IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノースウェスタン ユニバーシティの特許一覧 ▶ マンニン リサーチ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-515827房水流出を高め、眼圧を減少させる方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】房水流出を高め、眼圧を減少させる方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/02 20060101AFI20230407BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230407BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230407BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230407BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230407BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230407BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230407BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230407BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230407BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230407BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230407BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230407BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20230407BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230407BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230407BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20230407BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20230407BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20230407BHJP
   C07K 14/55 20060101ALN20230407BHJP
   C07K 14/31 20060101ALN20230407BHJP
【FI】
A61K38/02
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/12
C07K19/00
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K31/7088
A61K48/00
A61K35/76
A61K35/12
A61P27/02
A61K9/107
A61K47/65
C07K14/47
C07K14/705
C07K14/55
C07K14/31
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551265
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 US2021019910
(87)【国際公開番号】W WO2021173999
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/983,328
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/983,728
(32)【優先日】2020-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/029,369
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】522034778
【氏名又は名称】ノースウェスタン ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】522033966
【氏名又は名称】マンニン リサーチ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジン ジン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ パン
(72)【発明者】
【氏名】リチコ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】クアギン スーザン
(72)【発明者】
【氏名】トムソン ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C076AA17
4C076AA93
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB14
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB17
4C076BB21
4C076BB25
4C076BB29
4C076BB31
4C076BB40
4C076CC10
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA13
4C084DB52
4C084MA28
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA58
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA63
4C084MA66
4C084MA70
4C084NA14
4C084ZA33
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA28
4C086MA52
4C086MA56
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA66
4C086MA70
4C086NA14
4C086ZA33
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA28
4C087MA52
4C087MA56
4C087MA58
4C087MA59
4C087MA60
4C087MA66
4C087MA70
4C087NA14
4C087ZA33
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA04
4H045DA50
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、眼内の従来の流出路を介した房水流出の増強を必要とする対象において、それを行うか、または眼圧の低減を必要とする対象において、それを行う方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内の従来の流出路を介した房水流出の増強を必要とする対象において、それを行うか、または眼圧の低減を必要とする対象において、それを行う方法であって、前記対象に、治療有効量の
(i)補体タンパク質C4結合タンパク質(C4bp)のC末端ドメインと、アンジオポエチン(Ang)のフィブリノゲン様ドメイン(FLD)と、を含む、キメラポリペプチド、
(ii)前記ポリペプチドをコードする核酸、
(iii)前記核酸を含む組換えベクター、
(iv)前記ポリペプチド、核酸、および/もしくは組換えベクターを含む細胞、ならびに/または
(v)前記ポリペプチド、核酸、組換えベクター、もしくは細胞と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物、を投与し、
それによって、前記眼内の前記従来の流出路を介した房水流出の増強を必要とする前記対象において、それを行うか、または眼圧の低減を必要とする前記対象において、それを行うことを含む、方法。
【請求項2】
前記C4bpドメインが、前記ポリペプチドのN末端にあり、前記Angドメインが、前記ポリペプチドのC末端にあり、それによって、C4bp-Angポリペプチドを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Angドメインが、前記ポリペプチドのN末端にあり、前記C4bpドメインが、前記ポリペプチドのC末端にあり、それによって、Ang-C4bpポリペプチドを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記Angが、Ang1またはAng2である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記C4bpのC末端ドメインが、配列番号1を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記Ang1のフィブリノゲン様ドメインが、配列番号2を含み、前記Ang2のフィブリノゲン様ドメインが、配列番号3を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記Ang1-C4bpが、配列番号8を含み、前記C4bp-Ang1ポリペプチドが、配列番号10を含み、前記C4bp-Ang2が、配列番号12、そのHISタグなしバージョン、およびそのシグナルペプチド含有バージョンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリペプチドが、シグナルペプチドをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記シグナルペプチドが、IL2のシグナルペプチドおよびヒトCD33のシグナルペプチドから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリペプチドが、C末端標識/タグの有無にかかわらず、シグナルペプチドを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリペプチドが、前記C4bpドメインと前記Angドメインとの間にリンカーペプチドをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記リンカーペプチドが、アミノ酸配列GGGGS、EAAAK、PAPAP、AEAAAKEAAAKA、KESGSVSSEQLAQFRSLD、およびEGKSSGSGSESKSTを含むリンカーから選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリペプチドが、前記C末端標識を含まないリンカーを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリペプチドが、N末端標識および/またはC末端標識をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記標識が、ポリHis、GST、MBP、Flag、CBP、およびプロテインA標識/タグから選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリペプチドが、配列番号9、10、11、12、13、または18を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
エンテロキナーゼ切断部位をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリペプチドが、配列番号15、16、または17を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記キメラポリペプチドが、請求項1~22のいずれか一項に記載のキメラポリペプチドから選択される7つのキメラポリペプチドの複合体中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリペプチド、核酸、ベクター、細胞、または薬学的組成物が、硝子体内、眼、眼内、強膜傍、テノン嚢下、上脈絡膜、局所、静脈内、筋肉内、皮内、経皮的、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、髄腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、腹腔内、腹膜、脳室内、皮下、結膜下、膀胱内、粘膜、心膜内、臍帯内、眼窩内、経口、経皮、吸入で、注射で、点眼で、移植で、注入で、連続注入で、標的細胞の直接的な局所灌流浴で、カテーテルで、洗浄で、クリーム中で、または脂質組成物中で投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、態様の中でもとりわけ、Tie2/TEK受容体のアゴニスト活性化を介して血管疾患を治療するためのアンジオポエチン-1模倣物に関する。
【背景技術】
【0002】
アンジオポエチン-Tie2シグナル伝達経路は、血管発生、血管再構築、出生後血管新生、および血管透過性の主要な制御因子である(Saharinen P,Eklund L,Alitalo K.Therapeutic targeting of the angiopoietin-TIE pathway.Nat Rev Drug Discov.2017;16(9):635-661)。この経路は主に、その細胞外リガンドであるアンジオポエチン-1(Ang1)および2(Ang2)による内皮チロシンキナーゼ受容体Tie2(TEK)の直接的な結合を介して機能する(Saharinen P,Eklund L,Alitalo K.Therapeutic targeting of the angiopoietin-TIE pathway.Nat Rev Drug Discov.2017;16(9):635-661)。Ang1の強力な正準アゴニスト機能が明確に定義されているが、Ang2は、多くの場合、Tie2の文脈依存的なアンタゴニストとみなされている(Souma T,et al.Context-dependent functions of angiopoietin 2 are determined by the endothelial phosphatase VEPTP.Proc Natl Acad Sci U S A.2018;115(6):1298-1303)。加えて、Ang-Tie2シグナル伝達の強度は、血管内皮プロテインチロシンホスファターゼ(VEPTP/PTPRB)などの負の制御因子によって調節され、その経路はまた、インテグリンシグナル伝達とのクロストークを有する(Saharinen P,Eklund L,Alitalo K.Therapeutic targeting of the angiopoietin-TIE pathway.Nat Rev Drug Discov.2017;16(9):635-661)。Tie2の下流では、多数の細胞内シグナル伝達経路が活性化され、ERK1/2、AKT、およびeNOSのリン酸化につながり得る(Saharinen P,Eklund L,Alitalo K.Therapeutic targeting of the angiopoietin-TIE pathway.Nat Rev Drug Discov.2017;16(9):635-661)。
【0003】
アンジオポエチン-Tie2シグナル伝達系は、幅広い疾患を治療するための潜在的な治療標的として研究されている。この経路を活性化することが、どのように血管漏出および血管炎症に対する保護効果を有するかを説明する多数の文献がある(Parikh SM.Angiopoietins and Tie2 in vascular inflammation.Curr Opin Hematol.2017;24(5):432-438; Saharinen P,Eklund L,Alitalo K.Therapeutic targeting of the angiopoietin-TIE pathway.Nat Rev Drug Discov.2017;16(9):635-661)。適応症としては、他の病気や状態の中でも、がん、敗血症、虚血性脳卒中、急性腎損傷、慢性腎疾患、糖尿病性腎症および網膜症、創傷治癒、急性肺損傷、同種移植片拒絶が挙げられるが、これらに限定されない(Saharinen P,Eklund L,Alitalo K.Therapeutic targeting of the angiopoietin-TIE pathway.Nat Rev Drug Discov.2017;16(9):635-661)。外因性介入を介してこの経路を調節することで、炎症および血管漏出の有害な影響を防止することによって、血管内皮を安定化させるための治療機会が提供され、それによって、内皮バリアの完全性が維持される(Parikh SM.Angiopoietins and Tie2 in vascular inflammation.Curr Opin Hematol.2017;24(5):432-438)。
【0004】
学術研究室およびバイオテクノロジー企業は、治療用途の生物学的等価物またはバイオベターAng類似体もしくは模倣物を生成するために、かなり努力してきた。Ang1模倣物のいくつかの設計が試みられてきたが、主に所望の薬理学的効果を達成する際に遭遇した障害のために、いずれも臨床試験段階に達していない(Koh GY.Orchestral actions of angiopoietin-1 in vascular regeneration.Trends Mol Med.2013;19(1):31-39)。
【0005】
アンジオポエチンは、類似の分子ドメイン構造を共有し、細胞表面受容体Tie2への結合を付与するC末端のフィブリノゲン様ドメイン(FLD)、単量体のホモ多量体化を媒介する中央部のコイルドコイルドメイン(CCOD)、および分子内ジスルフィド架橋を介したアンジオポエチン二量体の多量体構造へのクラスター化を可能にするより短いN末端のスーパークラスター化ドメイン(SCD)セグメントを有する(図1A)(Koh GY.Orchestral actions of angiopoietin-1 in vascular regeneration.Trends Mol Med.2013;19(1):31-39)。単量体のアンジオポエチンリガンドは、Tie2に結合することができるが、それらは、微小血管系を調節するTie2受容体チロシンリン酸化および下流の細胞内シグナル伝達の活性化を誘導しない。一方、より高度のオリゴマー化は、効力の主要な決定要因であり、血管およびリンパ管の発生、維持、および機能に不可欠である(Saharinen P,Eklund L,Alitalo K.Therapeutic targeting of the angiopoietin-TIE pathway.Nat Rev Drug Discov.2017;16(9):635-661)。Ang1は、Tie2の強力なアゴニストであり、主に高次の多量体形態で存在し、Tie2受容体のクラスタリングを促進し、下流のシグナル伝達カスケードを誘導する(Koh GY.Orchestral actions of angiopoietin-1 in vascular regeneration.Trends Mol Med.2013;19(1):31-39)。高次多量体リガンドは、Tie2の最適な結合剤であり、アビディティにより、リガンド複合体化Tie2受容体のチロシンリン酸化が強く誘導される(Kim KT,et al.Oligomerization and multimerization are critical for angiopoietin-1 to bind and phosphorylate Tie2.J Biol Chem.2005;280(20):20126-20131)。対照的に、Ang2は、二量体として最も頻繁に存在し、Ang1の存在下ではTie2の競合アンタゴニストとなるが、Ang1およびVE-PTPの相対的な不在下ではTie2の部分的アゴニストとなり、これは、各リガンドに対するTie2応答性のための閾値を設定するように見える(Souma T,et al.Context-dependent functions of angiopoietin 2 are determined by the endothelial phosphatase VEPTP.Proc Natl Acad Sci U S A.2018;115(6):1298-1303)。多量体化およびTie2の関与の違いに加えて、Ang1は、内皮グリコカリックスの主要な構造成分である細胞外マトリックスおよびヒアルロナンに結合する(van den Berg BM,et al.Glomerular Function and Structural Integrity Depend on Hyaluronan Synthesis by Glomerular Endothelium.J Am Soc Nephrol.2019;30(10):1886-1897)。
【0006】
天然Ang1は、主に血管周皮細胞によって産生される。それは、N末端ドメインおよびリンカーを介して、細胞外マトリックス(ECM)に結合し、C末端Tie2結合フィブリノゲン様ドメイン(FLD)を介して、隣接する内皮上のTie2受容体を活性化する(Koh GY.Orchestral actions of angiopoietin-1 in vascular regeneration.Trends Mol Med.2013;19(1):31-39)。この作用様式により、Ang1の天然形態を使用して全身の薬物有効性を達成することが困難になる。バイオテクノロジーベンダーから実験試薬として入手可能な組換えAng1は、ヘテロ三量体、四量体、および五量体オリゴマーとして産生される(Koh GY.Orchestral actions of angiopoietin-1 in vascular regeneration.Trends Mol Med.2013;19(1):31-39)。特有の分子構造のため、SCD-CCODは、粘着性であり、ECMに非特異的に結合し、不溶性の凝集体を形成し、沈殿および活性の喪失をもたらすという固有の傾向を有する(Koh GY.Orchestral actions of angiopoietin-1 in vascular regeneration.Trends Mol Med.2013;19(1):31-39)。したがって、天然のAng1形態は、良好な薬物候補とはみなされない。これらの問題を回避するために、いくつかのAng1模倣物は、溶解性、安定性、および多量体性の改善を試みるために異なる設計を使用して生物工学がなされている。1つのアプローチは、SCD-CCODをIgG1からの結晶化可能な二量体化断片(Fc)で置き換えて、2の低い多量体性を有するBow-ANG1を作製する設計を使用した(Davis S,et al.Angiopoietins have distinct modular domains essential for receptor binding,dimerization and superclustering.Nat Struct Biol.2003;10(1):38-44)。多量体性を増やすために、タンデム配置で各鎖に配置された2つのFLDを用いて、代替バージョンのBOW-ANG1を構築して、多量体性を4に高めた。これは、Tie2受容体への強化された結合親和性を示した(Davis S,et al.Angiopoietins have distinct modular domains essential for receptor binding,dimerization and superclustering.Nat Struct Biol.2003;10(1):38-44)。別のアプローチは、FLDに融合された軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質由来のより短くより安定したCCODを使用して、Tie2を強力に活性化することができるCOMP:Ang1と称される五量体を生成した(Cho CH,et al.Designed angiopoietin-1 variant,COMP-Ang1,protects against radiation-induced endothelial cell apoptosis.Proc Natl Acad Sci U S A.2004;101(15):5553-5558.)。Bow-Ang1およびCOMP:Ang1は、インビボでTie2を活性化する際にある程度の有効性を示すが、それらの欠点(例えば、COMP-Ang1の場合、細胞外マトリックスへの非特異的結合および短い血中半減期、ならびにBOW-Ang1の低い多量性および弱い効力)は、それらを臨床試験に好適ではないようにする(Koh GY.Orchestral actions of angiopoietin-1 in vascular regeneration.Trends Mol Med.2013;19(1):31-39)。したがって、溶解性、安定性、および多量体性が向上したAng1模倣物を作製する必要性が依然として存在する。
【0007】
補体結合タンパク質(C4BP)は、豊富なヒト血漿糖タンパク質であり、その天然の機能は、補体活性化の古典的経路およびレクチン経路を阻害することである(Ermert D,Blom AM.C4b-binding protein:The good,the bad and the deadly.Novel functions of an old friend.Immunol Lett.2016;169:82-92)。C4BPは、ヒト血液中の主な形態が、7つの同一のα鎖および単一のβ鎖で構成され、C末端で一緒に保持された7つのアームのクモ状またはタコ状構造が想定されている(Hofmeyer T,et al.Arranged sevenfold:structural insights into the C-terminal oligomerization domain of human C4b-binding protein.J Mol Biol.2013;425(8):1302-1317)。このC末端コア領域は、タンパク質合成中に多量体への構築に関与し、1つの単量体からのシステインは、別の単量体のシスチンと分子間ジスルフィド結合を形成する(Hofmeyer T,et al.Arranged sevenfold:structural insights into the C-terminal oligomerization domain of human C4b-binding protein.J Mol Biol.2013;425(8):1302-1317)。C4BPスカフォールドは、完全長C4BPをオリゴマー化するのに十分であり、顕著な安定性を有し、極端なpHおよび温度への曝露などの厳しい条件に十分に耐える(Hofmeyer T,et al.Arranged sevenfold:structural insights into the C-terminal oligomerization domain of human C4b-binding protein.J Mol Biol.2013;425(8):1302-1317)。キメラ融合において、C4BPはまた、他の結合ドメインをオリゴマー化することができることも予測され、本明細書に、Ang1とのC4BP融合物を記載する(図1B)。
【発明の概要】
【0008】
合理的な設計を通して、Tie2活性化による血管状態の治療のための注射用治療薬として使用することができる、アンジオポエチン-1(ANG1)の新しい「バイオベター」模倣物を本明細書に記載する。本開示は、ANG1のC末端Tie2結合フィブリノゲン様ドメイン(FLD)と補体C4結合タンパク質(C4BP)のC末端スカフォールドセグメントとの間のキメラ融合物の設計、構築、製造、および治療用途に関する。組換え融合物は、それらのN末端からC末端へのドメイン配置の順序に基づいて、ANG1-C4BPまたはC4BP-ANG1のいずれかと称され、C4BPセグメントを介して七量体構造に自然に折り畳まれ、天然ANG1の構成に似た「チューリップの花束」様の構成(図1B)のANG1の7つのFLDを示す(図1A)。組換え産生されたANG1-C4BPおよびC4BP-ANG1は、ヒト細胞およびマウスモデルにおいてTie2を強力に活性化する。本開示の態様は、かかる組換え融合タンパク質を発現する細胞株、ならびに血管漏出または血漿透過性を低減または阻害する方法、ならびに血管系の成長を促進させ、血管系の構造的完全性を維持することに関する。生物製剤のANG1-C4BPシリーズの治療用途の例示的な意図された適応症としては、血管性眼疾患、例えば、毛細血管叢縁またはシュレム管排出系の欠陥によって引き起こされる原発性開放隅角緑内障、および原発性網膜症または二次性網膜症のタイプ、ならびに、とりわけ、がん血管新生、炎症の状態におけるような血管漏出の全身治療が挙げられる。
【0009】
本明細書で言及される特許文献および科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書に引用されるすべての米国特許および公開または未公開の米国特許出願は、参照により援用される。本明細書に引用されるすべての公開された外国の特許および特許出願は、参照により本明細書に援用される。本明細書に引用される他のすべての公開された参考文献、辞書、文書、原稿、ゲノムデータベース配列、および科学文献は、参照により本明細書に援用される。
【0010】
本開示の他の特徴および利点は、実施例および特許請求の範囲を含めて、図面および以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。この特許または特許出願公開のコピーおよびカラー図面は、請求により、必要な費用の支払いに応じて、米国特許商標庁によって提供されるであろう。
【0012】
図1】七量体C4BP-ANG1の模式図および実際の形成を示す。A)天然のANG1は、N末端からC末端へ順に、スーパークラスタードメイン(SCD)、コイルドコイルドメイン(CCOD)、およびTie2に結合するフィブリノゲン様ドメイン(上)からなる。CCODは、ANG1分子(中央)間のCCOD-CCOD相互作用を媒介し、FLDとのそのリンカーセグメントを介して、ECMにも結合する。SCDは、さらに、ANG1をより高度の複合体にクラスター化する(下)。B)C4BPのC末端は、隣接するサブユニット間の相互連結ジスルフィド架橋(赤色)を介して、自然に「バレル」構造に折り畳まれる。これらのサブユニットの合計7つ(または8つ)は、C4BP-ANG1またはANG1-C4BPにおいて、天然のANG1(底部、Aと比較して)を連想させる配置で、7つのFLDを示すバレル構造(上)を完成させる。C)C4BP-ANG1は、コードするプラスミドをHEK-293細胞にトランスフェクションすることによって発現させ、培地から回収した。予想通り、C4BP-ANG1は、SDS-PAGEで、非還元(NR)条件下で七量体を形成した。D)電子顕微鏡写真(EM)画像は、クラスター化C4BP-ANG1を示した。
図2】HEK293およびCHO細胞において生成および発現されたアンジオポエチンおよびC4BPキメラ融合構築物の異なるバージョンの概要である。
図3】培地中のCHOおよびHEK293によるANG1-C4BP七量体の発現を示す。(3つのトランスフェクション条件1~3を試験した)CHOおよびHEK293細胞の両方における様々なアンジオポエチン-C4bp融合構築物の一過性発現。A)非還元および還元条件下でのポンソーS溶液染色、ならびにB)抗Hisタグ抗体を使用した非還元および還元SDS-PAGEウエスタンブロットに示されるように、構築物H6EKC4BPAng1およびH6EKAng1C4BPは、還元条件下、約280kDa七量体(上のパネル)および約35kDa単量体(下のパネル)を正しく形成し、最高レベルで発現した。
図4】C4BPおよびANG1融合バリアントはすべて、ほぼ均一に七量体を形成することを示す(その1)。N末端からC末端へ順に、哺乳動物細胞発現用に、4つのプラスミドを構築した:1.C末端6×Hisタグを有するC4BP-ANG1(1)、2.N末端6×Hisタグを有するC4BP-ANG(2)、3.C末端6×Hisタグを有するANG1-C4BP(1)、および4.N末端6×Hisタグを有するANG1-C4BP(2)。タンパク質を、無血清培地で培養されたCHO細胞で発現させ、その後、培養培地から回収した。非還元(N.R.:左パネル)または還元(右パネル)条件下のいずれかでSDS-PAGE分析を行うことにより、C4BP-ANG1タンパク質(赤色のボックスで強調表示されている)は、それらのNからCへの順序に関係なく、ジスルフィド架橋を介して約280kDaの七量体(7の多重性を有する)を自然に形成することが特定された。すべての融合タンパク質は、還元条件下で約35kDaの単量体形態に還元することができる。
図5】七量体を形成する精製されたANG1-C4BPバリアントを示す(その2)。キメラ融合タンパク質の産物は、非還元SDS-PAGE分離および抗Hisタグ抗体を使用したウエスタンブロット分析後、すべての構築物において、予想された分子量で見出された。#2は、比較のために、C4BPAng1H6の代替発現ベクターの使用を示す。これらのANG-C4BPバリアントを産生するために、CHO-BRI安定プール発現プラットフォーム技術を使用した。
図6】七量体を形成する精製されたANG1-C4BPバリアントを示す(その3)。キメラ融合タンパク質の産物は、非還元SDS-PAGE分離および抗Hisタグ抗体を使用したウエスタンブロット分析後、すべての構築物において、予想された分子量で見出された。#2は、比較のために、C4BPANG1H6の代替発現ベクターの使用を示す。これらのANG-C4BPバリアントを産生するために、CHO-BRI安定プール発現プラットフォーム技術を使用した。
図7】ANG1-C4BPバリアントの七量体を含むピーク#2のIMAC精製を示す。A)IMAC精製画分の非還元および還元SDS-PAGEのクーマシーブルー染色。ピーク#2は、組換え融合タンパク質産物(非還元条件下での七量体形成および還元条件下での単量体形成)の正しい分子量を有する。B)IMACの精製画分の概要(ピーク#2を強調表示)。
図8】ANG1-C4BPキメラ融合タンパク質の凍結融解サイクル後の安定性を示す。精製されたANG1-C4BPを、1回または2回の凍結融解サイクル(F/T)に供した後、(ピーク2.610の)七量体の品質をUPLC-SECで分析した。七量体画分の損失は明らかではなかった(1F/Tおよび2F/Tを4℃で保存された対照と比較する)。
図9】ANG1-C4BPおよびC4BP-ANG1のTie2への結合を示す。Fc融合(Tie2-Fc)の形態のTie2の外部ドメインを使用して、Tie2と、天然ANG1配列の組換えANG1(rANG1)であるANG1-C4BPまたはC4BP-ANG1との間の直接的な相互作用を、共免疫沈降アッセイで試験した。抗Fc免疫沈降後、ANG1バリアントの存在を、抗Hisタグブロッティングによって検出した。免疫ブロッティング画像は、抗His抗体および抗Fc抗体を用いた複合二重染色による。
図10】培養HUVECにおいて、ANG1-C4BPが、用量依存的な様式でTie2を活性化することを示す。ANG1-C4BPの予備調製SECピーク#2で20分間処理した後の、HUVECにおいて観察されたAKT(pAKT)のリン酸化レベルの増加。20分間処理したHUVECにおいてpAKTを活性化する際のAng1-C4bpの半最大応答(EC50)は、87ng/mLであった。
図11】用量依存的な様式でTie2を活性化するANG1-C4BPバリアントを示す。ANG1とC4BPとの間のキメラ融合は、インビトロでTie2受容体の強力なアゴニストであり、A)Tie2のリン酸化の増加、およびB)その下流の標的であるAKTのリン酸化の増加によって証明される。実験は、20分間の処理として、示された濃度または500ng/mLの各組み換えキメラ融合タンパク質を用いてHUVECにおいて実施された。rhAngpt1は、R&D Systemsからの組み換えアンジオポエチン-1である。
図12】C4BP-ANG1が、Tie2の細胞周辺部位への再局在化を誘導することを示す。HUVEC細胞は、FLAG-Tie2(完全長)の導入遺伝子でトランスフェクトされ、ビヒクル対照処理またはC4BP-ANG1処理に供された。緑色のTie2画像は、抗FLAG免疫蛍光染色により発色させた(各群からの代表的な単一細胞の画像が示されている)。
図13】マウスにおいて、C4BP-ANG1の静脈内および腹腔内注射が、内因性Tie2を活性化することを示す。マウスにC4BP-ANG1を注射し、インビボ活性を、肺における内因性Tie2のリン酸化(pTyr-Tie2)によって測定した。A)マウスに、体重(BW)に基づいて異なる用量のビヒクルまたはC4BP-ANG1のいずれかを静脈内注射し、30分後に肺組織を回収した。抗Tie2免疫沈降後、リン酸化Tie2のレベルを、抗pTyr抗体を用いた免疫ブロットによって測定した。B)およびC)は、0.5μg/g体重で、C4BP-ANG1に応答するリン酸化Tie2の経時研究を示す。
図14】ウサギの眼における硝子体内注射C4BP-ANG1の薬物動態を示す。3匹のウサギを、各々、C4BP-ANG1の単回用量の硝子体内注射に供し、房水を7日間毎日採取した(注射前試料:0日目)。抗His捕捉抗体および抗ANG1検出抗体(OD450値)を使用して、ELISAによってC4BP-ANG1のレベルを測定した(左)。7日目に、動物を犠牲にし、C4BP-ANG1レベルの検出のために硝子体液試料を採取した(右、アスタリスク:p<0.01)。
図15】マウスにおけるMilesアッセイにおいて、C4BP-ANG1が、VEGF誘導性血管漏出を低減することを示す。血管漏出の研究は、エバンスブルー色素の組織レベルを定量化するMilesアッセイを使用して実施した。(上)示されるように、マウスを30分間の注射スケジュールに供した。VEGFとC4BP-ANG1の組み合わせの皮下(SQ)注射を行い、エバンスブルーの漏出を可視化し(下)、組織重量によって正規化されたOD360値として定量化した(画像および定量化、右のアスタリスク:p<0.001)。
図16】C4BP-ANG1の静脈内注射が、VEGF誘導性血管漏出を低減することを示す。血管漏出の研究は、エバンスブルー色素の組織レベルを定量化するMilesアッセイを使用して実施した。(上)示されるように、マウスを30分間の注射スケジュールに供した。C4BP-ANG1の局所注射の代わりに、生物製剤が、VEGFの皮下(SQ)注射によって漏出が誘導される60分前に、静脈内経由で予防的に投与された。エバンスブルーの漏出が可視化された(下)。
図17】C4BP-ANG1の静脈内注射は、化学誘導性血管漏出を低減することを示す。血管漏出の研究は、エバンスブルー色素の組織レベルを定量化するMilesアッセイを使用して実施した。C4BP-ANG1の注射は、耳にマスタードオイルを局所的に塗布することによって漏出が誘導される60分前に、静脈内経由で予防的に投与された(画像および定量化、アスタリスク:p<0.01)。
図18】C4BP-ANG1は、マウスにおいて、リポ多糖誘導性肺損傷から保護することを示す。上部パネルに示されるように、リポ多糖(LPS)誘導性肺損傷のマウスモデルにおける、LPS吸入(INH)、C4BP-ANG1注射、およびエバンスブルー注射の時間経過に従った。エバンスブルー注射の1時間後、肺を採取して、血管漏出を測定した(画像および定量化、アスタリスク:p<0.05)。
図19】野生型および神経堤特異的アンジオポエチン-1ノックアウト(Angpt1 dNC)マウスを、生後0~14日目から毎日腹腔内注射することによって、Angpt1-C4PBで処置した。P14で、眼を採取し、シュレム管領域を定量化した。野生型およびAngpt1 dNCの両眼で、Angpt1-C4BP処置は、シュレム管のサイズの顕著な増加をもたらした。WT動物では、分化したシュレム管のマーカーであるPROX1の発現が、処置後も維持されたが、Angpt1 dNC眼では、PROX1の発現は、Angpt1-C4BP処置後にのみ観察された。
図20】タグなしAng1C4bp構築物の発現、精製、ならびにインビトロおよびインビボでのTie2活性化を示す。発現構築物は、N末端からC末端へ順に、シグナルペプチド、続いて、Ang1 FLD、「GGGS」リンカー、およびC4bp配列を含む。CHO細胞系を使用して、タグなしAng1-リンカー-C4bp融合物を発現させ、培養培地中に分泌させる。A)イオン交換クロマトグラフィー後、タンパク質のピークをカラムから溶出した(左)。分取物の非還元SDS-PAGE分析は、標的タグなしタンパク質Ang1C4bpが、画分F4およびF5で濃縮されていることを示した(右パネル:赤色のボックスで強調表示され、サイズが赤色の矢印で示されている)。B)画分F4およびF5を合わせ、標的タンパク質の「最終精製(polishing)」用のサイズ排除クロマトグラフィーカラムにロードし、さらに濃縮した(左パネル:クロマトグラム追跡は、標的タンパク質を示し、赤色の矢印で示されている、右パネル:画分F2において、標的タンパク質の濃縮に成功したことがSDS-PAGEで確認され、赤色の矢印で示されている)。C)タグなしAng1C4bpによるHUVECおよびHEK293細胞(Tie2-FLAG導入遺伝子を安定して発現する)の処理は、それぞれ、細胞内Aktのリン酸化(pAkt)およびTie2のリン酸化(pTie2)を活性化させた。ビヒクル対照(Ctr)および天然Ang1を、それぞれ、陰性対照および陽性対照として使用した。D)マウスに、タグなしAng1C4bp組換えタンパク質を静脈内注射して、肺におけるTie2のリン酸化を誘導した。ビヒクル注射(Ctr:n=3)およびタグなしAng1C4bp注射(n=3)からの肺組織を、注射1時間後に採取した。総Tie2を、肺組織ホモジネートから免疫沈降(IP)させ(抗Tie2 IP)、IP試料を抗リン酸化チロシン抗体(pTie2)で免疫ブロッティングすることによって、Tie2のリン酸化レベルを決定した。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示をより容易に理解するために、まず、特定の用語を以下に定義する。以下の用語および他の用語のさらなる定義は、本明細書全体を通して記載されている。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかにそうではない限り、複数の指示対象を含む。
【0015】
本明細書で使用される場合、「または」という用語は、具体的に記載されていないか、または文脈から明らかでない限り、包含的であり、「または」および「および」の両方を包含すると理解される。
【0016】
「および/または」という用語は、本明細書で使用される場合、他方を伴うかもしくは伴わない2つの特定の特徴または構成要素の各々の具体的な開示として理解されるべきである。したがって、本明細書の「Aおよび/またはB」などの語句で使用される「および/または」という用語は、AおよびB、AまたはB、A(単独)、およびB(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句で使用される「および/または」という用語は、以下の態様の各々を包含することが意図される:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0017】
本明細書で使用される「例えば(e.g.)」および「すなわち(i.e.)」という用語は、単に例として使用されるが、限定を意図するものではなく、本明細書で明示的に列挙されている項目のみを指すと解釈されるべきではない。
【0018】
「またはそれ超」、「少なくとも」、「それを超える」などの用語、例えば、「少なくとも1つ」という用語は、限定されないが、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19 20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149もしくは150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、または記載された値超を含むことが理解される。また、それらの間の任意のより大きい数または分数も含まれる。
【0019】
反対に、「以下」という用語は、記載の値よりも小さい各値を含む。例えば、「100個以下のヌクレオチド」は、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、および0個のヌクレオチドを含む。また、それらの間の任意のより小さい数または分数も含まれる。
【0020】
「複数」、「少なくとも2つ」、「2つ以上」、「少なくとも2つ目」などの用語は、限定されないが、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19 20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149もしくは150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000以上を含むことが理解される。また、それらの間の任意のより大きい数または分数も含まれる。
【0021】
本明細書全体を通して、「含む(comprising)」、またはその変形形態(例えば、「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」は、記載された要素、整数、もしくはステップ、または要素、整数、もしくはステップの群を包含することを意味するが、任意の他の要素、整数、もしくはステップ、または要素、整数、もしくはステップの群を除外することを意味するものではないことが理解されるであろう。態様が「含む(comprising)」という言葉で本明細書に記載されるときはいつも、それ以外の「からなる(consisting of)」および/または「本質的にからなる(consisting essentially of)」という用語で記載されている類似の態様もまた提供されることが理解される。
【0022】
本明細書で使用される場合、具体的に記載されていないか、文脈から明らかでない限り、「約」という用語は、当業者によって決定される特定の値または組成物の許容される誤差の範囲内にある値または組成物を指し、それは、部分的に、その値または組成物がどのように測定または決定されるか(すなわち、測定システムの限界)に依存する。例えば、「約」または「本質的に含む」は、当該技術分野における慣例に従って、1または1を超える標準偏差内を意味し得る。「約」または「本質的に含む」は、最大10%(すなわち、±10%)の範囲を意味し得る。したがって、「約」は、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、または0.001%超またはそれ未満以内であると理解され得る。例えば、約5mgは、4.5mg~5.5mgの任意の量を含むことができる。さらに、特に生物学的なシステムまたはプロセスに関して、この用語は、最大で値の10倍または最大で値の5倍を意味し得る。本開示において特定の値または組成物が提供される場合、別段の記載がない限り、「約」または「本質的に含む」という意味は、その特定の値または組成物について許容される誤差の範囲内であると考えるべきである。
【0023】
「結合親和性」は、概して、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合性相互作用の合計の強さを指す。別段の指示がない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」、「に結合する(bind to)」、「に結合する(binds)」、または「に結合する(binding to)」は、結合ペアのメンバー(例えば、抗体Fab断片と抗原)間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(KD)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載されるものを含む、当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は、一般に、抗原にゆっくりと結合し、容易に解離する傾向があり、一方、高親和性抗体は、一般に、抗原により速く結合し、より長く結合したままである傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が当該技術分野で既知であり、それらのいずれかの方法が、本発明の目的のために使用され得る。BIACORE法、MM/PBSA法、KinExA法などの無標識表面プラズモン共鳴(SPR)ベースのバイオセンサーが、多くの場合、好まれる標準的な方法である。結合親和性は、アッセイに応じて変化し得ることが知られている。したがって、本開示の目的のために、結合親和性が当該技術分野で標準的な少なくとも1つの方法によって測定された場合、列挙された範囲内にあれば十分である。
【0024】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲は、別段の指示がない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値を含み、適切な場合、その分数(例えば、整数の10分の1および100分の1)を含むと理解されるべきである。
【0025】
本明細書で使用される単位、接頭辞、および記号は、それらの国際単位系(SI)で承認された形態を使用して提供される。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。
【0026】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。例えば、Juo,“The Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology”,2nd ed.,(2001),CRC Press、“The Dictionary of Cell & Molecular Biology”,5th ed.,(2013),Academic Press、および“The Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology”,Cammack et al.eds.,2nd ed.,(2006),Oxford University Pressは、本開示で使用される多くの用語に関する一般的な辞書を当業者に提供する。
【0027】
「投与すること」は、当業者に既知の様々な方法および送達システムのうちのいずれかを使用して、対象に薬剤を物理的に導入することを指す。本明細書のキメラポリペプチド、核酸、および宿主細胞、ならびにそれらの(薬学的)組成物は、それを必要とする対象に、当該技術分野で既知の経路によって投与されてもよく、使用(例えば、治療される眼疾患のタイプ)に応じて異なる場合がある。一実施形態では、投与は、静脈内注射、腹腔内注射、皮下注射、硝子体内注射である。一実施形態では、投与経路は、例えば、局所投与(例えば、眼内)および非経口投与(例えば、皮下、腹腔内、筋肉内、静脈内、門脈内、および肝臓内)を含む。好ましい実施形態では、本開示のキメラポリペプチド、核酸、もしくは宿主細胞、またはその薬学的組成物は、局所注入によって(例えば、注入ポンプおよび/またはカテーテルシステムを使用して)、対象の治療される部位(例えば、固形腫瘍)に投与される。一実施形態では、本記載の組成物は、固形腫瘍、固形腫瘍を養う血管、および/または固形腫瘍を取り囲む領域に注入される。本明細書に開示される製剤の他の例示的な投与経路としては、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄、または他の非経口投与(例えば、注射または注入による)経路が挙げられる。本明細書で使用される「非経口投与」という語句は、通常、注射による経腸投与および局所投与以外の投与様式を意味し、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、および胸骨内の注射および注入、ならびにインビボ電気穿孔が含まれる。一部の実施形態では、製剤は、非経口ではない経路を介して(例えば、経口的に)投与される。他の非経口ではない経路は、局所、表皮、または粘膜(例えば、鼻腔内、膣、直腸、舌下、または局所)の投与経路を含む。投与は、例えば、1回、複数回、および/または1回以上の長期間にわたって実施され得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「決定すること」、「評価すること」、「アッセイすること」、「測定すること」、および「検出すること」という用語は、定量的決定および定性的決定の両方を指し、したがって、「決定すること」という用語は、本明細書において、「アッセイすること」、「測定すること」などと互換的に使用される。定量的決定が意図される場合、分析物などの「量を決定する」という表現が使用され得る。定性的決定および/または定量的決定が意図される場合、分析物の「レベルを決定すること」または分析物を「検出すること」という表現が使用される。
【0029】
「組換え宿主細胞」または「宿主細胞」という用語は、外因性DNA(例えば、組換えDNA)が導入されている細胞を指す。かかる用語は、特定の対象細胞のみならず、かかる細胞の子孫も指す。変異または環境の影響のいずれかにより、特定の修飾が後の世代で生じ得るため、かかる子孫は、実際には親細胞と同一ではない場合があるが、依然として本明細書で使用される「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。一実施形態では、宿主細胞は、原核細胞および真核細胞を含む。一実施形態では、真核細胞は、原生生物、真菌、植物、および動物の細胞を含む。別の実施形態では、宿主細胞は、原核細胞株のE.coli、哺乳動物細胞株のCHO、HEK293、COS、NS0、SP2、およびPER.C6、昆虫細胞株のSf9、ならびに真菌細胞のSaccharomyces cerevisiaeを含むが、これらに限定されない。
【0030】
「ベクター」は、生物学的システム内で複製することができるポリヌクレオチド、またはかかるシステム間を移動することができるポリヌクレオチドを指す。ベクターポリヌクレオチドは、典型的には、複製起点、ポリアデニル化シグナル、または選択マーカーなどの要素を含み、生物学的システム(例えば、細胞、ウイルス、動物、植物、および再構成された生物学的システム)において、これらのポリヌクレオチドの複製または維持を促進するように機能する。「発現ベクター」とは、発現ベクターに存在するポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの翻訳を指示するために、生物学的システムまたは再構成された生物学的システムにおいて利用され得るベクターを指す。「発現ベクター」とは、発現ベクターに存在するポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの翻訳を指示するために、生物学的システムまたは再構成された生物学的システムにおいて利用され得るベクターを指す。
【0031】
本明細書に開示される任意の範囲は、別段明記されない限り、その範囲の終点を包含することが意図される。本明細書で提供される範囲は、その範囲内のすべての値の略記であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からなる群からの任意の数、数値の組み合わせ、または部分範囲を含むと理解される。
【0032】
「対照」に対する「参照」は、比較の標準を意味する。標準は、当該技術分野で確立された方法であってもよい。対照参照方法は、試験される変数を除いて、すべてのパラメーターが比較される方法のパラメーターと同一である参照方法である。また、当該技術分野で典型的に使用されているかまたは知られているものから測定されるパラメーターの平均値であってもよい。
【0033】
多くのタイプの競合結合アッセイを使用して、ある抗原結合分子が別の抗原結合分子と競合するかどうかを決定することができ、例えば、固相直接または間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接または間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahli et al.,1983, Methods in Enzymology 9:242-253)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614-3619)、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ((Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press)、1~125標識を使用した固相直接標識RIA(Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7-15)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung,et al.,1990,Virology 176:546-552)、および直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.32:77-82)を使用することができる。
【0034】
「治療有効量」、「有効用量」、「有効量」、または「治療有効量」の治療剤(例えば、操作されたキメラポリペプチド)は、単独でまたは別の治療剤と組み合わせて使用される場合、対象を疾患の発症から保護するか、あるいは疾患症状の重症度の減少、疾患無症状期の頻度および期間の増加、または疾患の苦痛に起因する機能障害もしくは身体障害の防止によって証明される疾患の退行を促進する、任意の量である。治療剤が疾患の退行を促進する能力は、当業者に既知の様々な方法を使用して(例えば、臨床試験中のヒト対象において、ヒトにおける有効性を予測する動物モデルシステムにおいて、または薬剤の活性をインビトロアッセイでアッセイすることによって)、評価することができる。本開示の分子の投与量は、治療される疾患または障害、治療される個体の年齢および状態に応じて、広い範囲で変化し得る。
【0035】
本開示の薬学的組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、患者に対する毒性を伴わずに、特定の患者、投与様式、および組成物に対して所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るように変化し得る。選択される投与量レベルは、用いる本開示の特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、用いられている特定の化合物の排泄速度、治療期間、用いる特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、および/もしくは材料、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康状態、および以前の病歴、ならびに医療分野で周知の同様の因子を含む様々な薬物動態因子に依存するであろう。当該技術分野で通常の技能を有する医師または獣医は、必要な薬学的組成物の有効量を、容易に決定および処方することができる。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルで薬学的組成物に用いられる本開示の化合物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで、投与量を徐々に増加させることができる。一般に、本開示の組成物の好適な1日の用量は、治療効果を生み出すのに有効な最低用量である化合物のその量となるであろう。かかる有効用量は、概して、上述の因子に依存するであろう。組成物は、当該技術分野で既知の医療デバイスを用いて投与することができる。非限定的な実施形態は、針、無針皮下注射デバイス、連続的な薬物送達のための可変流量植込み型注入装置、マルチチャンバー区画を有する浸透圧薬物送達システムを含む。
【0036】
必要に応じて、治療用組成物の有効な1日用量は、1日を通して適切な間隔で別々に投与される2、3、4、5、6回以上の分割用量として、任意選択的に単位剤形で、投与され得る。本開示の化合物を単独で投与することは可能であるが、化合物を薬学的製剤(組成物)として投与することが好ましい。
【0037】
「核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、または「ポリヌクレオチド配列」、および「ポリヌクレオチド」という用語は、互換的に使用される。それらは、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはこれらの類似体のいずれかの、任意の長さのポリマー形態のヌクレオチドを指す。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のいずれかであってもよく、一本鎖はコード鎖であっても非コード(アンチセンス)鎖であってもよい。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、例えば、標識化成分とのコンジュゲーションによって、重合後にさらに修飾され得る。核酸は、組換えポリヌクレオチド、あるいは天然には存在しないか、または非天然配置で別のポリヌクレオチドに連結されるかのいずれかの、ゲノム、cDNA、半合成、もしくは合成起源のポリヌクレオチドであり得る。cDNAは、合成ポリヌクレオチドの典型的な例である。
【0038】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は、互換的に使用され、ペプチド結合によって共有結合されたアミノ酸残基からなる化合物を指す。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含み、タンパク質またはペプチドの配列を含み得るアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに連結された2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質を含む。本明細書で使用される場合、この用語は、短鎖(当該技術分野で、一般に、例えば、ペプチド、オリゴペプチド、およびオリゴマーとしても称される)および長鎖(当該技術分野で、一般に、多くのタイプが存在するタンパク質として称される)の両方を指す。「ポリペプチド」には、例えば、とりわけ、生物学的に活性な断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドとしては、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
「減少する(reducing)」および「減少する(decreasing)」という用語は、本明細書において互換的に使用され、元のものよりも少ない任意の変化を示す。「減少する(reducing)」および「減少する(decreasing)」は、相対的な用語であり、測定前の値と測定後の値との比較が必要である。「減少する(reducing)」および「減少する(decreasing)」には、完全な枯渇が含まれる。
【0040】
対象の「治療」または「治療すること」は、疾患と関連する症状、合併症もしくは状態、または生化学的徴候の発症、進行、発達、重症度、または再発を、逆転、緩和、改善、阻害、減速、または予防することを目的とした、対象に対して行われる介入もしくはプロセス、または対象への活性剤の投与のいずれかのタイプを指す。一実施形態では、「治療する」、「治療」、および「治療すること」という用語は、障害(例えば、増殖性障害)の進行、重症度、および/または期間の減少もしくは改善、あるいは1つ以上の療法の投与から得られる障害の1つ以上の症状(好ましくは、1つ以上の識別可能な症状)の改善を指す。一部の実施形態では、1つ以上の改善される症状は、脱力、疲労、息切れ、打撲および出血のしやすさ、頻繁な感染、リンパ節の肥大、腹部の膨張または痛み、骨または関節の痛み、骨折、予定外の体重減少、食欲不振、寝汗、軽度の発熱の持続、および排尿の減少からなる群から選択される。特定の実施形態では、「治療する」、「治療」、および「治療すること」という用語は、患者によって必ずしも識別可能ではない、増殖性障害(例えば、腫瘍の増殖)の少なくとも1つの測定可能な身体パラメーターの改善を指す。他の実施形態では、「治療する」、「治療」、および「治療すること」という用語は、物理的に(例えば、識別可能な症状の安定化によって)、生理学的に(例えば、物理的パラメーターの安定化によって)、またはその両方によって、増殖性障害の進行の阻害を指す。
【0041】
本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物を含む。非ヒト動物には、すべての脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物(非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ニワトリ、両生類、および爬虫類など)が含まれる。
【0042】
パーセント同一性を計算するために、比較される配列は、典型的には、配列間で最大の一致を与える方式で整列される。パーセント同一性を決定するために使用され得るコンピュータプログラムの一例は、GAPを含むGCGプログラムパッケージである(Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis.)。コンピュータアルゴリズムのGAPは、パーセント配列同一性が決定される2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチドを整列させるために使用される。配列は、それぞれのアミノ酸またはヌクレオチドの最適な一致(アルゴリズムによって決定される「一致スパン」)のために整列される。特定の実施形態では、標準的な比較マトリックス(PAM250比較マトリックスについては、Dayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352、BLOSUM62比較マトリックスについては、Henikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915-10919を参照されたい)もまた、アルゴリズムによって使用される。
【0043】
キメラポリペプチド/融合タンパク質
ANG1-C4BPおよびC4BP-ANG1は、いずれかの方向で、N末端からC末端へ順に、それぞれ、ANG1 C末端FLDとC4BP C末端セグメントとの間のキメラ融合物を指す。一般に、ANG1-C4BPバリアントは、ANG1-C4BPおよびC4BP-ANG1の両方のドメイン配置タイプを指し、異なる配置のリンカーおよびタグの位置を有する融合物のすべての形態も含む。
【0044】
一実施形態では、本開示は、アンジオポエチン-1のC末端Tie2結合フィブリノゲン様ドメイン(FLD)とC4BPのC末端スカフォールドセグメントとの間のキメラ融合物の設計、構築、産生、および治療用途に関する。本開示は、Tie2活性化による血管病態の治療に使用することができるアンジオポエチン-1(ANG1)の新しい模倣物を提供する。一実施形態では、本開示は、循環系における自由循環の能力を得るために、ANG1のSCD-CCODをC4BP血漿タンパク質のセグメントで置き換えることによって、これまで探求されていない戦略を提供する。一部の実施形態では、キメラ融合タンパク質は、「バイオベター」ANG1である。
【0045】
一実施形態では、本開示は、それらのN末端からC末端へのドメイン配置の順序に基づいて、ANG1-C4BPまたはC4BP-ANG1のいずれかと称される組換え融合物を提供し、融合物は、C4BPセグメントを介して七量体構造に自然に折り畳まれ、天然ANG1の構成に似た「チューリップの花束」様の構成(図1B)のANG1の7つのFLDを示す(図1A)。
【0046】
一実施形態では、ヒト血清C4BPα鎖のC末端スカフォールドセグメントを、リンカーを用いて、ヒトANG1 FLDと融合させた(C4BP-ANG1またはANG1-C4BPとして)。一実施形態では、ANG1とのキメラ融合タンパク質では、C4BPセグメントは、多量体C4BPアセンブリを繋ぎとめ、7つのANG1頭部基(7価)を示す安定した七量体の中央柄(central stalk)構造に折り畳まれる閉環構造を形成する(図1)。鎖間ジスルフィド結合による七量体多量体化の設計上の特徴により、キメラ融合タンパク質の7つのANG1 FLDは、同族Tie2受容体の高アビディティリガンドを形成し、Tie2の強力な結合およびアゴニスト活性化をもたらす。
【0047】
一実施形態では、ANG1とC4BPとの間の組換え融合物は、6×Hisタグなどの追加の精製タグ配列を含んでもよく、タグ除去用のエンドペプチダーゼ切断配列を含んでも含まなくてもよい。
【0048】
一部の実施形態では、組換えANG1-C4BP融合物は、バリアントを含み、ANG1セグメントとC4BPセグメントとの間の代替ドメインの配置、ならびにこれらのセグメント間の配置を有し、さらなる精製タグおよびエンドペプチダーゼ切断配列をともに含む。
【0049】
一実施形態では、C4BPタンパク質は、NCBI受託番号NP_000706.1に提供される配列を含む。一実施形態では、アンジオポエチン1タンパク質は、NCBI受託番号NP_001137.2に提供される配列を含む。
【0050】
一実施形態では、本開示は、以下のポリペプチドおよびその機能的断片または誘導体のうちのいずれか1つから選択されるポリペプチドを提供する。
【0051】
配列番号:0001:c4bp成分
ETPEGCEQVLTGKRLMQCLPNPEDVKMALEVYKLSLEIEQLELQRDSARQSTLDKEL
【0052】
配列番号:0002:Ang1成分
KPFRDCADVYQAGFNKSGIYTIYINNMPEPKKVFCNMDVNGGGWTVIQHREDGSLDFQRGWKEYKMGFGNPSGEYWLGNEFIFAITSQRQYMLRIELMDWEGNRAYSQYDRFHIGNEKQNYRLYLKGHTGTAGKQSSLILHGADFSTKDADNDNCMCKCALMLTGGWWFDACGPSNLNGMFYTAGQNHGKLNGIKWHYFKGPSYSLRSTTMMIRPLDF
【0053】
配列番号:0003:Ang2成分
ISFRDCAEVFKSGHTTNGIYTLTFPNSTEEIKAYCDMEAGGGGWTIIQRREDGSVDFQRTWKEYKVGFGNPSGEYWLGNEFVSQLTNQQRYVLKIHLKDWEGNEAYSLYEHFYLSSEELNYRIHLKGLTGTAGKISSISQPGNDFSTKDGDNDKCICKCSQMLTGGWWFDACGPSNLNGMYYPQRQNTNKFNGIKWYYWKGSGYSLKATTMMIRPADF
【0054】
配列番号:0004:GGGGSリンカー
GGGGS
【0055】
配列番号:0005:IL2シグナルペプチド
MYRMQLLSCIALSLALVTNS
【0056】
配列番号:0006:CD33シグナルペプチド
MPLLLLLPLLWAGALA
【0057】
配列番号:0007:エンテロキナーゼ切断部位
DDDDK
【0058】
配列番号:0008:
(ポリHisタグ)
【0059】
配列番号:0009:
【0060】
配列番号:0010:
【0061】
配列番号:0011:
【0062】
配列番号:0012:
【0063】
配列番号:0013:
【0064】
配列番号:0014:
【0065】
配列番号:0015:
【0066】
配列番号:0016:
【0067】
配列番号:0017:
【0068】
配列番号:0018:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSEKPFRDCADVYQAGFNKSGIYTIYINNMPEPKKVFCNMDVNGGGWTVIQHREDGSLDFQRGWKEYKMGFGNPSGEYWLGNEFIFAITSQRQYMLRIELMDWEGNRAYSQYDRFHIGNEKQNYRLYLKGHTGTAGKQSSLILHGADFSTKDADNDNCMCKCALMLTGGWWFDACGPSNLNGMFYTAGQNHGKLNGIKWHYFKGPSYSLRSTTMMIRPLDFGGGGSETPEGCEQVLTGKRLMQCLPNPEDVKMALE
【0069】
配列番号:0019:
【0070】
一実施形態では、本開示は、上記配列のうちのいずれか1つと、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含むポリペプチドを提供する。一実施形態では、ポリペプチドは、本明細書に記載のANG1-C4BPまたはC4BP-ANG1のうちの少なくとも1つと、インビトロおよび/またはインビボでのTie-2への結合に対して競合する。一実施形態では、ポリペプチドは、約100μM以下、約50μM以下、約25μM以下、または約10μM以下の親和性でTie-2に結合する。より好ましくは、約1μM以下、約100nM以下、約50nM以下、約25nM以下の高親和性を有する。好ましくは、約1nM~約10nM、約10nM~約20nM、約20nM~約30nM、約30nM~約40nM、約40nM~約50nM、約50nM~約60nM、約60nM~約70nM、約70nM~約80nM、約80nM~約90nM、または約90nM~約100nMの範囲の結合親和性を有する。
一実施形態では、ポリペプチドは、検出用に使用される。一実施形態では、ポリペプチドは、標識にコンジュゲートされる。一実施形態では、標識は、放射性標識または蛍光標識である。
【0071】
核酸、ベクター、および細胞
一実施形態では、本開示は、本開示のポリペプチドをコードする核酸を提供する。一実施形態では、核酸は、以下の配列のうちの1つ以上を含む:
【0072】
配列番号:0019:
のDNA[0008(SPなし)および0009(IL2SP)の両方に一致する]
ATGTACAGGATGCAACTCCTGTCTTGCATTGCACTAAGTCTTGCACTTGTCACGAATTCGAAACCATTTAGAGACTGTGCAGATGTATATCAAGCTGGTTTTAATAAAAGTGGAATCTACACTATTTATATTAATAATATGCCAGAACCCAAAAAGGTGTTTTGCAATATGGATGTCAATGGGGGAGGTTGGACTGTAATACAACATCGTGAAGATGGAAGTCTAGATTTCCAAAGAGGCTGGAAGGAATATAAAATGGGTTTTGGAAATCCCTCCGGTGAATATTGGCTGGGGAATGAGTTTATTTTTGCCATTACCAGTCAGAGGCAGTACATGCTAAGAATTGAGTTAATGGACTGGGAAGGGAACCGAGCCTATTCACAGTATGACAGATTCCACATAGGAAATGAAAAGCAAAACTATAGGTTGTATTTAAAAGGTCACACTGGGACAGCAGGAAAACAGAGCAGCCTGATCTTACACGGTGCTGATTTCAGCACTAAAGATGCTGATAATGACAACTGTATGTGCAAATGTGCCCTCATGTTAACAGGAGGATGGTGGTTTGATGCTTGTGGCCCCTCCAATCTAAATGGAATGTTCTATACTGCGGGACAAAACCATGGAAAACTGAATGGGATAAAGTGGCACTACTTCAAAGGGCCCAGTTACTCCTTACGTTCCACAACTATGATGATTCGACCTTTAGATTTTGGTGGCGGTGGCTCAGAGACCCCCGAAGGCTGTGAACAAGTGCTCACAGGCAAAAGACTCATGCAGTGTCTCCCAAACCCAGAGGATGTGAAAATGGCCCTGGAGGTATATAAGCTGTCTCTGGAAATTGAACAACTGGAACTACAAAGGGACAGCGCAAGACAATCCACTTTGGATAAAGAACTACATCACCATCACCATCACTAA
【0073】
配列番号:0020:
のDNA[0010(SPなし)および0011(IL2SP)の両方に一致する]
ATGTACAGAATGCAGCTGCTGTCCTGTATCGCCCTGAGCCTGGCTCTGGTGACCAACTCTGAGACACCAGAGGGATGTGAGCAGGTGCTGACCGGCAAGCGCCTGATGCAGTGCCTGCCCAATCCTGAGGATGTGAAGATGGCCCTGGAGGTGTACAAGCTGTCCCTGGAGATCGAGCAGCTGGAGCTGCAGAGGGATTCCGCCCGGCAGTCTACACTGGACAAGGAGCTGGGAGGAGGAGGCAGCAAGCCTTTCAGGGATTGTGCCGACGTGTATCAGGCTGGCTTTAACAAGTCTGGCATCTACACCATCTATATCAACAATATGCCAGAGCCCAAGAAGGTGTTCTGCAACATGGACGTGAATGGCGGCGGCTGGACAGTGATCCAGCACAGGGAGGATGGCAGCCTGGACTTCCAGCGGGGCTGGAAGGAGTACAAGATGGGCTTTGGCAACCCATCTGGCGAGTATTGGCTGGGCAATGAGTTCATCTTTGCCATCACCTCCCAGAGACAGTACATGCTGCGCATCGAGCTGATGGATTGGGAGGGCAATAGGGCTTACTCTCAGTATGACCGGTTCCATATCGGCAACGAGAAGCAGAATTACCGGCTGTATCTGAAGGGACACACCGGAACAGCTGGCAAGCAGTCCAGCCTGATCCTGCATGGCGCCGATTTTTCCACCAAGGACGCTGATAACGACAATTGCATGTGCAAGTGCGCCCTGATGCTGACAGGAGGATGGTGGTTCGACGCTTGCGGACCAAGCAACCTGAATGGCATGTTTTATACAGCTGGCCAGAACCACGGCAAGCTGAATGGCATCAAGTGGCATTACTTCAAGGGCCCTTCTTATTCCCTGAGATCCACCACAATGATGATCCGCCCACTGGATTTTCACCATCACCATCACCATTAA
【0074】
配列番号:0021:
のDNA[0010(SPなし)および0020(CD33SP)の両方に一致する]
ATGCCTCTGCTGCTGCTGCTGCCACTGCTGTGGGCTGGCGCTCTGGCCGAGACACCAGAGGGCTGTGAGCAGGTGCTGACAGGCAAGAGACTGATGCAGTGCCTGCCCAACCCTGAGGATGTGAAGATGGCTCTGGAGGTGTACAAGCTGTCTCTGGAGATCGAGCAGCTGGAGCTGCAGAGGGATAGCGCCCGGCAGTCTACCCTGGACAAGGAGCTGGGAGGAGGAGGCTCTAAGCCCTTCCGCGATTGTGCTGACGTGTATCAGGCCGGCTTTAATAAGTCCGGCATCTACACCATCTATATCAACAATATGCCAGAGCCCAAGAAGGTGTTCTGCAACATGGACGTGAATGGCGGCGGCTGGACAGTGATCCAGCACAGGGAGGATGGCTCCCTGGACTTCCAGCGGGGCTGGAAGGAGTACAAGATGGGCTTTGGCAACCCTTCCGGCGAGTATTGGCTGGGCAATGAGTTCATCTTTGCTATCACAAGCCAGAGACAGTACATGCTGCGCATCGAGCTGATGGATTGGGAGGGCAACAGGGCCTACAGCCAGTATGACCGGTTCCATATCGGCAACGAGAAGCAGAATTACAGGCTGTATCTGAAGGGCCACACCGGCACAGCTGGCAAGCAGTCCAGCCTGATCCTGCATGGCGCTGACTTCTCCACCAAGGACGCCGATAACGACAATTGCATGTGCAAGTGCGCTCTGATGCTGACAGGAGGATGGTGGTTCGACGCTTGTGGACCATCTAACCTGAATGGCATGTTTTATACCGCCGGCCAGAACCACGGCAAGCTGAATGGCATCAAGTGGCATTACTTCAAGGGCCCCTCTTATTCCCTGAGATCCACCACAATGATGATCCGCCCTCTGGATTTTCACCATCACCATCACCATTAA
【0075】
配列番号:0022:
のDNA[0012(SPなし)および0013(IL2SP)の両方に一致する]
ATGTACAGAATGCAGCTGCTGAGCTGTATCGCCCTGTCTCTGGCTCTGGTGACCAACTCTGAGACACCAGAGGGCTGTGAGCAGGTGCTGACCGGCAAGCGCCTGATGCAGTGCCTGCCCAATCCTGAGGATGTGAAGATGGCCCTGGAGGTGTATAAGCTGTCCCTGGAGATCGAGCAGCTGGAGCTGCAGAGAGATTCTGCTCGCCAGTCCACCCTGGACAAGGAGCTGGGAGGAGGAGGCAGCATCTCTTTCAGAGATTGTGCCGAGGTGTTTAAGAGCGGCCACACCACAAACGGCATCTACACCCTGACATTCCCTAATTCTACAGAGGAGATCAAGGCCTATTGCGACATGGAGGCTGGAGGAGGAGGATGGACCATCATCCAGAGGCGGGAGGATGGCAGCGTGGACTTCCAGAGGACATGGAAGGAGTACAAAGTGGGCTTTGGCAACCCATCTGGCGAGTATTGGCTGGGCAACGAGTTCGTGTCCCAGCTGACCAATCAGCAGCGGTACGTGCTGAAGATCCATCTGAAGGATTGGGAGGGCAACGAGGCCTACTCTCTGTATGAGCACTTTTACCTGTCCAGCGAGGAGCTGAATTATCGCATCCATCTGAAGGGCCTGACCGGCACAGCTGGCAAGATCTCTTCCATCTCCCAGCCCGGCAACGATTTCAGCACCAAGGACGGCGATAATGACAAGTGCATCTGTAAGTGCTCCCAGATGCTGACAGGAGGATGGTGGTTCGACGCTTGCGGACCAAGCAACCTGAATGGCATGTACTATCCCCAGAGGCAGAACACAAATAAGTTTAATGGCATCAAGTGGTACTATTGGAAGGGCTCCGGCTATAGCCTGAAGGCCACCACAATGATGATCCGGCCTGCTGACTTTCACCATCACCATCACCATTAA
【0076】
配列番号:0023:
[0014(SPなし)および0015(IL2SP)の両方と一致する]
ATGTACAGAATGCAGCTGCTGTCCTGTATCGCCCTGAGCCTGGCTCTGGTGACCAACTCTGAGCACCATCACCATCACCATGGCGACGATGACGATAAGAAGCCATTCCGCGATTGTGCCGACGTGTATCAGGCTGGCTTTAATAAGTCCGGCATCTACACCATCTATATCAACAATATGCCCGAGCCTAAGAAGGTGTTCTGCAACATGGATGTGAATGGCGGCGGCTGGACAGTGATCCAGCACAGGGAGGATGGCAGCCTGGACTTCCAGCGGGGCTGGAAGGAGTACAAGATGGGCTTTGGCAACCCCTCTGGCGAGTATTGGCTGGGCAATGAGTTCATCTTTGCCATCACATCCCAGAGACAGTACATGCTGCGCATCGAGCTGATGGATTGGGAGGGCAACAGGGCTTACTCTCAGTATGACCGGTTCCATATCGGCAACGAGAAGCAGAATTACAGGCTGTATCTGAAGGGACACACCGGAACAGCTGGCAAGCAGTCCAGCCTGATCCTGCATGGCGCCGATTTTTCCACCAAGGACGCTGATAACGACAATTGCATGTGCAAGTGCGCCCTGATGCTGACAGGAGGATGGTGGTTCGACGCTTGCGGACCAAGCAACCTGAATGGCATGTTTTACACCGCTGGCCAGAACCACGGCAAGCTGAATGGCATCAAGTGGCATTACTTCAAGGGCCCTTCTTATTCCCTGAGAAGCACCACAATGATGATCAGGCCTCTGGATTTTGGAGGAGGAGGCTCTGAGACACCAGAGGGATGTGAGCAGGTGCTGACAGGCAAGCGGCTGATGCAGTGCCTGCCAAATCCCGAGGACGTGAAGATGGCCCTGGAGGTGTATAAGCTGTCCCTGGAGATCGAGCAGCTGGAGCTGCAGAGGGATTCCGCCCGGCAGTCTACACTGGACAAGGAGCTGTAA
【0077】
配列番号:0024:
のDNA[0016(SPなし)および0017(IL2SP)の両方に一致する]
ATGTACAGAATGCAGCTGCTGTCCTGTATCGCCCTGAGCCTGGCTCTGGTGACCAACTCTGAGCACCATCACCATCACCATGGCGGCGACGATGACGATAAGGAGACACCCGAGGGCTGTGAGCAGGTGCTGACAGGCAAGCGCCTGATGCAGTGCCTGCCCAATCCTGAGGATGTGAAGATGGCCCTGGAGGTGTACAAGCTGTCCCTGGAGATCGAGCAGCTGGAGCTGCAGAGGGATTCCGCCCGGCAGTCTACACTGGACAAGGAGCTGGGAGGAGGAGGCAGCAAGCCTTTCAGGGATTGTGCCGACGTGTATCAGGCTGGCTTTAACAAGTCTGGCATCTACACCATCTATATCAACAATATGCCAGAGCCCAAGAAGGTGTTCTGCAACATGGACGTGAATGGCGGCGGCTGGACAGTGATCCAGCACAGGGAGGATGGCAGCCTGGACTTCCAGCGGGGCTGGAAGGAGTACAAGATGGGCTTTGGCAACCCATCTGGCGAGTATTGGCTGGGCAATGAGTTCATCTTTGCCATCACCTCCCAGAGACAGTACATGCTGCGCATCGAGCTGATGGATTGGGAGGGCAATAGGGCTTACTCTCAGTATGACCGGTTCCATATCGGCAACGAGAAGCAGAATTACCGGCTGTATCTGAAGGGACACACCGGAACAGCTGGCAAGCAGTCCAGCCTGATCCTGCATGGCGCCGATTTTTCCACCAAGGACGCTGATAACGACAATTGCATGTGCAAGTGCGCCCTGATGCTGACAGGAGGATGGTGGTTCGACGCTTGCGGACCAAGCAACCTGAATGGCATGTTTTATACAGCTGGCCAGAACCACGGCAAGCTGAATGGCATCAAGTGGCATTACTTCAAGGGCCCTTCTTATTCCCTGAGATCCACCACAATGATGATCCGCCCACTGGATTTTTAA
【0078】
配列番号:0025:
(タグなし)のDNA[0018に一致する]
ATGTACAGAATGCAGCTGCTGTCCTGTATCGCCCTGAGCCTGGCTCTGGTGACCAACTCTGAGAAGCCATTCCGCGATTGTGCCGACGTGTATCAGGCTGGCTTTAATAAGTCCGGCATCTACACCATCTATATCAACAATATGCCCGAGCCTAAGAAGGTGTTCTGCAACATGGATGTGAATGGCGGCGGCTGGACAGTGATCCAGCACAGGGAGGATGGCAGCCTGGACTTCCAGCGGGGCTGGAAGGAGTACAAGATGGGCTTTGGCAACCCCTCTGGCGAGTATTGGCTGGGCAATGAGTTCATCTTTGCCATCACATCCCAGAGACAGTACATGCTGCGCATCGAGCTGATGGATTGGGAGGGCAACAGGGCTTACTCTCAGTATGACCGGTTCCATATCGGCAACGAGAAGCAGAATTACAGGCTGTATCTGAAGGGACACACCGGAACAGCTGGCAAGCAGTCCAGCCTGATCCTGCATGGCGCCGATTTTTCCACCAAGGACGCTGATAACGACAATTGCATGTGCAAGTGCGCCCTGATGCTGACAGGAGGATGGTGGTTCGACGCTTGCGGACCAAGCAACCTGAATGGCATGTTTTACACCGCTGGCCAGAACCACGGCAAGCTGAATGGCATCAAGTGGCATTACTTCAAGGGCCCTTCTTATTCCCTGAGAAGCACCACAATGATGATCAGGCCTCTGGATTTTGGAGGAGGAGGCTCTGAGACACCAGAGGGATGTGAGCAGGTGCTGACAGGCAAGCGGCTGATGCAGTGCCTGCCAAATCCCGAGGACGTGAAGATGGCCCTGGAGGTGTATAAGCTGTCCCTGGAGATCGAGCAGCTGGAGCTGCAGAGGGATTCCGCCCGGCAGTCTACACTGGACAAGGAGCTGTAA
【0079】
一実施形態では、本開示は、上記配列のうちのいずれか1つと、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む核酸を提供する。一実施形態では、核酸配列は、コドン最適化されている。
【0080】
一実施形態では、本開示は、本開示の核酸配列のうちの1つ以上を含むベクターを提供する。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自己複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳類ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それによって、宿主ゲノムとともに複製され得る。特定のベクターは、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書で「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と称される。一般に、組換えDNA技法で有用な発現ベクターは、多くの場合、プラスミドの形態である。本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」は、互換的に使用され得るが、プラスミドがベクターの最も一般的に使用されている形態である。しかしながら、同等の機能を果たすウイルスベクター(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス)などの他の形態の発現ベクターも含まれる。「レンチウイルス」という用語は、レトロウイルス科の属を指す。レンチウイルスは、非分裂細胞に感染することができる点でレトロウイルスの中で独特であり、それらが宿主細胞のDNAにかなりの量の遺伝情報を送達することができるため、遺伝子送達ベクターの最も効率的な方法の1つである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2(HIV-2)、ビスナ・マエディウイルス(VMV)ウイルス、ヤギ関節炎・脳炎ウイルス(CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、またはサル免疫不全ウイルス(SIV)ベクターである。本開示のspFv分子を発現するように細胞を遺伝子修飾する他の手段としては、トランスポザーゼ酵素、mRNAトランスフェクション、非組み込みレンチウイルス、「Sleeping Beauty(SB)」トランスポゾン、エンドヌクレアーゼ酵素、DNAナノキャリアによるインサイツトランスフェクションが挙げられる。
【0081】
一部の実施形態では、ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノウイルス随伴ベクター、DNAベクター、レンチウイルスベクター、プラスミド、レトロウイルスベクター、またはRNAベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、レトロウイルスベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、レンチウイルスベクターである。
【0082】
一実施形態では、本開示は、本開示のポリペプチドを含む宿主細胞を提供する。一実施形態では、本開示は、本開示の核酸を含む宿主細胞を提供する。
【0083】
一実施形態では、本開示は、本開示のベクターを含む宿主細胞を提供する。宿主細胞の例は、本明細書の他箇所に提供される。
【0084】
組成物
一態様では、本開示は、本明細書に開示されるポリペプチドを含む、組成物を提供する。一態様では、本開示は、本明細書に記載の核酸を提供する。一態様では、本開示は、記載のベクターを含む組成物を提供する。一態様では、本開示は、本明細書に記載の宿主細胞を含む組成物を提供する。
【0085】
一実施形態では、組成物は、薬学的組成物であり、本明細書に記載のポリヌクレオチド、本明細書に記載のベクター、本明細書に記載のポリペプチド、または本明細書に記載の宿主細胞を含む。一部の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、可溶化剤、乳化剤、保存剤、および/またはアジュバントを含む。
【0086】
特定の実施形態では、「薬学的に許容される」という用語は、動物、より具体的にはヒトにおいて使用するために、連邦政府または州政府の規制当局によって承認されているか、または米国薬局方もしくは他の一般的に認められた薬局方に記載されていることを意味する。「担体」という用語は、治療薬とともに投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。かかる薬学的担体は、水および油など(石油、動物、植物、または合成起源の油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む)の滅菌液体であり得る。薬学的組成物が静脈内投与される場合、好ましい担体は水である。生理食塩水およびデキストロース水溶液およびグリセロール溶液はまた、液体担体(特に、注射用溶液のための担体)として用いられ得る。好適な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、L-ヒスチジン、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。必要に応じて、組成物は、湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を少量、含むことができる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル、粉末剤、徐放性製剤などの形態をとることができる。一般に、本開示の組成物の成分は、例えば、活性剤の量を示すアンプルまたはサシェなどの密封容器内の乾燥した凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として、ベクターおよびポリペプチドベースの組成物用に、単位剤形で別々にまたは一緒に混合して供給される。組成物(例えば、宿主細胞組成物)が注入によって投与される場合、滅菌医薬品グレードの水または生理食塩水を含む注入ボトルで分配することができる。組成物が注射によって投与される場合、投与前に成分が混合され得るように、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルが提供され得る。
【0087】
本開示の組成物は、単位剤形の調製に使用され得る薬学的組成物(例えば、不純または非滅菌組成物)および薬学的組成物(すなわち、対象または患者への投与に好適な組成物)の製造に有用なバルク薬物組成物を含む。かかる組成物は、本明細書に開示される予防有効量または治療有効量の予防用および/または治療用二重特異性ポリペプチド分子(薬剤)、または薬剤および薬学的に許容される担体の組み合わせを含む。好ましくは、本開示の組成物は、予防有効量または治療有効量の本開示の1つ以上の分子と、薬学的に許容される担体と、を含む。薬学的組成物は、好ましくは、遊離形態または塩としてのいずれかで分子を含む。好ましくは、塩は、分子の薬学的に許容される塩(例えば、塩化物または酢酸塩(トリフルオロ酢酸塩))である。本開示による分子の塩は、インビボでは塩ではないため、インビボでのそれらの状態の分子と実質的に異なることに留意されたい。一態様では、水性担体は、本明細書に記載のそれらの成分などの非水担体成分とともに、水などの複数の成分を含む。別の態様では、水性担体は、本明細書に記載のペプチドまたは他の分子と組み合わせた場合、改善された特性(例えば、改善された溶解性、有効性、および/または改善された免疫療法)を付与することができる。加えて、組成物は、緩衝液、結合剤、発破剤、希釈剤、香料、潤滑剤等の賦形剤などを含んでもよい。「薬学的に許容される希釈剤」とは、例えば、生理学的に適合性である溶媒、増量剤、安定化剤、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含み得る。薬学的に許容される希釈剤の例としては、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどのうちの1つ以上、およびそれらの組み合わせが挙げられる。多くの場合、組成物中に、1つ以上の等張剤、例えば、糖(例えば、トレハロースおよびスクロース)、多価アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール)、または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。湿潤剤または少量の補助物質などの薬学的に許容される物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、保存剤または緩衝剤も、本開示の範囲内である。加えて、組成物は、賦形剤(例えば、緩衝剤、結合剤、発破剤、希釈剤、香料、および潤滑剤)を含み得る。
【0088】
一態様では、本明細書に記載のペプチドまたは他の分子は、水性担体と組み合わされ得る。一態様では、水性担体は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム)、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二カルシウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩)、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニル、セルロース系物質(例えば、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)、デンプン、ラクトース一水和物、マンニトール、トレハロース、ラウリル硫酸ナトリウム、クロスカルメロース(crosscarmellose sodium)ナトリウム、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂から選択される。
【0089】
他の実施形態では、組成物は、非経口送達、吸入、または消化管を介した送達(例えば、経口)のために選択される。かかる薬学的に許容される組成物の調製は、当業者の能力の範囲内である。特定の実施形態では、緩衝液は、組成物を生理学的pHで、またはわずかに低いpHで、典型的には、約5~約8のpH範囲内で維持するために使用される。特定の実施形態では、非経口投与が企図される場合、組成物は、薬学的に許容されるビヒクル中に、追加の治療剤を含むかまたは含まずに、本明細書に記載の組成物を含む発熱物質除去、非経口的に許容される水溶液の形態である。特定の実施形態では、非経口注射のためのビヒクルは、滅菌蒸留水であり、本明細書に記載の組成物が、少なくとも1つの追加の治療剤を含むかまたは含まずに、適切に保存された滅菌等張溶液として製剤化される。特定の実施形態では、調製物は、生成物の制御放出または持続放出を提供するポリマー化合物(例えば、ポリ乳酸またはポリグリコール酸)、ビーズまたはリポソームとの所望の分子の製剤化を伴い、これらは次いで、デポ注射を介して送達される。特定の実施形態では、植込み型薬物送達デバイスは、所望の分子を導入するために使用される。
【0090】
組成物のpHは、一般に、本開示の特定のキメラポリペプチドの等電点と等しい必要はなく、約4.0~約7.0、約5.0~約6.0、または約5.5~約6.0の範囲であり得る。特定の実施形態では、本開示の組成物または製剤は、約5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、または6.0のpHを有する。緩衝剤は、生理学的条件に近い範囲内で本開示の組成物のpHを維持するのに役立ち得る。これらは、約2mM~約50mMの範囲の濃度で存在し得る。本開示で使用するための好適な緩衝剤としては、有機酸および無機酸の両方ならびにその塩、例えば、クエン酸緩衝液(例えば、クエン酸一ナトリウム-クエン酸二ナトリウム混合物、クエン酸-クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸-クエン酸一ナトリウム混合物など)、コハク酸緩衝液(例えば、コハク酸-コハク酸一ナトリウム混合物、コハク酸-水酸化ナトリウム混合物、コハク酸-コハク酸二ナトリウム混合物など)、酒石酸緩衝液(例えば、酒石酸-酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸-酒石酸カリウム混合物、酒石酸-水酸化ナトリウム混合物など)、フマル酸緩衝液(例えば、フマル酸-フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸二ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム-フマル酸二ナトリウム混合物など)、グルコン酸緩衝液(例えば、グルコン酸-グリコン酸ナトリウム(sodium glyconate)混合物、グルコン酸-水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸-グルリュコン酸カリウム(potassium glyuconate)混合物など)、シュウ酸緩衝液(例えば、シュウ酸-シュウ酸ナトリウム混合物、シュウ酸-水酸化ナトリウム混合物、シュウ酸-シュウ酸カリウム混合物など)、乳酸緩衝液(例えば、乳酸-乳酸ナトリウム混合物、乳酸-水酸化ナトリウム混合物、乳酸-乳酸カリウム混合物など)、および酢酸緩衝液(例えば、酢酸-酢酸ナトリウム混合物、酢酸-水酸化ナトリウム混合物など)が挙げられる。加えて、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、およびトリメチルアミン塩(例えば、Tris)が使用され得る。
【0091】
保存剤は、微生物の増殖を遅延させるために添加されてもよく、0.2%~1%(w/v)の範囲の量で添加され得る。本開示で使用するのに好適な保存剤としては、フェノール、ベンジルアルコール、メタ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ベンザルコニウムハライド(benzalconium halide)(例えば、塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、塩化ヘキサメトニウム、およびアルキルパラベン(例えば、メチルまたはプロピルパラベン)、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、および3-ペンタノールが挙げられる。時に「安定剤」として知られている等張化剤は、本開示の液体組成物の等張性を確保するために添加され得、多価糖アルコール、例えば、三価以上の糖アルコール(グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなど)を含む。安定剤とは、機能において、増量剤から添加剤までの範囲であり得る幅広いカテゴリーの賦形剤を指し、治療剤を可溶化するか、変性もしくは容器壁への付着を防ぐのに役立つ。典型的な安定剤は、多価糖アルコール(上で列挙した)、アミノ酸(例えば、アルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L-ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニンなど)、有機糖または糖アルコール(例えば、ラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイニシトール(myoinisitol)、ガラクチトール、グリセロールなど、イノシトールなどのシクリトールを含む)、ポリエチレングリコール、アミノ酸ポリマー、含硫還元剤(例えば、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール、およびチオ硫酸ナトリウム)、低分子量ポリペプチド(例えば、10残基以下のペプチド)、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン)、親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)、単糖類(例えば、キシロース、マンノース、フルクトース、グルコース)、二糖類(例えば、ラクトース、マルトース、スクロース)、三糖類(例えば、ラフィノース)、および多糖類(例えば、デキストラン)であり得る。安定剤は、活性タンパク質の重量部当たり0.1~10,000重量部の範囲で存在し得る。
【0092】
非イオン性界面活性剤または洗剤(「湿潤剤」としても知られる)を添加して、治療剤の可溶化を助けるとともに、撹拌誘導性凝集からAng1含有分子を保護することができ、これにより、タンパク質の変性を引き起こすことなく、製剤を負荷のかかる剪断面に曝露することができる。好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリソルベート(20、80、および他)、ポリオキサマー(184、188、および他)、Pluronicポリオール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)-20、TWEEN(登録商標)-80、および他)が挙げられる。非イオン性界面活性剤は、約0.05mg/mL~約1.0mg/mL(例えば、約0.07mg/mL~約0.2mg/mL)の範囲で存在し得る。
【0093】
また、細胞を操作、調製、および産生するための方法、細胞を含む組成物、ならびに細胞を含むキットおよびデバイス、ならびに細胞を使用、産生、および投与するためのキットおよびデバイスも提供される。本明細書に記載の組成物のいずれもキットに含まれ得る。キットの構成要素は、好適な容器手段で提供される。
【0094】
使用方法
一実施形態では、本開示は、組換え産生されたANG1-C4BPおよびC4BP-ANG1が、インビトロ、インビボ、ヒト細胞、および/またはマウスモデルで、Tie2を強力に活性化することを提供する。
【0095】
一実施形態では、本開示は、血管漏出または血漿透過性を減少または阻害する方法を提供する。一実施形態では、本開示は、血管系の成長を促進し、血管系の内皮構造の完全性を維持する方法を提供する。
【0096】
一実施形態では、生物製剤のANG1-C4BPシリーズの治療用途の意図された適応症としては、血管性眼疾患、例えば、毛細血管叢縁またはシュレム管排出系の欠陥によって引き起こされる原発性開放隅角緑内障、および原発性網膜症または二次性網膜症のタイプ、ならびに、とりわけ、がん血管新生、炎症の状態におけるような血管漏出の全身治療が挙げられる。一部の実施形態では、本開示のキメラポリペプチドは、その予想外の有利な特性のために、Bow-Ang1およびCOMP:Ang1を含む、これまで記載されている任意の他のアンジオポエチン関連生物製剤よりも生物学的に活性である。
【0097】
一実施形態では、本開示は、血管透過性または血管漏出の低減を必要とする対象において、それを行う方法を提供し、対象に、有効量の本開示のポリペプチド、本開示の細胞、本開示の核酸、本開示のベクター、本開示のタンパク質複合体、および/または本開示の薬学的組成物を投与することを含む。一実施形態では、血管透過性または血管漏出は、皮膚、眼、肺、腎臓、脳、肝臓、心臓、および腸において増加している。一実施形態では、血管透過性または血管漏出は、VEGF、化学剤(毒性ガスを含む)、感染性細菌および感染性ウイルス、自己免疫抗体、ならびに抗体薬物(内皮機能障害および血管損傷を引き起こすもの)から選択される薬剤のレベルの増加に応答して増加している。
【0098】
一実施形態では、本開示は、異常な血管透過性または血管漏出を伴う疾患または障害の治療を必要とする対象において、それを行う方法を提供し、対象に、有効量の本開示のポリペプチド、本開示の細胞、本開示の核酸、本開示のベクター、本開示のタンパク質複合体、および/または本開示の薬学的組成物を投与することを含む。
【0099】
一実施形態では、本開示は、Tie2活性化に応答する疾患または障害の治療を必要とする対象において、それを行う方法を提供し、対象に、有効量の本開示のポリペプチド、本開示の細胞、本開示の核酸、本開示のベクター、本開示のタンパク質複合体、および/または本開示の薬学的組成物を投与することを含む。一実施形態では、Tie2の活性化に応答する疾患または障害は、症状の少なくとも1つの兆候もしくは重症度、かかる症状が患者によって経験される頻度、またはその両方が、Tie2の活性化によって低減または排除される、任意の疾患または障害である。
【0100】
一実施形態では、障害は、腫瘍血管新生および転移におけるがん、眼疾患または障害(例えば、緑内障、細菌性敗血症、重度のウイルス感染症)、原虫感染症(例えば、熱帯熱マラリア)、炎症、致死性炭疽病、慢性腎疾患、急性腎損傷および腎機能障害、急性肺損傷および気管支機能障害、急性呼吸窮迫症候群、閉塞性肺疾患、急性肝不全、急性膵炎、脳卒中、心筋梗塞、うっ血性心不全、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、末梢神経障害、糖尿病性腎症および網膜症、創傷治癒、関節炎、線維性状態、虚血再灌流傷害、外傷性脳損傷、癲癇、多発性硬化症、臓器移植および同種移植片拒絶から選択される。
【0101】
一実施形態では、がんは、急性リンパ球性がん、急性骨髄性白血病、胞巣状横紋筋肉腫、骨がん、脳がん、乳がん、肛門がん、肛門管がんまたは肛門直腸がん、眼がん、肝内胆管がん、関節がん、頸部がん、胆嚢がん、または胸膜がん、鼻のがん、鼻腔のがん、または中耳のがん、口腔がん、膣がん、外陰がん、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄がん、結腸がん、食道がん、子宮頸がん、消化管カルチノイド腫瘍、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、腎臓がん、喉頭がん、肝臓がん、肺がん、悪性中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、上咽頭がん、非ホジキンリンパ腫、中咽頭がん、卵巣がん、陰茎がん、膵臓がん、腹膜、網、および腸間膜のがん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、腎臓がん、皮膚がん、小腸がん、軟部組織がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、尿管がん、および膀胱がんのうちのいずれかから選択される。一実施形態では、本開示の化合物による治療は、限定されないが、化学療法および放射線を含む他のがん療法と組み合わされる。
【0102】
一実施形態では、本開示は、血管新生媒介性疾患の治療を必要とする対象において、それを行う方法を対象とする。本方法は、有効量の上記の任意の他の薬剤を含む組成物を投与することを含む。治療が可能な例示的な血管新生媒介性疾患としては、非眼部出血、心筋梗塞、脳卒中、がん、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、冠状動脈性心疾患、末梢動脈疾患、創傷治癒障害などが挙げられる。
【0103】
一実施形態では、眼疾患または障害は、加齢性黄斑変性症(AMD)、黄斑変性症、黄斑浮腫、糖尿病黄斑浮腫(DME)(局所性、中心窩を含まないDME、およびびまん性、中心窩を含むDMEを含む)、網膜症、糖尿病網膜症(DR)(増殖性DR(PDR)、非増殖性DR(NPDR)、および高高度DRを含む)、他の虚血関連網膜症、未熟児網膜症(ROP)、網膜静脈閉塞症(RVO)(網膜中心静脈閉塞症(CRVO)および網膜静脈分岐閉塞症(BRVO)形態を含む)、CNV(近視性CNVを含む)、角膜血管新生、角膜血管新生と関連する疾患、網膜血管新生、網膜/脈絡膜血管新生と関連する疾患、病的近視、フォンヒッペル・リンダウ病、眼ヒストプラスマ症、家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)、コーツ病、ノリエ病、骨粗鬆症・偽性神経膠腫症候群(OPPG)、結膜下出血、ルベオーシス、眼血管新生疾患、血管新生緑内障、網膜色素変性症(RP)、高血圧性網膜症、網膜血管腫状増殖、黄斑部毛細血管拡張症、虹彩血管新生、眼内血管新生、網膜変性症、嚢胞様黄斑浮腫(CME)、血管炎、乳頭浮腫、網膜炎、結膜炎(感染性結膜炎および非感染性(例えば、アレルギー性)結膜炎を含む)、レーバー先天黒内障、ぶどう膜炎(感染性および非感染性ぶどう膜炎を含む)、脈絡膜炎、眼ヒストプラスマ症、眼瞼炎、ドライアイ、外傷性眼損傷、ならびにシェーグレン病からなる群から選択される。一実施形態では、眼疾患または障害は、緑内障、AMD、またはDMEである。
【0104】
一実施形態では、本開示は、眼における従来の流出路を介した房水流出の増強を必要とする対象において、それを行う方法を提供し、対象に、有効量の本開示のポリペプチド、本開示の細胞、本開示の核酸、本開示のベクター、本開示のタンパク質複合体、および/または本開示の薬学的組成物を投与し、それによって、対象の眼において従来の流出路を介した房水流出を増強することを含む。
【0105】
眼圧の低減を必要とする対象において、それを行う方法であって、対象に、有効量の本開示のポリペプチド、本開示の細胞、本開示の核酸、本開示のベクター、本開示のタンパク質複合体、および/または本開示の薬学的組成物を投与し、それによって、対象において眼圧を低減することを含む、方法。
【0106】
一実施形態では、本方法は、第2の薬剤を投与することをさらに含む。一実施形態では、第2の薬剤は、抗体、抗炎症剤、抗血管新生剤、サイトカイン、サイトカインアンタゴニスト、コルチコステロイド、および鎮痛剤から選択される。
【0107】
一実施形態では、抗血管新生剤は、VE-PTP阻害剤、ベバシズマブ、イトラコナゾール、カルボキシアミドトリアゾール、TNP-470、CM101、INF-α、IL-12、血小板因子-4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、血管形成抑制ステロイド+ヘパリン、軟骨由来血管新生抑制因子、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、アンジオスタチン、エンドスタチン、2-メトキシエストラジオール、テコガラン、テトラチオモリブデート、サリドマイド、トロンボスポンジン、プロラクチン、リノミド、ανβ3阻害剤、ラムシルマブ、タスキニモド、ラニビズマブ、ソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブ、およびエベロリムスから選択される化合物を含む。
【0108】
一実施形態では、抗血管新生剤は、VEGFアンタゴニストである。一実施形態では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体、抗VEGF受容体抗体、可溶性VEGF受容体融合タンパク質、アプタマー(例えば、ペガプタニブ(MACUGEN(登録商標))、抗VEGF DARPin(登録商標)(例えば、アビシパルペゴル)、またはVEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、4-(4-ブロモ-2-フルオロアニリノ)-6-メトキシ-7-(1-メチルピペリジン-4-イルメトキシ)キナゾリン(ZD6474)、4-(4-フルオロ-2-メチルインドール-5-イルオキシ)-6-メトキシ-7-(3-ピロリジン-1-イルプロポキシ)キナゾリン(AZD2171)、バタラニブ(PTK787)、セマキサミニブ(semaxaminib)(SU5416)、およびSUTENT(登録商標)(スニチニブ)である。一実施形態では、抗VEGF抗体は、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、RTH-258、または二重特異性抗VEGF抗体である。一実施形態では、二重特異性抗VEGF抗体は、抗VEGF/抗Ang2抗体である。一実施形態では、抗VEGF/抗Ang2抗体は、RG-7716である。一実施形態では、可溶性VEGF受容体融合タンパク質は、アフリベルセプト(EYLEA(登録商標))である。
【0109】
本明細書に開示される組成物および方法と組み合わせて使用するのに好適な追加の治療剤としては、イブルチニブ(IMBRUVICA(登録商標))、オファツムマブ(ARZERRA(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、トラスツズマブエムタンシン(KADCYLA(登録商標))、イマチニブ(GLEEVEC(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX)、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、カツマキソマブ、イブリツモマブ、オファツムマブ、トシツモマブ、ブレンツキシマブ、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、ラパチニブ、ネラチニブ、アキシチニブ、マシチニブ、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、トセラニブ、レスタウルチニブ、アキシチニブ、セジラニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、チボザニブ、トセラニブ、バンデタニブ、エントレクチニブ、カボザンチニブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ポナチニブ、ラドチニブ、ボスチニブ、レスタウルチニブ、ルキソリチニブ、パクリチニブ、コビメチニブ、セルメチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、アレクチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、アフリベルセプト、アディポチド、デニロイキンジフチトクス、mTOR阻害剤(例えば、エベロリムスおよびテムシロリムス)、ヘッジホッグ阻害剤(例えば、ソニデギブおよびビスモデギブ)、CDK阻害剤(例えば、CDK阻害剤パルボシクリブ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
抗炎症剤または抗炎症薬としては、ステロイドおよびグルココルチコイド(ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンを含む)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、抗TNF薬、シクロホスファミド、およびミコフェノール酸塩を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なNSAIDとしては、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、Cox-2阻害剤、およびシアル酸塩が挙げられる。例示的な鎮痛剤としては、アセトアミノフェン、オキシコドン、プロポルキシフェン塩酸塩のトラマドールが挙げられる。例示的なグルココルチコイドとしては、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、またはプレドニゾンが挙げられる。例示的な生物学的応答修飾剤としては、細胞表面マーカー(例えば、CD4、CD5など)、サイトカイン阻害剤(例えば、TNFアンタゴニスト(例えば、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、およびインフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、ケモカイン阻害剤および接着分子阻害剤を標的とした分子が挙げられる。生物学的応答修飾因子としては、モノクローナル抗体ならびに分子の組換え形態が挙げられる。例示的なDMARDとしては、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、メトトレキサート、ペニシラミン、レフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、金(経口(オーラノフィン)および筋肉内)、ならびにミノサイクリンが挙げられる。
【0111】
本方法は、動物モデルにおけるANG1-C4BPおよびそのバリアントの有効性を決定し、肺内などでTie2の全身活性化を評価し、それによって、生物製剤の有効性を決定するさらなるステップを含み得る。本方法において使用される動物は、げっ歯類、またはより大きい動物(例えば、ウサギ)であり得る。しかしながら、任意の適切な動物が、インビボ動物モデルとして機能し得る。Tie2関連疾患または障害のインビボ動物モデルは、当該技術分野で周知である。
【実施例
【0112】
実施例1:
構築物の設計および小規模発現
ANG1-C4BPキメラ融合構築物(図2)をコードするcDNAの遺伝子合成は、GenScript(登録商標)Corporationで行われた。構築物のコドン最適化(CHOコドンバイアス)cDNAを、pTT81(登録商標)発現ベクターまたは類似物にサブクローニングし、CHO細胞およびHEK293細胞を、小規模産生分析用に一過的にトランスフェクトした(図3)。一過的な発現を使用して、C4BPに融合されたANG1およびANG2の異なるキメラ構築物を試験した。すべての組換え融合タンパク質は、約280kDaの七量体として分泌され、構築物H6EKC4BPAng1およびH6EKAng1C4BPは、非還元条件および還元条件下でのポンソーS溶液染色(図3A)、ならびに抗Hisタグ抗体を使用して非還元および還元SDS-PAGEのウエスタンブロット(図3B)で示されるように、最高レベルで発現された。組み換え融合タンパク質の多量体状態は、還元剤β-メルカプトエタノールの存在下および不在下でのSDS-PAGEゲル上のタンパク質の挙動を比較することによって確認した。
【0113】
実施例2:
アンジオポエチン-C4BPおよびC4BP-アンジオポエチンの大規模発現
異なるANG1-C4BP構築物の安定した発現のために、カナダ国立研究評議会(NRC)のCHO-BRI(クローン55E1)細胞をトランスフェクトし、約2週間、メチオニンスルホキシミン(MSX)を添加することによって選択した。続いて、安定CHO-BRIのプール発現およびシェーカーフラスコでのフェッドバッチ(fed-batch)産生を行った。5% COオーバーレイで所望の温度に維持された加湿インキュベーター内のオービタルシェーカーで、培養物を撹拌した。細胞を、化学的に定義されたPowerCHO2培地で維持し、一方、フェッドバッチ培養は、MSXおよび0.3%のPluronic F68を補充した基礎培地としてBalanCD増殖Aを使用して行った。フェッドバッチ培養の場合、培養物中で所定の一定のグルコースレベルを維持するように供給速度を毎日調整した。CHO-BRIは、組換えタンパク質を産生するための安定した発現システムであり、これは、トランスフェクション後の4週間(プール選択および増殖のための2週間と産生のための2週間)、クメート誘導性発現プラットフォームを使用して、200~1000mg/Lを安定して発現するCHOプールを生成する(Poulain A,et al.Rapid protein production from stable CHO cell pools using plasmid vector and the cumate gene-switch.J Biotechnol.2017;255:16-27)。
【0114】
キメラ融合アンジオポエチン-C4BP構築物の組換えタンパク質産物は、SDS-PAGEのクーマシーブルー染色(図4)、ならびに非還元SDS-PAGE(図5)および還元SDS-PAGE(図6)分離、ならびに抗Hisタグ抗体による免疫ブロッティングを用いて分析した後、予想された分子量で見出された。したがって、ANG1-C4BPおよびC4BP-ANG1キメラ融合タンパク質の安定したCHO発現は、細胞培養培地で、予測された七量体としての自己集合を示す。
【0115】
シェーカーフラスコ中でフェッドバッチ産生を行って、組換えタンパク質を得て、これを回収し、遠心分離および濾過によって精製し、続いて、勾配を使用して溶出し、脱塩し、固定化金属親和性クロマトグラフィー(IMAC)精製を行い、DPBSに緩衝液交換し、濃縮し、無菌濾過し、280nmでの吸光度によって定量化した。精製物を、UPLC-SEC(超高性能液体クロマトグラフィー-サイズ排除クロマトグラフィー)によってさらに分析して、凝集レベルを決定し、(還元および非還元)SDS-PAGEによって純度を決定した。組換え融合タンパク質産物は、ピーク#2分画で、正しい分子量で見出された(図7A)。産生された各組換え融合タンパク質の体積および総量に関する、ピーク1および2のIMAC精製画分の概要(図7B)。
【0116】
精製したANG1-C4BPを-80℃での凍結保存、および最大2ラウンドの凍結融解(F/T)サイクルに供して、タンパク質の安定性を決定した(図8)。これらの条件下では、顕著なUPLC-SEC分析プロファイルの変化は観察されず、安定性が示された。
【0117】
実施例3:
ANG1-C4BPおよびC4BP-ANG1のインビトロ生物学的活性
精製したANG1-C4BPおよびC4BP-ANG1を、Fcとの組換え融合物(Tie2-Fcと称される)中のTie2の外部ドメインとの機能的結合について試験した。ANG1-C4BPおよびC4BP-ANG1の両方は、Tie2-Fcに結合することができる(図9)。
【0118】
ANG1-C4BPの効力を決定するために、20分間処理したHUVECにおいて、半最大有効濃度(EC50)を測定した。ANG1-C4BPの場合、リン酸化AKT(pAKT)のEC50は、87ng/mLであった(図10)。
【0119】
生物学的活性および効力を評価するために、キメラ融合構築物から得られた異なる組換えタンパク質産物を使用して、様々な濃度で20分間HUVECを処理した。ANG1とC4BPとの間のキメラ融合構築物の組換えタンパク質産物は、Tie2受容体チロシンキナーゼを活性化(リン酸化)し(図11A)、その下流の標的であるAKTのリン酸化を誘導する(図11B)のに有効であった。唯一の例外は、アンジオポエチン-2FLD(C4bpAng2H6)に融合されたC4BPから作製されたキメラ構築物の産物であった。細胞レベルでは、C4BP-ANG1は、Tie2を刺激し、培養HUVECにおけるその細胞内分布を再編成した。C4BP-ANG1処理後、細胞表面のTie2がクラスター化し、接合部にプールされた(図12)。要約すると、いずれかの構成におけるANG1-C4BPおよびC4BP-ANG1組換え融合タンパク質は、ANG1-C4BPバリアントの予想された七価クラスタリング効果に合わせて、安定した七量体を形成し、同族のTie2受容体に結合して、それらの活性化をもたらす。
【0120】
実施例4:
C4BP-ANG1のインビボ生物学的活性
インビボでのC4BP-ANG1の生物学的活性を決定するために、BALB/cマウスに、0.2~1ug/g体重の範囲の異なる濃度で静脈内注射した(図13A)。使用した3つの濃度は、用量依存的な様式で、肺におけるTie2の活性化をもたらした。C4BP-ANG1は、早くも15分後にTie2を活性化し(図13B)、処置後少なくとも6時間持続し、処置後16時間で、活性化がより低くなることが明らかになった(図13C)。
【0121】
組換え融合タンパク質の単回硝子体内注射後の房水中のC4BP-ANG1のレベルを決定するために、眼の薬物動態実験で、3匹の白色のニュージーランドラビットを使用した。100ugのC4BP-ANG1を各ウサギの右眼に硝子体内注入する前、および注入した後の1日目から7日目まで、毎日、房水タップ採取を行うことによって、房水を採取した。ウサギを7日目に安楽死させた後、硝子体液を採取した。ELISAによって測定した場合、ウサギにおける硝子体内注射により、房水(AH)中のC4BP-ANG1が数日間持続することを示し、最初の2~3日目のスパイクに始まり、その後、徐々にベースラインまでレベルが下がった(図14)。硝子体内注射の3日後にC4BP-ANG1のAHレベルを検出するには、感度のより高い方法が必要となるであろう。C4BP-ANG1は、処置後7日目以降も右眼からの硝子体液(VH)中で検出され、一方、左眼のVHは、ビヒクル陰性対照として機能した(図14)。
【0122】
C4BP-ANG1のインビボでの有効性を決定するために、BALB/cマウスでエバンスブルー色素(Milesアッセイ)を使用して、4つの異なる血管透過性試験を行った。エベンスブルー色素は、血清アルブミンに対して非常に高い親和性を有し、それが間質腔に存在することは、タンパク質の血管漏出の指標となる。VEGF誘導性皮下透過性Milesアッセイにおいて、C4BP-ANG1は、血管漏出を有意に低減した(図15)。VEGFおよびC4BP-ANG1を、単独でまたは一緒にマウスに皮下注入し、630nmで光学密度を測定することによって、エバンスブルー色素を定量化した(図15)。また、C4BP-ANG1の局所皮下注射の代わりに、皮下VEGFの30分前に生物製剤を静脈内注射すると、C4BP-ANG1処置により、血管漏出の低減を示した(図16)。同様に、C4BP-ANG1の全身性静脈内注射もまた、化学誘導性血管漏出の重症度を減少させた(図17)。肺血管透過性アッセイでは、C4BP-ANG1の静脈内注射は、肺内の血管漏出を誘導するために細菌リポ多糖(LPS)の吸入を受けたマウスにおいて、血管漏出を改善した(図18)。総エバンスブルー色素の抽出および測定は、C4BP-ANG1で処置されたマウスにおいて、漏出の減少を示した(図18)。まとめると、これらのインビボの結果は、C4BP-ANG1の強力な生物学的活性およびその血管保護効果を実証する。
【0123】
実施例5:
C4BP-ANG1のインビボ生物学的活性の緑内障モデル
アンジオポエチン模倣物の送達は、SCにおける内因性TEKシグナル伝達を活性化し、流出能(outflow facility)を強化することによって眼圧を低下させ、緑内障のげっ歯類モデルにおけるTM-SCの構造および機能を改善し、網膜神経節細胞(RGC)を保護する。
眼圧(IOP)の上昇は、緑内障の発症および進行の主要なリスク因子であり、房水の流出に対する耐性の増加に起因する。IOPの減少は、眼圧亢進を有する眼における緑内障への移行のリスクを低減し、緑内障による既存の損傷を有する眼において、疾患を悪化させるリスクを低減することが示されている。アンジオポエチン/Tie2シグナル伝達の障害は、シュレム管の完全性を損ない、緑内障を誘導することが以前に示されている。
【0124】
流出の抵抗を増加させる疾患組織の機能を回復させることを目的とした療法が特に望ましいが、かかる療法は現在ほとんど存在しない。これらの疾患組織は、管傍(juxtacanalicular)組織、線維柱帯網(TM)、およびシュレム管(SC)で構成される従来の流出路に存在する。(Stamer,W.D.,et al. Biomechanics of Schlemm’s canal endothelium and intraocular pressure reduction.Progress in Retinal & Eye Research,2015.44:p.86-98)。アンジオポエチン(Angpt)-TEK血管シグナル伝達経路の活性の低下は、マウスでは重篤な形態の原発性先天性緑内障(PCG)をもたらし、PCGを有する小児では、TEK遺伝子に既知の変異が存在する。血管チロシンキナーゼ受容体TEK(SC内皮で発現される)のそのリガンドであるアンジオポエチン(TMで発現)による活性化は、房水流出およびIOPの維持に不可欠な眼の角膜縁領域における特殊な環状管であるSCの発生に必要である。マウスにおけるSCの欠損の重症度、眼圧亢進、および網膜神経節細胞(RGC)の損失は、Angpt/TEKシグナル伝達の活性に反比例し、TEKの活性を増強することで、IOPが低下し、RGCの細胞死を防ぐことができる。TEK遺伝子またはそのリガンドANGPT1をコードする遺伝子における機能喪失変異は、PCGを引き起こす(20人の患者において20個の固有の変異が同定された)。ANGPT1のゲノム領域のバリアントは、成人では、原発性開放隅角緑内障(POAG)と関連しており、成体サルでは、Angpt/TEKシグナル伝達の減少が、緑内障を引き起こすことが報告された。
【0125】
C4BP-ANG1タンパク質を、CellFactory(商標)システムを使用して産生させ、FPLCによって精製した。硝子体内注射は、ELISAによって測定すると、AH中で、Angpt1が最大6時間持続することを示した。硝子体に注射された他のタンパク質の薬物動態に基づいて、眼および前房における長期的な発現が予測される。
【0126】
眼障害の3つのマウスモデルにおいて、C4BP-ANG1のインビボ活性が示されている:
a.Prox1+-GFP正常圧マウス[Truong,T.N.,et al.,Novel characterization and live imaging of Schlemm’s canal expressing Prox-1.2014.9(5):p.e98245](C57Bl6背景で蛍光性のSCを有するProx1-GFP)
b.TEK+/-マウス(RGC細胞の減少が遅い軽度の低形質SC管);対照はビヒクル処置眼である
c.NC-Angpt1 KO(重篤な低形質SC、PCGモデル);対照はビヒクル処置眼である
【0127】
C4-ANPGT1タンパク質は、そのサイズにより、成熟した血液網膜関門を透過しないため、硝子体内注射によって送達される。
【0128】
蛍光SCを有する対照マウス由来の正常圧眼におけるIOPの流出能
正常圧眼のマウスモデルを使用して、C4BP-ANG1が、正常圧眼におけるIOPを低下させ、流出能を増強することができるかどうか決定し、SCにおいて、どれほどの期間TEKが活性化されたままであるかを決定する。Prox1プロモーターの下で強化型緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する3ヶ月齢のB57Bl6マウス[Truong,T.N.,et al.,Novel characterization and live imaging of Schlemm’s canal expressing Prox-1.2014.9(5):p.e98245]は、SCの容易な同定を可能にする。IOPは、リバウンド眼圧測定を使用して測定され、流出能に対する影響を測定する[Sherwood,J.M.,et al.,Measurement of Outflow Facility Using iPerfusion.2016.11(3):p.e0150694]。TEKの活性化は、リン酸化特異的TEK抗体を使用したSCの免疫組織化学によって決定する[Kim, J.,et al.,Impaired angiopoietin/Tie2 signaling compromises Schlemm’s canal integrity and induces glaucoma.Journal of Clinical Investigation,2017.127(10):p.3877-3896]。薬物の全身吸収が起こるかどうかを決定するために、肺および反対側の対照眼を採取し、これらの組織においてウエスタンブロットおよび免疫染色によってTEKの活性化を決定する。
【0129】
時点:3ヶ月齢のWTマウスの群に、1ulの1ug/ulの精製C4BP-ANG1タンパク質、ビヒクル(1ug/ulのアルブミン)を、硝子体内に注射するか、または陽性対照として、0.01%のラタノプロストで局所的に処理する。Tie2/TEKの局在化およびリン酸化の染色は、注射後2時間、6時間、24時間、および1週間で決定する。解剖直前に、流出能を測定する。第2の群の動物では、IOPは、ベースライン、処置後1時間、2時間、4時間、8時間、および24時間で測定する。測定は、3回実施する。1週間の群では、SCおよびTMを採取し、以前に記載されているように組織学的に分析する[Thomson,B.R.,et al.,Angiopoietin-1 is required for Schlemm’s canal development in mice and humans.Journal of Clinical Investigation,2017.127(12):p.4421-4436]。
【0130】
緑内障モデルのANGPT1模倣物処置(TEK+/1、NC-Angpt1):
マウスモデルを使用して、SCおよび流出路の構造的または機能的なレスキューが存在するかどうかを決定し、上に列挙された2つの緑内障モデル(1つは軽度および1つは重度)のいずれかにおいて進行性RGC喪失の予防が存在するかどうかを決定する。2つの時点を試験する:1)活性なSCの成長が正常に起こっている早期の生後期間、および2)すでにIOPの上昇およびRGCの喪失を有するが、末期に達していない6週齢のマウス。
【0131】
早期:生後3日目(P3)およびP5に2回注射し、P7で眼を採取する。読み出しは上記と同様である。SCの形態、免疫染色、サイズ、および畳み込みを定量化し、以前に記載されているようにTM組織学を分析した[Thomson,B.R.,et al.,Angiopoietin-1 is required for Schlemm’s canal development in mice and humans.
【0132】
Journal of Clinical Investigation,2017.127(12):p.4421-4436;Thomson,B.R.,Carota,I.A.,Souma,T.,Soman,S.,Vestweber,D.,Quaggin,S.E.,Targeting the vascularspecific
【0133】
phosphatase PTPRB protects against retinal ganglion cell loss in a pre-clinical model of glaucoma.eLife,2019]。主な読み出しは、このような若いマウスで流出またはIOPを測定することが困難であるため、この早い時点での構造的レスキューである。時点は、SCの成長をシャットダウンしたマウスにおけるAngpt-VEGFペプチボディの注射の類似の投薬スケジュールに基づいて選択される[Thackaberry,E.A.,et al. Rapid Development of Glaucoma Via ITV Nonselective ANGPT 1/2 Antibody:A Potential Role for ANGPT/TIE2 Signaling in Primate Aqueous Humor Outflow.2019.60(13):p.4097-4108]。
【0134】
緑内障を有する若い成体マウス、6週間:対照マウスにおける詳細な薬物動態データからの結果を最初に求め、最良の注射の間隔および投薬量を決定する。ウエスタンブロットで定量化されるTEKリン酸化を増強することが確認されている濃度で、注射用量の約50%のAngpt1レベルの最低値を可能にする間隔投薬が選択される。読み出しとしては、採取時(12週齢)におけるSC免疫染色、サイズ、畳み込み、形態、およびTM組織学が挙げられる。IOPは、ベースラインおよび毎週のリバウンド眼圧測定によって測定される。
【0135】
実施例6
C4BP-ANG1のインビボ生物学的活性
シュレム管サイズのレスキュー
野生型および神経堤特異的アンジオポエチン-1ノックアウト(Angpt1 dNC)マウスを、生後0~4日目から毎日のIP注射によってC4BP-ANG1で処置した。P14で、眼を採取し、シュレム管領域を定量化した。野生型およびAngpt1 dNCの両方の眼において、C4BP-Ang1処置は、シュレム管サイズの顕著な増加をもたらした。WT動物では、分化したシュレム管のマーカーであるPROX1の発現が、処置後も維持されたが、Angpt1 dNC眼では、PROX1の発現は、C4BP-Ang1処置後にのみ観察された(図19)。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
【配列表】
2023515827000001.app
【国際調査報告】