IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特表-多孔体医療用デバイス及び使用方法 図1
  • 特表-多孔体医療用デバイス及び使用方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-17
(54)【発明の名称】多孔体医療用デバイス及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20230410BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
A61M1/00
A61B17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551378
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(85)【翻訳文提出日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 US2021019517
(87)【国際公開番号】W WO2021173747
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/982,860
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バーク、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】タック、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ファブロー、ジョン ティ.
(72)【発明者】
【氏名】ライデッカー、ローレン
【テーマコード(参考)】
4C077
4C160
【Fターム(参考)】
4C077AA30
4C077DD01
4C077DD21
4C160MM32
(57)【要約】
内腔を規定する管と、対象内の標的部位へ進められるように管の遠位端に連結された多孔体と、を備える医療用システムである。多孔体は複数の開口部を規定し、複数の開口部は内腔と連通し、多孔体は第1物質及び第2物質を含み、第2物質は多孔体から対象内に溶出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用システムであって、
内腔を規定する管と、
前記管の遠位端に連結され、かつ、対象内の標的部位へ進められるように構成される多孔体と、を備え、前記多孔体は複数の開口部を規定し、前記複数の開口部は前記内腔と連通し、前記多孔体は第1物質及び第2物質を含み、前記第2物質は前記多孔体から前記対象内に溶出するように構成される、医療用システム。
【請求項2】
前記第1物質はポリマーを含み、前記第2物質は一つ以上の成長因子又は抗生剤を含む、請求項1に記載の医療用システム。
【請求項3】
前記第1物質は吸湿性物質を含み、前記多孔体は、前記標的部位への挿入の間に圧縮状態になるように構成される、請求項1又は請求項2に記載の医療用システム。
【請求項4】
前記多孔体は、前記多孔体が流体と接触するとき、前記圧縮状態から拡張状態へ拡張するように構成される、請求項3に記載の医療用システム。
【請求項5】
前記第1物質は熱応答性物質を含み、前記多孔体は、前記標的部位への挿入の間に圧縮状態になるように構成される、請求項1又は請求項2に記載の医療用システム。
【請求項6】
前記多孔体は、前記多孔体が温度閾値より高い温度まで加熱されるとき、前記圧縮状態から拡張状態へ拡張するように構成される、請求項5に記載の医療用システム。
【請求項7】
前記複数の開口部は、前記多孔体が前記圧縮状態のとき、互いに断絶され、前記複数の開口部は、前記多孔体が前記圧縮状態から前記拡張状態へ拡張するとき、連通する、請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の医療用システム。
【請求項8】
前記多孔体は抗菌特性を有するナノ粒子を含む、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の医療用システム。
【請求項9】
前記複数の開口部は結晶性物質を用いて形成され、前記開口部の大きさ及び形状は前記結晶性物質の結晶の大きさ及び形状にほとんど等しい、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の医療用システム。
【請求項10】
真空源をさらに備え、前記真空源は前記管に連結され、前記管の前記内腔及び前記多孔体へ負圧を供給するように構成される、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の医療用システム。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の前記システムを製造する方法であって、
混合物を形成するためにポリマーを試薬と混合することと、
前記混合物を用いて前記多孔体を形成することと、
一つ以上の縫合、又は接着剤を用いること、又は前記多孔体を前記管上に直接形成することで前記多孔体を前記管に取り付けることと、を備える方法。
【請求項12】
前記多孔体は一つ以上の3次元(3D)プリント又は電界紡糸法を用いることで形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の開口部の大きさは直径およそ50μmからおよそ1mmである、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
抗菌物質によって前記多孔体をコーティングすることをさらに備える、請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記多孔体が前記管に取り付けられた後に、前記多孔体を拡張構造から圧縮構造へ圧縮することをさらに備える、請求項11から請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低侵襲性(例えば、内視鏡及び/又は腹腔鏡)医療用デバイス及び関連する使用方法に関する。実施形態では、本開示は、流体、デブリ、及び胃腸管における穿孔、漏れ口、又は傷口からの他の物質を除去するための一つ以上のデバイス、そのようなデバイスを形成するための方法、及び関連する使用方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸(GI)管の内視鏡及び切開外科処置は、例えば、結腸切除、肥満手術、食道切除、胃バイパス、及びスリーブ胃切除などを含む。これらの処置は、管の穿孔、手術後の漏れ口、又は他の傷口をもたらし得る。そのような傷口は、罹患率及び死亡率が十分高く、限られた治療の選択肢が、傷口に対処するために存在する。選択肢は、外科的再切開及びステント又はクリップの内視鏡的配置を含む。手術は、比較的侵襲的であり、罹患率及び死亡率も高い。内視鏡的ステント配置は、ほとんど侵襲性がない選択肢である。しかし、配置されたステントは、計画された位置から移動することがあり、及び/又は治療部位での感染を守り排水を抑制し得る。
【発明の概要】
【0003】
態様にしたがって、医療用システムは、内腔を規定する管と、前記管の遠位端に連結され、対象内の標的部位へ進められるように構成される多孔体と、を含む。前記多孔体は、複数の開口部を規定し、前記複数の開口部は、前記内腔と連通し、前記多孔体は、第1物質及び第2物質を含み、前記第2物質は、前記多孔体から前記対象内に溶出するように構成される。
【0004】
前記第1物質は、ポリマーを含んでよく、前記第2物質は、一つ以上の成長因子又は抗生剤を含んでよい。
【0005】
前記第1物質は、吸湿性物質を含んでよく、前記多孔体は、前記標的部位への挿入の間に圧縮状態になるように構成され得る。
【0006】
前記多孔体は、前記多孔体が流体と接触するとき、前記圧縮状態から拡張状態へ拡張するように構成され得る。
【0007】
前記第1物質は、熱応答性物質を含んでよく、前記多孔体は、前記標的部位への挿入の間に圧縮状態になるように構成され得る。
【0008】
前記多孔体は、前記多孔体が温度閾値より高い温度まで加熱されるとき、前記圧縮状態から拡張状態へ拡張するように構成され得る。
【0009】
前記複数の開口部は、前記多孔体が前記圧縮状態のとき、互いに断絶されることが可能であり、前記複数の開口部は、前記多孔体が前記圧縮状態から前記拡張状態へ拡張するとき、連通することが可能である。
【0010】
前記多孔体は、抗菌特性を有するナノ粒子を含み得る。
【0011】
前記複数の開口部は、結晶性物質を用いて形成されてよく、前記開口部の大きさ及び形状は、前記結晶性物質の結晶の大きさ及び形状とほとんど等しくてよい。
【0012】
前記システムは、真空源をさらに備えてよく、前記真空源は、前記管に連結されてよく、かつ前記管の前記内腔及び前記多孔体へ負圧を供給するように構成され得る。
【0013】
別の態様によると、前記システムを製造する方法は、混合物を形成するためにポリマーを試薬と混合することと、前記混合物を用いて前記多孔体を形成することと、一つ以上の縫合、又は接着剤を用いること、又は前記多孔体を前記管上に直接形成することで前記多孔体を前記管に取り付けることと、を含み得る。
【0014】
前記多孔体は、一つ以上の3次元(3D)プリント又は電界紡糸法を用いることで形成され得る。
【0015】
前記複数の開口部の大きさは、直径およそ50μmからおよそ1mmであり得る。
【0016】
前記方法は、抗菌物質によって前記多孔体をコーティングすることをさらに備え得る。
【0017】
前記方法は、前記多孔体が前記管に取り付けられた後に、前記多孔体を拡張構造から圧縮構造へ圧縮することをさらに備え得る。
【0018】
さらに別の実施形態によると、医療用システムのために多孔体を製造する方法は、水不溶性物質及び水溶性物質の混合物を形成することと、前記混合物を硬化することと、前記硬化混合物を水浴に浸すことと、前記水浴から骨格を取り出すことと、を備え、前記骨格は、前記水不溶性物質を含む。
【0019】
前記水浴に前記硬化混合物を浸すことは、前記多孔体を形成するために前記骨格に複数の開口部の形成を可能にする。
【0020】
前記水溶性物質は、結晶を含んでよく、前記複数の開口部の大きさは、前記結晶の大きさと実質的に等しくてよい。
【0021】
前記方法は、抗菌物質を含む複数のナノ粒子によって前記骨格をコーティングすることをさらに備え得る。
【0022】
前記方法は、前記骨格を脱水することと、前記骨格を拡張構造から圧縮構造へ変形させることと、をさらに備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、説明と共に様々な例示的実施形態を示し、開示された実施形態の原理を説明するために役立つ。
【0024】
図1】実施形態に従った管腔内真空療法(EVAC)システムの模式図である。
【0025】
図2】実施形態に従った、体内に配置された図1のEVACシステムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
説明を容易にするために、開示されたデバイス及び/又はそれらの構成要素の部分は、近位部及び遠位部と呼ばれる。用語「近位(proximal)」は、デバイスの使用者に近い部分を示すことが意図されており、用語「遠位(distal)」は、使用者から離れた部分を示すために本明細書において用いられることに注意されたい。同様に、「遠位に延びる(extends distally)」は、構成要素が遠位方向に延びることを示しており、「近位に延びる(extends proximally)」は、構成要素が近位方向に延びることを示す。さらに、本明細書で用いられるように、用語「約(about)」「およそ(approximately)」および「実質的に(substantially)」は、述べられた又は暗示された値の+/-10%以内の値の範囲を示す。構成要素/表面の幾何学的形状を示す用語は、正確な形状及び近似の形状を示す。本開示は、類似の要素が同じ参照番号を用いて示され、以下の説明及び添付の図面を参照して理解され得る。
【0027】
管腔内真空療法(EVAC)が、提案されてきている。EVACでは、負圧が、GI管における創傷部位へ、例えば、終端部にスポンジ又は多孔体を有する経鼻胃管によって送られる。スポンジは、穿孔、漏れ口、又は他の傷口内に内視鏡下で配置される。次に、負圧がかけられる。しかし、EVACに適するデバイス及びシステムは、限られる。
【0028】
本開示の実施形態は、管腔内真空療法(EVAC)のためのデバイス、システム、及び方法、及びEVACを実行するためのデバイス形成を含む。例では、EVACは、穿孔、嚢胞、漏れ口、吻合部などを含む創傷部位(例えば、標的部位)内への、スポンジ又は他の類似物質の管腔内配置を含む。物質の配置は、カテーテル、スコープ(内視鏡、気管支鏡、結腸鏡、十二指腸内視鏡、胃鏡など)、管、又はシースによって行なわれることがあり、自然の開口部を通ってGI管内へ挿入される。開口部は、例えば、鼻、口、又は肛門の場合があり、配置は、食道、胃、十二指腸、大腸、又は小腸を含むGI管の任意の部分にされ得る。物質の配置は、GI管を通って到達できる他の組織(例えば、膵臓)にもされ得る。
【0029】
図1は、本開示の例に従ったEVACシステム10の遠位端を示す。システム10は、真空による負圧を用いた慢性的な傷の治療のために患者に挿入され得る。システム10は、一般的に、スポンジ30(又は他の網目状物質又は多孔体)と、真空管40と、を含む。スポンジ30は、真空管40の遠位端に取り付けられる。真空管40は、一つ以上の内腔44を規定する外壁42を含み得る。内腔44は、真空管40の近位端及び遠位端の両方で開口する。外壁42は、真空管40の遠位端の外周の周りに複数の穴を含んでよく、かつ内腔44と連通してよく、本明細書に記載のように、内腔44内の流体又は物質の流量を増加し得る。真空管40の遠位端は、縫合、又は接着剤などによってスポンジ30に取り付けられ得る。ある例では、凹部(図示無し)は、真空管40の遠位端を受け取るためにスポンジ30に提供され得る。真空管40は、スポンジ30の凹部内に取り付けられてよく、スポンジ30と真空管40との間に追加の構造的サポートを提供し得る。代わりに、スポンジ30は、本明細書に記載のように、真空管40上に形成され得る。真空管40の近位端は、真空源(図示無し)に連結されてよく、スポンジ30に負圧を供給し得る。例えば、およそ125mmHg(16.7kPa)、すなわち、およそ2.5ポンド毎平方インチ(PSI)(17.2kPa)の負圧が、スポンジ30に供給され得る。他の適量の負圧が、使用され得る。この負圧は、開口部32を介して、流体、物質、及び/又は他のデブリを真空管40の内腔44内へ引き入れ、標的部位70の治癒を促進し得る(図2)。
【0030】
スポンジ30は、その外側表面に開口部32を含み得る。開口部32は、スポンジ30全体にわたって相互接続するチャンネル及び孔への連続するアクセスを提供する任意の穴、孔、又はチャンネルであり得る。開口部32は、異なる大きさ及び形状を含んでよく、体内の処置の位置に基づいて選ばれ得る。例えば、開口部32は、球形、立方形、異形、又は任意の他の形状であり得る。開口部32の大きさは、直径およそ50μmからおよそ1mmであり得る。スポンジ30は、球形状であるとして示されるが、円筒形、立方体形、または異形などを含む任意の形状であり得る。本明細書に記載されるように、スポンジ30は、スポンジ30が標的部位70に配置されるとき、スポンジ30から溶出される物質(例えば、試薬)も含み得る。例によると、試薬は、異なる速度で溶出してよく、スポンジ30の予測寿命、スポンジ30を新しいスポンジ30と交換するまでの時間の長さなどを含む様々な要因に基づいてカスタマイズ可能であり得る。追加で又は代わりに、スポンジ30は、細胞の膜透過性を変えること及び/又は薬物送達を向上することによって、スポンジ30から溶出される物質の活性を改良し得る銀ナノ粒子などを含む、微生物特性を有するナノ粒子によってコーティングされ得る。
【0031】
体内において、標的部位70に配置されたシステム10の例は、図2に示される。スポンジ30は、標的部位70内に配置される。真空ライン40の遠位端は、スポンジ30に取り付けられ、GI管80内及び体の外へ近位に延びる。真空源(図示無し)は、標的部位70から流体及び物質を吸い込むように内腔44およびスポンジ30に負圧を供給するために管40の近位端へ取り付けられ得る。
【0032】
スポンジ30を形成する方法を記載する。例によると、スポンジ30は、電界紡糸法によって形成され得る。成長因子、抗生物質、及び/又は他の処置改善物質のような追加物質は、スポンジ30の電界紡糸より前に骨格物質と混合され得る。ステントは、従来のステントとは異なり、ステントが形成された後に、成長因子又は抗生物質によってコーティングされ、スポンジ30の骨格(例えば、ポリマー)を形成するために用いられる物質は、骨格が生成される前に、治癒を促進し得る及び/又は微生物(例えば、有害な微生物)の成長を妨げ得る任意の物質を含む、成長因子又は抗生物質と混合される。スポンジ30を形成するために用いられる物質に対する溶出物質の量は、およそ1:5から1:20であり得る。例によると、ポリマー及び溶出物質の混合物は電界紡糸されて、チャンネルと連通する開口部32を有するスポンジ30を形成し得る。
【0033】
スポンジ30は、本明細書に記載された様々な形状にスポンジを切ることにより後処理され得る。追加の後処理は、真空管40が導入され、例えば、接着剤、又は縫合などによって固定され得るスポンジ30内に凹部を導入することを含み得る。スポンジ30は、ほとんど半分に切られることもあり、チャンネルは、真空管40の分岐端に対応するようにスポンジ30の各側に形成されることがある。真空管40の分岐端はチャンネル内に静止してよく、スポンジ30は、例えば、接着剤、縫合などを用いて再度組み立てられ得る。管40の分岐は、スポンジ30によって吸い上げられる流体及び/又は物質が内腔44に入り得る追加の経路を提供することがあり、標的部位70の治癒時間を減少し得る。この後処理の処置は、スポンジ30を形成する任意の方法の後に実行され得ることは理解されるであろう。
【0034】
別の実施形態によると、スポンジ30は、ポリマー及び/又はポリマー混合物(例えば、ポリマー及び一つ以上の溶出物質を含む)を用いて形成されてよく、鋳造又は3次元(3D)プリントによってスポンジ30内に形成され得る。例として、3Dプリンタは、スポンジ30内に複数の開口部、穴、又は孔32を形成するパターンにおいてポリマー混合物を生成するようにプログラムされ得る。このように、開口部の形状及び/又は大きさは、制御され得る。金型は、開口部を有するスポンジ30を鋳造するために用いられ得る。スポンジ30の金型鋳造及び/又は3Dプリントは、スポンジ30にほとんど均一な形状及び/又は大きさの複数の開口部、穴、又は孔32を形成し得る。
【0035】
さらに別の実施形態によると、スポンジ30は、ヒドロゲル、セルロースのような吸湿性物質、又はポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(ply(n-isopropylacrylamide))(PNIPAM)、PNIPAMのコポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタンフォーム、ポリアクリル酸及びポリアクリレート、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド及びポリアクリルアミドのような部分架橋水膨潤性ポリマー、及びイソブチレンマレイン酸コポリマーなどのような他の高吸収性ポリマーを含み得る。スポンジ30は、本明細書に記載された任意の方法を用いて形成されてよく、いくつかの場合に一つ以上の添加物を含み得る。これらの物質は、体内への挿入前にスポンジ30を脱水することによる低プロファイル又は圧縮された状態において、スポンジ30に導入されることを許容する。一度挿入されると、スポンジ30は、流体に接触されるときに拡張し得る。例えば、流体はカテーテル又は他の関連道具を介して、又は内腔44を介して標的部位70でスポンジ30に導入され得る。代わりに、又は追加で、標的部位70で流体は、スポンジ30の脱水状態から拡張状態への拡張において役立ち得る。一度スポンジ30が拡張されると、流体は真空管40を用いて標的部位70から取り除かれ得る。
【0036】
別の実施形態によると、スポンジ30は、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)、PNIPAMのコポリマー、ポリアクリル酸、及び/又はポリアクリルアミドのような熱応答性ポリマーを含み得る。吸湿性物質を含むスポンジ30と同様に、熱応答性ポリマーを含むスポンジ30は、低プロファイル又は圧縮された状態から拡張し得る。拡張する前に、スポンジ30は、開口部32が閉鎖及び/又は圧縮されるように圧縮されることがあり、それにより開口部32が連通しない。スポンジ30が標的部位70に導入されるとき、身体からの加熱により、スポンジ30がおよそ30℃、又はおよそ35℃の温度閾値より高く加熱されると、スポンジ30は拡張状態へ拡張し得る。温度閾値は、これらの温度に限られず、他のポリマーとスポンジ30との共重合及び/又はスポンジ30から溶出する様々な物質の組み込みによって変更され得る。一度スポンジ30が拡張すると、開口部32は連通し、流体がスポンジ30によって受け取られることを可能にする。物質が熱応答性又は吸湿性物質に制限されないことは理解されるであろう。いくつかの実施形態において、スポンジ30の物質は、体のpH、体内で(例えば、標的部位70で)生成される化学物質、及び/又は圧縮状態から拡張状態へスポンジ30を拡張するためのスポンジ30の物質の任意の他の特性を利用し得る。
【0037】
スポンジを形成する別の例は、物質を結晶で飽和させることを含み得る。例えば、シリコーンを例とする水不溶性物質及び/又は物質の柔軟性又は剛性のような可変の機械的特性を含む任意の物質は、砂糖、塩、又は水溶性だが非有機溶媒に不溶である結晶を含む任意の物質のような水溶性の結晶と混合され得る。例によると、Sylgardシリコーンは、シリコーン混合物を形成するために、10重量%の架橋剤と混合され得る。このシリコーン混合物は水に不溶である。次に、シリコーン混合物は、水溶性物質と混合され得る。水溶性物質に対する水不溶性物質の比率は、およそ50質量%である。一度、水不溶性物質が水溶性物質で十分に飽和させられると、混合物は、例えば、硬化炉を用いて硬化され得る。代わりに、混合物は、混合容器の底に沈んで、例えば、混合容器の形状に対応する形状が形成される任意の形状であり得る。一度、混合物が硬化され又は混合容器の底に沈められると、水不溶性物質及び水溶性物質からもたらされた硬化混合物は、水浴内に配置され得る。水は、およそ50℃からおよそ100℃であり、硬化混合物は、およそ12時間水浴内に留まり得る。この時間の間、水は水溶性物質の実質的にすべてを溶解し、スポンジ30において水溶性物質が溶解された領域に孔、チャンネル、及び/又は開口部32を形成する。これらの孔、チャンネル及び/又は開口部32の大きさ及び形状は、水溶性物質の結晶の大きさ及び形状とほとんど等しい。一度、水溶性物質が溶解されると、スポンジ30は、柔軟及び/又は圧縮可能であり得る。
【0038】
システム10の使用方法をさらに記載する。スポンジ30は、開口部(例えば、自然な開口部)を通って導入されてよく、カテーテル又は他の既知のメカニズムを用いて標的部位70へ進められ得る。一度、スポンジ30が標的部位70に配置されると、流体が、例えば、カテーテルを介してスポンジ30に供給され得る。代わりに、標的部位70で流体は、スポンジ30を活性化し拡張させる。スポンジ30が熱活性化物質を含む状況において、スポンジ30が標的部位70で身体によって温度閾値より高く加熱されるとき、スポンジ30は、拡張し得る。一度、スポンジ30が圧縮状態から拡張状態へ拡張されると、真空管40は、真空源に取り付けられてよく、およそ125mmHg(16.7kPa)、すなわちおよそ2.5の負圧が、スポンジ30へ供給され得る。
【0039】
本明細書に記載される物質、コーティング、又は溶出物質のいくつかは、医療用スポンジを形成するために単独で又は組み合わせて使用され得ることは、理解されるであろう。本明細書に記載されるスポンジのいくつかの特徴は、任意の他のEVACシステム及び/又は任意の他の医療用システムと共に用いられ得ることも、理解されるであろう。
【0040】
各種の医療用システムが記載されているが、これらのシステムにおける要素の特定の配置が制限されないことは、理解されるであろう。さらに、EVACシステムにおけるスポンジの大きさ、形状、及び/又は物質は、制限されない。スポンジは、GI管内腔の内部又は外側の標的部位へアクセスかつ治療するために用いられる。例えば、特定の処置において、様々な医療処置を実行することは、例えば、GI管の外側の臓器において、感染又は他の医療問題を防ぐために標的部位でスポンジから溶出される成長ホルモン及び/又は抗生物質のような物質を有するスポンジを用いることによって改善され得る。
【0041】
本開示の範囲から逸脱することなく、デバイスを開示するために様々な修正及び変更が行われ得ることは、当業者にとって明白であろう。本開示の他の実施形態は、本明細書及び本明細書に開示された発明の実施を考慮することで、当業者にとって明白になるであろう。本明細書及び例は、以下の請求項によって示される本発明の本当の範囲及び主旨と共に、単なる例として考慮されることを意図する。
図1
図2
【国際調査報告】