(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】ベッセルキャリパ
(51)【国際特許分類】
A61B 90/00 20160101AFI20230407BHJP
【FI】
A61B90/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548728
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(85)【翻訳文提出日】2022-10-04
(86)【国際出願番号】 US2021017203
(87)【国際公開番号】W WO2021163028
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522318380
【氏名又は名称】アキュメッド ラディカル システムズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】コロトコ、 ジョセフ アール.
(72)【発明者】
【氏名】ロ―ナン
(72)【発明者】
【氏名】コーエン、 マウリシオ ジー.
(57)【要約】
本開示による例示的なベッセルキャリパは、第1のクランプを有するスケールと、長さ測定値を特定することができるようにスケールに対して移動可能なスライダであって、第2のクランプを有するスライダとを含む。第1のクランプと第2のクランプのそれぞれが、それらの間にカテーテルアセンブリを捕捉するように構成されたばね作用ジョーを有する。例示的なベッセルキャリパの使用方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッセルキャリパであって、
第1のクランプを有するスケールと、
長さ測定値が特定できるように前記スケールに対して移動可能なスライダであって、第2のクランプを有するスライダと
を含み、
前記第1のクランプと前記第2のクランプのそれぞれが、それらの間にカテーテルアセンブリを捕捉するように構成されたばね作用ジョーを有する、ベッセルキャリパ。
【請求項2】
前記第1のクランプと前記第2のクランプのそれぞれが、
前記ばね作用ジョーの反対側の基部と、
前記基部の上にあるハウジングと、
前記ハウジングを前記ジョーに向かって付勢するために前記基部と前記ハウジングとに接続されたばねであって、ばね作用を提供するばねと
を含む、請求項1に記載のベッセルキャリパ。
【請求項3】
前記ハウジングは少なくとも1つのレバーを含み、前記少なくとも1つのレバーは押し下げられて前記クランプを開くように動作可能である、請求項2に記載のベッセルキャリパ。
【請求項4】
前記第1のクランプと前記第2のクランプのそれぞれのジョーが、それらの間に医療器具を捕捉するように構成された近位部分と遠位部分とを含む、請求項2に記載のベッセルキャリパ。
【請求項5】
前記遠位部分を支持する支持体をさらに含み、前記支持体は前記遠位部分から前記基部まで延びる、請求項4に記載のベッセルキャリパ。
【請求項6】
前記近位部分と前記遠位部分の少なくとも一方が、前記医療器具の形状に対応する曲線形状を有する、請求項4に記載のベッセルキャリパ。
【請求項7】
前記近位部分と前記遠位部分の少なくとも一方が、滑りを低減した表面を含む、請求項4に記載のベッセルキャリパ。
【請求項8】
前記第1のクランプと前記第2のクランプのジョーのうちの少なくとも一方の内側にインサートをさらに含み、前記インサートは、前記医療器具の一部と相互作用するように構成される、請求項2に記載のベッセルキャリパ。
【請求項9】
前記第1のクランプと前記第2のクランプの少なくとも一方が、前記クランプを開位置でロックするように構成されたクランプロックを含む、請求項2に記載のベッセルキャリパ。
【請求項10】
前記第1のクランプと前記第2のクランプの少なくとも一方が複数の可撓性フィンガを含み、前記複数の可撓性フィンガはばね作用を提供する、請求項1に記載のベッセルキャリパ。
【請求項11】
前記複数の可撓性フィンガは圧縮点を含み、前記圧縮点は圧縮されて前記クランプを開くように動作可能である、請求項10に記載のベッセルキャリパ。
【請求項12】
前記スケールに対する前記スライダの動きを制御するように構成された調節器をさらに含む、請求項1に記載のベッセルキャリパ。
【請求項13】
前記スライダを前記スケールに対して動かすように構成されたサムホイールをさらに含む、請求項1に記載のベッセルキャリパ。
【請求項14】
前記スライダを前記スケールに対してゼロ位置に保持するように構成されたゼロ位置ロックをさらに含む、請求項1に記載のベッセルキャリパ。
【請求項15】
前記スケールに対してスライドするように構成されたマーカーをさらに含み、前記マーカーは、測定値に対応する前記スケール上のマーキングを指すように構成されたポインタを含む、請求項1に記載のベッセルキャリパ。
【請求項16】
前記スライダを前記スケールに対してゼロ位置でロックするように構成されたゼロ位置ロックをさらに含む、請求項1に記載のベッセルキャリパ。
【請求項17】
前記第1のクランプと前記第2のクランプはカテーテルアセンブリを捕捉するように構成される、請求項1に記載のベッセルキャリパ。
【請求項18】
ベッセルキャリパを使用する方法であって、
アクセスポイントを通して患者の血管にカテーテルアセンブリを挿入することと、
スケールに対して移動可能なスライダを含むベッセルキャリパであって、前記スライダと前記スケールのそれぞれにばね作用ジョーのクランプを備えたベッセルキャリパを患者の前記アクセスポイントの近くに配置することと、
前記ばね作用ジョーを開くことと、
前記ばね作用ジョーにカテーテルアセンブリを挿入することと、
前記ばね作用ジョーを閉じて前記カテーテルアセンブリを前記ばね作用ジョーで捕捉することと、
前記スライダを前記スケールに対して移動させて長さ測定を行うことと
を含む方法。
【請求項19】
前記ばね作用ジョーを開くステップの前に、前記スライダが前記スケールに対してゼロ位置にロックされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記移動ステップの前にベッセルキャリパを把持するステップをさらに含み、前記把持により前記スライダが前記ゼロ位置から自動的にロック解除される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ばね作用ジョーを閉じるステップの前に、前記ばね作用ジョーの少なくとも1つに位置する少なくとも1つのインサートに前記カテーテルアセンブリを挿入することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのインサートは、前記スライダのばね作用ジョーと前記スケールのばね作用ジョーのそれぞれに第1のインサートと第2のインサートとをそれぞれ含み、前記カテーテルアセンブリのYコネクタを前記第2のインサートに挿入することと、作動カテーテルを前記第1のインサートに挿入することとをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記クランプのそれぞれが、
前記ばね作用ジョーの反対側の基部と、
前記基部の上にあるハウジングと、
前記ハウジングを前記ジョーに向かって付勢するために前記基部と前記ハウジングとに接続されたばねであって、ばね作用を提供するばねと
を含み、
前記ばね作用ジョーを開くことは、前記ハウジングを基部に対して移動させることによって達成される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のクランプと前記第2のクランプの少なくとも一方が複数の可撓性フィンガを含み、前記複数の可撓性フィンガは圧縮点を有し、前記ばね作用ジョーを開くことは、前記圧縮点を圧縮することによって達成される、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
調節器によって前記スライダの動きを制御することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記スライダはサムホイールによって前記スケールに対して移動される、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
長さ測定値が前記患者の血管内の閉塞の長さに相当する、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
測定値をマーカーでマーキングすることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月30日に出願された米国特許出願第17/106,811号に対する優先権を主張するものであり、上記米国出願は、2020年2月11日に出願された米国仮出願第62/972,910号に対する優先権を主張するものである。いずれの米国出願も参照によりその全体が本明細書に含まれるものとする。
【0002】
一部の医療処置は、血管内長さ測定を行う能力の恩恵を受ける。例えば、閉塞などの血管内のアーチファクトに対処又はアーチファクトを治療するカテーテル処置は、これらのアーチファクトを測定する能力の恩恵を受ける可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示による例示的なベッセル(血管)キャリパは、第1のクランプを有するスケールと、長さ測定値を特定することができるようにスケールに対して移動可能なスライダであって、第2のクランプを有するスライダとを含む。第1のクランプと第2のクランプのそれぞれが、それらの間にカテーテルアセンブリを捕捉するように構成されたばね作用ジョーを有する。
【0004】
本開示によるベッセルキャリパを使用する例示的な方法は、アクセスポイントを通して患者の血管にカテーテルアセンブリを挿入することと、ベッセルキャリパであって、スケールに対して移動可能なスライダを含み、スライダとスケールのそれぞれがばね作用ジョーを備えたクランプを有するベッセルキャリパを患者のアクセスポイントの近くに配置することと、ばね作用ジョーを開くことと、ばね作用ジョーにカテーテルアセンブリを挿入することと、ばね作用ジョーを閉じてカテーテルアセンブリをばね作用ジョーで捕捉することと、スライダをスケールに対して移動させて長さ測定を行うこととを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】例示的なクランプを有する例示的なベッセルキャリパを示す。
【
図2】例示的なクランプを有する例示的なベッセルキャリパを示す。
【0006】
【
図3】別の例示的なクランプを有する別の例示的なベッセルキャリパを示す。
【
図4】別の例示的なクランプを有する別の例示的なベッセルキャリパを示す。
【0007】
【
図5】例示的なベッセルキャリパの例示的なゼロ位置ロックの詳細図を示す。
【0008】
【
図6】例示的なベッセルキャリパの例示的な調節器の詳細図を示す。
【0009】
【
図7】インサートを有する
図1~2の例示的なベッセルキャリパを示す。
【0010】
【
図8】
図1~2又は
図3~4の例示的なベッセルキャリパと共に使用する例示的なカテーテルアセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び
図2は、例示的なベッセルキャリパ10を示す。ベッセルキャリパ10は、以下でより詳細に説明する、カテーテル処置などの特定の医療処置中に血管内測定を行うように構成される。ベッセルキャリパ10は、一般にスケール12及びスライダ14を含む。スライダ14はスケール12に対して可動である。
【0012】
スケール12及びスライダ14は、任意の既知の高分子材料で作ることができる。一例では、スケール12及び/又はスライダ14の材料は、低照度の状況での視認性を高めるために反射又は蛍光材料を含む。
【0013】
スケール12はロッド16及びクランプ18を含む。ロッド16は、定規又は他のマーキング19を含み、定規又は他のマーキング19から長さ測定値を特定することができる。マーキングは、印刷、成形、又は他の方法でロッド16に含まれ得る。クランプ18はロッド16の遠位端に位置する。クランプ18は、カテーテルアセンブリ(以下でより詳細に説明する)などの1つ以上の医療器具を捕捉するように構成される。医療器具を患者の体内に進めるときに血管内の長さ測定を行う能力によって、様々な医療処置が恩恵を受ける可能性がある。
【0014】
クランプ18は、任意のタイプのクランプであり得るが、一般にばね作用ジョーを含む。
図1に示す一例では、クランプ18は、共にばねを提供する1つ以上のフィンガ20を含む。フィンガ20はそれぞれ圧縮点22を含み、各フィンガ20の圧縮点22は同時に圧縮できるように互いに整列されている。圧縮点22は、例えば、
図1の例のようにフィンガ20の丸みを帯びた部分であり得るが、圧縮が可能である限り他の形状も考えられる。一般に、圧縮点22は、フィンガ20の縦軸Lから離れて延在する。フィンガ20は、上述の圧縮時にフィンガ20がロッド16に対して曲がることができるように、それらの近位端でロッド16に可撓性を有して接続される。一例では、フィンガ20は、ロッド16と一体成形される。
【0015】
可撓性フィンガ20はそれぞれ、その遠位端にジョー24も含む。
図1の例では、ジョー24は、カテーテルアセンブリなどの医療器具を捕捉するように構成された角度付き部分を含む。他の例では、その幾何学的形状によりジョーが医療器具を捕捉することが可能になる限り、ジョー24は異なる幾何学的形状を有することができる。例えば、ジョーの幾何学的形状は医療器具の幾何学的形状に対応することができる。
【0016】
可撓性フィンガ20は、交互パターンで配向される。
図1の例では、3つの可撓性フィンガ20のうち中央のフィンガ20は、外側のフィンガ20に比べて逆向きになっている。すなわち、中央のフィンガ20は、外側のフィンガ20のジョー24とは反対方向に開くジョー24と、外側のフィンガ20の圧縮点22とは反対方向に圧縮可能な圧縮点22とを有する。このようにして、挟む動作による圧縮点22の同時圧縮により、ジョー24が
図1に示す中心軸Aから離れる。圧縮点22の解放により、ジョー24が中心軸Aに向かって移動し、医療器具をジョー24で捕捉する。これにより、医療器具をクランプ18に挿入し又はクランプ18から取り外すことができる。
【0017】
さらに、ジョー24の交互の配向は、医療器具を2つの反対方向から固定することによって、クランプ18での医療器具の捕捉を強化する。一例では、医療器具は、医療器具がクランプ18に対して依然としてスライド可能であるようにクランプ18で捕捉される。しかしながら、別の例では、医療器具は、医療器具がクランプ18に対してスライドできないようにクランプ18で捕捉される。後者の場合、クランプ18は、医療器具を捕捉して固定するが医療器具を損傷又は崩壊させるのを防ぐのに十分な圧力のみを提供するように構成される。さらに、いくつかの例では、ジョー24は、医療器具がノッチジョー24に対して滑る/動くのを阻止するために、ゴム引き表面、粘着性表面、又はざらざらした表面などの滑りを低減した表面である内側面を有する。
【0018】
図1の例では、3つのフィンガ20があるが、他の例では、上述のように医療器具の圧縮及び捕捉のために配向される限り、より多いか又はより少ないフィンガ20を使用することができる。
【0019】
スライダ14は、ロッド16に対してスライド可能である。
図1の例では、スライダ14は、スライダ14がロッド16に沿ってスライドすることを可能にするようにロッド16をその中に受け入れる開口部26を含むが、他の配置も考えられる。スライダ14は、
図2に最もよく示される、それを通してロッド上のマーキング19を見ることができる窓27を含むことができる。一例では、窓27は、マーキング19を見るのを補助するために拡大要素を含む。スライダ14はクランプ28も含む。一例では、クランプ28は、スライダ14に対して一体成形される。クランプ28は、クランプ18と類似しているか又は同じであり得る。クランプ18と同様に、クランプ28は、クランプ28に対してスライド可能又はスライド不可能であるように医療器具を捕捉することができる。後者の場合、クランプ28は、医療器具を固定するが医療器具を損傷又は崩壊させるのを防ぐのに十分な医療器具への圧力のみを提供するように構成される。
【0020】
そのために、
図1に示す1つの例示的なクランプ28は、クランプ18と同じように圧縮点22を有する3つのフィンガ20を含む。例示的なクランプ28は、クランプ18のジョー24とは異なるジョー124を含む。ジョー124は、内側フィンガ20と外側フィンガ20から延びて内側フィンガ20と外側フィンガ20とを接続する外側部分124aと、中央フィンガ20から延びる内側部分124bとを含む。内側部分124bは、外側部分124aの形状に概ね追従し、圧縮点22が圧縮されていないときに内側部分124aに適合する。圧縮点22の圧縮により、内側部分及び外側部分124a、124bが中心軸Aから離れて反対方向に移動し、内側部分及び外側部分124a、124bの間に少なくとも1つのカテーテルを受け入れることができる。圧縮点22の解放により、部分124a、124bの間に医療器具を捕捉するように、部分124a、124bが互いに向かって移動する。
図1の内側部分及び外側部分124a、124bの円形の形状は単なる例示であり、他の形状も使用できることが理解されるべきである。一例では、円形の形状は、スライダ14の動きを容易にするためのフィンガのループとして機能する。
【0021】
一例では、部分124a、124bは、医療器具を収容するためのノッチ125を含み、ノッチ125は、医療器具がジョー124に捕捉されるときに、医療器具を損傷又は崩壊させるのを防ぐのに役立ち得る。それでも、医療器具は一般に、ノッチ125がなくても、上述のようにジョー124で固定される。
【0022】
一例では、ノッチ125は、医療器具がノッチ125に対して滑るのを阻止するために、ゴム引き表面、粘着性表面、又はざらざらした表面などの滑りを低減した表面を含む。
【0023】
図2は、スライダ14用の別の例示的なクランプ228を有するベッセルキャリパ10を示す。クランプ228はクランプ18と類似している。しかしながら、この例では、クランプ228は、圧縮点22を有する4つのフィンガ20を含む。上記のように、フィンガ20は交互の配向を有する。また、上記のように、フィンガ20はそれぞれジョー224を含む。ジョー224はそれぞれノッチ225bを有する突出部225aを含み、ノッチは上述のノッチ125と同様に医療器具を受けるように構成される。この例では、突出部225aは三角形であるが、他の形状も考えられる。
【0024】
一例では、クランプ18及び28/228の一方又は両方が、
図1に概略的に示すロック30を含む。ロック30は、特定の状況で圧縮点22の圧縮を防ぐように構成される。例えば、医療器具のクランプ18/28/228への挿入後、ロック30を係合させて、医療処置中の圧縮点22の偶発的な圧縮及びクランプ18/28/228の偶発的な弛緩を防ぐことができる。ロック30は、互いにかみ合う鋸歯状端を有する対向面、クリップ、キー/タブ機構などのようn任意の既知のロック機構を含むことができる。
【0025】
一例では、スライダ14/ロッド16の少なくとも一方が、
図1に概略的に示すゼロ位置ロック32を含む。ゼロ位置ロック32は、例えば、スライダ14のクランプ28/228で医療器具を捕捉している間、スライダ14をロッド16上のゼロ位置に保持するように構成される。ゼロ位置ロック32は、例えば、係合したときにそれ自体がスライダ14の動きを妨げるか、又は係合したときにスライダ14の動きを妨げるためにタブ又は他の構造体を係合させる「シーソー」トグル又は片持ち梁状スイッチであり得る。
【0026】
一例では、ベッセルキャリパ10は、スライダ14をロッド16に沿って動かすように動作可能な、
図1に概略的に示すサムホイール34を含む。サムホイール34は、特定の長さ測定値に対応し得る触覚又は可聴の「クリック」機能を含むことができる。例えば、それぞれの触覚又は可聴のクリックは、5mmの長さに対応し得る。
【0027】
一例では、ベッセルキャリパ10は、長さ測定値を表示するように構成された電子部品を含むことができる。
【0028】
図3は、別の例示的なベッセルキャリパ510を示す。ベッセルキャリパ10に関して説明された特徴は、ベッセルキャリパ510にも使用でき、その逆も同様であることが理解されるべきである。ベッセルキャリパ10と同様に、ベッセルキャリパ510は、一般にスケール512及びスライダ514を含む。スライダ514はスケール512に対して可動である。スライダ514は、滑りを低減する表面を提供するくぼみを有することができるグリップ515を含むことができる。
【0029】
スケール512及びスライダ514は、任意の既知の高分子材料で作ることができる。一例では、スケール512及び/又はスライダ514の材料は、低照度の状況での視認性を高めるために反射又は蛍光材料を含む。
【0030】
スケール512はロッド516を含む。ロッド516は、定規又は他のマーキング519を含み、定規又は他のマーキング519から長さ測定値を特定することができる。マーキング519は、印刷、成形、又は他の方法でロッド516に含まれ得る。
【0031】
ベッセルキャリパ510は、少なくとも1つのクランプ518を含む。クランプ518は、医療器具を捕捉するように構成される。
【0032】
この例では、2つのクランプ518a/518bがあるが、他の例ではより多いか又はより少ないクランプ518を使用することができる。より詳細には、この例では、一方のクランプ518aはスライダ514に取り付けらか又はスライダ514と一体であり、他方のクランプ518bはスケール512に取り付けられるか又はスケール512と一体である。したがって、一方のクランプ518aは、上述のようにスライダ514の移動によって他方のクランプ518bに対して移動可能であり得る。この特定の例では、第1のクランプ518aはスライダ514の近位端に位置し、第2のクランプ518bはスケール512の遠位端に位置する。
【0033】
クランプ518a/518bは任意のタイプのクランプであり得るが、この例では一般にばね作用クランプである。より詳細には、この例では、クランプ518a/518bは、ばね523が取り付けられた基部522を含む。ハウジング524が基部522の上に配置され、ばね523にも接続される。ハウジング524/基部522は、円筒形であるか又は別の形状を有することができる。
【0034】
クランプ518a/518bはまた、基部522の反対側にジョー526を含む。ジョー526は、近位部分528aと、近位部分528aに対向する遠位部分528bとを含む。近位部分528aは、ハウジングに接続されるか又はハウジング524と一体である。遠位部分528bは、少なくとも基部522まで又は基部522を越えて延びる支持体529によって支持される。支持体529は、基部522の近くの位置で基部522又はスライダ514/スケール512に接続することができる。
【0035】
医療器具は、遠位部分528bと近位部分528aとの間に受け入れ可能である。ばね523は、近位部分528aを遠位部分528bに向かって付勢してクランプ518a/518bを閉じた位置に保持し、それにより遠位部分528bと近位部分528aとの間に医療器具を捕捉する。
【0036】
クランプ518a/518bはまた、1つ以上のレバー530を含む。図示の例では、基部522の両側に1つずつ、2つのレバー530がある。レバー530は、ばね523のばね力に打ち勝つようにスライダ514/スケール512に向かって押し下げることができ、これによりクランプ518a/518bを開くことができ、医療器具をクランプ518a/518bから取り外すか又はクランプ518a/518bに再配置することができる。いくつかの例では、レバー530は、ユーザによる把持を改善するために曲面形状を有することができる。
【0037】
いくつかの例では、遠位部分528bと近位部分528aの一方又は両方が曲線形状を有することができる。特定の例では、第2のクランプ518bは、そこに保持されるように構成された医療器具の形状に対応する曲面形状を有する遠位部分528b及び近位部分528aを有する。
【0038】
一例では、クランプ518a/518bの一方又は両方がロック536を含む。ロック536は、クランプ518a/518bを開位置に保持するように動作可能である。例えば、ロック536は、基部522の近くのスケール512又はスライダ514の溝構造538bに受け入れ可能なハウジング524の舌構造538aを含むことができる。ハウジング524は、ロック536を係合/係合解除することができるように、基部522に対して回転可能であり得る。
【0039】
一例では、遠位部分528b及び近位部分528aの一方又は両方が、遠位部分528b及び近位部分528aに対して医療器具が滑るのを阻止するために、ゴム引き表面、粘着性表面、又はざらざらした表面などの滑りを低減した表面を含む。
【0040】
スライダ514は、ロッド516に対してスライド可能である。
図3~4の例では、スライダ514は、スライダ514がロッド516に沿ってスライドすることを可能にするようにその中にロッド516を受け入れる開口部532を含むが、他の配置も考えられる。スライダ514は、それを通してロッド516上のマーキング519を見ることができる窓534を含むことができる。一例では、窓534は、マーキング519を見るのを補助するために拡大要素を含む。スライダ514はまた、いくつかの例では、測定値に対応するマーキング519を示すことができるポインタ又は矢印525を含むことができる。
【0041】
ベッセルキャリパ510はまた、
図4に最もよく示される、少なくとも1つのマーカー540を含むことができる。マーカー540は、ロッド516に取り付けられ、ロッド516に対してスライド可能である。マーカー540は、マーカーロック542を有することができる。マーカーロック542は、マーカー540をマーキング519の特定の位置でロッド516にロックするように構成される。マーカーロック542は、マーカーロック542を作動及び停止させるために回される止めねじの形態であり得る。これはマーカーロック542の単なる一例であり、マーカーロック542がロッド516に対してマーカー540を保持する限り、他の設計も考えられる。マーカー540はまた、測定値に対応するマーキング519を示すために使用できるポインタ又は矢印544を含む。一例では、マーカー540は、
図3に示すように、ポインタ又は矢印544がスライダ514のポインタ又は矢印525の後ろに位置することができるように、ロッド516上でスライドすることができる。したがって、マーカー540は、上述のようにスライダ514でマーキングされた測定値とは独立した別の測定値をマーキングすることを可能にする。
【0042】
ベッセルキャリパ510はまた、いくつかの例では、ゼロ位置ロック546を含むことができる。ゼロ位置ロック546は、
図5に最もよく示され、舌/溝ロック構造を含むが、他のタイプのロック546も考えられる。この例では、グリップ515はタブ548を含む。支持体529は、グリップ515に対応するグリップ550を含み、ロッド516がグリップ515とグリップ550との間に挟まれるようにする。グリップ550は、タブ548を受け入れるように構成された開口部552を含み、それによってスライダ514を所望の位置でロッド516上にロックする。代替的に、ロッド516はタブ548を受け入れるように構成された開口部552を含み、それによってスライダ514を所望の位置でスケール512上にロックする。例えば、ロック546は、スライダ514のクランプ518a/518bで医療器具を捕捉している間に使用することができる。他の例では、ゼロ位置ロック546は、例えば、係合したときにそれ自体がスライダ514の動きを妨げるか、又はグルで留めたときにスライダ514の動きを妨げるためにタブ又は他の構造体を係合させる「シーソー」トグル又は片持ち梁状スイッチであり得る。更なる例では、ゼロ位置ロック546は、測定の開始時に操作者がスライダ514を握るとゼロ位置ロック546が自動的に解除されるような設計を有することができる。グリップ515及びグリップ550を同時に握ることは、ゼロ位置ロック546を自動的に解除する1つのあり得る方法である。ゼロ位置ロック546を手動で解除するなどの他の方法も考えられる。ゼロ位置ロック546は、その後、測定が行われている間、ロック解除位置にある。さらに、ゼロ位置ロック546は、操作者がスライダ514をスケール512上のゼロ位置に戻すと、ゼロ位置ロック546がスライダ514を自動的に作動させ、例えばタブ548を開口部552と係合させることによって、スライダ514をスケール512にロックするような設計を有することができる。
【0043】
一例では、ベッセルキャリパ510は、
図4に示すサムホイール554を含む。サムホイール554は、
図4の例に示すようにグリップ515に関連付けることができるが、スライダ514の他の部分に関連付けることもできる。サムホイール554は、スライダ514をロッド516に沿って動かすように動作可能である。サムホイール554は、特定の長さ測定値に対応し得る触覚又は可聴の「クリック」機能を含むことができる。例えば、それぞれの触覚又は可聴のクリックは、5mmの長さに対応し得る。
【0044】
一例では、ベッセルキャリパ510は、長さ測定値を表示するように構成された電子部品を含むことができる。
【0045】
ベッセルキャリパ510は、調節器560を含むことができる。調節器560は、スライダ514をスケール512に沿って制御可能に動かすように構成される。調節器560は、スケール512とスライダ514の両方と一体であるか又は両方に取り付けられてそれらの相対的な動きを制御する構成要素を含む。一例として、調節器560は、ラックアンドピニオンギア設計を有することができる。この例では、調節器560のラック部分561は、スケール512と一体であるか又はロッド516を介してなどでスケール512に取り付けられ、ピニオンギア562は、スライダ514と一体であるか又はスライダ514に取り付けられるが、反対の構成を使用することもできる。ラック561/ピニオンギア562は、スケール512に沿ったスライダ514の制御された移動及び配置を可能にするために相互作用する。例えば、ラック561/ピニオンギア562の歯のそれぞれは、5mmなどの特定の移動量に対応することができる。別の例では、調節器560は、相互作用するねじ山の構成要素を含む。雄ねじ形状などの一方のねじ山形状はスケール512と一体であることができ、雌ねじ形状などの相互作用する他方のねじ山形状はスライダ514と一体であることができる。スケール512とスライダ514の組立体は、相互作用するねじ山と係合する。回転ノブに似たダイヤルが、相互作用するねじ山形状のいずれかと一体であり得る。ダイヤルを回すと、相互作用するねじ山の動きが作動されるため、スケール512に沿ったスライダ514の制御された動きを引き起こすことができる。
【0046】
調節器560は、スライダ514がスケール512に沿って移動しているというリアルタイムのフィードバックを操作者に提供できる移動インジケータ機能を有することができる。移動インジケータは、指定された間隔でフィードバックを提供することができる。例えば、移動インジケータ機能は、5mmの移動ごとにフィードバックを提供することができる。移動インジケータのフィードバックは、触知覚のための触覚フィードバックの形態、音の知覚のための音声フィードバックの形態、又はその両方であり得る。
【0047】
図7は、それぞれのクランプ518a/518bのそれぞれのジョー526にそれぞれインサート564a/564bを含むベッセルキャリパ510を示す。この例では、インサート564a/564bは、クランプ518a/518bによって捕捉されるように設定された医療器具の一部と相互作用するように設定された幾何学的形状/寸法を有する。インサートは、ジョー526の近位部分528a/遠位部分528bの間に位置し、ジョー526の近位部分528a/遠位部分528bの一方に接続されるか又は一方と一体であり得る。さらに、インサート564a/564bはクランプ518a/518bでの医療器具の捕捉を補助するが、ジョー526は、上述のように、ジョー526のばねで力を加える性質によって物体に追加の圧力/安全性を提供することによって、依然として捕捉に関与する。インサート564a/564bは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
図7の例では、インサート564a/546bは互いに異なり、それぞれが
図8に示され、以下でより詳細に説明されるように、カテーテルアセンブリ600の一部を捕捉するように構成される。
【0048】
ベッセルキャリパ10/510で捕捉できる1つの例示的な医療器具は、
図8(カテーテルアセンブリ600の分解図を示す)に示すようなカテーテルアセンブリ600である。カテーテルアセンブリ600は、ガイドワイヤ602と、作業カテーテル604(この例ではバルーンカテーテルであるが、ステントカテーテルなどの他のカテーテルを使用することもできる)と、ガイドカテーテル606と、Yコネクタ608とを含む。Yコネクタ608は、ガイドカテーテル606の遠位端と結合するように構成される。動作中、Yコネクタ608は、ガイドカテーテル606の近位端に接続される。ガイドワイヤ602及び作業カテーテル604は、結合されたガイドカテーテル606及びYコネクタ608の内部に受け入れられる。
【0049】
図7に戻ると、図示の例では、スケールのクランプ518bに関連するインサート564aは、Yコネクタ608と相互作用するように構成される。この例では、インサート564aは、Yコネクタ608のバレル部分610に留まるように構成された幾何学的形状及び寸法を有する「c」形状を有する。スライドのクランプ518aに関連するインサート564bは、ガイドワイヤ602及び作業カテーテル604と相互作用するように構成される。ガイドワイヤ602及び作業カテーテル604はそれぞれ、Yコネクタ608のバレル部分610よりもかなり小さい直径を有する。したがって、ガイドワイヤ602/作業カテーテル604の幾何学的形状/寸法に対応する幾何学的形状/寸法を有するインサートは製造が困難な可能性がある。この例では、インサート564bは、ガイドワイヤ602及び作業カテーテル604を間に挟むように構成された可鍛性ディスク566を含む。可鍛性ディスクは、例えば発泡体ディスクであり得る。可鍛性ディスク566は、ガイドワイヤ602/作業カテーテル604と相互作用するゴム引き表面などの滑り止め表面を含むことができる。
【0050】
動作中、カテーテルアセンブリ600が、アクセスポイントを通して患者の血管に挿入される。通常、Yコネクタ608に既に接続されているガイドカテーテル606が最初に挿入され、続いてガイドワイヤ602及び作業カテーテル604が挿入される。カテーテルが、当技術分野で知られている任意のイメージング技術によって監視される。ベッセルキャリパ10/510が、アクセスポイントの近くに配置され、スライダ14/514が、スケール12/512に対して「ゼロ」の測定値を示すように配置される。次に、クランプ18/28/228/518a/518bが、上述のようにレバー530を押し下げるか又は圧縮点22を圧縮することによって開かれる。いくつかの例では、クランプ18/28/218/518a/518bは、ロック536を用いて開位置でロックされ得る。次に、Yコネクタ608がクランプ18/518bに挿入され、クランプ18/518bが閉じられ、ガイドワイヤ602/作業カテーテル604がクランプ28/228/518aに挿入され、クランプ28/228/518aが閉じられる。この段階で、スライダ14/514は「ゼロ」、すなわち第1の位置に留まっている。イメージング技術を使用して、作業カテーテル604/ガイドワイヤ602及びスライダ14/514が、静止したままのスケール12/512に対して、血管内の所望の位置、すなわち第2の位置まで移動される。したがって、スライダ14/514/作業カテーテル604がスケール12/512に対してどれだけ移動したかを特定するために、マーキング19/519を用いて血管内測定を行うことができる。
【0051】
特定の例では、ベッセルキャリパ10/510は、血管形成術中の血管内測定に使用することができる。血管形成術は、血管の閉塞を修復するために用いられる。血管形成術は通常、作業カテーテル604としてバルーンカテーテルを必要とする(バルーンは、当技術分野で知られるように、様々な方法で閉塞を修復するために使用される)。バルーンカテーテルは、その遠位端に、手術のモニタリングに使用されるイメージング技術に基づいて見ることができる、放射線不透過性マーカーを含むことができる。手術中、ガイドワイヤ602がアクセスポイントを通して血管に挿入され、閉塞部に向かって進められる。次に、バルーンカテーテル604がガイドワイヤ602上に挿入され、閉塞部に向かって進められる。バルーンカテーテル604は閉塞部を越えて進められ、次いで放射線不透過性マーカーが閉塞部の遠位端に位置するように位置合わせされる。この位置合わせは、測定の第1の位置、すなわち測定のゼロ位置と見なすことができる。この位置合わせは、ゼロ位置ロック546によって固定され得るベッセルキャリパ10/510のゼロ位置に対応する。次に、ベッセルキャリパ510がアクセスポイントに隣接して配置され、上述のようにカテーテルアセンブリ600を捕捉する。バルーンカテーテル604はその後、イメージング技術を用いて放射線不透過性マーカーの位置を監視することによって、閉塞部の近位端まで引っ張られる。引っ張ることにより、上述のようにクランプ18/518aによってバルーンカテーテル604にしっかりと取り付けられたスライダ14/514が、静止したままのスケール12/512に対してスライドする。バルーンカテーテルの放射線不透過性マーカーが閉塞部の近位端にあるとき、スライダ14/514は第2の位置にある。次に、マーキング19/519を使用して、閉塞部の長さ測定値に相当する、スライダ14/514が第1の位置と第2の位置の間でどれだけ移動したかを特定することができる。さらに、測定中、ユーザは、第1の位置と第2の位置との間のどこかの位置で、スケール512に沿ってスライダ514を動かすのを一時的に停止することができる。一時停止の場所は、ユーザにとって関心がある位置であり得る。次に、関心がある位置をマーキングするために、マーカー540がスライダ514に当接するまで、マーカー540をスケール512のロッド516部分に沿って動かすことができる。マーカー540は、マーカーロック542を用いてこの場所にロックすることができる。その後、ユーザはスケール512に沿ってスライダ514を動かし続けることによって測定を再開することができる。マーカー540は、関心がある位置でロックされた場所に留まる。
【0052】
本開示の一実施例を説明してきたが、当業者は、特定の変更が本発明の主旨及び範囲内にあることを認識するであろう。
【国際調査報告】