(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】マルチチャンネル・プログラマブル検出センサ
(51)【国際特許分類】
H03K 17/78 20060101AFI20230407BHJP
【FI】
H03K17/78 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549642
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 CA2021050174
(87)【国際公開番号】W WO2021163794
(87)【国際公開日】2021-08-26
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521346357
【氏名又は名称】フォトン コントロール インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PHOTON CONTROL INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】シヴェンキー,ユーリー
【テーマコード(参考)】
5J050
【Fターム(参考)】
5J050AA49
5J050BB16
5J050BB17
5J050BB18
5J050FF04
5J050FF10
(57)【要約】
単一の基板のマルチチャンネル・プログラマブル検出センサを開示する。センサは、エミッタドライバに作動的に接続されたプロセッサと、プログラムに応じてセンサの1つ以上の動作パラメータを制御するための光検出器とを有する。センサは、所望のレベルの光が光ファイバセンサを通って減衰又は伝送されると、TTL信号を出力する。プロセッサは、アナログ高速比較器回路でセンサが検出した信号のトリガレベルを、あらかじめ設定された信号値と実際値との差に基づくしきい値に設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出センサであって、
プロセッサと、当該プロセッサにより又は個別に提供されるスイッチング装置と、前記プロセッサ及び/又は前記スイッチング装置に作動的に接続された複数の独立チャンネルであって、それぞれの独立チャンネルは、光源を提供するエミッタと、物体が前記光源と相互作用することにより遮られる又は反射された受光を処理する検出器とを備える複数の独立チャネルと、を備える、電子基板を含み、
それぞれのチャンネルは、前記プロセッサにより個別にプログラム可能であり、
前記スイッチング装置は、前記検出センサへのプログラミング信号入力に応答して前記検出センサの1つ以上の動作特性を制御するように構成されている検出センサ。
【請求項2】
前記電子基板は、さらに、前記受光を1つ以上のセンサ信号しきい値と比較するように比較器を備える請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記比較器は、複数の異なる調整可能な信号しきい値を使用する請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
上昇しきい値と下降しきい値とを含む請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記エミッタは、発光ダイオード(LED)を含む請求項1~4のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項6】
前記検出器は光検出器を含む請求項1~5のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項7】
前記独立チャンネルは、無変調光を利用する請求項1~6のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記電子基板は、さらに、前記発せられる光の強度を調整するように前記独立チャンネルに作動的に結合されたデジタルアナログ変換器(DAC)を備える請求項1~7のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項9】
前記DACは、前記発せられる光の強度を制御するLED駆動回路に作動的に結合された請求項8に記載のセンサ。
【請求項10】
前記電子基板は、前記受光から生成された受信信号を増幅させるように少なくとも1つの増幅器をさらに備える請求項1~9のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの増幅器は、フィードバック信号を前記プロセッサに供給する請求項10に記載のセンサ。
【請求項12】
前記受信信号は、分割され、一対の増幅器により処理される請求項10又は11に記載のセンサ。
【請求項13】
利得調整のため、トランスインピーダンス増幅器と電圧増幅器とを備える請求項12に記載のセンサ。
【請求項14】
前記電子基板は、前記複数の独立チャンネルのそれぞれのための個別の調整及び検出回路を備える請求項1~13のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの増幅器の出力電圧をモニターし、周囲温度の変動の影響を補償するように前記エミッタから送出される電流を調整するように構成される請求項10~14のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項16】
信号を検出する方法であって、当該方法は、
検出センサの複数の独立チャンネルの1つを選択するステップであって、前記検出センサは、電子基板を備え、当該電子基板は、プロセッサと、当該プロセッサにより又は個別に提供されるスイッチング装置と、前記プロセッサ及び/又は前記スイッチング装置に作動的に接続された前記複数の独立チャンネルとを備え、それぞれの独立チャンネルは、光源を提供するエミッタと、物体が前記光源と相互作用することにより遮られる又は反射された受光を処理する検出器とを備え、それぞれのチャンネルは、前記プロセッサにより個別にプログラム可能である、検出センサの複数の独立チャンネルの1つを選択するステップと、
前記プロセッサ及び/又は前記スイッチング装置を使用して、前記検出センサへのプログラミング信号入力に応答して前記検出センサの1つ以上の動作特性を制御するステップと、
前記独立チャンネルの1つの前記エミッタを使用して前記光源を提供するステップと、
前記受光を受けて処理するステップと、を含む方法。
【請求項17】
前記電子基板は、さらに比較器を備え、前記方法は、さらに、前記受光を1つ以上のセンサ信号しきい値と比較するステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記比較器は、複数の異なる調整可能な信号しきい値を使用する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上昇しきい値と下降しきい値とを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記エミッタは、発光ダイオード(LED)を含む請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記検出器は光検出器を含む請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記独立チャンネルは、無変調光を利用する請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記電子基板は、前記独立チャンネルに作動的に結合されたデジタルアナログ変換器(DAC)をさらに備え、前記DACを使用して前記発せられる光の強度を調整するステップをさらに含む請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記DACは、前記発せられる光の強度を制御するLED駆動回路に作動的に結合された請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記電子基板は、さらに、少なくとも1つの増幅器を備え、前記受光から生成された受信信号を増幅させるステップを含む請求項16~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの増幅器は、フィードバック信号を前記プロセッサに供給する請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記受信信号は、分割され、一対の増幅器により処理される請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
利得調整のため、トランスインピーダンス増幅器と電圧増幅器とを使用するステップを含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記電子基板は、前記複数の独立チャンネルのそれぞれのための個別の調整及び検出回路を備える請求項16~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記プロセッサは、前記少なくとも1つの増幅器の出力電圧をモニターし、周囲温度の変動の影響を補償するように前記エミッタから送出される電流を調整するステップをさらに含む請求項25~29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年2月19日に出願した米国仮特許出願第62/978,527号の優先権を主張し、その内容は、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
以下は、概ね、検出センサに関し、さらに詳細には、単一の基板に実装可能で、迅速な応答時間を提供することができ、例えば、コントラストの応用例において透過型光ファイバセンサ及び反射型光ファイバセンサと適合可能なマルチチャンネル・プログラマブル検出センサに関するものである。
【背景技術】
【0003】
物体検出センサ、特に、光電原理に基づくセンサが周知されており、いくつかの選択肢がある。このようなセンサは、産業界で種々の計測及び制御を目的として幅広く使用されている。このような用途の一例が、コンベヤベルト上の物体の検出である。光電センサは、変調された光線を生成し、当該光線は、検出対象の物体により周期的に遮られる。センサは、受光素子を有し、当該素子は、センサに戻ってきた光を受光する。センサに戻ってきた光は、ターゲットの物体の存在又は不存在の基準である。センサはまた、光センサに戻ってきた光を表す電子信号を供給する回路を含む。
【0004】
典型的な応用例では、物体が光線を遮っている場合、これを光センサの「ターゲット」状態と呼ぶことができる。光線が遮られていない場合、光センサは「バックグラウンド」状態と呼ぶことができる。他の応用例で、2つの状態が、それぞれが異なる反射率を有する2つのターゲットに相当するものであってよい。ターゲット状態で光センサが生成する電気信号のレベル又は大きさは、バックグラウンド状態と比較すると差がある。この差を「コントラスト」と呼ぶことができる。光センサはまた、制御信号として使用できる出力信号を生成するための電子回路を含む。例えば、光センサは、光センサの出力信号を使用してウェハが通過する時を検出することで、ウェハ処理周期中にウェハを検出するために使用することができる。
【0005】
光センサの出力は、検出された光がターゲット状態からバックグラウンド状態へまたその逆に変化すると、変化する。出力が変化する信号のレベルを信号のしきい値と呼ぶ。一般に、このしきい値の信号レベルは、光センサ製造業者により予め設定されている。
【0006】
先行技術の検出センサには、センサの動作モードを調整する機構又は装置と、センサの特定の動作パラメータを調整する機構とが設けられている。先行技術の光センサで調整可能な特性には、光がセンサに戻ってきてセンサが受光した結果として生成される電子信号を増幅又は増大させる増幅器の利得がある。
【0007】
その上、光源駆動電流を、最善な検出条件を得るように調整して、センサのダイナミックレンジを増加させ、信号対雑音比を増加させることができる。センサの動作モード及び動作特性の調整は、ユーザが適切な信号増幅及び出力動作を確立することができるために必要である。一般的に、これまでの解決法では、センサには、センサの種々の動作モード及び特性を設定するように手動で操作させ得る複数のスイッチが設けられていた。
【0008】
さらに最近では、自動的に増幅器の利得を変化させることができるマイクロコントローラーを有する検出センサを利用できるようになっており、当該検出センサは、それぞれの利得レベルにおけるターゲット状態とバックグラウンド状態との両方の電気信号の値を測定し、それぞれの利得レベルの信号の差を比較し、特定のアプリケーションのための増幅器の利得を設定する。このようなセンサの一例が、米国特許第5,281,810号明細書に開示されている。このタイプのセンサは、ターゲット状態とバックグラウンド状態との間の信号の差が比較的少ない場合に、特に有用である。これらのタイプのアプリケーションは、低コントラストアプリケーションと呼ばれ、増幅器が飽和しないように注意深く増幅器利得を調整する必要がある。これによって、2つの状態の間のコントラスト又は差が最大化され得る。この新世代のセンサでは、典型的には、ユーザがその状態に最大の利得設定が必要であるか又は最大の利得設定をすることができると判断したとき、オペレータがセンサの超過利得特性を最大化する設定に利得を調整することができるように、手動優先が存在する。この新世代のセンサはまた、典型的には、センサの種々の動作パラメータ及び動作モードを設定するように複数のスイッチ装置を有する。
【0009】
設置に要する空間を小さくするため検出センサを小型化する努力が引き続き行われてきた。センサが小型化すると、スイッチ及び調整機構に利用可能な空間が小さくなる。このように、最小限のスイッチング装置でセンサの複数の機能をプログラミングすることができるシステムであれば、有利であろう。
【0010】
上述の欠点又は不利点の少なくとも1つに取り組むことが、以下の目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,281,810号明細書
【発明の概要】
【0012】
以下は、物体検出センサに関するものである。このようなセンサは、物体の存在、不存在又は状態を検出するように、工業的応用及び商業的応用において一般的に使用されている。特に、以下は、超音波等他のタイプのセンサがその範囲内と考えられるものの、光電原理の下で動作する検出センサに関する。さらに詳細には、以下は、センサの所望のかつ最適な動作モード及びパラメータを確立するようにユーザが容易かつ迅速にプログラム可能な物体検出センサに関する。
【0013】
一態様では、それぞれのチャンネルがエミッタと検出器とを備え、それぞれのチャンネルをプロセッサによりプログラム可能な、複数の独立チャンネルを含む電子基板を備える検出センサを提供する。
【0014】
ここで添付の図面を参照して実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、光学的感知アプリケーションの概略図である。
【
図2】
図2は、マルチチャンネル感知基板の概略図である。
【
図3】
図3は、マルチチャンネル感知基板用のマイクロコントローラーの一例の概略図である。
【
図4】
図4は、マルチチャンネル感知基板用のDACの一例の回路図である。
【
図5】
図5は、マルチチャンネル感知基板用の制御回路(例えば、発光ダイオード(LED)駆動回路)の一例の回路図である。
【
図6】
図6は、マルチチャンネル感知基板の光検出の一例の回路図である。
【
図7】
図7は、マルチチャンネル感知基板用の信号増幅回路の一例の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
物体により遮断されるか又は反射されることを意図した光信号を生成するためのエミッタと、センサに戻った信号(例えば、反射光/透過光)に基づいて物体の存在、不存在又は状態を表す電子信号を生成するための検出器と、を備えた検出センサを以下に提供する。複数の独立チャンネル(それぞれがエミッタ及び検出器を有する)を有する単一の基板が、センサのチャンネルを多機能にプログラムすることを提供し、プロセッサに入力されるプログラミング信号を生成する。プロセッサは、プログラミング信号に応答してセンサの1つ以上の動作特性を制御するため、エミッタと、検出器と、スイッチング装置とに作動的に接続される。
【0017】
スイッチング装置は、手動で操作させ得る単一の押しボタンなどの単一のスイッチ、又はコンピュータもしくはマイクロコントローラーなどの外部の装置から送信される一連のコマンドにより制御されるソフトウェアを含み得る。電子信号を生成する検出器は、さらに、可変利得増幅器を有し、電子信号は、センサの第1の状態を表す第1のレベルと、センサの第2の状態を表す第2のレベルとを有する。これらの2つの状態は、ターゲット状態及びバックグラウンド状態とそれぞれ呼び得る状態に対応する。プロセッサは、2つの状態の電子信号のレベルを比較し、可変利得増幅器の利得を最適な利得設定に調整するように信号を供給する。プロセッサは、利得設定を、センサの低コントラストの利得を最大化するか又は高い超過利得特性を最大化するように選択する。プロセッサはまた、2つの状態の電子信号の比較に基づいて、センサの信号しきい値とヒステリシス値とを確立する。
【0018】
実装時に、ターゲットの物体から反射するか又はターゲットの物体により遮断されることを意図した一定の光信号を供給するために発光体を備えた光電検出センサを提供することができる。センサは、戻り光を受光する光検出器と、戻り光を表す信号を生成する電子回路とを含む。電子回路は、異なる増幅利得を有する少なくとも2つの増幅段を有する。マイクロコントローラーを、十分な光の条件を満たすLED駆動電流を設定するデジタルアナログ変換器(DAC)とともに、プロセッサとして使用することができる。センサには、それぞれの独立チャンネル用のLED、並びにシステムの現状を示す2つ(又はそれ以上)のLEDを備えることができる。
【0019】
したがって、以下のシステムは、電気信号を、回路基板上のプロセッサ(例えば、マイクロコントローラー)に、又は、直接、光源制御回路に、複数の光検出器信号増幅段に、及び例えばアナログ比較器回路などの検出器回路に、送信することによって、プログラム可能な多機能検出センサを提供する。
【0020】
ここで、図に目を向けると、
図1Aは、光学的感知アプリケーション10の一例を示す。この例のアプリケーション10は、物体の存在又は不存在を検出し、表面の反射もしくは表面間のコントラストの差を検出するように、マルチチャンネル・プログラマブル検出センサ12(又は簡潔に「マルチチャンネルセンサ12」)を使用するか、又は任意の他の適切な光学的感知アプリケーションを使用する。マルチチャンネルセンサ12は、上に説明したように光源を生成し信号を検出するために使用される電子基板16を収容するハウジング14を含む。本例のマルチチャンネルセンサ12は、マルチチャンネルセンサ12を動作させそこからデータを受信するように、外部のコンピュータ又はシステム(図示せず)により使用され得る制御線18に接続されている。制御線18を使用してしきい値を設定することは、例えば、触知型押しボタン、ソフトウェア・インターフェース又は他のスイッチを使用して行うことができる。光ファイバ伝送ケーブル20及び光ファイバ受光ケーブル22を、ハウジング14に供給して、光源を提供し検出光を受信するための電子基板16に接続し得る。ハウジング14は、チャンネル間の光のクロストークを防止するように光絶縁用の区画部を含むことができる。制御線18は、ハウジング14の側面に取り付けられたインターフェース電気コネクタを使用して設けることができる。
図1Bから
図1Eに、アプリケーション10の種々の例、例えば、透過型センサ(
図1B)、反射型センサ(
図1C)、回帰反射型センサ(
図1D)、及び限定反射型センサ(
図1E)を示す。これらの場合、感知対象物体26が、センサに対して動いているので、1つ以上の光源24により検出可能である。
【0021】
図2は、電子基板16のための構成の一例を提供するものである。本例の構成では、マイクロコントローラーなどのプロセッサ40が、パラメータを設定し、入力/出力線42などを介して外部インターフェースと通信するため設けられている。プロセッサ40は、エミッタ回路46、増幅回路52、アナログ比較器44及び温度センサ53に結合されている。基板16は、1つ以上のチャンネルを選択するようにスイッチング装置を含むことができる。このスイッチング装置は、個別の装置(図示せず)であってもよいし、
図2に示すように、全チャンネル用のインターフェース55が、制御器(例えば、プロセッサ40)に直接接続されてもよい。本例のプロセッサ40は、ファームウェアを使用してチャンネル間の切り換えを実行することができる。本例では、それぞれのチャンネルは、LED48を流れる電流、従って(例えば、光ファイバの)光源ケーブル20の光強度を調節し、LED48を介して光源の信号24を供給するエミッタ回路46への入力を含む。物体26が遮るか又は反射させる光は、(例えば、光ファイバの)受光ケーブル22から送信されて、センサ50、例えば、光センサ又は光検出器により検出され、増幅回路52に送られる。増幅回路52は、センサ50が検出した光に基づいて処理された信号を生成する。増幅回路52はまた、基板16のパラメータを調整するためのフィードバックを供給するためのプロセッサ40に結合されている。
【0022】
図2を参照すると、プロセッサ40は、しきい値を設定し、この信号を比較器44に送信することができる。増幅回路52からの信号は、比較器44に結合され、比較器で、出力信号を送信する時が瞬時に決定され得る。これによって、センサ12が、比較的迅速に応答することができる。また、増幅回路52からの信号は、アナログからデジタルに変換されるか、又はプロセッサ40に送られ、プロセッサ40は、この機能を診断と、光強度の調整のためのフィードバックループとのために組み込むことができる。LEDインジケーターライト54は、プロセッサ40に接続し、しきい値に達して出力信号が生成されると点灯するようにできるし、インジケータLED54は、アナログ比較器回路の出力から直接駆動させることもできる。
【0023】
ここで、
図3~
図7の概略図を参照して、一つの例における電子基板16の動作を提示していく。(例えば、マイクロコントローラーを使用した)プロセッサ40の主な機能は、
図2に概ね示したように、パラメータを設定し、外部インターフェースと通信することである。
【0024】
DAC U5(
図4に図示)は、システム・マイクロコントローラーU1(
図3に図示)によりSPIバスを介して制御され、デジタルコードに比例しシステム接地に対して(本例では)ゼロと+3.3VDCとの間の範囲で出力電圧を発生させる。この電圧は、オペアンプU11の非反転入力にアナログスイッチU12_LED_DRV1及び分圧器R23、R25を介して印加される(
図5を参照。
図5では、それぞれのチャンネルに同一の回路を使用可能であり、入力信号を単一のマイクロコントローラーに接続可能である)。これによって、オペアンプは、電流検知抵抗器R27における電圧降下がオペアンプの非反転入力における電圧と等しくなるような安定したDC電流を、LED D2に流すことになる。よって、LEDのDC電流は、本例では、ゼロとおよそ100mAとの間に制御される。LEDの光強度は電流の一次関数であるので、光の出力は、マイクロコントローラーU1により制御される。U12のスイッチは、LED_EN1信号がマイクロコントローラーからの高速ロジック出力に接続されているため、非常に正確なタイミングでLED D2をオンまたはオフにするため使用される。
【0025】
LEDにより発せられた光は、光学系により装置に戻され、フォトダイオードD7(
図6を参照)に当たり、フォトダイオードが、その照度レベルに比例してDC電流を発生させる。この電流は、トランスインピーダンス増幅器U31Aに送られ、U31Aの出力(ピン1)においてDC電圧に変換される。この電圧は、R97、C106、R94及びC104からなる2ポールローパスフィルターによりフィルタ処理され、電圧増幅器U28Cに送られ、その利得は、フィードバック回路R99、R104、R106により決定される。アナログスイッチU38を使用してフィードバック抵抗器を切り換えることによって、2つの異なる利得設定が、実現され得る。
【0026】
増幅器の電圧出力は、ADC U44(
図7を参照)に送られ、ウィンドウ比較器U39(
図6に図示)の入力にも印加される。単安定のU36に入力を供給する比較器の出力とその対応する出力とは、RS双安定(U37)のための入力として使用される。U36及びU37は、この回路が、比較器のしきい値レベルを操作することと合わせて、比較器の出力に追加の柔軟性及びノイズ耐性を提供することができることから、重要である。COMP-OUT信号は、さらに、論理回路がセンサの状態を決定することに使用される。
【0027】
したがって、本明細書に記載の基板16は、マルチチャンネルセンサを組み込むことによって、これらのチャンネルが、いくつかのチャンネルに対して共通な一部の回路(すなわち、電源、プロセッサ、入力及び出力機構、基板、筐体)を共有することができるようになる。個別のセンサのアセンブリと比較すると、このことによって、特にアプリケーション10において、コスト削減と省スペース化とが可能である。
【0028】
さらに、既存の解決法とは違って、マルチチャンネルセンサ12は、無変調光を使用し、応答時間が潜在的に早くなる(よって、時間分解能が高くなる)。これは、変調システムでは、最終的な時間分解能が、典型的には変調周波数により限定されることによる。
【0029】
DACを使用して、発せられる光の信号の強度を(潜在的に、動的に)調整することは、変化する光路損失の補償を可能とし、検出回路に最適な入力信号レベルを供給することに役立つ。
【0030】
受信信号処理を2つの増幅器(一方のトランスインピーダンス増幅器と、他方の電圧増幅器)との間で分割することによって、同様の部品を使用した単一段の設計による場合よりも、(すぐれた時間分解能に必要とされる)帯域幅がさらに広くなり、精度が高くなる。電圧増幅器はまた、利得調整のため好都合な機構も提供する。
【0031】
それぞれのチャンネルに対して個別に、調整(すなわち、ADC+プロセッサ)及び検出(ハードウェアによる比較器及び出力ロジック)回路と方法とを用いることによって、(潜在的に、全自動の駆動レベル、増幅及び検出しきい値設定を含む)利便性と高速動作とが得られる。
【0032】
調整可能な2つの異なる検出しきい値(上昇及び下降)を用いることによって、幅広く変化する条件(例えば、急速に動くターゲット及び緩やかに動くターゲット)における動作が可能となる。比較器は、一般的に、入力信号が緩やかに変化している間の出力チャタリングを回避する(そしてノイズをある程度まで抑制する)ために、固定のしきい値のヒステリシスとともに使用されるが、上述の設計は、性能を向上させる、エッジ検出用の論理回路と結合される完全に調整可能なしきい値を提供する。
【0033】
さらに、完全な電子制御を(すなわち、機械的調整なしに)行うことによって、センサ12の大きさを最小限にすることができ、動作上の信頼性を向上させることができる。
【0034】
本明細書に記載のシステムはまた、ファームウェアを使用して周囲温度の変動の影響に対する補償を行うことができる。
図6を再度参照すると、周囲温度の変化によって、LED光強度とD7のフォトダイオード暗電流値とが変化する。それは、事実上、周囲温度の変化に応じて、トランスインピーダンス増幅器U31Aの出力の変更された電圧レベルに変換される。マイクロコントローラーは、相応に比例するU28C出力電圧並びに
図2の温度センサ53からの周囲温度の情報をモニタリングすることにより、それに応じて、
図5のD2のLEDから送出される電流を調整するので、環境温度の全範囲にわたってセンサの状態の検出精度を維持することができる。
【0035】
適切とみなす場合、図を簡潔に簡略にするため、参照番号を、対応する又は類似する要素を示すために図面間で繰り返すことがある。その上、多数の特定の詳細を、本明細書に記載の例を十分理解してもらうために記載している。しかしながら、本明細書に記載の例は、これらの特定の詳細がなくても実施可能であることは、当業者に自明であろう。他の例では、周知の方法、手順及び構成要素は、本明細書に記載の例が不明瞭にならないように、詳細には記載していない。さらに、本記載は、本明細書に記載の例の範囲を限定するものとみなされるべきでない。
【0036】
本明細書において使用された例と対応する図とは、図示を目的としたものに過ぎないことが理解されるであろう。本明細書に述べた原理から逸脱することなく異なる構成及び用語を使用してよい。例えば、これらの原理から逸脱することなく、構成要素及びモジュールを、追加、削除、変更又は接続を変更して配置することができる。
【0037】
本明細書に例を示した命令を実行する任意のモジュール又は構成要素は、記憶媒体、コンピュータ記憶媒体、もしくは、例えば、磁気ディスク、光学ディスクもしくはテープのデータ記憶装置(取り外し可能型及び/又は取り外し不可能型のもの)などのコンピュータ可読媒体を含むか又はそうでなくてもそれらへのアクセスを有する場合があることも理解されるであろう。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールもしくは他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法又は技術で実装される揮発性及び不揮発性、取り外し可能型及び取り外し不可能型の媒体を含んでよい。コンピュータ記憶媒体の例には、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくは他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶デバイス、又は所望の情報を記憶するのに使用可能でアプリケーション、モジュールもしくは両方によりアクセス可能な任意の他の媒体が含まれる。このような任意のコンピュータ記憶媒体は、センサ14の一部分、センサ14のもしくはセンサ14に関連する、又はセンサ14にアクセス可能もしくは接続可能な任意の構成要素などであってよい。本明細書に記載の任意のアプリケーションもしくはモジュールは、このようなコンピュータ可読媒体により記憶されるかあるいは保持され得るコンピュータ可読/実行可能命令を用いて実装可能である。
【0038】
本明細書に記載のフローチャート及び図におけるステップ又は動作は、例示に過ぎない。これらのステップ又は動作に対する変形が、上述の原理から逸脱することなく、多数存在し得る。例えば、ステップを異なる順番で実行してよいし、ステップを追加、削除又は変更してよい。
【0039】
上の原理についてある特定の例に関連して説明してきたが、添付の特許請求の範囲に概要を示すように、それらの種々の変更が当業者に明らかとなるであろう。
【国際調査報告】