(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】CD19を標的とするキメラ抗原受容体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20230406BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230406BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20230406BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230406BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230406BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230406BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230406BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20230406BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230406BHJP
A61K 35/545 20150101ALI20230406BHJP
A61K 35/26 20150101ALI20230406BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230406BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20230406BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20230406BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20230406BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20230406BHJP
C12P 21/02 20060101ALN20230406BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20230406BHJP
C12N 5/0735 20100101ALN20230406BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20230406BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C12N15/867 Z
C12N5/10
A61P35/00
A61P35/02
A61K48/00
A61K35/12
A61K35/17
A61K35/545
A61K35/26
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K35/28
C07K16/28
C07K14/705
C12P21/08
C12P21/02 C
C12N5/0783
C12N5/0735
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564649
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 US2021029138
(87)【国際公開番号】W WO2021217130
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター
(71)【出願人】
【識別番号】500287639
【氏名又は名称】ミレニアム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM PHARMACEUTICALS, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】399026731
【氏名又は名称】スローン - ケタリング・インスティテュート・フォー・キャンサー・リサーチ
(71)【出願人】
【識別番号】522023761
【氏名又は名称】メモリアル ホスピタル フォー キャンサー アンド アライド ディジージズ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フォイヒト, ユディト
(72)【発明者】
【氏名】マンシラ-ソト, ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】リヴィエール, イザベル
(72)【発明者】
【氏名】サデライン, ミチェル
(72)【発明者】
【氏名】ビンセント, ロイック
(72)【発明者】
【氏名】シャピロ, ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ング, メイ ローザ
(72)【発明者】
【氏名】タバレス, ダン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ, シンユエ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG20
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA17
4C084MA21
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA27
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB31
4C085BB41
4C085BB42
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB43
4C087BB44
4C087BB57
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本開示の主題は、CD19を特異的に標的とするキメラ抗原受容体(CAR)およびそのようなCD19標的化CARを含む細胞を提供する。本開示の主題は、処置のための、例えば、血液がんを処置するための、CD19標的化CARの使用をさらに提供する。ある特定の実施形態では、CARは、CD19に特異的に結合する細胞外抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、単鎖可変断片(scFv)、Fab、またはF(ab)2を含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、scFvを含む。ある特定の実施形態では、scFvは、ヒトscFvである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD19に特異的に結合する細胞外抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、前記細胞外抗原結合性ドメインが、
a)配列番号7に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む重鎖可変領域;ならびに/または
b)
i)配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;
ii)配列番号16に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;
iii)配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;
iv)配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号57に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;
v)配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号59に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;
vi)配列番号16に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号61に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;
vii)配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号63に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;または
viii)配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号65に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号66に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域
を含む、CAR。
【請求項2】
前記細胞外抗原結合性ドメインが、単鎖可変断片(scFv)、Fab、またはF(ab)
2を含む、請求項1に記載のCAR。
【請求項3】
前記細胞外抗原結合性ドメインが、scFvを含む、請求項2に記載のCAR。
【請求項4】
前記scFvが、ヒトscFvである、請求項3に記載のCAR。
【請求項5】
前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項6】
前記軽鎖可変領域が、
(a)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR3;
(b)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR3;
(c)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3
(d)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号57に記載のアミノ酸配列を含むCDR3;
(e)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号59に記載のアミノ酸配列を含むCDR3;
(f)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むCDR3;
(g)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号63に記載のアミノ酸配列を含むCDR3;または
(h)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号65に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号66に記載のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項7】
前記軽鎖可変領域が、
(a)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR3;
(b)配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR3;または
(c)配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3
を含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項8】
(a)前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む;
(b)前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む;
(c)前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む;
(d)前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号57に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む;
(e)前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号59に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む;
(f)前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、前記軽鎖可変領が、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む;
(g)前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号63に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む;または
(h)前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号65に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号66に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、
請求項1から7までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項9】
(a)前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む;
(b)前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む;または
(c)前記重鎖可変領域が、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、
請求項1から8までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項10】
前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一または相同であるアミノ酸配列を含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項11】
前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1から10までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項12】
前記軽鎖可変領域が、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、または配列番号67に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一または相同であるアミノ酸配列を含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項13】
前記軽鎖可変領域が、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、または配列番号67に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1から12までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項14】
前記軽鎖可変領域が、配列番号14、配列番号18、または配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1から13までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項15】
前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一または相同であるアミノ酸配列を含み、(b)前記軽鎖可変領域が、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、または配列番号67に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一または相同であるアミノ酸配列を含む、請求項1から14までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項16】
前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、または配列番号67に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1から15までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項17】
前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号14、配列番号18、または配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む、請求項1から16までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項18】
(a)前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む;
(b)前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む;
(c)前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む;
(d)前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号58に記載のアミノ酸配列を含む;
(e)前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号60に記載のアミノ酸配列を含む;
(f)前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号62に記載のアミノ酸配列を含む;
(g)前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む;または
(h)前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号67に記載のアミノ酸配列を含む、
請求項1から17までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項19】
(a)前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む;
(b)前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む;または
(c)前記重鎖可変領域が、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む、
請求項1から18までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項21】
前記細胞外抗原結合性ドメインが、前記重鎖可変領域と前記軽鎖可変領域の間にリンカーを含む、請求項1から20までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項22】
前記リンカーが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4に記載のアミノ酸配列からなる、請求項21に記載のCAR。
【請求項23】
前記重鎖可変領域と前記軽鎖可変領域が、N末端からC末端へと、V
L-V
Hで位置づけられている、請求項1から22までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項24】
前記細胞外抗原結合性ドメインが、配列番号15、配列番号19、もしくは配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるscFvを含む、または配列番号15、配列番号19、もしくは配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるscFvである、請求項1から23までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項25】
前記膜貫通ドメインが、CD8ポリペプチド、CD28ポリペプチド、CD3ζポリペプチド、CD4ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、ICOSポリペプチド、CTLA-4ポリペプチド、PD-1ポリペプチド、LAG-3ポリペプチド、2B4ポリペプチド、またはBTLAポリペプチドを含む、請求項1から24までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項26】
前記膜貫通ドメインが、CD28ポリペプチドを含む、請求項25に記載のCAR。
【請求項27】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζポリペプチドを含む、請求項1から26までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項28】
前記CD3ζポリペプチドが、改変されたCD3ζポリペプチドである、請求項27に記載のCAR。
【請求項29】
前記改変されたCD3ζポリペプチドが、天然のITAM1、2つの機能喪失型突然変異からなるITAM2バリアント、および2つの機能喪失型突然変異からなるITAM3を含む、請求項28に記載のCAR。
【請求項30】
前記天然のITAM1が、配列番号31に記載のアミノ酸配列からなる、請求項29に記載のCAR。
【請求項31】
前記ITAM2バリアントが、配列番号37に記載のアミノ酸配列からなる、請求項29に記載のCAR。
【請求項32】
前記ITAM3バリアントが、配列番号41に記載のアミノ酸配列からなる、請求項29に記載のCAR。
【請求項33】
前記改変されたCD3ζポリペプチドが、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる、請求項28から32までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項34】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、請求項1から33までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項35】
前記少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域が、CD28ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、ICOSポリペプチド、DAP-10ポリペプチド、またはこれらの組合せを含む、請求項34に記載のCAR。
【請求項36】
前記少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域が、CD28ポリペプチドを含む、請求項35に記載のCAR。
【請求項37】
ベクターから発現される、請求項1から36までのいずれか一項に記載のCAR。
【請求項38】
前記ベクターが、レトロウイルスベクターである、請求項37に記載のCAR。
【請求項39】
請求項1から38までのいずれか一項に記載のCARを含む細胞。
【請求項40】
前記CARが形質導入されている、請求項39に記載の細胞。
【請求項41】
前記CARがが、前記細胞の表面上に構成的に発現される、請求項39または請求項40に記載の細胞。
【請求項42】
免疫応答性細胞である、請求項39から41までのいずれか一項に記載の細胞。
【請求項43】
リンパ系列の細胞または骨髄系列の細胞である、請求項39から42までのいずれか一項に記載の細胞。
【請求項44】
T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、リンパ系細胞に分化し得る幹細胞、および骨髄細胞に分化し得る幹細胞からなる群から選択される、請求項39から43までのいずれか一項に記載の細胞。
【請求項45】
T細胞である、請求項39から44までのいずれか一項に記載の細胞。
【請求項46】
前記T細胞が、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞、調節性T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ナチュラルキラーT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞、およびγδT細胞からなる群から選択される、請求項38または請求項45に記載の細胞。
【請求項47】
NK細胞である、請求項39から44までのいずれか一項に記載の細胞。
【請求項48】
前記NK細胞が、幹細胞に由来する、請求項47に記載の細胞。
【請求項49】
前記幹細胞が、多能性幹細胞である、請求項44または48に記載の細胞。
【請求項50】
前記多能性幹細胞が、胚性幹細胞または人工多能性幹細胞である、請求項49に記載の細胞。
【請求項51】
請求項1から38までのいずれか一項に記載のCARをコードする核酸分子。
【請求項52】
前記CARに作動可能に連結したプロモーターをさらに含む、請求項51に記載の核酸分子。
【請求項53】
前記プロモーターが、内因性または外因性である、請求項52に記載の核酸分子。
【請求項54】
前記外因性プロモーターが、延長因子(EF)-1プロモーター、サイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、メタロチオネインプロモーター、およびユビキチンCプロモーターからなる群から選択される、請求項53に記載の核酸分子。
【請求項55】
前記プロモーターが、誘導性プロモーターである、請求項51に記載の核酸分子。
【請求項56】
前記誘導性プロモーターが、NFAT転写応答エレメント(TRE)プロモーター、CD69プロモーター、CD25プロモーター、IL-2プロモーター、4-1BBプロモーター、PD1プロモーター、およびLAG3プロモーターからなる群から選択される、請求項55に記載の核酸分子。
【請求項57】
前記プロモーターが、内因性プロモーターである、請求項53に記載の核酸分子。
【請求項58】
前記内因性プロモーターが、TCRアルファプロモーター、TCRベータプロモーター、およびベータ2-ミクログロブリンプロモーターから選択される、請求項57に記載の核酸分子。
【請求項59】
請求項51から58までのいずれか一項に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項60】
レトロウイルスベクターである、請求項59に記載のベクター。
【請求項61】
請求項51から58までのいずれか一項に記載の核酸分子を発現する細胞。
【請求項62】
T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、請求項61に記載の細胞。
【請求項63】
請求項39から50まで、請求項61および請求項62のいずれか一項に記載の細胞を含む組成物。
【請求項64】
薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物である、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
約1×10
6個から約5×10
8個の間の細胞を含む、請求項63または請求項64に記載の組成物。
【請求項66】
約1×10
6個から約1×10
8個の間の細胞を含む、請求項63または請求項64に記載の組成物。
【請求項67】
約1×10
6個から約5×10
7個の間の細胞を含む、請求項63または請求項64に記載の組成物。
【請求項68】
約2.5×10
7個の細胞を含む、請求項63から67までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項69】
対象における腫瘍負荷を減少させる方法であって、前記対象に、請求項39から50まで、請求項61および請求項62のいずれか一項に記載の細胞または請求項63から68までのいずれか一項に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項70】
前記対象における腫瘍細胞の数を減少させる、腫瘍サイズを縮小させる、および/または腫瘍を根絶するものである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
新生物を有する対象の生存を増大させるまたは延長する方法であって、前記対象に、請求項39から50まで、請求項61および請求項62のいずれか一項に記載の細胞または請求項63から68までのいずれか一項に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項72】
対象における新生物を処置および/または防止する方法であって、前記対象に、請求項39から50まで、請求項61および請求項62のいずれか一項に記載の細胞または請求項63から68までのいずれか一項に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項73】
前記腫瘍および/または新生物が、CD19に関連する、請求項69から72までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記腫瘍および/または新生物が、血液がんである、請求項69から73までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記血液がんが、多発性骨髄腫、白血病、およびリンパ腫からなる群から選択される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記白血病が、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性前骨髄球性白血病(APL)、混合表現型急性白血病(MLL)、ヘアリー細胞白血病、およびB細胞性前リンパ性白血病からなる群から選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記リンパ腫が、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫である、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記腫瘍および/または新生物が、B細胞悪性病変である、請求項69から73までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記B細胞悪性病変が、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞ホジキンリンパ腫、B細胞急性リンパ性白血病(ALL)、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)、リヒター形質転換を伴うCLL、およびCNSリンパ腫からなる群から選択される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記腫瘍および/または新生物が、B細胞リンパ腫である、請求項69から79までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記B細胞リンパ腫が、再発または難治性(R/R)B細胞リンパ腫である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記対象が、ヒト対象である、請求項69から81までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
治療における使用のための、請求項39から50まで、請求項61および請求項62のいずれか一項に記載の細胞または請求項63から68までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項84】
対象における新生物の処置および/または防止における使用のための、請求項39から50まで、請求項61および請求項62のいずれか一項に記載の細胞または請求項63から68までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項85】
新生物を有する対象の生存の増大または延長における使用のための、請求項39から50まで、請求項61および請求項62のいずれか一項に記載の細胞または請求項63から68までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項86】
対象における新生物の処置および/または防止における使用のための、請求項39から50まで、請求項61および請求項62のいずれか一項に記載の細胞または請求項63から68までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項87】
前記腫瘍および/または新生物が、CD19に関連する、請求項84から86までのいずれか一項に記載の使用のための細胞または組成物。
【請求項88】
前記腫瘍および/または新生物が、血液がんである、請求項84から87までのいずれか一項に記載の使用のための細胞または組成物。
【請求項89】
前記血液がんが、多発性骨髄腫、白血病、およびリンパ腫からなる群から選択される、請求項88に記載の使用のための細胞または組成物。
【請求項90】
前記白血病が、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性前骨髄球性白血病(APL)、混合表現型急性白血病(MLL)、ヘアリー細胞白血病、およびB細胞性前リンパ性白血病からなる群から選択される、請求項89に記載の使用のための細胞または組成物。
【請求項91】
前記リンパ腫が、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫である、請求項89に記載の使用のための細胞または組成物。
【請求項92】
前記腫瘍および/または新生物が、B細胞悪性病変である、請求項84から87までのいずれか一項に記載の使用のための細胞または組成物。
【請求項93】
前記B細胞悪性病変が、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞ホジキンリンパ腫、B細胞急性リンパ性白血病(ALL)、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)、リヒター形質転換を伴うCLL、およびCNSリンパ腫からなる群から選択される、請求項92に記載の使用のための細胞または組成物。
【請求項94】
前記腫瘍および/または新生物が、B細胞リンパ腫である、請求項84から93までのいずれか一項に記載の使用のための細胞または組成物。
【請求項95】
前記B細胞リンパ腫が、再発または難治性(R/R)B細胞リンパ腫である、請求項94に記載の使用のための細胞または組成物。
【請求項96】
前記対象が、ヒト対象である、請求項84から95までのいずれか一項に記載の使用のための細胞または組成物。
【請求項97】
請求項1から38までのいずれか一項に記載のCARを含む細胞を作製するための方法であって、前記細胞に、請求項1から38までのいずれか一項に記載のCARをコードする核酸分子を導入するステップを含む、方法。
【請求項98】
対象における腫瘍負荷を減少させるための、対象における新生物を処置および/もしくは防止するための、ならびに/または新生物を有する対象の生存を増大させるもしくは延長するためのキットであって、請求項39から50まで、請求項61および請求項62のいずれか一項に記載の細胞を含む、キット。
【請求項99】
対象における腫瘍負荷を減少させるための、対象における新生物を処置および/もしくは防止するための、ならびに/または新生物を有する対象の生存を増大させるもしくは延長するための前記細胞の使用に関する説明書をさらに含む、請求項98に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願との相互参照
本出願は、それぞれの内容全体が参照により組み込まれ、それぞれ優先権が主張される2020年4月24日出願の米国仮特許出願第63/015,362号および2020年9月1日出願の米国仮特許出願第63/073,133号の優先権を主張するものである。
【0002】
2.技術分野
本開示の主題は、CD19を特異的に標的とするキメラ抗原受容体(CAR)を含む細胞を使用して新生物(例えば、がん)を処置するための方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
3.背景
細胞に基づく免疫療法は、がんを処置するための治癒潜在性を有する治療である。T細胞および他の免疫細胞を、腫瘍抗原を標的とするように改変することができ、これは、選択された抗原に対して特異的な、キメラ抗原受容体(CAR)と称される、抗原に対する人工または合成受容体をコードする遺伝子材料を導入することによる。CARを使用した標的化T細胞治療に関して血液悪性病変の処置に関する最近の臨床的成功が示されている。
【0004】
マウスモノクローナル抗体由来の結合性ドメインを有するCD19特異的CARを発現するT細胞により、B細胞悪性病変が処置されることが示されている。ヒト患者では、CARのマウスscFv抗原結合性ドメインに特異的なT細胞媒介性免疫応答が発生し、その結果、CAR T細胞が早期に排除され、それにより、腫瘍が再燃するリスクが増大する恐れがある。したがって、低減した毒性および免疫原性ならびに/または改善された安全性および有効性を有する、改善されたCD19標的化CARが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
4.発明の概要
本開示の主題は、CD19標的化キメラ抗原受容体(CAR)、CD19標的化CARを含む細胞、および処置のため、例えば、新生物を処置するための、細胞の使用を提供する。
【0006】
ある特定の実施形態では、CARは、CD19に特異的に結合する細胞外抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、単鎖可変断片(scFv)、Fab、またはF(ab)2を含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、scFvを含む。ある特定の実施形態では、scFvは、ヒトscFvである。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、(a)配列番号7に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む重鎖可変領域;ならびに/または
(b)
i)配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;
ii)配列番号16に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;
iii)配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;
iv)配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号57に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;
v)配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号59に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;
vi)配列番号16に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号61に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;
vii)配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号63に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3;または
viii)配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号65に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号66に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3
を含む軽鎖可変領域を含む。
【0007】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0008】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0009】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0010】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0011】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号57に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0012】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号59に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0014】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号63に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0015】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号65に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号66に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0016】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、軽鎖可変領域は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0017】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、軽鎖可変領域は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0018】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、軽鎖可変領域は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0019】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、軽鎖可変領域は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号57に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0020】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、軽鎖可変領域は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号59に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0021】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、軽鎖可変領域は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0022】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、軽鎖可変領域は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号63に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0023】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、軽鎖可変領域は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号65に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号66に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0024】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む。
【0025】
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、または配列番号67に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、または配列番号67に記載のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号14、配列番号18、または配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む。
【0026】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一または相同であるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、または配列番号67に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、または配列番号67に記載のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号14、配列番号18、または配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む。
【0027】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む。
【0028】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む。
【0029】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む。
【0030】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号58に記載のアミノ酸配列を含む。
【0031】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号60に記載のアミノ酸配列を含む。
【0032】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号62に記載のアミノ酸配列を含む。
【0033】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む。
【0034】
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号67に記載のアミノ酸配列を含む。
【0035】
ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間にリンカーを含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4に記載のアミノ酸配列からなる。ある特定の実施形態では、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、N末端からC末端に、VL-VHの位置づけである。
【0036】
ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、配列番号15、配列番号19、もしくは配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるscFvを含む、または配列番号15、配列番号19、もしくは配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むもしくはそれからなるscFvである。
【0037】
ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8ポリペプチド、CD28ポリペプチド、CD3ζポリペプチド、CD4ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、ICOSポリペプチド、CTLA-4ポリペプチド、PD-1ポリペプチド、LAG-3ポリペプチド、2B4ポリペプチド、またはBTLAポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28ポリペプチドを含む。
【0038】
ある特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CD3ζポリペプチドは、改変されたCD3ζポリペプチドである。ある特定の実施形態では、改変されたCD3ζポリペプチドは、天然のITAM1、2つの機能喪失型突然変異からなるITAM2バリアント、および2つの機能喪失型突然変異からなるITAM3を含む。ある特定の実施形態では、天然のITAM1は、配列番号31に記載のアミノ酸配列からなる。ある特定の実施形態では、ITAM2バリアントは、配列番号37に記載のアミノ酸配列からなる。ある特定の実施形態では、ITAM3バリアントは、配列番号41に記載のアミノ酸配列からなる。ある特定の実施形態では、改変されたCD3ζポリペプチドは、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
【0039】
ある特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域をさらに含む。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域は、CD28ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、ICOSポリペプチド、DAP-10ポリペプチド、またはこれらの組合せを含む。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域は、CD28の細胞内ドメインもしくはその一部、4-1BBの細胞内ドメインもしくはその一部、OX40の細胞内ドメインもしくはその一部、ICOSの細胞内ドメインもしくはその一部、またはDAP-10の細胞内ドメインもしくはその一部を含む。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域は、CD28ポリペプチドを含む。
【0040】
ある特定の実施形態では、CARは、ベクターから発現される。ある特定の実施形態では、ベクターは、レトロウイルスベクターである。
【0041】
本開示の主題は、本明細書に開示されるCARを含む細胞をさらに提供する。ある特定の実施形態では、細胞は、CARが形質導入されている。ある特定の実施形態では、CARは、細胞の表面上に構成的に発現される。ある特定の実施形態では、細胞は、免疫応答性細胞である。ある特定の実施形態では、細胞は、リンパ系列の細胞または骨髄系列の細胞である。ある特定の実施形態では、細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、リンパ系細胞に分化し得る幹細胞、および骨髄細胞に分化し得る幹細胞からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、細胞は、T細胞である。ある特定の実施形態では、T細胞は、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞、調節性T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ナチュラルキラーT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞、およびγδT細胞からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、細胞は、NK細胞である。ある特定の実施形態では、NK細胞は、幹細胞に由来する。ある特定の実施形態では、幹細胞は、多能性幹細胞である。ある特定の実施形態では、多能性幹細胞は、胚性幹細胞(embryoid stem cell)または人工多能性幹細胞である。
【0042】
さらに、本開示の主題は、本明細書に開示されるCARをコードする核酸分子を提供する。ある特定の実施形態では、核酸分子は、CARに作動可能に連結したプロモーターをさらに含む。プロモーターは、内因性であっても外因性であってもよい。ある特定の実施形態では、プロモーターは外因性プロモーターである。ある特定の実施形態では、外因性プロモーターは、延長因子(EF)-1プロモーター、サイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、メタロチオネインプロモーター、およびユビキチンCプロモーターからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、プロモーターは内因性プロモーターである。ある特定の実施形態では、内因性プロモーターは、TCRアルファプロモーター、TCRベータプロモーター、およびベータ2-ミクログロブリンプロモーターから選択される。ある特定の実施形態では、プロモーターは誘導性プロモーターである。ある特定の実施形態では、誘導性プロモーターは、NFAT転写応答エレメント(TRE)プロモーター、CD69プロモーター、CD25プロモーター、IL-2プロモーター、4-1BBプロモーター、PD1プロモーター、およびLAG3プロモーターからなる群から選択される。
【0043】
本開示の主題は、本明細書に開示される核酸分子を含むベクターも提供する。ある特定の実施形態では、ベクターはレトロウイルスベクターである。
【0044】
本開示の主題は、本明細書に開示される核酸分子を発現する細胞をさらに提供する。ある特定の実施形態では、細胞は、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である。
【0045】
本開示の主題は、本明細書に開示される細胞を含む組成物を提供する。ある特定の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物である。ある特定の実施形態では、組成物は、約1×106個から約5×108個の間の細胞を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、約1×106個から約1×108個の間の細胞を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、約1×106個から約5×107個の間の細胞を含む。ある特定の実施形態では、組成物は、約2.5×107個の細胞を含む。
【0046】
本開示の主題は、本開示の細胞を使用する様々な方法をさらに提供する。本開示の主題は、対象における腫瘍負荷を減少させる方法を提供する。ある特定の実施形態では、方法は、対象に、本明細書に開示される細胞または組成物を投与するステップを含む。ある特定の実施形態では、方法は、対象における腫瘍細胞の数を減少させる、腫瘍サイズを縮小させる、および/または腫瘍を根絶するものである。
【0047】
本開示の主題は、新生物を有する対象の生存を増大させるまたは延長する方法を提供する。ある特定の実施形態では、方法は、対象に、本明細書に開示される細胞または組成物を投与するステップを含む。
【0048】
本開示の主題は、対象における新生物を処置および/または防止する方法を提供する。ある特定の実施形態では、方法は、対象に、本明細書に開示される細胞または組成物を投与するステップを含む。
【0049】
本開示の細胞および組成物を治療に使用することができる。ある特定の実施形態では、本開示の細胞および組成物を、対象における新生物の処置および/または防止に使用する。ある特定の実施形態では、本開示の細胞および組成物を、新生物を有する対象の生存の増大または延長に使用する。ある特定の実施形態では、本開示の細胞および組成物を、対象における新生物の処置および/または防止に使用する。
【0050】
ある特定の実施形態では、腫瘍および/または新生物は、CD19に関連する。ある特定の実施形態では、腫瘍および/または新生物は、血液がんである。ある特定の実施形態では、血液がんは、多発性骨髄腫、白血病、およびリンパ腫からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia)(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性前骨髄球性白血病(APL)、混合表現型急性白血病(MLL)、ヘアリー細胞白血病、およびB細胞性前リンパ性白血病からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫である。ある特定の実施形態では、腫瘍および/または新生物は、B細胞悪性病変である。ある特定の実施形態では、B細胞悪性病変は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞ホジキンリンパ腫、B細胞急性リンパ性白血病(ALL)、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)、リヒター形質転換を伴うCLL、およびCNSリンパ腫からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、腫瘍および/または新生物は、B細胞リンパ腫である。ある特定の実施形態では、B細胞リンパ腫は、再発または難治性(R/R)B細胞リンパ腫である。ある特定の実施形態では、対象は、ヒト対象である。
【0051】
さらに、本開示の主題は、本明細書に開示されるCARを含む細胞を作製するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、方法は、細胞に、本明細書に開示されるCARをコードする核酸分子を導入するステップを含む。
【0052】
さらに、本開示の主題は、対象における腫瘍負荷を減少させるため、対象における新生物を処置および/もしくは防止するため、ならびに/または新生物を有する対象の生存を増大させるもしくは延長するためのキットを提供する。ある特定の実施形態では、キットは、本明細書に開示される細胞を含む。ある特定の実施形態では、キットは、対象における腫瘍負荷を減少させるため、対象における新生物を処置および/もしくは防止するため、ならびに/または新生物を有する対象の生存を増大させるもしくは延長するための前記細胞の使用に関する説明書をさらに含む。
5.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1Aおよび1Bは、CD19を発現する細胞に対するCD19標的化CARを含むT細胞の細胞傷害性を示す。
図1Aは、CD19を発現するRajiがん細胞株に対する死滅を示す。
図1Bは、CD19ノックアウトRaji細胞に対する死滅を示す。陽性対照は1928z-1XX CARである。
【0054】
【
図2】
図2Aおよび2Bは、フローに基づく死滅評価によって測定された、CD19を発現する細胞に対するCD19標的化CARを含むT細胞の細胞傷害性を示す。
図2Aは、CD19を発現するRajiがん細胞株に対する死滅を示す。
図2Bは、CD19ノックアウトRaji細胞に対する死滅を示す。陽性対照は1928z-1XX CARである。
【0055】
【
図3】
図3Aおよび3Bは、CD19標的化CARを含むT細胞によるIL-2サイトカイン分泌を示す。
図3Aは、CD19を発現するRajiがん細胞株と共培養した場合のCD19標的化CARを含むT細胞によるIL-2サイトカイン分泌を示す。
図3Bは、CD19ノックアウトRaji細胞と共培養した場合のCD19標的化CARを含むT細胞によるIL-2サイトカイン分泌を示す。陽性対照は1928z-1XX CARである。
【0056】
【
図4】
図4Aおよび4Bは、CD19標的化CARを含むT細胞によるIFN-γサイトカイン分泌を示す。
図4Aは、CD19を発現するRajiがん細胞株と共培養した場合のCD19標的化CARを含むT細胞によるIFN-γサイトカイン分泌を示す。
図4Bは、CD19ノックアウトRaji細胞と共培養した場合のCD19標的化CARを含むT細胞によるIFN-γサイトカイン分泌を示す。陽性対照は1928z-1XX CARである。
【0057】
【
図5】
図5は、CD19標的化CARを含むT細胞のin vivo抗腫瘍活性を示す。#17は陰性対照であり、検出可能なin vivo活性を有さないCD19標的化CARである。
【0058】
【
図6】
図6は、CD19-HSA-His10のアミノ酸配列を示す。
【0059】
【
図7】
図7は、#2 scFv、SJ25c1 scFv、およびFMC63 scFvの結合データを示す。可溶性CD19抗原内の共通エピトープに対する相対的競合をBiacore表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイで評価した。可溶性CD19特異的抗体(FMC63またはSJ25c1)とCD19抗原の混合物を、#2 scFvを含有するチップ上に流して、#2 scFvがSJ25c1 scFv、およびFMC63 scFvと同じエピトープと交差競合するかどうかを決定した。19(T2)は「#2 scFv」を表す。
【0060】
【
図8】
図8は、#2 CARを含むガンマ-レトロウイルスベクターを示す。「19(T2)」は「#2」を表す。#2 CARは、CD19特異的T2(19(T2))scFv(または「#2 scFv」)、CD8アルファリーダーペプチド、CD28遺伝子断片、および改変されたCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。CD28遺伝子断片は、その細胞外ヒンジ、膜貫通、および細胞内ドメインを含む。改変されたCD3ζ鎖は、「1XX」と称される、1つの機能的な野生型および2つの突然変異した免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を有する。改変されたCD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列は、配列番号43に記載される。CD3ζ-1XXとCD3ζ-野生型のアミノ酸配列のアラインメントが
図9に示されている。2つの配列間のアミノ酸の差異に印がつけられている。
【0061】
【
図9】は、CD3ζ-1XXとCD3ζ-野生型のアミノ酸配列のアラインメントを示す。
【0062】
【
図10】
図10は、#2 CAR-T細胞および1928z-1XX CAR T細胞のin vitro細胞傷害活性を示す。「19(T2)28z1xx」は「#2 CAR」を表す。
【0063】
【
図11】
図11は、#2 CAR T細胞および1928z-1XX CAR T細胞による腫瘍排除を示す。「19(T2)28z1xx」は「#2 CAR」を表す。
【0064】
【
図12】
図12は、1928z CARを含むガンマ-レトロウイルスベクターを示す。野生型hCD3ζのアミノ酸配が
図9に配列番号30として示されている。
【0065】
【
図13】
図13は、γ-レトロウイルスにより形質導入されたCD4
+T細胞およびCD8
+T細胞におけるCAR発現を示す。「19(T2)28z1XX」は「#2 CAR」を表す。
【0066】
【
図14-1】
図14は、表現型1928z CAR T細胞および#2 CAR T細胞を示す。「19(T2)28z1XX」は「#2 CAR」を表す。
【
図14-2】
図14は、表現型1928z CAR T細胞および#2 CAR T細胞を示す。「19(T2)28z1XX」は「#2 CAR」を表す。
【0067】
【
図15】
図15は、#2 CAR T細胞および1928z CAR T細胞による腫瘍根絶のカイネティクスを示す。「19(T2)28z1XX」は「#2 CAR」を表す。各曲線はマウス1匹における腫瘍負荷を表す。
【0068】
【
図16】
図16は、NALM6白血病担持マウスの、#2 CAR T細胞または1928z CAR T細胞のi.v.注入後の生存を示す。「19(T2)28z1XX」は「#2 CAR」を表す。
【0069】
【
図17】
図17は、#2 CAR T細胞または1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスの骨髄中のCAR T細胞数量化および表現型決定(17日目)を示す。全てのデータが平均値±s.e.m.であり、両側の対応のないスチューデントのt検定を使用してp値を算出した。「19(T2)28z1XX」は「#2 CAR」を表す。
【0070】
【
図18】
図18は、#2 CAR T細胞または1928z CAR T細胞を用いた処置後のマウスの体重を示す。「19(T2)28z1XX」は「#2 CAR」を表す。アスタリスクは、予定外の死亡が生じた時点を示す。短い曲線は示されている時点で全てのマウスが死亡したことを表す。
【0071】
【
図19】
図19は、1×10
6個のCAR T細胞を用いて処置したマウスの注入後10日目および27/28日目における血清中の肝酵素の数量化を示す。2つのコホート間で同じ日についての統計比較を行った。全てのデータが平均値+s.e.m.である;両側の対応のないスチューデントのt検定を使用してp値を算出した。「19(T2)28z1XX」は「#2 CAR」を表す。
【0072】
【
図20】
図20は、1×10
6個の#2 CAR T細胞または1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスにおける注入後10日目および27/28日目のヒトサイトカインレベルの数量化を示す。全てのデータが平均値+s.e.m.である;両側の対応のないスチューデントのt検定を使用してp値を算出した。「19(T2)28z1XX」は「#2 CAR」を表す。
【0073】
【
図21】1×10
6個の#2 CAR T細胞または1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスにおける注入後10日目および27/28日目のマウスサイトカインレベルの数量化。全てのデータが平均値±s.e.m.である;両側の対応のないスチューデントのt検定を使用してp値を算出した。「19(T2)28z1XX」は「#2 CAR」を表す。
【0074】
【
図22】
図22は、#2 CAR T細胞および1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスにおける注入後27/28日目の必須の血液細胞の数量化を示す。全てのデータが平均値+s.e.m.である;両側の対応のないスチューデントのt検定を使用してp値を算出した。「19(T2)28z1XX」は「#2 CAR」を表す。
【0075】
【
図23】
図23は、#2 CAR T細胞および1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスの注入後27/28日目の体重および極めて重要な器官の重量の比較を示す。群当たりのマウスの数がグラフ説明文に示されている。全てのデータが平均値+s.e.m.である;両側の対応のないスチューデントのt検定を使用してp値を算出した。「19(T2)28z1XX」は「#2 CAR」を表す。
【0076】
【
図24】
図24は、CAR T細胞を用いて処置したマウスの肝臓、脾臓、および骨髄におけるリンパ球および腫瘍浸潤の数量化を示す。全てのデータが平均値±s.e.m.である;両側の対応のないスチューデントのt検定を使用してp値を算出した。「19(T2)28z1XX」は「#2 CAR」を表す。
【0077】
【
図25】
図25は、CD19を発現する野生型Raji細胞およびNALM-6細胞ならびにCD19ノックアウトRaji細胞およびNALM-6細胞に結合する抗CD19抗体の例示的なフローサイトメトリークロマトグラムを示す。
【0078】
【
図26-1】
図26A~26Cは、NALM-6細胞上のCD19に結合する抗CD19抗体の例示的な結合曲線を示す。
【
図26-2】
図26A~26Cは、NALM-6細胞上のCD19に結合する抗CD19抗体の例示的な結合曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
6.詳細な説明
本開示の主題は、CD19を特異的に標的とするキメラ抗原受容体(CAR)およびそのようなCD19標的化CARを含む細胞を提供する。細胞は、免疫応答性細胞、例えば、遺伝子改変された免疫応答性細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)であり得る。本開示の主題は、処置のため、例えば、新生物を処置するための、細胞およびそれを含む組成物の使用をさらに提供する。本開示のCD19標的化CARは、例えば、持続性がより高いことによって証明される通り(実施例6および7を参照されたい)、他のCD19標的化CARよりも安全であり、かつ/または強力であることが示された。このより大きな持続性により安全性リスクは提起されないことも示されている。したがって、本開示のCD19標的化CAR T細胞は、現行の免疫療法において使用される大多数のCD19標的化CAR T細胞よりも低用量で使用することが可能である。本開示のCD19標的化CAR T細胞は、より安全であり、したがって、例えば、これだけに限定されないが、サイトカイン放出症候群(CRS)、および神経毒性(NT)の発生率が低いことを含め、副作用がより少ないことが予測される。
【0080】
本開示の非限定的な実施形態を本明細書および実施例に記載する。
【0081】
開示を明瞭にするために、また限定するものではなく、詳細な説明を以下のサブセクションに分割する:
5.1. 定義;
5.2. CD19;
5.3. キメラ抗原受容体(CAR);
5.4. 細胞;
5.5. 核酸分子およびベクター;
5.6. 製剤および投与;および
5.7. 処置方法
5.1 定義
【0082】
別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての科学技術用語は、本開示の主題が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味を有する。
【0083】
本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値に対する許容される誤差範囲内に入ることを指し、その許容される誤差範囲は、その値の測定または決定の仕方、すなわち測定系の限界に一部依存する。例えば、「約」は、当技術分野における慣習に従って、3または3よりも大きい標準偏差内に入ることを意味し得る。あるいは、「約」は、所与の値に対して最大20%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%、およびなおより好ましくは最大1%の範囲を意味し得る。あるいは、特に生物系またはプロセスに関して、この用語は、値に対して1桁分以内、好ましくは5倍以内、およびより好ましくは2倍以内を意味し得る。
【0084】
本明細書で使用される場合、「免疫応答性細胞」という用語は、免疫応答に関して機能する細胞またはその前駆体もしくは後代を指す。ある特定の実施形態では、免疫応答性細胞は、リンパ系列の細胞である。リンパ系列の細胞の非限定的な例としては、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、およびリンパ系細胞に分化し得る幹細胞が挙げられる。ある特定の実施形態では、免疫応答性細胞は、骨髄系列の細胞である。
【0085】
本明細書で使用される場合、「免疫応答性細胞を活性化する」という用語は、細胞におけるシグナルトランスダクションまたはタンパク質発現の変化を誘導し、その結果、免疫応答の開始をもたらすことを指す。例えば、リガンド結合および免疫受容抑制性チロシンモチーフ(ITAM)に応答してCD3鎖がクラスターを形成すると、シグナルトランスダクションカスケードが生じる。ある特定の実施形態では、CARが抗原に結合すると、結合した受容体の近くの多くの分子(例えば、CD4またはCD8、CD3γ/σ/ε/ζなど)のクラスター形成を含む免疫学的シナプスの形成が生じる。この膜結合シグナル伝達分子のクラスター形成により、CD3鎖内に含有されるITAMモチーフがリン酸化されることが可能になる。このリン酸化により今度はT細胞活性化経路が開始され、最終的にNF-κBおよびAP-1などの転写因子が活性化される。これらの転写因子によりT細胞の全体的な遺伝子発現が誘導されて、T細胞媒介性免疫応答を開始するために、マスター調節因子であるT細胞タンパク質の増殖および発現のためのIL-2産生が増大する。
【0086】
本明細書で使用される場合、「免疫応答性細胞を刺激する」という用語は、頑強かつ持続的な免疫応答をもたらすシグナルを指す。ある特定の実施形態では、これは、免疫応答性細胞(例えば、T細胞)活性化の後に生じる、または、これだけに限定されないが、CD28、4-1BB、OX40、CD40およびICOSを含めた受容体を通じて同時に媒介される。頑強かつ長期間にわたるT細胞媒介性免疫応答の開始には多数の刺激性シグナルを受け取ることが重要であり得る。T細胞は、急速に阻害され、抗原に対して不応答性になる。一方、これらの共刺激シグナルの効果は変動し得、一般に、抗原に対して完全かつ持続的な根絶のために頑強に応答する、寿命が長く、増殖性であり、かつ抗アポトーシス性のT細胞を生成するために、遺伝子発現の増大をもたらす。
【0087】
本明細書で使用される場合、「相補性決定領域」または「CDR」は、免疫グロブリン重鎖および軽鎖の超可変領域である、抗体の相補性決定領域アミノ酸配列と定義される。ある特定の実施形態では、可変ドメインの「CDR」は、Kabat、Chothia、KabatとChothiaの両方の集積、AbM、接触、および/またはコンフォメーショナル定義または当技術分野で周知の任意のCDR決定方法の定義に従って識別される、可変領域内のアミノ酸残基である。抗体CDRは、元々はKabatらによって定義された超可変領域として識別することができる。例えば、Kabat et al., 1992, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, NIH, Washington D.C.を参照されたい。CDRの位置は、元々はChothiaらよって記載された構造的なループ構造として識別することもできる。例えば、Chothia et al., Nature 342: 877-883, 1989を参照されたい。CDR識別のための他の手法としては、KabatとChothiaの折衷であり、Oxford Molecular’s AbM antibody modeling software(現Accelrys(登録商標))によって導かれる「AbM定義」、または、MacCallum et al., J. Mol. Biol., 262: 732-745, 1996に記載されている、観察された抗原接触に基づくCDRの「接触定義」、が挙げられる。本明細書ではCDRの「コンフォメーショナル定義」と称される別の手法では、CDRの位置を、抗原結合にエンタルピー的に寄与する残基として識別することができる。例えば、Makabe et al., Journal of Biological Chemistry, 283: 1156-1166, 2008を参照されたい。さらに他のCDR境界定義は、上記の手法のうちの1つに厳密に従うものではないが、それにもかかわらず、Kabat CDRの少なくとも一部分が重複するが、特定の残基または残基の群またはさらにはCDR全体が抗原結合に著しい影響を及ぼさないという予測または実験所見を踏まえて短縮または延長することができる。一部の実施形態では、CDRは、手法の組合せを含めた、当技術分野で公知の任意の手法によって定義されるCDRを指し得る。本明細書で使用される方法では、これらの手法のいずれかに従って定義されるCDRが利用され得る。1つよりも多くのCDRを含有する任意の所与の実施形態に関しては、CDRをKabat、Chothia、extended、AbM、接触、および/またはコンフォメーショナル定義のいずれかに従って定義することができる。一般に、抗体は、可変領域内の3つの重鎖CDRまたはCDR領域および3つの軽鎖CDRまたはCDR領域を含む。CDRにより、抗体の抗原またはエピトープへの結合のための大多数の接触残基がもたらされる。ある特定の実施形態では、CDR領域はKabat番号付けシステムを使用して表される。
【0088】
本明細書で使用される場合、「単鎖可変断片」または「scFv」という用語は、免疫グロブリン(例えば、マウスまたはヒト)の重鎖(VH)の可変領域と軽鎖(VL)の可変領域が共有結合により連結してVH::VLヘテロ二量体を形成した、融合タンパク質を指す。重鎖(VH)と軽鎖(VL)は、直接接合しているか、または、VHのN末端とVLのC末端、もしくはVHのC末端とVLのN末端を接続するペプチドコードリンカー(例えば、10、15、20、25アミノ酸)によって接合している。リンカーは、通常、柔軟性のためにグリシンに富み、ならびに溶解性のためにセリンまたはトレオニンに富む。リンカーにより細胞外抗原結合性ドメインの重鎖可変領域と軽鎖可変領域を連結することができる。リンカーの非限定的な例は、その内容全体がこれによって参照により組み込まれるShen et al., Anal. Chem. 80 (6): 1910-1917 (2008)およびWO2014/087010に開示されている。ある特定の実施形態では、リンカーは、G4Sリンカーである。
【0089】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提示する配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる:
GGGGSGGGGSGGGGS[配列番号1]
【0090】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提示する配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる:
GGGGSGGGGSGGGSGGGGS[配列番号2]
【0091】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提示する配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる:
GGGGSGGGGSGGGGSGGGSGGGGS[配列番号3]
【0092】
ある特定の実施形態では、リンカーは、以下に提示する配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる:
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSGGGGS[配列番号4]
【0093】
本明細書で使用される場合、「実質的に同一の」または「実質的に相同な」という用語は、ポリペプチドまたは核酸分子が、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載のアミノ酸配列のいずれか)または参照核酸配列(例えば、本明細書に記載の核酸配列のいずれか)に対して少なくとも約50%同一または相同であることを指す。ある特定の実施形態では、そのような配列は、比較のために使用されるアミノ酸配列または核酸配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%同一または相同である。
【0094】
配列同一性は、配列解析ソフトウェア(例えば、Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、1710 University Avenue、Madison、Wis.53705、BLAST、BESTFIT、GAP、またはPILEUP/PRETTYBOXプログラムの配列解析ソフトウェアパッケージ)を使用することによって測定することができる。そのようなソフトウェアでは、種々の置換、欠失、および/または他の改変に対して相同性の程度を割り当てることによって同一または同様の配列をマッチさせる。保存的置換には、一般には、以下の群内での置換が含まれる:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リシン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を決定するための例示的な手法では、BLASTプログラムを使用し、密接に関連する配列を示すe-3からe-100の間の確率スコアを用いることができる。
【0095】
2つのアミノ酸配列間のパーセント相同性は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE. Meyers and W. Miller (Comput. Appl. Biosci., 4: 11-17 (1988))のアルゴリズムを使用し、PAM120重み付け残基表(weight residue table)、ギャップ長ペナルティ(gap length penalty)12およびギャップペナルティ(gap penalty)4を使用して決定することができる。さらに、2つのアミノ酸配列間のパーセント相同性は、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comで入手可能)内のGAPプログラムに組み込まれているNeedleman and Wunsch (J. Mol. Biol. 48: 444-453 (1970))アルゴリズムを使用し、Blossum62行列またはPAM250行列のいずれか、ならびにギャップ重みづけ(gap weight)16、14、12、10、8、6、または4および長さ重みづけ(length weight)1、2、3、4、5、または6を使用して決定することができる。それに加えて、またはその代わりに、例えば、関連する配列を同定するために、本開示の主題のアミノ酸配列をさらに「クエリ配列」として使用して、公共のデータベースに対する検索を実施することができる。そのような検索は、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-10のXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実施することができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長(wordlength)=3を用いて実施して、本明細書に開示される指定の配列(例えば、scFv703の重鎖および軽鎖可変領域配列)と相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較する目的でギャップが挿入されたアラインメントを得るために、Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25 (17): 3389-3402に記載されているGapped BLASTを利用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。
【0096】
本明細書で使用される場合、「保存的配列改変」という用語は、アミノ酸配列を含む本開示のCD19標的化CAR(例えば、CARの細胞外抗原結合性ドメイン)の結合特徴に著しい影響を及ぼさず、変更もさせないアミノ酸の改変を指す。保存的改変には、アミノ酸置換、付加および欠失が含まれる。改変は、本開示のCARの細胞外抗原結合性ドメインに、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介性突然変異誘発などの当技術分野で公知の標準の技法によって導入することができる。アミノ酸は、それらの物理化学特性、例えば電荷および極性などに従って群に分類することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が同じ群内のアミノ酸で置き換えられた置換である。例えば、アミノ酸を電荷によって分類することができる:正に荷電したアミノ酸にはリシン、アルギニン、ヒスチジンが含まれ、負に荷電したアミノ酸にはアスパラギン酸、グルタミン酸が含まれ、中性電荷のアミノ酸にはアラニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンが含まれる。さらに、アミノ酸を極性によって分類することができる:極性アミノ酸にはアルギニン(塩基性極性)、アスパラギン、アスパラギン酸(酸性極性)、グルタミン酸(酸性極性)、グルタミン、ヒスチジン(塩基性極性)、リシン(塩基性極性)、セリン、トレオニン、およびチロシンが含まれる;非極性アミノ酸には、アラニン、システイン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、およびバリンが含まれる。したがって、CDR領域内の1つまたは複数のアミノ酸残基を同じ群の他のアミノ酸残基で置き換えることができ、変更された抗体を保持されている機能(すなわち、上の(c)から(l)までに記載されている機能)について、明細書に記載の機能アッセイを使用して試験することができる。ある特定の実施形態では、指定の配列またはCDR領域内の1つ以下、2つ以下、3つ以下、4つ以下、5つ以下の残基が変更されている。
【0097】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、処置に際して有益なまたは所望の臨床結果をもたらすために十分な量を指す。有効量は、対象に1回または複数回用量で投与することができる。ある特定の実施形態では、有効量は、疾患の増悪を緩和する、好転させる、安定化する、逆転させるもしくは緩徐化するため、または他のように疾患の病理学的結果を軽減するために十分な量であり得る。有効量は、医師が個々の場合に応じて、また、当業者の技術の範囲内で決定することができる。一般には、有効量を実現するために適当な投薬量を決定する際に、いくつかの因子を考慮に入れる。これらの因子としては、対象の年齢、性別および体重、処置される状態、状態の重症度ならびに投与される細胞の形態および有効濃度が挙げられる。
【0098】
本明細書で使用される場合、「新生物」という用語は、細胞または組織の病理学的増殖およびその後の他の組織または器官への移動または浸潤を特徴とする疾患を指す。新形成成長は、一般には、制御されず、進行性であり、正常な細胞の増殖(multiplication)が引き出されないまたはその休止が引き起こされる条件下で起こる。新生物は、これだけに限定されないが、膀胱、骨、脳、乳房、軟骨、グリア、食道、卵管、胆嚢、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、神経組織、卵巣、膵臓、前立腺、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、尿生殖路、尿管、尿道、子宮、および膣からなる群から選択される器官またはその組織または細胞型を含めた、種々の細胞型、組織、または器官に影響を及ぼし得る。新生物には、がん、例えば、肉腫、癌腫、または形質細胞腫(形質細胞の悪性腫瘍)などが含まれる。新生物は、原発腫瘍または原発がんであり得る。
【0099】
本明細書で使用される場合、「シグナル配列」または「リーダー配列」という用語は、新たに合成されたタンパク質のN末端に存在する、それらのタンパク質が分泌経路に進入するように方向づけるペプチド配列(例えば、5、10、15、20、25または30アミノ酸)を指す。
【0100】
「含む(comprises)」、「含む(comprising)」という用語は、米国特許法においてそれらに与えられている広範な意味を有するものとし、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味し得る。
【0101】
本明細書で使用される場合、「処置」は、処置される個体または細胞の疾患経過を変更しようとする臨床的介入を指し、予防のために実施することもでき、臨床病理の過程中に実施することもできる。処置の治療効果としては、限定することなく、疾患の出現または再発を防止すること、症状を和らげること、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果を弱めること、転移を防止すること、疾患増悪の速度を低下させること、病態を好転させるまたは緩和すること、および寛解させることまたは予後を改善することが挙げられる。処置により、疾患または障害の増悪を防止することによって、障害の影響を受けているまたはその診断を受けた対象または障害を有する疑いがある対象における障害に起因する悪化を防止することができるだけでなく、処置により、障害のリスクがあるまたは障害を有する疑いがある対象における障害または障害の症状の発症を防止することもできる。
【0102】
「個体」または「対象」は、本明細書では、ヒトまたは非ヒト動物などの脊椎動物、例えば、哺乳動物である。哺乳動物としては、これだけに限定されないが、ヒト、霊長類、家畜、競技動物、齧歯類および愛玩動物が挙げられる。非ヒト動物対象の非限定的な例としては、マウス、ラット、ハムスター、およびモルモットなどの齧歯類;ウサギ;イヌ;ネコ;ヒツジ;ブタ;ヤギ;ウシ;ウマ;および類人猿およびサルなどの非ヒト霊長類が挙げられる。
5.2.CD19
【0103】
CD19は、形質細胞に分化するまでの発生の初期の正常なB細胞に存在する細胞表面95kDa糖タンパク質である。CD19は、多能性血液幹細胞を含めた他の正常組織には存在しない。CD19は、B細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病、および急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia)のサブセットにおいて発現され、このことから、自己免疫疾患(B細胞形成不全以外)または不可逆的な骨髄毒性のリスクが最小限である、免疫療法の魅力的な標的となっている。
【0104】
CD19は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、B細胞受容体を通じたシグナルトランスダクションを正に調節するLeu13、CD81、およびCD21を含む細胞表面シグナルトランスダクション複合体の構成成分である。
【0105】
ある特定の実施形態では、本開示のCARは、ヒトCD19に結合する。ある特定の実施形態では、ヒトCD19は、NCBI参照番号NP_001171569.1(配列番号5)のアミノ酸配列またはその断片を含むまたはそれからなる。
配列番号5を以下に提示する:
MPPPRLLFFL LFLTPMEVRP EEPLVVKVEE GDNAVLQCLK GTSDGPTQQL TWSRESPLKP
FLKLSLGLPG LGIHMRPLAI WLFIFNVSQQ MGGFYLCQPG PPSEKAWQPG WTVNVEGSGE
LFRWNVSDLG GLGCGLKNRS SEGPSSPSGK LMSPKLYVWA KDRPEIWEGE PPCLPPRDSL
NQSLSQDLTM APGSTLWLSC GVPPDSVSRG PLSWTHVHPK GPKSLLSLEL KDDRPARDMW
VMETGLLLPR ATAQDAGKYY CHRGNLTMSF HLEITARPVL WHWLLRTGGW KVSAVTLAYL
IFCLCSLVGI LHLQRALVLR RKRKRMTDPT RRFFKVTPPP GSGPQNQYGN VLSLPTPTSG
LGRAQRWAAG LGGTAPSYGN PSSDVQADGA LGSRSPPGVG PEEEEGEGYE EPDSEEDSEF
YENDSNLGQD QLSQDGSGYE NPEDEPLGPE DEDSFSNAES YENEDEELTQ PVARTMDFLS
PHGSAWDPSR EATSLAGSQS YEDMRGILYA APQLRSIRGQ PGPNHEEDAD SYENMDNPDG
PDPAWGGGGR MGTWSTR[配列番号5]
【0106】
ある特定の実施形態では、ヒトCD19は、NCBI参照番号NP_001761.3(配列番号6)のアミノ酸配列またはその断片を含むまたはそれからなる。
配列番号6を以下に提示する:
MPPPRLLFFL LFLTPMEVRP EEPLVVKVEE GDNAVLQCLK GTSDGPTQQL TWSRESPLKP
FLKLSLGLPG LGIHMRPLAI WLFIFNVSQQ MGGFYLCQPG PPSEKAWQPG WTVNVEGSGE
LFRWNVSDLG GLGCGLKNRS SEGPSSPSGK LMSPKLYVWA KDRPEIWEGE PPCLPPRDSL
NQSLSQDLTM APGSTLWLSC GVPPDSVSRG PLSWTHVHPK GPKSLLSLEL KDDRPARDMW
VMETGLLLPR ATAQDAGKYY CHRGNLTMSF HLEITARPVL WHWLLRTGGW KVSAVTLAYL
IFCLCSLVGI LHLQRALVLR RKRKRMTDPT RRFFKVTPPP GSGPQNQYGN VLSLPTPTSG
LGRAQRWAAG LGGTAPSYGN PSSDVQADGA LGSRSPPGVG PEEEEGEGYE EPDSEEDSEF
YENDSNLGQD QLSQDGSGYE NPEDEPLGPE DEDSFSNAES YENEDEELTQ PVARTMDFLS
PHGSAWDPSR EATSLGSQSY EDMRGILYAA PQLRSIRGQP GPNHEEDADS YENMDNPDGP
DPAWGGGGRM GTWSTR[配列番号6]
【0107】
ある特定の実施形態では、CARは、CD19の細胞外ドメインに結合する。ある特定の実施形態では、CARは、ヒトCD19の細胞外ドメインに結合する。ある特定の実施形態では、ヒトCD19の細胞外ドメインは、配列番号5のアミノ酸20~291を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、ヒトCD19の細胞外ドメインは、配列番号6のアミノ酸20~291を含むまたはそれからなる。
【0108】
ある特定の実施形態では、CD19は、配列番号5に記載のアミノ酸配列またはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%同一であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
【0109】
ある特定の実施形態では、CD19は、配列番号6に記載のアミノ酸配列またはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%同一であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
5.3.キメラ抗原受容体(CAR)
【0110】
CARは、工学的に操作された受容体であり、目的の特異性を免疫エフェクター細胞に移植または付与する。CARを使用して、モノクローナル抗体の特異性を、細胞、例えば免疫応答性細胞、例えばT細胞またはNK細胞に移植することができる;それらのコード配列の移入はレトロウイルスベクターによって容易になる。
【0111】
3世代のCARが存在する。「第1世代」CARは、一般には、細胞外抗原結合性ドメイン(例えば、scFv)、それと融合した膜貫通ドメイン、それと融合した細胞内シグナル伝達ドメインで構成される。「第1世代」CARは、新規の抗原認識をもたらし、単一の融合分子として、それらのCD3ζ鎖シグナル伝達ドメインを通じて、HLA媒介性抗原提示とは独立して、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の両方の活性化を引き起こすことができる。「第2世代」CARでは、追加的なシグナルを細胞にもたらすために、共刺激分子(これだけに限定されないが、CD28、4-1BB、ICOS、OX40を含む)由来の細胞内シグナル伝達ドメインがCARの細胞質尾部に付加されている。「第2世代」CARは、共刺激(例えば、CD28または4-1BB)および活性化(CD3ζ)の両方をもたらすものを含む。「第3世代」CARは、複数の共刺激(例えば、CD28および4-1BB)および活性化(CD3ζ)をもたらすものを含む。ある特定の実施形態では、CD19標的化CARは第1世代CARである。ある特定の実施形態では、CD19標的化CARは、共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。ある特定の実施形態では、CD19標的化CARは第2世代CARである。ある特定の実施形態では、CD19標的化CARは、共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0112】
ある特定の実施形態では、CARは、CD19に特異的に結合する細胞外抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは膜貫通ドメインと融合しており、膜貫通ドメインは細胞内シグナル伝達ドメインと融合している。
5.3.1.CARの細胞外抗原結合性ドメイン
【0113】
ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、scFvを含むまたはscFvである。scFvは、ヒトscFv、ヒト化scFv、またはマウスscFvである。ある特定の実施形態では、scFvはヒトscFvである。scFvは、抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域の融合に由来し得る。その代わりにまたはそれに加えて、scFvは、Fabに由来し得る(抗体由来ではなく、例えば、Fabライブラリーから得たもの)。
【0114】
ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、Fabを含むまたはFabである。ある特定の実施形態では、Fabは架橋結合している。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、F(ab)2を含むまたはF(ab)2である。
【0115】
前述の分子のいずれも、CARの細胞外抗原結合性ドメインを形成するために異種配列と共に融合タンパク質に含めることができる。
【0116】
ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、CD19(例えば、ヒトCD19)に、少なくとも約1×10-6M、少なくとも約1×10-7M、少なくとも約1×10-8M、少なくとも約1×10-9M、または少なくとも約1×10-10Mの解離定数(Kd)で結合する。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、CD19(例えば、ヒトCD19)に、少なくとも約2×10-8Mの解離定数(Kd)で結合する。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、CD19(例えば、ヒトCD19)に、約2×10-8Mから約8×10-9Mの間の解離定数(Kd)で結合する。
【0117】
ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、CD19(例えば、ヒトCD19)に、約1nMから50nMの間、約5nMから30nMの間、約5nMから25nMの間、または約8nMから20nMの間の解離定数(Kd)で結合する。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、CD19(例えば、ヒトCD19)に、少なくとも約50nM、少なくとも約40nM、少なくとも約35nM、少なくとも約30nM、少なくとも約25nM、少なくとも約20nM、少なくとも約19nM、少なくとも約18nM、少なくとも約17nM、少なくとも約16nM、少なくとも約15nM、少なくとも約14nM、少なくとも約13nM、少なくとも約12nM、少なくとも約11nM、少なくとも約10nM、少なくとも約9nM、少なくとも約8nM、少なくとも約7nM、少なくとも約6nM、または少なくとも約5nMの解離定数(Kd)で結合する。
【0118】
CARの細胞外抗原結合性ドメインの結合は、例えば、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、FACS分析、バイオアッセイ(例えば、成長阻害)、またはウエスタンブロットアッセイによって確認することができる。これらのアッセイは、それぞれ、一般に、目的の複合体に特異的な標識した試薬(例えば、抗体またはscFv)を使用することによって特定の目的のタンパク質-抗体複合体の存在を検出するものである。例えば、scFvを放射標識し、ラジオイムノアッセイ(RIA)に使用することができる(例えば、参照により本明細書に組み込まれるWeintraub, B., Principles of Radioimmunoassays, Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques, The Endocrine Society, March, 1986を参照されたい)。放射性同位元素は、γカウンターもしくはシンチレーションカウンターの使用などの手段によって、またはオートラジオグラフィーによって検出することができる。ある特定の実施形態では、CD127標的化細胞外抗原結合性ドメインを蛍光マーカーで標識する。蛍光マーカーの非限定的な例としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質(例えば、EBFP、EBFP2、Azurite、およびmKalama1)、シアン蛍光タンパク質(例えば、ECFP、Cerulean、およびCyPet)、ならびに黄色蛍光タンパク質(例えば、YFP、Citrine、Venus、およびYPet)が挙げられる。ある特定の実施形態では、CD19標的化ヒトscFvをGFPで標識する。
【0119】
ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0120】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。配列番号7~9を以下に提示する。
SYGMH[配列番号7]
LIWYDGSNKYYADSVKG[配列番号8]
PVEGLLRGFDY[配列番号9]
【0121】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号10に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)同一または相同であるアミノ酸配列を含む。例えば、VHは、配列番号10に記載のアミノ酸配列と約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、VHは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号10を以下に提示する。
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVALIWYDGSNKYYADSVKGRFTI
SRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPVEGLLRGFDYWGQGTLVTVSS[配列番号10]
【0122】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。配列番号11~13を以下に提示する。
RASQSVSSSYLA[配列番号11]
GASSRAT[配列番号12]
QQAGAVPIT[配列番号13]
【0123】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号14に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)同一または相同であるアミノ酸配列を含む。例えば、VLは、配列番号14に記載のアミノ酸配列と約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号14を以下に提示する。
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQAGAVPITFGGGTKVEIK[配列番号14]
【0124】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含み、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくは保存的改変を含むCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1;配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0125】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号14に記載のアミノ酸配列を含む。
【0126】
VHとVLは、例えばリンカーによって、次々に連結していてよい。可変領域は、N末端からC末端に、VL-VHまたはVL-VHであり得る。ある特定の実施形態では、VLは、細胞外抗原結合性ドメインのN末端に位置づけられている、すなわち、VHとVLは、N末端からC末端に、VL-VHという位置づけである。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVH;ならびに配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVLを含むscFvである。ある特定の実施形態では、scFvは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号14に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、scFvは、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。配列番号15を以下に提示する。ある特定の実施形態では、抗CD19 scFvは「#2 scFv」と称される。
【0127】
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQAGAVPITFGGGTKVEIKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVALIWYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPVEGLLRGFDYWGQGTLVTVSS[配列番号15]
【0128】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号16に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。配列番号16および17を以下に提示する。
RASQSVRSSYLA[配列番号16]
QQLFDSPYT[配列番号17]
【0129】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号18に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)同一または相同であるアミノ酸配列を含む。例えば、VLは、配列番号18に記載のアミノ酸配列と約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号18を以下に提示する。
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVRSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQLFDSPYTFGGGTKVEIK[配列番号18]
【0130】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含み、VLは、配列番号16に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくは保存的改変を含むCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、VLは、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0131】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を含む。
【0132】
ある特定の実施形態では、VLは、細胞外抗原結合性ドメインのN末端に位置づけられている、すなわち、VHとVLは、N末端からC末端に、VL-VHという位置づけである。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVH;ならびに配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVLを含むscFvである。ある特定の実施形態では、scFvは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号18に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、scFvは、配列番号19に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。配列番号19を以下に提示する。ある特定の実施形態では、抗CD19 scFvは「#8 scFv」と称される。
【0133】
IVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVRSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQLFDSPYTFGGGTKVEIKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVALIWYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPVEGLLRGFDYWGQGTLVTVSS[配列番号19]
【0134】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。配列番号20および21を以下に提示する。
GASRRAT[配列番号20]
QQAGIPPYT[配列番号21]
【0135】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号22に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)同一または相同であるアミノ酸配列を含む。例えば、VLは、配列番号22に記載のアミノ酸配列と約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号22を以下に提示する。
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASRRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQAGIPPYTFGGGTKVEIK[配列番号22]
【0136】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含み、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列もしくは保存的改変を含むCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0137】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号22に記載のアミノ酸配列を含む。
【0138】
ある特定の実施形態では、VLは、細胞外抗原結合性ドメインのN末端に位置づけられている、すなわち、VHとVLは、N末端からC末端に、VL-VHという位置づけである。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVH;配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVLを含むscFvである。ある特定の実施形態では、scFvは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号22に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、scFvは、配列番号23に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。配列番号23を以下に提示する。ある特定の実施形態では、抗CD19 scFvは「#15 scFv」と称される。
【0139】
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVALIWYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPVEGLLRGFDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSEIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASRRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQAGIPPYTFGGGTKVEIK[配列番号23]
【0140】
ある特定の実施形態では、CDRは、Kabat番号付けシステムに従って識別される。
【0141】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号57に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号57に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。配列番号57を以下に提示する。
QQVDSLHPFT[配列番号57]
【0142】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号58に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)同一または相同であるアミノ酸配列を含む。例えば、VLは、配列番号58に記載のアミノ酸配列と約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号58に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号58を以下に提示する。
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQVDSLHPFTFGGGTKVEIK[配列番号58]
【0143】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含み、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくは保存的改変を含むCDR2、および配列番号57に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号57に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0144】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号58に記載のアミノ酸配列を含む。
【0145】
ある特定の実施形態では、VLは、細胞外抗原結合性ドメインのN末端に位置づけられている、すなわち、VHとVLは、N末端からC末端に、VL-VHという位置づけである。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVH;配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号57に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVLを含むscFvである。ある特定の実施形態では、scFvは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号58に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗CD19 scFvは「#4 scFv」と称される。
【0146】
ある特定の実施形態では、CDRは、Kabat番号付けシステムに従って識別される。
【0147】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号59に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号59に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。配列番号59を以下に提示する。
QQAGGVPPLT[配列番号59]
【0148】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号60に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)同一または相同であるアミノ酸配列を含む。例えば、VLは、配列番号60に記載のアミノ酸配列と約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号60に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号60を以下に提示する。
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQAGGVPPLTFGGGTKVEIK[配列番号60]
【0149】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含み、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくは保存的改変を含むCDR2、および配列番号59に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号59に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0150】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号60に記載のアミノ酸配列を含む。
【0151】
ある特定の実施形態では、VLは、細胞外抗原結合性ドメインのN末端に位置づけられている、すなわち、VHとVLは、N末端からC末端に、VL-VHという位置づけである。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVH;配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号59に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVLを含むscFvである。ある特定の実施形態では、scFvは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号60に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗CD19 scFvは「#5 scFv」と称される。
【0152】
ある特定の実施形態では、CDRは、Kabat番号付けシステムに従って識別される。
【0153】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号16に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号61に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。配列番号61を以下に提示する。
QQAGVPPLT[配列番号61]
【0154】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号62に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)同一または相同であるアミノ酸配列を含む。例えば、VLは、配列番号62に記載のアミノ酸配列と約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号62に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号62を以下に提示する。
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVRSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQAGVPPLTFGGGTKVEIK[配列番号62]
【0155】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含み、VLは、配列番号16に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくは保存的改変を含むCDR2、および配列番号61に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、VLは、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0156】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号62に記載のアミノ酸配列を含む。
【0157】
ある特定の実施形態では、VLは、細胞外抗原結合性ドメインのN末端に位置づけられている、すなわち、VHとVLは、N末端からC末端に、VL-VHという位置づけである。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVH;配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号61に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVLを含むscFvである。ある特定の実施形態では、scFvは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号62に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗CD19 scFvは「#6 scFv」と称される。
【0158】
ある特定の実施形態では、CDRは、Kabat番号付けシステムに従って識別される。
【0159】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号63に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号63に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。配列番号63を以下に提示する。
QQAGGVPPFT[配列番号63]
【0160】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号64に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)同一または相同であるアミノ酸配列を含む。例えば、VLは、配列番号64に記載のアミノ酸配列と約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号64を以下に提示する。
EIVMTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQAGGVPPFTFGGGTKVEIK[配列番号64]
【0161】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含み、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列もしくは保存的改変を含むCDR2、および配列番号63に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号63に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0162】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号64に記載のアミノ酸配列を含む。
【0163】
ある特定の実施形態では、VLは、細胞外抗原結合性ドメインのN末端に位置づけられている、すなわち、VHとVLは、N末端からC末端に、VL-VHという位置づけである。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVH;配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号63に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVLを含むscFvである。ある特定の実施形態では、scFvは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号64に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗CD19 scFvは「#7 scFv」と称される。
【0164】
ある特定の実施形態では、CDRは、Kabat番号付けシステムに従って識別される。
【0165】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号65に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号66に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号65に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号66に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。配列番号66および67を以下に提示する。
GASNRAT[配列番号65]
QQAGVFPFT[配列番号66]
【0166】
ある特定の実施形態では、VLは、配列番号67に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)同一または相同であるアミノ酸配列を含む。例えば、VLは、配列番号67に記載のアミノ酸配列と約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号67に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号67を以下に提示する。
EIVMTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASNRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQAGVFPFTFGGGTKVEIK[配列番号67]
【0167】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含み、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR1、配列番号65に記載のアミノ酸配列もしくは保存的改変を含むCDR2、および配列番号66に記載のアミノ酸配列もしくはその保存的改変を含むCDR3を含む。ある特定の実施形態では、VHは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含み、VLは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号65に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号66に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0168】
ある特定の実施形態では、VHは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号67に記載のアミノ酸配列を含む。
【0169】
ある特定の実施形態では、VLは、細胞外抗原結合性ドメインのN末端に位置づけられている、すなわち、VHとVLは、N末端からC末端に、VL-VHという位置づけである。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合性ドメインは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVH;配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号65に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号66に記載のアミノ酸配列を含むCDR3を含むVLを含むscFvである。ある特定の実施形態では、scFvは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号67に記載のアミノ酸配列を含むVLを含む。ある特定の実施形態では、抗CD19 scFvは「#1 scFv」と称される。
【0170】
ある特定の実施形態では、CDRは、Kabat番号付けシステムに従って識別される。
【0171】
配列番号10のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は配列番号68に記載される。配列番号68を以下に提示する。
【0172】
CAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCGTGGTCCAGCCTGGGAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCGTCTGGATTCACCTTCAGTAGCTATGGCATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCACTGATATGGTATGATGGAAGTAATAAATACTATGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCGGTGTACTACTGCGCCAAGCCAGTGGAAGGACTATTAAGAGGATTCGATTACTGGGGACAGGGTACATTGGTCACCGTCTCCTCA[配列番号68]
【0173】
配列番号14のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は配列番号69に記載される。配列番号69を以下に提示する。
【0174】
GAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCAGCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCAGGCCGGAGCCGTCCCTATCACTTTTGGCGGAGGGACCAAGGTTGAGATCAAA[配列番号69]
【0175】
配列番号18のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は配列番号70に記載される。配列番号70を以下に提示する。
【0176】
GAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGGAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCAGCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCAGCTCTTCGACAGTCCTTACACTTTTGGCGGAGGGACCAAGGTTGAGATCAAA[配列番号70]
【0177】
配列番号22のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は配列番号71に記載される。配列番号71を以下に提示する。
【0178】
GAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCAGAAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCAGGCCGGCATCCCCCCTTACACTTTTGGCGGAGGGACCAAGGTTGAGATCAAA[配列番号71]
【0179】
配列番号58のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は配列番号72に記載される。配列番号72を以下に提示する。
【0180】
GAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCAGCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCAGGTCGACAGTCTCCATCCTTTCACTTTTGGCGGAGGGACCAAGGTTGAGATCAAA[配列番号72]
【0181】
配列番号60のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は配列番号73に記載される。配列番号73を以下に提示する。
【0182】
GAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCAGCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCAGGCCGGAGGCGTCCCTCCTCTCACTTTTGGCGGAGGGACCAAGGTTGAGATCAAA[配列番号73]
【0183】
配列番号62のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は配列番号74に記載される。配列番号74を以下に提示する。
【0184】
GAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGGAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCAGCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCAGGCCGGAGTCCCCCCTCTCACTTTTGGCGGAGGGACCAAGGTTGAGATCAAA[配列番号74]
【0185】
配列番号64のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は配列番号75に記載される。配列番号75を以下に提示する。
【0186】
GAAATTGTGATGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCAGCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCAGGCCGGAGGCGTCCCTCCTTTCACTTTTGGCGGAGGGACCAAGGTTGAGATCAAA[配列番号75]
【0187】
配列番号67のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列は配列番号76に記載される。配列番号76を以下に提示する。
【0188】
GAAATTGTGATGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCAACAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCAGGCCGGAGTCTTCCCTTTCACTTTTGGCGGAGGGACCAAGGTTGAGATCAAA[配列番号76]
【0189】
ある特定の実施形態では、VHとVLはリンカーを介して連結している。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
【0190】
特定の配列(例えば、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、または配列番号67)に対して少なくとも約80%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%(例えば、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%)の相同性または同一性からなるVHおよび/またはVLアミノ酸配列は、指定の配列(複数可)と比べて置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有し得るが、標的抗原(例えば、メソテリン)に結合する能力を保持する。ある特定の実施形態では、特定の配列(例えば、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、または配列番号67)内の合計1~10アミノ酸が置換されている、挿入されているおよび/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、細胞外抗原結合性ドメインのCDRの外側の領域(例えば、FR内)に存在する。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、配列番号10、14、18、22、59、61、63、65、および68から選択されるVHおよび/またはVLを含み、配列番号10、配列番号14、配列番号18、配列番号22、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、または配列番号67の翻訳後修飾を含む。
【0191】
さらに、細胞外抗原結合性ドメインは、新生タンパク質を小胞体内に方向づけるリーダーまたはシグナルペプチドを含み得る。シグナルペプチドまたはリーダーは、CARがグリコシル化され、細胞膜に係留される場合に必須であり得る。シグナル配列またはリーダーは、新たに合成されたタンパク質のN末端に存在する、それらのタンパク質の分泌経路への進入を方向づけるペプチド配列(約5、約10、約15、約20、約25、または約30アミノ酸長)であり得る。ある特定の実施形態では、シグナルペプチドは、細胞外抗原結合性ドメインの5’末端(N末端)に共有結合により接合している。ある特定の実施形態では、シグナルペプチドは、CD8ポリペプチドを含み、例えば、CARは、短縮型CD8シグナルペプチドを含む。ある特定の実施形態では、シグナルペプチドは、それが由来する抗体から生成される。ある特定の実施形態では、#2 scFvに対するシグナルペプチドは配列番号54に記載される。ある特定の実施形態では、#8 scFvに対するシグナルペプチドは配列番号54に記載される。ある特定の実施形態では、#15 scFvに対するシグナルペプチドは配列番号55に記載される。
MDMRVPAQLLGLLLLWLPDTRC[配列番号54]
MEFGLSWVFLVALLRGVQC[配列番号55]
5.3.2.CARの膜貫通ドメイン
【0192】
ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、膜の少なくとも一部分にまたがる疎水性アルファヘリックスを含む。異なる膜貫通ドメインにより異なる受容体安定性がもたらされる。抗原認識後、受容体がクラスター化し、シグナルが細胞に伝達される。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、CD8の天然のまたは改変された膜貫通ドメイン、CD28の天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、CD3ζの天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、CD4の天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、4-1BBの天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、OX40の天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、ICOSの天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、CD84の天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、CD166の天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、CD8aの天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、CD8bの天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、ICAM-1の天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、CTLA-4の天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、CD27の天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、CD40の天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、NKGD2の天然のもしくは改変された膜貫通ドメイン、またはこれらの組合せを含む。
【0193】
ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、CD28ポリペプチド(例えば、CD28の膜貫通ドメインまたはその一部)を含む。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、ヒトCD28の膜貫通ドメインまたはその一部を含む。CD28ポリペプチドは、NCBI参照番号NP_006130を有する配列(配列番号24)もしくはその断片と少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%もしくは100%同一もしくは相同であるアミノ酸配列を含んでよいもしくはそれからなってよい、および/または、必要に応じて最大1つまたは最大2つまたは最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、少なくとも約20、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、または少なくとも約60、および/または最大約70、最大約80、最大約90、最大約100、最大約150、最大約200、または最大約220アミノ酸長である、配列番号24の連続した一部分であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号24のアミノ酸1~220、1~50、50~100、100~150、154~179、150~200、153~179、または200~220のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、配列番号24のアミノ酸154~179のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCD28ポリペプチドを含む。配列番号24を以下に提示する。
MLRLLLALNL FPSIQVTGNK ILVKQSPMLV AYDNAVNLSC KYSYNLFSRE FRASLHKGLD
SAVEVCVVYG NYSQQLQVYS KTGFNCDGKL GNESVTFYLQ NLYVNQTDIY FCKIEVMYPP
PYLDNEKSNG TIIHVKGKHL CPSPLFPGPS KPFWVLVVVG GVLACYSLLV TVAFIIFWVR
SKRSRLLHSD YMNMTPRRPG PTRKHYQPYA PPRDFAAYRS[配列番号24]
【0194】
配列番号24のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列のアミノ酸154~179は配列番号25に記載され、それを以下に提示する。
TGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTG[配列番号25]
【0195】
ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、マウスCD28の膜貫通ドメインまたはその一部を含む。CD28ポリペプチドは、NCBI参照番号NP_031668.3を有する配列(配列番号26)もしくはその断片と少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%もしくは100%同一もしくは相同であるアミノ酸配列からなってよく、および/または必要に応じて最大1つまたは最大2つまたは最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、少なくとも約20、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、および最大約218アミノ酸長である、配列番号26の連続した一部分であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号26のアミノ酸1~218、1~50、50~100、100~150、150~200、151~177、または200~218のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、配列番号26のアミノ酸151~177のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCD28ポリペプチドを含む。配列番号26を以下に提示する:
MTLRLLFLAL NFFSVQVTEN KILVKQSPLL VVDSNEVSLS CRYSYNLLAK EFRASLYKGV
NSDVEVCVGN GNFTYQPQFR SNAEFNCDGD FDNETVTFRL WNLHVNHTDI YFCKIEFMYP
PPYLDNERSN GTIIHIKEKH LCHTQSSPKL FWALVVVAGV LFCYGLLVTV ALCVIWTNSR
RNRLLQSDYM NMTPRRPGLT RKPYQPYAPA RDFAAYRP[配列番号26]
【0196】
ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、CD8ポリペプチド(例えば、CD8の膜貫通ドメインまたはその一部)を含む。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、ヒトCD8の膜貫通ドメインまたはその一部を含む。ある特定の実施形態では、CD8ポリペプチドは、NCBI参照番号NP_001139345.1を有する配列(配列番号27)またはその断片と少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含むまたはそれを有する、および/または必要に応じて最大1つまたは最大2つまたは最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。ある特定の実施形態では、CD8ポリペプチドは、少なくとも約20、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、および最大約235アミノ酸長である、配列番号27の連続した一部分であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。その代わりにまたはそれに加えて、ある特定の実施形態では、CD8ポリペプチドは、配列番号27のアミノ酸1~235、1~50、50~100、100~150、150~200、137~209または200~235のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、配列番号27のアミノ酸137~209のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCD8ポリペプチドを含む。配列番号27を以下に提示する。
【0197】
MALPVTALLLPLALLLHAARPSQFRVSPLDRTWNLGETVELKCQVLLSNPTSGCSWLFQPRGAAASPTFLLYLSQNKPKAAEGLDTQRFSGKRLGDTFVLTLSDFRRENEGYYFCSALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRNRRRVCKCPRPVVKSGDKPSLSARYV[配列番号27]
【0198】
ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、マウスCD8の膜貫通ドメインまたはその一部を含む。ある特定の実施形態では、CD8ポリペプチドは、NCBI参照番号AAA92533.1を有する配列(配列番号28)またはその断片と少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含むまたはそれを有する、および/または必要に応じて最大1つまたは最大2つまたは最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。ある特定の実施形態では、CD8ポリペプチドは、少なくとも約20、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、または少なくとも約60、または少なくとも約70、または少なくとも約100、または少なくとも約200、および最大247アミノ酸長である、配列番号28の連続した一部分であるアミノ酸配列を含むまたはそれを有する。その代わりにまたはそれに加えて、ある特定の実施形態では、CD8ポリペプチドは、配列番号28のアミノ酸1~247、1~50、50~100、100~150、150~200、151~219、または200~247のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、配列番号28のアミノ酸151~219のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCD8ポリペプチドを含む。配列番号28を以下に提示する。
MASPLTRFLS LNLLLMGESI ILGSGEAKPQ APELRIFPKK MDAELGQKVD LVCEVLGSVS
QGCSWLFQNS SSKLPQPTFV VYMASSHNKI TWDEKLNSSK LFSAVRDTNN KYVLTLNKFS
KENEGYYFCS VISNSVMYFS SVVPVLQKVN STTTKPVLRT PSPVHPTGTS QPQRPEDCRP
RGSVKGTGLD FACDIYIWAP LAGICVAPLL SLIITLICYH RSRKRVCKCP RPLVRQEGKP
RPSEKIV[配列番号28]
【0199】
ある特定の非限定的な実施形態では、CARは、細胞外抗原結合性ドメインと膜貫通ドメインを連結するスペーサー領域をさらに含む。スペーサー領域は、CARの活性の活性化を保存しながら抗原認識を容易にするために抗原結合性ドメインを異なる方向に向けることを可能にするのに十分に柔軟であり得る。
【0200】
ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域は、CD8、CD28、CD3ζ、CD40、4-1BB、OX40、CD84、CD166、CD8a、CD8b、ICOS、ICAM-1、CTLA-4、CD27、CD40、NKGD2、またはこれらの組合せの天然のまたは改変されたヒンジ領域を含む。ヒンジ/スペーサー領域は、IgG1、または免疫グロブリンのCH2CH3領域およびCD3の一部、CD28ポリペプチドの一部(例えば、配列番号24もしくは配列番号26の一部)、CD8ポリペプチドの一部(例えば、配列番号27もしくは配列番号28の一部)に由来するヒンジ領域、これらと少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%同一または相同である、前述のいずれかの変形、または合成スペーサー配列であってよい。
【0201】
ある特定の実施形態では、CARのヒンジドメインは、CD28の天然のまたは改変されたヒンジ領域を含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジドメインは、CD28の天然のヒンジ領域を含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジドメインは、配列番号24のアミノ酸114~153のアミノ酸配列を含む。配列番号24のアミノ酸配列をコードする例示的なヌクレオチド配列のアミノ酸114~153は配列番号56に記載され、それを以下に提示する。
ATTGAAGTTATGTATCCTCCTCCTTACCTAGACAATGAGAAGAGCAATGGAACCATTATCCATGTGAAAGGGAAACACCTTTGTCCAAGTCCCCTATTTCCCGGACCTTCTAAGCCCTTT[配列番号56]
5.3.3.CARの細胞内シグナル伝達ドメイン
【0202】
ある特定の実施形態では、CARは、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζポリペプチドを含む。CD3ζは、細胞(例えば、リンパ系列の細胞、例えば、T細胞)を活性化または刺激し得る。野生型(「天然の」)CD3ζは、3つの機能的な免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)、3つの機能的な塩基性に富むひと続き(BRS)領域(BRS1、BRS2およびBRS3)を含む。CD3ζは、抗原が結合した後、活性化シグナルを細胞(例えば、リンパ系列の細胞、例えば、T細胞)に伝達する。CD3ζ鎖の細胞内シグナル伝達ドメインは、内因性TCRからのシグナルの主要なトランスミッターである。
【0203】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、天然のCD3ζを含む。ある特定の実施形態では、天然のCD3ζは、NCBI参照番号NP_932170を有するアミノ酸配列(配列番号29)またはその断片と少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる、および/または必要に応じて最大1つまたは最大2つまたは最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。ある特定の実施形態では、CD3ζポリペプチドは、少なくとも約20、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、および最大約164アミノ酸長である、配列番号29の連続した一部分であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、天然のCD3ζは、配列番号29のアミノ酸1~164、1~50、50~100、52~164、100~150、または150~164のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号29のアミノ酸52~164のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる天然のCD3ζを含む。配列番号29を以下に提示する:
MKWKALFTAA ILQAQLPITE AQSFGLLDPK LCYLLDGILF IYGVILTALF LRVKFSRSAD
APAYQQGQNQ LYNELNLGRR EEYDVLDKRR GRDPEMGGKP QRRKNPQEGL YNELQKDKMA
EAYSEIGMKG ERRRGKGHDG LYQGLSTATK DTYDALHMQA LPPR[配列番号29]
【0204】
ある特定の実施形態では、天然のCD3ζは、配列番号30に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。配列番号30を以下に提示する:
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR[配列番号30]
【0205】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、改変されたCD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、改変されたCD3ζポリペプチドは、1つ、2つまたは3つのITAMを含む。ある特定の実施形態では、改変されたCD3ζポリペプチドは、天然のITAM1を含む。ある特定の実施形態では、天然のITAM1は、配列番号31に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
QNQLYNELNLGRREEYDVLDKR[配列番号31]
【0206】
配列番号31のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は配列番号32に記載され、それを以下に提示する。
CAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGA[配列番号32]
【0207】
ある特定の実施形態では、改変されたCD3ζポリペプチドは、1つまたは複数の機能喪失型突然変異を含むITAM1バリアントを含む。ある特定の実施形態では、ITAM1バリアントは、2つの機能喪失型突然変異を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、1つまたは複数(例えば、2つ)の機能喪失突然変異のそれぞれがITAM1のチロシン残基の突然変異を含む。ある特定の実施形態では、ITAM1バリアントは、2つの機能喪失型突然変異からなる。ある特定の実施形態では、ITAM1バリアントは、以下に提示する配列番号33に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
QNQLFNELNLGRREEFDVLDKR[配列番号33]
【0208】
配列番号33のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は配列番号34に記載され、それを以下に提示する。
CAGAACCAGCTCTTTAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTTCGATGTTTTGGACAAGAGA[配列番号34]
【0209】
ある特定の実施形態では、改変されたCD3ζポリペプチドは、天然のITAM2を含む。ある特定の実施形態では、天然のITAM2は、以下に提示する配列番号35に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
QEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMK[配列番号35]
【0210】
配列番号35のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は配列番号36に記載され、それを以下に提示する。
CAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAA[配列番号36]
【0211】
ある特定の実施形態では、改変されたCD3ζポリペプチドは、ITAM2バリアントを含む。ある特定の実施形態では、ITAM2バリアントは、1つまたは複数の機能喪失型突然変異を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、ITAM2バリアントは、2つの機能喪失型突然変異を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、1つまたは複数(例えば、2つ)の機能喪失突然変異のそれぞれが、ITAM2のチロシン残基の突然変異を含む。ある特定の実施形態では、ITAM1バリアントは、2つの機能喪失型突然変異からなる。ある特定の実施形態では、ITAM2バリアントは、以下に提示する配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
QEGLFNELQKDKMAEAFSEIGMK[配列番号37]
【0212】
配列番号37のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は配列番号38に記載され、それを以下に提示する。
CAGGAAGGCCTGTTCAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTTCAGTGAGATTGGGATGAAA[配列番号38]
【0213】
ある特定の実施形態では、改変されたCD3ζポリペプチドは、天然のITAM3を含む。ある特定の実施形態では、天然のITAM3は、以下に提示する配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
HDGLYQGLSTATKDTYDALHMQ[配列番号39]
【0214】
配列番号39のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は配列番号40に記載され、それを以下に提示する。
CACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAG[配列番号40]
【0215】
ある特定の実施形態では、改変されたCD3ζポリペプチドは、ITAM3バリアントを含む。ある特定の実施形態では、ITAM3バリアントは、2つの機能喪失型突然変異を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、1つまたは複数(例えば、2つ)の機能喪失突然変異のそれぞれが、ITAM3のチロシン残基の突然変異を含む。ある特定の実施形態では、ITAM3バリアントは、2つの機能喪失型突然変異を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、ITAM3バリアントは、以下に提示する配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
HDGLFQGLSTATKDTFDALHMQ[配列番号41]
【0216】
配列番号41のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は配列番号42に記載され、それを以下に提示する。
CACGATGGCCTTTTCCAGGGGCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTTCGACGCCCTTCACATGCAG[配列番号42]
【0217】
種々の改変されたCD3ζポリペプチドおよび改変されたCD3ζポリペプチドを含むCARは、これによりその全体が参照により組み込まれる国際特許出願公開第WO2019/133969号に開示されている。
【0218】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、天然のITAM1、1つまたは複数(例えば、2つ)の機能喪失型突然変異を含むまたはそれからなるITAM2バリアント、および1つまたは複数(例えば、2つ)の機能喪失型突然変異を含むまたはそれからなるITAM3バリアントを含む改変されたCD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、天然のITAM1、2つの機能喪失型突然変異からなるITAM2バリアント、および2つの機能喪失型突然変異からなるITAM3バリアントを含む改変されたCD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号31に記載のアミノ酸配列からなる天然のITAM1、配列番号37に記載のアミノ酸配列からなるITAM2バリアント、および配列番号41に記載のアミノ酸配列からなるITAM3バリアントを含む改変されたCD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARは、「1XX」と称される。ある特定の実施形態では、改変されたCD3ζポリペプチドは、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。配列番号43を以下に提示する:
RVKFSRSADA PAYQQGQNQL YNELNLGRRE EYDVLDKRRG RDPEMGGKPR RKNPQEGLFN ELQKDKMAEA FSEIGMKGER RRGKGHDGLF QGLSTATKDT FDALHMQALP PR[配列番号43]
【0219】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号43またはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%同一のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる、および/または必要に応じて最大1つまたは最大2つまたは最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい、改変されたCD3ζポリペプチドを含む。
【0220】
配列番号43のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は配列番号44に記載され、それを以下に提示する。
【0221】
AGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTTCAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTTCAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTTCCAGGGGCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTTCGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC[配列番号44]
【0222】
別の配列番号43のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は配列番号45に記載され、それを以下に提示する。
【0223】
AGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTTCAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTTCAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTTCCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTTCGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC[配列番号45]
【0224】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域をさらに含む。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの共刺激領域は、共刺激分子またはその一部を含む。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの共刺激領域は、少なくとも1つの共刺激分子の細胞内ドメインまたはその一部を含む。
【0225】
本明細書で使用される場合、「共刺激分子」は、リンパ球の抗原に対する効率的な応答をもたらし得る、抗原受容体またはそのリガンド以外の細胞表面分子を指す。ある特定の実施形態では、共刺激分子は、最適なリンパ球活性化をもたらし得る。共刺激分子の非限定的な例としては、CD28、4-1BB、OX40、ICOS、DAP-10、およびこれらの組合せが挙げられる。共刺激分子は、共刺激リガンドに結合し得る。共刺激リガンドは、細胞表面上に発現され、その受容体に結合すると、共刺激応答、すなわち、抗原を認識する受容体(例えば、キメラ抗原受容体(CAR))がその標的抗原に結合するともたらされる刺激を有効にする細胞内応答を生じさせるタンパク質である。一例として、4-1BBリガンド(すなわち、4-1BBL)は、4-1BBに結合し得、それにより、CARシグナルと組み合わさってCAR+T細胞のエフェクター細胞機能を誘導する細胞内シグナルをもたらす。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域は、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインまたはその一部、4-1BBの細胞内ドメインまたはその一部、OX40の細胞内ドメインまたはその一部、ICOSの細胞内ドメインまたはその一部、またはDAP-10の細胞内ドメインまたはその一部を含む。
【0226】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28ポリペプチド、例えばCD28の細胞内ドメインまたはその一部を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD28またはその一部の細胞内ドメインを含む共刺激シグナル伝達領域を含む。
【0227】
ある特定の実施形態では、CARの共刺激シグナル伝達領域に含まれるCD28ポリペプチドは、配列番号24に記載のアミノ酸配列またはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる、および/または必要に応じて最大1つまたは最大2つまたは最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。ある特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達領域に含まれるCD28ポリペプチドは、少なくとも約20、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、および最大約220アミノ酸長である、配列番号24の連続した一部分であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。その代わりにまたはそれに加えて、ある特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達領域に含まれるCD28ポリペプチドは、配列番号24のアミノ酸1~220、1~50、50~100、100~150、114~220、150~200、180~220、または200~220を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号24のアミノ酸180~220のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCD28ポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域を含む。
【0228】
配列番号24のアミノ酸180~220のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は配列番号46に記載され、それを以下に提示する。
AGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCC[配列番号46]
【0229】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、マウスCD28の細胞内ドメインまたはその一部を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達領域に含まれるCD28ポリペプチドは、配列番号26に記載のアミノ酸配列またはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる、および/または必要に応じて最大1つまたは最大2つまたは最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。ある特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達領域に含まれるCD28ポリペプチドは、少なくとも約20、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、および最大218アミノ酸長である、配列番号26の連続した一部分であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達領域に含まれるCD28ポリペプチドは、配列番号26のアミノ酸1~218、1~50、50~100、100~150、150~218、178~218、または200~218のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、本開示のCARの共刺激シグナル伝達領域は、配列番号26のアミノ酸178~218のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCD28ポリペプチドを含む。
【0230】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BBポリペプチド、例えば、4-1BBの細胞内ドメインまたはその一部を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達領域は、ヒト4-1BBの細胞内ドメインまたはその一部を含む。ある特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達領域に含まれる4-1BBは、NCBI参照番号NP_001552を有する配列(配列番号47)またはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる、および/または必要に応じて最大1つまたは最大2つまたは最大3つの保存的アミノ酸置換を含んでもよい。ある特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達領域に含まれる4-1BBは、少なくとも約20、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、および/または最大約50、最大約60、最大約70、最大約80、最大約90、最大約100、最大約200、または最大約255アミノ酸長である、配列番号47の連続した一部分であるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達領域に含まれる4-1BBポリペプチドは、配列番号47のアミノ酸1~255、1~50、50~100、100~150、150~200、または200~255のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達領域は、配列番号46のアミノ酸214~255のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる4-1BBポリペプチドを含む。配列番号47を以下に提示する。
【0231】
MGNSCYNIVA TLLLVLNFER TRSLQDPCSN CPAGTFCDNN RNQICSPCPP NSFSSAGGQR
TCDICRQCKG VFRTRKECSS TSNAECDCTP GFHCLGAGCS MCEQDCKQGQ ELTKKGCKDC
CFGTFNDQKR GICRPWTNCS LDGKSVLVNG TKERDVVCGP SPADLSPGAS SVTPPAPARE
PGHSPQIISF FLALTSTALL FLLFFLTLRF SVVKRGRKKL LYIFKQPFMR PVQTTQEEDG
CSCRFPEEEE GGCEL[配列番号47]
【0232】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、2つまたはそれよりも多くの共刺激分子の細胞内ドメインまたはその一部、例えば、CD28の細胞内ドメインまたはその一部および4-1BBの細胞内ドメインまたはその一部、またはCD28の細胞内ドメインまたはその一部およびOX40の細胞内ドメインまたはその一部を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。
5.3.4.例示されるCAR
【0233】
ある特定の実施形態では、CARは、(a)(i)配列番号7に記載のアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列からなるCDR3を含むVHと、(ii)配列番号11に記載のアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるCDR2、および配列番号13に記載のアミノ酸配列からなるCDR3を含むVLとを含む細胞外抗原結合性ドメイン、(b)CD28ポリペプチドを含むヒンジドメイン(例えば、ヒトCD28のヒンジドメインまたはその一部、例えば、配列番号24のアミノ酸114~153のアミノ酸配列からなるCD28ポリペプチド);(c)CD28ポリペプチドを含む膜貫通ドメイン(例えば、ヒトCD28の膜貫通ドメインまたはその一部、例えば、配列番号24のアミノ酸154~179のアミノ酸配列からなるCD28ポリペプチド)、ならびに(d)(i)CD3ζポリペプチド(例えば、改変されたヒトCD3ζポリペプチド、例えば、配列番号43に記載のアミノ酸配列からなるもの)と、(ii)CD28ポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域(例えば、ヒトCD28の細胞内ドメインまたはその一部、例えば、配列番号24のアミノ酸180~220のアミノ酸配列からなるCD28ポリペプチド)とを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の実施形態では、VHとVLは、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるリンカーを介して連結している。ある特定の実施形態では、VHとVLは、N末端からC末端に、VL-VHの位置づけである。ある特定の実施形態では、CARを「CAR#2」として設計する。ある特定の実施形態では、CARは、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含み、それを以下に提示する。
【0234】
MDMRVPAQLLGLLLLWLPDTRCEIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQAGAVPITFGGGTKVEIKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVALIWYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPVEGLLRGFDYWGQGTLVTVSSRAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLFNELQKDKMAEAFSEIGMKGERRRGKGHDGLFQGLSTATKDTFDALHMQALPPR[配列番号48]
【0235】
配列番号48のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は配列番号49に記載され、それを以下に提示する。
【0236】
ATGGATATGAGAGTACCAGCTCAGCTGCTGGGCCTGCTGCTTTTGTGGTTGCCGGACACACGCTGTGAGATTGTCCTGACTCAGTCTCCCGGGACTCTGTCCCTCAGCCCCGGTGAACGCGCTACCCTTTCATGCAGAGCCTCTCAGTCTGTGTCCAGCAGCTACCTCGCATGGTATCAGCAGAAGCCCGGACAGGCTCCCAGGCTGTTGATCTATGGAGCTAGTAGTCGAGCAACAGGCATCCCAGATCGCTTCTCAGGGAGCGGTTCAGGTACAGACTTCACGCTGACGATTTCAAGGCTGGAACCCGAAGATTTTGCCGTCTATTATTGTCAACAGGCAGGGGCTGTGCCAATCACTTTCGGGGGCGGGACCAAGGTGGAAATCAAAGGAGGCGGAGGAAGTGGAGGAGGAGGGAGCGGTGGAGGAGGGTCACAGGTGCAGCTGGTAGAATCTGGCGGAGGGGTCGTTCAACCAGGGAGGTCATTGCGGTTGAGCTGCGCAGCGAGTGGTTTTACCTTCAGCAGTTATGGAATGCATTGGGTGAGACAAGCACCAGGAAAAGGTCTGGAGTGGGTGGCTTTGATTTGGTACGACGGCAGTAATAAATACTACGCCGATTCTGTTAAGGGCAGATTTACTATTTCTCGCGACAACAGCAAGAACACGCTGTACCTGCAGATGAACTCTCTGAGAGCCGAAGATACAGCAGTGTACTATTGTGCTAAGCCCGTAGAAGGGCTCCTGAGGGGATTCGATTATTGGGGCCAGGGTACGCTTGTGACAGTGTCTAGTCGGGCGGCCGCAATTGAAGTTATGTATCCTCCTCCTTACCTAGACAATGAGAAGAGCAATGGAACCATTATCCATGTGAAAGGGAAACACCTTTGTCCAAGTCCCCTATTTCCCGGACCTTCTAAGCCCTTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCCAGAGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAGAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTTCAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTTCAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTTCCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTTCGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGC[配列番号49]
【0237】
ある特定の実施形態では、CARは、(a)(i)配列番号7に記載のアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列からなるCDR3を含むVHと、(ii)配列番号16に記載のアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるCDR2、および配列番号17に記載のアミノ酸配列からなるCDR3を含むVLとを含む細胞外抗原結合性ドメイン、(b)CD28ポリペプチドを含むヒンジドメイン(例えば、ヒトCD28のヒンジドメインまたはその一部、例えば、配列番号24のアミノ酸114~153のアミノ酸配列からなるCD28ポリペプチド);(c)CD28ポリペプチドを含む膜貫通ドメイン(例えば、ヒトCD28の膜貫通ドメインまたはその一部、例えば、配列番号24のアミノ酸114~179のアミノ酸配列からなるCD28ポリペプチド)、ならびに(c)(i)CD3ζポリペプチド(例えば、改変されたヒトCD3ζポリペプチド、例えば、配列番号43に記載のアミノ酸配列からなるもの)と、(ii)CD28ポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域(例えば、ヒトCD28の細胞内ドメインまたはその一部、例えば、配列番号24のアミノ酸180~220のアミノ酸配列からなるCD28ポリペプチド)とを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の実施形態では、VHとVLは、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるリンカーを介して連結している。ある特定の実施形態では、VHとVLは、N末端からC末端に、VL-VHの位置づけである。ある特定の実施形態では、CARを「CAR#8」として設計する。ある特定の実施形態では、CARは、配列番号50に記載のアミノ酸配列を含み、それを以下に提示する。
【0238】
MDMRVPAQLLGLLLLWLPDTRCEIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVRSSYLAWYQ
QKPGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQLFDSPYT
FGGGTKVEIKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMH
WVRQAPGKGLEWVALIWYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYY
CAKPVEGLLRGFDYWGQGTLVTVSSRAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSP
LFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRK
HYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPE
MGGKPRRKNPQEGLFNELQKDKMAEAFSEIGMKGERRRGKGHDGLFQGLSTATKDTFDAL
HMQALPPR[配列番号50]
【0239】
配列番号50のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は配列番号51に記載され、それを以下に提示する。
【0240】
atggatatgagagtaccagctcagctgctgggcctgctgcttttgtggttgccggacacacgctgtgagattgtgctgacacagtctccaggcacactctcccttagcccgggcgagagggccactctgagctgtcgggctagtcagtcagtaaggagctcttatctggcctggtatcagcagaaaccagggcaggctccaaggctgcttatctacggtgcaagttcccgggcaacaggcatcccagatcgctttagcggtagcgggagtgggaccgatttcactctgaccatctcccgccttgagcccgaggatttcgctgtctattattgccagcaactgtttgactcaccctatacgttcggtggagggaccaaagtggagatcaagggaggcggaggaagtggaggaggagggagcggtggaggagggtcacaggtgcagctggtagaatctggcggaggggtcgttcaaccagggaggtcattgcggttgagctgcgcagcgagtggttttaccttcagcagttatggaatgcattgggtgagacaagcaccaggaaaaggtctggagtgggtggctttgatttggtacgacggcagtaataaatactacgccgattctgttaagggcagatttactatttctcgcgacaacagcaagaacacgctgtacctgcagatgaactctctgagagccgaagatacagcagtgtactattgtgctaagcccgtagaagggctcctgaggggattcgattattggggccagggtacgcttgtgacagtgtctagtcgggcggccgcaattgaagttatgtatcctcctccttacctagacaatgagaagagcaatggaaccattatccatgtgaaagggaaacacctttgtccaagtcccctatttcccggaccttctaagcccttttgggtgctggtggtggttggtggagtcctggcttgctatagcttgctagtaacagtggcctttattattttctgggtgaggagtaagaggagcaggctcctgcacagtgactacatgaacatgactccccgccgccccgggcccacccgcaagcattaccagccctatgccccaccacgcgacttcgcagcctatcgctccagagtgaagttcagcaggagcgcagacgcccccgcgtaccagcagggccagaaccagctctataacgagctcaatctaggacgaagagaggagtacgatgttttggacaagagacgtggccgggaccctgagatggggggaaagccgagaaggaagaaccctcaggaaggcctgttcaatgaactgcagaaagataagatggcggaggccttcagtgagattgggatgaaaggcgagcgccggaggggcaaggggcacgatggccttttccaggggctcagtacagccaccaaggacaccttcgacgcccttcacatgcaggccctgccccctcgc[配列番号51]
【0241】
ある特定の実施形態では、CARは、(a)(i)配列番号7に記載のアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるCDR2、および配列番号9に記載のアミノ酸配列からなるCDR3を含むVHと、(ii)配列番号11に記載のアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号20に記載のアミノ酸配列からなるCDR2、および配列番号21に記載のアミノ酸配列からなるCDR3を含むVLとを含む細胞外抗原結合性ドメイン、(b)CD28ポリペプチドを含むヒンジドメイン(例えば、ヒトCD28のヒンジドメインまたはその一部、例えば、配列番号24のアミノ酸114~153のアミノ酸配列からなるCD28ポリペプチド);(c)CD28ポリペプチドを含む膜貫通ドメイン(例えば、ヒトCD28の膜貫通ドメインまたはその一部、例えば、配列番号24のアミノ酸114~179のアミノ酸配列からなるCD28ポリペプチド)、ならびに(c)(i)CD3ζポリペプチド(例えば、改変されたヒトCD3ζポリペプチド、例えば、配列番号43に記載のアミノ酸配列からなるもの)と、(ii)CD28ポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域(例えば、ヒトCD28の細胞内ドメインまたはその一部、例えば、配列番号24のアミノ酸180~220のアミノ酸配列からなるCD28ポリペプチド)とを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の実施形態では、VHとVLは、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるリンカーを介して連結している。ある特定の実施形態では、VHとVLは、N末端からC末端に、VL-VHの位置づけである。ある特定の実施形態では、CARを「CAR#15」として設計する。ある特定の実施形態では、CARは、配列番号51に記載のアミノ酸配列を含み、それを以下に提示する。
【0242】
MEFGLSWVFLVALLRGVQCQVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAP
GKGLEWVALIWYDGSNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKPVE
GLLRGFDYWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSEIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRAS
QSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASRRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAV
YYCQQAGIPPYTFGGGTKVEIKRAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFP
GPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQ
PYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGG
KPRRKNPQEGLFNELQKDKMAEAFSEIGMKGERRRGKGHDGLFQGLSTATKDTFDALHMQ
ALPPR[配列番号52]
【0243】
配列番号52のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は配列番号53に記載され、それを以下に提示する。
【0244】
atggaattcggcttgtcatgggtgttcctcgtcgcgctgctgcgcggcgttcagtgccaggtgcagctggtagaatctggcggaggggtcgttcaaccagggaggtcattgcggttgagctgcgcagcgagtggttttaccttcagcagttatggaatgcattgggtgagacaagcaccaggaaaaggtctggagtgggtggctttgatttggtacgacggcagtaataaatactacgccgattctgttaagggcagatttactatttctcgcgacaacagcaagaacacgctgtacctgcagatgaactctctgagagccgaagatacagcagtgtactattgtgctaagcccgtagaagggctcctgaggggattcgattattggggccagggtacgcttgtgacagtgtctagtggaggcggaggaagtggaggaggagggagcggtggaggagggtcagaaatcgtgctcacccagtccccgggaacactgagtctctctccaggggaaagagcaacattgtcctgcagagcatcccagagcgtgagctccagctacctcgcctggtatcagcagaaaccaggccaggcaccccgcctgcttatctacggtgcatccaggagagccactgggatccccgatcgattctctggatcagggtctggcactgactttacattgacgatctcacggctggaacccgaggatttcgccgtgtattactgccaacaggccggaattccaccgtataccttcggaggaggtactaaagtagagattaaacgggcggccgcaattgaagttatgtatcctcctccttacctagacaatgagaagagcaatggaaccattatccatgtgaaagggaaacacctttgtccaagtcccctatttcccggaccttctaagcccttttgggtgctggtggtggttggtggagtcctggcttgctatagcttgctagtaacagtggcctttattattttctgggtgaggagtaagaggagcaggctcctgcacagtgactacatgaacatgactccccgccgccccgggcccacccgcaagcattaccagccctatgccccaccacgcgacttcgcagcctatcgctccagagtgaagttcagcaggagcgcagacgcccccgcgtaccagcagggccagaaccagctctataacgagctcaatctaggacgaagagaggagtacgatgttttggacaagagacgtggccgggaccctgagatggggggaaagccgagaaggaagaaccctcaggaaggcctgttcaatgaactgcagaaagataagatggcggaggccttcagtgagattgggatgaaaggcgagcgccggaggggcaaggggcacgatggccttttccaggggctcagtacagccaccaaggacaccttcgacgcccttcacatgcaggccctgccccctcgc[配列番号53]
5.4.細胞
【0245】
本開示の主題は、本開示のCD19標的化CAR(例えば、セクション5.3に開示されているもの)を含む細胞を提供する。ある特定の実施形態では、細胞は、リンパ系列の細胞および骨髄系列の細胞からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、細胞は、免疫応答性細胞である。ある特定の実施形態では、免疫応答性細胞は、リンパ系列の細胞である。
【0246】
ある特定の実施形態では、細胞は、リンパ系列の細胞である。リンパ系列の細胞は、抗体の産生、細胞性免疫系の調節、血液中の外来物質の検出、宿主に対して外来である細胞の検出などをもたらし得る。リンパ系列の細胞の非限定的な例としては、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、樹状細胞、およびリンパ系細胞に分化し得る幹細胞が挙げられる。ある特定の実施形態では、幹細胞は、多能性幹細胞である(例えば、胚性幹細胞または人工多能性幹細胞)。
【0247】
ある特定の実施形態では、細胞は、T細胞である。T細胞は、胸腺において成熟し、細胞性免疫を主に担うリンパ球である。T細胞は、適応免疫系に関与する。本開示の主題のT細胞は、これだけに限定されないが、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞(セントラルメモリーT細胞、幹細胞様メモリーT細胞(または幹様メモリーT細胞)、および2つの型のエフェクターメモリーT細胞:例えば、TEM細胞およびTEMR細胞を含む)、調節性T細胞(サプレッサーT細胞としても公知)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ナチュラルキラーT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞、およびγδT細胞を含めた任意の型のT細胞であってよい。細胞傷害性T細胞(CTLまたはキラーT細胞)は、感染した体細胞または腫瘍細胞の死を誘導することが可能なTリンパ球のサブセットである。患者自身T細胞を、CARを導入することにより、特異的抗原を標的とするように遺伝子改変することができる。ある特定の実施形態では、免疫応答性細胞は、T細胞である。T細胞は、CD4+T細胞またはCD8+T細胞であり得る。ある特定の実施形態では、T細胞は、CD4+T細胞である。ある特定の実施形態では、T細胞は、CD8+T細胞である。ある特定の実施形態では、細胞は、T細胞であり、T細胞のゲノム内の遺伝子座に本開示のCD19標的化CARが組み込まれている。遺伝子座の非限定的な例としては、TRAC遺伝子座、TRBC遺伝子座、TRDC遺伝子座、およびTRGC遺伝子座が挙げられる。ある特定の実施形態では、遺伝子座は、TRAC遺伝子座またはTRBC遺伝子座である。T細胞のゲノム内の部位にCARをターゲティングする方法は、どちらもその全体が参照により組み込まれるWO2017180989およびEyquem et al., Nature. (2017 Mar 2); 543 (7643): 113-117に開示されている。
【0248】
ある特定の実施形態では、細胞は、NK細胞である。ナチュラルキラー(NK)細胞は、細胞性免疫の一部であり、自然免疫応答の間に作用するリンパ球であり得る。NK細胞は、それらの標的細胞に対する細胞傷害効果を発揮するために事前に活性化される必要がない。ある特定の実施形態では、細胞は、遺伝子改変されたNK細胞である。ある特定の実施形態では、細胞は、編集されたNK細胞である。ある特定の実施形態では、細胞は、幹細胞に由来するNK細胞である。ある特定の実施形態では、細胞は、多能性幹細胞に由来するNK細胞である。ある特定の実施形態では、細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)由来のNK細胞である。
【0249】
細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)は、自己、非自己(例えば、同種)のものであってもよく、in vitroにおいて、工学的に操作された前駆体または幹細胞から引き出されたものであってもよい。
【0250】
本開示の主題の細胞は、骨髄系列の細胞であり得る。骨髄系列の細胞の非限定的な例としては、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好塩基球、好中球、好酸球、巨核球、肥満細胞、赤血球、血小板、および骨髄細胞に分化し得る幹細胞が挙げられる。ある特定の実施形態では、幹細胞は、多能性幹細胞(例えば、胚性幹細胞(embryonic stem cell)または人工多能性幹細胞)である。
【0251】
ある特定の実施形態では、細胞に本開示のCD19標的化CARを形質導入し、したがって、細胞にCD19標的化CARを発現させることができる。
5.5.核酸分子およびベクター
【0252】
本開示の主題は、本開示のCD19標的化CAR(例えば、セクション5.3に開示されているもの)をコードする核酸分子を提供する。そのような核酸分子を含む細胞も提供される。
【0253】
ある特定の実施形態では、核酸分子は、本開示のCD19標的化CARに作動可能に連結したプロモーターをさらに含む。
【0254】
ある特定の実施形態では、プロモーターは、内因性または外因性である。ある特定の実施形態では、外因性プロモーターは、延長因子(EF)-1プロモーター、サイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、メタロチオネインプロモーター、およびユビキチンCプロモーターからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、内因性プロモーターは、TCRアルファプロモーター、TCRベータプロモーター、およびベータ2-ミクログロブリンプロモーターから選択される。ある特定の実施形態では、プロモーターは、誘導性プロモーターである。ある特定の実施形態では、誘導性プロモーターは、NFAT転写応答エレメント(TRE)プロモーター、CD69プロモーター、CD25プロモーター、IL-2プロモーター、4-1BBプロモーター、PD1プロモーター、およびLAG3プロモーターからなる群から選択される。
【0255】
本開示の主題は、本開示の核酸分子を含むベクターも提供する。
【0256】
核酸分子を、当技術分野で公知の方法によって、または本明細書に記載の通り、細胞に送達することができる。細胞の遺伝子改変は、実質的に均一な細胞組成物に組換えDNA構築物を形質導入することによって実現することができる。ある特定の実施形態では、レトロウイルスベクター(例えば、ガンマレトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクター)をDNA構築物の細胞への導入のために使用する。例えば、CARをコードするポリヌクレオチドをレトロウイルスベクターにクローニングすることができ、その内因性プロモーターから、レトロウイルス長い末端反復から、または目的の標的細胞型に特異的なプロモーターからの発現を駆動することができる。非ウイルスベクターを使用することもできる。
【0257】
本開示のCD19標的化CARを含めるための最初の細胞の遺伝子改変のために、レトロウイルスベクターを形質導入に使用することができるが、任意の他の適切なウイルスベクターまたは非ウイルス送達系を使用することができる。CARは、単一のマルチシストロニック発現カセット、単一のベクターの複数の発現カセット、または複数のベクターとして構築することができる。ポリシストロニック発現カセットを創出するエレメントの例としては、これだけに限定されないが、種々のウイルスおよび非ウイルス配列内リボソーム進入部位(IRES、例えば、FGF-1 IRES、FGF-2 IRES、VEGF IRES、IGF-II IRES、NF-κB IRES、RUNX1 IRES、p53 IRES、A型肝炎IRES、C型肝炎IRES、ペスチウイルスIRES、アフトウイルスIRES、ピコルナウイルスIRES、ポリオウイルスIRESおよび脳心筋炎ウイルスIRES)ならびに切断可能なリンカー(例えば、2Aペプチド、例えば、P2A、T2A、E2AおよびF2Aペプチド)が挙げられる。カプシドタンパク質がヒト細胞への感染に関して機能的である場合、レトロウイルスベクターと適当なパッケージング系の組合せも適する。これだけに限定されないが、PA12(Miller et al., (1985) Mol Cell Biol (1985);5: 431-437);PA317(Miller., et al., Mol Cell Biol (1986);6: 2895-2902);およびCRIP(Danos et al., Proc Natl Acad Sci USA (1988);85: 6460-6464)を含めた種々の広宿主性ウイルス産生細胞株が公知である。例えば、VSVG、RD114またはGALVエンベロープに対してシュードタイピングされた粒子および任意の他の当技術分野で公知の非広宿主性粒子も適切である。
【0258】
形質導入の可能な方法には、細胞を産生細胞と直接共培養すること(Bregni et al., Blood (1992);80: 1418-1422)、またはウイルス上清単独または濃縮されたベクターストックと一緒に、適当な増殖因子およびポリカチオンを伴ってまたは伴わずに培養すること(Xu et al., Exp Hemat (1994);22: 223-230;およびHughes et al. J Clin Invest (1992) ; 89: 1817)も含まれる。
【0259】
他の形質導入ウイルスベクターも細胞の改変のために使用することができる。ある特定の実施形態では、選択されるベクターは、高効率の感染ならびに安定な組込みおよび発現を示すものである(例えば、Cayouette et al., Human Gene Therapy 8: 423-430, 1997;Kido et al., Current Eye Research 15: 833-844, 1996;Bloomer et al., Journal of Virology 71: 6641-6649, 1997;Naldini et al., Science 272: 263-267, 1996;およびMiyoshi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94: 10319, 1997を参照されたい)。使用することができる他のウイルスベクターとしては、例えば、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルスベクター、ワクシニアウイルス、ウシパピローマウイルス、またはエプスタイン・バーウイルスなどのヘルペスウイルスが挙げられる(例えば、Miller, Human Gene Thera (1990) ; 15-14;Friedman, Science 244: 1275-1281, 1989;Eglitis et al., BioTechniques (1988);6: 608-614;Tolstoshev et al., Cur Opin Biotechnol (1990);1: 55-61;Sharp, The Lancet (1991);337: 1277-78;Cornetta et al., Nucleic Acid Research and Molecular Biology 36: 311-22, 1987;Anderson, Science (1984);226: 401-409;Moen, Blood Cells 17: 407-16, 1991;Miller et al., Biotechnol (1989);7: 980-90;LeGal La Salle et al., Science (1993);259: 988-90;およびJohnson, Chest (1995) 107: 77S-83Sのベクターも参照されたい)。レトロウイルスベクターが特によく開発され、臨床的状況で使用されている(Rosenberg et al., N Engl J Med (1990); 323: 370, 1990;Anderson et al., 米国特許第5,399,346号)。
【0260】
非ウイルス手法を細胞の遺伝子改変のために使用することもできる。例えば、核酸分子を細胞に、リポフェクションの存在下で核酸を投与することによって(Feigner et al., Proc Natl Acad Sci U.S.A. (1987);84: 7413;Ono et al., Neurosci Lett (1990);17: 259;Brigham et al., Am J Med Sci (1989);298: 278;Staubinger et al., Methods in Enzymol (1983);101: 512、Wu et al., J Biol Chem (1988);263: 14621;Wu et al., J Biol Chem (1989);264: 16985)、または外科的条件下での微量注入によって(Wolff et al., Science (1990);247: 1465)導入することができる。遺伝子移入のための他のウイルスによらない手段としては、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン、電気穿孔、およびプロトプラスト融合を使用したin vitroにおけるトランスフェクションが挙げられる。リポソームも、DNAの細胞への送達に関して潜在的に有益である。また、正常な核酸を培養可能な細胞型(例えば、自己または異種初代細胞またはその後代)にex vivoで移入し、その後、細胞(またはその後裔)を標的とする組織に注射するかまたは全身的に注射することにより、対象の患部組織への正常な遺伝子の移植を実現することができる。トランスポザーゼまたは標的化ヌクレアーゼ(例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、またはTALEN、CRISPR)を使用して組換え受容体を引き出すまたは得ることもできる。一過性発現をRNA電気穿孔によって得ることができる。
【0261】
任意の標的化ゲノム編集方法を使用して本開示のCD19標的化CARを細胞に送達することもできる。ある特定の実施形態では、CRISPRシステムを使用して、本開示のCD19標的化CARを送達する。ある特定の実施形態では、ジンクフィンガーヌクレアーゼを使用して、本開示のCD19標的化CARを送達する。ある特定の実施形態では、TALEN系を使用して、本開示のCD19標的化CARを送達する。
【0262】
クラスター化された規則的な配置の短い回分配列リピート(CRISPR)システムは、原核細胞において発見されたゲノム編集ツールである。ゲノム編集のために利用する場合、この系は、Cas9(crRNAをガイドとして利用してDNAを改変することができるタンパク質)、CRISPR RNA(crRNA。Cas9により使用されてCas9をCas9と活性な複合体を形成するtracrRNA(一般に、ヘアピンループの形態)に結合する領域と一緒に宿主DNAの正確なセクションにガイドするRNAを含有する)、トランス活性化crRNA(tracrRNA。crRNAと結合し、Cas9と活性な複合体を形成する)、および必要に応じたDNA修復鋳型(特異的DNA配列の挿入を可能にする細胞修復プロセスをガイドするDNA)のセクションを含む。CRISPR/Cas9では、多くの場合、標的細胞へのトランスフェクトのためにプラスミドを使用する。crRNAは、Cas9が細胞内の標的DNAを同定し、それに直接結合するために使用する配列であるので、各適用に対して設計される必要がある。CAR発現カセットを有する修復鋳型も、カットの両側の配列と重複し、挿入配列をコードするものでなければならないので、各適用に対して設計される必要がある。複数のcrRNAおよびtracrRNAを一緒にパッケージングして単一ガイドRNA(sgRNA)を形成することができる。細胞へのトランスフェクトのために、このsgRNAをCas9遺伝子と接合してプラスミドにすることができる。
【0263】
ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、人工制限酵素であり、ジンクフィンガーDNA結合性ドメインとDNA切断ドメインを組み合わせることによって生成される。ジンクフィンガードメインは、特定のDNA配列を標的とするように工学的に操作することができ、それにより、ジンクフィンガーヌクレアーゼがゲノム内の所望の配列を標的とすることが可能になる。個々のZFNのDNA結合性ドメインは、一般には、個々のジンクフィンガーリピートを複数含み、それぞれが複数の塩基対を認識することができる。新しいジンクフィンガードメインを生成するための最も一般的な方法は、特異性が分かっている小さなジンクフィンガー「モジュール」を組み合わせることである。ZFNの最も一般的な切断ドメインは、II型制限エンドヌクレアーゼFokI由来の非特異的切断ドメインである。内因性相同組換え(HR)機構およびCAR発現カセットを有する相同なDNA鋳型を使用することにより、ZFNを使用してCAR発現カセットをゲノム内に挿入することができる。標的化される配列がZFNによって切断されると、HR機構により、損傷した染色体と相同なDNA鋳型の相同性が検索され、次いで、その染色体の2つの切断末端間の鋳型の配列がコピーされ、それによって相同なDNA鋳型がゲノム内に組み込まれる。
【0264】
転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)は、DNAの特定の配列をカットするように工学的に操作することができる制限酵素である。TALEN系は、ZFNとほぼ同じ原理で作動する。これらは、転写活性化因子様エフェクターDNA結合性ドメインとDNA切断ドメインを組み合わせることによって生成される。転写活性化因子様エフェクター(TALE)は、特定のヌクレオチドに対する強力な認識を有する可変部分を2つ有する、33~34アミノ酸の反復モチーフで構成される。これらのTALEのアレイをアセンブルすることにより、TALE DNA結合性ドメインを、所望のDNA配列に結合し、それにより、ヌクレアーゼをゲノム内の特定の位置でのカットにガイドするように工学的に操作することができる。ポリヌクレオチド療法における使用のためのcDNA発現は、任意の適切なプロモーター(例えば、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、メタロチオネインプロモーター、またはユビキチンCプロモーター)により方向づけ、任意の適当な哺乳動物調節エレメントまたはイントロン(例えば、延長因子1aエンハンサー/プロモーター/イントロン構造)によって調節することができる。例えば、所望であれば、特定の細胞型における遺伝子発現を優先的に方向づけることが分かっているエンハンサーを使用して核酸の発現を方向づけることができる。使用されるエンハンサーしては、限定することなく、組織特異的または細胞特異的エンハンサーとして特徴付けられるものを挙げることができる。あるいは、ゲノムクローンを治療用構築物として使用する場合、調節を同類の調節配列によって、または所望であれば、上記のプロモーターまたは調節エレメントのいずれかを含めた異種供給源に由来する調節配列によって媒介することができる。
【0265】
ゲノム編集作用物質/系を送達するための方法は、必要に応じて変動し得る。ある特定の実施形態では、選択されたゲノム編集方法の構成成分を1つまたは複数のプラスミド中のDNA構築物として送達する。ある特定の実施形態では、構成成分をウイルスベクターによって送達する。一般的な送達方法としては、これだけに限定されないが、電気穿孔、微量注射、遺伝子銃、インペールフェクション、静水圧、連続的な注入、超音波処理、マグネトフェクション、アデノ随伴ウイルス、ウイルスベクターのエンベロープタンパク質シュードタイピング、複製コンピテントベクターシスおよびトランス作用エレメント、単純ヘルペスウイルス、および化学的ビヒクル(例えば、オリゴヌクレオチド、リポプレックス、ポリマーソーム、ポリプレックス、デンドリマー、無機ナノ粒子、および細胞透過性ペプチド)が挙げられる。
5.6.製剤および投与
【0266】
本開示の主題は、本開示のCD19標的化CARを含む本開示の細胞を含む組成物も提供する。ある特定の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物である。
【0267】
本開示の細胞を含む組成物は、滅菌された液体調製物、例えば、等張性水溶液、懸濁液、エマルション、分散、または粘性組成物として都合よく提供することができ、選択されたpHに緩衝させることができる。液体の調製物は通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物よりも調製が容易である。さらに、液体組成物は、特に注射によって投与するのにいくらか都合がよい。他方では、粘性組成物を、特定の組織とのより長い接触期間をもたらすために適当な粘度範囲内で製剤化することができる。液体または粘性組成物は、担体を含み得、担体は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)および適切なそれらの混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。
【0268】
本開示の細胞を含む組成物を、抗原に対する免疫応答を誘導および/もしくは増強するため、ならびに/または新生物を処置および/もしくは防止するために、対象に全身的にまたは直接的に提供することができる。ある特定の実施形態では、本開示の細胞またはそれを含む組成物を目的の器官(例えば、新生物の影響を受けている器官)に直接注射する。あるいは、本開示の細胞またはそれを含む組成物は、目的の器官に間接的に、例えば、循環系(例えば、腫瘍脈管構造)に投与することによって提供される。in vitroまたはin vivoにおける細胞の産生を増大させるために、細胞または組成物の投与前、投与中または投与後に、増大および分化誘導剤を提供することができる。
【0269】
投与される細胞の数量は、処置を受ける対象によって変動し得る。ある特定の実施形態では、約104個から約1010個の間、約104個から約107個の間、約105個から約107個の間、約105個から約109個の間、または約106個から約108個の間の本開示の細胞を対象に投与する。ある特定の実施形態では、約1×106個から約5×108個の間の本開示の細胞を対象に投与する。より有効な細胞はさらにいっそう少ない数で投与することができる。通常、少なくとも約1×105個の細胞を投与し、最終的に約1×1010個またはそれよりも多くに達する。ある特定の実施形態では、少なくとも約1×105個、5×105個、1×106個、約5×106個、約1×107個、約2.5×107個、約5×107個、約1×108個、約1.5×108個、約2×108個、または約5×108個の本開示の細胞を対象に投与する。ある特定の実施形態では、約1×106個の本開示の細胞を対象に投与する。有効用量とみなされるものの正確な決定は、対象のサイズ、年齢、性別、体重、および特定の対象の状態を含めた、各対象に特有の因子に依存し得る。投薬量は、当業者が本開示および当技術分野における知見から容易に確認することができる。
【0270】
本開示の細胞および組成物は、これだけに限定されないが、静脈内投与、皮下投与、結節内投与、腫瘍内投与、くも膜下腔内投与、胸膜内投与、骨内投与、腹腔内投与、胸膜の投与、および直接投与を含めた当技術分野で公知の任意の方法によって対象に投与することができる。本開示の細胞は、任意の生理的に許容されるビヒクル中、通常血管内に投与することができるが、骨または細胞が再生および分化のための適当な部位を見いだすことができる他の都合のよい部位(例えば、胸腺)に導入することもできる。
5.7.処置方法
【0271】
本開示の主題は、本開示の細胞またはそれを含む組成物を使用する様々な方法を提供する。本開示の細胞およびそれを含む組成物を治療または医薬に使用することができる。例えば、本開示の主題は、それを必要とする対象における免疫応答を誘導するおよび/または増大させるための方法を提供する。本開示の細胞およびそれを含む組成物を対象における腫瘍負荷を減少させるために使用することができる。本開示の細胞およびそれを含む組成物により、対象における腫瘍細胞の数を減少させること、腫瘍サイズを縮小させること、および/または腫瘍を根絶することができる。本開示の細胞およびそれを含む組成物を対象における新生物の処置および/または防止のために使用することができる。本開示の細胞およびそれを含む組成物を、新生物に罹患している対象の生存を延長するために使用することができる。ある特定の実施形態では、上記の方法はそれぞれ、所望の効果、例えば、既存の状態の緩和または再発の防止を実現するために、本開示の細胞またはそれを含む組成物(例えば、医薬組成物)を投与することを含む。処置に関しては、投与される量は、所望の効果を生じさせるのに有効な量である。有効量は、1回または一連の投与で提供することができる。有効量はボーラスでまたは連続的な灌流によって提供することができる。
【0272】
ある特定の実施形態では、腫瘍および/または新生物は、CD19に関連する。ある特定の実施形態では、腫瘍および/または新生物は、CD19を発現する。ある特定の実施形態では、腫瘍および/または新生物は、CD19を過剰発現する。ある特定の実施形態では、本開示の細胞および組成物によって処置することができる腫瘍および/または新生物は、血液がんである。血液がんの非限定的な例としては、多発性骨髄腫、白血病、およびリンパ腫が挙げられる。白血病の非限定的な例としては、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia)(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性前骨髄球性白血病(APL)、混合表現型急性白血病(MLL)、ヘアリー細胞白血病、およびB細胞性前リンパ性白血病が挙げられる。リンパ腫は、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫であり得る。ある特定の実施形態では、リンパ腫は、B細胞リンパ腫(BCL)である。
【0273】
ある特定の実施形態では、腫瘍および/または新生物は、B細胞悪性病変である。B細胞悪性病変の非限定的な例としては、B細胞リンパ腫(BCL)、B細胞急性リンパ性白血病(ALL)、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)、リヒター形質転換を伴うCLL、およびCNSリンパ腫が挙げられる。B細胞リンパ腫としては、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)およびB細胞ホジキンリンパ腫が挙げられる。ある特定の実施形態では、腫瘍および/または新生物は、B細胞リンパ腫である。ある特定の実施形態では、B細胞リンパ腫は、再発または難治性(R/R)B細胞リンパ腫である。
【0274】
ある特定の実施形態では、対象は、ヒト対象である。対象は、進行した形態の疾患を有してもよく、その場合、処置の目的には、疾患増悪の緩和もしくは逆転、および/または副作用の好転が含まれ得る。対象は、既に処置を受けた状態歴を有してもよく、その場合、治療目的には、一般には、再発のリスクを低減することまたは再発を遅延させることが含まれる。
【0275】
本開示のCD19標的化CARの表面発現の結果として、養子移入された細胞に、腫瘍部位における強化された選択的な細胞溶解活性が付与される。さらに、それらの細胞の腫瘍への局在化および増殖に引き続いて、それらの細胞により、腫瘍部位が、生理的抗腫瘍応答に関与する広範囲の細胞に対して高度に伝わりやすい環境に変化する。
【0276】
免疫学的併発症(「悪性T細胞形質転換」として公知)、例えば、移植片対宿主病(GvHD)のリスクを防ぐもしくは最小限にするため、または健康な組織が腫瘍細胞と同じ標的抗原を発現し、それによりGvHDと同様の結果が導かれる場合、本開示の細胞にさらなる改変を導入することができる。この問題に対する潜在的な解決法は、本開示の細胞に自殺遺伝子を工学的操作で含めることである。適切な自殺遺伝子としては、これだけに限定されないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(hsv-tk)、誘導性カスパーゼ9自殺遺伝子(iCasp-9)、および短縮型ヒト上皮増殖因子受容体(EGFRt)ポリペプチドが挙げられる。ある特定の実施形態では、自殺遺伝子は、EGFRtポリペプチドである。EGFRtポリペプチドにより、抗EGFRモノクローナル抗体(例えば、セツキシマブ)を投与することによってT細胞を排除することが可能になり得る。EGFRtをCD19標的化CARの上流に共有結合により接合することができる。自殺遺伝子は、本開示のCD19標的化CARをコードする核酸を含むベクターの中に含めることができる。このように、自殺遺伝子を活性化するように設計されたプロドラッグ(例えば、プロドラッグ(例えば、iCasp-9を活性化し得るAP1903)を悪性T細胞形質転換(例えば、GVHD)の間に投与することにより、自殺遺伝子が活性化された、CD19標的化CARを発現する細胞においてアポトーシスが誘発される。本開示のCD19標的化CARへの自殺遺伝子の組み入れにより、大多数の受容体発現細胞を非常に短時間のうちに排除できることで、さらなるレベルの安全性がもたらされる。自殺遺伝子が組み入れられた本開示の細胞を細胞注入後の所与の時点で先制して排除することもでき、毒性の徴候が見られ次第根絶させることもできる。
【実施例】
【0277】
7.実施例
本開示の主題は、本開示の主題を例示するものとして提示され、限定するものではない以下の実施例を参照することにより、よりよく理解されよう。
(実施例1)
抗CD19抗体の同定および特徴付け
【0278】
本実施例では、本明細書に開示されるscFvのVHおよびVLを含む抗CD19抗体の特徴付けを実証する。ヒト抗CD19抗体は、Adimab酵母に由来し、Adimab酵母において産生されたものであった。抗原を、EZ-Link Sulfo-NHS-Biotinylation Kit(Thermo Scientific、Cat#21425)を使用してビオチン化した。抗原を約1mg/mLまで濃縮し、緩衝剤をPBSと交換した後、1:7.5モル比のビオチン化試薬を添加した。混合物を4℃で一晩保持した後、さらに緩衝剤交換を行って、溶液中の遊離のビオチンを除去した。ビオチン化をForteBioでの標識タンパク質とストレプトアビジンセンサーの結合によって確認した。
【0279】
それぞれ約109の多様性を持つ8つのナイーブヒト合成酵母ライブラリーを以前に記載されている通り増加させた(例えば、Y. Xu et al, PEDS 26 (10), 663-70 (2013);WO2009036379;WO2010105256;およびWO2012009568を参照されたい)。
【0280】
最初の2ラウンドの選択に関しては、Miltenyi MACS systemを利用した磁気ビーズ選別技法を以前に記載されている通り実施した(例えば、Siegel et al, J Immunol Methods 286 (1-2), 141-153 (2004)を参照されたい)。簡単に述べると、酵母細胞(細胞約1010個/ライブラリー)をビオチン化抗原と一緒に、洗浄緩衝剤(リン酸緩衝食塩水(PBS)/0.1%ウシ血清アルブミン(BSA))中、30℃で30分間インキュベートした。氷冷洗浄緩衝剤40mLで1回洗浄した後、細胞ペレットを洗浄緩衝剤20mLに再懸濁させ、Streptavidin MicroBeads(500μl)を酵母に添加し、4℃で15分間インキュベートした。次に、酵母をペレット化し、洗浄緩衝剤5mLに再懸濁させ、Miltenyi LSカラムにローディングした。5mLをローディングした後、カラムを洗浄緩衝剤3mLで3回洗浄した。次いで、カラムを磁場から外し、成長培地5mLを用いて酵母を溶出させ、次いで、一晩成長させた。
【0281】
選択の第3ラウンドをフローサイトメトリー(FACS)を使用して実施した。およそ2×107個の酵母をペレット化し、洗浄緩衝剤で3回洗浄し、100~200nMのビオチン化抗原と一緒に、平衡条件下、30℃でインキュベートした。第4ラウンドおよび第5ラウンドの選択を、ビオチン化NALM-6およびRaji細胞をラウンド3 FACSからの選択された酵母アウトプットと一緒にインキュベートすることによって実施した。インキュベーション後、予洗したM-280 Strepavidin Dynabeads(Cat#60210)を酵母/哺乳動物細胞複合体に添加し、インキュベートした。次に、複合体をDynaMag-2磁石を使用して分離し、非結合性上清を除去した。ビーズ/細胞複合体を選択された緩衝剤1mLで3回洗浄した。次いで、捕捉された複合体を、増加のために酵母成長培地を含有するフラスコに移した。第6ラウンドの選択において、増加させた酵母を追加的なラウンドのNALM-6/Raji細胞選択、100nMの組換えCD19抗原を用いた選択、または多特異性試薬(PSR)を用いた負の選択のいずれかに供して、非特異的抗体を除去した。
【0282】
PSR枯渇のために、ライブラリーを、以前に記載されている通り、ビオチン化PSR試薬の1:10希釈物と一緒にインキュベートした(例えば、Y. Xu et al, PEDS 26 (10), 663-70 (2013)を参照されたい)。次いで、酵母を洗浄緩衝剤で2回洗浄し、1:100希釈したヤギF(ab’)2抗ヒトカッパ-FITC(LC-FITC)(Southern Biotech、Cat#2062-02)、および1:500希釈したストレプトアビジン-AF633(SA-633)(Life Technologies、Cat#S21375)または1:50希釈したExtravidin-phycoerthyrin(EA-PE)(Sigma-Aldrich、Cat#E4011)、二次試薬を用い、4℃で15分間にわたって染色した。氷冷洗浄緩衝剤で2回洗浄した後、細胞ペレットを洗浄緩衝剤0.3mLに再懸濁させ、ストレーナーキャップ付きの選別管に移した。FACS ARIAソーター(BD Biosciences)を使用して選別を実施し、選別ゲートを決定して、所望の特徴を有する抗体を選択した。選択ラウンドを、所望の特徴を全て有する集団が得られるまで繰り返した。最終ラウンドの選別後、酵母をプレーティングし、個々のコロニーを特徴付けのために選び取った。
軽鎖多様化
【0283】
ナイーブアウトプットからの重鎖を使用して、追加的な選択ラウンドに使用する軽鎖多様化ライブラリーを調製した。重鎖プラスミドを酵母から抽出し、E.coliにおいて増加させ、続いてE.coliから精製し、5×106の多様性を有する軽鎖ライブラリーに導入してそれを形質転換した。これらのライブラリーに対して、上記の通り、すなわち、1ラウンドのMACS、2ラウンドのRaji細胞またはNALM-6細胞を用いた細胞選択、その後、組換えCD19抗原を使用したFACS選択である第4ラウンド選択を実施した。軽鎖多様化に特有に、Raji細胞およびNALM-6細胞選択に、CD19遺伝子の標的化遺伝子ノックアウトを受けた工学的に操作されたRaji細胞およびNALM-6細胞を用いた最初の負の選択を組み入れた。CD19ノックアウト細胞の枯渇後、どちらも内因性CD19を発現するおよび過剰発現する工学的に操作されたRaji細胞およびNALM-6細胞を用いた正の選択を実施した。異なるFACS選択ラウンドにおいて、ライブラリーを(多重特異性試薬)PSR結合、種交差反応性、および親和性圧力について抗原力価測定によって評価した。所望の特徴を有する集団を得るために選別を実施した。上記の各FACS選択ラウンドから個々のコロニーを配列決定および特徴付けのために選び取った。
抗体産生および精製
【0284】
酵母クローンを飽和するまで成長させ、次いで、30℃で振とうしながら48時間にわたって誘導した。誘導後、酵母細胞をペレット化し、上清を精製のために回収した。IgGを、プロテインAカラムを使用して精製し、酢酸、pH2.0を用いて溶出させた。
ForteBio KD測定
【0285】
これらの抗CD19抗体を、可溶性CD19に対する結合親和性についてForteBio Octet system(Octet RED384、一般に、以前に記載されている通り(例えば、Estep et al, Mabs 5 (2), 270-278 (2013)を参照されたい)で試験した。簡単に述べると、IgGをオンラインでAHCセンサーにローディングすることにより、ForteBio親和性測定を実施した。抗体を抗ヒトIgGピンに固定化し、可溶性CD19-HSA融合タンパク質(ヒト血清アルブミンと融合したCD19細胞外ドメイン)に結合させた。センサーをオフラインでアッセイ緩衝剤中に30分間にわたって平衡化し、次いで、オンラインで60秒間、ベースライン確立のためにモニタリングした。IgGがローディングされたセンサーを100nMの可溶性CD19-HSA融合タンパク質抗原に3分間にわたって暴露し、その後、解離速度測定のためにアッセイ緩衝剤に移して3分間置いた。全てのカイネティクスを、1:1結合モデルを使用して解析した。結合カイネティクスの要約を表1に提示する。例示的な抗体の親和性は8nMから20nMの間にわたった。表1に示されている抗CD19抗体は全て、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むV
Hを含む。
【表1】
【0286】
(実施例2)
CD19標的化CARの生成およびCAR発現
【0287】
3種のCD19標的化CAR、「CAR#2」、「CAR#8」、および「CAR#15」を生成した。細胞表面上のCAR分子の発現を、PEとコンジュゲートした抗ヒトLNGFR抗体を使用し、その後、フローサイトメトリー分析を行って調査した。LNGFRは、自己切断性リンカー2A配列を通じてCARを同時発現し、したがって、LNGFRの発現をCAR発現の指標として使用した。結果を表2に示す。
【表2】
陽性対照は、「1928z1XX CAR」と称される、マウスscFv SJ25c1およびCD3ζ1XXを含むCD19標的化CARである。
(実施例3)
CD19標的化CARのin vitro活性
【0288】
これらのCD19標的化CARの、CD19を発現するRajiがん細胞株およびCD19ノックアウトRaji細胞に対する細胞傷害性を調査した。各標的細胞株を384ウェルプレートに播種し、CD19 CAR-Tまたは形質導入されていないT細胞(UTD)をエフェクター対標的(E:T)比4で添加した。標的細胞のみのウェルおよびエフェクター細胞のみのウェルを対照として含めた。24時間後、細胞生存率をCellTiter-Glo(登録商標)One Solution Assay(Promega、G8462)を使用して測定した。標的細胞のパーセント生存率を、共培養ウェルの発光シグナルから、エフェクター細胞のみのウェルのシグナルを引き、次いで、標的細胞のみのウェルのシグナルで割って算出した。パーセント死滅を、100%から標的細胞のパーセント生存率を引くことによって算出した。
図1Aおよび1Bに示されている通り、CAR#2を含むT細胞、CAR#8を含むT細胞、およびCAR#15を含むT細胞の全てで、CD19ノックアウトRaji細胞とは対照的に、Raji細胞に対して細胞死滅活性が実証され、これにより、これらのCD19標的化CARを含むT細胞の死滅活性が抗原依存性であることが示された。
【0289】
抗原依存的細胞傷害性を確認するために、これらのCD19標的化CARを含むT細胞を、CD19を発現するRajiがん細胞株またはCD19ノックアウトRaji細胞と共培養した。各標的細胞株をcell trace violet色素で標識し、次いで、96ウェルプレートに播種し、CD19 CAR-Tまたは形質導入されていないT細胞(UTD)をエフェクター対標的(E:T)比2で添加した。標的細胞のみのウェルおよびエフェクター細胞のみのウェルを対照として含めた。20時間後、細胞生存率を、live/dead色素による染色、その後、フローサイトメトリー分析を使用して測定した。標的細胞のパーセント生存率を、フローサイトメトリーによって測定された生細胞から、エフェクター細胞のみのウェルのシグナルを引き、次いで、標的細胞のみのウェルのシグナルで割ることで算出した。パーセント死滅を、100%から標的細胞のパーセント生存率を引くことによって算出した。
図2Aおよび2Bに示されている通り、CAR#2を含むT細胞、CAR#8を含むT細胞、およびCAR#15を含むT細胞の全てで、CD19ノックアウトRaji細胞とは対照的に、Raji細胞に対して細胞死滅活性が実証され、これにより、これらのCD19標的化CARを含むT細胞の死滅活性が抗原依存性であることが確認された。
【0290】
抗原非依存的サイトカイン(IL-2およびIFN-γ)分泌を、CAR#2を含むT細胞、CAR#8を含むT細胞、およびCAR#15を含むT細胞を、CD19を発現するRajiがん細胞株およびCD19ノックアウトRaji細胞と共培養して評価した。各標的細胞株を384ウェルプレートに播種し、CD19 CAR-Tまたは形質導入されていないT細胞(UTD)をエフェクター対標的(E:T)比4で添加した。標的細胞のみのウェルおよびエフェクター細胞のみのウェルを対照として含めた。24時間後、上清および上清中に分泌されたIFN-γおよびIL2を、Intellicyt QBeads Human PlexScreen kit(Sartorius、90702)を使用して検出した。IL-2分泌の結果が
図3Aおよび3Bに示されており、IFN-γ分泌の結果が
図4Aおよび4Bに示されている。これらのCD19標的化CARを含むT細胞では、Raji細胞と共培養した場合、CD19ノックアウトRaji細胞とは対照的に、IL-2およびIFN-γ分泌が示され、これにより、これらのCD19標的化CARを含むT細胞の抗原依存性サイトカイン放出が示される。
(実施例4)
CD19標的化CARのin vivo活性
【0291】
これらのCD19標的化CARを含むT細胞のin vivo活性を次に調査した。
【0292】
NOD-scid IL2Rg
null(NSG)マウスに、ホタルルシフェラーゼを野生型CD19レベルで発現するNALM6細胞(B-ALL細胞株)(CD19-WT)または低下したCD19レベルで発現するNALM6細胞(B-ALL細胞株)(CD19-Low、CD19遺伝子のCRISPR-Cas9編集、その後のレンチウイルスベクターを使用したCD19再発現によって生成されたNalm6クローン)0.5×10
6個を静脈内(IV)注射した。4日後に、CD19-WT(青色、赤色)およびCD19
-Low(緑色)NALM6を担持するマウスを、新鮮な5×10
4個(赤色)または2×10
5個(青色、緑色)#17、#8、#15または#2 CAR T細胞の単回静脈内注射で処置した。CAR T細胞効力の厳密な評価のために、CAR T細胞で処置したマウスのイメージングを60~100日間にわたって繰り返し行って、腫瘍応答および再燃の潜在性を評価した。T細胞注入後30日目まで腫瘍負荷を生物発光イメージングによって分析し、各マウスについて
図5に示されている時点で実証した。#2 CAR T細胞により迅速かつ効果的な抗腫瘍活性が実証され、試験した全てのT細胞用量においてNALM6 WTおよびNALM6 CD19-Low細胞の完全な腫瘍根絶がもたらされた。#17は不十分な腫瘍制御を示し、急速な腫瘍増悪が導かれ、対照としての機能を果たした。
(実施例5)
#2 scFvの結合性エピトープ
【0293】
CD19を発現するNALM6細胞株に結合する抗CD19抗体を段階希釈物およびフローサイトメトリーによって決定した。CD19と競合結合するCD19-T2結合物質(binder)、SJ25c1(19-28z CAR由来)、およびFMC63(Kymriahの「Tisagenlecleucel」およびYescartaの「Axicabtagene ciloleucel」由来)scFvをBiacore SPRによって評価した。100nMのCD19-HSA-His(Takeda、Cambridge)と漸増濃度の可溶性CD19-T2 SJ25c1またはFMC63 scFv(0、50nM、100nM、200nM、400nM、および800nM)の混合物を、CD19-T2 scFvが固定化されたBiacore CMSチップに3分間流した。チップ上に結合した複合体の解離を、HBS-EP緩衝剤(300mMのNaCl)を5分間流すことによって評価した。10デカヒスチジンタグと融合したCD19細胞外ドメイン、TEV切断部位、GSリンカー、およびHSAを発現する遺伝子を含むpcDNA3.4プラスミド(ThermoFisher)を一過性にトランスフェクトしたHEK293からCD19-HSA-Hisを精製した。組換えCD19-HSA-His10を、ニッケル-アフィニティークロマトグラフィーを使用することによって精製した。CD19-HSA-His10のアミノ酸配列が
図6に示されている。
【0294】
SJ25c、FMC63、および#2 scFvのエピトープ結合データが
図7に示されている。
図7に示されている通り、#2 scFvは、CD19への結合について、FMC63およびSJ25C1と競合した。これらの所見から、#2 scFv、FMC63、およびSJ25C1 scFvがCD19上の重複するエピトープに結合することが確証される。CD19に結合しない無関係の抗体(抗CTLA4 VHH)は、#2 scFvとCD19への結合について競合できなかった。
(実施例6)
薬理学試験
要約
【0295】
ファースト・イン・ヒューマン臨床試験の裏付けとして、一連の試験を行って、#2 CAR T細胞(本実施例では「19(T2)28z1XX CAR」と表される)の、1928z CAR T細胞(以前の臨床試験において広範囲にわたって投与されていたもの)と比べた、低T細胞用量での抗腫瘍効力の増大および応答の耐久性の増大によって測定される、有効性の改善を実証した。いずれのCARを発現するように工学的に操作されたCAR T細胞も同等のin vitroにおける細胞溶解活性、サイトカイン分泌、および増殖を示したが、#2 CAR T細胞では、機能的持続性がより大きいことに起因して、in vivoにおいてより大きな効力が実現された(Feucht, et al. Nature Medicine (2019);25 (1): 82-88)。
結果
【0296】
#2 CAR T細胞および1928z-1XX CAR T細胞のin vitro細胞傷害活性を、18時間の生物発光アッセイを使用して測定した。これらの2種のCARは同一であるが、scFvが異なる(#2対SJ25c1)。#2 CARを含むレトロウイルスベクターが
図8に示されている。組換えレトロウイルス粒子をHEK293 GalV9パッケージング細胞から以前に記載されている通り生成した(Przybylowski et al., (2006);13 (1): 95-100)。ホタルルシフェラーゼ(FFL)を発現するNALM6細胞を標的細胞として使用した。T細胞を負の選択によってヒトPMBCから単離し、磁気ビーズに結合させたCD3/CD28抗体を用いて48時間にわたって活性化し、ビーズを除去した後、CARを発現するγ-レトロウイルスベクターを用いて形質導入した。CAR+集団を、CAR遺伝子と同時発現させたLNGFR検出によって決定した。CAR+T細胞を標的NALM6細胞と一緒に異なるエフェクター(E)対標的(T)比で18時間インキュベートし、その後、FFL活性の数量化を行った。#2 CAR T細胞の細胞傷害活性を、CD19
+NALM6細胞をin vitroで有効に死滅させることが以前示された1928z-1xx CAR T細胞の細胞傷害活性と比較した(Feucht et al., Nature Medicine (2019);25 (1): 82-88)。形質導入されていない(UT)T細胞を陰性対照として使用した。CD19遺伝子のNALM6-CD19KOは、CRISPR-Cas9編集によって生成された細胞株であり(Hamieh et al., Nature (2019);568 (7750): 112-116)、CAR T細胞の細胞傷害活性の特異性を実証するために使用した。代表的な実験が示されている(2例の健康なドナーに対するn=2の独立した実験)。
図10に示されている通り、#2 CAR T細胞と1928z-1XX CAR T細胞は同等の細胞傷害性を示した。
【0297】
次に、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR」と表される)および1928z-1XX CAR T細胞のin vivo活性を測定した。正常レベル(wt)または低レベル(low)のCD19抗原を発現する、プレB急性リンパ芽球性白血病ヒト腫瘍細胞株であるNALM6に、ホタルルシフェラーゼおよび緑色蛍光タンパク質(GFP)を形質導入した(Zhao et al., Cancer Cell (2015);28: 415-428)。CD19
+low(青色)およびCD19
+low(赤色)NALM6を担持するマウスを、新鮮な2×10
5個の形質導入されていないT細胞、#2 CAR T細胞、または1928z-1XX CAR T細胞の単回静脈内注射で処置した。各マウスにおける腫瘍負荷を生物発光イメージング(BLI)によって85日間モニタリングした。各群マウス5匹とした。各マウスの応答が
図11に示されている。
図11に示されている通り、#2 CAR T細胞と1928z1XX CAR T細胞の腫瘍根絶カイネティクスは同様であった。CAR cDNAをLNGFRレポーターと同時発現させた(T細胞への形質導入をモニタリングするため)。「19(T2)28z1XX CAR」は「#2 CAR」を表す。
【0298】
#2 CAR T細胞および1928z CAR T細胞の活性を試験し、比較した。まず、1928z CAR T細胞および#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)のCAR発現および表現型を測定した。1928z CARを含むベクターが
図12に示されている。CD4
+T細胞およびCD8
+T細胞に、1928z CARまたは#2 CAR(「19(T2)28z1XX CAR」と表される)を発現し、臨床的製造の代表的なプロセスを使用して作製したγ-レトロウイルスベクターを用いた形質導入を行った。SGF-1928zにおけるSJ25c1 scFvはマウスに由来し、#2 scFv(「19(T2)scFv」と表される)はヒト化されたものであるので、IgG重鎖のマウス(GAM)またはヒト(GAH)Fc部分のいずれかに特異的な2つの異なるヤギ抗体を使用して、CAR表面発現を検出した。
図13に示されている通り、CD4
+T細胞およびCD8
+T細胞の50%よりも多くがCARを発現した。
【0299】
次に、CAR T細胞の表現型を、ナイーブT細胞、中心メモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、およびエフェクターT細胞のマーカーならびに疲弊マーカー(LAG3、PD1、およびTim3)を認識する抗体を使用したフローサイトメトリーによって決定した。「SFG-T2-1XX-GAH」は、19(T2)28z1XX CAR(「#2 CAR」と表される)を発現するγ-レトロウイルスベクターを用いて形質導入されたCD4/CD8 T細胞を指し、一方、「SFG-1928z-GAM」は、1928z CARを発現するγ-レトロウイルスベクターを用いて形質導入されたT細胞に由来する。
図14に示されている通り、1928z CAR T細胞と#2 CAR T細胞の表現型は同様であった。CD4/CD8 T細胞の比は1928z CAR T細胞と#2 CAR T細胞で同様であり、CD62L/CD45RAおよびCD45RA/CCR7染色によって決定されるT細胞分化状態も両方のCAR群間で同等であった(CD4T細胞およびCD8 T細胞について)。疲弊マーカーPD1、LAG3、およびTIM3の発現により両方のCAR T細胞群の間の大きな差異は明らかにならなかった。
【0300】
続いて、#2 CAR T細胞および1928z CAR T細胞のin vivo活性を評価し、比較した。5×10
5個のCD19
+NALM6-FFLuc/GFP細胞をマウスの尾静脈に注射した4日後、凍結保存されていたものを解凍した形質導入されていないまたはCAR T細胞を与薬した。
図15に示されている通り、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)により、1928z CAR T細胞と比べて優れた腫瘍制御がもたらされた。形質導入されていないT細胞またはCAR T細胞を用いて処置したCD19
+NALM6を担持するマウスの生存が
図16に示されているカプラン・マイヤー曲線プロットにプロットされている。
図16に示されている通り、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を用いて処置したCD19
+NALM6担持マウスは、マウス当たり細胞1×10
6個を下回る全てのCAR T細胞用量で、1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスよりも長く生存した。1928z CAR T細胞レシピエントは全て25日目までに死亡し、一方、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を受けた試験群では1匹のマウスのみが死亡した。最高用量(1×10
6個)では、対照群および試験群の両方で1匹のマウスが死亡した。
【0301】
#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)および1928z CAR T細胞のCD19
+NALM6白血病マウスモデルにおけるin vivo持続性も測定した。処置後17日より後のCAR T細胞の持続性、および骨髄におけるCAR T細胞の数(群当たりn=5)が
図17に示されている。CAR T細胞のPD1、LAG3、およびTIM3発現パーセンテージ、ならびにCAR T細胞のT
n、T
cm、T
eff、およびT
emパーセンテージが
図17に示されている。
【0302】
図17に示されている通り、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)は17日目まで骨髄において容易に検出され、CD4
+ CAR T細胞およびCD8
+ CAR T細胞の両方が含まれた。1928z CAR T細胞は、それらの限られた持続性と一致して、わずかであった(Zhao et al., Cancer Cell (2015);28: 415-428)。17日目に検出されたそれぞれの持続性T細胞の表現型は同様であり(Tn、Tcm、およびTem)、#2 CAR(「19(T2)28z1XX CAR」と表される)群におけるエフェクターT細胞(Teff)の画分がわずかに多かったことが示される。後者は、より多くのPD1ならびに同等のレベルのLAG3およびTIM3を発現していた。この観察により、CD28/CD3z-1XXシグナル伝達モチーフを発現するCAR T細胞の持続性がより大きいことが確証される(Feucht et al., Nature Medicine (2019);25 (1): 82-88)。
【0303】
これらの結果から、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)の効力が1928z CAR T細胞と比べて大きい(4つの用量レベルにおける腫瘍根絶が高い)ことが確認される。この試験から、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)の表現型が1928z CAR T細胞の表現型と全体的に同様であり、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)が、寿命がより短い1928z CAR T細胞と比べて持続性が大きいことにより、より良好な腫瘍制御を実現することと一致することがさらに確証される。
方法および材料
細胞溶解性アッセイ
【0304】
ルシフェラーゼに基づくアッセイを使用して、異なるCAR構築物を用いて形質導入されたT細胞の細胞傷害性を測定した。FFLuc-GFPを発現するNALM6が標的細胞としての機能を果たした。エフェクター細胞と腫瘍標的細胞を示されているエフェクター/標的比で、黒壁96ウェルプレートにおいて3連で共培養した。標的細胞5×104個を、5%ヒトAB 血清(Gemini)、10U/mlのIL7、および10U/mLのIL15(PeproTech,Inc)を補充したX-VIVO15と共にウェル当たり総体積100μLで播種した。同じ細胞密度でプレーティングした標的細胞単独を使用して、最大ルシフェラーゼ発現(相対発光量(RLU))を決定した。18時間共培養した後にルシフェラーゼ基質(Bright-Glo;Promega)100μLを各ウェルに直接添加した。放出された光を、発光プレートリーダーを使用して決定した。腫瘍細胞溶解を(1-(RLU試料)/(RLU最大))×100として算出した。
遺伝子改変されたヒトT細胞の単離、形質導入、および増大
【0305】
匿名化された健康なドナーからのバフィーコートをNew York Blood Centerから購入した(施設内倫理委員会を免除された)。全ての血液試料を必要な倫理および安全性手順に従って取り扱った。以前に記載されている通り、末梢血単核細胞の単離を密度勾配遠心分離によって行い、Dynabeads(登録商標)ClinExVivo(商標)CD3/CD28抗体ビーズを用いて活性化を行った後、γ-レトロウイルスベクターを用い、RetroNectinをコーティングしたプレート(タカラバイオ株式会社)で遠心分離することによって形質導入を行った(Zhao et al., Cancer Cell (2015);28: 415-428)。2日後、活性化されたT細胞に対してビーズ除去を行い、以前に記載されている通りスピノキュレーションによる形質導入を行った(Hollyman et al., J. Immunotherapy (2009);32 (2): 160-180)。次いで、形質導入された細胞をG-Rex 6Mウェルプレートで製造者の指示(Wilson Wolf Corporation)に従って増大させた。形質導入の5日後に形質導入効率を決定した。CAR-T細胞を新鮮にまたは凍結保存から解凍してPlasmaLyte中50%CS10および5%HSAに入れて使用した。
マウス全身腫瘍モデル
【0306】
6~12週齢NOD/SCID/IL-2Rγnull雄マウスをMemorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)Institutional Animal Care and Use Committeeによって承認されたプロトコールの下で使用した。関連する全ての動物使用ガイドラインおよび倫理規制に従った。一般に、マウスに0.5×106個のNALM6(CD19+wtまたは低発現)-FFLuc-GFP腫瘍細胞を尾静脈注射によって接種し、その後、腫瘍注射の4日後に、マウス毎に特定用量のCAR-T細胞での処置を行った。NALM6細胞は均等の腫瘍負荷でもたらされ、CAR-T細胞処置前に除外されたマウスはいなかった。ランダム化または盲検化方法は使用しなかった。
生物発光イメージング
【0307】
腫瘍負荷を以前に記載されている通り評価した(Gade et al., Cancer Research (2005);65 (16): 9080-9088)。簡単に述べると、2%イソフルラン麻酔下に10分間置いたマウスに、PBSに再懸濁させたD-ルシフェリン(Xenogen、マウス当たり3mg)を腹腔内注射し、イメージングを行った。IVIS Imaging System(PerkinElmer)を使用して、注射した腫瘍の生物発光のイメージングを行った。Living Image software(PerkinElmer)を使用してデータを解析した。
フローサイトメトリーに使用した抗体
【0308】
1×106個のCAR T細胞による処置17日後の、ex vivoで生成されたまたはマウス骨髄および脾臓から単離されたCAR T細胞からの表面マーカーの発現を、以下のフルオロフォアとコンジュゲートした抗体を使用して検出した:APC-Cy7抗ヒトCD8(SK1)、APC-Cy7マウス抗ヒトCD45(2D1)、BUV395マウス抗ヒトCD4(SK3)、BV421マウス抗ヒトCD62L(DREG-56)、BV650マウス抗ヒトCD45RA(HI100)、BV480またはBV510マウス抗ヒトPD-1(EH12.1)およびBUV737マウス抗ヒトCD19(SJ25C1)(BD Bioscience);PE-Cy7抗ヒトCD8(SK1)およびPerCP-eFluor 710抗ヒトLAG-3(3DS223H)(eBioscience);PerCP抗ヒトCD45RA(HI100)、Brilliant Violet785抗ヒトTim-3(F38-2E2)およびPE抗ヒトCD127(IL7Ra)(Biolegend)。1928z CARの発現を、Alexa Fluor 647ヤギ抗マウスAffiniPure IgG、F(ab’)2断片を使用することによって検出した。#2 CAR(「19(T2)28z1XX CAR」と表される)を検出するために、Alexa Fluor 647-ヤギ抗ヒトIgG、F(ab’)2断片を使用した。7-AAD(Beckman Coulter)を生存能色素として使用した。フローサイトメトリーをCytek Aurora instrument(Cytek Biosciences)で実施した。FlowJo software v.10.1(FlowJo LLC)を用いてデータを解析した。
統計解析
【0309】
全ての統計解析を、Prism 8(GraphPad)ソフトウェアを使用して実施した。2つの群間の統計比較を対応のない両側t検定によって決定した。in vivo試験に関しては、カプラン・マイヤー曲線を使用して全生存を提示した。統計的有意性はp値<0.05と定義される。
(実施例7)
毒性評価
要約
【0310】
#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)のin vivoにおける毒性を、NALM6白血病を担持するNSGマウスにおいて評価した。1928z CAR T細胞を同じ用量でi.v.注射したマウスが対照としての機能を果たした。記録されたパラメータには、全てのマウスについての全体重、腫瘍負荷、および生存が含まれた。より広範囲にわたる毒性学的調査の焦点を、このマウスモデルに対する最小治療(治癒)用量を超え(10×)、また、レシピエント体重に対する割合として臨床的に使用されるCAR T細胞用量も超える(10~100×)用量である最高用量(1×106個のCAR T細胞/レシピエント)で処置したマウスに当てた。これらの試験には、主要な腫瘍部位(骨髄)におけるT細胞の列挙および表現型決定、血清サイトカイン測定(ヒト、すなわち、T細胞由来、およびマウス、すなわち、宿主由来の両方)、肝酵素を含めた基本的な血清生化学的検査、末梢血細胞計数および器官重量ならびに試験の最後の(27~28日目)包括的な免疫組織化学的検査が含まれた。注入されたCAR T細胞は、臨床的に関連性のある様式で産生されたものであり、2つのCAR T細胞産物は同等であった。
【0311】
全体重および生存は試験群と対照群の間で有意には異ならなかった。血清サイトカインレベルも同等であり、いずれの群においてもCRSの存在は示唆されなかった。10日目の、ALTおよびAST酵素レベルは両方の試験群で同等であった。27/28日目の、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を用いて処置したマウスの酵素レベルは1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスの酵素レベルよりも低かった。
【0312】
予測された通り、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)は1928z CAR T細胞よりも長持ちした。#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)処置群のマウスのリンパ球計数および網状赤血球計数は1928z CAR T細胞群よりも多かった。1928z CAR T細胞を受けたマウスではびまん性腫瘍の浸潤が示されたが、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)のレシピエントでは示されなかった。#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)が持続しているマウスでは軽度~中等度の異種GVHDおよび肝細胞壊死が示された。
【0313】
GVHDは、高用量のヒトCAR T細胞を用いて処置したNSGマウスにおいて予測されるものであるが、後者の機構は不明である。試験の異種性(マウス組織に対するヒトT細胞の異種反応性を起こしやすい)および単一ドナー(基礎をなすT細胞受容体レパートリーが未知である)を使用して実施したことを考慮すると、この有害事象のヒトにおける自己治療に対する意義は不明である。
動物モデルの根拠
【0314】
NSGマウスにおけるNALM6モデルは、Sadelain laboratory(Zhao et al., Cancer Cell (2015);28: 415-428、Feucht, et al. Nature Medicine (2019);25 (1): 82-88、Hamieh et al., Nature (2019);568 (7750): 112-116、Eyquem et al., Nature (2017);543 (7643): 113-117)およびその他においてCD19特異的CAR T細胞の活性を評価するために広範囲にわたって使用されてきた。NALM6は、CD19を発現するが、CD80、CD86、4-1BBL、または他の主要な共刺激リガンドのいずれも発現しないヒトプレB急性リンパ性白血病(ALL)である。
用量およびスケジュールの根拠
【0315】
%形質導入効率および総生存細胞に基づいたものである1×10
6個の生存可能なCAR T細胞の単回静脈内注射は、この動物モデルにおいて10×最小効果的処置(1×10
5個のCAR T細胞)に対応することを考慮して選択された用量である(
図15参照)。CAR T細胞の投薬量は、マウスからヒトに体重で変換した場合に成体に関して承認されたCD19 CAR T細胞用量(例えば、0.1~1.5×10
8個の生存可能なCAR T細胞という承認された用量)のおよそ10~100×である。ヒト臨床試験プロトコールにおいて#2 CAR T細胞について提唱された開始一律用量は25×10
6個のCAR T細胞である。
方法
試験物およびビヒクル
【0316】
試験物は、MSKCCにあるCell Therapy and Cell Engineering Facility(CTCEF)によって調製された、1928z CAR T細胞、#2 CAR T細胞(本実施例では「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)、および形質導入されていないT細胞である。細胞を試験開始まで液体窒素中で凍結させておいた。T細胞注射の実施日に、細胞を37℃で解凍し、PlasmaLyte中1%HSAで洗浄した。次いで、細胞を、PlasmaLyte中1%HSAを使用し、マウス当たり200μLの体積中1×106個、5×105個、2×105個、および1×105個のCAR-T細胞用量に製剤化した。CAR T細胞の数を、総細胞数に、フローサイトメトリーを使用して予め決定しておいたCAR+パーセンテージを掛けることによって決定した。
試験体系
【0317】
0.5×106個のFFLuc-GFP NALM6がん細胞を注射した6~12週齢NOD/SCID/IL-2Rγnull雄マウスを使用して実験を行った。凍結保存されていたものを解凍した、1928z CARまたは#2 CAR(「19(T2)28z1XX CAR」と表される)をγ-レトロウイルスベクターで形質導入された、CD4/CD8選択されたT細胞1×106個を、腫瘍細胞の注射の4日後にマウスに注入した。無処置のマウスでは、16~18日目までに骨髄浸潤性白血病に起因して後肢麻痺が発生することが予測された。
【0318】
野生型NALM6ヒト腫瘍細胞株は、プレB急性リンパ芽球性白血病のよく特徴付けられたモデルであり、Sadelain laboratoryが多数の査読された刊行物において使用している(Zhao et al., Cancer Cell (2015);28: 415-428、Feucht, et al. Nature Medicine (2019);25 (1): 82-88、Hamieh et al., Nature (2019);568 (7750): 112-116、Eyquem et al., Nature (2017);543 (7643): 113-117)。
試験設計
【0319】
マウス115匹を1928z CAR群、#2 CAR(「19(T2)28z1XX CAR」と表される)群、および形質導入されていない群に分けた。全てのマウスがT細胞処置の4日前に0.5×10
6個のFFLuc-GFP NALM6腫瘍細胞を尾静脈注射によって受けた。試験0日目に、マウスを処置群に割り当てた。各群が単一用量(200μl)の試験物を1回、静脈内投与によって受けた。群の割り当てを表3に概説する。
【表3】
毒性学的パラメータ
【0320】
試験物投与後の体重の変化によって毒性をモニタリングした。試験物投与の10日後および28日後、1928z CAR T細胞および#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)の1×106個用量群由来の血液試料を2%イソフルラン下での麻酔後に眼窩静脈叢から採取した。血液試料を、血清分離剤を含有する管の中に採取し、サイトカインおよび肝酵素のレベルの測定に使用した。27日目および28日目に、1928z CARおよび#2 CAR(「19(T2)28z1XX CAR」と表される)の1×106個用量群のマウスを示されている各日に完全剖検分析に供した。
サイトカイン分析
【0321】
血清をマウスからCAR T処置後10日目および28日目に、1×106個のCAR T細胞用量を受けた1928z CAR群および#2 CAR(「19(T2)28z1XX CAR」と表される)群の両方から採取した。試料を分析まで-80℃で保管した。ProcartaPlexアッセイを使用して、マウスサイトカイン(MCP-1、IL-6、およびG-CSF)ならびにヒトサイトカイン(IL2、IL3、IFN-g、GM-CSF、グランザイムB、およびTNF-a)のレベルを数量化した。本試験におけるProcartaPlex関連試薬は全てThermoFisher Scientificから購入した。重症サイトカイン放出症候群のマウスモデル由来の血清を陽性対照として使用した(Giavridis et al., Nature Medicine (2018);24 (6): 731-738)。個々のサイトカインのシンプレックスキットからのビーズ60μLをプールし、ビーズ混合物50μLを96ウェルプレートの各ウェルに製造者のプロトコールに従って分配した。標準物質、品質管理、および普遍的なアッセイ緩衝剤を使用して1:4に希釈した試料をウェルに添加した。プレートを密閉し、室温、500rpmで30分間振とうし、4℃に移した。一晩のインキュベーション後、プレートを室温、500rpmでさらに30分間振とうした。プレートを洗浄し、検出用抗体を各ウェルに添加した。プレートを密閉し、室温、500rpmで30分間振とうした。洗浄後、ストレプトアビジンRPE溶液を各ウェルに添加した。プレートを密閉し、室温、500rpmで30分間振とうした。最終的な洗浄ステップ後、ビーズを読み取り用緩衝剤に再懸濁させ、アッセイシグナルをLuminex 200 instrumentで取得した。個々のサイトカインについての検量線を5パラメータロジスティック方程式を使用して作成し、各試料中の個々のサイトカインの濃度をxPONENT software(バージョン4.2.1509.0)によって算出した。
統計値
【0322】
全ての統計解析を、Prism 8(GraphPad)ソフトウェアを使用して行った。2つの群間の統計比較を対応のない両側t検定によって決定した。統計的有意性をp値<0.05と定義した。
結果
【0323】
1928z CAR T細胞および#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)による処置中のマウス体重の変化を測定した。NALM6腫瘍担持マウスを、1×10
6個、5×10
5個、2×10
5個、または1×10
5個の1928z CAR T細胞または#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)で処置し(群当たりn=10)、一方、形質導入されていないT細胞処置が対照群としての機能を果たした(n=5)。
図18に結果が示されている。
図18に示されている通り、2つのCAR T細胞処置間で体重の変化は同様であった。
【0324】
次に、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)および1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスの血清中の肝酵素を測定した。10日目および27/28日目における2つのCAR T処置マウスからの肝酵素レベルの数量化(用量レベル=1×10
6個のCAR T、群当たりn=10)が
図19に提示されている。1×10
6個の1928z CAR T細胞または#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を用いて処置したNALM6腫瘍担持マウスを10日目および27/28日目にALTおよびASTレベルについて評価した。
図19に示されている通り、10日目のALTおよびAST酵素レベルは両方の試験群で同等であった。27/28日目の#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を用いて処置したマウスの酵素レベルは1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスの酵素レベルよりも低かった。
【0325】
1×10
6個の#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)または1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスにおける注入後10日目および27/29日目の、ヒトおよびマウスサイトカインレベルを測定した。
図20は、10日目および27/28日目に異なるCAR T処置マウスの2つの群から得た血清からのヒトサイトカインレベルの数量化を示す(用量レベル=1×10
6個のCAR T、群当たりn=10)。重症サイトカイン放出症候群のマウスモデルから採取した血清を陽性対照として使用した(n=2)(Giavridis et al., Nature Medicine (2018);24 (6): 731-738)。10日目および27/28日目のIL2、IL3、GM-CSF、グランザイムB、およびTNFアルファレベルは2つのCAR T細胞群間で同等であった。27/28日目の19(T2)28z1XX CAR T処置群からのIFN-γレベルは、1928z CAR T細胞を受けたマウスにおけるレベルよりも高かった。
【0326】
図21は、10日目および27/28日目の、1928z CAR T細胞または#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)(用量レベル=1×10
6個のCAR T、群当たりn=10)のいずれかで処置したマウス血清からのマウスサイトカインレベルの数量化の結果を示す。重症サイトカイン放出症候群のマウスモデルから採取した血清を陽性対照として使用した(n=2)(Giavridis et al., Nature Medicine (2018);24 (6): 731-738)。10日目に、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を用いて処置したマウスは、1928z CAR T細胞を注入したマウスよりもわずかに高いレベルのMCP-1およびG-CSFを有したが、一方、IL6レベルは両方のCAR T細胞群間で同等であった。27/28日目に、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を用いて処置したマウスは、1928z CAR T群におけるレベルと同様のレベルのMCP-1、IL-6、およびG-CSFを有した。これらの知見から、いずれの群においてもサイトカイン放出症候群(CRS)の形跡はなかったことが示唆される。
【0327】
#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を用いて処置したマウスおよび1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスの注入後27/28日目における血液細胞計数を測定した。2つの異なるCAR T処置群(用量レベル=1×10
6個のCAR T、群当たりn=10)の27/28日目における必須の血液細胞の数量化が
図22に提示されている。好中球計数、リンパ球計数、および単球計数、ならびに網状赤血球計数の比較が示されている。
図22に示されている通り、好中球および単球は2つのCAR T群(1×10
6個の用量レベル)で同等であった。19(T2)28z1XX CAR T細胞処置群のマウスではリンパ球計数および網状赤血球計数が1928z CAR T細胞群よりも多かった。
【0328】
さらに、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を用いて処置したマウスおよび1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスの剖検時の体重および器官重量を測定した。27/28日目の2つの異なるCAR T処置群からの体重および必須器官の重量の比較(用量レベル=1×10
6個のCAR T)。
図23に結果が示されている。
図23に示されている通り、体重、脾臓重量、および腎臓重量は2つの処置群1と2で同等であった。19(T2)28z1XX CAR T処置群(「SFG-19(T2)28z-1XX」と表示される)のマウスの肝臓重量は1928z CAR T群(「SFG-1928z」と表示される)のマウスよりも軽かった。心臓重量の差異は不均等な技術的取扱が原因であるとみなされた。
【0329】
#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を用いて処置したマウスおよび1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスの肝臓、骨髄、および脾臓のCD3
+およびCD19
+免疫組織化学的測定を行った。CAR T処置後27/28日目のマウスからの肝臓、脾臓、および骨髄におけるリンパ球および腫瘍浸潤レベルの評価(用量レベル=1×10
6個のCAR T、n=6)が
図24に示されている。
図24に示されている通り、19(T2)28z1XX CAR T処置群(「SFG-19(T2)28z-1XX」と表示される)マウスは、評価した器官の全てにおいて、1928z CAR T細胞で処置した動物(「SFG-1928z」と表示される)よりも高いレベルのCD3+細胞を有した。1928z CAR T群からの試験した器官の全てにおいて腫瘍浸潤が観察されたが、19(T2)28z1XX CAR T群では腫瘍浸潤は観察されなかった。
結論
【0330】
高用量であるレシピエント当たり1×106個のCAR T細胞における#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)の毒性プロファイルを1928z CAR T細胞の毒性プロファイルと比較した。全体重にも生存にも差異は認められなかった。10日目に測定された血清サイトカインレベルは2つの群間で同等であり、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)によりサイトカイン放出症候群(CRS)が誘導される可能性は1928z CAR T細胞と比べて高くないことが示唆される。肝酵素は10日目および17日目に両群で上昇したが#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)のレシピエントでは1928z CAR T細胞を与薬した群よりも程度が低かった。末梢血液細胞計数により、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)のレシピエントにおけるリンパ球計数が多いことが示され、これは、FACs分析(17日目)および組織IHC(27/28日)によって実証された、#2 CAR T細胞の持続性がより大きいことと一致した。貧血も赤血球増加症も赤血球過形成も伴わない単独の網状赤血球増加症が観察され、したがって、これは有害事象とはみなされなかった。
【0331】
器官重量は、肝臓以外は2つの群間で同様であった。肝臓は実質的な腫瘍増悪が原因で(BLIおよびIHC)1928z CAR T細胞を用いて処置したマウスの方が重かった。対照的に、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を用いて処置したマウスでは、腫瘍が存在しないことがIHCによって示され、これらの同じマウスにおけるBLI所見が確証された。#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)レシピエントマウスにおいて多器官リンパ球浸潤が観察され、これは、異種GVHDと一致した。後者は、これらの組織の上皮壊死の所見によって確証された。#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を注入したマウスでは軽度~中等度の肝細胞壊死も観察された。この顕微鏡レベルの所見は、一般にはGVHDに付随するものではなく、したがって、可能性のある有害事象を表す。この所見の肝機能に対する影響は、肝酵素の上昇が穏当であること(ALTではなくASTのみ)およびビリルビン値が正常であることを考慮すると、限られたものである。他の病理学的所見は軽微なものであり、2つの処置群間で等しく示され、したがって、重要な所見を表すものとはみなされなかった。T細胞フローサイトメトリープロファイルは2つの処置群間で同様であり、これは、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)が、CAR T細胞の持続性が大きいことに起因して治療効力の増大を示すという予測された所見と一致した。
【0332】
#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を臨床的に試験された1928z CAR T細胞(Park et al., N. Engl. J. Med. (2018);378 (5): 449-459)と比較して評価した毒性試験により、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)を用いて処置したマウスにおける軽度~中等度のGVHDならびに軽度~中等度の肝細胞壊死が明らかになった。
【0333】
本実施例および実施例6において示されたデータから、#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)が、1928z CAR T細胞と比較して、持続性が大きいことに起因して強力であるが、より大きなリスクは引き起こさないと結論づけられる。#2 CAR T細胞(「19(T2)28z1XX CAR T細胞」と表される)の比較的増大した効力により、CD19を標的とする大多数のCAR T細胞試験よりも比較的低用量である25×106個のCAR T細胞用量から開始するヒト臨床試験設計が支持される。
(実施例8)
薬理学試験
抗CD19抗体の細胞に対する(on-cell)結合
【0334】
本開示のscFvのV
HおよびV
Lを含む抗CD19抗体の細胞に対する(on-cell)結合を、内因性CD19を発現するRaji細胞およびNALM-6細胞株に対するフローサイトメトリーによって評価した。各抗体を、CD19陽性親株および対応するCD19ノックアウトRajiおよびNALM-6株の両方において試験して、細胞に対する(on-cell)標的特異的結合を確認した。
図25に示されているフローサイトメトリークロマトグラムにより、CD19陽性株における、対応するノックアウト細胞株におけるバックグラウンド結合に対する1~2ログシフトが実証される。
【0335】
図26A~26Cに示されている段階希釈物のフローサイトメトリー結果から、NALM-6細胞に対する飽和結合が実証される。曲線から算出されたEC50値を表4に提示する。例示的な抗CD19抗体は、CD19陽性NALM-6細胞に少なくとも0.2nMからの高い親和性で結合する。CD19陽性細胞に対して可溶性タンパク質よりも高い親和性が観察されたことから、これらの抗体が、CD19-HSA融合タンパク質中に存在するよりもより天然に細胞上に存在するエピトープに結合することが示唆される。表4に示されている抗CD19抗体は全て、配列番号10に記載のアミノ酸配列を含むV
Hを含む。
【表4】
【0336】
(実施例9)
再発または難治性B細胞悪性病変を有する成人患者に対するCD19標的化19(T2)28z1XX CAR T細胞の第I相試験
【0337】
本実施例では、再発または難治性B細胞悪性病変を有する成人患者に対するCD19標的化19(T2)28z1XX CAR T細胞の第I相試験を記載する。「19(T2)28z1XX」および「19(T2)28z1XX」は、本明細書では互換的に使用される。B細胞特異的表面抗原であるCD19を標的とする自己CAR T細胞療法は、再発または難治性(R/R)B細胞リンパ腫(BCL)に対する好都合な臨床応答が実証されている。しかし、最初の完全奏効(CR)率が40~60%であるにもかかわらず、患者のごく一部でしか寛解が長続きせず、再発を防止し、より深い臨床応答(CR)を実現することによってCAR治療の有効性をさらに改善する必要がある。
【0338】
試験設計および方法:本試験は、R/R B細胞悪性病変を有する患者に対する19(T2)28z1XXの単一施設第I相臨床試験である。重要な疾患適格性基準には、R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、高グレードBCL、原発性縦隔BCL、無痛性BCLおよび慢性リンパ性白血病(CLL)が含まれる。CD19 CAR治療歴を有する患者は、CD19の発現が確認される限りは適格である。重要な除外基準には、継続中の免疫抑制、例えば、全身性GvHD治療および活動性CNS疾患が含まれる。
【0339】
本試験では、3+3用量漸増設計を使用して、BCLに対する最大耐量を同定する。5つの一律用量レベルを計画する:25×106個、50×106個、100×106個、150×106個、および200×106個のCAR T細胞。患者は、3日間のフルダラビンおよびシクロホスファミド、その後、19(T2)28z1XX CAR T細胞の単回注入からなる前処置化学療法を受ける。用量漸増相では、DLBCL、高グレードBCL、および原発性縦隔BCLを有する患者を参加適格とする。第2相推奨用量(RP2D)が決定されたら、試験を2つのコホートを用いる用量拡大相を開始する。コホート1には、DLBCL、高グレードBCLおよび原発性縦隔BCL(すなわち、用量漸増相と同じ適格性基準)を含める。コホート2には、無痛性BCL、CLL、およびリヒター形質転換を有する患者を含める。試験の用量拡大パートは、複数の適応症に対する19(T2)28z1XX CARの安全性、有効性、および薬物動態学をさらに特徴付けるために設計される。最大60名までの患者を登録する。
【0340】
本試験の主要目的は、19(T2)28z1XXの安全性および忍容性を評価し、第2相推奨用量を決定することである。重要な副次的目的には、19(T2)28z1XXの有効性および薬物動態の評価が含まれる。探索的目的には、B細胞形成不全および測定可能残存病変(MRD)の評価、注入前後の19(T2)28z1XX CAR T細胞表現型の特徴付け、および血清サイトカインの分析が含まれる。
【0341】
本開示の主題およびある特定の利点が詳細に記載されているが、本開示の主旨および範囲から逸脱することなく種々の変化、置換および変更を行うことができることが理解されるべきである。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されているプロセス、機械、製造、および組成物の特定の実施形態、ならびに方法に限定されるものではない。当業者には本開示の主題の開示から容易に理解される通り、現在存在するまたは後に開発される、対応する本明細書に記載の実施形態と実質的に同じ機能を果たすまたは実質的に同じ結果を実現するプロセス、機械、製造、組成物、または方法を本開示の主題に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物または方法もその範囲内に包含するものとする。
【0342】
種々の特許、特許出願、刊行物、製品説明、プロトコール、および配列受託番号が本出願全体を通して引用されており、その開示全体があらゆる目的に関して参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】