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特表2023-515776閉ループシステムにおける低血糖症及び/又は高血糖症の個別化された減少量
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】閉ループシステムにおける低血糖症及び/又は高血糖症の個別化された減少量
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/172 20060101AFI20230407BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20230407BHJP
   G16H 20/10 20180101ALI20230407BHJP
【FI】
A61M5/172 500
A61M5/142 530
G16H20/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548688
(86)(22)【出願日】2021-02-11
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 US2021017662
(87)【国際公開番号】W WO2021163326
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】16/789,051
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519167449
【氏名又は名称】インスレット コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】チュン ポク リー
(72)【発明者】
【氏名】イーピン チョン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン オコナー
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066AA01
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066QQ32
4C066QQ82
4C066QQ84
5L099AA25
(57)【要約】
本明細書中に記述した例示的な実施態様は、閉ループAP(artificial pancreas)システムに関する。APシステムは、健康な膵臓の内分泌の機能性をまねることによってユーザの血中グルコースレベルを自動的かつ継続的に制御することを求める。APシステムは、コスト関数を有する閉ループ制御システムを使用する。ペナルティ関数は、低血糖症及び高血糖症を回避することを試みるためにインスリンの注入速度を抑制することを助ける。しかしながら、コスト関数においてユーザのインスリンニーズに対する一般のパラメータ又は基準パラメータを使用する従来のシステムと異なり、例示的な実施態様は、ユーザの個別化されたインスリンニーズを反映するコスト関数においてカスタマイズされたパラメータを使用することができる。カスタマイズされたパラメータの使用は、ユーザの個別化されたインスリンニーズに更に適したインスリン投薬量を経時的にもたらすコスト関数の原因となる。これは、低血糖症及び高血糖症をよりよく回避することを助ける。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工膵臓からユーザへのインスリンの供給を制御するための装置であって、
グルコースモニタから前記ユーザについてのグルコース測定値を得るための、前記グルコースモニタを伴うモニタインターフェースと、
前記ユーザへのインスリンの供給を制御するために前記人工膵臓と通信するための人工膵臓インターフェースと、
前記人工膵臓によるインスリンの前記供給を制御するための制御ループを実現するように構成されるプロセッサであって、
前記プロセッサは、最良のコスト関数値を有する、供給投薬量オプションの中の次の供給に対するインスリン供給投薬量を選択し、
前記コスト関数は、
前記ユーザに対して前記投薬量オプションを作り出すための予測グルコースレベルと前記ユーザに対する目標グルコースレベルとの間の差を反映するグルコースコスト要素を有し、
前記投薬量オプションが現在の基準インスリン投薬量とどの程度異なるかを反映するインスリンコスト要素を有し、
前記グルコースコスト要素に重み付けするためのグルコースコスト重み係数を有し、
前記インスリンコスト要素に重み付けするためのインスリンコスト重み係数を有する、プロセッサと、を備え、
前記グルコースコスト重み係数及び前記インスリンコスト重み係数の少なくとも1つは、前記ユーザに対してカスタマイズされた値を有する、装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記選択されたインスリン供給投薬量を供給するように前記人工膵臓インターフェースを通して前記人工膵臓に指示する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記グルコースコスト重み係数及び前記インスリンコスト重み係数の1つだけが前記ユーザに対してカスタマイズされた値を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記グルコースコスト重み係数及び前記インスリンコスト重み係数の両方が前記ユーザに対してカスタマイズされた値を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記グルコースコスト重み係数は、インスリンニーズを表す基準値に対する前記ユーザのインスリンニーズを表すカスタム値の比率を示す値を乗じた基準グルコースコスト重み係数の値を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記比率を示す前記値は、前記比率の指数の値である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記インスリンコスト重み係数は、前記ユーザのインスリンニーズを表すカスタム値に対するインスリンニーズを表す基準値の比率を示す値を乗じた基準インスリンコスト重み係数の値を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記比率を示す前記値は、前記比率の指数の値である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記グルコースコスト重み係数は、前記ユーザのインスリンニーズを表すカスタム値に対するインスリンニーズを表す基準値の比率を示す値を乗じた基準グルコースコスト重み係数の値を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記インスリンコスト重み係数は、インスリンニーズを表す基準値に対する前記ユーザのインスリンニーズを表すカスタム値の比率を示す値を乗じた基準インスリンコスト重み係数の値を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記人工膵臓インターフェースは、無線通信インターフェースである、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、モバイルコンピューティング装置、スマートフォン又はインスリンポンプ部品の1つである、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記ユーザに対してカスタマイズされる前記グルコースコスト重み係数又は前記インスリンコスト重み係数の少なくとも1つを決定することに使用されるパラメータに境界を強制する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記パラメータは、前記ユーザの前記インスリンニーズを示す値である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記ユーザに対するインスリン感受性のための補正率、前記ユーザに対するインスリンカーボ比、又は前記ユーザに対する基礎インスリンレベルの少なくとも1つに基づいて、前記グルコースコスト重み係数又は前記インスリンコスト重み係数の少なくとも1つを決定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記グルコースコスト重み係数及び前記インスリンコスト重み係数の少なくとも1つは、TDI(Total Daily Insulin)ユーザに対してカスタマイズされた値を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
グルコースモニタからユーザについてのグルコース測定値を受信するステップと、
人工膵臓から前記ユーザへのインスリンの次の供給に対する投薬量を決定するステップであって、
前記決定するステップは、
前記ユーザへのインスリンの複数の可能な投薬量にコスト関数を適用するステップと、
前記コスト関数のもとで最良のコストを有する、インスリンの前記可能な投薬量の1つを選択するステップと、を含み、
前記コスト関数は、
前記ユーザに対して前記投薬量オプションを作り出すための予測グルコースレベルと前記ユーザに対する目標グルコースレベルとの間の差を反映するグルコースコスト要素を有し、
前記投薬量オプションが現在の基準インスリン投薬量とどの程度異なるかを反映するインスリンコスト要素を有し、
前記グルコースコスト要素に重み付けするためのグルコースコスト重み係数を有し、
前記インスリンコスト要素に重み付けするためのインスリンコスト重み係数を有し、
前記グルコースコスト重み係数及び前記インスリンコスト重み係数は、前記ユーザに対してカスタマイズされた値を有する、ステップと、
前記選択された投薬量を前記ユーザに供給するように前記人工膵臓に指示するステップと、を含む、方法。
【請求項18】
コンピュータ可読命令を格納する非一時的なコンピュータ可読記憶装置であって、
前記コンピュータ可読命令は、装置のプロセッサに、
グルコースモニタからユーザについてのグルコース測定値を受信することと、
人工膵臓から前記ユーザへのインスリンの次の供給に対する投薬量を決定することであって、
前記決定することは、
前記ユーザへのインスリンの複数の可能な投薬量にコスト関数を適用することと、
前記コスト関数のもとで最良のコストを有する、インスリンの前記可能な投薬量の1つを選択することと、を含み、
前記コスト関数は、
前記ユーザに対して前記投薬量オプションを作り出すための予測グルコースレベルと前記ユーザに対する目標グルコースレベルとの間の差を反映するグルコースコスト要素を有し、
前記投薬量オプションが現在の基準インスリン投薬量とどの程度異なるかを反映するインスリンコスト要素を有し、
前記グルコースコスト要素に重み付けするためのグルコースコスト重み係数を有し、
前記インスリンコスト要素に重み付けするためのインスリンコスト重み係数を有し、
前記グルコースコスト重み係数及び前記インスリンコスト重み係数は、前記ユーザに対してカスタマイズされた値を有する、ことと、
前記選択された投薬量を前記ユーザに供給するように前記人工膵臓に指示することと、を行わせる、非一時的なコンピュータ可読記憶装置。
【請求項19】
前記グルコースコスト重み係数及び前記インスリンコスト重み係数の1つだけが前記ユーザに対してカスタマイズされた値を有する、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記グルコースコスト重み係数及び前記インスリンコスト重み係数の両方が前記ユーザに対してカスタマイズされた値を有する、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
前記グルコースコスト重み係数は、インスリンニーズを表す基準値に対する前記ユーザのインスリンニーズを表すカスタム値の比率を示す値を乗じた基準グルコースコスト重み係数の値を有する、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項22】
前記比率を示す前記値は、前記比率の指数の値である、請求項21に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項23】
前記インスリンコスト重み係数は、前記ユーザのインスリンニーズを表すカスタム値に対するインスリンニーズを表す基準値の比率を示す値を乗じた基準インスリンコスト重み係数の値を有する、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項24】
前記比率を示す前記値は、前記比率の指数の値である、請求項23に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項25】
前記グルコースコスト重み係数は、前記ユーザのインスリンニーズを表すカスタム値に対するインスリンニーズを表す基準値の比率を示す値を乗じた基準インスリンコスト重み係数の値を有する、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項26】
前記グルコースコスト重み係数は、前記ユーザのインスリンニーズを表すカスタム値に対するインスリンニーズを表す基準値の比率を示す値を乗じた基準インスリンコスト重み係数の値を有する、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項27】
前記ユーザに対してカスタマイズされる前記グルコースコスト重み係数又は前記インスリンコスト重み係数の少なくとも1つを決定することに使用されるパラメータに境界を強制する命令を更に格納する、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項28】
前記パラメータは、前記ユーザの前記インスリンニーズを示す値である、請求項27に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項29】
前記グルコースコスト重み係数又は前記インスリンコスト重み係数の少なくとも1つを決定することは、前記ユーザに対するインスリン感受性のための補正率、前記ユーザに対するインスリンカーボ比、又は前記ユーザに対する基礎インスリンレベルの少なくとも1つに基づく、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項30】
前記グルコースコスト重み係数及び前記インスリンコスト重み係数の少なくとも1つは、TDI(Total Daily Insulin)ユーザに対してカスタマイズされた値を有する、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年2月12日に出願された米国特許第16/789,051号の出願日の利益を主張し、その全体の内容は、全体として参照されることにより本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
1型糖尿病を伴う患者は、異なる方法のインスリン供給をすることによって治療されることがある。1つのアプローチは、必要に応じて、患者にインスリンの補正ボーラスを手動で供給することである。例えば、患者の血中グルコースレベルが170mg/dLであり、目標血中グルコースレベルが120mg/dLである場合、1Uのボーラスが、患者に手動で供給されることがある(1:50の補正率と仮定する)。患者にそのようなボーラスを手動で提供することには、いくつか潜在的な問題がある。患者は、ボーラスにおいて不適切な量のインスリンを供給することがある。例えば、ユーザは、ボーラス量1Uより著しく低い量のインスリンを必要とすることがある。供給されたインスリンは、患者の血流から元に戻されることはない。結果として、ボーラスの供給は、患者を低血糖症の危険にさらすことがある。
【0003】
インスリンに対する別のアプローチは、インスリンがインスリンポンプシステムによって自動的に供給されることである。いくつかのインスリンポンプシステムは、5分毎などの固定した間隔で供給されるインスリンの量を規制するために閉ループ制御システムを使用することがある。制御システムによって使用される閉ループアルゴリズムは、コスト関数においてグルコースレベル偏位に対するペナルティとバランスがとれた、多くのインスリン供給に対するペナルティを採用することがある。コスト関数の使用は、典型的には、手動で供給されるボーラスよりも更に頻繁に供給される、より小規模なインスリン供給をもたらす。閉ループシステムは、手動のアプローチよりも頻繁に患者のニーズを再評価することができる。
【発明の概要】
【0004】
例示的な実施態様に従って、装置は、人工膵臓からユーザへのインスリンの供給を制御する。装置は、グルコースモニタからユーザについてのグルコース測定値を得るために、グルコースモニタとインターフェースをとるためのモニタインターフェースを含む。装置は、ユーザへのインスリンの供給を制御するために人工膵臓と通信するための人工膵臓インターフェースを含んでよい。装置は、その上、人工膵臓によるインスリンの供給を制御するための制御ループを実現するように構成されるプロセッサを含んでよい。プロセッサは、最良のコスト関数値を有する、供給投薬量のオプションの中の次の供給に対するインスリン供給投薬量を選択することができる。コスト関数は、ユーザに対して投薬量オプションを作り出すための予測グルコースレベルとユーザに対する目標グルコースレベルとの間の差を反映するグルコースコスト要素を有してよい。コスト関数は、投薬量オプションが現在の基準インスリン投薬量とどの程度異なるかを反映するインスリンコスト要素を有してよい。更に、コスト関数は、グルコースコスト要素に重み付けするためのグルコースコスト重み係数、及びインスリンコスト要素に重み付けするためのインスリンコスト重み係数を有してよい。グルコースコスト重み係数及びインスリンコスト重み係数の少なくとも1つは、ユーザに対してカスタマイズされた値を有してよい。
【0005】
例示的な実施態様によれば、方法は、プロセッサによって行われる。方法に従って、グルコースモニタからユーザに対するグルコース測定値を受信する。人工膵臓からユーザへのインスリンの次の供給に対する投薬量を決定する。決定するステップは、ユーザへのインスリンの複数の可能な投薬量にコスト関数を適用するステップと、コスト関数のもとで最良のコストを有するインスリンの可能な投薬量の1つを選択するステップを含む。コスト関数は、ユーザに対して投薬量オプションを作り出すための予測グルコースレベルとユーザに対する目標グルコースレベルとの間の差を反映するグルコースコスト要素と、投薬量オプションが現在の基準インスリン投薬量とどの程度異なるかを反映するインスリンコスト要素を有する。コスト関数は、グルコースコスト要素に重み付けするためのグルコースコスト重み係数と、インスリンコスト要素に重み付けするためのインスリンコスト重み係数を有する。グルコースコスト重み係数及びインスリンコスト重み係数は、ユーザに対してカスタマイズされた値を有する。人工膵臓は、選択された投薬量をユーザに供給するように指示される。
【0006】
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサに方法を行わせるコンピュータ可読命令を格納することができる。
【0007】
プロセッサは、選択されたインスリン供給投薬量を供給するように人工膵臓インターフェースを通して人工膵臓に指示することができる。いくつかの例では、グルコースコスト重み係数及びインスリンコスト重み係数の1つだけがユーザに対してカスタマイズされた値を有する。他の例では、グルコースコスト重み係数及びインスリンコスト重み係数の両方がユーザに対してカスタマイズされた値を有する。
【0008】
グルコースコスト重み係数は、インスリンニーズを表す基準値に対するユーザのインスリンニーズを表すカスタム値の比率を示す値を乗じた基準グルコースコスト重み係数の値を有してよい。比率を示す値は、比率の指数の値であってよい。グルコースコスト重み係数は、ユーザのインスリンニーズを表すカスタム値に対するインスリンニーズを表す基準値の比率を示す値を乗じた基準グルコースコスト重み係数の値を有してよい。
【0009】
インスリン重み係数は、インスリンニーズを表す基準値に対するユーザのインスリンニーズを表すカスタム値の比率を示す値を乗じた基準インスリンコスト重み係数の値を有してよい。インスリンコスト重み係数は、ユーザのインスリンニーズを表すカスタム値に対するインスリンニーズを表す基準値の比率を示す値を乗じた基準インスリンコスト重み係数の値であってよい。
【0010】
人工膵臓インターフェースは、無線通信インターフェースであってよい。装置は、モバイルコンピューティング装置、スマートフォン又はインスリンポンプ部品の1つであってよい。プロセッサは、ユーザに対してカスタマイズされる、グルコースコスト重み係数又はインスリンコスト重み係数の少なくとも1つを決定することに使用されるパラメータに境界を強制することができる。プロセッサは、ユーザに対するインスリン感受性のための補正率、ユーザに対するインスリンカーボ比(insulin to carbohydrate ratio)、又はユーザに対する基礎インスリンレベルの少なくとも1つに基づいて、グルコースコスト重み係数又はインスリンコスト重み係数の少なくとも1つを決定するために構成されてよい。グルコースコスト重み係数及びインスリンコスト重み係数の少なくとも1つは、TDI(Total Daily Insulin)ユーザに対してカスタマイズされた値を有してよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】説明に役立つ人工膵臓システムの簡略化されたブロック図を表現する。
図1B】人工膵臓システムの制御ループによって行われ得るステップのフローチャートを表現する。
図2】説明に役立つ人工膵臓システムを更に詳細に表現する。
図3】管理装置の可能なタイプの略図を表現する。
図4】コスト関数でコストを計算することに対する説明に役立つステップのフローチャートを表現する。
図5】グルコースコスト重み係数を決定するために行われ得る説明に役立つステップのフローチャートを表現する。
図6】インスリンコスト重み係数を決定するために行われ得る説明に役立つステップのフローチャートを表現する。
図7】非常に高いTDIを有するユーザの例に対する、血中グルコースレベルのグラフ及びインスリン供給のグラフの説明に役立つプロットを表現する。
図8】低いTDIを有するユーザの例に対する、血中グルコースレベルのグラフ及びインスリン供給のグラフの説明に役立つプロットを表現する。
図9】ペナルティ関数において使用したパラメータ上の境界を使用して行われ得る説明に役立つステップのフローチャートを表現する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
インスリン供給に対する従来の閉ループアプローチの1つの困難は、アプローチが、患者の1日当たりのインスリンニーズにおける差を考慮(accounting for)せずに全てのユーザ(例えば、患者)に対するペナルティを評価することがあることである。この従来のアプローチの結果は、高いインスリンニーズ又は低いインスリンニーズを有するユーザなどの、1日当たりのインスリンニーズが標準とは異なるユーザに対して問題となることがある。例示的な実施態様は、ユーザの1日当たりのインスリンニーズを表現する臨床パラメータを使用してそれらの1日当たりのインスリンニーズに合わせてコスト関数をカスタマイズすることによって、この問題点を解決することを試みる。具体的には、1つ又は複数のペナルティが適用される比率が、修正され得る。1日当たりのインスリンニーズが高い場合、グルコース偏位に対してより多く、インスリン偏位に対してより少なくペナルティを科すことを目的として、比率にバイアスをかけることができる。1日当たりのインスリンニーズが低い場合、インスリン偏位に対してより多く、グルコース偏位に対してより少なくペナルティを課すことを目的として、比率にバイアスをかけることができる。
【0013】
本明細書中に記述した例示的な実施態様は、閉ループAP(artificial pancreas)システムに関する。閉ループAPシステムは、健康な膵臓の内分泌の機能性をまねることによって、ユーザのBG(blood glucose)レベルを自動的かつ継続的に制御しようとする。APシステムは、コスト関数を有する閉ループ制御システムを使用する。ペナルティ関数は、低血糖症及び高血糖症を回避することを試みるためにインスリンの注入速度を抑制することを助ける。しかしながら、コスト関数においてユーザのインスリンニーズに対する一般のパラメータ又は基準パラメータを使用する従来のシステムとは異なり、例示的な実施態様は、ユーザの個別化されたインスリンニーズを反映するコスト関数においてカスタマイズされたパラメータを使用することができる。カスタマイズされたパラメータの使用は、ユーザの個別化されたインスリンニーズに更に適したインスリン投薬量を経時的にもたらすコスト関数の原因となる。これは、インスリン注入に対するユーザの反応を滑らかにすることを助け、低血糖症及び高血糖症をよりよく回避することを助ける。
【0014】
例において、APアプリケーションは、ユーザのグルコースの値を監視し、監視されたグルコース値(例えば、BG濃度又はBG測定値)、及び他の情報、ユーザ提供情報などの、炭水化物摂取量、食事回数又は同様のものなどに基づいて、ユーザに対するインスリンの適切なレベルを決定し、適切な範囲内にユーザのBG値を維持することをシステムができるようにするために、プロセッサによって実行され得る。適切なBG値の範囲は、特定のユーザの目標BG値と考えられ得る。例えば、目標BG値は、糖尿病の治療のためのケアの臨床規格を満たす範囲である80mg/dLから120mg/dLの範囲内に収まる(fall)場合に受け入れられ得る。しかしながら、本明細書中に記述したようなAPアプリケーションは、目標BG値を更に正確に確立するためにユーザの活動レベルを考慮(account for)することがあり、目標BG値を、例えば、110mg/dL又は同様のものに設定することがある。本明細書中の例を参照して更に詳細に記述したように、APアプリケーションは、監視されたBG値及び他の情報を利用して、例えばポンプを含むウェアラブル薬品供給装置への、ユーザへのインスリンの供給を制御し、将来の用量又はタイミングを変化させ、他の機能を制御するためのコマンドを生成し送信することができる。
【0015】
図1Aは、例示的な実施態様を実践することに適しているAPシステム100の例の簡略化されたブロック図を説明する。例のAPシステム100は、制御装置102、ポンプ機構又は他の流体抽出機構104(以下、「ポンプ104」)、及びセンサ108を含んでよい。制御装置102、ポンプ104及びセンサ108は、有線又は無線通信路を通して互いに通信可能に結合されてよい。例えば、それぞれの制御装置102、ポンプ104及びセンサ108は、ブルートゥース(登録商標)又は同様のものなどの1つ又は複数の通信プロトコルを通して通信するように動作する無線高周波(wireless radio frequency)送受信機を装備してよい。センサ108は、CGM(continuous glucose monitor)108などのグルコースモニタであってよい。CGM108は、例えば、ユーザのBG値を測定して測定された実際のBGレベル信号112を生成するように動作してよい。
【0016】
例において示されるように、制御装置102は、所望のBGレベル信号110を受信することができ、所望のBGレベル信号110は、ユーザに対する所望のBGレベル又は範囲を示す第1の信号であり得る。所望のBGレベル信号110は、制御装置又は他の装置へのユーザインターフェースから、又はユーザに対するBGレベルを自動的に決定するアルゴリズムによって、受信され得る。センサ108は、ユーザに結合され、ユーザの実際のBGレベルの近似値を測定するように動作してよい。測定されたBG値、実際のBGレベル、実際のBGレベルの測定された近似値は、ユーザのBGレベルの近似値であるに過ぎず、測定されたBGレベルにおいて誤差がある可能性があると理解されるべきである。誤差は、センサ108の使用年数、ユーザの体の上のセンサ108の位置、環境要因(例えば、標高、湿度、気圧)又は同様のものなどのいくつかの要因に起因することがある。測定されたBG値、実際のBGレベル、及び実際のBGレベルの測定された近似値という用語は、明細書及び図面の初めから終わりまで同じ意味で使用されてよい。測定されたBGレベル又は値に反応して、センサ108は、測定されたBG値を表示する信号を生成する。例に表示されるように、制御装置102は、測定されたBGレベル信号112を通信路を通してセンサ108から受信することができ、測定されたBGレベル信号112は、ユーザの実際のBGレベルの近似測定値を示す第2の信号であり得る。
【0017】
所望のBGレベル信号110及び測定された実際のBGレベル信号112に基づいて、制御装置102は、ポンプ104の動作を指示するための1つ又は複数の制御信号114を生成することができる。例えば、制御信号114の1つは、ポンプ104に、出力106を通してユーザに用量のインスリン116を供給させることができる。用量のインスリン116は、例えば、所望のBGレベル信号110と実際のBGレベル信号112との間の差に基づいて決定され得る。先述のペナルティ関数は、以下に記述されるであろう閉ループ制御システムの一部として投薬量を決定する役割を果たす。用量のインスリン116は、ユーザの実際のBGレベルを所望のBGレベルに駆動するための適切な量のインスリンとして決定され得る。制御信号114によって決定されるように、ポンプ104の動作に基づいて、ユーザは、ポンプ104からインスリン116を受け取ることができる。
【0018】
様々な例において、APシステム100の1つ又は複数の要素は、ユーザに取り付けられる、ウェアラブル又は体上(on body)薬品供給システムに組み込まれ得る。
【0019】
図1Bは、閉ループ制御システムの一部としてどの用量のインスリンをユーザに供給するかを決定する際にAPシステムの例示的な実施態様によって行われ得るステップのフローチャート130を表現する。最初に、上述の図1Aに関連して上述したように、BGレベル測定値は、センサ108によって取得される(132)。BGレベル測定値は、制御装置102に信号112を通して送信される(134)。制御装置102は、測定されたBGレベル112と所望のBGレベル110との間の差として誤差の値を計算する(136)。閉ループ制御システムは、可能な投薬量の広範囲にわたってコスト関数のペナルティの総計(aggregate penalty)を最小化することを試みる。コスト関数は、可能な投薬量に適用され、最良のペナルティ関数値を伴う投薬量が選択される(138)。どのようにペナルティ関数が構成されるかに応じて、最良の値は、最低値又は最高値となることがある。例示的な実施態様において使用したペナルティ関数は、更に以下に記述される。制御信号114は、制御装置102によって生成され、ポンプ104に送信されて、ポンプに所望のインスリン用量をユーザに供給させることができる(140)。
【0020】
例のAPシステム100の簡略化されたブロック図は、システムの動作の一般的な説明を提供する。そのようなAPシステムにおいて使用できる装置の更に詳細な実現の例は、図2において説明される。
【0021】
APシステムの様々な例は、糖尿病治療計画に従って糖尿病ユーザの治療を扱うためのシステムにおいて動作し得るウェアラブル薬品供給装置を含む。糖尿病治療計画は、APアプリケーションとして参照されるコンピュータアプリケーションによって決定され、修正され得る、インスリンの供給に関するいくつかのパラメータを含んでよい。
【0022】
本明細書中に記述されるようなウェアラブル薬品供給装置は、APアプリケーションを通してウェアラブル薬品供給装置の動作を指示するように動作する制御装置を含んでよい。例えば、ウェアラブル薬品供給装置の制御装置は、ユーザに対する動作の選択可能な活動モードを提供することができる。動作の活動モードにおける薬品供給装置の動作は、ユーザに対するインスリン感受性の増加時に低血糖症の確率を減少させることができ、ユーザに対するインスリン必要量(requirement)の増加時に高血糖症の確率を減少させることができる。動作の活動モードは、ユーザによって活性化されてよく、又は制御装置によって自動的に活性化されてよい。制御装置は、検出されたユーザの活動レベル及び/又は検出されたユーザの位置に基づいて、動作の活動モードを自動的に活性化することができる。
【0023】
図2は、薬品供給システムの例を説明する。薬品供給システム200は、薬品供給装置202、管理装置206及びBGセンサ204を含んでよい。
【0024】
図2の例において、薬品供給装置202は、ユーザの体の上にユーザによって着用されるウェアラブル又は体上薬品供給装置であってよい。図2に表示されるように、薬品供給装置202は、IMU(inertial measurement unit)207を含んでよい。薬品供給装置202は、いくつかの例において、薬品抽出機構又は要素として参照されることがある、ポンプ機構224及びニードル配置機構228を更に含んでよい。様々な例において、ポンプ機構224は、ポンプ又はプランジャ(図示せず)を含んでよい。
【0025】
ニードル配置要素228は、例えば、ユーザにタンク225内に格納された液体薬品を結合するための、ニードル(図示せず)、カニューレ(図示せず)及び任意の他の流体管路要素を含んでよい。カニューレは、ユーザをタンク225に結合する流体管路要素の一部を形成してよい。ニードル配置要素228が活性化された後に、ユーザへの流体管路(図示せず)が提供され、ポンプ機構224は、流体管路を通してユーザに液体薬品を供給するためのタンク225から液体薬品を放出することができる。流体管路は、例えば、ユーザにウェアラブル薬品供給装置202を結合するチューブ(図示せず)を含んでよい(例えば、タンク225にカニューレを結合するチューブ)。
【0026】
ウェアラブル薬品供給装置202は、制御装置221及び通信インターフェース装置226を更に含んでよい。制御装置221は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの任意の組み合わせで実現されてよい。制御装置221は、例えば、メモリに結合される、マイクロプロセッサ、論理回路、FPGA(field programmable gate array)、ASIC(application specific integrated circuit、特定用途向け集積回路)又はマイクロ制御装置であってよい。制御装置221は、日時だけでなくプロセッサによって行われる他の関数(例えば、計算又は同様のもの)を維持してよい。制御装置221は、制御装置221が薬品供給装置202の動作を指示できるようにする、メモリ内に格納されたAPアルゴリズムを実行するように動作してよい。加えて、制御装置221は、IMU207からだけでなく、GPS(global positioning system)が使用可能な装置又は同様のものなどの、薬品供給装置202の任意の他のセンサ(管理装置206又はCGM204上のもの(例えば、加速度計、位置情報サービスアプリケーション又は同様のもの)などの)、又は薬品供給装置202に結合された任意のセンサから、ユーザの活動を示すデータ又は情報を受信するように動作してよい。
【0027】
制御装置221は、IMU207又は任意の他の結合されたセンサからのデータを処理して、警報又は他の通信がユーザ及び/又はユーザの介護人に発せられるべきかどうか、又は薬品供給装置202の動作モードが調整されるべきかどうかを決定することができる。制御装置221は、例えば、通信インターフェース装置226を経由して警報を提供することができる。通信インターフェース装置226は、例えば、ユーザ及び/又はユーザ(例えば、患者)の介護人の管理装置206を含む、薬品供給装置202から物理的に分離された1つ又は複数の管理装置に、通信リンクを提供することができる。通信インターフェース装置226によって提供される通信リンクは、ブルートゥース又はセルラー規格などの任意の既知の通信プロトコル又は規格に従って動作する、任意の有線又は無線通信リンクを含んでよい。
【0028】
図2の例は、BGセンサ204に関連した薬品供給装置202を更に表示し、BGセンサ204は、例えば、CGMであってよい。CGM204は、薬品供給装置202から物理的に分離されてよく、又はそれに統合された要素であってよい。CGM204は、測定された又は検出されたユーザのBGレベルを示すデータを制御装置221に提供することができる。
【0029】
管理装置206は、ユーザ又はユーザの介護人によって、維持及び動作され得る。管理装置206は、薬品供給装置202の動作を制御してよく、及び/又は薬品供給装置202の動作状況又はユーザの状況を示すデータ又は他の情報を再検討するために使用されてよい。管理装置206は、薬品供給装置202の動作を指示するために使用されてよい。管理装置206は、プロセッサ261及びメモリ装置263を含んでよい。メモリ装置262は、活動モード、高血糖症保護モード及び/又は低血糖症保護モードを実現することができるプログラミングコードを含むAPアプリケーション269を格納することができる。管理装置206は、1つ又は複数の既知の有線又は無線通信の規格又はプロトコルを通して薬品供給装置202から警報、通知又は他の通信を受信してよい。
【0030】
薬品供給システム200は、ユーザの身体的な活動を示すウェアラブル薬品供給装置の動きを決定するための機能性を含むAPアプリケーションを実現し、活動モード、高血糖症モード、低血糖症モード及びウェアラブル薬品供給装置の制御などの他の機能を実現するように動作してよい。薬品供給システム200は、ウェアラブル薬品供給装置(ポンプ)202、センサ204及びPDM(personal diabetes management device)装置206を含み得る、自動化された薬品供給システムであってよい。
【0031】
例において、ウェアラブル薬品供給装置202は、ユーザ205の体に取り付けられることがあり、ユーザに、インスリン又は同様のものなどの、任意の薬品又は薬を含む任意の治療薬を供給することができる。ウェアラブル薬品供給装置202は、例えば、ユーザによって着用されるウェアラブル装置であってよい。例えば、ウェアラブル薬品供給装置202は、ユーザに直接に結合され得る(例えば、粘着性の又は同様のものによって、ユーザの体の一部及び/又は皮膚に直接に取り付けられる)。例において、ウェアラブル薬品供給装置202の表面は、ユーザへの取り付けを促進するために粘着性のものを含み得る。
【0032】
ウェアラブル薬品供給装置202は、ユーザに薬品供給用タンク225から薬品を放出する動作に関して、ポンプ又はインスリンポンプとして参照されることがある。
【0033】
例において、ウェアラブル薬品供給装置202は、薬品(インスリンなどの)格納用タンク225、ユーザの体に薬品を供給する(皮下に、腹腔内に又は静脈内に行われることがある)ためのニードル又はカニューレ(図示せず)、タンク225からニードル又はカニューレ(図示せず)を経由してユーザに薬品を移動させるためのポンプ機構(mech.)224又は他の駆動機構を含み得る。タンク225は、インスリン、モルヒネ又は別の治療薬剤などの液体又は流体を、格納又は保持するために構成され得る。ポンプ機構224は、タンク225に流動的に結合され、プロセッサ221に通信可能に結合され得る。ウェアラブル薬品供給装置202は、ウェアラブル薬品供給装置202のポンプ機構224及び/又は他の要素(プロセッサ221、メモリ223及び通信装置226などの)に電力を供給するための、バッテリ、圧電素子(piezoelectric device)又は同様のものなどの電源(図示せず)を含み得る。同様に図示されないが、電力を供給するための電力供給装置(electrical power supply)は、センサ204、スマートアクセサリ装置207及び管理装置(PDM)206のそれぞれに同様に含まれ得る。
【0034】
例において、BGセンサ204は、プロセッサ261又は221に通信可能に結合される装置であってよく、5分毎又は同様のものなどの所定の時間間隔で、BG値を測定するように動作してよい。BGセンサ204は、個別の装置上で動作しているAPアプリケーションにいくつかのBG測定値を提供することができる。例えば、BGセンサ204は、約5、10、12分毎又は同様のものなどの、個別の装置上で周期的に動作しているAPアプリケーションにBG測定値を提供する継続的BGセンサであってよい。
【0035】
ウェアラブル薬品供給装置202は、IMU207を含むこともできる。IMU207は、ユーザの活動を示すことができる様々な運動パラメータ(例えば、加速、減速、スピード、ロール、ピッチ、ヨーなどの方向、コンパス方位又は同様なもの)を検出するように動作してよい。例えば、IMU207は、ユーザの運動又は位置などの、ユーザの任意の身体的な状態の状況を示すウェアラブル薬品供給装置202の運動を検出することに反応して、信号を出力することができる。検出されたユーザの活動に基づいて、薬品供給装置202は、例えば、本明細書中で論じられるように、活動モードを実現することによって薬品供給に関する動作を調整することができる。
【0036】
ウェアラブル薬品供給装置202は、動作のノーマルモードで動作しているとき、センサ204及び/又は管理装置(PDM)206によって提供された情報(例えば、血中グルコース測定値、IMU、GPSが使用可能な装置、Wi-Fi(登録商標)が使用可能な装置、又は同様のものなどからの入力)に基づいて、ユーザにタンク225内に格納されたインスリンを提供することができる。
【0037】
例えば、ウェアラブル薬品供給装置202は、薬品又は治療薬の供給を制御するための制御装置221(又はプロセッサ)として実現されてよく、アナログ及び/又はデジタル回路を収容してよい。プロセッサ221を実現するために使用される電気回路は、別々の専門化した論理及び/又は構成要素、特定用途向け集積回路、(例えば、メモリ223内に格納されたAP App229を使用可能にする)ソフトウェア命令、ファームウェア、プログラミング命令又はプログラミングコードを実行するマイクロ制御装置又はプロセッサ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、プロセッサ221は、APアプリケーション229などの制御アルゴリズムと、プロセッサ221が、BG測定値を目標BG値に至らせるために、ポンプに所定の間隔で又は必要とされるときにユーザに薬品又は治療薬の用量を供給させるようにプロセッサ221を動作させることができる他のプログラミングコードとを実行することができる。用量のサイズ及び/又はタイミングは、ウェアラブル薬品供給装置202と、管理装置206又は例えばヘルスケア提供者設備のコンピューティング装置などの他の装置との間で、有線又は220などの無線リンクを使用して、ユーザによって、又は第三者(ヘルスケア提供者、ウェアラブル薬品供給装置メーカ又は同様のものなど)によって、例えばAPアプリケーション229内にプログラムされてよい。例において、ポンプ又はウェアラブル薬品供給装置202は、無線リンク220を通して、又はスマートアクセサリ装置207からの291若しくはセンサ204からの208などの無線リンクを通して、管理装置のプロセッサ261に通信可能に結合される。ウェアラブル薬品供給装置のポンプ機構224は、プロセッサ261から作動信号を受信し、作動信号を受信することに反応してタンク225などからインスリンを放出するように動作することができる。
【0038】
管理装置206、スマートアクセサリ装置207及びセンサ204などのシステム200内の装置は、ウェアラブル薬品供給装置202を制御することを含む様々な機能を行うように動作してもよい。例えば、管理装置206は、通信装置264、プロセッサ261及び管理装置メモリ263を含んでよい。管理装置メモリ263は、プロセッサ261によって実行されるときに本明細書中に記述した処理の例を提供する、プログラミングコードを含むAPアプリケーション269の例を格納してよい。管理装置メモリ263は、本明細書中の例を参照して記述した処理の例を提供するためのプログラミングコードを格納してもよい。
【0039】
図示されないが、システム200は、例えば、AppleWatch(登録商標)、他のメーカによって提供される眼鏡を含む他のウェアラブルスマート装置、GPSが使用可能なウェアラブル、ウェアラブルフィットネス装置、スマートクロージング(smart clothing)又は同様のものであり得る、スマートアクセサリ装置を含んでよい。管理装置206と同様に、スマートアクセサリ装置(図示せず)は、ウェアラブル薬品供給装置202を制御することを含む様々な機能を行うように動作してもよい。例えば、スマートアクセサリ装置は、通信装置、プロセッサ及びメモリを含んでよい。メモリは、本明細書中に記述された例を参照して記述された処理の例を提供するためのプログラミングコードを含むAPアプリケーションの例を格納してよい。メモリは、プログラミングコードを格納してもよく、APアプリケーションに関するデータを格納するように動作してもよい。
【0040】
システム200のセンサ204は、上述されたCGMであってよく、CGMは、プロセッサ241、メモリ243、センシング又は計測装置244、及び通信装置246を含んでよい。メモリ243は、他のプログラミングコードだけでなくAPアプリケーション249の例を格納し、APアプリケーション249に関するデータを格納するように動作してよい。APアプリケーション249は、本明細書に記述された例を参照して記述された処理の例を提供するためのプログラミングコードを含んでよい。
【0041】
ユーザへの薬品又は治療薬(例えば、ボーラス投薬量として)の供給(例えば、薬品又は治療薬の、任意の用量のサイズ及び/又はタイミング)を決定するための命令は、ウェアラブル薬品供給装置202によってローカルで生じてよく、又はリモートで生じてウェアラブル薬品供給装置202に提供されてよい。薬品又は治療薬の供給のローカルな決定の例において、ウェアラブル薬品供給装置202に結合されたメモリ223内に格納された、APアプリケーション229の例などのプログラミング命令は、ウェアラブル薬品供給装置202が決定を下すために使用され得る。加えて、ウェアラブル薬品供給装置202は、通信装置226及び通信リンク288を通してウェアラブル薬品供給装置202と、及び、通信装置226及び通信リンク289を通してBGセンサ204と通信するように動作できる。
【0042】
代わりに、リモートの命令は、管理装置(PDM)206によって有線又は無線リンク上でウェアラブル薬品供給装置202に提供されてよい。PDM206は、APアプリケーション269の例をメモリ263内に存在する場合に実行し得るプロセッサ261が装備され得る。メモリは、プロセッサ261によって実行するためのコンピュータ可読命令を格納してよい。メモリは、プロセッサによって実行可能な命令を格納するために非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含んでよい。ウェアラブル薬品供給装置202は、ユーザへのインスリンの供給に対する任意の受信した命令(内部又は管理装置206から生じる)を実行することができる。この方法で、ユーザへのインスリンの供給は自動化され得る。
【0043】
様々な例において、ウェアラブル薬品供給装置202は、管理装置206と無線通信リンク288を通して通信することができる。管理装置206は、スマートフォン、タブレット、専用の糖尿病治療管理装置又は同様のものなどの電子装置であってよい。代わりに、管理装置206は、スマートウォッチ又は同様のものなどのウェアラブル無線アクセサリ装置であってよい。無線リンク287~289は、任意の既知の無線規格によって提供される任意のタイプの無線リンクであってよい。例として、無線リンク287~289は、例えば、ブルートゥース、Wi-Fi、近距離通信(near-field communication)規格、セルラー規格、又は任意の他の無線光又は高周波プロトコルに基づいて、ウェアラブル薬品供給装置202、管理装置206及びセンサ204の間の通信を可能にすることができる。
【0044】
センサ204は、例えば、粘着性の又は同様のものによってユーザに結合されてもよく、ユーザの1つ又は複数の医学的状態及び/又は身体的な特性に関する情報又はデータを提供することができる。センサ204によって提供される情報又はデータは、ウェアラブル薬品供給装置202の薬品供給動作を調整するために使用されてよい。例えば、センサ204は、BGを測定し、BG値又はBG値を表すデータを出力するように動作するグルコースセンサであってよい。例えば、センサ204は、CGMにBG測定値を定期的に提供するグルコースモニタ、又はBG測定値を提供する別のタイプの装置若しくはセンサであってよい。
【0045】
センサ204は、プロセッサ241、メモリ243、センシング/測定装置244及び通信装置246を含んでよい。センサ204の通信装置246は、無線リンク222上の管理装置206、又はリンク208上のウェアラブル薬品供給装置202と通信するための電子送信機、受信機及び/又は送受信機を含んでよい。センシング/測定装置244は、BG測定素子、心拍数モニタ、血液酸素センサ素子又は同様のものなどの、1つ又は複数のセンシング素子を含んでよい。プロセッサ241は、別々の専門化した論理及び/又は構成要素、特定用途向け集積回路、ソフトウェア命令、ファームウェア、(メモリ243などの)メモリ内に格納されるプログラミング命令を実行するマイクロ制御装置又はプロセッサ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでよい。例えば、メモリ243は、プロセッサ241によって実行可能なAPアプリケーション249の例を格納してよい。
【0046】
センサ204は、ウェアラブル薬品供給装置202から分離されたものとして表現されるが、様々な例において、センサ204及びウェアラブル薬品供給装置202は、同一のユニット内部に組み込まれてよい。すなわち、1つ又は複数の例において、センサ204は、ウェアラブル薬品供給装置202の一部であってよく、ウェアラブル薬品供給装置202の同一の筐体内に収容されてよい(例えば、センサ204は、ウェアラブル薬品供給装置202の内部に配置され又は埋め込まれてよい)。センサ204によって決定されたグルコースモニタデータ(例えば、測定されたBG値)は、ウェアラブル薬品供給装置202、スマートアクセサリ装置207及び/又は管理装置206に提供されてよく、それらは、測定されたBG値を使用して、ユーザの身体的な活動を示すウェアラブル薬品供給装置の動き、活動モード、高血糖症モード及び高血糖症モードを決定することができる。
【0047】
例において、管理装置206は、個人用の糖尿病マネージャであってよい。PDM206は、ウェアラブル薬品供給装置202及び/又はセンサ204の動作をプログラミング又は調整するために使用されてよい。管理装置206は、例えば、プロセッサ261などの専用の制御装置、スマートフォン又はタブレットを含む任意のポータブル電子装置であってよい。例において、管理装置(PDM)206は、プロセッサ261、管理装置メモリ263及び通信装置264を含んでよい。管理装置206は、ユーザのBGレベルを扱うための処理を実行するための、及びユーザに薬品又は治療薬の供給を制御するためのプロセッサ261(又は制御装置)として実現されてよく、アナログ及び/又はデジタル電子回路を収容してよい。プロセッサ261は、管理装置メモリ263内に格納されるプログラミングコードを実行するように動作してもよい。例えば、管理装置メモリ263は、プロセッサ261によって実行され得るAPアプリケーション269を格納するように動作してよい。プロセッサ261は、APアプリケーション269を実行するときに、例に関係して記述されたことなどの、様々な機能を行うように動作してよい。通信装置264は、1つ又は複数の高周波プロトコルに従って動作する、受信機、送信機又は送受信機であってよい。例えば、通信装置264は、セルラー送受信機及びブルートゥース送受信機を含んでよく、それは、管理装置206が、セルラー送受信機を通してデータネットワークと通信し、かつ、センサ204及びウェアラブル薬品供給装置202と通信できるようにすることができる。通信装置264の個別の送受信機は、APアプリケーション又は同様のものによって、使用可能な又は生成される情報を収容する信号を送信するように動作してよい。個別のウェアラブル薬品供給装置202及びセンサ204の通信装置226及び246は、それぞれ、APアプリケーション又は同様のものによって、使用可能な又は生成された情報を収容する信号を送信するように動作してもよい。
【0048】
ウェアラブル薬品供給装置202は、無線リンク208上でセンサ204と通信してよく、無線リンク220上で管理装置206と通信してよい。センサ204及び管理装置206は、無線リンク222上で通信してよい。スマートアクセサリ装置207は、存在するとき、それぞれ、無線リンク287、288及び289上で、ウェアラブル薬品供給装置202、センサ204及び管理装置206と通信してよい。無線リンク287、288及び289は、既知の無線規格又はプロプライエタリな規格を使用して動作する任意のタイプの無線リンクであってよい。例として、無線リンク287、288及び289は、個別の通信装置226、246及び264を通して、ブルートゥース、Wi-Fi、近距離通信規格、セルラー規格又は任意の他の無線プロトコルに基づいた通信リンクを提供してよい。いくつかの例において、ウェアラブル薬品供給装置202及び/又は管理装置206は、それぞれ、キーパッド、タッチスクリーンディスプレイ、レバー、ボタン、マイクロフォン、スピーカ、ディスプレイ又は同様のものなどの、ユーザインターフェース227及び268を含んでよく、それは、ユーザが情報を入れることを可能にし、管理装置がユーザに提示するために情報を出力することを可能にするように動作する。
【0049】
さまざまな例において、薬品供給システム200は、インスリン薬品供給システムであってよい。例えば、ウェアラブル薬品供給装置202は、米国特許第7,303,549号、米国特許第7,137,964号又は米国特許第6,740,059号内で記述されたOmniPod(登録商標)(Insulet Corporation, Billerica, MA)インスリン供給装置、又は他のタイプのインスリン供給装置であってよく、特許出願のそれぞれは、参照によってその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0050】
例において、薬品供給システム200は、ユーザへのインスリンの自動化された供給を調節又は制御する(例えば、正常血糖値-血中グルコースのノーマルレベル-を維持する)APアルゴリズムを実現して(及び/又はAPの機能性を提供して)よい。APアプリケーションは、ウェアラブル薬品供給装置202及び/又はセンサ204によって実現されてよい。APアプリケーションは、インスリン供給の回数及び投薬量を決定するために使用されてよい。さまざまな例において、APアプリケーションは、ユーザの性別、年齢、体重又は身長などの、ユーザについて既知の情報、及び/又はユーザの身体的な特性又は状態について(例えば、センサ204から)集められた情報に基づいて、供給に対する回数及び投薬量を決定してよい。例えば、APアプリケーションは、センサ204を経由して監視するユーザのグルコースレベルに基づいてインスリンの適切な供給を決定してよい。APアプリケーションは、ユーザがインスリン供給を調整することを可能にしてもよい。例えば、APアプリケーションは、活動モード、高血糖症保護モード、低血糖症保護モードなどのウェアラブル薬品供給装置のモードを設定し、インスリンボーラスを供給し、又は同様のことをするためのコマンドなど、ウェアラブル薬品供給装置202への出力のためのコマンドを、ユーザが(例えば、入力を通して)選択することを可能にしてよい。1つ又は複数の例において、APアプリケーションの異なる機能は、管理装置206、ウェアラブル薬品供給装置(ポンプ)202又はセンサ204の2つ以上の間で分散されてよい。他の例において、APアプリケーションの異なる機能は、管理装置206、ウェアラブル薬品供給装置(ポンプ)202又はセンサ204のような1つの装置によって行われてよい。様々な例において、薬品供給システム200は、2016年11月22日に出願された米国特許出願第15/359,187号、及び2019年9月13日に出願された米国特許出願第16/570,125号の両方に記述される薬品供給システムの特徴付けを含んでよく、又は機能性に従って動作してよく、それらの特許出願は、両方とも全体が参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0051】
本明細書中に記述されたように、薬品供給システム200、又はウェアラブル薬品供給装置などのその任意の要素は、APの機能性を提供し、又はAPアプリケーションを実現すると考えられ得る。それに応じて、APアプリケーション(例えば、その機能性、動作又は能力)への参照は、便宜上行われ、薬品供給システム200又はその任意の構成要素(例えば、ウェアラブル薬品供給装置202及び/又は管理装置206)の動作及び/又は機能性を、参照して及び/又は含んでよい。薬品供給システム200-例えば、APアプリケーションを実現するインスリン供給システムとしての-は、センサ入力(例えば、センサ204によって集められたデータ)を使用する、薬品供給システム又はAPアプリケーションに基づく供給システムであると考えられ得る。
【0052】
例において、薬品供給装置202は、通信装置264を含み、上述された通信装置264は、個別の装置がクラウドベースサービス211と通信できるようにし得る、ブルートゥース、Wi-Fi、近距離通信規格、セルラー規格などの1つ又は複数の高周波プロトコルに従って動作する、受信機、送信機、又は送受信機であってよい。例えば、センサ204又はウェアラブル薬品供給装置(ポンプ)202からの出力は、通信装置264の送受信機を通して、記憶又は処理のためにクラウドベースサービス211に送信されることがある。同様に、ウェアラブル薬品供給装置202、管理装置206及びセンサ204は、通信リンク288を通してクラウドベースサービス211と通信するように動作してよい。
【0053】
例において、それぞれの個別の装置202、206、207の、個別の受信機又は送受信機は、センサ204によって送信され得る、BG測定値の数の個別のBG測定値を収容する信号を受信するように動作してよい。それぞれの個別の装置202、206又は207の個別のプロセッサは、223、263又は273などの個別のメモリ内に、それぞれの個別のBG測定値を格納するように動作してよい。個別のBG測定値は、229、249又は269などのAPアルゴリズムに関するデータとして格納されてよい。更なる例において、任意の管理装置206、スマートアクセサリ装置207又はセンサ204上で動作しているAPアプリケーションは、ウェアラブル薬品供給装置による受信のための制御信号を、個別の通信装置264、274、246によって実現された送受信機を通して送信するように動作してよい。例において、制御信号は、ウェアラブル薬品供給装置202によって放出されたインスリンの量を示してよい。
【0054】
例において、1つ又は複数の装置202、204又は206は、それぞれ、有線通信リンク277、278及び279を通して通信するように動作してよい。クラウドベースサービス(図示せず)は、サーバ及びデータストレージ(図示せず)を利用してよい。クラウドベースサービスに薬品供給システム200を結合する通信リンクは、システム200の個別の装置202、204又は206の間に確立される、セルラーリンク、Wi-Fiリンク、ブルートゥース、リンク又はそれらの組み合わせであってよい。例えば、クラウドベースサービスによって提供されるデータストレージ(図示せず)は、ユーザの体重、BG測定値、年齢、食品炭水化物情報又は同様のものなどの匿名化されたデータを格納してよい。加えて、クラウドサービス211は、複数のユーザからの匿名化されたデータを処理して、APアプリケーションによって使用される様々なパラメータに関する一般化された情報を提供することができる。例えば、活動レベル、特定のエクササイズ又はスポーツに関する、年齢に基づいた一般的な目標BG値は、匿名化されたデータから算出されることがあり、それは、ユーザが活動モード(又は高血糖症保護モード、又は低血糖症保護モード)を選択するとき、又はシステム200が活動モード(又は高血糖症保護又は低血糖症保護モード)を自動的に実現するときに、有用であり得る。クラウドベースサービスは、後の例を参照して記述した処理を行うなどの、システム200に対する処理サービスを提供してもよい。
【0055】
ウェアラブル薬品供給装置202は、ユーザインターフェース227を含んでもよい。ユーザインターフェース227は、例えば、ボタン、ノブ、スイッチ、タッチスクリーンディスプレイ、又は任意の他のユーザインタラクションの要素など、薬品供給装置202にデータを入力するための、ユーザに対する任意の機構を含んでよい。ユーザインターフェース227は、ユーザにデータを中継するための、薬品供給装置202に対する任意の機構を含んでよく、例えば、ディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイ、又は視覚の、聴覚の若しくは触覚の(例えば、振動の)出力を(例えば、警報として)提供するための任意の手段を含んでよい。ユーザインターフェース227は、簡潔さ及び説明(explanation)のために図2において具体的に図示されない追加の要素を含んでよい。例えば、ユーザインターフェース227は、ユーザ又は介護人(例えば、保護者又は看護師)からの入力を受信する、又はユーザ又は介護人への出力を提供するための1つ又は複数のユーザ入力又は出力要素、目に見える警報を出力するディスプレイ、聞こえるもの(audible)を出力するスピーカ、又は潜在的な活動モード、電源(例えば、バッテリ)などをユーザ又は介護人に警告するための触覚インジケータを出力する振動装置を含んでよい。ユーザインターフェース227への入力は、例えば、指紋センサ、触覚入力センサ、ボタン、タッチスクリーンディスプレイ、スイッチ又は同様のものを通してよい。更にもう1つの代替手段において、活動モードの動作は、ウェアラブル薬品供給装置202の制御装置221に通信可能に結合される管理装置206を経由して要求されてよい。概して、ユーザは、ユーザの優先傾向として223又は226などのメモリに格納され得る命令を生成することができ、それは、システム200がいつ動作の活動モードに入るべきかを明示する。
【0056】
システム200によって行われる様々な動作のシナリオ及び処理の例は、本明細書中に記述される。例えば、システム200は、以下に更に詳細に記述されるように、高血糖症保護モード及び低血糖症保護モードを含む活動モードに関する処理の例を実現するように動作してよい。
【0057】
例において、薬品供給装置202は、APシステムとして(例えば、APシステム100の一部として)動作してよく、及び/又は、APシステムの実質的に全ての態様、又は少なくともその部分に関する機能性を制御及び提供するAPアプリケーションを通して、技術又はアルゴリズムを実現してよい。それに応じて、本明細書中のAPシステム又はAPアルゴリズムへの参照は、APシステムの特徴及び機能性を提供することを薬品供給装置202上で実行するAPアプリケーションによって実現された技術又はアルゴリズムを参照してよい。薬品供給装置202は、ユーザにインスリンを提供するために開ループ又は閉ループ方式において動作してよい。
【0058】
追加の特徴は、活動モード、高血糖症モード、低血糖症モード又は同様のものなどの、APアプリケーションの一部として実現されてよい。例えば、プログラミングコードが実行されるときに、薬品供給装置202は、APアプリケーションの活動モード、高血糖症モード、低血糖症モード又は同様のものを可能にする。活動モード、高血糖症モード及び低血糖症モードに対するプログラミングコードを含むAPアプリケーションが実行されるとき、APアプリケーションは、ユーザの身体的な活動を示すウェアラブル薬品供給装置の運動又は動きを検出するなどの動作を調整してよい。例えば、ユーザの身体的な活動(例えば、ジャンプ、ダンス、ランニング、ウェイトリフティング、サイクリング又は同様のものなどの動き)に特有な運動を誘導する、ウェアラブル薬品供給装置202の運動及び動きは、IMU207によって検出され得る。加えて、IMU207は、図3を参照して記述したように、ウェアラブル薬品供給装置202の位置を検出することができるGPSを含んでよい。代わりに又は加えて、ウェアラブル薬品供給装置202は、ウェアラブル薬品供給装置202の位置を決定するためのWi-Fi位置サービスを利用してもよい。例えば、APアルゴリズムは、特定の時に指示を入力することがあるユーザとのインタラクションの繰り返しから、それらが身体的な活動を行おうとしていることを学習してよい。代わりに、又は加えて、ウェアラブル薬品供給装置202は、特定の位置(例えば、ジム、スポーツフィールド、スタジアム、トラック又は同様のもの)を検出すると、ユーザがそれらの身体的な活動を増加させようとしていることを決定してよい。
【0059】
管理装置(例えば、図2の206参照)は多くの異なる形態をとることができる。図3は、管理装置302に対して異なる可能な形態を説明する略図300を示す。例えば、管理装置302は、スマートフォン304内で実現されてよい。管理装置302としてスマートフォン304を使用することの利益は、ユーザが典型的に既にスマートフォン304を所有しており、APアプリケーションがスマートフォン304上にすぐにインストールされ得ることを含む。管理装置302は、上述のような、カスタム制御装置306でもよい。管理装置302は、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ウェアラブルコンピューティング装置又は同様のものなどの、モバイルコンピューティング装置308であってもよい。最後に、管理装置302は、デスクトップコンピューティング装置などの、別のタイプのコンピューティング装置310であってよい。
【0060】
例示的な実施態様のペナルティ関数においてカスタマイズされたパラメータを使用することの価値を認識するために、インスリン供給システムにおいて使用されることがある一般のコスト関数を再検討することが有用である。一般のコスト関数は、
として表されることがあり、Jは、合計したペナルティ、Irecは、合計したペナルティのために評価される現在の推奨インスリン供給、Qは、グルコース偏位係数、f(Irec)は、この推奨インスリン供給を対応する予測グルコース値と関連付ける任意の一般の関数、Gtargetは、現在の制御目標、Rは、インスリン偏位係数、Iは、現在の基準インスリン供給、n及びmは、グルコース及び/又はインスリン偏位に対するペナルティの任意のスケーリングを表す一般の係数である。
【0061】

は、インスリンの推奨用量を供給するグルコースコストと見なされることがある。関数f(Irec)は、推奨インスリン供給投薬量をユーザの対応する予測グルコースレベルと関連付ける関数である。故に、目標レベルでないグルコースレベルに対してペナルティがある。項
は、インスリンの推奨用量を供給するインスリンコストと見なされることがある。基礎投薬量から変化するインスリン供給投薬量に対するペナルティがある。Qは、グルコースコストを重み付けするためのグルコースコスト重み付け関数と見なされることがあり、Rは、インスリンコストに重み付けするためのインスリンコスト重み係数と見なされることがある。n及びmの値は、多くのケースにおいて2と設定されることがある。
【0062】
係数Q及びRは、一般のケースにおいて全てのユーザに対して固定される。故に、Rが1000で固定され、二次方程式のスケーリングが使用される場合、基礎を上回る2Uのインスリン偏位は、全てのユーザに対して4000のペナルティを有することがある。これは、1日当たりのインスリンニーズが変化するユーザを含む。10UのTDI(total daily insulin)ニーズを有するユーザにとって、2Uの供給は、1日当たり必要とされる全てのインスリンの20%の供給を表す。対照的に、100UのTDIの使用にとっての2Uの供給は、ユーザの1日当たりのインスリンニーズの2%の供給を表す。これ故に、R係数重み(R coefficient weight)に起因する同一のペナルティは、個別のユーザのTDIの非常に異なる量を表すインスリン供給用量をもたらすことがある。
【0063】
Qの値が10に固定される場合、グルコース目標を50mg/dL上回るグルコース偏位は、上述の両方のユーザに対して25,000のコストをもたらす。10UのTDIを有するユーザの1人が、100UのTDIを有するユーザより、50mg/dLのグルコースの低下を引き起こすために10倍少ないインスリンを必要とするにも関わらず、これは事実である。この例は、グルコースの1mg/dLの低下を作り出すために必要とされるインスリン比率を決定するために、TDI/1800(例えば、10/1800又は1/180)の1800ルールの適用を仮定する。10UのTDIを有するユーザにとって、50mg/dLの低下は、50/180 U又は0.28Uを必要とする。他方では、100UのTDIを有するユーザにとって、比率は、100/1800又は1/18であり、必要とされるインスリンの量は、50/18又は2.8Uである。この相違を考えると、TDI又は1日当たりのインスリンニーズの別の測定基準に基づいて、係数Q及びRをスケーリングする必要がある。
【0064】
そのため、コスト関数は、ユーザの異なる1日当たりのインスリンニーズを考慮するべきである。例示的な実施態様は、そのような様々なニーズを考慮することを試み、係数Q及びRの適切なスケーリングを提供することができる。
【0065】
例示的な実施態様は、ユーザの異なる1日当たりのインスリンニーズを考慮するために係数Q及びRを修正することができる。1実施態様において、係数は
として計算される。
【0066】
これらの等式において、Qbase及びRbaseは、Pbaseと同等な一般の臨床パラメータ等式を有するユーザに適しているであろう標準的な基準係数を構成する。Pは、ユーザの実際のインスリンニーズのカスタム値である。
【0067】
l及びoの値は、ユーザのパラメータの変動への依存度を反映する値を有するように設定されてよい。いくつかの例において、l又はoは、関連付けされた重みQ又はRがスケーリングされたコスト重み係数を使用しないことができるようにゼロの値を有してよい。
【0068】
Q及びRの係数の上の公式化を考えると、例示的な実施態様に対するペナルティ関数は、
として表現されてよい。
【0069】
このQ及びRの係数の公式化は、グルコース偏位及びインスリン偏位のペナルティをスケーリングする。グルコース偏位は、BGレベルが目標BGレベルから変化する例であり、インスリン偏位は、インスリン投薬量が基礎インスリン投薬量から変化する例である。グルコース偏位のコストは、更に高いパラメータ(例えば、
)とともに増加し、一方で、インスリン偏位のコストは、更に低いパラメータ(例えば、
)とともに増加する。これ故に、大きいインスリンニーズを有するユーザに対してコストが高く、それは、高グルコース偏位を目標に戻すために更に多くの量のインスリンを必要とすることを暗示する。同じく、小さいインスリンニーズを有するユーザに対して、インスリン偏位のコストが高く、それは、任意のインスリン供給がユーザの1日当たりのインスリンニーズの更に多くの部分であることを暗示する。
【0070】
図4は、提案されたインスリン用量に対するペナルティ関数毎にコストを計算するために取られ得る説明に役立つステップを要約するフローチャート400を表現する。制御装置は、
などのグルコースコスト要素を決定してよい(402)。制御装置は、
などの、グルコースコスト重み係数を計算する(404)。制御装置は、
などのインスリンコスト要素を計算してもよい(406)。制御装置は、
などのインスリンコスト重み係数を計算してよい(408)。最後に、制御装置は、ペナルティ関数に対する上の等式によって(per the above equation)、インスリンの用量に対するコストの計算を完成させてよい(410)。このコストは、それぞれの提案されたインスリンの用量に対して決定され、最良のコストを伴う投薬量(例えば、最低コスト投薬量)を特定する。
【0071】
グルコースコスト重み係数を決定する際に、異なる公式化は、異なる例示的な実施態様のために使用されてよい。図5は、グルコースコスト重み係数を決定するために行われ得る説明に役立つステップのフローチャート500を提供する。最初に、パラメータに対する基準値(例えば、Pbase)が決定される(502)。TDIが使用される場合、値は、120Uであり得る。そのとき、Qbaseをスケーリングするために使用される比率を計算するための2つのオプションがある。上述の例のケースにおいて、基準値に対するカスタム値の比率が計算される(例えば、
)(504)。反対に、逆比が代わりに計算されてよい。逆数値は、カスタム値に対する基準の比率
である(506)。そのとき、指数の値(例えば、l)が、比率に適用されてよい(506)。
【0072】
同様に、図6のフローチャート600に表示されるように、インスリンコスト重み係数Qは、異なる方式において決定されてよい。最初に、基準インスリンコスト重み係数(例えば、Qbase)が決定される(602)。基準インスリンコスト重み係数をスケーリングするために使用される比率は、ユーザのカスタムカスタム1日当たりインスリンニーズに対する1日当たりのインスリンニーズの基準パラメータの比率として決定されてよい(例えば、
)(604)。代わりに、反比が使用されてよい(例えば、
)(606)。比率に対する指数は、上記のように割り当てられてよい(608)。
【0073】
コスト重み係数のスケーリングの影響は、図7のプロット700、702及び704において見られ得る。これらのプロット700、702及び704は、115Uの非常に高いTDIを有するユーザに対するものである。プロット700は、スケーリングされないコスト重み係数を使用する最悪のシナリオにおいて経時的にユーザのBGレベルを示し、プロット702は、そのようなケースに対して経時的にインスリン供給を示す。プロット700の第1の部分708は、プロット702においてグラフ712によって示されるように、インスリン供給が3:00am頃まで長期の時間の間0.2Uを越えて増加しなかったため、BGレベルのグラフ710が、真夜中近くに始まり5:00am頃にまで及ぶ長期間の間、250mg/dLの上にとどまることを示す。これは、インスリン偏位に対する高い重みの帰結(product)である。
【0074】
対照的に、スケーリングされたコスト重み係数の場合、インスリンの用量は、プロット704においてグラフ714によって示されるように、より早く増加し(例えば、時刻12:00amに始まる0.3U)、より早い時間により長く高くされてとどまる。これは、高められたグルコースレベルをより迅速に減少させる。前述のように、インスリン抵抗性のユーザに対して、スケーリングは、更に多くの用量のインスリンが供給されることを可能にすることができる。
【0075】
スケーリングによって、インスリン偏位ペナルティは、減少し、グルコース偏位ペナルティは、増加する。また、グラフ710は、プロット702の第2の部分709における9:00pmから12:00pmまでの間の夜中の期間の間、スケーリングされていないコスト重み係数を用いた領域716及び718によって示されるように、低血糖症の危険の範囲に入る。これは、1時間当たりおおよそ2Uのユーザの入力の基礎と比べて相対的に高いインスリンペナルティのためである。故に、多くのペナルティを被ることなく基礎から多くの用量を変化させることは困難である。
【0076】
対照的に、スケーリングされたコスト重み係数の場合、インスリン偏位ペナルティはそれほど大きくないため、インスリンの量は、更に変化し、低血糖症の危険の長期の期間を回避することができる(7:30pm頃に開始し、9:00pmまでに、用量がグラフ714上で0Uに低下することを参照)。
【0077】
図8は、15Uの非常に低いTDIを有するユーザを伴う例に対して、同様のプロット800、802及び804を示す。プロット800は、5分間隔のグラフ810によって示されるように、経時的にユーザのBGレベルを示す。領域816及び818は、陰影が付けられている。図のように、ユーザのグルコースレベルは、12:00amと1:00amとの間で急速に増加して200mg/dLを超え、300mg/dL近くでほとんど変化しない。故に、患者はこの間隔の間、高血糖症であった。コスト重み係数のスケーリングがないシステムは、プロット802内のグラフ812によって示されるように、1時間にわたって制約の4倍(例えば、4×基礎)に近い供給投薬量を推奨し続ける。ユーザのBGレベルは、制約を破ることなく過剰なインスリンが供給されたので、4:00amと5:00amとの間に結果として生じる低血糖に反応して急落する。グルコースレベルは、低血糖症に反応してインスリン供給が中断されるときに、急増し、目標をオーバーシュートする。
【0078】
対照的に、スケーリングされたコスト重み係数の場合、供給したインスリンの量は、減少し、ユーザのグルコースレベルが落ち始めるときに、プロット804内のグラフ814によって示されるように、更に早く減少する。これは、インスリン偏位のペナルティがそのようなユーザに対して更に高くなり、一方で、グルコース偏位のペナルティが更に低くなるためである。故に、オーバーシュート及び結果として生じる低血糖症を回避する。これは、低血糖症に反応してインスリンを中断することに起因する高血糖症を回避することもできる。
【0079】
コスト重み係数の値は、低い境界及び/又は高い境界を超えないように抑制されてよい。図9は、そのような境界を使用して行われることがあるステップのフローチャート900を示す。1つの例のケースにおいて、パラメータPの値は、以下のように計算される。
【0080】
これは、コスト関数
をもたらす。
【0081】
故に、境界を実現するために、ユーザのインスリンニーズPactualに対するカスタムパラメータが計算される(902)。上方の境界Phigh及び下方の境界Plowが決定される(904)。境界Phigh及びPlowの中で最小値が決定され、Pactualと比較されて、最も大きい値(例えば、最大値)が特定され、最も大きい値は、コスト重み係数の比率において値Pとして使用される(906)。境界の使用は、比率が大きくなり過ぎる又は小さくなり過ぎることを防ぐことに役立ち得る。
【0082】
コスト関数は、TDI以外のユーザ固有の値を考慮するために修正されてよい。例えば、コスト関数は、基礎、補正率又はインスリンカーボ比などの他の臨床パラメータを含んでよい。スケーリングは、TDIのような単一のパラメータに頼る必要はないが、代わりに複数のパラメータの組み合わせに頼ることができる。具体的には、以前の表現においてPによって表される変数は、概してユーザの実際のインスリンニーズを定義する。しかしながら、ユーザのインスリンニーズは、概してTDIによって定義され得るが、それらのニーズは、基礎パラメータ、補正率パラメータ又はインスリンカーボ比パラメータによっても定義され得る。
【0083】
例えば、一般の基準臨床パラメータPbaseは、1型糖尿病を伴う典型的な人についての全人口の平均TDIとして定義され得る。他方では、このパラメータは、1型糖尿病を伴う典型的な人の平均基礎パラメータとして定義され得る。
【0084】
代替の実施態様において、Pbaseは、以下の等式
などの、TDI及び基礎パラメータの平均値の様々な組み合わせとして定義され得る。WTDI及びWbasalは、それぞれのパラメータへのコスト関数の依存状態を計算するための、TDI及び基礎パラメータの重み付けを表現する。TDI及び基礎パラメータの両方が、ユーザのインスリンニーズと直接の関係を有し、即ち、ユーザのインスリンニーズが高いほどその値が高くなり、等式のこの形態を導くことに注意することは、重要である。
それに応じて、Pactualは、同様に
として定義され得る。
【0085】
更なる実施態様において、補正率は、上の等式中のTDI及び基礎と同様の方式で利用されてよい。しかしながら、補正率及び同様のパラメータは、減少するインスリンニーズとともに値が増加し、逆もまた同様であり、その結果として、Pbase及びPactualは以下の等式で計算され得る。
【0086】
3つのパラメータ全ての組み合わせ又は他のパラメータもまた、上のようにPbase及びPactualを計算するために利用され得る。1実施態様において、これらの計算は、以下の等式のように公式化され得る。
【0087】
正の関係(即ち、インスリンニーズの増加は、臨床パラメータの値の増加をもたらす)を有する他のパラメータは、Pbase及びPactualに対する等式の分母に加えられてよく、反比例の関係(即ち、インスリンニーズの増加は、臨床パラメータの値の減少をもたらす)を有するパラメータは、Pbase及びPactualに対する等式の分母に加えられてよい。
【0088】
本発明は、例示的な実施態様を参照して本明細書中に記述されたが、形態及び詳細における様々な変更は、添付の請求項において定義された本発明の意図された範囲から逸脱することなくなされることが理解されるであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】