0093】
「CDR」は、抗体V βシートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(H1、H2またはH3)のうちの1つ、または抗体V βシートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(L1、L2またはL3)のうちの1つを指す。したがって、CDRは、フレームワーク領域配列内に散在する可変領域配列である。CDR領域は、当業者に周知であり、抗体可変ドメイン内の最も超可変性の領域として、例えばKabatによって定義されている。CDR領域配列はまた、保存されたbシートフレームワークの一部ではなく、したがって異なる立体配座に適合することができる残基として、Chothiaによって構造的に定義されている。両用語は、当技術分野ではよく認識されている。CDR領域配列はまた、AbM、ContactおよびIMGTによって定義されている。カノニカル抗体可変領域内のCDRの位置は、多数の構造の比較によって決定されている(Al-Lazikani et al.,1997,J.Mol.Biol.273:927-48;Morea et al.,2000,Methods 20:267-79)。超可変領域内の残基の数は様々な抗体で異なるため、カノニカル位置に対する追加の残基は、従来、カノニカル可変領域ナンバリングスキームにおける残基番号の隣にa、b、cなどによってナンバリングされている(Al-Lazikani et al.、上記)。そのような命名法も同様に当業者に周知である。例えば、KabatナンバリングおよびIMGT固有のナンバリングシステムを含むナンバリングシステム間の対応は当業者に周知であり、以下の表1に示される。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabatナンバリングシステムによって定義される。他の実施形態では、CDRは、IMGTナンバリングシステムによって定義される。さらに他の実施形態では、CDRは、AbMナンバリングシステムによって定義される。なお他の実施形態では、CDRは、Chothiaナンバリングシステムによって定義される。さらに他の実施形態では、CDRは、Contactナンバリングシステムによって定義される。
【0094】
【表1】
【0095】
「キメラ抗体」は、所望の生物学的活性を示す限り、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の種(例えばヒト)に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する配列を含み、一方、鎖(類)の残りは、別の種(例えばマウス)に由来するか、あるいは、別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびにそのような抗体の断片を指す。
【0096】
「ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列またはその誘導体を含む抗体を指す。ヒト抗体は、マウス内で、マウス細胞内で、またはマウス細胞に由来するハイブリドーマ内で産生される場合、マウス炭水化物鎖を含み得る。同様に、「マウス抗体」または「ラット抗体」は、それぞれマウスもしくはラットの免疫グロブリン配列またはその誘導体のみを含む抗体を指す。
【0097】
「ヒト化抗体」は、非ヒト(例えばマウス)抗体およびヒト抗体由来の配列を含む抗体の形態を指す。そのような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含む。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含み、超可変ループの全部または実質的に全部が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全部または実質的に全部がヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含んでいてもよい。ヒト化抗体を親齧歯類抗体と区別するために必要な場合、接頭辞「hum」、「hu」または「h」を抗体クローンの名称に付加してもよい。齧歯類抗体のヒト化形態は、一般に、親齧歯類抗体の同じCDR配列を含むが、親和性を高めるため、ヒト化抗体の安定性を高めるため、または他の理由のために、ある特定のアミノ酸置換が含まれてもよい。
【0098】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」または「mAb」または「Mab」は、実質的に均一な抗体の集団を指し、すなわち、その集団を含む抗体分子は、少量存在し得る天然に存在する可能性のある変異を除いてアミノ酸配列が同一である。対照的に、従来の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的には、それらの可変ドメイン、特にそれらのCDR中に異なるアミノ酸配列を有する多数の異なる抗体を含み、これらは、様々なエピトープに特異的であることが多い。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られる抗体の特徴を示し、何らかの特定の方法による抗体の生成を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.(1975)Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法(例えば米国特許第4,816,567号)によって作製され得る。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al.(1991)Nature 352:624-628およびMarks et al.(1991)J.Mol.Biol.222:581-597に記載されている技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離され得る。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731も参照されたい。
【0099】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「抗体断片」または「抗原結合断片」は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の断片、例えば、1つ以上のCDR領域を保持する断片を指す。PD-1またはCTLA4「に特異的に結合する」抗体は、他のタンパク質と比較して(必要に応じて)PD-1またはCTLA4への優先的な結合を示す抗体であるが、この特異性は絶対的な結合特異性を必要としない。抗体は、例えば、偽陽性などの望ましくない結果を生じることなくその結合が試料中の標的タンパク質の存在を決定するものである場合、その意図された標的に「特異的」であると考えられる。抗体またはその結合断片は、非標的タンパク質との親和性の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも10倍、さらに好ましくは少なくとも20倍、最も好ましくは少なくとも100倍の親和性で標的タンパク質に結合する。
【0100】
抗原結合部分には、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、CDRを含む断片、および一本鎖可変断片抗体(scFv)、ならびに抗原(例えば、PD-1またはCTLA4)に対する特異的抗原結合を付与するのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部を含むポリペプチドが含まれる。抗体には、IgG、IgAまたはIgM(またはそのサブクラス)のような任意のクラスの抗体が含まれ、抗体は、特定のクラスである必要はない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを、様々なクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには5つの主要なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分けられ得る。様々なクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。様々なクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元構成は周知である。
【0101】
本明細書で使用される場合、用語「少なくとも1つの」項目または「1つ以上の」項目は、それぞれ一覧から選択された単一の項目、および一覧から選択された2つ以上の項目の混合を含む。
【0102】
本明細書で使用される場合、用語「免疫応答」は、特異的免疫応答、非特異的免疫応答、特異的応答および非特異的応答の両方、自然応答、一次免疫応答、適応免疫、二次免疫応答、記憶免疫応答、免疫細胞活性化、免疫細胞増殖、免疫細胞分化ならびにサイトカイン発現のうちのいずれか1つ以上に関する。
【0103】
本明細書で使用される用語「対象」(あるいは「患者」)は、治療、観察または実験の対象であった哺乳動物を指す。哺乳動物は、雄または雌であり得る。哺乳動物は、ヒト、ウシ(例えば雌牛)、ブタ(porcine)(例えばブタ(pig))、ヒツジ(ovine)(例えばヒツジ(sheep))、ヤギ(capra)(例えばヤギ(goat))、ウマ(equine)(例えばウマ(horse))、イヌ(例えば飼犬)、ネコ(例えば家猫)、ウサギ(lagomorph)(例えばウサギ(rabbit))、齧歯類(例えば、ラットまたはマウス)、アライグマ(Procyon lotor)(例えばアライグマ(raccoon))からなる群から選択される1つ以上であり得る。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0104】
本明細書で使用される用語「それを必要とする対象」は、本明細書で定義される癌もしくは感染性疾患と診断されたかまたはそれを有すると疑われる対象を指す。
【0105】
本開示によって提供される治療剤および組成物は、任意の好適な経腸投与経路または非経口投与経路を介して投与され得る。用語「経腸」投与「経路」は、消化管の任意の部分を介した投与を指す。経腸経路の例には、経口経路、粘膜経路、頬側経路および直腸経路、または胃内経路を含む。「非経口」投与「経路」は、経腸経路以外の投与経路を指す。非経口投与経路の例には、静脈内投与、筋肉内投与、皮内投与、腹腔内投与、腫瘍内投与、膀胱内投与、動脈内投与、髄腔内投与、嚢内投与、眼窩内投与、心臓内投与、経気管投与、関節内投与、嚢下投与、くも膜下投与、脊髄内投与、硬膜外投与および胸骨内投与、皮下投与または局所投与を含む。本開示の治療剤および組成物は、任意の好適な方法を使用して、例えば、経口摂取、経鼻胃管、胃瘻管、注射、注入、埋め込み型注入ポンプおよび浸透圧ポンプによって投与され得る。好適な投与経路および投与方法は、いくつかの因子、例えば、使用されている具体的な治療剤、所望の吸収速度、使用されている具体的な製剤または剤形、治療されている障害のタイプまたは重症度、具体的な作用部位、および患者の症状に応じて異なり得、当業者によって容易に選択され得る。
【0106】
抗体(例えば、抗PD-1抗体または抗CTLA4抗体)、または抗体内のアミノ酸領域に関して使用される場合、用語「変異体」は、天然のまたは未改変の配列と比較して、1つ以上(例えば、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、または約1~約5など)のアミノ酸配列の置換、欠失および/または付加を含むペプチドまたはポリペプチドを指し得る。例えば、抗PD-1抗体の変異体は、天然のまたは以前に改変されていない抗PD-1抗体のアミノ酸配列に対する1つ以上(例えば、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、または約1~約5など)の変化から生じ得る。変異体は、天然に存在してもよいか、または人工的に構築されてもよい。ポリペプチド変異体は、該変異体をコードする対応する核酸分子から調製され得る。具体的な実施形態では、抗体変異体(例えば、抗PD-1抗体変異体または抗CTLA4抗体変異体)は、抗体機能活性を少なくとも保持する。具体的な実施形態では、抗PD-1抗体変異体は、PD-1に結合し、および/またはPD-1活性に拮抗する。いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体変異体は、CTLA4に結合し、および/またはCTLA4活性に拮抗する。
【0107】
「保存的に改変された変異体」または「保存的置換」は、タンパク質の生物学的活性または他の所望の特性、例えば、抗原親和性および/または特異性を変化させることなく変化を頻繁に加えることができるような、類似の特徴(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、主鎖立体配座および剛性など)を有する他のアミノ酸によるタンパク質内のアミノ酸の置換を指す。当業者であれば、一般に、ポリペプチドの非必須領域内の単一アミノ酸置換が生物学的活性を実質的に変化させないことを認識している(例えば、Watson et al.(1987)Molecular Biology of the Gene,The Benjamin/Cummings Pub.Co.,p.224(4th Ed.)を参照)。さらに、構造的または機能的に類似したアミノ酸の置換は、生物学的活性を破壊する可能性が低い。例示的な保存的置換を以下の表2に示す。
【0108】
【表2】
【0109】
「相同性」は、2つのポリペプチド配列が最適にアライメントされた際のそれらの間の配列類似性を指す。2つの比較される配列の両方における位置が同じアミノ酸モノマーサブユニットによって占められる場合、例えば、2つの異なるAbの軽鎖CDR内の位置がアラニンによって占められる場合、2つのAbはその位置で相同である。相同性のパーセントは、比較した位置の総数×100で割った、2つの配列が共有する相同位置の数である。例えば、配列が最適にアライメントされた際に、2つの配列内の位置10個のうちの8個が一致する場合、2つの配列は80%相同である。一般に、比較は、2つの配列が最大パーセントの相同性をもたらすようにアライメントされた際に行われる。例えば、比較はBLASTアルゴリズムによって実施することができ、アルゴリズムのパラメータは、それぞれの参照配列の全長にわたってそれぞれの配列間の最大一致を与えるように選択される。
【0110】
以下の参考文献は、配列分析に使用されることが多いBLASTアルゴリズムに関する:BLAST ALGORITHMS:Altschul,S.F.,et al.,(1990)J.Mol.Biol.215:403-410;Gish,W.,et al.,(1993)Nature Genet.3:266-272;Madden,T.L.,et al.,(1996)Meth.Enzymol.266:131-141;Altschul,S.F.,et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25:3389-3402;Zhang,J.,et al.,(1997)Genome Res.7:649-656;Wootton,J.C.,et al.,(1993)Comput.Chem.17:149-163;Hancock,J.M.et al.,(1994)Comput.Appl.Biosci.10:67-70;ALIGNMENT SCORING SYSTEMS:Dayhoff,M.O.,et al.,“A model of evolutionary change in proteins.”in Atlas of Protein Sequence and Structure,(1978)vol.5,suppl.3.M.O.Dayhoff(ed.),pp.345-352,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Schwartz,R.M.,et al.,“Matrices for detecting distant relationships.”in Atlas of Protein Sequence and Structure,(1978)vol.5,suppl.3.”M.O.Dayhoff(ed.),pp.353-358,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Altschul,S.F.,(1991)J.Mol.Biol.219:555-565;States,D.J.,et al.,(1991)Methods 3:66-70;Henikoff,S.,et al.,(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915-10919;Altschul,S.F.,et al.,(1993)J.Mol.Evol.36:290-300;ALIGNMENT STATISTICS:Karlin,S.,et al.,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-2268;Karlin,S.,et al.,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5877;Dembo,A.,et al.,(1994)Ann.Prob.22:2022-2039;およびAltschul,S.F.“Evaluating the statistical significance of multiple distinct local alignments.”in Theoretical and Computational Methods in Genome Research(S.Suhai,ed.),(1997)pp.1-14,Plenum,New York.
【0111】
本明細書で使用される「RECIST 1.1応答基準」は、必要に応じて、応答が測定されている状況に基づいて、標的病変または非標的病変について、Eisenhauer,E.A.et al.,Eur.J.Cancer 45:228-247(2009)に記載されている定義を意味する。
【0112】
「持続応答」は、本明細書に記載の治療を停止した後の持続した治療効果を意味する。いくつかの実施形態では、持続応答は、治療期間と少なくとも同じであるか、または治療期間の少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍もしくは3倍の期間を有する。
【0113】
本明細書で使用される癌を「治療する」または「治療すること」は、経口送達、粘膜送達、皮内送達、静脈内送達、皮下送達、筋肉内送達、および/または本明細書に記載されたもしくは当技術分野で公知の任意の他の物理的送達方法による投与を含め、癌を有するかまたは癌と診断された対象に、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片およびレンバチニブまたはその薬学的に許容される塩の治療用組合せを投与して、少なくとも1つの肯定的な治療効果、例えば、癌細胞数の減少、腫瘍サイズの減少、末梢器官への癌細胞浸潤の速度の低下、または腫瘍転移もしくは腫瘍増殖の速度の低下を達成することを意味する。「治療」は、抗腫瘍免疫応答を誘導すること/増加させること、1つ以上の腫瘍マーカーの数を減少させること、腫瘍もしくは血液癌の増殖、または癌などの疾患の進行を停止するかまたは遅延させること、疾患の安定化、腫瘍細胞の増殖または生存を阻害すること、1つ以上の癌性病変または腫瘍のサイズを消失または減少させること、1つ以上の腫瘍マーカーのレベルを低下させること、疾患の臨床所見を改善または抑止すること、臨床症状の重症度または持続期間を減少させること、類似の未治療患者に予測される生存期間と比較して生存期間または患者を延長すること、および癌性症状の完全寛解または部分寛解を誘導することのうちの1つ以上を含み得、ここで、疾患は癌であり、そしてここで、癌は、膀胱癌、乳癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸直腸癌(CRC)、腎細胞癌(RCC)、肝細胞癌(HCC)および黒色腫からなる群から選択される。任意の特定の疾患症状を緩和するのに有効な治療剤の量は、患者の病状、年齢および体重、ならびに対象に対して所望の応答を誘発する薬物の能力のような因子に応じて変動し得る。疾患症状が緩和されたかどうかは、その症状の重症度または進行症状を評価するために医師または他の熟練した医療提供者によって典型的に使用される任意の臨床測定によって評価することができる。
【0114】
癌に対する肯定的な治療効果は、いくつかの方法で測定することができる(W.A.Weber,J.Nucl.Med.50:1S-10S(2009)を参照)。例えば、腫瘍増殖阻害に関して、NCI基準によれば、T/C≦42%が抗腫瘍活性の最小レベルである。T/C<10%は、高い抗腫瘍活性レベルと考えられ、T/C(%)=治療された腫瘍体積の中央値/対照の腫瘍体積の中央値×100である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法によって達成される治療は、PR、CR、OR、PFS、DFSおよびOSのいずれかである。PFSは、「腫瘍無増悪期間」とも呼ばれ、治療中および治療後に癌が増殖しない時間の長さを示し、患者がCRまたはPRを経験した時間の量、および患者がSDを経験した時間の量を含む。DFSは、治療中および治療後に患者が疾患を有しないままである時間の長さを指す。OSは、未処置または未治療の個体または患者と比較した、平均余命の延長を指す。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法に対する応答は、RECIST 1.1応答基準を使用して評価されるPR、CR、PFS、DFSまたはORのいずれかである。癌患者を治療するのに効果的な、本開示の併用療法のための治療レジメンは、患者の病状、年齢および体重、ならびに対象に対して抗癌応答を誘発する療法の能力などの因子に応じて変動し得る。本開示の態様のいずれかの実施形態は、あらゆる対象に対して肯定的な治療効果を達成するのに効果的ではない可能性があるが、当技術分野で公知の任意の統計学的検定、例えば、スチューデントのt検定、カイ二乗検定、マン・ホイットニーによるU検定、クラスカル・ワリス検定(H検定)、ヨンクヒール・タープストラ検定およびウィルコクソン検定によって決定されるように、統計的に有意な数の対象に対してそうすべきである。
【0115】
用語「薬学的に許容される担体」は、治療剤を送達するための製剤に使用するのに適した任意の不活性物質を指す。担体は、付着防止剤、結合剤、コーティング、崩壊剤、充填剤または希釈剤、保存剤(抗酸化剤、抗細菌剤または抗真菌剤など)、甘味料、吸収遅延剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝液などであり得る。好適な薬学的に許容される担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、デキストロース、植物油(オリーブ油など)、生理食塩水、緩衝液、緩衝生理食塩水および等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、ソルビトールおよび塩化ナトリウムが挙げられる。
【0116】
本明細書で使用される場合、用語「組合せ」、「併用療法」および「治療用組合せ」は、少なくとも1つの抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、少なくとも1つの抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、およびレンバチニブまたはその薬学的に許容される塩、ならびに場合により追加の治療剤が、それぞれ重複期間にわたって協調的に患者に投与される治療を指す。少なくとも1つの抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(またはその抗原結合断片)による治療(「抗PD-1治療」)の期間は、患者が抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(またはその抗原結合断片)による治療を受ける期間、すなわち、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(またはその抗原結合断片)の初回投薬から治療サイクルの最終日までの期間である。同様に、少なくとも1つの抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体(またはその抗原結合断片)による治療(「抗CTLA4治療」)の期間は、患者が抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体(またはその抗原結合断片)による治療を受ける期間、すなわち、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体(またはその抗原結合断片)の初回投薬から治療サイクルの最終日までの期間である。レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩による治療(「レンバチニブ治療」)の期間は、患者がレンバチニブによる治療を受ける期間、すなわち、レンバチニブの初回投薬から治療サイクルの最終日までの期間である。本明細書に記載される方法および治療用組合せでは、抗PD-1治療は、抗CTLA4治療と少なくとも1日重複し、レンバチニブ治療と少なくとも1日重複する。ある特定の実施形態では、抗PD-1治療、抗CTLA4治療およびレンバチニブ治療は、同じ期間である。いくつかの実施形態では、抗PD-1治療は、抗CTLA4および/またはレンバチニブ治療の前に開始される。他の実施形態では、抗PD-1治療は、抗CTLA4および/またはレンバチニブ治療の後に開始される。さらに他の実施形態では、抗CTLA4治療は、抗PD-1および/またはレンバチニブ治療の前に開始される。なお他の実施形態では、抗CTLA4治療は、抗PD-1および/またはレンバチニブ治療の後に開始される。いくつかの実施形態では、レンバチニブ治療は、抗CTLA4および/または抗PD-1治療の前に開始される。他の実施形態では、レンバチニブ治療は、抗CTLA4および/または抗PD-1治療の後に開始される。ある特定の実施形態では、抗PD-1治療は、抗CTLA4および/またはレンバチニブ治療の終了前に終了する。他の実施形態では、抗PD-1治療は、抗CTLA4および/またはレンバチニブ治療の終了後に終了する。さらに他の実施形態では、抗CTLA4治療は、抗PD-1および/またはレンバチニブ治療の終了前に終了する。なお他の実施形態では、抗CTLA4治療は、抗PD-1および/またはレンバチニブ治療の終了後に終了する。ある特定の実施形態では、レンバチニブ治療は、抗CTLA4および/または抗PD-1治療の終了前に終了する。他の実施形態では、レンバチニブ治療は、抗CTLA4および/または抗PD-1治療の終了後に終了する。
【0117】
用語「治療レジメン」、「投薬プロトコル」および「投薬レジメン」は、本開示の併用療法における各治療剤の投与の用量およびタイミングを指すために区別なく使用される。
【0118】
用語「癌」、「癌性」または「悪性」は、調節されない細胞増殖を典型的には特徴とする、哺乳動物における生理学的症状を指すかまたは説明する。癌の例には、限定するものではないが、癌腫、リンパ腫、白血病、芽細胞腫および肉腫を含む。そのような癌のさらに具体的な例には、限定するものではないが、扁平上皮癌、骨髄腫、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、消化(管)癌、腎癌(renal cancer)、卵巣癌、肝癌、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、腎癌(kidney cancer)、前立腺癌、甲状腺癌、黒色腫、軟骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌、多形神経膠芽腫、子宮頸癌、脳癌、胃癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌および頭頸部癌を含む。
【0119】
「腫瘍」は、癌と診断された、または癌を有すると疑われる対象に適用される場合、任意のサイズの悪性または潜在的に悪性の新生物または組織塊を指し、原発性腫瘍および続発性新生物を含む。腫瘍の非限定的な例には、固形腫瘍(例えば、肉腫(軟骨肉腫など)、癌腫(結腸癌など)、芽細胞腫(肝芽細胞腫など)など)および血液腫瘍(例えば、白血病(急性骨髄性白血病(AML)など)、リンパ腫(DLBCLなど)、多発性骨髄腫(MM)など)を含む。
【0120】
「腫瘍量」とも呼ばれる「腫瘍負荷」は、全身に分布する腫瘍物質の総量を指す。腫瘍負荷は、リンパ節および骨髄を含む全身の癌細胞の総数または腫瘍(類)の総サイズを指す。腫瘍負荷は、当技術分野で公知の様々な方法によって、例えば、対象から除去した際の腫瘍(類)の寸法を、例えば、ノギスを使用して、または体内にある間に撮像技術、例えば、超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)もしくは磁気共鳴断層撮影(MRI)スキャンを使用して測定することなどによって決定することができる。
【0121】
用語「腫瘍体積」または「腫瘍サイズ」は、腫瘍の長さおよび幅として測定され得る腫瘍の総サイズを指す。腫瘍サイズは、当技術分野で公知の様々な方法によって、例えば、対象から除去した際の腫瘍(類)の寸法を、例えば、ノギスを使用して、または体内にある間に撮像技術、例えば、骨スキャン、超音波、CTもしくはMRIスキャンを使用して測定することなどによって決定され得る。
【0122】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、単独でまたは追加の治療剤と組み合わせて細胞、組織または対象に投与された際に、感染または疾患、例えば、癌、または癌の進行の1つ以上の症状の測定可能な改善を引き起こすのに有効な本発明の抗PD-1抗体または抗原結合断片、抗CTLA4抗体または抗原結合断片、およびレンバチニブの量を指す。有効用量とは、症状の少なくとも部分的な改善、例えば、腫瘍の縮小または消失、腫瘍増殖の欠如、生存期間の延長をもたらすのに十分な抗体または断片の量をさらに指す。有効用量は、単独で投与される個々の有効成分に適用される場合、その成分単独を指す。有効用量は、組合せに適用される場合、組み合わせて投与されるか、連続的に投与されるか、または同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす有効成分の組合せ量を指す。有効量の治療薬は、診断手段またはパラメータの少なくとも10%、通常少なくとも20%、好ましくは少なくとも約30%、さらに好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%の改善をもたらし得る。有効量はまた、主観的尺度が疾患重症度を評価するために使用される場合に、主観的尺度の改善をもたらすことができる。単独でまたは別の治療剤と組み合わせて投与される本発明の抗体または抗原結合断片の毒性および治療有効性は、任意の数の系または手段によって決定することができる。例えば、本発明の抗体または抗原結合断片の毒性および治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための細胞培養または実験動物に対する標準的な薬学的手順によって決定することができる。毒性作用と治療効果との間の用量比は、治療指数(LD50/ED50)である。これらの細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトに使用するための投与量の範囲を考案するのに使用することができる。そのような化合物の投与量は、好ましくは、毒性がほとんどまたは全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投与量は、使用される剤形と投与経路とに応じて、この範囲内で変動し得る。
【0123】
実施形態が「含む(comprising)」という文言とともに本明細書に記載されている場合は、常に「からなる(consisting of)」および/または「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で記載されている他の類似の実施形態も提供されることが理解される。
【0124】
本明細書および特許請求の範囲を通して使用される「から本質的になる(consists essentially of)」、および、変形例、例えば、「から本質的になる(consist essentially of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」は、指定された投与レジメン、方法または組成物の基本的または新規な特性を実質的に変化させない、任意の列挙された要素または要素群の包含、および列挙された要素と同様または異なる性質の他の要素の任意の包含を示す。
【0125】
そうではないと明示的に述べられていない限り、本明細書に引用されるすべての範囲は包括的であり、すなわち、範囲は、範囲の上限および下限の値、ならびにその間のすべての値を含む。一例として、本明細書に記載の温度範囲、割合、等価物の範囲などは、範囲の上限および下限、ならびにそれらの間の連続体における任意の値を含む。本明細書に提供される数値、および用語「約」の使用は、±1%、±2%、±3%、±4%、±5%、±10%、±15%および±20%の変動ならびにそれらの数値等価物を含み得る。すべての範囲はまた、含まれるすべての部分範囲を含むことが意図されているが、必ずしも明示的に記載されているわけではない。例えば、3~7日の範囲は、3、4、5、6および7日を含むことが意図される。さらに、本明細書で使用される用語「または」は、適切な場合には組み合わせることができる代替物を示す。すなわち、用語「または」は、別個に列挙された各代替物、およびそれらの組合せを含む。
【0126】
本開示の態様または実施形態がマーカッシュグループ、または代替物の他のグループ分けに関して記載される場合、本開示は、全体として列挙されたグループ全体だけでなく、グループの各メンバーを個別に、およびメイングループのすべての可能なサブグループを包含するだけでなく、グループメンバーのうちの1つ以上が存在しないメイングループも包含する。本開示はまた、特許請求の範囲におけるグループメンバーのいずれかのうちの1つ以上の明示的な除外を想定する。
【0127】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるあらゆる技術用語および科学用語は、本開示が関連する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先する。本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」のような変形例は、記載された整数または整数群を含むが、任意の他の整数または整数群を除外しないことを意味すると理解される。文脈上他に要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。用語「例えば(e.g.)」または「例えば(for example)」に続く任意の例(類)は、網羅的または限定的であることを意味しない。
【0128】
例示的な方法および材料が本明細書に記載されているが、本明細書に記載の方法および材料と類似または同等の方法および材料も、本開示の実施または試験に使用することができる。材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0129】
2.略語と正式名称
【表3】
【0130】
3.PD-1アンタゴニスト
PD-L1のPD-1への結合を遮断し、好ましくはPD-L2のPD-1への結合も遮断する任意の化学化合物または生物学的分子を含む、本明細書に開示される様々な方法、キットおよび使用に使用され得るPD-1アンタゴニストまたは抗ヒトPD-1モノクローナル抗体が本明細書に提供される。
【0131】
PD-1ポリペプチド、PD-1ポリペプチド断片、PD-1ペプチドまたはPD-1エピトープに結合し、PD-1とそのリガンドPD-L1またはPD-L2との間の相互作用を遮断する任意のモノクローナル抗体を使用することができる。いくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、PD-1ポリペプチド、PD-1ポリペプチド断片、PD-1ペプチドまたはPD-1エピトープに結合し、PD-1とPD-L1との間の相互作用を遮断する。他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、PD-1ポリペプチド、PD-1ポリペプチド断片、PD-1ペプチドまたはPD-1エピトープに結合し、PD-1とPD-L2との間の相互作用を遮断する。さらに他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、PD-1ポリペプチド、PD-1ポリペプチド断片、PD-1ペプチドまたはPD-1エピトープに結合し、PD-1とPD-L1との間の相互作用およびPD-1とPD-L2との間の相互作用を遮断する。
【0132】
PD-L1ポリペプチド、PD-L1ポリペプチド断片、PD-L1ペプチドまたはPD-L1エピトープに結合し、PD-L1とPD-1との間の相互作用を遮断する任意のモノクローナル抗体も使用することができる。
【0133】
ある特定の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、ピディリズマブ(米国特許第7,332,582号)、AMP-514(MedImmune LLC、Gaithersburg,MD)、PDR001(米国特許第9,683,048号)、BGB-A317(米国特許第8,735,553号)およびMGA012(MacroGenics、Rockville,MD)からなる群から選択される。一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はペンブロリズマブである。一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はペンブロリズマブである。別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はニボルマブである。別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はセミプリマブである。さらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はピディリズマブである。一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はAMP-514である。別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はPDR001である。さらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はBGB-A317である。なお別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はMGA012である。
【0134】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用のある特定の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号34、35および36に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(V)相補性決定領域1(CDR1)、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号39、40および41に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(V)CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む。
【0135】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用のいくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むV領域と、配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むV領域とを含む。
【0136】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用の他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖と、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖とを含む。
【0137】
別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はニボルマブである。別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はセミプリマブである。さらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はピディリズマブである。一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はAMP-514である。別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はPDR001である。さらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はBGB-A317である。なお別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はMGA012である。
【0138】
いくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7488802号、米国特許第7521051号、米国特許第8008449号、米国特許第8354509号、米国特許第8168757号、国際公開第2004/004771号、国際公開第2004/072286号、国際公開第2004/056875号、米国特許第2011/0271358号および国際公開第2008/156712号に開示されている任意の抗体、その抗原結合断片またはその変異体であり得る。
【0139】
本明細書に記載される様々な方法、キットおよび使用に使用され得る、ヒトPD-L1に結合するモノクローナル抗体の例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8383796号に開示されている。記載される様々な方法、キットおよび使用では、PD-1アンタゴニストとして有用な具体的な抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体には、デュルバルマブ、アベルマブおよびBMS-936559が含まれる。
【0140】
本明細書に記載される様々な方法、キットおよび使用に有用な他のPD-1アンタゴニストには、PD-1またはPD-L1に特異的に結合し、好ましくはヒトPD-1またはヒトPD-L1に特異的に結合する免疫接着分子、例えば、免疫グロブリン分子のFc領域のような定常領域に融合されたPD-L1またはPD-L2の細胞外結合部分またはPD-1結合部分を含む融合タンパク質が含まれる。PD-1に特異的に結合する免疫接着分子の例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2010/027827号および国際公開第2011/066342号に記載されている。本明細書に記載される様々な方法、キットおよび使用では、PD-1アンタゴニストとして有用な具体的な融合タンパク質には、PD-L2-Fc融合タンパク質であり、ヒトPD-1に結合するAMP-224(B7-DCIgとしても知られる)が含まれる。
【0141】
様々な実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体もしくは抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に記載される抗ヒトPD-1抗体または抗ヒトPD-L1抗体のアミノ酸配列の変異体を含む。変異体アミノ酸配列は、1、2、3、4または5個のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を有することを除いて、参照配列と同一である。いくつかの実施形態では、置換、欠失および/または付加は、CDR内にある。いくつかの実施形態では、置換、欠失および/または付加は、フレームワーク領域内にある。ある特定の実施形態では、アミノ酸置換のうちの1、2、3、4または5個は、保存的置換である。
【0142】
一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体もしくは抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に記載される抗ヒトPD-1抗体または抗ヒトPD-L1抗体のVドメインのうちの1つに対して少なくとも95%、90%、85%、80%、75%または50%の配列相同性を有するVドメインを有し、そして、PD-1またはPD-L1に対する特異的結合を示す。別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体もしくは抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に記載される抗ヒトPD-1抗体または抗ヒトPD-L1抗体のVドメインのうちの1つに対して少なくとも95%、90%、85%、80%、75%または50%の配列相同性を有するVドメインを有し、そして、PD-1またはPD-L1に対する特異的結合を示す。さらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体もしくは抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に記載される抗ヒトPD-1抗体または抗ヒトPD-L1抗体のVドメインのうちの1つに対して少なくとも95%、90%、85%、80%、75%または50%の配列相同性を有するVドメイン、および、本明細書に記載される抗ヒトPD-1抗体または抗ヒトPD-L1抗体のVドメインのうちの1つに対して少なくとも95%、90%、85%、80%、75%または50%の配列相同性を有するVドメインを有し、そして、PD-1またはPD-L1に対する特異的結合を示す。
【0143】
一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体もしくは抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に記載される抗ヒトPD-1抗体または抗ヒトPD-L1抗体のVドメインのうちの1つに最大1、2、3、4、5個またはそれ以上のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を有するVドメインを有し、そして、PD-1またはPD-L1に対する特異的結合を示す。別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体もしくは抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に記載される抗ヒトPD-1抗体または抗ヒトPD-L1抗体のVドメインのうちの1つに最大1、2、3、4、5個またはそれ以上のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を有するVドメインを有し、そして、PD-1またはPD-L1に対する特異的結合を示す。さらに別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体もしくは抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に記載される抗ヒトPD-1抗体または抗ヒトPD-L1抗体のVドメインのうちの1つに最大1、2、3、4、5個またはそれ以上のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を有するVドメイン、および、本明細書に記載される抗ヒトPD-1抗体または抗ヒトPD-L1抗体のVドメインのうちの1つに最大1、2、3、4、5個またはそれ以上のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を有するVドメインを有し、そして、PD-1またはPD-L1に対する特異的結合を示す。
【0144】
様々な実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体もしくは抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む任意のクラスの免疫グロブリンから選択される。好ましくは、抗体はIgG抗体である。IgG、IgG、IgGおよびIgGを含む、IgGの任意のアイソタイプを使用することができる。様々な定常ドメインが、本明細書に提供されるV領域およびV領域に付加されてもよい。例えば、本発明の抗体(または断片)の特定の意図された使用が、変更されたエフェクター機能を必要とする場合、IgG1以外の重鎖定常ドメインを使用してもよい。IgG1抗体は長い半減期を提供し、補体活性化および抗体依存性細胞傷害性のようなエフェクター機能を提供するが、そのような活性は、抗体のあらゆる使用にとって望ましくない可能性がある。そのような場合、例えば、IgG4定常ドメインを使用してもよい。様々な実施形態では、重鎖定常ドメインは、抗体の所望の特徴を生じさせるための1つ以上のアミノ酸変異(例えば、S228P変異を有するIgG4)を含む。これらの所望の特徴には、限定するものではないが、改変されたエフェクター機能、物理的安定性または化学的安定性、抗体の半減期などが含まれる。
【0145】
通常、本明細書に開示される抗ヒトPD-1モノクローナル抗体または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体およびその抗原結合断片のアミノ酸配列変異体は、参照抗体または抗原結合断片(例えば、重鎖、軽鎖、V、Vまたはヒト化配列)のアミノ酸配列と少なくとも75%のアミノ酸配列同一性、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95、98または99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。配列に対する同一性または相同性は、本明細書では、最大パーセント配列同一性を達成するために配列をアライメントし、必要に応じてギャップを導入した後、配列同一性の一部として保存的置換を考慮せずに、参照配列と同一である、候補配列内のアミノ酸残基の割合として定義される。N末端、C末端、または抗体配列への内部伸長、欠失もしくは挿入のいずれも、配列同一性または相同性に影響を及ぼすと解釈されるべきではない。
【0146】
配列同一性とは、2つの配列が最適にアライメントされた際に、2つのポリペプチドのアミノ酸が同等の位置で同じである程度を指す。配列同一性は、BLASTアルゴリズムを使用して決定することができ、アルゴリズムのパラメータは、それぞれの参照配列の全長にわたってそれぞれの配列間の最大一致をもたらすように選択される。以下の参考文献は、配列分析に使用されることが多いBLASTアルゴリズムに関する:BLAST ALGORITHMS:Altschul,S.F.,et al.,(1990)J.Mol.Biol.215:403-410;Gish,W.,et al.,(1993)Nature Genet.3:266-272;Madden,T.L.,et al.,(1996)Meth.Enzymol.266:131-141;Altschul,S.F.,et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25:3389-3402;Zhang,J.,et al.,(1997)Genome Res.7:649-656;Wootton,J.C.,et al.,(1993)Comput.Chem.17:149-163;Hancock,J.M.et al.,(1994)Comput.Appl.Biosci.10:67-70;ALIGNMENT SCORING SYSTEMS:Dayhoff,M.O.,et al.,“A model of evolutionary change in proteins.”in Atlas of Protein Sequence and Structure,(1978)vol.5,suppl.3.M.O.Dayhoff(ed.),pp.345-352,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Schwartz,R.M.,et al.,“Matrices for detecting distant relationships.”in Atlas of Protein Sequence and Structure,(1978)vol.5,suppl.3.M.O.Dayhoff(ed.),pp.353-358,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Altschul,S.F.,(1991)J.Mol.Biol.219:555-565;States,D.J.,et al.,(1991)Methods 3:66-70;Henikoff,S.,et al.,(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915-10919;Altschul,S.F.,et al.,(1993)J.Mol.Evol.36:290-300;ALIGNMENT STATISTICS:Karlin,S.,et al.,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-2268;Karlin,S.,et al.,(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5877;Dembo,A.,et al.,(1994)Ann.Prob.22:2022-2039;およびAltschul,S.F.“Evaluating the statistical significance of multiple distinct local alignments.”in Theoretical and Computational Methods in Genome Research(S.Suhai,ed.),(1997)pp.1-14,Plenum,New York.
【0147】
いくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体はヒト抗体である。他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体はヒト化抗体である。
【0148】
いくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の軽鎖は、ヒトカッパ骨格を有する。他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の軽鎖は、ヒトラムダ骨格を有する。
【0149】
いくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG1骨格を有する。他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG2骨格を有する。さらに他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG3骨格を有する。なお他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG4骨格を有する。
【0150】
いくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG1変異体骨格を有する。他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG2変異体骨格を有する。さらに他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG3変異体骨格を有する。なお他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体または抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体の重鎖は、ヒトIgG4変異体(例えば、S228P変異を有するIgG4)骨格を有する。
【0151】
4.CTLA4アンタゴニスト
本発明の治療方法、組成物、キットおよび使用のいずれかで有用な「抗CTLA4抗体」には、ヒトCTLA4に特異的に結合し、CTLA4とそのリガンドであるCD80(B7.1)およびCD86(B7.2)との相互作用を遮断するモノクローナル抗体(mAb)またはその抗原結合断片が含まれる。抗CTLA4抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であり得、ヒト定常領域を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1定常領域、IgG2定常領域、IgG3定常領域およびIgG4定常領域からなる群から選択され、好ましい実施形態では、ヒト定常領域は、IgG1定常領域またはIgG4定常領域である。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’-SH、F(ab’)2、scFvおよびFv断片からなる群から選択される。
【0152】
本発明の治療方法、組成物、キットおよび使用の一実施形態では、抗CTLA4抗体は、イピリムマブとして現在知られており、Yervoy(商標)として市販されているヒトモノクローナル抗体10D1であり、それは、米国特許第6,984,720号およびWHO Drug Information 19(4):61(2005)に開示されている。別の実施形態では、抗CTLA-4抗体は、CP-675,206としても知られているトレメリムマブであり、それは、米国特許出願公開第2012/263677号またはPCT国際出願公開第WO2012/122444号もしくはPCT国際出願公開第WO2007/113648号に記載されているIgG2モノクローナル抗体である。
【0153】
本発明の治療方法、組成物、キットおよび使用のさらなる実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片は、配列番号24、25および26に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR、ならびに、配列番号27、28および29に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む。
【0154】
本発明の治療方法、組成物、キットおよび使用の他の実施形態では、抗CTLA4抗体は、ヒトCTLA4に結合し、(a)配列番号30に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および、(b)配列番号31に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むモノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0155】
本発明の治療方法、組成物、キットおよび使用の一実施形態では、抗CTLA-4抗体は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を有する重鎖、および、配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含むモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗CTLA4抗体は、配列番号32および/または配列番号33の抗原結合断片であり、ここで、抗原結合断片は、CTLA4に特異的に結合する。
【0156】
本発明の治療方法、組成物、キットおよび使用の一実施形態では、抗CTLA-4抗体は、国際出願公開第WO2016/015675号に開示されている抗CTLA-4抗体またはその抗原結合断片のいずれかである。一実施形態では、抗CTLA4抗体は、以下のCDRを含むモノクローナル抗体である:
アミノ酸配列GFTFSDNW(配列番号1)を含むCDRH1;
アミノ酸配列IRNKPYNYET(配列番号2)を含むCDRH2;
アミノ酸配列TAQFAY(配列番号3;)を含むCDRH3
および/または
アミノ酸配列ENIYGG(配列番号4)を含むCDRL1;
アミノ酸配列GAT(配列番号5)を含むCDRL2;および
QNVLRSPFT(配列番号6);QNVLSRHPG(配列番号7);もしくはQNVLSSRPG(配列番号8)から選択されるアミノ酸配列を含むCDRL3。
【0157】
本発明の治療方法、組成物、キットおよび使用の一実施形態では、抗CTLA4抗体は、8D2/8D2(RE)もしくはその変異体、8D2H1L1もしくはその変異体、8D2H2L2もしくはその変異体、8D2H3L3もしくはその変異体、8D2H2L15もしくはその変異体、または8D2H2l17もしくはその変異体である。
【0158】
本発明の治療方法、組成物、キットおよび使用の別の実施形態では、抗CTLA4抗体は、8D2/8D2(RE)の変異体、8D2H1L1の変異体、8D2H2L2の変異体、8D2H2L15の変異体または8D2H2l17の変異体であり、ここで、VH鎖アミノ酸配列内の18位のメチオニン(Met)は、ロイシン(Leu)、バリン(Val)、イソロイシン(Ile)またはアラニン(Ala)から選択されるアミノ酸によって独立して置換されている。本発明の実施形態では、抗CTLA4抗体は、上記の表に記載の8D2H2L2変異体1の配列を含む。
【0159】
本発明の治療方法、組成物、キットおよび使用の別の実施形態では、抗CTLA4抗体は、配列番号22に記載の完全重鎖アミノ酸配列、および、配列番号23に記載の完全軽鎖配列を有する8D2H2L2変異体1である。
【0160】
本発明の治療方法、組成物、キットおよび使用の一実施形態では、抗CTLA4抗体は、2018年3月1日に公開された国際出願公開第WO2018/035710号に開示されている抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片のいずれかである。
【0161】
本明細書に提供される様々な方法、医薬組成物、キットまたは使用のある特定の実施形態では、抗ヒトCTLA4抗体(例えばモノクローナル抗体)またはその抗原結合断片は、配列番号4と80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を含むアミノ酸配列を含むV CDR1、配列番号5とアミノ酸配列80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を含むV CDR2、および、配列番号6、7または8とアミノ酸配列80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を含むV CDR3、ならびに、それぞれ配列番号1、2および3と80%、85%、90%、95%または99%の配列同一性を含むアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3を含む。
【0162】
通常、本明細書に開示される抗CTLA4モノクローナル抗体およびその抗原結合断片のアミノ酸配列変異体は、参照抗体または抗原結合断片(例えば、重鎖、軽鎖、V、Vまたはヒト化配列)のアミノ酸配列と少なくとも75%のアミノ酸配列同一性、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95、98または99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。配列に対する同一性または相同性は、本明細書では、最大パーセント配列同一性を達成するために配列をアライメントし、必要に応じてギャップを導入した後、配列同一性の一部として保存的置換を考慮せずに、参照配列と同一である、候補配列内のアミノ酸残基の割合として定義される。N末端、C末端、または抗体配列への内部伸長、欠失もしくは挿入のいずれも、配列同一性または相同性に影響を及ぼすと解釈されるべきではない。
【0163】
5.PD-1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニストおよびレンバチニブまたはその薬学的に許容される塩の組合せを使用して癌を治療する方法
別の態様では、記載されるPD-1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニストおよびレンバチニブまたはその薬学的に許容される塩の組合せを使用して、癌(例えばRCC)を治療する方法が本明細書に提供される。
【0164】
いくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片である。ある特定の実施形態では、CTLA4アンタゴニストは、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片である。
【0165】
ある特定の実施形態では、癌を治療する方法は、それを必要とするヒト患者に、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化12】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、癌は、膀胱癌、乳癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸直腸癌(CRC)、腎細胞癌(RCC)、肝細胞癌(HCC)および黒色腫からなる群から選択される。
【0167】
ある特定の実施形態では、癌は転移性である。いくつかの実施形態では、癌は再発している。他の実施形態では、癌は難治性である。さらに他の実施形態では、癌は、再発しており、難治性である。
【0168】
一実施形態では、癌は膀胱癌である。別の実施形態では、癌は乳癌である。さらに別の実施形態では、癌はNSCLCである。なお別の実施形態では、癌はCRCである。一実施形態では、癌はRCCである。別の実施形態では、癌はHCCである。さらに別の実施形態では、癌は黒色腫である。さらに別の実施形態では、癌は黒色腫であり、患者は黒色腫脳転移を有する。さらに別の実施形態では、癌は難治性黒色腫である。
【0169】
一実施形態では、癌は進行RCCである。別の実施形態では、癌は転移性RCCである。さらに別の実施形態では、癌は再発RCCである。なお別の実施形態では、癌は難治性RCCである。さらになお別の実施形態では、癌は、再発および難治性RCCである。
【0170】
ある特定の実施形態では、RCCを治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化13】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む方法が本明細書に提供される。
【0171】
いくつかの実施形態では、進行RCCを治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化14】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む方法が本明細書に提供される。
【0172】
他の実施形態では、転移性RCCを治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
【0173】
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化15】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む方法が本明細書に提供される。
【0174】
さらに他の実施形態では、再発RCCを治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化16】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む方法が本明細書に提供される。
【0175】
さらになお他の実施形態では、難治性RCCを治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化17】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む方法が本明細書に提供される。
【0176】
他の実施形態では、再発および難治性RCCを治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化18】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む方法が本明細書に提供される。
【0177】
他の実施形態では、黒色腫を治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化19】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む方法が本明細書に提供される。
【0178】
他の実施形態では、難治性黒色腫を治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化20】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む方法が本明細書に提供される。
【0179】
ある特定の実施形態では、癌を治療する方法は、それを必要とするヒト患者に、
(a)セクションV.2に開示されるPD-1アンタゴニスト、
(b)セクションV.3に開示されるCTLA4アンタゴニスト、および
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む。
【0180】
ある特定の実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はヒト抗体である。他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はヒト化抗体である。
【0181】
ある特定の実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体はヒト抗体である。他の実施形態では、抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体はヒト化抗体である。
【0182】
ある特定の実施形態では、CTLA4アンタゴニストは、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体はヒト抗体である。他の実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体はヒト化抗体である。
【0183】
したがって、ある特定の実施形態では、癌を治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)ヒト抗ヒトPD-1モノクローナル抗体もしくはヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、
(b)ヒト抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体もしくはヒト化抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化21】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む方法が、本明細書に提供される。
【0184】
いくつかの実施形態では、癌を治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)ヒト抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、
(b)ヒト抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化22】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む方法が、本明細書に提供される。
【0185】
他の実施形態では、癌を治療する方法であって、それを必要とするヒト患者に、
(a)ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、
(b)ヒト化抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化23】
またはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む方法が、本明細書に提供される。
【0186】
本明細書に提供される様々な方法の一実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はペンブロリズマブである。
【0187】
本明細書に提供される様々な方法の別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はニボルマブである。
【0188】
本明細書に提供される様々な方法の別の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はセミプリマブである。
【0189】
本明細書に提供される様々な方法のある特定の実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3、および、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3を含む。
【0190】
本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むV領域、および配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むV領域を含む。
【0191】
本明細書に提供される様々な方法の他の実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖、および配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖を含む。
【0192】
したがって、本明細書に提供される様々な方法の具体的な一実施形態では、癌を治療する方法は、それを必要とするヒト患者に、
(a)ペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む。
【0193】
本明細書に提供される様々な方法の具体的な一実施形態では、癌を治療する方法は、それを必要とするヒト患者に、
(a)ニボルマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む。
【0194】
本明細書に提供される様々な方法の具体的な一実施形態では、癌を治療する方法は、それを必要とするヒト患者に、
(a)セミプリマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む。
【0195】
本明細書に提供される様々な方法の具体的な一実施形態では、RCCを治療する方法は、それを必要とするヒト患者に、
(a)ペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む。
【0196】
本明細書に提供される様々な方法の具体的な一実施形態では、RCCを治療する方法は、それを必要とするヒト患者に、
(a)ニボルマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む。
【0197】
本明細書に提供される様々な方法の具体的な一実施形態では、RCCを治療する方法は、それを必要とするヒト患者に、
(a)セミプリマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む。
【0198】
一実施形態では、RCCは進行RCCである。別の実施形態では、RCCは転移性RCCである。さらに別の実施形態では、RCCは再発RCCである。なお別の実施形態では、RCCは難治性RCCである。さらになお別の実施形態では、RCCは、再発および難治性RCCである。
【0199】
本明細書に提供される様々な方法の具体的な一実施形態では、黒色腫を治療する方法は、それを必要とするヒト患者に、
(a)ペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む。
【0200】
本明細書に提供される様々な方法の具体的な一実施形態では、黒色腫を治療する方法は、それを必要とするヒト患者に、
(a)ニボルマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む。
【0201】
本明細書に提供される様々な方法の具体的な一実施形態では、黒色腫を治療する方法は、それを必要とするヒト患者に、
(a)セミプリマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩、を投与することを含む。
【0202】
一実施形態では、黒色腫は難治性黒色腫である。
【0203】
6.投薬および投与
PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片)、CTLA4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片)および多重RTK阻害剤(例えば、レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩)の組合せを使用して癌(例えばRCC)を治療するための投薬レジメンおよび投与経路が、本明細書にさらに提供される。
【0204】
本明細書に開示される抗PD-1モノクローナル抗体もしくはその抗原結合断片、抗CTLA4モノクローナル抗体もしくはその抗原結合断片、またはレンバチニブもしくはその薬学的に許容される塩は、例えば、連日、1週間に1~7回、毎週、隔週、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、毎月、隔月、四半期ごと、半年ごと、毎年などに投与される用量によって投与され得る。用量は、例えば、静脈内、皮下、局所、経口、経鼻、直腸、筋肉内、脳内、脊髄内投与され得るか、または吸入によって投与され得る。ある特定の実施形態では、用量は静脈内投与される。ある特定の実施形態では、用量は皮下投与される。ある特定の実施形態では、用量は経口投与される。ある治療間隔にわたる総用量は、一般に少なくとも0.05μg/kg体重、さらに一般に少なくとも0.2μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、10μg/kg、100μg/kg、0.25mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、5.0mg/ml、10mg/kg、25mg/kg、50mg/kgまたはそれ以上である。対象の血清中の抗体(例えば抗PD-1抗体)またはその抗原結合断片の所定の標的濃度、例えば、0.1、0.3、1、3、10、30、100、300μg/mLまたはそれ以上を達成するための用量も提供され得る。
【0205】
いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、10、20、50、80、100、200、300、400、500、1000または2500mg/対象で、毎週、隔週、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、10週間ごと、12週間ごと、毎月、隔月または四半期ごとに皮下または静脈内投与される。いくつかの具体的な方法では、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の用量は、約0.01mg/kg~約50mg/kg、約0.05mg/kg~約25mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約0.2mg/kg~約9mg/kg、約0.3mg/kg~約8mg/kg、約0.4mg/kg~約7mg/kg、約0.5mg/kg~約6mg/kg、約0.6mg/kg~約5mg/kg、約0.7mg/kg~約4mg/kg、約0.8mg/kg~約3mg/kg、約0.9mg/kg~約2mg/kg、約1.0mg/kg~約1.5mg/kg、約1.0mg/kg~約2.0mg/kg、約1.0mg/kg~約3.0mg/kg、または約2.0mg/kg~約4.0mg/kgである。いくつかの具体的な方法では、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の用量は、約10mg~約500mg、約25mg~約500mg、約50mg~約500mg、約100mg~約500mg、約200mg~約500mg、約150mg~約250mg、約175mg~約250mg、約200mg~約250mg、約150mg~約240mg、約175mg~約240mg、または約200mg~約240mgである。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の用量は、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、240mg、250mg、300mg、400mgまたは500mgである。
【0206】
一実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片は、(a)配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR、ならびに配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR、(b)配列番号4、5および7に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR、ならびに配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDR、または(c)配列番号4、5および8に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR、ならびに配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDRを含む。
【0207】
一実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖CDRと、配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含む重鎖CDRとを含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、1、10、20、25、30、40、50、60、75、80、90、100、110、120、125、130、140、150、160、170、175、180、190、200、500、1000または2500mg/対象で、毎週、隔週、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、10週間ごと、12週間ごと、毎月、隔月または四半期ごとに皮下または静脈内投与される。別の実施形態では、抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、1、10、20、25、30、40、50、60、75、80、90、100、110、120、125、130、140、150、160、170、175、180、190、200mg/対象で、毎週、隔週、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、10週間ごと、12週間ごと、毎月、隔月または四半期ごとに皮下または静脈内投与される。
【0209】
いくつかの具体的な方法では、抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の用量は、約1mg~約500mg、約25mg~約500mg、約50mg~約500mg、約100mg~約500mg、約200mg~約500mg、約150mg~約250mg、約175mg~約250mg、約200mg~約250mg、約150mg~約240mg、約175mg~約240mg、約200mg~約240mgである。いくつかの実施形態では、抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の用量は、1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、45mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、240mg、250mg、300mg、400mgまたは500mgである。
【0210】
別の実施形態では、抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の用量は、約0.01mg/kg~約50mg/kg、約0.05mg/kg~約25mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約0.2mg/kg~約9mg/kg、約0.3mg/kg~約8mg/kg、約0.4mg/kg~約7mg/kg、約0.5mg/kg~約6mg/kg、約0.6mg/kg~約5mg/kg、約0.7mg/kg~約4mg/kg、約0.8mg/kg~約3mg/kg、約0.9mg/kg~約2mg/kg、約1.0mg/kg~約1.5mg/kg、約1.0mg/kg~約2.0mg/kg、約1.0mg/kg~約3.0mg/kg、約2.0mg/kg~約4.0mg/kgである。いくつかの具体的な方法では、抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の用量は、約1.0mg/mlから、1.25mg/ml、1.4mg/ml、2.0mg/ml、2.5mg/ml、2.9mg/ml、5mg/ml、7.9mg/ml、10mg/ml、12.5mg/ml、25mg/ml、50mg/ml、75mg/ml、100mg/ml、125mg/ml、150mg/ml、175mg/mlまたは200mg/mlである。
【0211】
いくつかの具体的な方法では、抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の用量は、約1mg~約200mg、約1mg~約100mgである。いくつかの実施形態では、抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の用量は、1mg、2.9mg、5mg、10mg、25mgまたは50mgである。一実施形態では、抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片の用量は25mgである。
【0212】
本明細書に記載される様々な方法のいくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はペンブロリズマブであり、ヒト患者に、200mg、240mg、400mg、480mg、720mg、または2mg/kgのペンブロリズマブが投与され、そして、ペンブロリズマブは3週間または6週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者に、200mgのペンブロリズマブが3週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者に、240mgのペンブロリズマブが3週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者に、2mg/kgのペンブロリズマブが3週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者に、400mgのペンブロリズマブが3週間に1回投与される。
【0213】
本明細書に記載される様々な方法のある特定の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はペンブロリズマブであり、そして、ヒト患者に、400mgのペンブロリズマブが投与され、ペンブロリズマブは6週間に1回投与される。
【0214】
本明細書に記載される様々な方法のいくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はペンブロリズマブであり、ヒト患者に、200mg、240mg、400mg、480mg、720mg、または2mg/kgのペンブロリズマブが投与され、そして、ペンブロリズマブは6週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者に、200mgのペンブロリズマブが6週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者に、240mgのペンブロリズマブが6週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者に、400mgのペンブロリズマブが6週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者に、480mgのペンブロリズマブが6週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者に、720mgのペンブロリズマブが6週間に1回投与される。一実施形態では、ヒト患者に、2mg/kgのペンブロリズマブが6週間に1回投与される。
【0215】
本発明のいくつかの実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片と抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とは、12週間以上にわたって約6週間に1回患者に投与される。他の実施形態では、抗PD-1抗体または抗原結合断片と抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とは、18週間以上、24週間以上、30週間以上、36週間以上、42週間以上、48週間以上、54週間以上、60週間以上、66週間以上、72週間以上、78週間以上、84週間以上または90週間以上にわたって、6週間に1回患者に投与される。一実施形態では、投与は同日に行われる。
【0216】
下位実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片と抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とは、同日に同時に(例えば、単一の製剤で、または別個の製剤として同時に)投与される。代替的な実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片と抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片とは、同日に連続的に(例えば、別個の製剤として)、いずれかの順序で投与される。同日連続投与の一実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合断片が最初に投与される。同日連続投与の別の実施形態では、抗CTLA4抗体またはその抗原結合断片が最初に投与される。本明細書に記載される様々な方法のある特定の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はペンブロリズマブであり、ヒト患者に、200mgのペンブロリズマブが投与され、そして、ペンブロリズマブは3週間に1回投与される。本明細書に記載される様々な方法のある特定の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はペンブロリズマブであり、ヒト患者に400mgのペンブロリズマブが投与され、そして、ペンブロリズマブは6週間に1回投与される。
【0217】
本明細書に記載される様々な方法の他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はニボルマブであり、ヒト患者に240mg、または3mg/kgのニボルマブが投与され、そして、ニボルマブは2週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、240mgのニボルマブが2週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に3mg/kgのニボルマブが2週間に1回投与される。本明細書に記載される様々な方法の他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はニボルマブであり、ヒト患者に480mgのニボルマブが投与され、そして、ニボルマブは4週間に1回投与される。
【0218】
本明細書に記載される様々な方法のさらに他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はセミプリマブであり、ヒト患者に350mgのセミプリマブが投与され、そして、セミプリマブは3週間に1回投与される。
【0219】
本明細書に記載される様々な方法のなお他の実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3、および、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3を含み、ヒト患者に約1~約200mgの抗ヒトCTLA4抗体が投与され、そして、抗ヒトCTLA4抗体は6週間に1回投与される。本明細書に記載される様々な方法のなお他の実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3、および、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3を含み、ヒト患者に1~100mgの抗ヒトCTLA4抗体が投与され、そして、抗ヒトCTLA4抗体は6週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、1.4mg/mlの抗ヒトCTLA4抗体が6週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、25mgの抗ヒトCTLA4抗体が6週間に1回投与される。具体的な一実施形態では、ヒト患者に、50mgの抗ヒトCTLA4抗体が6週間に1回投与される。
【0220】
ある特定の実施形態では、レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩は、経口投与される。いくつかの実施形態では、レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩は、8、10、12、14、18、20または24mgのレンバチニブの1日用量で投与される。
【0221】
したがって、本明細書に提供される様々な方法のいくつかの実施形態では、ヒト患者に、
(a)200mg、240mg、400mg、または2mg/kgのペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、1~200mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)8、10、12、14、18、20または24mgのレンバチニブが投与され、
ここで、(a)および(b)は、それぞれ3週間または6週間に1回投与され、そして、(c)は連日投与される。
【0222】
本明細書に提供される様々な方法のある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)200mg、240mg、400mg、2mg/kgまたは22.mg/mLのペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、1~200mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)8、10、12、14、18、20または24mgのレンバチニブが投与され、
ここで、(a)および(b)の各々は、6週間に1回投与され、そして、(c)は連日投与される。
【0223】
本明細書に提供される様々な方法のある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)200mgのペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、25mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)20mgのレンバチニブが投与され、
ここで、(a)および(b)の各々は、6週間に1回投与され、そして、(c)は連日投与される。
【0224】
本明細書に提供される様々な方法のある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)240mgのペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、25mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)20mgのレンバチニブが投与され、
ここで、(a)および(b)の各々は、6週間に1回投与され、そして、(c)は連日投与される。
【0225】
本明細書に提供される様々な方法のある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)2mg/kgのペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、25mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)20mgのレンバチニブが投与され、
ここで、(a)および(b)の各々は、6週間に1回投与され、そして、(c)は連日投与される。
【0226】
本明細書に提供される様々な方法のある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)400mgのペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、25mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)20mgのレンバチニブが投与され、
ここで、(a)は6週間に1回投与され、ここで、(b)は6週間に1回投与され、そしてここで、(c)は連日投与される。
【0227】
本明細書に提供される様々な方法のある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)200mgのペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、1.4mg/mlの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)20mgのレンバチニブが投与され、
ここで、(a)および(b)の各々は、6週間に1回投与され、そしてここで、(c)は連日投与される。
【0228】
本明細書に提供される様々な方法のある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)400mgのペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれNO:1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、50mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)20mgのレンバチニブが投与され、
ここで、(a)および(b)の各々は、3週間に1回投与され、そしてここで、(c)は連日投与される。
【0229】
本明細書に提供される様々な方法のある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)400mgのペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれNO:1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、100mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)20mgのレンバチニブが投与され、
ここで、(a)および(b)の各々は、6週間に1回投与され、そしてここで、(c)は連日投与される。
【0230】
本明細書に提供される様々な方法のある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)400mgのペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれNO:1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、200mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)20mgのレンバチニブが投与され、
ここで、(a)および(b)の各々は、6週間に1回投与され、そしてここで、(c)は連日投与される。
【0231】
本明細書に提供される様々な方法のある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)400mgのペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれNO:1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、225mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)14mgのレンバチニブが投与され、
ここで、(a)および(b)の各々は、6週間に1回投与され、そしてここで、(c)は連日投与される。
【0232】
本明細書に提供される様々な方法のある特定の実施形態では、ヒト患者に、
(a)400mgのペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれNO:1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む、25mgの抗ヒトCTLA4抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)10mgのレンバチニブが投与され、
ここで、(a)および(b)の各々は、6週間に1回投与され、そしてここで、(c)は連日投与される。
【0233】
いくつかの実施形態では、併用療法における治療剤(例えば、抗PD-1モノクローナル抗体もしくはその結合断片、抗CTLA4モノクローナル抗体もしくはその結合断片、またはレンバチニブ)のうちの少なくとも1つは、該薬剤が同じ症状を治療するための単剤療法として使用される際に典型的に使用される同じ投与レジメン(治療の用量、頻度および期間)を使用して投与される。他の実施形態では、患者には、併用療法において、治療剤(例えば、抗PD-1モノクローナル抗体もしくはその結合断片、抗CTLA4モノクローナル抗体もしくはその結合断片、またはレンバチニブ)のうちの少なくとも1つが、該薬剤が単剤療法として使用される場合よりも少ない総量、例えば、少ない用量、少ない頻度の用量、および/または短い治療期間投与される。
【0234】
本明細書に開示される併用療法は、腫瘍を除去するための手術の前または後に使用され得、放射線治療の前、最中または後に使用され得る。
【0235】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される併用療法は、バイオ療法剤または化学療法剤によって以前に治療されたことがない、すなわち、治療未経験である患者に投与される。他の実施形態では、併用療法は、バイオ療法剤または化学療法剤による以前の治療後に持続応答を達成することができなかった患者、すなわち、治療経験のある患者に投与される。
【0236】
本明細書に開示される治療用組合せは、限定するものではないが、特定の疾患または症状(例えば癌)の予防、治療、制御、改善、またはリスクの低減に使用される他の抗癌剤を含む1つ以上の他の活性薬剤と組み合わせて使用され得る。そのような他の活性薬剤は、本明細書に開示される組合せの治療剤のうちの1つ以上と同時または連続的に、そのために一般的に使用される経路によって、および量で投与され得る。
【0237】
1つ以上の追加の活性薬剤は、抗PD-1モノクローナル抗体もしくはその抗原結合断片、抗CTLA4モノクローナル抗体もしくはその抗原結合断片、またはレンバチニブもしくはその薬学的に許容される塩と同時投与され得る。追加の活性薬剤(類)は、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、およびレンバチニブまたはその薬学的に許容される塩から選択される1つ以上の同時投与薬剤とともに単一剤形で投与され得る。追加の活性薬剤(類)はまた、抗PD-1モノクローナル抗体もしくはその抗原結合断片、抗CTLA4モノクローナル抗体もしくはその抗原結合断片、またはレンバチニブもしくはその薬学的に許容される塩を含有する剤形とは別個の剤形(類)で投与され得る。
【0238】
7.医薬組成物
さらに別の態様では、本明細書に開示される治療剤(例えば、PD-1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニストおよびレンバチニブ)を含む医薬組成物が本明細書に提供される。
【0239】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0240】
抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片と、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片と、レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物は、水溶液または凍結乾燥形態もしくは他の乾燥形態の形態で、所望の純度を有する抗体と、場合により生理学的に許容される担体、賦形剤または安定剤(例えば、Remington,Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.1980)を参照)とを混合することによって、貯蔵のために調製され得る。
【0241】
薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤は、使用される投与量および濃度で曝露されている細胞または哺乳動物に対して非毒性である。多くの場合、薬学的に許容される担体はpH緩衝水溶液である。薬学的に許容される担体の例には、緩衝液、例えば、ホスフェート、シトレート、アセテートおよび他の有機酸;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸;低分子量(例えば、約10個未満のアミノ酸残基)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリジン;単糖、二糖、およびグルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA;糖アルコール、例えば、マンニトールもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)およびPLURONICS(商標)が挙げられる。薬学的に許容される担体とはまた、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントのアジュバント(完全または不完全))、賦形剤またはビヒクルを指し得る。そのような担体は、滅菌液体、例えば、水および油、例えば、石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などであり得る。組成物(例えば医薬組成物)を静脈内投与する場合、水が例示的な担体である。生理食塩水ならびにデキストロース水溶液およびグリセロール水溶液も、特に注射液用の液体担体として使用することができる。好適な賦形剤(例えば医薬賦形剤)には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。組成物は、所望であれば、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含有することができる。組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、持続放出製剤などの形態をとることができる。
【0242】
8.キット
なお別の態様では、好適な包装材料に包装された、本明細書に開示される治療剤(例えば、PD-1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニストおよびレンバチニブ)またはその医薬組成物を含むキットが本明細書に提供される。キットは、その中の構成要素の説明またはその中の構成要素のインビトロ、インビボもしくはエクスビボでの使用のための指示書を含むラベルまたは添付文書を含んでいてもよい。
【0243】
いくつかの実施形態では、キットは、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0244】
ある特定の実施形態では、キットは、PD-1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、およびレンバチニブまたはその薬学的に許容される塩をヒト患者に投与するための指示書をさらに含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗PD-L1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、CTLA4アンタゴニストは、抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0246】
一実施形態では、キットは、(a)1つ以上の投与量の抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、(b)1つ以上の投与量の抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、(c)1つ以上の投与量のレンバチニブまたはその薬学的に許容される塩、および(d)抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに、レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩をヒト患者に投与するための指示書を含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はペンブロリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はニボルマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はセミプリマブである。
【0248】
本明細書中の様々なキットでは、セクションV.6に記載される抗PD-1モノクローナル抗体、抗CTLA4モノクローナル抗体またはレンバチニブもしくはその薬学的に許容される塩の投与量が使用され得る。いくつかの実施形態では、キットは、一定期間の治療(例えば、3、6、12または24週間など)に十分な各成分の投与量を含む。例えば、キットは、200mgのペンブロリズマブの投与量と、25mgの抗CTLA4抗体の1回の投与量と、20mgのレンバチニブの21回の投与量(またはレンバチニブの同等量の薬学的に許容される塩)とを含むことができ、これらは3週間の治療に十分である。または、キットはまた、400mgのペンブロリズマブの投与量と、25mgの抗CTLA4抗体の1回の投与量と、20mgのレンバチニブの42回の投与量(またはレンバチニブの同等量の薬学的に許容される塩)とを含むことができ、これらは6週間の治療に十分である。
【0249】
いくつかの実施形態では、キットは、構成要素を別個に保持するための手段、例えば、容器、分割ボトルまたは分割ホイルパケットを含む。本開示のキットは、異なる剤形、例えば、経口および非経口の投与のため、異なる投与間隔での別個の組成物の投与のため、または別個の組成物の互いに対する滴定のために使用され得る。
【0250】
9.癌を治療するための治療用組合せの使用
なお別の態様では、ヒト患者の癌(例えば、黒色腫またはRCC)を治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化24】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、癌は、膀胱癌、乳癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸直腸癌(CRC)、腎細胞癌(RCC)、肝細胞癌(HCC)および黒色腫からなる群から選択される。
【0252】
ある特定の実施形態では、癌は転移性である。いくつかの実施形態では、癌は再発している。他の実施形態では、癌は難治性である。さらに他の実施形態では、癌は、再発しており、難治性である。
【0253】
一実施形態では、癌は膀胱癌である。別の実施形態では、癌は乳癌である。さらに別の実施形態では、癌はNSCLCである。なお別の実施形態では、癌はCRCである。一実施形態では、癌はRCCである。別の実施形態では、癌はHCCである。さらに別の実施形態では、癌は黒色腫である。
【0254】
一実施形態では、癌は進行RCCである。別の実施形態では、癌は転移性RCCである。さらに別の実施形態では、癌は再発RCCである。なお別の実施形態では、癌は難治性RCCである。さらになお別の実施形態では、癌は、再発および難治性RCCである。
【0255】
一実施形態では、ヒト患者のRCCを治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化25】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、ヒト患者の進行RCCを治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化26】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0257】
他の実施形態では、ヒト患者の転移性RCCを治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化27】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0258】
さらに他の実施形態では、ヒト患者の再発RCCを治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化28】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0259】
さらになお他の実施形態では、ヒト患者の難治性RCCを治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化29】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0260】
他の実施形態では、ヒト患者の再発および難治性RCCを治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化30】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0261】
他の実施形態では、ヒト患者の黒色腫を治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化31】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0262】
他の実施形態では、ヒト患者の難治性黒色腫を治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化32】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0263】
他の実施形態では、ヒト患者の黒色腫脳転移黒色腫を治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)PD-1アンタゴニスト、
(b)CTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化33】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0264】
なお他の実施形態では、癌を治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)セクションV.2に開示されるPD-1アンタゴニスト、
(b)セクションV.3に開示されるCTLA4アンタゴニスト、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化34】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0265】
ある特定の実施形態では、PD-1アンタゴニストは、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はヒト抗体である。他の実施形態では、抗ヒトPD-1モノクローナル抗体はヒト化抗体である。
【0266】
ある特定の実施形態では、CTLA4アンタゴニストは、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体はヒト抗体である。他の実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体はヒト化抗体である。
【0267】
したがって、ある特定の実施形態では、癌を治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)ヒト抗ヒトPD-1モノクローナル抗体もしくはヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、
(b)ヒト抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体もしくはヒト化抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化35】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0268】
いくつかの実施形態では、癌を治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)ヒト抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、
(b)ヒト抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化36】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0269】
他の実施形態では、癌を治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、
(b)ヒト化抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、および
(c)式(I)によって表されるレンバチニブ
【化37】
またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0270】
本明細書に提供される様々な使用のいくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はペンブロリズマブである。本明細書に提供される様々な使用のいくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はニボルマブである。本明細書に提供される様々な使用のいくつかの実施形態では、抗PD-1モノクローナル抗体またはその抗原結合断片はセミプリマブである。
【0271】
本明細書に提供される様々な使用のある特定の実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3、ならびに、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3を含む。
【0272】
本明細書に提供される様々な使用のいくつかの実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むV領域、および、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むV領域を含む。
【0273】
本明細書に提供される様々な使用の他の実施形態では、抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる軽鎖、ならびに、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる重鎖を含む。
【0274】
したがって、具体的な一実施形態では、癌を治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)ペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0275】
具体的な一実施形態では、癌を治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)ニボルマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0276】
具体的な一実施形態では、癌を治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)セミプリマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0277】
具体的な一実施形態では、RCCを治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)ペンブロリズマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0278】
具体的な一実施形態では、RCCを治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
【0279】
(a)ニボルマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0280】
具体的な一実施形態では、RCCを治療するための治療用組合せの使用が本明細書に提供され、治療用組合せは、
(a)セミプリマブ、
(b)それぞれ配列番号4、5および6に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3と、それぞれ配列番号1、2および3に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、V CDR2およびV CDR3とを含む抗ヒトCTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片、ならびに
(c)レンバチニブまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0281】
一実施形態では、RCCは進行RCCである。別の実施形態では、RCCは転移性RCCである。さらに別の実施形態では、RCCは再発RCCである。なお別の実施形態では、RCCは難治性RCCである。さらになお別の実施形態では、RCCは、再発および難治性RCCである。
【0282】
本発明のいくつかの実施形態を説明してきた。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることが理解されるであろう。各実施形態は、そのような組合せが実施形態の説明と一致する限り、1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができることがさらに理解されるであろう。
【0283】
[実施例]
このセクションの実施例は、限定ではなく例示として提供されている。
【0284】
[実施例1]
黒色腫患者に対して、抗CTLA4抗体およびレンバチニブと組み合わせて抗PD-1抗体を投与する臨床試験
黒色腫患者を対象としたペンブロリズマブおよびレンバチニブと組み合わせたCTLA4アンタゴニスト(MK-1308)の第I/II相非盲検ローリングアームアンブレラプラットフォームデザイン(Phase 1 / 2 open-label rolling arm umbrella platform design)のデザイン概要。黒色腫を有する被験者は、ICFスクリーニングを受け(分子試験は必要とされない)、被験者がPD-1難治性黒色腫を有する場合、サブ試験02Aに進む。
【0285】
本試験は、本試験内でPD-1難治性黒色腫の治療のための治験薬の有効性を評価する第I/II相ローリングアーム多施設非盲検アダプティブデザイン試験である。
【0286】
被験者に、CTLA4アンタゴニスト(MK-1308)(25mg Q6Wの固定用量)およびレンバチニブ(20mg QD(1日1回)PO(経口(by mouth)、経口(orally))と組み合わせて、IVによって400mgのペンブロリズマブを6週間に1回(Q6W)投与する。指定された用量でレンバチニブを連日経口投与する。複数の薬剤を同日に投与する場合、投与順序は、ペンブロリズマブ、次いでレンバチニブである。
【0287】
2020年10月28日のデータカットオフの時点で、ペンブロリズマブ(400mg)Q6W、MK-1308(25mg)Q6Wおよびレンバチニブ(20mg)QDの3剤併用に、合計14例の被験者を登録した。これらの被験者のうち10例を安全性リードインフェーズ(Safety Lead-in phase)に登録し、これらの被験者のうち4例を有効性フェーズ(Efficacy phase)に登録した。安全性リードインフェーズの被験者のうち7例がDLTモニタリングウィンドウを完了した。被験者14例全例を分析した。安全性リードインフェーズでは用量制限毒性(DLT)はなく、本発明者らは、20mgレンバチニブ用量で、第II相試験推奨用量を確立することができた。20mgのレンバチニブを含むこの3剤併用は、一般に忍容性が良好であった。患者4例(28.6%)にグレード3~5の薬物関連AEが認められ、いずれもグレード3であり、2例のSAEがあった。グレード3~5の薬物関連AEが認められた患者4例のうち2例(14.3%)に高血圧が認められ、患者1例(7.1%)に血中アルカリホスファターゼの増加が認められ、患者1例(7.1%)に塞栓症が認められ、患者1例(7.1%)にガンマ-グルタミルトランスフェラーゼの増加が認められた。
【0288】
試験被験者14例のうち、患者4例にグレード3の薬物関連有害事象が認められ、グレード4および5の薬物関連有害事象は観察されなかった。被験者2例に、特に注目すべき有害事象(AEOSI)が認められた。被験者1例は甲状腺機能低下症を有し、被験者1例は膵炎を有した。治療した合計14例の被験者のうち、予備データから、8例(57.1%)が1つ以上の薬物関連AEを有したことが示されている。
【0289】
患者2例ではレンバチニブの用量を減少させ、1例では毒性のためレンバチニブを完全に中止した(被験者は、MK1308+ペンブロリズマブによる治療を継続した)。データカットオフ後のこの3剤併用有効性フェーズでは、1例の死亡が報告された。
【0290】
レンバチニブの3つの所定の用量レベルが検討され得る(用量レベル0、用量レベル-1、用量レベル-2)。
【0291】
患者の特徴を表4に示す。安全性リードインフェーズからの追加の患者データは、以下の表に見出すことができる。
【0292】
【表4】
【0293】
【表5】
【0294】
【表6】
【0295】
【表7】
【0296】
【表8】
【0297】
【表9】
【0298】
【表10】
【0299】
【表11】
【0300】
【表12】
【0301】
【表13】
【0302】
【表14】
【0303】
【表15】
【0304】
目的およびエンドポイント
臨床試験サブ試験の目的およびエンドポイントの一覧を以下の表に示す。
【0305】
【表16】
【0306】
投薬
最初に、3つの用量制限毒性(DLT)評価可能被験者を用量レベル0に登録する。DLTについて評価可能でない被験者を置き換えるために、または安全性リードインフェーズ中に用量レベルの徹底的な評価を確実にするために、必要に応じて3~6例超の被験者を用量レベル0に登録してもよい。事象が最初の治療サイクル中、または試験介入の初回投与から3週間の最中に発生し、基準の少なくとも1つを満たす場合、事象はDLTと考えられる。DLTが認められた患者は、以下の基準を満たす場合、サブ試験に留まることが許容される:(1)治験責任医師が、被験者がサブ試験に留まることが適切であると考えていること、および、(2)事象が解消し、もはやDLTの定義を満たしていないこと。
【0307】
次の評価可能な被験者に対する用量推奨は、被験者10例を用量レベル0で試験し、被験者10例のうち4例以下にDLTが認められるまでの最初の3例のDLT評価可能な被験者におけるDLTの観察数と、mTPI体系とに依存する。用量レベル0が忍容できない場合、さらに低い用量レベルを選択してもよい。被験者がDLT評価のために評価可能になるにつれて、DLTについて評価可能である被験者の数対DLTを発現した被験者の数を継続的に評価する。
【0308】
登録が用量レベルについて被験者10例に拡大し、被験者10例のうち4例以下がDLTを発現する場合、用量確認は停止する。登録が用量レベルについて被験者10例に拡大し、被験者10例のうち4例超がDLTを発現する場合、次のさらに低い用量を拡大して、用量応答関係をさらに探索してもよい。
【0309】
治験責任医師は、各毒性事象を、レンバチニブ単独、CTLA4アンタゴニスト(例えばMK-1308)単独、ペンブロリズマブ単独、または組合せによるものとし、CTLA4アンタゴニスト(例えばMK-1308)およびペンブロリズマブならびにレンバチニブの投与延期および再開基準に従ってもよい。この治験治療アームでは、被験者は、CTLA4アンタゴニスト(例えばMK-1308)またはペンブロリズマブの用量変更を受けなくてもよい。CTLA4アンタゴニスト(例えばMK-1308)またはペンブロリズマブに起因する毒性が解消しないか、または治療再開の基準が満たされない場合、被験者は、CTLA4アンタゴニスト(例えばMK-1308)またはペンブロリズマブから打ち切られなければならない。この治験治療アームでは、被験者は、レンバチニブの用量変更を受けてもよい。レンバチニブに起因する毒性が解消しないか、または治療再開の基準が満たされない場合、被験者は、レンバチニブから打ち切られなければならない。以下の投薬表(表6~9)を参照されたい。
【0310】
治験責任医師の判断により、毒性が試験介入の1つに明確に関連する場合、一方の薬剤を保留し、他方の薬剤を保留しないことが適切である。例えば、併用アームでは、CTLA4アンタゴニスト(例えばMK-1308)またはペンブロリズマブを、その薬物に起因する有害事象のために保留し、レンバチニブを投与し続けてもよい。治験責任医師がどの薬物を有害事象の原因としているかに関して、適切な記録が必要である。治験責任医師の判断により、毒性が2つの薬剤の組合せに関連する場合、推奨される用量変更に従って両薬物を保留するべきである。治験依頼者に相談した上で、用量変更体系に従うまでの例外的な状況を考慮してもよい。
【0311】
毒性が最後の治療後12週間以内にグレード0~1まで解消しない場合、治験依頼者に相談した上で、CTLA4アンタゴニスト(例えばMK-1308)および/またはペンブロリズマブおよび/またはレンバチニブを中止すべきである。
【0312】
治験責任医師および治験依頼者の同意を得て、12週間後も依然としてグレード2の検査AEを有する被験者は、無症状かつ制御されている場合に限り、試験での治療を継続してもよい。
【0313】
グレード4の薬物関連AE後、被験者は、治験依頼者に相談せずに試験介入を再開すべきではない。(毒性は、再開前にグレード0~1またはベースラインまで解消していなければならない)。
【0314】
【表17】
【0315】
【表18】
【0316】
【表19】
【0317】
【表20】
【0318】
ペンブロリズマブ投与
ペンブロリズマブは、Q3Wで投与した場合、各治療サイクルの1日目に、またはQ6Wで投与した場合、各他の治療サイクルの1日目に30分間のIV注入として投与する。各施設は、注入タイミングをできるだけ30分に近づけるようにあらゆる努力を払うべきである。ただし、施設ごとの注入ポンプの変動性を考慮すると、-5分および+10分の時間枠が許容される(すなわち、注入時間は30分:-5分/+10分である)。
【0319】
ペンブロリズマブ+MK-1308(CTLA4アンタゴニスト)
進行中の多施設多アーム非盲検第Ib相試験(MK-1308-001)では、固形腫瘍を有する被験者を対象に、ペンブロリズマブと組み合わせたMK-1308(CTLA4アンタゴニスト)が評価されている(NCT03179436)。用量漸増では、ペンブロリズマブ200mg Q3W×4サイクルと組み合わせて、MK-1308を単剤療法×1サイクルとして25mgまたは75mg(コホート1および2)IV Q3Wで投与し、続いてペンブロリズマブ単剤療法を行った。用量確認では、ペンブロリズマブ200mg Q3Wと組み合わせて、25mg Q3W(アームA)、25mg Q6W(アームB)または75mg Q6W(アームC)でのMK-1308によって、1Lの進行NSCLCを有する被験者を治療した。Q9Wで応答を評価した。
【0320】
MK-1308のこのファーストインヒューマン試験は、従来の治療に抵抗性の進行性/転移性固形腫瘍、1L治療未経験NSCLCおよび2L SCLCを有する被験者を対象に、ペンブロリズマブと組み合わせて使用した場合の漸増用量のMK-1308の安全性、忍容性、PKおよび薬物動態を評価するためにデザインされた。MK-1308のPKが、典型的には低いクリアランスと限られた分布容積とを有する他のヒト化mAbのPKと一致すると予測することは妥当である。イピリムマブの集団PKモデルを使用すると、25mgのMK-1308固定用量からの曝露の分布は、0.3mg/kg体重ベースのイピリムマブ用量によって得られたものとかなり重複し、75mgのMK-1308固定用量からの曝露は、1.0mg/kg体重ベースのイピリムマブ用量によって得られたものとかなり重複した[Feng,Y.,et al 2014]。ペンブロリズマブと同様に、MK-1308の固定用量レジメンは、治療施設における物流連鎖の複雑さを軽減し、廃棄物を削減すると予測される。さらに低用量の25mg MK-1308をQ3WまたはQ6Wのいずれかのスケジュールで導入する際の目標は、CTLA-4拮抗作用からの免疫関連毒性の減少がもたらされると予測される、さらに低用量での同様の奏効率が達成され得るかどうかを決定することであった。Q6W間隔での75mgのMK-1308用量を評価する際の目標は、NSCLC集団を対象とした第I相CheckMate-012の結果に基づいて、同様の許容され得る毒性および中止率で予測される奏効率を達成することであった[Hellmann,M.D.,et al 2016]。この臨床試験に参加する被験者の具体的な利益およびリスクに関する詳細は、治験薬概要書(IB)およびインフォームドコンセント文書に見出され得る。
【0321】
以下の証拠に基づいて、有効性拡大フェーズでは、PD-1/L1に抵抗性である進行黒色腫を有する被験者をこの試験に登録することが計画されている:(1)CheckMate 067試験におけるイピリムマブ/ニボルマブ後の奏効率の改善;(2)KEYNOTE-029試験におけるイピリムマブ/ペンブロリズマブによる治療後の奏効率の改善、および;(3)同様の黒色腫集団を対象としたMerck単一施設共同試験の結果[Wolchok,J.D.,et al 2017][Long,G.V.,et al 2017][Olsonm,D.,et al 2018]。
【0322】
07-NOV-2018データベースロックに基づいて、本試験の用量漸増フェーズおよび用量確認フェーズについて、MK-1308の安全性、抗腫瘍活性、薬物動態(PK)および薬力学的バイオマーカーデータの中間解析を行った。進行1L NSCLC集団(アーム群)を対象に、Q6Wで投与したMK-1308 25mgに関する確認を伴う盲検下独立中央評価(BICR)によるORRは、Q6Wで投与した75mg用量レベルに関するORRと類似していた(それぞれ33%対22%)。コホート1、2または3のいずれでも、DLTの目標率に達しなかったが、薬物関連AE、グレード3~5のAE、SAE、および治療の中止または変更をもたらすAEを含むいくつかの異なるAE特徴の中で、比較的高い毒性率が比較的高いMK-1308用量と相関した。グレード3~5のAE率は、コホート1では29%、コホート2では71%、コホート3では100%であった。用量確認フェーズでは、MK-1308用量が低く、治療間隔が長い方が毒性プロファイルが好ましかった(アームBでは45%、アームAでは48%、アームCでは53%、およびアームEでは86%[ペンブロリズマブ200mg Q3Wと組み合わせたMK-1308 75mg])。MK-1308用量が高くなり、投薬が頻繁になると、最初のグレード3~5のAEまでの時間が迅速になった(アームBでは7ヶ月、アームAでは5.2ヶ月、アームCでは5.6ヶ月、およびアームEでは1.1ヶ月)。最も一般的なAEは、倦怠(24.9%)、掻痒(24.4%)、発疹(23.5%)、食欲低下(22.5%)、AST増加(19.2%)、ALT増加(17.4%)、下痢(16.4%)および甲状腺機能低下症(16%)であった。全体として、有効性、安全性およびPKデータは、ペンブロリズマブと組み合わせて使用するためのMK-1308のRP2Dとして、Q6Wで投与される25mgという選択をもたらした。
【0323】
ペンブロリズマブ+レンバチニブ
E7080-A001-111/KEYNOTE-146は、承認された治療法による治療後に進行したまたは利用可能な標準的な有効な治療法がない黒色腫(ブドウ膜黒色腫を除く)を含む、6種類のバイオマーカー非選択転移性固形腫瘍を対象に、ペンブロリズマブと組み合わせたレンバチニブの有効性および安全性を評価するための進行中の多コホート第II相試験である。この試験は進行中であるが、もはや黒色腫患者を登録していない。適格患者は、18歳以上であり、組織学的に確認された非ブドウ膜黒色腫、0~2回の事前の全身抗癌レジメン、および0または1のECOGスコアを有する。主要エンドポイントは、ベースライン、第24週まではQ6W、その後はQ9Wで行った、治験責任医師が読影した腫瘍評価によって決定されるiRECISTに基づく24週目のORRである。副次的エンドポイントには、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、総生存期間(OS)、ならびに組合せの安全性および忍容性が含まれる。被験者全例に、200mgペンブロリズマブIV Q3Wと組み合わせて、レンバチニブ20mgを連日投与した。データカットオフ(2018年3月1日)の時点では、転移性黒色腫患者21例が登録され、被験者の38%が1回以上の事前の抗癌療法を受けていた。
【0324】
登録した全被験者(N=21)について、治験責任医師の評価によりiRECISTを使用した24週目のORRは、47.6%(95%CI:25.7、70.2)であった。確認された10例の応答のうち、9例(42.9%)がPRであり、1例(4.8%)がCRであった。被験者7例(33.3%)に不変が観察され、3例(14.3%)に進行性疾患が認められた。被験者1例は未確認の応答を有した。客観的奏効期間の中央値は12.5ヶ月であった(95%CI、2.7ヶ月、NE)。観察されたPFSの中央値は7.6ヶ月であった(95%CI:2.6ヶ月、15.8ヶ月)。
【0325】
被験者全例に、1回以上の治療関連AEが認められた。致命的な治療関連AEはなかった。最も一般的ないずれかのグレードの治療関連AEは、倦怠(52%)、食欲低下(48%)、下痢(48%)、高血圧(48%)、発音障害(43%)および悪心(43%)であった。それぞれ、被験者13例(62%)および10例(47.6%)に、治療関連AEによる用量減少および中断が発生した。ペンブロリズマブと組み合わせたレンバチニブの安全性プロファイルは、悪性黒色腫および他の腫瘍型の患者では管理可能であるように思われ、単剤療法として投与した場合の各薬剤の安全性プロファイルと一致している。
【0326】
ペンブロリズマブ、MK-1308およびレンバチニブ
主要目的は、有害事象を有する被験者の割合に基づいて、治験中の治療組合せ(ペンブロリズマブおよびレンバチニブと組み合わせたMK-1308)の安全性および忍容性を評価すること、ならびにResponse Evaluation Criteria in Solid Tumors 1.1(RECIST 1.1)による盲検下独立中央評価によって評価されるように、客観的奏効率(ORR)を評価することである。
【0327】
二次的目的は、RECIST 1.1によるBICRによって評価されるように、奏効期間(DOR)を評価することである。DORは、完全奏効(CR)または部分奏効(PR)の最初に記録された証拠から、疾患進行、または何らかの原因による死亡のうちいずれかが最初に起こるまでの時間と定義される。
【0328】
三次/探索的目的には、RECIST 1.1によるBICRによって評価されるように、無増悪生存期間(PFS)を評価することが含まれる。PFSは、無作為化/割り当ての日付から、疾患進行の最初の記録、または何らかの原因による死亡のうちいずれかが最初に起こる日付までの時間である。さらに、本試験は、総生存期間(OS)を評価するために使用される。OSは、無作為化/割り当ての日付から何らかの原因による死亡の日付までの時間である。ORRは、RECIST 1.1(およびRECIST 1.1 for Immune Based Therapeutics(iRECIST))に従って治験責任医師によって評価されるように評価される。本試験の目的は、実施例における各薬剤の薬物動態(PK)プロファイル、投与後の各薬剤の循環抗薬物抗体の発現を特性評価すること、ならびにペンブロリズマブ、MK-1308およびレンバチニブの臨床応答/耐性、安全性、および/または作用機序を示し得る分子(ゲノム、代謝および/またはプロテオミクス)バイオマーカーを同定することである。本試験はまた、全体的な健康状態/生活の質(QoL)および身体機能における患者報告アウトカム(PRO)スコアのベースラインからのスコア変化および真の悪化までの期間(TTD)を評価し、効用スコアを生成するためにEuropean Quality of Life 5-dimension 5-level(EQ-5D-5L)質問票によって評価される健康状態を評価し、腫瘍増殖動態に対する治療の効果を評価するために使用される。
【0329】
RECIST 1.1は、有効性測定について画像を評価する際にBICRによって使用され、適格性を判定する際に現地施設によって使用される。Modified RECIST 1.1 for immune-based therapeutics(iRECIST)評価は、米国食品医薬品局および欧州医薬品庁からの参加に加えて、業界および学界からの主要な専門家からのインプットを受けて、RECISTワーキンググループによって開発および公開されている。標的病変の一次元測定、非標的病変の定性的評価、および応答カテゴリーは、進行がRECIST 1.1によって認められるまでRECIST 1.1と同一である。ただし、被験者が臨床的に安定している場合、画像診断上の進行を確認するために追加の撮像を行ってもよい。iRECISTは、腫瘍の応答および進行を評価し、治療決定を行うために、ならびに指定される場合には探索的有効性分析のために治験責任医師によって使用される。
【0330】
黒色腫を有する少なくとも18歳の男性/女性被験者を本試験に登録する。最大約100例の被験者を登録する。被験者集団はPD-1難治性黒色腫である。
【0331】
最大28日間のスクリーニングフェーズの後、各被験者は、約2年間にわたり、または治験責任医師によってRECIST 1.1に従って疾患進行が画像診断的に記録されるまで、受け入れられないAE、同意の撤回、もしくは死亡、試験介入をさらに投与するのを妨げる併発疾患、治験責任医師による被験者を打ち切る決定、試験介入もしくは処置要件の不遵守、もしくは試験介入の中止を必要とする管理上の理由のうちいずれかが最初に起こるまで、試験介入を受ける。治験責任医師が決定した確認された完全奏効(CR)を達成した被験者については、少なくとも24週間の試験介入が投与された後、試験介入の中止を検討してもよい。さらに、RECIST 1.1による確認されたCRが達成された場合、CRが最初に記録された後に、少なくとも2回の追加用量の試験介入を受けなければならない。
【0332】
被験者に、継続的な介入による臨床的有用性が認められる可能性があり、iRECIST(RECIST 1.1 for immune-based therapeutics)に従って、被験者が試験介入を忍容していると治験担当医師が考える限り、RECIST 1.1によって定義される疾患進行を超えて被験者が試験介入を継続することが許可される。iRECISTによる疾患進行を超える治療は、治験依頼者の相談および承認を受けて許可され得る。
【0333】
最終投与(EOT)後、AEの発生、および自発的に報告された妊娠について、各被験者を追跡する。
【0334】
画像診断上の疾患進行に起因して打ち切られる被験者は、治療後の安全性および生存追跡調査に移る。画像診断上の疾患進行以外の理由で打ち切られる被験者は、疾患進行が治験責任医師によってRECIST 1.1に従って画像診断的に記録されるまで、本試験以外の癌治療が開始されるまで、同意が撤回されるまで、妊娠するまで、死亡するまで、または追跡調査ができなくなるまで、疾患症状について治療後の安全性および追跡調査撮像を受ける。死亡、同意の撤回、または本試験の終了まで、総生存期間(OS)について、被験者全例を追跡する。
【0335】
本試験には、PD-1難治性黒色腫を有する被験者を含める。PD-1難治性黒色腫は、単剤療法として、または他のチェックポイント阻害剤もしくは他の療法と組み合わせて投与された抗PD-1/L1 mAbによる治療に対して進行していなければならない。被験者は、承認された抗PD-1/L1 mAbを少なくとも2用量投与されていなければならず、RECIST 1.1によって定義されたPD-1/L1後の疾患進行を示していなければならない。この状況では承認された治療法は存在しないため、この集団は高い必要性を有すると考えられる。
【0336】
本試験は、ペンブロリズマブベース/非ペンブロリズマブベースの組合せを評価する1つ以上の治験治療アームからなる。任意の所与の時点で複数の治験治療アームに欠員がある場合、欠員がある治験治療アームの1つに被験者を無作為に割り当てて登録する。
【0337】
本試験は、組合せのRP2Dが別個の第I相試験で確立された後の有効性フェーズのみからなる。ただし、組合せのRP2Dが事前に確立されていない場合(すなわち、2つ以上の治験薬と組み合わせたペンブロリズマブ)、本試験は、2つのフェーズ、すなわち、組合せの予備RP2Dが確立される最初の安全性リードインフェーズと、それに続く有効性フェーズを有する。
【0338】
有効性エンドポイント
本試験の主要有効性目的は、PD-1難治性黒色腫を有する被験者を対象に、ペンブロリズマブを伴うまたは伴わない様々な治験薬の抗腫瘍効果を評価することである。
【0339】
本試験は、主要有効性エンドポイントとして客観的奏効を使用する。
【0340】
客観的奏効率は、CRまたはPRとして最良の奏効を有する被験者の割合と定義される。奏効は、RECIST 1.1(1器官当たり最大10個の標的病変および最大5個の標的病変を追跡するように改変)を使用したBICRに基づく。客観的奏効率は、治験治療アームの抗腫瘍活性を評価するための適切なエンドポイントである。
【0341】
ORRによって測定される治療効果は、迅速な承認を裏付けることができるか、従来の承認を裏付けることができるか、または特定の疾患、使用状況、効果の大きさ、CRの数、奏効の持続性、疾患の状況、腫瘍の位置、利用可能な治療、およびリスクと有用性との関係に基づいて、直接的な臨床的有用性を表すことができる。
【0342】
本試験では、DORを副次的有効性エンドポイントとして使用する。奏効期間は、適格な奏効の最も早い日付から、疾患進行、または何らかの原因による死亡のうちいずれかが最初に起こる最も早い日付までの時間と定義される。BICRによって評価される、1器官当たり最大10個の標的病変および最大5個の標的病変を追跡するように改変されたRECIST 1.1による奏効期間は、有効性の追加の尺度として役立ち、規制当局および腫瘍学団体の両方によって一般に受け入れられているエンドポイントである。
【0343】
本試験では、PFSを探索的有効性エンドポイントとして使用する。無増悪生存期間は、BICRによって評価されるように、RECIST 1.1基準に基づいて、無作為化/割り当ての日付から、疾患進行、または何らかの原因による死亡のうちいずれかが最初に起こる最初の日付までの時間と定義される。奏効評価におけるバイアスを最小限に抑えるために、治療割り当てを知らされていない中央画像診断機関によって画像が読影される。無増悪生存期間は、腫瘍増殖を反映し得、生存有用性の決定の前に評価され得る。その決定は、その後の治療によって交絡されない。PFSによって測定される治療効果は、迅速な承認を裏付けるための代理エンドポイント、従来の承認を裏付けるための代理エンドポイントであり得るか、または特定の疾患、使用状況、効果の大きさ、疾患の状況、転移部位の位置、利用可能な治療、リスクと有用性との関係、および重要な疾患部位における進行の遅延もしくは予防(例えば、脳または脊椎内の新たな病変の遅延)、もしくはさらに毒性の高い治療の投与の遅延の臨床的結果に基づく直接的な臨床的有用性を表し得る。本試験ではまた、探索的エンドポイントとして、RECIST 1.1に従って治験責任医師によって評価されるようにORRを評価する。
【0344】
さらに、本試験では、探索的有効性エンドポイントとしてOSを使用する。総生存期間(overall survival)は、無作為化臨床試験では、新たな抗新生物療法の優位性を実証するためのゴールドスタンダードとして認識されている。本試験では、総生存期間は、無作為化/割り当ての日付から、何らかの原因による死亡までの時間と定義される。
【0345】
採用基準
被験者は、以下のすべてに該当する場合に限り、本試験に採用される資格がある:
1.組織学的または細胞学的に確認された黒色腫を有すること。
【0346】
2.AJCC第8版病期分類基準(付録9を参照)による切除不能のステージIIIまたはステージIVの黒色腫を有し、局所療法に適していないこと。
【0347】
3.BICRによって確認されるように、RECIST 1.1に従って、CTまたはMRIによって測定可能な少なくとも1つ病変の存在を有すること。
a.皮膚病変および他の表在性病変は、測定可能な病変と考えられないが、非標的病変と考えられる場合がある。
b.被験者がRECIST 1.1に従って1つの測定可能な病変のみを有する場合、非標的病変または保存組織から生検標本を得るべきである。単独の標的病変から生検標本を得た場合、生検後に反復スクリーニングCTを取得し、測定可能な疾患をBICRによって確認しなければならない。
c.以前に照射された領域内にある病変は、放射線の完了後に病変の増殖が記録されていない限り、測定可能であると考えられるべきではない。
【0348】
4.単剤療法として、または他のチェックポイント阻害剤もしくは他の療法と組み合わせて投与された抗PD-1/L1 mAbによる治療に対して進行していること。PD-1治療進行は、以下の基準のすべてを満たすことによって定義される:
a.承認された抗PD-1/L1 mAbの少なくとも2用量を投与された。
b.RECIST 1.1によって定義されるように、PD-1/L1後の疾患進行を実証した。疾患進行の最初の証拠は、急速な臨床的進行がない場合、最初に記録された進行性疾患の日付から4週間以上の第2の評価によって確認されるべきである。この決定は、治験責任医師が行う。進行性疾患が治験責任医師によってiRECISTに従って確認された後、進行性疾患の記録の最初の日付を疾患進行の日付と見なす。
c.進行性疾患が、抗PD-1/L1 mAbの最終投与から12週間以内に記録されている。
d.ステージIIIまたはIVの黒色腫の完全切除後にアジュバント治療として抗PD-1療法を受け、動的治療中、または抗PD-1の停止から6ヶ月以内に疾患が再発した(切除不能な局所領域疾患または遠隔転移)被験者。これらの被験者には、以下が適用される:1)再発を超えた疾患進行を確認するための第2の評価は必要とされない;2)抗PD-1/L1 mAbの事前の少なくとも2用量を投与されていなければならない。この被験者集団は、各治験治療アーム内で約20%に制限され得る。
e.CTLA-4阻害剤による事前治療は許可されない。
【0349】
5.試験前の撮像を提出していること。注記:当該施設の試験チームは、抗PD-1/L1剤の開始後にRECIST 1.1/iRECISTに従って画像診断上の進行が生じたことを決定するために、少なくとも3日間の、診断品質を有する試験前画像を評価していなければならない。CIVは、これらのスキャンを受け取っていなければならず、それらが、採用基準4:被験者が抗PD-1/L1剤に抵抗性でなければならないという遡及的分析のための本試験における治療の無作為化/割り当ての前に、許容され得る診断品質であることを確認していなければならない。CIVは、治療の無作為化/割り当ての前に、この適格基準を確認していない。
【0350】
6.進行黒色腫に対して3ラインを超える治療を受けていないこと。
【0351】
7.腫瘍生検を提供していること。
a.被験者は、中央病理検査室で腫瘍組織の妥当性を確認するために、スクリーニング中に腫瘍試料を提出しなければならない。腫瘍組織試料を提出しない被験者は、無作為化されない/割り当てられない。
b.腫瘍試料は、新たに得られるべきである(非常に好ましい)。新たに得られた組織を提供できない場合;治験依頼者との議論の後、保存試料が許容される場合がある。PD-1/L1剤に対する進行後に得られた保存試料のみが許容される。
c.新たな組織試料が提出される場合、腫瘍生検は単独の標的病変から得られないことが好ましい。生検標本が単独の標的病変から得られた場合、生検後に反復スクリーニングCTを取得し、測定可能な疾患をBICRによって確認しなければならない。
【0352】
8.男性被験者-男性被験者は、介入期間中、およびレンバチニブの最終投与後少なくとも30日間にわたり、以下に同意する場合、参加資格がある:
a.好ましい通常の生活習慣としての異性間性交を控え(長期的かつ持続的に控える)、控えたままであることに同意するか、または
b.以下のように、無精子(精管切除された、または医学的原因に続発する)であることが確認されない限り、避妊法を使用することに同意しなければならない:
i.現在妊娠していない妊娠可能な女性(WOCBP)と陰茎-膣間の性交をしている場合、男性がコンドームを使用するほか、パートナーが追加の避妊法を使用することに同意する。注記:妊娠中または授乳中のパートナーを有する男性は、陰茎-膣間の性交を控えるか、または陰茎-膣間の貫通の各エピソード中に男性がコンドームを使用することに同意しなければならない。
【0353】
9.女性被験者は、妊娠中または授乳中でなく、以下の条件のうちの少なくとも1つに該当する場合、参加資格がある:
a.WOCBPでないこと、または
b.介入期間中、およびペンブロリズマブ後少なくとも120日間もしくはレンバチニブ後30日間のうちいずれか最後の方にわたって、付録5に記載されているように、非常に効果的であり(失敗率が年間1%未満である)、使用者への依存性が低い避妊法を使用しているか、もしくは好ましい通常の生活習慣としての異性間性交を控えている(長期的かつ持続的に控えている)WOCBPであること。治験責任医師は、試験介入の初回投与と関連付けて、避妊法の失敗(すなわち、不遵守、最近開始された)の可能性を評価すべきである。
・WOCBPは、試験介入の初回投与前24時間以内に、高感度妊娠検査(現地の規制によって要求される尿または血清)が陰性でなくてはならない。
・尿検査が陰性であると確認できない場合(例えば、不明瞭な結果)、血清妊娠検査が必要である。そのような場合、血清妊娠結果が陽性であれば、被験者は参加から除外されなければならない。
・治験責任医師は、初期の未検出の妊娠を有する女性を採用するリスクを低減するために、病歴、月経歴、および最近の性的行為の評価を担当する。
【0354】
除外基準
被験者が以下の場合、被験者は試験から除外されなければならない:
【0355】
医学的症状
1.試験介入の初回投与前の7日以内に、免疫不全の診断を受けているか、または慢性的な全身ステロイド療法(1日10mgを超える用量のプレドニゾン等価物)もしくは任意の他の形態の免疫抑制療法を受けている。気管支拡張薬、吸入ステロイドまたは局所ステロイド注射の断続的な使用を必要とする喘息を有する被験者は、試験から除外されない。
【0356】
2.過去2年以内に、進行しているかまたは動的治療を必要とする既知の追加の悪性腫瘍を有する。続発性悪性腫瘍による除外の例外には、皮膚の基底細胞癌、皮膚の扁平上皮癌、リンパ節転移のない、深さ<1mmの新たな非潰瘍性原発性黒色腫、潜在的に治癒的な治療を受けている、グレード1の濾胞性リンパ腫または上皮内癌(例えば、乳癌、子宮頸部のインサイチュ癌)が含まれる。
【0357】
3.既知の活動性CNS転移および/または癌性髄膜炎を有する。以前に治療されたCNS転移を有する被験者は、安定しており(安定性を示す、少なくとも4週間の間隔を空けた2回のスキャンによって証明されるように、試験介入の初回投与前の撮像による進行の証拠を伴わず、かつ任意の神経学的症状がベースラインに戻っている)、反復撮像によって確認された新たな脳転移または拡大する脳転移の証拠を有さず、試験介入前の少なくとも14日間ステロイドを必要としていなければ、参加してもよい。安定性を示す第2のスキャンは、スクリーニングフェーズ内に取得された場合、ベースラインスキャンとして使用され得る。
【0358】
注記:無症状の以前に治療していない脳転移を有する被験者は、脳内に合計3個以下の病変があり、それらの最長直径が1cm未満であれば参加してもよい。これらの病変の安定性は、反復撮像によって確認する必要はない。被験者全例について、ベースラインMRI脳スキャンを取得する。脳CTスキャンは、MRIが禁忌である場合にのみ使用されるべきである。安定性を示す第2の脳MRIは、スクリーニングフェーズ内に取得された場合、ベースラインスキャンとして使用され得る。
【0359】
4.眼内黒色腫または粘膜黒色腫を有する。
【0360】
5.別のmAbによる治療に対する以前の臨床的に重大な過敏反応を含む、活性物質、またはそれらの賦形剤のいずれかに対する既知の過敏症を有する。賦形剤の一覧については、それぞれのIBを参照されたい。
【0361】
6.過去2年間に全身治療を必要とした(すなわち、疾患改変剤、コルチコステロイドまたは免疫抑制薬を使用する)活動性自己免疫疾患を有する。置換療法(例えば、副腎機能不全または下垂体機能不全のためのチロキシン置換療法、インスリン置換療法または生理学的コルチコステロイド置換療法)は、全身治療の一形態とは考えられず、許容される。
【0362】
7.全身療法を必要とする活動性感染症を有する。
【0363】
8.ヒト免疫不全ウイルス(HIV;HIV1/2抗体)の既知の病歴を有する。現地の保健当局によって義務付けられていない限り、HIVの検査は必要とされない(国固有の要件については付録11を参照)。
【0364】
9.B型肝炎(HBsAg反応性と定義される)または既知のC型肝炎ウイルス(HCV RNA[定性的]が検出されると定義される)感染の既知の病歴を有する。注記:現地の保健当局によって義務付けられていない限り、B型肝炎およびC型肝炎の検査は必要とされない(国固有の要件については付録11を参照)。
【0365】
10.ステロイドを必要とした(非感染性)肺炎の病歴を有すること、または現在肺炎を有する。
【0366】
11.活動性結核(TB;結核菌(Bacillus tuberculosis))の病歴を有する。(国固有の要件については付録11を参照)。
【0367】
12.無作為化または治療割り当て前の24時間以内に尿妊娠検査が陽性であるWOCBPである(付録5を参照)。尿検査が陽性であるか、または陰性であると確認できない場合、血清妊娠検査が必要となる。
注記:スクリーニング妊娠検査と試験介入の初回投与との間に24時間超が経過した場合、被験者が試験介入を受け始めるためには、別の妊娠試験(尿または血清)を行わなければならず、別の妊娠試験(尿または血清)が陰性でなければならない。
【0368】
事前/併用療法
13.無作為化/割り当て前の4週間以内に治験薬を含む事前の全身抗癌療法を受けている。注記:被験者は、事前の治療により、あらゆるAEからグレード1以下またはベースラインまで回復していなければならない。グレード2以下の神経障害および/またはグレード2以下の内分泌障害を有する被験者は、適格であり得る。注記:被験者が大手術を受けた場合、被験者は、試験介入を開始する前に、介入からの毒性および/または合併症から十分に回復していなければならない。
【0369】
14.試験介入の初回投与の2週間以内に事前の放射線療法を受けている。被験者は、あらゆる放射線関連毒性から回復していなければならず、コルチコステロイドを必要としてはならず、放射線肺炎を有してはならない。
【0370】
15.大手術を受けたことがある(試験介入の初回投与前3週間未満)。注記:被験者が大手術を受けた場合、被験者は、試験介入の初回投与前に介入からの毒性および/または合併症から十分に回復していなければならない。大手術後の適切な創傷治癒は、適格性のために経過した時間とは無関係に臨床的に評価されなければならない。
【0371】
16.試験介入の初回投与前30日以内に生ワクチンを受けている。生ワクチンの例には、限定するものではないが、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、水痘(varicella)/帯状疱疹(水痘(chicken pox))、黄熱病、狂犬病、BCGおよび腸チフスワクチンが挙げられる。注射用の季節性インフルエンザワクチンは、一般に死滅ウイルスワクチンであり、許容される。ただし、鼻腔内インフルエンザワクチン(例えばFluMist(登録商標))は弱毒生ワクチンであり、許容されない。
【0372】
事前/同時臨床試験経験
17.治験薬の試験に現在参加しているかもしくは参加したことがあるか、または試験介入の初回投与前4週間以内に治験用医療機器を使用したことがある。注記:治験試験の追跡調査フェーズに入った被験者は、以前の治験薬の最終投与から4週間経過していれば参加してもよい。
【0373】
他の除外事項
18.治験担当医師の判断により、試験の結果を交絡させ得るか、試験の全期間にわたって参加を妨げる可能性があるか、または参加する被験者にとって最大の利益にならない任意の症状、療法もしくは検査異常の病歴を有するか、または現在の証拠を有する。
【0374】
19.試験介入の最終投与後120日間にわたるスクリーニング来院から開始して、試験の予測される期間内に、妊娠しているか、または授乳中であるか、または子供を妊娠しようとしているか、もしくは子供をもうけようとしている。
【0375】
20.同種間組織/臓器移植を受けたことがある。
【0376】
21.既存のグレード3以上の胃腸瘻または非胃腸瘻を有する。
【0377】
22.主要血管の浸潤の不整狭窄、または腫瘍内空洞化の画像診断上の証拠を有する。注記:レンバチニブ治療後の腫瘍縮小/壊死に関連する重度の出血の潜在的リスクのために、主要血管への近接度を考慮すべきである。
【0378】
23.試験介入の初回投与前2週間以内に臨床的に重大な喀血または腫瘍出血を有する。
【0379】
24.試験介入の初回投与から12ヶ月以内に、New York Heart Association Class IIIまたはIV鬱血性心不全、不安定狭心症、心筋梗塞、脳血管発作、または血行動態不安定に関連する心不整脈を含む、臨床的に重大な心血管疾患を有する。注記:医学的に制御された不整脈は許容される。
【0380】
25.尿タンパク質≧1g/24時間を有する。注記:尿分析で>1+のタンパク尿を有する被験者は、タンパク尿の定量的評価のために24時間の尿採取を受ける。
【0381】
26.QTc間隔(Fridericiaの式を使用して計算)が>480msecに延長されている。
【0382】
27.MUGAまたは心エコー図によって決定されるように、LVEFが施設正常範囲未満である。
【0383】
28.吸収不良、胃腸吻合、またはレンバチニブの吸収に影響を及ぼし得る任意の他の症状を含む胃腸症状の存在を有する。
【0384】
29.試験の要件との協調を妨げる既知の精神医学的障害または物質乱用障害を有する。
【0385】
用量制限毒性(Dose Limiting Toxicity)
用量制限毒性は、安全性リードインフェーズの最初のサイクル中に観察された毒性から定義される。以下の毒性のいずれかの発生は、治験責任医師の評価により毒性が試験介入に明らかに関連しないと決定されない限り、DLTと考えられる:
・グレード4の非血液学的毒性(非臨床検査)
・以下を除く、7日間以上持続するグレード4の血液学的毒性
o任意の期間のグレード4の血小板数減少
o出血に関連する場合、グレード3の血小板数減少
o21日間以上持続するグレード4のリンパ球減少症
・最適な支持療法にもかかわらず、3日間を超えて持続するグレード3以上の任意の非血液学的AE(非臨床検査)
・以下の場合、任意のグレード3またはグレード4の臨床的に重大な非血液学的検査異常:
o被験者を治療するために医学的介入が必要とされる、または
o異常が入院につながる、または
o異常が1週間を超えて持続する
・グレード3またはグレード4の発熱性好中球減少症
・DLTウィンドウ中に試験介入から被験者を打ち切る原因となる任意の治療関連AE
・グレード5の任意の毒性
・サイクル3の開始が2週間を超えて遅延する任意の治療関連毒性
【0386】
スクリーニング時およびRECIST 1.1進行前の評価
RECIST 1.1に基づく画像診断上の疾患進行まで、明確なiRECIST評価はない。
【0387】
RECIST 1.1進行時の評価および決定
治験責任医師によって決定されるように、RECIST 1.1による放射線学的進行性疾患の証拠を示す被験者について、治験責任医師は、(被験者管理のためにiRECISTを使用して)反復撮像が取得されるまで試験介入を被験者に継続するかどうかを決定する。治験責任医師によるこの決定は、被験者の全体的な臨床症状に基づくべきである。
【0388】
臨床的安定性は、以下のように定義される:
・疾患の臨床的に重大な進行を示す症状および徴候の欠如
・ECOGパフォーマンスステータスが低下していない
・鎮痛、放射線または他の緩和ケアの増加を含む管理強化を必要としない
【0389】
臨床的に不安定であると考えられる被験者は、進行性疾患の最初の放射線学的証拠を当該施設が評価した時点で試験介入から打ち切られるべきであり、iRECISTによる進行性疾患の確認のために腫瘍撮像を繰り返す必要はない。
【0390】
治験責任医師が治療を継続することを決定した場合、被験者は引き続き試験介入を受けてもよく、腫瘍評価は、治験責任医師の評価に従ってiRECISTによって進行性疾患を確認するために4~8週間後に繰り返されるべきである。画像は、潜在的な遡及的BICRのために中央画像診断機関に引き続き送られるべきである。
【0391】
腫瘍フレアは、以下を含む、RECIST 1.1による画像診断上の進行を引き起こす任意の因子として現れる場合がある:
・ベースラインで同定された標的病変(類)の直径の合計の20%以上への増加、および
・最下点から5mm以上
・注記:iRECIST刊行物は、「測定値の合計」という用語を使用しているが、このプロトコルでは、元のRECIST 1.1の用語と一致して「直径の合計」が使用される。
・ベースラインで同定された非標的病変(類)の明らかな進行
・新たな病変(類)の発現
【0392】
iRECISTは、iUPD(確認されていない進行性疾患)およびiCPD(確認された進行性疾患)を含む新たな応答カテゴリーを定義する。iRECIST評価の目的のために、RECIST 1.1による進行を示す最初の来院には、どの因子が進行を引き起こしたかにかかわらず、iUPDの来院(全)奏効が割り当てられる。
【0393】
この来院時に、RECIST 1.1によってベースライン時に同定された標的病変および非標的病変を通常通り評価する。
【0394】
新たな病変は、RECIST 1.1におけるベースライン病変評価と同じサイズ閾値および規則を使用して、測定可能または測定不可能に分類される。測定可能な新たな病変から、合計で最大5つの病変(1器官当たり最大2つ)を新たな病変-標的として選択してもよい。これらの病変の直径の合計を計算し、ベースラインでの標的病変の直径の合計とは区別しておく。他のすべての新たな病変を新たな病変-非標的として定性的に追跡する。
【0395】
確証的撮像時の評価
確証的撮像時に、被験者は、(iCPDの全奏効を伴って)確認された進行として、または(iUPDの全奏効を伴って)持続的な未確認の進行を示しているとして、または疾患安定性もしくは奏効(iSD/iPR/iCR)を示しているとして分類される。
【0396】
進行の確認
以下のいずれかが発生した場合、進行が確認されたと考えられ、全奏効はiCPDとなる。
【0397】
・以前の来院時にiUPDの基礎となった因子のいずれかが悪化を示す
-標的病変について、悪化は、任意の以前のiUPD時点と比較して、≧5mmの直径の合計のさらなる増加である
-非標的病変について、悪化は、以前のiUPD時点と比較して、全体的な病変の任意の重大な増殖である;これはRECIST 1.1の「明らかな」基準を満たす必要はない。
-新たな病変について、悪化は以下のいずれかである:
o以前のiUPD時点から新たな病変の直径の合計が≧5mm増加
o新たな非標的病変の可視増殖
o追加の新たな病変の出現
・RECIST 1.1によって、進行性疾患を引き起こしたであろうと思われる任意の新たな因子が現れる。
【0398】
持続性iUPD
以下の場合、進行は確認されていないと考えられ、全奏効はiUPDのままである:
・上記で同定された進行確認因子のいずれも発生せず、かつ
・標的病変の直径の合計(初期標的病変)が、初期PD閾値(RECIST 1.1による)を上回ったままである。
【0399】
確認のための追加の撮像は、iUPDが見られる撮像から4~8週間後に予定されるべきである。これは、元の来院スケジュールにおける次の来院に対応することができる。その後の確認撮像の評価は、同一の様式で進行し、iCPD、iUPDおよびiSD/iPR/iCRの起こり得る転帰を伴う。
【0400】
iUPDの解消
以下の場合、進行は確認されていないと考えられ、全奏効はiSD/iPR/iCRとなる:
・上記で同定された進行確認因子のいずれも発生せず、かつ
・標的病変の直径の合計(初期標的病変)が、初期進行性疾患閾値を超えていない。
【0401】
応答は、(標的病変の直径の合計に応じて)iSDもしくはiPR、またはすべての病変が消散する場合はiCRに分類される。
【0402】
この場合、初期iUPDは偽進行と考えられ、進行に対する疑いの程度は「リセット」される。これは、画像診断上の進行を示す次の来院が起こるたびに、iRECISTによってiUPDとして再び分類され、iCPDの応答が割り当てられ得る前に確認プロセスが繰り返されることを意味する。
【0403】
確証的撮像後の管理
治験責任医師によって評価されるように、反復撮像によってiRECISTによる進行性疾患が確認されず、被験者が臨床的に安定したままである場合、試験介入を継続し、通常の撮像スケジュールに従ってもよい。進行性疾患が確認された場合、被験者は試験介入から打ち切られる。
【0404】
偽進行解消後の来院時の進行の検出
偽進行の解消(すなわち、iSD/iPR/iCRの達成)後、iUPDは、以下の事象のいずれかによって示される:
・標的病変
-直径の合計が、最初に、または以前の偽進行の解消後に、進行性疾患閾値に達する(最下点から≧20%および≧5mmの増加)。最下点は、常に、偽進行の例の前または後のいずれかで、サブ試験全体の最中に見られる直径の最小合計である。
・非標的病変
-非標的病変が明らかな進行を示したことが一度もない場合、それを初めて行うことによりiUPDに至る。
-非標的病変が以前に明らかな進行を示しており、この進行が解消していない場合、iUPDは、全体として、非標的病変の顕著なさらなる増殖に起因する。
・新たな病変
-新たな病変が初めて現れる
-追加の新たな病変が現れる
-以前に同定された新たな標的病変が、その合計の最下点の値から、新たな病変の直径の合計の≧5mmの増加を示す
-以前に同定された非標的病変が顕著な増殖を示す。
【0405】
上記の事象のいずれかが起こった場合、その来院に対する全奏効はiUPDであり、iUPD評価プロセス(上記「確証的撮像時の評価」を参照)が繰り返される。
【0406】
iCPDが生じ得る前に進行を確認しなければならない。決定プロセスは、1つの例外を除いて、初期進行性疾患のためのiUPD確認プロセスと同一である:新たな病変がiUPDの以前の例で生じ、確証的撮像時に、新たな病変の負荷がその最小値から増加している場合(新たな標的病変の場合、直径の合計は最下点から≧5mm増加している)、iUPDは、iSDまたはiPRまで解消され得ない。これは、新たな病変負荷の減少がiSDもしくはiPRまでの解消を可能にするまで、または、確証的因子がiCPDを引き起こすまで、iUPDのままである。iRECISTに関する追加の詳細は、iRECIST刊行物に提供されている[Seymour,L.,et al 2017]。
【0407】
AJCC第8版病期分類基準および全病期分類表
AJCCは、黒色腫を定義するために、TNM分類による病期分類を指定している。
【0408】
以下の病期分類表(表21~24)は、AJCC第8版から適合させた。追加の情報については、AJCCガイドラインを参照されたい[Gershenwald,J.E.,et al 2017]。ECOGパフォーマンスステータスを表25に列挙する。
【0409】
【表21】
【0410】
【表22】
【0411】
【表23】
【0412】
【表24】
【0413】
【表25】
【0414】
試験介入の中止、および被験者の離脱
試験介入の中止は、試験からの離脱を表すものではない。試験介入の中止を超える臨床事象に関する特定のデータは、試験にとって重要であり得るため、被験者が試験介入から打ち切られた場合であっても、被験者の最後に予定された追跡調査を通じて特定のデータを収集しなければならない。したがって、指定された治療期間の完了前に試験介入から打ち切られる被験者はいずれも、試験に参加し続ける。
【0415】
被験者は、何らかの理由でいつでも試験介入から打ち切られ得るか、または何らかの不都合な効果が生じた場合に治験責任医師の裁量により試験介入から打ち切られ得る。さらに、試験介入が不適切である場合、試験計画に違反している場合、または管理上および/もしくは他の安全上の理由のために、治験責任医師または治験依頼者によって試験介入から被験者が打ち切られ得る。
【0416】
被験者は、試験介入から打ち切られなければならないが、以下の理由のいずれかのために試験でモニタリングされ続けなければならない:
被験者、または被験者の法定代理人が、試験介入を中止することを要求する。
・治験責任医師および治験依頼者の判断により、被験者が、試験介入の継続的な投与から被験者を不必要なリスクにさらす医学的症状または個人的状況を有する。
・被験者について、陽性血清妊娠検査が確認されている。
・記録された疾患進行。注記:治験責任医師が評価した臨床的安定性が観察され、被験者が試験介入を忍容している場合、被験者は、記録された、RECIST 1.1により定義された進行を超えて治療を継続することが許可される。本試験では、iRECISTによる進行性疾患を超える治療は、治験依頼者の相談および承認後に許可され得る。適応およびiRECISTプロセスの説明は付録8に提供されており、追加の詳細はiRECIST刊行物に提供されている[Seymour,L.,et al 2017]。
・何らかの悪性腫瘍の何らかの進行もしくは再発、または動的治療を必要とする別の悪性腫瘍の何らかの発生。続発性悪性腫瘍の例外には、皮膚の基底細胞癌、皮膚の扁平上皮癌、リンパ節転移のない、深さ<1mmの新たな非潰瘍性原発性黒色腫、潜在的に治癒的な治療を受けている、グレード1の濾胞性リンパ腫または上皮内癌(例えば、乳癌、子宮頸部のインサイチュ癌)が含まれる。例外については、治療を継続する前に治験依頼者と議論すべきである。
・再発性グレード2の肺炎、および治療中止(用量変更)を必要とし得る他のAE。
・約2年間の試験介入の完了。
【0417】
インフォームドコンセント
治験責任医師または医学上資格を与えられた被指名人(現地の要件と一致する)は、臨床試験に参加する前に、各潜在的被験者、または各被験者の法定代理人から文書化された同意を得なければならない。試験中に被験者の症状に変化がある場合(例えば、主要な要件の健康状態または年齢)、治験責任医師または医学上資格を与えられた被指名人は、適切な同意が得られていることを保証しなければならない。
【0418】
腫瘍撮像、および疾患の評価
画像収集、およびCIVへの送信のためのプロセスは、当該施設の撮像マニュアルに見出すことができる。
【0419】
胸部、腹部、骨盤および頸部(疾患が存在する場合)の診断品質CTは、ベースライン、および予定されたあらゆる追跡調査来院時に必要とされる。腫瘍撮像は、CTによって取得されることが極めて好ましい。PET/CTのCT部分は、それが当該施設の撮像マニュアルによる診断品質である場合、スタンドアロンCTの代わりに使用され得る。施設の標準的な慣行が、専用のCTではなくPET/CTによって被験者を追跡することである場合、これらの初期画像は、RECIST 1.1およびiRECISTと一致して、以前の抗PD-1/L1阻害剤に対する進行を示さなければならない。新たな病変がない場合、PETによる「既存の疾患の悪化」は許容されない。PET/CTまたは診断品質CTのいずれかに、新たな病変が見られなければならない。追加情報については、当該施設の撮像マニュアルを参照されたい。
【0420】
腹部および骨盤については、ヨウ素化造影剤を用いたCTが禁忌である場合、または現地の慣行によって要求される場合、造影増強MRIを使用してもよい。磁気共鳴断層撮影は、脳を撮像するための極めて好ましいモダリティである。モダリティ、理想的には同じスキャナ、および造影剤の使用に関する同じ撮像技術は、既存および新規の腫瘍負荷の評価の再現性を最適化し、撮像に基づく応答または進行の評価の精度を改善するために、本試験全体を通して被験者に使用されるべきである。注記:腫瘍撮像を評価する目的では、用語「治験責任医師」は、当該施設の現地治験責任医師および/または当該施設もしくはオフサイト施設の放射線学査閲者を指す。
【0421】
脳撮像は、スクリーニング時に被験者全例に必要である。磁気共鳴断層撮影が好ましいが、MRIが医学的に禁忌である場合、CT撮像が許容される。
【0422】
無作為化の前にRECIST 1.1に従ってBICRによって測定可能な疾患の存在を検証するために、当該施設からの試験被験者全例についてスクリーニング時に行われたあらゆる予定された画像が、CIVに提出される。当該施設からの試験被験者全例のその後のあらゆる予定された画像がCIVに提出される。さらに、疾患進行を決定するために予定外の時点で取得された画像(例えば、他のモダリティを介して)、および、他の理由で取得された画像であって治験責任医師の評価に基づいて放射線学的進行を捕捉する画像も、CIVに提出されるべきである。
【0423】
初期腫瘍撮像
スクリーニング時の初期腫瘍撮像は、試験介入の初回投与の日付前28日以内に行われなければならない。最初の画像提出(BICRによるRECIST 1.1に従った測定可能な疾患のリアルタイム確認のためのスクリーニング撮像)およびCIV診断品質評価(BICRによる試験前画像のリアルタイム品質評価のため)にさらに時間が必要な場合、義務として治験依頼者に相談した後、最大7日間のスクリーニング期間の延長が承認され得る。常用的な臨床管理の一部として行われる腫瘍撮像は、それが診断品質であり、試験介入の初回投与前28日以内に行われる場合、スクリーニング腫瘍撮像として使用することが許容される。
【0424】
本試験では、以前に治療された脳転移を有する被験者は、脳転移が安定であれば、すなわち、撮像による進行の証拠がなければ(安定性を示す、少なくとも4週間の間隔を空けた2回のスキャンによって証明されるように、MRIが以前の撮像に使用された場合はMRIによって確認され、またはCTが試験介入の初回投与前に以前の撮像に使用された場合はCT撮像によって確認される)、参加することができる。
【0425】
試験中の腫瘍撮像
初回の試験中撮像評価は、無作為化の日付から9週間(63日間±7日間)の時点で行われるべきである。その後の腫瘍撮像は、最初の1年間(52週目まで)は9週間ごと(63日間±7日間)に行われるべきであり、その後、撮像間隔は、約2年間(104週目まで)は12週間ごと(84日間±7日間)まで延長し、その後Q24Wまで延長するか、または臨床的に適応があればそれよりも早くまで延長する。撮像タイミングは暦日に従わなければならず、サイクル開始の遅延のために調整されるべきではない。撮像は、治験責任医師が治療を継続し、iRECISTに従うことを選択し、新たな抗癌治療の開始、同意の撤回、または死亡のうちいずれかが最初に起こらない限り、RECIST 1.1に従って治験責任医師によって疾患進行が同定されるまで継続されるべきである。補足撮像はいずれも、CIVに提出されなければならない。
【0426】
疾患進行は、iRECISTに従って、臨床的に安定した被験者の進行性疾患の最初の放射線学的証拠を当該施設が評価した4~8週間後に、当該施設によって確認されるべきである。疾患進行が確認されていない被験者については、当該施設によって進行が確認されるまで、治験責任医師の裁量により治療を継続してもよい。確証的撮像を受ける被験者は、4週間未満後であれば、次の予定された腫瘍撮像を受ける必要はない。腫瘍撮像は、臨床的に安定している場合、その後の予定された撮像時点で再開してもよい。当該施設によって評価されるように、iRECISTによって疾患進行が確認された被験者は、試験介入から打ち切られる。
【0427】
治療終了および追跡腫瘍撮像
試験介入から打ち切られる被験者については、治療中止時に(±4週間のウィンドウ)腫瘍撮像を行うべきである。以前の撮像が中止日の前4週間以内に得られた場合、治療中止時の撮像は必須ではない。記録された疾患進行のために試験介入から打ち切られる被験者にとって、これは、治験責任医師がiRECISTを実施しないことを選択した場合に最終的に必要とされる腫瘍撮像である。
【0428】
記録された疾患進行を伴わず試験介入から打ち切られる被験者については、新たな抗癌治療の開始、疾患進行、妊娠、死亡、同意の撤回、または本試験の終了のうちいずれかが最初に起こるまで、治療中に使用されたのと同じ撮像スケジュール(最初の年[52週目まで]は9週間ごと、1年後は約12週間ごと)を使用した腫瘍撮像によって疾患症状をモニタリングし続けるためにあらゆる努力を払うべきである。
【0429】
疾患のRECIST 1.1評価
RECIST 1.1は、腫瘍応答、疾患進行の日付を評価するための主要な尺度として、また、疾患症状に関連するあらゆるプロトコルガイドライン(例えば、試験介入の中止)の基礎として使用される。RECIST 1.1は、合計で最大5個の標的病変、および1器官当たり2つの標的病変に言及しているが、このプロトコルは、臨床的に関連する場合、腫瘍負荷量のさらに広いサンプリングを可能にするために、合計で最大10個の標的病変、および1器官当たり5つの標的病変を可能にする。
【0430】
iRECISTは、RECIST 1.1に基づくが、免疫療法薬によって見られる特有の腫瘍応答を説明するように適合されている。iRECISTは、腫瘍の応答および進行を評価し、治療の決定を下すために治験責任医師によって使用される。治験責任医師によって進行が確認されるまで、臨床的に安定している場合、被験者を打ち切るべきではない。初期の放射線学的進行性疾患にもかかわらず治療を継続するこの容認は、一部の被験者が免疫療法の開始後の最初の数ヶ月で一過性の腫瘍フレアを有し、次いで、その後の疾患応答を経験し得るという観察結果を考慮に入れている。このデータは、臨床データベースに取り込まれる。
【0431】
臨床的に不安定であると考えられる被験者は、当該施設によって評価された、進行性疾患の最初の放射線学的証拠の中央検証時に試験介入から打ち切られるべきであり、iRECISTによる進行性疾患の確認のために腫瘍撮像を繰り返す必要はない。
【0432】
治験責任医師が治療を継続することを決定した場合、被験者は引き続き試験介入を受けてもよく、腫瘍評価は、治験責任医師の評価に従ってiRECISTによって進行性疾患を確認するために4~8週間後に繰り返されるべきである。画像は、潜在的な遡及的BICRのために中央画像診断機関に引き続き送られるべきである。
【0433】
治験責任医師によって評価されるように、反復撮像によってiRECISTによる進行性疾患が確認されず、被験者が臨床的に安定したままである場合、試験介入を継続し、通常の撮像スケジュールに従ってもよい。進行性疾患が確認された場合、被験者は試験介入から打ち切られる。
【0434】
被験者が、確認された画像診断上の進行(iCPD)を有する場合、試験介入を中止すべきである。ただし、被験者が臨床的に有意な有用性を達成している場合、試験介入を継続するための例外が、治験依頼者との相談後に考慮され得る。
【0435】
進行の最初の放射線学的証拠の後の撮像および治療要件の要約を表24に示す。
【0436】
【表26】
【0437】
安全性評価
安全性評価には、とりわけ、AEおよびSAEの収集、バイタルサインのモニタリング、身体診察、心電図(ECG)の実行、(テクニチウム系トレーサーを使用する)MUGAスキャン、またはLVEFを評価するためのスクリーニング時のECHO)、ならびに妊娠検査が含まれる。
【0438】
安全性エンドポイント
安全性エンドポイントには、AE、SAE、およびAEによる試験介入中止が含まれる。さらに、安全性および忍容性は、AE、臨床検査およびバイタルサインを含むあらゆる関連パラメータの臨床レビューによって評価される。
【0439】
有害事象(AE)
・AEとは、試験介入に関連すると考えられるかどうかにかかわらず、試験介入の使用に時間的に関連する、臨床試験被験者における任意の不都合な医学的事象である。
・注記:したがって、AEは、試験介入の使用に時間的に関連する任意の好ましくない意図しない徴候(異常な検査所見を含む)、症状または疾患(新規または悪化)であり得る。
【0440】
AEとして、以下が含まれる:
・異常な臨床検査結果(血液学、臨床化学または尿分析)または他の安全性評価(例えば、ECG、放射線スキャン、バイタルサイン測定)、例えば、ベースラインから悪化し、治験責任医師の医学的判断および科学的判断において臨床的に重大であると考えられるもの。
・頻度および/または症状の強度の増加を含む、慢性または断続的な既存の症状の悪化。
・試験開始前に存在していた可能性があるにしても、試験介入投与後に検出または診断された新たな症状。
・薬物-薬物相互作用が疑われる徴候、症状または臨床的続発症。
・試験介入または併用薬のいずれかの過量投与が疑われる徴候、症状または臨床的続発症。
・関連するAEを伴う過量投与(偶発的であろうと意図的であろうと)のあらゆる報告について、AEという用語は臨床症状または異常な検査結果を反映すべきである。関連する臨床症状または異常な検査結果を何ら伴わない過量投与は、用語「有害作用のない偶発的または意図的な過量投与」を使用して報告される。
【0441】
以下の事象は、本試験の目的のためのAE定義を満たしていない:
・医学的処置または外科的処置(例えば、内視鏡検査、虫垂切除術):処置に至る症状はAEである。
・不都合な医学的事象が起こらなかった状況(社会的および/または利便性のための入院)。
・試験の開始時に存在するかまたは検出される、悪化しない既存の疾患(類)または症状(類)の予測される日々の変動。
・悪化していない既存の症状を治療するためにインフォームドコンセントの前に計画された手術。
【0442】
重篤有害事象(SAE)
事象が上記のAEではない場合、重篤な条件が満たされたとしてもSAEではあり得ない。SAEは、任意の用量での以下の不都合な医学的事象として定義される:
・死に至る。
・生命を脅かすものである。「重篤」の定義では、用語「生命を脅かす」は、その事象の時点で被験者が死亡するリスクがあった事象を指す。これは、さらに重篤であれば、仮説的に死を引き起こした可能性がある事象を指すものではない。
・入院患者の入院、または既存の入院の延長を必要とする。入院(hospitalization)は、入院(hospitalization)が継続的な観察のための予防措置であっても、滞在の長さにかかわらず、入院(inpatient admission)と定義される。(注記:悪化していない既存の症状を治療するための選択的処置のための入院は、SAEではない。既存の症状とは、MSD製品の使用前に診断され、被験者の病歴に記録される臨床症状である。
・持続的または顕著な障害/無能力をもたらす。障害という用語は、通常の生活機能を行う人の能力の実質的な妨害を意味する。この定義は、比較的軽微な医学的意義の経験、例えば、日常生活機能を妨害するまたは妨げる可能性があるが、実質的な混乱を構成しない、合併症のない頭痛、悪心、嘔吐、下痢、インフルエンザおよび偶発的外傷(例えば、捻挫した足首)を含むことを意図するものではない。
・先天異常/出生時欠損である。診断までの時間にかかわらず、該製品を摂取した被験者の子孫において。
・他の重要な医学的事象。直ちに生命を脅かすものではないか、もしくは死亡もしくは入院をもたらし得るものではないが、被験者を危険にさらす可能性があるか、または上記の定義に列挙された他の転帰のうちの1つを防ぐために医学的介入もしくは外科的介入を必要とし得る重要な医学的事象などの他の状況においてSAE報告が適切であるかどうかを決定する際に、医学的または科学的な判断が行使されるべきである。これらの事象は、通常、重篤であると考えられるべきである。そのような事象の例には、侵襲性もしくは悪性の癌、アレルギー性気管支痙攣のための緊急治療室もしくは在宅での集中治療、入院に至らない血液疾患もしくは痙攣、または薬物依存もしくは薬物乱用の発生が含まれる。
【0443】
客観的奏効率(ORR)
ORRは、BICRによって評価されるように、RECIST 1.1による確認されたCRまたはPRを達成した被験者の割合と定義される。追跡調査スキャンのない被験者は、非応答者と考えられる。RECIST 1.1およびiRECISTに従って治験責任医師によって評価されるORRは、探索的エンドポイントと考えられる。
【0444】
奏効期間(DOR)
BICRによって評価されるように、RECIST 1.1による確認されたCRまたはPRを示す被験者については、奏効期間は、CRまたはPRの最初に記録された証拠から、疾患進行、または何らかの原因による死亡のうちいずれかが最初に起こるまでの時間と定義される。
【0445】
無増悪生存期間(PFS)
無増悪生存期間は、無作為化/割り当ての日付から、BICRによってRECIST 1.1に従って最初に記録された進行性疾患、または何らかの原因による死亡までの時間のうちいずれか早く起こる方までと定義される。
【0446】
総生存期間(OS)
総生存期間は、無作為化/割り当ての日付から、何らかの原因による死亡の日付までの時間と定義される。
【0447】
試験治療を以下の表27に概説する。
【表27】
【0448】
【表28】
【0449】
a-治験責任医師によって決定された完全奏効(CR)を達成し、試験介入を中止した被験者は、30日間の安全性追跡調査来院を行い、SoAごとに追跡調査来院に移る。
【0450】
b-試験介入の最終投与から約30日後にEOT来院が行われる場合、30日間の安全性追跡調査来院は必要ない。この状況では、30日間の安全性追跡調査来院、およびEOTで必要とされるあらゆる手順が一度行われ、EOT来院のみに入る。治療終了は、被験者があらゆる試験介入から打ち切られた日付と定義される。
【0451】
c-進行性疾患以外の理由によるD/C試験介入被験者については、進行性疾患、または新たな抗癌療法の開始まで、疾患症状をモニタリングするための追跡調査来院を継続する。進行性疾患のためにD/C試験介入被験者は、生存追跡調査に直接進む。
【0452】
d-被験者全例のスクリーニング時に脳MRIを行わなければならない。スクリーニング時に脳転移を有する被験者については、試験介入の52週目までQ9Wで、その後104週目までQ12Wで脳MRIを行うべきである。104週目の後、撮像は、Q24Wごとに、または臨床的に適応があればそれよりも早く行われるべきである。脳CTスキャンは、MRIが禁忌である場合にのみ使用されるべきである。既存および新たな腫瘍負荷の可視化を最適化するために、試験全体を通して、モダリティ、および造影剤の使用に関する同じ撮像技術を被験者に使用すべきである。
【0453】
V 配列表
本明細書は、配列表のコンピュータ可読形式(CRF)コピーとともに提出される。2021年2月18日に作成され、サイズが40.0KBである、24797-WO-PCT-SEQLIST.txtと題されるCRFは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0454】
以下の表29は、本明細書に開示される全配列を要約する。
【表29】
【配列表】
2023515675000001.app
【国際調査報告】