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特表2023-515929有限サイズの複合積層カード、それから形成されるテーパリングされた複合積層構造、ならびに、その製造方法および使用方法
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  • 特表-有限サイズの複合積層カード、それから形成されるテーパリングされた複合積層構造、ならびに、その製造方法および使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-17
(54)【発明の名称】有限サイズの複合積層カード、それから形成されるテーパリングされた複合積層構造、ならびに、その製造方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/02 20060101AFI20230410BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20230410BHJP
   B29C 70/34 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
B32B3/02
B64C1/00 B
B29C70/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549765
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 US2021022943
(87)【国際公開番号】W WO2021188783
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/991,411
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【弁理士】
【氏名又は名称】北脇 大
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ、スティーヴン ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4F100
4F205
【Fターム(参考)】
4F100AS00A
4F100AS00B
4F100AS00C
4F100AS00D
4F100AS00E
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA21A
4F100BA21B
4F100BA21C
4F100BA21D
4F100BA21E
4F100BA31A
4F100BA31B
4F100BA31C
4F100BA31D
4F100BA31E
4F100DB01A
4F100DB01B
4F100DB01C
4F100DB01D
4F100DB01E
4F100DH01
4F100EJ37A
4F100EJ37B
4F100EJ37C
4F100EJ37D
4F100EJ37E
4F100GB31
4F100GB32
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
4F100YY00E
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG03
4F205AG28
4F205AH31
4F205AR12
4F205AR13
4F205HA08
4F205HA14
4F205HA22
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HB11
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK05
(57)【要約】
種々の二重テーパリングされた複合積層構造が説明される。これらの構造は、複数の有限のサブ積層カードを有していてもよく、複数のカードのそれぞれのものは、複数のカードのその他のものと同じ形状およびサイズを有し、かつ、カード平面に配向された対向面、平面状表面の対向第一エッジおよび平面状表面の対向第二エッジを有し、対向第二エッジは対向第一エッジに対して垂直である。有限のサブ積層カードは、連続的にオフセットされた様式で互いに対して積み重ねられる。有限のサブ積層カードを(オフセットのために)積み重ね、かつ、スライドさせる方法もまた、説明される。テーパリングされた機体スキンおよび燃料タンクカバーもまた、考慮される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重テーパリングされた複合積層構造であって、当該構造は長手方向軸を有し、かつ:
複数の有限のサブ積層カードを有し、該複数のカードのそれぞれのものは、該複数のカードのその他のものと同じ形状およびサイズを有し、かつ、カード平面において配向された対向面、前記平面状表面の対向第一エッジおよび前記平面状表面の対向第二エッジを有し、前記対向第二エッジは前記対向第一エッジに対して垂直であり;
前記の複数の有限のサブ積層カードのうちの最も上のものによって定められた上面を有し;かつ、
前記の複数の有限のサブ積層カードのうちの最も下のものによって定められた成形面を有し、該成形面は前記上面に対して反対方向に配向されており;
ここで:
前記の複数のカードはそれぞれ、前記の複数のカードの前記の対向する平面状表面ならびに前記対向第1および第二エッジと直交する方向に前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの上に積み重ねられており;
前記の複数のカードはそれぞれ、前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものに対して前記カード平面においてオフセットされた距離にてオフセットされており;
前記のオフセットされた距離は、前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第一エッジの各々のものの間の距離として定められており;
前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第一エッジのうちの一方は、当該複合積層構造の前記上面のテーパリングされた上部を定めており;かつ、
前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第一エッジのうちの他方は、当該複合積層構造の前記成形面のテーパーリングされた成形部を定めており、該テーパリングされた成形部は前記のテーパリングされた上部に対して反対方向に配向されている、
前記構造。
【請求項2】
前記の複数のカードがそれぞれ、四の別個のプライ層を含んでいる、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記の四の別個のプライ層のうちの二が、前記の四の別個のプライ層のうちの別の二に対して角度をなしてオフセットされており、前記角度が22~70度である、請求項2に記載の構造。
【請求項4】
前記の複数のカードがそれぞれ実質的に長方形の形状である、請求項1に記載の構造。
【請求項5】
前記の複数のカードがそれぞれ実質的に正方形の形状である、請求項1に記載の構造。
【請求項6】
前記の複数のカードがそれぞれ、四×四インチ、六×六インチまたは十二×十二インチのうちの一つの寸法を有する、請求項5に記載の構造。
【請求項7】
前記の複数のカードはそれぞれ、四×六インチ、五×七インチ、六×九インチ、六×十インチ、四×八インチまたは六×十二インチのうちの一つの寸法を有する、請求項7に記載の構造。
【請求項8】
前記の複数のカードのそれぞれの少なくとも一部が準台形状である、請求項1に記載の構造。
【請求項9】
前記の準台形状の各カードのテーパーが直線状である、請求項8に記載の構造。
【請求項10】
前記のオフセットされた距離が1/8~1.0インチである、請求項1に記載の構造。
【請求項11】
前記のオフセットされた距離が1/4~3/4インチである、請求項1に記載の構造。
【請求項12】
前記のオフセットされた距離が1/4~1/2インチである、請求項1に記載の構造。
【請求項13】
前記のオフセットされた距離が0.01~4.0インチである、請求項1に記載の構造。
【請求項14】
前記のオフセットされた距離が1/16~1/8インチである、請求項1に記載の構造。
【請求項15】
前記のオフセットされた距離が、前記の複数のカードのうちのすべての隣接して位置するものについて同じである、請求項1に記載の構造。
【請求項16】
前記のオフセットされた距離が、前記の複数のカードのうちの少なくとも二の隣接して位置するものについて同じである、請求項1に記載の構造。
【請求項17】
前記のオフセットされた距離が直線状に変動する、請求項1に記載の構造。
【請求項18】
前記のオフセットされた距離が非直線状に変動する、請求項1に記載の構造。
【請求項19】
前記のオフセットされた距離が、前記の隣接して位置する複数のカードのうちの最も下のものから最も上のものへと可変的に増大する、請求項1に記載の構造。
【請求項20】
前記の複数のカードの前記形状またはサイズとは異なる形状またはサイズの少なくとも一方を有する連続的なカードをさらに含んでいる、請求項1に記載の構造。
【請求項21】
当該構造の前記長手方向軸の方向の前記のテーパリングされた上部の長さが、長手方向の当該構造の長さのほぼ1/4~1/2である、請求項1に記載の構造。
【請求項22】
当該構造の前記長手方向軸の方向の前記のテーパリングされた上部の長さが、長手方向の当該構造の長さのほぼ1/3である、請求項1に記載の構造。
【請求項23】
当該構造の前記長手方向軸の方向の前記のテーパリングされた成形部の長さが、長手方向の当該構造の長さのほぼ1/4~1/2である、請求項1に記載の構造。
【請求項24】
当該構造の前記長手方向軸の方向の前記のテーパリングされた成形部の長さが、長手方向の当該構造の長さのほぼ1/3である、請求項1に記載の構造。
【請求項25】
当該構造の前記長手方向軸の方向の前記のテーパリングされた上部および前記のテーパリングされた成形部の両方の長さが、長手方向の当該構造の長さのほぼ1/4~1/2である、請求項1に記載の構造。
【請求項26】
当該構造の前記長手方向軸の方向の前記のテーパリングされた上部および前記のテーパリングされた成形部の両方の長さが、長手方向の当該構造の長さのほぼ1/3である、請求項1に記載の構造。
【請求項27】
前記長手方向軸に沿って、前記のテーパリングされた上部および前記のテーパリングされた成形部の中間に、テーパリングされていない部分が提供されている、請求項26に記載の構造。
【請求項28】
前記のテーパリングされていない部分が、当該構造の前記長手方向軸の方向に、長手方向の当該構造の長さのほぼ1/4~1/3である長さを有する、請求項27に記載の構造。
【請求項29】
全体を通して一定の厚さのテーパリングされていない構造に対して62.5%の軽量化が達成されている、請求項1に記載の構造。
【請求項30】
全体を通して一定の厚さのテーパリングされていない構造に対して少なくとも50%の軽量化が達成されている、請求項1に記載の構造。
【請求項31】
全体を通して一定の厚さのテーパリングされていない構造に対して少なくとも25%の軽量化が達成されている、請求項1に記載の構造。
【請求項32】
前記のオフセットされた距離が第1のオフセットされた距離であり、かつ、第2のオフセットされた距離もまた提供され、該第2のオフセットされた距離は、前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第二エッジの各々のものの間の距離として定められて、当該構造の前記の対向する上面および成形面の二次元テーパリングを提供する、請求項1に記載の構造。
【請求項33】
前記の第1および第2のオフセットされた距離が、一定であり、かつ、同じである、請求項32に記載の構造。
【請求項34】
前記の第1および第2のオフセットされた距離のうちの一方が可変である、請求項32に記載の構造。
【請求項35】
当該構造がテーパリングされたスティッフナーまたはストリンガーである、請求項1に記載の構造。
【請求項36】
当該構造がテーパリングされた機体スキンである、請求項1に記載の構造。
【請求項37】
当該構造が、前記の複数のカードに隣接する一の内側の連続する層を有する燃料タンクカバーである、請求項1に記載の構造。
【請求項38】
当該構造がテーパリングされた航空機の翼である、請求項1に記載の構造。
【請求項39】
長手方向軸を有する二重テーパリングされた複合積層構造を形成する方法であって、当該方法は:
複数の有限のサブ積層カードを提供するステップを有し、該複数のカードのそれぞれのものは、該複数のカードのその他のものと同じ形状およびサイズを有し、かつ、カード平面において配向された対向面、前記平面状表面の対向第一エッジおよび前記平面状表面の対向第二エッジを有し、前記対向第二エッジは前記対向第一エッジに対して垂直であり;
形成される前記構造の前記長手方向軸と位置合わせされた方向に前記の複数のカードのうちの最初のものを位置決めすることによって、成形面を確立するステップを有し;
前記の複数のカードのうちの前記の最初のものの上に前記の複数のカードのうちの少なくとも二番目のものを積み重ねるステップを有し、積み重ねはオフセットされた様式で起こり、前記の二番目のカードの少なくとも対向第一エッジが前記の最初のカードに接触するようになっており;
前記のオフセットされた様式で前記の複数のカードのうちの前記の少なくとも二番目のものの上に前記の複数のカードのうちの最後のものを積み重ねて、前記構造の上面を定めるステップを有し、
ここで:
前記のオフセットされた距離は、前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第一エッジの各々のものの間の距離として定められており;
前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第一エッジのうちの一方は、前記複合積層構造の前記上面のテーパリングされた上部を定めており;かつ、
前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第一エッジのうちの他方は、前記複合積層構造の前記成形面のテーパリングされた成形部を定めており、該テーパリングされた成形部は前記のテーパリングされた上部に対して反対方向に配向されている、
前記方法。
【請求項40】
前記の複数のカードのうちの前記の最後のものが前記の複数のカードのうちの十六番目のものであり、かつ、前記の複数のカードのうちの前記の最初のものと前記の最後のものとの間には連続的なオフセットされた距離で十四のカードがシーケンシャルに積み重ねられる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記の複数のカードのうちの前記の最後のものが前記の複数のカードのうちの八番目のものであり、かつ、前記の複数のカードのうちの前記の最初のものと前記の最後のものとの間には連続的なオフセットされた距離で六のカードがシーケンシャルに積み重ねられる、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記の複数のカードのうちの前記の最後のものが前記の複数のカードのうちの120番目のものであり、かつ、前記の複数のカードのうちの前記の最初のものと前記の最後のものとの間には連続的なオフセットされた距離で118のカードがシーケンシャルに積み重ねられる、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記のオフセットされた距離が第1のオフセットされた距離であり、かつ、第2のオフセットされた距離もまた提供され、該第2のオフセットされた距離は、前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第二エッジの各々のものの間の距離として定められて、前記構造の前記の対向する上面および成形面の二次元テーパリングを提供する、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記の第1および第2のオフセットされた距離が、一定であり、かつ、同じである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記の第1および第2のオフセットされた距離のうちの一方が可変である、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記の複数のカードがそれぞれ、四の別個のプライ層を含んでおり;かつ、
前記の四の別個のプライ層のうちの二が、前記の四の別個のプライ層のうちの別の二に対して角度をなしてオフセットされており、前記角度が22~70度である、
請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記の複数のカードがそれぞれ実質的に長方形の形状である、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記の複数のカードのそれぞれの少なくとも一部が準台形状であり;かつ、
前記の準台形状の各カードのテーパーが直線状である、
請求項39に記載の方法。
【請求項49】
前記の複数のカードのオフセットされた積み重ねを介して達成される前記のオフセットされた距離が、前記の複数のカードのうちのすべての隣接して位置するものについて同じである、請求項39に記載の方法。
【請求項50】
前記のオフセットされた距離が、前記の複数のカードのうちの少なくとも二の隣接して位置するものについて異なる、請求項39に記載の方法。
【請求項51】
前記のオフセットされた距離が、前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの一定のスライドに起因して直線状に変動する、請求項39に記載の方法。
【請求項52】
前記のオフセットされた距離が、前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの可変であるスライドに起因して非直線状に変動する、請求項39に記載の方法。
【請求項53】
前記の複数のカードのうちの外側のものに隣接する前記の複数のカードの前記形状またはサイズとは異なる形状またはサイズのうちの少なくとも一方を有する連続的なカードを積み重ねることをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項54】
テーパリングされた機体スキンであって、当該テーパリングされた機体スキンは:
複数の有限のサブ積層カードを有し、該複数のカードのそれぞれのものは、前記の複数のカードのその他のものと同じ形状およびサイズを有し、かつ、カード平面において配向された対向面、前記平面状表面の対向第一エッジおよび前記平面状表面の対向第二エッジを有し、前記対向第二エッジは前記対向第一エッジに対して垂直であり;
前記の複数の有限のサブ積層カードのうちの一に隣接する連続的なカード層を有し、該連続的なカード層は、前記の複数の有限のサブ積層カードのそれぞれのものとは異なるか、または、前記の複数の有限のサブ積層カードのそれぞれのものより大きいかの少なくとも一方である、形状およびサイズを有し;
前記の複数の有限のサブ積層カードのうちの最も上のものによって定められた上面を有し;かつ、
前記の連続的なカード層によって定められた成形面を有し、該成形面は前記上面に対して反対方向に配向されており;
ここで:
前記の連続的なカード層の上には、前記の複数のカードのうちの最初のものが積み重ねられており;
前記の複数のカードのうちの残りのものはそれぞれ、前記の複数のカードの前記の対向する平面状表面ならびに前記対向第一および第二エッジと直交する方向に前記の残りの複数のカードのうちの隣接して位置するものの上に積み重ねられており;
前記の複数のカードはそれぞれ、前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものに対して前記カード平面においてオフセットされた距離にてオフセットされており;
前記のオフセットされた距離は、前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第一エッジの各々のものの間の距離として定められており;
前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第一エッジのうちの一方は、複合積層構造の前記上面のテーパリングされた上部を定めており;かつ、
前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第一エッジのうちの他方は、前記複合積層構造の前記成形面のテーパリングされた成形部を定めており、該テーパリングされた成形部は前記のテーパリングされた上部に対して反対方向に配向されている、
前記のテーパリングされた機体スキン。
【請求項55】
各カードが実質的に長方形の形状である、請求項54に記載のテーパリングされた機体スキン。
【請求項56】
各カードのテーパーが一定かつ直線状である、請求項54に記載のテーパリングされた機体スキン。
【請求項57】
テーパリング加工された航空機の翼であって、当該テーパリングされた航空機の翼は:
複数の長方形ではない有限のサブ積層カードを有し、該複数のカードのそれぞれのものは、該複数のカードのその他のものと同じ形状およびサイズを有し、かつ、カード平面において配向された対向面、前記平面状表面の対向第一エッジおよび前記平面状表面の対向第二エッジを有し、前記対向第二エッジは前記対向第一エッジに対して垂直であり;
前記の複数の有限のサブ積層カードのうちの最も上のものによって定められた上面を有し;かつ、
前記の複数の有限のサブ積層カードのうちの最も下のものによって定められた成形面を有し、該成形面は前記上面に対して反対方向に配向されており;
ここで:
前記の複数のカードはそれぞれ、前記の複数のカードの前記の対向する平面状表面ならびに前記対向第一および第二エッジと直交する方向に前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの上に積み重ねられており;
前記複数のカードはそれぞれ、前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものに対して前記カード平面においてオフセットされた距離にてオフセットされており;
前記のオフセットされた距離は、前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第一エッジの各々のものの間の距離として定められており;
前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第一エッジのうちの一方は、複合積層構造の前記上面のテーパリングされた上部を定めており;かつ、
前記の複数のカードのうちの隣接して位置するものの前記平面状表面の前記対向第一エッジのうちの他方は、前記複合積層構造の前記成形面のテーパリングされた成形部を定めており、該テーパリングされた成形部は前記のテーパリングされた上部に対して反対方向に配向されている、
前記のテーパリングされた航空機の翼。
【請求項58】
各カードが実質的に台形の形状である、請求項56に記載のテーパリングされた航空機の翼。
【請求項59】
前記の準台形状の各カードのテーパーが直線状である、請求項56に記載のテーパリングされた航空機の翼。
【請求項60】
前記の準台形状の各カードのテーパーが可変である、請求項56に記載のテーパリングされた航空機の翼。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2020年3月18日付けで出願の米国仮特許出願第62/991,411号(その内容は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)への優先権を主張し、かつ、その利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本発明の種々の実施形態は概して、複合積層構造に関し、とりわけ、オフセットされた様式で互いに対して積み重ねられ、かつ、スライドして、生じる廃棄物が少なく、かつ、エラーが少ない構造を容易にする、カード-またはサブ積層モジュールもしくはビルディングブロック-の種々のセットに関する。かかる構造の製造方法、生産方法および使用方法もまた、説明される。
【0003】
関連技術の説明
受け入れを向上させるために、従来の複合積層構造は概して、従来の金属系積層材料の強度特性に匹敵するように設計されており、かつ、そのようであるので、対称的であり、かつ、バランスの取れたプライの層を有する設計に拘束される。かかる従来の構造は、そのように拘束され、かつ、黒色炭素繊維から形成される少なくとも三のプライ層(±45が単一のプライ層と考えられる場合)または四のプライ層(±45が二つの別個のプライ層と考えられる場合)を含むときには、それらの組み合わされたカーボンメイキャップおよび金属に匹敵する特性に起因して、本技術分野では一般に「ブラックアルミニウム」と呼ばれていた。従来の複合積層構造を取り巻く追加的な詳細は、米国公開第2006/0093802号公報(その内容は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)を参照して理解されてもよい。
【0004】
これらの従来の複合積層構造はしばしば、「レガシークアッド積層」(通称)を利用しており、該「レガシークアッド積層」は、[0]、[±45]および[90]のプライの集合体で作られた積層を伴う(例えば、図1A図1Bに示されているレガシークアッドフィールドを参照)。各層が積み重ねられたとき、結果として生じる構造は準等方性である。なぜなら、それがアルミニウムの等方的な特性と調和するからであり、このことはかかる複合積層をブラックアルミニウムと呼ぶ理由のうちの一つである。レガシークアッド積層は常に、性質が個別的であり、このことは、有限数のプライ角度および/またはプライ角度の組み合わせ(上記で列挙したように、四の別個のプライの多数の層の)が選択され得ることを意味する。所望の方向性を有するためには、四のプライで作られた準等方性のものより多いプライが追加されなければならず、六、八、十、または、それ以上のプライのサブ積層をもたらした(本明細書の別の箇所で詳述されるように)。積層が中央平面対称で作られるとき、結果として生じる総合的な積層は、12、16および20のプライの厚さを二倍にした。いっそう厚い積層が必要とされれば、12、16および20の倍数が考慮されなければならなかった。
【0005】
極端なケースでは、積層は、サブ積層の使用を伴わない総合的な積層に基づいて選択される。かかるケースでは、総合的な積層は、0°、±45°および90°の割合に基づいて選択されてもよく、プライは厚さを横切るように分散している。かかるケースにおける唯一の明確な要件は、中央平面対称であること、および、プライのグループ分けにおいて三という制限がある(すなわち、四のプライが存在するが、それらは三のグループ(すなわち、0°、±45°および90°)にて提供される)ことである。例えば、サブ積層が10層を有しており、それらのうちの五が0°であれば、0°のプライは、少なくとも二のグループ分け(すなわち、三のプライのセットおよび二のプライのセット)へと分離されてもよい。三の1-プライおよび一の2-プライのように三以上のグループが提供され得るが、四と一のグループ-または一のグループに五すべて-を有することは、従来のレガシークアッドファミリーの積層に必要とされる制限的な積み重ね順を忠実に守るためには実現不能である。
【0006】
上記は、レガシークアッドファミリーの積層に固有の問題である。第一にサブ積層が厚く、第二に中央平面対称が必要とされ、かつ、最後に厚いサブ積層として積層の厚さの大きなジャンプが追加される。大きなジャンプは、繰り返されたサブ積層の一部ではない、いくつかの選択されたプライを追加することによって軽減され得る。しかし、厚さが6、8、または10のプライより小さいかかる任意的に追加されたプライは、サブ積層の特性とは異なり、かつ、最適化を事実上不可能にする。最小ゲージの問題もまた、存在する。多くのコンポーネントおよびデバイスは、12、16および20のプライより小さい積層厚さを必要とする。したがって、レガシークアッド複合体の使用は、例えば機体または翼スキンの領域におけるように、それらの文脈では実行可能ではない。この性質のサブ積層はまた、層間剥離しやすく(説明されたばかりの複雑な積み重ね順から)、かつ、多数の故障モードが数千の繊維不連続部ならびに母材亀裂およびプライの層間剥離から生じる。複雑な構造のためには、異なる積み重ね、および、厚さを有する、隣接する積層を混ぜ、かつ、プライを落下させ、または、加えるための複雑な手順が必要とされ、かつ、最適化および製造を妨げる。
【0007】
レガシークアッドの別の複雑性は、サブ積層が10のプライの厚さであるときには合計数千にもなる積み重ね順の変更の数である。かかる大きな汚染からの最良の積層の選択は、不可能ではなくても困難となり得る。レガシークアッドの使用における複雑性の別の等しく問題となるもとは、ビルディングブロック(例えば、本明細書の別の箇所で言及されるサブ積層モジュール)の6-~10-プライのサブファミリーを有することに由来する。各ファミリーは、その他のファミリーとは独立して、それらの最良の積層を有し得る。結果として、重複がしばしば起こり、かつ、最良の積層の選択における独自性は、しばしば容易に保証され得ない。多数の解決策がまた可能であり、最適な積層の選択を主観的にし、規模の非効率性および/または多数の構造を通じての矛盾をもたらす。
【0008】
非効率性はさらに、従来の複合積層構造において、それらの個別的な性質に起因して起こり、業界において自ら招いた制約(すべての複合積層構造-とりわけ、その中のサブ積層構造-は、バランスがとれ、かつ、対称な材料特性を有するという、認識された要件;別の言い方をすると、それらは、厚いサブ積層構造および中央平面対称を必然的に伴うという、認識された要件を含む)によって悪化した。具体的には、対称な積層は、それらの中央平面に関してプライの配向の反射的または鏡像的な等価を伴う一方で、バランスのとれた積層は、それらの全体を通じて等しい数のプラス(+)およびマイナス(-)に配向されたプライを伴う。かかる制約は、操作温度が変わったときに従来の複合積層構造が硬化温度からの冷却または上昇した残留応力を受けて不必要に反るであろうという懸念に起因して、大部分が議論されないままであった。例えば、対称性を向上させるために、プライの最小の数は二倍にされなければならず、12、16および20のプライ、または、24、32および40のようないっそう高い倍数、ならびに、それ以上をもたらす。従来課せられた制約を取り巻く追加的な詳細は、米国特許第9,296,174号明細書(参照により、その内容全体が本明細書に組み込まれる)を参照して理解されてもよい。
【0009】
対称な積層は伝統的に、複合積層が構造の中央平面に関してそれ自体の鏡像を示すような様式で種々の一方向性のプライの多数の層を積み重ねることによって形成されてきた。かかる積層プロセスは概して、多くの時間および労働力を必要とし、かつ、エラーが起こりやすく、各々の複合層の正確な順番を確実にするために特別な注意を必要とし、かつ、不必要な数のプライをもたらすかも知れず、このことは、過大なプロセス廃棄物および費用に寄与するかも知れない。まださらに、対称な積層は、プライ層を落下させてテーパーを形成するときでさえも至るところで対称性を維持したいという願望に少なくとも部分的に起因して、構造の外面をテーパリングしようとするときに扱いにくいことが歴史的に証明されてきた。さらに、実質的に同じ配向を有する個別または一対の対称なプライが落下してテーパーを形成するので、積層の付き重ね順、したがって、材料の強度特性が変更される。
【0010】
それ自体は問題ではないが、バランスのとれた積層は、上述の対称なものと同様に、種々の一方向性のプライの多数の層をそれらの間に比較的大きな角度を有して複数の正確な配向にて積み重ねることによって伝統的に形成されてきた。例えば、+45°のプライのような各軸外プライが、-45°のプライによって典型的に一致する(例えば、映し出される)。さらに、-45°、0°、+45°および90°の角度を組み込んだ四-プライ配向を有することが、一般的な実務であった(すなわち、本明細書において先行して述べられた[0]、[±45]および[90]構成、代替的な専門用語を単純に用いて)。0°、±45°のような三-プライ配向もまた一般的であり;その上重要なのは、プラス(+)およびマイナス(-)に配向されたプライの数が等しいままであることであった。
【0011】
この性質のバランスがとれ、かつ、対称な積層はまた、積層の厚さ、および、サブ積層の厚さでさえも最小化しようとするときに伝統的に困難を生み出し、6-、8-または10-プライ(または、対称性が必要とされるときに二倍にされるようないっそう多くのプライ)を追加する必要性をオフセットして所望の材料特性を達成するための唯一の選択肢として常にいっそう薄いプライを必要とした。テーパリング(すなわち、プライ落下)の複雑性はまた、これらの構造においても同様に存在し、一つの例示的な制限は、特定のプライ、または、そのグループを落下させることが所望の対称性およびバランスを妨げてはならないことである。結果として、利用可能なプライ角度の個別的な性質(本明細書において詳述される余分な厚いサブ積層構造および対称性の制約の両方によって影響を受ける)に起因して、達成可能な積層の剛性および/または強度特性の間には簡単に埋められ得ない隙間が必然的に存在した。したがって、多数の故障モード、プライ落下由来の数千の繊維不連続部分および混合の結果ならびに製造の複雑性がしばしば、自ら招いた制約に起因して迫り;別の言い方をすれば、積層構造における材料特性の最適なセットがしばしば、種々の自ら課した制約を満たすために犠牲にされなければならず;結果として、最適より劣る積層構造が用いられた。
【0012】
図1A~Bと図2A~Bとの比較によって理解されるかも知れないが、従来の複合積層構造に対する先行する改善としては、従来の構成の個別的なポイントと比較して連続的な機会フィールドを提供する、ダブル-ダブルサブ積層構造のものが挙げられる。注目すべきことに、ダブル-ダブルサブ積層構造の連続フィールドは、最適には4-プライの厚さの構造を有するサブ積層を達成する;いっそう薄い2-および1-プライの厚さの構成が取得可能である。至る所で、プライ角度もまた連続的であり、異なる積層を混合およびテーパリングすること、ならびに、その最適化を達成可能にする。サブ積層の厚さは、一定のままである。結果として、故障モードに遭遇するのがいっそう少なくなり(、かつ、予測可能な故障モードが事実上存在せず)、かつ、自動化されたレイアップ手順が、従来利用可能なものより効率的な様式で実行されてもよい。これらの利点、および、さらに別の利点はすべて、いっそう単純かつ軽量の構造をもたらし、該構造はまた、効率および精度の目的のためにいっそう良好に最適化される。
【0013】
ダブル-ダブルサブ積層構造はまた、素早く、かつ、エラーの少ない傾向にある単一のプライ落下構成および技術を容易にする。これらの構成は、従来の構成と比べて、注目すべき程に強く、かつ、エッジおよび一般的な層間剥離に対して抵抗力がある。すべて図3A~Bを参照して理解されるであろうが、まださらに、単一のプライ落下(対称性およびバランスを維持する必要性がない)は、応力集中を引き起こすがプライ落下箇所においては応力集中を引き起こさない内部不連続体のないサブ積層構造の作成を可能にする。単一のプライ落下は、成形面または上面のいずれで起こってもよいが、両方の面で起こる必要はない。図3Aの上図を参照すると、サブ積層構造10が示されており、該サブ積層構造10は、連続的な上面11と、テーパリングされた(プライ落下を含む)成形面12とを有する。これを、図3Aの下図(サブ積層構造20が示されており、該サブ積層構造20は、テーパリングされた(プライ落下を含む)上面21と、連続的な成形面22とを有する。)と比較されたい。図3Bには別の実施形態が示されており、ここでは、プライ落下がそうでなければ対称なサブ積層構造30の中立軸線32に沿って位置してもよい;この様式では、対向する外面31は連続的かつ滑らかであってもよい。これらの単一のプライ落下構成および技術のいずれかを介して有意な軽量化が実現され得、その一方で、内部プライは、多数の故障メカニズムを誘発し得るプライ落下による妨害なく平行なままである。
【0014】
図3を参照して概して理解されるであろうが、ダブル-ダブルサブ積層構造の別の例示的であり、かつ、限定的ではない応用例は、グリッド、コアおよび/またはスキン構造の形成を伴う。これらの構造は概して、図示されているようにリブのセットから形成された直交グリッドを提供する高速テープ敷設機を用いてグリッド/スキンパネルを生産することによって形成されていた。しかしながら、リブの高さとそれらの接合部(二つのリブが接触する)とを一致させるためには、各リブにおけるテープのすべてのその他の層に不連続な挿入物が追加されなければならない。このことは、継続的な製造作業の最中に連続的なテープの切断を必要とし、実行される切断における不一致などに起因して生産についての非効率性および/またはテープにおける不正確性をもたらす。
【0015】
したがって、ダブル-ダブルサブ積層構造および/または従来の積層構造の連続的なテープの利用と関連付けられる観察された非効率性および不正確性を除去することが可能な、積層グリッド、コアおよび/またはスキン構造、ならびに、その製造および使用の方法を提供する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0016】
概要
本明細書に記載の種々の実施形態を介して、複合積層モジュール、層(すなわち、カードまたは複合積層カード)、ならびに、複合積層構造をテーパリングする方法、ならびに、モジュールおよび/またはカードを用いたその製造方法が提供される。まださらに、複合積層カードを介して達成可能な新しいテーパリング構成は、(従来の積層に対して)改善された、または、それに匹敵する構造的特徴、および、従来の積層と比べて節減された重量における製作の容易さを提供する。
【0017】
種々の実施形態によれば、二重テーパリングされた複合積層構造における使用のための複合積層カードのセットが提供される。該構造は、複数の有限のサブ積層カードによって定められ、複数のカードのそれぞれのものは、複数のカードのその他のものと同じ形状およびサイズを有し、かつ、カード平面において配向された対向面と、平面状表面の対向第一エッジと、平面状表面の対向第二エッジとを有し、対向第二エッジは対向第一エッジに対して垂直であり;複数の有限のサブ積層カードの最も上のものによって上面が定められ;複数の有限のサブ積層カードの最も下のものによって成形面が定められ、成形面は上面に対して反対方向に配向され;ここで:複数のカードはそれぞれ、複数のカードの対向する平面状表面ならびに対向第1および第二エッジに直交する方向に複数のカードのうちの隣接して位置するものの上に積み重ねられ;複数のカードはそれぞれ、複数のカードのうちの隣接して位置するものに対してカード平面においてオフセットされた距離にてオフセットされ;オフセットされた距離は、複数のカードのうちの隣接して位置するものの平面状表面の対向第一エッジの各々のものの間の距離として定められ;複数のカードのうちの隣接して位置するものの平面状表面の対向第一エッジの一方は、複合積層構造の上面のテーパリングされた上部を定め;かつ、複数のカードのうちの隣接して位置するものの平面状表面の対向第一エッジの他方は、複合積層構造の成形面のテーパリングされた成形部を定め、テーパリングされた成形部はテーパリングされた上部に対して反対方向に配向される。
【0018】
種々の実施形態によれば、二重テーパリングされた複合積層構造を形成する方法もまた提供される。当該方法は、複数の有限のサブ積層カードを提供するステップを伴い、複数のカードのそれぞれのものは、複数のカードのその他のものと同じ形状およびサイズを有し、かつ、カード平面において配向された対向面と、平面状表面の対向第一エッジと、平面状表面の対向第二エッジとを有し、対向第二エッジは対向第一エッジに対して垂直であり;形成される構造の長手方向軸と位置合わせされた方向に複数のカードのうちの最初のものを位置決めすることによって成形面を確立するステップを伴い;複数のカードのうちの最初のものの上に複数のカードのうちの少なくとも二番目のものを積み重ねるステップを伴い、積み重ねはオフセットされた様式で起こり、二番目のカードの少なくとも対向第一エッジが最初のカードに接触するようになっており;構造の上面を定めるようにオフセットされた様式で複数のカードのうちの少なくとも二番目のものの上に複数のカードのうちの最後の物を積み重ねるステップを伴い、ここで:オフセットされた距離は、複数のカードのうちの隣接して位置するものの平面状表面の対向第一エッジの各々のものの間の距離として定められ;複数のカードのうちの隣接して位置するものの平面状表面の対向第一エッジのうちの一方は、複合積層構造の上面のテーパリングされた上部を定め;かつ、複数のカードのうちの隣接して位置するものの平面状表面の対向第一エッジのうちの他方は、複合積層構造の成形面のテーパリングされた成形部を定め、テーパリングされた成形部はテーパリングされた上部に対して反対方向に配向される。
【0019】
種々の実施形態によれば、テーパリングされた機体スキンが提供され、当該テーパリングされた機体スキンは:複数の有限のサブ積層カードを有し、複数のカードのそれぞれのものは、複数のカードのその他のものと同じ形状およびサイズを有し、かつ、カード平面において配向された対向面と、平面状表面の対向第一エッジと、平面状表面の対向第二エッジとを有し、対向第二エッジは対向第一エッジに対して垂直であり;複数の有限のサブ積層カードのうちの一に隣接する連続的なカード層を有し、連続的なカード層は、複数の有限のサブ積層カードのそれぞれのものとは異なるか、または、複数の有限のサブ積層カードのそれぞれのものより大きいかの少なくとも一方である形状およびサイズを有し;複数の有限のサブ積層カードのうちの最も上のものによって定められた上面を有し;かつ、連続的なカード層によって定められた成形面を有し、成形面は上面に対して反対方向に配向され;ここで:連続的なカード層の上には複数のカードのうちの最初のものが積み重ねられ;複数のカードのうちの残りのものはそれぞれ、複数のカードの対向する平面状表面ならびに対向第一および第二エッジに対して直交する方向に残りの複数のカードのうちの隣接して位置するものの上に積み重ねられ;複数のカードはそれぞれ、複数のカードのうちの隣接して位置するものに対してカード平面においてオフセットされた距離にてオフセットされ;オフセット距離は、複数のカードのうちの隣接して位置するものの平面状表面の対向第一エッジの各々のものの間の距離として定められ;複数のカードのうちの隣接して位置するものの平面状表面の対向第一エッジのうちの一方は、複合積層構造の上面のテーパリングされた上部を定め;かつ、複数のカードのうちの隣接して位置するものの平面状表面の対向第一エッジのうちの他方は、複合積層構造の成形面のテーパリングされた成形部を定め、テーパリングされた成形部はテーパリングされた上部に対して反対方向に配向される。
【0020】
種々の実施形態によれば、テーパリングされた航空機の翼もまた提供され、当該テーパリングされた航空機の翼は:複数の長方形ではない有限のサブ積層カードを有し、複数のカードのそれぞれのものは、複数のカードのその他のものと同一の形状およびサイズを有し、かつ、カード平面において配向された対向面と、平面状表面の対向第一エッジと、平面状表面の対向第二エッジとを有し、対向第二エッジは対向第一エッジに対して垂直であり;複数の有限のサブ積層カードのうちの最も上のものによって定められた上面を有し;かつ、複数の有限のサブ積層カードのうちの最も下のものによって定められた成形面を有し、成形面は上面に対して反対方向に配向され;ここで:複数のカードはそれぞれ、複数のカードの対向する平面状表面ならびに対向第一および第二エッジに対して直交する方向に複数のカードのうちの隣接して位置するものの上に積み重ねられ;複数のカードはそれぞれ、複数のカードのうちの隣接して位置するものに対してカード平面においてオフセットされた距離にてオフセットされ;オフセットされた距離は、複数のカードのうちの隣接して位置するものの平面状表面の対向第一エッジの各々のものの間の距離として定められ;複数のカードのうちの隣接して位置するものの平面状表面の対向第一エッジのうちの一方は、複合積層構造の上面のテーパリングされた上部を定め;かつ、複数のカードのうちの隣接して位置するものの平面状表面の対向第一エッジのうちの他方は、複合積層構造の成形面のテーパリングされた成形部を定め、テーパリングされた成形部はテーパリングされた上部に対して反対方向に配向される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面のいくつかの図の簡単な説明
本発明の種々の実施形態は、添付の図面を参照して、非限定的な方式にて以下でさらに説明されるであろう。図面のいくつかの図を通して、同じ参照文字が対応する同様の部分を示すために採用される。
【0022】
図1図1A~1Bは、10-プライ構成に焦点を合わせたレガシークアッドの従来のサブ積層ファミリーを示している。
図2図2Aは、ダブル-ダブルサブ積層ファミリー内のすべてのサブ積層の一つのマスタープライ剛性コンポーネントを示している。図2Bは、各々10度および2度の角度増分におけるダブル-ダブルサブ積層ファミリーの二つの三次元表現を示している。
図3図3A~Bは、例示的なダブル-ダブルサブ積層ファミリーによって促進される単一のプライ落下構成を示している。
図4図4は、種々の実施形態による、複合積層構造を形成するために積み重ねられ、かつ、スライドする複合積層カードのセットを示している。
図5図5は、種々の実施形態による、二重テーパリングされたビームを形成する目的で積み重ねられ、かつ、スライドする複合積層カードのセットを示している。
図6図6は、種々の実施形態による、図5の二重テーパリングされたビームの疲労試験から生じる結果データを示している。
図7図7は、種々の実施形態による、積み重ねられ、かつ、スライドする図4の複合積層カードのセットを利用した例示的なテーパリングされたストリンガーの応用例を示している。
図8図8は、種々の実施形態による、積み重ねられ、かつ、スライドする図4の複合積層カードのセットを利用した例示的なテーパリングされた機体スキンの応用例を示している。
図9図9は、種々の実施形態による、積み重ねられ、スライドし、かつ、折り曲げられた複合積層カードの四-プライアセンブリーを利用した例示的なテーパーリングされた機体タンクを示している。
図10図10は、種々の実施形態による、積み重ねられ、スライドし、かつ、折り曲げられた複合積層カードの五-プライアセンブリーを利用した例示的なテーパリングされた機体タンクを示している。
図11図11は、種々の実施形態による、複合積層構造を形成するために積み重ねられ、かつ、スライドする複合積層カードの例示的な長方形ではないセットを示している。
図12図12は、種々の実施形態による、カードスライド技術の適用の二直線および三直線近似を示すデータを示している。
図13図13は、種々の実施形態による、八-プライアセンブリーを利用した、積み重ねられ、かつ、スライドする複合積層ケアから形成されたさらなる例示的な型接着構造を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
種々の実施形態の詳細な説明
本発明の種々の実施形態の理解を容易にするために、以下で多数の用語が定義される。本明細書で定義された用語は、本発明に関連する分野における当業者によって通常理解される意味を有する。「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その(the)」のような用語は、単一の存在物のみに言及することを意図するのではなく、その具体的な例が説明のために用いられるかも知れない一般的な分類を含むことを意図する。本明細書における用語法は、本発明の具体的な実施形態を説明するために用いられるが、それらの使用は、請求の範囲に概説されるものを除いて本発明の範囲を定めるものではない。
【0024】
初めに、本技術分野で一般的に知られ、かつ、理解されるように、種々の積層構造(例えば、プライ層および/またはサブ積層モジュール)の連結の選択肢が存在することが注目される。プライ層またはサブ積層モジュール内のファブリックは、乾いた繊維または樹脂を予め含浸させたもの(例えば、プリプレグ)として供給されてもよい。これもまた本技術分野で一般的に知られ、かつ、理解されるように、それぞれの非限定的な例としては、樹脂トランスファー成形、真空樹脂トランスファー成形、加熱真空アシスト樹脂トランスファー成形、脱オートクレーブ法および樹脂フィルム注入の非限定的な例が挙げられる。特定の実施形態では、プライは、複数の繊維によって定められた、または、複数の繊維から形成された炭素繊維プライであってもよい。まだ他の実施形態は、種々の材料(例えば、繊維ガラス、または、銅線のような導電体)で代替的に構成されていてもよい。非限定的な例として、風力タービンブレードの文脈で、本明細書に記載の積層構造および/またはサブモジュールは、場合によっては費用またはその他の考慮のために望ましいかも知れないが、炭素繊維プライの代わりに繊維ガラスプライを組み込んでもよい。まだ他の実施形態では、ハイブリダイゼーションが望ましく、プライ層として、炭素繊維、繊維ガラスおよび/もしくは周期的に離間した導電体(例えば、避雷としての銅線)、または、まだ他の材料の混合物をもたらしてもよい。
【0025】
本明細書の別の箇所でも仄めかされるように、ダブル-ダブルサブ積層の一つの例示的であり、非限定的であり、かつ、有用な応用例が、複合グリッドならびに/または複合グリッドおよびスキンならびに/またはグリッド/コア/スキン構造の構築にある。注目すべきことに、ダブル-ダブルサブ積層構造-とりわけ均質化されたもの-の材料特性があれば、グリッドおよびスキンならびに/またはグリッド/コア/スキン-タイプの構造の実装が予測可能かつ達成可能である;それはまた、最適化可能であり、かつ、自動化されたレイアップ手順(簡単な様式で、強く、かつ、軽量であるだけでなく、耐損傷性であり、かつ、安価な総合的積層を作り出し得る)とともに、いっそう効率的にされる。
【0026】
従来の複合グリッド構造-典型的には性質が多方向性である-は概して、従来の金属系構造材料の強度特性に匹敵するように設計され、かつ、そのようであるので、典型的には二より多いプライ層またはコンポーネントを利用する設計に拘束されてきた。一つのかかる例であるウェリントン機体(国際公開第2018/187186号パンフレットでさらに詳述される)は、グリッドであって、アルミニウム製であり、かつ、名目上[0]タイである[±45]グリッドを有した前記グリッドを利用する。複合グリッドの最も重要な特徴の一つは、内在的な耐損傷性である。一つのリブまたは接合部が外からの力または衝撃によって取り外されると、交差リブの密度が高い格子造り構造は、グリッド構造全体の完全性がほとんど損なわれていない、新しいネットワークを形成するであろう。戦闘による損傷後のウェリントン爆撃機体の残存もまた、この内在的な耐損傷性の真の証拠である。注目すべきことに、伝統的な積層(グリッドなしのスキン)は、マイクロクラックおよび層間剥離の発生に対する防護のために、少なくとも2倍の耐損傷性によって不利な立場に置かれる。したがって、グリッド/スキン構成のバックボーンとしてグリッドを有することは、複合材料の内在的特性をいっそう十分に使用することを可能にする、画期的な概念である。
【0027】
技術における近年の進歩はまた、並外れて軽量な構成、および/または、ウェリントン機体において利用されたもののような構成の代替物を提供するものとして、複合グリッドを特定した。例えば、一方向性リブはアルミニウムの三軸グリッドに取って代わり得る。まださらに、ダブル-ダブルサブ積層構造(国際公開第2020/252126号パンフレットにおいてさらに詳述される)が依拠される場合、種々の角度-グリッドおよびタイ(またはスキン層)の両方について-のいずれかが利用されてもよい。例として、国際公開第2020/252126号パンフレットには二つの実施形態(すなわち、単一のスキングリッド構造および二重スキングリッド構造)が示されている。スキン層を形成するために、一つの二重らせん、または、サブ積層[±A]が用いられてもよく、グリッドコンポーネントを形成するために別の二重らせん、または、サブ積層[±B]が用いられてもよい。この様式では、任意のスキン/グリッドの組み合わせのために単一のダブル-ダブルサブ積層[±A/±B]が利用されてもよい。特定の実施形態では、サブ積層[±B]を十字に敷設することが、グリッドの多方向性(すなわち、ダイヤモンド様)パターンを達成し、かつ、その密度は種々の実施形態により変動してもよい。グリッド構造はまた、国際公開第2020/252126号パンフレットにも記載されるように、不連続体または固定された長さの構造(すなわち、連続的なテープ 対 不連続または長さが有限のテープ)を組み込んでいてもよい。
【0028】
複合グリッド構造および/またはダブル-ダブルサブ積層材料を有して定められる種々の構造のいずれかの強度もまた、国際公開第2020/252126号パンフレットにおいても詳述されるように、剛性よりいっそう広い縁によってアルミニウムグリッドのものを上回る。したがって、ウェリントン爆撃機の周知の耐爆発性は、航空機の機体-非限定的な例として-についていっそう大きい期待される有効性を伴うダブル-ダブルサブ積層材料の利用を介して向上するであろう。
【0029】
本明細書において先に述べられたように、複合積層構造は、重荷重に曝されない領域における積層厚さを除去するためにテーパリングが適用されれば、いっそう軽く、強く、かつ、安価であり得る。特定の従来技術では、プライが落下するときには、各プライのサイズおよび位置を決定および実装することは困難である(例えば、従来の自動化されたレイアップ機を用いるときには)。しかしながら、本明細書に記載の種々の実施形態は、ダブル-ダブル積層を利用し、そのことによって、デッキにおけるトランプの札のようにプライ(または有限のサイズ決めされた積層カード)をスライドさせることを通して、所望のダブル-ダブル積層テーパーが作り出され得る。特定の実施形態による各カードは、同じ寸法およびサイズを有し、このことは部分的に、カードスライド工程を介してテーパリングが起こり得る容易さを促進する。したがって、テーパリングは、各カードのスライドの程度によって制御されてもよく、このことは次いで、層間剥離が少ない、スクラップが最小限であり、かつ、いっそう軽量であり、いっそう薄く、かつ、強いエッジを有する、容易にレイアップされるテーパリングされた構造を提供し得る。
【0030】
したがって、本明細書に記載の有限の積層カードを介して達成される例示的かつ非限定的である利点は、以下の項目を含み、該項目は:(1)軽量化およびエラー低減のための単純明快な方式;(2)テーパリングされたエッジにおけるフリーエッジ層間剥離の低減;(3)単純なレイアップ工程を達成する、同じ移動または変位距離での一定のオフセット;(4)同じサイズの開始プライまたはサブ積層構造を有するエラーおよびスクラップの低減;(5)テーパリングの時でさえ中央平面対称に関わらない連続的な積み重ね;(6)正しい積層を確認するための簡単な検査を可能にする、外側のプライ落下についてのアクセスのしやすさの改善;テーパリングによって作り出された、または、外部から視認可能な内部の不連続体もまた、存在しない;(7)プライ落下を防ぐための仕上げファブリックの余分な層;(8)単純に外側に同じ開始ダブル-ダブルの所望のパッチを追加することによる、レイアップにおけるあらゆるエラーについての修理の容易さ;および、(9)予め積み重ねられた熱可塑性材料を使用するための能力である。
【0031】
図4を参照すると、種々の実施形態による、複合積層構造100を定めるために互いに対してオフセットされた様式で積み重ねられた、有限の積層カード110のセットが示されている。各カード110はそれ自体、単一のダブル-ダブルサブ積層モジュールまたはビルディングブロック(例えば、厚さが四-プライ)であってもよい(国際公開第2020/252126号パンフレットを参照)。厚さは、先に記載された薄いプライ構成を利用した0.24mmのようであってもよい。しかしながら、注目すべきことに、各カード110は、一貫してサイズ決めされ、かつ、プロファイル決めされる。線形のプロファイルを確実にするため、各カード110は平面状表面111(対抗する平面状表面もまた提供されるが、図示せず)を有し、該平面状表面111は、一対の対向第一エッジ112および一対の対向第二エッジ113を有する。特定の実施形態では、各カード110は実質的に正方形の形状であってもよく、エッジ112,113が実質的に同じ長さであることをもたらす。その他の実施形態では、各カード110は実質的に長方形の形状であってもよく、第一エッジ112が第二エッジ113より長いことをもたらす。
【0032】
特定の例示的な実施形態では、各カード110は、同じ形状およびサイズであることに加えて同じ材料製であってもよい。しかしながら、その他の実施形態では、カードの異なる層(すなわち、各カードまたはサブセット、交互であるかそうでないか)が、異なる材料製であってもよい。まださらに、各カード110内では、プライのセットを伴ってもよいサブ積層モジュールから形成される場合(本明細書の別の箇所に記載されるように)、各カード110を形成するサブ積層モジュールは、多数のカードにわたって、かつ/または、カードの単一のセット内でさえ同じである必要がないことが理解されるべきである。厚さ、材料およびサブコンポーネントはすべて、カードのセットにわたって変動してもよい;唯一の要件は、カードの各セットにおいて同じ形状およびサイズを有することである。
【0033】
特定の例示的な実施形態では、各カード110は、四(4)、六(6)または十二(12)インチのいずれかの第一エッジ112の寸法を有していてもよい。これらの実施形態、および、その他の実施形態では、各カード110は、四(4)、六(6)または十二(12)インチのいずれかの第二エッジ113の寸法を有していてもよい。したがって、4×4カード、6×6カード、12×12カード、4×6カード、6×12カードなどのような正方形または長方形である組み合わせが想定されてもよい。第1および第二エッジ112,113は、四または十二インチより小さくても大きくてもよい;それらはまた、その範囲内にある任意のサイズであってもよく、したがって、非限定的な例として6×8インチもしくは6×9インチ、または、その他のサイズを有するカード110の提供を容易にすることが理解されるべきである。注目すべきは、種々の実施形態によれば、複合積層構造100がカード110のセットから形成される場合、後者は概して、複合積層構造内においてすべて互いに同じ形状およびサイズである。しかしながら、いくつかの実施形態では、本明細書の別の箇所に記載されるであろうが、単一の複合積層構造100内で、異なる形状および/またはサイズのカード110が混ぜ合わされて、二次元テーパリングを提供してもよい。しかしながら、一次元テーパリングと比べて、x-およびy-軸方向の両方においてスライドが起きるときには、結果として生じる(すなわち、カードの積み重ねを介する)複合積層構造の角がギザギザになるかも知れないことが知られている。結果として、いくぶんかの切断および/または整形が必要とされるかも知れない;そうは言っても、本明細書の別の箇所にも記載される軽量化は言うまでもなく-折に触れて角における切断/トリミングを行う必要性にも関わらず、種々の利点が、積み重ね、および、テーパリングの容易さを取り囲んだままである。
【0034】
図4に留まると、カード110のセットから形成される複合積層構造100はそれ自体、上面120(平面状表面111を有するカードが利用されれば、平面状であろう)および対向する成形面130を含む、いくつかの明確な特徴を有するであろうことが理解されるべきである。本明細書の別の箇所に記載のカードスライド技術に起因して、複合積層構造100は、対抗するテーパー(すなわち、上面120のテーパリングされた部分122、成形面130のテーパリングされた部分132および一定の厚さの部分140)を定める、種々の部分を有する(図5参照)。一定の厚さの部分140の対向第1および第二エッジ142,144は、図5からも明らかなように、各々最も上または最も下のカードの第一エッジによっても定められる、テーパリングされた部分122,132の開始点を定めていてもよい。
【0035】
種々の実施形態による上面120は、テーパリングされた部分122だけでなく平面状部分124を有していてもよい。種々の実施形態による成形面130も同様に、テーパリングされた部分132だけでなく平面状部分134を有していてもよい。述べられたように、複合積層構造内の各々のカード110の第一エッジ112は、各々のテーパリングされた部分122,132を定める。各カードの有限であり、かつ、等しいサイズに起因して、採用されるスライド技術は、はっきりとしたオフセットされた上面150およびオフセットされた成形面160を各々もたらす。これらの面150,160のそれぞれのサイズは、各々のカード110の間に提供されるスライドの程度に基づいて変動してもよい。したがって、オフセットは、種々の複合積層構造にわたって一定であってもよく、可変であってもよく、連続的であってもよく、かつ/または、不連続であってもよいが、望ましいものである(例えば、長さ方向の対称性が必要とされない場合)。
【0036】
特定の実施形態では、オフセットされた表面150,160の寸法(したがって、複合積層構造におけるカードのセットの隣接して位置するカード110の間のスライドの程度)は、1/8~1.0インチの範囲であってもよい。その他の実施形態は、1/4~3/4インチの範囲であるオフセットされた表面の寸法を有していてもよい。特定の実施形態は、1/4~1/2の範囲であってもよい。まだ他の実施形態は、0.01~4.0インチ;0.05~1.0インチ;1/8~1.0インチ;および/または1/16~4.0インチの範囲のオフセットされた表面の寸法を有していてもよい。特定の複合積層構造100についての連続的かつ一定であるオフセットされた表面は、ギザギザのエッジを回避し、かつ/または、層間剥離のリスクを最小化する。しかしながら、エラーのリスクは高くなるが、可変かつ/または不連続であるオフセットされた表面は、その他の複合積層構造100についての複雑なテーパリング表面の作成を可能にするかも知れない。
【0037】
種々の実施形態によれば、図4および8の比較(本明細書の別の箇所で詳述されるべき)によって理解されるかも知れないが、オフセットの程度(したがって、オフセットされた表面150,160の寸法)は、領域または点が一定の厚さの部分140として定められるかどうかを決定してもよい。例えば、図8に示されているように、一定の厚さの領域が存在しなくてもよく、このことは、単一の点または軸146以外は等しい厚さの「平坦な」部分が存在しないことを意味する。対照的に、図4(および、本明細書の別の箇所でも詳述されるように図6)に示されているように、エッジ142,144間の領域が、一定の厚さの部分140を定める領域を定める。特定の応用例(例えば、テーパー状のストリンガーまたは自動車用リーフスプリング)では、複合積層構造100についての等しい、または、一定の厚さの中央領域が望ましくてもよく、対向するテーパリングされた部分122,132が後に続く。その他の応用例(例えば、図8におけるようなテーパリングされた機体スキン)では、測定可能な領域を有するいかなる一定の厚さの部分140の提供も伴わない、連続的であり、かつ、対向するテーパリングされた部分122,132が望ましくてもよい。
【0038】
スライドの程度(したがって、オフセットされた表面150,160のサイズ決め)が、特定の複合積層構造100について測定可能な領域を有する平坦または一定の厚さの部分140が提供されるかどうかに影響を与えるかも知れない一方で、提供されるカード層の数もまた、影響を及ぼし得る。例えば、図8に示されているように、二十二(22)層のカード110が提供され、そのことによって、テーパリングされた部分122,132はそれぞれ、積み重ねられ、かつ、スライドするカード110によって定められる複合積層構造100の全長の50%を有する。対照的に、いっそう少ないカードの層が、図7(十二)および図4(十六)において積み重ねられている。この様式では、少なくとも別個であり、かつ、異なる変数が、種々のカードの積み重ね、および、スライド技術を介して操作されて、所望されるかも知れないが、複合積層構造100についての異なる(例えば、平坦 対 平坦でない)プロファイルを提供してもよい。形成される複合積層構造の所望の応用例(例えば、航空機の翼)について必要に応じて、任意の数のプライ/カード層が提供されてもよいことが理解されるべきである;したがって、層は、数百(例えば、120プライ)、または、それ以上の範囲であってもよい。
【0039】
図4に戻ると、図示されているように、積み重ねられ、かつ、スライドしたカード110のセットについて一次元のオフセットが提供されて、図示された複合積層構造100を定めることが理解されるかも知れない。具体的には、図示されているように、一次元のオフセットは、図4上に注釈が付けられたようにx-軸方向と位置合わせされた、オフセットされた方向152に提供される。x-軸方向のスライドと併せて、カード110のセットの積み重ねは、z-軸方向(本明細書では、積み重ね方向156ともいう)に起こる。一次元のオフセットされた方向152および積み重ね方向156の両方に直交するのが、y-軸方向において位置合わせされた(すなわち、ページの外側に出る)、考え得る二次元または二次元目のオフセットされた方向154である。カード110の二次元もしくは多次元または多方向性のスライドは、複雑な複合積層構造100の形成を容易にするかも知れず、そのことによって、オフセットの程度が別個の方向152,154において同じであってもよく、変動してもよい。
【0040】
図4には両側のテーパリングが示されているが、「軽量化された」ゾーンのいずれかにおける追加のカード110の提供が、形成される複合積層構造100の長さを(x-軸方向に)さらに長くし得、そう所望されれば片側のテーパーが提供されることが理解されるべきである。有限でない長さのカードのセット(図示せず)が長さに沿って注入されれば、本明細書の別の箇所に記載されるように、対向する左右の側のスライド技術を用いて複合積層構造100の対向する端部および同じ側のテーパリングもまた提供され得ることが、さらに想定される。
【0041】
先に述べられたように、オフセットの程度(したがって、オフセットされた表面150,160の寸法)は変動してもよい。まださらに、オフセットの程度は、異なる実施形態にわたって変動してもよいだけでなく、個別の実施形態内で変動してもよい。このことは、一次元の様式で起こってもよく、二次元の様式で起こってもよい。オフセットの程度の変動は、定められる構造の可撓性(剛性に対して)に影響を与えるであろう。例えば、いっそう大きいオフセットは、いっそう小さいオフセットを有して形成される構造より大きい可撓性(したがって、いっそう小さい硬直性または剛性)を有する複合積層構造の作成を容易にするであろう。
【0042】
先に述べられたように、テーパリングは、ダブル-ダブル積層構造の使用を介して実現される種々の利点(まださらに従来のクアッド積層構造に対して)がすべてあったとしても、レイアップ工程における主たる操作であり得る。例として、12-プライ(現在の用語を用いて12-カード)積層は、ビームまたはパネルの中央において十二層有することからエッジに沿う四層へとテーパリングされるべきであり、従来は少なくとも八つの異なるサイズのプライが必要とされ、切断され、かつ、互いに対して適切に積み重ねられていた。長さ、および、厚さの寸法に基づいて八通りより多い順列が必要とされ、エラーの起こりやすい、骨が折れ、スクラップを生じさせ、かつ、時間のかかる工程となり得た。本明細書に記載のカード110のスライドを介して達成可能な技術(図4を参照)では、互いに対して等しい増分またはシフトでカード(またはプライまたは層)をスライドさせることによってテーパーを達成することを通して、同じサイズのビルディングブロックが用いられる。各カード110はそれ自体、単一のダブル-ダブルサブ積層モジュールまたはビルディングブロックであってもよい(例えば、四-プライまたは0.24mmの厚さの薄いプライ)。しかしながら、注目すべきことに、本明細書に記載のスライド技術を介して、すべてのプライおよび/またはカードが確認のために視認可能であり、スクラップが最小限であり、かつ、積み重ね操作が非常に長々しくなく、かつ、非常にエラーが起こりにくい。
【0043】
図5には、複合積層構造100の例示的な応用例として示されている、完成済みの二重テーパリングされたビーム400が見られるであろう。積み重ねられ、かつ、スライドすると、提供されたカード110は、二重テーパリングされたビームの中央に、平坦な、または、一定の厚さの部分140をもたらし、テーパリングは一定の厚さの部分のエッジ142,144において始まる。図6には、完成済みの二重テーパリングされたビーム400についての疲労試験データ410が見られ、ここで、外面(すなわち、各々上面120および成形面130のテーパリングされた部分122,132)上でのプライ(またはカード)落下は、剥離せず、または、測定可能な層間剥離を被らなかった。測定された500,000サイクル後の疲労もまた、示されている。図5の二重テーパリングされたビームの生産においては、本明細書に記載のカード積み重ね/スライド技術および構成の容易さ、および、精度が実現された。別の言い方をすれば、ビームの一方の部分における成形側および他方の部分における袋側でプライ落下を有することは、カードスライドのみを介して実現された。したがって、最良のダブル-ダブル角度を有するように各カードを設計することで、最適なプロファイル1000を有するビーム(図12も参照)が、直線化されたテーパーで最小限の重量を実現し得る。
【0044】
図12を瞬間的に参照すると、種々の図示されたプロファイル1000は、本明細書に記載のカード積み重ね/スライド技術および構成の応用例の二直線近似ならびに三直線近似に対応することが理解されるであろう。注目すべきことに、下側の三つのプロファイルは実質的に同じ傾斜を有し、このことは、その任意の重ね合わせが同様の特徴および性能を期待し得ることを意味する。例えば、三つの荷重(例えば、一定、直線状に増大および直線状に減少)の重ね合わせによって、多くの異なる積載状況-複合積層構造を用いた種々の応用例について期待されるように-が作り出されてもよい。しかし、すべては、本明細書に記載の構成を介して形成された実質的に同じ傾斜を有するであろうし、このことは、ほぼあらゆる荷重が同じ直線部分によって近似化され得ることを意味する。この重ね合わせは、一般的な位相図の規則に従う。平坦部(本明細書の別の箇所で詳述されるような)は異なっていてもよいが、直線部分に対して最小限である。
【0045】
図7に目を向けると、そこに示されているのは、別の左側のカードスライド技術で作成された複合積層構造(すなわち、カード110のセットから形成された、テーパリングされたスティッフナー500)である。本明細書の別の箇所で参照されるように、左側のカードスライド技術は、右側のカードスライド技術については反対であるのと比べて、右側(ページの)に上面のテーパリングされた部分122を提供する。本明細書において先に述べられたように、複雑な複合積層構造100を定め、または、形成するために、二方向性または多方向性のスライドもまた、利用されてもよいが、図7の目的のために一次元のカードスライドが示されている。
【0046】
図7に留まると、そこで提供されている平坦な、または、一定の厚さの部分140(一定の厚さの部分のエッジ142,144も参照)は、種々の実施形態によれば、テーパリングされたストリンガーの腰部または基部501と整合し、したがって、テーパリングされたストリンガーの腰部または基部501を定めてもよい。対向する部分501,502,503は、平坦な、または、一定の厚さの部分140を考慮すれば、テーパリングされたスティッフナーの中心軸504に対して鏡面対称であってもよい。スティッフナー500の腰部または基部501から先細る部分は、例として、脚部502ならびに足(踵および足指を含む)部503を含んでいてもよい。その他の実施形態では、いっそう厚い中心からいっそう薄い遠位部または端部まで一貫しており、かつ、一定である(少なくとも図示された実施形態においては)テーパーを有する追加的または代替的な部分もまた、提供されてもよい。
【0047】
図7から、複合積層構造100の実施形態(図示されているテーパリングされたスティッフナー500のものを含む)は、平坦な、または、一定の厚さの部分140の対向する側に各々の上面および成形面(各々、テーパリングされた部分122,132を有する)ことも理解されるであろう。図示されているように、オフセットの程度は、平坦な、または、一定の厚さの部分140がx-軸方向におけるスティッフナーの長さのほぼ1/3を占める構造をもたらす(図4を参照)。別の言い方をすれば、x-軸方向におけるスティッフナーの長さのほぼ2/3が、テーパリングされた表面であってもよい。図4は代替的な図を提供し、ここでは、オフセット(すなわち、スライド)の程度が図7におけるものより大きく、平坦な、または、一定の厚さの部分140(図5も参照)が結果として生じる複合積層構造100の長さのほぼ1/4だけを占めてもよいようになっている。これらの実施形態、および、その他の実施形態では、長さ(x-方向における)の3/4が、テーパリングされた部分122,132、または、それらの部分によって定められるテーパリングされた表面からなってもよい。したがって、本明細書に記載のカードスライド技術および構成を介して、いっそう急勾配の、または、いっそう浅いテーパリングされた表面が達成されてもよい。もちろん、長さ(x-軸方向における)の2/3または3/4より多く、または、少なくテーパリングされた部分を有する実施形態もまた、提供されてもよく、いっそう大きい、もしくは、いっそう小さい(存在しない場合すらある-図8を参照)平坦な、または、一定の厚さの部分140の領域を有する。
【0048】
この点に関し、かつ、そうでなくても図8をここで参照すると、そこに示されているのは、積み重ねられ、かつ、スライドしたカード110のセットから形成された複合積層構造の別の例示的な応用例としてのテーパリングされた機体スキン600である。図7と比較すると、テーパリングされた機体スキン600は、一定の厚さの部分の平坦部を含んでいない;代わりに、種々の実施形態によれば、連続的であり-しかしながら対向する表面(上 対 成形)-テーパリングが存在する。中心軸604(スキン自体の中心軸146と位置合わせされている)に隣接して、かつ、該中心軸604の周りに反射して、いっそう厚い中央部601が提供され、外側に延び、かつ、遠位端部602へといっそう薄く先細る。その他の実施形態では、例えば異なる程度のテーパリングが軸146の対向するサイズ上で所望されれば、追加的または代替的な部分もまた、提供されてもよい。
【0049】
図7および8の比較はまた、本明細書に記載の複合積層構造の種々の実施形態(例えば、テーパリングされたスティッフナー、テーパリングされた機体スキン、自動車用リーフスプリング、ビーム(トラックトレーラー/車両シャーシ)、リブなど)によれば、構造100の厚さがまた、y-軸方向に積み重ねられたカードの数に基づいて変動してもよいことを示している(図4も参照)。積み重ねられたカードの数は、八~十二の範囲または十六~二十二もしくは二十四の範囲でさえあってもよく、それより多くてもよい(例えば、120以上)。特定の実施形態では、厚さの決定要因が複合積層構造の均質度であり、それによって材料特性が全体を通して連続的であり、かつ、均一になる。
【0050】
比較例として、図7を参照して、全体寸法(性質は非限定的である)は、スティフナーの高さ、および、幅において六インチ四方であり、各足について三インチであってもよい。したがって、合計の幅は二十四インチである(3+6+6+6+3)。カードの一定の幅は、十五インチである(3+6+6)。再び非限定的な例として、プライの最大の数が基部501において十八(18)であれば、それぞれのオフセットされた距離(および、それによって定められる表面;類推によって150、図4を参照)は9/18または1/2インチである。注目すべきことに、9は左足(足指)部503と中心軸504との間の距離に基づく。足部503の左の足指において始まり、一のプライが足指から位置144までを覆う。左の踵において、複合積層構造は、六プライの厚さへとテーパリングされる(足指から上方向に)。左足部502を駆け上がると、プライ厚さは、基部501への移行部に隣接して六から十八プライへと増大する。そこでの最後のプライは、右足部503の右の足指へと延び、そのときも左の足指におけるように一プライの厚さである。
【0051】
簡潔に図13を参照すると、図7に関して上記された各層のはっきりとしたオフセットが見られるであろう。図9の実施形態(本明細書の別の箇所に記載された)におけるのとほとんど同様に、断面で示された八-プライアセンブリー1100が達成されることが、図13から理解されるであろう。八-プライアセンブリー1100は概して、複合積層構造(複数のカード110からなる、本明細書の別の箇所に記載の構造100のものに匹敵する)を呈するが、テーパリングされたストリンガーとしての応用例についてのものである。図13からも理解されるべきであるが、別個のカード(反復的であり、かつ、異なる色またはパターンで示されている)のスライドに加えて、カード層の操作(例えば、曲げ)も起こってもよく、形成された積層構造を、平坦であっても、管状であっても、タンク様であっても型1101の形状に適合させる。注目すべきことに、図13においては、最も下の図は縮尺通りであり、最も上のものはそうではない。これも注目すべきであるが、図9、10および13に示されている型は、当業者によってこれを伴うことが通常知られ、かつ、理解されるように「オス」型である;「メス」型を含む追加的または代替的な型もまた、提供されてもよい。
【0052】
図7をもう一度参照して記載される、この例を介して達成される例示的な利点は、テーパリングされたストリンガーの総寸法が十五インチであり、二十四インチの全長と比べると、たった15/24の一定の厚さ、別の言い方をすれば62.5%になることである。したがって、曲げ硬直性が提供される一方で、そうでなければ達成可能なもの(すなわち、本明細書に記載のカードスライド構成および技術の外側)の62.5%までの有意な重量の節減が実現される。追加の利点および利益としては、図示されているテーパリングされたストリンガーのような複合積層構造の製作全体を通してのレイアップおよびスライドの容易さ、レイアップおよびスライドの速度ならびにレイアップおよびスライドにおけるエラーの低減が挙げられる。もちろん、図9~11を参照して理解されるであろうが、類似の利点は、複合積層構造の追加の応用例において実現される。
【0053】
まず図9を参照すると、そこに示されているのは、図7の類似のテーパリングされたストリンガーの図と比較して断面図で示されている四-プライアセンブリー700である。四-プライアセンブリー700は概して、複合積層構造(本明細書の別の箇所に記載の構造100のものに匹敵する)を呈するが、燃料タンク701のカバーとしての応用例についてのものである。図7に関して上記されたテーパリングと比較して、ここでのそれは、最も薄い部分または端部703が最小限の二プライを有するようになっていてもよく、いずれかの側の二プライまたはカード110の一方が、燃料タンクカバーの他方の側のものと同じではないようになっていてもよい(互いに対してスライドする緑色およびオレンジ色のカードを比較されたい)。特定の実施形態では、図示されているように、同じサイズの残りのカードとは異なる寸法および特徴を有する最も内側の連続的なカードまたは層705が提供されていてもよい。したがって、燃料タンク701の複合積層カバーの中央の一定の厚さを有する(最も厚い)部分704が達成されてもよい。理解されるべきであるが、図7の構成と同様に、別個のカード(図9において、緑色、紫色、オレンジ色および青色で示されている)に加えて、カード層の操作(例えば、曲げ)も起こってもよく、形成された積層構造を、平坦であっても、管状であっても、タンク様であっても形状に適合させる。
【0054】
図10は追加の例示的な実施形態を示しており、これは、燃料タンク801のカバー用の五-プライアセンブリー800である。この実施形態の詳細は、図9に関して記載されたものと実質的に同じであり、カバーの中央のいっそう厚い部分がいっそう薄い対向する端部へと先細り、連続的な内層(その上で各々のカード層が積み重ねられ、かつ、スライドする(互いに対して))と連結される。図10(および図9)の実施形態についての積み重ね、および、スライド技術は、カード110に関して本明細書の別の箇所に記載のものと実質的に同じである。各々のカード層の間には、一定であるオフセットされた表面(比較として、オフセットされた表面150を参照)が提供され、カバーの一方の対向する端部から他方へと移動する。図4~5および7~8にも関して、本明細書の別の箇所での軽量化の議論も参照して、節減されるパーセント重量もまた、両図に示されている。
【0055】
図11を参照すると、本明細書の別の箇所に記載の長方形、または、そうでなければ正方形の形状のカード110との比較として、この図に示されているのは、非直線状(例えば、実質的に台形状)の形状のカード910のセットから形成された非直線状複合積層構造900である。複合積層構造100およびカード110に関して本明細書の別の箇所に記載された技術を含むカードの積み重ね、および、スライド構成は、図11に示されている構造およびカードに等しく当てはまることが理解されるべきである。したがって、構造および/またはカードの種々の特徴の繰り返しは、ここでは再現されない。しかしながら、非直線状の(例えば、実質的に台形状の)カード910についての例示的な応用例は、非限定的な選択肢として、隔壁、円錐形シェルならびに/または航空機の翼(例えば、テーパリングされた前エッジおよび後エッジ)を含んでいてもよい。
【0056】
オフセットされた表面は、図11に示されているように、隣接する積み重ねられたカードの間に同程度のスライドが提供されるようになっていてもよく、このことは、全体を通して直線状のオフセットを有することによって特定の実施形態において達成されるであろう。もちろん、非直線状のオフセットもまた-いっそう複雑ではあるが-提供され得ることが理解されるべきである。台形状のカード910もまた、図示されているように、最も上の開始幅(図示されているように)から最も下の開始幅(これもまた図示されているように)へと幅が直線状の変動を有していてもよい。非直線状の変動もまた、提供されてもよく、これは、隔壁および/または円錐形シェルの応用例について特に有用である。
【0057】
図11のカード910を用いて示されている積み重ね、および、スライド技術を介して、剛性について可変であるセクションもまた、提供されてもよい。開始前エッジおよび後エッジ(中央に示されている)と比べると、完成済みのファンまたはプロペラブレード構成(右端に示されている)もまた、達成されるであろう。図11から明らかなように、節減される重量もまた、本明細書に記載のその他の実施形態において節減されるものに匹敵するので、ここでは重複して繰り返されない(図4~5および7~10を参照)。例えば、テーパリングされた前エッジおよび後エッジを用いれば、62.5%までの重量節減が実現され、材料特性(すなわち、剛性、可撓性など)の損失が例示的な翼の軸に沿って最小限に保たれるようになるであろう。
【0058】
結論
【0059】
本明細書全体を通して、カード110のセットを積み重ね、かつ、スライドさせるための特定の技術を用いて形成されるであろう複合積層構造100の種々の実施形態の種々の例示的な応用例が記載されてきた。これらは、非限定的な例として、自動車用リーフスプリング、テーパリングされた機体スキン、テーパリングされたストリンガー、テーパリングされたスティッフナー、テーパリングされ固定された、または固定されていないビーム(トラックトレーラー用であるか、車両シャーシ用であるか、または、その他の応用例用であるか)、テーパリングされたリブ、ブレード(タービン、ヘリコプター)、隔壁、円錐形シェル、船体用マスト、電柱/照明用ポール、交通ポールまたは標識、キャニスター、入れ子管などを含む。記載された構造および技術は、ガスタービンエンジンのカウルおよび格納リングのようなシリンダーについての応用例でもあり、それによって、前エッジおよび後エッジがテーパリングされ、かつ、軽量化されるであろうし、一方でフリーエッジ層間剥離を低減し、かつ、エッジの層間剥離を防ぐために従来は必要とされていた追加のリムを回避することも容易に達成されるであろう。
【0060】
繰り返すと、上記の強調された例示的な応用例はすべて、各層について可変のサイズではなく等しい形状およびサイズのプレハブ式ビルディングブロックサブ積層またはファブリックのスライドを用いて達成され得る。スライドによるレイアップは、特定の実施形態では、最も単純であり、かつ、最も速く、一方ではエラーが最も起こりにくいであろう。すべてのプライは検査のために外面から視認可能であり、かつ、内部のすべての層は、プライ落下、樹脂ポケット、シワ付きプライによる妨害を受けず、かつ、反りの可能性が少ない。硬化コンポーネントの全体の質に加えて、加工、圧縮および樹脂含浸の容易さが期待され得る。繰り返すが、これらの応用例は、非限定的な例として提供されているのであって、本明細書に記載のカード、積層構造および技術を利用した網羅的な実施形態であると考えられるべきではない。
【0061】
まださらに、本明細書に明記された発明の多くの修正、および、その他の実施形態が、前記の説明および関連図面に提示された教示の利益を有するこれらの発明の属する分野の当業者の頭に浮かぶであろう。したがって、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるべきではないこと、ならびに、修正、および、その他の実施形態が添付の請求の範囲内に含まれることが意図されることが理解されるべきである。本明細書では特定の用語が採用されるが、それらは、一般的かつ記述的な意味においてのみ用いられているのであって、限定の目的のためのものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】