(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】コンタクト箇所を備えたプリント基板
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20230407BHJP
【FI】
H01L23/12 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551644
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(85)【翻訳文提出日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2021052357
(87)【国際公開番号】W WO2021170351
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】102020105298.7
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルクス デーク
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス アイゼンベルガー
(72)【発明者】
【氏名】カリン ポーリー
(57)【要約】
車両における電気的なコンタクトのためにコンタクトばね(300)に接触接続するためのコンタクト箇所を備えたプリント基板(100)であって、コンタクト箇所が、錫から成る載置要素(200)を有し、載置要素(200)が、リフロー法によりプリント基板にはんだ付けされている、プリント基板(100)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における電気的なコンタクトのためにコンタクトばね(300)に接触接続するコンタクト箇所を備えたプリント基板(100)であって、
前記コンタクト箇所は、錫から成る載置要素(200)を有し、該載置要素(200)は、リフロー法により前記プリント基板にはんだ付けされていることを特徴とする、プリント基板(100)。
【請求項2】
前記載置要素(200)は、振動耐性の接触接続を確保するために、前記プリント基板(100)上で、少なくとも50マイクロメートル、かつ最大で150マイクロメートルの高さを有している、請求項1記載のプリント基板(100)。
【請求項3】
前記載置要素(200)は、
円形ディスク、
楕円形ディスク、
円形リング、
多角形に縁取られた面、
上記のうちの1つの形状であって、内部に別の切欠きが存在している、形状、
のうちの1つの底面を有している、請求項1または2記載のプリント基板(100)。
【請求項4】
車両、特に商用車のための構造ユニットであって、
請求項1から3までのいずれか1項記載のプリント基板(100)と、
コンタクトばね(300)と、
前記コンタクトばねを介して前記プリント基板のコンタクト箇所の載置要素に電気的に接続している構成部材(400)と
が設けられていることを特徴とする、構造ユニット。
【請求項5】
前記コンタクトばね(300)は、一方の端部で前記載置要素(200)に接触しており、
前記載置要素(200)の表面は、前記コンタクトばね(300)の接触している前記端部の横断面よりも大きい、請求項4記載の構造ユニット。
【請求項6】
前記載置要素(200)の前記表面は、凹設部および/または隆起部を有し、該凹設部および/または該隆起部は、前記コンタクトばね(300)の前記接触している端部を収容し、これにより前記コンタクトばね(300)の前記接触している端部の位置を固定するように構成されている、請求項4または5記載の構造ユニット。
【請求項7】
前記構成部材(400)は、アクチュエータおよび/またはセンサを有しており、
コンタクトは、前記アクチュエータおよび/または前記センサと、商用車における前記プリント基板(100)との間の電気的な接続を構成する、請求項4から6までのいずれか1項記載の構造ユニット。
【請求項8】
コンタクト箇所を備えたプリント基板(100)を製造する方法であって、
コンタクト領域(110)を備えたプリント基板(100)を提供するステップ(S110)と、
錫から成る載置要素(200)を前記コンタクト領域(110)上に被着するステップ(S120)と、
リフロー法により前記載置要素(200)を前記プリント基板(100)に結合するステップ(S130)と
を有することを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記載置要素(200)を被着する前記ステップ(S120)は、はんだペースト(210)を前記コンタクト領域(110)に印刷するステップを含み、存在するはんだフラックスを、加熱によって、前記コンタクト箇所に接触している導体の接触接続時に前記コンタクト箇所の導電性を低下させないように使用する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記プリント基板(100)上に、表面実装される少なくとも1つの構成部材を取り付けることができ、結合する前記ステップ(S130)は、前記載置要素と、表面実装される前記構成部材との同時のはんだ付けである、請求項8または9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両における電気的なコンタクトのためのコンタクト箇所を備えたプリント基板と、プリント基板を備えた、車両用の構造ユニットと、コンタクト箇所を備えたプリント基板を製造する方法と、特に、商用車におけるアクチュエータ/センサのための、コンタクトばねを介したプリント基板上のプリフォームである対向箇所との接触接続に関する。
【0002】
車両内の電気的なコンタクト(接点)は、振動耐性ならびに時間および環境の影響下での耐久性に関して特別な要求を課されている。車両における電気的な構成部材間の電気的なコンタクトは、コンタクトばね、つまり螺旋状に巻かれた導体構造によって一般的に実現されている。この導体構造は、構造的な手段によって2つの構成部材のうちの一方の構成部材に結合されており、場合によっては、材料もしくは形状に起因する応力作用を利用しながら、たとえば別の電気的な構成部材への電気的なコンタクトを、接触または載着によって形成する。このためには、コンタクトばねの接触により接続される電気的な構成部材に、コンタクト面が位置している。このコンタクト面を介して、電流が両構成部材間を流れることができる。このコンタクト面は、特にプリント基板の一部として、またはプリント基板上への載着部として形成されていてもよい。
【0003】
このような構造形態のコンタクトのための具体的な例は、商用車のブレーキシステムにおいて見られ、このブレーキシステムでは、たとえば、センサユニットが、(たとえば組み込まれた電子的な制御装置を備えた、電子ブレーキシステムまたは空気処理設備において、たとえば電子的なパーキングブレーキの能動的な機械部分を成すことができる)アクチュエータに電気的なコンタクトを介して振動を許容するように接続され、かつ場合によっては別の構成部材が、電気的なコンタクトを介して振動を許容するように接続される。プリント基板には、しばしば産業的な製造の枠内で、典型的にはリフロー法(再溶融はんだ付け)でSMD(surface mounted devices:表面実装素子)が装備される。リフロー法において、導体路により貫通されたプリント基板に、まず既に形成されているコンタクト領域(landsランド, connector pad, contact padパッド)において、粉末状のはんだ錫化合物から成るはんだペーストおよびフラックスが設けられる(たとえばスクリーン印刷法または孔版印刷法で印刷される)。はんだペーストによって、後に載置されるSMDが暫定的にプリント基板上に付着する。プリント基板の加熱により、はんだペーストは、フラックスの一部をガス化しながら融解させられる。表面張力効果は、冷却されたはんだによって位置固定されるSMDを調整する。
【0004】
コンタクトばねが接触もしくは載着しているコンタクト箇所のための製造方法は、有利には、できるだけ僅かな手間で既存のリフロー法に組み込まれる。
【0005】
これに関して、独国特許出願公開第102015008334号明細書には、コンタクト小型プレートによるコンタクト箇所の形成が開示されている。このコンタクト小型プレートは、単層または多層にかつ/またはSMDとして構成されており、かつ材料がニッケルまたは銅を有しており、導電性を改善するために、または高められた耐摩耗性のために、銀層または金層を備えている。コンタクト小型プレートによりコンタクト箇所を形成することの欠点は、コンタクト小型プレートのために発生する付加的な製造コストおよび材料コストである。
【0006】
たとえばコンタクトばねのような電気的な導体の当付けもしくは載着による電気的なコンタクトを可能にする、プリント基板に設けられた代替的な電気的なコンタクト箇所ならびにプリント基板にこのようなコンタクト箇所を形成するための改善された方法に対する需要がある。
【0007】
上述の課題のうちの少なくとも一部は、請求項1記載の、コンタクト箇所を備えたプリント基板と、請求項4記載の構造ユニットおよび請求項8記載の方法によって解決される。従属請求項は、独立請求項の対象の有利な別の実施形態を定義する。
【0008】
本発明は、車両における電気的なコンタクトのためにコンタクトばねに接触接続するためのコンタクト箇所を備えたプリント基板に関し、このコンタクト箇所は、錫から成る載置要素を有しており、この載置要素は、リフロー法によってプリント基板にはんだ付けされている。
【0009】
プリント基板は、1つ以上の電気的な線路と、たとえばリフロー法でプリント基板上に被着されている、場合によっては電気的な構成部材とを備えた電気回路のための担体である。載置要素は、完全に錫から成っていてもよく、この錫は、リフロー法の間に完全に、または部分的に液化されており、プリント基板のコンタクト面に直接に載置されている。コンタクト面(英語では、land, connector pad, contact pad)は、載置要素の位置のための、リフロー法の枠内で予め規定された領域であり、この領域において、1つ以上の導体路がプリント基板の表面において終端する。
【0010】
任意には、載置要素は、振動耐性の接触接続を確保するために、プリント基板上で、少なくとも50マイクロメートル、かつ最大で150マイクロメートルの高さを有している。
【0011】
接触接続は、載置要素の表面に導体を当て付けることにより行われる。たとえば、プリント基板および導体を含む車両の動きにより引き起こされる振動および/または揺動は、載置要素と、接触している導体との相互の動きを引き起こすことができる。その動きにより、かつ/または載置要素上への導体の押付けにより、載置要素の表面の領域から材料を除去することができる。プリント基板上での載置要素の高さは、有利には、長期にわたる接触接続が保証されるように選択されている。
【0012】
任意には、載置要素は、以下の底面、すなわち
円形ディスク、
楕円形ディスク、
円形リング、
多角形に縁取られた面および
内部に別の切欠きが存在している、上述の形状のうちの1つの形状
のうちの1つの底面を有している。
【0013】
底面の選択は、有利には、プリント基板上にコンタクト箇所を取り付けるために、コンタクト箇所に接触している電気的な導体の位置を固定するために、かつ/またはたとえばはんだ成形部材(solder preform:はんだプリフォーム)として載置要素を製造するために役立つ。
【0014】
本発明は、上述したようなコンタクト箇所を有しているプリント基板と、さらにコンタクトばねと、このコンタクトばねを介してプリント基板のコンタクト箇所の載置要素に電気的に接続している構成部材とを備えた、車両、特に商用車のための構造ユニットにも関する。
【0015】
コンタクトばねは、適切に曲げられた導体片、たとえば螺旋状に巻かれているか、またはコイル状のワイヤであり、ワイヤは、載置要素の表面に接触しているか、または載着される。コンタクトばねは、機械的な圧力を載置要素に及ぼすことができる。さらにコンタクトばねは、構成部材に取り付けられており、このために、コンタクトばねは、たとえばリベット止め、クランプ止め、はんだ付け、溶接、または差込みされているか、たとえば誘電体ケーシングのような保持装置により保持されているか、または電気的な導体の端部として形成されていてもよい。
【0016】
任意には、コンタクトばねの一方の端部は、載置要素の表面に接触しており、載置要素の表面は、コンタクトばねの接触している端部の横断面よりも大きい。
【0017】
載置要素の、コンタクトばねの横断面を越えて突出している表面は、たとえばコンタクトばねの端部の位置に関する誤差を、特に振動または揺動時にも保証することができる。コンタクトばねの端部の振動は、有利には、表面の一部を除去することにより載置要素の表面の腐食および/または酸化に対処するために利用することができる。
【0018】
任意には、載置要素の表面は、凹設部および/または隆起部を有しており、凹設部および/または隆起部は、コンタクトばねの接触している端部の位置を固定するように形成されている。
【0019】
たとえば凹設部は、槽形であってもよく、または凹設部は、環状にコンタクトばねの断面輪郭に適合されていてもよく、かつ中央の隆起部を包囲していてもよい。凹設部は、コンタクトばねを載置要素に押し付けることによっても形成することができ、かつ/または時間の経過と共にさらに深くなってもよい。
【0020】
任意には、構成部材は、アクチュエータおよび/またはセンサを有しており、コンタクトは、アクチュエータおよび/またはセンサと、商用車におけるプリント基板との間の電気的な接続を形成する。
【0021】
本発明は、コンタクト箇所を備えたプリント基板を製造する方法であって、以下のステップ、すなわち
コンタクト領域を備えたプリント基板を提供するステップと、
錫から成る載置要素をコンタクト領域上に被着するステップと、
リフロー法により載置要素をプリント基板に結合するステップと
を有する方法にも関する。
【0022】
有利には、被着された載置要素は、リフロー法において溶融し、これにより、プリント基板のコンタクト領域において表面へ達する導体との直接的なコンタクトが実現される。リフロー法における載置要素の少なくとも部分的な溶融は、SMDの被着の標準と錫めっきの標準との間の妥協点を成す。
【0023】
任意には、載置要素を被着するステップは、はんだペーストをコンタクト領域に印刷するステップを含み、存在するはんだフラックスを、コンタクト箇所に接触している導体の接触接続時にコンタクト箇所の導電性を低下させないように使用する。
【0024】
標準化されたリフロー法において、はんだペーストは、フラックスを含んでおり、フラックスは、リフロー法の枠内における加熱により流出し、残渣を残す、かつ/またはたとえばはんだの表面に残滓を形成してしまう。残渣は接触箇所の導電性を損なう。このことは、特に、接触箇所の形成のために載置要素が省略され、たとえばはんだペーストだけが使用された場合に該当する。適切な加熱によって、かつ/または載置要素の適切な幾何学形状、たとえば十分な厚さの選択によって、接触箇所の表面における添加物の残渣を阻止することができる。
【0025】
任意には、当該方法の間に、表面実装される少なくとも1つの構成部材をプリント基板上に取り付けることができ、結合するステップは、載置要素と、表面実装される構成部材との同時的なはんだ付けである。
【0026】
これによってコンタクト箇所の取付けを、表面実装される構成部材を取り付けるための既存のリフロー法に統合することができ、この場合にリフロー法において付加的な方法ステップを導入する必要はない。
【0027】
載置要素の錫も、たとえば鉛、亜鉛、銀、鉄、アンチモン、銅またはフラックスのような添加物を含んでいてもよく、この添加物は、電気的な導体を当て付けるためのコンタクト箇所としての載置要素の機能および/またはプリント基板上に載置要素を被着する方法に有利に影響を及ぼし、この場合に、コンタクト箇所または方法の上述の特徴が変更されることはない。これらの添加物は、載置要素内に1方向で連続的に勾配して導入されていてもよい。
【0028】
実施例の利点は、たとえば、以下のことによるコスト削減にある、すなわち
コンタクト小型プレートまたはタスクのために形成される別のSMDまたは挿入実装構成部材の製造の省略、
はんだ成形部材として載置要素を廉価に製造すること、さらにはんだ成形部材は、リフロー法において別の箇所においても使用することができる、
プリント基板に装備するための既存のリフロー法への組込み可能性。
【0029】
別の利点は、以下のことによる電気的コンタクトの良好な導電性にある、すなわち
特に、錫から成る接触面の仕上げ表面(finish)との適合性であり、これにより、(銅製の)線路と載置部材の表面との直接的かつ均質な結合を達成することができること、
載置要素の厚さならびにプリント基板における載置要素の底面の気密な接続であって、少なくともコンタクト領域においてプリント基板表面に接触する銅線路が酸化することを阻止する。
【0030】
別の利点は、接触している導体が圧力を加えられながら載置要素に接触し、これにより部分的に載置要素内に押し込まれる限り、接触している導体の位置が固定されることにある。
【0031】
さらに、たとえば電解めっきプロセス(galvanisch. Prozess)を介して、または錫浴を介して行うことができる導体表面の局所的な錫めっきに対して、適切に拡張されるか、もしくは調節可能な寿命の形態の利点が、はんだ成形部材の適合された厚さおよび形状により生じる。
【0032】
さらに、はんだペーストの被着のみによるコンタクト箇所の実現に対する利点は、本方法において、載置要素の表面におけるフラックス残渣の堆積が生じず、ひいては残渣が堆積しないことにより導電性の低下が生じないことにある。
【0033】
本発明の実施例は、種々異なる実施例の以下の詳細な説明および添付の図面からより良好に理解されるが、これらの実施例は、これらの実施例が本開示を特定の実施形態に限定するものと解されるべきではなく、単に説明および理解のために役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】コンタクト箇所を備えたプリント基板のための本発明による実施例を示す図である。
【
図2】左側では載置要素、右側ではコンタクト面を備えたプリント基板を示す上から見た平面図である。
【
図3】左側ではリフロー法における加熱および溶融前の、はんだペーストを備えたコンタクト面上に載置された載置要素、右側では加熱および溶融後のコンタクト面上の載置要素を示す図である。
【
図4】載置要素、ばねおよび構成部材を備えたプリント基板を備えた構造ユニットを示す図である。
【
図5】本発明によるコンタクト箇所を備えたプリント基板を製造するための方法を示す図である。
【0035】
図1は、本発明の1つの実施例として、車両における電気的なコンタクトのためのコンタクトばね300に接触接続するためのコンタクト箇所を備えたプリント基板100を示している。コンタクト箇所は、錫から成る載置要素200を有しており、この載置要素200は、リフロー法によってプリント基板100にはんだ付けされている。
【0036】
プリント基板100の、別の構成部材を含んでもよい一部のみが示されている。コンタクトばね300は、載置要素200に位置固定されているのではなく、単に接触すればよい。
【0037】
図2は、左側で、錫から製造されたはんだ成形部材(solder preform)としての載置要素200のための1つの実施例の図を示している。右側には、プリント基板100のための1つの実施例の、コンタクト面110が位置している部分が平面図で図示されている。コンタクト面110は、プリント基板100の導体路(図示せず)がプリント基板表面に進入する、プリント基板100の領域である。このような導体路は、たとえば銅から成っていてもよい。酸化プロセスは、露出している銅のコンタクト性能を時間とともに損なうので、プリント基板100を製造するための最後の方法ステップの1つにおいて、コンタクト面110には、たとえば錫、銀または金からなる仕上げ表面(finish)が被着される。
【0038】
図3は、左側で、リフロー法においてはんだを再溶融する前の状況における、プリント基板100の局所的な横断面を示している。プリント基板100上には、被着されたはんだペースト210を備えたコンタクト面110が位置しており、このはんだペースト210上にはさらに、載置要素200として錫から成るはんだ成形部材が載置されている。リフロー法において、載置要素200の錫が、はんだペースト210と溶け合い、場合によっては、たとえばコンタクト面110の仕上げ表面が錫から形成されている場合、コンタクト面110の仕上げ表面の材料と溶け合う。
【0039】
図面の右側には、リフロー法におけるはんだの再溶融後の、コンタクト面110および載置要素200を備えたプリント基板100が示されている。特に、錫から成る仕上げ表面を備えたコンタクト面110では、これにより、導体路に均質に接触するコンタクト箇所を形成することができる。
【0040】
図4は、コンタクト面110が形成されているプリント基板100を備えた、車両、特に商用車用の構造ユニットのための1つの実施例による縦断図を示している。このコンタクト面110上には、錫から成る載置要素200が、リフロー法の枠内で取り付けられている。載置要素200には、コンタクトばね300が接触しており、このコンタクトばね300は、構成部材400の一部であり、この構成部材400は、コンタクトばね300を介して、プリント基板100のコンタクト箇所の載置要素200に電気的に接続されている。
【0041】
プリント基板100は、たとえば、車両のブレーキシステムにおけるセンサの一部であってもよい。
【0042】
錫から成るコンタクト面110の仕上げ表面は、載置要素200の被着前に、たとえば1マイクロメートルの厚さを有していてもよい。リフロー法の間に、この厚さは典型的には、たとえば0.2マイクロメートルだけ減少する。コンタクトばね300を当て付けるために、この厚さは不十分である。なぜならば、たとえば腐食プロセスおよび酸化プロセスならびにコンタクトばね300の接触時には摩耗プロセスが仕上げ表面を過度に迅速に減じるからである。載置要素200は、プリント基板100上に、有利には、50~150マイクロメートルの範囲の高さを有していてもよく、これによって、長期間の接触接続と、プリント基板100の、コンタクト面110で終端している導体路の保護とを確保することができる。高さを、リフロー法の間に部分的に減少させることができるので、載置要素200は、プリント基板100のコンタクト面110上に載置される前に、比較的大きな高さ(たとえば10~50マイクロメートル)を有している。
【0043】
構成部材400は、たとえば、車両のブレーキシステムにおける電磁弁のようなアクチュエータを含んでいてもよい。
【0044】
図5は、コンタクト箇所を備えたプリント基板100を製造する方法を示しており、以下のステップを含んでいる;
コンタクト領域110を備えたプリント基板100を提供するステップS110、
錫から成る載置要素200をコンタクト領域110上に被着するステップS120、
リフロー法により載置要素200をプリント基板100に結合するステップS130。
【0045】
リフロー法の間、載置要素200は、加熱によって液化され、載置要素200は、予め被着されたはんだペースト210と、場合によってはコンタクト箇所110の仕上げ表面の材料と溶け合わされる。これにより、プリント基板100の、コンタクト領域110において終端している導体路との均質なコンタクトが形成される。
【0046】
リフロー法は、プリント基板100上への別の構成部材の実装を含んでいてもよい。これにより、付加的な方法ステップの導入を必要とすることなしに、コンタクト箇所の取付けを既存のリフロー法に組み込むことができる。
【0047】
明細書、特許請求の範囲および図面に開示されている本発明の特徴は、単独でも任意の組み合わせでも、本発明を実現するために重要なものであり得る。
【符号の説明】
【0048】
100 プリント基板
110 コンタクト領域
200 載置要素
210 はんだペースト
300 コンタクトばね
400 構成部材
S110,S120,S130 方法ステップ
【手続補正書】
【提出日】2022-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における電気的なコンタクトのためにコンタクトばね(300)に接触接続するコンタクト箇所を備えたプリント基板(100)であって、
前記コンタクト箇所は、錫から成る載置要素(200)を有
することを特徴とする、プリント基板(100)。
【請求項2】
前記載置要素(200)は、振動耐性の接触接続を確保するために、前記プリント基板(100)上で、少なくとも50マイクロメートル、かつ最大で150マイクロメートルの高さを有している、請求項1記載のプリント基板(100)。
【請求項3】
前記載置要素(200)は、
円形ディスク、
楕円形ディスク、
円形リング、
多角形に縁取られた面、
上記のうちの1つの形状であって、内部に別の切欠きが存在している、形状、
のうちの1つの底面を有している、請求項1または2記載のプリント基板(100)。
【請求項4】
車両、特に商用車のための構造ユニットであって、
請求項1から3までのいずれか1項記載のプリント基板(100)と、
コンタクトばね(300)と、
前記コンタクトばねを介して前記プリント基板のコンタクト箇所の載置要素に電気的に接続している構成部材(400)と
が設けられていることを特徴とする、構造ユニット。
【請求項5】
前記コンタクトばね(300)は、一方の端部で前記載置要素(200)に接触しており、
前記載置要素(200)の表面は、前記コンタクトばね(300)の接触している前記端部の横断面よりも大きい、請求項4記載の構造ユニット。
【請求項6】
前記載置要素(200)の前記表面は、凹設部および/または隆起部を有し、該凹設部および/または該隆起部は、前記コンタクトばね(300)の前記接触している端部を収容し、これにより前記コンタクトばね(300)の前記接触している端部の位置を固定するように構成されている、請求項4または5記載の構造ユニット。
【請求項7】
前記構成部材(400)は、アクチュエータおよび/またはセンサを有しており、
コンタクトは、前記アクチュエータおよび/または前記センサと、商用車における前記プリント基板(100)との間の電気的な接続を構成する、請求項4から6までのいずれか1項記載の構造ユニット。
【請求項8】
コンタクト箇所を備えたプリント基板(100)を製造する方法であって、
コンタクト領域(110)を備えたプリント基板(100)を提供するステップ(S110)と、
錫から成る載置要素(200)を前記コンタクト領域(110)上に被着するステップ(S120)と、
リフロー法により前記載置要素(200)を前記プリント基板(100)に結合するステップ(S130)と
を有することを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記載置要素(200)を被着する前記ステップ(S120)は、はんだペースト(210)を前記コンタクト領域(110)に印刷するステップを含み、存在するはんだフラックスを、加熱によって、前記コンタクト箇所に接触している導体の接触接続時に前記コンタクト箇所の導電性を低下させないように使用する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記プリント基板(100)上に、表面実装される少なくとも1つの構成部材を取り付けることができ、結合する前記ステップ(S130)は、前記載置要素と、表面実装される前記構成部材との同時のはんだ付けである、請求項8または9記載の方法。
【国際調査報告】