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特表2023-515892銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム及びその加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム及びその加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/62 20060101AFI20230407BHJP
   H01R 4/02 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
H01R4/62 A
H01R4/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560265
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 CN2021084920
(87)【国際公開番号】W WO2021197423
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】202010250067.6
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519157831
【氏名又は名称】吉林省中贏高科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【テーマコード(参考)】
5E085
【Fターム(参考)】
5E085BB03
5E085BB14
5E085CC03
5E085DD04
5E085DD13
5E085FF13
5E085HH06
5E085HH11
5E085JJ06
(57)【要約】
本発明は、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム及びその加工方法を開示し、銅端子と、アルミ導体と前記アルミ導体の外周を被覆する絶縁層を含むアルミケーブルとを含み、電気エネルギー伝送アルミ部品をさらに含み、絶縁層が除去された一部のアルミ導体が前記電気エネルギー伝送アルミ部品内に押し付けされてコネクタを形成し、前記電気エネルギー伝送アルミ部品とアルミ導体の先端によって溶融層を形成し、前記銅端子の電気エネルギー伝送アルミ部品に溶接される端部に溶接台が設置されていて、前記溶融層が前記溶接台を被覆して金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層を形成する。本発明によると、銅とアルミの間の内部応力を低下させ、銅アルミ溶接継手の力学性能を向上させ、また、移行層における銅アルミ化合物を減少することで銅アルミ溶接継手の電気学性能を向上させるとともに、移行層に対する外部環境の侵食経路を増加して銅アルミ溶接継手の金属腐食問題を解決し、寿命を延長させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅端子と、アルミ導体と前記アルミ導体の外周を被覆する絶縁層を含むアルミケーブルと、を含む銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムであって、
電気エネルギー伝送アルミ部品をさらに含み、絶縁層が除去された一部のアルミ導体が前記電気エネルギー伝送アルミ部品内に包まれてコネクタを形成し、
前記銅端子は前記コネクタと溶接する端部に溶接台を設置していて、前記溶接台と前記コネクタとの間に、金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層を形成する銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム。
【請求項2】
前記コネクタが先端に溶融層を有する請求項1に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム。
【請求項3】
前記溶融層が前記溶接台の端面の周囲から銅端子へ向いて延長被覆層を形成する請求項2に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム。
【請求項4】
前記延長被覆層は少なくとも銅端子の端部まで被覆されている請求項3に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム。
【請求項5】
前記溶融層は厚さが0.01cm~15cmである請求項2乃至4のうちのいずれか一項に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム。
【請求項6】
前記溶接台は、コネクタに溶接される端面と銅端子の端部に接続される根元とを含み、前記端面の断面積が前記根元の断面積より小さい請求項1に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム。
【請求項7】
前記溶接台の端面の断面積が少なくとも根元の断面積の50%である請求項1に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム。
【請求項8】
前記溶接台は高さが0.01cm~15cmである請求項1に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム。
【請求項9】
前記移行層は10wt%以上の銅アルミ固溶体を含む請求項1に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム。
【請求項10】
前記移行層は厚さが0.01μm~6000μmである請求項1に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム。
【請求項11】
前記銅端子は表面に金属メッキ層を設置している請求項1に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム。
【請求項12】
前記金属メッキ層の材質が少なくともニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミ、スズ、チタン、亜鉛、銅、銀または金の中の一つを含む請求項1に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム。
【請求項13】
前記アルミケーブルは前記絶縁層の外周に被覆されて電磁干渉をシールドするためのシールド層をさらに含む請求項1に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム。
【請求項14】
絶縁層が除去されたアルミ導体を電気エネルギー伝送アルミ部品内に嵌入して、締付装置を用いて前記アルミ導体を前記電気エネルギー伝送アルミ部品内に押し込むことにより電気エネルギー伝送アルミ部品によって被覆されたコネクタを形成するプリ組立ステップと、
溶接台付き銅端子と前記コネクタとを溶接して、前記溶接台と前記コネクタとの間に金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層を形成する溶接ステップと、を含む銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの加工方法。
【請求項15】
前記溶接ステップにおいて、コネクタの先端に溶融層を形成することをさらに含む請求項14に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの加工方法。
【請求項16】
機械加工装置を用いて、前記銅端子の端面に溶接台を加工する溶接台作製ステップをさらに含む請求項14または15に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性金属コネクタの技術分野に関し、特に、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム及びこのような銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの加工方法に関する。
[関連出願]
本発明は、特許出願番号が202010250067.6、発明の名称が「銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム及びその加工方法」の中国発明特許の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
銅または銅合金の材質は良好な導電性、熱伝導性、塑性を有するため電気接続分野で広く応用されている。しかし、銅資源が不足し、地殻中の銅の含有量が約0.01%にすぎず、使用年限の増加に伴い、銅のコストは年々増加している。そのため、コストの削減のために金属銅の代替品を探し始めた。
【0003】
地殻中の金属アルミの含有量は約7.73%で、精製技術が最適化された後、価格が比較的に低く、また同様に優れた導電性、熱伝導性や塑性加工性を持っているため、自動車電気接続分野において銅の替わりにアルミを用いることが現在の発展の主要な傾向である。
【0004】
アルミは、銅に対して硬度、塑性と耐食性がやや劣るが、軽量で、導電率が銅に次ぐものであるので、電気接続の分野において銅を部分的に置き換えることができる。ただし、銅とアルミは、電極電位差が大きいため、直接接続すると、銅とアルミの間で電気化学的な腐食が発生し、アルミが容易に腐食されて接続領域の抵抗を増大させ、電気接続中に例えば機能障害、火災などの深刻な結果を生じやすい。
【0005】
これまでの銅とアルミの接続方式は一般的に溶融溶接、冷間圧接溶接、電子ビーム溶接、爆発溶接などがあり、これらの溶接形態で溶接された継手は脆性が大きく、溶接ラインに気孔や亀裂が生じやすく、特に、高温処理された溶接ラインにおいては、結晶粒が粗くなって、溶接基板の接合面の機械的及び電気的性能に深刻な影響を与え、自動車の電気接続分野のニーズを満たすことができなくなる。
【0006】
現在の銅とアルミの接続形態は、通常、摩擦溶接、超音波溶接、抵抗溶接などがあり、銅アルミ複合伝送システムにおける銅とアルミの接触面の安定性を高めるために、従来技術によると、銅とアルミの初期接触面の面積を増やすことでより安定したシステムを得ていた。摩擦溶接の場合は、銅アルミ溶接部品の相対的な回転摩擦によってエネルギーを発生し、超音波溶接の場合は、銅アルミ溶接部品の相対的な変位摩擦によってエネルギーを発生し、抵抗溶接の場合は、銅アルミ溶接部品の間に電流を流して接触抵抗によってエネルギーを発生し、それから圧力を加えて、銅アルミ溶接部品を一体に溶接させる。同時に、なお、摩擦溶接と超音波溶接の場合、銅アルミ溶接部品の接触面が比較的に平滑な平面であるため摩擦係数が小さくなり、発生される溶接エネルギーが低い。抵抗溶接の場合、溶接部品の接触面が平坦であるほど、接触抵抗が小さくなり、発生される溶接エネルギーが低下する。溶接吸収するエネルギーが低下すると、銅とアルミ間の溶接品質が低下し、バッチ事故が発生しやすくなる。溶接接触領域に十分なエネルギーを吸収させるためには、溶接エネルギーの出力を大きくしなければならず、多くのコスト浪費をもたらす。
【0007】
また、摩擦溶接された銅アルミ溶接部品が比較的に回転摩擦するが、実は銅アルミ溶接部品の中心点は相対的な線速度を有せず、銅アルミ溶接の外周に近づくほど、銅アルミ溶接部品の回転する線速度が比較的大きくなるため、銅アルミ溶接部品の中心と外周の摩擦によるエネルギーが異なっていて、銅アルミ溶接部品の中心はまだ溶接されていないが、外周は過度に溶接されていることが発生し、同時に、溶接ラインにも大量の内部応力が発生して、溶接が完了した後に溶接継手の性能が合格しても、長期に渡って使用した後、溶接箇所が脆く断裂して、深刻な場合は重大な事故につながることがある。
【0008】
従って、導電性金属コネクタの技術分野では、構造が簡単で、溶接プロセスがより安定的で、より優れた力学性能と電気学性能を持ち、寿命がより長い銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムが必要である。
【発明の開示】
【0009】
既存技術の不足を克服するため、本発明は、銅とアルミの初期接触面の面積を減少し、銅とアルミの接触面の初期摩擦係数を増加させることで、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを作製するに必要なエネルギーを減少させ、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気学性能を向上させ、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの使用コストを削減する銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを提供することをその目的とする。同時に、移行層を増加して、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムに対する外部環境の侵食経路に抵抗し、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの腐食問題を解決し、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの寿命を延長する。
【0010】
上記目的を実現するため、本発明に用いられた技術案の内容は以下の通りである。
【0011】
本発明は、銅端子と、アルミ導体と前記アルミ導体の外周を被覆する絶縁層を含むアルミケーブルと、を含む銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムであって、電気エネルギー伝送アルミ部品をさらに含み、絶縁層が除去された一部のアルミ導体が前記電気エネルギー伝送アルミ部品内に包まれてコネクタを形成し、前記銅端子は前記コネクタと溶接する端部に溶接台を設置していて、前記溶接台と前記コネクタとの間に、金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層を形成する銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを公開する。
【0012】
本発明は、
絶縁層が除去されたアルミ導体を電気エネルギー伝送アルミ部品内に嵌入して、締付装置を用いて前記アルミ導体を前記電気エネルギー伝送アルミ部品内に押し込むことにより、電気エネルギー伝送アルミ部品によって被覆されたコネクタを得るプリ組立ステップと、
前記溶接台付き銅端子と前記コネクタとを溶接して、前記溶接台と前記コネクタとの間に金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層を形成する溶接ステップと、を含む銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの加工方法をさらに公開する。
【0013】
既存技術に対する本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0014】
1、本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムによると、既存の研究結果と異なって、既存技術においては、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムにおける銅とアルミの初期接触面積を増加することで銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気学性能を確保し、また銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを作製する溶接エネルギーを増大することで初期接触面積の増加による溶接エネルギーの需要量の増加を確保して、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを作製する形態を用いていた。本発明によると、銅とアルミの初期接触面積を減少させて、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを作製するために必要なエネルギーを著しく低減するとともに、既存技術に比べ銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気学性能を向上させ、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの寿命を著しく延長し、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの作製コストを低減させる。本発明によると、銅端子に前記コネクタと溶接させるための端部の溶接台を加えることで、銅とアルミの初期接触面積を減少し、銅とアルミの接触面の摩擦係数を増加し、移行層を増やして銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムに対する外部環境の侵食経路に抵抗し、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気学性能を著しく増加させ、銅とアルミの腐食問題を効果的に遅らせ、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの寿命を著しく延長し、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを作製するためのエネルギーの需要量を顕著に低減して、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの作製コストや使用料が明らかに削減した。
【0015】
2、本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムによると、電気エネルギー伝送アルミ部品とアルミ導体の先端が溶接台を介して銅端子に溶接されて、電気エネルギー伝送アルミ部品とアルミ導体が溶接された状況でさらに融合されて溶融層となる。この溶融層は電気エネルギー伝送アルミ部品とアルミ導体の表面の緊密な酸化膜を破壊するとともに、電気エネルギー伝送アルミ部品とアルミ導体の機械性能と電気性能を向上させる。同時に、この溶融層のギブズ自由エネルギーのエネルギーが比較的に低く、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの作製中に溶接台と銅アルミ固溶体をメインとする移行層を形成しやすく、移行層における脆性銅アルミ化合物の重量割合を著しく減少させ、銅アルミ溶接継手の力学と電気学性能を著しく向上させる。
【0016】
3、本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムによると、前記銅端子の溶接側に溶接台を設置して、銅端子の溶接側と溶融層との最終的な接触面積を増やし、銅とアルミが溶接される時に発生する内部応力を低下させ、銅アルミの溶接面の機械性能をさらに強化する。
【0017】
4、溶接形態が摩擦溶接である場合、溶接台によって銅アルミの溶接中心位置をまず摩擦してエネルギーを発生させた後、銅端子の根元によって摩擦してエネルギーを発生することで、摩擦によるエネルギーの発生がさらに均一になって、溶接する際に発生される電気性能の悪い銅アルミ化合物を減少させ、溶接面の力学性能と電気性能を向上させ、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを作製するコストを削減する。
【0018】
5、溶接形態が超音波溶接である場合、同じ圧力で溶接台とコネクタとの相互摩擦係数が増大し、摩擦による熱量が大きくなって、溶接面の力学性能と電気性能を向上させ、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを作製するコストを削減する。
【0019】
6、溶接形態が抵抗溶接である場合、溶接台とコネクタとの接触抵抗が大きく、高エネルギーが発生され、溶接エネルギーの安定性が保証されて、溶接面の力学性能と電気性能を向上させ、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを作製するコストを削減する。
【0020】
7、本発明に記載の延長被覆層が前記移行層の外側に被覆されていて、移行層に対する外部環境の侵食を減少する。そして、溶接台の外側の辺によって外部環境による前記移行層に対する侵食経路を延長して、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの耐腐食性を向上させ、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの寿命を約20%延長させる。
【0021】
8、本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムによると、溶接する前に機械加工装置によって銅端子の溶接側に溶接台を加工して、溶接中に前記溶融層と前記銅端子の溶接台とが圧力の作用で、銅アルミ原子が相互浸透しまたは相互結合した移行層を形成し、この移行層によって、銅アルミの間の電気化学腐食を有効に減少し、銅アルミ固溶体の重量パーセントを増加し、脆性の銅アルミ化合物の発生を減少し、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの寿命を増加させることができる。
【0022】
9、本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムによると、銅端子にメッキ層を設けて、溶接する前は銅端子のメッキ層を除去せず、溶接中に前記溶融層、銅端子とメッキ層金属によって、銅、アルミとメッキ層金属の原子が相互浸透しまたは相互結合した移行層を形成することができる。前記メッキ層金属として、電位が銅とアルミの間にある金属材質または化学安定性が非常に強い金属材質を選択し、移行層において、銅とアルミの間の大きい電位による電気化学腐食を緩和して、前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの寿命を延長することができる。
【0023】
10、本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムによると、シールド層付きアルミケーブルを含むことができ、主に電気自動車に用いられる高圧ワイヤーハーネスに応用される。電気自動車のワイヤーハーネスの重量を明確に低減し、エネルギーの消費を削減し、前記高圧ワイヤーハーネスのコストを低減することができる。
【0024】
11、本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの加工方法によると、機械加工装置を用いて前記銅端子の端面に溶接台を加工する溶接台作製ステップをさらに含み、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの作製コストを著しく低減することができる。オンラインで溶接台を作製する方法によると、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム作製の合格率を著しく向上させ、作製損失費用をさらに低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの突合せ溶接の構造を示す図である。
図2】本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの突合せ溶接の構造を示す図である。
図3】本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの重ね溶接の構造を示す図である。
図4】本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの突合せ溶接と、シールド層付きアルミケーブルを用いた構造を示す図である。
図5】本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの突合せ溶接と、シールド層及び外絶縁層付きアルミケーブルを用いた構造を示す図である
図6】本発明に記載の移行層の電子鏡像図である。
図7図5におけるテストポイント1の電子鏡像拡大図とX線エネルギースペクトル図であり、ここで、aは電子鏡像拡大図で、bはX線エネルギースペクトル図である。
図8】銅端子の溶接端に溶接台を設置していない銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引張力のシミュレーション実験図である。
図9】銅端子の溶接端に溶接台を設置していない銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引張力のシミュレーション実験の結果を示す図である。
図10】銅端子の溶接端に溶接台が設置されている銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引張力のシミュレーション実験図である。
図11】銅端子の溶接端に溶接台が設置されている銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引張力のシミュレーション実験の結果を示す図である。
【発明を実施するための最良な形態】
【0026】
本発明において、所定の発明目的を実現するために採用した技術手段及び効果をさらに説明するため、以下図面と好ましい実施例を結合して、本発明の具体的な実施形態、構造、特徴及びその効果を詳しく説明する。
【0027】
図1に示すように、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは、銅端子1とアルミケーブル6とを含み、前記アルミケーブル6は、アルミ導体2と前記アルミ導体2の外周に被覆される絶縁層3とを含み、また、電気エネルギー伝送アルミ部品4をさらに含み、絶縁層が除去された一部のアルミ導体2が前記電気エネルギー伝送アルミ部品4内に包まれてコネクタを形成する。前記銅端子1の前記コネクタと溶接するための端部に溶接台11が設置されていて、前記溶接台11と前記コネクタとの間に金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層12が形成される。
【0028】
さらに好適な技術案として、前記電気エネルギー伝送アルミ部品として、アルミ製の管状構造の導電アルミ部品を用いることができるが、これに限定されることはない。
【0029】
本発明に記載の金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層とは、前記コネクタと銅端子が摩擦または電流または電気アークによってエネルギーを発生し、その後溶接機器によってコネクタと銅端子に相互に押し合う圧力を加え、溶接界面において、銅とアルミの原子がエネルギーの作用で相互に浸透して相手の結晶格子に溶け込んで銅アルミ固溶体を発生させたものを言う。そして、少量の銅原子とアルミ原子との間で金属結合による結合によって、銅アルミ化合物が発生する。
【0030】
銅とアルミとの間に大きい電位差があるため、普通の銅とアルミを電気的に接続すると、いずれも電気化学腐食によって寿命が低減される。本発明において、銅とアルミとの間に金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層が形成されて、銅とアルミとの間の電気化学腐食を有効に減少させ、前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの寿命を約20%を延長するとともに、銅とアルミの接続の電気学性能と力学性能を向上させる。
【0031】
図5図6に示すように、上述した移行層の電子鏡像図で、銅とアルミの溶接界面の移行層を示している。また、移行層のX線エネルギースペクトル図においては移行層の大体の元素分布を示している。
【0032】
さらなる技術案として、本発明に記載のコネクタは先端に溶融層5を有する。溶融層と電気エネルギー伝送アルミ部品及びアルミ導体との間には隙間が全然なく、これにより銅端子と電気エネルギー伝送アルミ部品及びアルミ導体との間のシームレス接続を実現し、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの機械性能と電気学性能をさらに保証することができる。
【0033】
本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムによると、電気エネルギー伝送アルミ部品とアルミ導体の先端が溶接台を介して銅端子に溶接されて、電気エネルギー伝送アルミ部品とアルミ導体が溶接された状態でさらに融合されて溶融層となり、電気エネルギー伝送アルミ部品とアルミ導体の表面の緊密な酸化膜を破壊して、電気エネルギー伝送アルミ部品とアルミ導体の機械性能と電気性能を向上させるとともに、後続の溶接中においてよりよく移行層を形成することができる。
【0034】
好適な技術案において、本発明に記載の溶融層5は、前記溶接台11の端面の周囲から銅端子へ向いて延長被覆層を形成する。
【0035】
銅の融点は1083℃で、アルミの融点は660℃で、実は、銅とアルミが溶接された後発生される熱によってまずアルミが溶融状態まで加熱されて溶融層を形成する。一方、上述した溶融層5が前記溶接台11の端面の周囲から銅端子へ向いて延長被覆層7を形成することは、使用中に銅とアルミの溶接面が直接に外部環境に接触することを回避して、銅とアルミの溶接面の溶接ラインを保護し、銅とアルミの溶接面の腐食可能性を低減し、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの寿命を延長するためである。そして、一般的な既存の溶接形態によると、前記溶融層が圧力の作用で周囲へ広がってバリが発生されて、後続の使用においてバリ除去工程を追加しなければならない。本発明の前記溶融層によると、溶接機器の治具成形溝の作用で、直接に銅端子の方向に延長被覆層を形成することで、バリ除去工程を省略し、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの外観を美しくする。
【0036】
本発明において、研究の結果、溶融層5の厚さが銅端子1とアルミ導体2及び電気エネルギー伝送アルミ部品4との間の接続強度に影響を及ぼすことを発現した。具体的には、銅とアルミの摩擦強度が不足であるかまたは電流が小さいため発生される溶接熱が、より多い電気エネルギー伝送アルミ部品4とアルミ導体2を溶融させるのに不足である等の原因で溶融層5の厚さが小さすぎると、溶融層5と移行層12の強度が不足になり、前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能が低下される。そして、溶融層5の厚さが小さすぎるとともに移行層12の厚さが小さすぎるかまたは移行層12が形成されていないと、銅とアルミとの間の電気化学腐食が多く増加されて、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの電気学性能及び寿命を低減させる。溶融層5の厚さが大きすぎると、銅とアルミの摩擦強度が大きすぎるかまたは電流が大きいため発生される溶接熱が高すぎて、より多い電気エネルギー伝送アルミ部品4とアルミ導体2が溶融された後冷却されて、結晶格子が粗い金属構造を形成し、また多い銅アルミ化合物が混合されていて、溶融層5の機械強度が電気エネルギー伝送アルミ部品とアルミ導体2の母材材料の機械強度よりも低く、前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能を低下させる。同時に、前記溶融層5と移行層12に導電性の悪い銅アルミ化合物が多く混合されているため、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの電気学性能も低下される。これにより、本発明において、さらに好適な技術案として、前記溶融層の厚さは0.01cm~15cmである。
【0037】
さらなる技術案として、本発明に記載の前記延長被覆層7は少なくとも銅端子の端部まで被覆される。
【0038】
本発明に記載の延長被覆層が銅端子の端部まで被覆されて、外部環境による移行層に対する侵食を有効に回避することができる。そして、溶接台の外側辺によって外部環境による前記移行層に対する侵食経路を延長して、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの耐腐食性を増加させ、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの寿命を約20%延長する。
【0039】
さらなる技術案として、本発明に記載の溶接台は、コネクタに溶接される端面と銅端子の端部に接続される根元とを含み、前記端面の断面積は前記根元の断面積より小さい。溶接中において、電気エネルギー伝送アルミ部品及びアルミケーブルと摩擦する銅端子の端面は主に溶接台の端面であり、十分な摩擦エネルギーを発生させるためには、前記溶接台の端面が小さすぎてはいけなく、銅とアルミの接触摩擦面積が小さすぎると、溶接エネルギーの不足によって移行層の厚さが不足になって、溶接継手の力学性能と電気学性能に影響を及ぼすことがある。そのため、性能が優れた溶接継手を得るために、本発明に記載の溶接台の端面の断面積が少なくとも根元の断面積の50%であることが好ましい。
【0040】
本発明において、銅端子の溶接面に溶接台を設置し、銅とアルミを溶接する際に、中心位置の溶接台によってまずエネルギーを発生した後は溶接台の側面、最後は溶接台の底面がエネルギーを発生し、線速度が大きい領域ほど溶接時間は短く、これにより溶接する際に発生されるエネルギーがさらに均一になり、溶接する際に発生される電気性能の悪い銅アルミ化合物を減少させて、溶接面の電気性能を向上させる。一方、銅端子の端部に溶接台を設置することによって、銅端子の溶接側と溶融層との接触面積を増加させて、銅とアルミを溶接する際に発生される内部応力を低下させ、溶接面の機械性能を強化させる。そして、本発明に記載の延長被覆層が前記移行層の外側に被覆されて、移行層に対する外部環境の侵食を有効に減少させることができる。溶接台の外側の辺によって外部環境による前記移行層に対する侵食経路を延長して、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの耐腐食性を向上させ、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの寿命を約20%延長させる。本発明に記載の溶接台は高さが0.01cm~15cmであることが好ましい。
【0041】
さらなる技術案として、本発明に記載の移行層は10wt%以上の銅アルミ固溶体を含有する。
なお、前記移行層に少なくとも銅単体と、アルミ単体と、銅アルミ固溶体と、銅アルミ化合物を含有する。銅アルミ化合物は、Cu2Al、Cu3Al2、CuAl、CuAl2の中の一つまたは複数である。上述した移行層に含有される銅アルミ固溶体が10wt%未満であると、前記移行層内の他の成分が90wt%を超える。前記移行層における銅単体、アルミ単体の割合が大きいと、銅とアルミの溶接が充分に行われず、銅とアルミの単体が銅アルミ固溶体に融合されていないことを表す。前記移行層における銅アルミ化合物の割合が多いと、銅アルミ化合物の導電性が極めて悪く、且つ銅アルミ化合物の脆性が大きいため、大量に含有する場合は銅アルミ複合基材の機械性能と電気性能を低下させる。よって、本発明に記載の移行層は少なくとも10wt%の銅アルミ固溶体を含有する。
【0042】
さらなる技術案として、本発明に記載の移行層は厚さが0.01μm~6000μmである。
【0043】
本発明において、前記移行層12の厚さが小さすぎると、銅とアルミとの間の電気化学腐食が多く増加されて、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの電気学性能及び寿命を低減させる。前記移行層12の厚さが大きすぎると、導電性の悪い銅アルミ化合物が多く混合されているため、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの電気学性能も低下する。
【0044】
さらなる技術案として、本発明に記載の銅端子は表面に金属メッキ層が設置されている。銅端子が電気装置に接続されるべきであるため、空気や水に露出され、空気中に塩分さえある場所もあり、銅端子は酸化や塩水噴霧による腐食を受けて、端子の寿命を短縮し、深刻な場合は端子の短絡による燃焼事故が発生し、より大きな損失をもたらす。そのため、銅端子の表面に金属メッキ層を設置して、空気、水、塩水噴霧による侵食を有効に防止し、銅端子や銅アルミ継手の寿命を延長し、安全事故の発生を減少させる。前記メッキ層金属としては、電位が銅とアルミの間にある金属材質を選択し、移行層において、銅とアルミの間の大きい電位による電気化学腐食を緩和して、前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの寿命を延長する。そのため、本発明において、前記金属メッキ層の材質は少なくともニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミ、スズ、チタン、亜鉛、銅、銀または金の中の一つを含むことが好ましいが、これらに限定されることはない。
【0045】
さらなる技術案として、本発明に記載のアルミケーブルはさらに前記絶縁層の外周に被覆されて電磁干渉をシールドするためのシールド層8を含む。本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムはシールド層付きアルミケーブルが溶接されていて、主に電気自動車に用いられる高圧ワイヤーハーネスに応用される。電気自動車のワイヤーハーネスの重量を減少し、エネルギーの消費を削減し、前記高圧ワイヤーハーネスのコストを低減する。
【0046】
本発明はさらに銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの加工方法を提供し、該加工方法は以下のステップを含む。
プリ組立ステップ:絶縁層が除去されたアルミ導体を電気エネルギー伝送アルミ部品内に嵌入して、締付装置を用いて前記アルミ導体を前記電気エネルギー伝送アルミ部品内に押し込むことにより電気エネルギー伝送アルミ部品によって被覆されたコネクタを得る。
溶接ステップ:前記溶接台付き銅端子と前記コネクタとを溶接して、前記溶接台と前記コネクタとの間に金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層を形成する。
【0047】
さらなる技術案として、本発明に記載の溶接ステップにおいてさらにコネクタの先端に溶融層を形成することを含む。
【0048】
さらなる技術案として、本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの加工方法はさらに、機械加工装置を用いて、前記銅端子の端面に溶接台を加工する溶接台作製ステップを含む。
【0049】
以下の本発明の具体的な実施例であり、以下の実施例において、本発明に限定されていないかぎり、用いられる機器、装置、テスト方法等はいずれも既存技術に属する。
【0050】
(実施例1)
図1に示すように、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは、銅端子1とアルミケーブル6とを含み、前記アルミケーブル6はアルミ導体2と前記アルミ導体2の外周に被覆される絶縁層3とを含み、また、電気エネルギー伝送アルミ部品4をさらに含み、絶縁層が除去された一部のアルミ導体2が前記電気エネルギー伝送アルミ部品4内に包まれてコネクタを形成する。前記銅端子1の前記コネクタと溶接するための端部に溶接台11が設置されていて、前記溶接台11と前記コネクタとの間に金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層12が形成される。
【0051】
本実施例に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムによると、前記電気エネルギー伝送アルミ部品によって前記アルミ導体を被覆してコネクタを形成して、構造が簡単であり、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の加工が一層容易であり、電気エネルギー伝送アルミ部品の生産効率を大幅に向上させ、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの作製コストを削減することができる。
【0052】
前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは以下の工程によって加工される。
プリ組立ステップ:絶縁層が除去されたアルミ導体を電気エネルギー伝送アルミ部品内に嵌入して、締付装置を用いて前記アルミ導体を前記電気エネルギー伝送アルミ部品内に押し込むことにより電気エネルギー伝送アルミ部品によって被覆されたコネクタを得る。
クランピングステップ:溶接台付き銅端子を摩擦溶接機器の回転クランプにクランピングし、前記プリ組立ステップを経た後のアルミ導体と電気エネルギー伝送アルミ部品を移動クランプに組み立てる。
溶接ステップ:前記銅端子が回転クランプによって回転し、回転クランプの回転速度は1000R/Minであり、前記移動クランプによって前記コネクタが水平に移動しながら回転する銅端子へ押し付けられ、移動クランプの圧力は10000Nであり、摩擦によって熱を発生して前記コネクタの先端に溶融層を形成した後、圧力の作用で、前記溶融層が前記銅端子の溶接端の溶接台上に被覆され、溶接台とともに金属原子が相互浸透しまたは相互結合した移行層を形成する。
【0053】
該実施例において、発明者は前記移行層の構造を検出し、検出結果を図6図7に示した。
【0054】
(実施例2)
図1に示すように、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは、銅端子1とアルミケーブル6とを含み、前記アルミケーブル6はアルミ導体2と前記アルミ導体2の外周に被覆される絶縁層3とを含み、また、電気エネルギー伝送アルミ部品4をさらに含み、絶縁層が除去された一部のアルミ導体2が前記電気エネルギー伝送アルミ部品4内に包まれてコネクタを形成する。前記銅端子1の前記コネクタと溶接するための端部に溶接台11が設置されていて、前記溶接台11と前記コネクタとの間に金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層12が形成される。
【0055】
前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは以下の工程によって加工される。
プリ組立ステップ:絶縁層が除去されたアルミ導体を電気エネルギー伝送アルミ部品内に嵌入して、締付装置を用いて前記アルミ導体を前記電気エネルギー伝送アルミ部品内に押し込むことにより電気エネルギー伝送アルミ部品によって被覆されたコネクタを得る。
クランピングステップ:溶接台付き銅端子を摩擦溶接機器の回転クランプにクランピングし、前記プリ組立ステップを経た後のアルミ導体と電気エネルギー伝送アルミ部品を移動クランプに組み立てる。
溶接ステップ:前記銅端子を回転クランプによって回転し、回転クランプの回転速度は1000R/Minであり、前記移動クランプによって前記コネクタが水平に移動しながら回転する銅端子へ押し付けられ、移動クランプの圧力は10000Nであり、摩擦によって熱を発生して前記コネクタの先端に溶融層を形成した後、圧力の作用で、前記溶融層が前記銅端子の溶接端の溶接台上に被覆され、溶接台とともに金属原子が相互浸透しまたは相互結合した移行層を形成する。
【0056】
さらに、銅端子の溶接端に溶接台が設置されている場合と溶接台が設置されていない場合の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気学性能に対する影響を証明するため、発明者は上記二つの異なる銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムに一連の力学性能、電気学性能と寿命の実験を行った。
【0057】
具体的な実験過程は以下の通りである。銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの実際の使用環境をシミュレーションしたが、テスト条件は普通の環境より非常に厳しい程度まで追加して、実際の使用環境で長期にわたってこそ得られるテスト結果を短期間で得た。一連の実験は以下を含む。1)初期の引抜き力と電圧降下のテスト、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの初期の性能を得た。2)1000時間の塩水噴霧の実験、塩水噴霧実験箱を使用して銅アルミ複合電気エネルギー伝送システム上へ塩水を噴霧し、通常の沿岸環境での10年間の耐塩水噴霧テストの代わりとすることができる。3)200時間の高温低温実験、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを使用環境の最高温度と最低温度にそれぞれ一時間置いて、温度切り替え時間は5秒未満であり、100回循環して行っていて、外部の寒暖交替環境での10年間の高温低温テストの代わりとすることができる。4)120時間の振動実験、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを振動実験台上に固定して、使用環境に応じて振動幅を選択し、三つの方向で銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを振動させていて、通常の振動環境での10年間の振動テストの代わりとすることができる。5)6000時間の老化実験、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを老化実験箱に入れて、定格使用条件を超える環境をシミュレーションしていて、20年間の通常の使用環境での老化テストの代わりとすることができる。それぞれの実験を行った後、いずれも銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの電圧降下値と引抜き力値のテストを行った。実験結果を表1-1、表1-2と表1-3に示す。
【0058】
表1-1:銅端子の溶接台による銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下に対する影響(実験前と1000時間塩水噴霧実験を行った後)
【0059】
表1-2:銅端子の溶接台による銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下に対する影響(200時間の高温低温実験及び120時間の振動)
【0060】
表1-3:銅端子の溶接台による銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下に対する影響(6000時間の老化実験)
【0061】
上記表1-1、表1-2と表1-3の結果から、銅端子の溶接端に溶接台が設置されている銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの場合、初期の引抜き力値が銅端子の溶接端に溶接台が設置されていない銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムよりはるかに高く、また、電圧降下値も小さいことが分かる。それぞれ1000時間の塩水噴霧実験、200時間の高温低温実験、120時間の振動実験と6000時間の老化実験を行った後、銅端子の溶接端に溶接台が設置されている銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの場合、実験後の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力が依然として銅端子の溶接端に溶接台が設置されていない銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの初期引抜き力より高い。一方、銅端子の溶接端に溶接台が設置されていない銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの場合、実験後の引抜き力が明確に低く、力学性能が不安定であり、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムが離脱し、ケーブルが短絡し、軽ければ機能が失効し、重ければ燃焼事故を引き起こす可能性がある。銅端子の溶接端に溶接台が設置されている銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの場合、実験後の電圧降下は銅端子の溶接端に溶接台が設置されていない銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの初期電圧降下と大体同じである。銅端子の溶接端に溶接台が設置されていない銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの場合、実験後の電圧降下も明確に低減し、電気学性能が不安定であり、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの接触抵抗が上昇し、導電時に銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムが発熱し赤くなり、深刻な時には温度が高すぎて燃焼し、厳重な事故を引き起こす可能性がある。
【0062】
(実施例3)
図2図3に示すように、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは、銅端子1とアルミケーブル6とを含み、前記アルミケーブル6はアルミ導体2と前記アルミ導体2の外周に被覆される絶縁層3とを含み、また、電気エネルギー伝送アルミ部品4をさらに含み、絶縁層が除去された一部のアルミ導体2と絶縁層3を少なくとも一部有するアルミ導体が前記電気エネルギー伝送アルミ部品4内に包まれてコネクタを形成する。前記銅端子1の前記コネクタと溶接するための端部に溶接台11が設置されていて、前記溶接台11と前記コネクタとの間に金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層12が形成される。
【0063】
さらなる技術案として、図2図3に示すように、本発明に記載の電気エネルギー伝送アルミ部品は、導体圧接区間41と、絶縁層圧接区間43と、移行区間42と、を含み、前記絶縁層圧接区間43は内径が前記導体圧接区間41より大きく、前記導体圧接区間41と絶縁層圧接区間43との間は階段状の移行区間42によって接続される。前記アルミ導体2は導体圧接区間41内にスリーブ嵌合され、前記絶縁層3と絶縁層圧接区間43は締まりばめにより嵌合され、前記絶縁層3の先端は前記導体圧接区間41に入らない。該技術案において、絶縁層と電気エネルギー伝送アルミ部品との間の締まりばめによって、電気エネルギー伝送アルミ部品とアルミ導体との間に隙間が発生されることをさらに回避し、空気と水分が電気エネルギー伝送アルミ部品の内部に入る可能性を回避して、金属の腐食を有効に防止する。前記絶縁層は先端が前記移行区間内に位置し、階段状の移行区間によって圧接中に変形延長する絶縁層を収容することで、絶縁層が導体に押し付けられて抵抗が上昇して前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムが発熱しひいては燃焼してしまうことを防止する。
【0064】
前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは以下の工程によって加工される。
プリ組立ステップ:絶縁層が除去されたアルミ導体を電気エネルギー伝送アルミ部品内に嵌入して、締付装置を用いて前記絶縁層が除去されたアルミ導体と絶縁層を一部有するアルミ導体を前記電気エネルギー伝送アルミ部品内に押し込むことによりコネクタを得る。
クランピングステップ:溶接台付き銅端子を摩擦溶接機器の回転クランプにクランピングし、前記プリ組立ステップを経た後のコネクタを移動クランプに組み立てる。
溶接ステップ:前記銅端子を回転クランプによって回転させ、回転クランプの回転速度は1000R/Minであり、前記移動クランプによって前記コネクタが水平に移動しながら回転する銅端子へ押し付けられ、移動クランプの圧力は10000Nであり、摩擦によって熱を発生して前記コネクタの先端に溶融層を形成した後、圧力の作用で、前記溶融層が前記銅端子の溶接端の溶接台上に被覆され、溶接台とともに金属原子が相互浸透しまたは相互結合した移行層を形成する。
【0065】
該実施例において、溶接台による銅端子の溶接効果及び溶接継手の性能に対する影響を観察するため、発明者はそれぞれ溶接台付き銅端子と溶接台が設置されていない銅端子を用いて上記方法によって銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムを得て、その中溶接台が設置されていない銅端子は直接溶融層が形成されたコネクタの先端とともに移行層を形成し、この二つの銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムに対してシミュレーションソフトウェアAnsysによって引張力シミュレーション実験を行っていて、シミュレーション実験の方法は、それぞれ溶接台付き銅端子及び溶接台が設置されていない銅端子と溶融層が形成されたコネクタ先端の数理モデルをシミュレーションソフトウェアに導入し、銅端子とコネクタの両端にそれぞれ引張力を印加し、印加された引張力は1700Nであり、その後、ソフトウェアにより自動に境界面の内部応力をシミュレーションしていて、内部応力が大きいほど溶接が不安定で、引抜き力が小さい。引張力シミュレーション実験の過程及び結果を図8図11に示す。
【0066】
図8図11の結果が示すように、銅端子の溶接端に溶接台が設置されていない継手の内部応力は10.887Mpaであり、銅端子の溶接端に溶接台を有する継手の内部応力は8.2405Mpaである。溶接ラインの内部応力から分かるように、銅端子の溶接端に溶接台が設置されている継手の場合銅端子の溶接端に溶接台が設置されていない継手より内部応力が24.3%減少された。内部応力が小さいほど、引抜く時に銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムが破断され難く、銅端子の溶接端に溶接台が設置されている銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの溶接性能が明らかに優れていることが分かる。
【0067】
(実施例4)
図3に示すように、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは、銅端子1とアルミケーブル6とを含み、前記アルミケーブル6はアルミ導体2と前記アルミ導体2の外周に被覆される絶縁層3とを含み、また、電気エネルギー伝送アルミ部品4をさらに含み、絶縁層が除去された一部のアルミ導体2と絶縁層3を少なくとも一部有するアルミ導体が前記電気エネルギー伝送アルミ部品4内に包まれてコネクタを形成する。前記銅端子1の前記コネクタと溶接するための端部に溶接台11が設置されていて、前記溶接台11と前記コネクタとの間に金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層12が形成される。
【0068】
前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは以下の工程によって加工される。
プリ組立ステップ:絶縁層が除去されたアルミ導体を電気エネルギー伝送アルミ部品内に嵌入して、締付装置を用いて前記絶縁層が除去されたアルミ導体と絶縁層を一部有するアルミ導体を前記電気エネルギー伝送アルミ部品内に押し込むことによりコネクタを得る。
クランピングステップ:溶接台付き銅端子を超音波機器の固定クランプにクランピングし、前記プリ組立ステップを経た後のコネクタを超音波機器の振動クランプに組み立てる。
溶接ステップ:前記銅端子を移動しないように固定クランプに固定し、前記振動クランプによって前記コネクタが水平に移動しながら固定された銅端子へ押し付けられ、振動クランプの周波数は200KHzで、圧力は10000Nであり、振動摩擦によって熱を発生して前記コネクタの先端に溶融層を形成し、圧力の作用で、前記溶融層が前記銅端子の溶接端の溶接台上に被覆され、溶接台とともに金属原子が相互浸透しまたは相互結合した移行層を形成する。
【0069】
本実施例は、溶融層の厚さの差異による銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下及び溶接強度に対する影響を証明することを目的とし、そのため、溶融層の厚さが異なる銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力値、電圧降下値と溶接強度を観察し、その結果を表2に示す。
【0070】
表2:溶融層の厚さの差異による銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下に対する影響
【0071】
表に示す結果から、溶融層の厚さが0.01cm未満である場合、引抜き力が明らかに低いが電圧降下の値は高く、得られた銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの性能も比較的に悪いとともに、溶融層の厚さが小さすぎるため、銅とアルミの摩擦によって発生される熱が少なく、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの溶融層と移行層の強度が弱く、溶接した後銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気学性能も比較的に弱いことが分かる。
【0072】
溶融層が15cmを超える場合、引抜き力は明らかに低下傾向になっていて、電圧降下の値も明らかに上昇し、得られた銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの性能は比較的に悪く、銅とアルミの摩擦によって発生される熱が上昇し、摩擦溶接中にさらに多いコネクタの先端が溶融された後再び冷却されて結晶格子が粗い金属構造を形成し、逆に多い導電性の悪い銅アルミ化合物が発生されて、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気学性能が逆に低下する傾向にある。
【0073】
従って、本発明において、前記溶融層は厚さが0.01cm~15cmであることが好ましく、得られる銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力値、電圧降下値及び溶接強度はいずれも明らかな優位にある。
【0074】
(実施例5)
図3に示すように、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは、銅端子1とアルミケーブル6とを含み、前記アルミケーブル6はアルミ導体2と前記アルミ導体2の外周に被覆される絶縁層3とを含み、また、電気エネルギー伝送アルミ部品4をさらに含み、絶縁層が除去された一部のアルミ導体2と絶縁層3を少なくとも一部有するアルミ導体が前記電気エネルギー伝送アルミ部品4内に包まれてコネクタを形成する。前記銅端子1の前記コネクタと溶接するための端部に溶接台11が設置されていて、前記溶接台11と前記コネクタとの間に金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層12が形成される。
【0075】
前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは以下の工程によって加工される。
プリ組立ステップ:絶縁層が除去されたアルミ導体を電気エネルギー伝送アルミ部品内に嵌入して、締付装置を用いて前記絶縁層が除去されたアルミ導体と絶縁層を一部有するアルミ導体を前記電気エネルギー伝送アルミ部品内に押し込むことによりコネクタを得る。
クランピングステップ:溶接台付き銅端子を抵抗溶接機器の下電極にクランピングし、前記プリ組立ステップを経た後のコネクタを抵抗溶接機器の上電極に組み立てる。
溶接ステップ:前記銅端子を移動しないように下電極に固定し、前記上電極によって前記コネクタが下へ移動しながら固定された銅端子へ電流を流して押し付け、抵抗溶接機器により印加された電流は40KAであり、前記上電極により印加された圧力は10000Nであって、接触抵抗導電によって熱を発生して前記コネクタの先端に溶融層を形成し、圧力の作用で、前記溶融層が前記銅端子の溶接端の溶接台上に被覆され、溶接台とともに金属原子が相互浸透しまたは相互結合した移行層を形成する。
【0076】
該実施例において、発明者は溶接台の高さによる銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下及び溶接強度に対する影響を証明するため、溶接台の高さが異なる銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力値、電圧降下値と溶接強度を観察し、その結果を表3に示す。
【0077】
表3:溶接台の高さの差異による銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下に対する影響
【0078】
表3の結果から、前記溶接台の高さが0.01cm未満である場合、平らな溶接端面に非常に類似し、この場合の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気学性能は低レベルであることが分かる。前記溶接台の高さが15cmを超える場合、溶融層と銅端子の溶接端面が全体的に接触して移行層を形成するように、溶接機器により高い摩擦熱と圧力を提供しなければならなく、また、溶接台の端面と底面が受ける熱と圧力が一致しないため、前記溶融層と前記移行層の厚さが均一ではなく、接触抵抗が増大して、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気学性能が低下の傾向である。
【0079】
さらに、該実施例において、発明者は溶接台の端面面積による銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下及び溶接強度に対する影響を証明するために、溶接台の端面面積が異なる銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力値、電圧降下値と溶接強度を観察し、その結果を表4に示す。
【0080】
表4:溶接台の端面の断面積が根元の断面積で占める割合による銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下に対する影響
【0081】
上記表4の結果によると、充分な摩擦熱を発生するように、前記溶接台の端面が小さすぎるといけなく、溶接中に銅とアルミの接触摩擦面積が50%を超えると、電気学性能と力学性能が優れた銅アルミ継手を得ることができる。
【0082】
(実施例6)
図4に示すように、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは、銅端子1とアルミケーブル6とを含み、アルミケーブルは、アルミ導体と、前記アルミ導体の外周に被覆される絶縁層3と、前記絶縁層3が外周に被覆されて電磁干渉をシールドするためのシールド層8と、を含み、また、電気エネルギー伝送アルミ部品4をさらに含み、絶縁層3が除去された一部のアルミ導体2が前記電気エネルギー伝送アルミ部品4内に包まれてコネクタを形成する。前記銅端子1の前記コネクタと溶接するための端部に溶接台11が設置されていて、前記溶接台11と前記コネクタとの間に金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層12が形成される。
【0083】
本発明に記載の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムによると、前記電気エネルギー伝送アルミ部品によって前記アルミ導体を覆ってコネクタを形成して、構造が簡単で、前記電気エネルギー伝送アルミ部品の加工が一層容易であって、電気エネルギー伝送アルミ部品の生産効率を大幅に向上させ、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの作製コストを削減することができる。
【0084】
前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは以下の工程によって加工される。
プリ組立ステップ:絶縁層3が除去されたアルミ導体2を電気エネルギー伝送アルミ部品4内に嵌入して、締付装置を用いて前記絶縁層3が除去されたアルミ導体2を前記電気エネルギー伝送アルミ部品4内に押し込むことによりコネクタを得る。
クランピングステップ:溶接台付き銅端子1を摩擦溶接機器の回転クランプにクランピングし、前記プリ組立ステップを経た後のコネクタを移動クランプに組み立てる。
溶接ステップ:前記銅端子を回転クランプによって回転させ、回転クランプの回転速度は1000R/Minであり、前記移動クランプによって前記コネクタが水平に移動しながら回転する銅端子へ押し付けられ、移動クランプの圧力は10000Nであり、摩擦によって熱を発生して前記コネクタの先端に溶融層を形成した後、圧力の作用で、前記溶融層を前記銅端子1の溶接端の溶接台11上に被覆し、溶接台11とともに金属原子が相互浸透しまたは相互結合した移行層12を形成する。
【0085】
本実施例は、銅アルミ固溶体の前記移行層での割合による銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下に対する影響を証明することを目的とし、そのため銅アルミ固溶体が前記移行層で占める割合が異なる銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力値、電圧降下値と溶接強度を観察し、その結果を表5に示す。
【0086】
表5:銅アルミ固溶体の前記移行層での割合の差異による銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下に対する影響
【0087】
表に示すように、前記移行層に含まれる銅アルミ固溶体が10wt%未満であると、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力が徐々に低下し、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの電圧降下は徐々に上昇し、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気性能のニーズを満たすことができない。前記移行層に含まれる銅アルミ固溶体の割合の逓増につれて、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気性能も徐々に強化されるので、上述した移行層は10wt%以上の銅アルミ固溶体を含む。
【0088】
(実施例7)
図5に示すように、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは、銅端子1とアルミケーブル6とを含み、アルミケーブルは、アルミ導体と、前記アルミ導体の外周に被覆される絶縁層3と、前記絶縁層3の外周に被覆されて電磁干渉をシールドするためのシールド層8と、前記シールド層8の外周に被覆される外絶縁層31と、含む。また、電気エネルギー伝送アルミ部品4をさらに含み、絶縁層3が除去された一部のアルミ導体2が前記電気エネルギー伝送アルミ部品4内に包まれてコネクタを形成する。前記銅端子1の前記コネクタと溶接するための端部に溶接台11が設置されていて、前記溶接台11と前記コネクタとの間に金属原子が相互浸透しまたは金属原子が相互結合した移行層12が形成される。
【0089】
前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは以下の工程によって加工される。
プリ組立ステップ:絶縁層3が除去されたアルミ導体2を電気エネルギー伝送アルミ部品4内に嵌入して、締付装置を用いて前記絶縁層3が除去されたアルミ導体2を前記電気エネルギー伝送アルミ部品4内に押し込むことによりコネクタを得る。
クランピングステップ:溶接台付き銅端子1を摩擦溶接機器の回転クランプにクランピングし、前記プリ組立ステップを経た後のコネクタを移動クランプに組み立てる。
溶接ステップ:前記銅端子を回転クランプによって回転させ、回転クランプの回転速度は1000R/Minであり、前記移動クランプによって前記コネクタが水平に移動しながら回転する銅端子へ押し付けられ、移動クランプの圧力は10000Nであり、摩擦によって熱を発生して前記コネクタの先端に溶融層を形成した後、圧力の作用で、前記溶融層を前記銅端子1の溶接端の溶接台11上に被覆し、溶接台11とともに金属原子が相互浸透しまたは相互結合した移行層12を形成する。
【0090】
さらなる技術案として、本発明に記載の銅端子の表面に金属メッキ層が設置されている。銅端子が電気装置に接続されるべきであるため、空気と水に露出され、空気中に塩分さえある場所もあり、銅端子は酸化や塩水噴霧による腐食を受けて、端子の寿命を短縮し、深刻な場合は端子の短絡による燃焼事故が発生し、より大きな損失をもたらす。そのため、銅端子の表面に金属メッキ層を設置して、空気、水、塩水噴霧による侵食を有効に防止し、銅端子や銅アルミ継手の寿命を延長し、安全性事故の発生が減少する。前記メッキ層金属としては、電位が銅とアルミの間にある金属材質を選択し、移行層において、銅とアルミの間の大きい電位による電気化学腐食を緩和して、前記銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの寿命を延長する。そのため、本発明において、前記金属メッキ層の材質は少なくともニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミ、スズ、チタン、亜鉛、銅、銀または金の中の一つを含むことが好ましいが、これらに限定されることはない。
【0091】
本実施例は、異なる金属メッキ層の銅端子による銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下に対する影響を証明することを目的し、そのため、異なる金属メッキ層の銅端子によって作製される銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムについて、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムが48時間の塩水噴霧実験を経た後の引抜き力値、電圧降下値と溶接強度を観察し、その結果を表6に示す。
【0092】
表6:異なる金属メッキ層材質による銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの性能に対する影響
【0093】
表に示す結果から、48時間の塩水噴霧実験を経た後、耐腐食保護層がない銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの場合、電気継手の引抜き力が明らかに低下し、電圧降下は明らかに上昇し、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力が2000Nを超え、電圧降下が0.5mV以下であるべきニーズを良好に満たすことができない。一方、他の耐腐食保護層付き銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの場合、実験を行った後、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下は依然として銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気学性能のニーズを満たすことができ、そのため、発明者は耐腐食保護層の材質を、少なくともニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミ、スズ、チタン、亜鉛、銅、銀または金の中の一つを含むと設定した。
【0094】
(実施例8)
上記実施例1のステップに従って銅アルミ溶接端子を作製し、該実施例において、発明者は移行層の厚さによる銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下及び溶接強度に対する影響を証明するために、厚さが異なる移行層の銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力値、電圧降下値と溶接強度を観察し、その結果を表7に示す。
【0095】
表7:銅アルミ移行層の厚さの差異による銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力と電圧降下に対する影響
【0096】
表7の結果から、銅アルミ移行層の厚さが0.01μm未満であると、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの引抜き力値が明らかに低下し、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの電圧降下値は明らかに上昇し、得られた銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気学性能がいずれも悪いことが分かる。また、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムは、塩水噴霧実験を経た後、力学性能と電気学性能がさらに多く低減され、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの性能と寿命が大幅に低減した。
【0097】
銅アルミ移行層の厚さが6000μmを超えると、銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの力学性能と電気学性能が低下傾向になっていて、対応して、厚さが6000μmを超える銅アルミ移行層を得るために機器が印加する圧力と時間も大幅に増加し、そのため、発明者は銅アルミ移行層の厚さを0.01μm~6000μmと選択した。
【0098】
(実施例9)
以上の実施例に係る銅アルミ複合電気エネルギー伝送システムの加工方法はさらに、機械加工装置を用いて、前記銅端子の端面に溶接台を加工する溶接台作製ステップを含む。
さらに、用いられる機械加工装置はターニング装置であることができ、溶接する前、前記ターニング装置のバイトを用いて回転する銅端子の端面に溶接台をターニングする。
さらに、用いられる機械加工装置はフライス装置であることができ、溶接する前、前記フライス装置のミリングカッターを用いて、固定された銅端子の端面に溶接台をフライス加工する。
さらに、用いられる機械加工装置はのこ引き装置であることができ、溶接する前、前記のこ引き装置ののこぎりの刃先を用いて、固定された銅端子の端面に溶接台をのこ引き加工する。
さらに、用いられる機械加工装置は研削装置であることができ、溶接する前、前記研削装置の研削砥石を用いて、固定された銅端子の端面に溶接台を研削加工する。
さらに、用いられる機械加工装置は形削り装置であることができ、溶接する前、前記形削り装置の平削バイトを用いて、固定された銅端子の端面に溶接台を形削り加工する。
【0099】
本発明の前記機械加工装置は、以上の加工装置と加工形態を含むが、これらに限定されることはない。
【0100】
上記実施形態は本発明の好適な実施形態にすぎず、これらによって本発明の保護範囲が限定されることがなく、当業者が本発明に基づいて行ったすべての非実質的な変形及び入れ替えはいずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1:銅端子
11:溶接台
12:移行層
2:アルミ導体
3:絶縁層
31:外絶縁層
4:電気エネルギー伝送アルミ部品
41:導体圧接区間
42:移行区間
43:絶縁層圧接区間
5:溶融層
6:アルミケーブル
7:延長被覆層
8:シールド層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】