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特表2023-515823医療システム、装置および関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】医療システム、装置および関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20230407BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
A61M1/00
A61B17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551258
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2021018650
(87)【国際公開番号】W WO2021173428
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/982,328
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ライデッカー、ローレン
(72)【発明者】
【氏名】ピック、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】バーク、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】オルティス ガルシア、ファン パブロ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンチー、トラビス
(72)【発明者】
【氏名】ファブロー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】パワーズ、ジェシカ
【テーマコード(参考)】
4C077
4C160
【Fターム(参考)】
4C077AA30
4C077DD01
4C077DD11
4C160MM43
(57)【要約】
医療システムは、材料の供給源と、第1のチューブと、第2のチューブとを含む。材料は、体管腔内に配備後、膨張して多孔質体を形成するように構成されている。第1のチューブは、材料を体管腔内に送達するように構成されており、第2のチューブは、多孔質体に対して吸引を行うように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体管腔内に配備後で膨張して多孔質体を形成する材料の供給源と、
前記材料を前記体管腔内に送達する第1のチューブと、
前記多孔質体に対して吸引を行う第2のチューブと、
を備える、医療システム。
【請求項2】
前記第1のチューブは、前記材料の供給源に連結されており、前記材料を前記体管腔内に噴霧するように構成されている、請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
前記材料は、水分または空気と接触すると膨張したり、凝固したりする液相ポリウレタンフォームを含む、請求項2に記載の医療システム。
【請求項4】
前記材料は、連続気泡フォームを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項5】
前記第1のチューブは少なくとも2つのルーメンを含み、前記材料は、前記第1のチューブ内、前記2つのルーメンの異なるルーメン内を通って送達される2つの液体を含み、前記2つの液体は互いに接触すると凝固して前記多孔質体を形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項6】
前記材料は、前記材料が送達されるポケットの形状をとるように膨張する、請求項1~5のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項7】
前記多孔質体は少なくとも部分的に生分解可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項8】
ケージを形成するように拡張可能な複数本のアームを有する除去装置をさらに含み、前記アームは、形状記憶合金で形成されて自己拡張型である請求項1~7のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項9】
前記アームの少なくとも1本のアームが径方向外方に拡張するとともに、前記少なくとも1本のアームの遠位部分が径方向内方に屈曲するように、前記アームのうちの少なくとも1本は屈曲部を含む、請求項8に記載の医療システム。
【請求項10】
前記ケージは、挿入装置のルーメン内で移動可能であり、前記挿入装置の前記ルーメン内の前記ケージの近位移動は、前記ケージを少なくとも部分的に収縮させる、請求項8または9に記載の医療システム。
【請求項11】
前記多孔質体は、前記ケージと前記挿入装置とを介して前記体管腔から除去できる、請求項10に記載の医療システム。
【請求項12】
前記除去装置および前記第2のチューブは、カテーテルの各ルーメン内で移動可能である、請求項8~10のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項13】
前記除去装置および前記第2のチューブは、前記多孔質体が前記ケージおよび前記第2のチューブの少なくとも遠位部分を囲むように配置可能である、請求項8~12のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項14】
前記第2のチューブ内で移動可能なロッドをさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の医療システム。
【請求項15】
前記ロッドは、前記材料が前記第2のチューブの遠位端部に入ることを防止するシールを形成する、請求項14に記載の医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者を治療するために使用される医療システム、装置および関連する方法に関する。より詳細には、本発明は、創傷を閉鎖したり、組織を治療したりする内視鏡を用いる医療処置のための医療システム、装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸(GI:gastrointestinal)管の内視鏡を用いる開腹手術には、結腸切除、肥満外科手術、食道切除術、胃バイパス、およびスリーブ状胃切除術等が挙げられる。これらの処置の結果、胃腸管の穿孔、手術後の漏出、または他の創傷が生じる可能性がある。かなりの死亡率および失敗率を有するそのような創傷に対処するために限られた治療の選択肢が存在する。選択肢には、外科的再手術、および内視鏡を用いたステントまたはクリップの留置が含まれる。外科手術は比較的侵襲性があり、死亡率および失敗率も高い。内視鏡を用いたステントの留置は侵襲性の少ない選択肢である。しかしながら、留置されたステントは、意図する位置から移動したり治療部位で感染部を囲んだりして、ドレナージを妨害する可能性がある。
【0003】
本発明のシステム、装置、および方法は、上記の欠点のうちのいくつかを修正、または、当分野の他の態様に対応する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の例は、医療システムおよび装置を用いて1つ以上の医療処置を行うシステム、装置および方法に関する。本明細書において開示される各例は、開示される他の例のいずれかと関連して記載される特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0005】
一例では、医療システムは、材料の供給源と、第1のチューブと、第2のチューブとを含む。材料は、体管腔内に配備された後で膨張して多孔質体を形成するように構成される。第1のチューブは材料を体管腔内に送達するように構成され、第2のチューブは多孔質体に対して吸引を行うように構成される。
【0006】
医療システムは、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。第1のチューブは、材料の供給源に連結されて、材料を体管腔内に噴霧するように構成される。材料は、水分または空気と接触すると膨張したり、凝固したりする液相ポリウレタンフォームを含んでもよい。材料は、連続気泡フォームを含んでもよい。第1のチューブは少なくとも2つのルーメンを含み、材料は第1のチューブ内、2つのルーメンの異なるルーメン内を通って送達される2つの液体であって、互いに接触すると凝固して多孔質体を形成する2つの液体を含んでもよい。材料は、材料が内部に送達されるポケットの形状をとるように膨張してもよい。多孔質体は少なくとも部分的に生分解可能であってもよい。
【0007】
医療システムは、ケージを形成するように拡張可能な複数本のアームを有する除去装置をさらに含んでもよい。アームは、自己拡張型であり、形状記憶合金で形成されてもよい。少なくとも1本のアームが径方向外方に拡張し、少なくとも1本のアームの遠位部分が径方向内方に屈曲するように、アームのうちの少なくとも1本は屈曲部を含んでもよい。ケージは、挿入装置のルーメン内で移動可能であり、挿入装置のルーメン内でのケージの近位移動により、ケージを少なくとも部分的に収縮させてもよい。多孔質体は、ケージと挿入装置とを介して体管腔から除去されてもよい。除去装置および第2のチューブは、カテーテルの各ルーメン内で移動可能であってもよい。除去装置および第2のチューブは、多孔質体がケージおよび第2のチューブの少なくとも遠位部分を囲むように配置可能であってもよい。
【0008】
医療システムは、第2のチューブ内で移動可能なロッドをさらに含んでもよい。ロッドは、材料が第2のチューブの遠位端部に入ることを防止するシールを形成してもよい。
別例では、医療装置は、生分解可能材料を有する複数の層を含む多孔質体を含んでもよい。複数の層のうちの最外層は、身体組織内で、複数の層のうちの内部層よりも速く分解するように構成してもよい。多孔質体の異なる層は、異なる材料、同一材料の異なる密度、または、同一材料の異なる混合から形成してもよい。
【0009】
医療装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。最外層は、多孔質体を身体組織内に挿入した後12時間~36時間で分解するように構成されてもよく、内部層は、多孔質体を身体組織内に挿入した後36時間~60時間で分解するように構成されてもよい。医療装置は、開口を有する内側コア、および、内側コアに接続される吸引ポートをさらに含んでもよい。内側コアおよび吸引ポートは、多孔質体に対して負圧をかけるように構成されてもよい。
【0010】
さらなる別例では、医療システムは、多孔質バッグ、治療材料、および、多孔質バッグに連結されるチューブを含んでもよい。治療材料は、多孔質バッグまで送達されるとともに多孔質バッグ内に保持されるように構成されてもよい。多孔質バッグへの治療材料の送達により、バッグを圧縮形態から拡張形態に拡張させるように構成されてもよい。チューブは、治療材料を多孔質バッグまで送達するとともに、多孔質バッグに対して負圧をかけるように構成されてもよい。
【0011】
医療システムは、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。医療システムは、ルーメンを有するカテーテルをさらに含んでもよい。多孔質バッグの少なくとも一部は、治療部位への多孔質バッグの送達中にルーメンとともに配置されるように構成されてもよい。治療材料は、粒状または多孔質材料であってもよく、負圧がかけられると収縮する半剛性の表面を形成することを補助してもよい。医療システムは、治療部位における多孔質バッグのサイズおよび形状の少なくともいずれか一方の変化を可能にすることを補助してもよい。
【0012】
別例では、医療システムは、送達チューブおよび医療装置を含んでもよい。送達チューブは、体管腔内で膨張してスポンジを形成する材料を送達するように構成されてもよい。医療装置は、スポンジの少なくとも一部を支持したり、除去したりするように、構成されてもよい。
【0013】
上記の一般的な説明および以下の詳細な説明の双方は、例示および説明に過ぎず、特許請求の範囲に記載されているように、本発明を限定するものではない。
本明細書に組み込まれるとともに本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の例示的な態様を示しており、詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の態様に係る、例示的な医療装置を示す断面図。
図2A】本開示の態様に係る、患者の体内における使用の種々の段階における、図1の医療装置を示す図。
図2B】本発明の態様に係る、患者の体内における使用の種々の段階における、図1の医療装置を示す図。
図2C】本発明の態様に係る、患者の体内における使用の種々の段階における、図1の医療装置を示す図。
図2D】本発明の態様に係る、患者の体内における使用の種々の段階における、図1の医療装置を示す図。
図3】本発明の態様に係る、代替的な例示的な医療装置の断面図。
図4A】本発明の態様に係る、患者の体内における使用の種々の段階における、図3の医療装置を示す図。
図4B】本発明の態様に係る、患者の体内における使用の種々の段階における、図3の医療装置を示す図。
図4C】本発明の態様に係る、患者の体内における使用の種々の段階における、図3の医療装置を示す図。
図4D】本発明の態様に係る、患者の体内における使用の種々の段階における、図3の医療装置を示す図。
図5A】本発明の態様に係る、患者の体内における使用の種々の段階における、例示的な医療システムを示す図。
図5B】本発明の態様に係る、患者の体内における使用の種々の段階における、例示的な医療システムを示す図。
図5C】本発明の態様に係る、患者の体内における使用の種々の段階における、例示的な医療システムを示す図。
図6A】本発明の態様に係る、患者の体内における使用の種々の段階における、別の例示的な医療システムを示す図。
図6B】本発明の態様に係る、患者の体内における使用の種々の段階における、別の例示的な医療システムを示す図。
図7A】本発明の態様に係る、使用の種々の段階における、さらに別の例示的な医療システムを示す図。
図7B】本発明の態様に係る、使用の種々の段階における、さらに別の例示的な医療システムを示す図。
図7C】本発明の態様に係る、使用の種々の段階における、さらに別の例示的な医療システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「近位」および「遠位」という用語は、本明細書において、例示的な医療システムおよび例示的な医療装置の構成要素の相対位置を指すために用いられる。本明細書において用いられる場合、「近位」は、身体の外部に比較的より近い、または、医療システムもしくは医療装置を使用する医療専門家により近い位置を指す。対照的に、「遠位」は、医療システムもしくは医療装置を使用する医療専門家から比較的さらに離れている位置、または身体の内部により近い位置を指す。本明細書において用いられる場合、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」という用語またはそれらの他の変化形は、要素のリストを含むシステム、装置または方法が、それらの要素のみを含むのではなく、明示的には列挙されていないかまたはそれらに固有の他の要素を含んでもよいように、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。別途記載されない限り、「例示的な」という用語は、「理想的」というよりも「例」の意味で用いられる。本明細書において用いられる場合、「約」、「実質的に」および「およそ」という用語は、記載の値の±10%以内の値の範囲を示す。
【0016】
本発明の実施形態は、管腔内真空療法(EVAC:endoluminal vacuum therapy)のための装置、システム、および方法を含む。例において、管腔内真空療法は、多孔質体、たとえばスポンジまたは他の同様の材料を、穿孔部、嚢胞、漏出部、吻合部などを含む創傷部位に腔内留置することを含む。材料の留置は、自然開口部を介してGI管内に挿入されるカテーテル、スコープ(内視鏡、気管支鏡、結腸鏡など)、チューブ、またはシースを介するものであり得る。開口部は、たとえば、鼻、口、または肛門であり、留置は、食道、胃、十二指腸、大腸、または小腸を含むGI管の任意の部分において行い得る。留置は、GI管を介して到達可能な他の臓器においても行い得る。
【0017】
管腔内真空療法が提案されている。管腔内真空療法では、負圧が、たとえばその末端部にスポンジを有する経鼻胃チューブを通して、GI管内の創傷部位まで送達される。スポンジは、穿孔部、漏出部、または他の創傷内に内視鏡を用いて留置される。次に、負圧が付与される。しかし、管腔内真空療法に適した装置およびシステムは限られている。
【0018】
ここで、上記するとともに添付の図面に示す本発明の例を詳細に参照する。可能な限り、全ての図面に亘って、同一または同様の部分を指すために同一の参照符号が用いられる。
【0019】
図1は、例示的な医療装置、たとえば多孔質の吸収体、すなわちスポンジ10を示す断面図であり、患者の体内の創傷もしくは吻合部の治癒、または組織の治療を補助するために使用され得る。スポンジ10は、複数の層、たとえば、外側層12、中間層14、および内側層16を含む。以下で説明するように、層12、14、16のうちの1つ以上は、生体適合性および/または様々な分解の程度を有する(すなわち、種々の層は、異なる速さで分解してもよい)。たとえば、図2A図2Dに示すように、外側層12は、患者30の体内で、中間層14よりも速く分解されてもよく、中間層14は、患者30の体内で、内側層16よりも速く分解されてもよい。一態様では、内側層16は分解されないものであってもよく(すなわち、生物安定性であってもよい)、医師によって除去されてもよい。さらに、3つの層12、14、16が図1に示されているが、本発明はそのように限定されない。スポンジ10は、任意の数の層を含んでもよく、層の厚さは、スポンジ10の所望のサイズおよび形状の少なくともいずれか一方、スポンジ10の全体的な所望の分解時間、それぞれの層の所望の分解時間などに基づいて変更してもよい。
【0020】
さらには、スポンジ10は、たとえば、外側層12、外側層12と中間層14との間、および中間層14と内側層16との間の少なくともいずれか1つに、1つ以上の制菌層、即ちまたは抗菌層18を含んでもよい。1つ以上の抗菌層18は、創傷が治癒する間の細菌の成長を制限したり低減したりすることを補助する。代替的にまたは追加的に、スポンジ10の1つ以上の層は、創傷まで送達される制菌または抗菌材料(たとえばゲル)を含んでもよく、たとえば、制菌材料または抗菌材料は、スポンジ10の1つ以上の層から分泌または染み出してもよい。たとえば、制菌材料または抗菌材料は、1つ以上の層にわたって埋め込まれ、または、たとえば1つ以上の層内ボーラス内に位置してもよい。
【0021】
さらに、本発明の実施形態において、スポンジ10は、スポンジ10に対して吸引力/負圧をかけることにより、内部から液体を吸収したり、内部で液体の通過を可能にする任意の好適な生体適合性材料から形成され得る。この材料は、可撓性、圧縮性、多孔質、親水性、無菌、および/または使い捨て可能であり得る。スポンジ材料は、連続気泡フォーム(または連続気泡フォームによって形成する)ものであってもよい。好適な材料は、コラーゲン、ポリウレタン、エステル、エーテル、複合材料、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリサッカライド、銀をベースとする材料、および/または任意の医療グレードの材料を含む。いくつかの態様では、スポンジ10は、生体材料(たとえば、生体適合性があるとともに生物由来材料に由来する材料、または生体適合性があるかもしくは生物由来材料に由来する材料)を含んでもよく、これは、キトサン(たとえば、キトサン酢酸塩およびキトサン乳酸塩の少なくともいずれか一方)、細胞外マトリックスまたはそれらの組み合わせなど、少なくとも部分的にまたは完全に生体吸収性であってもよい。
【0022】
さらに、いくつかの態様では、スポンジ10の層12、14、16は、層12、14、16の分解の速さを制御するために、異なる材料、異なる材料密度、材料の異なる混合などで形成してもよい。たとえば、層12は第1の材料で形成してもよく、層16は第2の材料で形成してもよく、層14は、第1の材料および第2の材料の混合物で形成してもよい。代替的には、層12、14、16は、第1の材料対第2の材料の混合または比がそれぞれの層間で変化する、第1の材料と第2の材料とで形成してもよい。
【0023】
さらに、層12、14、16のそれぞれの各厚さは、変更したり、スポンジ10のサイズおよび形状の少なくともいずれか一方、創傷のサイズ、スポンジ10の材料、スポンジ10の所望の分解などに応じて決めたりしてもよい。一例では、外側層12は、スポンジ10の留置からおよそ12時間~36時間(第1の期間)、たとえば24時間後に完全にまたは少なくともほぼ完全に分解し、中間層14は、スポンジ10の留置からおよそ36時間~60時間(第1の期間よりも長い第2の期間)、たとえば48時間後に完全にまたは少なくともほぼ完全に分解してもよい。さらに、この例では、内側層16は、スポンジ10の留置からおよそ60時間~84時間(第2の期間よりも長い第3の期間)、たとえば72時間後に完全にまたは少なくとも完全に分解してもよい。これらの態様では、スポンジ10は、創傷の回復および/または治癒のために予測されるだけの数の層を含んでもよい。たとえば、創傷が治癒するのに5日間かかることが予測される場合、スポンジ10は5つの層を含んでもよく、それぞれの層は、スポンジ10の留置後に、または先行する最外層の分解後に、およそ1日かけて分解する。いくつかの態様において、最内層は、予測される治療期間中に分解していなくてもよく、医師によって取り出されてもよい。たとえば、最内層は生分解可能であってもよいが、医師がスポンジ10を取り出す時までに最内層がまだ分解していない速さで分解してもよい。
【0024】
図2A図2Dは、処置(たとえば、肥満外科手術)からの回復の種々の段階における患者30の体管腔、たとえば食道32を示す図である。たとえば、図2A図2Dは、ポケット34における創傷の形成を含む処置からの回復の種々の段階における、スポンジ10を有する食道32の図を示す。図2A図2Dは、食道内32にあるポケット34内の創傷を治療するために使用されるスポンジ10を示しているが、本発明はそのように限定されない。スポンジ10は、患者の上部胃腸管、患者の下部胃腸管、患者の体内の他の管腔または体腔、患者の体表面上などにおける創傷、漏出部、穿孔部などを治療するために使用してもよい。
【0025】
図2Aに示すように、スポンジ10が食道32内にある創傷またはポケット34内に挿入される。たとえば、食道32に対する処置はポケット34を形成して、スポンジ10が回復プロセスの一部として挿入される。内視鏡は、たとえば、気管支鏡、結腸鏡、子宮鏡、膀胱鏡、チューブ、シース、または任意の同様の挿入装置であってもよい。スポンジ10は、内視鏡を介して、たとえば、処置を行うために使用されていた内視鏡の内部ルーメン内を通って挿入され得る。スポンジ10は、ポケット34内に適合したり、ポケット34に対応したりするように、サイズ決めおよび/または形状決めされ得る。一態様では、スポンジ10は、例えば、ポケット34のサイズおよび/または形状を維持するために、寸法及び形状が決定され、剛性が付与されてもよい。上記のように、スポンジ10の層12、14、16の厚さ、形状、および/または数は変更してもよい。たとえば、一態様では、外側層12は、ポケット34内に適合するようにほぼ卵型であり、中間層14および内側層16もほぼ卵型であり、または代替的には、ほぼ円形であってもよい。
【0026】
図2Bに示すように、スポンジ10は経時的に分解する。分解は、ポケット34を形成する創傷の推定回復時間に対応するように概算されてもよい。たとえば、創傷が回復してポケット34のサイズが収縮するにつれて、1つ以上の層12、14、16(たとえば外側層12)は、分解して、スポンジ10のサイズを縮小させる。この態様では、スポンジ10の分解(および収縮)は、スポンジ10が創傷の治癒とともに収縮すること、ひいてはポケット34が収縮することを可能にする。スポンジ10の層12、14、16のサイズ、形状、厚さ、材料などは、ポケット34の収縮するサイズおよび形状の変化の少なくともいずれか一方に一致するように選択されてもよい。一態様では、外側層12は、図2Bにおいて分解していてもよく、ポケット34は、サイズが縮小したり、形状が変化したりしていてもよい。
【0027】
図2Cは、回復中のスポンジ10のさらなる分解、および、ポケット34のサイズの縮小を示す。この態様では、中間層14は、図2Cにおいて分解していてもよく、ポケット34は、サイズがさらに縮小していてもよい。加えて、スポンジ10は、ポケット34のサイズが縮小するにつれて、スポンジ10がポケット34内に保持されたり、スポンジ10が食道32を把持したりすることを補助する材料で形成されてもよい。たとえば、1つ以上の層12、14、16は、生体接着材料(たとえば、粘膜などの負に帯電した表面に結合することを可能にする特性を有するキトサン)を含んでもよい。
【0028】
図2Dは、治癒プロセスの最後の段階を示す。たとえば、図示のように、ポケット34はさらに縮小し、たとえば消えていてもよい。この態様では、内側層16は分解していてもよい。スポンジ10の少なくともいくつかの部分は生体適合性があり、分解するため、医師がスポンジ10を調整したり、交換したり、取り出したりするために内視鏡を挿入する必要がないものであってもよい。代替的には、上記で説明したように、内側層16は完全には分解可能でなくてもよく、医師は、内視鏡を挿入して内側層16を除去してもよい。さらに、一態様では、医師は、より小さいスポンジを挿入してもよく、これは、ポケット34がまだ消えていない、または十分に収縮していない場合に、治癒の促進を補助する。
【0029】
図3図4A図4Dは、本発明に係る代替的な例を示す。図3図4A図4Dには、スポンジ10および患者30と同様の要素が、参照符号に100を加えて示されている。
【0030】
図3に示すように、スポンジ110は、複数の層、たとえば、外側層112、中間層114、および内側層116を含み、これらは、層12、14、16に関して上記で説明したように、異なる速さで分解してもよい。実際に、スポンジ110は、スポンジ10に関して説明した特徴のうちのいずれかを含んでもよい。スポンジ110は、たとえば、外側層112上、外側層112と中間層114との間、および中間層114と内側層116との間の少なくともいずれか1つに、1つ以上の制菌または抗菌層118を含んでもよい。さらに、スポンジ110は、最内層、すなわち内側コア140および吸引ポート142を含む。内側コア140は、内側層116内の非分解性材料で形成してもよい。代替的には、内側コア140は、内側層116内の分解性材料で形成され、内側コア140の分解性材料は、内側層116(およびスポンジ110の他の層)よりも遅い速さで分解してもよい。いずれの態様においても、内側コア140は、流体が開口144内を通って内側コア140に入り、吸引ポート142を通じて負圧がかけられると流体が吸引ポート142内を通って患者の体内から除去され得るように、吸引ポート142に連通する1つ以上の開口144を含んでもよい。
【0031】
吸引ポート142は、生体適合性材料、たとえば、プラスチック(たとえばポリエチレン)、金属(たとえばステンレス鋼)、複合材料などから形成されるルーメンであってもよい。図示のように、吸引ポート142は内側コア140に連結されている。一態様において、吸引ポート142は、患者130の体外、たとえば、図4A図4Cに示すように、開口部(たとえば口)の外まで延びてもよい。したがって、吸引源を吸引ポート142に連結して、スポンジ110に負圧をかけ得る。別の態様では、吸引ポート142は、スポンジ110から延びるが患者130の体外には延びていなくてもよい。この態様では、吸引チューブを、開口部に(たとえば口)挿入して吸引ポート142に連結し、負圧をかけて、スポンジ110からの余分な流体および分解した材料の少なくともいずれか一方の除去を進める。負圧をかけることにより、スポンジ110からの余分な流体および1つ以上の層の分解した材料の少なくともいずれか一方の除去を補助する。さらに、負圧をかけることにより、ポケット134のサイズ低減を補助したり、創傷の治癒を補助する。
【0032】
いくつかの態様では、たとえば内側コア140の近位側に、取り外し可能および/または離脱可能なコネクタを含んでもよい。コネクタは、医師が、吸引チューブおよび/または吸引ポート142を、内側コア140に対して取り付けたり、取り外したり、再取り付けしたりすることを可能にする。代替的にまたは追加的に、いくつかの態様では、吸引ポート142は、吸引ポート142の一部に配置される脆弱リンクまたは接続部146を含んでもよい。たとえば、脆弱リンクまたは接続部146は、スポンジ110の一部、たとえば外側層112に近接して、吸引ポート142上に配置されてもよい。これらの態様では、脆弱リンクまたは接続部146は、或る期間、たとえば、負圧/吸引がスポンジ110に付与される時間にわたって、内側コア140と吸引ポート142との間の接続を維持する。次に、別の期間後、脆弱なリンクまたは接続部146は、吸引ポート142の少なくとも一部を内側コア140から離脱してもよい。吸引ポート142は、患者の体内から取り出されてもよく、内側コア140は、たとえば、スポンジ110の1つ以上の層112、114、116とともに、患者の体内に留置されてもよい。本明細書において説明するように、スポンジ110の内側コア140および1つ以上の層112、114、116は分解可能であってもよい。
【0033】
これらの態様のいずれかにおいて、図4A図4Dは、処置(たとえば、肥満外科手術)からの回復の種々の段階中の、患者30の体内ルーメン、たとえば食道132を示す図である。たとえば、図4A図4Dは、ポケット134内における創傷の形成を含む処置からの回復の種々の段階における、スポンジ110を有する食道132を示す図である。
【0034】
図4Aに示すように、スポンジ110は、内側コア140および吸引ポート142とともに、食道132のポケット134内に挿入される。たとえば、食道132に対する処置はポケット134を形成し、スポンジ110は回復プロセスの一部として挿入される。スポンジ110は、内視鏡を介して、たとえば、処置を行うために使用された内視鏡の内部ルーメンの中を通って挿入されてもよい。スポンジ110は、ポケット134の内部に適合したり、ポケット134に対応したりするように、サイズおよび形状の少なくともいずれか一方が形成され得る。さらには、吸引ポート142を介して負圧を付与することにより、治療の期間中、流体およびスポンジ110の分解した部分の少なくともいずれか一方を除去するようにしてもよい。
【0035】
図4Bに示すように、スポンジ110の部分は経時的に分解する。分解は、ポケット134を形成する創傷の推定回復時間に対応するように概算されてもよい。たとえば、創傷が回復してポケット134のサイズが収縮するにつれて、1つ以上の層112、114、116(たとえば外側層112)は、分解して、スポンジ110のサイズを縮小させる。この態様では、スポンジ110の分解(および収縮)は、スポンジ110が創傷の治癒とともに収縮すること、ひいてはポケット134が収縮することを可能にする。上記で説明したように、スポンジ110の層112、114、116のサイズ、形状、厚さ、材料などは、ポケット134の収縮するサイズおよび形状の変化の少なくともいずれか一方に一致するように選択されてもよい。一態様では、外側層112は、図4Bにおいて分解していてもよく、ポケット134は、サイズが縮小したり、形状が変化したりしていてもよい。たとえば、1つ以上の層112、114、116は、生体接着材料(たとえば、粘膜などの負に帯電した表面に結合することを可能にする特性を有するキトサン)を含んでもよい。
【0036】
図4Cは、回復中の、スポンジ110のさらなる分解およびポケット134のサイズの縮小を示している。この態様では、中間層114は、図4Cにおいて分解していてもよく、ポケット134は、サイズがさらに縮小していてもよい。さらには、スポンジ110は、スポンジ10がポケット134内に保持されたり、スポンジ10が食道132を把持したりすることを補助する材料(たとえば、生体接着材料)で形成してもよい。
【0037】
図4Dは、治癒プロセスの最後の段階を示す。たとえば、図示のように、ポケット134はさらに縮小し、たとえば消えていてもよい。内側層116は分解していてもよい。次に、内側コア140および吸引ポート142は、医師によって、たとえば、近位に後退される吸引ポート142によって、または、内視鏡を挿入して内側コア140および吸引ポート142を除去することによって、除去されてもよい。別の態様では、内側コア140が生分解可能である実施形態では、内側コア140も分解していてもよい。
【0038】
上記で説明したように、スポンジ110の連続的な層は、ポケット134を閉鎖することを補助して(およびひいては創傷の治癒を補助して)もよい。さらには、スポンジ110に対して吸引を行うことにより、ポケット134を閉鎖することを補助して(およびひいては創傷の治癒を補助して)もよい。ポケット134が閉鎖される(またはほぼ閉鎖される)と、医師は、スポンジ110の残りの部分、たとえば内側コア140および吸引ポート142を除去してもよい。
【0039】
これらの例では、スポンジ10、110は、ポケット34、134のサイズおよび形状の少なくともいずれか一方に近似するように、および/または対応するようにサイズが形成される(たとえば切り取られる)。本明細書において説明する態様のいずれかにおいて、スポンジは除去されて、新たなスポンジを送達または形成してもよい。たとえば、創傷が完全に治癒するのにおよそ30日かかる場合、スポンジを除去して、およそ5回~7回、新たなスポンジを送達してもよい。
【0040】
別の態様では、以下で説明するように、スポンジ110の1つ以上の層はフォームで形成してもよい。この態様では、内側コア140および吸引ポート142はポケット134内に配置され、フォームが内側コア140および吸引ポート142の周りに送達(たとえば噴霧)されてもよい。フォームは、内側コア140と吸引ポート142の一部とを被覆して、および/またはそれらの周囲に送り出されて、フォームスポンジを形成してもよい。たとえば、フォームは、開口144の1つ以上を介してポケット134に送り出されたり、送達されたりしてもよい。この態様では、吸引チューブ142は、内側コアに連結されている2つ以上の別個のルーメンを含んでもよい。たとえば、図示されていないが、吸引チューブ142は、負圧源/吸引源に連結可能な第1のルーメンを含んでもよく、吸引チューブ142は、フォームを送達してフォームスポンジを形成するためのフォームの供給源に連結可能な第2のルーメンも含んでもよい。フォームは自らサイズ決めする材料であってもよく、たとえば、ポケット134のサイズおよび形状の少なくともいずれか一方に膨張する。フォームスポンジは、キトサン(たとえばキトサン酢酸塩およびキトサン乳酸塩の少なくともいずれか一方)、銀をベースとする材料、および/または、任意の医療グレードの材料などの少なくともいずれか1つで形成されたり、含んだりしてもよい。フォームスポンジは、抗菌材料(たとえば膨潤性の抗菌材料)で形成されてもよい。フォームスポンジは、少なくとも部分的にまたは完全に分解可能であってもよい。代替的には、フォームスポンジは、生体安定性があり、たとえば数日ごとまたは週ごとに定期的に除去されてもよい。フォームは、吸引源によって負圧が付与されるとき、チャネルを相互連通することによって流体または材料がフォームの中を通って流れることを可能にするように、連続気泡フォームであってもよい。
【0041】
図5A図5Cは、別の例示的な医療システム200を示しており、スポンジ10および患者30と同様の要素が、参照符号に200を加えて示されている。図5A図5Cは、患者230の体内、たとえば食道232内、および創傷または吻合部、たとえば創傷またはポケット234内における使用の種々の段階におけるスポンジ210を示す。いくつかの態様では、システム200は、キットとしてパッケージングされてもよい。図5Aに示すように、システム200は、たとえばカテーテル250および送達チューブ252などの挿入装置を含む。カテーテル250は、第1のルーメン254および第2のルーメン256を有するデュアルルーメンカテーテルであってもよい。カテーテル250は、開口部(たとえば口または鼻)を介して食道232を下って、治療部位、たとえばポケット234まで送達されてもよい。この態様では、システム200は、スポンジ210を支持したり、除去したりすることを補助する医療装置、たとえばケージ258と、吸引チューブ260とを含んでもよい。カテーテル250は、図を分かりやすくするために透明なものとして示されていることに留意されたい。
【0042】
ケージ258は、カテーテル250の第1のルーメン254内を通って送達されて、カテーテル250に対して移動可能であってもよい(たとえば、カテーテル250の遠位端部を越えて遠位側に延在可能である)。ケージ258は、たとえば、生体適合性の形状記憶金属(たとえばニチノール)で形成される複数の自己拡張型アーム262を含んでもよい。ケージ258は、拡張形態に向かう付勢を有する材料で形成されてもよい。たとえば、図2A図2Bに示すように、ケージ258は4本のアーム262を含んでもよい。代替的には、ケージ258は、2本、3本、5本またはそれ以上のアーム262を含んでもよい。この態様では、ケージ258が第1のルーメン254から延ばされると、アーム262は径方向外方に拡張してケージ258を形成する。カテーテル250が治療部位において適所にくると(たとえばポケット234)、ケージ258は、空洞内(たとえばポケット234内)に配備または延ばされてもよい。
【0043】
吸引チューブ260は、カテーテル250の第2のルーメン256内を通って送達され、カテーテル250に対して移動可能であってもよい(たとえば、カテーテル250の遠位端部を越えて遠位方向に延在可能である)。吸引チューブ260は、プラスチックチューブ、たとえば経鼻胃チューブであってもよく、吸引チューブ260の遠位端部264がポケット234に対して吸引を行うように、吸引源(図示せず)に連結されてもよい。カテーテル250が適所にあるとき、吸引チューブ260は、ポケット234の中に、たとえばケージ258内内の位置またはケージ258に隣接する位置まで遠位方向に前進させられてもよい。
【0044】
送達チューブ252は、フォームディスペンサであってもよく、これは、図5B図5Cに示すように、スポンジ、または他の同様の多孔質および/または吸収体を形成するフォームを送達してもよい。送達チューブ252は、カテーテル250に連結されていてもよいし、または、ポケット234まで別個に送達されて、たとえば、(ガイドワイヤとしてカテーテル250を効果的に使用して)カテーテル250の外部に沿って前進させられてもよい。代替的には、送達チューブ252は、第1のルーメン254もしくは第2のルーメン256内を通って、または、カテーテル250の別のルーメン内を通って前進させられてもよい。図5Bに示すように、スポンジ材料は、送達チューブ252を介してポケット234まで送達されて、スポンジ210を形成してもよい。送達チューブ252の近位端部は、スポンジ材料が送達チューブ252内を通って送達されてポケット234内に噴霧(エアゾル化)され得るように、スポンジ材料の供給源268たとえばスポンジ材料の加圧供給源に連結されてもよい。スポンジ210は、図5Bに示すように、カテーテル250および送達チューブ252の少なくともいずれか一方の遠位部分を少なくとも部分的に囲むように、ポケット234内に形成されてもよい。代替的には、スポンジ210は、スポンジ210がケージ258および吸引チューブ260の部分のみを囲むように、カテーテル250および送達チューブ252の少なくともいずれか一方に対して遠位側にあるように形成されてもよい。
【0045】
スポンジ材料は、水分および空気の少なくともいずれか一方に接触すると膨張したり凝固したりして、ポケット234内にスポンジ210を形成するスポンジフォーム、たとえば液相ポリウレタン(PU:polyurethane)フォームであり得る。スポンジ材料は、たとえば、腹腔内出血を治療するために使用される射出可能な連続気泡フォームであり得る。別の態様では、スポンジ材料は、2液ポリウレタン(PU)フォームであり得る。たとえば、送達チューブ252は、2つのルーメンを含み、各ルーメンの近位端部は、異なる液体ポリウレタン(PU)フォーム供給源に連結され得る。2つの液体が送達チューブ252によってポケット234内に送達されるとき、液体同士が接触して、凝固してスポンジ210を形成する。スポンジ210は、接触して凝固する2液ポリウレタン(PU)フォームによって形成されてもよい。これらの態様では、スポンジ材料を形成するフォームの性質(たとえば連続気泡)により、真空圧/吸引がスポンジ210に付与されると、流体がフォームのストラットまたは開口(たとえばポリウレタンストラット)内を通って排出可能にされてもよい。さらには、スポンジ210は、送達されるスポンジ材料によって形成されるため、ポケット234の形状をとるように膨張してもよい。
【0046】
図5Bに示すように、スポンジ材料が送達されるとき、ケージ258および吸引チューブ260はポケット234内に延伸されている。この態様では、ケージ258の少なくとも遠位部分(たとえばアーム262)および吸引チューブ260の少なくとも遠位部分(たとえば遠位端部264)は、スポンジ210内に配置され得る。スポンジ材料が凝固してスポンジ210を形成すると、ケージ258および吸引チューブ260の双方の部分が、スポンジ210内で、かつスポンジ210に対して固定され得る。さらには、一例では、吸引チューブ260の遠位端部264は、アーム262が遠位端部264を少なくとも部分的に囲むように、ケージ158内に配置されてもよい。
【0047】
これらの態様では、スポンジ材料をポケット234に送達することにより、スポンジ材料が膨張してポケット234の形状をとることを可能にするため、医師がポケット234のサイズおよび形状の少なくともいずれか一方を推測して、そのサイズおよび形状の少なくともいずれか一方に対応するスポンジを送達する必要がなくなる。さらには、吸引チューブ260の遠位端部264がスポンジ210内に配置されている状態で、吸引チューブ260を通して吸引を行って、スポンジ210からの流体および分解した材料の少なくともいずれか一方を、吸引チューブ260の中を通ってポケット234から除去してもよい。
【0048】
図5Cに示すように、たとえば、創傷または吻合部が少なくとも部分的に治癒するにつれてポケット234のサイズが縮小すると、スポンジ210を除去したり、交換したりすることが必要になり得る。スポンジ210を除去および/または交換する前に、図2Cに示すように、吸引チューブ260を、スポンジ210から出して近位方向に、カテーテル250内の位置まで後退させてもよい。さらには、図2Cに示すように、送達チューブ252は、スポンジ210を除去および/または交換する前に、患者230の体内から除去されてもよい。たとえば、送達チューブ252は、スポンジ210の形成後に患者232の体内から除去されてもよい。
【0049】
送達チューブ252をスポンジ210から除去した後で、ケージ258を(たとえば第1のルーメン254内を通って)近位方向に後退させてもよい。ケージ258のアーム262はスポンジ内に固定されているため、ケージ258の近位移動はスポンジ210も後退させ得る。近位移動は、たとえば、アーム262が第1のルーメン254内に入るにつれて、アーム262を少なくとも部分的に収縮する。さらには、アーム262はそれぞれ、たとえばアーム262の中央部分に、湾曲部または屈曲部266を含んでもよい。アーム262は径方向外方に拡張し得、アーム262の遠位部分は径方向内方に屈曲する。したがって、ケージ258が近位方向に後退されるにつれて、アーム262は、屈曲部266によってスポンジ210の部分に引っかかってスポンジ210も近位方向に後退させ得る。述べたように、スポンジ210は、任意の適切な材料(たとえば形状記憶合金)で形成され得、スポンジ210およびケージ258を第1のルーメン254内を通って除去するように、収縮可能である。第1のルーメン254は、ケージ258を送達するとともにケージ258とスポンジ210とを後退させるために適切なサイズであり得ることに留意されたい。ケージ258は、スポンジ210とともに、カテーテル250を除去したり、カテーテル250の位置に影響を及ぼしたりすることなく、近位方向に且つカテーテル250の外方に後退させ得る。
【0050】
カテーテル250の位置に影響を及ぼすことなくスポンジ210を除去するため、上記工程は、ポケット234内に新たなスポンジを送達したり形成したりするために、繰り返され得る。たとえば、ケージ258は、第1のルーメン258内を通って再挿入され、吸引チューブ260は、ケージ258内のまたはケージ258に隣接する位置まで遠位方向に延伸されてもよい。次に、送達チューブ252が再挿入されて、スポンジ材料をポケット234まで再び送達して、新たなスポンジを形成し得、新たなスポンジは、処置の開始時におけるサイズおよび形状と比較して、より小さくてもよいしおよび/または形状が異なってもよいポケット234のサイズおよび/または形状をとり得る。なぜなら、たとえば、ポケット234のサイズが縮小したり形状が変化していたりするためである。上記工程は、ポケット234が閉鎖されるまで、または治癒するまで、またはスポンジ210を必要としなくなるまで何度でも行い得る。
【0051】
図6A図6Bは、別の例示的な医療システム300を示し、スポンジ10および患者30と同様の要素が、参照符号に300を加えて示されている。図6A図6Bは、スポンジ310、ならびに、患者330の体内、たとえば、食道332および創傷または吻合部(たとえばポケット334)内における使用の種々の段階を示している。いくつかの態様では、システム300は、キットとしてパッケージングされてもよい。図6Aに示すように、システム300は、送達チューブ352および吸引チューブ360を含む。いくつかの実施形態では、システム300は、別個の内視鏡または他の挿入装置を含まない。それにもかかわらず、吸引チューブ360は、スポンジ310の少なくとも一部を支持したり除去したりすることを補助する。
【0052】
吸引チューブ360は、治療部位(たとえばポケット334)まで任意の方法で送達されてもよい。一態様では、吸引チューブ360は、吸引チューブ360の送達中に吸引チューブ360内に配置されるロッド370を含んでもよい。たとえば、吸引チューブ360は、ロッド370とともに、開口部(たとえば口)を介して食道332を下って、治療部位(たとえばポケット334)まで送達されてもよい。代替的にまたは追加的に、吸引チューブ360は、ロッド370とともに、ガイドワイヤを介してポケット334まで送達されてもよい。さらに、一態様では、吸引チューブ360がポケット334まで送達されて、次に、ロッド370が吸引チューブ360内に挿入されてもよい。
【0053】
ロッド370は、少なくとも部分的に剛性であり、および/または形状記憶合金で形成されてもよい。ロッド370は、吸引チューブ360内に配置されると、吸引チューブ360の内部ルーメンの全体または大部分を占め得る。たとえば、ロッド370が吸引チューブ360内に配置されると、ロッド370は、吸引チューブ360内にシール(または少なくとも部分的なシール)を形成することを補助する。
【0054】
送達チューブ352は、フォームディスペンサであってもよく、これは、図6Aに示すように、スポンジ310、または他の同様の多孔質および吸収体の少なくともいずれか一方を形成するフォームを送達してもよい。送達チューブ352は、吸引チューブ360に連結されてもよいし、または、ポケット358まで別個に送達されてもよく、たとえば吸引チューブ360の外部に沿って前進させられてもよいし、ガイドワイヤなどを介して送達されてもよい。図6Aに示すように、スポンジ材料は、送達チューブ352を介してポケット358まで送達されてスポンジ310を形成する。上記で説明したように、送達チューブ352の近位端部は、スポンジ材料が送達チューブ352内を通って送達されてポケット334内に噴霧(エアロゾル化)され得るように、スポンジ材料の供給源368、たとえばスポンジ材料の加圧供給源に接続され得る。スポンジ材料は、図5A図5Cに関して上記で説明した材料のうちのいずれかであってもよい。
【0055】
スポンジ材料は、膨張して凝固して、多孔質および/または吸収体、たとえばスポンジ310になってもよい。スポンジ310は、膨張してポケット334の形状をとってもよく、吸引チューブ360の遠位端部364も囲んでもよい。吸引チューブ360の遠位端部364は、スポンジ310内に少なくとも部分的に固定されてもよい。それにもかかわらず、送達チューブ352がスポンジ材料をポケット334内に送達するときに、ロッド370は、吸引チューブ360内へのスポンジ材料の流入防止を補助して、スポンジ材料による吸引チューブ360内での閉塞部形成防止を助ける。さらに、ロッド370は、操作されて、たとえば、吸引チューブ260の遠位端部364に対して遠位側に、および/または吸引チューブ260の遠位端部364から外方に延びて、スポンジ材料を吸引チューブ360の遠位端364の外方におよび/または吸引チューブ360の遠位端部364から離間する方向に押し出してもよい。
【0056】
図6Bに示すように、送達チューブ352およびロッド370は除去されてもよい。次に、吸引チューブ360を通じてスポンジ310に吸引を行ってもよい。吸引は、ポケット334からの余分な流体の除去を補助する。さらには、上記で説明したように、スポンジ310は生分解可能であってもよく、吸引チューブ360を通じた吸引は、経時的に分解した材料の除去を補助する。
【0057】
スポンジ310が交換を必要とする(たとえば、ポケット334のサイズおよび形状の少なくともいずれか一方が変化している、スポンジ310が分解されているなど)場合、スポンジ310を少なくとも部分的に除去してさらなるスポンジ材料を送達してもよい。たとえば、吸引チューブ360を通じた吸引は、スポンジ310から分解した材料を除去することを補助する。代替的にまたは追加的に、カテーテル250およびケージ258に関して上記で説明したように、別個のチューブ、カテーテル、把持装置、回収装置などをポケット334まで送達し、スポンジ310の1つ以上の部分を除去してもよい。さらに、別の態様では、たとえば、スポンジ310が生分解可能ではない、またはまだ十分に分解していない場合には、吸引チューブ360が患者330の体外に近位方向に後退されて、吸引チューブ360に結合されたスポンジ310も除去する。この態様では、吸引チューブ360(または新たな吸引チューブ360)は、ポケット334に送達されて、適切に配置されてもよい。スポンジ310が除去された後(および必要であれば吸引チューブ360配置された後)に、上記で説明したように、送達チューブ352がポケット334に送達されて、さらなるスポンジ材料を送達して新たなスポンジ310を形成してもよい。さらに、新たなスポンジ310が吸引チューブ360の遠位端部364を閉塞しないことを確実にするために、吸引チューブ360の中を通ってロッド370を送達してもよい。
【0058】
一態様では、スポンジ310の非分解部分は、除去を必要としなくてもよい。この態様では、スポンジ310の分解部分は、吸引チューブ360を通じた吸引によって除去されてもよい。次に、送達チューブ352をポケット334まで送達して、さらなるスポンジ材料を送達してもよい。さらなるスポンジ材料は、スポンジ310の分解部分に置き換わってもよい。さらに、上記で述べたように、新たなスポンジ材料が吸引チューブ360の遠位端部364を閉塞しないことを確実にすることを補助するために、吸引チューブ360の中を通ってロッド370を送達してもよい。
【0059】
上記工程、ポケット334が閉鎖する、治癒する、またはスポンジ310を必要としなくなるまで、必要に応じて何度でも行ってもよい。さらには、上記工程は、吸引チューブ360を除去すること、または吸引チューブ360の位置に影響を及ぼすことなく行い得る。さらなるスポンジ材料(新たなスポンジを形成、または分解したスポンジ材料を交換することによる)は、連続的なスポンジ310を形成してもよく、ポケット334のサイズが縮小したり、形状が変化したりしているため、連続的なスポンジは、より小さくてもよいし、および/または形状が異なってもよい。
【0060】
図7A図7Cは、別の例示的な医療システム400を示し、上記システムと同様の要素が、参照符号に400を加えて示されている。図7A図7Cは、上記で説明したような患者の体内、たとえば、食道(またはGI管)および創傷、吻合部、またはポケットにおける使用の種々の段階における多孔質バッグ480および治療材料482を示す。いくつかの態様において、システム400は、キットとしてパッケージングされてもよい。図7Aに示すように、システム400は、バッグ480に連結されたり、バッグ480を支持したりするチューブ484も含む。チューブ484およびバッグ480は、内視鏡またはカテーテル450を介して(たとえば治療部位まで)送達され、たとえば、チューブ484は、1つ以上の連結要素486(たとえば接着剤、フック、クリップなど)を介してカテーテル450に連結されてもよい。さらに、バッグ480を送達したり配置したりしている間に、バッグ480の少なくとも一部はカテーテル450のルーメン454内に配置されてもよい。追加的には、バッグ480の一部はカテーテル450の外部に延びる。たとえば、いくつかの態様では、バッグ480は、チューブ484の遠位部分内を通って配置され、チューブ484の近位部分内を通って配置されない。
【0061】
図7Bに示すように、バッグ480は、カテーテル450のルーメン454から除去され、たとえば、創傷、吻合部、またはポケット内に延びてもよい。一態様では、把持装置490を使用して、バッグ480を制御したり、操作したり、位置決めしたりしてもよい。追加的にまたは代替的に、治療材料482を、たとえば供給源468を介してバッグ480内に送達してバッグ480を延ばす、膨張させる、または位置決めしてもよい。たとえば、治療材料482は、チューブ484を介してバッグ480内に送達してもよい。治療材料482は、バッグ480を延ばすことを補助し(たとえば、バッグ480の一部をルーメン454から取り出す)てもよく、バッグ480は、(収縮または圧縮された形態から拡張形態に)拡張して、創傷、吻合部、またはポケットのサイズおよび形状の少なくともいずれか一方をとり得る。
【0062】
バッグ480は、多孔質材料から形成してもよく、バッグ480の孔は、創傷、吻合部、もしくはポケットによって排出され得る流体(たとえば、血液、膿、生理食塩水など)に対して、または、創傷もしくは治療部位まで送達され得る流体に対してバッグ480が多孔性であるように十分大きくてもよい。同様に、バッグ480の孔は、治療材料482をバッグ480内に保持するほどに十分小さくてもよい(すなわち、治療材料482の粒子の直径が、バッグ480の孔の直径よりも大きい)。バッグ480は、チューブ484を通じて真空にしてバッグ480から流体および治療材料482の少なくともいずれか一方を除去することを可能にしながら、治療材料482を圧縮して、(たとえば、上記で説明したように、創傷内の組織に当接してもよい)半剛性の表面を提供してもよい。一態様では、バッグ480は、微細メッシュ、ナイロン、または他の適切な材料で形成してもよい。
【0063】
治療材料482は、スポンジ状の材料、および本明細書において説明するスポンジと同様の材料のうちの少なくともいずれか一方であってよい。たとえば、治療材料482は、塩、糖、抗菌材料などのうちの1つ以上を含んでもよい。治療材料482は、負圧/吸引によって、液体を吸収したり、液体を通過可能にしたりする任意の好適な生体適合性材料を含んでもよい。治療材料482は、可撓性、圧縮性、多孔質性、親水性、無菌性、および/または使い捨て可能であってもよい。治療材料482は、連続気泡フォーム(または連続気泡フォームによって形成されるもの)であってもよい。好適な材料は、コラーゲン、ポリウレタン、エステル、エーテル、複合材料、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリサッカライド、銀をベースとする材料、および/または任意の医療グレードの材料を含む。いくつかの態様では、治療材料482は、生体材料(たとえば、生体適合性材料および生物材料に由来する材料の少なくともいずれか一方)を含んでもよく、これは、キトサン(たとえば、キトサン酢酸塩およびキトサン乳酸塩の少なくともいずれか一方)、細胞外マトリックスまたはそれらの組み合わせなど、少なくとも部分的にまたは完全に生体吸収性であってもよい。
【0064】
図7Cに示すように、バッグ480およびチューブ484は、カテーテル450から分離されてもよい。たとえば、カテーテル450は患者の体内から除去されてもよく、バッグ480およびチューブ484は患者の体内に留置されてもよい。たとえば、バッグ480は、創傷、吻合部、またはポケット内に配置されてもよい。治療材料482は、たとえばチューブ484内を通ってバッグ480に送達されてもよい。治療材料482は、バッグ480を、たとえば、創傷、吻合部、またはポケットに対応するサイズおよび形状の少なくともいずれか一方に拡張させ得る。バッグ480および治療材料482は、スポンジに関して上記で説明したように、流体を吸収することを補助したり、創傷、吻合部、またはポケットの治癒を補助する。
【0065】
いくつかのでは、創傷、吻合部、またはポケットから流体を除去するために、チューブ484を通じて、たとえばチューブ484に連結されている真空492を介して、バッグ480および治療材料482に対して負圧/吸引を行ってもよい。さらに、創傷、吻合部、またはポケットが治癒したり、収縮したりするにつれて、吸引は、たとえば、バッグ480から流体および治療材料482のうちの少なくともいずれか一方を除去することによって、バッグ480のサイズを縮小させたり、形状を変化させるたりするために、チューブ484を通じてバッグ480および治療材料482に対して行ってもよい。この態様では、バッグ480は、創傷、吻合部、またはポケットが治癒する、またはサイズおよび形状の少なくともいずれか一方が変化するにつれて、サイズおよび形状の少なくともいずれか一方を変化させてもよい。追加的にまたは代替的に、さらなる治療材料482を、(たとえば供給源468から)チューブ484内を通ってバッグ480に送達して、バッグ480のサイズおよび形状の少なくともいずれか一方を変更させてもよい。さらに、いくつかの態様では、(たとえば真空492を介して)バッグ480に対して吸引を行って、治療材料482の全てまたは大部分を除去してもよい。これらの態様では、さらなる治療材料482を、(たとえば供給源468から)チューブ484内を通ってバッグ480まで送達して、創傷、吻合部、またはポケットのサイズおよび形状の少なくともいずれか一方をとり得るバッグ480を再充填してもよい。これらの工程は、創傷、吻合部、またはポケットが治癒したり、収縮したりすることを補助するために、必要に応じて何度でも繰り返してもよい。さらに、バッグ480は、バッグ480もしくはチューブ484を除去したり、再配置したりすることなく、空にして再充填されてもよい。
【0066】
図7Cに示すように、チューブ484は、たとえばチューブ484の近位部分において調節装置488を含んでもよい。いくつかの態様では、調節装置488はフィルタであってもよい。フィルタは、たとえば、治療材料482がバッグ480に送達された後で、チューブ484の一部の内部に選択的に配置されてもよい。この態様では、フィルタは、(たとえば真空492からの)負圧/吸引が、バッグ480またはチューブ484から治療材料482を除去することなく、バッグ480またはチューブ484からの流体の除去を補助する。フィルタは、取り外し可能であったり、たとえばチューブ484およびバッグ480内を通って治療材料482を再送達するときに非ろ過構成で選択的に配置されてもよい。別の態様では、調節装置488はバルブであってもよい。バルブは、チューブ484の内部またはチューブ484の一部の周囲に配置されてもよい。バルブは、治療材料482がバルブ内を通ってチューブ484およびバッグ480内に送達されることを可能にしてもよい。バルブは、治療材料482をチューブ484およびバッグ480内に保持することも補助する。たとえば、いくつかの態様では、第1の圧力レベル(たとえば、陽圧または負圧/吸引のいずれか)が付与されている状態では、バルブは、治療材料482ではなく流体がバルブ内を通過することを可能にする。さらには、いくつかの態様では、第1の圧力レベルよりも高い第2の圧力レベル(たとえば、陽圧または負圧/吸引のいずれか)が付与されている状態では、バルブは、流体および治療材料482がバルブ内を通過することを可能にする。
【0067】
一態様では、チューブ484を使用して、バッグ480の姿勢および向きの少なくともいずれか一方を制御したり、操作したりしてもよい。たとえば、チューブ484を使用して、バッグ480を制御(たとえば、位置決め、回転、捩るなど)したり、バッグ480に材料および流体の少なくともいずれか一方を送達したり、吸引を行ってバッグ480から材料および流体の少なくともいずれか一方を除去したりしてもよい。さらに、いくつかの態様では、流体を、(たとえばチューブ484を介して)バッグ480内に遠位方向に送達して、創傷、吻合部、またはポケットがバッグ480と係合する状況において、バッグ480を創傷、吻合部、またはポケットから離脱させることを補助する。いくつかの態様では、送達される流体を少なくとも部分的に加圧してもよい。追加的にまたは代替的に、バッグ480を創傷、吻合部、またはポケットか離脱させるためにチューブ484を捩ってもよい。
【0068】
これらの工程は、創傷、吻合部、またはポケットが治癒したり、収縮したりすることを補助するために、必要に応じて何度でも繰り返される。さらに、バッグ480は、バッグ480またはチューブ484を除去したり、再配置したりすることなく、空にして再充填する。
【0069】
本明細書において説明した種々の態様は、たとえば肥満外科手術の、治療の有効性および処置からの回復の少なくともいずれか一方を向上させることに役立ち得る。本明細書において説明した種々の態様は、回復時間を短縮させたり、最小限に抑えたり、患者の不快感を低減させたり最小限に抑えたり、医師の介入を減らしたり最小限に抑えたり、スポンジを配置するための画像化もしくは可視化の必要性およびその依存度の少なくとも一方を低減したり最小限に抑えたりすることに役立ち得る。たとえば、本明細書において説明した種々の態様は、多孔質および/または吸収体、たとえばスポンジまたは治療材料を治療部位まで送達すること、スポンジまたは治療材料を除去すること(分解、物理的な除去、またはそれらの組み合わせ、のいずれか)、および、種々の挿入装置の再送達または再配置することなく、別のスポンジまたはさらなる治療材料を治療部位まで送達することを可能にする。さらには、本明細書において説明した種々の態様は、患者を治療するために使用されるキットとしてパッケージングされてもよい。
【0070】
いくつかの態様では、本明細書において説明されるスポンジは、生体適合性があり、分解可能であってもよい。さらには、スポンジの異なる層または部分は、異なる速さで分解してもよい。たとえば、スポンジの異なる層または部分は、異なる厚さ、異なる材料、異なる密度、材料の異なる混合などで形成してもよい。このように、スポンジは、経時的にサイズおよび形状の少なくともいずれか一方が変化し、サイズおよび形状の少なくともいずれか一方のこの変化は、創傷、吻合部、ポケットなどのサイズおよび形状の変化の少なくともいずれか一方の変化に対応する。したがって、医師がスポンジを除去したり交換したりする必要性を低下させ得る。追加的には、スポンジは、1つ以上の抗菌層および/または材料を含み、これにより、感染のリスク低下を補助したり、創傷、吻合部、ポケットなどの治癒やサイズの縮小の促進を補助する。
【0071】
さらに、(たとえばスプレーフォームによって形成される)スポンジ、または、(バッグ480内の)治療材料は、創傷、吻合部、またはポケットの形状をとり得る。この態様では、スポンジをサイズ決め、位置決めなどするための画像化もしくは可視化の必要性や、依存性を低減したり、最小限に抑えたりする。たとえば、医師が、創傷、吻合部、またはポケットのサイズおよび形状の少なくともいずれか一方に合わせてスポンジを切る、または形成する必要はなくなり得る。治療材料の全体は、患者の開口部を通って一度に送達、または除去される必要がない。さらには、本発明のいくつかの態様では、スポンジまたは治療材料は、治癒プロセス中に創傷、吻合部、またはポケットのサイズおよび形状の少なくともいずれか一方が変化しても、創傷、吻合部、またはポケットのサイズおよび形状の少なくともいずれか一方をとり得る。
【0072】
医療システムの態様を、食道、胃、十二指腸、大腸(結腸)、または小腸における治療部位を治療するために使用されるものとして上記で説明したが、これらの態様および方法は、患者の任意の部分を治療するために使用してもよく、全体的な回復時間、構成要素のコストを低減し、患者に対するリスクを低下させることなどに役立つ。
【0073】
本発明の原理を、種々の用途に関する例示的な態様を参照して本明細書において記載したが、本発明はそれらに限定されないことを理解されたい。当業者、および本明細書において提供される教示を利用する者は、本明細書に記載の態様の範囲にすべてが入る、さらなる変更、用途、態様および均等物の置換を理解できる。したがって、本発明は、上記の記載によって限定されるものとみなされるべきではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
【国際調査報告】