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特表2023-515903LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ、及びそのアルゴンガス吹き制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ、及びそのアルゴンガス吹き制御方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 41/50 20060101AFI20230407BHJP
   B22D 41/58 20060101ALI20230407BHJP
   B22D 1/00 20060101ALI20230407BHJP
   C21C 7/072 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
B22D41/50 530
B22D41/58
B22D1/00 P
C21C7/072 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567871
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(85)【翻訳文提出日】2022-11-07
(86)【国際出願番号】 CN2021106078
(87)【国際公開番号】W WO2022022277
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】202010726676.4
(32)【優先日】2020-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522434738
【氏名又は名称】莱蕪鋼鉄集団銀山型鋼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】武 光君
(72)【発明者】
【氏名】王 中学
(72)【発明者】
【氏名】武 文健
(72)【発明者】
【氏名】寧 偉
(72)【発明者】
【氏名】王 金洪
(72)【発明者】
【氏名】陳 永生
(72)【発明者】
【氏名】武 玉利
【テーマコード(参考)】
4E014
4K013
【Fターム(参考)】
4E014EA01
4K013BA14
4K013CA02
4K013CA11
4K013CC02
4K013CF13
4K013CF19
4K013FA00
(57)【要約】
本発明は、LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ、及びそのアルゴンガス吹き制御方法を提供し、本発明に係る通気性上ノズル受けレンガは、鉄製リングと、微多孔質セラミック棒とを含み、前記微多孔質セラミック棒の直径dが35~45mmであり、セラミック棒の高さhが140~180mmであり、セラミック棒内にセラミック棒の軸方向に沿って、セラミック棒の横断面に均等に分布している通気孔が設置され、通気孔の数が60~120個であり、通気孔の内径が0.075~0.1mmであり、通気孔は、前記微多孔質セラミック棒の上端面及び下端面を縦方向に貫通する。本発明は、さらに、アルゴンガス吹き制御装置及びアルゴンガス吹き制御方法を提供し、本発明は、自動ソフトブローモードを選択する前、アルゴンガスパイプシステムの手動バイパスを利用して通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けることで、アルゴンガス吹き流量の正確な制御を実現し、取鍋の通気性レンガ上ノズル受けレンガの酸素燃焼パージ不要率を向上させ、耐用年数を延ばす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取鍋ノズル受けレンガ本体(1)、微多孔質セラミック棒(2)、ガスルームボックス(3)、吸気管(4)、鋼注入孔(5)、及び上ノズル取付孔(6)を含むLF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガであって、
鋼注入孔(5)、上ノズル取付孔(6)は、上下方向に貫通し、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の中央部に取り付けられ、
ガスルームボックス(3)は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の上部の表層内に埋設され、ガスルームボックス(3)には、微多孔質セラミック棒(2)を固定するための挿入口(8)が複数設けられ、
微多孔質セラミック棒(2)は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)内に環状として均等に複数分布しており、各微多孔質セラミック棒(2)の先端は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の上面から伸び出し、各微多孔質セラミック棒(2)の底端は、ガスルームボックス(3)内まで延在し、挿入口(8)の形状、数、位置は、微多孔質セラミック棒(2)に対応し、
吸気管(4)の一端は、ガスルームボックス(3)の側部に接続され、他端は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の側部から伸び出すことを特徴とする、LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ。
【請求項2】
前記微多孔質セラミック棒(2)は、直径dが35~45mmの円筒状であり、セラミック棒の高さhが140~180mmであることを特徴とする、請求項1に記載の通気性上ノズル受けレンガ。
【請求項3】
取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の下部の表層内に埋設された鉄製リング(7)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項4】
前記鉄製リング(7)は、全体として高さLが40~50mmの環状であり、鉄製リングの下端と取鍋上ノズル受けレンガ本体(1)の下端との距離aは、50~60mmであり、鉄製リング(7)が取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の表層内に埋設された深さzは、10~20mmであることを特徴とする、請求項3に記載のノズル受けレンガ。
【請求項5】
前記鉄製リング(7)は、厚さが1mmの鉄シートを溶接したものであり、ジョイントの重なり長さが40~50mmであり、貫通溶接を用いることを特徴とする、請求項3に記載のノズル受けレンガ。
【請求項6】
前記微多孔質セラミック棒(2)内に前記微多孔質セラミック棒の軸方向に沿って、前記微多孔質セラミック棒の横断面に均等に分布している通気孔が設置され、通気孔の数が60~120個であり、通気孔の内径が0.075~0.1mmであり、通気孔は、前記微多孔質セラミック棒の上端面及び下端面を縦方向に貫通し、
好ましくは、前記微多孔質セラミック棒(2)は、6~10本であり、環状として均等に設置され、直径¢が300~320mmであることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項7】
前記微多孔質セラミック棒(2)の上端が前記取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の上面から伸び出した高さmは、5~10mmであり、前記微多孔質セラミック棒(2)の底端がガスルームボックス内まで延在した高さnは、5~10mmであることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項8】
前記微多孔質セラミック棒(2)は、押し出し成形、高温焼成を用い、材質がジルコニア強化コランダム又はジルコニア強化コランダムムライトであることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項9】
前記ガスルームボックス(3)は全体として環状であり、ガスルームボックスは、厚さが1.5~2.0mmの鋼板で製造された金属ボックスを用い、前記金属ボックスの縦断面は、幅xが50~60mm、高さyが30~40mmの長方形であり、前記金属ボックスの横断面は、複数の挿入口(8)が均等に分布している円環であることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項10】
前記取鍋ノズル受けレンガ本体(1)は、クロムコランダムキャスタブルを注入成形したものであり、体積密度≧3.0g/cm、高温曲げ強度≧12Mpa、高温圧縮強度≧80Mpa、AL含有量≧92%、Cr含有量≧3%であることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項11】
前記鋼注入孔(5)、上ノズル取付孔(6)の縦方向中心線は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の縦方向中心線と同一直線にあり、前記鋼注入孔(5)の上部は、上端開口の直径d1が190~210mm、下端開口の直径d2が140~160mm、高さcが55~80mmの円錐台形であり、前記鋼注入孔(5)の下部は、直径が上部円錐台の下端開口の直径と一致し、高さbが250~270mmの円筒状チャンネルであることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項12】
前記上ノズル取付孔(6)の上部は、円錐台形であり、上ノズル取付孔の嵌合サイズは、上ノズルの外形サイズに応じて設計され、
前記取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の外形は、外径Dが380~400mm、高さHが470~490mmの円筒状であることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項13】
通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹き制御装置であって
通気性上ノズル受けレンガの手動吹き抜けモード及び自動ソフトブローモードの選択機能モジュールを有する1セットのアルゴンガスパイプシステム及び電気制御システムを設置し、取鍋内溶鋼の秤量信号を受信し、取鍋内の溶鋼正味重量の変化を計算し、アルゴンガス流量を同期調整し、
前記通気性上ノズル受けレンガは、請求項1に記載の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガであることを特徴とする、通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹き制御装置。
【請求項14】
前記アルゴンガスパイプシステムは、ガス源主経路、自動分岐経路、手動バイパス及び放散分岐経路に分けられ、ガス源主経路、自動分岐経路及び手動バイパスは、ガスバスバー(18)を介して連通し、
ガス源主経路は、順に、ガス源主経路の第1のボール弁(9a)、第1の圧力計(10a)、第1のガスフィルタ(11a1)、第2のガスフィルタ(11a2)、圧力調節装置(12)、及び第1の圧力センサー(15a)を含み、
自動分岐経路は、順に、自動分岐経路の第2のボール弁(9b1)、第1の電磁弁(13b)、冶金用質量流量コントローラ(14)、第2の圧力センサー(15b)、第2の圧力計(10b)、及び自動分岐経路の第3のボール弁(9b2)を含み、
手動バイパスは、順に、手動バイパスの第4のボール弁(9c)、及び手動調節弁(16)を含み、
手動バイパスは、自動分岐経路の第2のボール弁(9b1)、第2の電磁弁(13c)、冶金用質量流量コントローラ(14)に並列接続され、自動分岐経路に故障が発生すると、手動で操作するためのものであり、
手動調節弁(16)の後端には、順に第2の電磁弁(13c)、排気絞り弁(17)を含む放散分岐経路が設置され、通気性上ノズル受けレンガに接続される吸気金属ホースを挿抜する必要があるとき、排気、圧力解放を行うために用いられることを特徴とする、請求項13に記載のアルゴンガス吹き制御装置。
【請求項15】
前記電気制御システムは、ネットワークスイッチ、アルゴンガス吹き制御システムPLC、タッチパネル、及び連続鋳造基礎自動化システムを含み、
アルゴンガス吹き制御システムPLC、タッチパネルは、制御ボックス内に設置され、アルゴンガス吹き制御システムPLC、タッチパネル、連続鋳造基礎自動化システムは、いずれもイーサネット通信を介してネットワークスイッチに接続され、取鍋内溶鋼秤量システムは、取鍋内溶鋼の重量を収集して、連続鋳造基礎自動化システムに送信し、イーサネット通信し、ネットワークスイッチを介してアルゴンガス吹き制御システムPLCにアップロードすることを特徴とする、請求項13に記載のアルゴンガス吹き制御装置。
【請求項16】
アルゴンガス吹き制御方法であって、
請求項13に記載のアルゴンガス吹き制御装置を初めて使用し、取鍋が満たされたときに通気性上ノズル受けレンガにソフトブローする初期流量値を測定するステップ1であって、前記通気性上ノズル受けレンガは、請求項1に記載の通気性上ノズル受けレンガである、ステップ1と、
取鍋が連続鋳造取鍋ターンテーブルの注湯すべき位置になった後、金属ホースを用いて上記通気性上ノズル受けレンガの吸気管(4)をアルゴンガス制御装置のガス源出口と連通させ、取鍋が注湯位置に回転してから注湯を開始し、流下した直後に、アルゴンガスパイプシステムの手動バイパスを利用して、上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜け、具体的には、上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けるまで、アルゴンガスパイプシステムのガス源主経路の圧力調節装置12を調整することで、1~10mbarずつ圧力を大きく調整していくステップ2と、
鋼中の介在物の制御要件によって、ステップ2で吹き抜けた直後、異なる自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、
溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ1で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値+(2~5)NL/minであり、
溶鋼注湯量が取鍋内溶鋼の総量の30~100%に達すると、流量2~5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋注湯が終了し、連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止する第ステップ3とを含む、アルゴンガス吹き制御方法。
【請求項17】
ステップ1では、取鍋が満たされたときに通気性上ノズル受けレンガにソフトブローする初期流量値の測定においては、従来技術ではLF精錬の後期に取鍋が満たされたときにソフトブローする際に、通気性レンガを取鍋の底部から吹き抜ける既存のアルゴンガスを閉じ、通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガスと連通させ、アルゴンガス流量を徐々に増大するように調整し、取鍋内の溶鋼面のわずかな変動を観察し、溶鋼面が露出していない時のアルゴンガス吹き流量値を、取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値とし、
ステップ3では、鋼中の介在物の制御要件によって、以下の異なる自動ソフトブローモードを選択し、
(1)介在物の制御要件がないローエンド鋼種の場合、自動ソフトブローモードAを選択する:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けた直後、自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ1で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値+(2~5)NL/minであり、溶鋼注湯量が取鍋内溶鋼の総量の30~40%に達すると、流量2~5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋注湯が終了し、連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止し、
(2)介在物の制御要件があるミドルエンド鋼種の場合、ソフトブローモードBを選択する:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けた直後、自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ2で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値+(2~5)NL/minであり、溶鋼注湯量が取鍋内溶鋼の総量の50~60%に達すると、流量2~5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋注湯が終了し、連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止し、
(3)介在物制御が厳格なハイエンド鋼種の場合、ソフトブローモードCを選択する:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けた直後、自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ2で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値+(2~5)NL/minであり、取鍋にスラグキャリーオーバが発生する又はスラグキャリーオーバ検出システムが警報を出すと、流量2~5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋が連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止することを特徴とする、請求項16に記載のアルゴンガス吹き制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ、及びそのアルゴンガス吹き制御方法に関し、鉄鋼冶金における製鋼プロセスの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
LF精錬用取鍋のアルゴンガス底吹きは、簡単で効率的な炉外精錬技術であり、一般的には、大流量のアルゴンガスを吹き込んで撹拌混合を行う前期段階と、小流量のソフトブローにより介在物を除去する後期との2つの段階に分けられる。現在、中国国内では、100トン以上のLF精錬用取鍋は、一般的に、2枚の通気性底吹きレンガを採用し、高品質鋼の場合、処理時間は、一般的に40min以上であり、そのうちソフトブローは、8~12minであり、現在、生産実践には、以下の問題や欠陥が存在する。1)ソフトブロー時間が不足し、介在物の除去効果に悪影響を与える。(2)長すぎるLF精錬用時間により、炉の不整合をもたらし、生産効率向上の制限的な一環となる。(3)ソフトブロー流量の制御が不正確であり、流量が小さすぎると、ソフトブローによる介在物除去の効果に影響を与える一方、流量が大きすぎると、溶鋼面の露出、スラグのエントラップメントや溶鋼温度の激しい低下などの問題を引き起こす。
【0003】
特許文献1には、取鍋の通気性上ノズル受けレンガ及びその取鍋のスラグキャリーオーバの制御方法が開示され、この取鍋の通気性上ノズル受けレンガは、上ノズル受けレンガ本体、通気性セラミック棒、ガスルームボックス、及び吸気管を含み、上ノズル受けレンガ本体の中央部には、鋼注入孔、上ノズル取付孔が上から下へ設置され、上ノズル受けレンガ本体内には、環状として均等に設置された微多孔質セラミック棒及び環状のガスルームボックスが設置され、ガスルームボックスの底部に吸気管が接続され、取鍋内の溶鋼が低い液位にあるとき、吸気管からアルゴンガスを吹き込み始め、取鍋上ノズルの渦流によるスラグのエントラップメントの問題を抑制する。該特許は、主に、取鍋注湯末期での取鍋ノズルにおけるスラグのエントラップメントの問題を対象とする。該特許には、以下の欠陥がある。単一の通気性セラミック棒は直径が小さく、通気面が小さく、孔隙分布密度が小さく、アルゴンガスを吹いて形成されたアルゴンガス泡の数が少なく、介在物を除去する冶金効果に不利であり、単一の通気性セラミック棒の高さが大きいので、成形が困難であり、しかも、取鍋注湯後期にのみアルゴンガスを吹き、小流量のアルゴンガスを吹いて介在物を除去するという冶金上の機能がなく、また、アルゴンガス吹き流量は、取鍋内の溶鋼面の低下に応じて減少せず、溶鋼面の露出、スラグのエントラップメントや溶鋼温度の激しい低下などの問題が発生しやすい。
【0004】
特許文献2には、取鍋の環状スリット式通気性上ノズル受けレンガ、及びそのアルゴンガス吹きによる冶金方法が開示され、この取鍋の環状スリット式通気性上ノズル受けレンガは、取鍋上ノズル受けレンガ本体、環状スリット、ガスルームボックス、及び吸気管を含み、取鍋上ノズル受けレンガ本体の中央部には、上下方向に貫通する鋼注入孔、接続穴、上ノズル取付孔が設置され、連続鋳造取鍋の注湯全過程において、アルゴンガスを吹き込み、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量を自動的に調整し、アルゴンガスは、環状スリットを通って小さいアルゴンガス泡を形成し、ほとんどのアルゴンガス泡は、上へ移動し、取鍋上ノズルの周囲に環状ガスカーテンバリアを形成し、取鍋上ノズルに入ろうとする溶鋼をガスで洗浄し、上ノズル内に安定的で連続した環状気流を形成し、上ノズルのノジュールを抑制し、取鍋注湯の後期に、合流渦及び排出沈みによる取鍋のスラグキャリーオーバを効果的に抑制する。該特許には以下の欠陥がある。通気性チャンネルは、環状スリットであり、アルゴンガスを吹いて形成されたアルゴンガス泡が大きく、数が少なく、アルゴンガス吹きの冶金効果に影響を与え、鋼中の介在物の制御要件によって、異なるアルゴンガス吹き制御方法を選択せず、全過程でアルゴンガス吹きによる溶鋼温度の低下が大きく、普及応用に影響を与え、取鍋の通気性上ノズル受けレンガは、アルゴンガスを自動的に吹く前に手動で吹かず、通気性チャンネル内に浸透しやすい溶鋼や鋼スラグの塞ぎにより、通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹きの初期段階で流量が小さくなるか底吹きが困難となり、アルゴンガス吹きの冶金効果に深刻な影響を与えてしまう。
【0005】
特許文献3には、連続鋳造タンディッシュにおける通気性セラミック管の上ノズル受けレンガが開示され、この連続鋳造タンディッシュにおける通気性セラミック管の上ノズル受けレンガは、上ノズル受けレンガ本体、セラミック管、ガスルーム、及び吸気管を含み、上ノズル受けレンガ本体内には、環状として均等に設置された複数のセラミック管及び1つの環状のガスルームが設置され、ガスルームには、環状として均等に設置された挿入口が複数設置され、セラミック管の先端は、ノズル受けレンガ本体の上面から伸び出し、セラミック管の下端は、ガスルームにおける挿入口内に固定され且つガスルームと連通し、ガスルームの側部に吸気管が接続され、金属管状材に接続することで、外部のアルゴンガス源と連通し、アルゴンガスを吹き込んだ後、上へ環状ガスカーテンバリアを形成し、上ノズルに入った溶鋼をガスで洗浄し、所定数のアルゴンガス泡は、鋼の流れに従って、上ノズル内に入り、安定的で連続した環状気流を形成し、ノズルのノジュールの問題を抑制するとともに、保護性アルゴンガス泡が鋼に入ることによる鋳片内の気泡の技術的難題を解決する。該特許には以下の欠陥がある。セラミック管内の通気孔の内径が大きく、セラミック管内の通気孔の数が少なく、アルゴンガスを吹いて形成されたアルゴンガス泡が大きく、数が少なく、アルゴンガス吹きの冶金効果に影響を与え、通気孔内に鋼が浸透して詰まりが発生しやすく、吹き抜けが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許文献CN104028739A((特許番号:201410274221.8)
【特許文献2】中国特許文献CN109719290A(出願番号:2019101296742.1)
【特許文献3】中国特許文献CN106041044A(特許番号:201610634268.X)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の欠陥に対して、本発明は、LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ、及びそのアルゴンガス吹き制御方法を提供する。
本発明に係る技術的解決手段は、特許文献1に記載のセラミック棒の高さが高いことにより成形品質が低く、取鍋ノズル受けレンガ本体の注湯中にセラミック棒の位置決めが困難であり、塞ぎやすいという問題を解決し、アルゴンガス吹き流量の正確な制御を実現し、取鍋の通気性上ノズル受けレンガの酸素燃焼パージ不要率を向上させ、耐用年数を延ばす。
【0008】
取鍋の通気性上ノズル受けレンガの酸素燃焼パージ不要率については、取鍋注湯が終了し、取鍋を生産ラインから降ろした後、取鍋の通気性上ノズル受けレンガの通気量を測定し、通気量がプロセス要件を満たさないと、酸素燃焼パージ処理を必要とし、通気量がプロセス要件を満たす、酸素燃焼パージ処理を不要とし、酸素燃焼パージ不要率=酸素燃焼パージ処理を必要としないヒート÷合計ヒート×100%である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の技術的解決手段
取鍋ノズル受けレンガ本体(1)、微多孔質セラミック棒(2)、ガスルームボックス(3)、及び吸気管(4)鋼注入孔(5)、及び上ノズル取付孔(6)を含むLF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガであって、
鋼注入孔(5)、上ノズル取付孔(6)は、上下方向に貫通し、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の中央部に取り付けられ、
ガスルームボックス(3)は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の上部の表層内に埋設され、ガスルームボックス(3)には、微多孔質セラミック棒(2)を固定するための挿入口(8)が複数設けられ、
微多孔質セラミック棒(2)は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)内に環状として均等に複数分布しており、各微多孔質セラミック棒(2)の先端は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の上面から伸び出し、各微多孔質セラミック棒(2)の底端は、ガスルームボックス(3)内まで延在し、挿入口(8)の形状、数、位置は、微多孔質セラミック棒(2)に対応し、
吸気管(4)の一端は、ガスルームボックス(3)の側部に接続され、他端は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の側部から伸び出すことを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記微多孔質セラミック棒(2)は、直径dが35~45mmの円筒状であり、セラミック棒の高さhが140~180mmである。
【0011】
本発明では、好ましくは、前記微多孔質セラミック棒(2)内に前記微多孔質セラミック棒の軸方向に沿って、前記微多孔質セラミック棒の横断面に均等に分布している通気孔が設置され、通気孔の数が60~120個であり、通気孔の内径が0.075~0.1mmであり、通気孔は、前記微多孔質セラミック棒の上端面及び下端面を縦方向に貫通する。
【0012】
本発明では、好ましくは、前記微多孔質セラミック棒(2)は、押し出し成形、高温焼成を用い、材質がジルコニア強化コランダム又はジルコニア強化コランダムムライトである。
【0013】
本発明では、好ましくは、前記微多孔質セラミック棒(2)は、6~10本であり、環状として均等に分布し、前記微多孔質セラミック棒(2)で形成された円環は、直径¢が300~320mmであり、前記微多孔質セラミック棒(2)の中心を基準とする。
【0014】
本発明では、好ましくは、前記微多孔質セラミック棒(2)の上端が前記取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の上面から伸び出した高さmは、5~10mmであり、前記微多孔質セラミック棒(2)の底端がガスルームボックス内まで延在した高さnは、5~10mmである。
【0015】
本発明では、好ましくは、前記微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガは、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の下部の表層内に埋設された鉄製リング(7)を含む。
【0016】
前記鉄製リング(7)は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の下部の表層内に埋設され、取鍋ノズル受けレンガ本体の熱応力による割れの問題を効果的に抑制する。
【0017】
本発明では、好ましくは、前記鉄製リング(7)は、全体として高さLが40~50mmの環状であり、鉄製リングの下端と取鍋上ノズル受けレンガ本体(1)の下端との距離aは、50~60mmであり、鉄製リング(7)が取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の表層内に埋設された深さzは、10~20mmである。
【0018】
本発明では、好ましくは、前記鉄製リング(7)は、厚さが1mmの鉄シートを溶接したものであり、ジョイントの重なり長さが40~50mmであり、貫通溶接を用いる。
【0019】
本発明では、好ましくは、前記ガスルームボックス(3)は全体として環状であり、ガスルームボックスは、厚さが1.5~2.0mmの鋼板で製造された金属ボックスを用い、前記金属ボックスの縦断面は、幅xが50~60mm、高さyが30~40mmの長方形であり、その横断面は、複数の挿入口(8)が均等に分布している円環である。
【0020】
本発明では、好ましくは、前記取鍋ノズル受けレンガ本体(1)は、クロムコランダムキャスタブルを注入成形させたものであり、体積密度≧3.0g/cm、高温曲げ強度≧12Mpa、高温圧縮強度≧80Mpa、AL含有量≧92%、Cr含有量≧3%である。
【0021】
本発明では、好ましくは、前記鋼注入孔(5)、上ノズル取付孔(6)の縦方向中心線は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の縦方向中心線と同一直線にあり、前記鋼注入孔(5)の上部は、上端開口の直径d1が190~210mm、下端開口の直径d2が140~160mm、高さcが55~80mmの円錐台形であり、前記鋼注入孔(5)の下部は、直径が上部円錐台の下端開口の直径と一致し、高さbが250~270mmの円筒状チャンネルである。
【0022】
本発明では、好ましくは、前記上ノズル取付孔(6)の上部は、円錐台形であり、上ノズル取付孔の嵌合サイズは、上ノズルの外形サイズに応じて設計される。
【0023】
本発明では、好ましくは、前記取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の外形は、外径Dが380~400mm、高さHが470~490mmの円筒状である。
【0024】
本発明に記載の吸気管(4)は、材質が耐熱性ステンレス鋼の円管であり、その端部には、規格サイズがM16×1.5の接続ネジが設けられる。
【0025】
本発明に係るLF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガでは、前記微多孔質セラミック棒(2)内に前記微多孔質セラミック棒の軸方向に沿って、前記微多孔質セラミック棒の横断面に均等に分布している通気孔が設置され、通気孔の数が60~120個であり、通気孔の内径が0.075~0.1mmであり、セラミック棒の高さhが140~180mmであり、鉄製リングを取鍋ノズル受けレンガ本体の下部の表層内に埋設し、取鍋ノズル受けレンガ本体の外形を円筒状にするなどの設計は、従来の特許技術に存在する問題に対して行われた本質的な技術革新であり、大量の研究実験及び生産試験によって検証して得られる。第1には、大量の実験室の数学物理シミュレート研究の基礎の上で、セラミック棒内の通気孔の内径を小さくし、セラミック棒内の通気孔の数を増大することによって、アルゴンガス吹きにより、特許文献3に記載のセラミック管よりも多く、小さいアルゴンガス泡を形成し、アルゴンガス泡の捕捉及び介在物除去の能力を向上させ、注湯末期に、合流渦及び排出沈みによる取鍋のスラグキャリーオーバを抑制する機能作用を強化させ、通気孔の内径を小さくした後、通気孔内に鋼が浸透しにくく、吹き抜けが容易である。第2には、前記LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガの侵食残留高さに基づいて、できるだけ微多孔質セラミック棒の高さを低くし、特許文献1に記載のセラミック棒の高さが高いことによる成形品質が低く、取鍋ノズル受けレンガ本体の注湯中にセラミック棒の位置決めが困難であるという問題を解決する。第3には、大量の生産応用試験によって検証し、鉄製リングを取鍋ノズル受けレンガ本体の下部の表層内に埋設し、取鍋ノズル受けレンガ本体の熱応力による割れの問題を効果的に抑制し、取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガの耐用年数を延長させる。
【0026】
本発明は、通気性上ノズル受けレンガの手動吹き抜けモード及び自動ソフトブローモードの選択機能を有する1セットのアルゴンガスパイプシステム及び電気制御システムを設置し、取鍋内溶鋼の秤量信号を導入し、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量を同期調整することで、通気性上ノズル受けレンガアルゴンガス吹き流量の正確な制御を実現することを特徴とする、LF精錬用取鍋の通気性上ノズル受けレンガ用のアルゴンガス吹き制御装置をさらに提供する。
【0027】
本発明では、好ましくは、前記アルゴンガスパイプシステムは、ガス源主経路、自動分岐経路、手動バイパス及び放散分岐経路に分けられ、ガス源主経路、自動分岐経路及び手動バイパスは、ガスバスバー18を介して連通し、そのうちガス源主経路は、順に、ガス源主経路の第1のボール弁9a、第1の圧力計10a、第1のガスフィルタ11a1、第2のガスフィルタ11a2、圧力調節装置12、及び第1の圧力センサー15aを含み、自動分岐経路は、順に、自動分岐経路の第2のボール弁9b1、第1の電磁弁13b、冶金用質量流量コントローラ14、第2の圧力センサー15b、第2の圧力計10b、及び自動分岐経路の第3のボール弁9b2を含み、手動バイパスは、順に、手動バイパスの第4のボール弁9c、及び手動調節弁16を含み、手動バイパスは、自動分岐経路の第2のボール弁9b1、第2の電磁弁13c冶金用質量流量コントローラ14に並列接続され、自動分岐経路に故障が発生すると、手動で操作するためのものである。本発明に係るアルゴンガスパイプシステムは、さらに、LF精錬用取鍋の通気性上ノズル受けレンガにアルゴンガスを自動的に吹く前の大圧力の吹き抜けに用いられ、本発明は、さらに、手動調節弁16の後端に放散分岐経路が設置され、通気性上ノズル受けレンガに接続された吸気金属ホースを挿抜する必要があるとき、排気、圧力解放を行うために、放散分岐経路は、順に、第2の電磁弁13c、排気絞り弁17を含む。
【0028】
本発明では、好ましくは、前記電気制御システムは、従来技術を用い、図5に示すように、ネットワークスイッチ、アルゴンガス吹き制御システムPLC、タッチパネル、及び連続鋳造基礎自動化システムを含み、アルゴンガス吹き制御システムPLC、タッチパネルは、制御ボックス内に設置され、アルゴンガス吹き制御システムPLC、タッチパネル、連続鋳造基礎自動化システムは、いずれもイーサネット通信を介してネットワークスイッチに接続され、取鍋内溶鋼秤量システムは、取鍋内溶鋼の重量を収集して、連続鋳造基礎自動化システムに送信し、イーサネット通信し、ネットワークスイッチを介してアルゴンガス吹き制御システムPLCにアップロードする。連続鋳造基礎自動化システムは、溶鋼秤量システムの取鍋内溶鋼の重量データを受信し、イーサネット通信、ネットワークスイッチを介して前記データをアルゴンガス吹き制御システムPLCにアップロッドする。アルゴンガス吹き制御システムPLCは、前記溶鋼秤量システムの取鍋内溶鋼の重量データを受信し、アルゴンガス吹き制御システムPLCのアルゴンガス流量自動制御命令を実行し、取鍋内溶鋼の重量の変化に応じて、排気パイプのアルゴンガス流量を自動的に調整する。本発明では、好ましくは、上記アルゴンガス吹き制御装置における前記の通気性上ノズル受けレンガは、本発明に係る微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガである。
【0029】
本発明は、
本発明の前記アルゴンガス吹き制御装置を初めて使用し、取鍋が満たされたときに通気性上ノズル受けレンガにソフトブローする初期流量値を測定するステップ1と、
取鍋が連続鋳造取鍋ターンテーブルの注湯すべき位置になった後、金属ホースを用いて上記通気性上ノズル受けレンガの吸気管(4)をアルゴンガス制御装置のガス源出口と連通させ、取鍋が注湯位置に回転してから注湯を開始し、流下した直後に、アルゴンガスパイプシステムの手動バイパスを利用して、上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜け、具体的には、上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けるまで、アルゴンガスパイプシステムのガス源主経路の圧力調節装置12を調整することで、1~10mbarずつ圧力を大きく調整していくステップ2と、
鋼中の介在物の制御要件によって、ステップ2で通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けた直後、異なる自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ1で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値+(2~5)NL/minであり、溶鋼注湯量が取鍋内溶鋼の総量の30~100%に達すると、流量2~5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋注湯が終了し、連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止するステップ3とを含むことを特徴とする、アルゴンガス吹き制御方法をさらに提供する。
【0030】
本発明によれば、好ましくは、ステップ3で鋼中の介在物の制御要件によって、以下の異なる自動ソフトブローモードを選択する。
【0031】
(1)介在物の制御要件がないローエンド鋼種の場合、自動ソフトブローモードAを選択する:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けた直後、自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ1で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値+(2~5)NL/minであり、溶鋼注湯量が取鍋内溶鋼の総量の30~40%に達すると、流量2~5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋注湯が終了し、連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止する。
【0032】
(2)介在物の制御要件があるミドルエンド鋼種の場合、ソフトブローモードBを選択する:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けた直後、自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ2で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値+(2~5)NL/minであり、溶鋼注湯量が取鍋内溶鋼の総量の50~60%に達すると、流量2~5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋注湯が終了し、連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止する。
【0033】
(3)介在物制御が厳格なハイエンド鋼種の場合、ソフトブローモードCを選択する:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けた直後、自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、下記のように調整し、
溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ2で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値+(2~5)NL/minであり、
取鍋にスラグキャリーオーバが発生する又はスラグキャリーオーバ検出システムが警報を出すと、流量2~5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋が連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止する。
【0034】
本発明では、好ましくは、ステップ1で取鍋が満たされたときに通気性上ノズル受けレンガにソフトブローする初期流量値を測定する:従来技術ではLF精錬の後期に取鍋が満たされたときにソフトブローする際に、通気性レンガを取鍋の底部から吹き抜ける既存のアルゴンガスを閉じ、通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガスと連通させ、アルゴンガス流量を徐々に増大するように調整し、取鍋内の溶鋼面のわずかな変動を観察し、溶鋼面が露出していない時のアルゴンガス吹き流量値は、取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値である。
【0035】
本発明では、好ましくは、上記アルゴンガス吹き制御方法に記載の通気性上ノズル受けレンガは、本発明に記載の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガである。
【0036】
取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量は、連続鋳造ターンテーブルに設置された取鍋内溶鋼秤量システムに由来するものであり、取鍋が満たされており、連続鋳造ターンテーブルに回転したとき、該システムが秤量した取鍋風袋と取鍋内の溶鋼正味重量との総重量から校正された取鍋風袋を自動的に減算して得られた、取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量であり、取鍋風袋とは、取鍋が空である時の重量である。
【0037】
取鍋内の残りの溶鋼正味重量は、連続鋳造ターンテーブルに設置された取鍋内溶鋼秤量システムに由来するものであり、取鍋注湯過程において、該システムが秤量した取鍋風袋と取鍋内の残りの溶鋼正味重量との総重量から校正された取鍋風袋を自動的に減算して得られた取鍋内の残りの溶鋼正味重量であり、取鍋風袋とは、取鍋が空である時の重量である。
【発明の効果】
【0038】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
1、本発明に係る取鍋微多孔質セラミック棒である通気性上ノズル受けレンガにおける微多孔質セラミック棒の直径dが35~45mmであり、微多孔質セラミック棒内において前記微多孔質セラミック棒の軸方向に沿って、前記微多孔質セラミック棒の横断面に均等に分布している通気孔が設置され、通気孔の数が60~120個であり、通気孔の内径が0.075~0.1mmであり、本発明は、大量の実験室の数学物理シミュレート研究の基礎の上で、セラミック棒内の通気孔の内径を小さくし、セラミック棒内の通気孔の数を増大することによって、アルゴンガス吹きにより、特許文献3に記載のセラミック管よりも多く、小さいアルゴンガス泡を形成し、アルゴンガス泡の捕捉及び介在物除去の能力を向上させ、注湯末期に、合流渦及び排出沈みによる取鍋のスラグキャリーオーバを抑制する機能作用を強化させ、通気孔の内径を小さくした後、通気孔内に鋼が浸透しにくく、吹き抜けが容易である。本発明を2ストランドスラブ連鋳機による超低炭素アルミニウム鎮静鋼DC04の生産に適用し、自動ソフトブローモードCを選択し、連続鋳造スラブ試験片の電解介在物の重量が20%以上減少し、取鍋の溶鋼注湯残量が20%以上減少し、また、本発明では、前記LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガの侵食残留高さに基づいて、セラミック棒の高さhを140~180mmに設計し、微多孔質セラミック棒の高さを減少させ、従来技術で特許文献1に記載のセラミック棒の実際の使用で、高さが高いことによるセラミック棒の成形品質が低く、取鍋ノズル受けレンガ本体の注湯中にセラミック棒の位置決めが困難であるという問題を解決する。
【0039】
2、本発明に係るLF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ、及びそのアルゴンガス吹き制御方法は、取鍋が満たされたときにソフトブローする実際の初期流量値により、取鍋注湯過程でのアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値+(2~5)NL/minであり、鋼中の介在物の制御要件によって、異なるソフトブローモードを選択し、比較例の特許文献1における、アルゴンガス吹き流量が取鍋内の溶鋼面の低下に応じて減少しないことに起因する溶鋼面が露出しており、スラグのエントラップメントが生じ、溶鋼の温度低下が大きいなどの問題を解決し、取鍋における溶鋼の平均温度低下が0.1℃/min以上低減する。
【0040】
3、本発明の前記取鍋ノズル受けレンガ本体の外形を従来の正方形設計から円筒状に変更し、鉄製リングを取鍋ノズル受けレンガ本体の下部の表層内に埋設することで、取鍋ノズル受けレンガ本体の熱応力による割れの問題を効果的に抑制し、取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガの耐用年数を延長させ、比較例の特許文献1と比較すると、平均耐用年数が4ヒート以上向上する。
【0041】
4、本発明に係る取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ、及びそのアルゴンガス吹き制御方法は、特許文献2に記載の取鍋の環状スリット式通気性上ノズル受けレンガ、及びそのアルゴンガス吹きによる冶金方法と比較して、本質的な区別を有し、第1に通気性チャンネルが異なり、アルゴンガスを吹いて形成された気泡の大きさ及び数が異なり、アルゴンガス吹きの冶金効果が異なり、本発明のガスチャンネルは、前記セラミック棒内の通気孔であり、通気孔は、前記微多孔質セラミック棒の軸方向に沿って設置され、前記微多孔質セラミック棒の横断面に均等に分布し、通気孔の数が60~120個であり、通気孔の内径が0.075~0.1mmであり、水モデル実験で測定されたセラミック棒の近くでの気泡の直径が1.8mm未満であり、数理モデルで得られた介在物除去率が54~67%であるが、特許文献2のガスチャンネルは、幅aが1.3~1.7mmの環状スリットであり、水モデル実験で測定された環状スリットでの気泡直径が<2mmであり、数理モデルで得られた介在物除去率が37~48%であり、本発明に係る取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ、及びそのアルゴンガス吹きの冶金効果の優位性が際立っている。第2に、アルゴンガス吹きの制御方法が異なり、本発明では、自動ソフトブローモードを選択する前、アルゴンガスパイプシステムの手動バイパスを利用して通気性上ノズル受けレンガを吹き抜け、通気性上ノズル受けレンガの1回目の吹き抜け率99%が以上であることを実現し、取鍋の注湯後期に、流量2~5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、溶鋼、鋼スラグが通気性上ノズル受けレンガの通気性チャンネル内に浸透することを回避し、取鍋の通気性上ノズル受けレンガの酸素燃焼パージ不要率を向上させ、鋼中の介在物の制御要件によって、異なる自動ソフトブローモードを選択し、ここで自動ソフトブローモードA、Bは、全過程でアルゴンガスを吹くのではなく、それぞれ溶鋼注湯量が取鍋内溶鋼の総量の30~40%、50~60%に達すると、流量を2~5NL/minに変更してアルゴンガスを吹き、ある製鋼所の2ストランドスラブ連鋳機で注湯して低炭素アルミニウム鎮静鋼SPHCを生産する比較テスト結果によれば、本発明に係る取鍋の通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹き制御方法を用いることは、比較例の特許文献2に係る取鍋の通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹き制御方法を用いることに比べて、取鍋における溶鋼の平均温度低下が0.06℃/min低減し、取鍋の通気性上ノズル受けレンガの1回目の吹き抜け率が11%向上し、取鍋の通気性上ノズル受けレンガの酸素燃焼パージ不要率が13%向上し、本発明に係る取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹き制御方法の優位性は、明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の実施例における、LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ構造の正面図である。
図2】本発明の実施例における、LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガの平面図である。
図3】本発明の実施例におけるガスルームボックスの構造模式図である。
図4】本発明の実施例におけるアルゴンガスパイプシステムの模式図である。
図5】本発明の実施例における電気制御システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面と実施例を用いて本発明をさらに説明するが、保護範囲はこれに限定されない。
【0044】
実施例1
図1図3に示すように、取鍋ノズル受けレンガ本体1、微多孔質セラミック棒2、ガスルームボックス3、吸気管4、及び鉄製リング7を含み、取鍋ノズル受けレンガ本体の中央部には、上下方向に貫通する鋼注入孔5、上ノズル取付孔6が設置され、前記微多孔質セラミック棒2は、10個であり、取鍋ノズル受けレンガ本体1内に環状として均等に分布し、各微多孔質セラミック棒2の先端は、取鍋ノズル受けレンガ本体の上面から伸び出し、各微多孔質セラミック棒2の底端は、吸気室ボックス内まで延在し、ガスルームボックスには、複数の微多孔質セラミック棒を固定する10個の挿入口8が設けられ、挿入口の形状、数、位置は、微多孔質セラミック棒に対応し、ガスルームボックス3の側部に吸気管4が接続され、吸気管の一端は、ガスルームボックスと連通し、他端は、取鍋ノズル受けレンガ本体1の側部から伸び出すLF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガであって、前記微多孔質セラミック棒2は、直径dが35mmの円筒状であり、セラミック棒の高さhが140mmであることを特徴とする。
【0045】
前記微多孔質セラミック棒2内において前記微多孔質セラミック棒の軸方向に沿って、前記微多孔質セラミック棒の横断面に均等に分布している通気孔が設置され、通気孔の数が60個であり、通気孔の内径が0.1mmである。
【0046】
前記微多孔質セラミック棒2は、10本であり、直径¢が300mmの環状として均等に設置される。
【0047】
前記ガスルームボックス3は全体として環状であり、ガスルームボックスは、2.0mmの鋼板で製造された金属ボックスを用い、金属ボックスの横断面は、幅xが50mmであり、高さyが30mmの長方形である。
【0048】
前記微多孔質セラミック棒2の上端が前記取鍋ノズル受けレンガ本体1の上面から伸び出した高さmは、5mmであり、前記微多孔質セラミック棒2の底端が吸気室ボックス内まで延在した高さnは、10mmである。
【0049】
前記微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガは、取鍋ノズル受けレンガ本体1の下部の表層内に埋設された鉄製リング7を含み、取鍋ノズル受けレンガ本体の熱応力による割れの問題を効果的に抑制する。
【0050】
前記鉄製リング7は、全体として高さLが40mmの環状であり、鉄製リングの下端と取鍋上ノズル受けレンガ本体1の下端との距離aは、50mmであり、鉄製リング7が取鍋ノズル受けレンガ本体1の表層内に埋設された深さzは、10mmである。
【0051】
前記鉄製リング7は、厚さが1mmの鉄シートを溶接したものであり、ジョイントの重なり長さが40mmであり、貫通溶接を用いる。
【0052】
前記取鍋ノズル受けレンガ本体1は、クロムコランダムキャスタブルを注入成形したものであり、体積密度≧3.0g/cm、高温曲げ強度≧12Mpa、高温圧縮強度≧80Mpa、AL含有量≧92%、Cr含有量≧3%である。
【0053】
前記微多孔質セラミック棒2は、従来の押し出し成形、高温焼成を用い、材質がジルコニア強化コランダムである。
【0054】
前記鋼注入孔5、上ノズル取付孔6の縦方向中心線は、取鍋ノズル受けレンガ本体1の縦方向中心線と同一直線にあり、前記鋼注入孔5の上部は、上端開口の直径d1が203mm、下端開口の直径d2が152mm、高さcが65mmの円錐台形であり、前記鋼注入孔5の下部は、直径が上部円錐台の下端開口の直径と一致し、高さbが263mmの円筒状チャンネルである。
【0055】
前記上ノズル取付孔6の上部は、円錐台形であり、上ノズル取付孔の嵌合サイズは、上ノズルの外形サイズに応じて設計される。
【0056】
前記取鍋ノズル受けレンガ本体1の外形は、外径Dが380mm、高さHが470mmの円筒状である。
【0057】
本発明に記載の吸気管4は、材質が耐熱性ステンレス鋼の円管であり、その端部には、規格サイズがM16×1.5の接続ネジが設けられる。
【0058】
本発明は、通気性上ノズル受けレンガの手動吹き抜けモード及び自動ソフトブローモードの選択機能を有する1セットのアルゴンガスパイプシステム及び電気制御システムを設置し、取鍋内溶鋼の秤量信号を導入し、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量を同期調整することで、通気性上ノズル受けレンガアルゴンガス吹き流量の正確な制御を実現する、LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹き制御装置をさらに提供する。
【0059】
前記アルゴンガスパイプシステムは、図4に示すように、ガス源主経路、自動分岐経路、手動バイパス及び放散分岐経路に分けられ、ガス源主経路、自動分岐経路及び手動バイパスは、ガスバスバー18を介して連通し、そのうちガス源主経路は、順に、ガス源主経路の第1のボール弁9a、第1の圧力計10a、第1のガスフィルタ11a1、第2のガスフィルタ11a2、圧力調節装置12、及び第1の圧力センサー15aを含み、自動分岐経路は、順に、自動分岐経路の第2のボール弁9b1、第1の電磁弁13b、冶金用質量流量コントローラ14、第2の圧力センサー15b、第2の圧力計10b、及び自動分岐経路の第3のボール弁9b2を含み、手動バイパスは、順に、手動バイパスの第4のボール弁9c、及び手動調節弁16を含み、手動バイパスは、自動分岐経路の第2のボール弁9b1、第2の電磁弁13c、冶金用質量流量コントローラ14に並列接続され、自動分岐経路に故障が発生すると、手動で操作するためのものであり、本発明に係るアルゴンガスパイプシステムは、さらに、LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガにアルゴンガスを自動的に吹く前の大圧力の吹き抜けに用いられ、本発明は、さらに、手動調節弁16の後端に放散分岐経路が設置され、通気性上ノズル受けレンガに接続される吸気金属ホースを挿抜する必要があるとき、排気、圧力解放を行うために、放散分岐経路は、順に、第2の電磁弁13c、及び排気絞り弁17を含む。
【0060】
図5に示すように、前記電気制御システムは、従来技術を用い、ネットワークスイッチ、アルゴンガス吹き制御システムPLC、タッチパネル、及び連続鋳造基礎自動化システムを含み、アルゴンガス吹き制御システムPLC、タッチパネルは、制御ボックス内に設置され、アルゴンガス吹き制御システムPLC、タッチパネル、連続鋳造基礎自動化システムは、いずれもイーサネット通信を介してネットワークスイッチに接続され、取鍋内溶鋼秤量システムは、取鍋内溶鋼の重量を収集して、連続鋳造基礎自動化システムに送信し、イーサネット通信し、ネットワークスイッチを介してアルゴンガス吹き制御システムPLCにアップロードする。
【0061】
前記アルゴンガスパイプシステムにおける素子は、いずれも市販品であり、ここで前記ボール弁9(ガス源主経路の第1のボール弁9a、自動分岐経路の第2のボール弁9b1、自動分岐経路の第3のボール弁9b2、手動バイパスの第4のボール弁9cを含む)は、型番規格がDN20 63bar 304SS G1であり、圧力計10(第1の圧力計10a、第2の圧力計10bを含む)は、型番規格がYT60, 2.5MPaであり、ガスフィルタ11(第1のガスフィルタ11a1、第2のガスフィルタ11a2を含む)は、型番規格がAF60-F10,G1であり、濾過レベルが5umであり、耐圧が3.0MPaであり、手動排水を具備する。圧力調節装置12は、型番規格がBK201-25であり、耐圧が40barであり、圧力調節範囲が0.5-25barであり、電磁弁13(自動主経路の第1の電磁弁13b、放散分岐経路の第2の電磁弁13cを含む)は、型番規格がDC24V,G1/2 MSであり、冶金用質量流量コントローラ14は、型番規格がFLOX[on]62,IP65であり、流量が200NL/minであり、圧力センサー15(ガス源主経路の第1の圧力センサー15a、自動分岐経路の第2の圧力センサー15bを含む)は、型番規格がPT5403,0-25bar G1/4,4-20mA 316Lであり、手動調節弁16は、型番規格がPN50であり、排気絞り弁17は、型番規格がG1/2 MS,25barであり、ガスバスバー18は、型番規格が3.0MPa G1/2である。
【0062】
前記電気制御システム素子は、いずれも市販品であり、ここで前記PLC制御システムは、型番規格がシーメンスのS7シリーズのPLC S7200-Smartであり、AI、AO、DI、DOなどの部品を含み、タッチパネルは、型番規格がシーメンスの7寸タッチパネルである。
【0063】
本発明で利用される上記LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ及びアルゴンガス吹き制御装置のアルゴンガス吹き制御方法は、下記ステップを含む。
【0064】
本実施例は、130tLF精錬用取鍋注湯により超低炭素アルミニウム鎮静鋼DC04を生産するために用いられ、
ステップ1において、初回使用前に取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値を測定する:従来技術ではLF精錬の後期に取鍋が満たされたときにソフトブローする際に、通気性レンガを取鍋の底部から吹き抜ける既存のアルゴンガスを閉じ、上記通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガスと連通させ、アルゴンガス流量を徐々に増大するように調整し、取鍋内の溶鋼面のわずかな変動を観察し、溶鋼面が露出していない時のアルゴンガス吹き流量値を、取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値とし、前記初期流量値は、45NL/minであり、
ステップ2において、取鍋が連続鋳造取鍋ターンテーブルの注湯すべき位置になった後、金属ホースを用いて上記通気性上ノズル受けレンガの吸気管4をアルゴンガス制御装置のガス源出口と連通させ、取鍋が注湯位置に回転してから注湯を開始し、流下した直後に、アルゴンガスパイプシステムの手動バイパスを利用して、上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜ける:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けるまで、アルゴンガスパイプシステムのガス源主経路の圧力調節装置12を調整することで、徐々に3mbarずつ圧力を大きく調整し、
通気性上ノズル受けレンガに塞ぎが生じると、第2の圧力計10bは、圧力≧1200mbarと表示し、アルゴンガスパイプシステムのガス源主経路の圧力調節装置12を調整することで、徐々に圧力を大きく調整するとき、第2の圧力計10は、圧力値が増大し続けると表示し、通気ノズル受けレンガを吹き抜けた後、第2の圧力計10bは、圧力値が徐々に減少し始めると表示する。
【0065】
ステップ3において、鋼中の介在物の制御要件によって、異なる自動ソフトブローモードを選択する:
超低炭素アルミニウム鎮静鋼DC04は、介在物の制御が厳格なハイエンド鋼種であり、ソフトブローモードCを選択する:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けた直後、自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ1で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値45NL/min+5NL/minであり、取鍋にスラグキャリーオーバが発生する又はスラグキャリーオーバ検出システムが警報を出すと、流量5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き込み、取鍋が連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止する。
【0066】
実施例2
実施例1に記載のLF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガとの相違点は、以下のことである。
【0067】
前記微多孔質セラミック棒2は、直径dが45mmの円筒状であり、セラミック棒の高さhが180mmである。前記微多孔質セラミック棒2内の通気孔の数が120個であり、通気孔の内径が0.075mmである。前記微多孔質セラミック棒2は、6本であり、環状として均等に設置され、直径¢320mmである。
【0068】
前記ガスルームボックス3は全体として環状であり、ガスルームボックスは、1.5mmの鋼板で製造された金属ボックスを用い、金属ボックスの横断面は、幅xが60mm、高さyが40mmの長方形である。
【0069】
前記微多孔質セラミック棒2の上端が前記取鍋ノズル受けレンガ本体1の上面から伸び出した高さmは、10mmであり、前記微多孔質セラミック棒2の底端が吸気室ボックス内まで延在した高さnは、5mmである。
【0070】
前記鉄製リング7は、全体として高さLが50mmの環状であり、鉄製リングの下端と取鍋上ノズル受けレンガ本体1の下端との距離aは、60mmであり、鉄製リング7が取鍋ノズル受けレンガ本体1の表層内に埋設された深さzは、20mmである。
【0071】
前記鉄製リング7は、厚さが1mmの鉄シートを溶接したものであり、ジョイントの重なり長さが50mmであり、貫通溶接を用いる。
【0072】
前記微多孔質セラミック棒の材質は、ジルコニア強化コランダムムライトである。
【0073】
前記鋼注入孔5、上ノズル取付孔6の縦方向中心線は、取鍋ノズル受けレンガ本体1の縦方向中心線と同一直線にあり、前記鋼注入孔5の上部は、上端開口の直径d1が210mmで、下端開口の直径d2が160mmで、円錐台の高さcが80mmの円錐台形であり、前記鋼注入孔5の下部は、直径が上部円錐台の下端開口の直径と一致し、高さbが270mmの円筒状チャンネルである。
【0074】
前記取鍋ノズル受けレンガ本体1の外形は、外径Dが400mm、高さHが490mmの円筒状である。
【0075】
本発明で利用される上記LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ及びアルゴンガス吹き制御装置のアルゴンガス吹き制御方法は、下記ステップを含む。
【0076】
本実施例は、130tLF精錬用取鍋注湯により低炭素アルミニウム鎮静鋼SPHCを生産するために用いられ、
ステップ1において、初回使用前に取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値を測定する:従来技術ではLF精錬の後期に取鍋が満たされたときにソフトブローする際に、通気性レンガを取鍋の底部から吹き抜ける既存のアルゴンガスを閉じ、上記通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガスと連通させ、アルゴンガス流量を徐々に増大するように調整し、取鍋内の溶鋼面のわずかな変動を観察し、溶鋼面が露出していない時のアルゴンガス吹き流量値を、取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値とし、前記初期流量値は、42NL/minであり、
ステップ2において、取鍋が連続鋳造取鍋ターンテーブルの注湯すべき位置になった後、金属ホースを用いて上記通気性上ノズル受けレンガの吸気管4をアルゴンガス制御装置のガス源出口と連通させ、取鍋が注湯位置に回転してから注湯を開始し、流下した直後に、アルゴンガスパイプシステムの手動バイパスを利用して、上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜ける:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けるまで、アルゴンガスパイプシステムのガス源主経路の圧力調節装置12を調整することで、5mbarずつ圧力を大きく調整していき、
ステップ3において、鋼中の介在物の制御要件によって、異なる自動ソフトブローモードを選択する:
低炭素アルミニウム鎮静鋼SPHCが介在物の制御要件があるミドルエンド鋼種である場合、ソフトブローモードBを選択する:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けた直後、自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ1で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値42NL/min+3NL/minであり、溶鋼注湯量が、取鍋内溶鋼の総量の60%に達すると、流量3NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋が連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止する。
【0077】
実施例3
実施例1に記載のLF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガとの相違点は、以下のことである。
【0078】
前記微多孔質セラミック棒2は、直径dが40mmの円筒状であり、セラミック棒の高さhが160mmである。前記微多孔質セラミック棒2内の通気孔の数が105個であり、通気孔の内径が0.085mmである。前記微多孔質セラミック棒2は、8本であり、直径¢が310mmの環状として均等に設置される。
【0079】
前記ガスルームボックス3は全体として環状であり、ガスルームボックスは、1.8mmの鋼板で製造された金属ボックスを用い、金属ボックスの横断面は、幅xが55mm、高さyが35mmの長方形である。
【0080】
前記微多孔質セラミック棒2の上端が前記取鍋ノズル受けレンガ本体1の上面から伸び出した高さmは、7mmであり、前記微多孔質セラミック棒2の底端が吸気室ボックス内まで延在した高さnは、7mmである。
【0081】
前記鉄製リング7は、全体として高さLが45mmの環状であり、鉄製リングの下端と取鍋上ノズル受けレンガ本体1の下端との距離aは、55mmであり、鉄製リング7が取鍋ノズル受けレンガ本体1の表層内に埋設された深さzは、15mmである。
【0082】
前記鋼注入孔5、上ノズル取付孔6の縦方向中心線は、取鍋ノズル受けレンガ本体1の縦方向中心線と同一直線にあり、前記鋼注入孔5の上部は、上端開口の直径d1が190mmで、下端開口の直径d2が140mm、高さcが55mmの円錐台形であり、前記鋼注入孔5の下部は、直径が上部円錐台の下端開口の直径と一致し、高さbが250mmの円筒状チャンネルである。
【0083】
前記取鍋ノズル受けレンガ本体1の外形は、外径Dが390mm、高さHが480mmの円筒状である。
【0084】
本発明で利用された上記LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ及びアルゴンガス吹き制御装置のアルゴンガス吹き制御方法は、下記ステップを含む。
【0085】
本実施例は、130tLF精錬用取鍋注湯によりQ345Bを生産するために用いられ、
ステップ1において、初回使用前に取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値を測定する:従来技術ではLF精錬の後期に取鍋が満たされたときにソフトブローする際に、通気性レンガを取鍋の底部から吹き抜ける既存のアルゴンガスを閉じ、上記通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガスと連通させ、アルゴンガス流量を徐々に増大するように調整し、取鍋内の溶鋼面のわずかな変動を観察し、溶鋼面が露出していない時のアルゴンガス吹き流量値を、取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値とし、前記初期流量値は、40NL/minであり、
ステップ2において、取鍋が連続鋳造取鍋ターンテーブルの注湯すべき位置になった後、金属ホースを用いて上記通気性上ノズル受けレンガの吸気管4をアルゴンガス制御装置のガス源出口と連通させ、取鍋が注湯位置に回転してから注湯を開始し、流下した直後に、アルゴンガスパイプシステムの手動バイパスを利用して、上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜ける:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けるまで、アルゴンガスパイプシステムのガス源主経路の圧力調節装置12を調整することで、徐々に7mbarずつ圧力を大きく調整し、
ステップ2において、鋼中の介在物の制御要件によって、異なる自動ソフトブローモードを選択する。
【0086】
Q345Bは介在物の制御要件がないローエンド鋼種であり、ソフトブローモードAを選択する:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けた直後、自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ1で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値40NL/min+2NL/minであり、溶鋼注湯量が取鍋内溶鋼の総量の30%に達すると、流量2NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋が連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止する。
【0087】
比較例1
実施例1に比べて、本発明の実施例1に係る微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガの代わりに、特許文献1における実施例1に開示されている取鍋の通気性上ノズル受けレンガを用いた以外、残りは同様である。
【0088】
比較例2
実施例2に比べて、本発明の実施例2に係る微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガの代わりに、特許文献1における実施例2に開示されている取鍋の通気性上ノズル受けレンガを用いた以外、残りは同様である。
【0089】
比較例3
実施例3に比べて、本発明の実施例3に係る微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガの代わりに、特許文献1における実施例3に開示されている取鍋の通気性上ノズル受けレンガを用いた以外、残りは同様である。
【0090】
比較例4
実施例2に比べて、ノズル受けレンガのアルゴンガス吹き制御方法が異なり、本発明の実施例2に係る取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹き制御方法の代わりに、特許文献2の実施例2に開示されている取鍋の環状スリット式通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹き制御方法を用いた以外、残りは同様である。
【0091】
実験例
実施例1~3及び比較例1~4に係る技術的解決手段について、ある製鋼所のスラブ連続鋳造装置で超低炭素アルミニウム鎮静鋼DC04、低炭素アルミニウム鎮静鋼SPHC及び普通炭素鋼Q345Bを生産するシーンに適用して比較し、それぞれ鋳片の1/4箇所から大電解試験片を採取し、直径60mm、高さ100mmの丸棒に加工し、大試験片の電解介在物の検出・比較を行い、超低炭素アルミニウム鎮静鋼DC04を注湯製造するための溶鋼の注湯残量を比較、測定する際には、いずれも、構成が同一のスラグキャリーオーバ検出システムを用い、比較結果を以下の表1に示す。
【0092】
表1
【0093】
以上の表1のデータの比較により、本発明に係る取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガを用いることは、比較例の特許文献1に係る取鍋の通気性上ノズル受けレンガを用いることに比べて、塞ぎにくく、吹き抜けやすく、連続鋳造スラブ試験片の電解介在物の重量が20%以上減少し、取鍋における溶鋼の平均温度低下が0.1℃/min以上低減し、取鍋の通気性上ノズル受けレンガの酸素燃焼パージ不要率が4%以上向上し、溶鋼注湯残量が20%以上減少し、取鍋ノズル受けレンガの平均耐用年数が4ヒート向上する。本発明に係る取鍋の通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹き制御方法を用いることは、比較例の特許文献2に係る取鍋の通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹き制御方法を用いることに比べて、取鍋における溶鋼の平均温度低下が0.06℃/min低減し、取鍋の通気性上ノズル受けレンガの1回目の吹き抜け率が11%向上し、取鍋の通気性上ノズル受けレンガの酸素燃焼パージ不要率が13%向上する。
【0094】
ある製鋼所のスラブ連続鋳造タンディッシュを同一実験研究の対象とし、同一の研究方法に従って、本発明の前記取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガと特許文献2に記載の取鍋の環状スリット式通気性上ノズル受けレンガに対して水モデル実験及び数理モデル研究を行い、水モデル実験研究の結果、正常なプロセス条件でのシミュレートブロー量が3NL/minであり、水モデル実験で測定された本発明の前記セラミック棒の近くでの気泡の直径が1.8mm未満であり、一方、中国特許文献CN109719290Aに記載の環状スリットの近くでの気泡の直径が<2mmである。数理モデル研究の結果、本発明の前記取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガの介在物除去率が54~67%であり、一方、中国特許文献CN109719290に記載の取鍋の環状スリット式通気性上ノズル受けレンガの介在物除去率が37~48%である。
【0095】
水モデル実験及び数理モデル研究により、本発明の前記取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹きの冶金効果の優位性は明らかである。
【符号の説明】
【0096】
1 取鍋ノズル受けレンガ本体
2 微多孔質セラミック棒
3 ガスルームボックス
4 吸気管
5 鋼注入孔
6 上ノズル取付孔
7 鉄製リング
8 挿入口
9 ボール弁(ガス源主経路の第1のボール弁9a、自動分岐経路の第2のボール弁9b1、自動分岐経路の第3のボール弁9b2、手動バイパスの第4のボール弁9cを含む)
10 圧力計(第1の圧力計10a、第2の圧力計10bを含む)
11 ガスフィルタ(第1のガスフィルタ11a1、第2のガスフィルタ11a2を含む)
12 圧力調節装置
13 電磁弁(自動主経路の第1の電磁弁13b、手動バイパスの第2の電磁弁13cを含む)
14 冶金用質量流量コントローラ
15 圧力センサー(ガス源主経路の第1の圧力センサー15a、自動分岐経路の第2の圧力センサー15bを含む)
16 手動調節弁
17 排気絞り弁
18 ガスバスバー
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取鍋ノズル受けレンガ本体(1)、微多孔質セラミック棒(2)、ガスルームボックス(3)、吸気管(4)を含み、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の中央部に上下方向に貫通している鋼注入孔(5)及び上ノズル取付孔(6)が設けられ、
前記微多孔質セラミック棒(2)は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)内に環状として均等に複数分布しており、各微多孔質セラミック棒(2)の先端は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の上面から伸び出し、各微多孔質セラミック棒(2)の底端は、ガスルームボックス(3)内まで延在し、ガスルームボックス(3)には、微多孔質セラミック棒(2)を固定するための挿入口(8)が複数設けられ、挿入口(8)の形状、数、位置は、微多孔質セラミック棒(2)に対応し、ガスルームボックス(3)の側部に吸気管(4)の一端が接続され、
吸気管(4)の一端は、ガスルームボックス(3)に連通し、他端は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の側部から伸び出すLF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガであって、
前記微多孔質セラミック棒(2)は、直径dが35~45mmの円筒状であり、セラミック棒の高さhが140~180mmであり、
取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の下部の表層内に埋設された鉄製リング(7)をさらに含み、
前記鉄製リング(7)は、全体として高さLが40~50mmの環状であり、鉄製リングの下端と取鍋上ノズル受けレンガ本体(1)の下端との距離aは、50~60mmであり、鉄製リング(7)が取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の表層内に埋設された深さzは、10~20mmであり、
前記微多孔質セラミック棒(2)内に前記微多孔質セラミック棒の軸方向に沿って、前記微多孔質セラミック棒の横断面に均等に分布している通気孔が設置され、通気孔の数が60~120個であり、通気孔の内径が0.075~0.1mmであり、通気孔は、前記微多孔質セラミック棒の上端面及び下端面を縦方向に貫通し、
前記微多孔質セラミック棒(2)は、押し出し成形、高温焼成を用い、材質がジルコニア強化コランダム又はジルコニア強化コランダムムライトであることを特徴とする、LF精錬用取鍋の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガ。
【請求項2】
前記鉄製リング(7)は、厚さが1mmの鉄シートを溶接したものであり、ジョイントの重なり長さが40~50mmであり、貫通溶接を用いることを特徴とする、請求項に記載のノズル受けレンガ。
【請求項3】
記微多孔質セラミック棒(2)は、6~10本であり、環状として均等に設置され、直径¢が300~320mmであることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項4】
前記微多孔質セラミック棒(2)の上端が前記取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の上面から伸び出した高さmは、5~10mmであり、前記微多孔質セラミック棒(2)の底端がガスルームボックス内まで延在した高さnは、5~10mmであることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項5】
前記ガスルームボックス(3)は全体として環状であり、ガスルームボックスは、厚さが1.5~2.0mmの鋼板で製造された金属ボックスを用い、前記金属ボックスの断面は、幅xが50~60mm、高さyが30~40mmの長方形であることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項6】
前記取鍋ノズル受けレンガ本体(1)は、クロムコランダムキャスタブルを注入成形したものであり、体積密度≧3.0g/cm、高温曲げ強度≧12Mpa、高温圧縮強度≧80Mpa、AL含有量≧92%、Cr含有量≧3%であることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項7】
前記鋼注入孔(5)、上ノズル取付孔(6)の縦方向中心線は、取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の縦方向中心線と同一直線にあり、前記鋼注入孔(5)の上部は、上端開口の直径d1が190~210mm、下端開口の直径d2が140~160mm、高さcが55~80mmの円錐台形であり、前記鋼注入孔(5)の下部は、直径が上部円錐台の下端開口の直径と一致し、高さbが250~270mmの円筒状チャンネルであることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項8】
前記上ノズル取付孔(6)の上部は、円錐台形であり、上ノズル取付孔の嵌合サイズは、上ノズルの外形サイズに応じて設計されることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項9】
前記取鍋ノズル受けレンガ本体(1)の外形は、外径Dが380~400mm、高さHが470~490mmの円筒状であることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項10】
前記吸気管(4)は、材質が耐熱性ステンレス鋼の円管であり、その端部には、規格サイズがM16×1.5の接続ネジが設けられることを特徴とする、請求項1に記載のノズル受けレンガ。
【請求項11】
通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹き制御装置であって
通気性上ノズル受けレンガの手動吹き抜けモード及び自動ソフトブローモードの選択機能モジュールを有する1セットのアルゴンガスパイプシステム及び電気制御システムを設置し、取鍋内溶鋼の秤量信号を導入し、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に基づいて、アルゴンガス流量を同期調整し、
前記通気性上ノズル受けレンガは、請求項1に記載の微多孔質セラミック棒付き通気性上ノズル受けレンガであることを特徴とする、通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガス吹き制御装置。
【請求項12】
前記アルゴンガスパイプシステムは、ガス源主経路、自動分岐経路、手動バイパス及び放散分岐経路に分けられ、ガス源主経路、自動分岐経路及び手動バイパスは、ガスバスバー(18)を介して連通し、
ガス源主経路は、順に、ガス源主経路の第1のボール弁(9a)、第1の圧力計(10a)、第1のガスフィルタ(11a1)、第2のガスフィルタ(11a2)、圧力調節装置(12)、及び第1の圧力センサー(15a)を含み、
自動分岐経路は、順に、自動分岐経路の第2のボール弁(9b1)、第1の電磁弁(13b)、冶金用質量流量コントローラ(14)、第2の圧力センサー(15b)、第2の圧力計(10b)、及び自動分岐経路の第3のボール弁(9b2)を含み、
手動バイパスは、順に、手動バイパスの第4のボール弁(9c)、及び手動調節弁(16)を含み、
手動バイパスは、自動分岐経路の第2のボール弁(9b1)、第の電磁弁(13b)、冶金用質量流量コントローラ(14)に並列接続され、自動分岐経路に故障が発生すると、手動で操作するためのものであり、
さらに、前記アルゴンガスパイプシステムはLF精錬用取鍋の通気性上ノズル受けレンガにアルゴンガスを自動的に吹く前の大圧力の吹き抜けに用いられ、
また、手動調節弁(16)の後端には、順に第2の電磁弁(13c)、排気絞り弁(17)を含む放散分岐経路が設置され、通気性上ノズル受けレンガに接続される吸気金属ホースを挿抜する必要があるとき、排気、圧力解放を行うために用いられることを特徴とする、請求項11に記載のアルゴンガス吹き制御装置。
【請求項13】
前記電気制御システムは、ネットワークスイッチ、アルゴンガス吹き制御システムPLC、タッチパネル、及び連続鋳造基礎自動化システムを含み、
アルゴンガス吹き制御システムPLC、タッチパネルは、制御ボックス内に設置され、アルゴンガス吹き制御システムPLC、タッチパネル、連続鋳造基礎自動化システムは、いずれもイーサネット通信を介してネットワークスイッチに接続され、取鍋内溶鋼秤量システムは、取鍋内溶鋼の重量を収集して、連続鋳造基礎自動化システムに送信し、イーサネット通信、ネットワークスイッチを介してアルゴンガス吹き制御システムPLCにアップロードすることを特徴とする、請求項11に記載のアルゴンガス吹き制御装置。
【請求項14】
アルゴンガス吹き制御方法であって、
請求項11に記載のアルゴンガス吹き制御装置を初めて使用し、取鍋が満たされたときに通気性上ノズル受けレンガにソフトブローする初期流量値を測定するステップ1と、
取鍋が連続鋳造取鍋ターンテーブルの注湯すべき位置になった後、金属ホースを用いて上記通気性上ノズル受けレンガの吸気管(4)をアルゴンガス制御装置のガス源出口と連通させ、取鍋が注湯位置に回転してから注湯を開始し、流下した直後に、アルゴンガスパイプシステムの手動バイパスを利用して、上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜け、具体的には、上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けるまで、アルゴンガスパイプシステムのガス源主経路の圧力調節装置12を調整することで、1~10mbarずつ圧力を大きく調整していくステップ2と、
鋼中の介在物の制御要件によって、ステップ2で吹き抜けた直後、異なる自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、
溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ1で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値+(2~5)NL/minであり、
溶鋼注湯量が取鍋内溶鋼の総量の30~100%に達すると、流量2~5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋注湯が終了し、連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止するステップ3とを含む、アルゴンガス吹き制御方法。
【請求項15】
ステップ1では、取鍋が満たされたときに通気性上ノズル受けレンガにソフトブローする初期流量値の測定においては、従来技術ではLF精錬の後期に取鍋が満たされたときにソフトブローする際に、通気性レンガを取鍋の底部から吹き抜ける既存のアルゴンガスを閉じ、通気性上ノズル受けレンガのアルゴンガスと連通させ、アルゴンガス流量を徐々に増大するように調整し、取鍋内の溶鋼面のわずかな変動を観察し、溶鋼面が露出していない時のアルゴンガス吹き流量値を、取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップ3では、鋼中の介在物の制御要件によって、以下の異なる自動ソフトブローモードを選択し、
(1)介在物の制御要件がないローエンド鋼種の場合、自動ソフトブローモードAを選択する:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けた直後、自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ1で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値+(2~5)NL/minであり、溶鋼注湯量が取鍋内溶鋼の総量の30~40%に達すると、流量2~5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋注湯が終了し、連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止し、
(2)介在物の制御要件があるミドルエンド鋼種の場合、ソフトブローモードBを選択する:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けた直後、自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ2で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値+(2~5)NL/minであり、溶鋼注湯量が取鍋内溶鋼の総量の50~60%に達すると、流量2~5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋注湯が終了し、連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止し、
(3)介在物制御が厳格なハイエンド鋼種の場合、ソフトブローモードCを選択する:上記通気性上ノズル受けレンガを吹き抜けた直後、自動ソフトブローモードを起動し、アルゴンガスパイプシステムの自動主経路を利用してアルゴンガスを吹き、取鍋内の溶鋼正味重量の変化に応じて、アルゴンガス流量をリニア調整し、溶鋼注湯中のアルゴンガス流量の設定値=取鍋内の残りの溶鋼正味重量÷取鍋が満たされた時の溶鋼正味重量×ステップ2で取鍋が満たされたときのソフトブローの初期流量値+(2~5)NL/minであり、取鍋にスラグキャリーオーバが発生する又はスラグキャリーオーバ検出システムが警報を出すと、流量2~5NL/minを維持しながらアルゴンガスを吹き、取鍋が連続鋳造ターンテーブルの注湯すべき位置に戻ってから、アルゴンガス吹きを停止することを特徴とする、請求項14に記載のアルゴンガス吹き制御方法。
【国際調査報告】