(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】水素化触媒およびその前駆体ならびに石油化学樹脂の水素化におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
B01J 23/755 20060101AFI20230407BHJP
B01J 37/03 20060101ALI20230407BHJP
B01J 37/06 20060101ALI20230407BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20230407BHJP
B01J 37/18 20060101ALI20230407BHJP
B01J 35/10 20060101ALI20230407BHJP
C08F 8/04 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
B01J23/755 M
B01J37/03 B
B01J37/06
B01J37/08
B01J37/18
B01J35/10 301A
C08F8/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549027
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(85)【翻訳文提出日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2021053634
(87)【国際公開番号】W WO2021160882
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500586141
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト・ヴィレム・ゴッセリンク
(72)【発明者】
【氏名】イリナ・ヤルリナ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルダ・カムスマ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルド・レーシンク
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト・テロルデ
【テーマコード(参考)】
4G169
4J100
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169AA05
4G169AA08
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4G169BA01A
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4J100AB02P
4J100AB04P
4J100AR10P
4J100AR22P
4J100AU01P
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4J100HB61
4J100HD22
4J100HE41
(57)【要約】
本発明は、Ni、Si、Al、およびOを含む担持ニッケル触媒前駆体に関し、触媒前駆体は、Hg圧入を介して決定される特定の総圧入量を示す。さらに、本発明は、該触媒前駆体を調製するためのプロセスに関する。なおさらに、本発明は、該触媒前駆体から調製された担持ニッケル触媒に関する。それに加えて、本発明は、芳香族化合物の水素化反応におけるその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ni、Si、Al、Oを含む担持ニッケル触媒前駆体であって、前記触媒前駆体が、2.5~6.5cm
3/g(ml/g)の範囲の総圧入量を示し、前記総圧入量が、参考例1に従って決定される、担持ニッケル触媒前駆体。
【請求項2】
前記触媒前駆体が、0.5~2cm
3/gの範囲の総細孔容積を示し、前記総細孔容積が、参考例2に従って決定される、請求項1に記載の触媒前駆体。
【請求項3】
細孔径が20~80nmの場合の前記触媒前駆体の累積細孔容積が、0.15~0.7cm
3/gの範囲であり、前記累積細孔容積が、参考例2に従って決定される、請求項1または2に記載の触媒前駆体。
【請求項4】
前記触媒前駆体のBET表面積が、200~350m
2/gの範囲であり、前記BET表面積が、ISO 9277:2010に従って決定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒前駆体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の担持ニッケル触媒前駆体を調製するためのプロセスであって、
(1)1つ以上の塩基を含む第1の水溶液(S1)を調製することと、
(2)1つ以上のニッケル含有化合物および1つ以上のアルミニウム含有化合物を含む第2の水溶液(S2)を調製することと、
(3)1つ以上のシリコン含有化合物を含む第3の水溶液(S3)を調製することと、
(4)任意選択で、1つ以上のアルミニウム含有化合物を含む第4の水溶液(S4)を調製することと、
(5)前記担持ニッケル触媒前駆体を沈殿させるために、溶液S2およびS3ならびに任意選択の溶液S4を溶液S1に供給することであって、得られる混合物が、6.5~8.5の範囲のpHを有する、供給することと、
(6)(5)で得られた前記混合物から前記担持ニッケル触媒前駆体を単離することと、を含む、プロセス。
【請求項6】
前記溶液S1にそれぞれ供給される前記溶液S2の総体積対前記溶液S3の総体積の比S2:S3が、0.05:1~1:0.05の範囲に含まれる、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記溶液S2の総体積対それが供給される前記溶液S1の総体積の比S2:S1が、0.01~5の範囲に含まれる、請求項5または6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記溶液S2の総体積対それが供給される前記溶液S1の総体積の比S3:S1が、0.01~5の範囲に含まれる、請求項5~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記プロセスが、
(7)(6)で得られた前記担持ニッケル触媒前駆体を洗浄すること、
および/または、好ましくはおよび
(8)(6)もしくは(7)で得られた前記担持ニッケル触媒前駆体を乾燥させること、をさらに含む、請求項5~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記プロセスが、
(9)NiO、SiO
2、およびAl
2O
3の混合酸化物を含む担持ニッケル触媒前駆体を得るために、(6)、(7)、または(8)で得られた前記担持ニッケル触媒前駆体を焼成すること、をさらに含む、請求項5~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
請求項5~9のいずれか一項に記載のプロセスに従って入手可能および/または得られる、担持ニッケル触媒前駆体。
【請求項12】
請求項10に記載のプロセスに従って入手可能および/または得られる、NiO、SiO
2、およびAl
2O
3の混合酸化物を含む、担持ニッケル触媒前駆体。
【請求項13】
担持ニッケル触媒を調製するためのプロセスであって、
(i)請求項11または12に記載の担持ニッケル触媒前駆体を提供することと、
(ii)担持ニッケル触媒を得るために、水素雰囲気中で(i)で提供される前記担持ニッケル触媒前駆体を還元することと、を含む、プロセス。
【請求項14】
請求項13に記載のプロセスに従って入手可能および/または得られる、担持ニッケル触媒。
【請求項15】
芳香族化合物を水素化するためのプロセスであって、
(A)1つ以上の芳香族化合物と、請求項1~4および11~12のいずれか一項に記載の担持ニッケル触媒前駆体、または請求項14に記載の担持ニッケル触媒との混合物を調製することと、
(B)100~400℃の範囲に含まれる温度で、(A)で得られた前記混合物を水素と接触させることと、を含む、プロセス。
【請求項16】
芳香族化合物の水素化における、請求項1~4および11~12のいずれか一項に記載の担持ニッケル触媒前駆体、または請求項13に記載の担持ニッケル触媒の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Ni、Si、Al、およびOを含む担持ニッケル触媒ならびにその前駆体に関し、触媒前駆体は、Hg圧入を介して決定される特定の総圧入量を示す。さらに、本発明は、該触媒およびその前駆体を調製するためのプロセス、ならびに芳香族化合物の水素化反応におけるそれらの使用に関する。
【0002】
前書き
石油化学樹脂は、接着剤(特に不織布、コーティング、および建設)の分野においてそれらの用途を見出している。石油化学樹脂は、ナフサ分解から得られた原料の蒸留時にC9留分を重合することによって製造される。しかしながら、結果として得られる芳香族ポリマーは、熱的および酸化的条件に対して比較的不安定であり、これは劣化をもたらし、それによってそれらの接着性能を低下させることになる。C9樹脂の不安定性を克服するために、通常、水素化が実行される。このように、熱的および酸化的不安定性の理由である二重結合が除去される。
【0003】
水素化に典型的に用いられる触媒に関して、これらは、通常、触媒活性成分としてニッケルを含む。高度に分散された触媒を得るために、活性金属触媒は、典型的には、組み合わされたSiO2-Al2O3担体上などの酸化性キャリア上に担持される。
【0004】
WO01/36093A1は、シリカおよびアルミナ上に担持された鉄含有ニッケル触媒を含む炭化水素樹脂の水素化用の触媒に関する。WO2004/035204A1は、水素化反応用の触媒に関係し、触媒は、ニッケル、シリカ、アルミナ、およびマグネシウムを含む。US9,045,410B2は、ニッケルおよび固体シリカ担体を含む触媒に関し、触媒は、不飽和脂肪物質の水素化のために用いられる。
【0005】
WO2015/008247A2は、樹脂の水素化のためのプロセスおよび触媒に関係し、触媒は、シリカ-アルミナ上に担持されたコバルト促進ニッケルを含む。WO2014/128204A1は、触媒を調製するためのプロセスに関し、プロセスは、特に、ニッケルおよび銅塩を含む溶液からの触媒の沈殿と、触媒をカルボン酸基を含む有機脂肪酸と混合することと、有機脂肪酸を分解するために、得られた混合物を高温に供して、熱処理された材料を得ることと、を含む。
【0006】
特に石油化学樹脂の水素化用の効果的な水素化触媒を提供するために成し遂げられた成果にもかかわらず、特に水素化反応におけるそれらの活性に関して、よりさらに優れた性能の触媒が依然として必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の目的は、特にその触媒活性に関して改善された水素化触媒を提供すること、およびそのような改善された水素化触媒を製造するためのプロセスを提供することであった。したがって、驚くべきことに、本発明のプロセスは、特に石油化学樹脂の水素化において、大幅に改善された活性を有する水素化触媒の製造を可能にすることが見出された。特に、予想外に、本発明のプロセスは、水素化における驚くほど改善された活性をもたらす特定の多孔性を示す水素化触媒の製造を可能にすることが見出された。より具体的には、驚くべきことに、本発明のプロセスは、結果として得られる材料の実質的により高いメソ多孔性をもたらし、当技術分野で既知の触媒材料と比較して本発明の触媒の活性の予想外の増加を付与することが見出された。
【0008】
したがって、本発明は、Ni、Si、Al、およびOを含む担持ニッケル触媒前駆体に関し、好ましくは本明細書に開示される実施形態のいずれか1つに記載のプロセスに従って入手可能および/または得られ、触媒前駆体は、2.5~6.5cm3(ml/g)、好ましくは3~5.5cm3/g(ml/g)、より好ましくは3.5~5cm3/g(ml/g)、好ましくは3.7~4.7cm3/g(ml/g)、より好ましくは3.8~4.5cm3/g(ml/g)、より好ましくは3.9~4.3cm3/g(ml/g)、およびより好ましくは4~4.2cm3/g(ml/g)の範囲の総圧入量を示す。総圧入量は、参考例1に従って決定されることが好ましい。
【0009】
触媒前駆体は、0.5~2cm3/g、より好ましくは0.6~1.8cm3/g、より好ましくは0.65~1.5cm3/g、より好ましくは0.7~1.3cm3/g、より好ましくは0.75~1.1cm3/g、より好ましくは0.8~1cm3/g、より好ましくは0.85~0.95cm3/g、およびより好ましくは0.9~0.92cm3/gの範囲の総細孔容積を示すことが好ましい。総細孔容積は、参考例2に従って決定されることが好ましい。
【0010】
細孔径が2~5nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積は、0.1~0.5cm3/g、より好ましくは0.13~0.4cm3/g、より好ましくは0.15~0.35cm3/g、より好ましくは0.18~0.32cm3/g、より好ましくは0.2~0.29cm3/g、より好ましくは0.22~0.27cm3/g、およびより好ましくは0.24~0.25cm3/gの範囲であることが好ましい。累積細孔容積は、参考例2に従って決定されることが好ましい。
【0011】
細孔径が2~60nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積は、0.3~1.5cm3/g、より好ましくは0.5~1.2cm3/g、より好ましくは0.55~1cm3/g、より好ましくは0.6~0.9cm3/g、より好ましくは0.65~0.85cm3/g、より好ましくは0.7~0.8cm3/g、およびより好ましくは0.73~0.77cm3/gの範囲であることが好ましい。累積細孔容積は、参考例2に従って決定されることが好ましい。
【0012】
細孔径が20~80nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積は、0.15~0.7cm3/g、より好ましくは0.18~0.55cm3/g、より好ましくは0.2~0.45cm3/g、より好ましくは0.23~0.4cm3/g、より好ましくは0.25~0.38cm3/g、より好ましくは0.28~0.35cm3/g、およびより好ましくは0.31~0.33cm3/gの範囲であることが好ましい。累積細孔容積は、参考例2に従って決定されることが好ましい。
【0013】
触媒前駆体のBET表面積は、200~350m2/g、より好ましくは230~320m2/g、より好ましくは250~300m2/g、より好ましくは260~285m2/g、およびより好ましくは265~280m2/gの範囲であることが好ましい。BET表面積は、好ましくは、ISO 9277:2010に従って決定されることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明は、
(1)1つ以上の塩基を含む第1の水溶液(S1)を調製することと、
(2)1つ以上のニッケル含有化合物および1つ以上のアルミニウム含有化合物を含む第2の水溶液(S2)を調製することと、
(3)1つ以上のシリコン含有化合物を含む第3の水溶液(S3)を調製することと、
(4)任意選択で、1つ以上のアルミニウム含有化合物を含む第4の水溶液(S4)を調製することと、
(5)担持ニッケル触媒前駆体を沈殿させるために、溶液S2およびS3ならびに任意選択の溶液S4を溶液S1に供給することであって、結果として得られる混合物が、6.5~8.5の範囲のpHを有する、供給することと、
(6)(5)で得られた混合物から担持ニッケル触媒前駆体を単離することと、を含む、担持ニッケル触媒前駆体を調製するためのプロセスに関する。
【0015】
(5)で生じる混合物のpHは、6.9~8.1、より好ましくは7.1~7.9、より好ましくは7.3~7.8、およびより好ましくは7.4~7.7の範囲であることが好ましい。
【0016】
(1)における1つ以上の塩基は、無機および有機塩基からなる群、好ましくは、無機塩基の群から選択されることが好ましく、好ましくは、1つ以上の塩基は、水酸化物、炭酸塩、アルミン酸塩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、
より好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、
より好ましくは、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、
アルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、
より好ましくは、Li、Na、K、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、アルカリ金属は、Naおよび/またはK、好ましくはNaであり、
より好ましくは、1つ以上の塩基は、炭酸ナトリウムおよび/またはアルミン酸ナトリウム、好ましくは、炭酸ナトリウムを含み、より好ましくは、1つ以上の塩基は、炭酸ナトリウムおよび/またはアルミン酸ナトリウム、好ましくは炭酸ナトリウムである。
【0017】
1つ以上の塩基は、1つ以上の多塩基性塩、好ましくは、2つ以上の混合物を含む二塩基性、三塩基性、および四塩基性塩からなる群、より好ましくは、2つ以上の混合物を含む二塩基性および三塩基性塩からなる群から選択される1つ以上の多塩基性塩を含み、より好ましくは、1つ以上の塩基は、1つ以上の二塩基性および/または1つ以上の三塩基性塩、より好ましくは、1つ以上の二塩基性塩を含み、より好ましくは、1つ以上の塩基は、1つ以上の二塩基性および/または1つ以上の三塩基性塩、より好ましくは、1つ以上の二塩基性塩からなる。
【0018】
1つ以上の塩基が1つ以上の多塩基塩を含む場合、1つ以上の多塩基塩の1つ以上のカチオンは、混合物および/または2つ以上の組み合わせを含むアルカリおよびアルカリ土類金属からなる群、より好ましくは、混合物および/または2つ以上の組み合わせを含むアルカリ金属からなる群、より好ましくは、混合物および/または2つ以上の組み合わせを含むLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群、
より好ましくは、混合物および/または2つ以上の組み合わせを含むLi、Na、およびKからなる群から選択されることが好ましく、
より好ましくは、1つ以上の多塩基性塩の1つ以上のカチオンは、Naおよび/またはK、好ましくはNaである。
【0019】
(2)における1つ以上のニッケル含有化合物は、1つ以上のニッケル塩、より好ましくは、1つ以上のNi(II)塩であることが好ましく、1つ以上のニッケル塩のアニオンは、好ましくは、ハロゲン化物、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硫酸水素塩、水酸化物、硝酸塩、リン酸塩、水素化水素酸塩、リン酸二水素塩、酢酸塩、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群、
より好ましくは、塩化物、臭化物、フッ化物、炭酸水素塩、硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸二水素塩、酢酸塩、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群、
より好ましくは、塩化物、フッ化物、硝酸塩、酢酸塩、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、1つ以上のニッケル塩のアニオンは、塩化物および/または硝酸塩、好ましくは塩化物であり、
より好ましくは、1つ以上のニッケル含有化合物は、塩化ニッケル(II)を含み、より好ましくは、1つ以上のニッケル含有化合物は、塩化ニッケル(II)である。
【0020】
(2)における1つ以上のアルミニウム含有化合物は、1つ以上のアルミニウム塩であることが好ましく、1つ以上のアルミニウム塩のアニオンは、好ましくは、ハロゲン化物、硫酸塩、水酸化物、硝酸塩、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群、
より好ましくは、塩化物、フッ化物、硫酸塩、水酸化物、硝酸塩、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、1つ以上のアルミニウム塩のアニオンは、塩化物および/または硫酸塩、好ましくは塩化物であり、
より好ましくは、1つ以上のアルミニウム含有化合物は、塩化アルミニウムを含み、より好ましくは、1つ以上のアルミニウム含有化合物は、塩化アルミニウムである。
【0021】
(3)における1つ以上のケイ素含有化合物は、ケイ酸塩からなる群、より好ましくは、シリケート塩からなる群、より好ましくは、アルカリ金属ケイ酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましく、アルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、より好ましくは、Li、Na、K、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、アルカリ金属は、Naおよび/またはK、好ましくはNaであり、
より好ましくは、1つ以上のケイ素含有化合物は、ケイ酸ナトリウムを含み、より好ましくは、1つ以上のケイ素含有化合物は、ケイ酸ナトリウムである。
【0022】
(3)において調製される溶液S3は、1つ以上の塩基をさらに含むことが好ましく、1つ以上の塩基は、好ましくは、無機および有機塩基からなる群、好ましくは、無機塩基の群から選択され、好ましくは、1つ以上の塩基は、水酸化物、炭酸塩、アルミン酸塩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、より好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、より好ましくは、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上の塩基は、1つ以上のアルカリ金属炭酸塩を含み、アルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、より好ましくは、Li、Na、K、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、アルカリ金属は、Naおよび/またはK、好ましくはNaである。
【0023】
(3)において調製される溶液S3が1つ以上の塩基をさらに含む場合、1つ以上の塩基の濃度は、0.01~10mol/l、より好ましくは0.05~5mol/l、より好ましくは0.1~3mol/l、より好ましくは0.3~2.5mol/l、より好ましくは0.5~2.1mol/l、より好ましくは0.8~1.8mol/l、より好ましくは1~1.6mol/l、より好ましくは1.2~1.4mol/l、より好ましくは1.25~1.35mol/l、およびより好ましくは1.28~1.3mol/lの範囲であることが好ましい。
【0024】
(4)における1つ以上のアルミニウム含有化合物は、アルミン酸塩からなる群、より好ましくは、アルミネート塩からなる群、より好ましくは、アルカリ金属アルミン酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましく、アルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、より好ましくは、Li、Na、K、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、アルカリ金属は、Naおよび/またはK、好ましくはNaであり、
より好ましくは、1つ以上のアルミニウム含有化合物は、アルミン酸ナトリウムを含み、より好ましくは、1つ以上のアルミニウム含有化合物は、アルミン酸ナトリウムである。
【0025】
(1)における1つ以上の塩基の濃度は、0.005~1mol/l、より好ましくは0.01~0.7mol/l、より好ましくは0.03~0.5mol/l、より好ましくは0.05~0.3mol/l、より好ましくは0.08~0.2mol/l、より好ましくは0.1~0.15mol/l、およびより好ましくは0.11~0.13mol/lの範囲であることが好ましい。
【0026】
(2)における1つ以上のニッケル含有化合物の濃度は、0.05~5mol/l、より好ましくは0.1~4mol/l、より好ましくは0.3~3mol/l、より好ましくは0.5~2.5mol/l、より好ましくは0.8~2mol/l、より好ましくは1~1.8mol/l、より好ましくは1.2~1.5mol/l、およびより好ましくは1.35~1.4mol/lの範囲であることが好ましい。
【0027】
(2)における1つ以上のアルミニウム含有化合物の濃度は、0.001~0.5mol/l、より好ましくは0.005~0.3mol/l、より好ましくは0.01~0.2mol/l、より好ましくは0.03~0.15mol/l、より好ましくは0.04~0.1mol/l、より好ましくは0.05~0.08mol/l、より好ましくは0.055~0.075mol/l、およびより好ましくは0.06~0.07mol/lの範囲であることが好ましい。
【0028】
(3)における1つ以上のシリコン含有化合物の濃度は、0.01~5mol/l、より好ましくは0.05~3mol/l、より好ましくは0.1~1.5mol/l、より好ましくは0.2~1mol/l、より好ましくは0.3~0.8mol/l、より好ましくは0.35~0.6mol/l、より好ましくは0.4~0.55mol/l、およびより好ましくは0.45~0.5mol/lの範囲であることが好ましい。
【0029】
(4)における1つ以上のアルミニウム含有化合物の濃度は、0.001~5mol/l、より好ましくは0.05~3mol/l、より好ましくは0.1~2mol/l、より好ましくは0.3~1.5mol/l、より好ましくは0.4~1mol/l、より好ましくは0.5~0.8mol/l、より好ましくは0.55~0.7mol/l、およびより好ましくは0.6~0.65mol/lの範囲であることが好ましい。
【0030】
(4)における1つ以上のアルミニウム含有化合物の濃度が0.001~5mol/lの範囲である場合、(2)における1つ以上のアルミニウム含有化合物の濃度は、0.001~0.2mol/l、より好ましくは0.005~0.1mol/l、より好ましくは0.01~0.08mol/l、より好ましくは0.015~0.05mol/l、より好ましくは0.02~0.04mol/l、およびより好ましくは0.025~0.035mol/lの範囲であることが好ましい。
【0031】
溶液S1にそれぞれ供給される溶液S2の総体積対溶液S3の総体積の比S2:S3は、0.05:1~1:0.05、より好ましくは、0.1:1~1:0.1、より好ましくは0.3:1~1:0.3、より好ましくは0.5:1~1:0.5、より好ましくは0.7:1~1:0.7、より好ましくは0.8:1~1:0.8、およびより好ましくは0.9:1~1:0.9の範囲に含まれることが好ましい。
【0032】
溶液S1にそれぞれ供給される溶液S2の総体積対溶液S3の総体積対任意選択の溶液S4の総体積の比S2:S3:S4は、(0.05~20):(0.05~20):(0.0005~2)、より好ましくは(0.1~10):(0.1~10):(0.001~1)、より好ましくは(0.3~3):(0.3~3):(0.005~0.07)、より好ましくは(0.5~2):(0.5~2):(0.01~0.05)、より好ましくは(0.7~1.5):(0.7~1.5):(0.015~0.045)、より好ましくは(0.8~1.3):(0.8~1.3):(0.02~0.04)、およびより好ましくは(0.9~1.1):(0.9~1.1):(0.025~0.035)の範囲に含まれることが好ましい。
【0033】
溶液S2の総体積対それが供給される溶液S1の総体積の比S2:S1は、0.01~5、より好ましくは0.05~2、好ましくは0.1~1、より好ましくは0.3~0.7、より好ましくは0.4~0.55、およびより好ましくは0.45~0.5の範囲に含まれることが好ましい。
【0034】
溶液S2の総体積対それが供給される溶液S1の総体積の比S3:S1は、0.01~5、より好ましくは0.05~2、好ましくは0.1~1、より好ましくは0.3~0.7、より好ましくは0.4~0.55、およびより好ましくは0.45~0.5の範囲に含まれることが好ましい。
【0035】
任意選択の溶液S4の総体積対それが供給される溶液S1の総体積の比S4:S1は、0.0001~1、より好ましくは0.0005~0.5、より好ましくは0.001~0.1、より好ましくは0.003~0.05、より好ましくは0.005~0.03、より好ましくは0.008から0.025、より好ましくは0.01~0.02、およびより好ましくは0.013~0.017の範囲に含まれることが好ましい。
【0036】
互いに独立して、(5)におけるS2、S3の溶液、および任意選択の溶液S4の供給は、1分~24時間、より好ましくは0.05~12時間、より好ましくは0.1~6時間、より好ましくは0.25~3時間、より好ましくは0.5~1.5時間、およびより好ましくは0.75~1.25時間の範囲に含まれる期間にわたって行われることが好ましい。
【0037】
溶液S2およびS3、ならびに(4)における任意選択の溶液S4の溶液S1への供給は、その後または同時に、より好ましくは同時に行われることが好ましい。
【0038】
(4)における溶液S2およびS3の溶液S1への供給は、溶液S1をかき混ぜながら行われることが好ましく、溶液S1のかき混ぜは、より好ましくは、撹拌によって達成される。
【0039】
溶液S1、S2、S3、および任意選択の溶液S4は、(5)における溶液S2およびS3、ならびに任意選択の溶液S4の溶液S1への供給前に加熱されることが好ましく、それぞれの溶液が(5)における供給前に加熱される温度は、30~100℃、好ましくは50~99℃、より好ましくは60~98℃、より好ましくは70~96℃、およびより好ましくは75~94℃、より好ましくは80~92℃、より好ましくは85~90℃の範囲に含まれる。
【0040】
(5)における供給中に、結果として得られる混合物は、30~100℃、好ましくは50~99℃、より好ましくは60~98℃、より好ましくは70~96℃、より好ましくは75~94℃、より好ましくは80~92℃、およびより好ましくは85~90℃の範囲に含まれる温度で加熱され、維持されることが好ましい。
【0041】
プロセスは、さらなるステップを含み得る。プロセスは、
(7)(6)で得られた担持ニッケル触媒前駆体を洗浄すること、
および/または、好ましくはおよび
(8)(6)もしくは(7)で得られた担持ニッケル触媒前駆体を乾燥させること、をさらに含むことが好ましい。
【0042】
上に開示したように、プロセスは、さらなるプロセスステップを含み得る。プロセスは、
(9)NiO、SiO2、およびAl2O3の混合酸化物を含む担持ニッケル触媒前駆体を得るために、(6)、(7)、または(8)で得られた担持ニッケル触媒前駆体を焼成することをさらに含むことが好ましい。
【0043】
プロセスが(9)をさらに含む場合、(9)における焼成は、200~900℃、より好ましくは230~700℃、より好ましくは250℃~600℃、より好ましくは280~550℃、より好ましくは300~500℃、より好ましくは330~450℃、より好ましくは350~400℃、およびより好ましくは370~380℃の範囲の温度で実行されることが好ましい。
【0044】
さらに、プロセスが(9)をさらに含む場合、(9)における焼成は、空気を含有する雰囲気中で実行されることが好ましく、好ましくは、(9)における焼成は、空気中で実行される。
【0045】
なおさらに、本発明は、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つに記載のプロセスに従って、好ましくは、本明細書に開示されるように、プロセスステップ(1)、(2)、(3)、好ましくは(4)、(5)、(6)、好ましくは(7)、好ましくは(8)、および好ましくは(9)を含むプロセスに従って、より好ましくは、本明細書に開示されるように、プロセスステップ(1)、(2)、(3)、好ましくは(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、および好ましくは(9)を含むプロセスに従って、より好ましくは、本明細書に開示されるように、プロセスステップ(1)、(2)、(3)、好ましくは(4)、(5)、(6)、好ましくは(7)、および好ましくは(8)を含むプロセスに従って、より好ましくは、本明細書に開示されるように、プロセスステップ(1)、(2)、(3)、好ましくは(4)、(5)、(6)、(7)、および(8)を含むプロセスに従って入手可能および/または得られる担持ニッケル触媒前駆体に関する。
【0046】
なおさらに、本発明は、担持ニッケル触媒前駆体を焼成するステップを含む本明細書に開示される特定の好ましい実施形態のいずれか1つに記載のプロセスに従って入手可能および/または得られる、NiO、SiO2、およびAl2O3の混合酸化物を含む担持ニッケル触媒前駆体に関する。
【0047】
なおさらに、本発明は、
(i)本明細書に開示される実施形態のいずれか1つに記載のプロセスに従って入手可能および/または得られる担持ニッケル触媒前駆体を提供することと、
(ii)担持ニッケル触媒を得るために、水素雰囲気中で(i)で提供される担持ニッケル触媒前駆体を還元することと、を含む、担持ニッケル触媒を調製するためのプロセスに関する。
【0048】
(ii)における還元は、200~500℃、より好ましくは300~470℃、より好ましくは350~450℃、より好ましくは400~440℃、およびより好ましくは420~430℃の範囲の温度で行われることが好ましい。
【0049】
(ii)における還元は、0.25~5時間、より好ましくは0.5~4時間、より好ましくは1~3.5時間、より好ましくは1.25~3時間、より好ましくは1.5~2.5時間、およびより好ましくは1.75~2.25時間の範囲の期間にわたって行われることが好ましい。
【0050】
担持ニッケル触媒を調製するためのプロセスは、さらなるプロセスステップを含み得る。担持ニッケル触媒の調製のために、
(iii)(ii)で得られた担持ニッケル触媒を、空気を含む雰囲気中で、好ましくは空気からなる雰囲気中で不動態化することをさらに含むことが好ましい。
【0051】
(iii)における不動態化は、75~150℃、より好ましくは80~130℃、より好ましくは85~120℃、より好ましくは90~110℃、およびより好ましくは95~105℃の範囲の温度で行われることが好ましい。
【0052】
(iii)における不動態化は、0.25~4時間、より好ましくは0.5~3時間、より好ましくは0.75~2.5時間、より好ましくは1~2時間、およびより好ましくは1.25~1.75時間の範囲の期間にわたって行われることが好ましい。
【0053】
なおさらに、本発明は、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つに記載のプロセスに従って入手可能および/または得られる担持ニッケル触媒に関する。
【0054】
なおさらに、本発明は、
(A)1つ以上の芳香族化合物と、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つに記載の担持ニッケル触媒、ならびに/または本明細書に開示される実施形態のいずれか1つに記載の担持ニッケル触媒前駆体との混合物を調製することと、
(B)100~400℃の範囲に含まれる温度で、(A)で得られた混合物を水素と接触させることと、を含む、芳香族化合物を水素化するためのプロセスに関する。
【0055】
芳香族化合物は、芳香族ポリマー化合物からなる群、より好ましくは石油化学樹脂からなる群から選択されることが好ましく、より好ましくは、1つ以上の芳香族化合物は、粗ナフサの蒸留から得られるC9留分の重合生成物を含む。
【0056】
芳香族化合物が芳香族ポリマー化合物からなる群から選択される場合、芳香族ポリマー化合物は、ビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、インデン、メチルスチレン、スチレン、メチルインデン、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の化合物を含む1つ以上のモノマーの重合から得られることが好ましく、好ましくは、1つ以上のモノマーは、1つ以上のビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、インデン、メチルスチレン、スチレン、および1つ以上のメチルインデンを含む。
【0057】
(B)における接触は、150~350℃、より好ましくは200~320℃、より好ましくは230~300℃、より好ましくは250~290℃、より好ましくは260~280℃、およびより好ましくは265~275℃の範囲に含まれる温度で行われることが好ましい。
【0058】
(B)における接触は、0.1~10時間、より好ましくは0.5~5時間、より好ましくは1~3時間、より好ましくは1.5~2.5時間、およびより好ましくは1.8~2.2時間の範囲の期間にわたって行われることが好ましい。
【0059】
(B)における接触は、5~200バール、より好ましくは10~150バール、より好ましくは30~120バール、より好ましくは50~100バール、より好ましくは70~90バール、およびより好ましくは75~85バールの範囲に含まれる圧力で行われることが好ましい。
【0060】
(B)における接触は、混合物をかき混ぜながら行われることが好ましく、混合物のかき混ぜは、好ましくは、撹拌によって達成される。
【0061】
(A)で調製される混合物は、1つ以上の芳香族化合物の100重量%に基づいて、0.01~5重量%、より好ましくは0.05~3重量%、好ましくは0.1~2.5重量%、より好ましくは0.3~2.1重量%、より好ましくは0.5~1.8重量%、より好ましくは0.7~1.5重量%、より好ましくは0.8~1.3重量%、およびより好ましくは0.9~1.1重量%の触媒を含有することが好ましい。
【0062】
(B)における接触は、連続および/またはバッチ条件下で、好ましくはバッチ条件下で行われることが好ましい。
【0063】
なおさらに、本発明は、芳香族化合物、好ましくは、芳香族ポリマー化合物、より好ましくは、石油化学樹脂、より好ましくは、粗ナフサの蒸留から得られたC9留分の重合生成物を含む芳香族化合物の水素化における、本明細書に開示される実施形態のいずれか1つに記載の担持ニッケル触媒前駆体および/または本明細書に開示される実施形態のいずれか1つに記載の担持ニッケル触媒の使用に関する。
【0064】
芳香族ポリマー化合物は、ビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、インデン、メチルスチレン、スチレン、メチルインデン、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の化合物を含む1つ以上のモノマーの重合から得られることが好ましく、好ましくは、1つ以上のモノマーは、1つ以上のビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、インデン、メチルスチレン、スチレン、および1つ以上のメチルインデンを含む。
【0065】
単位バール(abs)は、105Paの絶対圧力を指し、単位オングストロームは、10-10mの長さを指す。
【0066】
本発明は、以下の一連の実施形態、ならびに示されるような従属性および後方参照から生じる実施形態の組み合わせによりさらに説明される。特に、実施形態の範囲が述べられている各場合において、例えば、「実施形態1~4のいずれか1つに記載のプロセス」などの用語の文脈において、この範囲におけるすべての実施形態は、当業者にとって明示的に開示されることを意味し、すなわち、この用語の表現は、「実施形態1、2、3、および4のうちのいずれか1つに記載のプロセス」と同義であると当業者によって理解されるべきである。さらに、以下の一連の実施形態が、保護の範囲を決定する一連の請求項ではなく、本発明の一般的かつ好ましい態様を対象とした説明の適切に構成された部分を表すことに明示的に言及したい。
1.Ni、Si、Al、およびOを含む担持ニッケル触媒前駆体であって、好ましくは、実施形態7~39のいずれか1つに記載のプロセスに従って入手可能および/または得られ、触媒前駆体が、2.5~6.5cm3/g(ml/g)、好ましくは3~5.5cm3/g(ml/g)、より好ましくは3.5~5cm3/g(ml/g)、より好ましくは3.7~4.7cm3/g(ml/g)、より好ましくは3.8~4.5cm3/g(ml/g)、より好ましくは3.9~4.3cm3/g(ml/g)、およびより好ましくは4~4.2cm3/g(ml/g)の範囲の総圧入量を示し、
総圧入量が、好ましくは、参考例1に従って決定される、担持ニッケル触媒前駆体。
2.触媒前駆体が、0.5~2cm3/g、好ましくは0.6~1.8cm3/g、より好ましくは0.65~1.5cm3/g、好ましくは0.7~1.3cm3/g、より好ましくは0.75~1.1cm3/g、より好ましくは0.8~1cm3/g、より好ましくは0.85~0.95cm3/g、およびより好ましくは0.9~0.92cm3/gの範囲の総細孔容積を示し、
総細孔容積が、好ましくは、参考例2に従って決定される、実施形態1に記載の触媒前駆体。
3.細孔径が2~5nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積が、0.1~0.5cm3/g、好ましくは0.13~0.4cm3/g、より好ましくは0.15~0.35cm3/g、より好ましくは0.18~0.32cm3/g、より好ましくは0.2~0.29cm3/g、より好ましくは0.22~0.27cm3/g、およびより好ましくは0.24cm3/g~0.25cm3/gの範囲であり、
累積細孔容積が、好ましくは、参考例2に従って決定される、実施形態1または2に記載の触媒前駆体。
4.細孔径が2~60nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積が、0.3~1.5cm3/g、好ましくは0.5~1.2cm3/g、より好ましくは0.55~1cm3/g、より好ましくは0.6~0.9cm3/g、より好ましくは0.65~0.85cm3/g、より好ましくは0.7~0.8cm3/g、およびより好ましくは0.73~0.77cm3/gの範囲であり、
累積細孔容積が、好ましくは、参考例2に従って決定される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の触媒前駆体。
5.細孔径が20~80nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積が、0.15~0.7cm3/g、好ましくは0.18~0.55cm3/g、より好ましくは0.2~0.45cm3/g、より好ましくは0.23~0.4cm3/g、より好ましくは0.25~0.38cm3/g、より好ましくは0.28~0.35cm3/g、およびより好ましくは0.31~0.33cm3/gの範囲であり、
累積細孔容積が、好ましくは、参考例2に従って決定される、実施形態1~4のいずれか1つに記載の触媒前駆体。
6.触媒前駆体のBET表面積が、200~350m2/g、好ましくは230~320m2/g、より好ましくは250~300m2/g、より好ましくは260~285m2/g、およびより好ましくは265~280m2/gの範囲であり、BET表面積が、ISO 9277:2010に従って決定されることが好ましい、実施形態1~5のいずれか1つに記載の触媒前駆体。
7.担持ニッケル触媒前駆体、好ましくは実施形態1~6のいずれか1つに記載の担持ニッケル触媒前駆体を調製するためのプロセスであって、
(1)1つ以上の塩基を含む第1の水溶液(S1)を調製することと、
(2)1つ以上のニッケル含有化合物および1つ以上のアルミニウム含有化合物を含む第2の水溶液(S2)を調製することと、
(3)1つ以上のシリコン含有化合物を含む第3の水溶液(S3)を調製することと、
(4)任意選択で、1つ以上のアルミニウム含有化合物を含む第4の水溶液(S4)を調製することと、
(5)担持ニッケル触媒前駆体を沈殿させるために、溶液S2およびS3ならびに任意選択の溶液S4を溶液S1に供給することであって、結果として得られる混合物が、6.5~8.5の範囲のpHを有する、供給することと、
(6)(5)で得られた混合物から担持ニッケル触媒前駆体を単離することと、を含む、プロセス。
8.(5)で生じる混合物のpHが、6.9~8.1、好ましくは7.1~7.9、より好ましくは7.3~7.8、より好ましくは7.4~7.7の範囲である、実施形態7に記載のプロセス。
9.(1)における1つ以上の塩基が、無機および有機塩基からなる群、好ましくは、無機塩基の群から選択され、好ましくは、1つ以上の塩基が、水酸化物、炭酸塩、アルミン酸塩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、
より好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、
より好ましくは、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、
アルカリ金属が、好ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、
より好ましくは、Li、Na、K、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、アルカリ金属が、Naおよび/またはK、好ましくはNaであり、
より好ましくは、1つ以上の塩基は、炭酸ナトリウムおよび/またはアルミン酸ナトリウム、好ましくは、炭酸ナトリウムを含み、より好ましくは、1つ以上の塩基は、炭酸ナトリウムおよび/またはアルミン酸ナトリウム、好ましくは炭酸ナトリウムである、実施形態7または8に記載のプロセス。
10.1つ以上の塩基が、1つ以上の多塩基性塩、好ましくは、2つ以上の混合物を含む二塩基性、三塩基性、および四塩基性塩からなる群、より好ましくは、2つ以上の混合物を含む二塩基性および三塩基性塩からなる群から選択される1つ以上の多塩基塩を含み、より好ましくは、1つ以上の塩基が、1つ以上の二塩基性および/または1つ以上の三塩基性塩、より好ましくは、1つ以上の二塩基性塩を含み、より好ましくは、1つ以上の塩基が、1つ以上の二塩基性および/または1つ以上の三塩基性塩、より好ましくは、1つ以上の二塩基性塩からなる、実施形態7~9のいずれか1つに記載のプロセス。
11.1つ以上の多塩基性塩の1つ以上のカチオンが、2つ以上の混合物および/または組み合わせを含むアルカリおよびアルカリ土類金属からなる群、好ましくは、2つ以上の混合物および/または組み合わせを含むアルカリ金属からなる群、より好ましくは、2つ以上の混合物および/または組み合わせを含むLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群、
より好ましくは、2つ以上の混合物および/または組み合わせを含むLi、Na、およびKからなる群から選択され、
より好ましくは、1つ以上の多塩基性塩の1つ以上のカチオンが、Naおよび/またはK、好ましくはNaである、実施形態10に記載のプロセス。
12.(2)における1つ以上のニッケル含有化合物が、1つ以上のニッケル塩、好ましくは、1つ以上のNi(II)塩であり、1つ以上のニッケル塩のアニオンが、好ましくは、ハロゲン化物、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硫酸水素塩、水酸化物、硝酸塩、リン酸塩、水素化水素酸塩、リン酸二水素塩、酢酸塩、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群、
より好ましくは、塩化物、臭化物、フッ化物、炭酸水素塩、硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸二水素塩、酢酸塩、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群、
より好ましくは、塩化物、フッ化物、硝酸塩、酢酸塩、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、1つ以上のニッケル塩のアニオンが、塩化物および/または硝酸塩、好ましくは塩化物であり、
より好ましくは、1つ以上のニッケル含有化合物が、塩化ニッケル(II)を含み、より好ましくは、1つ以上のニッケル含有化合物は、塩化ニッケル(II)である、実施形態7~11のいずれか1つに記載のプロセス。
13.(2)における1つ以上のアルミニウム含有化合物が、1つ以上のアルミニウム塩であり、1つ以上のアルミニウム塩のアニオンが、好ましくは、ハロゲン化物、硫酸塩、水酸化物、硝酸塩、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群、より好ましくは、塩化物、フッ化物、硫酸塩、水酸化物、硝酸塩、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、フッ化物、硫酸塩、水酸化物、硝酸塩、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、1つ以上のアルミニウム塩のアニオンが、塩化物および/または硫酸塩、好ましくは塩化物であり、
より好ましくは、1つ以上のアルミニウム含有化合物が、塩化アルミニウムを含み、より好ましくは、1つ以上のアルミニウム含有化合物は、塩化アルミニウムである、実施形態7~12のいずれか1つに記載のプロセス。
14.(3)における1つ以上のケイ素含有化合物が、ケイ酸塩からなる群、好ましくは、シリケート塩からなる群、より好ましくは、アルカリ金属ケイ酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択され、アルカリ金属が、好ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、より好ましくは、Li、Na、K、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、アルカリ金属が、Naおよび/またはK、好ましくはNaであり、
より好ましくは、1つ以上のケイ素含有化合物が、ケイ酸ナトリウムを含み、より好ましくは、1つ以上のケイ素含有化合物が、ケイ酸ナトリウムである、実施形態7~13のいずれか1つに記載のプロセス。
15.(3)で調製される溶液S3が、1つ以上の塩基をさらに含み、1つ以上の塩基が、好ましくは、無機および有機塩基からなる群、好ましくは、無機塩基の群から選択され、好ましくは、1つ以上の塩基が、水酸化物、炭酸塩、アルミン酸塩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、より好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、より好ましくは、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上の塩基が、1つ以上のアルカリ金属炭酸塩を含み、アルカリ金属が、好ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、より好ましくは、Li、Na、K、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、アルカリ金属が、Naおよび/またはK、好ましくはNaである、実施形態7~14のいずれか1つに記載のプロセス。
16.1つ以上の塩基の濃度が、0.01~10mol/l、好ましくは0.05~5mol/l、より好ましくは0.1~3mol/l、より好ましくは0.3~2.5mol/l、より好ましくは0.5~2.1mol/l、より好ましくは0.8~1.8mol/l、より好ましくは1~1.6mol/l、より好ましくは1.2~1.4mol/l、より好ましくは1.25~1.35mol/l、およびより好ましくは1.28~1.3mol/lの範囲である、実施形態15に記載のプロセス。
17.(4)における1つ以上のアルミニウム含有化合物が、アルミン酸塩からなる群、好ましくは、アルミネート塩からなる群、より好ましくは、アルカリ金属アルミン酸塩およびそれらの混合物からなる群から選択され、アルカリ金属が、好ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群、より好ましくは、Li、Na、K、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、アルカリ金属が、Naおよび/またはK、好ましくはNaであり、
より好ましくは、1つ以上のアルミニウム含有化合物が、アルミン酸ナトリウムを含み、より好ましくは、1つ以上のアルミニウム含有化合物が、アルミン酸ナトリウムである、実施形態7~16のいずれか1つに記載のプロセス。
18.(1)における1つ以上の塩基の濃度が、0.005~1mol/l、好ましくは0.01~0.7mol/l、より好ましくは0.03~0.5mol/l、より好ましくは0.05~0.3mol/l、より好ましくは0.08~0.2mol/l、より好ましくは0.1~0.15mol/l、およびより好ましくは0.11~0.13mol/lの範囲である、実施形態7~17のいずれか1つに記載のプロセス。
19.(2)における1つ以上のニッケル含有化合物の濃度が、0.05~5mol/l、好ましくは0.1~4mol/l、より好ましくは0.3~3mol/l、より好ましくは0.5~2.5mol/l、より好ましくは0.8~2mol/l、より好ましくは1~1.8mol/l、より好ましくは1.2~1.5mol/l、およびより好ましくは1.35~1.4mol/lの範囲である、実施形態7~18のいずれか1つに記載のプロセス。
20.(2)における1つ以上のアルミニウム含有化合物の濃度が、0.001~0.5mol/l、好ましくは0.005~0.3mol/l、より好ましくは0.01~0.2mol/l、より好ましくは0.03~0.15mol/l、より好ましくは0.04~0.1mol/l、より好ましくは0.05~0.08mol/l、より好ましくは0.055~0.075mol/l、およびより好ましくは0.06~0.07mol/lの範囲である、実施形態7~19のいずれか1つに記載のプロセス。
21.(3)における1つ以上のシリコン含有化合物の濃度が、0.01~5mol/l、好ましくは0.05~3mol/l、より好ましくは0.1~1.5mol/l、より好ましくは0.2~1mol/l、より好ましくは0.3~0.8mol/l、より好ましくは0.35~0.6mol/l、より好ましくは0.4~0.55mol/l、およびより好ましくは0.45~0.5mol/lの範囲である、実施形態7~20のいずれか1つに記載のプロセス。
22.(4)における1つ以上のアルミニウム含有化合物の濃度が、0.001~5mol/l、好ましくは0.05~3mol/l、より好ましくは0.1~2mol/l、より好ましくは0.3~1.5mol/l、より好ましくは0.4~1mol/l、より好ましくは0.5~0.8mol/l、より好ましくは0.55~0.7mol/l、およびより好ましくは0.6~0.65mol/lの範囲である、実施形態7~21のいずれか1つに記載のプロセス。
23.(2)における1つ以上のアルミニウム含有化合物の濃度が、0.001~0.2mol/l、好ましくは0.005~0.1mol/l、より好ましくは0.01~0.08mol/l、より好ましくは0.015~0.05mol/l、より好ましくは0.02~0.04mol/l、およびより好ましくは0.025~0.035mol/lの範囲である、実施形態22に記載のプロセス。
24.溶液S1にそれぞれ供給される溶液S2の総体積対溶液S3の総体積の比S2:S3が、0.05:1~1:0.05、好ましくは0.1:1~1:0.1、より好ましくは0.3:1~1:0.3、より好ましくは0.5:1~1:0.5、より好ましくは0.7:1~1:0.7、より好ましくは0.8:1~1:0.8、およびより好ましくは0.9:1~1:0.9の範囲に含まれる、実施形態7~23のいずれか1つに記載のプロセス。
25.溶液S1にそれぞれ供給される溶液S2の総体積対溶液S3の総体積対任意選択の溶液S4の総体積の比S2:S3:S4が、(0.05~20):(0.05~20):(0.0005~2)、好ましくは(0.1~10):(0.1~10):(0.001~1)、より好ましくは(0.3~3):(0.3~3):(0.005~0.07)、より好ましくは(0.5~2):(0.5~2):(0.01~0.05)、より好ましくは(0.7~1.5):(0.7~1.5):(0.015~0.045)、より好ましくは(0.8~1.3):(0.8~1.3):(0.02~0.04)、およびより好ましくは(0.9~1.1):(0.9~1.1):(0.025~0.035)の範囲に含まれる、実施形態7~24のいずれか1つに記載のプロセス。
26.溶液S2の総体積対それが供給される溶液S1の総体積の比S2:S1が、0.01~5、0.05~2、より好ましくは0.1~1、より好ましくは0.3~0.7、より好ましくは0.4~0.55、およびより好ましくは0.45~0.5の範囲に含まれる、実施形態7~25のいずれか1つに記載のプロセス。
27.溶液S2の総体積対それが供給される溶液S1の総体積の比S3:S1が、0.01~5、0.05~2、より好ましくは0.1~1、より好ましくは0.3~0.7、より好ましくは0.4~0.55、およびより好ましくは0.45~0.5の範囲に含まれる、実施形態7~26のいずれか1つに記載のプロセス。
28.任意選択の溶液S4の総体積対それが供給される溶液S1の総体積の比S4:S1が、0.0001~1、好ましくは0.0005~0.5、より好ましくは0.001~0.1、より好ましくは0.003~0.05、より好ましくは0.005~0.03、より好ましくは0.008~0.025、より好ましくは0.01~0.02、およびより好ましくは0.013~0.017の範囲に含まれる、実施形態7~27のいずれか1つに記載のプロセス。
29.互いに独立して、(5)におけるS2、S3の溶液、および任意選択の溶液S4の供給が、1~24時間、好ましくは0.05~12時間、より好ましくは0.1~6時間、より好ましくは0.25~3時間、より好ましくは0.5~1.5時間、およびより好ましくは0.75~1.25時間の範囲に含まれる期間にわたって行われる、実施形態7~28のいずれか1つに記載のプロセス。
30.溶液S2およびS3、ならびに(4)における任意選択の溶液S4の溶液S1への供給が、続いてまたは同時に、好ましくは同時に行われる、実施形態7~29のいずれか1つに記載のプロセス。
31.(4)における溶液S2およびS3の溶液S1への供給が、溶液S1をかき混ぜながら行われ、溶液S1のかき混ぜが、好ましくは撹拌によって達成される、実施形態7~30のいずれか1つに記載のプロセス。
32.溶液S1、S2、S3、および任意選択の溶液S4が、(5)における溶液S2およびS3、ならびに任意選択の溶液S4の溶液S1への供給前に加熱され、(5)における供給前にそれぞれの溶液が加熱される温度が、30~100℃、好ましくは50~99℃、より好ましくは60~98℃、より好ましくは70~96℃、より好ましくは75~94℃、より好ましくは80~92℃、およびより好ましくは85~90℃の範囲に含まれる、実施形態7~31のいずれか1つに記載のプロセス。
33.(5)における供給中に、結果として得られた混合物が、30~100℃、好ましくは50~99℃、より好ましくは60~98℃、より好ましくは70~96℃、より好ましくは75~94℃、より好ましくは80~92℃、およびより好ましくは85~90℃の範囲に含まれる温度で加熱され、維持される、実施形態7~32のいずれか1つに記載のプロセス。
34.プロセスが、
(7)(6)で得られた担持ニッケル触媒前駆体を洗浄すること、
および/または、好ましくはおよび
(8)(6)もしくは(7)で得られた担持ニッケル触媒前駆体を乾燥させること、をさらに含む、実施形態7~33のいずれか1つに記載のプロセス。
35.プロセスが、(9)NiO、SiO2、およびAl2O3の混合酸化物を含む担持ニッケル触媒前駆体を得るために、(6)、(7)、または(8)で得られた担持ニッケル触媒前駆体を焼成することをさらに含む、実施形態7~34のいずれか1つに記載のプロセス。
36.(9)における焼成が、200~900℃、好ましくは230~700℃、より好ましくは250~600℃、より好ましくは280~550℃、より好ましくは300~500℃、より好ましくは330~450℃、より好ましくは350~400℃、およびより好ましくは370~380℃の範囲の温度で実行される、実施形態35に記載のプロセス。
37.(9)における焼成が、空気を含有する雰囲気中で実行され、好ましくは、(9)における焼成が、空気中で実行される、実施形態35または36に記載のプロセス。
38.実施例7~37のいずれか1つに記載のプロセスに従って、好ましくは、実施形態7~34のいずれか1つに記載のプロセスに従って入手可能および/または得られる、担持ニッケル触媒前駆体。
39.実施形態35~37のいずれか1つに記載のプロセスに従って入手可能および/または得られる、NiO、SiO2、およびAl2O3の混合酸化物を含む、担持ニッケル触媒前駆体。
40.担持ニッケル触媒を調製するためのプロセスであって、
(i)実施形態38または39に記載の担持ニッケル触媒前駆体を提供することと、
(ii)担持ニッケル触媒を得るために、水素雰囲気中で(i)で提供される担持ニッケル触媒前駆体を還元することと、を含む、プロセス。
41.(ii)における還元が、200~500℃、より好ましくは300~470℃、より好ましくは350~450℃、より好ましくは400℃~440℃、およびより好ましくは420~430℃の範囲の温度で行われる、実施形態40に記載のプロセス。
42.(ii)における還元が、0.25~5時間、好ましくは0.5~4時間、より好ましくは1~3.5時間、より好ましくは1.25~3時間、より好ましくは1.5~2.5時間、およびより好ましくは1.75~2.25時間の範囲の期間にわたって行われる、実施形態40または41に記載のプロセス。
43.プロセスが、
(iii)(ii)で得られた担持ニッケル触媒を、空気を含む雰囲気中で、好ましくは空気からなる雰囲気中で不動態化することをさらに含む、実施形態40~42のいずれか1つに記載のプロセス。
44.(iii)における不動態化が、75~150℃、好ましくは80~130℃、より好ましくは85~120℃、より好ましくは90~110℃、およびより好ましくは95~105℃の範囲の温度で行われる、実施形態43に記載のプロセス。
45.(iii)における不動態化が、0.25~4時間、好ましくは0.5~3時間、より好ましくは0.75~2.5時間、より好ましくは1~2時間、およびより好ましくは、1.25~1.75時間の範囲の期間にわたって行われる、実施形態44に記載のプロセス。
46.実施形態40~45のいずれか1つに記載のプロセスに従って入手可能および/または得られる、担持ニッケル触媒。
47.芳香族化合物を水素化するためのプロセスであって、
(A)1つ以上の芳香族化合物と、実施形態46に記載の触媒、ならびに/または実施形態1~6、38、および39のいずれか1つに記載の触媒前駆体との混合物を調製することと、
(B)100~400℃の範囲に含まれる温度で、(A)で得られた混合物を水素と接触させることと、を含む、プロセス。
48.芳香族化合物が、芳香族ポリマー化合物からなる群、好ましくは石油化学樹脂からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上の芳香族化合物が、粗ナフサの蒸留から得られるC9留分の重合生成物を含む、実施形態47に記載のプロセス。
49.芳香族ポリマー化合物が、ビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、インデン、メチルスチレン、スチレン、メチルインデン、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の化合物を含む1つ以上のモノマーの重合から得られ、好ましくは、1つ以上のモノマーが、1つ以上のビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、インデン、メチルスチレン、スチレン、および1つ以上のメチルインデンを含む、実施形態48に記載のプロセス。
50.(B)における接触が、150~350℃、好ましくは200~320℃、より好ましくは230~300℃、より好ましくは250~290℃、より好ましくは260~280℃、より好ましくは265~275℃の範囲に含まれる温度で行われる、実施形態47~49のいずれか1つに記載のプロセス。
51.(B)における接触が、0.1~10時間、好ましくは0.5~5時間、より好ましくは1~3時間、より好ましくは1.5~2.5時間、およびより好ましくは1.8~2.2時間の範囲の期間にわたって行われる、実施形態47~50のいずれか1つに記載のプロセス。
52.(B)における接触が、5~200バール、好ましくは10~150バール、より好ましくは30~120バール、より好ましくは50~100バール、より好ましくは70~90バール、およびより好ましくは75~85バールの範囲に含まれる圧力で行われる、実施形態47~51のいずれか1つに記載のプロセス。
53.(B)における接触が、混合物をかき混ぜながら行われ、混合物のかき混ぜが、好ましくは撹拌によって達成される、実施形態47~52のいずれか1つに記載のプロセス。
54.(A)で調製された混合物が、1つ以上の芳香族化合物の100重量%に基づいて、0.01~5重量%、好ましくは0.05~3重量%、より好ましくは0.1~2.5重量%、より好ましくは0.3~2.1重量%、より好ましくは0.5~1.8重量%、より好ましくは0.7~1.5重量%、より好ましくは0.8~1.3重量%、およびより好ましくは0.9~1.1重量%の触媒前駆体を含有する、実施形態47~53のいずれか1つに記載のプロセス。
55.(B)における接触が、連続的および/またはバッチ条件下で、好ましくはバッチ条件下で行われる、実施形態47~54のいずれか1つに記載のプロセス。
56.実施形態46に記載の担持ニッケル触媒ならびに/または実施形態1~6、38、および39のいずれか1つに記載の担持ニッケル触媒前駆体の使用であって、芳香族化合物、好ましくは、芳香族ポリマー化合物、より好ましくは、石油化学樹脂、より好ましくは、粗ナフサの蒸留から得られたC9留分の重合生成物を含む芳香族化合物の水素化における、使用。
57.芳香族ポリマー化合物が、ビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、インデン、メチルスチレン、スチレン、メチルインデン、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上の化合物を含む1つ以上のモノマーの重合から得られ、好ましくは、1つ以上のモノマーが、1つ以上のビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、インデン、メチルスチレン、スチレン、および1つ以上のメチルインデンを含む、実施形態56に記載の使用。
【0067】
実験セクション
本発明を、以下の実施例および参考例によってさらに説明する。
【0068】
参考例1:Hg圧入による総細孔容積の決定
総細孔容積は、標準ASTM D 4284-12に従う圧入水銀ポロシメトリーによって決定した。
【0069】
参考例2:N2吸着による細孔容積の決定
総細孔容積は、BJH法からの窒素吸着によって、好ましくはDIN 66134またはASTM D4641-12に従って決定する。
【0070】
参考例3:pHの決定
pHは、WTWからのpH 3310 pHメーターで測定した。各使用の前に、pH電極は、それぞれpH=7およびpH=10での校正用の標準溶液を使用して室温で校正した。出発溶液のpHを室温で測定した。合成中のpH曲線を監視するために、共沈条件(T=90℃)に対応する条件で、pHを継続的に測定し、pH値を毎分記録した。pH値の温度依存性が考慮される。
【0071】
参考例4:HACの決定
水素吸着容量(HAC)は、触媒作用に利用できるニッケル表面積のレベルを決定するための一般的な尺度である。本発明の触媒は、典型的には、24~32mlのH2/g触媒の範囲のHACを有する。
【0072】
触媒のHACは、MicromeriticsのAutochem 2920を使用して測定した。典型的な手順では、0.2gの触媒を使用した。HACは、アルゴン雰囲気下で10℃/分の速度で温度を-75℃から700℃に上昇させている間に脱着した水素の量によって決定する。
【0073】
参考例5:水素化触媒前駆体の調製
水素化触媒の触媒活性相は、典型的には、元素のNiである。高度に分散された触媒を得るために、触媒活性相は、典型的には、酸化性キャリア、例えば、組み合わせたSiO2-Al2O3担体上に担持される。
【0074】
共沈は、バッフルを備えた撹拌槽型反応器で行い、濃度の変動が均質な生成物をもたらすことができるため、容器中の濃度差を最小限に抑えるための混合を得た。容器は、所望の温度に加熱することができる。撹拌槽には当初、「ヒール」と呼ばれる水/担体(前駆体)溶液が含有していた。次いで、ギルソンポンプを使用して、2つの異なる液体ストリームを必要な流量で同時に容器に添加した。一方のストリームでは、金属溶液を容器にポンプ輸送し、もう一方のストリームでは、担体溶液をポンプ輸送した。
【0075】
例えば、Ni水素化触媒前駆体(本明細書ではNiO/SiO2-Al2O3とも称される)は、NiCl2溶液からの不溶性Ni塩および/または水酸化物をNaSiO3・6H2O、NaAlO2、およびソーダ(Na2CO3)と共沈させ、ヒールとしてNaAlO2およびソーダを提供することによって調製することができ、酸ストリーム(ストリーム1)は、NiCl2を含み、塩基ストリーム(ストリーム2)は、NaSiO3・6H2Oおよびソーダを含む。
【0076】
実施例1:担持ニッケル触媒の調製
参考例3による設定を適用することによって、以下の条件を適用した。以下のパラメータ、条件、および特性を適用して、典型的な沈殿調製を実行した。
-1600mlの水を46.5gのNaAlO2溶液(NaAlO2濃度=51.6g/kg)と混合することによってヒールを提供した
-ヒールを90℃の温度に加熱し、450rpmで撹拌した。
-ストリーム1は、132.2gのNiCl2、5.4gのAlCl3・6H2O、および750mlの水を含む金属前駆体溶液を調製することによって提供した。
-ストリーム2は、74gのNa2SiO3・5H2O、102.5gのNa2CO3、および750mlの水を含む担体前駆体溶液を調製することによって提供した。
【0077】
ストリームは、1時間の期間内に90℃の温度でヒールに同時に添加した。したがって、最終的なpHは、7.0~8.5の範囲の7.6であった。
【0078】
沈殿(溶液の添加)後、したがって、約1時間後、スラリーを濾過および洗浄ユニットに移した。沈殿後のスラリーの総体積は、3000mlであった。濾過、洗浄(約40~60LのH2Oで)、および乾燥(100℃で一晩)後、固体材料の量は、約120gであった。
【0079】
得られた生成物のサンプルは、静的空気中、375℃で焼成(5℃/分、1.5時間)し、305m2/gのBET比表面積、0.72cm3/gの総細孔容積、0.28cm3/gの細孔径が2~5nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積、0.61cm3/gの細孔径が2~60nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積、0.20cm3/gの細孔径が20~80nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積を有していた。さらに、得られた生成物の焼成されたサンプルは、3.7cm3/g(ml/g)の総圧入量を有していた。
【0080】
乾燥した固体材料を425℃で2時間水素で活性化し、その後必要に応じて不動態化した。
【0081】
結果として得られた担持ニッケル触媒は、26.2mlH2/g触媒の水素吸着容量を有していた。炭化水素樹脂(RRH)を水素化する触媒の反応速度定数は、1.362h-1であると決定した。触媒の活性は、100%であった。
【0082】
実施例2:水素化触媒の調製
参考例3による設定を適用することによって、以下の条件を適用した。NiCl2(132.2g)およびAlCl3(11.6g)を含有する750mlの水溶液、ならびにメタケイ酸ナトリウム(74.1g)および炭酸ナトリウム(102.5g)を含有する750mlの水溶液を、90℃で1時間十分に撹拌した(450rpm)沈殿容器に同時にポンプ輸送した。沈殿容器(ヒール)の出発溶液は、炭酸ナトリウム(20g)の1600ml水溶液からなっていた。したがって、最終的なpHは、7.0~8.5の範囲の7.8であった。
【0083】
沈殿(溶液の添加)後、したがって、約1時間後、スラリーを濾過および洗浄ユニットに移した。沈殿後のスラリーの総体積は、3000mlであった。濾過、洗浄(約40~60LのH2Oで)、および乾燥(100℃で一晩)後、固体材料の量は、約120gであった。
【0084】
得られた生成物のサンプルは、静的空気中、375℃で焼成(5℃/分、1.5時間)し、266m2/gのBET比表面積は、0.91cm3/gの総細孔容積、0.25cm3/gの細孔径が2~5nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積、0.80cm3/gの細孔径が2~60nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積、0.31cm3/gの細孔径が20~80nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積を有していた。さらに、得られた生成物の焼成されたサンプルは、総圧入量4.1cm3/g(ml/g)を有していた。
【0085】
乾燥した固体材料を425℃で2時間水素で活性化し、その後必要に応じて不動態化した。
【0086】
結果として得られた担持ニッケル触媒は、31.5mlH2/g触媒の水素吸着容量を有していた。炭化水素樹脂(RRH)を水素化する触媒の反応速度定数は、1.58h-1であると決定した。触媒の活性は、116%であった。
【0087】
比較例3:水素化触媒の調製
参考例3による設定を適用することによって、以下の条件を適用した。NiCl2(132.2g)を含有する750mlの水溶液、ならびにメタケイ酸ナトリウム(74.1g)および炭酸ナトリウム(102.5g)を含有する750mlの水溶液を、90℃で1時間十分に撹拌した(450rpm)沈殿容器に同時にポンプ輸送した。沈殿容器(ヒール)の出発溶液は、アルミン酸ナトリウムの1600ml水溶液(11.7g、濃度51.2g/kg)からなっていた。したがって、最終的なpHは、7.0~8.5の範囲の7.7であった。
【0088】
沈殿(溶液の添加)後、したがって、約1時間後、スラリーを濾過および洗浄ユニットに移した。沈殿後のスラリーの総体積は、3000mlであった。濾過、洗浄(約40~60LのH2Oで)、および乾燥(100℃で一晩)後、固体材料の量は、約120gであった。
【0089】
得られた生成物のサンプルは、静的空気中、375℃で焼成(5℃/分、1.5時間)し、-420m2/gのBET比表面積、0.43cm3/gの総細孔容積、0.38cm3/gの細孔径が2~5nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積、0.42cm3/gの細孔径が2~60nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積、0.02cm3/gの細孔径が20~80nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積を有していた。さらに、得られた生成物の焼成されたサンプルは、2.0cm3/g(ml/g)の総圧入量を有していた。
【0090】
乾燥した固体材料を425℃で2時間水素で活性化し、必要に応じて不動態化した。
【0091】
このようにして得られた活性化材料は、29.3mlのH2/g触媒の水素吸着容量を有していた。炭化水素樹脂(RRH)を水素化する活性化材料の反応速度定数は、1.032h-1であると決定した。活性化材料の活性は、76%であった。
【0092】
実施例4:水素化触媒の調製
参考例3による設定を適用することによって、以下の条件を適用した。NiCl2(132.2g)およびAlCl3(5.4g)を含有する750mlの水溶液、ならびにメタケイ酸ナトリウム(74.1g)および炭酸ナトリウム(102.5g)を含有する750mlの水溶液、ならびにアルミン酸ナトリウム溶液(23.3gの溶液、濃度51.6g/kg)を含有する第3のストリームを、90℃で1時間十分に撹拌した(450rpm)沈殿容器に同時にポンプ輸送した。沈殿容器(ヒール)の出発溶液は、1600mlのソーダ水溶液(20g)からなっていた。したがって、最終的なpHは、7.0~8.5の範囲の7.7であった。
【0093】
沈殿(溶液の添加)後、したがって、約1時間後、スラリーを濾過および洗浄ユニットに移した。沈殿後のスラリーの総体積は、3000mlであった。濾過、洗浄(約40~60LのH2Oで)、および乾燥(100℃で一晩)後、固体材料の量は、約120gであった。
【0094】
得られた生成物のサンプルは、静的空気中、375℃で焼成(5℃/分、1.5時間)し、280m2/gのBET比表面積、0.91cm3/gの総細孔容積、0.24cm3/gの細孔径が2~5nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積、0.71cm3/gの細孔径が2~60nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積、0.33cm3/gの細孔径が20~80nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積を有していた。さらに、得られた生成物の焼成されたサンプルは、4.1cm3/g(ml/g)の総圧入量を有していた。
【0095】
乾燥した固体材料を425℃で2時間水素で活性化し、必要に応じて不動態化した。
【0096】
このようにして得られた活性化材料は、29.4mlのH2/g触媒の水素吸着容量を有していた。炭化水素樹脂(RRH)を水素化する活性化材料の反応速度定数は、1.529h-1であると決定した。活性化材料の活性は、112%であった。
【0097】
比較例5:先行技術による水素化触媒前駆体の調製
比較例5は、特許EP1237651B1に記載されている実施例2に従って調製した。
【0098】
得られた生成物のサンプルは、静的空気中、375℃で焼成(5℃/分、1.5時間)し、283m2/gのBET比表面積、0.46cm3/gの総細孔容積、0.24cm3/gの細孔径が2~5nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積、0.53cm3/gの細孔径が2~60nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積、0.18cm3/gの細孔径が20~80nmの場合の触媒前駆体の累積細孔容積を有していた。さらに、得られた生成物の焼成されたサンプルは、2.2cm3/g(ml/g)の総圧入量を有していた。
【0099】
得られた生成物は、24.4mlのH2/g触媒の水素吸着容量を有していた。得られた炭化水素樹脂(RRH)を水素化する生成物の反応速度定数は、0.679h-1であると決定した。該生成物の活性は、50%であった。
【0100】
実施例6:触媒試験
実施例1、2、および4ならびに比較例3および5の水素化触媒前駆体を、以下の手順に従って試験した。
【0101】
水素化試験は、高硫黄C9樹脂を原料として使用するバッチタイプの反応器HP-9で実行した(硫黄含有量は、125ppmであった)。サンプルの活性を、市販のNi 5338P触媒と比較した。標準試験の条件は、以下であった:
かき混ぜ:1100rpm、
圧力:80バール、
温度:270℃、
原料:75gの樹脂/75gのExxsol D40、
実行時間:2時間、
触媒負荷:乾燥樹脂ベースで1.0%。
【0102】
炭化水素樹脂(RRH)を水素化する触媒の反応速度は、0%~30%の変換率で線形回帰を実行することから得られる反応速度定数で表され、2時間の水素化後の1/hで表される。水素化活性は、触媒のRRHを実施例1のRRHによって正規化することによって計算した。
【0103】
図1~3からわかるように、驚くべきことに、触媒活性は、総圧入量、特に平均細孔径が200~800オングストロームの範囲に含まれる細孔によって生成されるメソ細孔容積と相関していることが見出された。実施例1、2、および4ならびに比較例3および5の水素化触媒前駆体のいくつかの関連する特性の概要を以下の表1に示し、炭化水素樹脂(RRH)を水素化する触媒の反応速度は、反応速度定数によって表され、0%~30%の変換率で線形回帰を実行することで得られ、1/hで表される(2時間後に水素化プロセスが終了する)。実施例1による触媒前駆体の活性は、100%であった。該結果から、両方とも4.1のより高い総圧入量を有する実施例2および4による触媒前駆体は、実施例1による触媒前駆体と比較して、実施例6による水素化反応においてより高い活性を示すことが推論され得る。0.43の総細孔容積を有する比較例3による触媒前駆体は、比較例5による先行技術による触媒前駆体と同様に、比較的低い活性を示す。
【0104】
比較例7:先行技術による水素化触媒前駆体の調製
水素化触媒前駆体は、WO2014/128204A1の実施例3に従って調製した。調製方法に従うことによって、出発物質の量を17分の1に減らした。
【0105】
264.7gの炭酸ナトリウム(Na2CO3)および13.2重量%のシリコン(Si)を含有する55.7gの水ガラスを、容器中で撹拌しながら2.65lの脱イオン水に溶解した。次いで、結果として得られた混合物を90℃に加熱した。次いで、102.9gのニッケル(Ni)(510.0gのNi(NO3)2・6H2O)、8.6gの銅(Cu)(32.9gのCu(NO3)2・3H2O)、および8.4gのアルミニウム(Al)(116.2gのAl(NO3)3・9H2O)を含有する1.41lの金属硝酸塩水溶液を、0.71l/hの供給速度で2時間にわたって添加した。該金属硝酸塩溶液は、硝酸ニッケル、硝酸銅、および硝酸アルミニウムを水に溶解することによって予め作製した。
【0106】
次いで、金属Ni、Cu、Al、Si、およびNaを含有する沈殿物を含む結果として得られたスラリーを、90℃で2時間撹拌した。次いで、pHを測定し、7.9であった。
【0107】
次いで、スラリーを濾過することによって、該沈殿物を回収した。結果として得られたフィルターケーキ(沈殿物)を、洗浄水が最大100microS/cmの導電率になるまで脱イオン水で洗浄した。次いで、フィルターケーキを120℃で15時間乾燥し、続いてそのサンプルを400℃で2時間焼成した。次いで、結果として得られた乾燥材料を粉砕して粉末にした。
【0108】
得られた生成物は、静的空気中、400℃で焼成(5℃/分、2時間)し、259m2/gのBET比表面積、0.56cm3/gの総細孔容積を有していた。
さらに、得られた生成物の焼成されたサンプルは、1.8cm3/g(ml/g)の総圧入量を有していた。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【
図1】参考例2によって決定された総細孔容積に対する、実施例1、2、および4ならびに比較例3による触媒前駆体の相対活性を示す図である。総細孔容積を横軸に示し、相対活性を縦軸に%で示すことによって、実施例1による触媒前駆体の活性を100%に設定した。
【
図2】参考例1によって決定された総細孔容積に対する、実施例1、2、および4ならびに比較例3による触媒前駆体の相対活性を示す図である。総細孔容積を横軸に示し、相対活性を縦軸に%で示すことによって、実施例1による触媒前駆体の活性を100%に設定した。
【
図3】参考例1によって決定された総細孔容積に対する、実施例1、2、および4ならびに比較例3による触媒前駆体の相対活性を示す図である。総細孔容積を横軸に示し、相対活性を縦軸に%で示すことによって、実施例1による触媒前駆体の活性を100%に設定した。引用文献-WO01/36093A1-WO2004/035204-US9,045,410-WO2015/008247A2-WO2014/128204A1
【国際調査報告】