(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】限外濾過によるパルスタンパク質単離
(51)【国際特許分類】
A23J 1/14 20060101AFI20230407BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20230407BHJP
A23J 3/00 20060101ALN20230407BHJP
【FI】
A23J1/14
A23L11/00 F
A23J3/00 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551268
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 US2021019931
(87)【国際公開番号】W WO2021174017
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520284919
【氏名又は名称】イート ジャスト, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Eat Just,Inc.
【住所又は居所原語表記】2000 Folsom Street, San Francisco, California 94110 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】アニケット・ケイル
(72)【発明者】
【氏名】メン・リー
(72)【発明者】
【氏名】滝野 晃將
(72)【発明者】
【氏名】パヴァン・カンバム
【テーマコード(参考)】
4B020
【Fターム(参考)】
4B020LB24
4B020LG09
4B020LP03
4B020LP13
4B020LP20
4B020LP30
(57)【要約】
パルスタンパク質単離物、そのような単離物を含有する食品組成物、及びパルスタンパク質単離物を調製するための方法が開示される。いくつかの実施形態では、方法は、製粉された組成物からパルスタンパク質を抽出し、抽出されたタンパク質を限外濾過プロセスに適用して、望ましい官能特性を有するパルスタンパク質単離物を生成することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスタンパク質単離物を調製するための方法であって、
製粉された組成物を得ることと、
約1~約9のpHの水溶液中のパルスタンパク質を含む前記製粉された組成物からタンパク質を抽出して、抽出パルスタンパク質を含有するタンパク質に富む画分を生成することと、
前記タンパク質に富む画分を、半透膜を含む限外濾過プロセスに適用して、2℃~60℃の温度での分子サイズに基づいて、透過液画分から保持液画分を分離することと、
前記パルスタンパク質単離物を含有する前記保持液画分を収集することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記保持液画分のpHを4.0~7.0の第1のpHに調整し、任意選択で、続いて5.0~6.6の第2のpHに更にpH調整することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記保持液画分の前記第1のpH又は前記第2のpHが、5.8~6.6のpHに調整される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記保持液画分の前記第1のpH又は前記第2のpHが、6.0~6.2のpHに調整される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記保持液画分を、60℃~80℃の温度に10秒~10分の期間加熱することを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記保持液画分が、65℃~80℃の温度に加熱される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記保持液画分が、70℃~80℃の温度に加熱される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記保持液画分が、70℃~75℃の温度に加熱される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記保持液画分が、10秒~5分の期間加熱される、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記保持液画分が、10秒~1分の期間加熱される、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記保持液画分が、10秒~30秒の期間加熱される、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記保持液画分から水を除去して、濃縮パルスタンパク質単離物を生成することを更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記保持液画分から水を除去することが、噴霧乾燥、ドラム乾燥、トレイ乾燥、フラッシュ乾燥、又は凍結乾燥によって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
パルスタンパク質を含む前記製粉された組成物が、乾燥マメ、レンズマメ、ソラマメ、乾燥エンドウマメ、ヒヨコマメ、ササゲ、バンバラマメ、キマメ、ハウチワマメ、ベッチ、アズキ、インゲンマメ、フェヌグリーク、ジュウロクササゲ、ライマメ、ベニバナインゲン、テパリービーンの製粉された組成物である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
パルスタンパク質を含む前記製粉された組成物が、リョクトウの製粉された組成物である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
パルスタンパク質を含む前記製粉された組成物を生成するために、除皮パルス、製粉パルス、又は除皮及び製粉パルスを更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記パルスが、乾式製粉又は湿式製粉されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
製粉前に前記パルスを乾燥させることを更に含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
タンパク質を抽出する前に、前記製粉された組成物を空気分級することを更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記タンパク質に富む画分を前記限外濾過プロセスに適用する前に、前記タンパク質に富む画分を予備濾過プロセスに適用することを更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記パルスタンパク質が、4~6のpHで前記タンパク質に富む画分から沈殿されない、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記保持液画分が、5キロダルトン(kDa)、10kDa、20kDa、50kDa、又は75kDaを超えるが、100kDa未満の分子サイズを有するタンパク質に富んでいるパルスタンパク質を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記透過液画分が、5キロダルトン(kDa)、10kDa、20kDa、50kDa、又は75kDa未満の分子サイズを有するタンパク質において枯渇したパルスタンパク質を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記保持液画分が、100キロダルトン(kDa)未満の分子サイズを有するパルスタンパク質を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記保持液画分が、50kDa未満の分子サイズを有するパルスタンパク質を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記保持液画分が、25kDa未満の分子サイズを有するパルスタンパク質を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記保持液画分が、15kDa未満の分子サイズを有するパルスタンパク質を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記半透膜が、1kDa以上のサイズを有する分子を除外する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記半透膜が、3kDa以上のサイズを有する分子を除外する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記半透膜が、5kDa以上のサイズを有する分子を除外する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記半透膜が、7.5kDa以上のサイズを有する分子を除外する、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記半透膜が、10kDa以上のサイズを有する分子を除外する、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記半透膜が、20kDa以上のサイズを有する分子を除外する、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記半透膜が、30kDa以上のサイズを有する分子を除外する、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記半透膜が、50kDa以上のサイズを有する分子を除外する、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記半透膜が、70、80、90、又は95kDa以上のサイズを有する分子を除外する、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記半透膜が、0.001~0.1ミクロンの細孔径を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記半透膜が、0.001~0.006ミクロンの細孔径を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記半透膜が、0.001~0.005ミクロンの細孔径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記半透膜が、0.0025~0.005ミクロンの細孔径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記半透膜が、約0.003ミクロンの細孔径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記半透膜が、ポリマー膜、セラミック膜、又は金属膜である、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記半透膜が、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド-イミド(PAI)、天然ポリマー、ゴム、ウール、セルロース、ステンレス鋼、タングステン、パラジウム、酸化物、窒化物、金属炭化物、炭化アルミニウム、炭化チタン、又はアルカリ及びアルカリ土類金属を含有する水和アルミノケイ酸塩鉱物から作製される、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記限外濾過プロセスが、約20~約500psigの圧力で行われる、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記水溶液が、塩である、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記水溶液が、0.01%w/v~5%w/vの濃度の塩を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記水溶液が、0.001%w/v~0.1%w/v、0.001%w/v~0.2%w/v、0.001%w/v~0.3%w/v、又は0.001%w/v~0.4%w/vの濃度の塩を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記水溶液が、0.1%w/v~0.5%w/v、0.1%w/v~1%w/v、1.0%w/v~2.5%w/v、又は2.5%w/v~5%w/vの濃度の塩を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記塩が、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、又はリン酸カリウムから選択される、請求項45~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記塩が、NaClである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記水溶液が塩を含まない、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記パルスタンパク質単離物の密度が、0.6g/ml未満である、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記パルスタンパク質単離物の前記密度が、0.5g/ml又は0.4g/ml未満である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記パルスタンパク質単離物の前記密度が、0.3g/ml未満である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記パルスタンパク質単離物の前記密度が、0.2g/ml又は0.1g/ml未満である、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
12%w/wパルスタンパク質単離物、0.35%w/wNaCl、及び水からなる均質化タンパク質分散液が、4℃で48時間の貯蔵後に30%未満の分離比を有する、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記分離比が、4℃で48時間の貯蔵後に25%未満である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記分離比が、4℃で48時間の貯蔵後に20%未満である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記パルスタンパク質単離物が、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、90℃~95℃の温度で50Pa未満の貯蔵弾性率を有し、前記測定されたパルスタンパク質単離物が、12%w/wタンパク質を含み、前記貯蔵弾性率が、10ラジアン/秒の一定の角周波数で0.1%歪み条件下で記録される、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記パルスタンパク質単離物が、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して動的振動レオロジーによって測定されるとき、最大10%歪みで1000Pa未満の線形粘弾性領域を有し、前記測定されたパルスタンパク質単離物が、12%w/wタンパク質を含み、前記歪みが、10ラジアン/秒の一定周波数で50℃で行われる、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記パルスタンパク質単離物が、最大10%歪みで500Pa未満の線形粘弾性領域、又は最大10%歪みで200Pa未満の線形粘弾性領域を有する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
請求項1~61のいずれか一項に記載の方法によって調製された、パルスタンパク質単離物。
【請求項63】
請求項62に記載のパルスタンパク質単離物と、1つ以上の食用成分と、を含む、食品組成物。
【請求項64】
0.6g/ml未満の密度を有する、単離されたパルスタンパク質。
【請求項65】
前記密度が、0.5g/ml又は0.4g/ml未満である、請求項64に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項66】
前記密度が、0.3g/ml未満である、請求項64に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項67】
前記密度が、0.2g/ml又は0.1g/ml未満である、請求項64に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項68】
前記パルスタンパク質が、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、90℃~95℃の温度で50Pa未満の貯蔵弾性率を有し、前記測定されたパルスタンパク質単離物が、12%w/wタンパク質を含み、前記貯蔵弾性率が、10ラジアン/秒の一定の角周波数で0.1%歪み条件下で記録される、請求項64~67のいずれか一項に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項69】
前記パルスタンパク質が、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、最大10%歪みで1000Pa未満の線形粘弾性領域を有し、前記測定されたパルスタンパク質単離物が、12%w/wタンパク質を含み、前記歪みが、10ラジアン/秒の一定周波数で50℃で行われる、請求項64~68のいずれか一項に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項70】
前記パルスタンパク質が、最大10%歪みで500Pa未満の線形粘弾性領域、又は最大10%歪みで200Pa未満の線形粘弾性領域を有する、請求項69に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項71】
パルスタンパク質が、乾燥マメ、レンズマメ、ソラマメ、乾燥エンドウマメ、ヒヨコマメ、ササゲ、バンバラマメ、キマメ、ハウチワマメ、ベッチ、アズキ、インゲンマメ、フェヌグリーク、ジュウロクササゲ、ライマメ、ベニバナインゲン、又はテパリービーンから単離される、請求項64~70のいずれか一項に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項72】
前記パルスタンパク質が、リョクトウから単離される、請求項64~70のいずれか一項に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項73】
前記パルスタンパク質が、5キロダルトン(kDa)、10kDa、20kDa、50kDa、又は75kDaを超えるが100kDa未満の分子サイズを有するタンパク質に富んでいる、請求項64~72のいずれか一項に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項74】
前記パルスタンパク質が、5キロダルトン(kDa)、10kDa、20kDa、50kDa、又は75kDa未満の分子サイズを有するタンパク質において枯渇している、請求項64~72のいずれか一項に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項75】
前記パルスタンパク質が、100kDa未満の分子サイズを有するタンパク質を含む、請求項64~72のいずれか一項に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項76】
前記パルスタンパク質が、50kDa未満の分子サイズを有するタンパク質を含む、請求項64~72のいずれか一項に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項77】
前記パルスタンパク質が、25kDa未満の分子サイズを有するタンパク質を含む、請求項64~72のいずれか一項に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項78】
前記パルスタンパク質が、15kDa未満の分子サイズを有するタンパク質を含む、請求項64~72のいずれか一項に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項79】
前記パルスタンパク質が、1kDa~99kDaの分子サイズを有するタンパク質を含む、請求項64~72のいずれか一項に記載の単離されたパルスタンパク質。
【請求項80】
請求項64~79のいずれか一項に記載のパルスタンパク質単離物と、1つ以上の食用成分と、を含む、食品組成物。
【請求項81】
前記組成物が、4℃で30日間の貯蔵後、500cP未満の粘度を有する、請求項80に記載の食品組成物。
【請求項82】
前記組成物が、4℃で60日間の貯蔵後、500cP未満の粘度を有する、請求項80に記載の食品組成物。
【請求項83】
前記組成物が、4℃で30日間の貯蔵後、450cP未満の粘度を有する、請求項81に記載の食品組成物。
【請求項84】
前記組成物が、4℃で60日間の貯蔵後、450cP未満の粘度を有する、請求項81に記載の食品組成物。
【請求項85】
10キロダルトン(kDa)又は20kDa未満の分子サイズを有するタンパク質において枯渇しているパルスタンパク質を含み、前記食品組成物が、50キロダルトン(kDa)、75kDa、又は100kDa未満の分子サイズを有するタンパク質において枯渇したタンパク質を含む参照食品組成物と比較して、改善されたテクスチャを有する、請求項80~84のいずれか一項に記載の食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パルスタンパク質単離と、パルスタンパク質単離物、並びにそれらの使用及び組成物と、に関する。
【背景技術】
【0002】
動物性タンパク質の代替物としてダイズ及びエンドウマメなどの植物性タンパク質の使用は、畜産の環境への影響を低減するため、かつ多くの動物性タンパク質製品を消費する負の影響を最小限に抑える食事的な選択肢を改善するために、消費者が従来の動物由来製品の代替品を求めるにつれて、ますます注目を集めている。
【0003】
植物タンパク質単離物及び濃縮物を抽出するために使用される従来の方法及びプロセスには、アルカリ抽出及び酸沈殿(湿式プロセス)、並びに空気分級(乾式プロセス)が含まれる。これらの方法によって生成された植物タンパク質組成物の品質は、それらを調製するために使用される取扱条件に直接依存する。酸性、アルカリ性又は中性の抽出プロセスの適用により、機能特性が直接影響を受け、例えば、得られたタンパク質組成物のゲル化、発泡、又は乳化特性により、得られたタンパク質組成物が特定の用途に不適切になる。したがって、食品用途の文脈において所望の特性を付与するために、タンパク質組成物を改質する必要があり得る。したがって、動物タンパク質を含有する従来の製品の代替品を含む、食品の生産に望ましい物理的特性及び官能特性を有する植物性タンパク質を単離するプロセスが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、本開示は、パルスタンパク質単離物を調製するための方法であって、約1~約9のpHの水溶液中のパルスタンパク質を含む製粉された組成物(粉)からタンパク質を抽出して、抽出されたパルスタンパク質を含有するタンパク質に富む画分を生成することと、タンパク質に富む画分を、半透膜を含む限外濾過プロセスに適用して、2℃~60℃の温度での分子サイズに基づいて透過液画分から保持液画分を分離することと、パルスタンパク質単離物を含有する保持液画分を収集することと、を含む、方法を提供する。
【0005】
一実施形態では、製粉された組成物は、抽出されたパルスタンパク質を含有するタンパク質に富む画分を生成するための水性抽出ステップの前に、空気分級された粉を調整するためにより密度の低い粒子からより高密度の粉粒子を分離するために空気分級される。
【0006】
別の実施形態では、抽出されたパルスタンパク質を含有するタンパク質に富む画分は、限外濾過プロセスの前に予備濾過される。
【0007】
いくつかの実施形態では、方法は、保持液画分のpHを4.0~7.0の第1のpHまで調整し、任意選択で、続いて5.0~6.6の第2のpHに更にpH調整することを更に含む。場合によっては、保持液画分の第1のpH又は第2のpHは、5.8~6.6のpHに調整される。場合によっては、保持液画分の第1のpH又は第2のpHは、6.0~6.2のpHに調整される。いくつかの実施形態では、方法は、保持液画分を60℃~80℃の温度に10秒~10分の期間加熱することを更に含む。場合によっては、保持液画分は、65℃~80℃の温度に加熱される。場合によっては、保持液画分は、70℃~80℃の温度に加熱される。場合によっては、保持液画分は、70℃~75℃の温度に加熱される。場合によっては、保持液画分は、10秒~5分の期間加熱される。場合によっては、保持液画分は、10秒~1分の期間加熱される。場合によっては、保持液画分は、10秒~30秒の期間加熱される。いくつかの実施形態では、方法は、保持液画分から水を除去して、濃縮パルスタンパク質単離物を生成することを更に含む。場合によっては、保持液画分から水を除去することは、噴霧乾燥、ドラム乾燥、トレイ乾燥、リング乾燥、フラッシュ乾燥、又は凍結乾燥によって行われる。いくつかの実施形態では、方法は、パルスタンパク質を含む製粉された組成物を生成するために、除皮パルス、製粉パルス、又は除皮及び製粉パルスを更に含む。場合によっては、パルスは乾式製粉される。場合によっては、パルスは湿式製粉される。いくつかの実施形態では、方法は、製粉前にパルスを乾燥させることを更に含む。
【0008】
方法の任意の実施形態では、製粉された組成物は、乾燥マメ(dry bean)、レンズマメ(lentil)、ソラマメ(faba bean)、乾燥エンドウマメ(dry pea)、ヒヨコマメ(chickpea)、ササゲ(cpwpea)、バンバラマメ(bambara bean)、キマメ(pigeon pea)、ハウチワマメ(lupin)、ベッチ(vetch)、アズキ、インゲンマメ(common bean)、フェヌグリーク(fenugreek)、ジュウロクササゲ(long bean)、ライマメ(lima bean)、ベニバナインゲン(runner bean)、又はテパリービーン(tepary bean)、ダイズ(soy bean)、又はムクナマメ(mucuna bean)を含み得る。方法の任意の実施形態では、製粉された組成物は、Vigna angularis、Vicia faba、Cicer arietinum、Lens culinaris、Phaseolus vulgaris、Vigna unguiculata、Vigna subterranea、Cajanus cajan、Lupinus sp.、Vetch sp.、Trigonella foenum-graecum、Phaseolus lunatus、Phaseolus coccineus、又はPhaseolus acutifoliusを含み得る。場合によっては、製粉された組成物は、リョクトウ(Vigna radiata)を含む。他の実施形態では、製粉された組成物は、アーモンド及び他のナッツ、種子、例えば、ゴマ、ヒマワリの種、並びに他の一般的に消費されるナッツ、果物、及び種子などの種子を含み得る。
【0009】
いずれかの実施形態では、パルスタンパク質は、4~6又は5~6のpHでタンパク質に富む画分から沈殿しない。
【0010】
方法の任意の実施形態では、保持液画分は、100キロダルトン(kilodalton、kDa)未満の分子サイズを有するパルスタンパク質を含む。場合によっては、保持液画分は、50kDa未満の分子サイズを有するパルスタンパク質を含む。場合によっては、保持液画分は、25kDa未満の分子サイズを有するパルスタンパク質を含む。場合によっては、保持液画分は、15kDa未満の分子サイズを有するパルスタンパク質を含む。
【0011】
方法の任意の実施形態では、透過性膜は、10kDa以上のサイズを有する分子を除外し得る。場合によっては、透過性膜は、25kDa以上のサイズを有する分子を除外する。場合によっては、透過性膜は、50kDa以上のサイズを有する分子を除外する。場合によっては、透過性膜は、1kDa以上のサイズを有する分子を除外する。場合によっては、透過性膜は、3kDa以上のサイズを有する分子を除外する。場合によっては、透過性膜は、5kDa以上のサイズを有する分子を除外する。場合によっては、透過性膜は、7.5kDa以上のサイズを有する分子を除外する。場合によっては、透過性膜は、20kDa以上のサイズを有する分子を除外する。場合によっては、透過性膜は、30kDa以上のサイズを有する分子を除外する。場合によっては、透過性膜は、70kDa、80kDa、90kDa、95kDa、又はそれ以上のサイズを有する分子を除外する。様々な実施形態では、半透膜は、0.001~0.1ミクロンの細孔径を有する。場合によっては、半透膜は、0.001~0.006ミクロンの細孔径を有する。場合によっては、半透膜は、0.001~0.005ミクロンの細孔径を有する。場合によっては、半透膜は、0.0025~0.005ミクロンの細孔径を有する。場合によっては、半透膜は、約0.003ミクロンの細孔径を有する。
【0012】
方法の任意の実施形態では、透過性膜は、ポリマー膜、セラミック膜、又は金属膜であり得る。様々な実施形態では、半透膜は、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidine fluoride、PVDF)、ポリエーテルスルホン(polyether sulfone、PES)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile、PAN)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、ポリアミド-イミド(polyamide-imide、PAI)、天然ポリマー、ゴム、ウール、セルロース、ステンレス鋼、タングステン、パラジウム、酸化物、窒化物、金属炭化物、炭化アルミニウム、炭化チタン、又はアルカリ及びアルカリ土類金属を含有する水和アルミノケイ酸塩鉱物から作製される。
【0013】
方法の任意の実施形態では、限外濾過プロセスは、約20~約500psigの圧力で行われる。
【0014】
方法の任意の実施形態では、水溶液は、塩を含み得る。いくつかの実施形態では、水溶液は、少なくとも0.1%w/vの濃度の塩を含み得る。場合によっては、水溶液は、0.01%w/v~5%w/vの濃度の塩を含む。場合によっては、水溶液は、0.001%w/v~0.1%w/v、0.001%w/v~0.2%w/v、0.001%w/v~0.3%w/v、又は0.001%w/v~0.4%w/vの濃度の塩を含む。場合によっては、水溶液は、0.1%w/v~0.5%w/v、0.1%w/v~1.0%w/v、1.0%w/v~2.5%w/v、又は2.5%w/v~5%w/vの濃度の塩を含む。様々な実施形態では、塩は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、又はリン酸カリウムから選択される。いくつかの実施形態では、塩は、NaClである。いくつかの実施形態では、水溶液は、塩を含まない。
【0015】
方法の様々な実施形態のうちのいずれかにおいて、パルスタンパク質単離物の密度は、0.6g/ml未満である。場合によっては、パルスタンパク質単離物の密度は、0.5g/ml未満又は0.4g/ml未満である。方法の様々な実施形態のうちのいずれかにおいて、パルスタンパク質単離物の密度は、0.3g/ml未満である。場合によっては、パルスタンパク質単離物の密度は、0.2g/ml未満又は0.1g/ml未満である。
【0016】
方法の様々な実施形態のうちのいずれかにおいて、12%w/wのパルスタンパク質単離物、0.35%w/wNaCl、及び水からなる均質化されたタンパク質分散液は、4℃で48時間の貯蔵後に30%未満の分離比を有する。場合によっては、分離比は、4℃で48時間の貯蔵後に25%未満である。場合によっては、分離比は、4℃で48時間の貯蔵後に20%未満である。
【0017】
方法の様々な実施形態のうちのいずれかにおいて、パルスタンパク質単離物は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、90℃~95℃の温度で25Pa~500Paの貯蔵弾性率を有し、測定されたパルスタンパク質単離物は、12%w/wタンパク質を含み、貯蔵弾性率は、10ラジアン/秒の一定の角周波数で0.1%歪み条件下で記録される。方法の様々な実施形態のうちのいずれかにおいて、パルスタンパク質単離物は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、90℃~95℃の温度で50Pa未満の貯蔵弾性率を有し、測定されたパルスタンパク質単離物は、12%w/wタンパク質を含み、貯蔵弾性率は、10ラジアン/秒の一定の角周波数で0.1%歪み条件下で記録される。
【0018】
方法の様々な実施形態のうちのいずれかにおいて、パルスタンパク質単離物は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して動的振動レオロジーによって測定されるとき、最大10%の歪みで25Pa~1500Paの線形粘弾性領域を有し、測定されたパルスタンパク質単離物は、12%w/wタンパク質を含み、歪みは、50℃で10ラジアン/秒の一定周波数で行われる。方法の様々な実施形態のうちのいずれかにおいて、パルスタンパク質単離物は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して動的振動レオロジーによって測定されるとき、最大10%の歪みで1000Pa未満の線形粘弾性領域を有し、ここで、測定されたパルスタンパク質単離物は、12%w/wタンパク質を含み、歪みは、50℃で10ラジアン/秒の一定周波数で行われる。場合によっては、パルスタンパク質単離物は、最大10%の歪みで500Pa未満の線形粘弾性領域、又は最大10%の歪みで200Pa未満の線形粘弾性領域を有する。
【0019】
別の態様では、本開示は、上記又は本明細書で考察される方法のうちのいずれか1つによって調製されたパルスタンパク質単離物を提供する。
【0020】
別の態様では、本開示は、上記又は本明細書で考察されるパルスタンパク質単離物、及び1つ以上の食用成分を含む食品組成物を提供する。
【0021】
別の態様では、本開示は、0.6g/ml未満の密度を有する単離されたパルスタンパク質を提供する。場合によっては、単離されたパルスタンパク質は、0.5g/ml未満又は0.4g/ml未満の密度を有する。いくつかの実施形態では、単離されたパルスタンパク質は、0.3g/ml未満の密度を有する。場合によっては、単離されたパルスタンパク質は、0.2g/ml未満又は0.1g/ml未満の密度を有する。
【0022】
別の態様では、本開示は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、90℃~95℃の温度で25Pa~500Paの貯蔵弾性率を有する単離されたパルスタンパク質を提供し、測定されたパルスタンパク質単離物が12%w/wタンパク質を含み、貯蔵弾性率が10ラジアン/秒の一定の角周波数で0.1%歪み条件下で記録される。別の態様では、本開示は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、90℃~95℃の温度で50Pa未満の貯蔵弾性率を有する単離されたパルスタンパク質を提供し、測定されたパルスタンパク質単離物が12%w/wタンパク質を含み、貯蔵弾性率が10ラジアン/秒の一定の角周波数で0.1%歪み条件下で記録される。
【0023】
別の態様では、本開示は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、最大10%の歪みで25Pa~1500Paの線形粘弾性領域を有する単離されたパルスタンパク質を提供し、測定されたパルスタンパク質単離物は、12%w/wタンパク質を含み、歪みは、50℃で10ラジアン/秒の一定周波数で行われる。別の態様では、本開示は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、最大10%の歪みで1000Pa未満の線形粘弾性領域を有する、単離されたパルスタンパク質を提供し、測定されたパルスタンパク質単離物が12%w/wタンパク質を含み、歪みが50℃で10ラジアン/秒の一定の周波数で行われる。場合によっては、パルスタンパク質は、最大10%歪みで500Pa未満の線形粘弾性領域、又は最大10%の歪みで200Pa未満の線形粘弾性領域を有する。
【0024】
単離されたパルスタンパク質の様々な実施形態のうちのいずれかにおいて、パルスタンパク質は、乾燥マメ、レンズマメ、ソラマメ、乾燥エンドウマメ、ヒヨコマメ、ササゲ、バンバラマメ、キマメ、ハウチマメン、ベッチ、アズキ、インゲンマメ、フェヌグリーク、ジュウロクササゲ、ライマメ、ベニバナインゲン、テパリービーン、ダイズ、又はムクナマメから単離されたこともあり得る。単離されたパルスタンパク質の様々な実施形態のうちのいずれかにおいて、パルスタンパク質は、Vigna angularis、Vicia faba、Cicer arietinum、Lens culinaris、Phaseolus vulgaris、Vigna unguiculata、Vigna subterranea、Cajanus cajan、Lupinus sp.、Vetch sp.、Trigonella foenum-graecum、Phaseolus lunatus、Phaseolus coccineus、又はPhaseolus acutifoliusから単離され得る。場合によっては、パルスタンパク質は、リョクトウ(Vigna radiata)から単離される。他の実施形態では、製粉された組成物は、アーモンド及び他のナッツ、種子、例えば、ゴマ、ヒマワリの種、並びに他の一般的に消費されるナッツ、果物、及び種子などの種子を含み得る。
【0025】
単離されたパルスタンパク質の様々な実施形態のうちのいずれかにおいて、パルスタンパク質は、100kDa未満の分子サイズを有するタンパク質を含み得る。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質は、50kDa未満の分子サイズを有するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質は、25kDa未満の分子サイズを有するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質は、15kDa未満の分子サイズを有するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質は、1kDa~99kDaの分子サイズを有するタンパク質を含む。
【0026】
別の態様では、本開示は、上記又は本明細書で考察されるパルスタンパク質単離物、及び1つ以上の食用成分を含む食品組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、4℃で30日間の貯蔵後、500cP未満の粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、4℃で60日間の貯蔵後、500cP未満の粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、4℃で30日間の貯蔵後、450cP未満の粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、4℃で60日間の貯蔵後、450cP未満の粘度を有する。
【0027】
様々な実施形態では、上記又は本明細書で考察される実施形態の特徴又は構成要素のうちのいずれかは組み合わせられ得、そのような組み合わせは本開示の範囲内に包含される。上記又は本明細書で考察されるいずれの特定の値も、上記又は本明細書で考察される別の関連値と組み合わされて、それらの値が範囲の上限及び下限を表す範囲を列挙することができ、そのような範囲及び全ての中間値は本開示の範囲内に包含される。
【0028】
他の実施形態は、後述の発明を実施するための形態の精査から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態によるパルスタンパク質単離物の調製のためのプロセスフローを示す。破線のボックス及び矢印は、任意選択のプロセスステップを表す。
【
図2】本明細書で考察される単離プロセスの抽出部分におけるタンパク質回収に対する固体:液体比の影響を示す。約1:6の比により、下流処理のための液体の体積を最小限に抑えながらほぼ最大のタンパク質回収が得られた。
【
図3】本明細書で考察される単離プロセスの抽出部分におけるタンパク質回収に対する平均粒径の影響を示す。50~200μmの粒径により、ほぼ同等のタンパク質回収が得られた。
【
図4】本明細書で考察される単離プロセスの抽出部分におけるタンパク質回収に対するpHの影響を示す。タンパク質の回収は、pH範囲7~9で最も高く、pH8でより大きな回収が示された。
【
図5】本明細書で考察される単離プロセスの抽出部分におけるタンパク質回収に対する塩濃度の影響を示す。pH7.0で0.1%~5%w/vの変化する塩濃度で、タンパク質回収に顕著な変動は観察されなかった。
【
図6】本明細書で考察される単離プロセスの抽出部分における、タンパク質回収に対する塩濃度及びpHの複合影響を示す。塩の濃度の増加により、酸性pHでタンパク質回収が改善された。
【
図7A】等電沈殿及び限外濾過によって調製されたパルスタンパク質単離物の密度(
図7A)、及び同じ単離物の粒径分布を示す。
【
図7B】等電沈殿及び限外濾過によって調製されたパルスタンパク質単離物の密度(
図7A)、及び同じ単離物の粒径分布を示す。
【
図8】等電沈殿(IEP19)及び限外濾過(UF327)によって調製されたパルスタンパク質単離物で作製されたタンパク質分散液の分離比を示す。
【
図9A】等電沈殿(isoelectric precipitation、IEP)及び限外濾過(ultrafiltration、UF)によって調製されたパルスタンパク質単離物のレオロジー特性評価を示す。等電沈殿又は限外濾過された単離物を使用したパルスタンパク質単離物分散液(12%w/wタンパク質)の温度の関数としての貯蔵弾性率を示す。
【
図9B】等電沈殿(isoelectric precipitation、IEP)及び限外濾過(ultrafiltration、UF)によって調製されたパルスタンパク質単離物のレオロジー特性評価を示す。同じ分散液の振動歪みの関数としての貯蔵弾性率を示す。
【
図10】等電沈殿(IEP)、及び(b)限外濾過(UF)によって60日間にわたり調製されたパルスタンパク質単離物(各単離物についてn=15)を配合した食品組成物(卵不含液体卵類似品)の粘度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明が記載される前に、記載される特定の方法及び実験条件が異なり得るため、本発明がかかる方法及び条件に限定されないことを、理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定するようには意図されていないことも、理解されたい。
【0031】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の列挙された数値に関して使用されるとき、その値が列挙された値から1%以下だけ変動し得ることを意味する。例えば、本明細書で使用される場合、「約100」という表現は、99及び101並びにそれらの間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
【0032】
本明細書に記載されるものと同様又は同等のいずれの方法及び材料も本発明の実施又は試験に使用され得るが、好ましい方法及び材料をこれから説明する。本明細書において言及される全ての特許、出願及び非特許刊行物は、それらの全体の参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
定義
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別段明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0034】
「低減する」という用語は、基準値に対して表示値の減少又は低下を示す。いくつかの実施形態では、「低減する」(「低減」を含む)という用語は、基準値と比べて約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%の指示値の減少又は低下を指す。いくつかの実施形態では、「低減する」(「低減」を含む)という用語は、基準値と比べて少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%の指示値の減少又は低下を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「卵」という用語は、ニワトリ卵、他の鳥卵(例えば、ウズラ卵、アヒル卵、ダチョウ卵、シチメンチョウ卵、チャボ卵、ガチョウ卵)、及び腹子などの魚卵を含むが、これらに限定されない。典型的な食品用途の比較は、ニワトリ卵に関して行われる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「富んでいる」、「増加した」などの用語は、基準試料中の分子の量に対する1つの試料中の分子、例えば、タンパク質のパーセント量の増加を指す。富化は、富化パーセント又は増加パーセントとして便宜的に表され得る。例えば、全パルス(例えば、リョクトウ)と比較してある特定のタイプのグロブリンタンパク質に富んでいる単離物は、単離物中の総タンパク質の量のパーセンテージとして表される単離物中のグロブリンタンパク質の量が、全パルス中の総タンパク質の量のパーセンテージとして表される全パルス(例えば、リョクトウ)中のグロブリンタンパク質の量よりも高いことを意味する。いくつかの実施形態では、富化は、重量対重量ベースである。いくつかの実施形態では、富化は、基準値又は量と比較して、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%の増加を指す。いくつかの実施形態では、富化は、基準値又は量に対して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%の増加を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「枯渇した」、「低下した」などの用語は、基準試料中の分子の量と比較して1つの試料中の分子、例えば、タンパク質のパーセント量の低下を指す。枯渇は、枯渇、低下又は低減パーセントとして便宜的に表され得る。例えば、全パルス(例えば、リョクトウ)と比較してある特定のタイプのグロブリンタンパク質中の低下した単離物は、単離物中の総タンパク質の量のパーセンテージとして表される単離物中のグロブリンタンパク質の量が、全パルス中の総タンパク質の量のパーセンテージとして表される全パルス(例えば、リョクトウ)中のグロブリンタンパク質の量よりも低いことを意味する。いくつかの実施形態では、枯渇は、重量対重量ベースである。いくつかの実施形態では、枯渇は、基準値又は量に対して約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%の低下を指す。いくつかの実施形態では、枯渇は、基準値又は量に対して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%の低下を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「分子量」、「分子サイズ」又は同様の表現は、ダルトン(Da)又はキロダルトン(kDa)として表されるタンパク質などの化合物の分子質量を指す。化合物の分子量は、正確であり得るか、又は平均分子質量であり得る。例えば、NaCl又は特定のタンパク質などの個別の化合物の分子量は、正確であり得る。本発明のタンパク質単離物の分子サイズについては、通常、平均分子質量が使用される。例えば、10kDaの分子量カットオフを有する限外濾過膜を使用する精製プロセスの保持液画分で得られたタンパク質単離物は、10kDa未満の平均分子量を有するタンパク質(及び他の化合物)において枯渇している。10kDaのUF膜からの保持液画分はまた、10kDa超の平均分子量を有するタンパク質(及び他の化合物)に富んでいると説明することができる。10kDaの分子量カットオフを有する限外濾過膜を使用する精製プロセスの透過液画分は、10kDa未満の平均分子量を有するタンパク質(及び他の化合物)に富んでいる。10kDaのUF膜からの透過液画分は、10kDaを超える平均分子量を有するタンパク質(及び他の化合物)において枯渇していると説明することもできる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「単離物の植物源」は、全リョクトウ若しくは他のパルスなどの植物材料全体、又は植物から作製された中間材料、例えば、除皮マメ、粉、粉末、粗挽き粉、挽いた穀物、ケーキ(例えば、除脂若しくは除油ケーキなど)、又は精製タンパク質単離物を生成するために本明細書に開示される加工技術に好適な任意の他の中間材料などを指す。
【0040】
「トランスグルタミナーゼ」という用語は、EC2.3.2.13として分類され、γ-カルボキシアミド基と様々な一級アミンとの間のアシル転移を触媒する酵素(R-グルタミル-ペプチド:アミングルタミルトランスフェラーゼ)を指す。トランスグルタミナーゼは、食品業界では、乳製品、肉、及び穀物製品などのいくつかの食品のテクスチャを改善するために使用される。トランスグルタミナーゼは、細菌源、真菌、カビ、魚、哺乳動物、及び植物から単離され得る。
【0041】
特定の成分に関して「大部分」又は「主に」という用語は、例えば、タンパク質含有量は、参照されるバッチ、プロセスストリーム、食品配合物、又は組成物の少なくとも50重量%を有する成分を指す。
【0042】
別段示されない限り、成分のパーセンテージ(%)は、特に指示がない限り、通常、乾燥重量ベースでの総重量%を指す。
【0043】
「精製タンパク質単離物」、「タンパク質単離物」、「単離物」、「タンパク質抽出物」、「単離されたタンパク質」、又は「単離されたポリペプチド」という用語は、タンパク質画分、タンパク質又はポリペプチドを指し、その起源又は由来源により、(1)その本来の状態で付随される天然関連成分と関連しないか、(2)自然界では見られない純度で存在する(純度は、他の細胞材料の存在に関して調整することができる(例えば、同じ種からの他のタンパク質を含まない))か、(3)異なる種からの細胞によって発現されるか、又は(4)自然界では生じない(例えば、自然界で見られるポリペプチドの断片であるか、あるいは自然界では見られないアミノ酸類似体若しくは誘導体、又は標準ペプチド結合以外の結合を含む)。1つ以上のタンパク質又は画分は、残留原材料及び/又は非固体タンパク質材料から部分的に除去又は分離され得、したがって、天然に存在せず、自然界では通常見られない。ポリペプチド又はタンパク質はまた、当該技術分野で知られており、かつ本明細書に記載されるようなタンパク質精製技術を使用する単離によって天然関連成分を実質的に含まないものとされてもよい。天然に由来する細胞とは異なる細胞系で化学的に合成又は合成されるポリペプチドは、その天然関連成分から「単離される」。このように定義されるため、「単離された」とは、そのように記載されたタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、又はオリゴペプチドがその天然環境から物理的に除去されていることを必ずしも必要としない。
【0044】
パルスタンパク質単離物を生成する方法
本開示は、限外濾過技術を使用して、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)を調製する方法を含む。これらの方法によって調製されるパルスタンパク質単離物は、以下でより詳細に考察されるように、食品組成物の調製に有利な特徴を有する。パルスタンパク質単離物を生成するための方法の例示的な実施形態を
図1に示し、除皮パルス(100)を乾燥及び製粉(101)して、除風味粉(102)を生成することと、次いで、これをタンパク質抽出(104)にかけ、粉スラリー(105)を生成することと、を含む。デンプン固体を粉スラリーから分離して(106)、タンパク質に富む画分(107)を生成し、次いで、限外濾過プロセス(109)に導入して精製タンパク質(110)を生成する。
【0045】
一実施形態では、脱風味粉(102)は、タンパク質抽出(104)の前に空気分級(103)されて、粉スラリー(105)を生成する。空気分級は、より密度の低い粒子からより高密度の粉粒子を分離する。抵密度の粉粒子は、より高密度の粒子よりもタンパク質含有量が高い。
【0046】
一実施形態では、タンパク質に富む画分(107)は、限外濾過ステップの前に、タンパク質に富む画分中に残留する残留固体を除去するために、予備濾過される(108)。予備濾過(108)は、精密濾過膜の目詰まりを低減することによって限外濾過膜の耐用寿命を延ばし得る。予備濾過は、精密濾過又は非常に大きな分子化合物、例えば、500kDa超の分子を除外することができるフィルターの使用などの圧力ベースの濾過方法を使用することによって達成することができる。精密濾過を使用する場合、限外濾過プロセス(109)の前に0.1~100ミクロンの細孔径を有するマイクロフィルターを利用することができる。同様に、回転真空ドラム濾過などの真空ベースの予備濾過が使用され得る。代替的に、デカンター遠心機、ディスクスタック遠心分離機などの遠心予備濾過を使用することができる。次いで、精製されたタンパク質生成物(110)をpH及び導電率(111)について調整して、軽度の変性タンパク質(112)を生成し、次いで低温殺菌のために熱処理(113)にかけ、熱処理されたタンパク質(114)を乾燥させて(115)、パルスタンパク質単離物(116)を生成する。
【0047】
いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物を生成するための方法は、(a)約1~約9のpHで水溶液中のパルスタンパク質を含む製粉された組成物からタンパク質を抽出して、抽出されたパルスタンパク質を含有するタンパク質に富む画分を生成することと、(b)約5℃~約60℃の温度での分子サイズに基づいて、透過液画分から保持液画分を分離するために、半透膜を含む限外濾過プロセスにタンパク質に富む画分を適用することと、(c)パルスタンパク質単離物を含有する保持液画分を収集することと、を含む。様々な実施形態では、方法は、パルスを除皮及び製粉して、パルスタンパク質を含む製粉された組成物を生成すること、製粉前にパルスを乾燥させること、保持液画分のpH及び/又は導電率を調整すること、保持液画分を加熱して、パルスタンパク質を低温殺菌すること、並びに/あるいは水を除去するか、又は保持液画分及び/若しくはパルスタンパク質単離物を乾燥させることを更に含み得る。
【0048】
様々な実施形態では、パルスタンパク質は、乾燥マメ、レンズマメ、ソラマメ、乾燥エンドウマメ、ヒヨコマメ、ササゲ、バンバラマメ、キマメ、ハウチマメン、ベッチ、アズキ、インゲンマメ、フェヌグリーク、ジュウロクササゲ、ライマメ、ベニバナインゲン、テパリービーン、ダイズ、又はムクナマメを含む任意のパルスから単離され得る。様々な実施形態では、パルスタンパク質は、Vigna angularis、Vicia faba、Cicer arietinum、Lens culinaris、Phaseolus vulgaris、Vigna unguiculata、Vigna subterranea、Cajanus cajan、Lupinus sp.、Vetch sp.、Trigonella foenum-graecum、Phaseolus lunatus、Phaseolus coccineus、又はPhaseolus acutifoliusから単離され得る。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質は、リョクトウ(Vigna radiata)から単離される。他の実施形態では、製粉された組成物は、アーモンド及び他のナッツ、種子、例えば、ゴマ、ヒマワリの種、並びに他の一般的に消費されるナッツ、果物、及び種子などの種子を含み得る。
【0049】
様々な実施形態では、上記又は本明細書で考察される方法は、100キロダルトン(kDa)未満の分子サイズを有するパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、95kDa未満、90kDa、85kDa、80kDa、75kDa、70kDa、65kDa、60、kDa、55kDa、50kDa、45kDa、40kDa、35kDa、30kDa、25kDa、20kDa、又は15kDaの分子サイズを有するパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物を生成する。様々な実施形態では、方法は、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1kDaの分子サイズを有するパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物を生成する。別段明記されない限り、特定の分子量を有するパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物(又は保持液画分)への言及は、同じパルスタンパク質単離物又は保持液画分が他の分子量のパルスタンパク質も含有する可能性を除外しない。
【0050】
様々な実施形態では、上記又は本明細書で考察される方法は、5キロダルトン(kDa)超の分子サイズを有するタンパク質に富んでいるパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、10kDa超、15kDa、20kDa、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDa、80kDa、85kDa、90kDa、又は95kDaの分子サイズを有するタンパク質に富んでいるパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、100kDa未満の分子サイズを有するタンパク質に富んでいるパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、1kDa~99kDa、1kDa~75kDa、1kDa~50kDa、1kDa~25kDa、5kDa~99kDa、5kDa~75kDa、5kDa~50kDa、5kDa~25kDa、10kDa~99kDa、10kDa~75kDa、10kDa~50kDa、又は10kDa~25kDaの分子サイズを有するタンパク質に富んでいるパルスタンパク質単離物を生成するパルスタンパク質単離物を生成する。様々な実施形態では、方法は、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1kDaの分子サイズを有するパルスタンパク質を含むか、又はパルスタンパク質に富んでいるパルスタンパク質単離物を生成する。別段明記されない限り、特定の分子量を有するパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物(又は保持液画分)への言及は、同じパルスタンパク質単離物又は保持液画分が他の分子量のパルスタンパク質も含有する可能性を除外しない。
【0051】
様々な実施形態では、上記又は本明細書で考察される方法は、5キロダルトン(kDa)未満の分子サイズを有するタンパク質において枯渇したパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、10kDa、15kDa、20kDa、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDa、80kDa、85kDa、90kDa、又は95kDaの分子サイズを有するタンパク質において枯渇したパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物を生成する。様々な実施形態では、方法は、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1kDaの分子サイズを有するパルスタンパク質を含むか、又はパルスタンパク質に富んでいるパルスタンパク質単離物を生成する。別段明記されない限り、特定の分子量を有するパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物(又は保持液画分)への言及は、同じパルスタンパク質単離物又は保持液画分が他の分子量のパルスタンパク質も含有する可能性を除外しない。
【0052】
様々な実施形態では、上記又は本明細書で考察される方法は、0.3g/ml未満の密度を有するパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物を生成する。
【0053】
様々な実施形態では、上記又は本明細書で考察される方法は、12%w/wパルスタンパク質、0.35%w/wNaCl、及び水からなる均質化されたタンパク質分散液に配合される場合、4℃で48時間の貯蔵後に30%未満の分離比を有する、パルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、12%w/wパルスタンパク質、0.35%w/wNaCl、及び水からなる均質化されたタンパク質分散液に配合される場合、4℃で48時間の貯蔵後に25%未満の分離比を有する、パルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、12%w/wパルスタンパク質、0.35%w/wNaCl、及び水からなる均質化されたタンパク質分散液に配合される場合、4℃で48時間の貯蔵後に20%未満の分離比を有する、パルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物を生成する。
【0054】
様々な実施形態では、上記又は本明細書で考察される方法は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、90℃~95℃の温度で25Pa~500Paの貯蔵弾性率を有するパルスタンパク質単離物を生成し、測定されたパルスタンパク質単離物は、12%w/wタンパク質を含み、貯蔵弾性率は、10ラジアン/秒の一定の角周波数で0.1%歪み条件下で記録される。様々な実施形態では、上記又は本明細書で考察される方法は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、90℃~95℃の温度で50Pa未満の貯蔵弾性率を有するパルスタンパク質単離物を生成し、測定されたパルスタンパク質単離物は、12%w/wタンパク質を含み、貯蔵弾性率は、10ラジアン/秒の一定の角周波数で0.1%歪み条件下で記録される。
【0055】
様々な実施形態では、上記又は本明細書で考察される方法は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、10%までの歪みで25Pa~1500Paの線形粘弾性領域を有するパルスタンパク質単離物を生成し、測定されたパルスタンパク質単離物は、12%w/wタンパク質を含み、歪みは、50℃で10ラジアン/秒の一定の周波数で行われる。様々な実施形態では、上記又は本明細書で考察される方法は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、10%までの歪みで1000Pa未満の線形粘弾性領域を有するパルスタンパク質単離物を生成し、測定されたパルスタンパク質単離物は、12%w/wタンパク質を含み、歪みは、50℃で10ラジアン/秒の一定の周波数で行われる。いくつかの実施形態では、方法は、最大10%の歪みで500Pa未満の線形粘弾性領域、又は最大10%の歪みで200Pa未満の線形粘弾性領域を有するパルスタンパク質単離物を生成する。
【0056】
除皮、乾燥、及び製粉
本明細書で提供されるパルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウ単離物)は、任意の好適なパルスタンパク質源から調製され得、その出発材料は、植物材料全体(例えば、全リョクトウ)である。場合によっては、方法は、原材料を除皮することを含み得る。いくつかのそのような実施形態では、パルスタンパク質原材料(例えば、リョクトウ)は、種皮(殻)及び果皮(ブラン)を除去するために、ピッティング、浸漬、及び乾燥の1つ以上のステップで脱皮され得る。脱皮材料(例えば、リョクトウ)を製粉し、次いで、明確に定義された粒子分布サイズを有する組成物(例えば、粉)が生成される。用いられるミルのタイプは、ハンマーミル、ピンミル、ナイフミル、バーミル、及び空気分級ミルのうちの1つ又は組み合わせを含み得る。
【0057】
空気分級は、材料が密度、サイズ、及び/又は形状の組み合わせによって分離される工業プロセスである。パルス粉などの乾燥材料、例えば、リョクトウ粉を空気分級器(空気エルトリエータ(elutriator))に導入し、粉粒子を空気が上昇するカラムに供する。低密度の粉粒子は、空気流中で更に担持され、密度による粉粒子の分離が達成される。本出願人は、低密度のパルス粉粒子は、高密度のパルス粉粒子よりも多量のタンパク質を含有することを発見した。
【0058】
タンパク質抽出
パルスタンパク質単離物を生成するための方法は、約1~約9のpHの水溶液中にパルスタンパク質を含む製粉された組成物からタンパク質を抽出して、抽出されたパルスタンパク質を含有するタンパク質に富む画分を生成することを含む。場合によっては、製剤は、約4~約9のpHを有する。場合によっては、製剤は、約6~約10のpHを有する。場合によっては、製剤は、約7~約9のpHを有する。いくつかの実施形態では、水溶液は、約8のpHを有する。様々な実施形態では、水溶液のpHは、約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5又は10である。いくつかの実施形態では、抽出は、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、又は9.5のpHで行われる。スラリーのpHは、所望の抽出pHに達するために、例えば、食品グレードの50%水酸化ナトリウム溶液で調整され得る。
【0059】
抽出ステップのいくつかの実施形態では、中間出発材料、例えば、パルスタンパク質を含む製粉組成物(例えば、リョクトウ粉)を水溶液と混合してスラリーを形成する。いくつかの実施形態では、水溶液は、水、例えば、軟水である。水性抽出は、1部の植物タンパク質の供給源(例えば、粉)対して例えば、約3~15部の水性抽出溶液を含む、水溶液を作製することを含み得る。追加の抽出のための有用な固体:液体比としては、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15が挙げられる。いくつかの実施形態では、抽出は、1:6の固体:液体比を使用して、行われる。
【0060】
場合によっては、水溶液は塩を含む。場合によっては、塩濃度は、少なくとも0.01%w/vである。場合によっては、塩濃度は、少なくとも0.1%w/vである。場合によっては、塩濃度は、0.01%w/v~5%w/vである。様々な実施形態では、塩濃度は、0.001%、0.0025%、0.005%、0.0075%、0.01%、0.025%、0.05%、0.075%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、又は5.0%である。様々な実施形態では、塩は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、又はリン酸カリウムから選択される。いくつかの実施形態では、塩はNaClである。いくつかの実施形態では、水溶液は、塩を含まない。
【0061】
場合によっては、水性抽出を所望の温度、例えば、冷却した混合タンク内で約2~10℃で行って、スラリーを形成する。いくつかの実施形態では、混合を中程度から高度の剪断下で行う。いくつかの実施形態では、食品グレードの消泡剤(例えば、KFO402ポリグリコール)をスラリーに添加して、混合プロセス中の発泡を低減する。消泡剤としては、ポリグリコール系消泡剤、植物油系消泡剤、及びシリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、消泡剤は、抽出中に利用されない。
【0062】
抽出後、タンパク質に富む画分は、例えば、デカンター及びディスクスタック遠心分離機からなる固体/液体分離ユニットで、スラリーから分離され得る。タンパク質に富む画分は、低温で、例えば、3~10℃で遠心分離され得る。場合によっては、タンパク質に富む画分を収集し、ペレットを、例えば、水対タンパク質3:1に再懸濁させる。このプロセスを繰り返してもよく、合わせたタンパク質に富む画分をナイロンメッシュを通して濾過してもよい。
【0063】
デンプン固体分離
いくつかの実施形態では、方法は、抽出後、炭水化物(例えば、デンプン)又は炭水化物に富むタンパク質単離物を含む画分を低減又は除去することを任意選択で含み得る。
【0064】
木炭処理
任意選択で、タンパク質に富む画分、保持液画分、又はパルスタンパク質単離物を、非タンパク質、異臭成分、及びタンパク質抽出から更なる繊維状固形物を除去するために、炭素吸着ステップに供され得る。この炭素吸着ステップは、清澄化タンパク質抽出物をもたらす。炭素吸着ステップの一実施形態では、タンパク質抽出物は、次いで、4~8℃で、食品グレードの粒状木炭を充填した環状バスケットカラムを介して送られる(<5%w/wの木炭対タンパク質抽出物比)。
【0065】
限外濾過
本開示の方法は、限外濾過を利用して、パルスタンパク質を他の材料から分離する。限外濾過プロセスは、透過液画分(膜を通過する材料を含む)から保持液画分(膜を通過しない材料を含む)を分離する少なくとも1つの半透選択膜を利用する。半透膜は、分子サイズに基づいて材料(例えば、タンパク質及び他の成分)を分離する。例えば、本方法の限外濾過プロセスで使用される半透膜は、10kDa以上の分子サイズを有する分子を除外し得る(すなわち、これらの分子は、保持液画分に保持される)。いくつかの実施形態では、半透膜は、25kDa以上の分子サイズを有する分子(例えば、パルスタンパク質)を除外し得る。いくつかの実施形態では、半透膜は、50kDa以上の分子サイズを有する分子を除外する。様々な実施形態では、本明細書で考察される方法の限外濾過プロセスで使用される半透膜は、5kDa、10kDa、15kDa、20kDa、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDa、80kDa、85kDa、90kDa、又は95kDaを超える分子サイズを有する分子(例えば、パルスタンパク質)を除外する。例えば、10kDaの膜は、サイズが10kDa未満のパルスタンパク質を含む分子を、膜を通って透過液画分に通過させることができ、一方、10kDa以上のパルスタンパク質を含む分子は、保持液画分に保持される。限外濾過プロセスの例示的なプロトコルは、実施例1に示す。
【0066】
限外濾過(UF)は、液体中に存在する特定の分子量を有する化合物を分離するためのクロスフロー分離プロセスである。通常、20~500psigの範囲の圧力を膜にかけることにより、特定の分子量を有する化合物は、液体から分離される。UF膜は、1,000~500,000Daの分子量カットオフ範囲を有する。膜の細孔径は、通常、0.1~0.001ミクロンの範囲である。100kDのカットオフを有するUF膜の公称細孔径は、通常、約0.006ミクロンであり、10kDのカットオフを有する膜は、通常、約0.003ミクロンである。タンパク質、例えば、リョクトウタンパク質を含有する液体溶液が、10kD膜を使用して限外濾過に供され、10kD未満の分子量を有するタンパク質の濃度が濾液(透過液)中で増加し、保持液中で低下する。同時に、10kD超の分子量を有するタンパク質の濃度は、保持液中で増加し、濾液(透過液)中で低下する。本明細書で考察される方法の様々な実施形態では、半透膜は、0.001、0.0015、0.002、0.0025、0.003、0.0035、0.004、0.0045、0.005、0.0055、又は0.006ミクロンの細孔径を有し得る。
【0067】
所望の分子量カットオフを有するポリマー膜、セラミック膜、及び金属膜を含む、市販されているUF膜には様々なタイプがある。ポリマー膜タイプの場合、これらには、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド-イミド(PAI)、及びゴム、ウール、及びセルロースから作製された膜を含む天然ポリマーから作製された膜が挙げられる。金属粉末を多孔質基質上に焼結することによって、金属膜を作製する。一般的に使用される金属粉末は、ステンレス鋼、タングステン、及びパラジウムである。セラミック膜は、金属(例えば、アルミニウム及びチタン)材料及び非金属材料の酸化物、窒化物又は炭化物からなる。ゼオライトを含むUF膜は、アルカリ及びアルカリ土類金属を含有する水和アルミノシリケートミネラルからなる。ゼオライトUF膜は、それらの高度に均一な細孔径のために有用である。
【0068】
本方法の限外濾過プロセスは、約5℃~約60℃の範囲の温度で行われ得る。場合によっては、温度は、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、又は約50℃であってもよい。いくつかの実施形態では、限外濾過プロセスは、約20~約500psigの圧力で行われる。様々な実施形態では、限外濾過プロセスは、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490又は500psigの圧力で行われる。
【0069】
pH及び導電率調整
いくつかの実施形態では、方法は、保持液画分又はパルスタンパク質単離物のpH及び/又は導電率を調整することを含む。場合によっては、pHは、約5.8~約6.6の範囲に調整される。いくつかの実施形態では、pHは、6.0~6.2に調整される。様々な実施形態では、pHは、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5又は6.6に調整される。いくつかの実施形態では、保持液画分又はパルスタンパク質単離物の導電率が調整される。いくつかの実施形態では、保持液画分又はパルスタンパク質単離物の導電率は、必要に応じて塩を使用して1~3mS/cmに調整される。様々な実施形態では、導電率は、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9又は3.0に調整される。様々な実施形態では、導電率を変更するために使用される塩は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、又はリン酸カリウムから選択され得る。いくつかの実施形態では、塩はNaClである。
【0070】
いくつかの実施形態では、方法は、2つ以上のpH調整ステップにおいて、保持液画分又はパルスタンパク質単離物のpH及び/又は導電率を調整することを含む。場合によっては、pHは、約4.0~約6.6の第1のpH範囲に調整される。次に、保持液画分又はパルスタンパク質単離物のpHが異なるように、すなわち、保持液画分又はパルスタンパク質単離物の第1のpHよりも高く、又は低く調整される第2のpH調整が行われる。いくつかの実施形態では、第1のpH調整は、4.0~6.0のpHになる。いくつかの実施形態では、第2のpH調整で達成されるpHは、5.0~6.6である。様々な実施形態では、第1のpHは、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9又は6.0に調整される。様々な実施形態では、第2のpHは、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5又は6.6に調整される。様々な実施形態では、導電率は、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9又は3.0mS/cmに調整される。様々な実施形態では、導電率を変更するために使用される塩は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、又はリン酸カリウムから選択され得る。いくつかの実施形態では、塩はNaClである。
【0071】
低温殺菌及び乾燥
いくつかの実施形態では、方法は、低温殺菌プロセスにおいて保持液画分若しくはパルスタンパク質単離物を加熱させること、及び/又は保持液画分若しくはパルスタンパク質単離物を乾燥させることを含む。いくつかの実施形態では、保持液画分又はパルスタンパク質単離物を、ある期間(例えば、20~30秒)にわたって約70℃~約80℃の温度に加熱して、病原体(例えば、細菌)を死滅させる。特定の実施形態では、低温殺菌は、74℃で20~23秒間行われる。乾燥パルスタンパク質単離物が所望される特定の実施形態では、パルスタンパク質単離物を噴霧乾燥機に通過させて、あらゆる残留水含有量を除去することができる。通常の噴霧乾燥条件は、170℃の入口温度及び70℃の出口温度を含む。最終乾燥タンパク質単離物粉末は、10%未満又は5%未満の水分含有量を含み得る。
【0072】
ステップの順序及び追加のステップ
上記又は本明細書で考察される方法のステップは、パルスタンパク質単離物を生成する目的と一致する代替的な順序で行われ得ることを、理解されたい。
いくつかの実施形態では、方法は、例えば、精製されたタンパク質単離物を回収することと(例えば、遠心分離を使用して)、精製されたタンパク質単離物を洗浄することと、精製されたタンパク質単離物を使用してペーストを作製するか、又は精製されたタンパク質単離物を使用して粉末を作製することと、を含み得る。いくつかの実施形態では、精製されたタンパク質単離物は再水和され(例えば、約80%水分含有量まで)、再水和された精製タンパク質単離物のpHは約6のpHに調整される。別段明記されない限り、本明細書で考察される実施形態のいずれも、タンパク質に富む画分からのパルスタンパク質の等電沈殿を含まない(例えば、約5~約6のpHで)。
【0073】
パルスタンパク質単離物
本開示は、例えば、上記で考察される方法によって調製されるものを含む、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)を含む。パルスタンパク質単離物は、食用であり、高タンパク質含有量、高タンパク質純度、低分子量非タンパク質種の保持の低減(単糖及び二糖を含む)、油及び脂質の保持の低減、高ゲル強度及びゲル弾性などの優れた構造構築特性、優れた感覚特性、及び高機能性8sグロブリン/ベータコングリシニンタンパク質の選択的富化を含むがこれらに限定されない、1つ以上の望ましい食品品質を含む。
【0074】
様々な実施形態では、本明細書で提供されるパルスタンパク質単離物は、乾燥マメ、レンズマメ、ソラマメ、乾燥エンドウマメ、ヒヨコマメ、ササゲ、バンバラマメ、キマメ、ハウチワマメ、ベッチ、アズキ、インゲンマメ、フェヌグリーク、ジュウロクササゲ、ライマメ、ベニバナインゲン、テパリービーン、ダイズ、又はリョクトウに由来する。様々な実施形態では、本明細書で提供されるパルスタンパク質単離物は、Vigna angularis、Vicia faba、Cicer arietinum、Lens culinaris、Phaseolus vulgaris、Vigna unguiculata、Vigna subterranea、Cajanus cajan、Lupinus sp.、Vetch sp.、Trigonella foenum-graecum、Phaseolus lunatus、Phaseolus coccineus、又はPhaseolus acutifoliusに由来する。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、リョクトウに由来する。いくつかの実施形態では、リョクトウは、Vigna radiataである。他の実施形態では、製粉された組成物は、アーモンド及び他のナッツ、種子、例えば、ゴマ、ヒマワリの種、並びに他の一般的に消費されるナッツ、果物、及び種子などの種子を含み得る。様々な実施形態では、本明細書で考察されるパルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、任意のパルスタンパク質源(例えば、V.radiataの任意の品種又は栽培品種を含む、リョクトウタンパク質)から生成され得る。例えば、タンパク質単離物は、全リョクトウなどの全植物材料から、又は植物から作製された中間材料、例えば、除皮マメ、粉、空気分級された粉、粉末、粗挽き粉、挽いた穀物、ケーキ(例えば、脱脂又は脱油ケーキなど)、若しくはパルスタンパク質単離物を生成するために本明細書に開示される加工技術に好適な任意の他の中間材料から直接調製され得る。いくつかの実施形態では、植物タンパク質の供給源は、2つ以上の中間材料の混合物であり得る。本明細書で提供される中間材料の例は、限定することを意図するものではない。
【0075】
パルスタンパク質単離物の特性
様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又はそれ以上のパルスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%以上のパルスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物の少なくとも60重量%は、パルスタンパク質で構成される。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物の少なくとも65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、又は95重量%以上が、パルスタンパク質を含む。
【0076】
パルスタンパク質がリョクトウタンパク質であるいくつかの実施形態では、リョクトウタンパク質単離物の少なくとも約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、又は85重量%以上が、リョクトウ8sグロブリン/ベータ-コングリシニンからなるか、又はそれを含む。他の実施形態では、約60重量%~80重量%、65重量%~85重量%、70重量%~90重量%、又は75重量%~95重量%のリョクトウタンパク質単離物が、リョクトウ8sグロブリン/ベータ-コングリシニンからなるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、リョクトウタンパク質単離物は、全リョクトウ又はリョクトウ粉に対して11sグロブリンの量で低減される。いくつかの実施形態では、11sグロブリンの量は、リョクトウタンパク質単離物中のタンパク質の10%、8%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満である。
【0077】
いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、単離物の植物源に由来する約1%~10%、2%~9%、3%~8%、又は4%~6%の炭水化物(例えば、デンプン、多糖類、繊維)を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、単離物の植物源に由来する約10%、9%、8%、7%、6%又は5%未満の炭水化物を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、単離物の植物源に由来する約9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は約1%の炭水化物を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、単離物の植物源に由来する約1%~10%、2%~9%、3%~8%、又は4%~6%を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、単離物の植物源に由来する約10%、9%、8%、7%、6%、又は5%未満の灰分を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、単離物の植物源に由来する約9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は約1%の灰分を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、単離物の植物源に由来する約1%~10%、2%~9%、3%~8%、又は4%~6%の脂肪を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、単離物の植物源に由来する約10%、9%、8%、7%、6%、又は5%未満の脂肪を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、単離物の植物源に由来する約9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は約1%の脂肪を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、単離物の植物源に由来する約1%~10%の水分を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、単離物の植物源に由来する約10%、9%、8%、7%、6%、又は5%未満の水分を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、単離物の植物源に由来する約9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は約1%の水分を含む。
【0081】
様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、0.3g/ml未満の密度を有する。
【0082】
様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、12%w/wパルスタンパク質、0.35%w/wNaCl、及び水からなる均質化されたタンパク質分散液に配合される場合、4℃で48時間の貯蔵後に30%未満の分離比を有する、パルスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、12%w/wパルスタンパク質、0.35%w/wNaCl、及び水が4℃で48時間の貯蔵後に25%未満の分離比を有する、均質化されたタンパク質分散液に配合されると、パルスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、12%w/wパルスタンパク質、0.35%w/wNaCl、及び水からなる均質化されたタンパク質分散液に配合される場合、4℃で48時間の貯蔵後に20%未満の分離比を有する、パルスタンパク質を含む。
【0083】
様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、90℃~95℃の温度で25Pa~500Paの貯蔵弾性率を有し、測定されたパルスタンパク質単離物は、12%w/wタンパク質を含み、貯蔵弾性率は、10ラジアン/秒の一定の角周波数で0.1%歪み条件下で記録される。様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して、動的振動レオロジーによって測定されるとき、90℃~95℃の温度で50Pa未満の貯蔵弾性率を有し、測定されたパルスタンパク質単離物は、12%w/wタンパク質を含み、貯蔵弾性率は、10ラジアン/秒の一定の角周波数で0.1%歪み条件下で記録される。
【0084】
様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して動的振動レオロジーによって測定されるとき、最大10%歪みで25Pa~1500Paの線形粘弾性領域を有し、測定されたパルスタンパク質単離物は、12%w/wタンパク質を含み、歪みは、50℃で10ラジアン/秒の一定の周波数で行われる。様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、40mmの平坦な平行プレート形状を備えたレオメーターを使用して動的振動レオロジーによって測定されるとき、最大10%歪みで1000Pa未満の線形粘弾性領域を有し、測定されたパルスタンパク質単離物は、12%w/wタンパク質を含み、歪みは、50℃で10ラジアン/秒の一定の周波数で行われる。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、最大10%歪みで500Pa未満の線形粘弾性領域、又は最大10%歪みで200Pa未満の線形粘弾性領域を有する。
【0085】
様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、100キロダルトン(kDa)未満の分子サイズを有するパルスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、95kDa、90kDa、85kDa、80kDa、75kDa、70kDa、65kDa、60kDa、55kDa、50kDa、45kDa、40kDa、35kDa、30kDa、25kDa、20kDa、又は15kDa未満の分子サイズを有するパルスタンパク質を含む。様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物は、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1kDaの分子サイズを有するパルスタンパク質を含む。別段明記されない限り、特定の分子量を有するパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物(又は保持液画分)への言及は、同じパルスタンパク質単離物又は保持液画分が他の分子量のパルスタンパク質も含有する可能性を除外しない。
【0086】
様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、5キロダルトン(kDa)超の分子サイズを有するタンパク質に富んでいるパルスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、10kDa、15kDa、20kDa、25kDa、30kDa、35kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDa、80kDa、85kDa、90kDa、又は95kDaを超える分子サイズを有するタンパク質に富んでいるパルスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、単離されたパルスタンパク質は、100kDa未満の分子サイズを有するタンパク質に富んでいるパルスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、1kDa~99kDa、1kDa~75kDa、1kDa~50kDa、1kDa~25kDa、5kDa~99kDa、5kDa~75kDa、5kDa~50kDa、5kDa~25kDa、10kDa~99kDa、10kDa~75kDa、10kDa~50kDa、又は10kDa~25kDaの分子サイズを有するタンパク質に富んでいるパルスタンパク質を含む。様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物は、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1kDaの分子サイズを有するパルスタンパク質を含むか、又はそれらに富んでいる。別段明記されない限り、特定の分子量を有するパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物(又は保持液画分)への言及は、同じパルスタンパク質単離物又は保持液画分が他の分子量のパルスタンパク質も含有する可能性を除外しない。
【0087】
様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、5キロダルトン(kDa)未満の分子サイズを有するタンパク質において枯渇したパルスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、10kDa、15kDa、20kDa、25kDa、30kDa、40kDa、45kDa、50kDa、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、80kDa、85kDa、95kDa、又は95kDa未満の分子サイズを有するタンパク質において枯渇したパルスタンパク質を含む。様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物は、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1kDaの分子サイズを有するパルスタンパク質を含むか、又はそれら富んでいる。別段明記されない限り、特定の分子量を有するパルスタンパク質を含むパルスタンパク質単離物(又は保持液画分)への言及は、同じパルスタンパク質単離物又は保持液画分が他の分子量のパルスタンパク質も含有する可能性を除外しない。
【0088】
様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物は、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、又は100μm未満のサイズの粒子を含み得る。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、90、80、70、60、50、45、40、35、30、25、又は20μm未満の粒子を含み得る。
【0089】
様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物は、5%~90%以上の範囲の水分含有量を有し得る。場合によっては、水分含有量は、5%~50%である。場合によっては、水分含有量は、50%~90%である。様々な実施形態では、水分含有量は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。
【0090】
アレルゲン、抗栄養、及び環境汚染物質含有量の低減
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるパルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、低減したアレルゲン含有量を有する。いくつかの実施形態では、低減されたアレルゲン含有量は、単離物の植物源のアレルゲン含有量に対するものである。パルスタンパク質単離物又はパルスタンパク質単離物を含む組成物は、動物質を含まない、乳成分を含まない、ダイズを含まない、及びグルテンを含まなくてもよい。通常アレルギーがある対象で提示される蕁麻疹又は発疹、膨潤、喘鳴、胃痛、痙攣、下痢、嘔吐、めまい、更にはアナフィラキシーなどの有害免疫応答を回避することができる。更に、パルスタンパク質単離物又はパルスタンパク質単離物を含む組成物は、牛乳、卵、ダイズ、及びコムギアレルゲンに基づいて、対象においてアレルギー反応を誘発しないことがあり得る。したがって、いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物又はパルスタンパク質単離物を含む組成物は、アレルゲンを実質的に含まない。
【0091】
食物の抗栄養因子は、タンパク質の消化率、アミノ酸のバイオアベイラビリティ、及び食品のタンパク質品質に悪影響を及ぼし得る化学物質である(Gilani et al.,2012)。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるパルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、抗栄養因子の量が低減している。いくつかの実施形態では、抗栄養因子の低減量は、単離物の植物源の含有量に対するものである。いくつかの実施形態では、低減された抗栄養因子は、タンニン、フィチン酸、ヘマグルチニン(レクチン)、ポリフェノール、トリプシン阻害剤、α-アミラーゼ阻害剤、レクチン、及びプロテアーゼ阻害剤からなる群から選択される。
【0092】
様々な実施形態では、環境汚染物質は、0.1ppmの検出レベル未満であるか、又は毒物学的重要性をもたらさないレベルで存在する、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)をいずれも含まない。いくつかの実施形態では、低減された環境汚染物質は残留殺虫剤である。いくつかの実施形態では、残留殺虫剤は、アラクロール、アルドリン、アルドリン、アルファ-BHC、アルファ-クロルデン、ベータ-BHC、DDD、DDE、DDT、デルタ-BHC、ディルドリン、エンドスルファンI、エンドスルファンII、エンドスルファンサルフェート、エンドリン、エンドリンアルデヒド、ガンマ-BHC、ガンマ-クロルデン、ヘプタクロル、ヘプタクロルエポキシド、メトキシクロール、及びペルメトリンを含む塩素化殺虫剤、並びに、アジノホスメチル(azinophos methyl)、カルボフェノチオン、クロルフェンビンホス、クロルピリホスメチル、ダイアジノン、ジクロルボス、ダースバン(dursban)、ジホナート(dyfonate)、エチオン、フェニトロチオン、マラチオン、メチダチオン、メチルパラチオン、パラチオン、ホサロン、及びピリミホスメチルを含む有機リン酸殺虫剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、環境汚染物質の低減は、ジオキシン及びポリ塩素化ビフェニル(polychlorinated biphenyl、PCB)の残基、又はアフラトキシンB1、B2、G1、G2、及びオクラトキシンAなどのマイコトキシンから選択される。
【0093】
パルスタンパク質単離物の他の食品機能性特性
様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、卵に匹敵する乳化、水結合、発泡、及びゲル化特性などの望ましい機能的特徴を示す。様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物は、食品組成物における使用に有利な1つ以上の機能特性を示す。機能特性には、クラム(crumb)密度、構造/テクスチャ、弾性/弾力性、凝固、結合、保湿、口当たり、膨化(leavening)、空気混和(aeration)/発泡、クリーミー性、及び食品組成物の乳化が含まれ得るが、これらに限定されない。口当たりは、食品の試験及び説明に使用される概念である。本明細書で考察されるパルスタンパク質単離物を使用して作製された製品は、口当たりについて評価することができる。製品、例えば、パルスタンパク質単離物を使用して作製された焼いた食品は、天然卵で作製された製品と同様の口当たりを有する。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物を使用して作製された製品の口当たりは、これまでに既知の又は試行された代替卵、例えば、バナナ、改質ホエイタンパク質、若しくはEgg Beaters(商標)の口当たりよりも優れている。
【0094】
口当たりの尺度に含まれ得る特性の例としては、以下が挙げられる:凝集性:大臼歯で噛んだときに、破裂する前に試料が変形する度合い;密度:大臼歯で完全に噛んだ後の試料の断面の緻密さ;乾燥:口の中で試料の乾燥が感じられる度合い;脆さ:試料を砕く、割る、又は粉砕する力(脆さは、破砕性、サクサク感、歯ごたえ、及び脆性を包含する);ざらつき:試料が小さい粒の多い粒子を含有する度合い、滑らかさの反対としてみることができる;粘着性:半固体食品を飲み込む準備が整った状態まで崩壊するのに必要なエネルギー;硬度:製品を所与の距離に変形させるのに必要な力、すなわち、大臼歯間で圧縮する力、切歯で噛み切り、舌と口蓋との間で圧縮する力;重量:最初に舌上に置かれたときに知覚される製品の重量;吸湿性:製品によって吸収される唾液の量;水分放出:試料から放出される湿り気/ジューシーさの量;口腔コーティング:咀嚼後の口内のコーティングのタイプ及び程度(例えば、脂肪/油);粗度:舌によって知覚される製品の表面の研磨性の度合い;滑りやすさ:製品が舌上でスライドする度合い;平滑性:製品中の粒子、塊、バンプなどの不在;均一性:試料が更に通過する程度;均質性;噛み合わせの均一性:力を入れて噛む均一性;咀嚼の均一性:製品の咀嚼特性が全体的に均一である度合い;粘度:舌の上にスプーンから液体を注ぐのに必要な力;及び湿り度:製品の表面に知覚される水分の量。
【0095】
本明細書で考察されるパルスタンパク質単離物はまた、単独で、又は食品組成物に組み込まれたときに、1つ以上の機能特性を有し得る。そのような機能特性には、乳化、水結合能、発泡、ゲル化、クラム密度、構造形成、テクスチャ構築、凝集、付着、弾性、弾力性、溶解度、粘度、脂肪吸収、風味結合、凝固、膨化、空気混和、クリーミー性、フィルム形成能、光沢付加、つや付加、凍結安定性、融解安定性、又は色のうちの1つ以上が含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物の少なくとも1つの機能特性は、植物タンパク質の供給源の対応する機能特性とは異なる。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物(単独又は食品組成物に組み込まれたとき)の少なくとも1つの機能特性は、例えば、卵(液体、スクランブル、又はパテの形態で)、ケーキ(例えば、パウンドケーキ、イエローケーキ、又はエンゼルフードケーキ)、クリームチーズ、パスタ、エマルション、菓子、アイスクリーム、カスタード、ミルク、デリミート、ニワトリ(例えば、チキンナゲット)又はコーティングなどの基準食品の対応する機能特性と類似するか、又は同等である。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、単独で又は組成物に組み込まれたときのいずれかに、加熱下又は室温でゲルを形成することができる。
【0096】
改質された官能特性
本明細書で考察されるパルスタンパク質単離物は、渋い、マメのような、苦い、焦げた、バターのような、ナッツのような、甘い、酸っぱい、フルーティーな、フローラル、ウッディな、土のような、マメのような、スパイシーな、メタリックな、甘い、かび臭い、草のような、緑色の、油っぽい、酢のような、ニュートラルな、及び淡泊な風味又はアロマの特徴のうちの1つ以上の調節された官能特性を有し得る。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は渋い、マメのような、苦い、焦げた、バターのような、ナッツのような、甘い、酸っぱい、フルーティーな、フローラル、ウッディな、土のような、マメのような、スパイシーな、メタリックな、甘い、かび臭い、草のような、緑色の、油っぽい、酢のような、ニュートラルな、かつ淡泊な風味又はアロマのうちの1つ以上の低減又は不在などの調節された官能特性を示す。
【0097】
場合によっては、パルスタンパク質単離物中の異臭若しくは悪臭に付与するか、又はそれに関連し得る少なくとも1つの不純物を低減又は除去する方法が行われ得る。1つ以上の不純物は、揮発性又は不揮発性化合物であり得、例えば、脂肪酸の酸化を触媒することが知られているリポキシゲナーゼを含み得る。他の場合には、少なくとも1つの不純物は、フェノール、アルコール、アルデヒド、硫化物、過酸化物、又はテルペンを含み得る。アルブミンとして分級される他の生物学的に活性なタンパク質も、セリンプロテアーゼ阻害剤及びトリプシン阻害剤などのレクチン及びプロテアーゼ阻害剤を含む除去され得る。いくつかの実施形態では、不純物は、例えば、木炭、ベントナイト粘土、又は活性炭を使用する固体吸収手順によって低減される。
【0098】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの不純物は、酸化酵素活性のための1つ以上の基質、例えば、1つ以上の脂肪酸を含み得る。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、酸敗を低減するために、C14:0(ミリスチン酸メチル)、C15:0(ペンタデカン酸メチル)、C16:0(パルミチン酸メチル、C16:1パルミトレイン酸メチル、C17:0ヘプタデカン酸メチル、C18:0ステアリン酸メチル、C18:1オレイン酸メチル、C18:2リノール酸メチル、C18:3アルファリノール酸メチル、C20:0エイコサン酸メチル(methyl eicosanoate)、及びC22:0ベヘン酸メチルから選択される1つ以上の脂肪酸の低減された量を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、パルスタンパク質の供給源と比較して低減された酸化酵素活性を有する。例えば、精製されたリョクトウ単離物は、リョクトウタンパク質の供給源と比較して、酸化酵素活性の約5%、10%、15%、20%、又は25%の低減を有し得る。いくつかの実施形態では、酸化酵素活性は、リポキシゲナーゼ活性である。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、リポキシゲナーゼ活性の低減に起因して、植物タンパク質の供給源に対する脂質又は残留脂質の酸化が低い。
【0100】
追加の実施形態では、少なくとも1つの不純物を低減することは、繊維状固体、塩、又は炭水化物を除去することを含む。そのような不純物を低減することは、異臭又は悪臭を付与するか、又はそれに関連し得る少なくとも1つの化合物を除去することを含む。そのような化合物は、例えば、活性炭、炭素、又は粘土を使用して除去され得る。別の例として、少なくとも1つの化合物は、脂質又は残留脂質を酸化する少なくとも1つの酵素を阻害するために、キレート剤(例えば、EDTA、クエン酸、又はリン酸塩)を使用して除去され得る。特定の例では、EDTAを使用して、残留脂質を酸化することができる酵素、リポキシゲナーゼの補因子を化合物、例えば、異臭を残すことが知られているヘキサナールに結合させることができる。
【0101】
パルスタンパク質単離物を含有する食品組成物
本明細書で考察されるパルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、1つ以上の他の食用成分とともに食品組成物に組み込まれ得る。場合によっては、パルスタンパク質単離物は、多数のカテゴリーにわたる様々な従来の食品及び飲料製品における、動物性タンパク質又は植物性タンパク質の直接的なタンパク質代替物として使用され得る。いくつかの実施形態では、使用レベルは、最終生成物の3~90%w/wの範囲である。パルスタンパク質単離物を使用することができる例示的な食品組成物は、以下に考察される。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、食品中の既存のタンパク質の栄養補助食品として使用される。食品組成物の様々な実施形態のうちのいずれかにおいて、パルスタンパク質単離物を架橋酵素と接触させて、パルスタンパク質を架橋することができる。様々な実施形態では、架橋酵素は、トランスグルタミナーゼ、ソルターゼ、サブチリシン、チロシナーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、又はリシルオキシダーゼから選択される。いくつかの実施形態では、架橋酵素は、トランスグルタミナーゼである。食品組成物の様々な実施形態のうちのいずれかにおいて、パルスタンパク質単離物は、パパイン、ペプシン、レンネット、凝固酵素又はスルフヒドリルオキシダーゼなどのタンパク質改質酵素と接触させて、パルスタンパク質の構造を修飾することができる。
【0102】
本明細書で提供されるパルスタンパク質単離物は、様々な食品用途に適しており、例えば、卵を含まない食用エマルション、卵類似品、卵を含まないスクランブル卵、卵を含まないパテ、卵を含まないパウンドケーキ、卵を含まないエンゼルフードケーキ、卵を含まないイエローケーキ、卵を含まないクリームチーズ、卵を含まないパスタ生地、卵を含まないカスタード、卵を含まないアイスクリーム、及び乳製品を含まないミルクに組み込まれ得る。パルスタンパク質単離物はまた、食肉代替品、卵代替品、焼いた食品、及び強化ドリンクを含むがこれらに限定されない、様々な食品用途における代替成分として使用することもできる。
【0103】
様々な実施形態では、1つ以上のパルスタンパク質単離物は、所望のレベルの乳化、水結合、及びゲル化までの液体及びパテスクランブル卵代替品を含む、複数の食品組成物に組み込まれ得る。一実施形態では、機能的卵代替品は、パルスタンパク質単離物(8~15%)と、油(10%)、ヒドロコロイド、防腐剤、及び任意選択で風味、水、レシチン、キサンタン、炭酸ナトリウム、及び黒塩のうちの1つ以上と、を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、卵代替組成物に組み込まれる。いくつかのそのような実施形態では、パルスタンパク質単離物の官能特性(例えば、風味又はアロマ)は、卵の対応する官能特性と類似又は同等である。卵代替組成物は、卵の対応する機能特性と同様又は同等である、少なくとも1つの機能特性(例えば、乳化、水結合能、発泡、ゲル化、クラム密度、構造形成、テクスチャ構築、凝集、付着、弾性、弾力性、溶解度、粘度、脂肪吸収、風味結合、凝固、膨化、空気混和、クリーミー性、フィルム形成能、光沢付加、つや付加、凍結安定性、融解安定性、又は色)を示し得る。パルスタンパク質単離物に加えて、卵代替組成物は、イオタ-カラギーナン、アラビアガム、コンニャク、キサンタンガム、又はジェランのうちの1つ以上を含み得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、パウンドケーキ、イエローケーキ、又はエンゼルフードケーキなどの卵を含まないケーキに組み込まれる。いくつかのそのような実施形態では、卵を含まないケーキの少なくとも1つの官能特性(例えば、風味又はアロマ)が、卵を含有するケーキの対応する官能特性と同様であるか、又は同等である。卵を含まないケーキは、卵を含有するケーキの対応する機能特性と同様又は同等の少なくとも1つの機能特性を示し得る。少なくとも1つの機能特性は、例えば、乳化、水結合能、発泡、ゲル化、クラム密度、構造形成、テクスチャ構築、凝集、付着、弾性、弾力性、溶解度、粘度、脂肪吸収、風味結合、凝固、膨化、空気混和、クリーミー性、フィルム形成能、光沢付加、つや付加、凍結安定性、融解安定性、又は色のうちの1つ以上であり得る。パルスタンパク質単離物が卵を含まないパウンドケーキに含まれるいくつかの実施形態では、卵を含まないパウンドケーキのピークの高さは、卵を含有するパウンドケーキのピークの高さの少なくとも90%である。
【0106】
いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、卵を含まないケーキミックス又は卵を含まないケーキ生地に組み込まれる。いくつかのそのような実施形態では、卵を含まないケーキミックス又は生地は、少なくとも1つの官能特性を有する(例えば、風味又はアロマ)ケーキミックス又は卵を含有する生地の対応する官能特性と同様又は同等である。卵を含まないケーキミックス又は生地は、卵を含有するケーキ生地の対応する機能特性と同様又は同等の少なくとも1つの機能特性を示し得る。少なくとも1つの機能特性は、例えば、乳化、水結合能、発泡、ゲル化、クラム密度、構造形成、テクスチャ構築、凝集、付着、弾性、弾力性、溶解度、粘度、脂肪吸収、風味結合、凝固、膨化、空気混和、クリーミー性、フィルム形成能、光沢付加、つや付加、凍結安定性、融解安定性、又は色のうちの1つ以上であり得る。パルスタンパク質単離物が卵を含まないパウンドケーキ生地に含まれるいくつかの実施形態では、卵を含まないパウンドケーキ生地の比重は、0.95~0.99である。
【0107】
場合によっては、機能性の増加は、食品組成物中のパルスタンパク質単離物に関連している。例えば、本明細書で考察されるパルスタンパク質単離物で製造された食品は、ドーム若しくはクラック、ケーキ弾力性、ケーキ凝集性、ケーキの弾力性、ケーキのピーク高さ、生地の比重、中央のドーム形成、中央ノクラック、褐色化、口当たり、弾力バック、異臭又は風味において機能性の増加を示し得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、クリームチーズ、パスタ生地、パスタ、ミルク、カスタード、冷凍デザート(例えば、アイスクリームを含む冷凍デザート)、デリミート、又はチキン(例えば、チキンナゲット)に含まれる。
【0109】
いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、例えば、卵代替物、ケーキ(例えば、パウンドケーキ、イエローケーキ、又はエンゼルフードケーキ)、ケーキ生地、ケーキミックス、クリームチーズ、パスタ生地、パスタ、カスタード、アイスクリーム、ミルク、デリミート、又は菓子などの食品組成物又は飲料組成物に組み込まれる。食品又は飲料組成物は、基準食品又は飲料組成物を複製するテクスチャ及び口当たりと同様又は同等の感覚印象を提供し得る。いくつかの実施形態では、食品組成物又は飲料組成物に含まれる前に、パルスタンパク質単離物は、パルスタンパク質単離物の標的用途に依存する様式で更に処理される。例えば、パルスタンパク質単離物は、pHを標的用途に適したpHに調整するために緩衝液中で希釈され得る。別の例として、パルスタンパク質単離物は、標的用途で使用するために濃縮され得る。更に別の例として、パルスタンパク質単離物は、標的用途で使用するために乾燥され得る。本明細書で考察されるパルスタンパク質単離物を含む食品組成物の様々な例を以下に提供する。
【0110】
トランスグルタミナーゼを使用したスクランブル卵類似品
いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物は、スクランブル卵類似品に組み込まれ、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)を、トランスグルタミナーゼ(又は他の架橋酵素)と接触させて、有利なテクスチャ、機能的、及び官能特性がもたらされる。トランスグルタミナーゼを用いる食品加工方法は、当該技術分野で既知である。
【0111】
いくつかの実施形態では、トランスグルタミナーゼは、本明細書で提供される卵類似品で利用される場合、マイクロカプセル化される。そのような卵模倣品エマルションにおけるトランスグルタミナーゼ酵素のマイクロカプセル化は、タンパク質基質とトランスグルタミナーゼ酵素との接触を防止することによって、安定したエマルションを維持する。架橋反応は、マイクロカプセル化組成物を溶融するために加熱すると開始される。いくつかの実施形態では、トランスグルタミナーゼは、不活性多孔質ビーズ又はポリマーシート上に固定化され、卵模倣品エマルションと接触する。
【0112】
本発明の特定の態様では、卵代替組成物を生成するための方法は、パルスタンパク質単離物を、好ましくは0.0001%~0.1%の量のトランスグルタミナーゼと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、0.001%~0.05%の量のトランスグルタミナーゼを提供する。いくつかの実施形態では、方法は、0.001%~0.0125%の量のトランスグルタミナーゼを提供する。
【0113】
様々な実施形態では、スクランブル卵類似品は、水、リン酸二ナトリウム、及び油の成分のうちの1つ以上とともに、本明細書に記載のパルスタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、スクランブル卵類似品は、NaClを更に含む。いくつかの実施形態では、スクランブル卵類似品は、トランスグルタミナーゼと接触している。特定の実施形態では、スクランブル卵類似品は、固体タンパク質:11.3g、水:81.79g、リン酸二ナトリウム:0.4g、油:6.2g、NaCl:0.31g(100gの総重量に基づいて)を含み、固体タンパク質は0.001%~0.0125%のトランスグルタミナーゼと接触する。
【0114】
いくつかの実施形態では、組成物は、リポキシゲナーゼを欠く。
【0115】
ビーガンパテ
パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、配合されたビーガンパテにおける唯一のゲル化剤として使用され得る。いくつかの実施形態では、イオタ-カラギーナン及びアラビアガムから構成されるヒドロコロイド系は、配合パテ中のパルスタンパク質単離物の天然ゲル化特性を増強する。他の実施形態では、1.5:1の比で高アシル及び低アシルジェランで構成されるヒドロコロイド系は、配合パテ中のパルスタンパク質単離物の天然ゲル化特性を増強する。更なる実施形態では、コンニャク及びキサンタンガムから構成されるヒドロコロイド系は、配合パテ中のパルスタンパク質単離物の天然のゲル化特性を増強する。
【0116】
卵を含まないエマルション
別の実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、卵を含まない食用エマルションに含まれる。いくつかの実施形態では、エマルションは、水、油、脂肪、ヒドロコロイド、及びデンプンから選択される1つ以上の追加の成分を含む。いくつかの実施形態では、卵を含まない食用エマルションの少なくとも又は約60~85%は水である。いくつかの実施形態では、卵を含まない食用エマルションの少なくとも又は約10~20%は、パルスタンパク質単離物である。いくつかの実施形態では、卵を含まない食用エマルションの少なくとも又は約5~15%は、油又は脂肪である。いくつかの実施形態では、卵を含まない食用エマルションの少なくとも又は約0.01~6%は、ヒドロコロイド画分又はデンプンである。いくつかの実施形態では、ヒドロコロイド画分は、高アシルジェランガム、低アシルジェランガム、イオタ-カラギーナン、アラビアガム、コンニャク、ローカストビーンガム、グアーガム、キサンタンガム、又はそれらの1つ以上のガムの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、エマルションは、香味剤、着色剤、抗菌剤、膨張剤、及び塩のうちの1つ以上を更に含む。いくつかの実施形態では、エマルションは、リン酸塩を更に含む。
【0117】
一実施形態では、卵を含まない食用エマルションは、約5.6~6.8のpHを有する。場合によっては、卵を含まない食用エマルションは、水、本明細書に記載のパルスタンパク質単離物、タンパク質単離物の構造を改質する酵素、及び油又は脂肪を含む。いくつかの実施形態では、酵素は、トランスグルタミナーゼ又はタンパク質分解酵素を含む。いくつかの実施形態では、卵を含まない食用エマルションの少なくとも又は約70~85%が水である。いくつかの実施形態では、食用卵を含まないエマルションの少なくとも又は約7~15%は、パルスタンパク質単離物である。いくつかの実施形態では、少なくとも又は約0.0005~0.0025%(5~25百万分の1)の卵を含まない食用エマルションは、パルスタンパク質単離物の構造を改質する酵素である。いくつかの実施形態では、卵を含まない食用エマルションの少なくとも又は約5~15%は、油又は脂肪である。
【0118】
焼いたケーキミックス及びバター
別の実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、1つ以上の卵を含まないケーキ生地を調製するのに好適であり、1つ以上の卵を含まないケーキを作製することができる1つ以上の卵を含まないケーキミックスに含まれる。いくつかの実施形態では、卵を含まないケーキミックスは、粉、糖、及びパルスタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、卵を含まないケーキミックスは、酒石英、リン酸二ナトリウム、ベーキングソーダ、及びpH安定化剤から選択される1つ以上の追加の成分を更に含む。いくつかの実施形態では、粉、はケーキ粉を含む。
【0119】
別の実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、上記の卵を含まないケーキミックス及び水を含む卵を含まないケーキ生地に含まれる。いくつかの実施形態では、卵を含まないケーキ生地は、卵を含まないパウンドケーキ生地、卵を含まないエンゼルフードケーキ生地、又は卵を含まないイエローケーキ生地である。いくつかの実施形態では、卵を含まないケーキ生地は、0.95~0.99の比重を有する。
【0120】
一実施形態では、卵を含まないパウンドケーキミックスは、粉、糖、及びパルスタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、粉、はケーキ粉を含む。いくつかの実施形態では、卵を含まないパウンドケーキミックスは、油又は脂肪を更に含む。いくつかの実施形態では、油又は脂肪は、バター又はショートニングを含む。いくつかの実施形態では、卵を含まないパウンドケーキ生地の少なくとも又は約25~31%は、粉である。いくつかの実施形態では、卵を含まないパウンドケーキ生地の少なくとも又は約25~31%は、油又は脂肪である。いくつかの実施形態では、卵を含まないパウンドケーキ生地の少なくとも又は約25~31%が糖である。いくつかの実施形態では、卵を含まないパウンドケーキ生地の少なくとも又は約6~12%は、パルスタンパク質単離物である。いくつかの実施形態では、生地は、リン酸二ナトリウム又はベーキングソーダを更に含む。
【0121】
一実施形態では、卵を含まないパウンドケーキ生地は、上記の卵を含まないパウンドケーキミックスを含み、水を更に含む。いくつかの実施形態では、卵を含まないパウンドケーキ生地は、約4部の卵を含まないパウンドケーキミックス、及び約1部の水を含む。いくつかの実施形態では、卵を含まないパウンドケーキ生地の少なくとも又は約20~25%は、粉である。いくつかの実施形態では、卵を含まないパウンドケーキ生地の少なくとも又は約20~25%は、油又は脂肪である。いくつかの実施形態では、卵を含まないパウンドケーキ生地の少なくとも又は約20~25%は、糖である。いくつかの実施形態では、卵を含まないパウンドケーキ生地の少なくとも又は約5~8%は、パルスタンパク質単離物である。いくつかの実施形態では、卵を含まないパウンドケーキ生地の少なくとも又は約18~20%は、水である。
【0122】
一実施形態では、卵を含まないエンゼルフードケーキミックスは、粉、糖、及びパルスタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、卵を含まないエンゼルフードケーキミックスの少なくとも又は約8~16%は、粉である。いくつかの実施形態では、卵を含まないエンゼルフードケーキミックスの少なくとも又は約29~42%は、糖である。いくつかの実施形態では、卵を含まないエンゼルフードケーキミックスの少なくとも又は約7~10%は、パルスタンパク質単離物である。いくつかの実施形態では、卵を含まないエンゼルフードケーキミックスは、酒石英、リン酸二ナトリウム、ベーキングソーダ、又はpH安定剤を更に含む。いくつかの実施形態では、粉、はケーキ粉を含む。本明細書では、上記の卵を含まないエンゼルフードケーキミックス、及び水を含む卵を含まないエンゼルフードケーキ生地も提供される。
【0123】
一実施形態では、卵を含まないイエローケーキミックスは、粉、糖、及びパルスタンパク質単離物を含む。いくつかの実施形態では、卵を含まないイエローケーキミックスの少なくとも又は約20~33%は、粉である。いくつかの実施形態では、卵を含まないイエローケーキミックスの少なくとも又は約19~39%は、糖である。いくつかの実施形態では、卵を含まないイエローケーキミックスの少なくとも又は約4~7%は、パルスタンパク質単離物である。いくつかの実施形態では、卵を含まないイエローケーキミックスは、ベーキングパウダー、塩、乾燥乳、及びショートニングのうちの1つ以上を更に含む。本明細書では、上記の卵を含まないイエローケーキミックス、及び水を含む、卵を含まないイエローケーキ生地も提供される。
【0124】
パルスタンパク質単離物で作製されたケーキの感覚品質パラメータは、ふわふわで柔らかな、軽いテクスチャとして特徴付けられる。ピーク高さは、卵を含有するパウンドケーキの90~110%であると測定される。ケーキ生地と精製パルスタンパク質単離物との比重は、0.95~0.99であり、全卵を含むケーキ生地の比重0.95~0.96のケーキ生地と同様である。
【0125】
クリームチーズ類似品
別の実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、卵を含まないクリームチーズに含まれる。いくつかの実施形態では、卵を含まないクリームチーズは、水、油、又は脂肪、及びヒドロコロイドから選択される1つ以上の追加の成分を含む。いくつかの実施形態では、卵を含まないクリームチーズの少なくとも又は約75~85%は、水である。いくつかの実施形態では、卵を含まないクリームチーズの少なくとも又は約10~15%は、パルスタンパク質単離物である。いくつかの実施形態では、卵を含まないクリームチーズの少なくとも又は約5~10%は、油又は脂肪である。いくつかの実施形態では、卵を含まないクリームチーズの少なくとも又は約0.1~3%は、ヒドロコロイドである。いくつかの実施形態では、ヒドロコロイドは、キサンタンガム又は低メトキシペクチン及び塩化カルシウム系を含む。いくつかの実施形態では、卵を含まないクリームチーズは、香味料又は塩を更に含む。いくつかの実施形態では、卵を含まないクリームチーズの1つ以上の特徴は、卵を含有するクリームチーズの1つ以上の対応する特徴と同様又は同等である。いくつかの実施形態では、特徴は、味、粘度、クリーミー性、稠度、におい、展延性、色、熱安定性、又は溶融特性である。いくつかの実施形態では、特徴は、機能特性又は官能特性を含む。いくつかの実施形態では、機能特性は、乳化、水結合能、発泡、ゲル化、クラム密度、構造形成、テクスチャ構築、凝集、付着、弾性、弾力性、溶解度、粘度、脂肪吸収、風味結合、凝固、膨化、空気混和、クリーミー性、フィルム形成能、光沢付加、つや付加、凍結安定性、融解安定性、又は色を含む。いくつかの実施形態では、官能特性は、風味又は臭気を含む。
【0126】
卵を含まないパスタ生地
別の実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、卵を含まないパスタ生地に含まれる。いくつかの実施形態では、卵を含まないパスタ生地は、粉、油、又は脂肪、及び水から選択される1つ以上の追加の成分を含む。いくつかの実施形態では、粉は、セモリナ粉を含む。いくつかの実施形態では、油又は脂肪は、エクストラバージンオイルを含む。いくつかの実施形態では、卵を含まないパスタ生地は、塩を更に含む。本明細書では、上記の卵を含まないパスタ生地から作製された卵を含まないパスタも提供される。いくつかの実施形態では、卵を含まないパスタは、生である。いくつかの実施形態では、卵を含まないパスタは、乾燥している。いくつかの実施形態では、卵を含まないパスタの1つ以上の特徴は、卵を含有するパスタの1つ以上の対応する特徴と同様又は同等である。いくつかの実施形態では、1つ以上の特徴は、噛み応え、密度、味、調理時間、貯蔵寿命、凝集性、又は粘着性を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の特徴は、機能特性又は官能特性を含む。いくつかの実施形態では、機能特性は、乳化、水結合能、発泡、ゲル化、クラム密度、構造形成、テクスチャ構築、凝集、付着、弾性、弾力性、溶解度、粘度、脂肪吸収、風味結合、凝固、膨化、空気混和、クリーミー性、フィルム形成能、光沢付加、つや付加、凍結安定性、融解安定性、又は色を含む。いくつかの実施形態では、官能特性は、風味又は臭気を含む。
【0127】
植物性ミルク
別の実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、植物性ミルクに含まれる。いくつかの実施形態では、植物性ミルクは、水、油、又は脂肪、及び糖から選択される1つ以上の追加の成分を含む。いくつかの実施形態では、植物性ミルクの少なくとも又は約5%は、パルスタンパク質単離物である。いくつかの実施形態では、植物性ミルクの少なくとも又は約70%は、水である。いくつかの実施形態では、植物性ミルクの少なくとも又は約2%は、油又は脂肪である。いくつかの実施形態では、植物性ミルクは、リン酸二ナトリウム、ダイズレシチン、及び微量ミネラルのうちの1つ以上を更に含む。特定の実施形態では、植物性ミルクは、ラクトースを含まない。他の特定の実施形態では、植物性ミルクは、ガム又は安定剤を含まない。
【0128】
卵を含まないカスタード
別の実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、卵を含まないカスタードに含まれる。いくつかの実施形態では、卵を含まないカスタードは、クリーム及び糖から選択される1つ以上の追加の成分を含む。いくつかの実施形態では、卵を含まないカスタードの少なくとも又は約5%は、パルスタンパク質単離物である。いくつかの実施形態では、卵を含まないカスタードの少なくとも又は約81%は、クリームである。いくつかの実施形態では、卵を含まないカスタードの少なくとも又は約13%は、糖である。いくつかの実施形態では、卵を含まないカスタードは、イオタ-カラギーナン、カッパ-カラギーナン、バニラ、及び塩のうちの1つ以上を更に含む。いくつかの実施形態では、クリームは、ヘビークリームである。
【0129】
卵を含まないアイスクリーム
別の実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、卵を含まないアイスクリームに含まれる。いくつかの実施形態では、卵を含まないアイスクリームは、ソフトクリーム又は通常のアイスクリームである。いくつかの実施形態では、卵を含まないアイスクリームは、クリーム、ミルク、及び糖から選択される1つ以上の追加の成分を含む。いくつかの実施形態では、卵を含まないアイスクリームの少なくとも又は約5%は、タンパク質単離物である。いくつかの実施形態では、卵を含まないアイスクリームの少なくとも又は約41%は、クリームである。いくつかの実施形態では、卵を含まないアイスクリームの少なくとも又は約40%は、ミルクである。いくつかの実施形態では、卵を含まないアイスクリームの少なくとも又は約13%は、糖である。いくつかの実施形態では、卵を含まないアイスクリームは、イオタカラギーナン、カッパカラギーナン、バニラ、及び塩のうちの1つ以上を更に含む。いくつかの実施形態では、クリームは、ヘビ-クリームである。いくつかの実施形態では、ミルクは全乳である。特定の実施形態では、卵を含まないアイスクリームは、ラクトースを含まない。いくつかの実施形態では、卵を含まないアイスクリームは、ガム又は安定剤を含まない。いくつかの実施形態では、卵を含まないアイスは、卵ベースのアイスクリームの従来の口当たり及びテクスチャを提供するが、卵ベースのアイスクリームと比べてより遅い速度で溶ける。
【0130】
脂肪低減ショートニング系(Fat Reduction Shortening System、FRSS)
別の実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)は、脂肪低減ショートニング系に含まれる。いくつかの実施形態では、FRSSは、水、油、又は脂肪から選択される1つ以上の追加の成分を含む。いくつかの実施形態では、FRSSは、クエン酸ナトリウムを更に含む。更なるいくつかの実施形態では、FRSSは、シトラス繊維を更に含む。いくつかの実施形態では、FRSSの少なくとも又は約5%は、パルスタンパク質単離物である。好ましい実施形態では、パルスタンパク質ベースのFRSSは、動物及び/又は乳製品ベースのショートニングを利用する同じ食品用途と比較した場合、FRSSを利用する食品用途(例えば、ベーキング用途)における脂肪含有量の低減を可能にする。いくつかの実施形態では、動物及び/又は乳製品ベースのショートニングを利用する同じ食品用途と比較して、脂肪の低減は、少なくとも10%、20%、30%、又は40%である。
【0131】
食肉類似品
別の実施形態では、パルスタンパク質単離物(例えば、リョクトウタンパク質単離物)が、食肉類似品に含まれる。いくつかの実施形態では、食肉類似品は、水、油、リン酸二ナトリウム、トランスグルタミナーゼ、デンプン、及び塩から選択される1つ以上の追加の成分を含む。いくつかの実施形態では、食肉類似品の少なくとも又は約10%は、パルスタンパク質単離物である。いくつかの実施形態では、食肉類似品の調製は、食肉類似品の成分をエマルションに混合し、エマルションをチャブに結び付けることができるケーシングに注ぐことを含む。いくつかの実施形態では、食肉類似品を含有するチャブは、50℃の水浴中で2時間インキュベートされる。更なる実施形態では、インキュベートされたチャブは、圧力調理される。いくつかの実施形態では、圧力調理は、約121℃で30分間15psiで行われる。
【0132】
食品用途:共成分
様々なガム、リン酸塩、デンプン、防腐剤、及び他の成分が、パルスタンパク質単離物を含む食品組成物に含まれ得る。
【0133】
本明細書に記載の1つ以上のパルスタンパク質ベースの食品を配合するのに有用な様々なガムには、例えば、コンニャク、ガムアカシア、Versawhip、グァー+キサンタン、Q-extract、CMC 6000(カルボキシメチルセルロース)、Citri-Fi 200(シトラス繊維)、アップル繊維、フェヌグリーク繊維が挙げられる。
【0134】
本明細書に記載の1つ以上のパルスタンパク質ベースの食品を配合するのに有用な様々なリン酸塩は、リン酸二ナトリウム(disodium phosphate、DSP)、ヘキサメタリン酸ナトリウム(sodium hexamethaphosphate、SHMP)、及びピロリン酸四ナトリウム(tetrasodium pyrophosphate、TSPP)を含む。
【0135】
デンプンは、本明細書に記載のパルスタンパク質食品中の食品成分として含まれ得る。デンプンは、有用な乳化特性を有することが示されている。デンプン及びデンプン顆粒は、エマルションを安定化することが知られている。デンプンは、例えば、クズウコン(arrowroot)デンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、リョクトウデンプン、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コメデンプン、サゴデンプン、コムギデンプンなどの植物組成物から生成される。
【0136】
特定の実施形態では、食品組成物は、パルスタンパク質単離物と組み合わせて有効量の添加された防腐剤を含む。防腐剤は、アスコルビン酸、クエン酸、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、ソルビン酸カルシウム、ソルビン酸カリウム、BHA、BHT、EDTA、トコフェロール(ビタミンE)又は酸化防止剤を含み得る。
【0137】
食品組成物の貯蔵及び貯蔵寿命
いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物を含む食品組成物は、室温で最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10週間の貯蔵において安定であり得る。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物を含む食品組成物は、室温で数カ月間、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13か月を超える貯蔵に安定であり得る。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物を含む食品組成物は、数カ月間、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13か月を超える冷蔵又は冷凍庫貯蔵に対して安定であり得る。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物を含む食品組成物は、長年、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13年を超える冷蔵又は冷凍庫貯蔵に対して安定であり得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、乾燥材料としての貯蔵は、パルスタンパク質単離物又はパルスタンパク質単離物を含む食品組成物の貯蔵寿命を増加させることができる。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物又はパルスタンパク質単離物を含む食品組成物は、後で液体、例えば、水を用いる再構成のための乾燥材料として貯蔵される。いくつかの実施形態では、パルスタンパク質単離物又は食品組成物は粉末形態であり、これは、出荷がより安価であり得、腐敗するリスクを低下させ、(水含有量及び水分活性が大幅に低減するため)貯蔵寿命を延ばす。
【0139】
様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物を含む食品組成物(例えば、卵を含まない液体卵類似製品)は、4℃で30日間の貯蔵後、500cP未満の粘度を有する。場合によっては、組成物は、4℃で60日間の貯蔵後、500cP未満の粘度を有する。様々な実施形態では、パルスタンパク質単離物を含む食品組成物(例えば、卵を含まない液体卵類似品製品)は、4℃で30日間の貯蔵後、450cP未満の粘度を有する。場合によっては、組成物は、4℃で60日間の貯蔵後、450cP未満の粘度を有する。
【実施例】
【0140】
以下の実施例は、本発明の方法及び組成物をどのように作製及び使用するかに関する完全な開示及び説明を当業者に提供するために提示されており、本発明者らが本発明とみなすことの範囲を限定することを企図するものではない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力はしてきたが、いくつかの実験上の誤差及び偏差が考慮されるべきである。別段示されない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧又はそれに近い圧力である。
【0141】
実施例1:パルスタンパク質単離物を調製するための限外濾過プロセス
以下の実施例は、限外濾過(UF)パルスタンパク質単離物を生成するための例示的なプロセス、及びUFパルスタンパク質単離物の特性を特徴付ける以下の実施例における比較例としての使用のための等電沈殿させた(IEP)対照試料の生成について考察している。
【0142】
限外濾過パルスタンパク質単離物:乾燥及び製粉によって前処理された40kgのリョクトウ粉(102)を、Breddo液化器(Corbion Inc)中で200kgの水、600gの塩(NaCl)、100mLの泡防止剤で抽出した(104)。混合を2.5分間行った。1M NaOH溶液を使用して、混合終了時のpHを7.0に調整した。次いで、デカンター(SG2-100、Alfalaval Inc)を使用して、粉スラリー(105)を遠心分離してデンプン固体の分離(106)を行った。デンプン固体及び未抽出材料(デカンター重相)の主要部分を液体懸濁液(デカンター軽相)から分離した。再懸濁流(軽相)は、ディスクスタック遠心分離機(Clara 80、Alfalaval Inc.)を使用して高固形分スラリー(ディスクスタック重相)及び清澄再懸濁液(107-ディスクスタック軽相)に清澄化した。ディスクスタック重相は、通常、スラリーの液体部分に残っている脂肪、灰分、デンプン、及びタンパク質からなる。
【0143】
次いで、ディスクスタック軽相(タンパク質に富む画分)の半分を、特注設計の膜精製ユニット(Alfalaval Inc.)で限外濾過透析濾過プロセス(109)により処理した。この膜ユニットは、Alfalaval Inc.(3838RC10PP)からの10kDa膜を用いて設定した。ディスクスタック軽相を75kgから約20kgに濃縮した(3~4倍濃度)。各ステップで濃縮物重量としてほぼ等量の水を添加する3ステップで、濃縮タンパク質懸濁液をDI水で更に透析濾過した。次いで、透析濾過したUF濃縮物(19.5kg)の流れ(110)を収集し、20%w/wクエン酸溶液を使用して、この濃縮物のpHを7から6.1に調整した(111)。塩(NaCl)を添加して、2~3mS/cm範囲の導電率を調整し、変更しなかった。次いで、軽度の変性タンパク質濃縮物材料(112)を、ミクロサーミクス(microthermics)UHTユニットを使用して熱処理(113)し、低温殺菌条件を72.5℃及び30秒保持時間で設定した。次いで、熱処理した材料(114)をSPX AnhydroM 400噴霧乾燥機(GEA Niro Inc.)で噴霧乾燥させ(115)、ノズルアトマイザーを使用して、180℃の入口温度、85℃の出口温度を用い、タンパク質単離物(116)を得た。上記の数字(102~116)を含むこのプロセスの図解を
図1に示す。
【0144】
等電沈殿させたパルスタンパク質単離物対照:次いで、ディスクスタック軽相の残りの半分を液化器タンクに移した。pHを20%w/wクエン酸で5.6に調整した。スラリーを混合し、デカンター軽相上のスピンダウンがごくわずかになるまで、デカンター(SG2-100、Alfalaval Inc.)を再循環モードで操作した。次いで、デカンターを停止し、デカンター重相上のタンパク質ペレットを収集した。ペレットを3.5×脱イオン水で再懸濁して、範囲内の濃度を得て、噴霧乾燥機の損失を最小限に抑えた。1M NaOHを使用して、再懸濁したタンパク質溶液を6pHに調整し、塩を添加して、2~3mS/cm範囲の導電率を得た。次いで、この材料を熱処理し、噴霧乾燥させて、実施例3~6の対照として使用するための等電沈殿単離物を得た。
【0145】
実施例2:パルスタンパク質回収に対する抽出パラメータの評価
以下の実施例は、パルスタンパク質回収に対する影響に対する様々な抽出パラメータの評価について考察する。パルスタンパク質の抽出は、質量移動制限又は拡散制限であり得る。質量移動に影響を与える因子には、温度、固体:液体比、及び撹拌などの機械的因子が挙げられる。拡散に影響を与える因子には、抽出緩衝液(pH、塩濃度)、及び粒径が挙げられる。この実施例で使用される典型的な抽出には、750gの水及び2.25gの塩(NaCl)と混合された150gの製粉熱処理された粉(リョクトウ)が含まれていた。均質になると、1M NaOH溶液を使用して混合物のpHを7に調整した。pH調整された粉スラリーを、卓上遠心分離機(Lynx6000、Thermofisher Scientific)で6000Gで15分間遠心分離した。固体ペレットを取り出し、液体を秤量し、全固形分を乾燥させ(標準AOAC方法によって、105℃で8時間)、タンパク質分析(Dumas法)を行った。
固体の影響:タンパク質回収に対する液体比:各デンプン分離プロセスの後に生成された重相上で3回の連続抽出を行い、各段階でタンパク質収量を評価した。固体の影響:タンパク質回収に対する液体比の変動を
図2に示す。
図2に示すように、約1:6の固体:液体比は、下流処理のための液体含有量を最小限に抑えながら、ほぼ約80%の最大タンパク質回収をもたらした。
タンパク質回収に対する粒径分布の影響:平均粒径の範囲を得るために、5つの異なる条件で、同じ出発製粉マメを使用したタンパク質抽出を行い、タンパク質回収に対する影響を決定した。5つの試験条件の粒径は、50μm、100μm、150μm、200μm、及び350μmであった。
図3に示すように、50μm~200μmの粒径は、ほぼ同等の抽出効率をもたらした。
タンパク質回収に対する温度の影響:30℃~60℃の範囲の温度を、抽出タンパク質回収に対する影響について評価した。試験温度でタンパク質回収に影響はなかった(データは示さず)。
タンパク質回収に対する抽出pHの影響:タンパク質回収に対する影響を評価するために、pH6.4(未調整)、pH7.0、pH8.0、pH9.0、及びpH10.0での抽出を行った。タンパク質回収はpH範囲7~9でより高く、pH8はわずかに高い回収を示した。結果を
図4に示す。
タンパク質回収に対するNaCl濃度の影響:抽出プロセスは、タンパク質回収に対する影響を評価するために、0.1%~5%w/vの範囲の様々なNaCl濃度で、pH7.0で行った。
図5に示すように、pH7.0で行った抽出プロセスで試験したNaCl濃度にわたるタンパク質回収に顕著な変動はなかった。塩が存在しない場合、同様の結果が達成された(データは不図示)。
pH及びNaCl濃度の組み合わせ影響:タンパク質抽出回収に対するpH及び塩濃度の影響を試験した。2組の実験を行い、第1の実験は、3~7の範囲のpHで0.3%NaClを使用し、第2の実験は、3~7の範囲のpHで3%NaClを使用した。結果を
図6に示す。タンパク質回収は、0.3%塩と比較して、3%塩でより低いpHで顕著に増加した。
【0146】
実施例3:パルスタンパク質単離物の密度の特性評価
実施例1で考察される方法に従って調製したUF及びIEP単離物の密度及び粒径分布を分析した。密度測定は、5gのIEP単離物を秤量し、単離物を100mLの目盛り付き容器に入れることによって行った。容器をタッピングし、体積を記録した。このプロセスを10g、15g、及び20gのIEP単離物で、次いで5g、10g、15g、及び20gのUF単離物で繰り返した。密度は、重量を体積で割ることによって計算した。
図7Aに示すように、IEP単離物は、UF単離物よりも有意に密度が高かった。
【0147】
図7Aに示される密度の違いは、2つの単離物の粒径の差によって説明されていない。
図7Bに示すように、IEP及びUF単離物の粒径分布は、粒径に有意差を示さず、マスターサイザーエアロ(mastersizer aero)3000(Malvern Inc.)を使用して測定したときにほぼ重複する粒径分布を示した。いずれにしても、粒径分布に基づいて、その密度差が逆になることが予想される場合があり、IEP単離物の粒径がわずかに大きいほど密度が低くなる。
【0148】
実施例4:パルスタンパク質単離物の分散安定性の特性評価
タンパク質分散安定性試験を、実施例1で考察される方法に従って調製した等電沈殿単離物(IEP19)及び超濾過単離物(UF327)を使用して行った。水中12%(w/w)タンパク質単離物のタンパク質分散液を、5000rpmで3分間、PRO25Dホモジナイザー(Pro Scientific、Oxford、MS)で均質化し、次いで0.35%(w/w)の塩(Culinox999,Morton,Chicago、IL)を添加し、5000rpmで更に2分間均質化した。次いで、1mlの上記分散液を4mlのガラス容器(VIAL、4ml、透明ガラス、15×45mm、E&K Scientific Products,Santa Clara,CA)にピペットで移し、スクリューキャップで閉じた。タンパク質-塩混合物の各単離物について2つの複製を行った。分離比を測定する前に、ガラス容器を4℃で48時間冷蔵した。分離比は、分離比=水相の高さ/試料の全高として定義した。
【0149】
4℃で48時間貯蔵した後、IEP単離物(IEP19)で調製した分散液は、上部の透明な水層及び底部のタンパク質沈降示した。比較すると、UF単離物(UF327)で調製した分散液は、はるかに少ない分離を示した(n=8、p<0.01、マン-ホイットニーU検定)。分散液の分離比を
図8に示す。
【0150】
実施例5:パルスタンパク質単離物のレオロジー特性の特性評価
実施例1で考察される方法に従って調製したUF単離物のIEPのレオロジー特性を評価した。タンパク質単離物のゲル化を、動的振動レオロジーで特徴付けた。平坦な平行プレート形状(直径40mm)を備えたレオメーター(Discovery Hybrid Rheometer、TA instrument)を使用して、温度を上昇の結果として各単離物の粘弾性特性をモニターした。単離物の試料を、12%タンパク質濃度で調製した。約1.5mLの試料をレオメーターの下側プレートにロードし、標準手順に従ってトリミングした。測定中の温度の増加の結果として、試料内の水の蒸発を防止するために、溶媒トラップに2mLの蒸留水をロードした。10ラジアン/秒の一定角周波数で、小変形条件下(0.1%歪み)で5℃/分の加熱速度で30℃~95℃の温度勾配中に貯蔵(G’)及び損失(G’’)弾性率を連続的に記録し、続いて1分間95℃に保持した。この保持後、材料の温度を50℃まで低下させ、ゲル化材料の線形粘弾性領域を特徴付けるために、0.01~100%歪みの振幅掃引試験を10ラジアン/秒の一定周波数で行った。各試料を2連で試験した。
【0151】
図9A及び
図9Bに示すように、温度勾配は、IEP及びUF試料について同様のゲル化開始温度を示したが、貯蔵弾性率がより高いレベルまで増加すると、IEPはより強いゲルを形成し(
図9A)、振幅掃引は、線形粘弾性領域でIEP試料のより強い固体様挙動を示した(
図9B)。
【0152】
実施例6:パルスタンパク質単離物を含有する食品組成物の貯蔵安定性の特性評価
以下の実施例は、等電沈降(IEP)又は超濾過(UF)リョクトウ単離物のいずれかを水、油、乳化剤、及び緩衝塩と混合することによって配合した、卵を含まない液体卵類似品製品(JUST Egg)に対する粘度貯蔵寿命試験を考察している。この試験では、IEP又はUF単離物の様々なロットを使用した。調製後、配合した液体卵類似品製品を直ちに-18℃の冷凍庫に入れ、翌日解凍し、次いで4℃で冷蔵下で貯蔵した。上記で特定した液体卵類似品製品の粘度は、試験期間全体を通して様々な時点で測定した(すなわち、凍結融解後0日目、30日目、及び冷蔵の60日目)。
【0153】
粘度は、フラットディスクRVスピンドルを備えたDV-Iプライム粘度計で測定した。液体卵類似品試料を、冷蔵庫から取り出した直後に250mlの円筒形ガラス容器に注いだ。読み取りを50rpmで行い、読み取りを行いながら試料の温度を8℃未満に制御した。超濾過単離物から作製された液体卵類似品の粘度は、0日目と比較して顕著に変化しなかったが、確立された製品仕様内に留まっており、冷蔵下で最大2か月間貯蔵されたときにこの生成物が安定であることを示唆している。この発見とは対照的に、等電沈殿単離物から作製された液体卵類似品の粘度は、特定のロットに応じて大きく変化する安定性を示し、一部は、20倍もの高粘度の増加を示した。試験した全てのロットにおいて、IEP単離物含有試料は、冷蔵下で2か月間貯蔵後に顕著により粘度があった。
図10は、試験した液体卵類似品製品のIEP及びUF含有ロットの平均粘度を示す。
【0154】
卵類似品食品に使用される限外濾過されたリョクトウタンパク質単離物が、保持液画分のpH4.6への第1のpH調整、及びpH6.0への第2のpH調整を含むプロセスを介して調製された場合に、卵を含まない液体卵類似品のテクスチャも優れていることが示された(データ不図示)。
【0155】
実施例7:異なる分子量フィルターを使用してパルスタンパク質単離物を調製するための限外濾過プロセス
以下の実施例は、限外濾過(UF)パルスタンパク質単離物の生成のための例示的なプロセスについて考察している。
【0156】
限外濾過パルスタンパク質単離物:乾燥及び製粉によって前処理された40kgのリョクトウ粉を、Breddo液化器(Corbion Inc.)中で、200kgの水、600gの塩(NaCl)、100mLの泡防止剤で抽出した。混合を2.5分間行った。1M NaOH溶液を使用して、混合終了時のpHを7.0に調整した。次いで、粉スラリーを遠心分離して、デカンター(SG2-100、Alfalaval Inc)を使用してデンプン固体の分離を行った。デンプン固体及び未抽出材料(デカンター重相)の主要部分を液体懸濁液(デカンター軽相)から分離した。再懸濁流(軽相)は、ディスクスタック遠心分離機(Clara 80、Alfalaval Inc.)を使用して高固形分スラリー(ディスクスタック重相)及び清澄再懸濁液(ディスクスタック軽相)に清澄化した。ディスクスタック重相は、通常、スラリーの液体部分に残っている脂肪、灰分、デンプン、及びタンパク質からなる。次いで、ディスクスタック軽相(タンパク質に富む画分)を、特注設計の膜精製ユニット(Alfalaval Inc.)で限外濾過透析濾過プロセスにより処理した。このユニットは、Synder Inc.からの10kDa、20kDa、又は50kDaの3つの異なる膜を用いて設定した。
【0157】
使用される膜材料は、Snyder,Inc.から購入したポリエーテルスルホン膜である。性能を試験するために、ディスクスタック軽相は、最初に膜ユニット内で、供給タンクに戻される透過物で処理された。試験時に異なる膜間の速度にわずかな違いがあった。フラックスは、膜の総面積に対して正規化された膜を通る透過物の流量である。TMPは、透過物ラインに圧力がないとすれば、膜モジュール全体の膜貫通圧力又は平均圧力である。タンパク質の阻止(保持する能力)は、3つの膜間で全く異なる。予想通り、カットオフ膜が高いほど、阻止係数が低かった。それが依然として線形範囲にあり、軽相を75kgから約20kg(3~4倍濃度)に濃縮したため、プロセスを最高TMPで継続した。
【0158】
各ステップで濃縮物重量としてほぼ等量の水を添加する3ステップで、濃縮タンパク質懸濁液を脱イオン水(deionized water、DI)水で更に透析濾過した。次いで、透析濾過されたUF濃縮物(19.5kg)の流れを収集し、この濃縮物のpHを、20%w/wクエン酸溶液を使用して7から6.1に調整した。塩(NaCl)を添加して、2~3mS/cm範囲の導電率を調整した。次いで、濃縮物材料を、ミクロサーミクスUHTユニットを使用して熱処理し、低温殺菌条件を72.5℃及び30秒保持時間で設定した。次いで、熱処理した材料を噴霧乾燥させて、タンパク質単離物を得た。最終タンパク質回収は、10kDa、20kDa、及び50kDa膜からそれぞれ、約95%、80%、及び75%であった。
【0159】
実施例8:リョクトウタンパク質単離物から調製した食品製品の調製及びテクスチャ受容性。
実施例7のタンパク質単離物で作製した植物ベースの卵代替物は、出願人の国際公開第2017/143298号(参照により組み込まれる)に開示されている式と同様の式を使用して調製した。植物ベースの卵代替物を、スクランブル卵類似品に調理し、植物ベースの卵代替物のテクスチャ受容性を、4名の訓練されたパネリストのパネルによって決定した。テクスチャ受容性を1~5のスケールで測定し、3.0以上のスコアに達した場合にテクスチャを受け入れる。10kDa又は20kDaの膜を使用して調製されたリョクトウタンパク質単離物で作製された植物ベースのスクランブル卵類似品は、受け入れられるテクスチャを有したが、50kDa膜を使用して調製されたタンパク質単離物で作製された卵類似品は、受け入れられないか、又はかろうじて受け入れられることがわかった。以下の表1は、結果を開示する。
【0160】
【0161】
本発明は、本明細書に記載される具体的な実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書に記載されるものに加えて本発明の様々な変更が前述の記載から当業者には明らかとなるであろう。そのような変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】