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特表2023-515775耐衝撃性の巻き付け可能な波形の多層織物スリーブ、及びその構築方法
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  • 特表-耐衝撃性の巻き付け可能な波形の多層織物スリーブ、及びその構築方法 図1
  • 特表-耐衝撃性の巻き付け可能な波形の多層織物スリーブ、及びその構築方法 図2
  • 特表-耐衝撃性の巻き付け可能な波形の多層織物スリーブ、及びその構築方法 図3
  • 特表-耐衝撃性の巻き付け可能な波形の多層織物スリーブ、及びその構築方法 図3A
  • 特表-耐衝撃性の巻き付け可能な波形の多層織物スリーブ、及びその構築方法 図3B
  • 特表-耐衝撃性の巻き付け可能な波形の多層織物スリーブ、及びその構築方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】耐衝撃性の巻き付け可能な波形の多層織物スリーブ、及びその構築方法
(51)【国際特許分類】
   D03D 11/00 20060101AFI20230407BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20230407BHJP
   D03D 3/02 20060101ALI20230407BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20230407BHJP
   D03D 15/60 20210101ALI20230407BHJP
【FI】
D03D11/00 Z
F16L57/00 A
D03D3/02
D03D1/00 Z
D03D15/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548686
(86)(22)【出願日】2021-02-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 US2021017589
(87)【国際公開番号】W WO2021163279
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/975,124
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/173,134
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503170721
【氏名又は名称】フェデラル-モーグル・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL-MOGUL POWERTRAIN LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウザー、リー
(72)【発明者】
【氏名】ウィンターズ、ダニー
(72)【発明者】
【氏名】チウ、シアオタン
(72)【発明者】
【氏名】アダムスキー、エマ
(72)【発明者】
【氏名】米重 勇生
(72)【発明者】
【氏名】メブバニ、リテーシュ
(72)【発明者】
【氏名】カオ、ティエンチー
【テーマコード(参考)】
3H024
4L048
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB01
3H024AB06
3H024AC05
4L048AA50
4L048AB07
4L048AB10
4L048AC11
4L048BA01
4L048BA02
4L048BB04
4L048BB06
4L048BC06
4L048CA00
4L048CA11
4L048DA24
4L048EB05
(57)【要約】

巻き付け可能な波形の織物スリーブ及びその構築の方法が提供される。スリーブは、互いに重なり合う関係で中心軸の周りに巻き付けられた対向する縁部を有する壁を含む。壁は、互いの上にある複数の層を有する。各層は、縦糸に対して概ね横方向に延在する横糸で織られた、中心軸に対して概ね並行に延在する縦糸を含む。各層は、層の長さに沿って互いに交互になった複数の環状の第1のバンド及び複数の環状の第2のバンドを含む。各層の第1のバンドは、モノフィラメント緯糸及びマルチフィラメント緯糸を含み、各層の第2のバンドは、モノフィラメント緯糸又はマルチフィラメント緯糸のうちの1つのみを含む。第1のバンドは互いの上にあって、ピークを形成し、第2のバンドBは互いの上にあって、谷部を形成して、これによって、壁は、波形輪郭を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い部材を引き回し、保護するための、巻き付け可能な多層織物スリーブであって、
対向する端部間に長さ方向に延在する対向する縁部を有する壁であって、前記対向する端部が、中心空洞に境界を付けるように、中心軸の周りに互いに重なり合う関係で巻き付け可能であり、前記壁が、互いの上にある関係で延在する複数の層を有し、前記層の各々が、前記縦糸に対して概ね横方向に延在する横糸で織られた、前記中心軸に対して概ね並行に延在する縦糸を含み、前記層の各々が、複数の環状の第1のバンド及び複数の環状の第2のバンドを含み、前記層の各々の前記第1のバンド及び前記第2のバンドが、前記壁の長さに沿って互いに交互になっており、各層の前記第1のバンドが、モノフィラメント緯糸及びマルチフィラメント緯糸を含み、各層の前記第2のバンドが、モノフィラメント緯糸又はマルチフィラメント緯糸のうちの1つのみを含み、各層の前記第1のバンドが、互いに重なり合う関係で半径方向に整列され、各層の前記第2のバンドが、互いに重なり合う関係で半径方向に整列され、各層の前記第1のバンドが、ピークを形成し、各層の前記第2のバンドが、谷部を形成し、前記ピーク及び前記谷部が、前記中心軸に沿って互いに交互になっている、壁を備える、巻き付け可能な多層織物スリーブ。
【請求項2】
前記複数の層が、半径方向最外層、半径方向最内層、及び前記半径方向最外層と前記半径方向最内層との間に挟まれた少なくとも1つの中間層を含む、請求項1に記載の巻き付け可能な多層織物スリーブ。
【請求項3】
前記半径方向最外層、前記半径方向最内層、及び前記少なくとも1つの中間層のうちの少なくとも1つが、他の層のうちの少なくとも1つとは異なる織りパターンを有する、請求項2に記載の巻き付け可能な多層織物スリーブ。
【請求項4】
前記半径方向最外層、前記半径方向最内層、及び前記少なくとも1つの中間層が、平織りパターン、綾織りパターン、斜子織りパターン、及び朱子織りパターンのうちのいずれか1つから織られている、請求項3に記載の巻き付け可能な多層織物スリーブ。
【請求項5】
前記層のうちの少なくとも一部が、同じ織りパターンで織られている、請求項4に記載の巻き付け可能な多層織物スリーブ。
【請求項6】
前記層のうちの少なくとも一部が、同じ織りパターンで織られている、請求項2に記載の巻き付け可能な多層織物スリーブ。
【請求項7】
前記層のすべてが、同じ織りパターンで織られている、請求項6に記載の巻き付け可能な多層織物スリーブ。
【請求項8】
各層の前記第2のバンドが、モノフィラメント緯糸のみを含む、請求項1に記載の巻き付け可能な多層織物スリーブ。
【請求項9】
各層の前記第2のバンドが、マルチフィラメント緯糸のみを含む、請求項1に記載の巻き付け可能な多層織物スリーブ。
【請求項10】
前記半径方向最外層が、第1の織り密度を有し、前記半径方向最内層が、第2の織り密度を有し、前記第1の織り密度が、前記第2の織り密度よりも大きい、請求項2に記載の巻き付け可能な多層織物スリーブ。
【請求項11】
前記対向する縁部が、少なくとも1つの熱硬化糸によって互いに重なり合う関係で付勢される、請求項1に記載の巻き付け可能な多層織物スリーブ。
【請求項12】
巻き付け可能な多層織物スリーブを構築する方法であって、
対向する端部間の中心軸に沿って長さ方向に延在する対向する縁部を有する複数の上にある層を含む細長い壁を織ることと、
前記中心軸に対して概ね並行に延在する縦糸を含む前記層の各々を、前記縦糸に対して概ね横方向に延在する横糸で織ることと、
前記層の長さに沿って互いに交互になった複数の環状の第1のバンド及び複数の環状の第2のバンドを含む前記層の各々を織ることと、
モノフィラメント緯糸及びマルチフィラメント緯糸を含む、各層の前記環状の第1のバンドを織ることと、
モノフィラメント緯糸又はマルチフィラメント緯糸のうちの1つのみを含む、各層の前記環状の第2のバンドを織ることと、
各層の前記環状の第1のバンドを互いに重なり合う関係で半径方向に整列させることと、
各層の前記環状の第2のバンドを互いに重なり合う関係で半径方向に整列させることと、
各層の前記環状の第1のバンドにピークを形成させ、各層の前記環状の第2のバンドに谷部を形成させて、波形輪郭を有する前記壁を提供することと、を含む、方法。
【請求項13】
半径方向最外層、半径方向最内層、及び前記半径方向最外層と前記半径方向最内層との間に挟まれた少なくとも1つの中間層を含むように、前記複数の層を織ることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
他の層のうちの少なくとも1つとは異なる織りパターンを有する、前記半径方向最外層、前記半径方向最内層、及び前記少なくとも1つの中間層のうちの少なくとも1つを織ることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
平織りパターン、綾織りパターン、斜子織りパターン、及び朱子織りパターンのうちのいずれか1つを有する、前記半径方向最外層、前記半径方向最内層、及び前記少なくとも1つの中間層を織ることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記半径方向最外層、前記半径方向最内層、及び同じ織りパターンを有する前記少なくとも1つの中間層を織ることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
各々が異なる織りパターンを有する、前記半径方向最外層、前記半径方向最内層、及び前記少なくとも1つの中間層を織ることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
第1の織り密度を有する前記半径方向最外層を織ることと、第2の織り密度を有する前記半径方向最内層を織ることと、を更に含み、前記第1の織り密度が、前記第2の織り密度よりも大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
熱硬化性糸及び熱収縮性糸のうちの少なくとも1つを含む前記壁を織ることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
熱処理プロセスに曝露されると、少なくとも4%長さが収縮するように、前記熱収縮性糸を提供することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年2月11日に出願された米国仮特許出願第62/975,124号、及び2021年2月10日に出願された米国実用特許出願第17/173,134号の利益を主張し、その開示全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、細長い部材を保護するためのテキスタイルスリーブに関し、より具体的には、耐衝撃性の波形の巻き付け可能な多層織物管状スリーブに関する。
【背景技術】
【0003】
衝撃及び摩耗、流体及び熱的影響に対する細長い部材への保護を提供するために、織物スリーブ内の様々な種類のワイヤ、ワイヤハーネス、ケーブル、及び導管などの細長い部材を含むことが知られている。スリーブへの損傷及びその中の内容物の損傷を防止するために高い耐衝撃性が必要な用途では、複数の層を有する巻き付け可能な織物スリーブが知られている。多層壁の層の各々は、典型的には、それらの全体にわたって同じ、非変化の、均一な織りパターンを有するように形成され、したがって、スリーブの壁を巻き付けると、対向する縁部を互いに重なり合う関係にし、それによって、その中に保護されている細長いものを取り囲み、複数の層のため、典型的には、スリーブが剛性になり、柔軟性が損なわれ、それによって、特にスリーブを重なり合う縁部に沿って座屈及び/又は開放させることなく、スリーブを蛇行経路に沿って引き回すことを困難にする。
【0004】
したがって、必要とされるのは、巻き付け可能な多層織物スリーブであり、これは、その中に含まれる細長い部材に対して、特に衝撃、摩耗、及び汚染に対する高められた保護を提供する一方で、蛇行経路の周りを自在に引き回すことを可能にしながら、重なり合った端部に沿って座屈及び/又は開放することなく、巻かれた構成を維持しながら、審美的に心地良い外観を維持し、製造及び組み立てにおいて経済的であり、かつ長く有用な寿命を呈する。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様は、細長い部材を引き回し、保護するための、巻き付け可能な波形の多層織物スリーブを提供する。スリーブは、対向する端部間に長さ方向に延在する対向する縁部を有する細長い多層壁を含む。対向する縁部は、中央空洞に境界を付けるように、中心軸の周りに互いに重なり合う関係で巻き付け可能である。壁は、対向する端部間に互いに上にある関係で延在する複数の層を有する。層の各々は、縦糸に対して概ね横方向に延在する横糸で織られた、中心軸に対して概ね並行に延在する縦糸を含む。層の各々は、以下で環状バンドAと称される複数の第1の環状バンド、及び以下で環状バンドBと称される複数の第2の環状バンドを含み、環状バンドA、Bは、各層に沿って、かつ壁の長さに沿って互いに交互になっている。各層の環状バンドAは、モノフィラメント緯糸及びマルチフィラメント緯糸を含み、各層の環状バンドBは、モノフィラメント緯糸又はマルチフィラメント緯糸のうちの1つのみを含む。各層の環状バンドAは、互いに重なり合う関係で半径方向に整列され、各層の環状バンドBは、互いに重なり合う関係で半径方向に整列される。各層の環状バンドAは、ピークを形成する一方で、各層の環状バンドBは、谷部を形成し、これによって、壁は波形輪郭を有し、それによって、壁の可撓性を高め、それが、ねじれることなく蛇行経路の上を引き回すことを可能にする。
【0006】
本発明の別の態様によれば、多層壁は、半径方向最外層、半径方向最内層、及び半径方向最外層と半径方向最内層との間に挟まれた少なくとも1つの中間層を含む。
【0007】
本発明の別の態様によれば、半径方向最外層、半径方向最内層、及び中間層のうちの少なくとも1つは、他の層のうちの少なくとも1つとは異なる織りパターンを有し得る。
【0008】
本発明の別の態様によれば、半径方向最外層、半径方向最内層、及び中間層は、平織りパターン、綾織りパターン、斜子織りパターン、及び朱子織りパターンのうちのいずれか1つから織られ得、層の少なくとも一部若しくは全部は、同じ織りパターンで織られ得るか、又は層の少なくとも一部若しくは全部が、異なる織りパターンで織られ得る。
【0009】
本発明の別の態様によれば、巻き付け可能な波形の多層織物スリーブを構築する方法が提供される。本方法は、対向する端部の間に長さ方向に延在する、対向する縁部を有する細長い壁を織ることを含み、細長い壁は、中心軸の周りに巻き付けられて、中央空洞に境界を付けるように、対向する縁部を互いに重なり合う関係にするように構成されている。更に、対向する縁部と対向する端部との間で互いの上にある関係で延在する複数の層を含むように壁を織ることであり、層の各々は、縦糸に対して概ね横方向に延在する横糸で織られた、中心軸に概ね並行に延在する縦糸を含む。更にまた、複数の環状バンドA及び複数の環状バンドBを含む層の各々を織ることであって、環状バンドA及び環状バンドBは、壁の長さに沿って互いに交互になっている。更にまた、モノフィラメント緯糸及びマルチフィラメント緯糸を含む、各層の環状バンドAを織ること、モノフィラメント緯糸又はマルチフィラメント緯糸のうちの1つのみを含む、各層の環状バンドBを織ること。更に、各層の環状バンドAを互いに重なる関係で半径方向に整列させ、各層の環状バンドBを互いに重なり合う関係で半径方向に整列させ、各層の環状バンドAは、ピークを形成し、各層の環状バンドBは、谷部を形成し、これによって、壁は波形輪郭を有し、それによって、壁の可撓性を高め、それが、ねじれることなく蛇行経路の上を引き回すことを可能にする。
【0010】
本発明の別の態様によれば、本方法は、半径方向最外層、半径方向最内層、及び半径方向最外層と半径方向最内層との間に挟まれた少なくとも1つの中間層を含む多層壁を織ることを更に含み得る。
【0011】
本発明の別の態様によれば、本方法は、他の層のうちの少なくとも1つとは異なる織りパターンを有する、半径方向最外層、半径方向最内層、及び中間層のうちの少なくとも1つを織ることを更に含むことができる。
【0012】
本発明の別の態様によれば、本方法は、平織りパターン、綾織りパターン、斜子織りパターン、及び朱子織りパターンのうちのいずれか1つを有する、半径方向最外層、半径方向最内層、及び中間層を織ることを更に含み得、層の少なくとも一部若しくは全部は、同じ織りパターンで織られ得るか、又は層の少なくとも一部若しくは全部が、異なる織りパターンで織られ得る。
【0013】
本発明の別の態様によれば、本方法は、熱硬化性糸及び熱収縮性糸のうちの少なくとも1つを含む壁を織ることを更に含むことができ、熱収縮性糸は、熱処理プロセスに曝露されたときに4~20%以上の長さの収縮を有する高長収縮糸として提供され、それによって、壁に増加した密度を引き起こさせ、したがって、壁の耐切断性、耐衝撃性、及び全体的な保護属性を増加させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
これら及び他の態様、特徴、及び利点は、現在好ましい実施形態及び最良の形態、添付の特許請求の範囲、並びに添付の図面の以下の詳細な説明を考慮して、当業者に容易に明らかになるであろう。
図1】保護される細長い部材の周りに巻き付けられて示される、本発明の一態様に従って構築されている、巻き付け可能な多層織物スリーブの概略斜視図である。
図2】細長い部材が取り外された状態の図1の線2-2に概ね沿って取られた断面図である。
図3】巻き付け前の平坦化状態で示されている、図1のスリーブの壁の層の概略平面図である。
図3A図3の壁の拡大部分図であり、明確にする目的のみのために縦糸が省略された、その緯糸のバンドを図示する。
図3B】本開示の別の態様に従って構築されている壁を図示する、図3Aと同様の図である。
図4】複数の層間の異なる織りパターン及び織り密度を図示する、図3の壁の複数の層の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面をより詳細に参照すると、図1は、ワイヤハーネス、導管などのように、保護される細長い部材11の周りに巻き付けられた波形壁12を有する、本発明の一態様に従って構築されている、以下でスリーブ10と称される可撓性の巻き付け可能な多層織物スリーブを概略的に図示する。壁12は、対向する端部18、20の間に長さ方向に延在する対向する縁部14、16を含み、有する。対向する縁部14、16は、中央空洞24に境界を付けるように、中心軸22の周りに互いに重なり合うように巻き付けられ、中央空洞24を通して細長い部材11が延在し、中央空洞24の中で、細長い部材11は、例として及び限定するものではないが、車両の衝突、摩耗、及び汚染の進入において経験され得るような衝撃力に対して保護される。壁12は、少なくとも一対の層を含む複数の層を有し、これらは、図2には、例として及び限定するものではないが、対向する端部18、20の間に互いに当接して上にあるように延在する、4つの層26a、26b、26c、26dとして示される。層26a、26b、26c、26dの各々は(図3の層のうちの1つについて最もよく示されているように、各層が同じ又は実質的に同じ構造を有するように構築され得(実質的にとは、例えば、織物パターンなどの層間にわずかな違いが存在し得ることを意味することを意図しているが、本開示の根本的な前提は、以下で更に論じるように、波形壁を形成するために各層内で維持されることを更に理解されたい))、縦糸28に対して概ね横方向に延在する、横糸30とも称される、緯糸で織られた、中心軸22と概ね平行に延在する縦糸28を含むことを理解されたい。対向する縁部14、16を互いに重なり合う関係で巻き付けると、複数の層のうちの1つは、半径方向最外層26aを形成し、複数の層のうちの1つは、半径方向最内層26dを形成する。層26a、26b、26c、26dの各々は、図3及び図3Aに示されるように、壁12の長さに沿って互いに交互になった複数の環状の第1のバンドA及び複数の環状の第2のバンドBを含む。各層26a、26b、26c、26dの環状の第1のバンドAは、モノフィラメント緯糸30’及びマルチフィラメント緯糸30’を含み、各層26a、26b、26c、26dの環状の第2のバンドBは、図3Aにモノフィラメント緯糸30’として示されるモノフィラメント緯糸30’、又は図3Bにマルチフィラメント緯糸30”とし示されるマルチフィラメント緯糸30”のうちの1つのみを含む。各層26a、26b、26c、26dの環状の第1のバンドAは、互いに重なり合う関係で半径方向に整列され、各層26a、26b、26c、26dの環状の第2のバンドBは、互いに重なり合う関係で半径方向に整列される。各層26a、26b、26c、26dの環状の第1のバンドAは、概ね凸状の外面輪郭を有するピークPを形成する一方で、各層26a、26b、26c、26dの環状の第2のバンドBは、概ね凹状の外面輪郭を有する谷部Vを形成し、これによって、壁12は、その長さに沿って互いに交互にピークP及び谷部Vを含む波形輪郭を有し、それによって、壁12の曲げ可撓性を高め、ねじれることなく、急な曲げ及び角部の周りを含む、ジグザグな様式で、曲がりくねった蛇行経路の上を引き回すことを可能にする。
【0016】
細長い部材11の周りで、壁12をその巻き付け状態に維持することを容易にするために、層26a、26b、26c、26d内の横糸30の少なくとも一部を熱硬化性横糸として提供することができ、モノフィラメント緯糸30’及び/又はマルチフィラメント緯糸30”として提供することができる。したがって、任意の適切な熱処理プロセスにより、壁12は、対向する縁部14、16に外部から加えられる力がない場合、その巻き付け管状状態に付勢されたままであるように、熱硬化された管状形状をとるようになり、組み立て中に細長い部材11を空洞24に挿入し、使用中に細長い部材11を空洞から取り外すために、対向する縁部14、16を互いから離すために外部から力を加えることができ、外部からの力を除去すると、対向する縁部14、16が互いに重なり合う関係に自動的に戻るように移動することを可能にする。
【0017】
耐衝撃性、耐切断性、及び汚染の侵入に対する耐性を含む壁12の保護属性を高めるために、層26a、26b、26c、26d内の縦糸28及び/又は横糸30のうちの少なくとも一部を高収縮糸として提供することができ、高収縮は、4~20%以上の長さの収縮を意味する。したがって、任意の好適な熱処理プロセスは、高収縮糸の収縮を介して壁12の密度が増加させる。
【0018】
本開示の一態様によれば、図4に示されるように、半径方向最外層26aは、第1の織り気密性(密度)WDaを有する第1の織りパターンWPaを有するように織られ得、半径方向最内層26dは、第2の織り気密性(密度)WDdを有する第2の織りパターンWPdを有するように織られ得、第1の織り気密性(密度)WDaは、第2の織り気密性(密度)WDdよりも大きい。したがって、層26a、26dを熱硬化すると、最内層26dは、その中にしわが形成されないように熱硬化を取り込むようにされる。半径方向最外層26aと半径方向最内層26dとの間に挟まれた中間層26b、26cは、織り気密性(密度)WDa、WDb、WDc、WDdが半径方向最外層26aから半径方向最内層26dに向かって相対的に漸減するように、互いに織り気密性が減少するそれぞれの織りパターンWPb、WPcを有するように織ることができることを認識されたい。したがって、WDa>WDb>WDc>WDdである。結果として、壁12を熱硬化すると、層26a、26b、26c、26dの各々は、滑らかかつしわがないままである。
【0019】
加えて、上述の態様内で、縦糸28及び/又は横糸30は、高靭性ポリエチレンテレフタレート(PET)、パラアラミド、液晶ポリマーなどからの高靭性糸として提供され得る。本明細書においてグラム/デニールによって定義される高靭性は、4~10グラム/デニールであり、これにより、増加した切断抵抗を提供し、破断せずに、増加した量の衝撃エネルギーを吸収し、それによって、細長い部材11に最適な衝突抵抗及び保護が提供される。更にまた、壁12の密度及び耐衝撃性を増加させるために、縦糸28及び/又は横糸30のうちの少なくとも一部は、高収縮を有するように提供され得、高収縮は、本明細書において、前処理され予備収縮された長さが4~20%以上の間で収縮するものとして定義され、糸を収縮させると、糸28、30が一緒に引き寄せられて、壁12の密度を増加させる。
【0020】
本開示の一態様によれば、巻き付け可能な多層(2層以上の)織物スリーブ10を構築する方法が提供される。本方法は、対向する端部18、20の間に長さ方向に延在する、対向する縁部14、16を有する細長い壁12を織ることを含み、細長い壁12は、中心軸22の周りに巻き付けられて、中央空洞24に境界を付けるように、対向する縁部14、16を互いに重なり合う関係にするように構成されている。更に、本方法は、対向する端部18、20の間、及び対向する縁部14、16の間で互いに上にある関係で延在する複数の層26a、26b、26c、26dを含むように壁12を織ることを含む。本方法は、縦糸28に対して概ね横方向に延在する横糸30を備えた、中心軸22に対して概ね並行に延在する縦糸28を含む層26a、26b、26c、26dの各々を織ることを更に含み、複数の層26aのうちの1つは、半径方向最外層を形成するように織られ、複数の層26dのうちの1つは、半径方向最内層を形成するように織られる。更にまた、複数の第1の環状バンドA及び複数の第2の環状バンドBを含む層26a、26b、26c、26dの各々を織り、環状バンドA及び環状バンドBは、層26a、26b、26c、26dの各々に沿って、かつ壁12の長さに沿って互いに交互になっている。更にまた、モノフィラメント緯糸30’及びマルチフィラメント緯糸30”の両方を含む、各層26a、26b、26c、26dの環状バンドAを織り、モノフィラメント緯糸30’又はマルチフィラメント緯糸30”のうちの1つのみを含む、各層26a、26b、26c、26dの環状バンドBを織る。更に、各層26a、26b、26c、26dの環状バンドAを互いに重なり合う関係で半径方向に整列させ、各層26a、26b、26c、26dの環状バンドBを互いに重なり合う関係で半径方向に整列させ、各層26a、26b、26c、26dの環状バンドAは、ピークPを形成し、各層26a、26b、26c、26dの環状バンドBは、谷部Vを形成し、これによって、壁12は、その長さに沿って波形輪郭を形成し、それによって、壁12の可撓性を高め、それが、ねじれることなく蛇行経路の上を引き回すことを可能にする。
【0021】
明らかに、上記の教示に照らして、本発明の多くの修正及び変形が可能である。そのような組み合わせが互いに矛盾しない限り、すべての特許請求の範囲及びすべての実施形態のすべての特徴を互いに組み合わせることができることが企図される。したがって、添付の特許請求の範囲内では、本発明は、具体的に説明されたもの以外に実施され得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】