(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】医療システム、デバイス、および関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20230407BHJP
【FI】
A61M1/00 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551259
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2021019600
(87)【国際公開番号】W WO2021173792
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウェールズ、ライアン ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】サリバン、キラ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】パワーズ、ジェシカ ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】キング、ジョセフ ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA15
4C077BB10
4C077DD11
4C077EE04
4C077KK30
4C077MM07
(57)【要約】
1つの例では、医療システムは、送達チューブであって、真空源に対して結合し、送達チューブの遠位部分に対して陰圧を提供するように構成される、送達チューブと、送達チューブの遠位部分にある多孔性本体であって、第1のセクションと、第1のセクションから取り外し可能な第2のセクションとを含む、多孔性本体と、を備えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達チューブであって、真空源に対して結合し、前記送達チューブの遠位部分に対して陰圧を提供するように構成される、送達チューブと、
前記送達チューブの遠位部分にある多孔性本体であって、第1のセクションと、前記第1のセクションから取り外し可能な第2のセクションとを含む、多孔性本体と、を備える、医療システム。
【請求項2】
前記第2のセクションが、前記第1のセクションの径方向に最も外側の表面の周りを円周方向に延び、前記径方向に最も外側の表面が、前記多孔性本体の中央長手方向軸から径方向に最も外側にある、請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
前記第2のセクションに対して結合され、前記多孔性本体から前記送達チューブの近位部分まで延びるストリングをさらに備える、請求項1または2に記載の医療システム。
【請求項4】
前記多孔性本体が、前記第2のセクションの径方向に最も外側の表面の周りを円周方向に延びる第3のセクションをさらに備え、前記第2のセクションの前記径方向に最も外側の表面が、前記多孔性本体の中央長手方向軸から径方向に最も外側にある、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項5】
前記第2のセクションに対して結合され、前記多孔性本体から前記送達チューブの近位部分まで延びる第1のストリングと、
前記第3のセクションに対して結合され、前記多孔性本体から前記送達チューブの前記近位部分まで延びる第2のストリングと、をさらに備える、請求項4に記載の医療システム。
【請求項6】
前記送達チューブが、真空源に対して結合され、前記多孔性本体が、円筒状であり、前記多孔性本体の中央長手方向軸が、前記送達チューブの中央長手方向軸と長手方向に位置合わせされる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項7】
前記第2のセクションに対して結合された可撓性オーバーチューブをさらに備え、前記送達チューブが、前記可撓性オーバーチューブの管腔を通って延びる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項8】
前記第1のセクションが、円筒状であり、前記第2のセクションが、前記第1のセクションに巻き付く、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項9】
前記第1のセクションおよび前記第2のセクションが、穿孔部によって分離される、請求項8に記載の医療システム。
【請求項10】
前記第1のセクションが、円筒状であり、中央長手方向軸を含み、前記第2のセクションが、前記第1のセクションの径方向に最も外側の表面の周りを円周方向に延び、前記径方向に最も外側の表面が、前記第1のセクションの前記中央長手方向軸から径方向に最も外側にあり、前記第2のセクションが、円筒状であり、前記第1のセクションを受け入れるように構成された、前記中央長手方向軸を通って延びる管腔を含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項11】
メッシュ、接着剤、または作用剤の層が、前記第1のセクションと前記第2のセクションとの間に配置される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項12】
前記送達チューブおよび前記多孔性本体の周りを延びる円筒状オーバーチューブをさらに備え、前記オーバーチューブが、前記多孔性本体および前記送達チューブを覆うように構成される、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項13】
前記第2のセクションおよび前記第3のセクションに対して結合されたストリングをさらに備え、前記ストリングが、前記多孔性本体から前記送達チューブの近位部分まで延び、前記ストリングが、
前記第2のセクションおよび前記第3のセクションに対して結合された第1の部分であって、前記送達チューブの長さより長い長さを有する、第1の部分と、
前記第3のセクションに対して結合され、送達チューブの前記近位部分まで近位に延びる第2の部分と、を含む、請求項4に記載の医療システム。
【請求項14】
前記第1のセクション、前記第2のセクション、および前記第3のセクションが、同心である、請求項4に記載の医療システム。
【請求項15】
前記第1のストリングが、前記第2のストリングとは異なる色である、請求項5に記載の医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、対象者を治療するために使用され得る医療システム、デバイス、および関連する方法に関する。本開示の態様は、創傷治療のために組織に対して陰圧を加えるなどの、内視鏡的医療処置のための医療システム、デバイス、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸(GI)管の内視鏡的および直視下の外科的処置は、たとえば、とりわけ結腸切除、肥満外科手術、食道切除術、胃バイパス術、およびスリーブ状胃切除術を含む。これらの処置の結果、穿孔、術後漏出または他の創傷が管に生じることがある。著しく高い罹患率および死亡率を有するそのような創傷を管理するために、限定された治療オプションが存在している。オプションは、外科的再手術およびステントまたはクリップの内視鏡的留置を含む。手術は、相対的に侵襲性であり、これもまた高い罹患率および死亡率を有する。内視鏡的ステント留置は、低侵襲性オプションである。しかし、留置されたステントは、意図する場所から移動し、および/または治療部位に感染体を閉じ込めて排出を阻害する可能性がある。
【0003】
本開示のシステム、デバイス、および方法は、上記で説明された欠点のいくつかを修正し、または当技術分野の他の態様に対処することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の例は、とりわけ、医療システムおよびデバイスを用いて1つまたは複数の医療処置を実行するためのシステム、デバイス、および方法に関する。本明細書において開示される例の各々は、他の開示される例のいずれかに関連して説明される特徴の1つまたは複数を含むことができる。
【0005】
1つの例では、医療システムは、送達チューブであって、真空源に対して結合し、送達チューブの遠位部分に対して陰圧を提供するように構成される、送達チューブと、送達チューブの遠位部分にある多孔性本体であって、第1のセクションと、第1のセクションから取り外し可能な第2のセクションとを含む、多孔性本体と、を備えることができる。
【0006】
本開示の他の態様では、医療システムは、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。第2のセクションは、第1のセクションの径方向に最も外側の表面の周りを円周方向に延びることができ、その径方向に最も外側の表面は、多孔性本体の中央長手方向軸から径方向に最も外側にあってよい。システムは、第2のセクションに対して結合され、多孔性本体から送達チューブの近位部分まで延びるストリングをさらに備えることができる。多孔性本体は、第2のセクションの径方向に最も外側の表面の周りを円周方向に延びる第3のセクションをさらに備えることができ、第2のセクションの径方向に最も外側の表面は、多孔性本体の中央長手方向軸から径方向に最も外側にあってよい。システムは、第2のセクションに対して結合され、多孔性本体から送達チューブの近位部分まで延びる第1のストリングと、第3のセクションに対して結合され、多孔性本体から送達チューブの近位部分まで延びる第2のストリングと、をさらに備えることができる。送達チューブは、真空源に対して結合されてよく、多孔性本体は、円筒状であってよく、多孔性本体の中央長手方向軸は、送達チューブの中央長手方向軸と長手方向に位置合わせされ得る。システムは、第2のセクションに対して結合された可撓性オーバーチューブをさらに備えることができ、送達チューブは、可撓性オーバーチューブの管腔を通って延びることができる。
【0007】
本開示の他の態様では、医療システムは、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。第1のセクションは、円筒状であってよく、第2のセクションは、第1のセクションに巻き付くことができる。第1のセクションおよび第2のセクションは、穿孔部によって分離され得る。第1のセクションは、円筒状であってよく、中央長手方向軸を含むことができる。第2のセクションは、第1のセクションの径方向に最も外側の表面の周りを円周方向に延びることができ、その径方向に最も外側の表面は、第1のセクションの中央長手方向軸から径方向に最も外側にあってよい。第2のセクションは、円筒状であってよく、第1のセクションを受け入れるように構成された、中央長手方向軸を通って延びる管腔を含むことができる。メッシュ、接着剤、または作用剤の層が、第1のセクションと第2のセクションとの間に配置され得る。システムは、送達チューブおよび多孔性本体の周りを延びる円筒状オーバーチューブをさらに備えることができ、オーバーチューブは、多孔性本体および送達チューブを覆うように構成され得る。システムは、第2のセクションおよび第3のセクションに対して結合されたストリングをさらに備えることができ、ストリングは、スポンジから、送達チューブの近位部分まで延びることができる。ストリングは、第2のセクションおよび第3のセクションに対して結合された第1の部分であって、送達チューブの長さより長い長さを有する、第1の部分と、第3のセクションに対して結合され、送達チューブの近位部分まで近位に延びる第2の部分と、を含む。第1のセクション、第2のセクション、および第3のセクションは、同心であってよく、多孔性本体の中央長手方向軸に直交して測定される異なる厚さを有することができる。第1のストリングは、第2のストリングとは異なる色であってよい。
【0008】
別の態様では、医療デバイスは、少なくとも1つの穿孔部を含む多孔性本体と、多孔性本体と流体連通する開口部が内部に形成された陰圧導管であって、多孔性本体に対して陰圧を加えるように構成される、陰圧導管と、多孔性本体に対して結合され、多孔性本体から導管の近位部分まで延びるストリングと、を備えることができる。多孔性本体は、ストリングが近位に引かれたときに別個のセクションに分離するように構成され得る。
【0009】
本開示の他の態様では、デバイスは、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。少なくとも1つの穿孔部は、多孔性本体に沿って長手方向に延びることができる。導管は、多孔性本体の中央円筒状セクションと長手方向に位置合わせされてよく、少なくとも1つの穿孔部は、中央セクションの長手方向軸に平行に延びることができる。少なくとも1つの穿孔部は、第1の穿孔部と第2の穿孔部とを含むことができ、第1の穿孔部の方が、第2の穿孔部より多孔性本体の中央長手方向軸の近くにあってよい。
【0010】
別の態様では、医療処置を実行する方法は、多孔性本体を標的部位の組織に隣接して配置する工程と、多孔性本体に対して陰圧を加える工程と、多孔性本体に対して結合されたストリングを近位に引き、多孔性本体の第2のセクションは標的部位に配置されたままで、多孔性本体の第1のセクションを取り外す工程と、を備えることができる。
【0011】
前述の全般的な説明および以下の詳細な説明の両方が、例示的および説明的にすぎず、特許請求されるように、本開示を制限するものではないことが、理解され得る。
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図は、本開示の例示的な態様を図示し、本説明と一緒になって本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の態様による、例示的な医療デバイスの遠位部分の斜視図。
【
図2】本開示の態様による、例示的な医療デバイスの遠位部分の斜視図。
【
図3】本開示の態様による、例示的な医療デバイスの遠位部分の斜視図。
【
図4A】本開示の態様による、対象者体内での使用法の一段階における医療デバイスを示す図。
【
図4B】本開示の態様による、対象者体内での使用法の別の段階における医療デバイスを示す図。
【
図4C】本開示の態様による、対象者体内での使用法の別の段階における医療デバイスを示す図。
【
図4D】本開示の態様による、対象者体内での使用法の別の段階における医療デバイスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
用語「近位」および「遠位」は、本明細書において、例示的な医療システムおよび例示的な医療デバイスの構成要素の相対位置を指すために使用される。本明細書において使用されるとき、「近位」は、身体の外部に比較的近いか、または医療システムまたは医療デバイスを使用する医療専門家に近い位置を指す。対照的に、「遠位」は、医療システムまたは医療デバイスを使用する医療専門家から比較的遠くに離れるか、または身体の内部に近い位置を指す。近位および遠位方向は、図を通じて、「P」および「D」それぞれでマークされた矢印で標識される。本明細書において使用されるとき、用語「備える」、「備えている」、「有する」、「含む」、またはその他の変形形態は、非排他的包含を対象とするように意図され、それにより、要素のリストを備えるシステム、デバイス、または方法は、これらの要素を含むだけではなく、明示的にリストされない、またはその固有の他の要素を含むことができる。別途言及されない限り、用語「例示的」は、「理想的」ではなく「例」の意味で使用される。本明細書において使用されるとき、用語「約」、「実質的」、および「およそ」は、言及された値の+/-10%内の値の範囲を示す。
【0014】
管腔内真空療法(EVAC)が提案されている。EVACでは、陰圧が、GI管内の創傷部位に対して、たとえばスポンジを末端に有する経鼻胃チューブを通して送達される。スポンジは、内視鏡によって穿孔部、漏出部、または他の創傷内に留置される。次いで、陰圧が加えられる。しかし、EVACに適したデバイスおよびシステムは、限定されている。
【0015】
本開示の実施形態は、管腔内真空療法(EVAC)のためのデバイス、システム、および方法を含む。例では、EVACは、穿孔部、嚢胞、漏出部、吻合部などを含む創傷部位内へのスポンジまたは他の同様の材料の管腔内留置を含む。材料の留置は、自然オリフィスを介してGI管内に挿入される、カテーテル、スコープ(内視鏡、気管支鏡、大腸内視鏡、胃境、十二指腸内視鏡など)、チューブ、またはシースを介することができる。オリフィスは、たとえば、鼻、口、または肛門とすることができ、留置は、食道、胃、十二指腸、大腸または小腸を含むGI管の任意の部分内であることができる。留置はまた、GI管を介して到達可能な他の器官内であることもできる。
【0016】
次に、上記で説明され、添付の図に示される本開示の例に、詳細に参照がなされる。可能な限り、同じまたは同様の部分を指すために、同じ参照番号が図を通じて使用される。
図1は、対象者の体内で内部創傷、吻合部などの治癒を助けるために使用され得る、スポンジ102を含む例示的な医療デバイス100の斜視図を示す。スポンジ102は、実質的に円筒状であってよく、真空チューブ104に対して取り付け可能であり、たとえば結合され得る。スポンジ105の中央長手方向軸Aは、真空チューブ104の中央長手方向軸(これもまた
図1では軸Aとして示される)と位置合わせされ得る。スポンジ102は、患者の解剖学的構造に従ってサイズ設定されてよく、真空チューブ104を受け入れるための管腔または凹部(図示されず)を含むことができる。凹部は、スポンジ102の近位端内にあってよい。いくつかの例では、スポンジ102は、湾曲した、径方向に最も外側の表面119を含むことができる。スポンジ105は、可撓性であってよく、患者の体管腔の曲がりくねった経路を通って移動するように構成され得る。
【0017】
スポンジ102は、複数の同心セクション116、114、112、110、108を含むことができる。各セクション116、114、112、110、108は、各々の他のセクション116、114、112、110、108とは別個であってよい。中央セクション116は、円筒形のような形状にされてよく、真空チューブ104に対して直接結合され得る。たとえば、セクション116は、チューブ104の遠位部分をスポンジ102内に収容するために、セクション114、112、110、108より短い長さを有することができる。他のセクション114、112、110、108の各々は、中央セクション116の周りを円周方向に延びて、互いに入れ子にされる同心のリング様円筒状セクション114、112、110、108を形成することができる。いくつかの例では、スポンジ102の各セクション116、114、112、110、108は、中央長手方向軸Aから異なる距離にあってよく、各セクション116、114、112、110、108は、中央長手方向軸Aの方向に長手方向に延びることができる。いくつかの例では、セクション116、114、112、110、108は、長手方向軸Aに垂直な方向に測定される同じ厚さを有することができ、セクション114、112、110、108は、長手方向軸Aに平行に測定される同じ長さを有することができる。他の例では、セクション116、114、112、110、108は、異なる厚さを有することができ、および/または異なる長さを有することができる。いくつかの例では、スポンジ102は、5つのセクション(
図1に示される)を含むことができ、他の例では、スポンジ102は、2、3、4、6、7、8、9つまたは任意の他の適切な数のセクションを含むことができる。各セクション114、112、110、108は、隣接するセクション116、114、112、110の長手方向軸Aから径方向に外側の表面とそれぞれ接触することができる。
【0018】
セクション116、114、112、110、108は、一セクション116、114、112、110、108が、他のセクション116、114、112、110、108を全くまたは最小限しか移動させない状態で、他のセクション116、114、112、110、108に対して近位-遠位方向に移動され得るように、互いに対して移動するように構成され得る。いくつかの例では、メッシュ、接着剤、または作用剤の層が、各セクション116、114、112、110、108と隣接するセクション116、114、112、110、108との間に配置されてよく、この層は、各セクション116、114、112、110、108の取り外しを容易にすることができる。他の例では、隣接するセクションを一緒に結合させるが、適切な力がかかったときにこれらを互いから解放することを可能にすることができる任意の他の適切な材料が、隣接するセクション間で使用され得る。そのような材料は、隣接するセクション間に挟まれた適切な接着剤層を含むことができる。いくつかの例では、薬剤が、隣接するセクション間に積層されおよび/または挟まれてよく、スポンジ102の長手方向軸から径方向に外側の層が取り外され、薬剤の層を露出させたときに、スポンジ102から解放するように構成され得る。いくつかの例では、スポンジ102は、およそ1cmから7cmの間の半径を有する創傷領域450および/またはおよそ1cmから7cmの間の深さを有する創傷領域450を充填するようにサイズ設定され得る。
【0019】
本開示の実施形態では、スポンジ102は、液体を吸収し、および/または陰圧によって液体を通過させることができる任意の適切な生体適合性材料であってよい。材料は、可撓性、圧縮性、多孔性、親水性、滅菌性、生分解性および/または廃棄可能であってよい。スポンジ材料は、孔およびチャネルを内部に有する連続気泡発泡体であってよい。適切な材料は、ポリウレタン、エステル、エーテル、複合材料、および任意の医療級材料を含む。
【0020】
ストリングまたは縫合糸106が、スポンジ102に対して結合されてよく、スポンジ102から医療デバイス100の近位部分まで近位に延びることができる。ストリング106は、中央セクション116を除いた各セクション108、110、112、114に対して結合され得る。医療デバイス100の長さ(長手方向に測定される)より長い長さのストリング106が、各セクション108、110、112、114に対してストリング106が結合される各地点間にあってよく、それによって各セクション108、110、112、114を、任意の他のセクション108、110、112、114を引くことなく医療デバイス100の全長上で近位に引くことを可能にすることができる。各セクション108、110、112、114に対して結合されるストリング106の各地点間のストリング106の長さは、隣接するセクション108、110、112、114間に挟まれ得る。たとえば、ストリング106は、セクション108に対して結合され、次いでセクション110に対して結合され、次いでセクション112に対して結合され、次いでセクション114に対して結合されてよく、ストリング106が各セクションに対して結合される各地点間のストリングの長さは、セクション間(セクション周りの創傷など)に配置され得る。各セクション108、110、112、114間のストリング106のこの追加の長さは、ユーザがセクション108を、セクションの残り110、112、114、116を取り外さずに患者の体から近位に引き出し、次いで次の径方向に最も外側のセクション(この場合はセクション110)を、セクションの残り112、114、116を移動させることなく患者の体から近位に引き出すように進め、それ以後同じように進めることを可能にするように構成される。
【0021】
いくつかの例では、医療デバイス100は、各セクション108、110、112、114に対して結合された単一の別個のストリングを含むことができ、したがって、4つのストリング106が、スポンジ102から近位に延びる。いくつかの例では、医療デバイス100は、各セクション108、110、112、114に対して結合された単一のストリング106を含むことができ、ストリング106の各々は、異なる色であってよく、そのためスポンジ102の層(セクション108、110、112、114)を取り外すユーザは、どの層が取り外されているかを特定することができる。他の例では、ストリング106は、ワイヤ、テザー、または押出品に置き換えられてよい。いくつかの例では、ストリング106は、スポンジ102から医療デバイス100の近位部分まで延びる同心チューブの組に置き換えられてよく、このとき各チューブは、単一のセクション108、110、112、114に対して結合されている。この例では、チューブは、可撓性であり、患者の体を通って移動するように構成される。
【0022】
真空チューブ104は、円筒状であってよく、中央管腔(図示されず)が真空チューブ104の中央長手方向軸Aに沿って延びている。真空チューブ104は、内視鏡または他の医療送達デバイスの作業チャネルを通って延びるように構成された長さおよび幅を有することができ、可撓性であってよい。いくつかの例では、真空チューブ104は、スポンジ102内の部分を含む真空チューブ104の遠位部分に1つまたは複数の穴を含むことができる。真空チューブ104は、真空チューブ104の近位部分において真空源120に対して結合され得る。真空源120は、真空チューブ101に対して負の空気圧を供給することができる。真空チューブ104は、スポンジ102の少なくとも中央セクション116に対して結合されてよく、スポンジ102に対して負の空気圧を供給することができる。いくつかの例では、真空チューブ104は、スポンジ102の中央部分116を通って延びることができる。真空チューブ104は、スポンジ102の近位部分の凹部内に受け入れられてよく、いくつかの例では、真空チューブ104は、接着剤、縫合糸、糸、および/または他の取り付け手段を介してスポンジ102に対して結合されてよい。
【0023】
いくつかの例では、医療デバイス100は、真空チューブ104およびスポンジ102上を延びることができるオーバーチューブ(図示されず)を含むことができる。オーバーチューブは、スポンジ102を圧縮することができ、それにより、スポンジ102の長手方向軸Aから径方向に最も外側の表面は、スポンジ102がオーバーチューブの外側に配置されるときより小さくなる。オーバーチューブは、内視鏡または他の医療デバイスの作業チャネルを通る医療デバイス100の移動を容易にすることができる。加えて、オーバーチューブは、スポンジ102と患者の組織との望ましくない接触を防止することができる。
【0024】
図2は、医療デバイス200の代替の実施形態の遠位部分の斜視図を示す。医療デバイス200は、医療デバイス100に関して本明細書の上記で説明された特徴のいずれかを有することができる。医療デバイス200は、真空チューブ204とスポンジ202とを含むことができ、医療デバイス200の近位部分において真空源220に対して結合され得る。スポンジ102に関して本明細書の上記で説明されたのと同じようなやり方で、スポンジ202は、同心の円筒状セクション212、214、216を含む。少なくとも中央セクション216は、真空チューブ204に対して直接結合され、セクション214は、第1のストリング223に対して結合され、セクション212は、第2のストリング221に対して結合される。第1のストリング223および第2のストリング221の各々は、スポンジ202から医療デバイスの近位部分まで延びることができ、スポンジ202のセクション212、214を患者の体から取り外すために近位に移動されるように構成され得る。(
図2に示される)いくつかの例では、ストリング221、223は、各セクション212、214の近位部分において、セクション212、214の各々に対してそれぞれ結合され得る。ストリング221、223は、真空チューブ204の外側を近位に延びることができる。
【0025】
図3は、医療デバイス300の別の実施形態の遠位部分の斜視図を示す。医療デバイス300は、医療デバイス100、200に関して本明細書の上記で説明された特徴のいずれかを有することができる。医療デバイス300は、真空チューブ304、スポンジ302、およびストリング306を含むことができる。真空チューブ304は、真空チューブ304の近位部分において真空源320に対して結合され得る。スポンジ302は、いくつかのセクション331、332、333、334、335、336を含むことができ、セクション331、332、333、334、335は、中央セクション336の周りに巻かれ得る。各セクション331、332、333、334、335は、これに隣接するおよび/またはその径方向内側にある1つまたは複数のセクションに巻き付けられてよく、セクション331、332、333、334、335、336は、スポンジ302の中央長手方向軸を中心に螺旋を形成することができる。いくつかの例では、単一の矩形のスポンジが、スポンジをセクション331、332、333、334、335、336に分割するように穿孔されてよく、次いで、この矩形のスポンジは、中央セクション(
図3のセクション336など)の周りにロールされて、スポンジ302を形成することができる。ストリング306は、各セクション331、332、333、334、335、336に対して結合されてよく、医療デバイス100の長さであるストリングの部分が、各それぞれのセクション331、332、333、334、335、336に対してストリング306を結合する各地点間にある。
【0026】
隣接するセクション331、332、333、334、335、336は、穿孔部361、362、363、364、365によって分離され得る。穿孔部361、362、363、364、365は、ユーザがストリング306を近位に引いたときにセクション331、332、333、334、335、336が互いに分離することを可能にするように構成され得る。たとえば、ユーザが最初にストリング306を近位に引くと、セクション331は近位に引かれてよく、穿孔部361は、セクション331が、セクション332または任意の他のセクションを全くまたは最小限しか移動させずにセクション332から分離することを可能にすることができる。ユーザは、次いで、ストリング306を近位に引き続けてセクション332をセクション333から、次いでセクション333をセクション334から、などのように分離することができる。他の例では、個々のストリング306が、各セクション331、332、333、334、335、336に対して結合されてよく、それにより、ユーザは、1つのストリングを引いてセクション331を取り外す、次いで、第2のストリングを引いてセクション332を取り外す、などのことが必要となる。いくつかの例(図示されず)では、中央セクション336は、スポンジ302とは別個のスポンジであってよい。穿孔部361、362、363、364、365は、長手方向に、軸Aに実質的に平行に延びることができる。他の例では、穿孔部361、362、363、364、365は、各セクション331、332、333、334、335、336間のより薄い領域または別の形の脆弱化領域によって置き換えられ、適切な力が加えられたときに隣接するセクション331、332、333、334、335、336の解放を可能にすることができる。各セクション331、332、333、334、335、336は、任意の適切なサイズであってよい。いくつかの例では、各セクション331、332、333、334、335、336は、真空チューブ304の中央長手方向軸の周りを360°で円周方向に延びることができる。他の例では、各セクション331、332、333、334、335、336は、
図3に示されるセクション331のように、軸の周りを360°未満で円周方向に延びることができる。穿孔部361、362は、スポンジ302を患者の体に挿入する前に、スポンジ302のサイズをユーザが選択するための手段を提供することができる。また、メッシュ、接着剤、作用剤、または他の材料の層が、本明細書の上記で説明されたように隣接するセクション331、332、333、334、335、336間で使用されてよい。
【0027】
次に、医療デバイス100、200、300を操作する方法に、詳細に参照がなされる。
図4A~4Dは医療デバイス100の操作を示しているが、医療デバイス100、200、300のいずれも、医療デバイス100に関して本明細書において以下で説明される同じ方法によって操作することができる。
【0028】
図4A~4Dは、創傷領域450を治療するために患者の体管腔452(たとえば、胃腸管の一部分)内で使用中の医療デバイス100の側面図を示す。医療デバイス100を患者の体内の創傷領域450に配置するために、ユーザは、内視鏡(または別の医療デバイス)を患者に挿入し、内視鏡の遠位端にある画像センサ(図示されず)を使用して創傷領域450を視覚化することによって、創傷領域450の位置を特定することができる。内視鏡が創傷領域450の近位に配置されると、ユーザは、医療デバイス100を内視鏡の作業チャネルに挿入し、医療デバイス100を遠位に作業チャネルを通るように移動させることができる。他の例では、医療デバイス100は、内視鏡を患者の体内に挿入する前に、内視鏡の遠位端の近位の作業チャネル内に配置されてよい。いくつかの例では、オーバーチューブが、医療デバイス100と作業チャネルとの間に配置されてよく、オーバーチューブは、ユーザが医療デバイス100を遠位に作業チャネルを通るように移動させている間、作業チャネル内の医療デバイス100の過剰な曲がり、ねじれ、または他の形状歪みを防止することができる。他の例では、ユーザは、内視鏡を使用しなくてよく、医療デバイス100を、別個の医療デバイスの作業チャネル内ではなく、患者の体内に直接挿入することができる。
【0029】
内視鏡の遠位部分が創傷領域450の近位に配置された状態で、ユーザは、医療デバイス100を遠位に移動させて作業チャネルから出し、スポンジ102を創傷領域450内に配置することができる。スポンジ102の可撓性、圧縮性、および形状、ならびに真空チューブ104の可撓性は、創傷領域450内で医療デバイス100を操縦するのを容易にすることができる。いくつかの例では、スポンジ102は、創傷領域450の形状に合わせるように曲がり、ねじれ、および/形状を変更することができる。ユーザは、次いで、真空源120を活性化して、真空チューブ104を通してスポンジ102に対して陰圧を供給することができ、この陰圧は、創傷領域450の一部分をスポンジ102に引き寄せることができる。医療デバイス100が創傷領域450内に配置され、真空圧力がスポンジ102に対して供給されると、ユーザは、次いで、スポンジ102および真空チューブ104を患者の体内におよそ48~72時間の間配置したままにすることができる。スポンジ102に対して加えられた陰圧は、創傷領域450から流体および他の材料を取り出すこともできる。他の例では、スポンジ102は、任意の他の時間期間の間患者の体内に残されてよい。真空チューブ104は、治療中、患者の体内に留まることができ、患者の直腸、口、鼻、他の体のオリフィス、または切開部などの患者の体内の他の開口部などを通って、患者から真空源120まで延びることができる。いくつかの例では、オーバーチューブもまた、治療中、患者の体内に留まることができ、創傷領域450の外側のスポンジ102の一部分を覆うことができる。
【0030】
創傷領域450が治癒するにつれて、創傷領域450は、収縮し、小さくなり得る。ユーザがスポンジ102の一セクションを取り外したいとき(創傷領域内のスポンジ102の初期配置から48~72時間経過した後など)、ユーザは最初に、真空源120から真空チューブ104を接続解除し、生理食塩水460を創傷領域450に対して送達するために、生理食塩水460を真空チューブ104に対して供給することができる。
図4Bは、創傷領域450内で投与される生理食塩水460を示す。生理食塩水460が
図4Bに示されているが、創傷領域450を充填してスポンジ102の一部の取り外しを容易にするために、当技術分野で知られている任意の適切な液体が使用されてよい。生理食塩水460は、創傷領域450の壁からのスポンジ102の解放を容易にすることができる。生理食塩水460が投与されると、ユーザは、剛性ツール455の遠位端がスポンジ102のセクション110と接触するように、患者の体内に剛性ツール455を配置することができる。剛性ツール455は、ユーザがセクション108を近位に引いたときのセクション110の近位移動を防止することができる。剛性ツール455は、金属ワイヤ、チューブ、ロッド、または任意の他の適切な比較的剛性の部材であってよい。
【0031】
創傷領域450を生理食塩水460で充填し、剛性ツール455をセクション110に当接させた後、ユーザは次いで、ストリング106を近位に引いてセクション108を近位に引き、創傷領域450からセクション108を取り外すことができる。
図4Cは、セクション108が創傷領域450から近位に引き出されており、剛性ツール455がセクション110と接触してセクション110の近位移動を防止していることを示している。
図4Cは、剛性ツール455の使用を示しているが、ユーザは、ストリング106を近位に引くだけで、剛性ツール455の助け無しにセクション108を取り外すこともできる。セクション108が患者の体から取り外された後、ユーザは次いで、真空源120を再接続し、活性化して、スポンジ102に対して陰圧を提供することができ、創傷領域450の組織は、セクション110に引き寄せられ得る(
図4Dに示される)。これは、スポンジ102が創傷領域450内で消費する空間がより少なくなることを可能にすることができ、創傷領域450が治癒するにつれて、創傷領域450のサイズが減少し続けることも可能にすることができる。ユーザは、中央セクション115が創傷領域450に対して完全に露出されるまでこれらのステップを反復することができ、次いでユーザは、治療が完了すると、患者から医療デバイス100を完全に取り外すことができる。中央セクション116は、真空チューブ104を近位に引くことによって患者の体から取り外され得ることに留意されたい。
【0032】
本明細書において説明される医療デバイス100、200、300のいずれかで組織を治療する際、患者の組織が痂皮形成を発達させるか、または別の形で治癒した後にスポンジの一部分を取り外すことが有益となり得る。痂皮形成を有する組織の領域から、スポンジ102、202、302のセクションを取り外し、スポンジの新しいセクション(または治療のために組織にまだ接触していないスポンジの部分)が組織と係合することを可能にすることにより、組織はより速く治癒し得る。
【0033】
図4A~4Dは、スポンジ100が患者の体内の創傷領域を治療するために使用されていることを示しているが、本開示はそのように限定されない。本明細書において論議されるスポンジ102、202、302および処置は、対象者の上側胃腸管、対象者の下側胃腸管、対象者の体内の他の管腔または空洞内、対象者の体外上などの創傷、漏出、穿孔などを治療するために使用されてよい。本明細書において論議されるさまざまな態様は、快復時間を低減し、医師の介入を低減し、スポンジを配置するための画像化または視覚化の必要性および/または依存を低減し、構成要素コストを低減し、対象者に対するリスクを低減することなどに役立ち得る。
【0034】
追加的に、本明細書において論議されるさまざまな態様は、キットとしてパッケージ化されて、対象者を治療するために使用することができる。
本開示の原理が特定の用途向けの例証的な態様を参照して本明細書において説明されているが、本開示はそのように限定されないことを理解されたい。当技術分野および本明細書に提供される教示にアクセスする関係者は、本明細書において説明される態様の範囲内にすべて含まれる、追加の改変形態、用途、態様、および均等物の代用を認識するであろう。したがって、本開示は、前述の説明によって限定されるように考えられないものとする。
【国際調査報告】