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特表2023-515985ショック状態の患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)結合剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-17
(54)【発明の名称】ショック状態の患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)結合剤
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20230410BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230410BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
A61P31/04
A61K39/395 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551701
(86)(22)【出願日】2021-03-01
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2021055068
(87)【国際公開番号】W WO2021170880
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】20206317.8
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20159913.1
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514122410
【氏名又は名称】アドレノメト アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ベルクマン
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明の主題は、ショック状態の患者の治療において使用及び/又は患者がICU入院する必要がある疾病の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショック状態、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は:
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間を超えないでショック、特に、敗血症性ショックを患っており、及び/又は
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間を超えないでICU入院しており、及び/又は
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において全く臓器補助(organ support)を受けていないか若しくは10時間を超えないで臓器補助を受けており、
及びここで、前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合する、
治療において使用するためのアドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項2】
前記患者が、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において9時間を超えない、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.24日間)、5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間、ショック状態、特に、敗血症性ショックを患っている、請求項1に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくはADMと結合する抗ADM抗体フラグメント又はアドレノメデュリンと結合する抗ADM非Ig足場。
【請求項3】
前記患者が、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において9時間を超えない、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.24日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間ICU入院している、請求項1又は2に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくはADMと結合する抗ADM抗体フラグメント又はアドレノメデュリンと結合する抗ADM非Ig足場。
【請求項4】
前記患者が、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において9時間を超えない、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.24日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間の臓器補助(organ support)を受けている、請求項1~3のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくはADMと結合する抗ADM抗体フラグメント又はアドレノメデュリンと結合する抗ADM非Ig足場。
【請求項5】
ショック状態、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場が、
・前記患者におけるショック発生後10時間以内、及び/又は
・前記患者がICU入院後10時間以内、及び/又は
・前記患者が臓器補助を受ける前若しくは臓器補助の10時間以内
で投与され、
およびここで、前記抗体若しくはフラグメント又は足場が、ADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合する、
ショック状態、特に、敗血症性ショックを患っている患者治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項6】
ショック状態、特に、敗血症性ショックを患っている患者に対応する抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場による治療において使用するための前記抗アドレノメデュリン(ADM)ADM非Ig足場が、前記患者におけるショック発生後9時間以内、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.25日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間で投与される、請求項5に記載の抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項7】
前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場が、前記患者がICU入院後9時間以内、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.25日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間で投与される、請求項5又は6に記載のショック状態、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項8】
前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場が、前記患者が前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を受けた後、9時間以内、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.25日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間で投与される、請求項5~7のいずれか一項に記載のショック状態、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項9】
前記患者が、血液量減少が原因のショック、心原性ショック、血管閉塞性ショック及び血液分布異常性ショック、特に心原性ショック、敗血症性ショック、Covid-19が原因のショック、熱傷が原因のショック及び外傷性ショックを含む群から選択されるショックを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくはADMと結合する抗ADM抗体フラグメント又はアドレノメデュリンと結合する抗ADM非Ig足場。
【請求項10】
前記患者が、敗血症性ショックを有する、請求項9に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくはADMと結合する抗ADM抗体フラグメント又はアドレノメデュリンと結合する抗ADM非Ig足場。
【請求項11】
前記患者から採取された体液サンプルが、>70pg/mLのバイオADMレベルを示し、及び前記体液が、全血、血漿又は血清を含む群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載のショック状態、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項12】
前記患者から採取された体液サンプルが、<50ng/mLのDPP3レベルを示し、及び前記体液が、全血、血漿又は血清を含む群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載のショック状態、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項13】
前記抗体若しくは抗体フラグメント又は非Ig足場が、単一特異性である、請求項1~12のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項14】
前記抗体若しくはフラグメント又は足場が、Biacore2000システムを用いた無標識表面プラズモン共鳴によって少なくとも10-7MのADMに対する結合親和性を示す、請求項1~13のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項15】
前記抗体若しくはフラグメント又は足場が、Biacore2000システムを用いた無標識表面プラズモン共鳴によって1×10-9~3×10-9のADMに対する結合親和性を示す、請求項14に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項16】
前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場が、IgG1抗体である、請求項13~15のいずれか一項に記載の患者におけるショックの治療又は予防において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項17】
前記抗体若しくはフラグメント又は足場が、ADM結合タンパク質1(補体因子H)ではない、請求項1~16のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項18】
前記抗体若しくはフラグメント又は足場が、ADMのN末端(aa1)を認識して結合する、請求項1~17のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項19】
前記抗体若しくはフラグメント又は足場が、血清、血液、血漿中のADMの半減期(t1/2半滞留時間)を、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは>50%、最も好ましくは>100%延長するADM安定化抗体若しくはフラグメント又は足場である、請求項1~18のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項20】
前記抗体若しくはフラグメント又は足場が、ヒト組換えADM受容体を発現するCHO-K1細胞における参照アンタゴニストとしてhADM22-52を用いて、80%以下、好ましくは50%以下ADMの生物活性を遮断する、請求項1~19のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項21】
前記対象が、化学療法、昇圧剤、生物製剤を用いた治療、抗生物質、又は抗ウイルス化合物を用いた治療を経験する、請求項1~20のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項22】
前記抗体又はフラグメントが、ADM又はその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体又はフラグメントであり、ここで前記重鎖が配列:
CDR1:配列番号5
GYTFSRYW
CDR2:配列番号6
ILPGSGST
CDR3:配列番号7
TEGYEYDGFDY
を含み、
及び前記軽鎖が配列:
CDR1:配列番号8
QSIVYSNGNTY
CDR2:
RVS
CDR3:配列番号9
FQGSHIPYT
を含む、
請求項1~21のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項23】
前記抗体又はフラグメントが、VH領域として:
配列番号10(AM-VH-C)
QVQLQQSGAELMKPGASVKISCKATGYTFSRYWIEWVKQRPGHGLEWIGEILPGSGSTNYNEKFKGKATITADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTLTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH
配列番号11(AM-VH1)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWISWVRQAPGQGLEWMGRILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH
配列番号12(AM-VH2-E40)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWMGRILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH
配列番号13(AM-VH3-T26-E55)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKATGYTFSRYWISWVRQAPGQGLEWMGEILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH
配列番号14(AM-VH4-T26-E40-E55)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKATGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWMGEILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH
を含む群から選択される配列を含み、
及びVL領域として次の配列:
配列番号15(AM-VL-C)
DVLLSQTPLSLPVSLGDQATISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号16(AM-VL1)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLNWFQQRPGQSPRRLIYRVSNRDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号17(AM-VL2-E40)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWFQQRPGQSPRRLIYRVSNRDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
を含む群から選択される配列を含む、
請求項22に記載の治療において使用するためのADM又はその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体又はフラグメント。
【請求項24】
前記抗体又はフラグメントが、重鎖として次の配列:
配列番号22
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWIGEILPGSGSTNYNQKFQGRVTITADTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
又は該配列と>95%同一性である配列を含み、
及び軽鎖として次の配列:
配列番号23
DVVLTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQRPGQSPRLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
又は該配列と>95%同一性である配列を含む、
請求項22又は23に記載の治療において使用するためのADM又はその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体又はフラグメント。
【請求項25】
前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場が、前記ADMのN末端部(アミノ酸1~10):YRQSMNNFQG(配列番号25)と結合する、請求項1~24のいずれか一項に記載の患者におけるショックの治療又は予防において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【請求項26】
病気の症状の治療若しくは予防において使用するため又は請求項1~25のいずれか一項に記載の治療において使用するための医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、ショック状態の患者の治療において使用及び/又は患者がICU入院する必要がある疾病の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場である。
【背景技術】
【0002】
多様な疾病又は病気は、それに患っている個体にとって不快から耐え難いまでの範囲であり得る共通の部分的に非特異的症状を有し得る。頻繁に1つより多い症状を経験する個体は、これらの症状を軽減するためのいくつかの薬物を服用する必要がある。多くの異なる根底にある疾病又は病気に関連する症状の治療又は予防の新しい形態に対する現在進行中のニーズが存在する。特に、根底にある疾病又は病気に関連する1つより多い症状の治療又は予防において使用することができる医薬品又は薬物を提供することは助けとなるだろう。本発明は、このニーズを対象とする。
【0003】
ペプチドアドレノメデュリン(ADM)は、1993年(Kitamura K. et al. 1993. Biochemical and Biophysical Research Communications Vol. 192 (2): 553-560)に最初に52アミノ酸を含む新規血圧降下ペプチドとして記載され、ヒト褐色細胞腫から単離された。同年、185アミノ酸を含む前駆体ペプチド及びこの前駆体ペプチドの完全アミノ酸配列をコードするcDNAも記載された。とりわけ、21アミノ酸のシグナル配列をN末端に含む前駆体ペプチドは、「プレプロアドレノメデュリン」(プレプロADM)と呼ばれる。本明細書では、全ての特定アミノ酸位置は、通常、185アミノ酸を含むプレプロADMに関連している。ペプチドアドレノメデュリン(ADM)は、52アミノ酸(配列番号1)を含み、タンパク質切断により生成するプレプロADMのアミノ酸95~146を含むペプチドである。今までに、プレプロADMの切断で生成されたペプチドフラグメントの数個のフラグメントしかより正確に調査されず、特に、生理活性ペプチドアドレノメデュリン(ADM)及び「PAMP」、20アミノ酸(22~41)を含むペプチド、これはプレプロADMにおいてシグナルペプチドの21アミノ酸に続く。1993年におけるADMの発見及び特徴付けは、集中的な研究活動のきっかけとなり、この結果は様々な総説に纏められ、本明細書との関連で、特にADMに充てられた「Peptides」の発行物において見られる論文を特に参照(Editorial, Takahashi K. 2001. Peptides 22:1691 ) and (Eto T. 2001. Peptides 22: 1693-1711)。更なる総説は、(Hinson et al. 2000. Endocrine Reviews 21(2):138-167)である。今日までの科学調査では、とりわけ、ADMは多機能性調節ペプチドと見做され得ることが分かった。ADMは、グリシンにより延長された不活性化状態で循環中に放出される(Kitamura K. et al. 1998. Biochem. Biophys. Res. Commun. 244(2):551-555)。ADMに対して特異的であり、おそらくADMの効果を同様に調節する結合タンパク質(Pio R. et al. 2001. The Journal of Biological Chemistry 276(15):12292-12300)もある。今日までの調査で最重要であるADM並びにPAMPのこれらの生理的効果は、血圧に影響を及ぼす効果であった。
【0004】
ADMは、効果的血管拡張薬であり、降圧効果を、ADMのC末端部における特定のペプチドセグメントと関連付けることは可能である。さらに、プレプロADMから生成される上記更なる生理活性ペプチドPAMPは、ADMと異なる作用機序を有するように思われる場合でさえ、同様に降圧効果を示すことが分かった。
【0005】
更に、循環及び他の生体液体中で測定することができるADM濃度は、いくつかの病理状態において、健康者コントロールにおいて見られる濃度より有意に高いことが分かった。したがって、うっ血性心不全、心筋梗塞、腎疾患、高血圧障害、糖尿病を有する、ショックの急性期並びに敗血症及び敗血症性ショックである患者におけるADMレベルは、異なる程度であるが、有意に増加する。PAMP濃度は、前記病理状態のいくつかにおいても増加するが、血漿レベルはADMと比較して低い(Eto, T., supra)。さらに、ADMの異常に高い濃度は、敗血症において観察され、敗血症性ショックにおいて最も高い濃度が観察されることが分かっている( (Eto, T., "supra) 及び(Hirata et al. Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 1996. 81(4): 1449-1453; Ehlenz K. et al. 1997. Exp Clin Endocrinol Diabetes 105: 156-162 ); Tomoda Y. et al. 2001. Peptides 22: 1783-1794 ; Ueda S. et al. 1999. Am. J. Respir. Crit. Care Med. 160: 132-136; and Wang P. Peptides 2001. 22: 1835-1840)参照)。
【0006】
国際公開第2004/097423(A1)号は、心血管障害の診断、予後、及び治療のためのアドレノメデュリンに対する抗体の使用を記載している。ADM受容体の遮断による疾病の治療も当技術分野において記載されており(例えば、国際公開第2006/027147(A1)号、PCT欧州特許出願公開第2005/012844号明細書)、前記疾病は、敗血症、敗血症性ショック、循環器疾患、感染症、皮膚疾患、内分泌疾患、代謝疾患、消化器疾患、がん、炎症、血液病、呼吸器疾患、筋骨格疾患、神経疾患、泌尿器疾患であり得る。
【0007】
敗血症の初期段階のため、ADMは、心機能及び肝臓、脾臓、腎臓及び小腸の血液供給を改善することが報告されている。ADM中和性抗体は、敗血症の初期段階中の前述の影響を中和する(Wang, P., "Adrenomedullin and cardiovascular responses in sepsis", Peptides, Vol. 22, pp. 1835-1840 (2001))。
【0008】
他の疾病のため、ADMの遮断は、ある程度まで有益であり得る。しかしながら、特定量のADMをいくつかの生理機能のために必要であり得るとき、ADMが完全に中和される場合、ADMの遮断は有害でもあるかも知れない。多くの報告では、ADMの投与は特定の疾病では有益であり得ることが強調された。これらと対照的に、他の報告では、ADMは、特定の病態で投与される場合、致命的であると報告された。
【0009】
ADM結合タンパク質1と組み合わせたADMの投与は、当技術分野における敗血症及び敗血症性ショックの治療について記載されている。ADM及びADM結合タンパク質1を用いた敗血症動物の治療は、敗血症の後期段階への移行を防止することが想定される。生物において、ADM結合タンパク質(補体因子H)は、高濃度において前期生物の循環中に存在する(Pio et al.: Identification, characterization, and physiological actions of factor H as an Adrenomedullin binding Protein present in Human Plasma; Microscopy Res. and Technique, 55:23-27 (2002)及びMartinez et al.; Mapping of the Adrenomedullin-Binding domains in Human Complement factor H; Hypertens Res Vol. 26, Suppl (2003), S56-59)。
【0010】
ADMのN末端を標的とする非中和性抗体の有効性を、マウスにおけるCLP誘発敗血症の生存試験で調査した。非中和性抗体を用いた前治療は、カテコールアミン注入速度の減少、腎機能障害、及び究極的に改善された生存率をもたらした(Struck et al. 2013. Intensive Care Med Exp 1(1):22; Wagner et al. 2013. Intensive Care Med Exp 1(1):21)。
【0011】
これらのポジティブな結果のせいで、アドレシズマブという名のN末端抗ADM抗体のヒト化バージョンは、更なる臨床開発のために開発された。血管バリア機能及び生存率に対するアドレシズマブの有益な効果は、近年、全身性炎症及び敗血症の前臨床モデルにおいて実証された(Geven et al. 2018. Shock 50(6):648-654)。この試験では、アドレシズマブを用いた前治療は、内毒素血症ラット並びにCLP誘発敗血症マウスにおいて腎血管漏出を減弱し、これは、保護ペプチドAng-1の腎臓発現増加及び有害ペプチド血管内皮増殖因子の発現低下と一致した。更に、アドレシズマブを用いた前治療は、単回投与に関して10~50%、反復投与に関して0~40%のマウスでのCLP誘発敗血症において7日生存率を改善した。特に興味深いのは、アドレシズマブ作用の提案された機序である。動物及びヒトデータ両方は、この抗体の投与後の循環ADMの強力な用量依存性増加を示す。MR-プロADM(ADMと同じプロホルモンから誘導された不活性ペプチドフラグメント)の薬物動態データ及び増加の欠如に基づいて、より高い循環ADMレベルは、産生増加により説明することができない。
【0012】
この増加に関する機構的説明は、ADMが内皮バリアを横切るのに充分小さいが抗体はそうでないので、循環中の過剰抗体は間質から循環へ流し得ることである可能性がある(Geven et al. 2018. Shock. 50(2):132-140 and Voors et al (J. Eur J Heart Fail. 2019 Feb;21(2):163-171))。加えて、ADMとの抗体の結合は、ADM半減期の延長をもたらす。NT-ADM抗体がADM媒介シグナル伝達を部分的に阻害するけれども、循環ADMの大幅な増加は、血液コンパートメントにおけるADM活性の全体的「純」増加をもたらし、EC(主にバリア安定化)に対する有益効果を発現するが、間質におけるVSMC(血管拡張)に対するADM有害作用は低下する。
【0013】
しかしながら、患者が上記機序から最適に効果を受けるためにADMに対する抗体を投与する最善のタイミングを特定することは、本発明の1つの目的である。
【0014】
国際公開第2013/072510号は、患者の死亡リスクを低下させるため、前記患者の重症の慢性若しくは急性疾患又は急性病態の治療において使用するための非中和性抗ADM抗体を記載している。
【0015】
国際公開第2013/072511号は、臓器障害又は臓器不全の予防又は低減するため、患者の慢性若しくは急性疾患又は急性病態の治療において使用するための非中和性抗ADM抗体を記載している。
【0016】
国際公開第2013/072512号は、血清、血液、血漿中のアドレノメデュリンの半減期(t1/2半滞留時間)を増強するADM安定化抗体である非中和性抗ADM抗体を記載している。このADM安定化抗体は、ADMの生物活性を80%未満まで遮断する。
【0017】
国際公開第2013/072513号は、循環の安定化を必要とする慢性若しくは急性疾患又は急性病態を有する患者において、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場が、患者の血液循環を安定化し、昇圧剤の必要性、例えば、前記患者のカテコールアミンを減少させることを示している。
【0018】
国際公開第2013/072514号は、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、効果的に使用して、慢性若しくは急性疾患又は急性病態を有する患者、特に、輸液平衡失調を患っているICU(集中治療室)の患者において輸液平衡を調節することができる。
【0019】
国際公開第2017/182561号は、壊死性経過に関連する疾病を診断するため、患者のサンプルにおいて活性DPP3の総量の決定方法を記載している。これは、DPP3に対する抗体によって壊死関連疾患の治療方法を更に記載している。
【発明の概要】
【0020】
本発明者らは、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場が、一定の期間内に投与される場合、ショック状態の患者、特に敗血症性ショックの治療において特に効果的であり得ることを見出した。
【0021】
したがって、特にICU入院後患者が抗ADM治療を必要とする場合、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を時点において投与してよい。本発明によれば、全患者を、ショック後及び/又はICU入院後最適なタイミングにおいて治療する。
【0022】
上記効果に加えて及び/又は上記効果との関連で、体液サンプル中のDPP3レベルが閾値未満である場合、ショック状態の患者が抗ADM抗体を用いて最も高い治療効果を有するだろうことも、本発明の驚くべき発見である。
【0023】
定義
本発明を詳細に説明する前に、本明細書を通して使用される特定の技術用語の定義を示すことは好都合であると思われる。本発明は特定の実施形態に関して説明されるが、本明細書は、限定的な意味で解釈されるべきでない。本発明の例示的実施形態を詳細に説明する前に、本発明を理解するために重要な定義を示す。
【0024】
本明細書及び添付のクレームで使用されるとき、「a」及び「an」の単数形は、文脈上明白に別の意味を示さない限り、それぞれの複数形も含む。
【0025】
本発明との関連で、用語「約(about)」及び「約(approximately)」は、当業者が問題の特徴の技術的効果をなお確保すると理解する精度の区間を示す。用語は典型的には指定された数値から±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、更により好ましくは±5%の偏差を示す。
【0026】
用語「含む(comprising)」は非限定的であると理解されるべきである。本発明の目的のため、用語「から成る(consisting of)」は、用語「から成る(comprising of)」の好ましい実施形態であると見做される。以後、群が少なくとも一定数の実施形態を含むと定義される場合、これは、好ましくはこれらの実施形態のみから成る群も包含することを意図される。
【0027】
本明細書で使用される用語が特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、添付のクレームによってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0028】
本発明によれば、ADM結合タンパク質1は、ADM結合タンパク質1(補体因子H)と呼んでもよい。
【0029】
本明細書で使用されるとき、用語「ショック」は、細胞及び組織低酸素をもたらす酸素送達減少及び/又は酸素消費増加又は不充分な酸素利用を特徴とする。これは、循環不全の致命的病態であり、低血圧(90mmHg未満の収縮期血圧又は65mmHg未満のMAP)として現れることが最も多い。ショックは、根本原因4つの主な型に分類される:循環血液量減少性ショック、心原性ショック、血管閉塞性ショック及び血液分布異常性ショック(Vincent and De Backer 2014. N. Engl. J. Med. 370(6): 583)。
【0030】
用語「心原性ショック」は、患者が、急性冠症候群(例えば、急性心筋梗塞)を患っている可能性があるか、若しくは前記患者は、心不全(例えば、急性非代償性心不全)、心筋炎、不整脈、心筋症、心臓弁膜症、急性大動脈弁狭窄を伴う大動脈解離、外傷性腱索断裂又は広範肺塞栓症を有する。心原性ショック(CS)は、心拍出量減少による重篤な終末器官血流低下の状態と定義される。注目すべきことに、CSは、軽度の血流低下から重度のショックまでの範囲であるスペクトラムを形成する。CSの診断のための確立された診断基準は:(i)収縮期血圧、>30分間で≦90mmHg又は血圧≧90mmHgに達するのに要する昇圧剤;(ii)肺うっ血又は左心室充満圧上昇;(iii)次の診断基準の少なくとも1つを有する臓器潅流障害の徴候:(a)精神状態変化;(b)寒冷、冷や汗;(c)乏尿症(<0.5mL/kg/時又は<30mL/時);(d)血清乳酸増加である(Reynolds and Hochman 2008. Circulation 117: 686-697)。続く心室機能不全を伴う急性心筋梗塞(AMI)は、症例の約80%を占めるCSの最も頻繁な原因である。心室中隔(4%)又は自由壁破裂(2%)などの機械的合併症、及び急性重症僧帽弁閉鎖不全(7%)は、AMI後のCSの余り頻繁でない原因である。(Hochman et al. 2000. J Am Coll Cardiol 36: 1063-1070)。非AMI関連CSは、ヘテロジニアスな治療選択肢を用いた非代償性心臓弁膜症、急性心筋炎、不整脈、その他によって引き起こされ得る。これは、米国において年40,000~50,000人の患者及び欧州において60,000~70,000人の患者になる。続く死亡率低下と共に主に早期血行再建による治療における利点にもかかわらず、CSは、最近の登録及び無作為化試験によればなお40~50%に近い死亡率と共にAMIにおける死亡の主要原因のままである(Goldberg et al. 2009. Circulation 119: 1211-1219)。
【0031】
用語「血液量減少性ショック」は、患者が、胃腸出血を含む出血性疾患、外傷、血管病因学(例えば、破裂性腹部大動脈瘤、主要血管をむしばむ腫瘍)及び抗凝固薬使用の状況における自然出血若しくは嘔吐、下痢、腎性喪失、皮膚喪失/不感性喪失を含む非出血性疾患(例えば、熱傷、熱中症)若しくは膵炎、硬変、腸閉塞、外傷の状況におけるサードスペース喪失を患っている可能性がある。血液量減少性ショックは血管内容量減少を特徴とし、2つの簡略サブタイプ:出血性及び非出血性に分類することができる。出血性血液量減少性ショックの共通原因としては、胃腸出血、外傷、血管病因(例えば、破裂性腹部大動脈瘤、主要血管をむしばむ腫瘍)及び抗凝固薬使用の状況における自然出血が挙げられる。非出血性血液量減少性ショックの共通原因としては、嘔吐、下痢、腎性喪失、皮膚喪失/不感性喪失(例えば、熱傷、熱中症)又は膵炎の状況におけるサードスペース喪失、硬変、腸閉塞、外傷が挙げられる。概説のため、Koya and Paul 2018. Shock. StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2019-2018 Oct 27参照。
【0032】
用語「血管閉塞性ショック」は、患者が、心タンポナーデ、緊張性気胸、肺塞栓症又は大動脈弁狭窄を患っている可能性があるショックを表す。血管閉塞性ショックは、大血管又は心臓それ自体の物理的閉塞が原因である。いくつかの病態は、この形態のショック(例えば、心タンポナーデ、緊張性気胸、肺塞栓症、大動脈弁狭窄)をもたらし得る。概説のため、Koya and Paul 2018. Shock. StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2019-2018 Oct 27参照。
【0033】
用語「血液分布異常性ショック」は、患者が、敗血症性ショック、神経原性ショック、アナフィラキシーショック又は副腎クリーゼが原因のショックを患っている可能性があるショックを表す。原因によれば、4種類の血液分布異常性ショック:神経原性ショック(迷走神経緊張低下に至る交感神経刺激低下)、アナフィラキシーショック、敗血症性ショック及び副腎クリーゼが原因のショックがある。敗血症に加えて、血液分布異常性ショックは、膵炎、熱傷又は外傷などの炎症以外の病態が原因の全身性炎症反応症候群(SIRS)により引き起こされ得る。他の原因としては、毒素性ショック症候群(TSS)、アナフィラキシー(突発性、重度アレルギー反応)、副腎不全(慢性副腎不全の急性悪化、副腎の破壊又は除去、外因性ステロイドが原因の副腎機能の抑制、下垂体機能低下及びホルモン産生の代謝不全)、薬物又は毒素に対する反応、重金属中毒、肝(肝臓)不全及び中枢神経系への損傷が挙げられる。概説のため、Koya and Paul 2018. Shock. StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2019-2018 Oct 27参照。
【0034】
難治性ショックは、充分な緊急輸液療法にもかかわらず、>0.5μg/kg/分のノルアドレナリン注入の必要量と定義された。これらの患者における死亡率は94%と高く、これらの患者の評価及び管理は、生命を維持するためずっとより積極的なアプローチを必要とする。用語「難治性ショック」は、組織内灌流を使用される初期是正措置(例えば、昇圧剤)で回復することができない場合に使用され、したがって、「高昇圧剤依存性」又は「昇圧剤抵抗性」ショックと呼ばれ得る(Udupa and Shetty 2018.Indian J Respir Care 7: 67-72)。難治性ショック患者は、低血圧(平均動脈圧<65mmHg)、頻拍、寒冷末梢、毛細血管再充満時間延長、並びに低酸素及び酸血症の結果生じる頻呼吸の特徴を有する可能性がある。敗血症性ショックでは、発熱が見られるかも知れない。感覚器変化、高乳酸塩血症、及び乏尿などの血流低下の他の徴候も見られるかも知れない。ショックのこれらの周知の徴候は、問題がポンプ(心臓)にあるのか又は循環(血管及び組織)にあるかどうかを特定する際に助けにならない。ショックの異なる種類は共存し、高用量昇圧剤に対する無応答性によって証明されるとき、ショックの全形態は難治性になり得る(Udupa and Shetty 2018. Indian J Respir Care 7: 67-72)。
【0035】
ショックの好ましい例は、血液量減少が原因のショック、心原性ショック、血管閉塞性ショック及び血液分布異常性ショック、特に心原性ショック、敗血症性ショック、Covid-19が原因のショック、熱傷が原因のショック及び外傷性ショックである。これらの例は、以下により詳細に定義される。
【0036】
本明細書で使用されるとき、用語「ICU入院」は、臓器補助法の使用を必要とする1つ又はいくつかの急性の直接的に致死的な機能不全を有する、又は有する可能性がある、集中治療に入院された患者を表す。当技術分野において文書で充分に裏付けられた患者を集中治療室に入院させる判断基準は作成されている(Nates et al. (2016), Critical care medicine 44: 1553-1602)。用語「ICU入院」は、これらの判断基準下の入院も包含する。
【0037】
臓器補助の種類としては:
・呼吸補助療法:
・管挿管及び人工呼吸補助などの先進呼吸補助療法を含む
・酸素補給の使用、インセンティブスパイロメーターの使用、胸部打診噴霧療法、その他などの基本的呼吸補助療法。
・人工循環補助(例えば、大動脈内バルーンパンピング及び補助人工心臓の使用)及びアンジオテンシン変換酵素、β遮断薬の使用を含む薬物療法、その他などの循環補助療法。
・血液透析及び腹膜炎透析などの腎補助療法、
・血行動態モニタリング又は血圧、血流及び血中酸素含量、補液蘇生若しくは輸血及び血管作用薬、例えば、ニトログリセリン、一酸化窒素、その他の測定などの補助療法、
・神経学的モニタリング又は脳室内カテーテルなどの補助
が挙げられる。
【0038】
体外臓器補助は、ICU Management & Practice, Volume 18 - Issue 1, 2018における実施例について詳細に説明されている。
【0039】
SIRSのための以下の臨床基準では、敗血症、重度敗血症、敗血症性ショックを定義する。
1)次の症状の少なくとも2つを特徴とする全身性炎症宿主反応(SIRS)
・患者は低血圧(平均動脈圧は<65mmHgである)を示す
・>4mmol/Lである高血清乳酸レベル
・血中グルコース >7.7mmol/L(糖尿病でない場合)
・中心静脈圧は、8~12mmHgの範囲内でない
・尿量は、<0.5mL×kg-1×時-1である
・中心静脈(上大静脈)酸素飽和度は、<70%であるか又は混合静脈は<65%である
・心拍数は、>90拍/分である
・体温は、<36℃であるか又は>38℃である
・呼吸数は、>20回/分である
・白血球数は、<4又は>12×109/L(白血球)であり;>10%未熟好中球である
2)敗血症
1)で言及された症状の少なくとも2つに次いで、加えて新しい感染症の臨床上の疑いは、以下である:
・咳/痰/胸痛
・腹痛/膨満/下痢
・ライン感染
・心内膜炎
・排尿障害
・頸部硬直を伴う頭痛
・蜂巣炎/創傷/関節感染症
・いずれかの感染症に関する陽性微生物学
3)重度敗血症
敗血症が患者に現れていることを条件として、更にいずれかの臓器機能障害の臨床的な疑いは、以下である:
・収縮期血圧 <90/平均;<65mmHg
・乳酸 >2mmol/L
・ビリルビン >34μmol/L
・尿量 2時間で<0.5mL/kg/時
・クレアチニン >177μmol/L
・血小板 <100×109/L
・SpO22が与えられない限り、>90%
4)敗血症性ショック
「敗血症性ショック」は、感染症に応じた臓器損傷又は傷害である敗血症が危険なほど低い血圧及び細胞代謝における異常をもたらす場合に起こる致死的になる可能性のある医学的状態を表す。敗血症及び敗血症性ショックに関する第3国際合意の定義(Sepsis-3)は、敗血症性ショックを、特に深刻な循環異常、細胞性異常、及び代謝異常が敗血症単独より大きな死亡リスクを伴う敗血症のサブセットと定義している。敗血症性ショック患者は、血液量減少症の非存在下、65mmHg以上の平均動脈圧及び2mmol/L(>18mg/dL)より大きい血清乳酸レベルを維持するための昇圧剤の必要性により臨床的に特定することができる。この組合せは、40%より大きい院内死亡率に関連する(Singer et al. 2016. JAMA. 315 (8): 801-10)。一次感染は、通常、細菌が原因であるが、真菌、ウイルス又は寄生虫が原因である可能性もある。身体のいずれの部分にも存在し得るが、通常、肺、脳、尿路、皮膚又は腹部臓器にも存在し得る。多臓器不全症候群(以前は多臓器不全で知られていた)及び死を引き起こし得る。しばしば、敗血症性ショックの人々は、集中治療室において看護される。小児、免疫障害を持つ個体、及び高齢者の免疫系が健康な成人の免疫系と同じくらい効果的に感染症に対処することができないので、通常、小児、免疫障害を持つ個体、及び高齢者が発症する。敗血症性ショックの死亡率は、約25~50%である。「敗血症性ショック」は、少なくとも平均動脈圧(MAP)低下<65mmHgをもたらし、補液蘇生が無効であり昇圧剤を必要とする感染症の立証又は疑いに対する調節不全宿主反応が原因の致死的臓器機能障害とも呼ぶ。補液蘇生に対する難治性は、体重キログラム当たり30mLの体液の投与に対する応答の欠如と定義されるか又は不充分な血行動態結果の臨床医の評価に従って決定される。本発明による敗血症性ショックでは、上記3)で言及されているように終末器官機能障害の少なくとも1つの徴候が現れる。治療に対して応答しない難治性低血圧があり、静脈内輸液投与だけでは低血圧にならないように患者の血圧を維持するためには不充分である場合、敗血症性ショックが示唆され、本発明によれば、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場の投与も提供する。
【0040】
抗アドレノメデュリン(ADM)抗体は、ADMと特異的に結合する抗体であり、抗アドレノメデュリン抗体フラグメントは、抗ADM抗体のフラグメントであり、前記フラグメントはADMと特異的に結合する。抗ADM非Ig足場は、ADMと特異的に結合する非Ig足場である。
【0041】
1つの実施形態では、本発明による抗ADM抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、昇圧剤の必要性、例えば、前記患者のカテコールアミンの必要性を低減する。昇圧剤の必要性、例えば、患者のカテコールアミンの必要性は、前記患者の循環状態の指標である。抗ADM抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、患者が昇圧剤、例えば、カテコールアミンを必要とする時点において投与してよい。
【0042】
本発明の1つの実施形態では、前記患者は、血圧を上昇させる必要があるショック状態の患者である。
【0043】
敗血症性ショック誘発低血圧を有するいくつかの患者は、充分な補液にもかかわらず低血圧のままであり得る。これらの場合、昇圧剤は、MAPを上昇させるために必要である。したがって、本発明の1つの実施形態では、慢性若しくは急性疾患又は急性病態を有する患者は、MAPを上昇させるために昇圧剤を必要とする患者である。ドーパミン、エピネフリン(アドレナリン)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、及びフェニレフリンなどのカテコールアミンは、敗血症性ショック患者において血圧を上昇させるために伝統的に使用されてきた。近年でも、バソプレシンは、循環を安定化させる必要があるショック状態の患者において可能性のある昇圧剤として提案された。
【0044】
カテコールアミンとして昇圧剤は、慢性若しくは急性疾患又は急性病態を有する患者の循環を安定化させ得る。患者の病態(低血圧)が非常に危険である場合、昇圧剤投与、例えば、カテコールアミン投与のみでは、循環の破綻を防止しないかも知れない。例えば、カテコールアミンの投与と共に抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場の追加投与は、抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いないカテコールアミン投与が前記患者の循環を安定化させるために充分ではないほどその病態は危険である患者の循環を安定化する助けとなり得る。
【0045】
更に、昇圧剤は、重大な副作用を有する可能性がある。ドーパミンは、血管拡張をもたらす腎部循環においてD1受容体を刺激し、血流を増大させる。これは、臨床医が腎機能を保護するために低用量のドーパミンを使用している理由の1つである。更に他の昇圧剤については、有益な何かのようなその直感的アピールにもかかわらず、特定の薬物を用いた血圧の上昇は、より悪い予後に関連し得ることが示唆された。
【0046】
したがって、本発明の対象は、全部又は部分的に昇圧剤の投与を置き換えるためにショック状態の患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場である。これは、本発明による患者は、昇圧剤を必要としているか若しくは昇圧剤を用いた治療を必要としている患者又は昇圧剤を用いた治療を受ける患者であってよいことを意味する。
【0047】
したがって、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場の循環安定化効果は、ショックの一次治療を補助している可能性がある。これは、1つの実施形態では、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を第一選択治療(一次治療)に加えて投与することを意味する。ショック、例えば、敗血症性ショック又は同様のものの場合、一次治療は、例えば、抗体の投与であろう。抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は循環を安定化させ、例えば、抗生物質投与が奏効するまで前記患者の危険な病態の悪化を防止する助けとなろう。前述されているように、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、予防方法又は治療方法において投与してよく、前記患者において循環問題が存在する場合、これは、循環問題を予防又は循環を安定化するためであることを意味する。
【0048】
本発明により含まれる循環問題は、本発明の特定の実施形態による急性循環問題であり得ることは強調されるべきである。
【0049】
本発明の1つの実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、昇圧剤、例えば、カテコールアミンと併用して使用されるものとし、前記併用は、前記患者の循環を安定化するためにショック状態の患者の治療において使用するためである。
【0050】
本発明の1つの実施形態では、循環を安定化する必要がある前記ショック状態の患者は、前記患者が昇圧剤の投与、例えば、カテコールアミン投与をする必要があることを特徴とする。
【0051】
したがって、1つの特定の実施形態では、本発明の主題は、昇圧剤の投与、例えば、カテコールアミン投与をする必要がある患者の治療において使用するための、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくはADMと結合する抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又はADMと結合する抗ADM非Ig足場である。
【0052】
更に、本発明の1つの実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、静脈内投与される輸液と併用して使用されるものとし、前記併用は、前記患者の循環を安定化するためにショック状態の患者の治療において使用するためである。本発明の1つの実施形態では、ショックを有する及び循環を安定化する必要がある前記患者は、前記患者が静脈内輸液をする必要性があることを特徴とする。
【0053】
したがって、1つの特定の実施形態では、本発明の主題は、ショック及び特に静脈内輸液をする必要性がある患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
発明の実施形態の詳細な説明
以下に、本発明の実施形態を示す。なお、総じて、実施形態は、同じカテゴリー(製品、方法(process)、使用、方法(method))のいずれかの他の実施形態と組み合わせることができる。
【0055】
本発明の1つの実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショックの患者の治療において使用するためのアドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関し、前記患者は:
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、ショック、特に、敗血症性ショックを患っている、及び/又は
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、ICU入院している、及び/又は
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において全く臓器補助を受けていないか若しくは10時間以下の臓器補助を受けており、
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合する。
【0056】
本発明の1つの実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのアドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関し、前記患者は:
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において8.4時間以下、ショック、特に、敗血症性ショックを患っている、及び/又は
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において8.4時間以下、ICU入院している、及び/又は
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において全く臓器補助を受けていないか若しくは8.4時間以下の臓器補助を受けており、
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合する。
【0057】
好ましい実施形態は、アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためであり、前記患者は:
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、ショック、特に、敗血症性ショックを患っている、及び/又は
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、ICU入院している、及び/又は
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において全く臓器補助を受けていないか若しくは10時間以下の臓器補助を受けており、
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合し、
患者が、a)10時間以下ショック、特に、敗血症性ショックを患っており、b)10時間以下入院した場合、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点はa)及びb)の中で最短である。
【0058】
別の実施形態では、患者が、a)10時間以下ICU入院し、c)10時間以下の臓器補助を受けた場合、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点はa)及びc)の中で最短である。
【0059】
別の実施形態では、患者が、b)10時間以下ショック、特に、敗血症性ショックを患っており、c)10時間以下の臓器補助を受けた場合、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点はb)及びc)の中で最短である。
【0060】
別の実施形態では、患者が、a)10時間以下ショック、特に、敗血症性ショックを患っており、患者が、b)10時間以下ショックを受けており、c)10時間以下の臓器補助を受けた場合、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点はa)、b)及びc)の中で最短である。
【0061】
別の実施形態では、本発明は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのアドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関し、前記患者は:
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、ショックを受けている、及び/又は
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、ICU入院している、及び/又は
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において全く臓器補助を受けていないか若しくは10時間以下の臓器補助を受けており、
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合する。
【0062】
好ましい実施形態では、患者は、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において9時間以下、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.24日間)、5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間ショック、特に、敗血症性ショックを患っている。
【0063】
好ましい実施形態では、患者は、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において8.4時間以下、好ましくは8.26時間(0.344日間)ショック、特に、敗血症性ショックを患っている。
【0064】
好ましい実施形態では、患者は、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において9時間以下、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.24日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間ICU入院している。
【0065】
好ましい実施形態では、患者は、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において8.4時間以下、8.26時間(0.344日間)以下ICU入院している。
【0066】
好ましい実施形態では、患者は、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において9時間以下、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.24日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間の臓器補助を受けている。
【0067】
好ましい実施形態では、患者は、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において8.4時間以下、8.26時間(0.344日間)以下臓器補助を受けている。
【0068】
別の実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場はショック、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するためのものであり、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、
・前記患者におけるショック発生後10時間以内、及び/又は
・前記患者がICU入院後10時間以内、及び/又は
・前記患者が臓器補助を受ける前若しくは臓器補助の10時間以下
で投与し、
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合する。
【0069】
別の実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場はショック、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するためのものであり、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、
・前記患者におけるショック発生後8.4時間以内、及び/又は
・前記患者がICU入院後8.4時間以内、及び/又は
・前記患者が臓器補助を受ける前若しくは臓器補助の10時間以下
で投与し、
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合する。
【0070】
好ましい実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、ショック、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するためのものであり、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、
・前記患者におけるショック発生後10時間以内、及び/又は
・前記患者がICU入院後10時間以内、及び/又は
・前記患者が臓器補助を受ける前若しくは臓器補助の10時間以下
で投与し、
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合し、
・抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、a)前記患者におけるショック発生後10時間以内及びb)前記患者のICU入院後10時間以内に投与することができ、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場をa)及びb)の中の最短で投与する。
【0071】
別の実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、a)前記患者におけるショック発生後10時間以内及びc)患者が臓器補助を受ける前か又は臓器補助の10時間以下に投与することができ、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場をa)及びc)の中の最短で投与する。
【0072】
別の実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、b)前記患者のICU入院後10時間以内及びc)患者が臓器補助を受ける前か又は臓器補助の10時間以下に投与することができ、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場をb)及びc)の中の最短で投与する。
【0073】
別の実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、a)前記患者におけるショック発生後10時間以内及びb)前記患者のICU入院後10時間以内及びc)患者が臓器補助を受ける前か又は臓器補助の10時間以下に投与することができ、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場をa)、b)及びc)の中の最短で投与する。
【0074】
別の実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場はショック、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するためのものであり、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、
・前記患者におけるショック発生後10時間以内、及び/又は
・前記患者がICU入院後10時間以内、及び/又は
・前記患者が臓器補助を受ける前若しくは臓器補助の10時間以下
で投与し、
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合する。
【0075】
好ましい実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者におけるショック及び/又は敗血症の発生後、9時間以内、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.25日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間で投与する。
【0076】
好ましい実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者におけるショック及び/又は敗血症の発生後8.4時間以内、好ましくは8.26時間(0.344日間)で投与する。
【0077】
好ましい実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者のICU入院後9時間以内、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.25日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間で投与する。
【0078】
好ましい実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者ICU入院後8.4時間以内、好ましくは8.26時間(0.344日間)で投与する。
【0079】
好ましい実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、患者が前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を受けた後、9時間以内、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.25日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間で投与する。
【0080】
好ましい実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、患者が前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を受けた後、8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)で投与する。
【0081】
本発明の別の特定の実施形態では、前記ショックは、血液量減少が原因のショック、心原性ショック、血管閉塞性ショック及び血液分布異常性ショックを含む群から選択され、特に、心原性ショック又は敗血症性ショックである。
【0082】
本発明の特定の実施形態では、前記ショックは:
・心原性ショックの場合、前記患者は、急性冠症候群(例えば、急性心筋梗塞)を患っている可能性があるか、若しくは心不全(例えば、急性非代償性心不全)、心筋炎、不整脈、心筋症、心臓弁膜症、急性大動脈弁狭窄を伴う大動脈解離、外傷性腱索断裂又は広範肺塞栓症を有することか、又は
・血液量減少性ショックの場合、前記患者は、胃腸出血を含む出血性疾患、外傷、血管病因学(例えば、破裂性腹部大動脈瘤、主要血管をむしばむ腫瘍)及び抗凝固薬使用の状況における自然出血若しくは嘔吐、下痢、腎性喪失、皮膚喪失/不感性喪失を含む非出血性疾患(例えば、熱傷、熱中症)若しくは膵炎、硬変、腸閉塞、外傷の状況におけるサードスペース喪失を患っている可能性があることか、又は
・血管閉塞性ショックの場合、前記患者は、心タンポナーデ、緊張性気胸、肺塞栓症若しくは大動脈弁狭窄を患っている可能性があることか、又は
・血液分布異常性ショックの場合、前記患者は、敗血症性ショック、神経原性ショック、アナフィラキシーショック若しくは副腎クリーゼが原因のショックを患っていること、
を含む群から選択される。
【0083】
より好ましい実施形態では、ショックは、敗血症性ショック、Covid-19が原因のショック、熱傷が原因のショック又は外傷性ショックである。
【0084】
最も好ましい実施形態では、ショックは、敗血症に関連した。
【0085】
更なる実施形態では、本発明は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助の10時間以下を受けた患者であり、前記患者から採取された体液サンプルは、>70pg/mLのバイオADMレベルを示し、前記体液は、全血、血漿、血清を含む群から選択される、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0086】
ショックと関連がある従来技術において多数のマーカーが公知であるが、ショックのマーカーとしてDPP3を特に示唆するものはなかった。かかるバイオマーカーの例としては、MR-プロADM、乳酸塩、C反応性タンパク質(CRP)及びプロカルシトニン(PCT)(Ana Maria Navio Serano,1 Joaqui’n Valle Alonso,2,* Gustavo Rene Piniero,3 Alejandro Rodriguez Camacho,4 Josefa Soriano Benet,5 and Manuel Vaquero6 Bull Emerg Trauma. 2019 Jul; 7(3): 232-239.)並びに最近の総説に引用されているペントラキシン3、ヘパリン結合タンパク質、可溶性トリガー受容体、PARK7及びIL-8(Charalampos Pierrakos, Dimitrios Velissaris, Max Bisdorff, John C. Marshall & Jean-Louis Vincent Critical Care volume 24, Article number: 287 (2020) Biomarkers of sepsis: time for a reappraisal)が挙げられる。
【0087】
好ましい実施形態では、バイオADMを、血漿から測定する。しかしながら、分析物の測定の技術的ライフサイクルの改良において、血漿だけでなく、他の-少なくとも血液ベース-マトリックス中のかかる分析物を測定する可能性が存在することは典型的である。例えば、バイオADMの場合、IB10 sphingotest(登録商標)bio-ADMと呼ばれる全(EDTA-)血を使用する別の技術が開発された(https://www.nexus-dx.com/wp-content/uploads/2020/07/bio-ADM-IFU-REV-A.pdf)。IB10 sphingotest(登録商標)bio-ADM(登録商標)は、ヒトEDTA全血及び血漿中、生物活性アドレノメデュリン(bio-ADM(登録商標))と以後呼ぶ、ヒトアミド化アドレノメデュリンペプチド(1-52)のインビトロ定量的決定のための迅速ポイントオブケア(POC)イムノアッセイである。
【0088】
ジペプチジルアミノペプチダーゼIII、ジペプチジルアリールアミダーゼIII、ジペプチジルペプチダーゼIII、エンケファリナーゼB又は赤血球アンギオテンシナーゼ;省略名:DPP3、DPPIIIとしても知られているジペプチジルペプチダーゼ3は、エンケファリン及びアンジオテンシンなどの生理活性ペプチドからジペプチドを除去するメタロペプチダーゼである。DPP3は最初に同定され、その活性は、Ellis & Nuenke 1967により精製ウシ下垂体前葉の抽出物において測定された。EC3.4.14.4としてリストされている酵素は、約83kDaの分子質量を有し、原核生物及び真核生物において高度に保存されている(Prajapati & Chauhan 2011)。ヒトバリアントのアミノ酸配列を、配列番号1に示す。ジペプチジルペプチダーゼIIIは、遍在性に発現される主に細胞質のペプチダーゼである。シグナル配列の欠如にもかかわらず、数件の研究は、膜性活性を報告した(Lee & Snyder 1982)。
【0089】
DPP3は、ペプチダーゼファミリーM49に属する亜鉛依存性エキソペプチダーゼである。これは、様々な組成物の3/4~10アミノ酸からのオリゴペプチドに対する幅広い基質特異性を有し、プロリンの後に切断することもできる。DPP3は、アンジオテンシンII、III並びにIV;Leu-及びMet-エンケファリン;エンドモルフィン1及び2を含むその基質のN末端からジペプチドを加水分解することが知られている。メタロペプチダーゼDPP3は、pH8.0~9.0においてその活性最適条件を有し、Co2+及びMg2+などの二価金属イオンの添加によって活性化することができる。
【0090】
DPP3の構造解析は、触媒モチーフHELLGH(hDPP3 450~455)及びEECRAE(hDPP3 507~512)、並びに基質結合及び加水分解のために重要である次のアミノ酸;Glu316、Tyr、318、Asp366、Asn391、Asn394、His568、Arg572、Arg577、Lys666及びArg669を明らかにした(Prajapati & Chauhan 2011; Kumar et al. 2016;ナンバリングはヒトDPP3の配列を表す、配列番号1参照)。全ての既知アミノ酸又は基質結合及び加水分解に関連する配列領域を考慮して、ヒトDPP3の活性部位を、アミノ酸316~669の領域として定義することができる。
【0091】
DPP3の最も顕著な基質は、アンジオテンシンII(AngII)、レニン・アンジオテンシン系(RAS)の腫瘍エフェクターである。RASは、循環器疾患(Dostal et al. 1997. J Mol Cell Cardiol;29:2893-902; Roks et al. 1997. Heart Vessels. Suppl 12:119-24)、敗血症、及び敗血症性ショック(Corre^a et al. 2015. Crit Care 2015;19:98)において活性化される。特に、AngIIは、血圧及び心臓リモデリングの制御を含む多くの心血管系機能を調節することが分かっている。
【0092】
最近、ヒト体液(例えば、血液、血漿、血清)中のDPP3を特異的に検出するために2アッセイ:DPP3タンパク質濃度を検出するための発光イムノアッセイ(LIA)及び特異的DPP3活性を検出するための酵素捕捉活性アッセイ(ECA)が作り出され、特徴付けられ、検証された(Rehfeld et al. 2019. JALM 3(6): 943-953)。洗浄ステップにより全ての妨害物質を除去した後、DPP3活性の実際の検出を行う。両方法とも高度に特異的であり、血液サンプル中のDPP3の再現性のある検出を可能とする。
【0093】
循環DPP3レベルは、心原性ショック患者において増加することが分かり、早期死亡率のリスク増大及び重度の臓器障害と関連した(Deaniau et al. 2019. Eur J Heart Fail. 印刷中)。さらに、非難治性ショックに対して難治性ショックを発症した包括的判別心原性ショック患者においてDPP3を測定し、DPP3濃度≧59.1ng/mLはより高い死のリスクに関連した(Takagi et al. Eur J Heart Fail. 2020 Feb;22(2):279-286)。
【0094】
更なる実施形態では、本発明は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において9時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助の9時間以下を受けた患者であり、前記患者から採取された体液サンプルは、閾値未満のDPP3レベルを示し、前記体液は、全血、血漿、血清を含む群から選択される、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0095】
最も好ましい実施形態では、前記患者は、閾値未満の体液サンプル中のDPP3レベルを有し、前記患者の体液サンプル中のDPP3レベルの前記閾値は、20~120ng/mL、より好ましくは30~80ng/mL、更により好ましくは40~60ng/mLであり、最も好ましくは、前記閾値は50ng/mLであることを特徴とする。
【0096】
本発明の特定の実施形態では、DPP3レベルの閾値は、健常集団の5倍メジアン濃度、好ましくは4倍メジアン濃度、より好ましくは3倍メジアン濃度、最も好ましくは2倍メジアン濃度である。
【0097】
前記対象の体液サンプル中のDPP3タンパク質量及び/又はDPP3活性としてのDPP3レベルを、異なる方法、例えば、イムノアッセイ、活性アッセイ、質量分析法、その他によって決定してよい。
【0098】
本発明によれば、結合アッセイのいくつかの種類(イムノアッセイ及び類似性アッセイ、抗体の代わりに抗原特異性結合剤の他の種類を使用する)、及び酵素活性の決定前に、特異的結合剤(抗DPP3抗体又は他の種類の結合剤)を用いてサンプルからのDPP3を特異的に捕捉することによってDPP3に対して特異的であるb)DPP3酵素アッセイ。
【0099】
DPP3活性を、DPP3特異的基質の切断生成物の検出によって測定することができる。公知のペプチドホルモン基質としては、Leu-エンケファリン、Met-エンケファリン、エンドモルフィン1及び2、バロルフィン、β-カゾモルフィン、ダイノルフィン、プロクトリン、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)及びMSH(メラニン細胞刺激ホルモン;Abramic’ et al. 2000, Barshun et al. 2007, Dhanda et al. 2008)が挙げられる。言及されたペプチドホルモン並びに他のタグなしオリゴペプチド(例えば、Ala-Ala-Ala-Ala、Dhanda et al. 2008)の切断を、それぞれの切断生成物の検出によってモニターすることができる。検出方法としては、HPLC分析(例えば、Lee & Snyder 1982)、質量分析(例えば、Abramic’ et al. 2000)、H1-NMR分析(例えば、Vandenberg et al. 1985)、キャピラリーゾーン電気泳動(CE;例えば、Barshun et al. 2007)、薄層クロマトグラフィー(例えば、Dhanda et al. 2008)又は逆相クロマトグラフィー(例えば、Mazocco et al. 2006)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
DPP3による蛍光発生基質の加水分解による蛍光の検出は、DPP3活性をモニターするための標準的手順である。これらの基質は、フルオロフォアと結合された特異的ジ-又はトリペプチド(Arg-Arg、Ala-Ala、Ala-Arg、Ala-Phe、Asp-Arg、Gly-Ala、Gly-Arg、Gly-Phe、Leu-Ala、Leu-Gly、Lys-Ala、Phe-Arg、Suc-Ala-Ala-Phe)である。フルオロフォアとしては、β-ナフチルアミド(2-ナフチルアミド、βNA、2NA)、4-メトキシ-β-ナフチルアミド(4-メトキシ-2-ナフチルアミド)及び7-アミド-4-メチルクマリン(AMC、MCA;Abramic’ et al. 2000, Ohkubo et al. 1999)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの蛍光発生基質の切断は、それぞれ、蛍光性β-ナフチルアミン又は7-アミノ-4-メチルクマリンをもたらす。液相アッセイ又はECAでは、基質及びDPP3を、例えば、96ウェルプレートフォーマットにおいてインキュベートし、蛍光検出器を用いて蛍光を測定する(Ellis & Nuenke 1967)。加えて、DPP3運搬サンプルを固定化し、電気泳動によりゲル上で分割することができ、ゲルを蛍光発生基質(例えば、Arg-Arg-βNA)及びファストガーネットGBCで染色し、蛍光タンパク質バンドを蛍光リーダーによって検出した(Ohkubo et al. 1999)。同じペプチド(Arg-Arg、Ala-Ala、Ala-Arg、Ala-Phe、Asp-Arg、Gly-Ala、Gly-Arg、Gly-Phe、Leu-Ala、Leu-Gly、Lys-Ala、Phe-Arg、Suc-Ala-Ala-Phe)を、p-ニトロアニリドニ酢酸塩などの発色団と結合することができる。発色基質の加水分解による変色の検出を使用してDPP3活性をモニターすることができる。
【0101】
DPP3活性の検出のための別の選択肢は、Protease-Glo(商標)アッセイ(Promegaで市販)である。前記方法のこの実施形態では、DPP3特異的ジ-又はトリペプチド(Arg-Arg、Ala-Ala、Ala-Arg、Ala-Phe、Asp-Arg、Gly-Ala、Gly-Arg、Gly-Phe、Leu-Ala、Leu-Gly、Lys-Ala、Phe-Arg、Suc-Ala-Ala-Phe)をアミノルシフェリンと結合する。DPP3による切断により、アミノルシフェリンは放出され、検出可能な発光を発光する結合ルシフェラーゼ反応のため、基質の役割をする。
【0102】
好ましい実施形態では、DPP3を、蛍光発生基質Arg-Arg-βNAの添加によって測定し、リアルタイムで蛍光をモニターする。
【0103】
対象の体液サンプル中の活性DPP3の前記決定方法の特定の実施形態では、DPP3と反応する前記捕捉結合剤を、固相に固定化する。
【0104】
試験サンプルが不動結合剤を通り過ぎ、存在する場合、DPP3は結合剤と結合し、検出のためにそれ自体固定化される。それから基質を添加してよく、反応生成物を検出して試験サンプル中のDPP3の存在又は量を示し得る。本明細書の目的のため、用語「固相」は、その中で又はその上でアッセイを行ってよいいずれかの物質又は血管を含むために使用してよく、多孔質物質、非多孔質物質、試験管、ウェル、スライド、アガロース樹脂(例えば、GE Healthcare Life Sciencesからのセファロース)、磁性粒子(例えば、Thermo Fisher ScientificからのDynabeads(商標)又はPierce(商標)磁性ビーズ)、その他が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
本発明の別の実施形態では、DPP3レベルを、前記体液サンプルをDPP3と特異的に結合する捕捉結合剤と接触させることによって決定する。
【0106】
本発明の別の好ましい実施形態では、DPP3レベルを決定するための前記捕捉結合剤を、抗体、抗体フラグメント又は非IgG足場の群から選択してよい。
【0107】
本発明の特定の実施形態では、前記捕捉結合剤は、抗体である。
対象の体液サンプル中の前記DPP3タンパク質の量及び/又はDPP3活性を、例えば、次の方法の1つによって決定してよい:
【0108】
1.DPP3タンパク質濃度を定量するための発光イムノアッセイ(LIA)(Rehfeld et al., 2019 JALM 3(6): 943-953)。
LIAは、固相として白色高結合性ポリスチレンマイクロタイタープレートを使用する一段階化学発光サンドイッチイムノアッセイである。これらのプレートを、モノクローナル抗DPP3抗体AK2555(捕捉抗体)で被覆する。トレーサー抗DPP3抗体AK2553を、MA70-アクリジニウムNHSエステルで標識化し、ウェル当たり20ngの濃度で使用する。サンプル(例えば、患者の血液由来の血清、ヘパリン-血漿、クエン酸-血漿又はEDTA-血漿)の20マイクロリットル及び検量用試料を、被覆された白色マイクロタイタープレートにピペットで添加する。トレーサー抗体AK2553の添加後、マイクロタイタープレートを、室温及び600rpmにおいて3時間インキュベートする。それから、4回洗浄ステップ(ウェル当たり350μL)により結合されていないトレーサーを除去する。残った化学発光を、マイクロタイタープレートルミノメーターを用いてウェル当たり1秒間測定する。DPP3の濃度を、6点検量線を用いて決定する。検量用試料及びサンプルは、好ましくは、2回反復する。
【0109】
2.DPP3活性を定量するための酵素捕捉活性アッセイ(ECA)(Rehfeld et al., 2019 JALM 3(6): 943-953)。
ECAは、固相として黒色高結合性ポリスチレンマイクロタイタープレートを使用するDPP3特異的活性アッセイである。これらのプレートを、モノクローナル抗DPP3抗体AK2555(捕捉抗体)で被覆する。サンプル(例えば、血清、ヘパリン-血漿、クエン酸-血漿、EDTA-血漿、脳脊髄液及び尿)の20マイクロリットル及び検量用試料を、被覆された黒色マイクロタイタープレートにピペットで添加する。アッセイバッファ(200μL)の添加後、マイクロタイタープレートを、22℃及び600rpmにおいて2時間インキュベートする。サンプル中に存在するDPP3を、捕捉抗体に結合することによって固定化する。4回洗浄ステップ(ウェル当たり350μL)により結合されていないサンプル成分を除去する。固定化DPP3の特異的活性を、反応バッファ中、蛍光発生基質、Arg-Arg-β-ナフチルアミド(Arg2-βNA)の添加し、37℃において1時間インキュベートすることによって測定する。DPP3は、Arg2-βNAを、Arg-Argジペプチド及び蛍光性β-ナフチルアミンに特異的に切断する。340nmの励起波長を用いて蛍光を蛍光光度計で測定し、発光を410nmにおいて検出する。DPP3の活性を、6点検量線を用いて決定する。検量用試料及びサンプルは、好ましくは、2回反復する。
【0110】
3.DPP3活性を定量するための液相アッセイ(LAA)(Jones et al., Analytical Biochemistry, 1982から修正)。
LAAは、DPP3活性を測定するための黒色非結合性ポリスチレンマイクロタイタープレートを使用する液相アッセイである。サンプル(例えば、血清、ヘパリン-血漿、クエン酸-血漿)の20マイクロリットル及び検量用試料を、非結合性黒色マイクロタイタープレートにピペットで添加する。アッセイバッファ(200μL)中に蛍光発生基質、Arg2-βNAを添加後、初期βNA蛍光(T=0)を、340nmの励起波長を用いて蛍光光度計で測定し、発光を410nmにおいて検出する。それから、プレートを、37℃において1時間インキュベートする。(T=60)の最終蛍光を測定する。最終及び初期蛍光間の差を算出する。DPP3の活性を、6点検量線を用いて決定する。検量用試料及びサンプルは、好ましくは、2回反復する。
特定の実施形態では、DPP3レベルを決定するためにアッセイを使用し、前記アッセイのアッセイ感度は、健常対象のDPP3を定量することができ、<20ng/ml、好ましくは<30ng/ml、より好ましくは<40ng/mlである。
【0111】
4.全血サンプルの血漿からDPP3を測定するための別のイムノアッセイ方法は、入手可能な、IB10 sphingotest(登録商標)DPP3である(https://www.nexus-dx.com/wp-content/uploads/2020/11/DPP3-022-00072-IFU-REV-B_8x11.pdf)。IB10 sphingotest(登録商標)DPP3は、ヒトEDTA全血及び血漿中のジペプチジルペプチダーゼ3(DPP3)のインビトロ定量のための迅速ポイントオブケア(POC)イムノアッセイである。Nexus IB10免疫化学システムは、化学をマイクロフルイディクス及び遠心流と組合せて全血から無細胞血漿を迅速に調製し、次にチャンネルの中を進み、再水和、溶解及び凍結乾燥免疫複合体と混合することができる。
特定の実施形態では、前記結合剤は、少なくとも107-1、好ましくは108-1のDPP3に対する結合親和性を示し、より好ましい親和性は109-1より大きく、最も好ましい親和性は1010-1より大きい。当業者は、より高用量の化合物を適用することによってより低親和性を補償すること考えられ得ることを知っており、この測定は、本発明の範囲の想定外にはならない。
【0112】
本発明の別の実施形態では、前記体液サンプルは、全血、血漿、及び血清の群から選択される。
【0113】
特定の実施形態では、DPP3レベルを、イムノアッセイを用いて測定する。DPP3を決定するためのイムノアッセイは、文献から公知である。より詳細には、イムノアッセイを、例えば、国際公開第2017/182561号に記載されているように使用する。DPP3又は少なくとも5アミノ酸のそのフラグメントのレベルを決定するために有用であり得るイムノアッセイは、実施例に使用され、クレームで述べられたステップを含んでよい。全閾値及び値は、試験及び実施例に従って使用された較正との相関関係において見なければならない。当業者は、閾値の絶対値が使用される較正により影響を受ける可能性があることを知っているかもしれない。これは、本明細書で示された全ての値及び閾値は使用される較正との関連で理解されるべきであることを意味する。
【0114】
閾値は、健常コントロールにおけるDPP3濃度及び/又はDPP3活性を測定し、例えば、それに相当する75パーセンタイル値、より好ましくは90パーセンタイル値、更により好ましくは95パーセンタイル値を算出することによって予め決定する。75パーセンタイル値、より好ましくは90パーセンタイル値、更により好ましくは95パーセンタイル値の上側境界は、疾病患者に対する健康の閾値を定義する。前記パーセンタイル値との関連で、健康と疾病患者とを分割する閾値は、サンドイッチタイプ抗DPP3イムノアッセイを用いた血漿中、5~25ng/ml、より好ましくは7~20ng/ml、より好ましくは8~18ng/ml、最も好ましくは10~15ng/mlであってよい(実施例3参照)。血漿中DPP3特異的酵素捕捉活性アッセイでは、健康と疾病患者とを分割する閾値は、0.5~2nmol βNA分-1ml-1、より好ましくは0.7~1.8nmol βNA分-1ml-1、より好ましくは0.8~1.5nmol βNA分-1ml-1、最も好ましくは1.0~1.3nmol βNA分-1ml-1、より好ましくはであってよい(実施例5参照)。
【0115】
当業者は、実施された前の試験から閾値を如何に決定するかを知っている。当業者は、特定の閾値が日常的に後で使用され得る予め決定された閾値を算出するために使用されるコホートに依存し得ることを分かっている。当業者は、特定の閾値がアッセイで使用される較正に依存し得ることを分かっている。当業者は、特定の閾値が、開業医に許容されると思われる感度及び/又は特異性に依存し得ることを分かっている。
【0116】
診断試験の感度及び特異性は、試験の分析「品質」のみに依存するだけでなく、何が異常な結果を構成するのかの明確さにも依存する。実際には、受診者動作特性曲線(ROC曲線)は、「正常」(すなわち、明らかに健康)及び「疾病」集団(すなわち、感染症に患っている患者)におけるその相対的頻度に対する変数の値をプロットすることによって通常算出する。取り組まれる特定の問診に依存して、参照群は必ずしも「正常」である必要がないが、対象の疾病群が鑑別される別の疾病又は病態を患っている患者の群であってもよい。いずれかの特定のマーカーについて、疾病を有する及び有しない対象のマーカーレベルの分布は、おそらく重複するだろう。かかる条件下、試験は、正常と疾病とを100%の精度で絶対区別するわけではなく、重複領域は、何処が正常と疾病を区別することができないかを示す。試験が異常であると見做されるより大きく(又は疾病で如何にマーカーが変化するかに依存して、これより低く)、試験が正常であると見做されるより小さく、閾値を選択する。ROC曲線下面積は、認知される測定が条件の正確な同定を可能とする確率の尺度である。試験結果が必ずしも正確な数を与えない場合でさえROC曲線を使用することができる。結果をランク付けすることができる限り、ROC曲線を作成することができる。例えば、「疾病」サンプルの試験結果を、程度(例えば、1=低、2=正常、3=高)に従ってランク付けしてよい。このランキングは、「正常」集団の結果、及び作成されたROC曲線との相互関係を示すことができる。これらの方法は、当技術分野において周知である(例えば、Hartley et al, 1982参照)。好ましくは、約0.5超、より好ましくは約0.7超のROC曲線面積を提供するように閾値を選択する。これとの関連で用語「約(about)」は、所与の測定値の±5%を表す。
【0117】
一旦、前の試験コホートを使用し、上記ポイント全てを考慮することによって閾値を決定すれば、医師は本発明による疾病の診断方法のために予め決定された閾値を使用し、対象が適切な診断をするために前記予め決定された閾値より大きい又は小さい値を有するかどうかを決定するだろう。
【0118】
本願の1つの実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下でICU入院した患者であり、前記患者は、体液サンプル中閾値より大きいADM-NH2レベルを有することを更に特徴とし、前記体液は全血、血漿、血清を含む群から選択される、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0119】
本願の1つの実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において8.4時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において8,4時間以下でICU入院した患者であり、前記患者は、体液サンプル中閾値より大きいADM-NH2レベルを有することを更に特徴とし、前記体液は全血、血漿、血清を含む群から選択される、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0120】
本願の1つの好ましい実施形態では、前記患者の体液のサンプル中のADM-NH2の前記閾値は、40~100pg/mL、より好ましくは50~90pg/mL、更により好ましくは60~80pg/mLであり、最も好ましくは、前記閾値は、70pg/mLである。
【0121】
本願の別の実施形態は、患者におけるショックの治療又は予防において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記ADM-NH2レベルを、前記体液サンプルを、ADM-NH2と特異的に結合する捕捉結合剤と接触させることによって決定する、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0122】
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、以下に詳述されるようにN末端ADM(配列番号4)と結合する。
【0123】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を10時間以下受けた患者であり、前記抗体、抗体フラグメント若しくは非Ig足場はアドレノメデュリンの中央領域、aa21~42:
CTVQKLAHQIYQFTDKDKDNVA(配列番号3)
と結合することを特徴とする、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0124】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において8.4時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において8.4時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を8.4時間以下受けた患者であり、前記抗体、抗体フラグメント若しくは非Ig足場はアドレノメデュリンの中央領域、aa21~42:
CTVQKLAHQIYQFTDKDKDNVA(配列番号3)
と結合することを特徴とする、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0125】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を10時間以下受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくは抗体フラグメント若しくは非Ig足場は単一特異性、特にモノクローナルである、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0126】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において8.4時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において8.4時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を8.4時間以下受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくは抗体フラグメント若しくは非Ig足場は単一特異性、特にモノクローナルである、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0127】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を10時間以下受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、記抗体若しくはフラグメント若しくは足場は、Biacore 2000システムを用いて無標識表面プラズモン共鳴によって少なくとも10-7MのADMに対する結合親和性を示す、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。より好ましい実施形態では、抗体若しくはフラグメント又は足場は、Biacore 2000システムを用いて無標識表面プラズモン共鳴によって1×10-9~3×10-9のADMに対する結合親和性を示す。より好ましい実施形態では、抗ADM抗体、抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、IgG1抗体である。
【0128】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を10時間以下受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場はADM結合タンパク質1(補体因子H)でない、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0129】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において8.4時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において8.4時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を8.4時間以下受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場はADM結合タンパク質1(補体因子H)でない、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0130】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を10時間以下受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場はADMのN末端(aa1)を認識して結合する、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0131】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において8.4時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において8.4時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を8.4時間以下受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場はADMのN末端(aa1)を認識して結合する、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0132】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を10時間以下受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場は、血清、血液、血漿中ADMの半減期(t1/2半滞留時間)を少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは>50%、最も好ましくは>100%延長するADM安定化抗体若しくはフラグメント若しくは足場である、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0133】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を10時間以下受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくは抗体フラグメント若しくは非Ig足場は、ヒト組換えADM受容体を発現するCHO-K1細胞内において参照アンタゴニストとしてhADM22-52を用いてADMの生物活性を80%以下、好ましくは50%以下遮断する、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0134】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントであって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を10時間以下受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメントは、ADMのN末領域(aa1~21)(配列番号4)若しくは重鎖が配列:
CDR1:配列番号5
GYTFSRYW
CDR2:配列番号6
ILPGSGST
CDR3:配列番号7
TEGYEYDGFDY
を含み、軽鎖は配列:
CDR1:配列番号8
QSIVYSNGNTY
CDR2:
RVS
CDR3:配列番号9
FQGSHIPYT
を含む、その抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントである、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントに関する。
【0135】
本発明の好ましい実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントであって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において8.4時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において8.4時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を8.4時間以下受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメントは、ADMのN末端領域(aa1~21)(配列番号4)若しくは重鎖が配列:
CDR1:配列番号5
GYTFSRYW
CDR2:配列番号6
ILPGSGST
CDR3:配列番号7
TEGYEYDGFDY
を含み、軽鎖は配列:
CDR1:配列番号8
QSIVYSNGNTY
CDR2:
RVS
CDR3:配列番号9
FQGSHIPYT
を含む、その抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントである、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントに関する。
【0136】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントであって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を10時間以下受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメントは、VH領域として:

配列番号10(AM-VH-C)
QVQLQQSGAELMKPGASVKISCKATGYTFSRYWIEWVKQRPGHGLEWIGEILPGSGSTNYNEKFKGKATITADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTLTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号11(AM-VH1)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWISWVRQAPGQGLEWMGRILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号12(AM-VH2-E40)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWMGRILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号13(AM-VH3-T26-E55)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKATGYTFSRYWISWVRQAPGQGLEWMGEILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号14(AM-VH4-T26-E40-E55)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKATGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWMGEILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHH

を含む群から選択される配列を含み、VL領域として次の配列:

配列番号15(AM-VL-C)
DVLLSQTPLSLPVSLGDQATISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号16(AM-VL1)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLNWFQQRPGQSPRRLIYRVSNRDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号17(AM-VL2-E40)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWFQQRPGQSPRRLIYRVSNRDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

を含む、ADMと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメント又はショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのその抗体フラグメントに関する。
【0137】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントであって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において8.4時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において8.4時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を8.4時間以下受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメントは、VH領域として:

配列番号10(AM-VH-C)
QVQLQQSGAELMKPGASVKISCKATGYTFSRYWIEWVKQRPGHGLEWIGEILPGSGSTNYNEKFKGKATITADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTLTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号11(AM-VH1)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWISWVRQAPGQGLEWMGRILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号12(AM-VH2-E40)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWMGRILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号13(AM-VH3-T26-E55)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKATGYTFSRYWISWVRQAPGQGLEWMGEILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号14(AM-VH4-T26-E40-E55)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKATGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWMGEILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

を含む群から選択される配列を含み、VL領域として次の配列:

配列番号15(AM-VL-C)
DVLLSQTPLSLPVSLGDQATISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号16(AM-VL1)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLNWFQQRPGQSPRRLIYRVSNRDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号17(AM-VL2-E40)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWFQQRPGQSPRRLIYRVSNRDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

を含む、ADMと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメント又はショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのその抗体フラグメントに関する。
【0138】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントであって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助の10時間以下を受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメントは、重鎖として:

配列番号22
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWIGEILPGSGSTNYNQKFQGRVTITADTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFScSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

を含む群から選択される配列を含み、軽鎖として次の配列:

配列番号23
DVVLTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQRPGQSPRLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

を含む、ADMと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメント又はショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのその抗体フラグメントに関する。
【0139】
本発明の特定の実施形態では、抗体は、重鎖として次の配列:

配列番号22
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWIGEILPGSGSTNYNQKFQGRVTITADTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
又はこれと>95%、好ましくは>98%、好ましくは>99%の同一性である配列

を含み、軽鎖として次の配列:

配列番号23
DVVLTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQRPGQSPRLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
又はこれと>95%、好ましくは>98%、好ましくは99%の同一性である配列

を含む。
【0140】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントであって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において8.4時間以下ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において8.4時間以下でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助の8.4時間以下を受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメントは、重鎖として:

配列番号22
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWIGEILPGSGSTNYNQKFQGRVTITADTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFScSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

を含む群から選択される配列を含み、軽鎖として次の配列:

配列番号23
DVVLTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQRPGQSPRLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

を含む、ADMと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメント又はショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのその抗体フラグメントに関する。
【0141】
本発明の特定の実施形態では、抗体は、重鎖として次の配列:

配列番号22
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWIGEILPGSGSTNYNQKFQGRVTITADTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
又はこれと>95%、好ましくは>98%、好ましくは>99%の同一性である配列

を含み、軽鎖として次の配列:

配列番号23
DVVLTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQRPGQSPRLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
又はこれと>95%、好ましくは>98%、好ましくは99%の同一性である配列

を含む。
【0142】
2つのアミノ酸配列間の同一性を評価するため、ペアワイズアライメントを行う。同一性は、アライメントにおける直接一致するアミノ酸のパーセンテージを定義する。
【0143】
別の実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、患者におけるショックの治療又は予防において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であり、ADMのN末端部(アミノ酸1~10):YRQSMNNFQG(配列番号25)と結合する。
【0144】
しかしながら、本発明は、特にアドレシズマブの使用に限定されない。アドレシズマブについて正しいことは、主な必須の特徴(特に、親和性及びエピトープ特異性)を共有する抗体についても正しいだろうことを疑う理由はない。同じ領域を標的とする抗体は、もし、これらが同じ親和性及び同じ又は非常に比較できる構造的特徴(大きさ、形状、・・・)を有するならば、同じ技術的効果を有すると期待されなければならない。
【0145】
上記概説された抗体を含む医薬組成物
【0146】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)でICU入院した患者、及び/又は前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)を受けた患者であり、前の実施形態のいずれかによれば、公知の医薬品若しくは他のインターベンションと組み合わせて使用することができる、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。特に、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、抗菌療法(抗生物質、抗真菌薬、・・・)、微生物源の外科的若しくは他の機械的除菌、昇圧剤/変力物質、補液蘇生のためのコロイド若しくはクリスタロイド、人工呼吸、ECMO(体外式膜型人工肺)、体外循環肝機能補助、腎代替療法と組み合わせて使用することができる。好ましい実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、一次医薬品と併用して使用する。前記一次医薬品は、感染症の場合抗生物質であってよく;昇圧剤、例えば、カテコールアミン及び/又は輸液と共に静脈内投与する。本発明の主題は、更に、TNFα抗体と併用して使用される本発明による抗ADM抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場である。
【0147】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)でICU入院した患者、及び/又は前の実施形態のいずれかによる抗体若しくはフラグメント若しくは足場を含む前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)を受けた患者である、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤に関する。
【0148】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)でICU入院した患者、及び/又は抗体若しくはフラグメント若しくは足場を含む前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)を受けた患者であり、前の実施形態によれば、前記医薬製剤は液剤、好ましくはすぐに使える液剤である、医薬製剤に関する。
【0149】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)でICU入院した患者、及び/又は抗体若しくはフラグメント若しくは足場を含む前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)を受けた患者であり、前の実施形態によれば、前記医薬製剤は凍結乾燥状態である、医薬製剤に関する。
【0150】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)でICU入院した患者、及び/又は抗体若しくはフラグメント若しくは足場を含む前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)を受けた患者であり、前の実施形態によれば、前記医薬製剤を筋肉内投与する、医薬製剤に関する。
【0151】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)でICU入院した患者、及び/又は抗体若しくはフラグメント若しくは足場を含む前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)を受けた患者であり、前の実施形態によれば、前記医薬製剤を血管内投与する、医薬製剤に関する。
【0152】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)ショック状態である及び/又は前記治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)でICU入院した患者、及び/又は抗体若しくはフラグメント若しくは足場を含む前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)を受けた患者であり、前の実施形態によれば、前記医薬製剤を注入により投与する、医薬製剤に関する。
【0153】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)ショック状態であり及び/又は前記治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)でICU入院した患者、及び/又は抗体若しくはフラグメント若しくは足場を含む前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)を受けた患者であり、前の実施形態によれば、前記医薬製剤を全身投与することができる、医薬製剤に関する。
【0154】
さらに、本発明の実施形態では、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、単一特異性である。単一特異性抗ADM抗体若しくは単一特異性抗ADM抗体フラグメント又は単一特異性抗ADM非Ig足場は、前記抗体若しくは抗体フラグメント又は非Ig足場は、標的ADM内に少なくとも5アミノ酸を包含する1つの特異的領域と結合する。単一特異性抗ADM抗体若しくは単一特異性抗ADM抗体フラグメント又は単一特異性抗ADM非Ig足場は、同じ抗原に対する親和性を全て有する抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場である。特定及び好ましい実施形態では、本発明は、前記抗体若しくは抗体フラグメント又は非Ig足場は、標的ADM内に少なくとも4アミノ酸を包含する1つの特異的領域と結合することを特徴とする単一特異性抗ADM抗体若しくは単一特異性抗ADM抗体フラグメント又は単一特異性抗ADM非Ig足場を提供する。別の特別の実施形態では、ADMと結合する抗ADM抗体又は抗体フラグメントは、単一特異性抗体である。単一特異性は、前記抗体又は抗体フラグメントが標的ADM内に好ましくは少なくとも4、又は少なくとも5アミノ酸を包含する1つの特異的領域と結合する。単一特異性抗体又はフラグメントは、全てが同じ抗原に対する親和性を有する抗体又はフラグメントである。モノクローナル抗体は単一特異性であるが、単一特異性抗体は、共通の生殖細胞から産生する以外の他の手段によって産生されてもよい。
【0155】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場はADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合する、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0156】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場はADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合する、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0157】
症状を、血液量減少が原因のショック、心原性ショック、血管閉塞性ショック及び血液分布異常性ショックを含む群から選択されるショックの群から選択してよい。
【0158】
本発明の別の特定の実施形態では、前記ショックは、血液量減少が原因のショック、心原性ショック、血管閉塞性ショック及び血液分布異常性ショックを含む群から選択され、特に、心原性ショック又は敗血症性ショックである。
【0159】
本発明の特定の実施形態では、前記ショックは:
・心原性ショックの場合、前記患者は、急性冠症候群(例えば、急性心筋梗塞)を患っている可能性があるか、若しくは心不全(例えば、急性非代償性心不全)、心筋炎、不整脈、心筋症、心臓弁膜症、急性大動脈弁狭窄を伴う大動脈解離、外傷性腱索断裂又は広範肺塞栓症を有することか、又は
・血液量減少性ショックの場合、前記患者は、胃腸出血を含む出血性疾患、外傷、血管病因学(例えば、破裂性腹部大動脈瘤、主要血管をむしばむ腫瘍)及び抗凝固薬使用の状況における自然出血若しくは嘔吐、下痢、腎性喪失、皮膚喪失/不感性喪失を含む非出血性疾患(例えば、熱傷、熱中症)若しくは膵炎、硬変、腸閉塞、外傷の状況におけるサードスペース喪失を患っている可能性があることか、又は
・血管閉塞性ショックの場合、前記患者は、心タンポナーデ、緊張性気胸、肺塞栓症若しくは大動脈弁狭窄を患っている可能性があることか、又は
・血液分布異常性ショックの場合、前記患者は、敗血症性ショック、神経原性ショック、アナフィラキシーショック若しくは副腎クリーゼが原因のショックを患っていること、
を含む群から選択される。
【0160】
より好ましい実施形態では、ショックは、敗血症性ショック、Covid-19が原因のショック、熱傷が原因のショック又は外傷性ショックである。最も好ましい実施形態では、ショックは、敗血症性ショックに関連した。
【0161】
好ましい実施形態では、本発明は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前記患者は、臓器補助を全く受けていないか10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)受けたことを特徴とする、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0162】
最も好ましい実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後7時間未満以内、好ましくは6時間、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間で投与する。更なる又は別の実施形態では、前記治療を、前記患者がICU入院後、7時間未満以内、好ましくは6時間、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間で行う。
【0163】
更なる実施形態では、本発明は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前記患者から採取された体液サンプルは70pg/mLのバイオADMレベルを示し、前記体液は全血、血漿、血清を含む群から選択される、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0164】
本発明は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前記患者から採取された体液サンプルは70pg/mLのバイオADMレベルを示し、前記体液は全血、血漿、血清を含む群から選択される、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0165】
本発明は、更に、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前記患者から採取された体液サンプルは閾値未満のDPP3レベルを示し、前記体液は全血、血漿、血清を含む群から選択される、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0166】
最も好ましい実施形態では、前記患者は、閾値未満の体液サンプル中のDPP3レベルを有し、前記患者の体液サンプル中のDPP3レベルの前記閾値は、20~120ng/mL、より好ましくは30~80ng/mL、更により好ましくは40~60ng/mLであり、最も好ましくは、前記閾値は50ng/mLであることを特徴とする。
【0167】
前記抗体若しくはフラグメント又が足場は、以下に詳述されているように、成熟ADM、例えば、アミノ酸1~52(配列番号1)、若しくは成熟ADMのフラグメント、例えば、中央領域ADM(MR-ADM)(配列番号3)、又はN末端ADM(配列番号4)と結合する。
【0168】
したがって、本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場は成熟ADM、例えば、アミノ酸1~52(配列番号1)、若しくは上記定義されているそのフラグメントと結合する、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0169】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場はADMのN末端部(aa1~21):
YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)
と結合する、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0170】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体、抗体フラグメント若しくは非Ig足場はアドレノメデュリンの中央部分、aa21~42:
CTVQKLAHQIYQFTDKDKDNVA(配列番号3)
と結合することを特徴とする、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0171】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体、抗体フラグメント若しくは非Ig足場は特定のモノクローナルにおける単一特異性である、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0172】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場はBiacore 2000システムを用いて無標識表面プラズモン共鳴によって少なくとも10-7MのADMに対する結合親和性を示す、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0173】
より好ましい実施形態では、抗体若しくはフラグメント又は足場は、Biacore 2000システムを用いて無標識表面プラズモン共鳴によって1×10-9~3×10-9のADMに対する結合親和性を示す。より好ましい実施形態では、抗ADM抗体、抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、IgG1抗体である。
【0174】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場はADM結合タンパク質1(補体因子H)でない、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0175】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場はADMのN末端(aa1)を認識し結合する、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0176】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場は、血清、血液、血漿中のADMの半減期(t1/2半滞留時間)を、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは>50%、最も好ましくは>100%延長するADM安定化抗体若しくはフラグメント若しくは足場である、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0177】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場は、ヒト組換えADM受容体を発現するCHO-K1細胞内において参照アンタゴニストとしてhADM22-52を用いてADMの生物活性を80%以下、好ましくは50%以下遮断する、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。
【0178】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントであって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメントは、ADMのN末端領域(aa1~21)(配列番号4)若しくは重鎖が配列:
CDR1:配列番号5
GYTFSRYW
CDR2:配列番号6
ILPGSGST
CDR3:配列番号7
TEGYEYDGFDY
を含み、軽鎖は配列:
CDR1:配列番号8
QSIVYSNGNTY
CDR2:
RVS
CDR3:配列番号9
FQGSHIPYT
を含む、その抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントである、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントに関する。
【0179】
本発明の別の実施形態は、敗血症及び/若しくはショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントであって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメントは、VH領域として:

配列番号10(AM-VH-C)
QVQLQQSGAELMKPGASVKISCKATGYTFSRYWIEWVKQRPGHGLEWIGEILPGSGSTNYNEKFKGKATITADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTLTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号11(AM-VH1)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWISWVRQAPGQGLEWMGRILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号12(AM-VH2-E40)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWMGRILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号13(AM-VH3-T26-E55)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKATGYTFSRYWISWVRQAPGQGLEWMGEILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号14(AM-VH4-T26-E40-E55)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKATGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWMGEILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

を含み、VL領域として次の配列:

配列番号15(AM-VL-C)
DVLLSQTPLSLPVSLGDQATISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号16(AM-VL1)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLNWFQQRPGQSPRRLIYRVSNRDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号17(AM-VL2-E40)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWFQQRPGQSPRRLIYRVSNRDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

を含む群から選択される配列を含む、敗血症及び/若しくはショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントに関する。
【0180】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントであって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態のいずれかによれば、前記抗体若しくはフラグメントは、重鎖として次の配列:

配列番号22
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWIGEILPGSGSTNYNQKFQGRVTITADTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFScSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

を含み、軽鎖として次の配列:

配列番号23
DVVLTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQRPGQSPRLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

を含む、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するためのADM若しくはその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体若しくはフラグメントに関する。
【0181】
本発明の特定の実施形態では、抗体は、重鎖として次の配列:

配列番号22
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWIGEILPGSGSTNYNQKFQGRVTITADTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
又はこれと>95%、好ましくは>98%、好ましくは>99%の同一性である配列

を含み、軽鎖として次の配列:

配列番号23
DVVLTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQRPGQSPRLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
又はこれと>95%、好ましくは>98%、好ましくは99%の同一性である配列

を含む。
【0182】
2つのアミノ酸配列間の同一性を評価するため、ペアワイズアライメントを行う。同一性は、アライメントにおける直接一致するアミノ酸のパーセンテージを定義する。
【0183】
本発明の特定の実施形態では、抗体は、重鎖として次の配列:

配列番号32
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWIGEILPGSGSTNYNQKFQGRVTITADTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
又は配列番号5、配列番号6及び/若しくは配列番号7と100%同一性であるCDR配列

を含み、配列番号22と>95%、好ましくは>98%、好ましくは>99%の同一性であり、軽鎖として次の配列:

配列番号33
DVVLTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQRPGQSPRLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
又は配列番号8及び/若しくは配列番号9と100%同一性であるCDR配列

を含み、配列番号23と>95%、好ましくは>98%、好ましくは>99%の同一性である。
【0184】
別の実施形態では、抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、患者におけるショックの治療又は予防において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であり、ADMのN末端部(アミノ酸1~10):YRQSMNNFQG(配列番号25)と結合する。
【0185】
上記概説された抗体を含む医薬組成物
【0186】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態のいずれかによれば、公知の医薬品若しくは他のインターベンションと組み合わせて使用することができる、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場に関する。特に、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、抗菌療法(抗生物質、抗真菌薬、・・・)、微生物源の外科的若しくは他の機械的除菌、昇圧剤/変力物質、補液蘇生のためのコロイド若しくはクリスタロイド、人工呼吸、ECMO(体外式膜型人工肺)、体外循環肝機能補助、腎代替療法と組み合わせて使用することができる。好ましい実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、一次医薬品と併用して使用する。前記一次医薬品は、感染症の場合抗生物質であってよく;昇圧剤、例えば、カテコールアミン及び/又は輸液と共に静脈内投与する。本発明の主題は、更に、TNFα抗体と併用して使用される本発明による抗ADM抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場である。
【0187】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前のいずれかによる抗体若しくはフラグメント若しくは足場を含む、医薬製剤に関する。
【0188】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態によれば、前記医薬製剤は、液剤、好ましくはすぐに使える液剤である、医薬製剤に関する。
【0189】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態によれば、前記医薬製剤は、凍結乾燥状態である、医薬製剤に関する。
【0190】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態によれば、前記医薬製剤を筋肉内投与する、医薬製剤に関する。
【0191】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態によれば、前記医薬製剤を血管内投与する、医薬製剤に関する。
【0192】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態のいずれかによれば、前記医薬製剤を注入により投与する、医薬製剤に関する。
【0193】
本発明の別の実施形態は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助の10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前記医薬製剤を全身投与することができる、医薬製剤に関する。
【0194】
本発明による抗体は、抗原と特異的に結合する免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる1つ以上のポリペプチドを含むタンパク質である。認知されている免疫グロブリン遺伝子としては、κ、λ、α(IgA)、γ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、δ(IgD)、ε(IgE)及びμ(IgM)定常領域遺伝子、並びに種々の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。完全長免疫グロブリン軽鎖は、総じて、約25kDa又は214アミノ酸長である。完全長免疫グロブリン重鎖は、総じて、約50kDa又は446アミノ酸長である。軽鎖は、NH2末端における可変領域遺伝子(約110アミノ酸長)及びCOOH末端におけるκ又はλ定常領域遺伝子によってコードされる。重鎖は、可変領域遺伝子(約116アミノ酸長)及び他の定常領域遺伝子の1つによって同様にコードされる。
【0195】
抗体の基本構造単位は、総じて、免疫グロブリン鎖の2つの同一対から成る四量体であり、各対は、1つの軽鎖及び1つの重鎖を有する。各対では、軽鎖及び重鎖可変領域は抗原と結合し、定常領域はエフェクター機能を媒介する。免疫グロブリンも、例えば、Fv、Fab、及びF(ab’)2、並びに二特異性ハイブリッド抗体及び一本鎖を含む様々な他の形態で存在する(例えば、Lanzavecchia et al. 1987. Eur. J. Immunol. 17: 105; Huston et al 1988. PNAS 85:5879-5883; Bird et al. 1988. Science 242:423-426; Hood et al. 1984. Immunology, Benjamin, N.Y., 2nd ed.; Hunkapiller and Hood, 1986. Nature 323: 15-16)。免疫グロブリン軽鎖又は重鎖可変領域としては、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる3つの高頻度可変領域によって中断されるフレームワーク領域が挙げられる(Sequences of Proteins of Immunological Interest, E. Kabat et al, U.S. Department of Health and Human Services, 1983参照)。上記のように、CDRは、主に、抗原のエピトープとの結合に関与する。免疫複合体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体若しくはヒト抗体、又は抗原と特異的に結合された機能性抗体フラグメントなどの抗体である。
【0196】
キメラ抗体は、その軽鎖及び重鎖遺伝子を通常遺伝子工学によって異なる種に属する免疫グロブリン可変及び定常領域遺伝子から構築した抗体である。例えば、マウスモノクローナル抗体由来の遺伝子の可変セグメントを、κ及びγ1又はγ3などのヒト定常セグメントと結合することができる。したがって、一例では、他の哺乳類種を使用することができるか、又は可変領域を分子技術により産生することができるが、治療用キメラ抗体は、マウス抗体からの可変若しくは抗原結合性ドメイン及びヒト抗体からの定常若しくはエフェクタードメインから成るハイブリッドタンパク質である。キメラ抗体の作製方法は、当技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5,807,715号明細書参照。「ヒト化:免疫グロブリンは、ヒトフレームワーク領域及び非ヒト(マウス、ラット、又は合成など)免疫グロブリン由来の1つ以上のCDRを含む免疫グロブリンである。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンは、「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは、「アクセプター」と呼ばれる。1つの実施形態では、全CDRは、ヒト化免疫グロブリン中のドナー免疫グロブリン由来である。定常領域は存在しなくてもよいが、存在する場合、ヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同じ、すなわち、約95%以上同じなど、少なくとも約85~90%同じでなければならない。したがって、多分CDRを除いて、ヒト化免疫グロブリンの全部分は、天然ヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同じである。「ヒト化抗体」は、ヒト化軽鎖及びヒト化重鎖免疫グロブリンを含む抗体である。ヒト化抗体は、CDRを提供するドナー抗体と同じ抗原と結合する。ヒト化免疫グロブリン又は抗体のアクセプターフレームワークは、ドナーフレームワークから取ったアミノ酸によって限定数の置換を有してよい。ヒト化又は他のモノクローナル抗体は、抗原結合性又は他の免疫グロブリン機能に対して実質的に効果を有しない更なる保存的アミノ酸置換を有することができる。例示的保存的置換は、gly、ala;val、ile、leu;asp、glu;asn、gin;ser、thr;lys、arg;及びphe、tyrなどの置換である。ヒト化免疫グロブリンを、遺伝子工学を用いて構築することができる(例えば、米国特許第5,585,089号明細書参照)。ヒト抗体は、軽鎖及び重鎖遺伝子がヒト起源である抗体である。ヒト抗体を、当技術分野において公知の方法を用いて産生することができる。ヒト抗体を、対象の抗体を分泌するヒトB細胞を不死化することによって産生することができる。例えば、EBV感染又はヒトB細胞をミエローマ若しくはトリオーマ細胞を産生するハイブリドーマ細胞と融合することによって不死化を行うことができる。ヒト抗体を、ファージディスプレイ法(例えば、Dower et al.、国際公開第91/17271号;McCafferty et al.;国際公開第92/001047号;及びWinter、国際公開第92/20791号参照)によって産生することもでき、ヒトコンビナトリアル抗体ライブラリー(Morphosysウェブサイト参照)から選択することもできる。ヒト抗体を、ヒト免疫グロブリン遺伝子を運ぶトランスジェニック動物の使用によって調製することもできる(例えば、国際公開第93/12227号及び国際公開第91/10741号参照)。
【0197】
したがって、抗ADM抗体は、当技術分野において公知のフォーマットを有してよい。例としては、ヒト抗体、モノクローナル抗体、ヒト化荒野胃、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体である。好ましい実施形態では、本発明による抗体は、例えば、IgGのような組換えで産生された抗体、典型的完全長免疫グロブリン、例えば、これに限定されないが、Fabミニボディ、一本鎖Fab抗体、エピトープタグを有する一価Fab抗体、例えば、Fab-V5Sx2;CH3ドメインと二量体化された二価Fab(ミニ抗体);例えば、異種ドメインを活用した多量体化、例えば、dHLXドメインの二量体化、例えば、Fab-dHLX-FSx2により生成された二価Fab又は多価Fab;F(ab’)2フラグメント、scFvフラグメント、多量体化多価及び/又は多重特異性scFvフラグメント、二価及び/又は二重特異性ディアボディ、BITE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)、三機能性抗体、例えば、G以外の異なる分類由来の多価抗体;単一ドメイン抗体、例えば、ラクダ科若しくは魚免疫グロブリン及び多数の他のもの由来のナノボディを含むFabフラグメントを含む化学的結合抗体(フラグメント抗原結合)のような重鎖及び/又は軽鎖のF可変ドメインを少なくとも含む抗体フラグメントである。
【0198】
抗ADM抗体に加えて、他の生体高分子足場は標的分子を組み合わせる技術分野において周知であり、高度標的特定生体高分子の生成のために使用されている。例は、アプタマー、シュピーゲルマー、アンチカリン及びコノトキシンである。抗体フォーマットの例証のため、国際公開第2013/072513号中の図1a、1b及び1c参照。
【0199】
本発明による抗体フラグメントは、本発明による抗体の抗原結合性フラグメントである。
【0200】
好ましい実施形態では、ADM抗体フォーマットは、Fvフラグメント、scFvフラグメント、Fabフラグメント、scFabフラグメント、F(ab)2フラグメント及びscFv-Fc融合タンパク質を含む群から選択される。別の好ましい実施形態では、抗体フォーマットは、scFabフラグメント、Fabフラグメント、scFvフラグメント及びPEG化フラグメントなどのこれらのバイオアベイラビリティ最適化複合体を含む群から選択される。最も好ましいフォーマットの1つは、scFabフォーマットである。
【0201】
非Ig足場はタンパク質足場であってよく、これらはリガンド又は抗原と結合することができるとき、抗体模倣体として使用してよい。非Ig足場は、テトラネクチン系非Ig足場(例えば、米国特許出願公開第2010/0028995号明細書に記載されている)、フィブロネクチン足場(例えば、欧州特許第1266025号明細書に記載されている);リポカリン系足場(例えば、国際公開第2011/154420号に記載されている);ユビキチン足場(例えば、国際公開第2011/073214号に記載されている);トランスファーリング足場(例えば、米国特許出願公開第2004/0023334号明細書に記載されている)、足場タンパク質A(例えば、欧州特許第2231860号明細書に記載されている)、アンキリンリピート系足場(例えば、国際公開第2010/060748号に記載されている)、マイクロタンパク質、好ましくはシスチンノットを形成するマイクロタンパク質(例えば、欧州特許出願公開第2314308号明細書に記載されている)、Fyn SH3ドメイン系足場(例えば、国際公開第2011/023685号に記載されている)、EGFR-Aドメイン系足場(例えば、国際公開第2005/040229号に記載されている)及びKunitzドメイン系足場(例えば、欧州特許第1941867号明細書に記載されている)を含む群から選択され得る。
【0202】
本発明の1つの実施形態では、本発明による抗体を次の通り産生してよい:Balb/cマウスを、0日目及び14日目において100μgのADMペプチドBSA複合体(100μlのフロイント完全アジュバント中に乳化)、並びに21日目及び28日目において50μg(100μlのフロイント不完全アジュバント中)で免疫化した。融合実験を行う前3日間、動物は、1回腹腔内注射及び1回静脈内注射として与えられた100μl生理食塩水中に溶解された50μgの複合体を受けた。免疫化マウス由来の脾細胞及び骨髄腫細胞株SP2/0の細胞を、37℃において30秒間1mlの50%ポリエチレングリコールを用いて融合した。洗浄後、細胞を、96ウェル細胞培養プレートに播種した。ハイブリッドクローンを、HAT培地(20%ウシ胎仔血清及びHATサプリメントを添加したRPMI1640培養培地)中での増殖によって選択した。2週間後、HAT培地を、3継代培養のためHT培地により置換し、次いで、正常細胞培養培地に戻した。細胞培養上澄みを、融合後3週間、抗原特異的IgG抗体について一次スクリーニングした。陽性試験ミクロ培養液を、増殖のために、24ウェルに移した。再試験後、選択された培養液を、限界希釈技術を用いてクローン化し、再クローン化し、アイソタイプを決定した(Lane, R.D. 1985. J. Immunol. Meth. 81: 223-228; Ziegler B. et al. l996. Horm. Metab. Res. 28: 11-15も参照)。
【0203】
抗体を、以下の手順に従ってファージディスプレイを用いて産生した。ヒトナイーブ抗体遺伝子ライブラリーHAL7/8を、ADMペプチドに対する組換え一本鎖F可変ドメイン(scFv)の単離のために使用した。抗体遺伝子ライブラリーを、2つの異なるスペーサーによりADMペプチド配列と連結されたビオチンタグを含むペプチドの使用を含むパニング戦略でスクリーニングした。非特異的結合抗原及びストレプトアビジン結合抗原を用いたパニングラウンドの混合物を使用して非特異的結合剤のバックグラウンドを最小化した。パニングの第三ラウンドからの溶出ファージを、大腸菌(E.coli)株を発現するモノクローナルscFvの産生のために使用した。これらのクローン株の培養液からの上澄みを、抗原ELISA試験に直接使用した(その全文が本明細書に援用される国際公開第2013/072513号で引用された参考文献参照)。
【0204】
マウス抗タウのヒト化を、以下の方法に従って行ってよい:マウス起源の抗体のヒト化のため、抗体配列を、相補性決定領域(CDR)及び抗原を含むフレームワーク領域(FR)の構造的相互作用について解析する。構造的モデリングに基づいて、ヒト起源の適切なFRを選択し、マウスCDR配列をヒトFRに移植する。CDR又はFRのアミノ酸配列における変異を誘導して、FR配列に対して種転換により消失された構造的相互作用を回復してよい。構造的相互作用のこの回復を、ファージディスプレイライブラリーを用いて、又は分子モデリングにより導かれる直接アプローチ(Almagro and Fransson 2008. Front Biosci. 13: 1619-33)によって行ってよく、好ましい実施形態では、ADM抗体フォーマットは、Fvフラグメント、scFvフラグメント、Fabフラグメント、scFabフラグメント、F(ab)2フラグメント及びscFv-Fc融合タンパク質を含む群から選択される。別の好ましい実施形態では、抗体フォーマットは、scFabフラグメント、Fabフラグメント、scFvフラグメント及びPEG化フラグメントなどのこれらのバイオアベイラビリティ最適化複合体を含む群から選択される。最も好ましいフォーマットの1つは、scFabフォーマットである。別の好ましい実施形態では、抗ADM抗体、抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、完全長抗体、抗体フラグメント、又は非Ig足場である。
【0205】
好ましい実施形態では、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、ADM中に含まれる少なくとも5アミノ酸長のエピトープを対象とし、該エピトープと結合することができる。
【0206】
別の好ましい実施形態では、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、ADM中に含まれる少なくとも4アミノ酸長のエピトープを対象とし、該エピトープと結合することができる。
【0207】
本発明の1つの特定の実施形態では、抗ADM抗体若しくはADMと結合する抗ADM抗体フラグメント又はADMと結合する抗ADM非Ig足場を、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するために提供し、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)ショック状態であり、及び/又は前の実施形態による前記治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)にICU入院した患者であり、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場は、成熟ヒトADMのaa1~21の配列:
YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)。
内の好ましくは少なくとも4、若しくは少なくとも5アミノ酸の領域と結合する。
【0208】
本発明の1つの特定の実施形態では、抗ADM抗体若しくはADMと結合する抗ADM抗体フラグメント又はADMと結合する抗ADM非Ig足場を、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するために提供し、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者におけるショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態によれば、前記抗体若しくはフラグメント若しくは足場は、成熟ヒトADMのaa1~21の配列:
YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)。
内の好ましくは少なくとも4、若しくは少なくとも5アミノ酸の領域と結合する。
【0209】
本発明の好ましい実施形態では、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、ADMのN末端部分に位置するADMの領域又はエピトープ(アミノ酸1~21)と結合する。
【0210】
別の好ましい実施形態では、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、ADMのN末端(aa1)を認識し、これと結合する。N末端は、配列番号1又は4の「Y」であるアミノ酸1が抗体結合にとって必須であることを意味する。前記抗体若しくはフラグメント又は非Ig足場は、N末端延長ともN末端修飾ADMともN末端分解ADMとも結合しない。
【0211】
好ましい実施形態では、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、ADM、好ましくはヒトADM中に含まれる少なくとも5アミノ酸長のエピトープを対象とし、該エピトープと結合することができる。
【0212】
好ましい実施形態では、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、ADM、好ましくはヒトADM中に含まれる少なくとも4アミノ酸長のエピトープを対象とし、該エピトープと結合することができる。
【0213】
1つの特定の実施形態では、本発明による抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を使用することが好ましく、前記抗ADM抗体若しくは前記抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは>50%、最も好ましくは>100%の血清、血液、血漿中のADMの半減期(t1/2;半滞留時間)を増強するADM安定化抗体若しくはADM安定化抗体フラグメント又はADM安定化非Ig足場である。ADMの半減期(半滞留時間)を、ADMの定量のためのイムノアッセイを用いて、それぞれ、ADM安定化抗体若しくはADM安定化抗体フラグメント又はADM安定化非Ig足場の非存在下及び存在下でのヒト血漿において決定してよい。
【0214】
以下のステップを行ってよい:
-ADMを、それぞれ、ADM安定化抗体若しくはADM安定化抗体フラグメント又はADM安定化非Ig足場の非存在下及び存在下でのヒトクエン酸血漿に希釈してよく、24℃でインキュベートしてよい。
-アリコートを選択された時点(例えば、24時間以内)において採取し、ADMの分解を-20℃で凍結することによって前記アリコートにおいて停止してよい。
-ADMの量を、選択されたアッセイが安定化抗体により影響を受けない場合、直接的にhADMイムノアッセイによって決定してよい。あるいは、アリコートを変性剤(HCIなど)で処理してよく、サンプルを(例えば、遠心分離により)きれいにした後、pHを中和することができ、ADMイムノアッセイによってADMを定量する。あるいは、非イムノアッセイ技術(例えば、RP-HPLC)をADM定量のために使用することができる。
-ADMの半減期を、それぞれ、ADM安定化抗体若しくはADM安定化抗体フラグメント又はADM安定化非Ig足場の非存在下及び存在下でインキュベートされたADMについて算出する。
【0215】
半減期の増強を、ADM安定化抗体若しくはADM安定化抗体フラグメント又はADM安定化非Ig足場の非存在下でインキュベートされたADMと比較して安定化されたADMについて算出する。
【0216】
ADMの半減期の2倍増加は、100%の半減期の増強である。半減期(半滞留時間)は、特定の化学物質又は薬物が特定の体液又は血液中のベースライン濃度の半分に落ちる期間と定義される。
【0217】
特定の実施形態では、前記抗ADM抗体、抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、非中和性抗体、フラグメント又は非Ig足場である。中和性抗ADM抗体、抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、ほとんど100%まで、少なくとも90%超まで、好ましくは少なくとも95%超までADMの生物活性を遮断するだろう。
【0218】
対照的に、非中和性抗ADM抗体、若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、100%未満、好ましくは95%未満まで、好ましくは90%未満まで、より好ましくは80%未満まで、更により好ましくは50%未満までADMの生物活性を遮断する。これは、非中和性抗ADM抗体、若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場と結合されたADMの残る生物活性は、0%より大きい、好ましくは5%超、好ましくは10%超、より好ましくは20%超、より好ましくは50%超であろうことを意味ずる。これとの関連で、(a)それが、「非中和性抗ADM活性」を有する抗体、若しくは抗体フラグメント又は非Ig足場であろうが、分子は、ここでは簡単にするために、例えば、80%未満までADMの生物活性を遮断する「非中和性」抗ADM抗体、抗体フラグメント、又は非Ig足場と集合的に名付けられ、以下と定義される:-CRLR(カルシトニン受容体様受容体)及びRAMP3(受容体活性調節タンパク質3)から成る機能性ヒト組換えADM受容体を発現する真核細胞株の培養液への添加により、パラレルな添加されたヒト合成ADMペプチドの作用を通して細胞株によって産生されたcAMP量を減少させるADMと結合する分子(単数)又は分子(複数)であって、前記添加されたヒト合成ADMは分析しようとする非中和性抗体の非存在下でcAMP合成の最大半量の刺激をもたらす量で添加され、ADMと結合する前記分子によるcAMPの減少は、分析しようとするADMと結合する非中和性分子が分析しようとする非中和性抗体で入手可能なcAMP合成の最大減少を得るのに必要である量より10倍多い量で添加される場合でさえ、80%以下の程度まで起こる、ADMと結合する分子(単数)又は分子(複数)。同じ定義は、他の範囲;95%、90%、50%、その他にも当てはまる。
【0219】
本発明による特定の実施形態では、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を使用し、前記抗体若しくは抗体フラグメント又は非Ig足場は、ADMの生物活性を(ベースライン値の)80%未満まで、好ましくは50%未満まで遮断する。これは、それぞれ、80%以下又は50%以下の循環ADMを遮断するという意味である。ADMの生物活性の前記限定的遮断は、抗体、抗体フラグメント又は非Ig足場の過剰濃度においてさえ起こり、ADMに対して過剰の抗体、抗体フラグメント又は非Ig足場を意味すると理解されている。前記限定的遮断はADM結合剤の固有特性である。これは、前記抗体、抗体フラグメント又は非Ig足場が、それぞれ、80%又は50%の最大阻害を有することを意味する。暗に、これは、適切量又は過剰量の抗体、抗体フラグメント又は非Ig足場をそれぞれ投与するが、20%又は50%残ADM生物活性は存在するままであることを意味する。
【0220】
好ましい実施形態では、前記抗ADM抗体、抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、少なくとも5%ADMの生物活性を遮断するだろう。暗に、これは、残95%循環ADM生物活性は存在するままであることを意味する。これは、前記抗ADM抗体、抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場の投与後に残っている生物活性の下限閾値である。生物活性は、その相互作用後、インビボ又はインビトロ(例えば、アッセイにおいて)で生体又は組織若しくは臓器又は機能単位に対して物質が奏する効果と定義される。ADM生物活性の場合、これは、ヒト組換えADM受容体cAMP機能アッセイにおけるADMの効果であってよい。したがって、本発明によれば、生物活性は、ADM受容体cAMP機能アッセイにより定義される。かかるアッセイにおいてADMの生物活性を決定するために、次のステップを行ってよい:
-用量反応曲線を、前記ヒト組換えADM受容体cAMP機能アッセイにおいてADMを用いて行う。
-半最大cAMP刺激のADM濃度を算出してよい。
-一定の半最大cAMP刺激ADM濃度において、用量反応曲線(100μl以下の最終濃度)を、それぞれ、ADM安定化抗体若しくはADM安定化抗体フラグメント又はADM安定化非Ig足場により行う。
【0221】
50%の前記ADM安定化抗体による最大(最大用量における)阻害は、それぞれ、前記ADM抗体若しくは前記ADM抗体フラグメント又は前記ADM非Ig足場がベースライン値の50%まで生物活性を遮断することを意味する。80%の前記ADMバイオアッセイにおける最大阻害は、それぞれ、前記抗ADM抗体若しくは前記抗ADM抗体フラグメント又は前記抗ADM非Ig足場が80%までADMの生物活性を遮断することを意味する。これは、ADM生物活性を80%以下まで遮断するという意味である。
【0222】
好ましい実施形態では、抗ADM抗体の調節若しくは抗ADM抗体フラグメントの調節又は抗ADM非Ig足場の調節を使用する。抗ADM抗体の「調節」若しくは抗ADM抗体フラグメントの調節又は抗ADM非Ig足場の調節は、血清、血液、血漿中のADMの半減期(t半滞留時間)を少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは>50%、最も好ましくは>100 %増強し、ADMの生物活性を80%未満まで、好ましくは50%未満まで遮断する抗体若しくはADM抗体フラグメント又は非Ig足場であり、前記抗ADM抗体、抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場はADMの生物活性を少なくとも5%まで遮断するだろう。これらの値は半減期に関し、生物活性の遮断は、これらの値を決定するために前述のアッセイに関連して理解されなければならない。これは、それぞれ、80%以下又は50%以下の循環ADMを遮断するという意味である。これは、それぞれ、20%残ADM生物活性が存在するままであるか、又は50%残ADM生物活性は存在するままであることを意味する。かかる抗ADM抗体の調節若しくは抗ADM抗体フラグメントの調節又は抗ADM非Ig足場の調節は、投与の投薬を促進するという利点を提供する。ADM生物活性の部分的遮断又は部分的低減及びインビボ半減期の延長(ADM生物活性の増大)の組合せは、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場投与の有益な簡素化をもたらす。過剰の内因性ADMの状態では、活性低下効果は、ADMの(ネガティブ)効果を限定する抗体若しくはフラグメント又は足場の主要な影響である。内因性ADMの低濃度又は正常濃度の場合、抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場の生物学的効果は、低下(部分的遮断による)及びADM半減期の延長による増加の組合せである。したがって、非中和性及び調節ADM抗体若しくはADM抗体フラグメント又はADM非Ig足場は、特定の生理的範囲内のADMの生物活性を維持するために、ADM生物活性バッファの様に作用する。
【0223】
本発明による抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、親和定数が10-7M超、好ましくは10-8Mであり、好ましい親和性が10-9M超、最も好ましくは10-10Mより高くなるヒトADMに対する親和性を示す。当業者は、より高用量の化合物を適用することによってより低親和性を補償すること考えられ得ることを知っており、この測定は、本発明の範囲の想定外にはならない。親和定数を、国際公開第2013/072513号の実施例1に記載されている方法に従って決定してよい。
【0224】
用語「ADM結合タンパク質」がADM結合タンパク質1(補体因子H)を含むことは強調されるべきである。しかしながら、本発明に従った定義による前記ADM結合タンパク質は、非中和性抗ADM抗体/抗体フラグメント/非Ig足場でも調節抗ADM抗体/抗体フラグメント/非Ig足場でもない。更に、本発明の対象は、本発明による患者の急性疾患又は急性病態の治療において使用するための抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であり、前記抗体若しくは抗体フラグメント又は非Ig足場を更なる有効成分と併用して使用してよい。
【0225】
更に、本発明の対象は、本発明による抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を含む医薬製剤である。更に、本発明の対象は、本発明による医薬製剤であり、前記医薬製剤は液剤、好ましくはすぐに使える液剤である。別の実施形態では、更に、本発明の対象は、本発明による医薬製剤であり、前記医薬製剤は、使用前に再溶解される乾燥状態である。前記医薬製剤を筋肉内投与してよい。前記医薬製剤を血管内投与してよい。前記医薬製剤を注入により投与してよい。別の実施形態では、更に、本発明の対象は、本発明による医薬製剤であり、前記医薬製剤は、使用前に凍結乾燥状態である。
【0226】
本発明の別のより好ましい実施形態では、本発明は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくはADMを結合する抗ADM抗体フラグメント又はADMを結合する抗ADM非Ig足場を含む医薬製剤であって、前記患者は前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)ショック状態であり及び/又は前記治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)でICU入院した患者、及び/又は抗体若しくはフラグメント若しくは足場を含む前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)を受けた患者であり、前の実施形態によれば、前記医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することができる、医薬製剤を提供する。
【0227】
本発明の別の実施形態では、本発明による医薬製剤は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための医薬製剤を治療のために患者に投与することができ、前記患者がかかる治療を必要としているという条件で上記定義のように、前記患者は、前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)ショック状態であり、及び/又は前記治療の開始点において10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)でICU入院した患者、及び/又は抗体若しくはフラグメント若しくは足場を含む前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント若しくは抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を全く受けていないか若しくは臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)を受けた患者である。
【0228】
別のより好ましい実施形態では、本発明は、ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗ADM抗体若しくはADMを結合する抗ADM抗体フラグメント又はADMを結合する抗ADM非Ig足場を含む医薬製剤であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与し、前の実施形態によれば、前記医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することができる、医薬製剤を提供する。
【0229】
本発明の別の実施形態は、本発明による医薬製剤をショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するため医薬製剤を治療のために患者に投与することができ、前記患者がかかる治療を必要としているという条件で上記定義のように、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者においてショック発生後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者がICU入院後10時間、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に、及び/又は前記患者が臓器補助を受ける前又は臓器補助を10時間以下、好ましくは8.4時間(0.35日間)以内に投与する。
【0230】
1つの実施形態では、本発明によるADM抗体若しくはADM抗体フラグメント又はADM非Ig足場は、非中和性ADM抗体若しくは非中和性ADM抗体フラグメント又は非中和性ADM非Ig足場である。
【0231】
本明細書で使用されるとき、抗体フォーマットは、Fvフラグメント、scFvフラグメント、Fabフラグメント、scFabフラグメント、F(ab)2フラグメント及びscFv-Fc融合タンパク質を含む群から選択される。
【0232】
本発明の実施形態では、前の実施形態のいずれかによるADM抗体若しくはADM抗体フラグメント又はADM非Ig足場は、それを必要としている患者の治療において使用するためのものであり、前記抗体又はフラグメントを、少なくとも0.5mg/体重Kg、特に少なくとも1.0mg/体重kg、より特に1.0~20.0mg/体重kg、例えば、2.0~10mg/体重kg、2.0~8.0mg/体重kg、又は2.0~5.0mg/体重kgの用量で投与してよい。
【0233】
本発明の好ましい実施形態では、前の実施形態のいずれかによるADM抗体若しくはADM抗体フラグメント又は非Ig足場のいずれかを用いて治療又は予防されるショックの症状はウイルス感染症と関連し、前記ウイルスは、ヘパドナウイルス科、アデノウイルス科、ヘルペスウイルス科、インフルエンザウイルス、アレナウイルス科、フィロウイルス科、トガウイルス科、ノロウイルス、フラビウイルス科、レトロウイルス科、麻疹ウイルス、レオウイルス科、エンテロウイルス科、ピコルナウイルス科、カリシウイルス科、その他を含む群から選択される。
【0234】
本発明の好ましい実施形態では、前の実施形態のいずれかによるADM抗体若しくはADM抗体フラグメント又は非Ig足場のいずれかを用いて治療又は予防されるショックの症状は、化学療法、生物製剤(例えば、抗体、又はそのフラグメント)を用いた治療、抗生物質、又は病気の上記症状のいずれかの原因となるいずれかの医薬品など、原発性疾患の薬物療法と関連する。
【0235】
本発明の更なる好ましい実施形態は、前の実施形態のいずれかによるADM抗体若しくはADM抗体フラグメント又は非Ig足場を、それを必要としている患者に投与することを含む前述の実施形態のいずれかで定義されている症状の治療(例えば、治療、治癒、緩和、改善、寛解)又は予防の方法に関する。対象は、好ましくはヒトである。
【0236】
ADM抗体若しくはADM抗体フラグメント又は非Ig足場の投与は当技術分野において公知のいずれもの手段によってよく、経口投与、静脈内投与、皮下投与、動脈内投与、筋肉内投与、心臓内投与、脊髄内投与、胸腔内投与、腹腔内投与、脳室内投与、舌下投与、経皮投与、及び/又は吸入投与が挙げられる。投与は全身投与、例えば、静脈内投与、又は局所投与であってよい。
【0237】
本明細書で使用されるとき、薬物、化合物、又は医薬組成物の「効果的投与量」又は「効果量」は、有益な又は所望の結果を得るのに充分な量である。予防的使用のため、有益又は所望の結果としては、リスクの排除若しくは低減、重症度の低減、又は疾病の生化学的、組織的及び/若しくは行動症状を含む疾病発症の遅延、その合併症及び疾病の発症中に示す病理学的中間表現型などの結果が挙げられる。治療的使用のため、有益又は所望の結果としては、頭痛発作の疼痛強度、持続時間、若しくは頻度の低下、及び疾病の発症中に示すその合併症及び病理学的中間表現型を含む頭痛(生化学的、組織的及び/又は行動的)から得られた1つ異常の症状の低減、疾病を患っている者の生活の質の低下、疾病の治療に必要な他の医薬品の用量の低減、別の医薬品の効果の増強、並びに/又は患者の疾病の進行の遅延などの臨床結果が挙げられる。効果的投与量を、1回以上の投与で投与することができる。本発明の目的のため、薬物、化合物、又は医薬組成物の効果的投与量は、直接的又は間接的のいずれかで予防的又は治療的措置を達成するのに充分な量である。臨床状況で理解されるように、薬物、化合物、又は医薬組成物の効果的投与量は、別の薬物、化合物、又は医薬組成物と併せて達成してもよく、達成しなくてもよい。したがって、「効果的投与量」は、1つ以上の治療薬の投与との関連で考えてよく、単一の薬剤は、1つ以上の他の薬剤と併せて、所望の結果が得られるかも知れない又は得られる場合、効果的量で与えられると考えてよい。
【0238】
以下の実施形態は本発明の主題である。
【0239】
実施形態1.
ショック、特に、敗血症性ショック患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記患者は:
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ショック、特に、敗血症性ショックを患っており、及び/又は
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において10時間以下ICU入院しており、及び/又は
・前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において全く臓器補助を受けていないか若しくは10時間以下の臓器補助を受けており、
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合する、
治療において使用するためのアドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0240】
実施形態2.
前記患者は、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において9時間以下、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.24日間)、5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間ショック、特に、敗血症性ショックを患っている、実施形態1に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくはADMと結合する抗ADM抗体フラグメント又はアドレノメデュリンと結合する抗ADM非Ig足場。
【0241】
実施形態3.
前記患者は、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメントフラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において9時間以下、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.24日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間ICU入院している、実施形態1又は2に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくはADMと結合する抗ADM抗体フラグメント又はアドレノメデュリンと結合する抗ADM非Ig足場。
【0242】
実施形態4.
前記患者は、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメントフラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において9時間以下、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.24日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間の臓器補助を受けている、実施形態1~3のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくはADMと結合する抗ADM抗体フラグメント又はアドレノメデュリンと結合する抗ADM非Ig足場。
【0243】
実施形態5.
ショック、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場であって、前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、
・前記患者におけるショック発生後10時間以内、及び/又は
・前記患者がICU入院後10時間以内、及び/又は
・前記患者が臓器補助を受ける前若しくは臓器補助の10時間以内
で投与し、
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ADMのN末端部(aa1~21):YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTC(配列番号4)と結合する、
治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0244】
実施形態6.
抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場によるショック、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するための前記抗アドレノメデュリン(ADM)ADM非Ig足場を、前記患者におけるショック発生後9時間以内、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.25日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間で投与する、実施形態5に記載の抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0245】
実施形態7.
前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者がICU入院後9時間以内、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.25日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間で投与する、実施形態5又は6に記載のショック、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0246】
実施形態8.
前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場を、前記患者が前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメントフラグメント又は抗ADM非Ig足場を用いた治療の開始点において臓器補助を受けた後、9時間以内、好ましくは8.4時間、好ましくは8.26時間(0.344日間)、好ましくは8時間、好ましくは7時間、好ましくは6時間、好ましくは5.76時間(0.25日間)、好ましくは5.75時間(0.25日間)、好ましくは5時間、好ましくは4時間、好ましくは3時間で投与する、実施形態5~7のいずれか一項に記載のショック、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0247】
実施形態9.
前記患者は、血液量減少が原因のショック、心原性ショック、血管閉塞性ショック及び血液分布異常性ショック、特に心原性ショック、敗血症性ショック、Covid-19が原因のショック、熱傷が原因のショック及び外傷性ショックを含む群から選択されるショックを有する、実施形態1~8のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくはADMと結合する抗ADM抗体フラグメント又はアドレノメデュリンと結合する抗ADM非Ig足場。
【0248】
実施形態10.
前記患者は、敗血症性ショックを有する、実施形態9に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくはADMと結合する抗ADM抗体フラグメント又はアドレノメデュリンと結合する抗ADM非Ig足場。
【0249】
実施形態11.
前記患者から採取された体液サンプルは、>70pg/mLのバイオADMレベルを示し、前記体液は、全血、血漿又は血清を含む群から選択される、実施形態1~10のいずれか一項に記載のショック、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0250】
実施形態12.
前記患者から採取された体液サンプルは、<50ng/mLのDPP3レベルを示し、前記体液は、全血、血漿又は血清を含む群から選択される、実施形態1~11のいずれか一項に記載のショック、特に、敗血症性ショックを患っている患者の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0251】
実施形態13.
前記抗体若しくは抗体フラグメント又は非Ig足場は、単一特異性である、実施形態1~12のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0252】
実施形態14.
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、Biacore 2000システムを用いて無標識表面プラズモン共鳴によって少なくとも10-7MのADMに対する結合親和性を示す、実施形態1~13のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0253】
実施形態15.
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、Biacore 2000システムを用いて無標識表面プラズモン共鳴によって1×10-9~3×10-9のADMに対する結合親和性を示す、実施形態14に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0254】
実施形態16.
前記抗ADM抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、IgG1抗体である、実施形態13~15のいずれか一項に記載の患者におけるショックの治療又は予防において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0255】
実施形態17.
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ADM結合タンパク質1(補体因子H)ではない、実施形態1~16のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0256】
実施形態18.
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ADMのN末端(aa1)を認識して結合する、実施形態1~17のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0257】
実施形態19.
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、血清、血液、血漿中のADMの半減期(t1/2半滞留時間)を、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは>50%、最も好ましくは>100%延長する抗体若しくはフラグメント又は足場を安定化するADMである、実施形態1~18のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0258】
実施形態20.
前記抗体若しくはフラグメント又は足場は、ヒト組換えADM受容体を発現するCHO-K1細胞中の参照アンタゴニストとしてhADM22-52を用いて、80%以下、好ましくは50%以下ADMの生物活性を遮断する、実施形態1~19のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0259】
実施形態21.
前記対象は、化学療法、昇圧剤、生物製剤を用いた治療、抗生物質、又は抗ウイルス化合物を用いた治療を経験する、実施形態1~20のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0260】
実施形態22.
前記抗体又はフラグメントは、ADM又はその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体又はフラグメントであり、前記重鎖は配列:
CDR1:配列番号5
GYTFSRYW
CDR2:配列番号6
ILPGSGST
CDR3:配列番号7
TEGYEYDGFDY
を含み、軽鎖は配列:
CDR1:配列番号8
QSIVYSNGNTY
CDR2:
RVS
CDR3:配列番号9
FQGSHIPYT
を含む、
実施形態1~21のいずれか一項に記載の治療において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗アドレノメデュリン抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0261】
実施形態23.
前記抗体又はフラグメントは、VH領域として:

配列番号10(AM-VH-C)
QVQLQQSGAELMKPGASVKISCKATGYTFSRYWIEWVKQRPGHGLEWIGEILPGSGSTNYNEKFKGKATITADTSSNTAYMQLSSLTSEDSAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTLTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号11(AM-VH1)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWISWVRQAPGQGLEWMGRILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号12(AM-VH2-E40)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWMGRILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号13(AM-VH3-T26-E55)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKATGYTFSRYWISWVRQAPGQGLEWMGEILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

配列番号14(AM-VH4-T26-E40-E55)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKATGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWMGEILPGSGSTNYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKHHHHHH

を含む群から選択される配列を含み、VL領域として次の配列:

配列番号15(AM-VL-C)
DVLLSQTPLSLPVSLGDQATISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号16(AM-VL1)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLNWFQQRPGQSPRRLIYRVSNRDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC

配列番号17(AM-VL2-E40)
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWFQQRPGQSPRRLIYRVSNRDSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC.

を含む群から選択される配列を含む、
実施形態22に記載の治療において使用するためのADM又はその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体又はフラグメント。
【0262】
実施形態24.
前記抗体又はフラグメントは、重鎖として次の配列:

配列番号22
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSRYWIEWVRQAPGQGLEWIGEILPGSGSTNYNQKFQGRVTITADTSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTEGYEYDGFDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
又はこれと>95%同一性である配列

を含み、軽鎖として次の配列:

配列番号23
DVVLTQSPLSLPVTLGQPASISCRSSQSIVYSNGNTYLEWYLQRPGQSPRLLIYRVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHIPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
又はこれと>95%同一性である配列

を含む、
実施形態22又は23に記載の治療において使用するためのADM又はその抗体フラグメントと結合するヒトモノクローナル抗体又はフラグメント。
【0263】
実施形態25.
前記抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場は、前記ADMのN末端部(アミノ酸1~10):YRQSMNNFQG(配列番号25)と結合する、実施形態1~24のいずれか一項に記載の患者におけるショックの治療又は予防において使用するための抗アドレノメデュリン(ADM)抗体若しくは抗ADM抗体フラグメント又は抗ADM非Ig足場。
【0264】
実施形態26.
病気の症状の治療若しくは予防において使用するため又は実施形態1~25のいずれか一項に記載の治療において使用するための医薬製剤。
【図面の簡単な説明】
【0265】
図1図1は、ショックと診断された後0~10時間(図1A)及びショック後10~12.2時間に治療を行った場合に、プラセボと比較してアドレシズマブ治療における患者の経時死亡率を示す。HR[95%CI]及びログランクp値は次の通りであった:ショック診断後0~10時間の群:HR=0.439[0.174~1.11]、ログランクp=0.072;ショック診断後10~12.2時間の群:HR=0.711[0.326~1.55]、ログランクp=0.387。
図2図2は、ショック診断後10時間超(図2B)で行った治療と比較して、ショック診断後10時間以内(図2A)でアドレシズマブ治療を行った場合のSOFAスコアの変化を示す。SOFAスコアを、投与直前及び翌日に決定した。投与前/プラセボSOFAスコアに対する各時点におけるSOFAスコアの差を各患者について算出し、得られた値からの平均をグラフ中に示す。分析では、全SOFA成分に関する記録された値を有する患者のみを含めた。「SOFA+」を、次の通り欠測データの処理により定義した:退院患者についてはSOFAをそれぞれの時点で0とし、死亡した患者についてはSOFAを24とした。
図3図3は、ICU入院後0~0.344日(8.3時間)(図3A)及びICU入院後0.344日~29日(図3B)に治療を行った場合のプラセボと比較したアドレシズマブ治療における患者の経時28日死亡率を示す。HR[95%CI]及びログランクp値は次の通りであった:治療までICU滞在0~0.34日間の群/28日死亡率:HR=0.263[0.077~0.898]、ログランクp=0.22;治療までICU滞在0.34~29日間の群/28日死亡率:HR=0.734[0.358~1.5]、ログランクp=0.399。
図4図4は、ICU入院後0~0.344日間(8.3時間)(図4A)及びICU入院後0.344日~29日(図4B)に治療を行った場合のプラセボと比較したアドレシズマブ治療における患者の経時90日死亡率を示す。治療までICU滞在0~0.34日間の群/90日死亡率:HR=0.364[0.137~0.97]、ログランクp=0.035;治療までICU滞在0.34~29日間の群/90日死亡率:HR=0.826[0.469~1.45]、ログランクp=0.51。
図5図5は、ICU入院後0.344日超(図5B)で行った治療と比較して、ICU入院後0.344日以内(図5A)でアドレシズマブ治療を行った場合のSOFAスコアの変化を示す。SOFAスコアを、投与直前及び翌日に決定した。投与前/プラセボSOFAスコアに対する各時点におけるSOFAスコアの差を各患者について算出し、得られた値からの平均をグラフ中に示す。分析では、全SOFA成分に関する記録された値を有する患者のみを含めた。「SOFA+」を、次の通り欠測データの処理により定義した:退院患者についてはSOFAをそれぞれの時点で0とし、死亡した患者についてはSOFAを24とした。
図6図6は、ICU入院後0.344日超(図6B)で行った治療と比較して、ICU入院後0.344日(図6A)でアドレシズマブ治療を行った場合、治療開始後7日目の平均輸液平衡を示す。輸液平衡(輸液インプット-輸液アウトプット)を、ICUにおいて各24時間記録した。アドレシズマブ/プラセボ注入後7日以下の平均輸液平衡を、患者毎に算出した。例えば、ICUから退院又は死亡が理由で輸液平衡を失っている日は考慮しなかった。メジアン+IQRを、棒グラフとして示す。
図7図7は、ショック診断後10時間超(図7B)に行った治療と比較して、ショック診断後10時間以内(図7A)にアドレシズマブ治療を行った場合の治療開始後7日目の平均輸液平衡を示す。アドレシズマブ/プラセボ注入後7日以下の平均輸液平衡を、患者毎に算出した。例えば、ICUから退院又は死亡が理由で輸液平衡を失っている日は考慮しなかった。メジアン+IQRを、棒グラフとして示す。
図8図8は、ICU入院日及び翌日における敗血症性ショック患者からのDPP3濃度を示す。
図9図9は、敗血症性ショック患者からのDPP3濃度の個別トラジェクトリーを示す。x軸は、ICU入院後の日(1日目は入院日である)を示す。
【実施例
【0266】
実施例
抗体の産生及びこれらの親和定数の決定
いくつかのヒト及びマウス抗体を産生し、これらの親和定数を決定した(表1参照)。
【0267】
ペプチド/免疫化のための複合体
ウシ血清アルブミン(BSA)へのペプチドの結合のための追加のN末端システイン(選択されたADM配列内にシステインが存在しない場合)残基を用いて免疫化のためのペプチドを合成した、表1参照、(JPT Technologies、独国ベルリン)。スルホリンクカップリングゲル(Perbio Science、独国ボン)を用いてペプチドをBSAと共有結合した。Perbioのマニュアルに従ってカップリング手順を行った。
【0268】
マウス抗体を、以下の方法に従って産生した。
Balb/cマウスを、0日目及び14日目において100μgのペプチド-BSA-複合体(100μlのフロイント完全アジュバント中に乳化)並びに21日目及び28日目において50μgのペプチド-BSA-複合体(100μlのフロイント不完全アジュバント中)で免疫化した。融合実験を行う前3日間、動物は、1回腹腔内注射及び1回静脈内注射として与えられた100μl生理食塩水中に溶解された50μgの複合体を受けた。
【0269】
免疫化マウス由来の脾細胞及び骨髄腫細胞株SP2/0の細胞を、37℃において30秒間1mlの50%ポリエチレングリコールを用いて融合した。洗浄後、細胞を、96ウェル細胞培養プレートに播種した。ハイブリッドクローンを、HAT培地(20%ウシ胎仔血清及びHATサプリメントを添加したRPMI1640培養培地)中での増殖によって選択した。2週間後、HAT培地を、3継代培養のためHT培地により置換し、次いで、正常細胞培養培地に戻した。
【0270】
細胞培養上澄みを、融合後3週間、抗原特異的IgG抗体について一次スクリーニングした。陽性試験ミクロ培養液を、増殖のために、24ウェルに移した。再試験後、選択された培養液を、限界希釈技術を用いてクローン化し、再クローン化し、アイソタイプを決定した(Lane, R.D. 1985. J. Immunol. Meth. 81: 223-228; Ziegler et al. 1996. Horm. Metab. Res. 28: 11-15も参照)。
【0271】
マウスモノクローナル抗体産生:
標準的抗体産生方法(Marx et al, 1997. Monoclonal Antibody Production, ATLA 25, 121)により抗体を産生し、タンパク質Aにより精製した。抗体純度は、SDSゲル電気泳動分析に基づいて>95%であった。
【0272】
ヒト抗体:
ヒト抗体を、以下の手順に従ってファージディスプレイを用いて産生した。
ヒトナイーブ抗体遺伝子ライブラリーHAL7/8を、ADMペプチドに対する組換え一本鎖F可変ドメイン(scFv)の単離のために使用した。抗体遺伝子ライブラリーを、2つの異なるスペーサーによりADMペプチド配列と連結されたビオチンタグを含むペプチドの使用を含むパニング戦略でスクリーニングした。非特異的結合抗原及びストレプトアビジン結合抗原を用いたパニングラウンドの混合物を使用して非特異的結合剤のバックグラウンドを最小化した。パニングの第三ラウンドからの溶出ファージを、大腸菌(E.coli)株を発現するモノクローナルscFvの産生のために使用した。これらのクローン株の培養からの上澄みを、抗原ELISA試験のために直接使用した(Hust et al. 2011. Journal of Biotechnology 152, 159-170; Schuette et al. 2009. PLoS One 4, e6625も参照)。
【0273】
陽性クローンを、抗原の陽性ELISAシグナル及びストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレートの陰性に基づいて選択した。更なる特徴付けのため、scFvオープンリーディングフレームを、発現プラスミドpOPE107(Hust et al. 2011. Journal of Biotechnology 152, 159-170)にクローン化し、固定化金属イオン親和性クロマトグラフィーにより培養液上澄みから捕捉し、サイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。
【0274】
親和定数
ADMに対する抗体の親和性を決定するため、抗体を固定化するADMの結合の動態を、Biacore 2000システム(GE Healthcare Europe GmbH、独国フライブルク)を用いて無標識表面プラズモン共鳴によって決定した。抗体の製造者説明書(マウス抗体捕捉キット;GE Healthcare)に従ってCM5センサー表面に高密度で共有結合された抗マウスFc抗体を用いて行った(Lorenz et al. 2011. Antimicrob Agents Chemother. 55 (1): 165-173)。
【0275】
それぞれ、ヒト及びマウスADMの下記ADM領域に対してモノクローナル抗体を産生する。次表は、更なる実験で使用される得られた抗体の選択を示す。選択は標的領域に基づく。
【表1】
【0276】
酵素消化による抗体フラグメントの産生
Fab及びF(ab)2フラグメントの産生を、マウス完全長抗体NT-Mの酵素消化によって行った。a)ペプシンベースF(ab)2調製キット(Pierce 44988)及びb)パパインベースFab調製キット(Pierce 44985)を用いて抗体NT-Mを消化した。断片化手順を、供給者が提供した説明書に従って行った。37℃において8時間F(ab)2断片化の場合に消化を行った。それぞれ、16時間、Fab断片化消化を行った。
【0277】
Fab産生及び精製の手順
0.5mlの消化バッファで樹脂を洗浄することによって固定化パパインを平衡化して、1分間5000xgでカラムを遠心分離した。後でバッファを廃棄した。貯蔵用液を除去し、消化バッファで洗浄し、その後2分間1000xgで毎回遠心分離することによって脱塩カラムを調製した。0.5mlの調製されたIgGサンプルを、平衡化された固定化パパインを含むスピンカラムチューブに添加した。37℃においてテーブルトップロッカー上で16時間、消化反応のインキュベーション時間を行った。1分間5000xgにおいてカラムを遠心分離して、消化物を固定化パパインから分離した。その後、樹脂を0.5mlのPBSで洗浄し、1分間5000xgで遠心分離した。全サンプル体積が1.0mlである消化抗体に洗浄画分を添加した。NAbタンパク質Aカラムを、室温においてPBS及びIgG溶出バッファで平衡化した。カラムを1分間遠心分離して貯蔵用液(0.02%アジ化ナトリウムを含む)を除去し、2mlのPBSの添加により平衡化し、1分間再度遠心分離し、フロースルーを廃棄した。サンプルをカラムに適用し、反転により再懸濁した。10分間転倒混合して室温においてインキュベーションを行った。カラムを1分間遠心分離して、Fabフラグメントと共にフロースルーを保存した。(参考文献:Coulter and Harris 1983. J. Immunol. Meth. 59, 199-203.; Lindner et al. 2010. Cancer Res. 70, 277-87; Kaufmann et al. 2010. PNAS. 107, 18950-5.; Chen et al. 2010. PNAS. 107, 14727-32; Uysal et al. 2009 J. Exp. Med. 206, 449-62; Thomas et al. 2009. J. Exp. Med. 206, 1913-27; Kong et al. 2009 J. Cell Biol. 185, 1275-840)。
【0278】
F(ab’)2フラグメントの産生及び精製の手順
0.5mlの消化バッファで樹脂を洗浄することによって固定化ペプシンを平衡化して、1分間5000xgでカラムを遠心分離した。後でバッファを廃棄した。貯蔵用液を除去し、消化バッファで洗浄し、その後2分間1000xgで毎回遠心分離することによって脱塩カラムを調製した。0.5mlの調製されたIgGサンプルを、平衡化された固定化ペプシンを含むスピンカラムチューブに添加した。37℃においてテーブルトップロッカー上で16時間、消化反応のインキュベーション時間を行った。1分間5000xgにおいてカラムを遠心分離して、消化物を固定化パパインから分離した。その後、樹脂を0.5mLのPBSで洗浄し、1分間5000xgで遠心分離した。全サンプル体積が1.0mlである消化抗体に洗浄画分を添加した。NAbタンパク質Aカラムを、室温においてPBS及びIgG溶出バッファで平衡化した。カラムを1分間遠心分離して貯蔵用液(0.02%アジ化ナトリウムを含む)を除去し、2mLのPBSの添加により平衡化し、1分間再度遠心分離し、フロースルーを廃棄した。サンプルをカラムに適用し、反転により再懸濁した。10分間転倒混合して室温においてインキュベーションを行った。カラムを1分間遠心分離して、Fabフラグメントと共にフロースルーを保存した。(参考文献:Mariani et al. 1991. Mol. Immunol. 28: 69-77; Beale 1987. Exp Comp Immunol 11:287-96; Ellerson et al. 1972. FEBS Letters 24(3):318-22; Kerbel and Elliot 1983. Meth Enzymol 93:113-147; Kulkarni et al. 1985. Cancer Immunol Immunotherapy 19:211-4; Lamoyi 1986. Meth Enzymol 121:652-663; Parham et al. 1982. J Immunol Meth 53:133-73; Raychaudhuri et al. 1985. Mol Immunol 22(9):1009-19; Rousseaux et al. 1980. Mol Immunol 17:469-82; Rousseaux et al. 1983. J Immunol Meth 64:141-6; Wilson et al. 1991. J Immunol Meth 138:111-9)。
【0279】
NT-H抗体フラグメントヒト化:
抗体フラグメントをCDRグラフト化方法により固定化した(Jones et al. 1986. Nature 321, 522-525)。
【0280】
ヒト化配列を得るために次のステップを行った:
-全RNA抽出:全RNAを、Qiagenキットを用いてNT-Hハイブリドーマから抽出した。
-第一ラウンドRT-PCR:QIAGEN(登録商標)OneStep RT-PCRキット(カタログNo.210210を使用した。重鎖及び軽鎖に対して特異的なプライマーセットを用いてRT-PCRを行った。各RNAサンプルのため、12の個別重鎖及び11の軽鎖RT-PCR反応を、可変領域のリーダー配列をカバーする縮重フォワードプライマー混合物を用いてセットアップした。リバースプライマーを、重鎖及び軽鎖の定常領域に配置した。制限酵素部位をプライマー中に操作しなかった。
-反応セットアップ:5×QIAGEN(登録商標)OneStep RT-PCRバッファ 5.0μl、dNTP混合物(10mMの各dNTPを含む)0.8μl、プライマーセット 0.5μl、QIAGEN(登録商標)OneStep RT-PCR酵素混合物 0.8μl、鋳型RNA 2.0μl、RNアーゼフリー水 20.0μl、全体積20.0実食え尾l PCR条件:逆転写:50℃、30分;初回PCR活性化:95℃、15分サイクル:94℃、25秒;54℃、30秒;72℃、30秒を20サイクル;最終伸長:72℃、10分第二ラウンドセミネステッドPCR:第一ラウンド反応からのRT-PCR生成物を第二ラウンドで更に増幅した。12個別重鎖及び11軽鎖RT-PCR反応を、抗体可変領域に対して特異的セミネステッドプライマーセットを用いてセットアップした。
-反応セットアップ:2×PCR混合物 10μl;プライマーセット 2μl;第一ラウンドPCR生成物 8μl;全体積 20μl;ハイブリドーマ抗体クローニングレポートPCR条件:95℃で5分の初回変性;95℃25秒間、57℃30秒間、68℃30秒間の25サイクル;最終伸長は68℃10分である。
-PCR完了後、増幅されたDNAフラグメントを可視化するためアガロースゲル上にPCR反応サンプルの電気泳動を行った。ネステッドRT-PCRにより増幅された15より多いクローン化DNAフラグメントの配列決定後、いくつかのマウス抗体重鎖及び軽鎖をクローン化し、正確と思われる。タンパク質配列アライメント及びCDR分析は、1つの重鎖及び1つの軽鎖を特定する。可変重鎖中の26位、40位及び55位のアミノ酸並びに可変軽鎖中の40位のアミノ酸は結合特性に極めて重要であるので、これらをマウス起源に戻してよい。得られた候補物を下記に示す。(Padlan 1991. Mol. Immunol. 28, 489-498; Harris and Bajorath.1995. Protein Sci. 4, 306-310)。
【0281】
抗体フラグメント配列(配列番号10~17)のアノテーション:太字及び下線はN末端からC末端まで番号順でCDR1、2、3である;イタリック体は定常領域である;ヒンジ領域は太字、下線文字で強調し、C末端のヒスチジンタグを太字及びイタリック体の文字で強調する。
【0282】
配列番号10(AM-VH-C)
【化1】
配列番号11(AM-VH1)
【化2】

配列番号12(AM-VH2-E40)
【化3】

配列番号13(AM-VH3-T26-E55)
【化4】

配列番号14(AM-VH4-T26-E40-E55)
【化5】

配列番号15(AM-VL-C)
【化6】

配列番号16(AM-VL1)
【化7】

配列番号17(AM-VL2-E40)
【化8】

配列番号22(アドレシズマブ重鎖)
【化9】

配列番号23(アドレシズマブ軽鎖)
【化10】

配列番号24(ヒトADMのaa1~14)
YRQSMNNFQGLRSF

配列番号25(ヒトADMのaa1~10)
YRQSMNNFQG
【0283】
実施例2
方法
計画
AdrenOSS-2治験は、早期敗血症性ショック及びバイオADM上昇患者におけるアドレシズマブの安全性、認容性及び有効性を調査する二重盲検プラセボ対照無作為化多施設の、実証実験、バイオマーカー及び用量設定フェーズII治験であった。ベルギー、フランス、独及びオランダにおける医療、外科並びに/又は混合型ICUを備える30病院において治験を行った。治験設定の更なる詳細は、Geven et al.(Geven C, Blet A, Kox M, Hartmann O, Scigalla P, Zimmermann J, Marx G, Laterre PF, Mebazaa A, Pickkers P, (2019) A double-blind, placebo-controlled, randomised, multicentre, proof-of-concept and dose-finding phase II clinical trial to investigate the safety, tolerability and efficacy of adrecizumab in patients with septic shock and elevated adrenomedullin concentration (AdrenOSS-2). BMJ Open 0: e024475)により初期に既に報告されている。
【0284】
倫理規定
それぞれの独立倫理委員会(IEC)により承認された治験手順及びインフォームドコンセントフォーム(ICF)行程は、国際基準及び各参加国の国内規定に従った。
【0285】
参加者
選択規準及び除外基準を満足する早期敗血症性ショック(<12時間)並びにバイオADM値上昇(>70pg/mL)と診断された男性及び女性患者(>18歳)を、ICU入院時及び昇圧剤治療の開始時にスクリーニングした。選択規準及び除外基準のリストは、Geven et al.(Geven C, Blet A, Kox M, Hartmann O, Scigalla P, Zimmermann J, Marx G, Laterre PF, Mebazaa A, Pickkers P, (2019) A double-blind, placebo-controlled, randomised, multicentre, proof-of-concept and dose-finding phase II clinical trial to investigate the safety, tolerability and efficacy of adrecizumab in patients with septic shock and elevated adrenomedullin concentration (AdrenOSS-2). BMJ Open 0: e024475)に以前に公開された。
【表2】
【0286】
書面ICFが患者又は彼/彼女の法定代理人(IEC認定ローカル手順)により提出された後、及び血漿バイオADM濃度が>70pg/mL(sphingotest(登録商標)、sphingotec GmbH、独国ヘニッヒスドルフ)である場合、臨床調整センター(CCC)は患者の適格性を確認した。すべての治験関連データを、匿名で獲得した。
【0287】
インターベンション
患者を、1:1:2比で治療群A(アドレシズマブ 2mg/kg)、治療群B(アドレシズマブ 4mg/kg)又はプラセボのいずれかに無作為に割り当てた。患者は、昇圧剤治療の開始後12時間以内に単回静注(所要時間:約1時間)で割り当てられた治験医薬品を受けた。応用スキームの詳細な説明は、Geven et al.[2]により既に公開されている。
【0288】
評価基準
他の中でも、7日、28日及び90日死亡率、並びに参加時のSOFAスコアに対するSOFAスコアの毎日の変化を記録した(SOFA=重要臓器障害度評価)。別のエンドポイントは、アドレシズマブ/プラセボ注入後7日以下の平均輸液平衡であった。
【0289】
特に興味深いのは、結果尺度に対する、それぞれ、ショック診断から治療までの時間及びICU入院から治療までの時間の影響であった。
【0290】
統計及びデータ解析
本実施例の解析法は、プラセボに対する合わせたアドレシズマブ用量の比較を含んだ。パープロトコール(PP)解析は、僅かな偏差しか含まないプロトコールに従った治験医薬品を受け、全ての主要な登録基準を満足する全患者を含んだ。50ng/mLより高い循環ジペプチジルペプチダーゼ3(DPP3)濃度を有する患者を除外することによって患者集団を更に濃縮した。
【0291】
患者数、加算平均、標準偏差(SD)又は四分位範囲を含むメジアンによって連続データを解析し、必要に応じて、治療群とプラセボとの探索的比較を、クラスカル・ワリス検定を用いて行った。カテゴリー変数をカテゴリー別に纏め、数及びパーセンテージを示し、分割表のためカイ二乗検定を用いて比較した。両治療群(2mg/kg及び4mg/kg)を、有効性解析のために合わせた。治療群の中の死亡率の差を示すためにログランク検定を選択し、カプラン・マイヤープロットを例証するために使用した。未調整及び調整ハザード比(HR)を、コックス比例ハザードモデルにより推定した。死亡又はICU退院のせいでSOFAスコアの欠損は補完した(例えば、ランダム制御治験におけるde Grooth et al.(de Grooth HJ, Geenen IL, Girbes AR, Vincent JL, Parienti JJ, Oudemans-van Straaten HM, (2017)により提案されたように、それぞれ、24又は0のいずれかとした)SOFA及び死亡率エンドポイント:系統的レビュー及びメタ回帰分析。Critical care 21: 38))全ての報告されたp値は両側性である。0.05未満のp値を有意と見做した。SASバージョン9.3、及びRバージョン3.4.3(http://www.r-project.org)を用いて統計解析を行った。
【0292】
患者及び試験治療
第一患者を、2017年12月8日に無作為化した。最後の患者を、2019年9月25日に登録した。全部で459患者をスクリーニングした。これらの外に、158名は適格でなく、したがって、無作為化しなかった(バイオADM <70pg/mL、n=91;選択/除外規準を満足しない、n=67)。合計301患者を、4カ国において、プラセボ(n=152)、アドレシズマブ2mg/kg(n=72)又はアドレシズマブ4mg/kg(n=77)のいずれかに無作為化し、治療を意図した(ITT)集団を確定した。パープロトコール解析(PP)のため、n=7患者を除外した。最終的に、>50ng/mLのDPP3の投与前レベルを有するn=50患者を除外し、その結果、n=244の全患者集団を解析した。DPP3血漿中濃度上昇は、有害経路を引き起こし、ADM経路と機構的に異なり、したがって、アドレシズマブによって対処することができない。
【0293】
結果
薬物のために利益になるほとんど患者集団を絞り込む1つの重要な側面は、患者の特定の臨床症状に対する治療可能域を明確にすることである。これは、敗血症、敗血症性ショックなどの急性変化及び生命にかかわる態又は他の急性循環障害において特に重要である。本発明者らは、敗血症性ショックにおける疾病進行の関数としてアドレシズマブの有効性を調査した。操作上、疾病進行は、臓器補助、敗血症性ショック発症からの時間、ICU入院からの時間の要求条件の変化になる。
【0294】
上記問題の評価のため、本発明者らは、AdrenOSS-2臨床治験の部分母集団を調べた。
【0295】
ショック診断及びアドレシズマブを用いた治療開始間の時間の長さの影響を調査するため、集団をショック診断及び治療開始間の時間の長さのメジアンにおいて、すなわち、8.4時間において2群に分割し、両群を比較した。ショックを診断した後0~10時間に治療を行った場合、プラセボと比較してアドレシズマブ治療では28日死亡率が低くかった(HR 0.439(0.174~1.11))(図1A)。ショック診断及び治療間の時間が10~12.2時間である場合、プラセボと比較したアドレシズマブ治療の死亡率の差は余り明白でなかった(HR 0.711(0.326~1.55))(図1B)。
【0296】
図2は、ショック診断後8.4時間より遅い(図2A)治療と比較してショック診断後8.4時間以内(図2A)にアドレシズマブ治療を行った場合のSOFAスコアの変化を示し、本発明の抗体の驚くべき有益な効果を支持している。
【0297】
患者のICU入院及びアドレシズマブを用いた治療開始間の時間の長さの影響を調査するため、集団を患者のICU入院及び治療開始間の時間の長さのメジアンにおいて、すなわち、0.344日(8.3時間)において2群に分割し、両群を比較した。ICU入院後0~0.344日(8.3時間)に治療を行った場合、プラセボと比較してアドレシズマブ治療では28日死亡率が有意に低かった(HR 0.263(0.077~0.898)、ログランクp値0.022)(図3A)。ICU入院及び治療間の時間が0.344日~29日である場合、プラセボと比較してアドレシズマブ治療の死亡率の差は余り明白でなかった(HR 0.734(0.358~1.50))(図3B)。ICU入院後0.344日(8.3時間)以下で治療を受けた患者の群における過比例的有益な治療効果は90日の全観察期間を通じて不随した:ICU入院後0~0.344日(8.3時間)に治療を行った場合、プラセボと比較してアドレシズマブ治療では90日死亡率が有意に低かった(HR 0.364(0.137~0.970)、ログランクp値0.035)(図4A)。ICU入院及び治療間の時間が0.344日~29日である場合、プラセボと比較してアドレシズマブ治療の死亡率の差は余り明白でなかった(HR 0.826(0.469~1.45))(図4B)。
【0298】
図5は、ICU入院後0.344日超(図5B)の治療と比較して、ICU入院後0.344日(図5A)にアドレシズマブ治療を行った場合のSOFAスコアの変化を示す。ICU入院後0.344日以内にアドレシズマブ治療を行った場合、SOFAスコアは迅速に且つ持続的に低減し、本発明の抗体の驚くべき有益な効果を支持している。
【0299】
図6は、ICU入院後0.344日超(図6B)で行った治療と比較して、ICU入院後0.344日以内(図6A)でアドレシズマブ治療を行った場合、治療開始後7日目の平均輸液平衡を示す。輸液平衡(輸液インプット-輸液アウトプット)を、ICUにおいて各24時間記録した。アドレシズマブ/プラセボ注入後7日以下の平均輸液平衡を、患者毎に算出した。例えば、ICUから退院又は死亡が理由で輸液平衡を失っている日は考慮しなかった。ICU入院後0.344日以内にアドレシズマブ治療を行った場合、輸液平衡は70.2%有意に低下したが、ICU入院後により遅く治療を行った場合は低下せず、本発明の抗体の驚くべき有益な効果を支持している。
【0300】
図7は、ショック診断後8.4時間超(図8B)に行った治療と比較して、ショック診断後8.4時間以内(図8A)にアドレシズマブ治療を行った場合の治療開始後7日目の平均輸液平衡を示す。輸液平衡(輸液インプット-輸液アウトプット)を、ICUにおいて各24時間記録した。アドレシズマブ/プラセボ注入後7日以下の平均輸液平衡を、患者毎に算出した。例えば、ICUから退院又は死亡が理由で輸液平衡を失っている日は考慮しなかった。ショック診断後10時間以内にアドレシズマブ治療を行った場合、輸液平衡は58.2%低下したが、ショック診断後により遅く治療を行った場合はそれほど低下せず(30.4%)、本発明の抗体の驚くべき有益な効果を支持している。
【0301】
ショック診断又はICU入院後早期にアドレシズマブ又はプラセボ注入を受けた患者は、より高いAPACHEIIスコア及び他の重症度関連変数により示されているように、より遅く治療された者よりアドレシズマブ又はプラセボ注入開始時間におけるより重度な臨床状態を示した。ケア治療手段の標準は、通常、患者の臨床状態の持続的ではないが短期改善をもたらすので、これは予想された。
【0302】
プラセボを受けた者と共にアドレシズマブを受けた患者の比較は、これらのベースライン特性に関して関連する違いを明らかにしなかった結果、アドレシズマブの観察された有益な治療は他の因子によって混乱しない。
【0303】
治療をより早期に開始すれば、アドレシズマブの有益な治療効果はより明白になった。例示的解析では、ICU入院から治療開始までの時間に応じて患者のランク付け後に集団を3群に分割した。28日死亡率を、この集団の第一、第二並びに第三及び第四四分位の組合せについて解析した。四分位1はICU入院後0~0.24日の時間枠を包含し、四分位2はICU入院後0.25~0.34日の時間枠を包含し、四分位3/4はICU入院後>0.35日の時間枠を包含した。四分位1において最も明白に(85%)、明瞭に検出可能であるが四分位2において余り明白でなく(53%)、ほとんど明白でないが四分位3/4においてなお明白に(23%)、死亡率は低下した(表2)。
【表3】
【0304】
実施例3
AdrenOSS-1治験から、70pg/mLより高いバイオADM濃度及び50ng/mL未満のDPP3濃度を有するICU入院敗血症性ショック患者を選択し、これらを更に分析し、翌日70ng/mLより高いDPP3の増加を示した。メジアン濃度は、41.0ng/mLから129.7ng/mLに増加した(図8及び表3参照)。
【表4】
【0305】
これを、図9で個別患者経過において更に例示する。
【0306】
データは、ICU入院時にアドレシズマブを用いて治療可能な敗血症性ショック患者は、DPP3の血漿中レベルの上昇を病理的に発現し得ることを実証している。次に、これらは、文献に記載されているようにショック及び死を誘発し得る(Blet et al., Crit Care. 2021 Feb 15;25(1):61)。したがって、これは、DPP3の増加及び続くショック及び死などの致命的発症を避けるために、遅いよりむしろ早期にアドレシズマブを用いた敗血症性ショック患者の治療を開始するという概念を支持する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
2023515985000001.app
【国際調査報告】