(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-17
(54)【発明の名称】ワイヤレスオーディオシステム用の低オーバヘッド制御チャネル
(51)【国際特許分類】
H04L 5/02 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
H04L5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551690
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(85)【翻訳文提出日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 US2021019794
(87)【国際公開番号】W WO2021173914
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504189151
【氏名又は名称】シュアー アクイジッション ホールディングス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SHURE ACQUISITION HOLDINGS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス マイケル
(57)【要約】
低オーバヘッド帯域内制御およびオーディオ送信を使用するワイヤレスオーディオシステムが提供される。ワイヤレスオーディオシステムは、オーディオデータと制御データとで別々の物理層チャネルを動作させ、オーディオデータおよび制御データを単一の広帯域キャリアを使用して送信するように構成されている、第1のワイヤレスオーディオデバイスを含む。ワイヤレスオーディオシステムはまた、オーディオデータおよび制御データを受信し、制御データに基づいて命令を実行するように構成されている、1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイスも含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のワイヤレスオーディオデバイスであり、
オーディオデータと制御データとで別々の物理層チャネルを動作させ、
前記オーディオデータおよび制御データを単一の広帯域キャリアを使用して送信するように構成されている、第1のワイヤレスオーディオデバイスと、
1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイスであり、
前記オーディオデータおよび制御データを受信し、
前記制御データに基づいて命令を実行するように構成されている、1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイスと、
を備える、オーディオシステム。
【請求項2】
前記1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイスは、
第2のオーディオデータと第2の制御データとで別々の物理層チャネルを動作させ、
前記第2のオーディオデータおよび前記第2の制御データを単一の広帯域キャリアを使用して送信するように更に構成されており、
前記第1のワイヤレスオーディオデバイスは、
前記第2のオーディオデータおよび第2の制御データを受信し、
前記第2の制御データに基づいて命令を実行するように更に構成されている、
請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項3】
前記第1のワイヤレスオーディオデバイスは、基地局であり、前記1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイスは、1つまたは複数の加入者デバイスを含む、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項4】
前記第1のワイヤレスオーディオデバイスは、前記オーディオデータと前記制御データとで異なる変調スキームを使用するように更に構成されている、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項5】
前記第1のワイヤレスオーディオデバイスは、前記オーディオデータと前記制御データとで異なる符号化率を使用するように更に構成されている、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項6】
前記第1のワイヤレスオーディオデバイスは、所望のビット誤り率に基づいて、前記オーディオデータと前記制御データとに関して異なる変調スキームまたは符号化率を決定するように更に構成されている、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項7】
前記第1のワイヤレスオーディオデバイスは、前記オーディオデータと前記制御データを組み合わせてフレームにするように更に構成されており、各フレームは、ダウンリンク部分とアップリンク部分とを含み、前記第1のワイヤレスオーディオデバイスは、フレームスキームを使用して動作し、前記フレームスキームは、N個のフレームごとに繰り返される、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項8】
前記フレームスキームの前記フレームは、前記フレームスキーム中の各フレームがブロードキャストチャネルスロットを含むように編成されている、請求項7に記載のオーディオシステム。
【請求項9】
前記ブロードキャストチャネルスロットは、前記フレームスキーム中の前記フレームの数Nを含め、前記オーディオシステムにアクセスするために前記1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイスによって使用される情報を含む、請求項8に記載のオーディオシステム。
【請求項10】
前記フレームスキームの前記N個のフレームのうちの1つまたは複数は、M個の制御チャネルスロット対を含み、所与の制御チャネルスロット対の第1のスロットは、所与のフレームの前記ダウンリンク部分に含まれており、前記制御チャネルスロット対の第2のスロットは、前記フレームの前記アップリンク部分に含まれている、請求項7に記載のオーディオシステム。
【請求項11】
前記1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイスの各々には、1つの制御チャネルスロット対が割り当てられている、請求項10に記載のオーディオシステム。
【請求項12】
オーディオシステムのワイヤレス基地局であって、
プロセッサであり、
オーディオデータを使用する第1の物理層チャネルを動作させ、
制御データを使用する第2の物理層チャネルを動作させるように構成されている、プロセッサと、
前記オーディオデータおよび制御データを単一の広帯域キャリアを使用して送信するように構成されている、アンテナと
を備える、ワイヤレス基地局。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記オーディオデータと前記制御データとで異なる変調スキームを使用するように更に構成されている、請求項12に記載のワイヤレス基地局。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記オーディオデータと前記制御データとで異なる符号化率を使用するように更に構成されている、請求項12に記載のワイヤレス基地局。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記オーディオデータと前記制御データを組み合わせてフレームにするように更に構成されており、各フレームは、ダウンリンク部分とアップリンク部分とを含み、前記プロセッサは、フレームスキームを使用して動作し、前記フレームスキームは、N個のフレームごとに繰り返される、請求項12に記載のワイヤレス基地局。
【請求項16】
前記フレームスキームの前記フレームは、前記フレームスキーム中の各フレームがブロードキャストチャネルスロットを含むように編成されている、請求項15に記載のワイヤレス基地局。
【請求項17】
前記ブロードキャストチャネルスロットは、前記フレームスキーム中の前記フレームの数Nを含め、前記オーディオデータおよび制御データにアクセスするために1つまたは複数の加入者デバイスによって使用される情報を含む、請求項16に記載のワイヤレス基地局。
【請求項18】
前記フレームスキームの前記N個のフレームのうちの1つまたは複数は、M個の制御チャネルスロット対を含み、所与の制御チャネルスロット対の第1のスロットは、所与のフレームの前記ダウンリンク部分に含まれており、前記制御チャネルスロット対の第2のスロットは、前記フレームの前記アップリンク部分に含まれている、請求項15に記載のワイヤレス基地局。
【請求項19】
前記ワイヤレス基地局は、1つまたは複数の加入者デバイスと通信するように構成されており、前記1つまたは複数の加入者デバイスの各々には、1つの制御チャネルスロット対が割り当てられている、請求項18に記載のワイヤレス基地局。
【請求項20】
命令が記憶されている、非一時的コンピュータ可読メモリであって、前記命令は、プロセッサによって実行されると、
ワイヤレス加入者デバイスへ送信されることになるオーディオデータを使用する第1の物理層チャネルを動作させることと、
前記ワイヤレス加入者デバイスへ送信されることになる制御データを使用する第2の物理層チャネルを動作させることと、
前記オーディオデータおよび制御データを単一の広帯域キャリアを使用して送信するようにアンテナを制御することと
を含む動作のセットを実行させる、非一時的コンピュータ可読メモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2020年2月27日出願の米国特許出願第16/803,788号の優先権を主張するものであり、当該米国特許出願の内容の全体を本明細書に援用するものである。
【0002】
本願は、一般に、複数の加入者デバイスと基地局とを含み得るワイヤレスオーディオシステムに関する。基地局、および加入者デバイスのうちの1つまたは複数は、オーディオデータおよび制御データの両方を送信するように構成されている。特に、本願は、オーディオデータおよび制御データが同じ広帯域キャリア上で送信されるワイヤレスオーディオシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
オーディオ製作には、テレビ番組、ニュース放送、映画、ライブイベント、および他の種類の製作物といった製作物の音声の取り込み、録音、および提示のための、マイクロフォン、ワイヤレス基地局、ワイヤレス加入者デバイス、レコーダ、および/またはミキサを含む、多くのコンポーネントの使用が関与し得る。マイクロフォンは通常、製作物の音声を取り込み、この音声は、マイクロフォンおよび/またはワイヤレス基地局からワイヤレス加入者デバイスへと、ワイヤレスで送信される。作業班メンバー、例えば製作サウンドミキサーが音声を録音および/またはミキシングできるように、ワイヤレス基地局をレコーダおよび/またはミキサに接続することができる。コンピュータおよびスマートフォンなどの電子デバイスをレコーダおよび/またはミキサに接続して、作業班メンバーが音声レベルおよびタイムコードをモニタできるようにしてもよい。
【0004】
ワイヤレス基地局、ワイヤレス加入者デバイス、ワイヤレスマイクロフォン、および他のポータブルワイヤレス通信デバイスは、変調されたオーディオ信号、データ信号、および/または制御信号などの、デジタル信号またはアナログ信号を含む無線周波数(RF)信号を送信および受信するためのアンテナを含む。ポータブルワイヤレス通信デバイスのユーザとしては、ステージ演者、歌手、役者、ニュースレポーターなどが挙げられる。
【0005】
ワイヤレス基地局は、1つまたは複数のワイヤレス加入者デバイスにオーディオ信号を含むRF信号を送信し得る。ワイヤレス基地局は、例えばユーザによって保持または着用されるワイヤレスハンドヘルドマイクロフォンまたはボディパック内に含まれていてもよく、一体化された送信機およびアンテナを含む。別の例として、ワイヤレス基地局は、アクセスポイント、ラックマウント送受信機、または他の集中型ユニットに含まれてもよい。ワイヤレス加入者デバイスは、ワイヤレスイヤホン、ワイヤレス会議ユニット、ボディパック、インイヤ式ワイヤレスモニタ、マイクロフォン、インターホンデバイス、その他などのポータブルデバイスであり得る。
【0006】
オーディオデーの送信および受信に加えて、オーディオシステムはまた、様々なタイプの制御情報の送信が必要な場合がある。制御情報、または制御データは、基地局および加入者デバイスの適正な動作を可能にすべく、音量を制御し、バッテリ寿命データ、暗号化キー、その他を送信するために使用され得る。いくつかの例では、制御データは、オーディオデータとは別々の帯域外機構を使用して送信される。例えば、制御データは、赤外線(IR)またはWi-Fiリンクを介してなど、別々の通信リンクを介して送信され得る。しかしながらこれらの技術は、送信器および受信機において別々の送信および受信ハードウェアを必要とする。更に、オーディオデータと制御データとで別々の通信リンクを使用することは、一方のリンクに対する干渉が他方よりも大きいことに起因するカバレージエリアの不整合、(特に制御データがIRリンクを介して送信される場合の)見通し線(line of sight)の問題、その他につながり得る。他の例では、オーディオデータおよび制御データは、別々の通信リンクを使用して送信されるのではなく、物理層において単一のチャネルとなるように多重化される。この技術によって上で指摘した問題のうちのいくつかを解決することができるが、他の問題が生じる。例えば、オーディオおよび制御データの組み合わせたビットレートは物理層チャネルによって制限され、したがって、オーディオおよび制御データに関する相対的なリンク性能の個別の設定に柔軟性がない。
【0007】
したがって、別々の通信リンクを必要とせず、オーディオデータおよび制御データの両方に同じカバレージエリアを提供し、オーディオデータおよび制御データの符号化率および変調スキームの独立制御を可能にする、低オーバヘッド帯域内制御を利用するワイヤレスオーディオシステムが有望である。
【発明の概要】
【0008】
本開示の実施形態は、低オーバヘッド帯域内方式を使用してオーディオ情報および制御情報の両方の送信を可能にするワイヤレスオーディオシステムを提供することによって、上で指摘した問題を解決するかまたは解決を支援することを意図する。
【0009】
ある実施形態では、オーディオシステムは、オーディオデータと制御データとで別々の物理層チャネルを動作させ、オーディオデータおよび制御データを単一の広帯域キャリアを使用して送信するように構成されている、第1のワイヤレスオーディオデバイス(例えば、基地局または加入者デバイス)を含む。オーディオシステムはまた、オーディオデータおよび制御データを受信し、制御データに基づいて命令を実行するように構成されている、1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイス(例えば、1つまたは複数の基地局または加入者デバイス)も含む。
【0010】
いくつかの例では、1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイスは、第2のオーディオデータと第2の制御データとで別々の物理層チャネルを動作させるように、ならびに、第2のオーディオデータおよび第2の制御データを単一の広帯域キャリアを使用して送信するように、更に構成されている。また更に、第1のワイヤレスオーディオデバイスは、第2のオーディオデータおよび第2の制御データを受信するように、ならびに、第2の制御データに基づいて命令を実行するように構成され得る。
【0011】
いくつかの例では、第1のワイヤレスオーディオデバイスは、所望のビット誤り率に基づいて、オーディオデータと制御データとで異なる変調スキームおよび/または符号化率を使用するように更に構成されている。
【0012】
いくつかの例では、第1のワイヤレスオーディオデバイスは、オーディオデータと制御データを組み合わせてフレームにするように更に構成されており、各フレームは、ダウンリンク部分とアップリンク部分とを含む。フレームは、フレームスキームに従って構成され得、フレームスキームは、N個のフレームごとに繰り返される。フレームスキーム中の各フレームは、ブロードキャストチャネルスロットを含み得る。ブロードキャストチャネルスロットは、フレームスキーム中のフレームの数Nを含め、オーディオシステムにアクセスするために1つまたは複数の加入者デバイスによって使用される情報を含み得る。フレームスキームのN個のフレームの各々は、M個の制御チャネルスロット対を含み得、所与の制御チャネルスロット対の第1のスロットは、所与のフレームのダウンリンク部分に含まれており、制御チャネルスロット対の第2のスロットは、フレームのアップリンク部分に含まれている。1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイスの各々には、1つの制御チャネルスロット対が割り当てられている。
【0013】
第2の実施形態では、オーディオシステムのワイヤレス基地局は、オーディオデータを使用する第1の物理層チャネルを動作させ、制御データを使用する第2の物理層チャネルを動作させるように構成されている、プロセッサを含み得る。オーディオシステムのワイヤレス基地局はまた、オーディオデータおよび制御データを単一の広帯域キャリアを使用して送信するように構成されているアンテナも含み得る。
【0014】
いくつかの例では、プロセッサは、オーディオデータと制御データとで異なる変調スキームおよび符号化率を使用するように更に構成されている。
【0015】
いくつかの例では、プロセッサはまたオーディオデータと制御データを組み合わせてフレームにするようにも構成されており、各フレームは、ダウンリンク部分とアップリンク部分とを含む。プロセッサは、フレームスキームを使用して動作し得、フレームスキームは、N個のフレームごとに繰り返される。フレームスキーム中の各フレームは、ブロードキャストチャネルスロットを含み得る。ブロードキャストチャネルスロットは、フレームスキーム中のフレームの数Nを含め、オーディオデータおよび制御データにアクセスするために1つまたは複数の加入者デバイスによって使用される情報を含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、フレームスキームのN個のフレームの各々は、M個の制御チャネルスロット対を含み得、所与の制御チャネルスロット対の第1のスロットは、所与のフレームのダウンリンク部分に含まれており、制御チャネルスロット対の第2のスロットは、フレームのアップリンク部分に含まれている。ワイヤレス基地局は、1つまたは複数の加入者デバイスと通信するように構成され得、1つまたは複数の加入者デバイスの各々には、1つの制御チャネルスロット対が割り当てられている。
【0017】
第3の実施形態では、非一時的コンピュータ可読メモリには、命令が記憶されており、命令は、プロセッサによって実行されると、動作のセットを実行させる。動作のセットは、ワイヤレス加入者デバイスへ送信されることになるオーディオデータを使用する第1の物理層チャネルを動作させることを含む。動作のセットはまた、ワイヤレス加入者デバイスへ送信されることになる制御データを使用する第2の物理層チャネルを動作させることも含む。動作のセットは、オーディオデータおよび制御データを単一の広帯域キャリアを使用して送信するようにアンテナを制御することを更に含む。
【0018】
これらのおよび他の実施形態ならびに様々な組み換えおよび態様は、本発明の原理を利用し得る様々な様式を示す例示的な実施形態を提示する以下の詳細な説明および添付の図面から明らかになり、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】いくつかの実施形態に係るワイヤレスオーディオシステムの概略図である。
【
図2】いくつかの実施形態に係る、
図1のワイヤレスオーディオシステムの、第1のワイヤレスオーディオデバイス、第2のワイヤレスオーディオデバイス、基地局、および/または加入者デバイスなどの、例示のコンピューティングデバイスの概略図である。
【
図3】いくつかの実施形態に係る、例示のフレームスキームを示す単純化したブロック図である。
【
図4】いくつかの実施形態に係る、低オーバヘッド帯域内制御チャネル方式を使用してオーディオおよび制御情報をワイヤレスに送信するための様々な動作を示すフローチャートである。
【
図5】いくつかの実施形態に係る、低オーバヘッド帯域内制御チャネル方式を使用してオーディオおよび制御情報をワイヤレスに送信するための様々な動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明は、本発明の原理に従う本発明の1つまたは複数の特定の実施形態を説明し例示する。この説明は、本発明を本明細書に記載されている実施形態に限定するためではなく、本発明の原理を、当業者が当該原理を理解できるようにし、この理解によって、それらを応用して本明細書に記載の実施形態だけでなく当該原理に従って想到され得る他の実施形態をも実施可能となり得るような方法で、説明し教示するために提供されている。本発明の範囲は、文字通りの意味でかまたは均等論に基づいてかのいずれかで付属の特許請求の範囲内に収まり得るような、全ての実施形態を包含することが意図されている。
【0021】
本説明および図面において、類似のまたは実質的に同様の要素には同じ参照符号が付される場合のあることに留意すべきである。ただし、場合によってはこれらの要素に異なる数字が付される場合があり、それは例えば、そのような符号付けによってより明確な説明が容易になる場合などである。更に、本明細書に提示する図面は必ずしも実際の縮尺では描かれておらず、場合によっては、特定の特徴をより明確に描写するために比率が誇張されていることがあり得る。そのような符号付けおよび図面の慣習は、必ずしもその背景に本質的な目的があることを示唆してはいない。上で述べたように、本明細書は全体として理解され、本明細書で教示されており当業者に理解されるような本発明の原理に従って解釈されることが意図されている。
【0022】
本明細書に記載するワイヤレスオーディオシステムは、オーディオデータおよび制御データの両方を送信するために単一のRFキャリアを利用し得る。複数のオーディオおよび制御チャネルが単一のフレーム内で一緒に送信され得る。本開示の実施形態は、オーディオ情報と制御情報とで別々の物理層チャネルを使用することを含み、このことによってチャネルの変調およびチャネル符号化率の別々の個々の操作が可能になる。この構成によって、ユーザがワイヤレスオーディオシステムの設定の時点で制御チャネルおよびオーディオチャネルの初期パラメータを設定すること、ならびに、制御チャネルおよびオーディオチャネルのパラメータのリアルタイムの調整を行うことが可能になり、ワイヤレスオーディオシステムに機能性の改善をもたらすことができる。
【0023】
図1は、本開示の実施形態に係る、例示的なワイヤレスオーディオシステム100の概略図を示す。ワイヤレスオーディオシステム100は、第1のワイヤレスオーディオデバイス110(いくつかの実施形態ではワイヤレス基地局110とも呼ばれる)と、複数の第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~I(いくつかの実施形態ではワイヤレス加入者デバイス120A~Iとも呼ばれる)と、を含み得る。第1のワイヤレスオーディオデバイスは、ワイヤレスアクセスポイント、ラックマウント送受信機、または任意の他の好適なデバイスなどの、基地局であり得る。1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイスは、ワイヤレスイヤホン、ワイヤレス会議ユニット、ボディパック、インイヤ式ワイヤレスモニタ、マイクロフォン、インターホンデバイス、その他などの、加入者デバイスであり得る。ワイヤレスオーディオシステム100はまた、第1のワイヤレスオーディオデバイス110と通信するオーディオソース(図示せず)も含み得る。オーディオソースは、オーディオデータおよび制御データの一方または両方を含み得る、1つまたは複数のオーディオソース信号を生成し得る。第1のワイヤレスオーディオデバイス110は、オーディオソースから受信されたオーディオデータおよび/または制御データを変調し得る。
【0024】
第1のワイヤレスオーディオデバイス110は、
図2に関して更に詳細に記載したコンピューティングデバイスなどのコンピューティングデバイスであり得る。いくつかの例では、第1のワイヤレスオーディオデバイス110は、1つまたは複数のアンテナを含み得る。いくつかの例では、第1のワイヤレスオーディオデバイス110はアンテナダイバーシティを利用してもよく、また複数のアンテナを使用してもよい。アンテナダイバーシティは、例えば、物理的に分離されたアンテナ(すなわち、空間内で離れて位置付けられたアンテナ)を使用することを含み得る。第1のワイヤレスオーディオデバイス110が3つ以上のアンテナを有すること、および任意の数の第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iが存在することが企図されており、かつ可能である。いくつかの実施形態では、第1のワイヤレスオーディオデバイス110は、アクセスポイントまたは他の集中型ユニットであり得る。第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iは、いくつかの実施形態では、ワイヤレスイヤホン、ワイヤレス会議ユニット、またはボディパックなどの、ポータブルワイヤレス加入者デバイスであり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、ワイヤレスオーディオシステム100は、様々なタイプのトラフィックを個々のサブキャリア上で搬送することおよびまとめて多重化して単一の広帯域キャリアにすることを可能にする、OFDM(直交周波数分割多重)広帯域オーディオシステムであり得る。第1のワイヤレスオーディオデバイス110によって送信され1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iによって受信されるRF信号は例えば、オーディオデータと制御データとを有するデータシンボルを含み得る。データシンボルは、いくつかの実施形態では、オーディオデータ信号および/または制御信号を搬送可能な、QPSK/QAM変調サブキャリアであり得る。以下で指摘するように、他の変調スキームおよび符号化率を使用することもできる。
【0026】
本明細書で使用される場合、オーディオデータは、1つまたは複数のスピーカを介してオーディオ(音声)を出力するために複数の第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iによって使用される情報を含み得る。制御データは、音量、指示されたバッテリ寿命、暗号化キーに関連する情報、その他を制御するために使用される情報を含み得る。
【0027】
上で指摘したように、オーディオシステムが適正に機能するためには、オーディオデータおよび制御データの両方が必要となり得る。いくつかの場合には、オーディオデータおよび制御データは、別々の通信機構を使用して、例えば、オーディオデータを無線周波数(RF)接続を介して送信し、制御データを赤外線(IR)、Wi-Fiなどの別の機構によってまたは別の「帯域外」リンクを介して送信することによって、送信および受信される。2つの異なる機構を使用する結果、オーディオデータと制御データの間でカバレージエリアの不整合が生じる場合がある。例えば、制御データがIRを介して送信される場合、視覚的な見通し線が得られることが必要になる場合があり、一方で、RFキャリアを介して送信されるオーディオデータには見通し線は必要ない。
【0028】
別法として、システムが代わりにオーディオデータおよび制御データを同じインターフェース機構を介して送信しようとした場合、1つの方法は、複数のオーディオデータおよび制御データを物理層において1つに多重化することである。しかしながらこの結果組み合わされたビットレートが生じ、これは物理層チャネルによって制限される。更に、オーディオデータおよび制御データの相対的なリンク性能の設定に柔軟性がない。更に、オーディオデータおよび制御データの一方または両方と関連付けられる性能特性を動的に変更することができないことに起因して、比較的高いオーバヘッドが存在する。
【0029】
本開示の実施形態では、オーディオシステム100は、上で指摘したこれらの問題の一部または全部への対処を支援するように構成されている。例えば、第1のワイヤレスオーディオデバイス110は、オーディオデータと制御データとで別々の物理層チャネルを動作させるように構成されている。このことにより、各物理層チャネルが別々の変調スキームおよび符号化率を有することが可能になる。例えば、オーディオデータ用の変調スキームは符号化率3/4の16-QAMとすることができる。更に、制御データ用の変調スキームは符号化率1/2のQPSKとすることができる。変調スキームおよび符号化率は、1つまたは複数の所望の動作特性に基づいて、オーディオデータと制御データとで同じとすることができるか、または異なっていてもよい。
【0030】
いくつかの例では、オーディオデータおよび制御データの一方または両方に関する変調スキームおよび符号化率を、所望のビット誤り率に基づいて決定することができる。特定の変調スキームおよび符号化率は、十分なデータ伝送速度を維持しながら誤り率の最小化のバランスをとるように選択される。よりロバストな変調スキームおよび符号化率(例えば、符号化率1/2のQPSKに対して符号化率3/4の16-QAM)を選択することによって、所与の送信範囲におけるビット誤り率が小さくなるが、データ伝送速度が犠牲になる。
【0031】
他の例では、オーディオデータおよび制御データの一方または両方の変調スキームおよび符号化率を、送信の所望の範囲に基づいて設定することができる。この場合、変調スキームおよび符号化率は、十分なデータ伝送速度を維持しながら範囲の最大化のバランスをとるように選択される。よりロバストな変調スキームおよび符号化率を選択することによって送信範囲が狭くなるが、送信速度は向上する。いずれの場合も、オーディオチャネル性能が劣ることになるチャネル状況であっても物理層リンクを確立および維持できるように、よりロバストな変調スキームおよび符号化率は通常、オーディオデータよりも制御データについて選択される。
【0032】
次いで物理層チャネルは単一のRFキャリアとなるように組み合わされ、複数の第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iへと送信またはブロードキャストされるが、このとき第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iは、同じ信号中のオーディオデータおよび制御データの両方を受信する。
【0033】
第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iは、
図2に関して更に詳細に記載したコンピューティングデバイスなどのコンピューティングデバイスであり得る。いくつかの例では、第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iは、1つまたは複数のアンテナを各々含み得る。いくつかの例では、第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iはアンテナダイバーシティを利用してもよく、また複数のアンテナを使用してもよい。アンテナダイバーシティは、例えば、物理的に分離されたアンテナ(すなわち、空間内で離れて位置付けられたアンテナ)を使用することを含み得る。第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iが3つ以上のアンテナを有することが企図されており、かつ可能である。第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iは、いくつかの実施形態では、ワイヤレスイヤホン、ワイヤレス会議ユニット、ボディパック、インイヤ式ワイヤレスモニタ、マイクロフォン、インターホンデバイス、その他などのポータブルワイヤレス加入者デバイスであり得る。
【0034】
いくつかの例では、第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iは、第1のワイヤレスオーディオデバイス110によって送信されるオーディオデータおよび制御データを受信し得る。次いで第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iは、受信したRF信号を復調、変換、および/または処理して、アナログまたはデジタル出力オーディオ信号、および制御信号を生成し得る。第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iもまた、受信した制御データに基づいて様々な命令を実行するように構成されている。例えば、第2のワイヤレスオーディオデバイスは、音量の修正、暗号化の変更、タイミングの調整、その他を行うように構成され得る。
【0035】
いくつかの例では、第1のワイヤレスオーディオデバイスおよび1つまたは複数の第2のオーディオデバイスは、送受信機として動作するように更に構成され得る。この場合、1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイスは、第2のオーディオデータと第2の制御データとで別々の物理層チャネルを動作させるように、ならびに、第2のオーディオデータおよび第2の制御データを単一の広帯域キャリアを使用して送信するように、更に構成され得る。第1のワイヤレスオーディオデバイスはその場合、第2のオーディオデータおよび第2の制御データを受信するように、ならびに、第2の制御データに基づいて命令を実行するように、更に構成され得る。このように、第1のワイヤレスオーディオデバイスは送信器および受信機の両方として動作可能な基地局であり、1つまたは複数の第2のワイヤレスオーディオデバイスは送信器および受信機の両方として動作可能な加入者デバイスである場合、各デバイスは、オーディオデータと制御データとで別々の物理層チャネルを動作させ、単一の広帯域キャリアを使用してオーディオデータおよび制御データの両方を送信するように構成することができる。
【0036】
図2は本開示の実施形態に係る、例示のコンピューティングデバイス200の単純化したブロック図を示す。第1のワイヤレスオーディオデバイス110および第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iのうちの1つまたは複数は、コンピューティングデバイス200などのコンピューティングデバイスであってもよい。その場合、第1のワイヤレスオーディオデバイス110および/または第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iは、コンピューティングデバイス200の構成要素のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0037】
コンピューティングデバイス200は、本開示(および添付の図面)に記載するようなものなどの、様々な機能または動作を実行するように構成され得る。コンピューティングデバイス200は、例えば、システムバス、ネットワーク、または他の接続機構250によって全て通信可能に結合されている、プロセッサ210、メモリ220、ユーザインターフェース230、および通信インターフェース240を含む、様々な構成要素を含み得る。本明細書で開示される例は、物理的に互いに近接して配置されてもされなくてもよい構成要素を有するコンピューティングデバイスおよび/またはシステムを参照する場合のあることが理解されるべきである。ある実施形態はクラウドベースのシステムまたはデバイスの形態をとる場合があり、用語「コンピューティングデバイス」は、分散型システムおよびデバイス(例えばクラウドベースのもの)、ならびにソフトウェア、ファームウェア、および本明細書に記載する機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成されている他の構成要素を含むものと理解されるべきである。更に、上で指摘したように、コンピューティングデバイス200の1つまたは複数の特徴は物理的に遠隔にあってもよく、また、例えば通信インターフェース240を介してコンピューティングデバイスに通信可能に結合されていてもよい。
【0038】
プロセッサ210は、汎用プロセッサ(例えばマイクロフォンロプロセッサ)および/または専用プロセッサ(例えばデジタル信号プロセッサ(DSP))を含み得る。プロセッサ210は、マイクロフォンロプロセッサ、マイクロフォンロコントローラベースのプラットフォーム、集積回路、1つもしくは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または1つもしくは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)などの、ただしこれらに限定されない、任意の好適な処理デバイスまたは処理デバイスのセットであり得る。
【0039】
メモリ220は、揮発性メモリ(例えば、不揮発性RAM、磁気RAM、強誘電RAM等を含むRAM)、不揮発性メモリ(例えばディスクメモリ、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM、メモリスタベースの不揮発性ソリッドステートメモリ、等)、変更不可能なメモリ(例えばEPROM)、読み出し専用メモリ、および/または大容量ストレージデバイス(例えばハードドライブ、ソリッドステートドライブ、等)であり得る。いくつかの例では、メモリ220は、複数種のメモリ、特に揮発性メモリおよび不揮発性メモリを含む。
【0040】
メモリ220は、本開示の方法を実行するためのソフトウェアなどの、1つまたは複数の命令セットを埋め込むことのできるコンピュータ可読媒体であってもよい。命令は、本明細書に記載される方法または論理のうちの1つまたは複数を具現化し得る。例えば、命令は、命令の実行中に、完全にまたは少なくとも部分的に、メモリ220、コンピュータ可読媒体のうちのいずれか1つもしくは複数内におよび/またはプロセッサ210内に存在し得る。
【0041】
用語「非一時的コンピュータ可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」は、集中型もしくは分散型データベース、ならびに/または、1つもしくは複数の命令セットを記憶する関連するキャッシュおよびサーバなどの、単一の媒体または複数の媒体を含む。更に、用語「非一時的コンピュータ可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」は、プロセッサによって実行されるまたは本明細書に開示する方法もしくは動作のうちのいずれか1つもしくは複数をシステムに実行させる命令セットを、記憶、符号化、もしくは担持できる、任意の有形媒体を含む。本明細書で使用される場合、用語「コンピュータ可読媒体」は、任意のタイプのコンピュータ可読ストレージデバイスおよび/またはストレージディスクを含むように、ならびに伝搬信号を除外するように、明示的に定義される。
【0042】
ユーザインターフェース230はデバイスのユーザとのやり取りを容易にし得る。このため、ユーザインターフェース230は、キーボード、キーパッド、マウス、タッチセンサ式パネル、マイクロフォン、およびカメラなどの入力構成要素と、(例えば、タッチセンサ式パネルと組み合わされてもよい)ディスプレイスクリーン、サウンドスピーカ、および触覚フィードバックシステムなどの出力構成要素と、を含み得る。ユーザインターフェース230はまた、短距離送受信機(RFID、Bluetooth、等)、電話インターフェース、セルラ通信ポート、ルータ、または他の種類のネットワークインターフェース機器などの、入力部または出力部と通信するデバイスも備え得る。ユーザインターフェース230はコンピューティングデバイス200の内部にあってもよく、または外部にあってワイヤレスに、もしくはユニバーサルシリアルバスポートを通してなどで接続ケーブルを介して、接続されてもよい。
【0043】
通信インターフェース240は、デバイス200が1つまたは複数のプロトコルに従って1つまたは複数のデバイス(またはシステム)と通信するのを可能にするように構成され得る。1つの例では、通信インターフェース240は、イーサネットインターフェースまたは高解像度シリアルデジタルインターフェース(HD-SDI)などの、有線インターフェースであり得る。別の例として、通信インターフェース240は、セルラ、Bluetooth、またはWi-Fiインターフェースなどの、ワイヤレスインターフェースであり得る。いくつかの例では、通信インターフェースは1つまたは複数のアンテナを含み得、RF信号を送信および受信するように構成され得る。
【0044】
データバス250は、プロセッサ210、メモリ220、ユーザインターフェース230、および通信インターフェース240、および/または任意の他の適用可能なコンピューティングデバイス構成要素を通信可能に結合するための、1つまたは複数のワイヤ、トレース、または他の機構を含み得る。
【0045】
図3は、いくつかの実施形態に係る、例示のフレームスキーム300を示す単純化したブロック図である。第1のワイヤレスオーディオデバイス110(例えばワイヤレス基地局)は、オーディオデータと制御データを組み合わせてフレームにするように構成され得、フレームは次いで複数の第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~I(例えばワイヤレス加入者デバイス)に送信またはブロードキャストされる。各フレームはダウンリンク部分とアップリンク部分とを含み得る。いくつかの例では、フレームはダウンリンク部分とアップリンク部分の間で均等に分割されている。他の例では、ダウンリンク部分はアップリンク部分よりも大きく(すなわち、より大きいデータ容量を有する)、その逆も成り立つ。
【0046】
ワイヤレスオーディオシステムはフレームスキーム300に従って動作し、その場合フレームはあるパターンで繰り返される。例えば、スキーム300にはN個のフレームが含まれ、第1のフレームi、第2のフレームi+1、および最後のフレームi+N-1が示されている。その場合スキームは、フレームi+N-1を送信した後で、フレームiから再び繰り返される。
【0047】
図3の図示された例が特定の特徴を説明するために提供された一例に過ぎないこと、および本開示の範囲内に留まりながら多くの他の例を使用できることを諒解されたい。
【0048】
図3に示す例示のフレームスキームは、各フレームが複数のスロットとオーディオデータ用の容量とを含むことを示す。1つの例では、フレームスキーム300の各フレームは、ブロードキャストチャネルスロット302を含む。ブロードキャストチャネルスロット302は、フレームスキーム中のフレームの数Nを含め、オーディオシステム100にアクセスするために第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iのうちの1つまたは複数によって使用される情報を含む。このことによって、各第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iが、フレームがいつ繰り返されることになるかを判定することが可能になる。ブロードキャストチャネルスロットはまた、オーディオシステム100にアクセスするために第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iによって使用される様々な他の情報も含み得る。
【0049】
フレームスキーム300中の複数のフレームは、いくつかの例では、共通制御チャネル(例えば、ランダムアクセスチャネル306および/または共通制御チャネルスロット304)のために確保される、1つまたは複数のスロットを含む。これらのスロットは、複数の第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iの各々がこれらのスロットにアクセスできるように共有され得る。ランダムアクセスチャネルスロット306および/または共通制御チャネルスロット304は、フレームスキーム300の全てのフレームに含まれ得るか、または、フレームのサブセットにのみ(例えば、スキームの最初のフレームにのみ)含まれてもよい。
【0050】
いくつかの例では、フレームスキーム300中の複数のフレームはまた、複数の制御チャネルスロット対も含む。各制御チャネルスロット対は、複数の第2のワイヤレスオーディオデバイス120A~Iのうちの1つに対応している。図示した例では、各フレームはM個の制御チャネルスロット対を含む。各制御チャネルスロット対は、フレームのアップリンク部分に第1のスロットを、およびフレームのダウンリンク部分に第2のスロットを含む。例えば、第1の制御チャネルスロット対は、フレームi+1のアップリンク部分に第1のスロット308Aを、およびフレームi+1のダウンリンク部分に第2のスロット308Bを含む。
【0051】
図示した例では、フレームスキーム300はN個のフレームを含む。N個のフレームの各々がM個のチャネルスロット対を含み得る。このためフレームスキーム300は、M×N個の別々の第2のワイヤレスオーディオデバイスをサポートし得る。ただしN個のフレームのうちの1つまたは複数は共有されたスロット(例えば、共通制御チャネル304および/またはランダムアクセスチャネル306)を含み、サポートされる第2のワイヤレスオーディオデバイスの総数は少なくなる。
【0052】
いくつかの例では、パラメータN(すなわちフレームスキーム中のフレームの数)およびM(すなわち所与のフレーム中の制御チャネルスロット対の数)は、設定時にユーザによって選択される。すなわち、これらのパラメータは、それらが使用される環境の要件に基づいて変更可能であり、待ち時間、オーディオデータのスループット、その他の所望の動作特性が満たされることが保証されるように、任意に修正可能である。MおよびNの選択される値は、必要なオーディオチャネルの所望の最大数に基くことができ、このとき依然として制御チャネルのビットレートおよび待ち時間に関するシステム要件を満たしている。例えば、必要なワイヤレス加入者デバイスがより少ない場合、制御チャネル待ち時間を短くすべくMを小さくすることができる。別法として、より多くのワイヤレス加入者デバイスが使用される場合、待ち時間を長くして、オーディオデータビットレートを維持しながら追加のワイヤレス加入者デバイスに対応することができる。
【0053】
いくつかの例では、各第2のワイヤレスオーディオデバイスは、全N個のフレームのうちの1つだけにあるそのデバイスに固有の制御情報を受信する。この場合、フレームスキーム中のフレームの数Nが大きくなるほど、所与の第2のワイヤレスオーディオデバイスに関する制御データを含むフレーム間の遅延(すなわち待ち時間)が長くなる。
【0054】
別法として、より少ないフレームNが使用されるが制御チャネル対スロットの数Mが各フレームに含まれている場合、各フレームにおけるオーディオデータのために利用可能な容量は小さくなる。したがって、制御待ち時間が短くなるとオーディオデータビットレートも小さくなる。この場合、所与のフレーム中に存在するオーバヘッドがより小さく(すなわち制御チャネル対スロットMがより小さく)なるように待ち時間を長くする(すなわち追加のフレームNが加算される)場合、バランスをとらねばならない。
【0055】
図4は、本開示の実施形態に係る例示の方法400のフローチャートを示す。方法400はワイヤレスオーディオシステムがオーディオデータを伴う低オーバヘッド帯域内制御データ送信を使用することを可能にし得、そこにはオーディオデータおよび制御データを送信するための既存の手法の制限は存在しない。方法400にはワイヤレス加入者デバイスがシステムに参加するためのネットワークエントリプロセスが詳述されている。
図4のフローチャートは、プロセッサ(例えばプロセッサ210)によって実行されるとコンピューティングデバイス200および/または1つもしくは複数のシステムもしくはデバイスに本明細書に記載する1つまたは複数の機能を実施させることのできる1つまたは複数のプログラムを含み得る、メモリ(メモリ220など)に記憶される機械可読命令を表す。
図4に示されているフローチャートを参照して例示のプログラムが記載されているが、本明細書に記載する機能を実施するための多くの他の方法が代わりに使用されてもよい。例えば、方法400を実施するために、ブロックの実行の順序を並べ替えてもまたは連続的にもしくは互いに並列に実施してもよく、ブロックを変更しても、削除しても、および/または組み合わせてもよい。更に、方法400は
図1~
図3の構成要素と関連して開示されているので、それらの構成要素のいくつかの機能については以下では詳細には記載しない。
【0056】
方法400はブロック402から開始され得る。ブロック404において、方法400は、システムの周波数およびタイミングに同期することを含む。このことはワイヤレス加入者デバイスがオーディオシステムへのネットワークエントリを試行することによって行われる。
【0057】
ブロック406において、方法400は、ブロードキャストチャネル(例えば、
図3のBCH302)を復号することを含む。復号されたBCH情報は、ワイヤレス加入者デバイスがNの値、すなわちフレームスキーム中のフレームの数Nを決定することを可能にする。このことにより、ワイヤレス加入者デバイスがいつ次の繰り返しのフレームが生じるかを判定することが可能になる。
【0058】
ブロック408において、方法400は、ランダムアクセスに割り当てられたスロット(例えば、
図3のスロット306)中のランダムアクセスチャネル(RACH)要求を送ることを含む。RACH要求は、ワイヤレス加入者デバイスと関連付けられることになる専用制御チャネル対の割当ての要求を含む。
【0059】
ブロック410において、方法400は、ワイヤレス加入者デバイスがRACH応答について共通制御チャネル(CCCH)スロットをモニタすることを含む。
【0060】
ブロック412において、方法400は、CCCH上で応答が受信されたかどうかを判定することを含む。応答が受信されない場合、方法400は、ブロック414において任意の時間期間の間遅延することを含む。次いで方法400はブロック408へと戻り、ここにおいてワイヤレス加入者デバイスによって新しいRACH要求が送られる。
【0061】
ブロック412においてワイヤレス加入者デバイスによってRACH応答が受信される場合、方法400はブロック416に進む。ブロック416において、ワイヤレス加入者デバイスは、RACH応答に基づいて、専用の制御チャネル対割当て(例えば、
図3のスロット308Aおよび308B)を取得する。
【0062】
ブロック418において、次いで方法400は、ワイヤレス加入者デバイスが専用制御チャネル対を使用して帯域幅の要求などの1つまたは複数のアクションを実行することを含む。
【0063】
方法400はその後ブロック420において終了する。
【0064】
図5は、本開示の実施形態に係る例示の方法500のフローチャートを示す。方法500はワイヤレスオーディオシステムがオーディオデータを伴う低オーバヘッド帯域内制御データ送信を使用することを可能にし得、そこにはオーディオデータおよび制御データを送信するための既存の手法の制限は存在しない。方法500には、ワイヤレス基地局からワイヤレス加入者デバイスにオーディオデータおよび制御データの両方を送信するための方法が詳述されている。
図5のフローチャートは、プロセッサ(例えばプロセッサ210)によって実行されるとコンピューティングデバイス200および/または1つもしくは複数のシステムもしくはデバイスに本明細書に記載する1つまたは複数の機能を実施させることのできる1つまたは複数のプログラムを含み得る、メモリ(メモリ220など)に記憶される機械可読命令を表す。
図5に示されているフローチャートを参照して例示のプログラムが記載されているが、本明細書に記載する機能を実施するための多くの他の方法が代わりに使用されてもよい。例えば、方法500を実施するために、ブロックの実行の順序を並べ替えてもまたは連続的にもしくは互いに並列に実施してもよく、ブロックを変更しても、削除しても、および/または組み合わせてもよい。更に、方法500は
図1~
図3の構成要素と関連して開示されているので、それらの構成要素のいくつかの機能については以下では詳細には記載しない。
【0065】
方法500はブロック502から開始される。ブロック504において、方法500は、オーディオデータ用の第1の物理層チャネルを動作させることを含む。ブロック506において、方法500は、制御データ用の第2の物理層チャネルを動作させることを含む。制御データとオーディオデータとで物理層チャネルは互いに別々であってもよく、制御データはオーディオデータに対応していてもよい(すなわち、ワイヤレス加入者デバイスの再生音量、タイミング、等を変更するための命令を含む)。
【0066】
ブロック508において、方法500は、単一の広帯域キャリアを使用して別々の物理層からオーディオデータおよび制御データを送信することを含む。ブロック510において、方法500は、ワイヤレス加入者デバイスが組み合わされたオーディオデータおよび制御データを受信することを含む。次いでワイヤレス加入者デバイスは、データ中に含まれるコマンドが存在するかどうかを判定すべく受信したデータの復号および/または処理を行うことができる。ブロック512において、方法500は、ワイヤレス加入者デバイスが受信した制御データに基づいて命令(例えば、音量の変更)を実行することを含む。方法500はその後ブロック514において終了する。
【0067】
図中のどのプロセスの説明またはブロックも、プロセス中の特定の論理機能またはステップを実施するための1つまたは複数の実行可能な命令を含む、モジュール、セグメント、またはコード部分を表すものと理解されるべきであり、また当業者には理解されるであろうが、本発明の実施形態の範囲内には、関与する機能性に応じて、実質的に同時にまたは反対の順序でなど示したまたは検討したものとは異なる順序で機能が実行され得る、代替の実装形態が含まれる。
【0068】
本開示は、様々な実施形態をその技術に従ってどのように製作し使用するかを説明することを意図しており、その真の意図する公正な範囲および精神を限定することは意図していない。上述の説明は、網羅的であること、または開示される厳密な形態に限定されることは意図していない。上記の教示に照らして修正または変形が可能である。実施形態は、記載される技術の原理およびその実際的な応用を最もうまく説明するように、ならびに、当業者がその技術を、企図される特定の用途に適した様々な修正を行って様々な実施形態において利用できるように、選択され記載された。そのような修正および変形は全て、公正かつ適法かつ公平に権利を認められる範囲に従って解釈した場合の添付の特許請求の範囲(本特許出願の係属中に補正される場合がある)およびそのあらゆる均等物によって決定される実施形態の範囲内にある。
【国際調査報告】