IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイスター メディカル ソシエテ アノニムの特許一覧

特表2023-515848インプラント送出のためのシャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージ
<>
  • 特表-インプラント送出のためのシャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージ 図1
  • 特表-インプラント送出のためのシャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージ 図2
  • 特表-インプラント送出のためのシャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージ 図3A
  • 特表-インプラント送出のためのシャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージ 図3B
  • 特表-インプラント送出のためのシャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージ 図3C
  • 特表-インプラント送出のためのシャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージ 図4
  • 特表-インプラント送出のためのシャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージ 図5
  • 特表-インプラント送出のためのシャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージ 図6
  • 特表-インプラント送出のためのシャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージ 図7A
  • 特表-インプラント送出のためのシャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージ 図7B
  • 特表-インプラント送出のためのシャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】インプラント送出のためのシャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージ
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20230407BHJP
【FI】
A61F9/007 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552318
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2021054858
(87)【国際公開番号】W WO2021170812
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】20159797.8
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522343197
【氏名又は名称】アイスター メディカル ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】デトリ ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】ブイー イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ウーラント シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ジロ アドリアン ベルナール
(57)【要約】
インプラント(230)の送出のための送出シャフト組立体(200)を保持及び提供するためのパッケージ(100)が提供され、パッケージ(100)は、バイアル(400)と、バイアル保持空間(410)内に取り付けられた挿入体(300)とを備え、挿入体(300)は、-挿入装置ツール(500)との結合時に送出シャフト組立体(200)のアダプタ(210)を支持するように構成された力受け体(308)と、-送出シャフトを解放可能に保持するように構成された送出シャフト保持機構(310)と、を備え、アダプタ(210)への結合時の挿入装置ツール(500)による力の適用が、送出シャフト保持機構(310)を作動させて、挿入体(300)及びバイアル(400)からの送出シャフト組立体(200)を引き出すために、保持された送出シャフト(220)を解放する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント(230)の送出のための送出シャフト組立体(200)を保持及び提供するためのパッケージ(100)であって、
-前記送出シャフト組立体(200)は、インプラント(230)を保持する内腔(222)を有する送出シャフト(220)と、挿入装置ツール(500)に結合するように構成されたアダプタ(210)とを備え、
-前記挿入装置ツール(500)は、前記送出シャフト組立体の内腔(222)に収容されるように構成された排出シャフト(510)と、前記アダプタ(210)と結合するように構成されたアダプタ結合部(520)とを備え、前記送出シャフト(220)及び/又は前記排出シャフト(510)は、前記インプラント(230)が前記内腔から離脱するように移動可能であり、
前記パッケージ(100)は、
-バイアル(400)と、バイアル保持空間(410)内に取り付けられた挿入体(300)とを備え、
前記挿入体(300)は、
-前記挿入装置ツール(500)との結合時に前記アダプタ(210)を支持するように構成された力受け体(308)と、
-前記送出シャフトを解放可能に保持するように構成された送出シャフト保持機構(310)と、
を備え、
前記アダプタ(210)への結合時の前記挿入装置ツール(500)による力の適用が、前記送出シャフト保持機構(310)を作動させて、前記挿入体(300)及び前記バイアル(400)から前記送出シャフト組立体(200)を引き出すために、保持された前記送出シャフト(220)を解放する、パッケージ(100)。
【請求項2】
前記送出シャフト保持機構(310)は、前記送出シャフト(220)の少なくとも一部をクランプするために協働するように構成された第1の本体(312)及び第2の本体(314)を備える、請求項1に記載のパッケージ(100)。
【請求項3】
前記第1の本体(312)は、前記力受け体(308)に対して固定された関係で配置され、前記第2の本体(314)は、前記送出シャフト保持機構(310)の作動時に少なくとも一部が前記第1の本体(312)から離れて移動し、それによって保持された前記送出シャフト(220)を解放するように構成されている、請求項2に記載のパッケージ(100)。
【請求項4】
前記送出シャフト保持機構(310)は、作動ピン(316)及び移動ガイド(318)をさらに備え、結合時に前記挿入装置ツールによる力の適用が前記作動ピン(316)及び前記移動ガイド(318)を保持位置から解放位置へ進め、前記第2の本体(314)に摺動可能に結合された前記移動ガイド(318)は、前記第2の本体(314)の保持位置から解放位置への移動をもたらす、請求項3に記載のパッケージ(100)。
【請求項5】
-前記移動ガイド(318)は、少なくとも部分的にカム経路を有する少なくとも1つのガイドスロット(320)を備え、
-前記第2の本体(314)は、前記ガイドスロット(320)に係合する少なくとも1つの突起(322)を備え、
-前記移動ガイド(318)の前記保持位置から前記解放位置への移動は、前記ガイドスロット(320)の摺動と、前記カム経路に沿った前記少なくとも1つの突起(322)の移動をもたらし、それによって、前記第1の本体(312)から前記第2の本体(314)の少なくとも一部を離すようになっている、請求項4に記載のパッケージ(100)。
【請求項6】
前記第1の本体(312)及び前記第2の本体(314)は、ヒンジ、好ましくはリビングヒンジによって連結される、請求項2から5のいずれか1項に記載のパッケージ(100)。
【請求項7】
前記バイアル保持空間(410)は、液体を保持するように構成されている、請求項1から6のいずれか1項に記載のパッケージ(100)。
【請求項8】
前記バイアル(400)は、キャップ又は取り外し可能なシールによって閉じることができる開口(412)を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載のパッケージ(100)。
【請求項9】
第1の本体(312)は、遠位端(40)方向への前記送出シャフト(220)の内腔(222)内の前記インプラント(230)の動きを制限するように構成された保持部(324)を備える、請求項1から8のいずれか1項に記載のパッケージ(100)。
【請求項10】
前記保持部は、前記送出シャフト(220)の前記内腔(222)と少なくとも部分的に係合するように構成された突起を備える、請求項9に記載のパッケージ(100)。
【請求項11】
前記第1の本体(312)及び前記第2の本体(314)は、協働して、クランプ領域(312a、314a)内で前記送出シャフトの少なくとも一部をクランプし、前記クランプ領域(312a、314a)内で、前記送出シャフトの前記内腔(222)が少なくとも部分的に狭められ、それによって前記インプラント(230)の近位(20)方向の動きを制限するようになっている、請求項2から10のいずれか1項に記載のパッケージ(100)。
【請求項12】
前記挿入体(300)は、前記挿入体(300)の前記バイアル保持空間(410)への結合時に前記バイアル保持空間(410)から(水性)溶液を移動させるように構成された1又は2以上の流体移動体(340)をさらに備える、請求項1から11のいずれか1項に記載のパッケージ(100)。
【請求項13】
前記挿入体(300)は、前記バイアルから移動した溶液が通るように構成されたオーバーフロー出口(342)をさらに備える、請求項12に記載のパッケージ(100)。
【請求項14】
請求項1に規定される前記送出シャフト組立体(200)をさらに備える、請求項1から13のいずれか1項に記載のパッケージ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、対象物への埋め込みのためにインプラントを送出するための送出シャフト組立体を保持及び提供するためのパッケージを提供する。
【背景技術】
【0002】
インプラントは、薬による治療が有効でなくなった場合に又はそれを利用できない場合に疾患を治療するためにしばしば使用される。インプラントを設置するための技術は、典型的には、インプラントを一時的に保持し、埋め込み部位に設置するための細長いリーチを提供する挿入装置ツールと、挿入装置から放出するための機構とに依存する。インプラントは非常に小さい場合があり、例えば、緑内障の治療のためのインプラントは、典型的には、5mmの長さ及び1mmの幅を有する。緑内障の治療のためのインプラント及び挿入体の例は、例えば、国際公開第2017/108498号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/108498号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当技術分野における課題は、最適な状態になるように、使用前にインプラントをどのように保管するかである。小さなインプラントは、使用直前に挿入装置に装填することが困難な場合がある。一部のインプラントは、損傷することなく、又はエアポケットにさらされることなく、液体貯蔵状態に維持する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
インプラント(230)の送出のための送出シャフト組立体(200)を保持及び提供するためのパッケージ(100)が提供され、
-送出シャフト組立体(200)は、インプラント(230)を保持する内腔(222)を有する送出シャフト(220)と、挿入装置ツール(500)に結合するように構成されたアダプタ(210)とを備え、
-挿入装置ツール(500)は、送出シャフト組立体の内腔(222)に収容されるように構成された排出シャフト(510)と、アダプタ(210)と結合するように構成されたアダプタ結合部(520)とを備え、送出シャフト(220)及び/又は排出シャフト(510)は、インプラント(230)が内腔から離脱するように移動可能であり、
パッケージ(100)は、
-バイアル(400)と、バイアル保持空間(410)内に取り付けられた挿入体(300)とを備え、
挿入体(300)は、
-挿入装置ツール(500)との結合時にアダプタ(210)を支持するように構成された力受け体(308)と、
-送出シャフトを解放可能に保持するように構成された送出シャフト保持機構(310)と、
を備え、
アダプタ(210)への結合時の挿入装置ツール(500)による力の適用が、送出シャフト保持機構(310)を作動させて、挿入体(300)及びバイアル(400)から送出シャフト組立体(200)を引き出すために、保持された前記送出シャフト(220)を解放する。
【0006】
送出シャフト保持機構(310)は、送出シャフト(220)の少なくとも一部をクランプするために協働するように構成された第1の本体(312)及び第2の本体(314)を備えることができる。
【0007】
第1の本体(312)は、力受け体(308)に対して固定された関係で配置され、第2の本体(314)は、送出シャフト保持機構(310)の作動時に少なくとも一部が第1の本体(312)から離れて移動し、それによって保持された送出シャフト(220)を解放するように構成することができる。
【0008】
送出シャフト保持機構(310)は、作動ピン(316)及び移動ガイド(318)をさらに備えることができ、結合時に挿入装置ツールによる力の適用が作動ピン(316)及び移動ガイド(318)を保持位置から解放位置へ進め、第2の本体(314)に摺動可能に結合された移動ガイド(318)は、第2の本体(314)の保持位置から解放位置への移動をもたらす。
【0009】
移動ガイド(318)は、少なくとも部分的にカム経路を有することができる少なくとも1つのガイドスロット(320)を備えることができ、第2の本体(314)は、ガイドスロット(320)に係合する少なくとも1つの突起(322)を備えることができ、移動ガイド(318)の保持位置から解放位置への移動は、ガイドスロット(320)の摺動と、カム経路に沿った少なくとも1つの突起(322)の移動をもたらすことができ、それによって、第1の本体(312)から第2の本体(314)の少なくとも一部を離すようになっている。
【0010】
第1の本体(312)及び第2の本体(314)は、ヒンジ、好ましくはリビングヒンジによって連結することができる。バイアル保持空間(410)は、液体を保持するように構成することができる。バイアル(400)は、キャップ又は取り外し可能なシールによって閉じることができる開口(412)を有することができる。
【0011】
第1の本体(312)は、遠位端(40)方向への送出シャフト(220)の内腔(222)内のインプラント(230)の動きを制限するように構成された保持部(324)を備えることができる。
【0012】
保持部は、送出シャフト(220)の内腔(222)と少なくとも部分的に係合するように構成された突起を備えることができる。
【0013】
第1の本体(312)及び第2の本体(314)は、協働して、クランプ領域(312a、314a)内で送出シャフトの少なくとも一部をクランプし、クランプ領域(312a、314a)内で、送出シャフトの内腔(222)が少なくとも部分的に狭められ、それによってインプラント(230)の近位(20)方向の動きを制限するようになっている。
【0014】
挿入体(300)は、挿入体(300)のバイアル保持空間(410)への結合時にバイアル保持空間(410)から(水性)溶液を移動させるように構成された1又は2以上の流体移動体(340)をさらに備えることができる。
【0015】
挿入体(300)は、バイアルから移動した溶液が通るように構成されたオーバーフロー出口(342)をさらに備えることができる。パッケージ(100)は、本明細書に規定される送出シャフト組立体(200)をさらに備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本明細書に記載される送出シャフト組立体の図である。
図2】本明細書に記載されるパッケージの図である。
図3】パネルAからCは、保持シャフト機構の作動及び送出シャフト組立体の解放を示す一連の図である。
図4】本明細書に記載のパッケージを示す図であり、送出シャフトを狭くする第1本体及び第2本体のクランプ部分を強調し、さらに保持部を示す。
図5】本明細書に記載の挿入装置ツールの一部を示す図である。
図6】パネルAからCは、挿入装置ツールが送出シャフト組立体と結合し、保持シャフト機構が送出シャフト組立体の解放のために作動する一連の図を示す。
図7】パネルA及びBは、準備構成(パネルA)及び配備構成(パネルB)における挿入装置ツールを示す。
図8】本明細書に記載の複数の液体移動体をさらに備えるパッケージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のシステム及び方法を説明する前に、本発明は、そのようなシステム及び方法及び組み合わせが当然ながら変化する場合があるので、説明した特定のシステム及び方法又は組み合わせに限定されないことを理解されたい。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は限定することを意図していないことを理解されたい。
【0018】
本明細書で使用される単数形態は、前後関係から明らかに別の意味を示さない限り、複数形態も含む。
【0019】
本明細書で使用される用語「備えている(comprising)」、「備える(comprises)」及び「から成る(comprised of)」は、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」、又は「含有している(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的又は開放的であり、追加の、非列挙の部材、要素又は方法ステップを除外しない。本明細書で使用される用語「備えている(comprising)」、「備える(comprises)」及び「から成る(comprised of)」は、用語「から成っている(consisting of)」、「成る(consists)」及び「から成る(consists of)」を包含することを理解されたい。
【0020】
終点による数値範囲の記述は、列挙された終点と同様に、それぞれの範囲内に包含される全ての数及び分数を含む。
【0021】
パラメータ、量、時間的持続時間などの測定可能な値に言及する場合、本明細書で使用される用語「約」又は「おおよそ」は、開示された発明において実行するためにそのような変動が適切である限り、規定値の±10%以下、好ましくは±5%以下、さらに好ましくは±1%以下、なお一層好ましくは±0.1%以下の変動を包含することが意味される。修飾語「約」又は「おおよそ」が指す値自体も、具体的に及び好ましくは開示されていることを理解されたい。
【0022】
部材グループの1又は2以上の部材又は少なくとも1つの部材などの、「1又は2以上の」又は「少なくとも1つの」という用語はそれ自体明確であるのに対し、さらなる例示によって、この用語は、特に、上記部材の任意の1つ、又は上記部材の任意の2以上、例えば、上記部材の任意の≧3、≧4、≧5、≧6、≧7等、さらにはすべての上記部材への言及を包含する。
【0023】
本明細書で引用された全ての文献は、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。詳細には、本明細書で具体的に言及される全ての文献の教示は、参照により組み込まれる。
【0024】
特に定義しない限り、技術用語及び科学用語を含む、本発明を開示するのに使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解される意味を有する。さらなる指針を用いて、本発明の教示をよりよく理解するために、用語定義が包含される。
【0025】
以下の節では、本発明の異なる態様がより詳細に定義される。このように定義された各態様は、それとは反対のことが明確に示されない限り、他の何らかの1又は複数の態様と組み合わせることができる。詳細には、好ましい又は有利であるとして示された何らかの特徴は、好ましい又は有利であるとして示された他の1又は複数の特徴と組み合わせることができる。
【0026】
本明細書を通じて「1つの実施形態」又は「一実施形態」への参照は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書中の様々な場所における「1つの実施形態において」又は「一実施形態において」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではないが、そうであってもよい。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、本開示から当業者に明らかなように、1又は2以上の実施形態において、何らかの適切な様式で組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれる他の特徴の全てではなく一部を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であり、当業者が理解できるように、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲において、何らかのクレームされた実施形態は、何らかの組み合わせで使用することができる。
【0027】
本発明の本説明において、本明細書の一部を構成する添付図面が参照され、図面には、本発明を実施することができる特定の実施形態が例示のためにのみ示されている。それぞれの要素に付された参照符号は、単に例示的にその要素を例示するものであり、それぞれの要素を限定することを意図するものでない。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的又は論理的な変更を行うことができることを理解されたい。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味でとられるものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0028】
用語「遠位」又は「遠位の」及び「近位」又は「近位の」は、本明細書を通して使用され、装置の使用者(施術者)側に向かう(近位)又は離れる(遠位)ことを意味するものとして本技術分野では一般的に理解されている用語である。従って、「近位」又は「近位の」は、使用者側に向かって、従って、対象者(患者)側から離れることを意味する。逆に、「遠位」又は「遠位の」は、対象者側に向かって、従って、使用者側から離れることを意味する。用語「対象者」は、インプラントを受ける人間又は動物を意味する。用語「使用者」は、インプラントを行う人(例えば、外科医、専門家、施術者)を指す。
【0029】
本明細書では、例えば図1及びに例示されるようなインプラント(230)の送出のための送出シャフト組立体(200)を保持して提供するためのパッケージ(100)が提示される。パッケージ(100)は、バイアル(400)と、バイアル保持空間(410)内に取り付けられた挿入体(300)とを備える。バイアル保持空間(410)は、典型的には、インプラント(230)を埋め込むための状態、例えば水和状態に維持するための液体を含む。挿入体(300)は、挿入装置ツール(500)への結合中に送出シャフト組立体(200)のアダプタ(210)を支持するように構成された力受け体(308)を備える。挿入体(300)は、送出シャフト組立体(200)の送出シャフト(220)を解放可能に保持するように構成されたシャフト保持機構(310)をさらに備える。シャフト保持機構(310)は、アダプタ(210)への結合中に挿入装置ツール(500)による力の適用が、シャフト保持機構(310)を作動させて、挿入体(300)及びバイアル(400)からの送出シャフト組立体(200)の離脱のために、保持された送出シャフト(220)を解放するように構成される。
【0030】
有利には、パッケージ(100)は、輸送及び保管中にバイアル(400)内の送出シャフト組立体(200)の位置を安定させ、輸送及び取り扱い振動による送出シャフトからのインプラントの意図しない喪失を防止する。シャフト保持機構(310)の解除又は保持状態を挿入装置ツール(500)による力の適用に連動させることにより、送出シャフト組立体(200)は、使用の瞬間までバイアル保持空間(410)及び液体中に保持され、挿入装置ツールが結合するのと同時に挿入体(300)から解放される。パッケージ(100)は、送出シャフト組立体(200)を含む場合又は含まない場合がある。パッケージ(100)は、挿入装置ツール(500)を含む場合又は含まない場合がある。
【0031】
送出シャフト組立体(200)は、アダプタ(210)及び送出シャフト(220)を備える。送出シャフト(220)は、インプラント(230)を保持する内腔(222)と、挿入装置ツール(500)に結合するように構成されたアダプタ(210)とを備える。インプラント(230)は、送出シャフト(220)の遠位端(40)に又はそこに向かって配置される。アダプタ(210)は、送出シャフト(220)の近位端(20)に配置される。アダプタ(210)は、挿入装置ツール(500)の一部のための受入空間(212)と、受入空間(212)を送出シャフト(220)の内腔(222)に接続する開口(214)とを備える本体を有する。内腔(222)は、挿入装置ツール(500)の排出シャフト(510)がそこを通過するように構成される。インプラント(230)は、挿入装置ツール(500)の作動によって送出シャフト(220)から放出され、それによってインプラント(230)をターゲットに送出することができる。例示的な送出シャフト組立体(200)は、国際公開第2017/108498号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
挿入装置ツール(500)は、送出シャフト組立体の内腔(220)に収容されるように構成された排出シャフト(510)を備える。排出シャフト(510)は、インプラント(230)に当接するように構成することができる。送出シャフト(220)及び/又は排出シャフト(510)の移動は、インプラント(230)の内腔(222)からの離脱を引き起こす。
【0033】
排出シャフト(510)の遠位(40)方向への前進は、インプラント(230)に力を加え、これをシャフト組立体の内腔(220)から放出させることができる。代替的に又は追加的に、固定された排出シャフト(510)に対する送出シャフト(220)の後退よって、インプラント(230)がシャフト組立体内腔(220)から放出される。
【0034】
挿入装置ツール(500)は、アダプタ(210)と結合するように構成されたアダプタ結合部(520)を備える。アダプタ結合部(520)とアダプタ(210)との間の結合は、解放可能又は解放不能とすることができる。解放不能な結合は、例えば、アダプタ結合部(520)又はアダプタ(210)の一方に柔軟(compliant)部材を設け、他方に往復動の停止部材を設け、柔軟部材が部品(520、210)の結合の間に停止部材を越えて一方向に摺動し、柔軟部材が他のスライド方向で停止部材に係合して部品(520、210)の解放を防止することによって達成することができる。この機構は、ラチェット機構の一方向の移動と同様である。
【0035】
インプラントが固定された排出シャフト(510)に対する送出シャフト(220)の後退によって放出される場合、アダプタ結合部(520)は、固定された排出シャフト(510)に対して摺動可能とすることができる。摺動可能なアダプタ結合部(520)は、準備位置と配備位置とを有する。準備位置では、摺動可能なアダプタ結合部(520)は、アダプタ(210)及び送出シャフトの内腔(222)を最遠位位置に配置する。固定された放出シャフト(510)は、インプラント(230)に当接することができ、送出シャフトの内腔(222)は、インプラント(230)をカバーすることができる。配備位置では、摺動可能なアダプタ結合部(520)は、アダプタ(210)及び送出シャフトの内腔(222)を最近位位置に配置する。排出シャフト(510)はインプラント(230)に当接し、送出シャフトの内腔(222)は近位(20)方向に後退し、インプラント(230)は離脱する。排出シャフト(510)の前進によってインプラントが放出される場合、固定されたアダプタ結合部(520)に対して摺動可能な排出シャフト(510)は、インプラント(230)に遠位方向の放出力を加え、インプラントを内腔(222)から放出させる。
【0036】
図5は、挿入装置ツール(500)部分の例を提示し、挿入装置ハウジング又はシャーシ(550)(固定)と、送出シャフト組立体(200)のアダプタ(210)と係合するように構成された摺動可能なアダプタ結合部(520)とを示す。排出シャフト(510)は、ハウジング(550)に対して固定された状態で配置される。アダプタ(210)がアダプタ結合部(520)に係合されると、送出シャフト組立体(200)は、移動ガイド(318)が解放位置にある間に、パッケージ(100)から持ち上げることができる。この例では、アダプタ結合部(520)は、ハウジング(550)に対して摺動可能であり、準備位置で示されており、例えば、アダプタ結合部(520)が挿入装置ツールハウジングに対して固定された関係で配置されて排出シャフト(510)が摺動可能である、挿入装置ツール(500)の他の構成が存在することが理解される。
【0037】
図7は、挿入装置ツール(500)の一部を示し、挿入装置ハウジング又はシャーシ(550)(固定)と、送出シャフト組立体(200)のアダプタ(210)に結合された摺動可能なアダプタ結合部(520)とを示している。パネルAにおいて、挿入装置ツール(500)は、準備位置で示されており、アダプタ結合部(520)は、遠位(40)位置にある。準備位置では、インプラント(230)は、送出シャフトの内腔(222)内に保持される。パネルBにおいて、挿入装置ツール(500)は、配備位置で示されており、アダプタ結合部(520)は、近位(20)位置まで後退している。配備位置では、送出シャフトが後退し、それによって送出シャフトの内腔(222)からインプラント(230)が放出される。
【0038】
例示的な挿入装置ツール(500)は、国際公開第2017/108498号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
シャフト保持機構(310)は、保持状態(送出シャフト(222)、従って送出シャフト組立体(200)がシャフト保持機構(310)によって固定保持される状態)及び解放状態(送出シャフト(222)、従って送出シャフト組立体(200)が挿入体(300)から自由である状態)を有することができる。保持状態から解放状態への移動は、アダプタ(210)への結合時に挿入体ツール(500)の力によって駆動される。例示的なシャフト保持機構(310)は、図2、3Aから3C、4に示されている。
【0040】
シャフト保持機構(310)は、送出シャフト(222)の少なくとも一部をクランプするために(保持状態において)協働するように構成された第1の本体(312)及び第2の本体(314)を備えることができる。送出シャフト(220)は、力受け体に対して固定された関係でクランプすることができる。
【0041】
第1の本体(312)及び第2の本体(314)は、クランプ領域(312a、314a)内で送出シャフトを少なくとも部分的にクランプするために保持状態で協働することができ、クランプ領域内の送出シャフトの内腔(222)は少なくとも部分的に狭くなり、それによってインプラント(230)の近位(20)方向の動きを制限するようになっている。送出シャフトの内腔(222)を狭くする例示的なクランプ領域(312a、314a)は図4に示されている。
【0042】
第1の本体(312)は、力受け体(308)に対して固定されたな関係(移動不可)で配置することができる。第2の本体(314)は、シャフト保持機構(310)の作動時に少なくとも部分的に第1の本体(312)から離れて移動し、それによって保持された送出シャフト(220)を解放するように構成することができる。
【0043】
第1の本体(312)及び第2の本体(314)は、縦長とすることができる。第1の本体(312)及び第2の本体(314)は、近位-遠位方向に縦長とすることができる。第1の本体(312)及び第2の本体(314)は、ヒンジ(例えば、リビングヒンジ)によって連結することができる。
【0044】
シャフト保持機構(310)は、作動ピン(316)及び移動ガイド(318)をさらに備えることができる。作動ピン(316)は、移動ガイド(318)に対して固定的な関係で取り付けることができる。結合時の挿入装置ツール(500)による力の適用は、ピン(316)及び移動ガイド(318)を保持位置から解放位置へ進める。第2の本体(314)に摺動可能に結合された移動ガイド(318)は、保持位置から解放位置への第2の本体(314)の動きをもたらす。
【0045】
移動ガイド(318)は、少なくとも部分的にカム経路を有する、少なくとも1つ又は2つ又はそれ以上(好ましくは2つ)のガイドスロット(320)を備える。カム経路は、第1の方向(例えば近位-遠位)の直線運動を第2の方向(例えば第1の方向に垂直な方向)の直線運動に変換するリニアカムである。
【0046】
第2の本体(314)は、ガイドスロット(320)に係合される突起(322)を備えることができる。突起(322)は、ガイドスロット(320)ごとに1つとすることができる。突起(322)は、第2の本体に対して固定的な関係とすることができる。突起(322)は、カム経路の従動子とすることができる。
【0047】
移動ガイド(318)の保持位置から解放位置への移動は、ガイドスロット(320)の摺動(第1方向の)とカム経路に沿った突起(322)の移動(第2方向の)をもたらし、それによって第1の本体(312)から第2の本体(314)の少なくとも一部を離すようになっている。
【0048】
図3のパネルAからCは、送出シャフト組立体(200)を備える本明細書に記載のパッケージ(100)を示し、シャフト保持機構(310)を作動させてこれを保持状態(パネルA)から解放状態(パネルB及びC)に動かすステップを示している。パネルAにおいて、保持状態にあるシャフト保持機構(310)は、第1の本体(312)と第2の本体(314)との間で送出シャフト(220)をクランプしている。パネルBにおいて、作動ピン(316)に加えられた下向きの力(近位-遠位)(317)は、移動ガイド(318)を下方向に変位させる。ガイドスロット(320)に係合した突起(322)又は従動子は、横方向に変位(319)し、第2の本体の横方向への動きが生じ、これによりシャフト保持機構(310)は解除状態に移動する。送出シャフト組立体(200)は解放され、挿入体(300)から、従ってパッケージ(100)から引き出す(205)ことができる(パネルC)。
【0049】
図6のパネルAからCは、送出シャフト組立体(200)を備える本明細書に記載のパッケージ(100)を示し、シャフト保持機構(310)を作動させて保持状態(パネルA)から解放状態(パネルB)に移動させるステップ、アダプタ結合部(520)をアダプタ(210)と結合させるステップ(パネルB)、及びパッケージ(100)からの送出シャフト組立体(200)を引き出すステップ(パネルC)を示している。パネルAにおいて、アダプタ結合部(520)は準備位置にあり、排出シャフト(510)は送出シャフトの内腔(222)内に挿入される。パネルBにおいて、挿入装置ハウジング(550)は、作動ピン(316)を下方に押し、それによって移動ガイド(318)を作動させて第2の本体(314)を解放位置に移動させる。パネルBにおいて、準備位置にある挿入装置のアダプタ結合部(520)は、送出シャフト組立体アダプタ(210)と結合している。アダプタ(210)は、力受け面(308)によってその遠位端で支持されるが、挿入装置のアダプタ結合部(520)は、結合をもたらすためにアダプタ(210)を下向きに(遠位方向に)押す。パネルCにおいて、挿入装置アダプタ結合部(520)が依然として準備位置にあり、シャフト保持機構(310)が解放位置にある状態で、送出シャフト組立体(200)は、挿入装置ツール(500)に結合されたパッケージ(100)から引き出すことができる。
【0050】
第1の本体(312)又は第2の本体(314)、好ましくは、第1の本体(312)は、保持部(324)を備えることができる。保持部は、第1の本体(312)又は第2の本体(314)にそれぞれ固定的(移動不可)に配置することができる。保持部(324)は、送出シャフト(220)の遠位先端と協働して、インプラント(230)の遠位端(40)方向への移動を制限するように構成されている。保持部(324)は、送出シャフト(220)の内腔(222)と少なくとも部分的に係合するように構成された突起(例えば、円錐形)を備えることができる。保持部(324)は、横方向(近位-遠位方向に対して垂直)に延びる中実体とすることができる。図4は、第1の本体(312)の遠位端(40)に固定された保持部(324)を示す。保持部(324)は、送出シャフトの内腔(222)の遠位端(40)をカバーし、インプラント(230)の遠位(40)通路を塞ぐことによって、インプラント(230)を保持する。保持部(324)は、遠位方向(40)へのインプラントの動きを制限する。
【0051】
挿入体(300)は、1又は2以上の液体移動体(340)をさらに備えることができる。液体移動体(340)は、パッケージ(100)の組み立て時の挿入体(300)の配置時にバイアル保持空間(410)から液体を移動させるように構成されている。これにより、バイアル保持空間(410)は、最小限の気泡で満たされることになる。液体移動体(340)は、リング状の外観を有することができる。挿入体(300)は、バイアルから移動した液体を通過させるように構成されたオーバーフロー出口(342)をさらに備えることができる。オーバーフロー出口(342)は、1又は2以上の液体移動体(340)への流路として近位方向に延在することができる。図8は、挿入体(300)の近位端(20)に配置された複数の液体移動体(340)と、過剰な液体が保持空間(410)から排出されるオーバーフロー出口(342)とを示す。
【0052】
バイアル(400)は、バイアル保持空間(410)を画定するバイアル本体(402)から形成することができる。バイアル保持空間(410)は、液体、例えば水溶液、有機溶媒を保持するようになっている。バイアル(400)は、挿入装置ツール(500)の遠位部分を受け入れるように構成された近位端(20)に開口(412)を有する。開口(412)は、キャップ又は取り外し可能なシールによって閉じることができる。バイアル(400)は、挿入体(300)を支持するように構成された1又は2以上の支持部材(420)と共に配置することができる。支持部材(420)は、遠位(40)方向への挿入体(300)の動きを制限するように構成されている。詳細には、挿入装置ツール(500)によって力受け面(308)に力が加えられると、支持部材(420)は、挿入体(300)の動き及びその損傷を防ぐ。支持部材(420)は、力受け体(308)と係合するバイアル本体(402)上の隆起部として提供することができる。例示的なバイアルは、図2に詳細に示されている。
【0053】
インプラント(230)は、挿入装置ツールを用いて対象物(動物、人間)の中に任意の配置することができる。詳細には、インプラント(230)は、緑内障の治療のためのインプラントとすることができる。詳細には、インプラント(230)は、眼内シャントとすることができる。インプラント(230)は、強膜と脈絡膜との間、すなわち、脈絡膜上腔に埋め込むためのものとすることができる。インプラント(230)は、国際公開第2017/108498号に記載されているようなインプラントとすることができる。詳細には、インプラントは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2017/108498号の13頁1行目から14頁5行目、及び/又は21頁25行目から22頁21行目に記載されているようなものとすることができる。
【0054】
挿入装置ツール(500)は、国際公開第2017/108498号に記載されているようなインプラント装置とすることができる。送出シャフト組立体(200)は、国際公開第2017/108498号に記載されているようなワンタッチ継手接続要素又はアダプタ(210)を備えることができる。例えば、国際公開第2017/108498号では、26頁から33頁にインプラント装置(500)及び送出シャフト組立体(200)が説明されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
【国際調査報告】